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特開2024-10217半導体装置および半導体装置の製造方法
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  • 特開-半導体装置および半導体装置の製造方法 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010217
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20240116BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20240116BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
H01L29/78 652D
H01L29/78 652T
H01L29/78 652F
H01L29/78 652S
H01L29/78 652M
H01L29/78 652L
H01L29/78 652J
H01L29/78 655B
H01L29/78 653A
H01L29/78 652B
H01L29/78 657D
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023191365
(22)【出願日】2023-11-09
(62)【分割の表示】P 2022515241の分割
【原出願日】2021-03-08
(31)【優先権主張番号】P 2020073309
(32)【優先日】2020-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 祐一
(72)【発明者】
【氏名】野口 晴司
(72)【発明者】
【氏名】小宮山 典宏
(72)【発明者】
【氏名】伊倉 巧裕
(72)【発明者】
【氏名】桜井 洋輔
(57)【要約】      (修正有)
【課題】エミッタ領域からのキャリアの注入を抑制して破壊耐量を向上させるトレンチコンタクト部を備える半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置100は、半導体基板10に設けられた第1導電型のドリフト領域18と、その上方に設けられた第2導電型のベース領域14と、その上方に設けられた第1導電型のエミッタ領域12と、半導体基板のおもて面21側において、予め定められた配列方向に配列された複数のトレンチ部30、40と、複数のトレンチ部のうち隣接する2つのトレンチ部の間において、半導体基板のおもて面側に設けられたトレンチコンタクト部27と、その下方に設けられ、ベース領域よりも高ドーピング濃度である第2導電型のコンタクト層19と、を備え、トレンチコンタクト部の下端がエミッタ領域の下端よりも深く、トレンチコンタクト部の側壁において、エミッタ領域とコンタクト層とが接触している。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板に設けられた第1導電型のドリフト領域と、
前記ドリフト領域の上方に設けられた第2導電型のベース領域と、
前記ベース領域の上方に設けられた第1導電型のエミッタ領域と、
前記半導体基板のおもて面側において、予め定められた配列方向に配列された複数のトレンチ部と、
前記複数のトレンチ部のうち隣接する2つのトレンチ部の間において、前記半導体基板のおもて面側に設けられたトレンチコンタクト部と、
前記トレンチコンタクト部の下方に設けられ、前記ベース領域よりも高ドーピング濃度である第2導電型のコンタクト層と
を備え、
前記トレンチコンタクト部の下端が前記エミッタ領域の下端よりも深く、
前記トレンチコンタクト部の側壁において、前記半導体基板のおもて面に前記エミッタ領域が露出しており、
前記トレンチコンタクト部の側壁において、前記エミッタ領域と前記コンタクト層とが接触しており、
前記配列方向において、前記トレンチコンタクト部の側壁底部から前記コンタクト層の外周面までの最大距離は、前記コンタクト層と前記複数のトレンチ部のうち隣接するトレンチ部との最短距離よりも大きい
半導体装置。
【請求項2】
半導体基板に設けられた第1導電型のドリフト領域と、
前記ドリフト領域の上方に設けられた第2導電型のベース領域と、
前記ベース領域の上方に設けられた第1導電型のエミッタ領域と、
前記半導体基板のおもて面側において、予め定められた配列方向に配列された複数のトレンチ部と、
前記複数のトレンチ部のうち隣接する2つのトレンチ部の間において、前記半導体基板のおもて面側に設けられたトレンチコンタクト部と、
前記トレンチコンタクト部の下方に設けられ、前記ベース領域よりも高ドーピング濃度である第2導電型のコンタクト層と
を備え、
前記トレンチコンタクト部の下端が前記エミッタ領域の下端よりも深く、
前記トレンチコンタクト部の側壁において、前記半導体基板のおもて面に前記エミッタ領域が露出しており、
前記トレンチコンタクト部の側壁において、前記エミッタ領域と前記コンタクト層とが接触しており、
前記トレンチコンタクト部は、前記複数のトレンチ部の延伸方向に延伸して設けられ、
前記トレンチコンタクト部の前記延伸方向における端部である終端部の側壁には、前記コンタクト層が設けられており、
前記終端部の側壁は、第2導電型の領域で覆われており、
前記半導体基板のおもて面において、前記ベース領域よりも高ドーピング濃度である第2導電型のコンタクト領域を備え、
前記終端部の側壁は、前記コンタクト領域、前記ベース領域および前記コンタクト層で覆われている
半導体装置。
【請求項3】
半導体基板に設けられた第1導電型のドリフト領域と、
前記ドリフト領域の上方に設けられた第2導電型のベース領域と、
前記ベース領域の上方に設けられた第1導電型のエミッタ領域と、
前記半導体基板のおもて面側において、予め定められた配列方向に配列された複数のトレンチ部と、
前記複数のトレンチ部のうち隣接する2つのトレンチ部の間において、前記半導体基板のおもて面側に設けられたトレンチコンタクト部と、
前記トレンチコンタクト部の下方に設けられ、前記ベース領域よりも高ドーピング濃度である第2導電型のコンタクト層と
を備え、
前記トレンチコンタクト部の下端が前記エミッタ領域の下端よりも深く、
前記トレンチコンタクト部の側壁において、前記半導体基板のおもて面に前記エミッタ領域が露出しており、
前記トレンチコンタクト部の側壁において、前記エミッタ領域と前記コンタクト層とが接触しており、
前記コンタクト層は、
前記トレンチコンタクト部の側壁に接し、底面と離間するように設けられた第1コンタクト層と、
前記第1コンタクト層の下方において、前記トレンチコンタクト部の前記側壁および前記底面に接するように設けられた第2コンタクト層と
を有する半導体装置。
【請求項4】
前記エミッタ領域は、前記第1コンタクト層と接触している
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記配列方向において、前記エミッタ領域の下端と前記ベース領域とが接する長さは、前記コンタクト層と前記複数のトレンチ部のうち隣接するトレンチ部との最短距離よりも大きい
請求項1から4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記配列方向において、前記トレンチコンタクト部の側壁底部から前記コンタクト層の外周面までの最大距離は、前記コンタクト層と前記複数のトレンチ部のうち隣接するトレンチ部との最短距離よりも大きい
請求項2から4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記コンタクト層と前記複数のトレンチ部のうち隣接するトレンチ部との最短距離は、0.1μm以上である
請求項1から6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記コンタクト層は、前記エミッタ領域の下端よりも前記半導体基板のおもて面側に延伸した延伸領域を有する
請求項1から7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記トレンチコンタクト部は、略平面形状の底面を有する
請求項1から8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記トレンチコンタクト部は、前記半導体基板の裏面側に窪んだ凹状の底面を有する
請求項1から8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記コンタクト層は、
前記トレンチコンタクト部の側壁に設けられた第1コンタクト層と、
前記トレンチコンタクト部の側壁において、前記第1コンタクト層の下方に設けられた第2コンタクト層と
を有する請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1コンタクト層と、前記複数のトレンチ部のうち隣接するトレンチ部との最短距離は、前記第2コンタクト層と、前記複数のトレンチ部のうち隣接するトレンチ部との最短距離よりも大きい
請求項3、4または11のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1コンタクト層のドーピング濃度は、前記第2コンタクト層のドーピング濃度よりも低い
請求項3、4、11または12のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記トレンチコンタクト部は、前記複数のトレンチ部の延伸方向に延伸して設けられ、
前記トレンチコンタクト部の前記延伸方向における端部である終端部の側壁には、前記コンタクト層が設けられている
請求項1、3または4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記終端部の側壁は、前記エミッタ領域および前記コンタクト層で覆われている
請求項2または14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記終端部の側壁は、第2導電型の領域で覆われている
請求項14に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記半導体基板のおもて面において、前記ベース領域よりも高ドーピング濃度である第2導電型のコンタクト領域を備え、
前記終端部の側壁は、前記コンタクト領域、前記ベース領域および前記コンタクト層で覆われている
請求項16に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記半導体基板のおもて面において、前記ベース領域よりも高ドーピング濃度である第2導電型のコンタクト領域を備え、
前記終端部の側壁は、前記コンタクト領域および前記コンタクト層で覆われている
請求項2または16に記載の半導体装置。
【請求項19】
半導体基板に第1導電型のドリフト領域を設ける段階と、
前記ドリフト領域の上方に第2導電型のベース領域を設ける段階と、
前記ベース領域の上方に第1導電型のエミッタ領域を設ける段階と、
前記半導体基板のおもて面側において、複数のトレンチ部を予め定められた配列方向に配列して設ける段階と、
前記複数のトレンチ部のうち隣接する2つのトレンチ部の間において、前記半導体基板のおもて面側にトレンチコンタクト部を設ける段階と、
前記トレンチコンタクト部の下方に、前記ベース領域よりも高ドーピング濃度である第2導電型のコンタクト層を設ける段階と
を備え、
前記トレンチコンタクト部の下端が前記エミッタ領域の下端よりも深く、
前記トレンチコンタクト部の側壁において、前記半導体基板のおもて面に前記エミッタ領域が露出しており、
前記トレンチコンタクト部の側壁において、前記エミッタ領域と前記コンタクト層とが接触しており、
前記配列方向において、前記トレンチコンタクト部の側壁底部から前記コンタクト層の外周面までの最大距離は、前記コンタクト層と前記複数のトレンチ部のうち隣接するトレンチ部との最短距離よりも大きい
半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記トレンチコンタクト部のコンタクトホールを設ける段階の後に、前記コンタクト層を形成するためにイオン注入する段階を備える
請求項19に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項21】
前記半導体基板の上方に酸化膜マスクを形成する段階と、
前記酸化膜マスクをマスクとして前記コンタクト層を形成するためにイオン注入する段階と
を備える請求項19または20に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項22】
前記トレンチコンタクト部の側壁に第1コンタクト層を形成する段階と、
前記トレンチコンタクト部の側壁において、前記第1コンタクト層の下方に第2コンタクト層を形成する段階と
を備え、
前記第1コンタクト層を形成するためのイオン注入の注入幅は、前記第2コンタクト層を形成するためのイオン注入の注入幅よりも小さい
請求項19から21のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項23】
前記トレンチコンタクト部の側壁に第1コンタクト層を形成する段階と、
前記トレンチコンタクト部の側壁において、前記第1コンタクト層の下方に第2コンタクト層を形成する段階と
を備え、
前記第1コンタクト層のドーピング濃度は、前記第2コンタクト層のドーピング濃度よりも小さい
請求項19から21のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項24】
前記ドリフト領域の前記半導体基板おもて面側に設けられ、前記ドリフト領域よりもドーピング濃度が大きい第1導電型の蓄積領域を備える
請求項1から18のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項25】
前記ドリフト領域の前記半導体基板おもて面側に、前記ドリフト領域よりもドーピング濃度が大きい第1導電型の蓄積領域を形成する段階を備える
請求項19から23のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トレンチコンタクト部を備える半導体装置が知られている(例えば、特許文献1-3参照)。
