(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102118
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】空港駐機場用装置
(51)【国際特許分類】
G08G 5/00 20060101AFI20240723BHJP
G08G 5/06 20060101ALI20240723BHJP
G01S 13/86 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
G08G5/00 A
G08G5/06 A
G01S13/86
【審査請求】有
【請求項の数】30
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024067682
(22)【出願日】2024-04-18
(62)【分割の表示】P 2021539349の分割
【原出願日】2020-01-09
(31)【優先権主張番号】19151380.3
(32)【優先日】2019-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】518337050
【氏名又は名称】エイディービー、セーフゲート、スウェーデン、アクチボラグ
【氏名又は名称原語表記】ADB SAFEGATE SWEDEN AB
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】アンデシュ、バークモ
(72)【発明者】
【氏名】ペータル、ホーカンソン
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンデル、ストランドバリ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】表示装置130、レーダーベースのシステム110R、ならびに、複数のレーザーベースのシステム110Lおよび複数の撮像システム110Cから選択される1つまたは複数の追加のシステムを含む空港駐機場用装置300に関する。
【解決手段】レーダーベースのシステムおよび1つまたは複数の追加のシステムは共に複合システム110、310を形成し、空港駐機場用装置は、複合システムからの出力データに基づいて航空機10が駐機領域20内の駐機位置160に駐機するために駐機領域20内の駐機場に進入している場合に駐機領域内の前記航空機を検出および追跡するよう構成され、かつ進入中の航空機の検出および追跡に基づいて進入中の航空機のパイロットが航空機を駐機位置へと動かすのを支援するためのパイロット操縦案内情報を表示装置上で提供する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置(130)と、
レーダーベースのシステム(110R)と、
複数のレーザーベースのシステム(110L)のみから選択される1つまたは複数の追加のシステムと、
を含む空港駐機場用装置(100、200、300)であって、
前記レーダーベースのシステム(110R)および前記1つまたは複数の追加のシステムは共に複合システム(110、210、310)を形成し、
前記空港駐機場用装置(100)は、前記複合システム(110)からの出力データに基づいて航空機(10)が駐機領域(20)内の駐機位置(160)に駐機するために前記駐機領域(20)内の駐機場に進入している場合に前記駐機領域(20)内の前記航空機(10)を検出および追跡する(S108、S110)よう構成され、かつ前記進入中の航空機(10)の前記検出および追跡に基づいて前記進入中の航空機(10)のパイロットが前記航空機(10)を前記駐機位置(160)へと動かすのを支援するためのパイロット操縦案内情報を前記表示装置(130)上で提供する(S114、S116)よう構成される、
空港駐機場用装置(100、200、300)。
【請求項2】
前記1つまたは複数の追加のシステムは、レーザーベースのシステム(110L)のみから選択される、請求項1に記載の空港駐機場用装置(100)。
【請求項3】
前記1つまたは複数の追加のシステムは、撮像システム(110C)のみから選択される、請求項1に記載の空港駐機場用装置(200)。
【請求項4】
前記1つまたは複数の追加のシステムは、少なくとも1つのレーザーベースのシステム(110L)および少なくとも1つの撮像システム(110C)を含む、請求項1に記載の空港駐機場用装置(300)。
【請求項5】
前記空港駐機場用装置(110、210、310)は、一方で前記レーダーベースのシステム(110R)から出力されるデータと他方で前記1つまたは複数の追加のシステム(110L、110C)から出力されるデータを結合したものに基づいて前記進入中の航空機(10)を検出および追跡するよう構成される、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の空港駐機場用装置(100、200、300)。
【請求項6】
前記空港駐機場用装置は、前記結合した出力データの空間分解された加重平均に基づいて前記進入中の航空機(10)を検出および追跡するよう構成され、前記加重平均は前記レーダーシステム(110R)および前記1つまたは複数の追加のシステム(110L)のそれぞれに対する統計的重みに基づいて決定される、請求項5に記載の空港駐機場用装置(100、200、300)。
【請求項7】
前記空港駐機場用装置は前記複合システムの中の各システムからの関連する出力データに基づいて前記統計的重みを決定するよう構成される、請求項6に記載の空港駐機場用装置(100、200、300)。
【請求項8】
前記空港駐機場用装置は、前記1つまたは複数の追加のシステム(110L、100C)からの出力データに基づいて可視性(V)を判定し、前記可視性に基づいて前記統計的重みを決定するよう構成される、請求項7に記載の空港駐機場用装置(100、200、300)。
【請求項9】
前記複合システム(310)の中の2つ以上のシステムは、それぞれの時点で異なる集束角を使って前記進入中の航空機(10)を検出するために、それぞれが互いから離れている、請求項1~8のいずれか一項に記載の空港駐機場用装置(300)。
【請求項10】
前記複合システム(410)の中の少なくとも1つのシステム(110C)は、その関連するカバー対象領域(412C)が、前記駐機領域内にある妨害構造物(480)により前記複合システムの中の残りのシステム(110L、110R)を使った検出および追跡が妨害されている前記駐機領域(20)の一部と少なくとも部分的に重なっている前記駐機領域(20)の別の部分(476)まで及ぶように配置される、請求項9に記載の空港駐機場用装置(400)。
【請求項11】
前記駐機領域内の前記妨害構造物(480)は旅客用ブリッジである、請求項10に記載の空港駐機場用装置(400)。
【請求項12】
前記少なくとも1つのシステムは、前記妨害構造物(480)上に、または前記妨害構造物(480)に配置される、請求項10または11に記載の空港駐機場用装置(400)。
【請求項13】
前記空港駐機場用装置(100)はさらに、前記追加のシステム(110L、110C)のうちの1つまたは複数からの出力データに基づいて可視性(V)を判定するよう構成され、前記可視性(V)が第1可視性閾値(V1)より低いことに対応して、前記レーダーベースのシステム(110R)からの出力データに基づいて前記進入中の航空機(10)を検出および追跡するよう構成される、請求項1~12のいずれか一項に記載の空港駐機場用装置(100、200、300)。
【請求項14】
さらに無線送信手段(190)を含み、前記可視性(V)が前記第1可視性閾値(V1)より低い第2可視性閾値(V2)よりも低いことに対応して、前記無線送信手段(190)を使って前記パイロット操縦案内情報を含む信号を前記進入中の航空機(10)へ無線で送信する(S116)よう構成される、請求項13に記載の空港駐機場用装置(100、200、300)。
【請求項15】
前記レーダーベースのシステム(110R)のカバー対象領域(512R)は、前記駐機位置(160)から、前記進入中の航空機(10)が前記駐機領域(20)に入る際に沿うと予期される方向に沿って規定される前記1つまたは複数の追加のシステム(110L)の関連するカバー対象領域(512L)のさらに外側へと広がり、
前記空港駐機場用装置は、前記進入中の航空機(10)が前記駐機場へ進入して前記1つまたは複数の追加のシステム(110L)の前記関連するカバー対象領域(512L)へ進入できるようにするために、前記レーダーベースのシステム(110R)からの出力データに基づいて前記レーダーベースのシステムの前記カバー対象領域(512R)内の前記進入中の航空機(10)を検出および追跡するよう構成され、
前記空港駐機場用装置は、前記1つまたは複数の追加のシステム(110L)からの出力データに基づいて前記1つまたは複数の追加のシステム(110L)の関連するカバー対象領域(512L)内の前記進入中の航空機(10)を検出および追跡するよう構成される、
請求項1~14のいずれか一項に記載の空港駐機場用装置(500)。
【請求項16】
前記空港駐機場用装置はさらに、前記1つまたは複数の追加のシステム(110L)からの出力データに基づいて前記進入中の航空機(10)の航空機種類および/または型式を識別するよう構成される、請求項15に記載の空港駐機場用装置(500)。
【請求項17】
前記空港駐機場用装置はさらに、前記空港駐機場用装置が前記進入中の航空機の前記航空機種類および/または型式を識別できないことに対応して、前記パイロットに前記航空機を停止させるように指示する更なるパイロット操縦案内情報を提供するよう構成される、請求項16に記載の空港駐機場用装置(500)。
【請求項18】
前記空港駐機場用装置はさらに、前記1つまたは複数の追加のシステムのうちのレーザーベースのシステム(110L)を用いて前記駐機領域(20)にある体積(570)に起因する後方散乱信号(560)の検出を行い、
前記空港駐機場用装置が前記後方散乱信号(560)を検出可能であることに対応して、
前記パイロットに前記駐機場へ進入するように指示する更なるパイロット操縦案内情報を提供して、
前記後方散乱信号(560)の信号パターンが許容される信号パターンのライブラリの中の少なくとも1つの予め規定された信号パターンに対応するかを判定し、
