(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102172
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/01 20060101AFI20240723BHJP
G01N 35/02 20060101ALI20240723BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20240723BHJP
G01N 21/17 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
G01N21/01 D
G01N35/02 C
G01N37/00 101
G01N21/17 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024072680
(22)【出願日】2024-04-26
(62)【分割の表示】P 2022568165の分割
【原出願日】2021-11-24
(31)【優先権主張番号】P 2020205541
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021115741
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000155023
【氏名又は名称】株式会社堀場製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 泰典
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 祐次
(57)【要約】
【課題】用いるチップごとに、対象物情報を安定して取得する。
【解決手段】検査装置は、異なる位置で点灯する複数の光源と、複数の光源の点灯を制御する光源制御部と、検査物を収容する収容容器が装填されるチップを回転させる回転機構と、回転機構による回転により、複数の光源の点灯制御によって照明される照明領域に位置させたチップと収容容器を撮影する撮像部と、撮像部が収容容器を撮影して取得した画像に基づいて、検査物または収容容器の状態に関する対象物情報を取得する情報取得部と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる位置で点灯する複数の光源と、
前記複数の光源の点灯を制御する光源制御部と、
検査物を収容する収容容器が装填されるチップを回転させる回転機構と、
前記回転機構による回転により、前記複数の光源の点灯制御によって照明される照明領域に位置させた前記チップと前記収容容器を撮影する撮像部と、
前記撮像部が前記収容容器を撮影して取得した画像に基づいて、前記検査物または前記収容容器の状態に関する対象物情報を取得する情報取得部と、を備える検査装置。
【請求項2】
前記チップには、前記検査物の検査項目を識別するための識別情報を含むラベルが付されており、
前記撮像部は、前記画像の取得に加えて、前記ラベルの撮影による前記識別情報の取得も兼ねる、請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記情報取得部は、前記画像の各画素の輝度値に基づいて、前記対象物情報を取得する、請求項1または2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記複数の光源を同時に点灯させて前記撮像部によって前記収容容器を撮影する、請求項1から3のいずれかに記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検査物に向けて光を照射して検査物を検査する装置が種々提案されている(例えば特許文献1参照)。中でも、血液などの検体を簡易に検査することができる小型の検体検査装置は、診療所などの患者のいる場所で検査を行うPOCT(point of care testing )に好適であり、その利用が広がりつつある。
【0003】
上記の検体検査装置では、検体が導入された検体容器をチップに装填し、チップを回転させて、検体に含まれる任意の成分(例えば血漿)を遠心分離する。そして、分離された成分をチップ内の検査試薬と反応させ、得られる反応物の吸光度を光学的に測定することにより検査が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、検体検査装置においては、検体検査を確実に行うため、チップに装填された検体容器に検体が導入されているか否か(検体の有無)、および検体容器に導入された検体の量が検査に必要な量だけ存在しているか否か(検体導入量)を、吸光度の測定前に判断することが必要である。検体の有無および検体導入量に関する情報を、ここでは対象物情報とも称する。検体の検査項目によって用いるチップは異なるため(用いるチップごとに検査試薬が異なるため)、用いるチップごとに対象物情報を安定して取得できるようにすることが望ましい。しかし、従来の検体検査装置では、用いるチップごとに対象物情報を安定して取得するための検討が不十分であった。
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、用いるチップごとに、対象物情報を安定して取得することができる検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る検査装置は、異なる位置で点灯する複数の光源と、前記複数の光源の点灯を制御する光源制御部と、検査物を収容する収容容器が装填されるチップを回転させる回転機構と、前記回転機構による回転により、前記複数の光源の点灯制御によって照明される照明領域に位置させた前記チップと前記収容容器を撮影する撮像部と、前記撮像部が前記収容容器を撮影して取得した画像に基づいて、前記検査物または前記収容容器の状態に関する対象物情報を取得する情報取得部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、用いるチップごとに、対象物情報を安定して取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の一形態に係る検体検査装置の内部構成を示す断面図である。
【
図2】上記検体検査装置に投入される検体容器およびチップを拡大して示す正面図である。
【
図3】上記測定室に配置される照明基板を下方から見たときの斜視図である。
【
図4】上記検体検査装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図5】上記検体検査装置における対象物情報の取得方法による動作の流れを示すフローチャートである。
【
図6】上記検体検査装置で取得される複数の個別画像を模式的に示す説明図である。
【
図7】上記複数の個別画像に基づいて生成される解析用画像を模式的に示す説明図である。
【
図8】上記複数の個別画像間での任意の同一位置の画素についての輝度値の分布を正規化したグラフである。
【
図9】上記検体容器に検体を収容していない状態で生成される解析用画像を模式的に示す説明図である。
【
図10】検体が血液である場合の、第1解析用画像と第2解析用画像との間での輝度値の差の分布を模式的に示す説明図である。
【
図11】検体が血漿である場合の、第1解析用画像と第2解析用画像との間での輝度値の差の分布を模式的に示す説明図である。
【
図12】上記チップの回転の前後で取得される第1解析用画像および第2解析用画像の一部分をそれぞれ模式的に示す説明図である。
【
図13】幅方向平均値の差の分布を模式的に示す説明図である。
【
図14】特異箇所が生成されるメカニズムを模式的に示す説明図である。
【
図15】上記解析用画像の他の例を示す説明図である。
【
図16】特定のチップについて得られる、第1解析用画像と第2解析用画像との間での幅方向平均値の差の1ラインの分布を模式的に示す説明図である。
【
図17】合成解析用画像を模式的に示す説明図である。
【
図18】上記チップの撮影を2段階で行って吸光度測定を行う場合の時間的な流れを模式的に示す説明図である。
【
図19】上記チップの撮影を2段階で行って取得した対象物情報と、検体の状態または検体容器の状態の判断結果との関係を模式的に示す説明図である。
【
図20】上記第1窓部解析用画像および他の第2窓部解析用画像のモデルを示す説明図である。
【
図21】上記チップの計量部を拡大して示す平面図である。
【
図22】上記チップの計量部が波紋構造を有する場合に取得される輝度値の差の分布を示す説明図である。
【
図23】上記計量部が波紋構造を持たない場合に取得される輝度値の差の分布を示す説明図である。
【
図24】上記計量部の任意の個別画像を示す説明図である。
【
図25】上記検体検査装置の他の構成を模式的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
〔1.検体検査装置の概要〕
図1は、本実施形態の検査装置の一例である検体検査装置1の内部構成を示す断面図である。検体検査装置1は、筐体内に測定室71を有する。測定室71は、検体容器5を装填したチップ6を収容するとともに、チップ6内の検体に対して各種の測定を行う。測定室71内に収容されたチップ6は、ホルダ72によって第1ステージ83上に押さえ付けられ、保持される。
【0012】
検体容器5は、検査物を収容する収容容器の一例であり、キャピラリーまたはキャピラリーチューブとも呼ばれる。この検体容器5には、被験者から採取した検体が導入される。上記の検体は、検体検査装置1によって検査される検査物の一例であり、例えば血液(全血とも呼ばれる)または血漿である。検体が血漿である場合としては、例えば遠心分離によって血液中から既に抽出された血漿を検体として用いる場合を想定することができる。
【0013】
