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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102127
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】車載用撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/02 20210101AFI20240723BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240723BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20240723BHJP
   H04N 23/52 20230101ALI20240723BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20240723BHJP
【FI】
G03B17/02
G03B15/00 V
H05K9/00 Q
H04N23/52
G03B30/00
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024068686
(22)【出願日】2024-04-19
(62)【分割の表示】P 2021086420の分割
【原出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 康孝
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】嶋津 義久
(72)【発明者】
【氏名】宇治田 敬一
(57)【要約】
【課題】ノイズ耐性の向上を図る。
【解決手段】本開示に係る撮像装置は、前面ケース103と、後面ケース107と、シールド部材112と、を備える。前面ケース103は、撮像光学ユニット120を支持する。後面ケース107は、撮像光学ユニット120から出力される信号を出力する導電性の出力機構107Aを有する。シールド部材112は、前面ケース103と出力機構107Aとを電気的に接続する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを含む鏡筒と、
第1の面と、前記第1の面と反対の第2の面と、を有する回路基板と、
前記回路基板の前記第1の面に配置された撮像素子と、
前記鏡筒を支持する支持部と、前記支持部から延び第1の内側面及び第1の端部を有する第1の側壁部と、前記支持部から延び第2の内側面及び第2の端部を有する第2の側壁部と、前記支持部から延び第3の内側面及び第3の端部を有する第3の側壁部と、前記支持部から延び第4の内側面及び第4の端部を有する第4の側壁部と、を有する導電性の第1のケースと、
少なくとも一部が前記第1のケースと対向する第5の端部と、前記第5の端部と反対の第6の端部と、前記第5の端部及び前記第6の端部を繋ぐ端面と、前記第5の端部から前記第1のケースの前記支持部に向かって延び第5の内側面及び第1の外側面を有する第5の側壁部と、前記第5の端部から前記第1のケースの前記支持部に向かって延び第6の内側面及び第2の外側面を有する第6の側壁部と、前記第5の端部から前記第1のケースの前記支持部に向かって延び第7の内側面及び第3の外側面を有する第7の側壁部と、前記第5の端部から前記第1のケースの前記支持部に向かって延び第8の内側面及び第4の外側面を有する第8の側壁部と、を有する第2のケースと、
前記第2のケースに配置され、前記撮像素子から出力される信号を出力する出力機構と、
前記第1のケース及び前記出力機構に電気的に接続され、前記回路基板及び前記第2のケースの間に配置されたシールド部材と、
を備え、
前記回路基板の少なくとも一部は、前記第1のケースの前記第1の側壁部の前記第1の内側面及び前記第1のケースの前記第3の側壁部の前記第3の内側面の間に、かつ、前記第2の側壁部の前記第2の内側面及び前記第4の側壁部の前記第4の内側面の間に、配置され、
前記第2のケースの前記第5の側壁部は、前記第2のケースの前記端面及び前記第1のケースの前記第1の側壁部の前記第1の内側面よりも内側に配置され、
前記第2のケースの前記第6の側壁部は、前記第2のケースの前記端面及び前記第1のケースの前記第2の側壁部の前記第2の内側面よりも内側に配置され、
前記第2のケースの前記第7の側壁部は、前記第2のケースの前記端面及び前記第1のケースの前記第3の側壁部の前記第3の内側面よりも内側に配置され、
前記第2のケースの前記第8の側壁部は、前記第2のケースの前記端面及び前記第1のケースの前記第4の側壁部の前記第4の内側面よりも内側に配置され、
前記シールド部材は、
少なくとも第1の辺、前記第1の辺と対向する第2の辺、第3の辺、及び前記第3の辺と対向する第4の辺を有する面状部と、
前記面状部の前記第1の辺の第1の部分から前記第1のケースの前記支持部に向かって延び、弾性を有する第1の接続部と、
前記面状部の前記第2の辺の第2の部分から前記第1のケースの前記支持部に向かって
延び、弾性を有する第2の接続部と、を有し、
前記シールド部材の前記第1の接続部は、
前記面状部の前記第1の辺の前記第1の部分から前記回路基板の前記第2の面に向かって延び、前記第2のケースの前記第5の側壁部の前記第5の内側面に沿って配置された第1の面部と、
前記第1の面部に接続された第1の曲面部と、
前記第1の曲面部に接続され、前記第1の曲面部から前記第1のケースの前記第1の側壁部の前記第1の内側面に向かって延びる第2の面部と、
前記第2の面部に接続され、少なくとも一部が前記第2のケースの前記第5の側壁部の前記第5の内側面よりも外側にあり、前記第1の曲面部よりも前記回路基板の前記第2の面に近い位置に配置された第2の曲面部と、を有し、
前記シールド部材の前記第2の接続部は、
前記面状部の前記第2の辺の前記第2の部分から前記回路基板の前記第2の面に向かって延び、前記第2のケースの前記第6の側壁部の前記第6の内側面に沿って配置された第3の面部と、
前記第3の面部に接続された第3の曲面部と、
前記第3の曲面部に接続され、前記第3の曲面部から前記第1のケースの前記第2の側壁部の前記第2の内側面に向かって延びる第4の面部と、