前記空港駐機場用装置が前記後方散乱信号(560)の信号パターンが前記許容される信号パターンのライブラリの中の前記少なくとも1つの予め規定された信号パターンに対応するかを判定できないことに対応して、
前記レーダーベースのシステム(110R)からの出力データに基づいて前記進入中の航空機(10)を検出および追跡し、
前記空港駐機場用装置が前記後方散乱信号(560)を検出できないことに対応して、 前記パイロットに前記航空機(10)を停止させるように指示する更なるパイロット操縦案内情報を提供する、
よう構成される、請求項15~17のいずれか一項に記載の空港駐機場用装置(500)。
【請求項19】
前記空港駐機場用装置はさらに、
第1識別ステップとして、少なくとも前記1つまたは複数の追加のシステムからの出力データに基づいて航空機が前記駐機位置に存在するかどうかの判断を行い(S204)、 前記第1識別ステップでの否定的判断に対応して、第2識別ステップとして、前記レーダーベースのシステムからの出力データに基づいて航空機が前記駐機位置に存在するかどうかを判断し(S208)、
前記第1識別ステップおよび前記第2識別ステップのいずれかにおける肯定的判断に対応して、航空機存在信号を送信し(S210)、
前記第1識別ステップおよび前記第2識別ステップの両方における否定的判断に対応して、航空機非存在信号を送信する(S212)、
よう構成される、請求項1~18のいずれか一項に記載の空港駐機場用装置(100、200、300)。
【請求項20】
前記空港駐機場用装置はさらに、前記駐機領域(20)内の他の物体(11、12)を検出および追跡するよう構成される、請求項1~19のいずれか一項に記載の空港駐機場用装置(100、200、300)。
【請求項21】
前記空港駐機場用装置はさらに、前記進入中の航空機(10)が前記駐機位置(160)へ向けて動いている間に、前記進入中の航空機(10)の前記検出および追跡と並行して前記駐機領域(20)内の前記他の物体(11、12)を検出および追跡するよう構成される、請求項20に記載の空港駐機場用装置(100、200、300)。
【請求項22】
前記空港駐機場用装置はさらに、前記進入中の航空機(10)が前記他の物体(11、12)のいずれかとの衝突コース上にあるかを予測して、衝突コースが予測されるのに対応して、前記パイロットに前記航空機(10)を停止させるように指示する更なるパイロット操縦案内情報を提供するよう構成される、請求項21に記載の空港駐機場用装置(100、200、300)。
【請求項23】
少なくとも前記他の物体(11、12)のそれぞれの速度および方向、ならびに、前記進入中の航空機(10)の速度および方向に基づいて前記進入中の航空機(10)が到着すると予測されるよりも前に前記他の物体(11、12)が前記駐機領域(20)を離れると予測されるかを判断して、前記進入中の航空機(10)が到着すると予測されるよりも前に前記他の物体(11、12)が前記駐機領域(20)を離れないと予測されるとの判断に対応して、前記パイロットに前記航空機(10)を停止させるように指示する更なるパイロット操縦案内情報を提供するよう構成される、請求項20~22のいずれか一項に記載の空港駐機場用装置(100、200、300)。
【請求項24】
前記空港駐機場用装置は、前記駐機領域(20)内の前記他の物体(11、12)の前記検出および追跡に基づいて前記駐機領域(20)におけるイベントを識別するよう構成される、請求項20~23のいずれか一項に記載の空港駐機場用装置(100、200、300)。
【請求項25】
前記空港駐機場用装置は、前記駐機領域(20)の特定の場所で前記他の物体(11、12)のうちのある物体の選択的な検出および追跡に基づいて前記駐機領域(20)におけるイベントを識別するよう構成され、前記特定の場所は前記航空機の航空機種類および/または型式、ならびに、前記複合システム(110、210、310)からの出力データに基づいて特定される、請求項24に記載の空港駐機場用装置(100、200、300)。
【請求項26】
前記イベントは食料配達車(12)の到着、手荷物配達車の到着、車輪止めの航空機の車輪への設置、給油車の到着、旅客用バスの到着、清掃会社の到着、給水の到着、ごみ収集車の到着、地上電源車の到着、のうちの一つである、請求項24または25に記載の空港駐機場用装置(100、200、300)。
【請求項27】
前記1つまたは複数の追加のシステムは、少なくとも1つの撮像システム(110C)を含み、空港駐機場用装置は、
撮像システム(110C)からの出力データに基づいて、前記他のオブジェクト(11、12)のオブジェクトを検出および追跡し、
前記1つまたは複数の追加システムのさらなるシステム(110L)からの出力データおよび/またはレーダーベースのシステム(110R)からの出力データに基づいて、前記検出および追跡されたオブジェクトの存在を検証する、ように構成されている、請求項20~26のいずれか一項に記載の空港駐機場用装置(100、200、300)。
【請求項28】
前記他の物体(11、12)の前記検出および追跡は前記レーダーベースのシステム(110R)からの出力データに基づいており、前記進入中の航空機(10)の前記検出および追跡は前記1つまたは複数の追加のシステム(110L)からの出力データに基づいている、請求項20~27のいずれか一項に記載の空港駐機場用装置(100、200、300)。
【請求項29】
航空機(10)が駐機領域(20)内の駐機位置(160)へ駐機するために前記駐機領域(20)内の駐機場へ進入している場合に前記駐機領域(20)内で前記航空機(10)を検出および追跡する方法であって、前記検出および追跡は、レーダーベースのシステム(110R)からの出力データおよび複数のレーザーベースのシステム(110L)及び撮像システム(110C)から選択される1つまたは複数の追加のシステムからの出力データに基づいて行われ、
前記1つまたは複数の追加のシステムのうちの1つまたは複数からの出力データに基づいて可視性(V)を判定することと、
前記可視性(V)が第1可視性閾値(V1)より低いことに対応して、
前記レーダーベースのシステム(110R)からの出力データに基づいて前記進入中の航空機(10)を検出および追跡すること、
を含む、方法。
【請求項30】
処理能力を有する装置により実行された場合に請求項29に記載の方法を実行するよう構成されている、コンピュータコード命令を含むコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空港駐機場用装置に関する。より詳細には、本開示は駐機場で進入中の航空機のパイロットが航空機を駐機位置へと動かすのを支援するよう構成されている空港駐機場用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空港の駐機場に航空機を安全で確実に連結するには、今日ではほとんどの場合、空港の駐機場でその場に配置された航空機結合システムなどの航空機駐機場用装置が用いられ、各航空機結合システムは、駐機場で航空機を安全で確実な方法で受け入れる際にパイロット、そして時には地上勤務員も支援するよう構成される。そのような航空機駐機場用装置は、航空機が駐機場へ進入する際に航空機の位置を確定させる手段をしばしば含み、前記手段はたいてい、レーザー走査システムなどのリモートセンシング(遠隔検知)検出システムである。典型的には、当技術分野で既知の航空機駐機場用装置は航空機からの位置データ、および潜在的には他の入力パラメータも分析して、これらのパラメータに基づき、駐機場で進入中の航空機のパイロットが航空機を所定の駐機位置へと動かすのを支援するための航空機駐機場用装置の表示装置上のパイロット操縦案内情報を決定するよう構成される。
【0003】
既存の装置に伴う課題は、そうした装置はしばしば、雨、霧、雪などの視界の悪い気象条件において正確とは言えない、あるいは適切ではない光学的検知技術に頼っていることである。さらに、少なくとも一部のリモートセンシング検出システムは航空機からの後方散乱信号を測定、解釈することを頼りにしているので、信号品質は航空機自体の表面特性に依存することになる。従来の航空機は、ほとんどの場合、効率的な後方散乱をもたらす鋼鉄の外装部品を含む。しかし、今日の航空機においては軽量化のために非金属複合材料の使用が増加しているため、従来の航空機結合システムではこのような飛行機を充分な精度で検出するのが困難となりうる。
【0004】
更なる問題は、例えば位置、大きさ、航空機種類などの航空機データを評価するために航空機の表面を充分に検出することが時には困難となることである。これに関する具体的な課題は、駐機場のリードインラインに対する航空機の進入角の判定および追跡に成功することである。また、空間分解能は航空機の種類の識別を成功させるのに不充分な場合がある。
【0005】
したがって、当技術分野において、改善された航空機駐機場用装置が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
上で特定された当技術分野における欠陥および不利益の1つまたは複数を1つずつ、または任意の組み合わせで軽減する、緩和する、または取り除いて、少なくとも上述した問題を解決することを目的とする。第1態様によれば空港駐機場用装置が提供され、この装置は、
表示装置と、
レーダーベースのシステムと、
複数のレーザーベースのシステムおよび複数の撮像システムから選択される1つまたは複数の追加のシステムと、
を含み、
前記レーダーベースのシステムおよび前記1つまたは複数の追加のシステムは共に複合システムを形成し、
前記空港駐機場用装置は、前記複合システムからの出力データに基づいて航空機が駐機領域内の駐機位置に駐機するために駐機領域内の駐機場に進入している場合に駐機領域内の前記航空機を検出および追跡するよう構成され、かつ進入中の航空機の前記検出および追跡に基づいて進入中の航空機のパイロットが航空機を前記駐機位置へと動かすのを支援するためのパイロット操縦案内情報を前記表示装置上で提供するよう構成される。
【0007】
この空港駐機場用装置は、2つ以上のリモートセンシング技術を組み合わせて航空機を検出および追跡できるようにするので、有利となりうる。各リモートセンシング技術はそれぞれに特有の長所と短所を持つので、提案される空港駐機場用装置は様々な状況でより汎用的になりうる。具体的には、この装置は従来技術のシステムの問題に対処する手段を提供する。例えば、レーダーベースのシステムは、視界の悪い条件下で改善された感度を提供する。さらに、レーダーベースのシステムは、現代の航空機の複合材料によるレーダー信号の後方散乱が充分に強く、良好な信号対雑音比がもたらされるため、こうした材料に対してより感度が高い。撮像システムは好天候時に改善された空間分解能を提供し、より安価である。また撮像システムは、概して高速の物体に対してより高い繰り返し率を提供する。後で示されるように、空港駐機場用装置の更なる利点は、駐機領域内に存在する他の物体の正確な検出および追跡を可能とすることである。