チップ6には、検査項目に応じた検査試薬が予め収容されている。検査項目としては、糖尿病の判断の指標となるHb(ヘモグロビン)A1c、炎症マーカーであるCRP(C-リアクディブ・プロテイン)およびhsCRP(高感度CRP)、腎機能検査の指標となるCysC(シスタチンC)、などの4項目を挙げることができる。
【0014】
第1ステージ83上にチップ6を保持した状態で、スタートボタン(図示せず)を押圧すると、チップ6の回転が開始され、検体に含まれる任意の成分(例えば血漿)が遠心分離される。遠心分離された成分は、チップ6内の検査試薬と反応し、その結果、反応物が生成される。測定部76(
図4参照)によって上記反応物の吸光度が測定されると、その測定結果が用紙等に出力される。
【0015】
〔2.検体容器およびチップについて〕
図2は、検体容器5およびチップ6を拡大して示す正面図である。検体容器5の表面には、検体の検査に必要な量の目安となる黒色のマーカー5aが付されている。検体の必要量は、検査する検体の種類に応じて異なる。そのため、検体容器5においてマーカー5aが付される位置も、検体の種類に応じて異なる。ユーザ(医師、臨床検査技師など)は、マーカー5aを目標にして検体を検体容器5に導入することにより、検査する検体ごとに、必要量の検体を検体容器5に導入することができる。
【0016】
チップ6は、基台にカバーを貼り合わせて構成される。基台およびカバーの素材は、耐薬品性、内部の流路における撥水性(検体の流動性)、加工時の熱収縮性等を考慮して、チップ6(検査試薬)ごとに適切に設定されている。例えば、検査項目がHbA1cであるチップ6は、基台およびカバーともポリプロピレン樹脂(乳白色)で形成される。他の3つの検査項目のチップ6については、ポリスチレン樹脂にカーボンブラックを含有させて基台(黒色)が構成され、ポリスチレン樹脂にフッ素コートが施されてカバー(透明)が構成されている。
【0017】
このようなチップ6は、容器収容部61と、被測定部62と、計量部63と、ラベル64と、を有する。容器収容部61には、検体容器5が差し込まれて収容される。検体容器5の差し込みを容易にするため、容器収容部61は検体容器5の外形よりも若干大きい形状で形成されている。
【0018】
チップ6の内部には、マイクロ流路(図示せず)が形成されており、容器収容部61に収容された検体容器5内の検体が、チップ6の回転時の遠心力によってマイクロ流路内を流れる。マイクロ流路の途中には、試薬収容部(図示せず)が設けられており、マイクロ流路内を流れる検体のうち、遠心分離された成分が、試薬収納部に収容された検査試薬と反応する。反応物は、上記遠心力によって被測定部62に向かって流れ、被測定部62において、反応物の吸光度が測定部76によって測定される。
【0019】
計量部63は、測定開始から所定時間(例えば5分)経過後に、検体容器5内の検体がチップ6の回転によってマイクロ流路を流れて到達する位置に設けられた、検体検出用の窓部である。より詳しくは、計量部63は、後述する回転機構80(
図4参照)がチップ6を回転させたときに、検体容器5内の検体のうちで必要量以外の検体が廃液として流れる流路に位置する。計量部63に到達した検体の有無を、装置が有するセンサ部(図示せず)によって光学的に検知することにより、検体の有無および検体容器5に導入された検体の量を判断することができる。例えば、測定開始から5分経過後に、センサ部が計量部63で検体(廃液)を検出できなかったとき、検体容器5に必要量の検体が導入されていないか、検体が最初から導入されていないと判断することができる。ただし、上記反応物の粘度がチップ6(検査項目)ごとに異なる、検体の種類(全血、血漿)によって上記反応物の色が異なる、人によって血漿の色が異なるために上記反応物の色が検体ごとに異なる、などの理由により、全てのチップ6について、検体の有無等の情報を安定して取得することは困難である。そのため、本実施形態では、後述の手法により、検体の有無等の情報を安定して取得するようにしている。
【0020】
ラベル64は、チップ6の表面に付されており、2次元コード64aを有する。2次元コード64aは、検査物としての検体の上述した4つの検査項目を識別するための識別情報である。チップ6の内部には、2次元コード64aの識別情報が示す検査項目に応じた検査試薬が収容される。
【0021】
2次元コード64aは、撮像部74によって読み取られる。これにより、読み取った2次元コード64aが示す識別情報に基づき、検体検査装置1に収容されたチップ6が、4つの検査項目のうち、どの項目についての検査用のチップであるかを、装置側で判断することができる。なお、ラベル64には、上記の識別情報以外の情報(例えば、チップ6の製造番号、製造年月日、製造者名などの情報)が含まれてもよい。
【0022】
〔3.検体検査装置の詳細について〕
次に、検体検査装置1の詳細について、再び
図1を参照して説明する。測定室71の上部には、上述したようにチップ6の2次元コード64aを読み取るための撮像部74が設けられる。撮像部74は、例えば撮影によってカラー画像を取得するカメラで構成される。撮像部74は、保持部75によって測定室71の上部に保持される。
【0023】
検体検査装置1は、測定部76(
図4参照)をさらに有する。測定部76は、チップ6内のマイクロ流路を流れて被測定部62に到達した上記反応物の吸光度を光学的に測定し、吸光度の増加速度に基づいて、検体に含まれる検査項目(例えばCRP)の濃度を算出する。
【0024】
測定室71には、回転テーブル81が設けられる。回転テーブル81は、モータ82によって回転軸AXを中心に回転する。回転テーブル81上には、第1ステージ83と、第2ステージ(図示せず)とが設けられる。第1ステージ83と第2ステージとは、回転軸AX方向から見て、回転軸AXに対して点対称となる位置に配置される。
【0025】
第1ステージ83には、上述したチップ6がセットされる。第2ステージには、チップ6とバランスをとるためのバランサーチップがセットされる。第1ステージ83および第2ステージは、ギアおよびカムを有する駆動力切替機構85と連結される。駆動力切替機構85により、第1ステージ83および第2ステージへの、モータ82の駆動力の伝達が切り替えられる。これにより、第1ステージ83および第2ステージの回転/非回転が切り替えられ、回転テーブル81の回転時にチップ6に働く遠心力の方向が切り替えられる。このように第1ステージ83および第2ステージの回転を切り替えることにより、チップ6内で検体の流れる方向を制御することができる。
【0026】
なお、上記の第1ステージ83は、回転テーブル81に取り付けられた第1遊星軸部86を中心に回転(自転する)。第1遊星軸部86は、回転テーブル81の回転軸AXから径方向に離れて位置し、かつ、回転軸AXと平行に位置する。したがって、第1ステージ83は、第1遊星軸部86を中心に自転し、回転軸AXを中心に公転することができる。同様に、第2ステージは、回転テーブル81に取り付けられた第2遊星軸部(図示せず)を中心に回転(自転する)。第2遊星軸部は、回転テーブル81の回転軸AXに対して第1遊星軸部86とは反対側に位置し、かつ、回転軸AXと平行に位置する。したがって、第2ステージは、第2遊星軸部を中心に自転し、回転軸AXを中心に公転することができる。
【0027】
測定室71には、チップ6のラベル64を照明するための照明基板91が取り付けられている。
図3は、照明基板91を下方から見たときの斜視図である。照明基板91には、平面視で略正方形状の開口部91aが形成されている。撮像部74は、照明基板91の開口部91aを介してチップ6のラベル64を撮影し、2次元コード64aを読み取る。なお、後述するように、チップ6に収容される検体容器5を撮影して画像を取得する際も、撮像部74は開口部91aを介して検体容器5を撮影する。
【0028】
照明基板91の下面91bには、互いに異なる位置に複数の光源92が取り付けられている。本実施形態では、開口部91aの4つの辺に沿って3つずつ、合計12個の光源92が照明基板91に取り付けられているが、光源92の数は上記の12個には限定されない。各光源92は、例えば赤色光を出射する赤色LEDであるが、赤色以外の波長の光を出射するLEDであってもよい。各光源92は、第1ステージ83(
図1参照)上に載置されたチップ6のラベル64に向かって光を出射することにより、ラベル64を照明する。これにより、撮像部74は、適切な明るさのもとでラベル64を撮影して、2次元コード64aを適切に読み取ることができる。
【0029】
なお、各光源92からの光の出射によって照明される領域を、ここでは照明領域LAと称する。上記のチップ6は、ラベル64が照明領域LAに位置するようにモータ82によって回転され、照明領域LAに位置するラベル64の2次元コード64aが撮像部74によって読み取られる。
【0030】
なお、ここでは、光源92の個数が12個(複数個)である場合を例として説明するが、光源92の個数は1個であってもよい。例えば、1つの光源92を駆動部(例えばモータ)によって動かして異なる位置に配置し、各位置で光源92を点灯させるようにしてもよい。
【0031】
〔4.対象物情報の取得について〕
検査物または検査物の収容容器の状態に関する情報を、ここでは「対象物情報」とも称する。例えば、検体容器5における検体の有無、検体容器5に必要量の検体が導入されているか否か、検体容器5自体がチップ6に収容されているか否か、などの情報は、対象物情報の例である。また、撮像部74によって撮影されて取得された画像を構成する各画素の画像データ(画素値)を、ここでは「輝度値」とも称する。輝度値は、例えば8ビットで0(暗)~255(明)の値を取り得る。
【0032】
