(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010218
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】カスタマイズされた患者別前方-後方面取りブロック及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/15 20060101AFI20240116BHJP
A61B 17/17 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
A61B17/15
A61B17/17
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023191553
(22)【出願日】2023-11-09
(62)【分割の表示】P 2020560627の分割
【原出願日】2019-01-11
(31)【優先権主張番号】15/878,710
(32)【優先日】2018-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive, Raynham MA 02767-0350 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】フリッツィンガー・ダニエル・ディー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具を備える整形外科用器具が開示される。
【解決手段】金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具は、患者の大腿骨の遠位端部の切除された表面上に配置されるようにサイズ決めされたベースプレートと、ベースプレートの遠位表面に取り付けられ、ベースプレートの遠位表面から自由遠位端部まで延びる前方切除ガイド体と、遠位表面に取り付けられ、遠位表面からまで延びる後方切除ガイド体と、遠位表面に取り付けられ、遠位表面から延びる一対の面取り切除ガイド体と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
整形外科用器具であって、
患者の大腿骨の遠位端部の切除された表面上に配置されるようにサイズ決めされたベースプレートであって、骨接面、前記骨接面の反対側に配置された遠位表面、及び前記骨接面と前記遠位表面との間に延びる外壁を有する、ベースプレートと、
前記遠位表面に取り付けられ、前記遠位表面から自由遠位端部まで延びる本体であって、その自由遠位端部に画定された細長い開口部を含む、本体と、
前記本体の前記開口部から前記骨接面に画定された第1の開口部まで延びる切断ガイドスロットであって、切断鋸刃を受容するようにサイズ決めされている、切断ガイドスロットと、
前記遠位表面に取り付けられ、前記遠位表面から前記本体の前記自由遠位端部から離間した自由遠位端部まで延びるボスであって、その自由遠位端部に画定された開口部を含む、ボスと、
前記ボスの前記開口部から、前記骨接面に画定された第2の開口部を通って延びるドリルガイドスロットであって、外科用ドリルを受容するようにサイズ決めされている、ドリルガイドスロットと、
を備える金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具、を備えており、
前記本体は近位端部と遠位端部を有し、前記近位端部が前記遠位表面に取り付けられており、前記本体が、前記遠位表面から離れる方向に突出するように、前記近位端部から前記遠位端部まで延びており、前記遠位端部が前記本体の前記自由遠位端部を画定しており、
前記骨接面が、前記患者の大腿骨の前記遠位端部の前記切除された表面の外縁部と一致するように成形された、カスタマイズされた患者別の外縁部を含む、整形外科用器具。
【請求項2】
前記金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具が、前記外縁部のセクションによって画定されるノッチを含み、
前記切断ガイドスロットが前記ノッチに開口する、
請求項1に記載の整形外科用器具。
【請求項3】
前記外縁部の前記セクションが上側セクションであり、これにより、前記ノッチが、前記金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具の上側端部に画定されている、請求項2に記載の整形外科用器具。
【請求項4】
前記外縁部の前記セクションが下側セクションであり、これにより、前記ノッチが、前記金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具の下側端部に画定されている、請求項2に記載の整形外科用器具。
【請求項5】
前記本体が第1の本体であり、前記金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具が、
前記遠位表面に取り付けられ、前記遠位表面から前記第1の本体及び前記ボスの前記遠位端部から離間した遠位端部まで延びる第2の本体であって、その遠位端部に画定された細長い開口部を含む、第2の本体と、
前記第2の本体の前記開口部から、前記骨接面に画定された第3の開口部を通って延びる第2の切断ガイドスロットであって、切断鋸刃を受容するようにサイズ決めされている、第2の切断ガイドスロットと、
を更に備える、請求項1に記載の整形外科用器具。
【請求項6】
前記金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具が、
前記遠位表面に取り付けられ、前記遠位表面から前記第2の本体の前記遠位端部に取り付けられた遠位端部まで延びる第3の本体であって、その遠位端部に画定された細長い開口部を含む、第3の本体と、
前記第3の本体の前記開口部から、前記骨接面に画定された第4の開口部を通って延びる第3の切断ガイドスロットであって、切断鋸刃を受容するようにサイズ決めされており、前記第2の切断ガイドスロットと交差する、第3の切断ガイドスロットと、
を更に備える、請求項5に記載の整形外科用器具。
【請求項7】
前記第2の本体の表面と、前記第3の本体の表面と、前記ベースプレートの前記遠位表面との間に、通路が画定されている、請求項6に記載の整形外科用器具。
【請求項8】
前記金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具が、
前記遠位表面に取り付けられ、前記遠位表面から前記第1の本体、前記第2の本体、及び前記第3の本体の前記遠位端部から離間した自由遠位端部まで延びる第4の本体であって、その遠位端部に画定された細長い開口部を含む、第4の本体と、
前記第4の本体の前記開口部から、前記骨接面に画定された第5の開口部を通って延びる第4の切断ガイドスロットであって、切断鋸刃を受容するようにサイズ決めされており、前記第2の切断ガイドスロットを横切る、第4の切断ガイドスロットと、を更に備える、
請求項6に記載の整形外科用器具。
【請求項9】
前記金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具が、金属材料の複数の積層体を含む、請求項1に記載の整形外科用器具。
【請求項10】
前記本体は一対のボスを有し、前記本体の一対のボスは、前記本体の前記近位端部から前記遠位端部の方向に延びる前記本体の軸を横切る方向に突出しており、前記本体の一対のボスは、前記本体の前記近位端部から前記遠位端部まで延びている、請求項1に記載の整形外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
相互参照は、「METHOD OF DESIGNING AND MANUFACTURING LOW-PROFILE CUSTOMIZED PATIENT-SPECIFIC ORTHOPAEDIC SURGICAL INSTRUMENTS」と題する、米国特許出願第XX/XXX,XXX号(代理人整理番号265280-244164)及び「LOW-PROFILE CUSTOMIZED PATIENT-SPECIFIC ORTHOPAEDIC SURGICAL INSTRUMENTS」と題する、米国特許出願第XX/XXX,XXX号(代理人整理番号265280-244163)に対してなされ、それらは本出願と同時に出願され、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、概して整形外科用器具に関し、より具体的には、カスタマイズされた患者別整形外科用器具に関する。
【背景技術】
【0003】
関節形成術は、病変した生体関節及び/又は損傷した生体関節を人工関節に置換する、周知の外科的処置である。例えば、全膝関節形成術の外科的処置では、患者の生体膝関節を人工膝関節又は膝関節プロテーゼで部分的又は全体的に置換する。通常の膝プロテーゼは、脛骨トレイ、大腿骨コンポーネント、及び脛骨トレイと大腿骨コンポーネントとの間に位置付けられるポリマーインサート又はベアリングを含む。股関節置換外科手術では、患者の天然の寛骨臼は人工カップによって置換され、患者の天然の大腿骨頭部は、部分的又は完全に人工ステム及び大腿骨ボールによって置換される。
【0004】
天然関節を人工関節で置換することを容易にするために、整形外科医は、例えば、切断ブロック、ドリルガイド、ミリングガイド、及び他の外科用器具などの様々な整形外科用器具を使用する。典型的には、整形外科用器具は、患者に対して再利用可能であり、ジェネリックであり、それにより、同じ整形外科用器具を、類似の整形外科的処置中に多数の異なる患者に使用することができる。
【0005】
整形外科用器具はまた、特定の患者用にカスタマイズされることも可能である。そのような「カスタマイズされた患者別整形外科用器具」は、特定の患者に使用するために意図され、構成された整形外科的処置を実行する際に外科医によって使用される使い捨ての外科用ツールである。これらの器具は、様々な異なる患者への使用を意図した患者別ではない標準的な整形外科用器具とは異なることを理解されたい。これらのカスタマイズされた患者別整形外科用器具は、患者別のものであれジェネリックなものであれ、患者の体内に外科的に埋め込まれる整形外科用プロテーゼとは異なる。むしろ、カスタマイズされた患者別整形外科用器具は、整形外科用プロテーゼの埋め込みを補助するために整形外科医により使用される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、整形外科用器具が開示される。その器具は、患者の大腿骨の遠位端の切除された表面上に配置されるようにサイズ決めされたベースプレートを備える金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具を備える。ベースプレートは、骨接面、骨接面の反対側に配置された遠位表面、及び骨接面と遠位表面との間に延びる外壁を有する。金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具は、遠位表面に取り付けられ、遠位表面から自由遠位端部まで延びる前方切除ガイド体も備える。前方切除ガイド体は、切断鋸刃を受容するようにサイズ決めされた前方切断ガイドスロットを含む。後方切除ガイド体は、遠位表面に取り付けられ、遠位表面から自由遠位端部まで延びており、後方切除ガイド体は、切断鋸刃を受容するようにサイズ決めされた後方切断ガイドスロットを含む。金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具は、遠位表面に取り付けられ、遠位表面から延びる一対の面取り切除ガイド体も備える。各面取り切除ガイド体は、切断鋸刃を受容するようにサイズ決めされた面取り切断ガイドスロットを含み、各面取り切断ガイドスロットは、他方の切断ガイドスロットに対して斜めに延びている。