【0008】
空港駐機場用装置はいくつかの相互接続された装置から構成することができて、各装置はゲート領域における異なる位置に、またはゲート領域周辺に配置することができる。しかし、空港駐機場用装置は駐機領域に配置され、空港の他の部分、例えば誘導路や滑走路上の航空機を検出および追跡するようには構成されていない。空港駐機場用装置は、航空機結合システムでありうる。
【0009】
レーダーベースのシステムは、マイクロ波電磁放射に基づくリモートセンシング検出システムである。そのようなシステムは連続的な、またはパルス状のレーダー信号を目標物へ向けて放出し、目標物で後方散乱されたレーダーパルスを捕捉、検出する。レーダーシステムは半導体型レーダーセンサを含みうる。例えば、レーダーセンサは自動車業界内で使用されている種類とすることができる。レーダーセンサは77GHzで動作しうる。
【0010】
レーザーベースのシステムは、光学的電磁放射に基づくリモートセンシング検出システムである。そのようなシステムは連続的な、またはパルス状のレーザー光線を目標物へ向けて放出し、目標物で後方散乱されたレーザー光線を捕捉、検出する。レーザーベースのシステムは、走査能力を提供するビーム偏向手段を含みうる。そのようなビーム偏向手段は、例えば走査ミラー装置でありうる。
【0011】
撮像システムは、光学的放射または赤外線放射に対して感度が高いカメラを含みうる。撮像システムを使って、目標物からの自然放射線の放出を捕捉することができる。しかし、カメラはレーザーベースのシステムから放出された結果目標物から放射される放射線を捕捉するのに使用されるとも考えられる。そのような放射線は、散乱された、または反射されたレーザー光線、蛍光発光、燐光、および同種のものでありうる。
【0012】
一部の実施形態によれば、前記1つまたは複数の追加のシステムは、複数のレーザーベースのシステムのみの中から選択される。
【0013】
一部の実施形態によれば、前記1つまたは複数の追加のシステムは、複数の撮像システムのみの中から選択される。
【0014】
一部の実施形態によれば、前記1つまたは複数の追加のシステムは、少なくとも1つのレーザーベースのシステムおよび少なくとも1つの画像ベースのシステムを含む。
【0015】
空港駐機場用装置は、前記検出および追跡を制御、実行する制御手段をさらに含む。制御手段は空港駐機場用装置の中の独立した制御装置を含むことがあり、あるいは、いくつかの制御装置を含むことがある。例えば、複合システムの中の各システムはそれぞれ制御装置を含みうる。多くの物理的な実施形態が請求の範囲内に存在することを当業者は容易に理解する。
【0016】
複合システムの中の各システムは、駐機領域においてそれぞれのカバー範囲を提供する。好ましくは、各カバー範囲は少なくとも部分的に互いに重なる。しかし、一部の実施形態では、前記各カバー範囲のうちの2つ以上が互いに重ならないことが考えられる。
【0017】
一部の実施形態によれば、空港駐機場用装置は、一方で前記レーダーベースのシステムから出力されるデータと他方で前記1つまたは複数の追加のシステムから出力されるデータを結合したものに基づいて進入中の航空機を検出および追跡するよう構成される。
【0018】
これにより、検出および追跡の全体的な精度を高めることができるので、有利となりうる。場合によっては、複合システムの中の1つのシステムは別のものよりも正確なことがある。それゆえ、空港駐機場用装置では、その検出および追跡が主に最も正確なシステムからの出力データに基づくことがある。また、異なるシステムは、駐機領域の異なる空間的位置において、または進入中の航空機の異なる空間的位置において様々な精度または感度を示すとも考えられる。したがって、検出および追跡は、空間的位置に応じて異なる相対的重みが付けられた2つ以上のシステムからの出力データに基づいていると考えられる。また、2つ以上のシステムは駐機領域において部分的に異なるカバー対象領域を持つとも考えられる。そのような場合、航空機が駐機領域に入った場合に1つのシステムで航空機を検出して、航空機が別のより正確なシステムのカバー対象領域に入った場合に自動的にそのシステムへ変えることが可能となりうる。
【0019】
空港駐機場用装置は、結合した出力データの空間分解された加重平均に基づいて進入中の航空機を検出および追跡するよう構成することができて、加重平均はレーダーシステムおよび1つまたは複数の追加のシステムのそれぞれに対する統計的重みに基づいて決定される。
【0020】
統計的重みは、データベースから取り出すなどした所定のもの、またはユーザ入力とすることができる。あるいは、統計的重みは空港駐機場用装置により決定されうる。空港駐機場用装置は、複合システムの中の各システムからの関連する出力データに基づいて統計的重みを決定するよう構成されうる。空港駐機場用装置は、前記1つまたは複数の追加のシステムからの出力データに基づいて可視性を判定し、前記可視性に基づいて前記統計的重みを決定するよう構成されうる。
【0021】
加重平均は空間分解しうる。これは、加重平均は駐機領域内の同じ空間的位置に関する出力データに基づきうることを意味する。したがって、レーダーシステムのカバー対象領域は、1つまたは複数の追加のシステムのカバー対象領域と重なることがある。結合した出力データの加重平均を使って、進入中の航空機の位置に関する空間分解された情報を判定することができる。
【0022】
空港駐機場用装置は、複合システムの中の第1システムからの出力データに基づいて、進入中の航空機を検出および追跡するのに複合システムの中の第2システムが第1システムの代わりに、または第1システムと併用して使用されるべきかを判断するよう構成されうる。
【0023】
複合システムはレーザーベースのシステムおよび撮像システムを含むことがあり、空港駐機場用装置は、レーザーベースのシステムからの出力データに基づいて、進入中の航空機を検出および追跡するのに撮像システムがレーザーベースのシステムの代わりに、またはレーザーベースのシステムと併用して使用されるべきかを判断するよう構成される。空港駐機場用装置は、前記追加のシステムのうちの1つまたは複数からの出力データに基づいて可視性を判定し、前記可視性に基づいて、撮像システムがレーザーベースのシステムの代わりに、またはレーザーベースのシステムと併用して使用されるべきかを判断するよう構成されうる。
【0024】
レーザーベースのシステムは、レーダーベースのシステムよりも短い平均余命を有することがある。したがって、そのようなレーザーベースのシステムを備える空港駐機場用装置でレーザーベースのシステムの利用を最小化できるようにすることは有益となりうる。
【0025】
空港駐機場用装置は、進入中の航空機および/または駐機領域内の他の物体の検出および追跡をレーダーベースのシステムからの出力データに基づいて行うことができるかを判断するよう構成することができて、
空港駐機場用装置が、進入中の航空機および/または駐機領域内の他の物体の検出および追跡をレーダーベースのシステムからの出力データに基づいて行うことはできないと判断した場合は、
空港駐機場用装置は、1つまたは複数の追加のシステムを使って駐機領域内の航空機および/または他の物体の検出および追跡を開始する。
【0026】
1つまたは複数の追加のシステムは、組み合わせて使用されるレーザーベースのシステムおよび撮像システムを含みうる。例えば、空港駐機場用装置は、レーザーベースのシステムから出力されるデータと撮像システムから出力されるデータを結合したものに基づいて進入中の航空機を検出および追跡するよう構成されうる。これは、レーザーベースのシステムのカバー対象領域と撮像システムのカバー対象領域が少なくとも部分的に重なることを意味する。
【0027】
一部の実施形態によれば、1つまたは複数の追加のシステムは撮像システムを含み、空港駐機場用装置は、
撮像システムからの出力データに基づいて前記他の物体のうちのある物体を検出および追跡して、
1つまたは複数の追加のシステムのうちの更なるシステムからの出力データおよび/またはレーダーベースのシステムからの出力データに基づいて前記検出および追跡が行われた物体の存在を検証する、
よう構成される。
【0028】
撮像システムはレーダーベースのシステムからの出力データおよび/またはレーザーベースのシステムからの出力データよりも高い空間分解能を持つ出力データを提供しうる。これは、撮像システムが駐機領域に存在する小さめの物体も発見することができるので、利点となりうる。しかし、画像に基づく物体検出は、暗部が誤って実際の物体と識別される画像アーチファクトをもたらすことがある。レーダーベースのシステムおよび/または例えばレーザーベースのシステムで疑わしい物体の存在を検証することで、撮像システムのこの潜在的な欠点は克服しうる。
【0029】
一部の実施形態によれば、複合システムの中の2つ以上のシステムは、それぞれの時点で異なる集束角を使って進入中の航空機を検出するために、それぞれが互いから離れている。
【0030】
これにより、空港駐機場用装置の総合的なカバー範囲を拡張できるので、有利となりうる。例えば、複合システムの中の1つのシステムは進入中の航空機を横から検出するように配置することができて、複合システムの中の別のシステムは前から検出するように配置することができる。これは、進入中の航空機の角度を予測するのにより信頼性の高い出力データを提供するのに特に有利となりうる。一部の空港駐機場では、航空機は駐機場へ達するのに比較的きつく湾曲したリードインラインに沿って動く必要がある。そのような駐機領域では、好ましくは、複合システム中にそのような離間した複数のシステムを有する航空機駐機場用装置を備えうる。
【0031】
一部の実施形態によれば、複合システムの中の少なくとも1つのシステムは、その関連するカバー対象領域が、駐機領域内にある妨害構造物により複合システムの中の残りのシステムを使った検出および追跡が妨害されている駐機領域の一部と少なくとも部分的に重なっている駐機領域の別の部分まで及ぶように配置される。
【0032】