特許文献1 特開2014-158013号公報
特許文献2 特開2013-065724号公報
特許文献3 国際公開第2018/052099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
トレンチコンタクト部を備える半導体装置の破壊耐量の改善が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、半導体基板に設けられた第1導電型のドリフト領域と、ドリフト領域の上方に設けられた第2導電型のベース領域と、ベース領域の上方に設けられた第1導電型のエミッタ領域と、半導体基板のおもて面側において、予め定められた配列方向に配列された複数のトレンチ部と、複数のトレンチ部のうち隣接する2つのトレンチ部の間において、半導体基板のおもて面側に設けられたトレンチコンタクト部と、トレンチコンタクト部の下方に設けられ、ベース領域よりも高ドーピング濃度である第2導電型のコンタクト層とを備え、トレンチコンタクト部の下端がエミッタ領域の下端よりも深く、トレンチコンタクト部の側壁において、エミッタ領域とコンタクト層とが接触している半導体装置を提供する。
【0005】
配列方向において、エミッタ領域の下端とベース領域とが接する長さは、コンタクト層と複数のトレンチ部のうち隣接するトレンチ部との最短距離よりも大きくてよい。
【0006】
配列方向において、トレンチコンタクト部の側壁底部からコンタクト層の外周面までの最大距離は、コンタクト層と複数のトレンチ部のうち隣接するトレンチ部との最短距離よりも大きくてよい。
【0007】
コンタクト層と複数のトレンチ部のうち隣接するトレンチ部との最短距離は、0.1μm以上であってよい。
【0008】
コンタクト層は、エミッタ領域の下端よりも半導体基板のおもて面側に延伸した延伸領域を有してよい。
【0009】
トレンチコンタクト部は、略平面形状の底面を有してよい。
【0010】
トレンチコンタクト部は、半導体基板の裏面側に窪んだ凹状の底面を有してよい。
【0011】
コンタクト層は、トレンチコンタクト部の側壁に設けられた第1コンタクト層と、トレンチコンタクト部の側壁において、第1コンタクト層の下方に設けられた第2コンタクト層とを有してよい。
【0012】
第1コンタクト層と、複数のトレンチ部のうち隣接するトレンチ部との最短距離は、第2コンタクト層と、複数のトレンチ部のうち隣接するトレンチ部との最短距離よりも大きくてよい。
【0013】
第1コンタクト層のドーピング濃度は、第2コンタクト層のドーピング濃度よりも低くてよい。
【0014】
トレンチコンタクト部は、複数のトレンチ部の延伸方向に延伸して設けられてよい。トレンチコンタクト部の延伸方向における端部である終端部の側壁には、コンタクト層が設けられてよい。
【0015】
終端部の側壁は、エミッタ領域およびコンタクト層で覆われていてよい。
【0016】
終端部の側壁は、第2導電型の領域で覆われていてよい。
【0017】
半導体基板のおもて面において、ベース領域よりも高ドーピング濃度である第2導電型のコンタクト領域を備えてよい。終端部の側壁は、コンタクト領域、ベース領域およびコンタクト層で覆われていてよい。
【0018】
半導体基板のおもて面において、ベース領域よりも高ドーピング濃度である第2導電型のコンタクト領域を備えてよい。終端部の側壁は、コンタクト領域およびコンタクト層で覆われていてよい。
【0019】
本発明の第2の態様においては、半導体基板に第1導電型のドリフト領域を設ける段階と、ドリフト領域の上方に第2導電型のベース領域を設ける段階と、ベース領域の上方に第1導電型のエミッタ領域を設ける段階と、半導体基板のおもて面側において、複数のトレンチ部を予め定められた配列方向に配列して設ける段階と、複数のトレンチ部のうち隣接する2つのトレンチ部の間において、半導体基板のおもて面側にトレンチコンタクト部を設ける段階と、トレンチコンタクト部の下方に、ベース領域よりも高ドーピング濃度である第2導電型のコンタクト層を設ける段階とを備え、トレンチコンタクト部の下端がエミッタ領域の下端よりも深く、トレンチコンタクト部の側壁において、エミッタ領域とコンタクト層とが接触している半導体装置の製造方法を提供する。
【0020】
半導体装置の製造方法は、トレンチコンタクト部のコンタクトホールを設ける段階の後に、コンタクト層を形成するためにイオン注入する段階を備えてよい。
【0021】
半導体装置の製造方法は、半導体基板の上方に酸化膜マスクを形成する段階と、酸化膜マスクをマスクとしてコンタクト層を形成するためにイオン注入する段階とを備えてよい。
【0022】
半導体装置の製造方法は、トレンチコンタクト部の側壁に第1コンタクト層を形成する段階と、トレンチコンタクト部の側壁において、第1コンタクト層の下方に第2コンタクト層を形成する段階とを備えてよい。第1コンタクト層を形成するためのイオン注入の注入幅は、第2コンタクト層を形成するためのイオン注入の注入幅よりも小さくてよい。
【0023】
半導体装置の製造方法は、トレンチコンタクト部の側壁に第1コンタクト層を形成する段階と、トレンチコンタクト部の側壁において、第1コンタクト層の下方に第2コンタクト層を形成する段階とを備えてよい。第1コンタクト層のドーピング濃度は、第2コンタクト層のドーピング濃度よりも小さくてよい。
【0024】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1A】実施例に係る半導体装置100の上面図の一例を示す。
図1B図1Aにおけるa-a'断面の一例を示す図である。
図1C図1Aにおけるb-b'断面の一例を示す図である。
図1D】トレンチコンタクト部27近傍の拡大図の一例を示す。
図1E】トレンチコンタクト部27の周辺のドーピング濃度分布の一例を示す。
図1F】終端部28の近傍を拡大した断面図の一例を示す。
図2】トレンチコンタクト部27近傍の拡大図の一例を示す。
図3】終端部28の近傍を拡大した断面図の一例を示す。
図4A】実施例に係る半導体装置100の上面図の一例を示す。
図4B図4Aの終端部28の近傍を拡大した断面図の一例を示す。
図5】1段構成のコンタクト層19の製造方法の一例を示す。
図6】2段構成のコンタクト層19の製造方法の一例を示す。
図7】比較例に係る半導体装置500の構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0027】
本明細書においては、半導体基板の深さ方向と平行な方向における一方の側を「上」、他方の側を「下」と称する。基板、層またはその他の部材の2つの主面のうち、一方の面を上面、他方の面を下面と称する。「上」、「下」、「おもて」、「裏」の方向は重力方向、または、半導体装置の実装時における基板等への取り付け方向に限定されない。
【0028】
本明細書では、X軸、Y軸およびZ軸の直交座標軸を用いて技術的事項を説明する場合がある。本明細書では、半導体基板の上面と平行な面をXY面とし、半導体基板の深さ方向をZ軸とする。なお、本明細書において、Z軸方向に半導体基板を視た場合について平面視と称する。
【0029】
各実施例においては、第1導電型をN型、第2導電型をP型とした例を示しているが、第1導電型をP型、第2導電型をN型としてもよい。この場合、各実施例における基板、層、領域等の導電型は、それぞれ逆の極性となる。
【0030】
本明細書では、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および-は、それぞれ、それが付されていない層や領域よりも高ドーピング濃度および低ドーピング濃度であることを意味し、++は+よりも高ドーピング濃度、--は-よりも低ドーピング濃度であることを意味する。
【0031】
本明細書においてドーピング濃度とは、ドナーまたはアクセプタ化したドーパントの濃度を指す。したがって、その単位は、/cmである。本明細書において、ドナーおよびアクセプタの濃度差(すなわちネットドーピング濃度)をドーピング濃度とする場合がある。この場合、ドーピング濃度はSR法で測定できる。また、ドナーおよびアクセプタの化学濃度をドーピング濃度としてもよい。この場合、ドーピング濃度はSIMS法で測定できる。特に限定していなければ、ドーピング濃度として、上記のいずれを用いてもよい。特に限定していなければ、ドーピング領域におけるドーピング濃度分布のピーク値を、当該ドーピング領域におけるドーピング濃度としてよい。
【0032】
また、本明細書においてドーズ量とは、イオン注入を行う際に、ウェーハに注入される単位面積あたりのイオンの個数をいう。したがって、その単位は、/cmである。なお、半導体領域のドーズ量は、その半導体領域の深さ方向にわたってドーピング濃度を積分した積分濃度とすることができる。その積分濃度の単位は、/cmである。したがって、ドーズ量と積分濃度とを同じものとして扱ってよい。積分濃度は、半値幅までの積分値としてもよく、他の半導体領域のスペクトルと重なる場合には、他の半導体領域の影響を除いて導出してよい。
【0033】
よって、本明細書では、ドーピング濃度の高低をドーズ量の高低として読み替えることができる。即ち、一の領域のドーピング濃度が他の領域のドーピング濃度よりも高い場合、当該一の領域のドーズ量が他の領域のドーズ量よりも高いものと理解することができる。
【0034】
図1Aは、実施例に係る半導体装置100の上面図の一例を示す。本例の半導体装置100は、トランジスタ部70およびダイオード部80を備える半導体チップである。例えば、半導体装置100は、逆導通IGBT(RC-IGBT:Reverse Conducting IGBT)である。なお、半導体装置100は、IGBTであっても、MOSトランジスタであってもよい。
【0035】
トランジスタ部70は、半導体基板10の裏面側に設けられたコレクタ領域22を半導体基板10の上面に投影した領域である。コレクタ領域22は、第2導電型を有する。本例のコレクタ領域22は、一例としてP+型である。トランジスタ部70は、IGBT等のトランジスタを含む。トランジスタ部70は、トランジスタ部70とダイオード部80の境界に位置する境界部90を含む。
【0036】
ダイオード部80は、半導体基板10の裏面側に設けられたカソード領域82を半導体基板10の上面に投影した領域である。カソード領域82は、第1導電型を有する。本例のカソード領域82は、一例としてN+型である。ダイオード部80は、半導体基板10の上面においてトランジスタ部70と隣接して設けられた還流ダイオード(FWD:Free Wheel Diode)等のダイオードを含む。
【0037】
図1Aにおいては、半導体装置100のエッジ側であるチップ端部周辺の領域を示しており、他の領域を省略している。例えば、本例の半導体装置100のY軸方向の負側の領域には、エッジ終端構造部が設けられてよい。エッジ終端構造部は、半導体基板10の上面側の電界集中を緩和する。エッジ終端構造部は、例えばガードリング、フィールドプレート、リサーフおよびこれらを組み合わせた構造を有する。なお、本例では、便宜上、Y軸方向の負側のエッジについて説明するものの、半導体装置100の他のエッジについても同様である。
【0038】
半導体基板10は、シリコン基板であってよく、炭化シリコン基板であってよく、窒化ガリウム等の窒化物半導体基板等であってもよい。本例の半導体基板10は、シリコン基板である。
【0039】
本例の半導体装置100は、半導体基板10のおもて面21において、ゲートトレンチ部40と、ダミートレンチ部30と、エミッタ領域12と、ベース領域14と、コンタクト領域15と、ウェル領域17とを備える。おもて面21については後述する。また、本例の半導体装置100は、半導体基板10のおもて面21の上方に設けられたエミッタ電極52およびゲート金属層50を備える。
【0040】
エミッタ電極52は、ゲートトレンチ部40、ダミートレンチ部30、エミッタ領域12、ベース領域14、コンタクト領域15およびウェル領域17の上方に設けられている。また、ゲート金属層50は、ゲートトレンチ部40およびウェル領域17の上方に設けられている。
【0041】
エミッタ電極52およびゲート金属層50は、金属を含む材料で形成される。例えば、エミッタ電極52の少なくとも一部の領域は、アルミニウム、アルミニウム‐シリコン合金、またはアルミニウム‐シリコン-銅合金で形成されてよい。ゲート金属層50の少なくとも一部の領域は、アルミニウム、アルミニウム‐シリコン合金、またはアルミニウム‐シリコン-銅合金で形成されてよい。エミッタ電極52およびゲート金属層50は、アルミニウム等で形成された領域の下層にチタンやチタン化合物等で形成されたバリアメタルを有してよい。エミッタ電極52およびゲート金属層50は、互いに分離して設けられる。
【0042】
エミッタ電極52およびゲート金属層50は、層間絶縁膜38を挟んで、半導体基板10の上方に設けられる。層間絶縁膜38は、図1Aでは省略されている。層間絶縁膜38には、コンタクトホール54、コンタクトホール55およびコンタクトホール56が貫通して設けられている。
【0043】
コンタクトホール55は、ゲート金属層50とトランジスタ部70内のゲート導電部とを接続する。コンタクトホール55の内部には、タングステン等で形成されたプラグが形成されてもよい。
【0044】
コンタクトホール56は、エミッタ電極52とダミートレンチ部30内のダミー導電部とを接続する。コンタクトホール56の内部には、タングステン等で形成されたプラグが形成されてもよい。
【0045】
接続部25は、エミッタ電極52またはゲート金属層50等のおもて面側電極と、半導体基板10とを電気的に接続する。一例において、接続部25は、ゲート金属層50とゲート導電部との間に設けられる。接続部25は、エミッタ電極52とダミー導電部との間にも設けられている。接続部25は、不純物がドープされたポリシリコン等の、導電性を有する材料である。ここでは、接続部25は、N型の不純物がドープされたポリシリコン(N+)である。接続部25は、酸化膜等の絶縁膜等を介して、半導体基板10のおもて面21の上方に設けられる。
【0046】
ゲートトレンチ部40は、予め定められた配列方向(本例ではX軸方向)に沿って予め定められた間隔で配列される。本例のゲートトレンチ部40は、半導体基板10のおもて面21に平行であって配列方向と垂直な延伸方向(本例ではY軸方向)に沿って延伸する2つの延伸部分41と、2つの延伸部分41を接続する接続部分43を有してよい。
【0047】