検体検査装置1には、上記のように、複数の光源92と、チップ6のラベル64を読み取るための撮像部74とが元々設けられている。したがって、複数の光源92と撮像部74とを利用して、チップ6に収容された検体容器5を直接撮影して画像を取得することにより、取得した画像に基づいて対象物情報を得ることができると考えられる。例えば、検体が血液である場合、取得した画像において、血液の部分は他の部分よりも暗く現れる(輝度値が小さい)。したがって、各画素の輝度値に基づいて、血液の有無およびその量を判断することができる。また、検体に含まれる成分を遠心分離する前に、上記画像に基づいて対象物情報を取得することができるため、遠心分離を開始してから所定時間経過後に計量部63に到達した検体を検知して対象物情報を取得する方法のみを用いる場合に比べて、対象物情報を迅速に取得することができる。さらに、対象物情報の取得は、反応物の生成前であるため、全てのチップ6について、反応物の粘度および反応物の色等を考慮することなく対象物情報を取得することができる。よって、全てのチップ6について、対象物情報を迅速にかつ安定して取得することができると考えられる。
【0033】
ただし、複数の光源92を同時に点灯させて撮像部74によって検体容器5を撮影すると、得られる画像には、「白飛び」と呼ばれる輝度値の高い領域が各光源92に対応して現れ、画像に顕著な輝度ムラが発生する。上記の輝度ムラは、上記画像に基づいて対象物情報を正確に取得する際の妨げとなるため、これを低減することが必要とされる。
【0034】
複数の光源92の同時点灯に起因する輝度ムラを低減する手法としては、例えば(1)各光源92の出射光量を低下させる、(2)各光源92の間で同一輝度となるように出射光量を微調整する、(3)各光源92とチップ6(特に検体容器5)との間の光路中に拡散板を配置する、などの方法が考えられる。
【0035】
しかし、上記(1)の方法では、照明領域LAが暗くなるため、照明領域LAに位置する検体容器5を撮像部74が撮影して取得した画像に基づいて、対象物情報を正確に取得することが困難となる。また、上記(2)の方法では、出射光量の微調整に高精度が要求されるため、輝度ムラを低減することが容易ではない。さらに、上記(3)の方法では、拡散板の配置空間を確保することが必要となるため、装置の大型化が懸念される。特に、装置の小型化のために、照明基板91の直下に2mm程度の隙間しか確保できない設計では、拡散板の設置自体も困難となる。
【0036】
なお、上記の輝度ムラは、光源92を1つのみ備えた構成(1つの光源92を駆動部によって移動させる構成)であっても同様に生じ得る。つまり、駆動部によって移動可能な1つの光源92を任意の位置で点灯させて、撮像部74によって検体容器5を撮影すると、得られる画像において、上記光源92の位置に対応して高輝度の領域が現れ、輝度ムラが発生する。
【0037】
そこで、本実施形態では、以下の構成を採用することにより、検査項目の異なるチップ6ごとに、対象物情報を安定して取得するとともに、装置の大型化を回避しつつ、簡単な方法で輝度ムラを低減して、対象物情報を正確に取得するようにしている。
【0038】
〔5.検体検査装置のハードウェア構成〕
図4は、検体検査装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。検体検査装置1は、上述の構成に加えて、回転機構80と、制御部100と、をさらに備える。回転機構80は、チップ6を回転させる機構であり、上述のモータ82および駆動力伝達機構85のほか、エンコーダ87を含んで構成される。エンコーダ87は、モータ82(駆動部)の回転位置を検出する回転位置検出部の一例である。
【0039】
制御部100は、例えばCPU(Central Processing Unit)と呼ばれる中央演算処理装置で構成され、主制御部101と、光源制御部102と、画像生成部103と、情報取得部104と、を含んで構成される。主制御部101は、検体検査装置1の各部の動作を制御する。
【0040】
光源制御部102は、少なくとも1つの光源92の点灯を制御する。特に、光源制御部102は、12個の光源92を1個ずつ異なるタイミングで点灯させる。なお、12個の光源92を、2個ずつ6組に分けたとき、光源制御部102は、同一組の光源92を同時に点灯させる一方、各組同士では異なるタイミングで光源92を点灯させるようにしてもよい。また、各組の光源92の個数は、3個であってもよいし、4個であってもよいし、6個であってもよい。さらに、上述したように、1つの光源92を駆動部によって互いに異なる位置に移動させる構成の場合、光源制御部102は、光源92の異なる位置ごとに異なるタイミングで、光源92を点灯させてもよい。すなわち、本実施形態の検体検査装置1は、異なる位置で点灯可能な少なくとも1つの光源92を、異なる位置ごとに異なるタイミングで点灯させる光源制御部102を備える。
【0041】
また、1つの光源92を駆動部によって互いに異なる位置に移動させる構成では、光源制御部102が1個の光源92を常時点灯させ、駆動部が、点灯状態の光源92を異なる位置に移動させるようにしてもよい。
【0042】
画像生成部103は、点灯する光源92の異なる位置ごとに異なるタイミングで撮像部74が撮影して取得した個別画像に基づいて、解析用画像を生成する。情報取得部104は、画像生成部103によって生成された解析用画像に基づいて、上記の対象物情報を取得する。
【0043】
また、検体検査装置1は、記憶部93をさらに備える。記憶部93は、制御部100の動作プログラムを記憶するとともに、各種の情報を記憶するメモリであり、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリなどを含んで構成される。例えば、撮像部74によって取得された個別画像、画像生成部103によって生成された解析用画像、情報取得部104によって取得された対象物情報は、記憶部93に記憶され、必要に応じて記憶部93から読み出される。
【0044】
〔6.対象物情報の取得方法〕
以下、上記構成による対象物情報の具体的な取得方法について説明する。
【0045】
(6-1.輝度値そのものを用いる方法)
図5は、対象物情報の取得方法の流れを示すフローチャートである。まず、測定室71の第1ステージ83上にチップ6がセットされると、回転機構80が回転テーブル81および第1ステージ83を回転させて、チップ6を各光源92の照明領域LAに位置させる(S1)。
【0046】
次に、光源制御部102の制御により、いずれか1つの光源92を点灯させて、照明領域LAに位置するチップ6に向けて光を出射させる(S2)。続いて、S2にて光源92によって照明された上記のチップ6を、撮像部74によって撮影して、一の個別画像K1を取得する(S3)。なお、撮像部74は、元々、ラベル64の2次元コード64aを読み取る範囲で画角が設定されているため、チップ6の全体ではなく、一部のみ(例えば
図6の破線で囲まれた領域)を撮影して個別画像K1を取得する。
【0047】
次に、光源制御部102の制御により、S2で点灯させた光源92とは異なる位置の光源92を、先に点灯させた光源92とは異なるタイミングで点灯させて、照明領域LAに位置するチップ6に向けて光を出射させる(S4)。続いて、S4にて別の光源92によって照明されたチップ6を、撮像部74によって撮影して、別の個別画像K2を取得する(S5)。
【0048】
上記したS4およびS5の工程を、12個の光源92の全てについて行う(S6)。その結果、異なるタイミングでの光源92の点灯ごとに、12個の個別画像K1~K12が撮像部74によって取得される。
【0049】
図6は、12個の光源92の点灯ごとに取得される12個の個別画像K1~K12を模式的に示している。上述したように、照明基板91において、12個の光源92は互いに異なる位置に取り付けられており、互いに異なる方向からチップ6を照明する。この結果、各個別画像K1~K12には、各光源92の位置に対応する、点光源特有の白飛び領域w(高輝度領域)が発生している。
【0050】
次に、画像生成部103は、複数の個別画像K1~K12間で同一位置の画素について輝度値の単純平均を算出し、上記単純平均の輝度値を有する画素の集合からなる解析用画像MAを生成する(S7)。
図7は、画像生成部103が生成した解析用画像MAを模式的に示す。
【0051】
続いて、情報取得部104は、S7で生成された解析用画像MAにおいて、予め設定された1ライン(
図7ではA1-A2方向)に並ぶ画素の輝度値に基づいて、対象物情報を取得する。
【0052】
例えば、検体が血液である場合、解析用画像MAにおいて、血液の部分は暗くなる(輝度値が低下する)。このため、情報取得部104は、上記1ラインにおいて、輝度値が閾値TH1以下となる画素の有無に基づいて、検体容器5中の血液の有無を判断することができ、血液の有無に関する情報を対象物情報として取得することができる。また、情報取得部104は、解析用画像MAの上記1ラインにおいて、輝度値が閾値TH1以下となる画素の数をカウントすることにより、検体容器5に導入された血液の量を判断することができる。そして、情報取得部104は、カウントした画素の数と、必要量に相当する上記1ラインの画素の数とを比較することにより、必要量の血液が検体容器5に導入されたか否かを判断することができ、検体量(血液の量)に関する情報を対象物情報として取得することができる。
【0053】
なお、検体が血漿である場合でも、情報取得部104は、上記と同様の手法により、検体容器5中の血漿の有無および必要量の血漿が検体容器5に導入されたか否かを判断することができる。
【0054】
さらに、情報取得部104は、上記と同様の手法により、チップ6の容器収容部61に対する検体容器5の収容の有無についても判断することができ、検体容器5の収容状態に関する情報を対象物情報として取得することができる。
【0055】
以上では、12個の光源92を1個ずつ順次点灯させて、12個の個別画像K1~K12を取得する例について説明したが、光源92を2個ずつ、3個ずつ、4個ずつ、順次点灯させて、それぞれ6個、4個、3個の個別画像を取得するようにしてもよい。
【0056】