一部の実施形態によれば、駐機領域内の妨害構造物は旅客用ブリッジである。しかし、妨害構造物は、あるいは建造物の一部、または駐機領域内に存在する、ほぼ恒久的な別の構造物でありうる。
【0033】
一部の実施形態によれば、前記少なくとも1つのシステムは、妨害構造物上に、または妨害構造物に配置される。
【0034】
これにより、駐機領域内に存在する旅客用ブリッジなどの大きな物体により妨害されて見えなくなりかねない「暗黒領域」を空港駐機場用装置により監視できるので、有利となりうる。複合システムの中の少なくとも1つのシステムは妨害構造物上に、または妨害構造物に配置され、この少なくとも1つのシステムを使って残りのシステムの視界から実質的に遮断される駐機領域の一部を特定して標的とすることができる。
【0035】
レーダーベースのシステムは、進入中の航空機に向けてリードインラインに沿った方向にレーダー放射を行うように配置されうる。これは、レーダーベースのシステムは表示装置に、または表示装置の付近に配置されうることを意味する。
【0036】
一部の実施形態によれば、空港駐機場用装置はさらに、前記追加のシステムのうちの1つまたは複数からの出力データに基づいて可視性を判定するよう構成される。可視性はレーザーベースのシステムを使って判定されうる。例えば、可視性は後方散乱されたレーザー光線と放出されたレーザー光線の比率に基づいて判定されうる。あるいは、またはさらに、可視性は撮像システムを使って判定されうる。例えば、可視性は撮影された画像の異なる空間領域を比較することで判定されうる。可視性は、複合システムの中の1つのシステムからの出力データに基づいて判定されうる、あるいは、複合システムの中の2つ以上のシステムからの出力データに基づいて判定されうる。例えば、可視性は複合システムの中の各システムにより判定されたそれぞれの可視性の加重平均に基づいて判定することもできる。
【0037】
一部の実施形態によれば、空港駐機場用装置は、前記可視性が第1可視性閾値より低いことに対応して、レーダーベースのシステムからの出力データに基づいて進入中の航空機を検出および追跡するよう構成される。
【0038】
これにより、空港駐機場用装置の検出および追跡の精度および感度に対する可視性条件の影響を少なくすることができるので、有利となりうる。例えば、空港駐機場用装置は、デフォルト設定でレーザーベースのシステムからの出力データに基づいて航空機を検出および追跡するよう構成することができて、可視性が第1可視性閾値より低いと判定された場合は、代わりにレーダーベースのシステムからの出力データに基づいて航空機を検出および追跡することができるように、レーザーベースのシステムからレーダーベースのシステムへと切り替えることがある。
【0039】
レーダーベースのシステムのカバー対象領域は、追加のシステムのうちのいずれか1つのカバー対象領域より大きいことがある。具体的には、レーダーベースのシステムの検出・追跡の射程は、追加のシステムのうちのいずれか1つの検出・追跡の射程より大きいことがある。レーダーベースのシステムのより大きな射程により、進入中の航空機を進入中により早く検出および追跡することが可能となるので、有利となりうる。さらに、レーダーベースのシステムのより大きな射程により、停車位置と検出システムが設置される位置の間の距離が通常より大きな空港駐機場に対して空港駐機場用装置を利用することが可能となる。これは、例えば実用的な理由から複合システムの中の1つまたは複数のシステムが空港ターミナルビルなどの停車位置からある程度離れた位置にある建造物上に取り付けられる必要がある駐機領域向けとしうる。停車位置と検出システムが設置される位置の間の距離が65メートル超など大きすぎる場合、カバー対象領域、例えば複合システムの中の1つまたは複数のシステムの射程が進入中の航空機を検出および追跡するのに充分ではないことがある。
【0040】
霧、もや、雪、雨、砂嵐などの一部の気象条件では、レーザーベースのシステムおよび/または撮像システムは空中の散乱体(雨滴、砂など)での高い大気後方散乱度のために進入中の航空機を検出および追跡できないことがある。そのような条件でレーダーベースのシステムは航空機を検出しうる。レーダーベースのシステムを1つまたは複数の追加のシステムと併用して用いることの利点は、1つまたは複数の追加のシステムでは例えば悪い気象条件のために進入中の航空機を検出できない可能性がある状況でも、進入中の航空機が駐機領域へさらに進入することが許可されうることである。したがって、空港駐機場用装置は、従来の空港駐機場用装置では進入の中止を示すであろう気象条件でも、航空機が駐機場へ進入することを可能としうる。ただし、1つまたは複数の追加のシステムは、航空機が射程内まで充分近い場合のみ、航空機の検出および追跡がレーダーベースのシステムよりも正確になりうる。例えば、1つまたは複数の追加のシステムは、航空機の種類および/または型式を正確に識別可能な出力データを提供することができる。一部の気象条件では、進入中の航空機が1つまたは複数の追加のシステムのカバー対象領域へ近づくことが許可される場合のみ、1つまたは複数の追加のシステムでそのような検出および追跡を行うことができる。
【0041】
一部の実施形態によれば、レーダーベースのシステムのカバー対象領域は、駐機位置から、進入中の航空機が駐機領域に入る際に沿うと予期される方向に沿って規定される前記1つまたは複数の追加のシステムの関連するカバー対象領域のさらに外側へと広がり、
空港駐機場用装置は、進入中の航空機が駐機場へ進入して1つまたは複数の追加のシステムの関連するカバー対象領域へ進入できるようにするために、レーダーベースのシステムからの出力データに基づいてレーダーベースのシステムのカバー対象領域内の進入中の航空機を検出および追跡するよう構成され、
空港駐機場用装置は、前記1つまたは複数の追加のシステムからの出力データに基づいて前記1つまたは複数の追加のシステムの関連するカバー対象領域内の進入中の航空機を検出および追跡するよう構成される。
【0042】
これにより、進入中の航空機がすでに駐機領域からある程度離れた位置にいて追加のシステムでは届かない場所にいる場合、つまり少なくとも1つの追加のシステムの関連するカバー対象領域の外側にある位置にある場合に、空港駐機場用装置がレーダーベースのシステムの長距離の射程を利用して進入中の航空機の第1の検出および追跡を行うことができるので、有利となりうる。
【0043】
進入中の航空機の前記第1の検出および追跡は、進入中の航空機の予期される進入路を推定するのに使用されうる。空港駐機場用装置がレーダーベースのシステムからの出力データに基づいて進入中の航空機の航空機種類および/または型式を識別する、つまり識別ステップを行うように構成されていない実施形態では、レーダーベースのシステムからの出力データは、進入中の航空機が駐機場へ進入して少なくとも1つの追加のシステムのカバー対象領域に入れるようにするために、いまだ未確認の進入中の航空機を検出および追跡するのになおも使用されることがある。これにより、少なくとも1つの追加のシステムによって識別ステップを行いうる。しかし、空港駐機場用装置がレーダーベースのシステムからの出力データに基づいて進入中の航空機の航空機種類および/または型式を識別するように構成されていることも考えられる。
【0044】
一部の実施形態によれば、空港駐機場用装置は、前記1つまたは複数の追加のシステムからの出力データに基づいて進入中の航空機の航空機種類および/または型式を識別するようにさらに構成される。
【0045】
一部の実施形態によれば、空港駐機場用装置はさらに、空港駐機場用装置が進入中の航空機の航空機種類および/または型式を識別できないことに対応して、パイロットに航空機を停止させるように指示する更なるパイロット操縦案内情報を提供するよう構成される。
【0046】
一部の実施形態によれば、空港駐機場用装置はさらに、1つまたは複数の追加のシステムのうちのレーザーベースのシステムを用いて駐機領域にある体積に起因する後方散乱信号の検出を行い、
空港駐機場用装置が前記後方散乱信号を検出可能であることに対応して、
パイロットに駐機場へ進入するように指示する更なるパイロット操縦案内情報を提供して、
後方散乱信号の信号パターンが許容される信号パターンのライブラリの中の少なくとも1つの予め規定された信号パターンに対応するかを判定し、
空港駐機場用装置が後方散乱信号の信号パターンが許容される信号パターンのライブラリの中の少なくとも1つの予め規定された信号パターンに対応するかを判定できないことに対応して、
レーダーベースのシステムからの出力データに基づいて進入中の航空機を検出および追跡し、
空港駐機場用装置が前記後方散乱信号を検出できないことに対応して、
パイロットに航空機を停止させるように指示する更なるパイロット操縦案内情報を提供する、
よう構成される。
【0047】
更なるパイロット操縦案内情報は表示装置上でパイロットへ提供することができて、あるいは、またはさらに、他の手段で、例えば以降でさらに論じられる無線送信手段を使って無線で提供することができる。
【0048】
これにより、少なくとも1つの追加のシステムが少し離れている進入中の航空機の検出および追跡ができない状況でも、航空機が駐機場へ向かって進入するのを空港駐機場用装置が許可できるようになるので、有利となりうる。検出および追跡にレーダーベースのシステムを使うことで、航空機は少なくとも1つの追加のシステムのカバー対象領域へ進入することを許可されうる。これにより、少なくとも1つの追加のシステムが識別を実行する機会が提供されうる。これがうまくいった場合、航空機は駐機場への進入を続けることを許可されうる。うまくいかなかった場合、安全が保証できないため、航空機は停止するよう命令されることがある。
【0049】
さらに、経験および経験的テストから、航空機が少なくとも1つの追加のシステムのカバー対象領域へ近づくのを許可された場合に限り、少なくとも航空機の識別がうまくいく可能性が高いことがわかっている後方散乱信号の複数の既知の信号パターンが存在しうる。そのような既知の信号パターンは、データベースなどのライブラリに記憶されていることがある。したがって、後方散乱信号が激しい大気散乱を示している状況でも、この散乱の性質は航空機が充分に近ければ航空機を識別可能なものでありうる。レーダーベースのシステムなしでは、そのような大気条件によって航空機が少なくとも1つの追加のシステムのカバー対象領域に入るのが実質的に阻止されることもありえて、その結果、識別ステップはまったく行われない可能性がある。