接続部分43は、少なくとも一部が曲線状に形成されることが好ましい。ゲートトレンチ部40の2つの延伸部分41の端部を接続することで、延伸部分41の端部における電界集中を緩和できる。ゲートトレンチ部40の接続部分43において、ゲート金属層50がゲート導電部と接続されてよい。
【0048】
ダミートレンチ部30は、エミッタ電極52と電気的に接続されたトレンチ部である。ダミートレンチ部30は、ゲートトレンチ部40と同様に、予め定められた配列方向(本例ではX軸方向)に沿って予め定められた間隔で配列される。本例のダミートレンチ部30は、ゲートトレンチ部40と同様に、半導体基板10のおもて面21においてU字形状を有してよい。即ち、ダミートレンチ部30は、延伸方向に沿って延伸する2つの延伸部分31と、2つの延伸部分31を接続する接続部分33を有してよい。
【0049】
本例のトランジスタ部70は、2つのゲートトレンチ部40と3つのダミートレンチ部30を繰り返し配列させた構造を有する。即ち、本例のトランジスタ部70は、2:3の比率でゲートトレンチ部40とダミートレンチ部30を有している。例えば、トランジスタ部70は、2本の延伸部分41の間に1本の延伸部分31を有する。また、トランジスタ部70は、ゲートトレンチ部40と隣接して、2本の延伸部分31を有している。
【0050】
但し、ゲートトレンチ部40とダミートレンチ部30の比率は本例に限定されない。ゲートトレンチ部40とダミートレンチ部30の比率は、1:1であってもよく、2:4であってもよい。また、トランジスタ部70においてダミートレンチ部30を設けず、全てゲートトレンチ部40としたいわゆるフルゲート構造としてもよい。
【0051】
ウェル領域17は、後述するドリフト領域18よりも半導体基板10のおもて面21側に設けられた第2導電型の領域である。ウェル領域17は、半導体装置100のエッジ側に設けられるウェル領域の一例である。ウェル領域17は、一例としてP+型である。ウェル領域17は、ゲート金属層50が設けられる側の活性領域の端部から、予め定められた範囲で形成される。ウェル領域17の拡散深さは、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の深さよりも深くてよい。ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の、ゲート金属層50側の一部の領域は、ウェル領域17に形成される。ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の延伸方向の端の底は、ウェル領域17に覆われてよい。
【0052】
コンタクトホール54は、トランジスタ部70において、エミッタ領域12およびコンタクト領域15の各領域の上方に形成される。また、コンタクトホール54は、ダイオード部80において、コンタクト領域15の上方に設けられる。コンタクトホール54は、境界部90において、コンタクト領域15の上方に設けられる。コンタクトホール54は、ダイオード部80において、ベース領域14の上方に設けられる。いずれのコンタクトホール54も、Y軸方向両端に設けられたウェル領域17の上方には設けられていない。このように、層間絶縁膜には、1又は複数のコンタクトホール54が形成されている。1又は複数のコンタクトホール54は、延伸方向に延伸して設けられてよい。
【0053】
トレンチコンタクト部27は、エミッタ電極52と半導体基板10とを電気的に接続する。トレンチコンタクト部27は、コンタクトホール54に設けられている。トレンチコンタクト部27は、延伸方向に延伸して設けられている。
【0054】
終端部28は、トレンチコンタクト部27における延伸方向の端部である。終端部28は、メサ部71において、おもて面21にコンタクト領域15が形成された領域に設けられる。終端部28は、メサ部81またはメサ部91において、おもて面21にコンタクト領域15が形成された領域に設けられてもよい。
【0055】
境界部90は、トランジスタ部70に設けられ、ダイオード部80と隣接する領域である。境界部90は、コンタクト領域15を有する。本例の境界部90は、エミッタ領域12を有さない。一例において、境界部90のトレンチ部は、ダミートレンチ部30である。本例の境界部90は、X軸方向における両端がダミートレンチ部30となるように配置されている。
【0056】
メサ部71、メサ部91およびメサ部81は、半導体基板10のおもて面21と平行な面内において、トレンチ部に隣接して設けられたメサ部である。メサ部とは、隣り合う2つのトレンチ部に挟まれた半導体基板10の部分であって、半導体基板10のおもて面21から、各トレンチ部の最も深い底部の深さまでの部分であってよい。各トレンチ部の延伸部分を1つのトレンチ部としてよい。即ち、2つの延伸部分に挟まれる領域をメサ部としてよい。
【0057】
メサ部71は、トランジスタ部70において、ダミートレンチ部30またはゲートトレンチ部40の少なくとも1つに隣接して設けられる。メサ部71は、半導体基板10のおもて面21において、ウェル領域17と、エミッタ領域12と、ベース領域14と、コンタクト領域15とを有する。メサ部71では、エミッタ領域12およびコンタクト領域15が延伸方向において交互に設けられている。
【0058】
メサ部91は、境界部90に設けられている。メサ部91は、半導体基板10のおもて面21において、コンタクト領域15を有する。本例のメサ部91は、Y軸方向の負側において、ベース領域14およびウェル領域17を有する。
【0059】
メサ部81は、ダイオード部80において、隣り合うダミートレンチ部30に挟まれた領域に設けられる。メサ部81は、半導体基板10のおもて面21において、コンタクト領域15を有する。本例のメサ部81は、Y軸方向の負側において、ベース領域14およびウェル領域17を有する。
【0060】
ベース領域14は、トランジスタ部70およびダイオード部80において、半導体基板10のおもて面21側に設けられた第2導電型の領域である。ベース領域14は、一例としてP-型である。ベース領域14は、半導体基板10のおもて面21において、メサ部71およびメサ部91のY軸方向における両端部に設けられてよい。なお、図1Aは、当該ベース領域14のY軸方向の一方の端部のみを示している。
【0061】
エミッタ領域12は、ドリフト領域18よりもドーピング濃度の高い第1導電型の領域である。本例のエミッタ領域12は、一例としてN+型である。エミッタ領域12のドーパントの一例はヒ素(As)である。エミッタ領域12は、メサ部71のおもて面21において、ゲートトレンチ部40と接して設けられる。エミッタ領域12は、メサ部71を挟んだ2本のトレンチ部の一方から他方まで、X軸方向に延伸して設けられてよい。エミッタ領域12は、コンタクトホール54の下方にも設けられている。
【0062】
また、エミッタ領域12は、ダミートレンチ部30と接してもよいし、接しなくてもよい。本例のエミッタ領域12は、ダミートレンチ部30と接している。エミッタ領域12は、メサ部81およびメサ部91には設けられなくてよい。
【0063】
コンタクト領域15は、ベース領域14よりもドーピング濃度の高い第2導電型の領域である。本例のコンタクト領域15は、一例としてP+型である。本例のコンタクト領域15は、メサ部71、メサ部81およびメサ部91のおもて面21に設けられている。コンタクト領域15は、メサ部71、メサ部81またはメサ部91を挟んだ2本のトレンチ部の一方から他方まで、X軸方向に設けられてよい。コンタクト領域15は、ゲートトレンチ部40と接してもよいし、接しなくてもよい。また、コンタクト領域15は、ダミートレンチ部30と接してもよいし、接しなくてもよい。本例においては、コンタクト領域15が、ダミートレンチ部30およびゲートトレンチ部40と接する。コンタクト領域15は、コンタクトホール54の下方にも設けられている。
【0064】
図1Bは、図1Aにおけるa-a'断面の一例を示す図である。a-a'断面は、トランジスタ部70において、エミッタ領域12を通過するXZ面である。本例の半導体装置100は、a-a'断面において、半導体基板10、層間絶縁膜38、エミッタ電極52およびコレクタ電極24を有する。エミッタ電極52は、半導体基板10および層間絶縁膜38の上方に形成される。
【0065】
ドリフト領域18は、半導体基板10に設けられた第1導電型の領域である。本例のドリフト領域18は、一例としてN-型である。ドリフト領域18は、半導体基板10において他のドーピング領域が形成されずに残存した領域であってよい。即ち、ドリフト領域18のドーピング濃度は半導体基板10のドーピング濃度であってよい。
【0066】
バッファ領域20は、ドリフト領域18の下方に設けられた第1導電型の領域である。本例のバッファ領域20は、一例としてN型である。バッファ領域20のドーピング濃度は、ドリフト領域18のドーピング濃度よりも高い。バッファ領域20は、ベース領域14の下面側から広がる空乏層が、第2導電型のコレクタ領域22および第1導電型のカソード領域82に到達することを防ぐフィールドストップ層として機能してよい。
【0067】
コレクタ領域22は、トランジスタ部70において、バッファ領域20の下方に設けられる。カソード領域82は、ダイオード部80において、バッファ領域20の下方に設けられる。コレクタ領域22とカソード領域82との境界は、トランジスタ部70とダイオード部80との境界である。
【0068】
コレクタ電極24は、半導体基板10の裏面23に形成される。コレクタ電極24は、金属等の導電材料で形成される。
【0069】
ベース領域14は、メサ部71、メサ部91およびメサ部81において、ドリフト領域18の上方に設けられる第2導電型の領域である。ベース領域14は、ゲートトレンチ部40に接して設けられる。ベース領域14は、ダミートレンチ部30に接して設けられてよい。
【0070】
エミッタ領域12は、ベース領域14とおもて面21との間に設けられる。本例のエミッタ領域12は、メサ部71に設けられており、メサ部81およびメサ部91には設けられていない。エミッタ領域12は、ゲートトレンチ部40と接して設けられる。エミッタ領域12は、ダミートレンチ部30と接してもよいし、接しなくてもよい。
【0071】
コンタクト領域15は、メサ部81およびメサ部91において、ベース領域14の上方に設けられる。コンタクト領域15は、メサ部81およびメサ部91において、ダミートレンチ部30に接して設けられる。他の断面において、コンタクト領域15は、メサ部71のおもて面21に設けられてよい。
【0072】
トレンチコンタクト部27は、コンタクトホール54に充填された導電性の材料を有する。トレンチコンタクト部27は、複数のトレンチ部のうち隣接する2つのトレンチ部の間に設けられる。トレンチコンタクト部27は、おもて面21側において、コンタクト層19と接して設けられる。本例のトレンチコンタクト部27は、おもて面21からエミッタ領域12を貫通して設けられる。トレンチコンタクト部27は、エミッタ電極52と同一の材料を有してよい。
【0073】
トレンチコンタクト部27の下端は、エミッタ領域12の下端よりも深い。トレンチコンタクト部27を設けることにより、ベース領域14の抵抗が低減し、少数キャリア(例えば、正孔)の引き抜きしやすくなる。これにより、少数キャリアに起因するラッチアップ耐量などの破壊耐量を向上することができる。
【0074】
トレンチコンタクト部27は、略平面形状の底面を有する。トレンチコンタクト部27の底面は、コンタクト層19で覆われている。本例のトレンチコンタクト部27は、側壁が傾斜したテーパ形状を有する。但し、トレンチコンタクト部27の側壁は、おもて面21に対して、略垂直に設けられてもよい。
【0075】
コンタクト層19は、トレンチコンタクト部27の下方に設けられる。コンタクト層19は、ベース領域14よりもドーピング濃度の高い第2導電型の領域である。本例のコンタクト層19は、一例としてP+型である。例えば、コンタクト層19は、ボロン(B)またはフッ化ボロン(BF)をイオン注入することにより形成される。コンタクト層19は、コンタクト領域15と同一のドーピング濃度であってよい。コンタクト層19は、少数キャリアを引き抜くことにより、ラッチアップを抑制する。
【0076】
コンタクト層19は、トレンチコンタクト部27の側壁および底面に設けられる。本例のコンタクト層19は、メサ部71、メサ部81およびメサ部91のそれぞれに設けられている。コンタクト層19は、Y軸方向に延伸して設けられてよい。
【0077】
トレンチコンタクト部27の側壁において、エミッタ領域12とコンタクト層19とが接触している。本例のトレンチコンタクト部27の側壁は、エミッタ領域12およびコンタクト層19で覆われている。即ち、トレンチコンタクト部27は、ベース領域14と接触していない。
【0078】
本例では、エミッタ領域12とコンタクト層19とが接触していることにより、エミッタ領域12からのキャリアの注入を抑制して、破壊耐量を向上することができる。また、半導体装置100に大電流を流した場合であっても、コンタクト層19によって少数キャリアの引き抜き効率を向上させ、ベース領域14の電位を安定させることができる。
【0079】
蓄積領域16は、ドリフト領域18よりも半導体基板10のおもて面21側に設けられる第1導電型の領域である。本例の蓄積領域16は、一例としてN+型である。蓄積領域16は、トランジスタ部70およびダイオード部80に設けられる。但し、蓄積領域16が設けられなくてもよい。
【0080】
また、蓄積領域16は、ゲートトレンチ部40に接して設けられる。蓄積領域16は、ダミートレンチ部30に接してもよいし、接しなくてもよい。蓄積領域16のドーピング濃度は、ドリフト領域18のドーピング濃度よりも高い。蓄積領域16のイオン注入のドーズ量は、1E12cm-2以上、1E13cm-2以下であってよい。また、蓄積領域16のイオン注入ドーズ量は、3E12cm-2以上、6E12cm-2以下であってもよい。蓄積領域16を設けることで、キャリア注入促進効果(IE効果)を高めて、トランジスタ部70のオン電圧を低減できる。なお、Eは10のべき乗を意味し、例えば1E12cm-2は1×1012cm-2を意味する。
【0081】