前記第4の面部に接続され、少なくとも一部が前記第2のケースの前記第6の側壁部の前記第6の内側面よりも外側にあり、前記第3の曲面部よりも前記回路基板の前記第2の面に近い位置に配置された第4の曲面部と、を有し、
前記シールド部材の前記第1の接続部の前記第2の曲面部における第1の接続点は、前記第1のケースの前記第1の側壁部の前記第1の内側面に接触し、
前記シールド部材の前記第2の接続部の前記第4の曲面部における第2の接続点は、前記第1のケースの前記第2の側壁部の前記第2の内側面に接触する、
車載用撮像装置。
【請求項2】
前記シールド部材は、
前記面状部の前記第3の辺の第3の部分から前記第1のケースの前記支持部に向かって延び、弾性を有する第3の接続部と、
前記面状部の前記第4の辺の第4の部分から前記第1のケースの前記支持部に向かって延び、弾性を有する第4の接続部と、を更に有する、
請求項1に記載の車載用撮像装置。
【請求項3】
前記シールド部材の前記第3の接続部は、
前記面状部の前記第3の辺の前記第3の部分から前記回路基板の前記第2の面に向かって延び、前記第2のケースの前記第7の側壁部の前記第7の内側面に沿って配置された第5の面部と、
前記第5の面部に接続された第5の曲面部と、
前記第5の曲面部に接続され、前記第5の曲面部から前記第1のケースの前記第3の側壁部の前記第3の内側面に向かって延びる第6の面部と、
前記第6の面部に接続され、少なくとも一部が前記第2のケースの前記第7の側壁部の前記第7の内側面よりも外側にあり、前記第5の曲面部よりも前記回路基板の前記第2の面に近い位置に配置された第6の曲面部と、を有し、
前記シールド部材の前記第4の接続部は、
前記面状部の前記第4の辺の前記第4の部分から前記回路基板の前記第2の面に向かって延び、前記第2のケースの前記第8の側壁部の前記第8の内側面に沿って配置された第7の面部と、
前記第7の面部に接続された第7の曲面部と、
前記第7の曲面部に接続され、前記第7の曲面部から前記第1のケースの前記第4の側壁部の前記第4の内側面に向かって延びる第8の面部と、
前記第8の面部に接続され、少なくとも一部が前記第2のケースの前記第8の側壁部の前記第8の内側面よりも外側にあり、前記第7の曲面部よりも前記回路基板の前記第2の面に近い位置に配置された第8の曲面部と、を有し、
前記シールド部材の前記第3の接続部の前記第6の曲面部における第3の接続点は、前記第1のケースの前記第3の側壁部の前記第3の内側面に接触し、
前記シールド部材の前記第4の接続部の前記第8の曲面部における第4の接続点は、前記第1のケースの前記第4の側壁部の前記第4の内側面に接触する、
請求項2に記載の車載用撮像装置。
【請求項4】
前記第1のケース及び前記第2のケースの間において前記第2のケースの中心部分を中心とした全周に渡って配置され、少なくとも第5の辺、第6の辺、第7の辺、及び第8の辺を有するパッキンと、を更に備え、
前記パッキンの前記第1の辺は、前記第2のケースの前記第5の側壁部の前記第1の外側面の少なくとも一部、前記第2のケースの前記第5の側壁部よりも外側に位置する前記第2のケースの前記第5の端部の少なくとも一部、及び前記第1のケースの前記第1の側壁部の前記第1の端部の少なくとも一部に接触し、
前記パッキンの前記第2の辺は、前記第2のケースの前記第6の側壁部の前記第2の外側面の少なくとも一部、前記第2のケースの前記第6の側壁部よりも外側に位置する前記第2のケースの前記第5の端部の少なくとも一部、及び前記第1のケースの前記第2の側壁部の前記第2の端部の少なくとも一部に接触し、
前記パッキンの前記第3の辺は、前記第2のケースの前記第7の側壁部の前記第3の外側面の少なくとも一部、前記第2のケースの前記第7の側壁部よりも外側に位置する前記第2のケースの前記第5の端部の少なくとも一部、及び前記第1のケースの前記第3の側壁部の前記第3の端部の少なくとも一部に接触し、
前記パッキンの前記第4の辺は、前記第2のケースの前記第8の側壁部の前記第4の外側面の少なくとも一部、前記第2のケースの前記第8の側壁部よりも外側に位置する前記第2のケースの前記第5の端部の少なくとも一部、及び前記第1のケースの前記第4の側壁部の前記第4の端部の少なくとも一部に接触する、
請求項2に記載の車載用撮像装置。
【請求項5】
前記シールド部材は、
前記第1の接続部と隣接し、前記面状部の前記第1の辺の第5の部分から筐体の前記支持部に向かって延びる第5の接続部と、を更に備え、
前記シールド部材の前記第1の接続部及び前記シールド部材の前記第5の接続部の間において、かつ、前記シールド部材の前記面状部の前記第1の辺の前記第1の部分及び前記第5の部分の間において、第1の間隙が形成された、
請求項1に記載の車載用撮像装置。
【請求項6】
前記シールド部材は、
前記第2の接続部と隣接し、前記面状部の前記第2の辺の第6の部分から前記筐体の前記支持部に向かって延びる第6の接続部と、を更に備え、
前記シールド部材の前記第2の接続部及び前記シールド部材の前記第6の接続部の間において、かつ、前記シールド部材の前記面状部の前記第2の辺の前記第2の部分及び前記第6の部分の間において、第2の間隙が形成された、
請求項5に記載の車載用撮像装置。
【請求項7】
前記シールド部材の前記第1の接続部は、前記シールド部材の前記面状部から前記回路基板の前記第2の面に向かう方向において、第1の長さを有し、
前記シールド部材の前記第6の接続部は、前記シールド部材の前記面状部から前記回路基板の前記第2の面に向かう方向において、前記第1の接続部の前記第1の長さとは異なる第2の長さを有する、
請求項6に記載の車載用撮像装置。
【請求項8】
前記シールド部材の前記第1の接続部の前記第1の長さは、前記シールド部材の前記第6の接続部の前記第2の長さよりも長い、
請求項7に記載の車載用撮像装置。
【請求項9】
前記シールド部材の前記第1の接続部は、SUS304-CSP3/4Hにより構成され、
前記シールド部材の前記第2の接続部は、SUS301-CSPHにより構成された、 請求項8に記載の車載用撮像装置。
【請求項10】
前記第1のケースと前記シールド部材の前記第1の接続部との接触抵抗は1Ω以下である、
請求項1に記載の車載用撮像装置。
【請求項11】
前記第1のケースと前記シールド部材の前記第1の接続部との接圧は0.3N以上である、
請求項1に記載の車載用撮像装置。