【0007】
いくつかの実施形態では、金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具は、遠位表面に取り付けられ、遠位表面から本体の自由遠位端部から離間した自由遠位端部に延びるボスを更に含むことができる。ボスは、その自由遠位端部に画定された開口部を含んでもよく、ドリルガイドスロットは、ボスの開口部から骨接面に画定された第2の開口部を通って延びることができる。ドリルガイドスロットは、外科用ドリルを受容するようにサイズ決めされることができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、骨接面は、患者の大腿骨の遠位端部の切除された表面の外縁部と一致するように成形された、カスタマイズされた患者別の外縁部を含むことができる。
【0009】
更に、いくつかの実施形態では、金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具は、外縁部のセクションによって画定される上側ノッチを含むことができ、前方切断ガイドスロットは、上側ノッチに開口することができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具は、外縁部のセクションによって画定される下側ノッチを含むことができ、後方切断ガイドスロットは、下側ノッチに開口することができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具は、金属材料の複数の積層体を含んでもよい。
【0012】
別の態様によれば、整形外科手術を行う方法は、カスタマイズされた患者別外科用器具を、患者の骨の切除された遠位表面と位置合わせすることと、カスタマイズされた患者別外科用器具を切除された遠位表面と接触させて配置することと、カスタマイズされた患者別外科用器具を切除された遠位表面上で回転させて、切除された遠位表面の外周縁部を、カスタマイズされた患者別外科用器具の骨接面のカスタマイズされた患者別の外縁部と位置合わせすることと、切断鋸を、カスタマイズされた患者別外科用器具内に画定された切断ガイドスロットを通して挿入して、患者の骨を切除することと、を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、本方法で使用されるカスタマイズされた患者別外科用器具は、前方切断ガイドスロットと、後方切断ガイドスロットと、一対の面取り切断ガイドスロットとを含む。
【0014】
別の態様によれば、整形外科用器具は、患者の大腿骨の遠位端部の切除された表面上に配置されるようにサイズ決めされたベースプレートを備える金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具を備える。ベースプレートは、骨接面、骨接面の反対側に配置された遠位表面、及び骨接面と遠位表面との間に延びる外壁を有する。金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具は、遠位表面に取り付けられ、遠位表面から自由遠位端部まで延びる本体を含み、本体は、その自由遠位端部に画定された細長い開口部を含む。切断ガイドスロットは、骨接面に画定された第1の開口部を通って本体の開口部から延びており、切断ガイドスロットは、切断鋸刃を受容するようにサイズ決めされている。ボスは、遠位表面に取り付けられ、遠位表面から本体の自由遠位端部から離間した自由遠位端部まで延びている。ボスは、その自由遠位端部に画定された開口部を含む。金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具は、ボスの開口部から、骨接面に画定された第2の開口部を通って延びるドリルガイドスロットも備える。ドリルガイドスロットは、外科用ドリルを受容するようにサイズ決めされている。
【0015】
いくつかの実施形態では、骨接面は、患者の大腿骨の遠位端部の切除された表面の外縁部と一致するように成形された、カスタマイズされた患者別の外縁部を含むことができる。
【0016】
更に、いくつかの実施形態では、金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具は、外縁部のセクションによって画定されるノッチを含むことができ、切断ガイドスロットはノッチに開口することができる。いくつかの実施形態では、外縁部のセクションは上側セクションであってもよく、これにより、ノッチが、金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具の上側端部に画定される。
【0017】
いくつかの実施形態では、外縁部のセクションは下側セクションであってもよく、これにより、ノッチが、金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具の下側端部に画定される。
【0018】
いくつかの実施形態では、本体は第1の本体であってもよく、切断ガイドは第1の切断ガイドであってもよく、金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具は、遠位表面に取り付けられ、遠位表面から第1の本体及びボスの遠位端部から離間した遠位端部まで延びる第2の本体を更に備えてもよい。第2の本体は、その遠位端部に画定された細長い開口部を含むことができる。第2の切断ガイドスロットは、第2の本体の開口部から、骨接面に画定された第3の開口部を通って延びることができる。第2の切断ガイドスロットは、切断鋸刃を受容するようにサイズ決めされてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1の切断ガイドは第1の切断面を画定してもよく、第2の切断ガイドは、第1の切断面に対して角度をなす第2の切断面を画定してもよい。更に、いくつかの実施形態では、金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具は、遠位表面に取り付けられ、遠位表面から第2の本体の遠位端部に取り付けられた遠位端部まで延びる第3の本体を更に備えることができる。第3の本体は、その遠位端部に画定された細長い開口部を含むことができる。第3の切断ガイドスロットは、第3の本体の開口部から、骨接面に画定された第4の開口部を通って延びることができる。第3の切断ガイドスロットは、切断鋸刃を受容するようにサイズ決めされてもよく、第2の切断ガイドスロットと交差してもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、第3の切断ガイドは、第1の切断面及び第2の切断面に対して角度をなす第3の切断面を画定することができる。更に、いくつかの実施形態では、第2の本体の表面と、第3の本体の表面と、ベースプレートの遠位表面との間に、通路を画定することができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具は、遠位表面に取り付けられ、遠位表面から第1の本体、第2の本体、及び第3の本体の遠位端部から離間した自由遠位端部まで延びる第4の本体を更に備えることができる。第4の本体は、その遠位端部に画定される細長い開口部を含んでもよく、第4の切断ガイドスロットは、骨接面に画定された第5の開口部を通って第4の本体の開口部から延びることができる。第4の切断ガイドスロットは、切断鋸刃を受容するようにサイズ決めされてもよく、第2の切断ガイドスロットを横切ってもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具は、金属材料の複数の積層体を含んでもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具は、患者の大腿骨の遠位端部の切除された表面上に配置されるようにサイズ決めされたベースプレートを備えることも理解されたい。ベースプレートは、骨接面、骨接面の反対側に配置された遠位表面、及び骨接面と遠位表面との間に延びる外壁を有する。金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具は、遠位表面に取り付けられ、遠位表面から自由遠位端部まで延びる前方切除ガイド体も備える。前方切除ガイド体は、切断鋸刃を受容するようにサイズ決めされた前方切断ガイドスロットを含む。後方切除ガイド体は、遠位表面に取り付けられ、遠位表面から自由遠位端部まで延びており、後方切除ガイド体は、切断鋸刃を受容するようにサイズ決めされた後方切断ガイドスロットを含む。金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具は、遠位表面に取り付けられ、遠位表面から延びる一対の面取り切除ガイド体も備える。各面取り切除ガイド体は、切断鋸刃を受容するようにサイズ決めされた面取り切断ガイドスロットを含み、各面取り切断ガイドスロットは、他方の切断ガイドスロットに対して斜めに延びている。
【0024】
いくつかの実施形態では、金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具は、遠位表面に取り付けられ、遠位表面から本体の自由遠位端部から離間した自由遠位端部に延びるボスを更に含むことができる。ボスは、その自由遠位端部に画定された開口部を含んでもよく、ドリルガイドスロットは、ボスの開口部から、骨接面に画定された第2の開口部を通って延びることができる。ドリルガイドスロットは、外科用ドリルを受容するようにサイズ決めされることができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、骨接面は、患者の大腿骨の遠位端部の切除された表面の外縁部と一致するように成形された、カスタマイズされた患者別の外縁部を含むことができる。
【0026】
更に、いくつかの実施形態では、金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具は、外縁部のセクションによって画定される上側ノッチを含むことができ、前方切断ガイドスロットは、上側ノッチに開口することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具は、外縁部のセクションによって画定される下側ノッチを含むことができ、後方切断ガイドスロットは、下側ノッチに開口することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具は、金属材料の複数の積層体を含んでもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、整形外科手術を行う方法は、カスタマイズされた患者別外科用器具を、患者の骨の切除された遠位表面と位置合わせすることと、カスタマイズされた患者別外科用器具を切除された遠位表面と接触させて配置することと、カスタマイズされた患者別外科用器具を切除された遠位表面上で回転させて、切除された遠位表面の外周縁部を、カスタマイズされた患者別外科用器具の骨接面のカスタマイズされた患者別の外縁部と位置合わせすることと、切断鋸を、カスタマイズされた患者別外科用器具内に画定された切断ガイドスロットを通して挿入して、患者の骨を切除することと、を含むことも理解されたい。