また、1つの光源92を駆動部によって移動させる構成では、光源92の移動前の位置および移動後の位置(移動前の位置とは別の位置)のそれぞれにおいて光源92を点灯させて(1つの光源92を互いに異なる位置で異なるタイミングで点灯させて)、複数の個別画像を取得してもよい。また、1つの光源92を点灯させたまま異なる位置に移動させ、異なる位置ごとに異なるタイミングで撮像部74がチップ6を撮影して、複数の個別画像を取得してもよい。
【0057】
なお、画像生成部103は、単純平均から多少ずれた値(輝度値)を用いて解析用画像MAを生成してもよいし、輝度値の中央値(メディアン)を用いて解析用画像MAを生成してもよい。
【0058】
図8は、複数の個別画像間での任意の同一位置の画素についての輝度値の分布を正規化したグラフである。上記した平均輝度範囲は、
図8のグラフにおいて、平均輝度値をnとし、標準偏差をσとして、n±σの範囲内に収まる。解析用画像MAの各画素は、上記平均輝度範囲内の偏差値に相当する輝度値をそれぞれ有していてもよい。
【0059】
以上のように、本実施形態の検体検査装置1は、少なくとも1つの光源92の点灯によって照明される照明領域LAに位置させたチップ6を、点灯する光源92の異なる位置ごとに異なるタイミングで撮影して、複数の個別画像K1~K12を取得する撮像部74と、複数の個別画像K1~K12に基づいて、解析用画像MAを生成する画像生成部103と、解析用画像MAに基づいて対象物情報を取得する情報取得部104と、を備える。
【0060】
また、本実施形態の情報処理方法は、(回転機構80が)チップ6を回転させて照明領域LAに位置させる工程(S1)と、(光源制御部102が)少なくとも1つの光源92を点灯させて、チップ6に向けて光を出射させる工程(S2)と、(撮像部74が)チップ6を撮影して個別画像(例えば個別画像K1)を取得する工程(S3)と、上記チップ6の撮影後、上記チップ6の撮影時の位置とは別の位置で少なくとも1つの光源92を(光源制御部102が)点灯させて、照明領域LAに位置するチップ6に向けて光を出射させる工程(S4)と、(撮像部74が)上記別の位置の光源92によって照明されたチップ6を撮影して、別の個別画像(例えば個別画像K2)を取得する工程(S5)と、(画像生成部104が)取得した複数の個別画像に基づいて、解析用画像MAを生成する工程(S7)と、(情報取得部104が)解析用画像MAに基づいて対象物情報を取得する工程(S8)と、を含む。
【0061】
チップ6を撮像部74によって直接撮影して個別画像K1~K12を取得し、解析用画像MAを生成することにより、上述のように、検体中の任意の成分と検査試薬との反応物の粘度等の影響を受けることなく、どのチップ6についても、解析用画像MAに基づいて対象物情報を安定して取得することができる。
【0062】
特に、撮像部74は、回転機構80によって照明領域LAに位置させたチップ6の容器収容部61を撮影することにより、複数の個別画像K1~K12を取得する。これにより、対象物情報として、容器収容部61への検体容器5の装填の有無、容器収容部61に収容された検体容器5内の検体の有無の情報を迅速に(例えば測定開始から数秒で)取得することができる。
【0063】
また、解析用画像MAの各画素の輝度値は、複数の個別画像K1~K12間で同一位置の画素の輝度値を用いて算出されるため、上述したように、複数の個別画像K1~K12の同一位置の画素間で輝度値を単純平均した値、または平均輝度範囲内の値等を、解析用画像MAの各画素の輝度値とすることができる。これにより、各個別画像K1~K12において、光源92の点灯に起因する白飛び領域w(
図6参照)が現れても、解析用画像MAでは、個別画像K1~K12の白飛び領域wに対応する領域の輝度値が上記白飛び領域wの輝度値よりも低輝度側にシフトするため、「白飛び」が目立たなくなる。したがって、情報取得部104は、上記解析用画像MAに基づいて、対象物情報を正確に取得することが可能となる。また、輝度ムラを低減するにあたって、拡散板などの別部材を光源92とチップ6との間の光路中に配置する必要がなく、複数の光源92間で出射光量を微調整する必要もない。これにより、装置の大型化を回避しつつ、簡単な方法で輝度ムラを低減して、対象物情報を正確に取得することができる。
【0064】
また、拡散板が不要であるため、省スペース化に貢献することができるとともに、部品点数の減少によって装置の故障率を下げることもできる。さらに、本実施形態の手法では、チップ6の構造を変えることなく対象物情報を取得することができるため、チップ構造の変更による検体量の増加を伴わず、採血時の被験者への負担を軽減することができる。また、短い時間で検体の有無等の対象物情報を取得することができるため、ユーザビリティの向上を図ることもできる。
【0065】
特に、検体検査装置1は複数の光源92を有する。そして、光源制御部102は、複数の光源92を異なる位置ごとに異なるタイミングで点灯させる。この場合、1個の光源92を駆動部によって異なる位置に移動させて、異なる位置からチップ6を照明する構成に比べて、駆動部の配置空間を確保する必要がないため、装置の小型化に寄与することができる。また、上記駆動部の制御も不要となる。
【0066】
また、解析用画像MAの各画素が、平均輝度範囲内の輝度値をそれぞれ有することにより、上記各画素が個別画像K1~K12の同一位置の画素間での輝度値の平均値、または平均値に近い値となるため、解析用画像MAにおいて色飛び領域wに対応する領域の輝度値を、白飛び領域wの輝度値よりも確実に低輝度側にシフトさせることができる。これにより、輝度ムラを低減した解析用画像MAを確実に生成することができる。
【0067】
上記の平均輝度範囲は、上述のように、同一位置の画素についての輝度値の正規分布において、n-σ以上n+σ以下に収まる輝度値の範囲である。n±σの範囲に含まれる輝度値であれば、平均輝度値そのものでなくても平均輝度を表す値として許容することができ、そのような輝度値を用いて、上述した本実施形態の効果を得ることができる。
【0068】
情報取得部104は、解析用画像MAにおける、予め設定された1ライン(A1-A2方向)の画素の輝度値に基づいて、対象物情報を取得する(S8)。解析用画像MAの1ラインの画素の輝度値そのものを用いて対象物情報を取得するため、例えば、複数の解析用画像を生成してこれらの間での輝度値の差に基づいて対象物情報を取得する後述の方法よりも、簡便に対象物情報を取得することができる。
【0069】
解析用画像MAの各画素の輝度値は、複数の個別画像K1~K12間で同一位置の画素について輝度値を平均した平均輝度値である。各個別画像K1~K12において光源92の点灯に起因して発生した白飛び領域wの輝度値(高輝度値)は、解析用画像MAでは平均輝度値に置き換えられ、結果的に輝度値が確実に低下して、白飛び領域が確実に目立たなくなる。これにより、情報取得部104は、上記の解析用画像MAに基づいて、対象物情報を正確に取得することが確実に可能となる。
【0070】
特に、平均輝度値は、複数の個別画像K1~K12間で同一位置の画素についての輝度値の単純平均である。この場合、演算により平均輝度値を求めることが容易となるため、画像生成部103は複数の個別画像K1~K12に基づいて、解析用画像MAを容易に生成することができる。
【0071】
ところで、上記の平均輝度値は、重み付け平均であってもよい。例えば、平均輝度値は、複数の個別画像K1~K12間で同一位置の画素についての輝度値を、光源92の位置または光源92からの光の出射量に基づいて重みを付けて平均化した重み付け平均であってもよい。上記の重みは、例えば、照明領域LAとの距離が長い光源92ほど大きく、出射光量が少ない光源92ほど大きくなるように設定される。
【0072】
このような重み付け平均を用いても、解析用画像MAでは、各画素の輝度値が、複数の個別画像K1~K12間で平均化されるため、白飛び領域wに対応する領域での「白飛び」が目立たなくなる。その結果、情報取得部104は、上記の解析用画像MAに基づいて、対象物情報を正確に取得することが可能となる。
【0073】
本実施形態では、検査物は検体であり、対象物情報は、チップ6への収容容器(検体容器5)の装填の有無、収容容器における検体の有無、検体の種類(血液、血漿)、収容容器における検体の導入量(検体量)、の少なくともいずれかについての情報を含む。この場合、情報取得部104は、輝度ムラが低減された解析用画像MAに基づいて、収容容器の有無等の情報を正確に取得することができる。
【0074】
本実施形態の検体検査装置1は測定部76を備える。測定部76によって測定された吸光度に基づいて検体を検査する構成において、上述した手法により、対象物情報を正確に取得することができる。
【0075】
(6-2.輝度値の差を用いる方法)
次に、対象物情報を取得する別の方法として、2つの解析用画像における輝度値の差を用いる方法について説明する。まず、
図7で示した解析用画像MAを、第1解析用画像M1とする。つまり、検体容器5に検体を収容した状態で画像生成部103が生成した解析用画像MAを、第1解析用画像M1とする。一方、
図9は、検体容器5に検体を収容していない状態で画像生成部103が生成した解析用画像MAを示す。ここでは、
図9の解析用画像MAを、
図7の第1解析用画像M1と区別するために、第2解析用画像M2と称する。
【0076】
情報取得部104は、第1解析用画像M1および第2解析用画像M2の同一位置の画素間での輝度値の差に基づいて、対象物情報を取得する。
図10は、
図7および
図9の1ライン(A1-A2方向)上の各画素における、第1解析用画像M1と第2解析用画像M2との間での輝度値の差の分布を模式的に示している。なお、
図10の分布は、検体容器5に収容される検体が血液である場合に得られる分布とする。また、ここでは、説明の便宜上、検体容器5の表面に付されているマーカー5aの存在を無視する。
【0077】
個々の光源92には、光源ムラが存在する。光源ムラとしては、例えば、各光源92間での放射ムラ(放射角度のムラ)、実装ムラ(各光源92間での照明基板91に対する取付角度のムラ)、などを考えることができる。このように、各光源92に光源ムラが存在していると、その光源ムラの影響が解析用画像MAにも反映される。したがって、光源ムラは、情報取得部104が解析用画像MAに基づいて対象物情報を精度よく取得する際の妨げとなり得る。