【請求項12】
前記第1のケースは、金属製である、
請求項1に記載の車載用撮像装置。
【請求項13】
前記第1のケースは、アルミニウムを含む、
請求項12に記載の車載用撮像装置。
【請求項14】
前記第2のケースは、樹脂製である、
請求項12に記載の車載用撮像装置。
【請求項15】
前記出力機構は、同軸コネクタ又はSTQコネクタである、
請求項13に記載の車載用撮像装置。
【請求項16】
前記シールド部材は、アルミニウムを含む、
請求項15に記載の車載用撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載用撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の運転支援システムの普及に伴い、車載カメラによる周辺監視システムや車載カメラによるミラー代替システムが車両に搭載されることが増えている。車両に搭載される撮像装置は、周囲に電子機器等が配置されることが一般的である。このような場合、撮像装置は、撮像装置の周囲の電子機器等から放射された電磁波の影響を受ける可能性がある。このため、映像信号の乱れ或いは撮像装置の誤作動が発生し、運転支援のために必要な信頼度の高い画像を提供できない可能性がある。
【0003】
そのため、撮像装置のケース自体或いはケース内部に、電磁波シールド構造を配置する構成が採用されてきた。例えば、特許文献1には、導電性を有する材料で形成されたシールドケースが、センサ基板を取り囲むように設けられている撮像装置が開示されている。また、例えば、特許文献2、3には、基板の側面の一部或いは全周囲を覆う遮蔽部を有する板金を備える撮像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-259101号公報
【特許文献2】特開2020-155984号公報
【特許文献3】特開2020-155985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術には依然として以下の課題が存在する。具体的には、従来の技術では、シールド部材に接触する部材とシールド部材との接触圧力が不足し、シールド部材に接触する部材とシールド部材との接触抵抗が増加することにより、シールド部材が電磁波シールドとして十分に機能しない可能性がある。従って、従来技術では、ノイズ耐性が低下する場合があった。
【0006】
本開示は上記の課題に鑑みてなされたものであり、ノイズ耐性の向上を図ることが可能な車載用撮像装置を提供することをその主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示にかかる車載用撮像装置は、レンズを含む鏡筒と、第1の面と、前記第1の面と反対の第2の面と、を有する回路基板と、前記回路基板の前記第1の面に配置された撮像素子と、前記鏡筒を支持する支持部と、前記支持部から延び第1の内側面及び第1の端部を有する第1の側壁部と、前記支持部から延び第2の内側面及び第2の端部を有する第2の側壁部と、前記支持部から延び第3の内側面及び第3の端部を有する第3の側壁部と、前記支持部から延び第4の内側面及び第4の端部を有する第4の側壁部と、を有する導電性の第1のケースと、少なくとも一部が前記第1のケースと対向する第5の端部と、前記第5の端部と反対の第6の端部と、前記第5の端部及び前記第6の端部を繋ぐ端面と、前記第5の端部から前記第1のケースの前記支持部に向かって延び第5の内側面及び第1の外側面を有する第5の側壁部と、前記第5の端部から前記第1のケースの前記支持部に向かって延び第6の内側面及び第2の外側面を有する第6の側壁部と、前記第5の端部から前記第1のケースの前記支持部に向かって延び第7の内側面及び第3の外側面を有する第7の側壁部と、前記第5の端部から前記第1のケースの前記支持部に向かって延び第8の内側面及び第4の外側面を有する第8の側壁部と、を有する第2のケースと、前記第2のケースに配置され、前記撮像素子から出力される信号を出力する出力機構と、前記第1のケース及び前記出力機構に電気的に接続され、前記回路基板及び前記第2のケースの間に配置されたシールド部材と、を備え、前記回路基板の少なくとも一部は、前記第1のケースの前記第1の側壁部の前記第1の内側面及び前記第1のケースの前記第3の側壁部の前記第3の内側面の間に、かつ、前記第2の側壁部の前記第2の内側面及び前記第4の側壁部の前記第4の内側面の間に、配置され、前記第2のケースの前記第5の側壁部は、前記第2のケースの前記端面及び前記第1のケースの前記第1の側壁部の前記第1の内側面よりも内側に配置され、前記第2のケースの前記第6の側壁部は、前記第2のケースの前記端面及び前記第1のケースの前記第2の側壁部の前記第2の内側面よりも内側に配置され、前記第2のケースの前記第7の側壁部は、前記第2のケースの前記端面及び前記第1のケースの前記第3の側壁部の前記第3の内側面よりも内側に配置され、前記第2のケースの前記第8の側壁部は、前記第2のケースの前記端面及び前記第1のケースの前記第4の側壁部の前記第4の内側面よりも内側に配置され、前記シールド部材は、少なくとも第1の辺、前記第1の辺と対向する第2の辺、第3の辺、及び前記第3の辺と対向する第4の辺を有する面状部と、前記面状部の前記第1の辺の第1の部分から前記第1のケースの前記支持部に向かって延び、弾性を有する第1の接続部と、前記面状部の前記第2の辺の第2の部分から前記第1のケースの前記支持部に向かって延び、弾性を有する第2の接続部と、を有し、前記シールド部材の前記第1の接続部は、前記面状部の前記第1の辺の前記第1の部分から前記回路基板の前記第2の面に向かって延び、前記第2のケースの前記第5の側壁部の前記第5の内側面に沿って配置された第1の面部と、前記第1の面部に接続された第1の曲面部と、前記第1の曲面部に接続され、前記第1の曲面部から前記第1のケースの前記第1の側壁部の前記第1の内側面に向かって延びる第2の面部と、前記第2の面部に接続され、少なくとも一部が前記第2のケースの前記第5の側壁部の前記第5の内側面よりも外側にあり、前記第1の曲面部よりも前記回路基板の前記第2の面に近い位置に配置された第2の曲面部と、を有し、前記シールド部材の前記第2の接続部は、前記面状部の前記第2の辺の前記第2の部分から前記回路基板の前記第2の面に向かって延び、前記第2のケースの前記第6の側壁部の前記第6の内側面に沿って配置された第3の面部と、前記第3の面部に接続された第3の曲面部と、前記第3の曲面部に接続され、前記第3の曲面部から前記第1のケースの前記第2の側壁部の前記第2の内側面に向かって延びる第4の面部と、前記第4の面部に接続され、少なくとも一部が前記第2のケースの前記第6の側壁部の前記第6の内側面よりも外側にあり、前記第3の曲面部よりも前記回路基板の前記第2の面に近い位置に配置された第4の曲面部と、を有し、前記シールド部材の前記第1の接続部の前記第2の曲面部における第1の接続点は、前記第1のケースの前記第1の側壁部の前記第1の内側面に接触し、前記シールド部材の前記第2の接続部の前記第4の曲面部における第2の接続点は、前記第1のケースの前記第2の側壁部の前記第2の内側面に接触する、車載用撮像装置である。