【0050】
一部の実施形態によれば、空港駐機場用装置はさらに無線送信手段を含み、空港駐機場用装置は、前記可視性が前記第1可視性閾値より低い第2可視性閾値よりも低いことに対応して、無線送信手段を使って、前記パイロット操縦案内情報を含む信号を進入中の航空機へ無線で送信するよう構成される。
【0051】
これにより、パイロットが表示装置を見ることができないくらいの厳しい可視性条件でも航空機を駐機場の駐機位置へ駐機することができるので、有利となりうる。信号は航空機内に設置された設備で受信して、航空機のコックピット内の表示装置で見ることができる。信号は、別々の無線送信手段を使って送信することができる。しかし、信号がレーダーベースのシステムから放出されるレーダー信号の一部として送信されることも考えられる。
【0052】
一部の実施形態によれば、空港駐機場用装置はさらに、
第1識別ステップとして、少なくとも前記1つまたは複数の追加のシステムからの出力データに基づいて航空機が前記駐機位置に存在するかどうかの判断を行い、
前記第1識別ステップでの否定的判断に対応して、第2識別ステップとして、前記レーダーベースのシステムからの出力データに基づいて航空機が前記駐機位置に存在するかどうかを判断し、
前記第1識別ステップおよび前記第2識別ステップのいずれかにおける肯定的判断に対応して、航空機存在信号を送信し、
前記第1識別ステップおよび前記第2識別ステップの両方における否定的判断に対応して、航空機非存在信号を送信する、
よう構成される。
【0053】
航空機存在信号および/または航空機非存在信号は、駐機場で空港駐機場用装置を操作する職員へ送信されることがある。あるいは、航空機存在信号および/または航空機非存在信号は、空港駐機場用装置と通信を行う空港運用データベースAODBなどの外部システムへ送信されることがある。
【0054】
これにより、空港駐機場の占有状態を悪い気象条件下でも自動的に判定することができるので、有利となりうる。例えば、空港の複数の駐機場の各空港駐機場用装置は、空港運用データベースAODBなどの中央システムへ接続されていることがある。AODBは、特定の時刻においてどの駐機場が占有されているかを問い合わせることができる。また、空港駐機場用装置が、航空機が駐機場を離れようとしているか、または進入中であるかを判断するように構成されていることも考えられる。
【0055】
一部の実施形態によれば、空港駐機場用装置はさらに、第3識別ステップとして、旅客用ブリッジが所定の旅客用ブリッジ用の位置にあるかをレーダーシステムからの出力データに基づいて判断するよう構成される。第3識別ステップでの否定的判断に対応して、空港駐機場用装置は、旅客用ブリッジ不適切配置信号を送信するよう構成されうる。第3識別ステップでの否定的判断に対応して、空港駐機場用装置はさらに、パイロットに航空機を停止させるように指示する更なるパイロット操縦案内情報を提供するよう構成されうる。
【0056】
一部の実施形態によれば、空港駐機場用装置はさらに、駐機領域内の他の物体を検出および追跡するよう構成される。空港駐機場用装置はさらに、前記進入中の航空機が駐機位置へ向けて動いている間に、進入中の航空機の前記検出および追跡と並行して駐機領域内の前記他の物体を検出および追跡するよう構成されうる。
【0057】
他の物体には、進入中の航空機以外の任意の物体を含みうる。典型的には、他の物体は空港の地上支援機材GSEに属する。そのような設備には、例えば、手荷物車けん引トラックおよび台車、食料配達車、燃料補給車、輸送バスが含まれる。他の例は、車輪止めや航空機サービス階段である。しかし、他の物体は地上支援機材に限定されない。したがって、他の物体には、例えば駐機領域内に間違って進入している更なる航空機、駐機領域に降ろされた手荷物、あるいはさらに人が含まれうる。他の物体は固定された物体、または移動する物体でもよい。
【0058】
一部の実施形態によれば、前記装置はさらに、進入中の航空機が前記他の物体との衝突コース上にあるかを予測して、衝突コースが予測されるのに対応して、パイロットに航空機を停止させるように指示する更なるパイロット操縦案内情報を提供するよう構成される。
【0059】
一部の実施形態によれば、空港駐機場用装置は、少なくとも前記他の物体のそれぞれの速度および方向、ならびに、進入中の航空機の速度および方向に基づいて進入中の航空機が到着すると予測されるよりも前に前記他の物体が駐機領域を離れると予測されるかを判断して、進入中の航空機が到着すると予測されるよりも前に前記他の物体が駐機領域を離れないと予測されるとの判断に対応して、パイロットに航空機を停止させるように指示する更なるパイロット操縦案内情報を提供するよう構成される。
【0060】
空港駐機場用装置はさらに、駐機領域内の前記他の物体の検出および追跡に基づいて駐機領域におけるイベントを識別するよう構成されうる。例えば、駐機領域内の食料配達車(すなわちケータリング車)の存在は「食料積み込みイベント」を引き起こすことがあり、このイベントは例えば食料がすぐに到着するという合図を空港地上勤務員および/またはパイロットへ出力することも伴うこともありうる。別の例では、航空機が停車位置にある際に航空機の各車輪に手作業で配置される航空機車輪用車輪止めは、空港駐機場用装置により検出されて、「航空機固定イベント」を引き起こしうる。それゆえ、空港駐機場用装置は飛行機が安全に駐機されていて、駐機領域内で誤って動き始めることがないことを検証することがある。さらに、空港駐機場用装置は駐機場で実際に何が起こっているかを単独で識別することができて、その結果、残りの作業をより効率的にするために様々な動作を行うことができるので、これらのイベントを識別することで連結をより効率的にするのを支援することができる。イベントは食料配達車の到着、手荷物配達車の到着、車輪止めの航空機の車輪への設置、給油車の到着、旅客用バスの到着、清掃会社の到着、給水の到着、ごみ収集車の到着、地上電源車の到着、のうちの一つでありうる。
【0061】
空港駐機場用装置が駐機場内の航空機の種類および/または型式の情報を持っていれば利点になりうる。空港駐機場用装置は、駐機領域で特定の物体が見つかると予期される部分を選択的に検査するよう構成されうる。例えば、後輪に航空機車輪車輪止めが存在するかを検証する目的であれば、航空機の型式および/または種類に基づき、航空機の機首や前輪の場所などの航空機の一般的な位置情報を併用して、空港駐機場用装置は予期される後輪の場所を特定することができる。さらに別の例では、航空機の型式および/または種類に基づき、航空機の機首や前輪の場所などの航空機の一般的な位置情報を併用して、空港駐機場用装置は予期される食料配達車の場所を特定することができる。
【0062】
一部の実施形態によれば、空港駐機場用装置は、駐機領域の特定の場所で前記他の物体のうちのある物体の選択的な検出および追跡に基づいて駐機領域におけるイベントを識別するよう構成することができて、前記特定の場所は、航空機の航空機種類および/または型式、ならびに、複合システムからの出力データに基づいて特定される。
【0063】
一部の実施形態によれば、1つまたは複数の追加のシステムは少なくとも1つの撮像システムを含み、空港駐機場用装置は、
撮像システムからの出力データに基づいて前記他の物体のうちのある物体を検出および追跡して、
1つまたは複数の追加のシステムのうちの更なるシステムからの出力データおよび/またはレーダーベースのシステムからの出力データに基づいて前記検出および追跡が行われた物体の存在を検証する、
よう構成される。
【0064】
一部の実施形態によれば、前記他の物体の前記検出および追跡はレーダーベースのシステムからの出力データに基づいており、進入中の航空機の前記検出および追跡は前記1つまたは複数の追加のシステムからの出力データに基づいている。
【0065】
これにより、駐機領域を自動的に監視することで駐機場における事故の危険性を減少させることができるので、有利となりうる。駐機領域の監視はエプロンチェックと呼ばれることもある。従来技術では、典型的には、駐機領域は手作業で、あるいは空港駐機場用装置の一部ではない追加の監視システムにより監視される。こうしたソリューションはいずれも、自動的に決定を行ってパイロットにその決定を通知する可能性は提供しない。開示される空港駐機場用装置は、複合システムの中の複数のシステムを利用して、進入中の航空機だけでなく、駐機領域内の他の物体の検出および追跡も行いうる。他の物体の検出および追跡は、進入中の航空機の検出および追跡とは独立して行われうる。つまり、他の物体の検出および追跡は、進入中の航空機が駐機領域に入る前、航空機を駐機位置に駐機する過程、航空機が駐機場に駐機されている際、および/または、航空機が駐機領域の駐機位置を離れる過程、などで行われうる。
【0066】
第2態様によれば、航空機が駐機領域内の駐機位置へ駐機するために駐機領域内の駐機場へ進入している場合に駐機領域内で前記航空機を検出および追跡する方法が提供され、前記検出および追跡は、レーダーベースのシステムからの出力データ、ならびに、複数のレーザーベースのシステムおよび複数の撮像システムから選択される1つまたは複数の追加のシステムからの出力データに基づいて行われ、この方法は、
前記1つまたは複数の追加のシステムのうちの1つまたは複数からの出力データに基づいて可視性を判定することと、
前記可視性が第1可視性閾値より低いことに対応して、
前記レーダーベースのシステムからの出力データに基づいて進入中の航空機を検出および追跡することと、
を含む。
【0067】
一部の実施形態によれば、この方法はさらに、
前記可視性が第1可視性閾値より高いことに対応して、
前記1つまたは複数の追加のシステムのうちの1つまたは複数からの出力データに基づいて進入中の航空機を検出および追跡すること、
を含む。
【0068】
一部の実施形態によれば、この方法はさらに、
進入中の航空機の前記検出および追跡に基づいて進入中の航空機のパイロットが航空機を前記駐機位置へと動かすのを支援するためのパイロット操縦案内情報を表示装置上で提供すること、
を含む。
【0069】
一部の実施形態によれば、この方法はさらに、
前記可視性が前記第1可視性閾値より低い第2可視性閾値よりも低いことに対応して、 前記パイロット操縦案内情報を含む信号を進入中の航空機へ無線で送信すること、
を含む。
【0070】