【0030】
いくつかの実施形態では、本方法で使用されるカスタマイズされた患者別外科用器具は、前方切断ガイドスロットと、後方切断ガイドスロットと、一対の面取り切断ガイドスロットとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0031】
詳細説明は、具体的には、以下の図面を参照する。
【
図1】カスタマイズされた患者別の整形外科用大腿骨切断ブロックの斜視図である。
【
図6】患者の大腿骨の遠位端部に対して配置された
図1の切断ブロックの側面図である。
【
図7】患者の大腿骨の遠位端部に対して配置された
図1の切断ブロックの別の側面図である。
【
図8】
図3の線8-8に沿って取られた断面立面図である。
【
図9】
図1の切断ブロックのガイドピン体の側面図である。
【
図11A】
図1の切断ブロックを設計及び製作するプロセスの簡略フロー図である。
【
図11B】
図1の切断ブロックを設計及び製作するプロセスの簡略フロー図である。
【
図12】
図11で概説されたプロセスのいくつかのステップを示す図である。
【
図13】
図11で概説されたプロセスのいくつかのステップを示す図である。
【
図14】
図11で概説されたプロセスのいくつかのステップを示す図である。
【
図15】
図11で概説されたプロセスのいくつかのステップを示す図である。
【
図16】カスタマイズされた患者別の整形外科用脛骨切断ブロックの斜視図である。
【
図23】カスタマイズされた患者別の整形外科用大腿骨切断ガイドの斜視図である。
【
図27】線27-27及び
図24に沿って取られた断面立面図である。
【
図28】患者の大腿骨の切除された遠位端部と位置合わせされた
図23の大腿骨切断ガイドの斜視図である。
【
図29】
図23の大腿骨切断ガイドが、患者の大腿骨の切除された遠位端部と一致するサイズ及び形状であることを示す立面図である。
【
図30】患者の大腿骨の切除された遠位端部に配置された
図23の大腿骨切断ガイドの斜視図である。
【
図31】カスタマイズされた患者別大腿骨切断ブロックの別の実施形態の図である。
【
図32】カスタマイズされた患者別大腿骨切断ブロックの別の実施形態の図である。
【
図33】カスタマイズされた患者別大腿骨切断ブロックの別の実施形態の図である。
【
図34】カスタマイズされた患者別大腿骨切断ブロックの別の実施形態の図である。
【
図35】カスタマイズされた患者別大腿骨切断ブロックの別の実施形態の図である。
【
図36】カスタマイズされた患者別大腿骨切断ブロックの別の実施形態の図である。
【
図37】カスタマイズされた患者別大腿骨切断ブロックの別の実施形態の図である。
【
図38】カスタマイズされた患者別大腿骨切断ブロックの別の実施形態の斜視図である。
【
図39】カスタマイズされた患者別大腿骨切断ブロックの別の実施形態の図である。
【
図40】カスタマイズされた患者別大腿骨切断ブロックの別の実施形態の斜視図である。
【
図41】カスタマイズされた患者別大腿骨切断ブロックの別の実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本開示の概念は、様々な修正及び代替的形態の影響を受ける可能性があるが、その特定の例示的な実施形態を一例として図面に示し、本明細書において詳細に説明する。しかし、本開示の概念を開示される特定の形態に限定することを何ら意図するものではなく、その逆に、本発明は、添付の「特許請求の範囲」によって定義される発明の趣旨及び範囲の範囲内に包含されるすべての修正物、均等物、並びに代替物を網羅することを意図するものであることを理解されたい。
【0033】
本明細書において「一実施形態」、「実施形態」、「例示的実施例」などと言及する場合、述べられるその実施形態が、特定の機能、構造、又は特徴を含み得るが、すべての実施形態が、その特定の機能、構造、又は特徴を必ずしも含むわけではないことを示す。更に、そのような句は、必ずしも同一の実施形態を言及するものではない。更に、特定の要素、構造、又は特徴がある実施形態に関連して述べられる場合、このような要素、構造、又は特徴を他の実施形態と関連して実施することは、明示されるか否かによらず、当業者の知識の範囲内であると考えられる。
【0034】
図1~
図10を参照すると、カスタマイズされた患者別整形外科用器具10が示されている。本明細書で用語「カスタマイズされた患者別整形外科用器具」が意味するものは、特定の患者での使用が意図され、その使用のために構成された、整形外科的処置の実施において外科医により使用される外科用ツールである。したがって、本明細書で使用される場合、用語「カスタマイズされた患者別整形外科用器具」は、様々な異なる患者での使用を意図され、いずれか特定の患者のために製作されていない、又はカスタマイズされていない、患者別ではない標準的な整形外科用器具(すなわち、患者共通の切断ブロックなど、「患者共通の器具」)とは区別されることを理解されたい。更に、本明細書で使用される場合、用語「カスタマイズされた患者別整形外科用器具」は、患者別のものであるか又はジェネリックなものであるかに関わらず、患者の身体内に外科的に埋め込まれる整形外科用プロテーゼ又はインプラントとは区別されることを理解されたい。むしろ、整形外科医は、整形外科用プロテーゼの埋め込みを支援するために、カスタマイズされた患者別整形外科用器具を使用する。「カスタマイズされた患者別整形外科用器具」の例には、カスタマイズされた患者別ドリル/ピンガイド、カスタマイズされた患者別脛骨切断ブロック、カスタマイズされた患者別大腿骨切断ブロック、及びカスタマイズされた患者別アライメントガイドが含まれる。
図1~
図10に示す外科用器具10は、患者の大腿骨16の遠位端部14(
図6、
図7参照)のカスタマイズされた患者別の切除を所定の切除平面に沿って案内するように配置された切断ガイドスロット12を含む、カスタマイズされた患者別の大腿骨切断ブロックの一実施形態である。以下に更に詳細に説明するように、大腿骨切断ブロック10は、患者の大腿骨16に固有の所定の位置及び向きで連結されるように構成される。例示的な実施形態では、切断ブロック10の構造は、従来の切断ブロックと比較してサイズを縮小し、患者の骨の望ましくない領域との接触を回避するように輪郭付けされている。
【0035】
図1に示すように、大腿骨切断ブロック10は、ベースプレート20、及びベースプレート20に取り付けられ、ベースプレート20から外向きに延びる多数の外科用ツールガイド体22を含む。例示的な実施形態では、大腿骨切断ブロック10は、例えばステンレス鋼などの金属材料から形成された単一のモノリシックな構成要素である。そのようにして、ベースプレート20及びガイド体22は、単一のモノリシックな金属製ブロックを形成する。以下に更に詳細に説明するように、大腿骨切断ブロック10は、3-D印刷技術の一形態である選択的レーザ焼結(SLS)としても知られるダイレクトメタルレーザ焼結(DMLS)によって形成される。DMLSでは、大腿骨切断ブロック10は、光が金属粉末を溶融させ、大腿骨切断ブロック10を画定する金属構造を形成するレーザ焼結を用いて、層毎に形成される。大腿骨切断ブロック10を製作するために、例えば、光造形、光固化、又は樹脂印刷などの他の形態の3-D印刷技術が使用され得ることを理解されたい。
【0036】
ベースプレート20は、患者の大腿骨16の遠位端部14と係合するように構成された一対のアーム24、26を含む。アーム24、26は、アーム24、26の内縁部の間にノッチ28が画定されるように、互いに離間している。ノッチ28は、患者の大腿骨の天然顆32と天然顆34間とのに画定される、患者の大腿骨16の天然顆間ノッチ30(
図12参照)に対応するようなサイズ及び形状である。このようにして、モデル化が困難であり得る天然顆間ノッチ30との骨表面内の接触が回避される。
【0037】
図1~
図4に示すように、アーム24、26のそれぞれは、天然顆32、34のうちの1つと係合する骨接触面又は骨接面36を有する。例示的な実施形態では、各骨接面36は、天然顆32、34の一部分を受容するように構成された多数の凹の輪郭38を含む。例えば、
図2、
図4、及び
図6~
図8に示すように、各輪郭38は、天然顆32、34の対応するくぼみ部44及び隆起部46の固有のセットに係合するように成形された、隆起部40及びくぼみ部42の固有のセットを有する。アーム24、26のそれぞれは、対応する骨接面36の反対側に配置された外面48も含む。例示的な実施形態では、各外面48は実質的に滑らかである。本明細書で使用される場合、用語「実質的に」は、製造のばらつき及び他の設計基準によって生じる通常の許容誤差を許容することを指すものと理解されたい。したがって、「実質的に滑らかな表面」とは、製造のばらつき及び他の設計基準によって生じる又は許容される通常の公差内で滑らかであるものである。
【0038】
図1に示すように、ベースプレート20は、患者の大腿骨16の遠位端部14と係合するように構成された前方フランジ50も含む。前方フランジ50は、患者の大腿骨16の一部分を受容するように構成された多数の凹の輪郭54を含む骨接面52を含む。例えば、
図2、
図4及び
図8に示すように、前方フランジ50の輪郭54は、患者の大腿骨16の対応するくぼみ部60及び隆起部62の固有のセットに係合するように成形された、隆起部56及びくぼみ部58の固有のセットを有する。前方フランジ50は、骨接面52の反対側に配置される外面64も含む。例示的な実施形態では、外面64は実質的に滑らかである。
【0039】
ベースプレート20の凹の輪郭38、54は、切断ブロック10(及びしたがってツールガイド体)が、患者の大腿骨16上に固有の所定の位置及び向きで配置されることを可能にする。
図4及び
図6~
図8に示すように、骨接面52は、輪郭54の一部分を画定し、患者の大腿骨の一部分と一致するように成形された一対の湾曲した後縁部66、68を含む。その結果、縁部66、68のそれぞれは、患者の大腿骨の対応する凹部及び凸部を受容するための凸部及び凹部を含む。縁部66は、患者の天然の滑車溝166内に配置されるようなサイズ及び形状の後方先端部69を含む。
【0040】
ベースプレート20は、カスタマイズされた多数の空洞70も含み、それらは、欠陥を含む可能性があるか、又は損傷を受けているか、又はモデル化が困難な骨の所定の場所の領域の上に配置されるようにサイズ決めされる。そのようにして、空洞70は、それらの領域との接触が回避され、所定の位置及び向きで切断ブロック10を配置することを妨げないようにサイズ決めされ得る。例示的な実施形態では、アーム24とアーム26との間に画定されるノッチ28は、カスタマイズされた空洞のうちの1つである。
図1~
図3に示すように、カスタマイズされた空洞70は、前方フランジ50の骨接面52を通って延びる開口72も含む。
図2に示すように、カスタマイズされた空洞70はまた、前方フランジ50の骨接面52に画定された一対のチャネル74、76を含む。例示的な実施形態では、各チャネル74、76は、開口72内に開口する端部78から、前方フランジ50の外縁部に画定された開口端部80まで延びる。
【0041】
例示的な実施形態では、切断ブロック10のベースプレート20は、切開部のサイズを縮小し、切断ブロック10を配置するのに必要な骨の変位量を低減するために、薄型である。薄型は、アーム24、26及び前部フランジ50の厚さを最小化することにより、ブロック10のためにカスタマイズされている。
図3に示すように、各アームの外面48と骨接面36との間に厚さ82が画定されている。厚さ82を最小化するために、各アームの外面48は、骨接面36の凹曲率に追従するように凸状に湾曲している。同様に、