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る車載用撮像装置によれば、ノイズ耐性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態に係る撮像装置の一例の配置図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る撮像装置の分解図である。
図3A図3Aは、第1の実施形態に係る後面ケースを出力機構側から見た斜視図である。
図3B図3Bは、第1の実施形態に係る後面ケースを鏡筒側から見た斜視図である。
図4図4は、第1の実施形態に係るシールド部材の斜視図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る筐体の拡大断面図である。
図6図6は、第2の実施形態に係る撮像装置の基板の部分を拡大した一例の模式図である。
図7図7は、第2の実施形態に係るセンサ側基板およびカメラインターフェイス側基板の一例の斜視図である。
図8図8は、第2の実施形態に係るシールド部材を拡大した一例の模式図である。
図9図9は、第3の実施形態に係る撮像装置に設けられた基板の一例の模式図である。
図10図10は、第3の実施形態に係るシールド部材を拡大した一例の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、本開示に係る車載用撮像装置である撮像装置について説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る撮像装置100の構成を、図1図5を参照して説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る撮像装置100の一例の配置図である。撮像装置100は、例えば、移動体200に搭載される。移動体200は、例えば、車両、船舶、航空機、ドローンなどである。本実施形態では、移動体200が車両である形態を一例として説明する。なお、撮像装置100が搭載される位置は図1に限定されず、撮像装置100は、例えば、車両の前方、後方、及びサイドミラー等に搭載されてもよい。また、本実施例では、撮像装置100が車両に搭載された例を実施例として説明するが、撮像装置100は車両に搭載された形態に限定されない。さらに、撮像装置100は、移動体以外に設置されてもよい。
【0013】
図2は、本実施形態に係る撮像装置の一例の分解図である。撮像装置100は、鏡筒101、前面ケース103、センサ基板104、センサ基板固定用ネジ105、防水パッキン106、後面ケース107、ケース固定用ネジ108、空気穴用ネジ109、およびシールド部材112、を備える。
【0014】
鏡筒101およびセンサ基板104は、撮像光学ユニット120の一例である。撮像光学ユニット120は、レンズおよび撮像素子などを含み、撮像によって画像信号を得る。レンズは、例えば、鏡筒101に設けられている。撮像素子は、例えば、センサ基板104に設けられている。
【0015】
鏡筒101は、前面ケース103に対して、その外側から取り付けられている。センサ基板104は、センサ基板固定用ネジ105により前面ケース103の内部に取り付けられている。
【0016】
前面ケース103は第1のケースの一例である。前面ケース103は、撮像光学ユニット120である鏡筒101およびセンサ基板104を支持する。前面ケース103は、導電性の部材である。
【0017】
後面ケース107は、第2のケースの一例である。後面ケース107は、撮像光学ユニット120から出力される信号を出力する出力機構107Aを有する。出力機構107Aは、撮像光学ユニット120から出力された信号である画像信号を外部へ出力する電気ケーブル等を接続するための、導電性の接続部である。
【0018】
後面ケース107は、ケース固定用ネジ108により前面ケース103に取り付けられている。上述したように、前面ケース103にはセンサ基板104が取り付けられている。このため、センサ基板104は、前面ケース103と後面ケース107との間に挟持されて支持された状態となる。前面ケース103と後面ケース107との間には防水性を向上させる目的で、ゴム製の防水パッキン106を設けた構成とすることが好ましい。以下では、前面ケース103に対して後面ケース107が取り付けられて形成された構造体を、筐体110と称して説明する場合がある。
【0019】
シールド部材112は、前面ケース103と出力機構107Aとを電気的に接続する。本実施形態では、シールド部材112は、後面ケース107と前面ケース103との間に設けられている。
【0020】
続いて、撮像装置100を構成する主たる部材についてより詳細に説明する。
【0021】
(鏡筒101)
鏡筒101は、前面ケース103に対して接着剤102を介して取り付けられるものであり、その内部にレンズが組み込まれた円筒部材である。鏡筒101は、例えば樹脂材料を用いて形成することができる。
【0022】
鏡筒101に組み込まれているレンズは、プラスチックあるいはガラスなどで形成される。レンズは、鏡筒101の内側において光軸に沿って配置され、センサ基板104の撮像素子上に被写体からの光を結像させる。
【0023】
(前面ケース103)