第3態様によれば、処理能力を有する装置により実行された場合に第2態様に係る方法を実行するよう構成されているコンピュータコード命令を含むコンピュータ可読媒体が提供される。
【0071】
第2態様および第3態様の効果および特徴は、第1態様に関連して上述したものと大部分は類似している。第1態様に関して記載された実施形態は、第2態様および第3態様とほぼ互換性がある。本発明の概念は、別途明記されない限り、特徴のあらゆる取り得る組み合わせに関連することにさらに留意される。
【0072】
本発明が適用可能な更なる範囲は、以下に与えられる詳細な説明から明らかになるであろう。ただし、詳細な説明および具体的な例は、本発明の好ましい実施形態を示しているものの、本発明の範囲内で様々な変更および変形がその詳細な説明から当業者には明らかとなるため、例証として与えられているに過ぎないことを理解されたい。
【0073】
それゆえ、記載されている装置の特定の構成部品、または記載されている方法のステップは変化しうるので、本発明はそのような装置および方法には限定されないことを理解されたい。また、本明細書で使用される専門用語は特定の実施形態を説明する目的のためだけで、制限する意図はないことも理解されたい。本明細書および添付の請求項で使用される場合、冠詞の「a」、「an」、「the」および「前記(said)」は、別途文脈により明確に指示されていない限り、1つまたは複数の要素があることを意味するという意図があることに留意する必要がある。したがって、例えば「装置(a unit)」または「装置(the unit)」への言及には、いくつかの装置、および同種のものが含まれうる。さらに、単語、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含む(containing)」、および類似の表現は、他の要素やステップを排除しない。
【図面の簡単な説明】
【0074】
本発明は、例として本発明の現時点で好ましい実施形態を示す添付の概略図面を参照してより詳細に説明される。
【0075】
【
図1】本開示の一実施形態に係る、駐機領域にある空港駐機場用装置の上面図である。
【
図2】本開示の別の実施形態に係る、駐機領域にある空港駐機場用装置の上面図である。
【
図3】本開示のさらに別の実施形態に係る、駐機領域にある空港駐機場用装置の上面図である。
【
図4】本開示の実施形態に係る空港駐機場用装置の機能を示すフローチャートである。
【
図5】本開示の実施形態に係る空港駐機場用装置の別の機能を示すフローチャートである。
【
図6】本開示のさらに別の実施形態に係る、駐機領域にある空港駐機場用装置の上面図である。
【
図7】本開示のさらに別の実施形態に係る、駐機領域にある空港駐機場用装置の上面図である。
【
図8A】本開示の実施形態に係る空港駐機場用装置の機能を示すフローチャートである。
【
図8B】本開示の実施形態に係る空港駐機場用装置の機能を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0076】
これより、本発明は、本発明の現時点で好ましい実施形態が示される添付の図面を参照して以下でさらに詳細に説明される。ただし、本発明は多くの異なる形態で具現化することができて、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は徹底さおよび網羅性のために提供されており、本発明の範囲を当業者へ充分に伝える。
【0077】
図1は、例示の一実施形態に係る空港駐機場用装置100を示す。空港駐機場用装置は、レーダーベースのシステム110Rと、複数のレーザーベースのシステムおよび複数の撮像システムから選択される1つまたは複数の追加のシステムとを含む。
図1に示すように、1つまたは複数の追加のシステムはここでは複数のレーザーベースのシステムのみの中から選択される。具体的には、1つまたは複数の追加のシステムはここではレーザーベースのシステム110Lである。
【0078】
レーダーベースのシステム110Rは、マイクロ波電磁放射に基づくリモートセンシング検出システムである。そのようなシステムは連続的な、またはパルス状のレーダー信号を目標物へ向けて放出し、目標物で後方散乱されたレーダーパルスを捕捉、検出する。レーダーベースのシステム110Rは半導体型レーダーセンサを含みうる。例えば、レーダーセンサは自動車業界内で使用されている種類とすることができる。レーダーセンサは77GHzで動作しうる。レーダーベースのシステムは、駐機領域20でのレーダーベースのシステムのカバー範囲112Rに関する出力データを提供する。
【0079】
レーザーベースのシステム110Lは、光学的電磁放射に基づくリモートセンシング検出システムである。そのようなシステムは連続的な、またはパルス状のレーザー光線を目標物へ向けて放出し、目標物で後方散乱されたレーザー光線を捕捉、検出する。レーザーベースのシステム110Lは、走査能力を提供するビーム偏向手段を含みうる。そのようなビーム偏向手段は、例えば走査ミラー装置でありうる。レーザーベースのシステム110Lは、駐機領域20でのレーザーベースのシステムのカバー範囲112Lに関する出力データを提供する。
【0080】
レーダーベースのシステム110Rおよび1つまたは複数の追加のシステムは共に複合システム110を形成する。
図1に示されるように、複合システム110は表示装置に配置され、また進入中の航空機10に向けてリードインライン162に沿った方向にレーザー光線の放出およびレーダー放射を行うように配置される。
【0081】
空港駐機場用装置100は、進入中の航空機10のパイロットへパイロット操縦案内情報を提供する表示装置130をさらに含む。表示装置130は、ここでは進入中の航空機10のパイロットが表示装置130をはっきり見えるような垂直位置でターミナルビルの壁に取り付けられる。
【0082】
空港駐機場用装置100は、複合システム110および表示装置130に動作可能に接続された制御装置120をさらに含む。制御装置120はさらに、データベース122に動作可能に接続される。データベース122は、到着する航空機および出発する航空機の飛行計画を含む空港運用データベースAODBでありうる。このようにして、制御装置120は駐機領域20へ進入してくる航空機の種類に関する情報にアクセスしうる。また、制御装置120は進入中の航空機10と、例えばADS-Bを介して直接通信を行うこともできる。そのような場合、制御装置は、データベース122を介するのではなく、航空機10から直接航空機の種類を受信することができる。
【0083】
これより、空港駐機場用装置100の機能について
図4を参照して説明する。
【0084】
空港駐機場用装置100は、駐機領域20の外観に関する出力データを特定する(S102)よう構成される。そのような特定は、複合システムの中から1つまたは複数を使って行いうる。しかし、空港駐機場用装置100の1つの好ましい機能は、追加のシステム(この例ではレーザーベースのシステムS110L)の中から1つまたは複数を使って出力データが特定される(S102)ことである。レーザーベースのシステム110Lは、光学的電磁放射に基づくリモートセンシング検出システムである。そのようなシステムは連続的な、またはパルス状のレーザー光線を目標物へ向けて放出し、目標物で後方散乱されたレーザー光線を捕捉、検出する。レーザーベースのシステム110Lは、走査能力を提供するビーム偏向手段を含む。そのようなビーム偏向手段は、例えば走査ミラー装置でありうる。
【0085】
空港駐機場用装置100はさらに、前記追加のシステム(この例ではレーザーベースのシステム110L)のうちの1つまたは複数からの出力データに基づいて可視性Vを判定する(S104)よう構成される。知られているように、霧または降水は、主に入射する電磁放射線が大気中の液滴により散乱されることで可視性に影響を及ぼす。散乱の過程で、照射された液滴が入射した電磁放射線の一部をあらゆる方向へ再放出する。そして液滴は再放出されるエネルギーの点源として機能する。入射した電磁放射線の一部は、液滴の大きさと放射波長の関係に応じて放射源へ向けて後方へ散乱される。可視性と散乱された電磁放射線の間の関係は、例えば特許出願WO2007108726A9でより詳細に論じられているように、文献で広く記載されている。
【0086】
空港駐機場用装置100は、前記可視性を第1可視性閾値V1と比較する(S106)よう構成される。判定された可視性Vが第1可視性閾値V1より低いことが分かった場合、空港駐機場用装置100はレーダーベースのシステム110Rからの出力データに基づいて進入中の航空機10を検出および追跡する(S110)よう構成される。したがって、気象条件がレーザーベースのシステム110Rを使って光学リモートセンシングを正確に行えないほど厳しいと判定された場合、代わりにレーダーベースのシステム110Rを進入中の航空機10の検出および追跡に使用することができる。あるいは、判定された可視性Vが第1可視性閾値V1より高いことが分かった場合、空港駐機場用装置100は1つまたは複数の追加のシステム(この例ではレーザーベースのシステム110R)からの出力データに基づいて進入中の航空機10を検出および追跡する(S108)よう構成される。
【0087】
どのシステムが検出および追跡用の出力データを提供するのに使用されるかとは独立して、空港駐機場用装置100は同様の作業を行う。上述したように、空港駐機場用装置100は、航空機10が駐機領域20内の駐機位置160に駐機するために駐機領域20内の駐機場に進入している場合に、前記複合システム110からの出力データに基づいて駐機領域20内の前記航空機10を検出および追跡する(S108、S110)よう構成される。航空機10の前記検出および追跡は、複合システム110からの出力データに基づいている。したがって、レーダーベースのシステム110Rおよび/または1つまたは複数の追加のシステム(この例ではレーザーベースのシステム110L)は、駐機領域20にある物体に関するデータを制御装置120へ出力する。制御装置120は前記出力データを受信し、航空機10の位置や航空機10の速度などを含む航空機10の追跡データを特定するために、前記出力データのデータ分析を行う。さらに、制御装置120は受信した出力データのデータ分析を行って航空機10の大きさを特定することもできる。前記大きさを、空港駐機場用装置にローカルに記憶されている、あるいはAODB122に格納されている航空機モデルの大きさと比較して、航空機10の航空機種類および型式を確定することができる。あるいは、またはさらに、航空機種類および/または型式は他の手段により識別されうる。例えば、航空機10がADS-B標準を使って空港監視システムと通信している場合、空港監視システムは、航空機10のADS-Bトランスポンダを使って航空機から直接空港監視システムへ送信される航空機10の身元および位置を受信することができる。そのような場合、航空機の型式は、受信した航空機の身元をAODB122の飛行計画の中に格納される既知の航空機と比較することで、AODB122からアクセスすることができる。そして、航空機駐機場用装置100は、AODB122から航空機種類の航空機種類および/または大きさを受信することができる。そして、航空機駐機場用装置100は、航空機種類の大きさを複合システム110から受信した出力データの分析から推測される航空機の大きさと比較することができる。したがって、ADS-Bシステムを使って航空機との直接通信に基づいて識別された航空機種類は、航空機駐機場用装置100により確認することができる。