図4に示すように、厚さ84は、外面64と前方フランジ50の骨接面52との間に画定され、フランジ50の外面64は、厚さ84を最小化するために、骨接面52の幾何学的形状に追従するように成形される。
【0042】
図1~
図8に示すように、切断ブロック10の外科用ツールガイド体22のそれぞれは、アーム24、26の外面48、64に取り付けられ、外面48、64及び前方フランジ50から、ベースプレート20から離間した自由端部90まで外向きに延びる。例示的な実施形態では、ガイド体22は、アーム24、26及び前方フランジ50の前端部からその自由端部102まで前方に延びる前方ガイド体100を含む。前方ガイド体100は、遠位フランジ104、及びフランジ104から近位に延びる一対のボス106、108を含む。
図1に示すように、ベースプレート20に画定された開口72は、遠位フランジ104の近位に、ボス106とボス108との間に配置される。
【0043】
前方ガイド体100の遠位フランジ104は、自由端部102に画定された細長い開口部110及び開口部110から内向きに延びる多数の内壁112を含む。
図2に示すように、内壁112は、骨接面52に画定された別の開口部114まで延びる。
図4及び
図6~
図8に示すように、開口部114は、開口部114が、その領域内の患者の大腿骨16の形状と一致する湾曲した不規則な経路に従う骨接面52の縁部66、68によって画定されるように、ベースプレート20の輪郭54を通って延びる。開口部114は、内壁112及び細長い開口部110と協働してガイドスロット12を画定し、ガイドスロット12は、例えば切断刃などの外科用ツールを案内して患者の骨と係合させるようなサイズ及び形状である。上述のように、切断ガイドスロット12は、患者の大腿骨16の遠位端部14のカスタマイズされた患者別の切除を案内するように配置される。縁部66は患者の大腿骨の形状に沿っており、縁部66の後方先端部は患者の滑車溝内に延びるため、切断ガイドスロット12は、切除下の領域に近接して切断刃の支持を提供する。
【0044】
図1に示すように、ボス106、108のそれぞれは、遠位フランジ104の近位表面116から湾曲した近位端部118まで延びている。他の実施形態では、ボス106、108の一方又は両方が、遠位フランジ104から離間していてもよく、それによって別々のガイド体を形成することができることを理解されたい。開口部120は、近位端部118に隣接するボス106、108のそれぞれの自由端部102内に画定されている。内壁122は、開口部120から内向きに延びている。
図2に示すように、各内壁122は、チャネル74、76のうちの1つに開口する別の開口部124まで延びて、切断ブロック10を通って延びるガイドスロット126を画定している。例示的な実施形態では、各ガイドスロット126は、ドリルガイド及び固定ピンガイド穴であり、外科用ドリルを案内して、ブロック10を骨に連結するために、固定ピンを受容させるよう患者の骨を準備するようなサイズ及び形状である。
【0045】
ここで
図9~
図10を参照すると、ガイド体22は、それぞれアーム24、26の外面48に取り付けられ、そこから遠位に延びる一対の後方ガイドボス140を含む。各後方ガイドボス140はガイドスロット142を含み、ガイドスロット142は、外科用ドリル及び固定ピンを案内して、ブロック10を骨に連結するために患者の骨と係合させるようなサイズ及び形状である。各ガイドボス140は、アーム24、26の一方の外面48に取り付けられたベース146から、外面48から離間した自由端部148まで延びるポスト144を含む。
【0046】
図9及び
図10に示すように、ベース146は、自由端部148よりも前後方向に幅広になっている。各ポスト144は、アーム外面48に実質的に直交して延びる凸状の湾曲した後方表面150も含む。例示的な実施形態では、各ポスト144は、アーム外面48に対して斜めに延びる湾曲したテーパ状の前方表面152も含む。湾曲したテーパ状の前方表面152は、製作中に下向きに向き、支持構造を必要とする平坦な水平な表面を排除することによって、切断ブロック10の製造性を改善する。
【0047】
図8に戻ると、開口部154が、各ボス140の自由端部148に画定されている。内壁156は、開口部154から、アーム24、26のうちの一方の骨接面36に画定された別の開口部158に向かって内向きに延びている。開口部154、158及び内壁156は、ガイドスロット142を画定するように協働する。上述のように、各ガイドスロット142は、ドリルガイド及び固定ピンガイド穴であり、外科用ドリル又は自己穿孔式固定ピンを案内して、ブロック10を骨に連結するために固定ピンを受容させるよう患者の骨を準備するようなサイズ及び形状である。
【0048】
図8に示すように、内壁112、122、156は、切断ブロック10のガイドスロット12、126、142内にそれぞれ多数のレリーフセクション160、162、164を画定する。各リーフセクション160、162、164のそれぞれは、製造性を向上させるために、残りのガイドスロット12、126、142よりも大きく(例えば、幅広に)なっている。
【0049】
ここで
図11を参照すると、カスタマイズされた患者別整形外科用器具10を製作するためのルーチン200が図示されている。方法200は、整形外科医が患者に実行される整形外科用処置の術前計画を実行するプロセスステップ212及び214を含む。プロセスステップ212及び214は、任意の順序で、又は互いに同時に実行されてもよい。プロセスステップ212では、患者の骨の関連部分の多数の医用画像が生成される。例えば、膝置換手術の場合、医用画像は、患者の大腿骨の遠位端部及び患者の脛骨の近位端部の画像を含んでもよい。股関節置換手術の場合、医用画像は、患者の寛骨臼及び周囲の骨の解剖学的構造の画像、並びに患者の大腿骨の近位端部の画像を含んでもよい。これを行うために、整形外科医又は他の医療提供者は、イメージングシステムを操作して医用画像を生成することができる。医用画像は、患者の寛骨臼及び周囲の骨の解剖学的構造の3次元表現モデルの生成に使用することができる任意の数及びタイプの医用画像として具現化することができる。例えば、医用画像は、任意の数のコンピュータ断層撮影(CT)画像、磁気共鳴断層撮影(MRI)画像、又は他の3次元医用画像として具現化することができる。更に、又はあるいは、プロセスステップ216に関して以下で更に詳細に説明するように、医用画像は、多数のX線画像又は他の2次元画像として具現化することができ、ここから患者の骨の関連領域の3次元表現モデルが得られる。
【0050】
プロセスステップ214では、整形外科医は、任意の追加の術前制約データを判定することができる。制約データは、整形外科医の好み、患者の好み、患者の解剖学的態様、医療機関により確立されたガイドラインなどに基づくものであってよい。例えば、膝置換手術では、制約データは、膝プロテーゼの種類及びサイズ、患者の大腿骨に対して行うべき遠位切除及び後位切除の量などを含むことができる。股関節置換手術では、制約データは、寛骨臼プロテーゼの傾斜量及びバージョン、リーミングする骨の量、整形外科インプラントのサイズ範囲、などに対する整形外科医の好みを含むことができる。いくつかの実施形態では、整形外科医の好みは、外科医のプロファイルとして保存され、このプロファイルは、更なる手術計画のための初期設定制約値として使用することができる。
【0051】
医用画像及び制約データは、もしあれば、画像を処理するために、整形外科用器具ベンダ又は製造業者に送信されるか、又は他の方法で提供されてもよい。整形外科用器具ベンダ又は製造業者は、以下でより詳細に説明されるように、ステップ216で医用画像を処理して、適切な切除平面、器具の位置、インプラントのサイズ決め、及びカスタマイズされた患者別整形外科用器具の製作の判定を容易にする。画像はまた、例えば病院又は外科医のオフィスでオンサイトでも処理することができる。
【0052】
プロセスステップ218では、3次元画像は、医用画像から変換されるか、又は他の方法で生成することができる。例えば、医用画像が多数の2次元画像として具現化される実施形態では、当業者は、適切なコンピュータアルゴリズムを使用して、多数の2次元画像を形成する1つ又は2つ以上の3次元画像を生成することができる。更に、いくつかの実施形態では、医用画像は、例えば、Digital Imaging and Communications in Medicine(DICOM)規格などの確立された規格に基づいて生成することができる。そのような実施形態では、エッジ検出、閾値化、流域化、又は形状マッチングアルゴリズムを使用して、コンピュータ支援設計用途又は他の画像処理用途で許容されるフォーマットに画像を変換又は再構成することができる。
【0053】
プロセスステップ220では、医用画像、及び/又はプロセスステップ218からの変換/再構成画像を処理して、患者の骨の解剖学的軸、患者の骨の機械的軸、他の軸及び様々なランドマーク、並びに/又は患者の骨の他の解剖学的態様など、患者の骨の解剖学的構造に関連するいくつかの態様を判定することができる。任意の適切なアルゴリズムが、画像を処理するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、処理された画像から、骨の3次元表現を含む患者の骨の3次元モデルを生成することができる。そのような3次元骨モデルの1つは、
図12~
図15に示され大腿骨モデル170であり、以下に参照される。
【0054】
プロセスステップ222では、外科医、ベンダ、又は他のユーザは、骨の1つ又は2つ以上の問題のある領域を識別して3次元モデルの使用を避けることができる。そのような領域は、骨棘、骨の損傷した領域、器具が骨に引っかかる原因となるアンダーカット、又は医用画像に基づいてモデル化することが困難であることが知られている他の領域を含むことができる。そのような領域の1つは、患者の滑車溝の一部分を含んでもよい。
図12に示すように、ユーザは、大腿骨モデル170を用いて、患者の大腿骨16の遠位端部14上のそのような1つの領域174の外縁部172を説明することができる。ユーザはまた、外縁部172内に隆起した又はオフセットされた表面176を形製して、整形外科用器具の空洞70の所望の位置を画定することもできる。
【0055】
ルーチン200は、患者別整形外科用器具の外側境界178が大腿骨モデル170上に画定されるプロセスステップ224に進むことができる。
図13に示すように、外側境界178は、例えば、上記の大腿骨切断ブロック10であり得る、計画された外科用器具の外縁部を画定する。境界178は、切断ブロック10のベースプレート20の前方フランジ50の位置及び形状、並びにアーム24、26の位置及び形状を識別する。
【0056】
プロセスステップ226では、カスタマイズされた患者別整形外科用器具のモデルが生成される。いくつかの実施形態では、モデルは、カスタマイズされた患者別整形外科用器具の3次元表現として具現化される。他の実施形態では、モデルは、カスタマイズされた患者別整形外科用器具の原寸模型又は高速プロトタイプとして具現化することができる。モデル化され製作される患者別整形外科用器具は、実行される整形外科的処置、制約データ、及び/又は患者に埋め込まれる整形外科用プロテーゼのタイプに基づいて判定することができる。
【0057】