前面ケース103には、前面ケース103の外側から、すなわち後面ケース107が取り付けられる側の反対側から鏡筒101が取り付けられている。鏡筒101が取り付けられる前面ケース103の面には、鏡筒101の端面の形状と同形状の孔が形成されていることが好ましい。鏡筒101の一端を前面ケース103の孔にはめ込むことで、鏡筒101は、前面ケース103に対して取り付けられる。
【0024】
前面ケース103における孔の周縁であり、かつ、鏡筒101の端面が接する面には、鏡筒101を固定するための接着剤102が塗布されている。筐体110は、撮像素子と鏡筒101との相対的な位置関係が調整された状態で、接着剤102により鏡筒101に固定される。
【0025】
接着剤102は、少なくとも熱処理により硬化する性質を有するものである。前面ケース103と鏡筒101とをより精度高く取り付けるために、接着剤102は、熱処理による本硬化に先立って、例えば紫外線(UV)照射により仮硬化する性質を有していることが好ましい。このような2段階の工程を経て硬化される接着剤102は、例えば、エポキシ樹脂を含む接着剤102などをあげることができる。接着剤102にUV照射による硬化を行っておくことにより、熱処理による硬化までの間に、筐体110に取り付けた鏡筒101の位置がずれることを防ぐことができる。
【0026】
前面ケース103の材質は、導電性を有する部材であればよい。前面ケース103の材質は、例えば、アルミニウムなどの金属、導電性の樹脂、などを用いることができる。
【0027】
(センサ基板104)
センサ基板104は、撮像素子が実装された基板である。撮像素子は、例えばCMOS(Complementary MOS)やCCD(Charge Coupled Device)である。撮像素子は、鏡筒101内のレンズを通過した光を受光し、画像信号に変換する。
【0028】
センサ基板104の縁部には、センサ基板固定用ネジ105を通す穴が形成されている。センサ基板104は、その穴を介して、センサ基板固定用ネジ105により前面ケース103に固定されている。センサ基板固定用ネジ105の材料としては、例えばステンレスなどの金属を用いることができる。センサ基板固定用ネジ105により前面ケース103に固定されることで、センサ基板104は、センサ基板固定用ネジ105を介して前面ケース103と電気的に接続される。
【0029】
(防水パッキン106)
防水パッキン106は、筐体110の内部空間の気密性を保つための密封部材である。防水パッキン106は、前面ケース103と、後面ケース107とに挟まれて、両サイドから押圧される。この結果、防水パッキン106により、前面ケース103と後面ケース107との合わせ面が密封され、撮像装置100は防水機能を有することになる。防水パッキン106の材料としては、例えばゴムなどの任意の弾性材料を用いることができる。
【0030】
(後面ケース107)
後面ケース107について、図2図3A、および図3Bを参照して説明する。図3Aは、後面ケース107を出力機構107A側から見た一例の斜視図である。図3Bは、後面ケース107を鏡筒101側から見た一例の斜視図である。
【0031】
後面ケース107は、画像信号を出力するための出力機構107Aを備える。上述したように、出力機構107Aは、撮像光学ユニット120から出力された信号である画像信号を外部へ出力する電気ケーブルを接続するための、導電性の接続部である。出力機構107Aは、例えば同軸(2線タイプ)用コネクタ、STQ(シールドツイストクアッド電線)(4線タイプ)コネクタ、或いはCAN入りSTQ(6線タイプ)コネクタなどをあげることができる。
【0032】
後面ケース107には、空気穴111が形成されている。空気穴111は、筐体110の内部空間と、筐体110の外側の空間とを繋ぐ穴である。空気穴111は、空気穴用ネジ109により封止される。
【0033】
後面ケース107は、後面ケース107の出力機構107Aが導電性を有する部材であればよい。後面ケース107の出力機構107A以外の部分は、導電性を有していても有していなくてもよい。例えば、後面ケース107の出力機構107A以外の部分の材質としては、樹脂または金属などを用いることができる。成形性の観点からは樹脂製であることが好ましく、放熱性の観点からは金属製であることが好ましい。前面ケース103と後面ケース107は、同一の材質であってもよいし、それぞれが異なる材質であってもよい。
【0034】
(シールド部材112)
次に、シールド部材112の構成および機能について、図2図4、および図5を参照して説明する。図4は、シールド部材112の一例の斜視図である。図5は、筐体110の拡大断面図である。
【0035】
シールド部材112は、導電性を有する。シールド部材112は、前面ケース103と後面ケース107に備えられた出力機構107Aとを電気的に接続する。
【0036】
図2および図4に示すように、シールド部材112は、中央部が鏡筒101から離れる方向に突出した凸状の形状を有し、センサ基板104を覆うように形成される。また、シールド部材112は、出力機構107Aを設置するための開口部を有する。
【0037】
本実施形態では、シールド部材112の端部には、突出部113が設けられている。図4には、矩形状のシールド部材112の四辺の各々に、2つの突出部113が設けられた構成を一例として示した。すなわち、図4には、シールド部材112に8個の突出部113が設けられた構成を一例として示した。
【0038】
突出部113は、第1の突出部の一例である。図4および図5に示すように、突出部113は、前面ケース103に向かう方向に突出した部材である。シールド部材112は、突出部113を介して前面ケース103に接触配置されている。
【0039】
突出部113と前面ケース103との接触抵抗は、出力機構107Aの電位を、シールド部材112、突出部113、および前面ケース103を介してグランド(GND)に落とすことの可能な所定の抵抗値であればよい。なお、本実施形態の撮像装置100は、移動体200に搭載されることで、移動体200の筐体などの導電部位に接続されている。このため、出力機構107Aは、シールド部材112、突出部113、および前面ケース103を介して接地される。所定の抵抗値を、以下では、接触抵抗の所定値と称して説明する場合がある。突出部113と前面ケース103との接触抵抗の所定値は、例えば1Ω以下であり、0.5Ω以下であることが好ましい。
【0040】