【0078】
画像生成部103が、解析用画像MAとして、検体ありの画像を示す第1解析用画像M1と、検体なしの画像を示す第2解析用画像M2とを生成した場合、上記の光源ムラの影響は、第1解析用画像M1および第2解析用画像M2の両方に反映される。したがって、第1解析用画像M1および第2解析用画像M2の同一位置の画素間で輝度値の差を取ることにより、上記の光源ムラの影響がキャンセルまたは低減される。その結果、光源ムラが存在する状態であっても、情報取得部104は上記輝度値の差に基づいて、対象物情報を精度よく取得することができ、安定した情報取得性能を保証することができる。
【0079】
また、
図11は、検体が血漿である場合において、予め定められた1ライン(A1-A2方向)上の各画素における、第1解析用画像M1と第2解析用画像M2との間での輝度値の差の分布を模式的に示している。なお、
図11においても、説明の便宜上、検体容器5の表面に付されているマーカー5aの存在を無視する。
【0080】
検査物が血漿などの透明に近い液体である場合、検体容器5における血漿の端部(端面)では、光源92から入射する光が屈折することによって明るくなる(いわゆるレンズ効果)。このため、解析用画像MAでは、血漿の端部に相当する画素の位置において、輝度値が高くなる。
【0081】
上記のように、第1解析用画像M1と第2解析用画像M2との間で輝度値の差を取ることにより、光源ムラの影響がキャンセルされるため、上記輝度値の差の分布では、血漿の端部に相当する画素の位置において、輝度値の高い部分が明確に現れる。したがって、検体が血漿である場合には、情報取得部104が上記輝度値の差に基づいて、例えば検体容器5への血漿の導入量に相当する長さLを精度よく認識することが可能となる。つまり、上記輝度値の差に基づいて対象物情報を取得する方法は、特に、検体が透明または透明に近い液体である場合に非常に有効となる。
【0082】
上記した第1解析用画像M1および第2解析用画像M2は、例えば以下の方法によって生成される。まず、撮像部74は、回転機構80によるチップ6の回転前に、点灯する光源92の異なる位置ごとに異なるタイミングでチップ6を撮影して、複数の第1個別画像を取得する。このとき、チップ6には、検体を収容した検体容器5が装填されているとする。そして、撮像部74は、回転機構80によるチップ6の回転後に、点灯する光源92の異なる位置ごとに異なるタイミングでチップ6を撮影して、複数の第2個別画像を取得する。なお、チップ6の回転によって生じる遠心力により、検体容器5に収容された検体はチップ6内のマイクロ流路に流れ込むため、検体容器5は検体なしの状態となる。
【0083】
画像生成部103は、複数の第1個別画像に基づいて、第1解析用画像M1を生成し、複数の第2個別画像に基づいて、第2解析用画像M2を生成する。例えば、画像生成部103は、複数の第1個別画像間で同一位置の画素の輝度値の単純平均を算出することにより、上記単純平均の画素の集合からなる第1解析用画像M1を生成することができる。同様に、画像生成部103は、複数の第2個別画像間で同一位置の画素の輝度値の単純平均を算出することにより、上記単純平均の画素の集合からなる第2解析用画像M2を生成することができる。
【0084】
光源92には、経年変化によって出射光量が低下する光量ムラが存在する。撮像部74がチップ6を撮影して複数の第1個別画像および複数の第2個別画像をそれぞれ取得するときのタイムラグは、光源92の経年変化による性能低下のスパンに比べて十分に短い。このため、撮像部74は、複数の第1個別画像の取得後、光源92の経年変化による光量ムラの影響を低減した状態で、複数の第2個別画像を取得することができる。そして、画像生成部103は、第1解析用画像M1の生成後、光量ムラの影響が低減された複数の第2個別画像に基づいて、第2解析用画像M2を生成することができる。その結果、情報取得部104は、第1解析用画像M1および第2解析用画像M2に基づいて、対象物情報をより精度よく取得することができ、安定した情報取得性能を確実に保証することが可能となる。
【0085】
また、複数の第1個別画像および複数の第2個別画像は、同一の検体容器5についての撮影によって取得される画像であり、第1解析用画像M1および第2解析用画像M2は、同一の検体容器5について生成される画像である。このため、例えば検体容器5の表面に傷が存在していても、情報取得部104が第1解析用画像M1および第2解析用画像M2の同一位置の画素間での輝度値の差に基づいて対象物情報を取得することにより、検体容器5の表面の傷の影響をキャンセルした状態で対象物情報を取得することが可能となる。したがって、この点でも、情報取得部104は、対象物情報を精度よく取得することが可能となる。
【0086】
画像生成部103によって生成される上記の第2解析用画像M2(各画素の輝度値)、つまり、検体なしのチップ6についての第2解析用画像M2は、デフォルトで予め記憶部93(
図4参照)に記憶されてもよい。そして、情報取得部104は、画像生成部103によって第1解析用画像M1が生成されると、記憶部93から第2解析用画像M2を読み出し、生成された第1解析用画像M1と、読み出した第2解析用画像M2とにおける同一位置の画素間での輝度値の差に基づいて、対象物情報を取得してもよい。
【0087】
第2解析用画像M2を予め記憶部93に記憶させておくことにより、撮像部74が複数の第1個別画像を取得した後に複数の第2個別画像を取得する工程、および画像生成部103が複数の第2個別画像に基づいて第2解析用画像M2を生成する工程を省くことができる。これにより、情報取得部104は、第1解析用画像M1と第2解析用画像M2とに基づいて、対象物情報を迅速に取得することが可能となる。
【0088】
(6-3.輝度値を幅方向で平均化することによる対象物情報の取得方法)
図12は、チップ6の回転の前後で取得される上記した第1解析用画像M1および第2解析用画像M2の一部分をそれぞれ模式的に示している。ここでは、検体容器5に付された黒色のマーカー5aの像5a1も第1解析用画像M1および第2解析用画像M2に含まれるとする。
【0089】
なお、第1解析用画像M1と第2解析用画像M2とでは、像5a1の位置が1ラインの方向(A1-A2方向)に距離AHだけずれている。これは、チップ6の容器収容部61に収容された検体容器5が、チップ6の回転による遠心力を受けて、容器収容部61の内部をA2方向に距離AHだけ移動することによる。
【0090】
また、第1解析用画像M1および第2解析用画像M2において、A1-A2方向の画素1ラインおよびその1ラインと平行な複数ラインを含む領域を、ここでは、特定領域SRと称する。第1解析用画像M1および第2解析用画像M2において、上記1ラインと垂直に並ぶ画素方向をB方向としたとき、特定領域SRのB方向の幅BWは、検体容器5の幅に対応する画素数分(例えば33画素分)の幅に設定されている。
【0091】
情報取得部104は、第1解析用画像M1および第2解析用画像M2のそれぞれにおいて、上記1ライン上の各画素の位置ごとに、輝度値(ここでは平均輝度範囲内の輝度値)を、特定領域SR内でB方向に並ぶ複数の画素間でさらに平均した幅方向平均値を算出する。そして、情報取得部104は、第1解析用画像M1と第2解析用画像M2との間での幅方向平均値の差に基づいて、対象物情報を取得する。
【0092】
光源92によるチップ6の照明時には、チップ6に収容された検体容器5の素材および製造精度(傷、表面粗さ)に起因して、検体容器5の表面で反射ムラが起こる場合がある。そのような場合でも、1ラインの各画素の位置ごとに、特定領域SR内でB方向に並ぶ複数の画素間で、平均輝度範囲内の輝度値をさらに平均することにより、反射ムラによる輝度値のばらつきが抑えられる。したがって、情報取得部104は、上記幅方向平均値の差に基づいて対象物情報を取得することにより、上述した光源ムラ、光量ムラに加えて、反射ムラの影響を抑えながら、対象物情報をさらに精度よく取得することができる。
【0093】
図13は、上記1ラインにおける幅方向平均値の差の分布を模式的に示している。なお、ここでは、検体として血液を想定する。
図13のグラフより、Q1、Q2、Q3で示す特異箇所を除けば、検体なし部分(幅方向平均値の差がゼロ付近)と、検体あり部分(幅方向平均値の差がマイナスの部分)とで、幅方向平均値の差の変化の仕方が明確に異なっていることがわかる。したがって、情報取得部104は、幅方向平均値の差に基づいて、検体なしと検体ありとの境界部分を容易に認識することができ、検体の有無に関する情報を精度よく取得することができる。
【0094】
なお、上記のQ1、Q2、Q3で示す特異箇所は、
図12の第1解析用画像M1の領域P1、第2解析用画像M2の領域P2およびP3にそれぞれ対応する。領域P1は、第1解析用画像M1において、マーカー5aの像5a1が位置する領域である。領域P2は、第2解析用画像M2において、マーカー5aの像5a1が位置する領域である。領域P3は、第2解析用画像M2において、チップ6に回転によって容器収容部61の内部に入り込んだ検体容器5の端部の領域である。
【0095】
図14は、特異箇所Q1~Q3が生成されるメカニズムを模式的に示している。チップ6の回転前に取得される第1解析用画像M1では、同図の(1)のグラフで示すように、1ラインの幅方向平均値は、黒色のマーカー5aの像5a1が位置する領域P1で低下し、検体容器5内で検体(血液)が存在する暗赤色の領域で若干増加する。
【0096】
チップ6の回転後に取得される第2解析用画像M2では、同図の(2)のグラフで示すように、1ラインの幅方向平均値は、黒色のマーカー5aの像5a1が位置する領域P2で低下する。また、第2解析用画像M2の領域P3では、チップ6の乳白色のカバーと検体容器5とが重なることによって若干暗くなることにより、平均輝度値が低下する。なお、領域P3は、光源92から照射される光が検体容器5の端部で屈折するために輝度値が不安定に変化する領域であり、測定時に現れたり、現れなかったりする。