カスタマイズされた患者別整形外科用器具の特定の形状は、患者の骨に対する整形外科用プロテーゼの計画された位置及び埋め込み角度に基づいて判定される。更に、整形外科用器具の計画された位置は、プロセスステップ220で識別された患者の骨の識別されたランドマークに基づくことができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、カスタマイズされた患者別整形外科用器具の特定の形状及び構造は、患者の骨の解剖学的構造に関連する器具の計画された場所に基づいて判定されてもよい。すなわち、カスタマイズされた患者別整形外科用器具は、整形外科用器具が、器具の所定の計画された位置に対応する固有の位置で患者の骨の解剖学的構造に連結され得るように、患者の骨の解剖学的構造の一部分の対応する輪郭と一致する凹の輪郭を有する骨接面を含むことができる。このような凹の輪郭は、患者の骨上の隆起部及びくぼみ部の対応するセットと一致するように成形された、隆起部及びくぼみ部の固有のセットを含むことができる。整形外科用器具が固有の場所で患者の骨の解剖学的構造に連結されるとき、整形外科用器具の1つ又は2つ以上のガイド(例えば、切断又はドリルガイド)は、上述のように傾斜面及びバージョン面に位置合わせすることができる。
【0059】
図11に示すプロセスサブステップ228~234は、患者別整形外科用器具のモデルを生成するために従うことができる例示的なサブルーチンを概説する。プロセスサブステップ228では、大腿骨モデル170を使用して、カスタマイズされた患者別の凹の輪郭又は患者別外科用器具の輪郭を生成することができる。そのために、ユーザは、
図13に示す境界178内に非常に薄いシート180を作製することができる。薄いシート180は、患者別外科用器具の凹の輪郭に含まれるくぼみ部及び隆起部を含むことができる。
【0060】
プロセスサブステップ230では、ユーザは、境界178内のシート180に厚さを追加して、カスタマイズされた患者別外科用器具の外面を生成し、それによって器具のベースプレートを画定することができる。上述のように、ユーザは、器具の厚さを最小化して、器具を患者の骨上に配置するのに必要な切開のサイズを縮小することができる。プロセスサブステップ232では、ユーザは、プロセスステップ222で識別された問題のある領域174のそれぞれの上に空洞70を画定することができる。空洞を画定することの一部として、ユーザは、計画されたベースプレートの形状及びサイズを調節して、計画された器具のサイズ及び/又は重量を調節することができる。各空洞は、領域174の縁部172と位置合わせされる外縁部を有することができる。
【0061】
プロセスサブステップ234では、ユーザは、大腿骨モデル170上の位置に外科用器具ガイド体を配置して、
図15に示す患者別整形外科用器具のモデル182を作製することができる。これを行うために、整形外科用プロテーゼの埋め込みのための所望の切断面を判定することができる。計画される切断面は、整形外科的処置中に使用される整形外科用プロテーゼのタイプ、サイズ、及び位置、画像内で識別された特定のランドマークなどのプロセス画像、並びにプロセスステップ212及び214で整形外科医によって供給される制約データ、に基づいて判定することができる。整形外科用プロテーゼのタイプ及び/又はサイズは、患者の解剖学的構造及び制約データに基づいて判定することができる。例えば、制約データは、整形外科用プロテーゼのタイプ、製造、モデル、サイズ、又は他の特性を決定することができる。整形外科用プロテーゼの選択はまた、患者の骨に使用でき、制約データ又は整形外科医の好みに一致する整形外科用プロテーゼが選択されるように、医用画像に基づいて変更することができる。
【0062】
ガイド体を大腿骨モデル170上に配置するとき、ユーザは、必要に応じて各ガイド体のサイズ、形状、及び位置を調節することができる。
図14、
図15に示すように、ユーザは、切断ガイドスロット及び固定ピンを受容させるよう患者の骨を準備するための1つ又は2つ以上のドリルガイドスロットを含んでもよい。ドリルガイドスロットの向きは、計画された切除平面に基づいてもよく、患者の骨の切除を容易にするように調節されてもよい。
図14、
図15に示すように、ガイドスロットのためのガイド体は、モデル182の外面から自由端部まで外向きに延ばすことで形成することができる。
【0063】
サブステップ228、230、232、234は、上述の順序とは異なる順序で実行されてもよいことを理解されたい。例えば、ユーザは、カスタマイズされた患者別の凹の輪郭を生成する前に、最初に計画された切除平面を識別し、切断ガイド体を大腿骨モデルに挿入することを選択してもよい。更に、いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のサブステップを省略することができる。
【0064】
カスタマイズされた患者別整形外科用器具のモデルがプロセスステップ226で生成された後、モデルはプロセスステップ236で検証される。モデルは、例えば、患者の解剖学的構造の3次元モデルに連結された状態で、表現されたモデルを分析することによって検証して、切断ガイド、リーミングガイド、傾斜面及びバージョン面、などの相関関係を検証することができる。加えて、モデルは、ステップ226で生成したモデルを、レビューのために整形外科医に送信するか又は他の方法で提供することによって、検証することができる。
【0065】
プロセスステップ236でモデルが検証された後、プロセスステップ238で、カスタマイズされた患者別整形外科用器具が製作される。上述のように、カスタマイズされた患者別整形外科用器具は、上述のように、3-D印刷技術の一形態であるDMLSによって形成されてもよい。DMLSでは、整形外科用器具は、光が金属粉末を溶融させ、整形外科用器具を定義する金属構造を形成するレーザ焼結を使用して、層毎に形成される。整形外科用器具を製作するプロセスの一部として、金属粉末は、層状に溶融されてもよく、その結果、複数の溶融積層体184を含む単一のモノリシックな構成要素である整形外科用器具が得られる。例えば、
図8に示すように、切断ブロック10は、均一な厚さの金属材料の複数の溶融積層体184を含む。例えば、光造形、光固化、又は樹脂印刷などの他の形態の3-D印刷技術を使用して、整形外科用器具を製作することができることを理解されたい。
【0066】
上述のように、切断ブロック10は、テーパ状の前方表面152を有する一対のガイドボス140を含む。1つの例示的なプロセスでは、切断ブロック10は、前方細長開口部110が下方を向いている切断スロット12を用いて製作することができる。前方表面152をテーパ状にすることにより、ボス140が製作中に潰れないようにするための支持構造は必要とされない。製作中に下向きに向く他の表面は、テーパ状に/角度を付けて、必要とされる支持構造の量を最小限にし得ることを理解されたい。例示的な実施形態では、テーパ状面152は、約35度の角度を有する。本明細書で使用される場合、用語「約」は、製造上のばらつき及び他の設計基準によって生じる通常の公差を許容することを意味すると理解されたい。
【0067】
カスタマイズされた患者別整形外科用器具が製作された後、外科医は、カスタマイズされた患者別整形外科用器具を使用して整形外科的処置を実施することができる。上述したように、整形外科医は手術中に、典型的には、外科医側で、ある程度の推定を要する、整形外科用器具の適切な場所を決定する必要がないため、外科医側の当て推量及び/又は手術中の意志決定が低減される。
【0068】
患者の骨の解剖学的構造のバリエーションにより、2つ以上のカスタマイズされた患者別整形外科用器具を、本明細書に記載する方法に従って製作する必要がある場合があることも理解されたい。例えば、患者は、2つの整形外科用プロテーゼの埋め込みを必要とする場合がある。したがって、外科医は、
図11の方法200に従って、患者の骨の解剖学的構造の各部分を置換する際に使用するために、異なるカスタマイズされた患者別整形外科用器具を製作することができる。各カスタマイズされた患者別整形外科用器具は、骨の解剖学的構造の変化に起因して異なる、切断面又は各骨に対する他の関連するパラメータを画定する。
【0069】
1つのそのような器具(カスタマイズされた患者別脛骨切断ブロック310)が
図16~
図22に示されている。脛骨切断ブロック310は、所定の切除平面に沿って患者の脛骨の近位端部のカスタマイズされた患者別の切除を案内するための切断ガイドスロット312の位置を含む。以下に更に詳細に説明するように、脛骨切断ブロック310は、固有の所定の位置及び向きで患者の脛骨に連結されるように構成される。例示的な実施形態では、切断ブロック310の構造は、上述の大腿骨切断ブロック10の構造と同様に、従来の切断ブロックと比較してサイズを縮小し、患者の骨の望ましくない領域との接触を回避するように輪郭付けされる。
【0070】
図16に示すように、脛骨切断ブロック310は、ベースプレート320と、ベースプレート320に取り付けられ、ベースプレート320から外向きに延びる多数の外科用ツールガイド体322とを含む。大腿骨切断ブロック10と同様に、脛骨切断ブロック310は、例えばステンレス鋼などの金属材料から3-D印刷プロセスを介して形成された単一のモノリシックな構成要素である。例示的な実施形態では、ベースプレート320は、患者の脛骨の近位端部を係合するように構成された一対のアーム324、326を含む。アーム324、326は、それぞれの内縁部の間にノッチ328が画定されるように、互いに離間している。ノッチ328は、患者の脛骨の天然棘(natural spine)を受容するようなサイズ及び形状である。そのようにして、ベースプレート320は、患者の天然脛骨の内側脛骨区画及び外側脛骨区画と係合するように成形されて、脊柱との接触を避ける。
【0071】
アーム324、326のそれぞれは、内側又は外側脛骨区画と係合する骨接面336を含む。
図19に示すように、各骨接面336は、患者の脛骨の一部を受容するように構成された凹の輪郭338を含む。各輪郭338は、患者の脛骨のくぼみ部及び隆起部の対応するセットに係合するように成形された、隆起部340及びくぼみ部342の固有のセットを含む。アーム324、326のそれぞれは、対応する骨接面336の反対側に配置される外面344も含む。例示的な実施形態では、複数の開口346が、表面336、344を通って延びる。各開口346は、例示的には菱形であり、骨を把持するように構成された縁部を含む。
【0072】
ベースプレート320は、患者の脛骨の近位端部と係合するように構成された前方フランジ350も含む。
図17に示すように、前方フランジ350は、骨接面352を含み、凹の輪郭354が骨接面352に画定されている。凹の輪郭354は、患者の脛骨の一部分を受容するように構成されており、患者の脛骨の対応するくぼみ部及び隆起部のセットに係合するように成形された隆起部356及びくぼみ部358の固有のセットを含む。前方フランジ350は、骨接面352の反対側に配置される外面364も含む。例示的な実施形態では、複数の開口346も、表面352、364を通って延びている。各開口346は、例示的には菱形であり、骨を把持するように構成された縁部を含む。他の実施形態では、開口は異なる幾何学的形状を有していてもよく、又は省略されていてもよいことを理解されたい。同様に、他の実施形態では、上述の大腿骨切断ブロック10は、そのような開口を含んでもよいことを理解されたい。
【0073】