突出部113は、弾性を有する部材である。突出部113の形状は、前面ケース103と突出部113との接触抵抗を上記所定値以下にするための、たわみ量、最大応力、および前面ケース103に対する最小接圧、を実現可能な形状であればよい。
【0041】
シールド部材112および突出部113の材料は、導電性を有する材料であればよい。例えば、シールド部材112および突出部113の材料には、例えば、アルミなどの金属、導電性の樹脂、などを用いることができる。また、シールド部材112および突出部113の材料は、導電性を有し、且つ、突出部113と前面ケース103との接触抵抗の上記所定値を実現可能な、ヤング率、ポアソン比、および耐力を満たす材料であればよい。
【0042】
例えば、シールド部材112および突出部113の材質として、SUS304-CSP 3/4HとSUS301-CSP Hの2種類を採用した場合を想定する。例えば、バネ長の長い突出部113にはSUS304-CSP 3/4Hを使用し、バネ長の短い突出部113には、SUS301-CSP Hを使用する。また、例えば、シールド部材112および突出部113のヤング率が193000MPa、ポアソン比が0.3であった場合を想定する。また、例えば、シールド部材112および突出部113の耐力が、SUS304-CSP 3/4Hを用いた場合には665MPa、SUS301-CSP Hを用いた場合には1030MPaであった場面を想定する。これらの条件の場合、突出部113に0.1mmの変位量を与え、突出部113と前面ケース103との接触抵抗を測定したところ、SUS301-CSP Hの最低接圧である接圧0.3N以上で安定して接触抵抗1Ω以下を実現できた。
【0043】
なお、図4には、シールド部材112に8個の突出部113が設けられた例を一例として示した。しかし、突出部113の個数や位置は、図4に示す例に限定されない。例えば、突出部113は、矩形状のシールド部材112の四辺の各々に1つずつ設けられた構成であってもよい。具体的には、例えば、突出部113は、シールド部材112に4個設けられた構成であってもよい。
【0044】
また、シールド部材112および突出部113の形状、材料、材質、数、位置等は、出力機構107Aの電位を、シールド部材112、突出部113、および前面ケース103を介してグランドに落とすことの可能なものであればよく、上述した形態に限定されない。
【0045】
また、図4には、シールド部材112に同じ形状の複数の突出部113が設けられた例を一例として示した。しかし、シールド部材112に設けられた複数の突出部113の形状は、同じであってもよいし、少なくとも1個以上が他の突出部113とは異なる形状であってもよい。例えば、矩形状のシールド部材112の四辺の各辺に、長いバネ長の突出部113と短いバネ長の突出部113とを組み合わせて設けた構成としてもよい。また、シールド部材112の各辺に、同じバネ長で幅の異なる複数の突出部113を設けた構成としてもよい。また、シールド部材112に設けられた複数の突出部113の形状の全てを、前面ケース103と接触する領域の形状に応じて、互いに異なる形状としてもよい。
【0046】
次に、本実施形態の撮像装置100の作用を説明する。
【0047】
本実施形態では、シールド部材112は導電性を有し、導電性の前面ケース103と、導電性の出力機構107Aと、を電気的に接続する。詳細には、シールド部材112は突出部113を有し、突出部113を介して前面ケース103に接触配置されている。
【0048】
このため、前面ケース103と、後面ケース107の出力機構107Aと、シールド部材112および突出部113とは、電気的に接続される。よって、前面ケース103は後面ケース107の出力機構107Aと略同電位、つまり出力機構107AのGND(グランド)電位と略同電位となる。すなわち、後面ケース107の出力機構107A、シールド部材112、突出部113、および前面ケース103が電気的に接続され、撮像装置100をGND強化構造とすることができる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態の撮像装置100は、前面ケース103と、後面ケース107と、シールド部材112と、を備える。前面ケース103は、撮像光学ユニット120を支持する。後面ケース107は、撮像光学ユニット120から出力される信号を出力する導電性の出力機構107Aを有する。シールド部材112は、前面ケース103と出力機構107Aとを電気的に接続する。
【0050】
このため、前面ケース103と、後面ケース107の出力機構107Aと、シールド部材112とが電気的に接続され、撮像装置100をGND強化構造とすることができる。すなわち、本実施形態の撮像装置100では、シールド部材112が電磁波シールドとして十分に機能することができる。このため、本実施形態の撮像装置100では、ラジオ、テレビなどの撮像装置100の外部環境の信号によって発生する、EMI(Electro Magnetic Interference)であるノイズに対して、ノイズ耐性の向上を図ることができる。
【0051】
従って、本実施形態の撮像装置100は、ノイズ耐性の向上を図ることができる。
【0052】
また、本実施形態では、ノイズ耐性の向上を図ることができるため、ノイズに対して高性能、および高耐性を満足する撮像装置100を提供することができる。
【0053】
また、本実施形態の撮像装置100では、シールド部材112によって撮像装置100のノイズ耐性の向上を図ることができる。このため、本実施形態の撮像装置100は、ノイズ耐性の向上に加えて、撮像装置100の小型化を実現することができる。
【0054】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る撮像装置について説明する。
【0055】
本実施形態の撮像装置では、筐体110内に設けられた基板104Cが複数の層積層された構成である。基板104Cは、電子基板の一例である。
【0056】
本実施形態の撮像装置は、基板104Cが複数の層積層された構成である点以外は、第1の実施形態の撮像装置100と同様の構成である。第1の実施形態と同一の部材については、同一の番号を付し、詳細な説明については省略する。
【0057】