【0097】
1ラインの各画素の位置で、チップ6の回転前の幅方向平均値((1)のグラフ参照)から、チップ6の回転後の幅方向平均値((2)のグラフ参照)を差し引くと、(3)のグラフが得られる。つまり、(1)のグラフに、(2)のグラフを上下反転させたグラフを足し合わせたグラフが得られる。この(3)のグラフより、領域P1、P2およびP3が、幅方向平均値の差のグラフにおいて特異箇所Q1、Q2およびQ3と対応することは明らかである。
【0098】
(6-4.撮像部の収差の影響を低減して対象物情報を取得する方法)
検査物が血漿などの透明に近い液体である場合、レンズ効果によって血漿の端面が明るくなることは前述の通りである。特に、測定室71内で撮像部74側から見てチップ6の背景色が黒色である場合(例えば検査項目がhsCRPのチップ6を用いた場合)、血漿の端面の明るさは、より目立つ。
【0099】
一方、撮像部74は、元々、チップ6の表面に付されたラベル64の2次元コード64aを読み取るために設けられており、測定室71において2次元コード64aの読み取りに適した位置(例えば2次元コード64aを直上から読み取る位置)に配置されている。したがって、このように配置された撮像部74により、チップ6の端部に位置する検体容器5を撮影すると、検体容器5を斜め方向に撮影することになる。このため、撮像部74が有する収差の影響が大きくなり、
図15のC部の拡大図に示すように、第1解析用画像M1において、血漿の端面に相当する部分に高輝度の歪みD1およびD2が現れる。高輝度の歪みD1およびD2は、幅方向平均値の差を大きく広げる原因となり、対象物情報を精度よく取得する際の妨げとなり得る。
【0100】
そこで、情報取得部104は、特定のチップ6(検査項目:hsCRP)については、第1解析用画像M1および第2解析用画像M2に基づいて、以下のようにして対象物情報を取得する。
図16は、特定のチップ6について得られる、第1解析用画像M1と第2解析用画像M2との間での幅方向平均値の差の1ラインの分布を模式的に示す。
【0101】
まず、情報取得部104は、
図16の分布において、大区間Eを検出した後、大区間Eから小区間Gを抽出する。大区間Eは、幅方向平均値の差の基準値(例えば0)よりも高い第1閾値(例えば+13)に基づいて規定される区間であり、上記1ラインの分布において、端面の歪みを含んだ状態で検体が存在すると考えられる区間に相当する。ここでは、情報取得部104は、上記1ラインを一方の側(A1側)から他方の側(A2側)に向かって、第1閾値を2回以上単調増加で超える点(例えばE1)から、次に第1閾値を2回以上単調増加で超える点(例えば点E2)までの区間を大区間Eとして検出する。なお、
図16の分布における点E1および点E2の位置は、
図15の第1解析用画像M1におけるe1およびe2の位置にそれぞれ対応する。
【0102】
一方、小区間Gは、大区間E内で、上記基準値よりも低い第2閾値(例えば-8)に基づいて規定される区間であり、上記1ラインの分布において、端面の歪みを含まない状態で検体が存在すると考えられる区間に相当する。ここでは、情報取得部104は、上記1ラインを一方の側(A1側)から他方の側(A2側)に向かって、第2閾値を2回以上単調減少で下回る点(例えばG1)から、第2閾値を2回以上単調増加で超える点のうち、最もA2寄りの点(例えば点G2)までの区間を小区間Gとして抽出する。なお、
図16の分布における点G1および点G2の位置は、
図15の第1解析用画像M1におけるg1およびg2の位置にそれぞれ対応する。
【0103】
そして、情報取得部104は、小区間Gにおける幅方向平均値の差の、1ライン方向での平均を算出し、第3閾値(例えば-10)と比較することにより、検体の有無を判断し、対象物情報として取得することができる。
【0104】
特定のチップ6については、幅方向平均値の差の1ラインの分布において、大区間Eから小区間Gを抽出することにより、撮像部74の収差によって生じる歪みD1およびD2(
図15参照)の影響を受けて幅方向平均値の差が高くなる領域を排除することができる。したがって、小区間Gにおける幅方向平均値の差に基づいて対象物情報を取得することにより、撮像部74の収差の影響を低減した状態で、対象物情報を正確に取得することができる。よって、撮像部74の直下に検体容器5が位置していないなど、装置の構成または設計上、撮像部74の収差の影響が大きく生じる条件下で検体容器5を撮影せざるを得ない場合には、上述した対象物の取得方法が非常に有効となる。
【0105】
撮像部74は、チップ6の表面に付されたラベル64の2次元コード64a(識別情報)を予め読み取っていてもよい。この場合、情報取得部104は上記2次元コード64aに基づいて、チップ6の種類(検査項目)を判断することができる。これにより、情報取得部104は、用いるチップ6が特定のチップ6であるか否かを事前に判断することができ、特定のチップ6である場合には、上記した方法を実行して対象物情報を取得することができる。
【0106】
(6-5.解析用画像の重ね合わせについて)
図17は、複数の解析用画像MAをチップ6の同一位置で重ね合わせた合成解析用画像MA-Coを模式的に示している。なお、上記解析用画像MAは、例えば(6-1.輝度値そのものを用いる方法)で説明した解析用画像MAを用いることができる。
【0107】
図4等で示したように、検体検査装置1が回転機構80を有し、回転機構80がモータ82およびエンコーダ87を有する構成では、回転機構80によってチップ6を所定角度ずつ回転させて静止し、撮像部74によるチップ6の一部についての複数の個別画像K1~K12の取得と、画像生成部103による解析用画像MAの生成とを、チップ6の異なる回転位置ごとに繰り返し行ってもよい。ここでは、互いに異なる2か所の回転位置でチップ6の一部をそれぞれ撮影し、それぞれの回転位置で生成された解析用画像MAを、解析用画像MA-1、解析用画像MA-2とする。そして、画像生成部103は、複数の解析用画像MA-1およびMA-2を、チップ6の同一位置で重ね合わせて合成解析用画像MA-Coを生成してもよい。なお、チップ6の異なる回転位置は3か所以上であってもよく、解析用画像MAの数は、3つ以上であってもよい。
【0108】
なお、モータ82の回転位置と、撮像部74によって撮影されるチップ6の撮影領域(
図17の座標系で規定される領域)とは予め対応付けられているとする。この場合、モータ82の回転位置がエンコーダ87によって検出されると、画像生成部103は、上記回転位置に基づいて、チップ6の撮影領域を特定することができる。一方、複数の解析用画像MA-1およびMA-2は、チップ6の一部の撮影によってそれぞれ生成されることから、複数の解析用画像MA-1およびMA-2と、チップ6の複数の撮影領域とは、1対1に対応する。したがって、画像生成部103は、
図17の座標系で、各撮影領域に含まれる同じ座標位置を認識することにより、複数の解析用画像MA-1およびMA-2でチップ6の同一位置を認識することができる。そして、画像生成部103は、複数の解析用画像MA-1およびMA-2を、認識したチップ6の同一位置で重ね合わせることができる。
【0109】
このようにして画像生成部103が合成解析用画像MA-Coを生成することにより、情報取得部104は、例えば(6-1.輝度値そのものを用いる方法)で説明した方法と同様にして、上記合成解析用画像MA-Coに基づいて対象物情報を取得することができる。
【0110】
また、個々の解析用画像MA-1およびMA-2がチップ6の一部(例えば検体容器5の一部)についての輝度値を示す画像であっても、これらの解析用画像MA-1およびMA-2をチップ6の同一位置が重なるように合成することにより、検体容器5の全てについての輝度値を有する合成解析用画像MA-Coを取得することができる。これにより、撮像部74が1回で検体容器5の一部しか撮影できない条件であっても、情報取得部104は、合成解析用画像MA-Coに基づいて、検体容器5全体についての対象物情報(例えば検体容器5に検体が十分に収容されているか否かの情報)を取得することができる。
【0111】
なお、チップ6の異なる回転位置で取得される複数の解析用画像MAを重ね合わせて合成解析用画像MA-Coを生成する手法は、前述した第1解析用画像M1、第2解析用画像M2を用いる場合にも適用することができる。
【0112】
〔7.計量部の撮影の併用〕
図18は、撮像部74によるチップ6の撮影を2段階で行って吸光度測定(測光)を行う場合の時間的な流れ(シーケンス)を模式的に示している。撮像部74は、第1期間T1と第2期間T2とのそれぞれにおいて、複数の個別画像を取得してもよい。以下、
図1~
図4で示した構成を参照しながら、シーケンスの詳細について説明する。
【0113】
第1期間T1では、撮像部74は、回転機構80によって照明領域LAに位置させたチップ6の容器収容部61を撮影することにより、容器収容部61について複数の個別画像を取得する。第1期間T1の始期は、例えばチップ6を測定室71に収容して、測定開始を指示するスタートボタンを押圧した時点t0である。第1期間T1の終期は、時点t0から例えば15秒が経過する時点t3である。撮像部74による容器収容部61の撮影は、例えば時点t0から3秒経過後の時点t1で行われる。その後、例えば時点t1と後述時点t2(時点t0から例えば10秒経過後)との間で、回転機構80によるチップ6の回転が開始される。これにより、検体容器5に収容された検体が、チップ6のマイクロ流路内に導入される。なお、時点t0を起点とする各時点t1~t3までの経過時間は、上記の数値に限定されるわけではなく、適宜設定可能である。
【0114】