1つ以上のゲートトレンチ部40および1つ以上のダミートレンチ部30は、おもて面21に設けられる。各トレンチ部は、おもて面21からドリフト領域18まで設けられる。エミッタ領域12、ベース領域14、コンタクト領域15および蓄積領域16の少なくともいずれかが設けられる領域においては、各トレンチ部はこれらの領域も貫通して、ドリフト領域18に到達する。トレンチ部がドーピング領域を貫通するとは、ドーピング領域を形成してからトレンチ部を形成する順序で製造したものに限定されない。トレンチ部を形成した後に、トレンチ部の間にドーピング領域を形成したものも、トレンチ部がドーピング領域を貫通しているものに含まれる。
【0082】
ゲートトレンチ部40は、おもて面21に形成されたゲートトレンチ、ゲート絶縁膜42およびゲート導電部44を有する。ゲート絶縁膜42は、ゲートトレンチの内壁を覆って形成される。ゲート絶縁膜42は、ゲートトレンチの内壁の半導体を酸化または窒化して形成してよい。ゲート導電部44は、ゲートトレンチの内部においてゲート絶縁膜42よりも内側に形成される。ゲート絶縁膜42は、ゲート導電部44と半導体基板10とを絶縁する。ゲート導電部44は、ポリシリコン等の導電材料で形成される。ゲートトレンチ部40は、おもて面21において層間絶縁膜38により覆われる。
【0083】
ゲート導電部44は、半導体基板10の深さ方向において、ゲート絶縁膜42を挟んでメサ部71側で隣接するベース領域14と対向する領域を含む。ゲート導電部44に所定の電圧が印加されると、ベース領域14のうちゲートトレンチに接する界面の表層に、電子の反転層によるチャネルが形成される。
【0084】
ダミートレンチ部30は、ゲートトレンチ部40と同一の構造を有してよい。ダミートレンチ部30は、おもて面21側に形成されたダミートレンチ、ダミー絶縁膜32およびダミー導電部34を有する。ダミー絶縁膜32は、ダミートレンチの内壁を覆って形成される。ダミー導電部34は、ダミートレンチの内部に形成され、且つ、ダミー絶縁膜32よりも内側に形成される。ダミー絶縁膜32は、ダミー導電部34と半導体基板10とを絶縁する。ダミートレンチ部30は、おもて面21において層間絶縁膜38により覆われる。
【0085】
層間絶縁膜38は、おもて面21に設けられている。層間絶縁膜38の上方には、エミッタ電極52が設けられている。層間絶縁膜38には、エミッタ電極52と半導体基板10とを電気的に接続するための1又は複数のコンタクトホール54が設けられている。コンタクトホール55およびコンタクトホール56も同様に、層間絶縁膜38を貫通して設けられてよい。
【0086】
図1Cは、図1Aにおけるb-b'断面の一例を示す図である。b-b'断面は、トランジスタ部70において、コンタクト領域15を通過するXZ面である。
【0087】
メサ部71は、b-b'断面において、ベース領域14と、コンタクト領域15と、蓄積領域16と、コンタクト層19とを有する。メサ部91は、a-a'断面の場合と同様に、ベース領域14と、コンタクト領域15と、蓄積領域16と、コンタクト層19とを有する。b-b'断面において、メサ部71は、メサ部91と同一の構造を有している。メサ部81は、a-a'断面の場合と同様に、ベース領域14と、コンタクト領域15と、蓄積領域16と、コンタクト層19とを有する。
【0088】
図1Dは、トレンチコンタクト部27近傍の拡大図の一例を示す。本例では、ダミートレンチ部30とゲートトレンチ部40との間のメサ部71を用いて説明するが、メサ部81またはメサ部91も同様の構造であってよい。
【0089】
メサ幅Wは、メサ部のX軸方向の幅である。メサ部71、メサ部81およびメサ部91は、同一のメサ幅Wを有してよい。本例のメサ幅Wは、0.8μm以上、1.5μm以下である。
【0090】
長さAは、配列方向において、エミッタ領域12の下端とベース領域14とが接する長さである。例えば、長さAは、0.1μmよりも大きく、0.3μmよりも小さい。
【0091】
長さBは、コンタクト層19と複数のトレンチ部のうち隣接するトレンチ部との最短距離である。コンタクト層19は、チャネルを形成するために、隣接するトレンチ部と離間して設けられる。例えば、長さBは、0.1μm以上である。これにより、ゲート閾値電圧Vthに対する影響を回避しつつ、破壊耐量を向上できる。
【0092】
長さAは、長さBよりも大きい。即ち、エミッタ領域12の下面よりも、少数キャリアが通過するベース領域14の幅の方が小さい。これにより、少数キャリアがエミッタ領域12の近傍まで移動する前に、コンタクト層19で少数キャリアを引き抜きやすくなる。
【0093】
延伸領域Eは、コンタクト層19において、エミッタ領域12の下端よりもおもて面21側に延伸した領域である。延伸領域Eを設けることにより、エミッタ領域12とコンタクト層19を確実に接触させることができる。また、少数キャリアの引き抜き効率が向上するので、ラッチアップを抑制しやすくなる。
【0094】
長さCは、コンタクト層19の上端深さとエミッタ領域12の下端深さとの差分である。即ち、長さCは、延伸領域Eのエミッタ領域12への延伸量を指す。長さCが大きいほど、コンタクト層19がエミッタ領域12に延伸していることを示す。
【0095】
長さDは、配列方向における、トレンチコンタクト部27の側壁底部29からコンタクト層19の外周面までの最大距離である。本例の長さDは、長さBよりも大きい。即ち、コンタクト層19は、トレンチコンタクト部27の側壁底部29よりもトレンチ部の近くまで延伸している。これにより、少数キャリアをコンタクト層19に誘導しやすくなり、コンタクト層19とトレンチ部の間を通過して、エミッタ領域12に向かう少数キャリアの量を抑制することができる。
【0096】
トレンチコンタクト部27は、裏面23側に窪んだ凹状の底面を有する。本例のトレンチコンタクト部27の凹状の底面は、側壁底部29からトレンチコンタクト部27の中心に向かって窪んでいる。トレンチコンタクト部27の底面は、円弧状に窪んでもよい。トレンチコンタクト部27の凹状の底面は、トレンチコンタクト部27のコンタクトホール54を形成するためのエッチングによって形成される。
【0097】
長さL1は、エミッタ領域12の下端とトレンチコンタクト部27の底面との差である。長さL1が大きいほど、トレンチコンタクト部27がエミッタ領域12から延伸して設けられることになり、少数キャリアを引き抜きやすくなる。本例の半導体装置100は、コンタクト層19をエミッタ領域12と接触させているので、長さL1が大きくなった場合であっても、エミッタ領域12からのキャリアの注入を抑制できる。
【0098】
長さL2は、おもて面21からダミー導電部34の上端またはゲート導電部44の上端までの距離である。ダミー導電部34またはゲート導電部44が上端に窪みを有する場合、長さL2は、おもて面21からダミー導電部34またはゲート導電部44の最上端までの距離であってよい。例えば、長さL2は、0.1μm以上、0.4μm以下である。
【0099】
深さD12は、おもて面21からエミッタ領域12の下端までの深さである。例えば、深さD12は、0.3μm以上、0.7μm以下である。深さD12は、長さL2よりも大きくてよい。即ち、エミッタ領域12は、おもて面21から、ダミー導電部34またはゲート導電部44と対向する深さまで延伸して設けられている。
【0100】
深さD27は、おもて面21からトレンチコンタクト部27の底面までの深さである。本例の深さD27は、おもて面21からトレンチコンタクト部27の側壁の下端までの深さである。深さD27は、深さD12よりも大きい。例えば、深さD27は、0.5μm以上、1.0μm以下である。
【0101】
図1Eは、トレンチコンタクト部27の周辺のドーピング濃度分布の一例を示す。縦軸はドーピング濃度(cm-2)を示し、横軸はコンタクト層19の上端から深さ方向への距離(μm)を示す。実線は、Z-Z'位置におけるドーピング濃度分布を示す。破線は、実線と同じ深さのエミッタ領域12のドーピング濃度を示す。
【0102】
コンタクト層19は、トレンチコンタクト部27越しにイオン注入することにより形成される。コンタクト層19は、1つのピークを有するが、複数のピークを有してもよい。コンタクト層19のピーク位置は、エミッタ領域12の下端よりも深い位置に形成されてよい。本例のコンタクト層19のピークは、およそ1E20cm-2である。
【0103】
なお、本例のドーピング濃度の分布は、あくまで一例である。本願明細書に開示された半導体装置100を実現するために、ドーピング濃度のピークの大きさおよび深さ等が適宜変更されてよい。
【0104】
図1Fは、終端部28の近傍を拡大した断面図の一例を示す。同図は、終端部28を通過するXZ面を示している。
【0105】
トレンチコンタクト部27の終端部28の側壁は、第2導電型の領域で覆われている。本例のトレンチコンタクト部27の終端部28の側壁は、コンタクト領域15およびコンタクト層19で覆われている。このように、コンタクト層19は、エミッタ領域12に接触して設けられてもよいし、コンタクト領域15に接触して設けられてもよい。
【0106】
長さA'は、配列方向において、コンタクト領域15の下端とベース領域14とが接する長さである。例えば、長さA'は、0.1μmよりも大きく、0.3μmよりも小さい。
【0107】
深さD15は、おもて面21からコンタクト領域15の下端までの深さである。例えば、深さD15は、0.3μm以上、0.7μm以下である。深さD15は、長さL2よりも大きくてよい。また、深さD15は、エミッタ領域12の深さD12と同一であっても、異なっていてもよい。
【0108】
図2は、トレンチコンタクト部27近傍の拡大図の一例を示す。本例のコンタクト層19は、コンタクト層19aおよびコンタクト層19bの2段のコンタクト層を含む。コンタクト層19aは第1コンタクト層の一例であり、コンタクト層19bは第2コンタクト層の一例である。
【0109】
コンタクト層19aは、トレンチコンタクト部27の側壁に設けられている。コンタクト層19aは、エミッタ領域12と接して設けられている。コンタクト層19aは、エミッタ領域12の下端よりもおもて面21に延伸した延伸領域Eを有する。トレンチコンタクト部27がエミッタ領域12から裏面23側に突出して設けられている場合であっても、コンタクト層19aがエミッタ領域12と接触する。そのため、少数キャリアの引き抜き効率を向上させてラッチアップを抑制できる。
【0110】
コンタクト層19bは、トレンチコンタクト部27の側壁において、コンタクト層19aの下方に設けられている。コンタクト層19bは、トレンチコンタクト部27の側壁において、コンタクト層19aと接して設けられている。即ち、トレンチコンタクト部27の側壁は、エミッタ領域12、コンタクト層19aおよびコンタクト層19bで覆われている。
【0111】
コンタクト層19aのドーピング濃度は、コンタクト層19bのドーピング濃度と同一であってよい。また、コンタクト層19aおよびコンタクト層19bのドーピング濃度は、コンタクト領域15のドーピング濃度と同一であってもよい。また、コンタクト層19aのドーピング濃度は、コンタクト層19bのドーピング濃度よりも低くてよい。
【0112】
長さB1は、コンタクト層19aと複数のトレンチ部のうち隣接するトレンチ部との最短距離である。長さB2は、コンタクト層19bと複数のトレンチ部のうち隣接するトレンチ部との最短距離である。長さB1は、長さB2よりも大きい。これにより、コンタクト層19bは、少数キャリアを確実に引き抜くことができる。
【0113】
図3は、終端部28の近傍を拡大した断面図の一例を示す。同図は、終端部28を通過するXZ面を示している。本例では、図1Dの断面図と相違する点について特に説明する。
【0114】
終端部28の側壁は、第2導電型の領域で覆われている。本例の終端部28の側壁には、コンタクト層19が設けられている。終端部28の側壁は、ベース領域14、コンタクト領域15およびコンタクト層19で覆われている。このように、おもて面21にコンタクト領域15が設けられている場合、コンタクト層19がコンタクト領域15と離間して設けられてもよい。
【0115】
図4Aは、実施例に係る半導体装置100の上面図の一例を示す。本例の半導体装置100は、おもて面21の終端部28がエミッタ領域12に設けられている点で、図1Aの上面図と相違する。本例では、図1Aの上面図と相違する点について特に説明する。
【0116】
ベース領域14は、メサ部71において、エミッタ領域12と隣接して設けられている。エミッタ領域12およびコンタクト領域15は、おもて面21において、Y軸方向に交互に設けられている。本例の終端部28は、エミッタ領域12が形成された領域に設けられている。
【0117】
図4Bは、図4Aの終端部28の近傍を拡大した断面図の一例を示す。同図は、終端部28を通過するXZ面を示している。本例の半導体装置100は、終端部28のおもて面21にエミッタ領域12が設けられている点で、図1Fの断面図と相違する。本例では、図1Fの断面図と相違する点について特に説明する。
【0118】
トレンチコンタクト部27の終端部28の側壁は、エミッタ領域12およびコンタクト層19で覆われている。図4Bで示したように、コンタクト層19がエミッタ領域12と接して設けられている。
【0119】
図5は、1段構成のコンタクト層19の製造方法の一例を示す。
【0120】
ステップS100において、半導体基板10にエミッタ領域12およびベース領域14を形成する。また、おもて面21のエミッタ領域12の上面には、層間絶縁膜38が形成されている。
【0121】
ステップS102において、エミッタ領域12を貫通してベース領域14までエッチングすることによりコンタクトホール54を形成する。ここで、層間絶縁膜38をエッチングすることにより、半導体基板10の上方に酸化膜マスクが形成される。
【0122】
ステップS104において、層間絶縁膜38をマスクとして、コンタクト層19を形成するためにイオン注入する。破線は、コンタクト層19のドーパントが注入された領域を示す。
【0123】
ステップS106において、熱処理によって、コンタクト層19が形成される。コンタクト層19は、熱処理によってエミッタ領域12に延伸して設けられてよい。これにより、トレンチコンタクト部27の側壁において、エミッタ領域12とコンタクト層19とが接触する。
【0124】
なお、本例では、トレンチコンタクト部27のコンタクトホール54を設けた後に、コンタクト層19を形成するためにイオン注入している。即ち、層間絶縁膜38をマスクとして、コンタクト層19のドーパントをイオン注入するので、トレンチコンタクト部27に対するコンタクト層19の位置合わせ精度が向上する。
【0125】
