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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102100
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】発泡体形成用組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/08 20060101AFI20240723BHJP
   C08K 5/54 20060101ALI20240723BHJP
   C08K 3/011 20180101ALI20240723BHJP
   C08K 5/09 20060101ALI20240723BHJP
   C08F 210/18 20060101ALI20240723BHJP
   C08J 9/04 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
C08L23/08
C08K5/54
C08K3/011
C08K5/09
C08F210/18
C08J9/04 101
C08J9/04 CES
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024065455
(22)【出願日】2024-04-15
(62)【分割の表示】P 2019034044の分割
【原出願日】2019-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】服部 祐介
(72)【発明者】
【氏名】市野 光太郎
(57)【要約】
【課題】表面滑り性に優れる発泡体を形成することのできる、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含有する組成物を提供する。
【解決手段】特定のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)と、ヒドロシリル基を1分子中に少なくとも2個持つヒドロシリル基含有化合物(Y)と、ヒドロシリル架橋用の白金系触媒(Z)と、脂肪族モノカルボン酸および水酸化金属化合物から選ばれる少なくとも1種の成分(BA)を、前記共重合体(S)100質量部に対して5~30質量部とを含有する、発泡体形成用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン(A)由来の構成単位と、炭素数3~20のα-オレフィン(B)由来の構成単位と、式(I)および(II)から選ばれる少なくとも1種の部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエン(C)に由来する構成単位とを有し、下記(i)および(ii)の要件を満たすエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)と、
ヒドロシリル基を1分子中に少なくとも2個持つヒドロシリル基含有化合物(Y)と、
ヒドロシリル架橋用の白金系触媒(Z)と、
脂肪族モノカルボン酸および水酸化金属化合物から選ばれる少なくとも1種の成分(BA)を、前記共重合体(S)100質量部に対して5~30質量部とを含有し、
前記共重合体(S)の125℃におけるムーニー粘度ML(1+4)が69~95であり、
前記成分(BA)がステアリン酸であり、発泡体の比重が0.78~1.16である発泡体形成用組成物。
【化1】
(i)モル比(エチレン(A)由来の構成単位/炭素数3~20のα-オレフィン(B)由来の構成単位)が、40/60~99.9/0.1である。
(ii)非共役ポリエン(C)由来の構成単位の含有割合が、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)100質量%中、0.07~10質量%である。
【請求項2】
前記発泡体の発泡倍率が1.3~4.0倍である、請求項1に記載の発泡体形成用組成物。
【請求項3】
エチレン(A)由来の構成単位と、炭素数3~20のα-オレフィン(B)由来の構成単位と、式(I)および(II)から選ばれる少なくとも1種の部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエン(C)に由来する構成単位とを有し、下記(i)および(ii)の要件を満たすエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)と、
ヒドロシリル基を1分子中に少なくとも2個持つヒドロシリル基含有化合物(Y)と、
ヒドロシリル架橋用の白金系触媒(Z)と、
脂肪族モノカルボン酸および水酸化金属化合物から選ばれる少なくとも1種の成分(BA)を、前記共重合体(S)100質量部に対して5~30質量部とを含有し、
前記共重合体(S)の125℃におけるムーニー粘度ML(1+4)が69~95であり、
前記成分(BA)がステアリン酸である、発泡体形成用組成物を用いて成形体を成形する工程と、
前記成形体を加熱槽を用いて、150~300℃の温度で1~30分間加熱して架橋し発泡体を得る工程と、を含み、