【0088】
空港駐機場用装置100はさらに、進入中の航空機10の前記検出および追跡に基づいて進入中の航空機10のパイロットが航空機10を駐機位置160へと動かすのを支援するためのパイロット操縦案内情報を提供するよう構成される。パイロット操縦案内情報は、制御装置120により複合システム110から受信した出力データを分析することで決定される。
【0089】
図4に示されるように、空港駐機場用装置100は、パイロット操縦案内情報を決定した後に、判定された可視性Vに応じて異なる振る舞いをすることがある。したがって、第2識別ステップD113では、可視性Vは第1可視性閾値V1より低い第2可視性閾値V2と比較される。判定された可視性Vが第2可視性閾値V2より低いとわかった場合、空港駐機場用装置100は前記パイロット操縦案内情報を含む信号を進入中の航空機10へ無線で送信する(S116)よう構成される。この目的で、空港駐機場用装置100は無線送信手段190を含む。無線送信手段190は制御装置120に動作可能に接続される。しかし、信号がレーダーベースのシステム110Rから放出されるレーダー信号の一部として無線で送信されることも考えられる。信号は航空機10の中に設置された設備で受信して、航空機のコックピット内の表示装置で見ることができる。これにより、装置100の表示装置130により提供される指示がなくても、パイロットが航空機10を駐機位置160へ動かすことができる。例えば、濃いスモッグなどの過酷な気象条件の中で、パイロットはコックピットの窓を通して見ることなく、航空機10を駐機位置160へ動かすことができる。
【0090】
空港駐機場用装置100はさらに、一方で前記レーダーベースのシステム110Rから出力されるデータと他方で前記1つまたは複数の追加のシステム(この例ではレーザーベースのシステム110L)から出力されるデータを結合したものに基づいて進入中の航空機10を検出および追跡するよう構成される。この機能により、駐機領域20内での検出および追跡の全体的な感度および精度を高めることができる。例示の実施形態100では、レーザーベースのシステム110Lは良好な気象条件でより高い空間分解能を提供することができて、レーダーシステムは複合材料などの特定の材料に対してより高い感度を提供することができる。それゆえ、空港駐機場用装置100は、制御装置120においてレーダーベースのシステム110Rおよびレーザーベースのシステム110Lからそれぞれ出力データを受信して、前記各出力データを一緒に分析する。アルゴリズムは、前処理用サブアルゴリズムを実行して出力データの対応する空間領域を特定して(例えば画素ごとに照合する)、その対応する領域内での検出および追跡で最も期待できるデータを各出力データの中のどれが含むかを判断するために、前記対応領域内の各出力データを分析することができる。対応領域が複合材料製ボディを持つ航空機の機首に関するデータを含む場合は、レーダーベースのシステムからの出力データが最も期待できる可能性がある。対応領域が航空機の金属製前部胴体フレームに関するデータを含む場合は、レーザーベースのシステムからの出力データが最も期待できる可能性がある、などとなる。
【0091】
例示の一実施形態によれば、空港駐機場用装置は、結合した出力データの空間分解された加重平均に基づいて進入中の航空機を検出および追跡するよう構成される。加重平均はレーダーシステムおよび1つまたは複数の追加のシステムのそれぞれに対する統計的重みに基づいて決定される。したがって、加重平均は平均データ値の行列でありえて、各平均データ値は駐機領域上の特定の空間的位置に関連して、同じ空間的位置に関する(関連する出力データの)重み付けされたデータ値の合計として計算されるが、それぞれレーダーシステムおよび1つまたは複数の追加のシステムを使って検出される。データ値は、平均化が行われる前に個別に重み付けされる。個々の重みは0~1の範囲の数字でありうる。この例示の実施形態では、空港駐機場用装置は、複合システムの中の各システムからの関連する出力データに基づいて統計的重みを決定するよう構成される。つまり、出力データはまず分析されて適切な統計的重みを決定することができて、平均化は前記決定された統計的重みを使って行うことができる。この例示の実施形態では、空港駐機場用装置は、前記1つまたは複数の追加のシステムからの出力データに基づいて可視性を判定し、可視性に基づいて統計的重みを決定するよう構成される。可視性が低い(悪い気象条件を示す)と分かった場合、1つまたは複数の追加のシステムに対する統計的重みは0またはわずかに0より高く、例えば0~0.2の範囲内に設定することができて、レーダーシステムに対する統計的重みは1に設定することができる。可視性が低下している(ある程度悪い気象条件を示す)と分かった場合、1つまたは複数の追加のシステムに対する統計的重みは例えば0.5に設定することができて、レーダーシステムに対する統計的重みは例えば0.5に設定することができる。しかし、これは一例に過ぎず、当業者には理解されるように、多くの他の数字または数字の範囲が判定された可視性に基づいて決定されうる。
【0092】
図2は、別の例示の実施形態に係る空港駐機場用装置200を示す。空港駐機場用装置200は、1つまたは複数の追加のシステムがここでは複数の撮像システムのみの中から選択されることを除いて、本明細書ですでに詳細に説明された空港駐機場用装置100に類似している。具体的には、1つまたは複数の追加のシステムはここでは撮像システム110Cである。撮像システム110Cは、光学的放射または赤外線放射に対して感度が高いカメラを含む。撮像システム110Cは、目標物からの自然放射線の放出を捕捉するのに使用される。撮像システム110Cは、駐機領域20での撮像システムのカバー範囲112Cに関する出力データを提供する。
【0093】
図3は、別の例示の実施形態に係る空港駐機場用装置300を示す。空港駐機場用装置300は、1つまたは複数の追加のシステムがレーザーベースのシステム110Lおよび画像ベースのシステム110Cを含むことを除いて、本明細書ですでに詳細に説明された空港駐機場用装置100に類似している。したがって、複合システム310は3つの異なるシステムを含む。また、空港駐機場用装置300は、撮像システム110Cがレーダーベースのシステム110Rおよびレーザーベースのシステム110Lから離れている点で、空港駐機場用装置100とは異なる。これにより、装置300はそれぞれの時点で異なる集束角を使って進入中の航空機10を検出することができる。具体的には、カメラベースのシステム110Cは、レーダーベースのシステム110Rのカバー対象領域312Lおよびレーザーベースのシステム110Lのカバー対象領域312Rを補完するように配置されるカバー対象領域312Cを有する。
【0094】
空港駐機場用装置300はさらに、駐機領域20内の他の物体を検出および追跡するよう構成される。2つの他の物体が
図3に示されている、すなわち手荷物台車(luggage dolly)11と食料配達車12である。また、
図3に示されているように、手荷物台車11は静止しており、食料配達車12は右側から駐機領域へ接近中である。これにより、駐機場で事故を引き起こすのに関与しうる潜在的な物体について駐機領域20を継続的、自動的に監視することができる。
【0095】
典型的には、最も重大なそのような事故には、進入中の航空機10と前記他の物体のうちの1つまたは複数の偶発的な衝突が含まれる。したがって、航空機10の進入中に前記他の物体を検出および追跡するのには関心がある。したがって、空港駐機場用装置300は、進入中の航空機10が駐機位置160へ向けて動いている間に、進入中の航空機10の前記検出および追跡と並行して駐機領域20内の他の物体11、12を検出および追跡するよう構成される。これは様々な方法で実現しうる。例として、航空機の検出および追跡はレーザーベースのシステム110Lからの出力データに基づくことができて、他の物体の検出および追跡はレーダーベースのシステム110Rからの出力データに基づくことができる。しかし、航空機の検出および追跡、ならびに、他の物体の検出および追跡は、複合システム310の中の2つ以上のシステムからの出力データに基づくことも考えられる。
【0096】
空港駐機場用装置300はさらに、進入中の航空機10が前記他の物体11、12のいずれかとの衝突コース上にあるかを予測して、衝突コースが予測されるのに対応して、パイロットに航空機10を停止させるように指示する更なるパイロット操縦案内情報を提供するよう構成される。予測は当業者が容易に入手できるツールを使って実現することができる。例えば、評価は、測定値(観測結果)および検出された障害物の動態のモデルを結合する時間フィルタとして機能するカルマンフィルタの使用を基にして行うことができる。カルマンフィルタを使って経時的な測定値のセットを結合し、障害物の最も可能性が高い位置または軌跡を作成することができる。
【0097】
空港駐機場用装置300はさらに、少なくとも前記他の物体11、12のそれぞれの速度および方向、ならびに、進入中の航空機10の速度および方向に基づいて進入中の航空機10が到着すると予測されるよりも前に前記他の物体11、12が駐機領域20を離れると予測されるかを判断して、進入中の航空機10が到着すると予測されるよりも前に前記他の物体11、12が駐機領域20を離れないと予測されるとの判断に対応して、パイロットに航空機10を停止させるように指示する更なるパイロット操縦案内情報を提供するよう構成される。更なるパイロット操縦案内情報は表示装置上でパイロットへ提供することができて、あるいは、またはさらに、他の手段で、例えば無線送信手段を使って無線で、提供することができる。