図6は、本実施形態の撮像装置100Bの基板104Cの部分を拡大した一例の模式図である。図7は、センサ側基板104Aおよびカメラインターフェイス側基板104Bの一例の斜視図である。
【0058】
図6および図7には、基板104Cとして、センサ側基板104Aおよびカメラインターフェイス側基板104Bを示した。なお、撮像装置100Bは、3枚以上の基板104Cを積層した構成であってもよい。
【0059】
センサ側基板104Aは、センサ基板固定用ネジ105(図1参照)を介して前面ケース103に固定された基板104Cである。カメラインターフェイス側基板104Bは、出力機構107Aを嵌合する実装基板コネクタを有し、フレキシブル回路を介してセンサ側基板104Aと一体化された基板104Cである。
【0060】
センサ側基板104Aおよびカメラインターフェイス側基板104Bの間には、シールド部材114が設けられている。シールド部材114は、第2のシールド部材の一例である。シールド部材114は、複数の基板104Cを接続する、導電性および弾性を有する部材である。
【0061】
シールド部材114は、導電性および弾性を有する部材であればよい。図6には、センサ側基板104Aおよびカメラインターフェイス側基板104Bの間に、シールド部材114Aおよびシールド部材114Bが設けられた構成を一例として示した。シールド部材114Aおよびシールド部材114Bは、シールド部材114の一例である。
【0062】
図8は、シールド部材114Aを拡大した一例の模式図である。シールド部材114Aは、センサ側基板104Aに取り付けられ、ピン、チューブおよびスプリングの3点部品で構成される導電性部品である。シールド部材114Aの先端に位置するピンには、導電性メッキ層が設けられている。導電性メッキ層は、例えば、金メッキなどで構成される。
【0063】
図6に戻り説明を続ける。カメラインターフェイス側基板104B上における、シールド部材114Aのピンが接触する箇所(以下、ランドと称する)にも、導電性メッキ層が設けられている。これらの構成により、センサ側基板104Aとカメラインターフェイス側基板104Bとは、シールド部材114Aのピン、導電性メッキ層、およびカメラインターフェイス側基板104Bのランドを介して、電気的に接続される。ランドは、例えば、大きさφ1.5mm、厚さ0.1mmであるが、これに限定されない。
【0064】
シールド部材114Aの先端に位置するピンはバネ状であり、所定の可動範囲およびバネ圧を有する。このため、シールド部材114Aは、弾性を有する。
【0065】
シールド部材114Aとセンサ側基板104Aおよびカメラインターフェイス側基板104Bの各々との接触抵抗は、出力機構107Aの電位を、シールド部材112、突出部113、シールド部材114A、シールド部材114B、および前面ケース103を介してグランドに落とすことの可能な所定の抵抗値であればよい。シールド部材114Aとセンサ側基板104Aおよびカメラインターフェイス側基板104Bの各々との接触抵抗は、例えば1.5Ω以下であり、1Ω以下であることが好ましく、0.5Ω以下であることが更に好ましい。
【0066】
シールド部材114Aの形状および材料は、導電性を有し、且つ、センサ側基板104Aおよびカメラインターフェイス側基板104Bの各々との接触抵抗1.5Ω以下を実現可能な形状および材料であればよい。例えば、シールド部材114Aのバネ状のピンの可動範囲は0.9mm、バネ圧は1.08Nなどであるが、これに限定されない。
【0067】
シールド部材114Bは、カメラインターフェイス側基板104Bに取り付けられ、電磁ノイズを低減させる部品である。シールド部材114Bは、スポンジを芯材とし、その周囲は導電布で覆われている。このため、シールド部材114Bは、導電性および弾性を有する。
【0068】
シールド部材114Bは、センサ側基板104Aを固定するセンサ基板固定用ネジ105に接触配置される。センサ基板固定用ネジ105は、導電性のネジである。これらの構成により、センサ側基板104Aとカメラインターフェイス側基板104Bとは、シールド部材114B、およびセンサ基板固定用ネジ105を介して、電気的に接続される。
【0069】
シールド部材114Bの圧縮率、圧縮荷重、形状、および材料は、導電性を有し、且つ、センサ側基板104Aおよびカメラインターフェイス側基板104Bの各々との接触抵抗1.5Ω以下を実現可能なものであればよい。シールド部材114Bの導電布の材料は、例えば、Sn-Cuのポリイミドフィルムであるが、これに限定されない。例えば、シールド部材114Bは、圧縮率25%程度、圧縮荷重は5N以上になるように接触設置されることで、接触抵抗1.5Ω以下を実現できる。
【0070】
次に、本実施形態の撮像装置100Bの作用を説明する。
【0071】
本実施形態では、シールド部材112は導電性を有し、導電性の前面ケース103と、導電性の出力機構107Aと、を電気的に接続する。詳細には、シールド部材112は突出部113を有し、突出部113を介して前面ケース103に接触配置されている。このため、前面ケース103と、後面ケース107の出力機構107Aと、シールド部材112とは、電気的に接続される。
【0072】
本実施形態では、更に、複数の基板104Cの間にシールド部材114が設けられている。シールド部材114は、第2のシールド部材の一例である。シールド部材114は、複数の基板104Cを電気的に接続する、導電性および弾性を有する部材である。
【0073】
このため、前面ケース103と、後面ケース107の出力機構107Aと、シールド部材112と、複数の基板104Cとが、電気的に接続される。具体的には、カメラインターフェイス側基板104Bは、シールド部材114Aおよびシールド部材114Bを介して、前面ケース103に固定されたセンサ側基板104Aに電気的に接続される。よって、前面ケース103は後面ケース107の出力機構107Aと略同電位、つまり出力機構107AのGND(グランド)電位と略同電位となる。すなわち、後面ケース107の出力機構107A、シールド部材112、複数の基板104C、および前面ケース103が電気的に接続され、撮像装置100BをGND強化構造とすることができる。
【0074】
従って、本実施形態の撮像装置100Bは、上記第1の実施形態の効果に加えて、ノイズ耐性の向上を更に図ることができる。
【0075】
(第3の実施形態)