図6は、2段構成のコンタクト層19の製造方法の一例を示す。
【0126】
ステップS200において、コンタクト層19aを形成するためのドーパントが注入される。破線は、コンタクト層19aのドーパントが注入された領域を示す。
【0127】
ステップS202において、コンタクト層19aを熱処理によって活性化させる。コンタクト層19aを活性化するための熱処理は省略され、コンタクト層19bとまとめて熱処理されてよい。
【0128】
ステップS204において、エミッタ領域12を貫通してベース領域14までエッチングすることによりコンタクトホール54を形成する。コンタクトホール54の側壁において、コンタクト層19aの一部が残る。
【0129】
ステップS206において、コンタクト層19bを形成するためのドーパントをイオン注入して熱処理する。コンタクト層19bは、コンタクト層19aの下方に形成される。破線は、コンタクト層19bのドーパントが注入された領域を示す。
【0130】
コンタクト層19aを形成するためのイオン注入の注入幅は、コンタクト層19bを形成するためのイオン注入の注入幅よりも小さくてよい。また、コンタクト層19aのドーピング濃度は、コンタクト層19bのドーピング濃度よりも小さくてよい。これにより、コンタクト層19bをコンタクト層19aよりも広範囲に形成することができる。
【0131】
図7は、比較例に係る半導体装置500の構成を示す。本例では、図1Aのa-a'断面に対応する断面図を示している。
【0132】
コンタクト層519は、トレンチコンタクト部527の側壁において、エミッタ領域512と離間している。そのため、半導体装置500では、エミッタ領域512からのキャリアの注入の抑制が困難である。
【0133】
これに対して、半導体装置100では、コンタクト層19がエミッタ領域12と接触しているので、エミッタ領域12からのキャリアの注入を抑制して、破壊耐量を向上することができる。
【0134】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0135】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0136】
10・・・半導体基板、12・・・エミッタ領域、14・・・ベース領域、15・・・コンタクト領域、16・・・蓄積領域、17・・・ウェル領域、18・・・ドリフト領域、19・・・コンタクト層、21・・・おもて面、22・・・コレクタ領域、23・・・裏面、24・・・コレクタ電極、25・・・接続部、27・・・トレンチコンタクト部、28・・・終端部、29・・・側壁底部、30・・・ダミートレンチ部、31・・・延伸部分、32・・・ダミー絶縁膜、33・・・接続部分、34・・・ダミー導電部、38・・・層間絶縁膜、40・・・ゲートトレンチ部、41・・・延伸部分、42・・・ゲート絶縁膜、43・・・接続部分、44・・・ゲート導電部、50・・・ゲート金属層、52・・・エミッタ電極、54・・・コンタクトホール、55・・・コンタクトホール、56・・・コンタクトホール、70・・・トランジスタ部、71・・・メサ部、80・・・ダイオード部、81・・・メサ部、82・・・カソード領域、90・・・境界部、91・・・メサ部、100・・・半導体装置、500・・・半導体装置、512・・・エミッタ領域、519・・・コンタクト層、527・・・トレンチコンタクト部
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-12-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板に設けられた第1導電型のドリフト領域と、
前記ドリフト領域の上方に設けられた第2導電型のベース領域と、
前記半導体基板のおもて面に露出するように前記ベース領域の上方に設けられた、前記ドリフト領域よりも高ドーピング濃度である第1導電型の第1高濃度領域と、
前記半導体基板のおもて面側において、予め定められた配列方向に配列された複数のトレンチ部と、
前記複数のトレンチ部のうち隣接する2つのトレンチ部の間において前記半導体基板のおもて面側に設けられた凹部と、前記凹部の内部に充填され、前記半導体基板を前記半導体基板のおもて面側の電極に接続する導電性材料とを有するトレンチコンタクト部と、
前記半導体基板のおもて面と離間して設けられ、前記ベース領域よりも高ドーピング濃度である第2導電型の第2高濃度領域と、
を備え、
前記第2高濃度領域は、前記凹部の底面よりも前記半導体基板のおもて面側に設けられた第1コンタクト層を有し、
前記第1コンタクト層は、前記凹部の側壁において前記第1高濃度領域と接する
半導体装置。
【請求項2】
前記第1コンタクト層は、前記第1高濃度領域の下端から前記半導体基板のおもて面側に向かって延伸し、前記第1高濃度領域に接する延伸領域を含む
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体基板のおもて面に露出するように設けられた、前記ベース領域よりも高ドーピング濃度である第2導電型のコンタクト領域を備え、
前記複数のトレンチ部は、予め定められた延伸方向に延伸して設けられ、
前記コンタクト領域は、前記導電性材料の前記延伸方向の端部である終端部に設けられている
請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
半導体基板に設けられた第1導電型のドリフト領域と、
前記ドリフト領域の上方に設けられた第2導電型のベース領域と、
前記半導体基板のおもて面に露出するように前記ベース領域の上方に設けられた、前記ドリフト領域よりも高ドーピング濃度である第1導電型の第1高濃度領域と、
前記半導体基板のおもて面に露出するように設けられた、前記ベース領域よりも高ドーピング濃度である第2導電型のコンタクト領域と、
前記半導体基板のおもて面側において、予め定められた配列方向に配列された複数のトレンチ部と、
前記複数のトレンチ部のうち隣接する2つのトレンチ部の間において前記半導体基板のおもて面側に設けられた凹部と、前記凹部の内部に充填され、前記半導体基板を前記半導体基板のおもて面側の電極に接続する導電性材料とを有するトレンチコンタクト部と、
前記半導体基板のおもて面とは離間して設けられた、前記ベース領域よりも高ドーピング濃度である第2導電型の第2高濃度領域と、
を備え、
前記第2高濃度領域は、前記凹部の底面とは離間して設けられた第1コンタクト層を有し、
前記第1コンタクト層は、前記凹部の側壁において前記第1高濃度領域と接し、
前記複数のトレンチ部は、予め定められた延伸方向に延伸して設けられ、
前記コンタクト領域は、前記導電性材料の前記延伸方向の端部である終端部に設けられている
半導体装置。
【請求項5】
前記側壁は、前記終端部を通過する配列方向の断面において、前記コンタクト領域および前記第2高濃度領域に接している
請求項3または4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記側壁及び底面は、前記終端部を通過する配列方向の断面において、前記コンタクト領域、前記ベース領域および前記第2高濃度領域に覆われている
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記側壁及び前記底面は、前記終端部を通過する配列方向の断面において、前記コンタクト領域および前記第2高濃度領域に覆われている
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2高濃度領域は、前記コンタクト領域よりも前記延伸方向に延伸して設けられている
請求項3から7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第2高濃度領域は、前記凹部の底面に接する第2コンタクト層を有する
請求項1から8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記導電性材料は、前記半導体基板の裏面側に突出した凸状の底面を有する
請求項1から9のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記半導体基板は、シリコン基板、炭化シリコン基板、または窒化物半導体基板のいずれかである
請求項1から10のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項12】
当該半導体装置は、IGBTまたはMOSトランジスタである
請求項1から11のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項13】
半導体基板に設けられた第1導電型のドリフト領域と、前記ドリフト領域の上方に設けられた第2導電型のベース領域と、前記半導体基板のおもて面に露出するように前記ベース領域の上方に設けられた、前記ドリフト領域よりも高ドーピング濃度である第1導電型の第1高濃度領域と、前記半導体基板のおもて面側において、予め定められた配列方向に配列された複数のトレンチ部と、を備える半導体装置の製造方法であって、
前記複数のトレンチ部のうち隣接する2つのトレンチ部の間において前記半導体基板のおもて面側をエッチングして凹部を設ける段階と、
前記半導体基板のおもて面とは離間して、前記ベース領域よりも高ドーピング濃度である第2導電型の第2高濃度領域を設ける段階と、
を含み、
前記第2高濃度領域は、前記凹部の底面よりも前記半導体基板のおもて面側に設けられた第1コンタクト層を有し、
前記第1コンタクト層は、前記凹部の側壁において前記第1高濃度領域と接する
半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記第2高濃度領域は、前記凹部の底面に接する第2コンタクト層を有する
請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トレンチコンタクト部を備える半導体装置が知られている(例えば、特許文献1-3参照)。
特許文献1 特開2014-158013号公報
特許文献2 特開2013-065724号公報
特許文献3 国際公開第2018/052099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
トレンチコンタクト部を備える半導体装置の破壊耐量の改善が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、半導体基板に設けられた第1導電型のドリフト領域と、前記ドリフト領域の上方に設けられた第2導電型のベース領域と、前記半導体基板のおもて面に露出するように前記ベース領域の上方に設けられた、前記ドリフト領域よりも高ドーピング濃度である第1導電型の第1高濃度領域と、前記半導体基板のおもて面側において、予め定められた配列方向に配列された複数のトレンチ部と、前記複数のトレンチ部のうち隣接する2つのトレンチ部の間において前記半導体基板のおもて面側に設けられた凹部と、前記凹部の内部に充填され、前記半導体基板を前記半導体基板のおもて面側の電極に接続する導電性材料とを有するトレンチコンタクト部と、前記半導体基板のおもて面と離間して設けられ、前記ベース領域よりも高ドーピング濃度である第2導電型の第2高濃度領域と、を備え、前記第2高濃度領域は、前記凹部の底面よりも前記半導体基板のおもて面側に設けられた第1コンタクト層を有し、前記第1コンタクト層は、前記凹部の側壁において前記第1高濃度領域と接する半導体装置を提供する。
【0005】
上記半導体装置において、前記第1コンタクト層は、前記第1高濃度領域の下端から前記半導体基板のおもて面側に向かって延伸し、前記第1高濃度領域に接する延伸領域を含んでよい。
【0006】
上記いずれかの半導体装置において、前記半導体基板のおもて面に露出するように設けられた、前記ベース領域よりも高ドーピング濃度である第2導電型のコンタクト領域を備えてよい。
【0007】
上記いずれかの半導体装置において、前記複数のトレンチ部は、予め定められた延伸方向に延伸して設けられてよい。
【0008】
上記いずれかの半導体装置において、前記コンタクト領域は、前記導電性材料の前記延伸方向の端部である終端部に設けられてよい。
【0009】
本発明の第2の態様においては、半導体基板に設けられた第1導電型のドリフト領域と、前記ドリフト領域の上方に設けられた第2導電型のベース領域と、前記半導体基板のおもて面に露出するように前記ベース領域の上方に設けられた、前記ドリフト領域よりも高ドーピング濃度である第1導電型の第1高濃度領域と、前記半導体基板のおもて面に露出するように設けられた、前記ベース領域よりも高ドーピング濃度である第2導電型のコンタクト領域と、前記半導体基板のおもて面側において、予め定められた配列方向に配列された複数のトレンチ部と、前記複数のトレンチ部のうち隣接する2つのトレンチ部の間において前記半導体基板のおもて面側に設けられた凹部と、前記凹部の内部に充填され、前記半導体基板を前記半導体基板のおもて面側の電極に接続する導電性材料とを有するトレンチコンタクト部と、前記半導体基板のおもて面とは離間して設けられた、前記ベース領域よりも高ドーピング濃度である第2導電型の第2高濃度領域と、を備える半導体装置を提供する。
【0010】
上記いずれかの半導体装置において、前記第2高濃度領域は、前記凹部の底面とは離間して設けられた第1コンタクト層を有してよい。前記第1コンタクト層は、前記凹部の側壁において前記第1高濃度領域と接してよい。前記複数のトレンチ部は、予め定められた延伸方向に延伸して設けられてよい。前記コンタクト領域は、前記導電性材料の前記延伸方向の端部である終端部に設けられてよい。
【0011】
上記いずれかの半導体装置において、前記側壁は、前記終端部を通過する配列方向の断面において、前記コンタクト領域および前記第2高濃度領域に接していてよい。
【0012】
上記いずれかの半導体装置において、前記側壁及び底面は、前記終端部を通過する配列方向の断面において、前記コンタクト領域、前記ベース領域および前記第2高濃度領域に覆われていてよい。
【0013】
上記いずれかの半導体装置において、前記側壁及び前記底面は、前記終端部を通過する配列方向の断面において、前記コンタクト領域および前記第2高濃度領域に覆われていてよい。
【0014】
上記いずれかの半導体装置において、前記第2高濃度領域は、前記コンタクト領域よりも前記延伸方向に延伸して設けられてよい。
【0015】