前記発泡体の比重が0.78~1.16である発泡体の形成方法。
【化2】
(i)モル比(エチレン(A)由来の構成単位/炭素数3~20のα-オレフィン(B)由来の構成単位)が、40/60~99.9/0.1である。
(ii)非共役ポリエン(C)由来の構成単位の含有割合が、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)100質量%中、0.07~10質量%である。
【請求項4】
前記発泡体の発泡倍率が1.3~4.0倍である、請求項3に記載の発泡体の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡体形成用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体をヒドロシリル架橋して得られる成形体(例えば特許文献1参照)は、イオウ加硫および過酸化物架橋と比較して機械的強度、耐熱老化性などに優れることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-290917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らの検討によれば、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体をヒドロシリル架橋および発泡して得られる発泡体は、表面滑り性に劣る傾向にあることが分かった。
【0005】
本発明の課題は、表面滑り性に優れる発泡体を形成することのできる、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含有する組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明らは上記課題を解決すべく検討した結果、以下の構成を有する組成物により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、例えば以下の[1]~[3]に関する。
【0007】
[1]エチレン(A)由来の構成単位と、炭素数3~20のα-オレフィン(B)由来の構成単位と、式(I)および(II)から選ばれる少なくとも1種の部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエン(C)に由来する構成単位とを有し、下記(i)および(ii)の要件を満たすエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)と、
ヒドロシリル基を1分子中に少なくとも2個持つヒドロシリル基含有化合物(Y)と、
ヒドロシリル架橋用の白金系触媒(Z)と、
脂肪族モノカルボン酸および水酸化金属化合物から選ばれる少なくとも1種の成分(BA)を、前記共重合体(S)100質量部に対して5~30質量部とを含有する、発泡体形成用組成物。
【0008】
【化1】
【0009】
(i)モル比(エチレン(A)由来の構成単位/炭素数3~20のα-オレフィン(B)由来の構成単位)が、40/60~99.9/0.1である。
(ii)非共役ポリエン(C)由来の構成単位の含有割合が、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)100質量%中、0.07~10質量%である。
【0010】
[2]前記成分(BA)が脂肪族モノカルボン酸である前記[1]に記載の発泡体形成用組成物。
[3]前記成分(BA)がステアリン酸である前記[1]または[2]に記載の発泡体形成用組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、表面滑り性に優れる発泡体を形成することのできる、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含有する組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態について説明する。
[発泡体形成用組成物]
本発明の発泡体形成用組成物(以下「本発明の組成物」ともいう)は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)と、ヒドロシリル基を1分子中に少なくとも2個持つヒドロシリル基含有化合物(Y)と、ヒドロシリル架橋用の白金系触媒(Z)と、脂肪族モノカルボン酸および水酸化金属化合物から選ばれる少なくとも1種の成分(BA)とを含有し、前記成分(BA)を前記共重合体(S)100質量部に対して5~30質量部の範囲で含有する。
【0013】
<エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)>
エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(S)(以下「共重合体(S)」ともいう)は、エチレン(A)由来の構成単位と、炭素数3~20のα-オレフィン(B)由来の構造単位と、非共役ポリエン(C)由来の構成単位とを有する。前記非共役ポリエン(C)は、式(I)および(II)から選ばれる少なくとも1種の部分構造を合計で分子中に2つ以上含む。