第2の実施形態では、シールド部材114として、シールド部材114Aおよびシールド部材114Bを用いた例を一例として説明した。しかし、シールド部材114は、複数の基板104Cを電気的に接続する、導電性および弾性を有する部材であればよく、シールド部材114Aおよびシールド部材114Bに限定されない。
【0076】
図9は、本実施形態の撮像装置100Cに設けられた基板104Cの一例の模式図である。本実施形態の撮像装置100Cは、基板104Cが複数の層積層された構成である点以外は、第1の実施形態の撮像装置100と同様の構成である。また、本実施形態の撮像装置100Cは、シールド部材114Aおよびシールド部材114Bとは異なるシールド部材114を備える点以外は、第2の実施形態の撮像装置100Bと同様の構成である。このため、上記実施形態と同一の部材については、同一の番号を付し、詳細な説明については省略する。
【0077】
本実施形態では、センサ側基板104Aおよびカメラインターフェイス側基板104Bの間に、シールド部材114Cが設けられた構成を説明する。シールド部材114Cは、シールド部材114の一例である。
【0078】
図10は、シールド部材114Cを拡大した一例の模式図である。図9および図10に示すように、シールド部材114Cは、シールド部材114Aおよびシールド部材114Bとは異なる形状のシールド部材114である。
【0079】
シールド部材114Cは、カメラインターフェイス側基板104Bに取り付けられ、複数の基板104Cの間のグランドを強化するための部品である。シールド部材114Cは、例えば、バネ用りん青銅を用いて形成され、表面にはSnリフローメッキが施されている。センサ側基板104A上においてシールド部材114Cが接触する箇所には、金属による表面処理が施されている。これらの構成により、シールド部材114Cを介して、センサ側基板104Aおよびカメラインターフェイス側基板104Bは電気的に接続される。
【0080】
シールド部材114Cとセンサ側基板104Aおよびカメラインターフェイス側基板104Bの各々との接触抵抗は、出力機構107Aの電位を、シールド部材112、突出部113、シールド部材114C、および前面ケース103を介してグランドに落とすことの可能な所定の抵抗値であればよい。シールド部材114Cとセンサ側基板104Aおよびカメラインターフェイス側基板104Bの各々との接触抵抗は、例えば1.5Ω以下であり、1Ω以下であることが好ましく、0.5Ω以下であることが更に好ましい。
【0081】
シールド部材114Cの形状および材料は、導電性を有し、且つ、センサ側基板104Aおよびカメラインターフェイス側基板104Bの各々との接触抵抗1.5Ω以下を実現可能な形状および材料であればよい。
【0082】
次に、本実施形態の撮像装置100Cの作用を説明する。
【0083】
本実施形態では、シールド部材112は導電性を有し、導電性の前面ケース103と、導電性の出力機構107Aと、を電気的に接続する。詳細には、シールド部材112は突出部113を有し、突出部113を介して前面ケース103に接触配置されている。このため、前面ケース103と、後面ケース107の出力機構107Aと、シールド部材112とは、電気的に接続される。
【0084】
本実施形態では、更に、複数の基板104Cの間にシールド部材114Cが設けられている。シールド部材114Cは、第2のシールド部材の一例である。シールド部材114Cは、複数の基板104Cを電気的に接続する、導電性および弾性を有する部材である。
【0085】
このため、前面ケース103と、後面ケース107の出力機構107Aと、シールド部材112と、複数の基板104Cとが、電気的に接続される。具体的には、カメラインターフェイス側基板104Bは、シールド部材114Cを介して、前面ケース103に固定されたセンサ側基板104Aに電気的に接続される。よって、前面ケース103は後面ケース107の出力機構107Aと略同電位、つまり出力機構107AのGND電位と略同電位となる。すなわち、後面ケース107の出力機構107A、シールド部材112、複数の基板104C、および前面ケース103が電気的に接続され、撮像装置100CをGND強化構造とすることができる。なお、前面ケース103と、後面ケース107の出力機構107Aとが電気的に直接接続される場合、シールド部材112を省略してもよい。
【0086】
従って、本実施形態の撮像装置100Cは、上記第1の実施形態の効果に加えて、ノイズ耐性の向上を更に図ることができる。
【0087】
なお、シールド部材114は、複数の基板104Cを電気的に接続する、導電性および弾性を有する部材であればよく、シールド部材114A、シールド部材114B、およびシールド部材114Cに限定されない。
【0088】
例えば、複数の基板104Cの間に、シールド部材114A、シールド部材114B、およびシールド部材114Cを設けた構成としてもよい。また、複数の基板104Cの間に、シールド部材114Aとシールド部材114Cを設けた構成としてもよい。この場合、基板104Cとシールド部材114との接触抵抗が上記所定値以下であることが実現可能となる材料、形状、個数、位置等を選択すればよい。
【0089】
なお、上述した実施形態は、例として提示したものであり、本開示の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態は、本開示の範囲または要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本開示に係る撮像装置は、例えば車載カメラ、監視カメラ、ドローン用カメラなどに用いることができる。
【符号の説明】
【0091】
100、100B、100C 撮像装置
101 鏡筒
102 接着剤
103 前面ケース
104 センサ基板
104A センサ側基板
104B カメラインターフェイス側基板
104C 基板
105 センサ基板固定用ネジ
106 防水パッキン
107 後面ケース
108 ケース固定用ネジ
109 空気穴用ネジ
110 筐体
111 空気穴
112 シールド部材
113 突出部
114、114A、114B、114C シールド部材
120 撮像光学ユニット
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10