上記いずれかの半導体装置において、前記第2高濃度領域は、前記凹部の底面に接する第2コンタクト層を有してよい。
【0016】
上記いずれかの半導体装置において、前記導電性材料は、前記半導体基板の裏面側に突出した凸状の底面を有してよい。
【0017】
上記いずれかの半導体装置において、前記半導体基板は、シリコン基板であってよい。
【0018】
上記いずれかの半導体装置において、前記半導体基板は、炭化シリコン基板であってよい。
【0019】
上記いずれかの半導体装置において、前記半導体基板は、窒化物半導体基板であってよい。
【0020】
上記いずれかの半導体装置において、当該半導体装置は、IGBTであってよい。
【0021】
上記いずれかの半導体装置において、当該半導体装置は、MOSトランジスタであってよい。
【0022】
本発明の第3の態様においては、半導体基板に設けられた第1導電型のドリフト領域と、前記ドリフト領域の上方に設けられた第2導電型のベース領域と、前記半導体基板のおもて面に露出するように前記ベース領域の上方に設けられた、前記ドリフト領域よりも高ドーピング濃度である第1導電型の第1高濃度領域と、前記半導体基板のおもて面側において、予め定められた配列方向に配列された複数のトレンチ部と、を備える半導体装置の製造方法であって、前記複数のトレンチ部のうち隣接する2つのトレンチ部の間において前記半導体基板のおもて面側をエッチングして凹部を設ける段階と、前記半導体基板のおもて面とは離間して、前記ベース領域よりも高ドーピング濃度である第2導電型の第2高濃度領域を設ける段階と、含み、前記第2高濃度領域は、前記凹部の底面よりも前記半導体基板のおもて面側に設けられた第1コンタクト層を有し、前記第1コンタクト層は、前記凹部の側壁において前記第1高濃度領域と接する半導体装置の製造方法を提供する。
【0023】
上記半導体装置の製造方法において、前記第2高濃度領域は、前記凹部の底面に接する第2コンタクト層を有してよい。
【0024】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1A】実施例に係る半導体装置100の上面図の一例を示す。
図1B図1Aにおけるa-a'断面の一例を示す図である。
図1C図1Aにおけるb-b'断面の一例を示す図である。
図1D】トレンチコンタクト部27近傍の拡大図の一例を示す。
図1E】トレンチコンタクト部27の周辺のドーピング濃度分布の一例を示す。
図1F】終端部28の近傍を拡大した断面図の一例を示す。
図2】トレンチコンタクト部27近傍の拡大図の一例を示す。
図3】終端部28の近傍を拡大した断面図の一例を示す。
図4A】実施例に係る半導体装置100の上面図の一例を示す。
図4B図4Aの終端部28の近傍を拡大した断面図の一例を示す。
図5】1段構成のコンタクト層19の製造方法の一例を示す。
図6】2段構成のコンタクト層19の製造方法の一例を示す。
図7】比較例に係る半導体装置500の構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0027】
本明細書においては、半導体基板の深さ方向と平行な方向における一方の側を「上」、他方の側を「下」と称する。基板、層またはその他の部材の2つの主面のうち、一方の面を上面、他方の面を下面と称する。「上」、「下」、「おもて」、「裏」の方向は重力方向、または、半導体装置の実装時における基板等への取り付け方向に限定されない。
【0028】
本明細書では、X軸、Y軸およびZ軸の直交座標軸を用いて技術的事項を説明する場合がある。本明細書では、半導体基板の上面と平行な面をXY面とし、半導体基板の深さ方向をZ軸とする。なお、本明細書において、Z軸方向に半導体基板を視た場合について平面視と称する。
【0029】
各実施例においては、第1導電型をN型、第2導電型をP型とした例を示しているが、第1導電型をP型、第2導電型をN型としてもよい。この場合、各実施例における基板、層、領域等の導電型は、それぞれ逆の極性となる。
【0030】
本明細書では、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および-は、それぞれ、それが付されていない層や領域よりも高ドーピング濃度および低ドーピング濃度であることを意味し、++は+よりも高ドーピング濃度、--は-よりも低ドーピング濃度であることを意味する。
【0031】
本明細書においてドーピング濃度とは、ドナーまたはアクセプタ化したドーパントの濃度を指す。したがって、その単位は、/cmである。本明細書において、ドナーおよびアクセプタの濃度差(すなわちネットドーピング濃度)をドーピング濃度とする場合がある。この場合、ドーピング濃度はSR法で測定できる。また、ドナーおよびアクセプタの化学濃度をドーピング濃度としてもよい。この場合、ドーピング濃度はSIMS法で測定できる。特に限定していなければ、ドーピング濃度として、上記のいずれを用いてもよい。特に限定していなければ、ドーピング領域におけるドーピング濃度分布のピーク値を、当該ドーピング領域におけるドーピング濃度としてよい。
【0032】
また、本明細書においてドーズ量とは、イオン注入を行う際に、ウェーハに注入される単位面積あたりのイオンの個数をいう。したがって、その単位は、/cmである。なお、半導体領域のドーズ量は、その半導体領域の深さ方向にわたってドーピング濃度を積分した積分濃度とすることができる。その積分濃度の単位は、/cmである。したがって、ドーズ量と積分濃度とを同じものとして扱ってよい。積分濃度は、半値幅までの積分値としてもよく、他の半導体領域のスペクトルと重なる場合には、他の半導体領域の影響を除いて導出してよい。
【0033】
よって、本明細書では、ドーピング濃度の高低をドーズ量の高低として読み替えることができる。即ち、一の領域のドーピング濃度が他の領域のドーピング濃度よりも高い場合、当該一の領域のドーズ量が他の領域のドーズ量よりも高いものと理解することができる。
【0034】
図1Aは、実施例に係る半導体装置100の上面図の一例を示す。本例の半導体装置100は、トランジスタ部70およびダイオード部80を備える半導体チップである。例えば、半導体装置100は、逆導通IGBT(RC-IGBT:Reverse Conducting IGBT)である。なお、半導体装置100は、IGBTであっても、MOSトランジスタであってもよい。
【0035】
トランジスタ部70は、半導体基板10の裏面側に設けられたコレクタ領域22を半導体基板10の上面に投影した領域である。コレクタ領域22は、第2導電型を有する。本例のコレクタ領域22は、一例としてP+型である。トランジスタ部70は、IGBT等のトランジスタを含む。トランジスタ部70は、トランジスタ部70とダイオード部80の境界に位置する境界部90を含む。
【0036】
ダイオード部80は、半導体基板10の裏面側に設けられたカソード領域82を半導体基板10の上面に投影した領域である。カソード領域82は、第1導電型を有する。本例のカソード領域82は、一例としてN+型である。ダイオード部80は、半導体基板10の上面においてトランジスタ部70と隣接して設けられた還流ダイオード(FWD:Free Wheel Diode)等のダイオードを含む。
【0037】
図1Aにおいては、半導体装置100のエッジ側であるチップ端部周辺の領域を示しており、他の領域を省略している。例えば、本例の半導体装置100のY軸方向の負側の領域には、エッジ終端構造部が設けられてよい。エッジ終端構造部は、半導体基板10の上面側の電界集中を緩和する。エッジ終端構造部は、例えばガードリング、フィールドプレート、リサーフおよびこれらを組み合わせた構造を有する。なお、本例では、便宜上、Y軸方向の負側のエッジについて説明するものの、半導体装置100の他のエッジについても同様である。
【0038】
半導体基板10は、シリコン基板であってよく、炭化シリコン基板であってよく、窒化ガリウム等の窒化物半導体基板等であってもよい。本例の半導体基板10は、シリコン基板である。
【0039】
本例の半導体装置100は、半導体基板10のおもて面21において、ゲートトレンチ部40と、ダミートレンチ部30と、エミッタ領域12と、ベース領域14と、コンタクト領域15と、ウェル領域17とを備える。おもて面21については後述する。また、本例の半導体装置100は、半導体基板10のおもて面21の上方に設けられたエミッタ電極52およびゲート金属層50を備える。
【0040】
エミッタ電極52は、ゲートトレンチ部40、ダミートレンチ部30、エミッタ領域12、ベース領域14、コンタクト領域15およびウェル領域17の上方に設けられている。また、ゲート金属層50は、ゲートトレンチ部40およびウェル領域17の上方に設けられている。
【0041】
エミッタ電極52およびゲート金属層50は、金属を含む材料で形成される。例えば、エミッタ電極52の少なくとも一部の領域は、アルミニウム、アルミニウム‐シリコン合金、またはアルミニウム‐シリコン-銅合金で形成されてよい。ゲート金属層50の少なくとも一部の領域は、アルミニウム、アルミニウム‐シリコン合金、またはアルミニウム‐シリコン-銅合金で形成されてよい。エミッタ電極52およびゲート金属層50は、アルミニウム等で形成された領域の下層にチタンやチタン化合物等で形成されたバリアメタルを有してよい。エミッタ電極52およびゲート金属層50は、互いに分離して設けられる。
【0042】
エミッタ電極52およびゲート金属層50は、層間絶縁膜38を挟んで、半導体基板10の上方に設けられる。層間絶縁膜38は、図1Aでは省略されている。層間絶縁膜38には、コンタクトホール54、コンタクトホール55およびコンタクトホール56が貫通して設けられている。
【0043】
コンタクトホール55は、ゲート金属層50とトランジスタ部70内のゲート導電部とを接続する。コンタクトホール55の内部には、タングステン等で形成されたプラグが形成されてもよい。
【0044】
コンタクトホール56は、エミッタ電極52とダミートレンチ部30内のダミー導電部とを接続する。コンタクトホール56の内部には、タングステン等で形成されたプラグが形成されてもよい。
【0045】
接続部25は、エミッタ電極52またはゲート金属層50等のおもて面側電極と、半導体基板10とを電気的に接続する。一例において、接続部25は、ゲート金属層50とゲート導電部との間に設けられる。接続部25は、エミッタ電極52とダミー導電部との間にも設けられている。接続部25は、不純物がドープされたポリシリコン等の、導電性を有する材料である。ここでは、接続部25は、N型の不純物がドープされたポリシリコン(N+)である。接続部25は、酸化膜等の絶縁膜等を介して、半導体基板10のおもて面21の上方に設けられる。
【0046】
ゲートトレンチ部40は、予め定められた配列方向(本例ではX軸方向)に沿って予め定められた間隔で配列される。本例のゲートトレンチ部40は、半導体基板10のおもて面21に平行であって配列方向と垂直な延伸方向(本例ではY軸方向)に沿って延伸する2つの延伸部分41と、2つの延伸部分41を接続する接続部分43を有してよい。
【0047】
接続部分43は、少なくとも一部が曲線状に形成されることが好ましい。ゲートトレンチ部40の2つの延伸部分41の端部を接続することで、延伸部分41の端部における電界集中を緩和できる。ゲートトレンチ部40の接続部分43において、ゲート金属層50がゲート導電部と接続されてよい。
【0048】
ダミートレンチ部30は、エミッタ電極52と電気的に接続されたトレンチ部である。ダミートレンチ部30は、ゲートトレンチ部40と同様に、予め定められた配列方向(本例ではX軸方向)に沿って予め定められた間隔で配列される。本例のダミートレンチ部30は、ゲートトレンチ部40と同様に、半導体基板10のおもて面21においてU字形状を有してよい。即ち、ダミートレンチ部30は、延伸方向に沿って延伸する2つの延伸部分31と、2つの延伸部分31を接続する接続部分33を有してよい。
【0049】
本例のトランジスタ部70は、2つのゲートトレンチ部40と3つのダミートレンチ部30を繰り返し配列させた構造を有する。即ち、本例のトランジスタ部70は、2:3の比率でゲートトレンチ部40とダミートレンチ部30を有している。例えば、トランジスタ部70は、2本の延伸部分41の間に1本の延伸部分31を有する。また、トランジスタ部70は、ゲートトレンチ部40と隣接して、2本の延伸部分31を有している。
【0050】
但し、ゲートトレンチ部40とダミートレンチ部30の比率は本例に限定されない。ゲートトレンチ部40とダミートレンチ部30の比率は、1:1であってもよく、2:4であってもよい。また、トランジスタ部70においてダミートレンチ部30を設けず、全てゲートトレンチ部40としたいわゆるフルゲート構造としてもよい。
【0051】
ウェル領域17は、後述するドリフト領域18よりも半導体基板10のおもて面21側に設けられた第2導電型の領域である。ウェル領域17は、半導体装置100のエッジ側に設けられるウェル領域の一例である。ウェル領域17は、一例としてP+型である。ウェル領域17は、ゲート金属層50が設けられる側の活性領域の端部から、予め定められた範囲で形成される。ウェル領域17の拡散深さは、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の深さよりも深くてよい。ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の、ゲート金属層50側の一部の領域は、ウェル領域17に形成される。ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の延伸方向の端の底は、ウェル領域17に覆われてよい。
【0052】
コンタクトホール54は、トランジスタ部70において、エミッタ領域12およびコンタクト領域15の各領域の上方に形成される。また、コンタクトホール54は、ダイオード部80において、コンタクト領域15の上方に設けられる。コンタクトホール54は、境界部90において、コンタクト領域15の上方に設けられる。コンタクトホール54は、ダイオード部80において、ベース領域14の上方に設けられる。いずれのコンタクトホール54も、Y軸方向両端に設けられたウェル領域17の上方には設けられていない。このように、層間絶縁膜には、1又は複数のコンタクトホール54が形成されている。1又は複数のコンタクトホール54は、延伸方向に延伸して設けられてよい。
【0053】