第2期間T2では、撮像部74は、回転機構80によって照明領域LAに位置させたチップ6の計量部63(検査物検出用の窓部)を撮影することにより、計量部63について複数の個別画像を取得する。第2の期間T2は、第1期間T1よりも時間的に後の期間であり、その始期は、時点t0から例えば2分が経過した時点t4である。第2期間T2の終期は、時点t0から例えば6分経過後の時点t7である。撮像部74による計量部63の撮影は、時点t0から例えば5分経過後の時点t6で行われる。そして、第2期間T2が経過した後、測定部76による吸光度測定が行われる。具体的には、時点t0から例えば7.5分が経過した後の時点t8で、測定部76による吸光度測定が行われる。なお、時点t0を起点とする各時点t4~t8までの経過時間は、上記の数値に限定されるわけではなく、適宜設定可能である。
【0115】
なお、第1期間T1および第2期間T2で複数の個別画像を取得するにあたって、光源92の異なる位置ごとに、異なるタイミングで光源92を点灯させる点は、前述の〔6.対象物情報の取得方法〕と同様である。
【0116】
画像生成部103は、第1期間T1および第2期間T2のそれぞれにおいて、取得された複数の個別画像に基づいて解析用画像を生成する。そして、情報取得部104は、第1期間T1および第2期間T2のそれぞれにおいて、生成された解析用画像に基づいて対象物情報を取得する。なお、解析用画像の生成および解析用画像に基づく対象物情報の取得方法は、前述の〔6.対象物情報の取得方法〕と同様である。
【0117】
特に、上述した(6-2.輝度値の差を用いる方法)を採用する場合、第1期間T1では、時点t0から例えば10秒経過後の時点t2で、撮像部74による容器収容部61の撮影が併せて行われる。この時点t2では、上述したようにチップ6の回転が既に始まっており、これによって検体が検体容器5からチップ6の内部に流れ込んでいるため、検体容器5に検体が存在しない状態で、容器収容部61が撮影される。また、第2期間T2では、時点t0から例えば3分経過後の時点t5で、撮像部74による計量部63の撮影が併せて行われる。この時点t5では、理論上(マイクロ流路の設計により)、チップ6の回転によってマイクロ流路を流れる検体が計量部63に到達していないため、検体なしの状態で計量部63が撮影される。
【0118】
図19は、チップ6の2つの箇所(容器収容部61、計量部63)を撮影して取得(検出)された対象物情報と、検体の状態または検体容器5の状態の判断結果との関係を模式的に示している。なお、図中の○印は、対象物情報として「検体あり」が検出された場合を示す。また、図中の×印は、対象物情報として「検体なし」が検出された場合を示す。
【0119】
例えば、容器収容部61の撮影に基づいて「検体あり」が検出され、計量部63の撮影に基づいて「検体あり」が検出された場合、情報取得部104は、検体容器5が容器収容部61に正常に挿入されていると判断する。また、容器収容部61の撮影に基づいて「検体なし」が検出され、計量部63の撮影に基づいて「検体あり」が検出された場合、情報取得部104は、検体容器5が容器収容部61に逆方向に挿入されていると判断する。計量部63の撮影に基づいて「検体あり」が検出されているため、必要量の検体が検体容器5に収容されていることになるが、検体容器5が容器収容部61に逆方向に挿入されていると、検体容器5に収容された検体が、撮像部74の撮影範囲から外れる場合があり、その場合、容器収容部61の撮影に基づく検出結果が「検体なし」となるためである。
【0120】
容器収容部61の撮影に基づいて「検体あり」が検出され、計量部63の撮影に基づいて「検体なし」が検出された場合、情報取得部104は、検体容器5に収容された検体の量が不足している(必要量の検体が収容されていない)と判断する。検体容器5に検体が収容されているにもかかわらず、廃液が計量部63に到達していないためである。また、容器収容部61の撮影に基づいて「検体なし」が検出され、計量部63の撮影に基づいて「検体なし」が検出された場合、情報取得部104は、検体容器5に最初から検体が導入されていない(検体未導入)と判断する。
【0121】
このように、チップ6の異なる部分(容器収容部61、計量部63)を、時間的に異なる2段階(第1期間T1、第2期間T2)で撮影し、各段階において、複数の個別画像をそれぞれ取得することにより、各段階において解析用画像を生成して対象物情報(上記の例では「検体あり」、「検体なし」の情報)を取得することができる。そして、2つの段階で取得した対象物情報に基づいて、上述のように検体の状態(検体量不足、検体未導入)または検体容器5の状態(正常挿入、逆挿入)を適切に判断することができる。
【0122】
また、例えば、検体容器5を容器収容部61に挿入する(差し込む)作業はユーザ(医師、臨床検査技師など)が行うため、検体容器5がチップ6の上面で隠れる位置まで容器収容部61に差し込まれる場合があり得る。この場合、撮像部74はチップ6の上面で隠れた検体を撮影することができないため、必要量の検体が検体容器5に収容されていたとしても、隠れていない残りの検体の撮影結果に基づいて、検体量が不足していると誤判断が生じる可能性がある。
【0123】
また、検体容器5の表面に傷がある場合には、上述した(6-2.輝度値の差を用いる方法)により、傷の影響をキャンセルした状態で対象物情報を取得することができる。しかし、傷の程度および形成範囲によっては、傷の影響をキャンセルしきれない場合があり得る。したがって、容器収容部61の撮影結果だけに基づいて、検体の状態または検体容器5の状態を判断すると、上記の傷に起因する誤判断も生じる可能性がある。
【0124】
本実施形態では、上記のように容器収容部61および計量部63を2段階で撮影して取得される2つの対象物情報に基づいて、検体の状態または検体容器5の状態を総合的に判断する。これにより、検体の状態または検体容器5の状態についての上記の誤判断を極力無くして、判断の精度を向上させることができる。
【0125】
特に、情報取得部104は、(2段階で取得した)2つの対象物情報に基づいて、必要量の検体が検体容器5に収容されているか否かを判断するため、検体量不足についての判断の精度を向上させることができる。
【0126】
〔8.ヒストグラムに基づく検体の状態の判断手法〕
上記したチップ6のマイクロ流路には、血球分離部が設けられている。血球分離部とは、検体として全血が検体容器5に収容され、チップ6の回転によってマイクロ流路内に導入されたときに、全血に含まれる血球が遠心分離によって溜まる箇所である。検査項目が例えばCRPである場合、血球分離部で血球が取り除かれた血漿がマイクロ流路をさらに流れる。そして、上記血漿が検査試薬と反応して、吸光度の測定対象となる反応物が生成される。
【0127】
このとき、血球分離部にて血球と血漿とが完全に分離されず、検査試薬と反応する血漿中に血球が混在していると、反応物の吸光度の測定精度が低下する虞がある。そこで、本実施形態では、以下の方法によって、血漿の中に血球が混在しているか否かを判断し、これによって吸光度の測定精度の低下を回避するようにしている。なお、ここでは、測定開始(時点t0)から所定時間(例えば5分)が経過した時点t6で、検体(廃液)が計量部63に到達するものとする。
【0128】
図18で示した第2期間T2において、回転機構80は、測定開始(時点t0)から所定時間(例えば5分)が経過する前の時点t5で、照明領域LAに計量部63が位置するようにチップ6の回転を停止させる。この状態で、撮像部74は計量部63を撮影する。つまり、撮像部74は、チップ6の回転によって検体が計量部63に到達する前に、計量部63を撮影する。このとき、12個の光源92の異なる位置ごとに、異なるタイミングで各光源92を点灯させて計量部63を撮影する。これにより、撮像部74は、計量部63についての複数の個別画像を第1窓部個別画像として取得する。
【0129】
続いて、回転機構80は、チップ6の回転を再開させ、測定開始(時点t0)から上記所定時間が経過した時点t6で、照明領域LAに計量部63が位置するようにチップ6の回転を停止させる。この状態で、撮像部74は計量部63を撮影する。つまり、撮像部74は、チップ6の回転によって検体が計量部63に到達した後に、計量部63を撮影する。このとき、12個の光源92の異なる位置ごとに、異なるタイミングで各光源92を点灯させて計量部63を撮影する。これにより、撮像部74は、計量部63についての複数の個別画像を第2窓部個別画像として取得する。
【0130】
次に、画像生成部103は、複数の第1窓部個別画像に基づいて、解析用画像MAとしての第1窓部解析用画像MA-aを生成するとともに、複数の第2窓部個別画像に基づいて、解析用画像MAとしての第2窓部解析用画像MA-bを生成する。なお、第1窓部解析用画像MA-aおよび第2窓部解析用画像MA-bの生成は、前述の〔6.対象物情報の取得方法〕と同様の方法で行うことができる。これにより、〔6.対象物情報の取得方法〕で述べた効果と同様の効果を得ることができる。例えば、個々の個別画像(第1窓部個別画像、第2窓部個別画像)において、複数の光源92の点灯に起因する白飛びが発生しても、解析用画像(第1窓部解析用画像MA-a、第2窓部解析用画像MA-b)では、その白飛びが目立たなくなり、計量部63について輝度ムラを低減した解析用画像を得ることができる。
【0131】
図20は、画像生成部103が生成する第1窓部解析用画像MA-aおよび第2窓部解析用画像MA-bの各モデルを示している。上述のように、輝度値が8ビットで0(暗)~255(明)の値を採り得る場合、第1窓部解析用画像MA-a(解析用画像モデルA)は、検体が存在しない状態で撮影された複数の個別画像に基づいて作成されるため、第1窓部解析用画像MA-aにおいて、計量部63の位置に対応する各画素の輝度値は、255に近い値となる。ここでは、説明の理解を容易にするために、第1窓部解析用画像MA-aにおいて、計量部63の位置に対応する複数の画素として、輝度値が250である仮想の粒を考える。
【0132】