例示的な実施形態では、アーム324とアーム326との間に画定されるノッチ328は、大腿骨切断ブロック10に関して上述したカスタマイズされた空洞70と同様のカスタマイズされた空洞である。他の実施形態では、ベースプレート320は、カスタマイズされた空洞70と同様の追加のカスタマイズされた空洞を含んでもよいことも理解されたい。そのような空洞は、骨の所定の位置で患者の脛骨の問題のある領域の上に配置され、それらの領域が回避されて切断ブロック310の配置を妨げないようなサイズ及び形状であってもよい。
【0074】
例示的な実施形態では、切断ブロック310のベースプレート320は、また、切開部のサイズを縮小し、切断ブロック310を配置するのに必要な骨の変位量を低減するために、薄型である。薄型は、アーム324、326及び前方フランジ350の厚さを最小化することにより、ブロック310のためにカスタマイズされている。
図17に示すように、厚さ382は、各アームの外面348と骨面336との間に画定されている。外面348は、アーム324、326の骨接面336の幾何学的形状に従うように形成されている。同様に、
図19に示すように、厚さ384は、前方フランジ350の外面364と骨接面352との間に画定され、フランジ350の外面364は、骨接面352の幾何学的形状に追従するように成形されて、厚さ384を最小にする。
【0075】
図16~
図22に示すように、切断ブロック310の外科用ツールガイド体322のそれぞれは、アーム324、326の外面348、364に取り付けられ、そこから及び前方フランジ350から、ベースプレート320から離間した自由端部390へと外向きに延びている。例示的な実施形態では、ガイド体322は、細長い本体400及び前方フランジ350から外向きに延びる一対のボス402、404を含む。細長い本体400は、その自由端部390に画定された細長い開口部410を含み、多数の内壁412が開口部410から内向きに延びている。
図17に示すように、内壁412は、骨接面352の縁部416によって画定される別の開口部414まで延びている。縁部416は、例示的には、その領域における患者の脛骨の形状に一致するように湾曲した経路をたどる。開口部414は、内壁412及び細長い開口部410と協働してガイドスロット312を画定し、ガイドスロット312は、例えば切断刃などの外科用ツールを案内して患者の骨と係合させるようなサイズ及び形状である。上述のように、切断ガイドスロット312は、患者の脛骨の近位端部のカスタマイズされた患者別の切除を案内するように配置される。縁部416は、患者の脛骨の形状に追従するため、切断ガイドスロット312は、切除下の領域に近接した切断刃の支持を提供する。
【0076】
図16に示すように、ボス402、404のそれぞれは、細長い本体400の遠位に配置される。ボス402、404のそれぞれの自由端部390に開口部420が画定され、内壁422が開口部420から内向きに延びる。
図17に示すように、各内壁422は、骨接面352の別の開口部424まで延びて、切断ブロック310を通って延びるガイドスロット426を画定する。例示的な実施形態では、各ガイドスロット426は、ドリルガイド及び固定ピンガイド穴であり、外科用ドリルを案内して、切断ブロック310を骨に連結するために固定ピンを受容させるよう患者の骨を準備するようなサイズ及び形状である。
【0077】
ルーチン200を使用してモデル化され、製作され得る別のカスタマイズされた患者別整形外科用器具は、
図23~
図30に示すカスタマイズされた患者別の前方後方面取り切断ブロック510である。切断ブロック510は、例えば上述の大腿骨切断ブロック10を用いて切除された患者の大腿骨16の遠位端部514に適合するようにカスタマイズされたベースプレート512を含む。切断ブロック510は、以下でより詳細に説明するように、ベースプレート512に取り付けられ、ベースプレート512から外向きに延びており、外科用ツールを案内して患者の大腿骨と接触させるように構成された複数の外科用ツールガイド体516も含む。例示的な実施形態では、切断ブロック510は、例えばステンレス鋼などの金属材料製の単一のモノリシックな構成要素の形態である。そのようにして、ベースプレート512及びガイド体516は、単一のモノリシックな金属製ブロックを形成する。切断ブロック10、310と同様に、切断ブロック510は、DMLSによって形成される。
図27に示すように、切断ブロック510は、均一な厚さの金属材料の複数の溶融積層体184を含む。
【0078】
ベースプレート512は、骨接面520及び骨接面520の反対側に配置された外面522を含む。外壁524は、表面520と表面522との間に延びてベースプレート512の外周を画定する。
図25に示すように、骨接面520は、外壁524に接続され、患者の大腿骨16の切除された遠位端部514の外縁部528(
図28参照)と一致するようにカスタマイズされた外縁部526を含む。そのようにして、切断ブロック510は、患者の大腿骨16に所定の固有の位置及び向きで連結されるように構成される。
【0079】
外縁部526は、ベースプレート512にノッチ532を画定する上側セクション530を含む。例示的な実施形態では、上側セクション530は、患者の大腿骨16の切除された遠位端部514の前方縁部セクション534の曲率に一致するように湾曲している(
図28参照)。骨接面520の外縁部526は、ベースプレート512にノッチ542を画定する下側セクション540も含む。例示的な実施形態では、下側セクション540は、患者の大腿骨16の切除された遠位端部514の後方縁部セクション544の曲率に一致するように湾曲しており(
図28参照)、ノッチ532の形状は、顆間ノッチ30の縁部の形状に実質的に一致する。
【0080】
例示的な実施形態では、切断ブロック510のベースプレート512は、切開のサイズを縮小し、切断ブロック510を配置するのに必要な骨の変位量を低減するために、薄型である。ブロック10、310と同様に、薄型は、外面522と骨対面面520との間に画定されたベースプレート512の厚さを最小化することによって、ブロック510に対してカスタマイズされる。
【0081】
図22~
図27に示すように、切断ブロック510の外科用ツールガイド体516のそれぞれは、外面522に取り付けられ、外面522からベースプレート512から離間した外側端部550まで外向きに延びる。例示的な実施形態では、ガイド体516は、ベースプレート512のノッチ532の上に配置される前方切除ガイド体560を含む。切除ガイド体560は、他のガイド体516の外側端部から離間した自由端部である、外側端部550に画定される細長い開口部562を含む。切除ガイド体560はまた、開口部562から内側に延びる多数の内壁564を含む。
図25に示すように、内壁564は、ベースプレート512の上側ノッチ532に開口する開口部566まで延びる。開口部566は、内壁564及び細長い開口部562と協働して、ガイドスロット568を画定し、ガイドスロット568は、例えば切断刃などの外科用ツールを案内して患者の大腿骨と係合させ、所定の切除平面に沿って大腿骨の前方切除を案内するようなサイズ及び形状である。切断ガイドスロット568は、その患者のためにカスタマイズされた固有の所定の位置及び向きに配置される。
【0082】
ガイド体516は、ベースプレート512の下側ノッチ542の上に配置された後方切除ガイド体570を含む。切除ガイド体570は、他のガイド体516の外側端部から離間した自由端部である外側端部550に画定された細長い開口部572を含む。切除ガイド体570は、開口部572から内向きに延びる多数の内壁574も含む。
図25に示すように、内壁574は、ベースプレート512の下側ノッチ542に開口する開口部576まで延びる。開口部576は、内壁574及び細長い開口部572と協働してガイドスロット578を画定し、ガイドスロット578は、例えば切断刃などの外科用ツールを案内して患者の大腿骨と係合させ、所定の切除平面に沿って大腿骨の後方切除を案内するようなサイズ及び形状である。切断ガイドスロット568は、その患者のためにカスタマイズされた固有の所定の位置及び向きに配置される。
【0083】
ガイド体516はまた、前方切除ガイド体560と後方切除ガイド体570との間に配置される一対の面取り切除ガイド体580、590を含む。切除ガイド体580は、その外側端部550に画定された細長い開口部582、及び開口部582から内向きに延びる多数の内壁584を含む。
図25に示すように、内壁584は、ベースプレート512の骨接面520に画定された開口部586まで延びる。開口部586は、内壁584及び細長い開口部582と協働して、面取り切除ガイドスロット588を画定しており、面取り切除ガイドスロット588は、例えば切断刃などの外科用ツールを案内して患者の大腿骨と係合させ、他の切断ガイドスロットによって画定された切除平面に対して角度をもって延びる、所定の切除平面に沿って大腿骨の面取り切除を案内するようなサイズ及び形状である。切断ガイドスロット588は、その患者のためにカスタマイズされた固有の所定の位置及び向きに配置される。
【0084】
切除ガイド体590は、その外側端部550に画定された細長い開口部592、及び開口部592から内向きに延びる多数の内壁594を含む。
図25に示すように、内壁594は、ベースプレート512の骨接面520に画定された開口部596まで延びる。開口部596は、内壁594及び細長い開口部592と協働して、別の面取りガイドスロット598を画定しており、別の面取りガイドスロット598は、例えば切断刃などの外科用ツールを案内して患者の大腿骨と係合させ、これも他の切断ガイドスロットによって画定される切除平面に対して角度をもって延びる、所定の切除平面に沿って大腿骨の別の面取り切除を案内するようなサイズ及び形状である。切断ガイドスロット598は、その患者のためにカスタマイズされた固有の所定の位置及び向きに配置される。
【0085】
図22~
図27に示すように、面取り切除ガイド体580、590の外側端部550が連結され、ガイド体580、590の表面とベースプレート512との間に通路600が画定されている。例示的な実施形態では、通路600は、三角形の断面を有する。
図27に示すように、ガイド体580、590のガイドスロット588、598は交差し、ガイド体580、590の内壁584、594は、ガイドスロット588、598が互いに連通するように交差部に多数の開口部602を含む。
【0086】
ガイド体516はまた、面取り切除ガイド体580、590と後方切除ガイド体570との間でベースプレート512から外向きに延びる一対のボス604、606を含む。ボス604、606のそれぞれの外側端部550には開口部610が画定されており、内壁612は開口部610から内向きに延びる。
図17に示すように、各内壁612は、骨接面520の別の開口部614まで延びて、切断ブロック510を通って延びるガイドスロット616を画定する。例示的な実施形態では、各ガイドスロット616は、ドリルガイド及び固定ピンガイド穴であり、外科用ドリルを案内して、ブロック510を患者の大腿骨に連結するために固定ピンを受容させるよう患者の骨を準備するようなサイズ及び形状である。
【0087】
上述のように、切断ブロックA-P面取り切断ブロック510は、
図28に示すように、患者の大腿骨16の切除された遠位端部514に適合するようにカスタマイズされる。切除された遠位端部514は、外縁部528によって結合される切除された遠位表面620を含む。