トレンチコンタクト部27は、エミッタ電極52と半導体基板10とを電気的に接続する。トレンチコンタクト部27は、コンタクトホール54に設けられている。トレンチコンタクト部27は、延伸方向に延伸して設けられている。
【0054】
終端部28は、トレンチコンタクト部27における延伸方向の端部である。終端部28は、メサ部71において、おもて面21にコンタクト領域15が形成された領域に設けられる。終端部28は、メサ部81またはメサ部91において、おもて面21にコンタクト領域15が形成された領域に設けられてもよい。
【0055】
境界部90は、トランジスタ部70に設けられ、ダイオード部80と隣接する領域である。境界部90は、コンタクト領域15を有する。本例の境界部90は、エミッタ領域12を有さない。一例において、境界部90のトレンチ部は、ダミートレンチ部30である。本例の境界部90は、X軸方向における両端がダミートレンチ部30となるように配置されている。
【0056】
メサ部71、メサ部91およびメサ部81は、半導体基板10のおもて面21と平行な面内において、トレンチ部に隣接して設けられたメサ部である。メサ部とは、隣り合う2つのトレンチ部に挟まれた半導体基板10の部分であって、半導体基板10のおもて面21から、各トレンチ部の最も深い底部の深さまでの部分であってよい。各トレンチ部の延伸部分を1つのトレンチ部としてよい。即ち、2つの延伸部分に挟まれる領域をメサ部としてよい。
【0057】
メサ部71は、トランジスタ部70において、ダミートレンチ部30またはゲートトレンチ部40の少なくとも1つに隣接して設けられる。メサ部71は、半導体基板10のおもて面21において、ウェル領域17と、エミッタ領域12と、ベース領域14と、コンタクト領域15とを有する。メサ部71では、エミッタ領域12およびコンタクト領域15が延伸方向において交互に設けられている。
【0058】
メサ部91は、境界部90に設けられている。メサ部91は、半導体基板10のおもて面21において、コンタクト領域15を有する。本例のメサ部91は、Y軸方向の負側において、ベース領域14およびウェル領域17を有する。
【0059】
メサ部81は、ダイオード部80において、隣り合うダミートレンチ部30に挟まれた領域に設けられる。メサ部81は、半導体基板10のおもて面21において、コンタクト領域15を有する。本例のメサ部81は、Y軸方向の負側において、ベース領域14およびウェル領域17を有する。
【0060】
ベース領域14は、トランジスタ部70およびダイオード部80において、半導体基板10のおもて面21側に設けられた第2導電型の領域である。ベース領域14は、一例としてP-型である。ベース領域14は、半導体基板10のおもて面21において、メサ部71およびメサ部91のY軸方向における両端部に設けられてよい。なお、図1Aは、当該ベース領域14のY軸方向の一方の端部のみを示している。
【0061】
エミッタ領域12は、ドリフト領域18よりもドーピング濃度の高い第1導電型の領域である。本例のエミッタ領域12は、一例としてN+型である。エミッタ領域12のドーパントの一例はヒ素(As)である。エミッタ領域12は、メサ部71のおもて面21において、ゲートトレンチ部40と接して設けられる。エミッタ領域12は、メサ部71を挟んだ2本のトレンチ部の一方から他方まで、X軸方向に延伸して設けられてよい。エミッタ領域12は、コンタクトホール54の下方にも設けられている。
【0062】
また、エミッタ領域12は、ダミートレンチ部30と接してもよいし、接しなくてもよい。本例のエミッタ領域12は、ダミートレンチ部30と接している。エミッタ領域12は、メサ部81およびメサ部91には設けられなくてよい。
【0063】
コンタクト領域15は、ベース領域14よりもドーピング濃度の高い第2導電型の領域である。本例のコンタクト領域15は、一例としてP+型である。本例のコンタクト領域15は、メサ部71、メサ部81およびメサ部91のおもて面21に設けられている。コンタクト領域15は、メサ部71、メサ部81またはメサ部91を挟んだ2本のトレンチ部の一方から他方まで、X軸方向に設けられてよい。コンタクト領域15は、ゲートトレンチ部40と接してもよいし、接しなくてもよい。また、コンタクト領域15は、ダミートレンチ部30と接してもよいし、接しなくてもよい。本例においては、コンタクト領域15が、ダミートレンチ部30およびゲートトレンチ部40と接する。コンタクト領域15は、コンタクトホール54の下方にも設けられている。
【0064】
図1Bは、図1Aにおけるa-a'断面の一例を示す図である。a-a'断面は、トランジスタ部70において、エミッタ領域12を通過するXZ面である。本例の半導体装置100は、a-a'断面において、半導体基板10、層間絶縁膜38、エミッタ電極52およびコレクタ電極24を有する。エミッタ電極52は、半導体基板10および層間絶縁膜38の上方に形成される。
【0065】
ドリフト領域18は、半導体基板10に設けられた第1導電型の領域である。本例のドリフト領域18は、一例としてN-型である。ドリフト領域18は、半導体基板10において他のドーピング領域が形成されずに残存した領域であってよい。即ち、ドリフト領域18のドーピング濃度は半導体基板10のドーピング濃度であってよい。
【0066】
バッファ領域20は、ドリフト領域18の下方に設けられた第1導電型の領域である。本例のバッファ領域20は、一例としてN型である。バッファ領域20のドーピング濃度は、ドリフト領域18のドーピング濃度よりも高い。バッファ領域20は、ベース領域14の下面側から広がる空乏層が、第2導電型のコレクタ領域22および第1導電型のカソード領域82に到達することを防ぐフィールドストップ層として機能してよい。
【0067】
コレクタ領域22は、トランジスタ部70において、バッファ領域20の下方に設けられる。カソード領域82は、ダイオード部80において、バッファ領域20の下方に設けられる。コレクタ領域22とカソード領域82との境界は、トランジスタ部70とダイオード部80との境界である。
【0068】
コレクタ電極24は、半導体基板10の裏面23に形成される。コレクタ電極24は、金属等の導電材料で形成される。
【0069】
ベース領域14は、メサ部71、メサ部91およびメサ部81において、ドリフト領域18の上方に設けられる第2導電型の領域である。ベース領域14は、ゲートトレンチ部40に接して設けられる。ベース領域14は、ダミートレンチ部30に接して設けられてよい。
【0070】
エミッタ領域12は、ベース領域14とおもて面21との間に設けられる。本例のエミッタ領域12は、メサ部71に設けられており、メサ部81およびメサ部91には設けられていない。エミッタ領域12は、ゲートトレンチ部40と接して設けられる。エミッタ領域12は、ダミートレンチ部30と接してもよいし、接しなくてもよい。
【0071】
コンタクト領域15は、メサ部81およびメサ部91において、ベース領域14の上方に設けられる。コンタクト領域15は、メサ部81およびメサ部91において、ダミートレンチ部30に接して設けられる。他の断面において、コンタクト領域15は、メサ部71のおもて面21に設けられてよい。
【0072】
トレンチコンタクト部27は、コンタクトホール54に充填された導電性の材料を有する。トレンチコンタクト部27は、複数のトレンチ部のうち隣接する2つのトレンチ部の間に設けられる。トレンチコンタクト部27は、おもて面21側において、コンタクト層19と接して設けられる。本例のトレンチコンタクト部27は、おもて面21からエミッタ領域12を貫通して設けられる。トレンチコンタクト部27は、エミッタ電極52と同一の材料を有してよい。
【0073】
トレンチコンタクト部27の下端は、エミッタ領域12の下端よりも深い。トレンチコンタクト部27を設けることにより、ベース領域14の抵抗が低減し、少数キャリア(例えば、正孔)の引き抜きしやすくなる。これにより、少数キャリアに起因するラッチアップ耐量などの破壊耐量を向上することができる。
【0074】
トレンチコンタクト部27は、略平面形状の底面を有する。トレンチコンタクト部27の底面は、コンタクト層19で覆われている。本例のトレンチコンタクト部27は、側壁が傾斜したテーパ形状を有する。但し、トレンチコンタクト部27の側壁は、おもて面21に対して、略垂直に設けられてもよい。
【0075】
コンタクト層19は、トレンチコンタクト部27の下方に設けられる。コンタクト層19は、ベース領域14よりもドーピング濃度の高い第2導電型の領域である。本例のコンタクト層19は、一例としてP+型である。例えば、コンタクト層19は、ボロン(B)またはフッ化ボロン(BF)をイオン注入することにより形成される。コンタクト層19は、コンタクト領域15と同一のドーピング濃度であってよい。コンタクト層19は、少数キャリアを引き抜くことにより、ラッチアップを抑制する。
【0076】
コンタクト層19は、トレンチコンタクト部27の側壁および底面に設けられる。本例のコンタクト層19は、メサ部71、メサ部81およびメサ部91のそれぞれに設けられている。コンタクト層19は、Y軸方向に延伸して設けられてよい。
【0077】
トレンチコンタクト部27の側壁において、エミッタ領域12とコンタクト層19とが接触している。本例のトレンチコンタクト部27の側壁は、エミッタ領域12およびコンタクト層19で覆われている。即ち、トレンチコンタクト部27は、ベース領域14と接触していない。
【0078】
本例では、エミッタ領域12とコンタクト層19とが接触していることにより、エミッタ領域12からのキャリアの注入を抑制して、破壊耐量を向上することができる。また、半導体装置100に大電流を流した場合であっても、コンタクト層19によって少数キャリアの引き抜き効率を向上させ、ベース領域14の電位を安定させることができる。
【0079】
蓄積領域16は、ドリフト領域18よりも半導体基板10のおもて面21側に設けられる第1導電型の領域である。本例の蓄積領域16は、一例としてN+型である。蓄積領域16は、トランジスタ部70およびダイオード部80に設けられる。但し、蓄積領域16が設けられなくてもよい。
【0080】
また、蓄積領域16は、ゲートトレンチ部40に接して設けられる。蓄積領域16は、ダミートレンチ部30に接してもよいし、接しなくてもよい。蓄積領域16のドーピング濃度は、ドリフト領域18のドーピング濃度よりも高い。蓄積領域16のイオン注入のドーズ量は、1E12cm-2以上、1E13cm-2以下であってよい。また、蓄積領域16のイオン注入ドーズ量は、3E12cm-2以上、6E12cm-2以下であってもよい。蓄積領域16を設けることで、キャリア注入促進効果(IE効果)を高めて、トランジスタ部70のオン電圧を低減できる。なお、Eは10のべき乗を意味し、例えば1E12cm-2は1×1012cm-2を意味する。
【0081】
1つ以上のゲートトレンチ部40および1つ以上のダミートレンチ部30は、おもて面21に設けられる。各トレンチ部は、おもて面21からドリフト領域18まで設けられる。エミッタ領域12、ベース領域14、コンタクト領域15および蓄積領域16の少なくともいずれかが設けられる領域においては、各トレンチ部はこれらの領域も貫通して、ドリフト領域18に到達する。トレンチ部がドーピング領域を貫通するとは、ドーピング領域を形成してからトレンチ部を形成する順序で製造したものに限定されない。トレンチ部を形成した後に、トレンチ部の間にドーピング領域を形成したものも、トレンチ部がドーピング領域を貫通しているものに含まれる。
【0082】
ゲートトレンチ部40は、おもて面21に形成されたゲートトレンチ、ゲート絶縁膜42およびゲート導電部44を有する。ゲート絶縁膜42は、ゲートトレンチの内壁を覆って形成される。ゲート絶縁膜42は、ゲートトレンチの内壁の半導体を酸化または窒化して形成してよい。ゲート導電部44は、ゲートトレンチの内部においてゲート絶縁膜42よりも内側に形成される。ゲート絶縁膜42は、ゲート導電部44と半導体基板10とを絶縁する。ゲート導電部44は、ポリシリコン等の導電材料で形成される。ゲートトレンチ部40は、おもて面21において層間絶縁膜38により覆われる。
【0083】
ゲート導電部44は、半導体基板10の深さ方向において、ゲート絶縁膜42を挟んでメサ部71側で隣接するベース領域14と対向する領域を含む。ゲート導電部44に所定の電圧が印加されると、ベース領域14のうちゲートトレンチに接する界面の表層に、電子の反転層によるチャネルが形成される。
【0084】
ダミートレンチ部30は、ゲートトレンチ部40と同一の構造を有してよい。ダミートレンチ部30は、おもて面21側に形成されたダミートレンチ、ダミー絶縁膜32およびダミー導電部34を有する。ダミー絶縁膜32は、ダミートレンチの内壁を覆って形成される。ダミー導電部34は、ダミートレンチの内部に形成され、且つ、ダミー絶縁膜32よりも内側に形成される。ダミー絶縁膜32は、ダミー導電部34と半導体基板10とを絶縁する。ダミートレンチ部30は、おもて面21において層間絶縁膜38により覆われる。
【0085】
層間絶縁膜38は、おもて面21に設けられている。層間絶縁膜38の上方には、エミッタ電極52が設けられている。層間絶縁膜38には、エミッタ電極52と半導体基板10とを電気的に接続するための1又は複数のコンタクトホール54が設けられている。コンタクトホール55およびコンタクトホール56も同様に、層間絶縁膜38を貫通して設けられてよい。
【0086】
図1Cは、図1Aにおけるb-b'断面の一例を示す図である。b-b'断面は、トランジスタ部70において、コンタクト領域15を通過するXZ面である。
【0087】
メサ部71は、b-b'断面において、ベース領域14と、コンタクト領域15と、蓄積領域16と、コンタクト層19とを有する。メサ部91は、a-a'断面の場合と同様に、ベース領域14と、コンタクト領域15と、蓄積領域16と、コンタクト層19とを有する。b-b'断面において、メサ部71は、メサ部91と同一の構造を有している。メサ部81は、a-a'断面の場合と同様に、ベース領域14と、コンタクト領域15と、蓄積領域16と、コンタクト層19とを有する。
【0088】
図1Dは、トレンチコンタクト部27近傍の拡大図の一例を示す。本例では、ダミートレンチ部30とゲートトレンチ部40との間のメサ部71を用いて説明するが、メサ部81またはメサ部91も同様の構造であってよい。
【0089】