【0014】
【化2】
【0015】
炭素数3~20のα-オレフィン(B)としては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-エイコセンが挙げられる。これらの中でも、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン等の炭素数3~8のα-オレフィンが好ましく、プロピレンがより好ましい。
【0016】
共重合体(S)は、少なくとも1種の炭素数3~20のα-オレフィン(B)に由来する構成単位を含んでおり、2種以上の炭素数3~20のα-オレフィン(B)に由来する構成単位を含んでいてもよい。
【0017】
非共役ポリエン(C)としては、例えば、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、ノルボルナジエン、1,4-ヘキサジエン、ジシクロペンタジエンが挙げられる。これらの中でも、入手容易性が高く、ヒドロシリル架橋が良好で、組成物の耐熱性が向上しやすいことから、非共役ポリエン(C)がVNBを含むことが好ましく、非共役ポリエン(C)がVNBであることがより好ましい。
【0018】
共重合体(S)は、少なくとも1種の非共役ポリエン(C)に由来する構成単位を含んでおり、2種以上の非共役ポリエン(C)に由来する構成単位を含んでいてもよい。
共重合体(S)は、式(I)および(II)から選ばれる部分構造を分子中に1つのみ含む非共役ポリエン(D)由来の構成単位をさらに有することができる。
【0019】
非共役ポリエン(D)としては、例えば、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-(2-プロペニル)-2-ノルボルネン、5-(3-ブテニル)-2-ノルボルネン、5-(1-メチル-2-プロペニル)-2-ノルボルネン、5-(4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-(1-メチル-3-ブテニル)-2-ノルボルネン、5-(5-ヘキセニル)-2-ノルボルネン、5-(1-メチル-4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-(2,3-ジメチル-3-ブテニル)-2-ノルボルネン、5-(2-エチル-3-ブテニル)-2-ノルボルネン、5-(6-ヘプテニル)-2-ノルボルネン、5-(3-メチル-5-ヘキセニル)-2-ノルボルネン、5-(3,4-ジメチル-4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-(3-エチル-4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-(7-オクテニル)-2-ノルボルネン、5-(2-メチル-6-ヘプテニル)-2-ノルボルネン、5-(1,2-ジメチル-5-ヘキセニル)-2-ノルボルネン、5-(5-エチル-5-ヘキセニル)-2-ノルボルネン、5-(1,2,3-トリメチル-4-ペンテニル)-2-ノルボルネンが挙げられる。これらの中でも、入手容易性が高く、ヒドロシリル架橋時の架橋速度を制御しやすく、良好な機械物性が得られやすいことから、ENBが好ましい。
【0020】
共重合体(S)は、少なくとも1種の非共役ポリエン(D)に由来する構成単位を含むことができ、2種以上の非共役ポリエン(D)に由来する構成単位を含んでいてもよい。
要件(i)として、共重合体(S)において、モル比(エチレン(A)由来の構成単位/炭素数3~20のα-オレフィン(B)由来の構成単位)は、40/60~99.9/0.1、好ましくは50/50~90/10、より好ましくは55/45~85/15、さらに好ましくは55/45~78/22である。このような共重合体(S)は、ヒドロシリル架橋して得られる発泡体が優れたゴム弾性を示し、機械的強度ならびに柔軟性に優れたものとなるため好ましい。
【0021】
要件(ii)として、共重合体(S)100質量%中(すなわち全構成単位の含有割合の合計100質量%中)、非共役ポリエン(C)由来の構成単位の含有割合は、0.07~10質量%、好ましくは0.1~8.0質量%、より好ましくは0.5~5.0質量%である。このような共重合体(S)は、本発明の組成物から得られる発泡体が充分な硬度を有し、機械特性に優れたものとなるため好ましく、ヒドロシリル架橋した場合には、早い架橋速度を示すものとなり、共重合体(S)が発泡体の製造に好適なものとなるため好ましい。
【0022】
共重合体(S)100質量%中、非共役ポリエン(D)由来の構成単位の含有割合は、通常は0~20質量%、好ましくは0~8質量%である。
共重合体(S)中のエチレン(A)、α-オレフィン(B)、非共役ポリエン(C)、および非共役ポリエン(D)由来の構成単位の含有割合は、13C-NMRにより求めることができる。
【0023】
共重合体(S)の125℃におけるムーニー粘度ML(1+4)は、好ましくは5~100、より好ましくは20~95、さらに好ましくは50~90である。ムーニー粘度が上記範囲にある共重合体(S)は、加工性および流動性が良好であり、優れたゴム物性を示し、また良好な後処理品質(リボンハンドリング性)を示す傾向にある。