第2窓部解析用画像MA-b(解析用画像モデルB)は、検体が存在する状態で撮影された複数の個別画像に基づいて作成されるため、第2窓部解析用画像MA-bでは、第1窓部解析用画像MA-aに含まれる上記の仮想の粒が、本来であれば、検体を表す粒に全て置き換わる。しかし、血漿に血球が混在していると、第1窓部解析用画像MA-aに含まれる仮想の粒は、血漿を表す粒(輝度値を例えば240とする)と、血球を表す粒(輝度値を例えば40とする)とに置き換えられる。この場合、第1窓部解析用画像MA-aと第2窓部解析用画像MA-bとで同一位置の画素の輝度値の差の分布(ヒストグラム)を作成すると、
図20では、輝度値の差が10(=250-240)となる粒が例えば18個存在し、輝度値の差が210(=250-40)となる粒が例えば4個存在する分布となっている。
【0133】
したがって、輝度値の差の閾値Thとして例えば150を設定すると、情報取得部104は、第1窓部解析用画像MA-aおよび第2窓部解析用画像MA-bにおける同一位置の画素の輝度値の差とその度数との関係を表す分布を作成し、閾値Th以上である画素が一定数以上存在するか否かを判断することにより、血漿に血球が混在しているか否かを判断することができる。つまり、情報取得部104は、第1窓部解析用画像MA-aと第2窓部解析用画像MA-bとの間での同一位置の画素の輝度値の差の分布に基づいて、検体の状態を判断することにより、検体(例えば血漿)の中に異物(例えば分離されているはずの血球)が混在しているか否かを容易に判断することができる。そして、血漿に血球が混在している場合には、装置にエラー(例えば警告音)を出力させるなどして、再測定をユーザに促すことができる。
【0134】
〔9.計量部の波紋構造について〕
図21は、チップ6の計量部63を拡大して示す平面図である。計量部63は、波紋構造63aを有する。波紋構造63aは、計量部63において、チップ6内の流路を流れる検体と接触する同心円状の凹凸面である。
【0135】
計量部63が波紋構造63aを有することにより、流路に検体が存在する場合と存在しない場合とで、波紋構造63aの表面での入射光の全反射条件が変わる。例えば、流路に検体が存在しない場合には、波紋構造63aに上方から入射する光は波紋構造63aの表面で全反射され、流路には入射しない。一方、流路に検体が存在する場合には、波紋構造63aに上方から入射する光は波紋構造63aで屈折して流路に入射する。したがって、流に検体が存在しない場合と存在する場合とで、計量部63の撮影画像に明暗が生じる(輝度値に差が現れる)。これにより、撮影画像(個別画像)に基づいて解析用画像を生成したときに、情報取得部104は、解析用画像に基づいて、計量部63における検体のあり/なしの区別(判断)を容易に行うことができる。
【0136】
図22は、計量部63が波紋構造63aを有する場合に取得される前述の輝度値の差の分布(
図20のヒストグラムに対応)を示している。同図より、検体の種類(血漿/水)に関係なく、検体あり/検体なし(空チップ)で輝度値の差を広げることができており、上記分布に基づいて検体あり/検体なしを容易に区別できることがわかる。
【0137】
図23は、計量部63が波紋構造63aを持たない場合に取得される輝度値の差の分布を示している。同図より、血漿と水とでは、輝度値の差が広がらず、しかも分布が互いに類似していることから、血漿と水の区別が困難であることがわかる。また、血漿および水の分布は、空チップを用いた場合の分布と類似しており、血漿と空チップ、水と空チップの区別も困難であることがわかる。
【0138】
〔10.装置異常、測定環境異常の検出について〕
上記した情報取得部104は、
図18で示した第1期間T1および第2期間T2のそれぞれにおいて、取得される複数の個別画像から、画像中のエッジを抽出し、抽出したエッジの位置ズレに基づいて、異常の有無を判断してもよい。
【0139】
図24は、計量部63の任意の個別画像を示している。なお、
図24では、撮影画像における計量部63の正規の位置を破線で示し、正規の位置からずれた位置を実線で示す。また、
図24では、便宜的に、点光源に起因して現れる白飛び領域の図示を省略している。
【0140】
情報取得部104は、計量部63の複数の個別画像の各々について、計量部63のエッジ63eの位置を、公知のエッジ抽出処理によって抽出する。情報取得部104は、複数の個別画像のうち、エッジ63eの位置が他と異なる個別画像が存在すれば、計量部63の撮影位置にズレが生じていると判断することができる。
【0141】
このように、情報取得部104がチップ6の計量部63の位置ズレの有無を判断することにより、位置ズレがある場合には、装置(検体検査装置1)に異常がある、または測定環境に異常があると判断して、装置にエラー(例えば警告音)を出力させるなどの必要な措置を講じることができる。なお、情報取得部104は、計量部63の撮影画像(個別画像)の代わりに容器収容部61の撮影画像(個別画像)を用いて位置ズレの有無を判断してもよい。
【0142】
なお、装置の異常としては、例えばモータ82(
図4参照)の振動またはチップ6の回転が不安定になることにより、撮像部74に対してチップ6が相対的に傾いて位置する状態がある。また、測定環境の異常としては、例えば回転機構80がチップ6の回転を停止させるときの、チップ6の正規の停止位置に対する実際の停止位置のズレなどがある。この停止位置のズレは、エンコーダ87(
図4参照)の検知精度に起因して起こりやすい。
【0143】
以上、本実施形態の構成および制御によれば、血球分離後の血漿への血球の混在および上記した装置の機械的な振動の問題にも対処することができる。これにより、検体検査装置1において、検量線(吸光度の変化率)が直線的に変化しない、いわゆるタイムコースエラーが生じる事態を低減することができる。
【0144】
〔11.検体検査装置の他の構成〕
図25は、検体検査装置1の他の構成を模式的に示すブロック図である。検体検査装置1は、
図4等で示した構成に加えて、通信部94および読取部95をさらに備える。通信部94は、外部と通信するためのインターフェースであり、アンテナ、送受信回路、変調回路、復調回路などを含んで構成される。
【0145】
読取部95は、記録媒体Rに記録された情報(例えば制御部100の動作プログラム)を読み取る装置であり、ディスクドライブなどの読取装置で構成される。なお、記録媒体Rが可搬型の不揮発性メモリである場合、上記不揮発性メモリの接続部が指し込まれる接続ポートも読取部7に含まれるとする。
【0146】
図25の検体検査装置1は、動作プログラム(アプリケーションソフトウェア)をインストールしたコンピュータで構成することができる。上記プログラムをコンピュータ(例えばCPUとしての制御部100)が読み取って実行することにより、検体検査装置1の各部を動作させて上述した各処理(各工程)を実行させることができる。このようなプログラムは、例えばネットワークおよび通信部94を介して外部からダウンロードすることによって取得されて記憶部93に記憶される。上記プログラムは、例えばCD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory)などのコンピュータ読取可能な記録媒体Rに記録され、この記録媒体Rから上記プログラムを読取部95で読み取って記憶部93に記憶される形態であってもよい。すなわち、本実施形態のプログラムは、対象物情報を取得するための上述した情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。また、本実施形態の記録媒体Rは、上記のプログラムを記録した、コンピュータ読取可能な記録媒体である。
【0147】
〔12.その他〕
解析用画像MAの画素数は必ずしも個別画像K1~K12の画素数と同じでなくてもよい。例えば、解析用画像MAの画素数は、個別画像K1~K12の1ライン分(A1-A2方向)の画素数であってもよいし、33ライン分の画素数であってもよい。また、個別画像K1~K12の画素数がm×n(m、nは2以上の正数)であるとき、解析用画像MAの画素数はA×B(Aはm-1以下の正数、Bはn-1以下の正数)であってもよい。
【0148】
また、解析用画像MAの各画素の輝度値を算出する方法として、個別画像の全画素における輝度値の平均を算出し、個別画像の各画素の輝度値について偏差値を算出し、複数の個別画像の同一位置の画素における偏差値の平均を求め、平均偏差値に対応する輝度値を解析用画像MAの同一位置の画素の輝度値としてもよい。
【0149】
本実施形態で説明した、対象物情報を取得するための情報処理方法は、検体検査装置1と外部のサーバーとを含むシステムによって実現されてもよい。つまり、検体検査装置11からサーバーに各個別画像のデータ(輝度値)を送信し、サーバーが解析用画像MAの生成処理および対象物情報の取得処理を実行してもよい。
【0150】
検査物および検査装置はそれぞれ、検体および検体検査装置1には限定されない。例えば、検査物を水とし、検査装置として、水質を検査する装置においても、本実施形態と同様に、複数の個別画像に基づいて解析用画像を生成し、生成した解析用画像に基づいて対象物情報を取得することが可能である。
【0151】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で拡張または変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0152】
本発明は、例えば検査物としての検体を検査する検体検査装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0153】
1 検体検査装置(検査装置)
5 検体容器(収容容器)
6 チップ
61 容器収容部
63 計量部(検査物検出用の窓部)
64 ラベル
64a 2次元コード(識別情報)
74 撮像部
76 測定部
80 回転機構
82 モータ(駆動部)
87 エンコーダ(回転位置検出部)
92 光源
93 記憶部
102 光源制御部
103 画像生成部
104 情報取得部