図28に示すように、外縁部528は、患者の滑車溝166の遠位開口部を画定する前方縁部セクション534、及び患者の顆間ノッチ30の遠位開口部を画定する後方縁部セクション544を含む。例示的な実施形態では、切除された遠位表面620のサイズ及び形状は、例えばルーチン200の実行中に、手術前に計画される。言い換えると、外科医又は他のユーザが切断ブロック10を使用して作製される遠位切除平面を画定するとき、切除された遠位表面620のサイズ及び形状もモデル化される。切除された遠位表面620のモデルを用いて、ユーザは、ルーチン200のプロセスステップ226の間に、A-P面取り切断ガイドブロック510の3-Dコンピュータモデルを生成することができる。
【0088】
図29に示し、上述したように、切断ブロック510のベースプレート512の外縁部526は、切除された遠位表面620の外縁部528と一致するように成形される。具体的には、プレート外縁部526の上側セクション530は、切除された遠位表面620の外縁部528の前方縁部セクション534の曲率に一致するように湾曲しており、プレート外縁部526の下側セクション540は、切除された遠位表面620の外縁部528の後方縁部セクション544の曲率に一致するように湾曲している。ベースプレート512の上側ノッチ532は、患者の滑車溝166の遠位開口部と一致するように成形される。ベースプレート512は、患者の顆間ノッチ30の遠位開口部に適合するように成形された下側ノッチ542も含む。
図30に示すように、切断ブロック510が患者の骨上に適切に配置されたとき、ブロックの外縁部526と骨の外縁部528とは一致し、ノッチ532、542は溝166の遠位開口部及びノッチ30と位置合わせされている。そのようにして、外科医又は他のユーザは、ブロックが適切に配置されると通知され、ブロック510を用いた任意の切除を開始する前に患者の骨との任意の位置ずれを矯正することができる。
【0089】
ここで
図31~
図37を参照すると、カスタマイズされた患者別大腿骨切断ブロック(以下、切断ブロック710)の別の実施形態が示されている。
図31~
図37の実施形態は、
図1~
図10の実施形態に示された特徴部と同じ又は類似する多くの特徴部を含む。類似の特徴部は、
図31~
図37において、
図1~
図10で使用されたのと同じ参照番号で識別される。切断ブロック710は、患者の大腿骨の遠位端部のカスタマイズされた患者別の切除を案内するように配置された切断ガイドスロット712を含む。以下により詳細に記載するように、大腿骨切断ブロック710は、固有の所定の位置及び向きで患者の大腿骨に連結されるように構成される。例示的な実施形態では、切断ブロック710の構造は、従来の切断ブロックと比較してサイズを縮小し、患者の骨の望ましくない領域との接触を回避するように輪郭付けされている。
【0090】
図31に示すように、大腿骨切断ブロック710は、ベースプレート720、及びベースプレート720に取り付けられ、ベースプレート720から外向きに延びる多数の外科用ツールガイド体722を含む。例示的な実施形態では、大腿骨切断ブロック710は、DMLS技術を介して、例えばステンレス鋼などの金属材料から形成された単一のモノリシックな構成要素である。そのようにして、ベースプレート720及びガイド体722は、単一のモノリシックな金属製ブロックを形成する。
【0091】
ベースプレート720は、患者の大腿骨の遠位端部と係合するように構成された一対のアーム24、26を含む後方セクションを含む。アーム24、26は、アーム24、26の内縁部の間にノッチ28が画定されるように、互いに離間している。ノッチ28は、患者の大腿骨の天然顆間ノッチに対応するサイズ及び形状である。このようにして、モデル化が困難であり得る天然顆間ノッチ30との骨表面内の接触が回避される。
【0092】
アーム24、26のそれぞれは、天然顆32、34のうちの1つと係合する骨接触面又は骨接面36を有する。例示的な実施形態では、各骨接面36は、天然顆32、34の一部分を受容するように構成された多数の凹の輪郭38を含む。アーム24、26のそれぞれは、対応する骨接面36の反対側に配置された外面48も含む。例示的な実施形態では、各外面48は実質的に滑らかである。
【0093】
図31に示すように、ベースプレート720は、患者の大腿骨の遠位端部と係合するように構成された前方フランジ750を含む前方セクションも含む。例示的な実施形態では、フランジ750はアーム24、26から離間している。前方フランジ750は、患者の大腿骨の一部分を受容するように構成された多数の凹の輪郭754を含む、骨接面752を含む。例えば、
図32及び
図34に示すように、前方フランジ750の輪郭754は、患者の大腿骨の対応するくぼみ部及び隆起部の固有のセットに係合するように成形された、隆起部756及びくぼみ部758の固有のセットを有する。前方フランジ750は、骨接面752の反対側に配置された外面764も含む。例示的な実施形態では、外面764は実質的に滑らかである。
【0094】
ベースプレート720は、多数のカスタマイズされた空洞70も含み、それら空洞70は、欠陥を含み得るか、又は損傷を受けているか、又はモデル化が困難な骨の所定の位置の領域の上に配置されるようにサイズ決めされている。そのようにして、空洞70は、それらの領域との接触が回避され、所定の位置及び向きで切断ブロック10を配置することを妨げないようにサイズ決めされ得る。例示的な実施形態では、アーム24とアーム26との間に画定されるノッチ28は、カスタマイズされた空洞のうちの1つである。
図31~
図33に示すように、カスタマイズされた空洞70は、前方フランジ750の骨接面752を通って延びる開口772も含む。
図31、
図32に示すように、カスタマイズされた空洞70は、前方フランジ750の骨接面752に画定された一対のチャネル74、76も含む。
【0095】
上述のように、切断ブロック710は、外科用ツールを案内して患者の骨と接触させるように構成された多数の外科用ツールガイド体722を含む。例示的な実施形態では、ガイド体722は、アーム24、26の前端部から前方に延びる遠位切除ガイド体780を含む。遠位切除ガイド体780は、その外側端部784に画定された細長い開口部782と、及び開口部782から内向きに延びる多数の内壁786を含む。
図32に示すように、内壁786は、骨接面762に画定された別の開口部788まで延びる。開口部788は、内壁786及び細長い開口部782と協働して、切断ガイドスロット712を画定し、切断ガイドスロット712は、例えば切断刃などの外科用ツールを案内して患者の骨と係合させるようなサイズ及び形状である。上述のように、切断ガイドスロット712は、患者の大腿骨の遠位端部のカスタマイズされた患者別の切除を案内するように配置される。
【0096】
図35に示すように、内壁786は、ガイドスロット712の内側を画定する内側内壁790及びガイドスロット712の外側を画定する外側内壁792を含む。例示的な実施形態では、外側内壁792は、患者の骨の切除を案内するために、内側内壁790に対して斜めの角度で延びる。斜めの角度は、切断ガイドブロック710の残りの部分と同様に、患者の骨解剖学的構造にカスタマイズされる。内側内壁は、他の実施形態では角度が付けられていてもよいことを理解されたい。
【0097】
ブロック710のツールガイド体722は、ガイド体780から近接して延びる前方フランジ750に一体化された一対のガイドボス796、798も含む。開口部800は、ボス796、798のそれぞれの外面802に画定されており、内壁804は開口部800から内向きに延びる。
図32に示すように、各内壁804は、チャネル74、76のうちの1つに開口する別の開口部806まで延びて、切断ブロック710を通って延びるガイドスロット808を画定する。例示的な実施形態では、各ガイドスロット808は、ドリルガイド及び固定ピンガイド穴であり、外科用ドリルを案内して、ブロック710に骨を連結するために固定ピンを受容させるよう患者の骨を準備するようなサイズ及び形状である。
【0098】
切断ブロック710は、切開のサイズを縮小し、切断ブロック710を配置するのに必要な骨の変位量を低減するために、薄型である。薄型は、ベースプレート及びガイド体の形状及びサイズを調節することにより、ブロック710のためにカスタマイズされている。例えば、
図36に示すように、ガイドボス796は、
図36に示すガイドボス798の長さ812よりも短い長さ810を有する。同様に、各アームの外面48は、アームの骨接面36の凹曲率に追従するように凸状に湾曲している。
【0099】
切断ブロック710のガイド体722は、それぞれ、アーム24、26の外面48に取り付けられ、アーム24、26の外面48から遠位に延びる一対の後方ガイドボス140も含む。各後方ガイドボス140は、外科用ドリル及び固定ピン案内して、ブロック710を骨に連結させるために患者の骨と係合させるようなサイズ及び形状であるガイドスロット142を含む。
【0100】
ここで、
図38~
図41を参照すると、カスタマイズされた患者別切断ブロック(以下、切断ブロック910、1010、1110)の他の実施形態が示されている。
図38~
図41の実施形態は、上述の実施形態で示された特徴部と同じ又は類似する多くの特徴部を含む。類似の特徴部は、上述の実施形態を参照して使用されたのと同じ参照番号を用いて、
図38~
図41において識別される。ここで
図38を参照すると、切断ブロック910は、患者の大腿骨の遠位端部のカスタマイズされた患者別の切除を案内するように配置された切断ガイドスロット912を含む。例示的な実施形態では、切断ブロック910は、患者の骨の部分を受容するように構成された凹の輪郭38を有する多数の骨接面916を含む。
【0101】
脛骨切断ブロック310と同様に、切断ブロック910は、骨接面916及び切断ブロック910の外面918を通って延びる複数の開口914を含む。各開口914は、例示的に円筒形であり、骨を把持するように構成された円形の縁部を含む。開口914はまた、前方切除ガイド体920の表面を通って延びており、ガイドスロット912内に開口する。そのようにして、開口914は、外科医又は他のユーザが切断鋸刃の動きを監視し、骨へのブロック910の適合性をレビューするための視野窓を提供する。同様の開口が、本明細書に記載される実施形態のいずれかに組み込まれ得ることを理解されたい。加えて、開口は、患者の骨の解剖学的構造の性質に応じて、他のサイズ及び形状を取り得ることを理解されたい。
【0102】
切断ブロック910は、他の多数の外科用ツールガイド体920を含む。例示的な実施形態では、ツールガイド体920のそれぞれは、ドリルガイド及び固定ガイドであり、固定ピンを患者の骨と係合するように案内して切断ブロック910を骨に連結するように構成されている。
【0103】
ここで
図39を参照すると、切断ブロック1010は、患者の大腿骨の遠位端部のカスタマイズされた患者別の切除を案内するように配置された切断ガイドスロット1012を含む。例示的な実施形態では、切断ブロック1010は、患者の骨の部分を受容するように構成された凹の輪郭38を有する多数の骨接面1016を含む。
【0104】
切断ブロック710と同様に、切断ブロック1010は、遠位切除ガイド体1020を含み、その自由端部1024に画定される細長い開口部1022、及び開口部1022から内向きに延びて切断ガイドスロット1012を画定する多数の内壁1026を含み、切断ガイドスロット1012は、例えば切断刃などの外科用ツールを案内して患者の骨と係合させるようなサイズ及び形状である。
【0105】
図39に示すように、内壁1026は、ガイドスロット1012の内側を画定する内側内壁1030及びガイドスロット1012の外側を画定する側方内壁1032を含む。例示的な実施形態では、外側内壁1032は、内側内壁1030に対して斜めの角度で延びて、患者の骨の切除を案内する。斜めの角度は、切断ガイドブロック1010の残りの部分と同様に、患者の骨解剖学的構造にカスタマイズされる。