【0024】
ムーニー粘度は、ムーニー粘度計(島津製作所社製SMV202型)を用いて、JIS K6300(1994)に準じて測定する。
共重合体(S)の135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は、好ましくは0.1~5dL/g、より好ましくは0.5~5.0dL/g、さらに好ましくは0.9~4.0dL/gである。[η]が上記範囲にある共重合体(S)は、成形加工性に優れる傾向にある。
【0025】
[η]は、具体的には以下のように測定する。共重合体(S)約20mgをデカリン15mLに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定する。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5mL追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿したときのηsp/Cの値を極限粘度として採用する。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
【0026】
共重合体(S)は、エチレン(A)、炭素数3~20のα-オレフィン(B)、非共役ポリエン(C)、および必要に応じて非共役ポリエン(D)を含むモノマーを共重合して得られる。共重合体(S)は、どのような製法で調製されてもよいが、メタロセン化合物の存在下に前記モノマーを共重合して得られたものであることが好ましく、メタロセン化合物を含む触媒系の存在下に前記モノマーを共重合して得られたものであることがより好ましい。共重合体(S)は、具体的には、例えば、国際公開第2015/122495号記載のメタロセン触媒に記載の方法を採用することにより製造することができる。
本発明の組成物は1種または2種以上の共重合体(S)を含有することができる。
【0027】
<ヒドロシリル基含有化合物(Y)>
ヒドロシリル基含有化合物(Y)は、共重合体(S)と反応する架橋剤として作用する。ヒドロシリル基含有化合物(Y)は、従来から製造・市販されている、例えば、線状、環状、分岐状の各構造あるいは三次元網目状構造の樹脂状物など、その構造においていずれでも使用可能である。
【0028】
ヒドロシリル基含有化合物(Y)は、1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を含む。ヒドロシリル基含有化合物(Y)としては、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。
bcSiO(4-b-c)/2
【0029】
上記式において、Rは、脂肪族不飽和結合を除く、炭素数1~10、特に炭素数1~8の置換または非置換の1価の炭化水素基である。1価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基;トリフロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基が好ましく、メチル基、フェニル基がより好ましい。
【0030】
上記式において、bは、1≦b<3、好ましくは1≦b<2.2、特に好ましくは1.5≦b≦2であり、cは、0.6≦c≦3、好ましくは0.6≦c<2であり、かつ、b+cは、b+c≦3、好ましくはb+c≦2.7である。
【0031】
ヒドロシリル基含有化合物(Y)は、例えば、1分子中のケイ素原子数が好ましくは2~1000個、より好ましくは2~300個、さらに好ましくは4~200個であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、具体的には、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7-テトラメチルテトラシクロシロキサン、1,3,5,7,8-ペンタメチルペンタシクロシロキサン等のシロキサンオリゴマー、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、R2(H)SiO1/2単位とSiO4/2単位とからなり、任意にR3SiO1/2 単位、R2SiO2/2 単位、R(H)SiO2/2単位、(H)SiO3/2 またはRSiO3/2単位を含み得るシリコーンレジンが挙げられる。
【0032】
分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば、下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物が挙げられる。
(CH33SiO-(-SiH(CH3)-O-)d-Si(CH33
式中のdは2以上の整数である。
【0033】
分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体としては、例えば、下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物が挙げられる。