メサ幅Wは、メサ部のX軸方向の幅である。メサ部71、メサ部81およびメサ部91は、同一のメサ幅Wを有してよい。本例のメサ幅Wは、0.8μm以上、1.5μm以下である。
【0090】
長さAは、配列方向において、エミッタ領域12の下端とベース領域14とが接する長さである。例えば、長さAは、0.1μmよりも大きく、0.3μmよりも小さい。
【0091】
長さBは、コンタクト層19と複数のトレンチ部のうち隣接するトレンチ部との最短距離である。コンタクト層19は、チャネルを形成するために、隣接するトレンチ部と離間して設けられる。例えば、長さBは、0.1μm以上である。これにより、ゲート閾値電圧Vthに対する影響を回避しつつ、破壊耐量を向上できる。
【0092】
長さAは、長さBよりも大きい。即ち、エミッタ領域12の下面よりも、少数キャリアが通過するベース領域14の幅の方が小さい。これにより、少数キャリアがエミッタ領域12の近傍まで移動する前に、コンタクト層19で少数キャリアを引き抜きやすくなる。
【0093】
延伸領域Eは、コンタクト層19において、エミッタ領域12の下端よりもおもて面21側に延伸した領域である。延伸領域Eを設けることにより、エミッタ領域12とコンタクト層19を確実に接触させることができる。また、少数キャリアの引き抜き効率が向上するので、ラッチアップを抑制しやすくなる。
【0094】
長さCは、コンタクト層19の上端深さとエミッタ領域12の下端深さとの差分である。即ち、長さCは、延伸領域Eのエミッタ領域12への延伸量を指す。長さCが大きいほど、コンタクト層19がエミッタ領域12に延伸していることを示す。
【0095】
長さDは、配列方向における、トレンチコンタクト部27の側壁底部29からコンタクト層19の外周面までの最大距離である。本例の長さDは、長さBよりも大きい。即ち、コンタクト層19は、トレンチコンタクト部27の側壁底部29よりもトレンチ部の近くまで延伸している。これにより、少数キャリアをコンタクト層19に誘導しやすくなり、コンタクト層19とトレンチ部の間を通過して、エミッタ領域12に向かう少数キャリアの量を抑制することができる。
【0096】
トレンチコンタクト部27は、裏面23側に窪んだ凹状の底面を有する。本例のトレンチコンタクト部27の凹状の底面は、側壁底部29からトレンチコンタクト部27の中心に向かって窪んでいる。トレンチコンタクト部27の底面は、円弧状に窪んでもよい。トレンチコンタクト部27の凹状の底面は、トレンチコンタクト部27のコンタクトホール54を形成するためのエッチングによって形成される。
【0097】
長さL1は、エミッタ領域12の下端とトレンチコンタクト部27の底面との差である。長さL1が大きいほど、トレンチコンタクト部27がエミッタ領域12から延伸して設けられることになり、少数キャリアを引き抜きやすくなる。本例の半導体装置100は、コンタクト層19をエミッタ領域12と接触させているので、長さL1が大きくなった場合であっても、エミッタ領域12からのキャリアの注入を抑制できる。
【0098】
長さL2は、おもて面21からダミー導電部34の上端またはゲート導電部44の上端までの距離である。ダミー導電部34またはゲート導電部44が上端に窪みを有する場合、長さL2は、おもて面21からダミー導電部34またはゲート導電部44の最上端までの距離であってよい。例えば、長さL2は、0.1μm以上、0.4μm以下である。
【0099】
深さD12は、おもて面21からエミッタ領域12の下端までの深さである。例えば、深さD12は、0.3μm以上、0.7μm以下である。深さD12は、長さL2よりも大きくてよい。即ち、エミッタ領域12は、おもて面21から、ダミー導電部34またはゲート導電部44と対向する深さまで延伸して設けられている。
【0100】
深さD27は、おもて面21からトレンチコンタクト部27の底面までの深さである。本例の深さD27は、おもて面21からトレンチコンタクト部27の側壁の下端までの深さである。深さD27は、深さD12よりも大きい。例えば、深さD27は、0.5μm以上、1.0μm以下である。
【0101】
図1Eは、トレンチコンタクト部27の周辺のドーピング濃度分布の一例を示す。縦軸はドーピング濃度(cm-2)を示し、横軸はコンタクト層19の上端から深さ方向への距離(μm)を示す。実線は、Z-Z'位置におけるドーピング濃度分布を示す。破線は、実線と同じ深さのエミッタ領域12のドーピング濃度を示す。
【0102】
コンタクト層19は、トレンチコンタクト部27越しにイオン注入することにより形成される。コンタクト層19は、1つのピークを有するが、複数のピークを有してもよい。コンタクト層19のピーク位置は、エミッタ領域12の下端よりも深い位置に形成されてよい。本例のコンタクト層19のピークは、およそ1E20cm-2である。
【0103】
なお、本例のドーピング濃度の分布は、あくまで一例である。本願明細書に開示された半導体装置100を実現するために、ドーピング濃度のピークの大きさおよび深さ等が適宜変更されてよい。
【0104】
図1Fは、終端部28の近傍を拡大した断面図の一例を示す。同図は、終端部28を通過するXZ面を示している。
【0105】
トレンチコンタクト部27の終端部28の側壁は、第2導電型の領域で覆われている。本例のトレンチコンタクト部27の終端部28の側壁は、コンタクト領域15およびコンタクト層19で覆われている。このように、コンタクト層19は、エミッタ領域12に接触して設けられてもよいし、コンタクト領域15に接触して設けられてもよい。
【0106】
長さA'は、配列方向において、コンタクト領域15の下端とベース領域14とが接する長さである。例えば、長さA'は、0.1μmよりも大きく、0.3μmよりも小さい。
【0107】
深さD15は、おもて面21からコンタクト領域15の下端までの深さである。例えば、深さD15は、0.3μm以上、0.7μm以下である。深さD15は、長さL2よりも大きくてよい。また、深さD15は、エミッタ領域12の深さD12と同一であっても、異なっていてもよい。
【0108】
図2は、トレンチコンタクト部27近傍の拡大図の一例を示す。本例のコンタクト層19は、コンタクト層19aおよびコンタクト層19bの2段のコンタクト層を含む。コンタクト層19aは第1コンタクト層の一例であり、コンタクト層19bは第2コンタクト層の一例である。
【0109】
コンタクト層19aは、トレンチコンタクト部27の側壁に設けられている。コンタクト層19aは、エミッタ領域12と接して設けられている。コンタクト層19aは、エミッタ領域12の下端よりもおもて面21に延伸した延伸領域Eを有する。トレンチコンタクト部27がエミッタ領域12から裏面23側に突出して設けられている場合であっても、コンタクト層19aがエミッタ領域12と接触する。そのため、少数キャリアの引き抜き効率を向上させてラッチアップを抑制できる。
【0110】
コンタクト層19bは、トレンチコンタクト部27の側壁において、コンタクト層19aの下方に設けられている。コンタクト層19bは、トレンチコンタクト部27の側壁において、コンタクト層19aと接して設けられている。即ち、トレンチコンタクト部27の側壁は、エミッタ領域12、コンタクト層19aおよびコンタクト層19bで覆われている。
【0111】
コンタクト層19aのドーピング濃度は、コンタクト層19bのドーピング濃度と同一であってよい。また、コンタクト層19aおよびコンタクト層19bのドーピング濃度は、コンタクト領域15のドーピング濃度と同一であってもよい。また、コンタクト層19aのドーピング濃度は、コンタクト層19bのドーピング濃度よりも低くてよい。
【0112】
長さB1は、コンタクト層19aと複数のトレンチ部のうち隣接するトレンチ部との最短距離である。長さB2は、コンタクト層19bと複数のトレンチ部のうち隣接するトレンチ部との最短距離である。長さB1は、長さB2よりも大きい。これにより、コンタクト層19bは、少数キャリアを確実に引き抜くことができる。
【0113】
図3は、終端部28の近傍を拡大した断面図の一例を示す。同図は、終端部28を通過するXZ面を示している。本例では、図1Dの断面図と相違する点について特に説明する。
【0114】
終端部28の側壁は、第2導電型の領域で覆われている。本例の終端部28の側壁には、コンタクト層19が設けられている。終端部28の側壁は、ベース領域14、コンタクト領域15およびコンタクト層19で覆われている。このように、おもて面21にコンタクト領域15が設けられている場合、コンタクト層19がコンタクト領域15と離間して設けられてもよい。
【0115】
図4Aは、実施例に係る半導体装置100の上面図の一例を示す。本例の半導体装置100は、おもて面21の終端部28がエミッタ領域12に設けられている点で、図1Aの上面図と相違する。本例では、図1Aの上面図と相違する点について特に説明する。
【0116】
ベース領域14は、メサ部71において、エミッタ領域12と隣接して設けられている。エミッタ領域12およびコンタクト領域15は、おもて面21において、Y軸方向に交互に設けられている。本例の終端部28は、エミッタ領域12が形成された領域に設けられている。
【0117】
図4Bは、図4Aの終端部28の近傍を拡大した断面図の一例を示す。同図は、終端部28を通過するXZ面を示している。本例の半導体装置100は、終端部28のおもて面21にエミッタ領域12が設けられている点で、図1Fの断面図と相違する。本例では、図1Fの断面図と相違する点について特に説明する。
【0118】
トレンチコンタクト部27の終端部28の側壁は、エミッタ領域12およびコンタクト層19で覆われている。図4Bで示したように、コンタクト層19がエミッタ領域12と接して設けられている。
【0119】
図5は、1段構成のコンタクト層19の製造方法の一例を示す。
【0120】
ステップS100において、半導体基板10にエミッタ領域12およびベース領域14を形成する。また、おもて面21のエミッタ領域12の上面には、層間絶縁膜38が形成されている。
【0121】
ステップS102において、エミッタ領域12を貫通してベース領域14までエッチングすることによりコンタクトホール54を形成する。ここで、層間絶縁膜38をエッチングすることにより、半導体基板10の上方に酸化膜マスクが形成される。
【0122】
ステップS104において、層間絶縁膜38をマスクとして、コンタクト層19を形成するためにイオン注入する。破線は、コンタクト層19のドーパントが注入された領域を示す。
【0123】
ステップS106において、熱処理によって、コンタクト層19が形成される。コンタクト層19は、熱処理によってエミッタ領域12に延伸して設けられてよい。これにより、トレンチコンタクト部27の側壁において、エミッタ領域12とコンタクト層19とが接触する。
【0124】
なお、本例では、トレンチコンタクト部27のコンタクトホール54を設けた後に、コンタクト層19を形成するためにイオン注入している。即ち、層間絶縁膜38をマスクとして、コンタクト層19のドーパントをイオン注入するので、トレンチコンタクト部27に対するコンタクト層19の位置合わせ精度が向上する。
【0125】
図6は、2段構成のコンタクト層19の製造方法の一例を示す。
【0126】
ステップS200において、コンタクト層19aを形成するためのドーパントが注入される。破線は、コンタクト層19aのドーパントが注入された領域を示す。
【0127】
ステップS202において、コンタクト層19aを熱処理によって活性化させる。コンタクト層19aを活性化するための熱処理は省略され、コンタクト層19bとまとめて熱処理されてよい。
【0128】
ステップS204において、エミッタ領域12を貫通してベース領域14までエッチングすることによりコンタクトホール54を形成する。コンタクトホール54の側壁において、コンタクト層19aの一部が残る。
【0129】
ステップS206において、コンタクト層19bを形成するためのドーパントをイオン注入して熱処理する。コンタクト層19bは、コンタクト層19aの下方に形成される。破線は、コンタクト層19bのドーパントが注入された領域を示す。
【0130】
コンタクト層19aを形成するためのイオン注入の注入幅は、コンタクト層19bを形成するためのイオン注入の注入幅よりも小さくてよい。また、コンタクト層19aのドーピング濃度は、コンタクト層19bのドーピング濃度よりも小さくてよい。これにより、コンタクト層19bをコンタクト層19aよりも広範囲に形成することができる。
【0131】
図7は、比較例に係る半導体装置500の構成を示す。本例では、図1Aのa-a'断面に対応する断面図を示している。
【0132】
コンタクト層519は、トレンチコンタクト部527の側壁において、エミッタ領域512と離間している。そのため、半導体装置500では、エミッタ領域512からのキャリアの注入の抑制が困難である。
【0133】
これに対して、半導体装置100では、コンタクト層19がエミッタ領域12と接触しているので、エミッタ領域12からのキャリアの注入を抑制して、破壊耐量を向上することができる。
【0134】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0135】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0136】
10・・・半導体基板、12・・・エミッタ領域、14・・・ベース領域、15・・・コンタクト領域、16・・・蓄積領域、17・・・ウェル領域、18・・・ドリフト領域、19・・・コンタクト層、21・・・おもて面、22・・・コレクタ領域、23・・・裏面、24・・・コレクタ電極、25・・・接続部、27・・・トレンチコンタクト部、28・・・終端部、29・・・側壁底部、30・・・ダミートレンチ部、31・・・延伸部分、32・・・ダミー絶縁膜、33・・・接続部分、34・・・ダミー導電部、38・・・層間絶縁膜、40・・・ゲートトレンチ部、41・・・延伸部分、42・・・ゲート絶縁膜、43・・・接続部分、44・・・ゲート導電部、50・・・ゲート金属層、52・・・エミッタ電極、54・・・コンタクトホール、55・・・コンタクトホール、56・・・コンタクトホール、70・・・トランジスタ部、71・・・メサ部、80・・・ダイオード部、81・・・メサ部、82・・・カソード領域、90・・・境界部、91・・・メサ部、100・・・半導体装置、500・・・半導体装置、512・・・エミッタ領域、519・・・コンタクト層、527・・・トレンチコンタクト部