【0098】
空港駐機場用装置300はさらに、駐機領域20内の前記他の物体11、12の検出および追跡に基づいて駐機領域20におけるイベントを識別するよう構成される。駐機領域20の特定の場所での前記他の物体11、12のうちのある物体の選択的な検出および追跡に基づいてイベントが識別され、前記特定の場所は、航空機の航空機種類および/または型式、ならびに、複合システム310からの出力データに基づいて特定される。イベントは食料配達車の到着、手荷物配達車の到着、車輪止めの航空機の車輪への設置、給油車の到着、旅客用バスの到着、清掃会社の到着、給水の到着、ごみ収集車の到着、地上電源車の到着、のうちの一つでありうる。
【0099】
空港駐機場用装置300はさらに、撮像システム110Cからの出力データに基づいて前記他の物体11、12のうちのある物体を検出および追跡して、1つまたは複数の追加のシステムのうちの更なるシステム110Lからの出力データおよび/またはレーダーベースのシステム110Rからの出力データに基づいて前記検出および追跡が行われた物体の存在を検証するよう構成される。
【0100】
図5は、本開示の空港駐機場用装置300の更なる機能を示す。空港全体の管理において、どのゲートが利用可能でどのゲートが占有されているかを追跡することは重要である。この目的で、空港駐機場用装置300は、その検出・追跡能力を使って継続的に、または要請に応じて、駐機場の職員および/または空港管制に駐機場の占有状態を知らせることができる。したがって、空港駐機場用装置300は、追加のシステムのうちの1つまたは複数(例えばレーザーベースのシステム110L)を使って、駐機領域20に関する出力データを特定する(S202)よう構成される。そして、空港駐機場用装置300は、第1識別ステップとして、少なくとも前記1つまたは複数の追加のシステム(例えばレーザーベースのシステム110L)からの出力データに基づいて航空機が前記駐機位置に存在するかどうかを判断する(S204)よう構成される。場合によっては、例えば良好な気象条件では、これで充分なことがある。また、航空機が本当にゲート領域20内に存在する場合、航空機は装置300によって無事に検出されるであろう。しかし、場合によっては、例えば悪い気象条件では、航空機の特性が1つまたは複数の追加のシステムの出力データに明確には存在しないことがある。そのような場合は、第1識別ステップは、実際にはそうではないのに駐機場は空いていると検出される結果となって、重大事故につながりかねない状況がもたらされることがある。この問題を軽減するため、空港駐機場用装置300はさらに、第1識別ステップでの否定的判断に対応して、レーダーベースのシステム110Rを使って駐機領域20に関する出力データを特定して(S206)、第2識別ステップとして、レーダーベースのシステム110Rからの出力データに基づいて航空機が前記駐機位置に存在するかどうかを判断する(S208)よう構成される。したがって、航空機が1つまたは複数の追加のシステムによって検出できない場合は、その問題へのセカンドオピニオンの根拠を提供するために、レーダーベースのシステムが使用される。最終的に、空港駐機場用装置300は、前記第1識別ステップおよび前記第2識別ステップのいずれかにおける肯定的判断に対応して航空機存在信号を送信し(S210)、前記第1識別ステップおよび前記第2識別ステップの両方における否定的判断に対応して航空機非存在信号を送信する(S212)よう構成される。したがって、第1識別ステップで駐機領域20内の航空機が検出された場合は、第2識別ステップは必要ない。しかし、常に両方の識別ステップを利用して識別精度をさらに上げることも考えられる。例えば、複合システムの中の2つ以上のシステムからの出力データが結合されて上述したように使用することができる。
【0101】
図6は、別の例示の実施形態に係る空港駐機場用装置400を示す。空港駐機場用装置400は、前述した空港駐機場用装置300に類似している。ただし、空港駐機場用装置400では、複合システム410の中の少なくとも1つのシステム(この例では撮像システム110C)は、その関連するカバー対象領域412Cが、駐機領域20内にある妨害構造物480により複合システム410の中の残りのシステム110L、110Rを使った検出および追跡が妨害されている駐機領域20の一部と少なくとも部分的に重なっている駐機領域20の別の部分476まで及ぶように配置される。したがって、レーダーベースのシステム110Rのカバー対象領域412Rおよびレーザーベースのシステム110Lのカバー対象領域412Lは、部分476とは重ならない。この例では、妨害構造物480は旅客用ブリッジである。少なくとも1つのシステムは、妨害構造物480上に、または妨害構造物480に配置される。
図6に示されるように、手荷物台車11は部分476内に位置し、それゆえレーダーベースのシステム110Rおよびレーザーベースのシステム110Lでは旅客用ブリッジ480が視界を妨げていることで手荷物台車11を検出および追跡できない場合でも、空港駐機場用装置400を使って、撮像システム110Cを用いることで、手荷物台車11を検出および追跡することができる。
【0102】
図7は、別の例示の実施形態に係る空港駐機場用装置500を示す。空港駐機場用装置500はレーダーベースのシステム110Rおよびレーザーベースのシステム110Lを含む。レーダーベースのシステム110Rおよびレーザーベースのシステム110Lは共に複合システム510を形成する。
図7に示すように、レーダーベースのシステム110Rのカバー対象領域512Rは、駐機位置160から、進入中の航空機10が駐機領域20に入る際に沿うと予期される方向に沿って規定されるレーザーベースのシステム110Lの関連するカバー対象領域512Lのさらに外側へと広がる。
【0103】
これは設計検討の結果でありうるが、あるいは、またはさらに、例えば駐機領域20に霧が存在する気象条件の結果でありえて、レーダーベースのシステム110Rはレーザーベースのシステム110Lよりもそのような気象条件に影響されにくいので、実質的に2つの異なるシステムによる異なる範囲がもたらされる。
【0104】
図8Aは、
図7に示される空港駐機場用装置500の機能を示す。空港駐機場用装置500は、進入中の航空機10が駐機場へ進入して1つまたは複数の追加のシステム510の中のレーザーベースのシステム110Lのカバー対象領域512Lへ進入(S304)できるようにするために、レーダーベースのシステム110Rからの出力データに基づいてレーダーベースのシステム110Rのカバー対象領域512R内の進入中の航空機10を検出および追跡する(S302)よう構成される。空港駐機場用装置500はさらに、前記レーザーベースのシステム110Lからの出力データに基づいてレーザーベースのシステム110Lの関連するカバー対象領域512L内の進入中の航空機10を検出および追跡する(S306)よう構成される。空港駐機場用装置500はさらに、レーザーベースのシステム110Lからの出力データに基づいて進入中の航空機10の航空機種類および/または型式を識別する(S308)よう構成される。空港駐機場用装置500はさらに、空港駐機場用装置500が進入中の航空機10の航空機種類および/または型式を識別できないことに対応して、パイロットに航空機10を停止させるように指示する更なるパイロット操縦案内情報を提供する(S310)よう構成される。その代替となる、空港駐機場用装置500が進入中の航空機10の航空機種類および/または型式を識別可能である場合は、空港駐機場用装置500は、パイロットに駐機場への進入を続けるように指示する更なるパイロット操縦案内情報を提供する(S312)よう構成される。
【0105】
開示される機能により、レーザーベースのシステム110Lが航空機種類および/または型式を識別できるように航空機10を駐機場20により近付くよう誘導することができる。レーダーベースのシステム110Rなしでは、空港駐機場用装置500がレーザーベースのシステム110Lのカバー対象領域512Lの外側に位置する場合、空港駐機場用装置500は航空機10を確認できないであろう。しかし、航空機10がレーザーベースのシステム110Lのカバー対象領域512Lへ無事に誘導されれば、信号品質はこの目的ではレーザーベースのシステム110Lのカバー対象領域512L内で充分でありうるので、レーザーベースのシステム110Lは航空機種類および/または型式を非常にうまく識別しうる。
【0106】
図8Bは、本開示の空港駐機場用装置500の別の機能を示す。空港駐機場用装置500は、レーザーベースのシステム110Lを用いて駐機領域20にある体積570に起因する後方散乱信号560を検出すること(S410)と、空港駐機場用装置500が前記後方散乱信号560を検出可能であることに対応して、パイロットに駐機場へ進入するように指示する更なるパイロット操縦案内情報を提供すること(S404)と、後方散乱信号560の信号パターンが許容される信号パターンのライブラリの中の少なくとも1つの予め規定された信号パターンに対応するかを判定すること(S406)と、空港駐機場用装置500が後方散乱信号560の信号パターンが許容される信号パターンのライブラリの中の少なくとも1つの予め規定された信号パターンに対応するかを判定できないことに対応して、レーダーベースのシステム110Rからの出力データに基づいて進入中の航空機10を検出および追跡すること(S408)と、空港駐機場用装置500が前記後方散乱信号560を検出できないことに対応して、パイロットに航空機10を停止させるように指示する更なるパイロット操縦案内情報を提供すること(S410)と、を行うよう構成される。その代替となる、後方散乱信号560の信号パターンが許容される信号パターンのライブラリの中の少なくとも1つの予め規定された信号パターンに対応するかを空港駐機場用装置500が判定可能な状況では、航空機10は駐機場への進入を続けることを許可されうる。
【0107】
当業者であれば、本発明は前述の好ましい実施形態に決して限定されないことが分かる。それどころか、多くの変更および変形が添付の請求の範囲内で可能である。加えて、当業者は、開示された実施形態に対する変形を、特許請求される発明を実践する際に図面、本開示、および添付の請求項を検討することで、理解、達成することができる。