(CH33SiO-(-Si(CH32-O-)e-(-SiH(CH3)-O-)f-Si(CH33
式中のeは1以上の整数であり、fは2以上の整数である。
【0034】
分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンとしては、例えば、下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物が挙げられる。
HSi(CH32O-(-Si(CH32-O-)e-Si(CH32
式中のeは1以上の整数である。
【0035】
分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば、下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物が挙げられる。
HSi(CH32O-(-SiH(CH3)-O-)e-Si(CH32
式中のeは1以上の整数である。
【0036】
分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体としては、例えば、下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物が挙げられる。
HSi(CH32O-(-Si(CH32-O-)e-(-SiH(CH3)-O-)h-Si(CH32
式中のeおよびhは、それぞれ1以上の整数である。
【0037】
以上の化合物は、公知の方法により製造することができ、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサンおよび/またはテトラメチルシクロテトラシロキサンと、末端基となり得るヘキサメチルジシロキサンあるいは1,3-ジハイドロ-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンなどの、トリオルガノシリル基あるいはジオルガノハイドロジェンシロキシ基を含む化合物とを、硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸等の触媒の存在下に、-10℃~+40℃程度の温度で平衡化させることによって容易に得ることができる。
【0038】
本発明の組成物は1種または2種以上の前記化合物(Y)を含有することができる。
本発明の組成物におけるヒドロシリル基含有化合物(Y)の含有量は、共重合体(S)100質量部に対して、通常は0.1~100質量部、好ましくは0.1~75質量部、より好ましくは0.1~50質量部、さらに好ましくは、0.2~30質量部、0.2~20質量部、0.5~10質量部、または0.5~5質量部である。
【0039】
<白金系触媒(Z)>
ヒドロシリル架橋用の白金系触媒(Z)は、付加反応触媒であり、共重合体(S)が有するアルケニル基と、ヒドロシリル基含有化合物(Y)が有するヒドロシリル基との付加反応(アルケンのヒドロシリル化反応)を促進するものであれば、特に制限はなく使用することができる。
【0040】
具体的な白金系触媒は、通常、付加硬化型の硬化に使用される公知のものでよく、例えば米国特許第2,970,150号明細書に記載の微粉末金属白金触媒、米国特許第2,823,218号明細書に記載の塩化白金酸触媒、米国特許第3,159,601号公報明細書および米国特許第159,662号明細書に記載の白金と炭化水素との錯化合物、米国特許第3,516,946号明細書に記載の塩化白金酸とオレフィンとの錯化合物、米国特許第3,775,452号明細書および米国特許第3,814,780号明細書に記載の白金とビニルシロキサンとの錯化合物が挙げられる。
【0041】
より具体的には、白金の単体(白金黒)、塩化白金酸、白金-オレフィン錯体、白金-アルコール錯体、あるいはアルミナ、シリカ等の担体に白金の担体を担持させたものが挙げられる。
【0042】
本発明の組成物は1種または2種以上の前記触媒(Z)を含有することができる。
本発明の組成物における白金系触媒(Z)の含有量は、通常は0.1~100000重量ppm、好ましくは0.1~10000重量ppm、より好ましくは1~5000重量ppm、さらに好ましくは5~1000重量ppmである。上記範囲内の割合で白金系触媒(Z)を用いると、架橋密度が適度で強度特性および伸び特性に優れる発泡体を形成できる組成物が得られる。
【0043】
<成分(BA)>
本発明では、脂肪族モノカルボン酸および水酸化金属化合物から選ばれる少なくとも1種の成分(BA)を発泡剤として使用する。前記成分(BA)を発泡剤として使用することで、表面平滑性、よって摺動性に優れた発泡体を得ることができる。この効果は、ステアリン酸等の前記成分(BA)が発泡体表面に析出することに基づくと推定される。
【0044】
脂肪族モノカルボン酸としては、飽和脂肪族モノカルボン酸が好ましく、炭素数2~30の飽和脂肪族モノカルボン酸がより好ましく、ステアリン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、2-エチルヘキサン酸等がさらに好ましく、ステアリン酸が特に好ましい。
【0045】
水酸化金属化合物は、金属原子と、前記金属原子に結合したヒドロキシ基とを有する化合物であり、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが挙げられる。
本発明の一実施態様において、白金系触媒(Z)の存在下、成分(BA)に含まれるカルボキシ基またはヒドロキシ基と、ヒドロシリル基含有化合物(Y)に含まれる側鎖の水素などのSi原子に結合した水素とが反応して脱水素が起こり、前記水素が発泡成分としてのガスとして機能すると考えられる。
【0046】
成分(BA)の中でも、飽和脂肪族モノカルボン酸が好ましく、ステアリン酸が特に好ましい。前記ステアリン酸に関して、従来技術では、ステアリン酸が加工助剤として作用することは知られているが、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体のヒドロシリル架橋系においてステアリン酸を発泡剤として用いることは知られていない。
【0047】
本発明の組成物における成分(BA)の含有量は、共重合体(S)100質量部に対して、5~30質量部であり、好ましくは10~20質量部、より好ましくは15~20質量部である。このような態様であると、適切な発泡および架橋速度が得られる点で好ましい。成分(BA)の含有量が5質量部を下回ると発泡が良好に進行しない傾向にあり、30質量部を上回ると架橋が良好に進行しない傾向にある。
【0048】
本発明の組成物は、上記各成分を好ましくは上記範囲で含有することにより、表面平滑性、したがって摺動性に優れる発泡体を得ることができる。
【0049】
<反応抑制剤(D)>
本発明の組成物は、反応抑制剤(D)をさらに含有することが好ましい。
反応抑制剤(D)は、共重合体(S)が有するアルケニル基と、ヒドロシリル基含有化合物(Y)が有するヒドロシリル基との架橋反応(アルケンへのヒドロシリル化付加反応)を抑制する機能を有する化合物である。共重合体(S)とヒドロシリル基含有化合物(Y)とを用いる組成物の場合、温度がかかる混練の初期段階からヒドロシリル架橋反応が既に開始されるため、混練途中での加工性が徐々に低下することがある。前記組成物に反応抑制剤(D)を配合すると、組成物の混練時および成形時での加工性が安定する点で好ましい。
【0050】
反応抑制剤(D)としては、例えば、ベンゾトリアゾール;1-ヘキシン-3-オール、3-メチル-1-ブチン-3-オール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、1-エチニルシクロヘキサノール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール等のアセチレンアルコール類;アクリロニトリル;N,N-ジアリルアセトアミド、N,N-ジアリルベンズアミド、N,N,N',N'-テトラアリル-o-フタル酸ジアミド、N,N,N',N'-テトラアリル-m-フタル酸ジアミド、N,N,N',N'-テトラアリル-p-フタル酸ジアミド等のアミド化合物;その他、イオウ、リン、窒素、アミン化合物、イオウ化合物、リン化合物、スズ、スズ化合物、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、ハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物が挙げられる。これらの中でも、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オールが好ましい。
【0051】
本発明の組成物は1種または2種以上の反応抑制剤(D)を含有することができる。
本発明の組成物における反応抑制剤(D)の含有量は、共重合体(S)100質量部に対して、通常は0.05~5質量部、好ましくは0.07~5質量部、より好ましくは0.07~4.5質量部、更に好ましくは、0.1~4.5質量部、0.1~3.0質量部、または0.1~1.0質量部である。このような態様であると、適切な架橋速度が得られる点で好ましい。
【0052】
<補強剤>
本発明の組成物は、1種または2種以上の補強剤をさらに含有することが好ましい。
補強剤は、ゴム組成物に配合される公知のゴム補強剤であり、例えば、カーボンブラック、シランカップリング剤で表面処理したカーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、活性化炭酸カルシウム、微粉タルク、微分ケイ酸が挙げられる。
本発明の組成物における補強剤の含有量は、共重合体(S)100質量部に対して、好ましくは70~200質量部、より好ましくは70~150質量部である。
【0053】
<軟化剤>
本発明の組成物は、1種または2種以上の軟化剤をさらに含有することが好ましい。
軟化剤は、ゴム組成物に配合される公知の軟化剤であり、例えば、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン油、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;コールタール等のコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;蜜ロウ、カルナウバロウ等のロウ類;ナフテン酸、パイン油、ロジンまたはその誘導体;テルペン樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート等のエステル系軟化剤;その他、マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、炭化水素系合成潤滑油、トール油、サブ(ファクチス)が挙げられ、これらの中でも、石油系軟化剤が好ましく、プロセスオイルがより好ましい。
【0054】
本発明の組成物における軟化剤の含有量は、共重合体(S)100質量部に対して、好ましくは40~100質量部、より好ましくは40~90質量部である。
【0055】
<その他の成分>
本発明の組成物は、上記成分に加え、本発明の目的が損なわれない限り、ゴム配合剤、例えば、有機過酸化物、α,β-不飽和有機酸の金属塩、老化防止剤、架橋助剤、架橋促進剤、充填剤、脱泡剤、加工助剤、活性剤、酸化防止剤、可塑剤、粘着付与剤等を適宜含有することができる。
【0056】
また、本発明の組成物は、共重合体(S)以外の、ゴムおよび樹脂などを他の成分として含有することができる。ゴムとしては、例えば、シリコーンゴム、エチレン・プロピレンランダム共重合体ゴム(EPR)、天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴムが挙げられる。樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の汎用樹脂が挙げられる。
【0057】
[組成物の加工方法]
本発明の組成物は、混練および成形加工する際の50~130℃の比較的低い温度では、架橋反応が抑制されるので、押出し成形性、プレス成形性、射出成形性等の成形性、およびロール加工性等の加工性に優れており、しかも、架橋温度である150~300℃では、短時間で架橋し得るという架橋特性にも優れている。
【0058】
本発明の組成物を用いて発泡体を得るには、公知の一般的なゴム配合物の加工方法(成形方法)を採用し得る。具体的には、以下の通りであるが、以下の条件に限定されるわけではない。
【0059】
バンバリーミキサー、ニーダー、インターミックスのようなインターナルミキサー類を用いて、例えば、共重合体(S)、成分(BA)、および必要に応じて他の成分(例:補強剤、軟化剤、脱泡剤)を80~170℃の温度で3~10分間混練した後、ヒドロシリル基含有化合物(Y)、白金系触媒(Z)、および必要に応じて他の配合剤(例:反応抑制剤(D))や他のゴムや樹脂などを加えて、オープンロールなどのロール類あるいはニーダーを用いて、ロール温度50~130℃で5~30分間混練した後、分出しすることにより調製することができる。このようにして通常はリボン状またはシート状の組成物が得られる。
【0060】
得られた組成物は、例えば、押出成形機、カレンダーロール、プレス、射出成形機、トランスファー成形機などの種々の成形法によって所望形状に予備成形、あるは成形と同時にまた成形物を加硫槽内に導入し、加熱して架橋することにより、発泡体を得ることができる。
【0061】
加熱方法としては、公知の方法が制限無く用いることができるが、特に、熱空気、ガラスビーズ流動床、UHF(極超短波電磁波)、スチーム、LCM(熱溶融塩槽)などの加熱形態の加熱槽を用いて、150~300℃の温度で1~30分間加熱することが好ましい。成形および架橋に際しては、金型を用いてもよく、また金型を用いないでもよい。金型を用いない場合は、ゴム組成物は通常は連続的に成形、架橋、発泡される。
【0062】
本発明の組成物から得られる発泡体は、様々な用途に用いることができる。具体的には、例えば高発泡シール材、自動車用シール材、土木・建築用シール材、各種産業用シール材などの用途において好適に使用できる。特にウェザーストリップスポンジ材(発泡倍率は好ましくは1.3~4.0倍)に好適であり、また例えば、スポンジ、ダムラバーなどに用いられる高発泡スポンジ材(発泡倍率は好ましくは3.0倍を超えて30倍以下)にも好適である。
【0063】
発泡体として、具体的には、ドアスポンジ用スポンジ、オープニングトリム用スポンジ、フードシール用スポンジ、トランクシール用スポンジ等のウェザーストリップ用スポンジ材;断熱スポンジ、ダムラバー等の高発泡スポンジ材が挙げられる。
【実施例0064】
以下、本発明を実施例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。以下の記載において、特に言及しない限り、「部」は「質量部」を示す。
【0065】
[製造例1]エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の製造
連続重合装置を用いて、以下のようにしてエチレン・プロピレン・5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)共重合体(S-1)の製造を行った。
【0066】
容積300リットルの重合反応器に、ライン1より脱水精製したヘキサン溶媒を58.3L/hr、ライン2よりトリイソブチルアルミニウム(TiBA)を4.5mmol/hr、(C65)3CB(C65)4を0.150mmol/hr、ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドを0.030mmol/hrで連続的に供給した。同時に前記重合反応器内に、エチレンを6.6kg/hr、プロピレンを9.3kg/hr、水素を18リットル/hr、VNBを340g/hrで、各々別ラインより連続供給し、重合温度87℃、全圧1.6MPaG、滞留時間1.0時間の条件下で共重合を行なった。
【0067】
前記重合反応器で生成したエチレン・プロピレン・VNB共重合体の溶液を、流量88.0リットル/hrで連続的に排出して温度170℃に昇温(圧力は4.1MPaGに上昇)して相分離器に供給した。このとき、排出ラインには重合禁止剤であるエタノールを、前記重合反応器から抜き出した液体成分中のTiBAに対して0.1mol倍の量で連続的に導入した。
【0068】
前記相分離器において、エチレン・プロピレン・VNB共重合体の溶液を、大部分のエチレン・プロピレン・VNB共重合体を含む濃厚相(下相部)と少量のポリマーを含む希薄相(上相部)とに分離した。
【0069】
分離された濃厚相を85.4リットル/hrで熱交換器Kに導き、さらにホッパー内に導いて、ここで溶媒を蒸発分離し、エチレン・プロピレン・VNB共重合体を7.8kg/hrの量で得た。
【0070】
得られた共重合体(S-1)の物性を前記記載の方法で測定した。共重合体(S-1)のムーニー粘度ML(1+4)125℃は69であり、モル比(エチレン単位/プロピレン単位)は70/30であり、VNB単位の含有割合は1.4質量%であり、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は2.8dL/gであった。なお、得られた共重合体(S-1)の分子量分布は二峰性を示した。
【0071】
[実施例1]
第一段階として、BB-4型バンバリーミキサー(神戸製鋼所製)を用いて、製造例1で得たエチレン・プロピレン・VNB共重合体(S-1)100部を30秒間素練りし、次いでこれに、カーボンブラック(旭#50HG、旭カーボン(株)製)102部、重質炭酸カルシウム(ホワイトンSB、白石カルシウム(株)製])60部、パラフィン系プロセスオイル(ダイアナプロセスオイルPS-430、出光興産(株)製)52部、特殊処理酸化カルシウム(ベスタPP、井上石灰工業(株)製])5部、およびステアリン酸(粉末ステアリン酸さくら、日油(株)製)5部を加え、140℃で2分間混練した。その後、ラムを上昇させ掃除を行ない、さらに、1分間混練を行ない、約150℃で排出し、コンパウンドAを得た。
【0072】
次に、第二段階として、コンパウンドAを、8インチロ-ル(日本ロール(株)社製、前ロールの表面温度50℃、後ロールの表面温度50℃、前ロールの回転数16rpm、後ロールの回転数18rpm)に巻き付けて、これに、ヒドロシリル基含有化合物(信越化学工業(株)製:X-93-1346、(CH3)3SiO-(SiH(CH3)-O-)6-Si(CH3)2-O-Si(C6H5)2-O-Si(CH3)3)4部、白金系触媒(信越化学工業(株)製:X-93-1410、塩化白金酸+[CH2=CH(Me)SiO]4錯体)0.2部、および反応抑制剤(信越化学工業(株)製:X-93-1036、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール)0.72部を加え10分間混練して、未架橋の組成物を得た。
【0073】
次いで、未架橋の組成物を、シート状ダイス(幅25mm、肉厚2mm)を装着した50mmφ押出機[(株)三葉製作所製;L/D=16]を用いて、ダイス温度80℃、シリンダー温度60℃、スクリュー温度50℃の条件で押し出してシート状に成形した。この成形体を230℃雰囲気のHAV(熱風加硫槽)にて5分間架橋し、シート状の発泡体を得た。
【0074】
[実施例2]
配合組成を表1に記載したとおりに変更したこと以外は実施例1と同様に行った。
[評価]
<比重>
発泡体の比重は、水中置換法(JIS K6268)に準じて測定した。
【0075】
<加硫速度>
MDR2000(アルファテクノロジーズ製)を用い、加硫曲線を測定し、当該加硫曲線から得られるトルクの最低値S'min[dNm]と最高値S'max[dNm]、トルクの最低値S'minを0%、最高値S'maxを100%として、測定試料のトルクが10%に到達したときの時間[min]:tc10、測定試料のトルクが20%に到達したときの時間[min]:tc20、測定試料のトルクが90%に到達したときの時間[min]:tc90、最低値S'min[dNm]と最高値S'max[dNm]の差:S'max-S'min[dNm]を求めた。測定条件は、温度150℃、時間20分とした。このtc90が小さいほど、加硫速度が速いことを示す。
【0076】
<滑り性>
得られた発泡体表面を指で擦って下記基準により官能評価を行った。
1:さらさらしている
2:擦ると抵抗を感じる
3:抵抗を2よりも強く感じる
4:擦ると滑らない
【0077】
【表1】