【0106】
切断ブロック1010は、多数の他の外科用ツールガイド体1028を含む。例示的な実施形態では、ツールガイド体1028のそれぞれは、ドリルガイド及び固定ガイドであり、固定ピンを案内して患者の骨と係合させ切断ブロック1010を骨に連結するように構成されている。
【0107】
ここで
図40、
図41を参照すると、切断ブロック1110は、患者の大腿骨の遠位端部のカスタマイズされた患者別の切除を案内するように配置された一対の切断ガイドスロット1112、1114を含む。例示的な実施形態では、切断ブロック1110は、患者の骨の部分を受容するように構成された凹の輪郭38を有する多数の骨接面1116を含む。
【0108】
切断ブロック1110は、遠位切除ガイド体1120を含み、その自由端部1124に画定された一対の細長い開口部1122及び開口部1122から内向きに延びる多数の内壁1126を含む。各開口部1122及び内壁1126は協働して、例えば切断刃などの外科用ツールを案内して患者の骨と係合させるようなサイズ及び形状の切断ガイドスロット1112、1114を画定する。切断ガイドスロット1114は、切断ガイドスロット1112の遠位に配置され、外科医に、手術中に第2の事前に計画された切除を行う選択肢を提供し、それにより、外科医に、手術中に追加の柔軟性を提供すると同時に、手術前の計画の利点を維持することができる。
【0109】
図40、
図41に示すように、切断ブロック1110は、多数の他の外科用ツールガイド体1130を含む。例示的な実施形態では、ツールガイド体1130のそれぞれは、ドリルガイド及び固定ガイドであり、固定ピンを患者の骨と係合するように案内して切断ブロック1110を骨に連結するように構成される。
【0110】
いくつかの実施形態では、カスタマイズされた患者別外科用器具を備える整形外科用器具が開示されることを理解されたい。カスタマイズされた患者別外科用器具は、患者の骨上に配置されるようにサイズ決めされた金属製のベースプレートを備える。ベースプレートは、患者の骨の対応する凸の輪郭を受容するように構成された、カスタマイズされた患者別の凹の輪郭を含む骨接面、及び骨接面の反対側に配置された外面を有する。カスタマイズされた患者別外科用器具は、外面に取り付けられ、外面から自由端部まで延びる金属製のガイド体も備える。ガイド体は、その自由端部に画定された細長い開口部を含む。ガイドスロットは、ガイド体の開口部から、骨接面に画定された第1の開口部を通って延びる。ガイドスロットは、外科用ツールを案内して患者の骨と係合させるようなサイズ及び形状である。
【0111】
いくつかの実施形態では、ガイドスロットは、固定ピンを案内して患者の骨と係合させるようなサイズ及び形状であってもよい。いくつかの実施形態では、ガイドスロットは、切断鋸刃を案内して患者の骨と係合させるようなサイズ及び形状であってもよい。
【0112】
いくつかの実施形態では、カスタマイズされた患者別外科用器具は、外面に取り付けられ、外面から、ガイド体の自由端部から離間した自由端部まで延びるボスも備えることができる。ボスは、その自由端部に画定される開口部を含んでもよく、ドリルガイドスロットは、ボスの開口部から、骨接面に画定された第2の開口部を通って延びてもよい。ドリルガイドスロットは、外科用ドリル又は固定ピンを案内して患者の骨と係合させるようなサイズ及び形状であってもよい。
【0113】
いくつかの実施形態では、ボスは、ベースプレートの外面に取り付けられたベースから自由端部まで延びてもよい。ベースは自由端部よりも幅広であってもよく、ボスは、ベースから自由端部まで延びるテーパ状面を含んでもよい。
【0114】
いくつかの実施形態では、切断ガイドスロットは、前後方向に延びてもよく、ドリルガイドスロットは、上下方向に延びる第1のドリルガイドスロットであってもよく、カスタマイズされた患者別外科用器具は、ガイド体の第2の開口部から骨接面に画定された第3の開口部を通って前後方向に延びる第2のドリルガイドスロットを更に備えてもよい。第2のドリルガイドスロットは、外科用ドリルを案内して患者の骨と係合させるようなサイズ及び形状であってもよい。
【0115】
いくつかの実施形態では、ベースプレートは、一対の後方に延びるアームを含んでもよい。各アームは、患者の骨の対応する凸の輪郭の一部分を受容するように構成された、カスタマイズされた患者別の凹の輪郭の一部分を含んでもよい。
【0116】
いくつかの実施形態では、カスタマイズされた患者別外科用器具は、ベースプレートに画定されたカスタマイズされた患者別の空洞を含んでもよい。空洞は、患者の骨の一部分の上に配置されて、患者の骨の一部分とカスタマイズされた患者別外科用器具との間の接触を防止するようなサイズ及び形状であってもよい。更に、いくつかの実施形態では、空洞は、ガイド体の近位に配置される。
【0117】
いくつかの実施形態では、ベースプレートは、ガイド体の遠位端部及び近位端部の一方に取り付けられた第1のセクションと、ベースプレートの第1のセクションから離間しており、ガイド体の遠位端部及び近位端部のうちの他方に取り付けられた第2のセクションと、を含んでもよい。
【0118】
いくつかの実施形態では、第1のセクションは、一対の後方に延びるアームを含んでもよい。各アームは、患者の骨の対応する凸の輪郭の一部分を受容するように構成された、カスタマイズされた患者別の凹の輪郭の一部分を含んでもよい。更に、いくつかの実施形態では、カスタマイズされた患者別外科用器具は、ベースプレートの第1のセクションの後方に延びるアームの骨接面及び外面、並びに第2のセクションの骨接面及び外面を通って延びる複数の開口部を含んでもよい。
【0119】
いくつかの実施形態では、カスタマイズされた患者別外科用器具は、複数の積層体を含む単一のモノリシックな金属製構成要素であってもよい。
【0120】
いくつかの実施形態では、カスタマイズされた患者別外科用器具は、後端部から自由前端部まで延びる金属製のガイド体を備えることを理解されたい。ガイド体は、その自由前端部に画定された細長い開口部を含む。切断ガイドスロットは、ガイド体の開口部から延びている。ガイドスロットは、切断鋸刃を案内して患者の骨と係合させるようなサイズ及び形状である。カスタマイズされた患者別外科用器具は、金属製のガイド体の後端部から延びる第1のプレートセクションを含み、第1のプレートセクションは、一対の後方に延びるアームを含む。各アームは、患者の骨の対応する凸の輪郭の第1の部分を受容するように構成された、カスタマイズされた患者別の凹の輪郭の第1の部分を含む。カスタマイズされた患者別外科用器具は、第1のプレートセクションから離間しており、金属製のガイド体の後端部から延びる第2のプレートセクションも含む。第2のプレートセクションは、患者の骨の対応する凸の輪郭の第2の部分を受容するように構成された、カスタマイズされた患者別の凹の輪郭の第2の部分を含む骨接面を含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、カスタマイズされた患者別外科用器具は、第2のプレートセクションに取り付けられ、第の2プレートセクションからガイド体の自由前端部から離間した端部まで延びる、第1のボスも含むことができる。第1のボスは、その端部に画定された開口部を含んでもよく、第1のドリルガイドスロットは、第1のボスの開口部から延びていてもよい。第1のドリルガイドスロットは、外科用ドリルを案内して患者の骨と係合させるようなサイズ及び形状であってもよい。
【0122】
いくつかの実施形態では、カスタマイズされた患者別外科用器具は、一対の後方に延びるアームのうちの第1のアームに取り付けられ、そこから自由端部まで延びる第2のボスを更に含んでもよい。第2のボスは、その自由端部内に画定された開口部及び第2のボスの開口部から延びる第2のドリルガイドスロットを含んでもよい。第2のドリルガイドスロットは、外科用ドリルを案内して患者の骨と係合させるようなサイズ及び形状であってもよい。
【0123】
いくつかの実施形態では、カスタマイズされた患者別外科用器具は、一対の後方に延びるアームのうちの第2のアームに取り付けられ、そこから自由端部まで延びる第3のボスを更に含んでもよい。第3のボスは、その自由端部に画定された開口部及び第3のボスの開口部から延びる第3のドリルガイドスロットを含んでもよい。第3のドリルガイドスロットは、外科用ドリルを案内して患者の骨と係合させるようなサイズ及び形状であってもよい。
【0124】
更に、いくつかの実施形態では、カスタマイズされた患者別外科用器具は、複数の積層体を含む単一のモノリシックな金属製構成要素であってもよい。
【0125】
別の態様によれば、いくつかの実施形態では、単一のモノリシックな金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具は、金属材料の複数の積層体を含むことを理解されたい。単一のモノリシックな金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具は、患者の骨と係合するように構成された骨接面を含む。骨接面は、患者の骨の対応する凸の輪郭を受容するように構成された、カスタマイズされた患者別の凹の輪郭を含む。単一のモノリシックな金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具は、骨接面の反対側に配置された外面と、骨に面する表面内に画定されたガイドスロットとを含む。ガイドスロットは、患者の骨と係合するように外科用ツールを案内するサイズ及び形状である。
【0126】
いくつかの実施形態では、カスタマイズされた患者別整形外科用器具の製造方法は、患者別のデータに基づいて患者の骨の3次元モデルを生成することと、患者の骨の3次元モデルの第1の領域を識別することと、患者の骨の3次元モデル上のカスタマイズされた患者別外科用器具の外側境界を画定することと、外側境界内にカスタマイズされた患者別外科用器具モデルを生成することであって、カスタマイズされた患者別外科用器具モデルが、患者の骨の対応する凸の輪郭を受容するカスタマイズされた患者別の凹の輪郭を含む骨接面を備える、生成することと、カスタマイズされた患者別整形外科用器具モデルに基づいて、カスタマイズされた患者別整形外科用器具を金属材料から製作することと、を含むことを理解されたい。カスタマイズされた患者別外科用器具モデルを生成するステップは、患者の骨の3次元モデルの第1の領域の上の骨接面内に空洞を画定することを含む。空洞は、第1の領域の外縁部と位置合わせされるか、又はそれよりも大きな外縁部を有する。カスタマイズされた患者別外科用器具モデルを生成するステップはまた、カスタマイズされた患者別外科用器具の外面を骨接面の反対側に生成することと、ガイド体を、カスタマイズされた患者別外科用器具モデルの外面から自由端部まで外向きに延ばすことと、ガイド体内にガイドスロットを画定することであって、ガイドスロットは、外科用ツールを案内して患者の骨と係合させるようなサイズ及び形状である、画定することと、を含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、方法は、患者別のデータに基づいて患者の骨の3次元モデル上の計画された切除平面を識別することも含むことができる。ガイドスロットをガイド体を通して画定するステップは、ガイドスロットを計画された切除平面と位置合わせすることと、切断鋸刃を計画された切除平面に沿って案内して患者の骨と係合させるようにガイドスロットをサイズ決め及び成形することと、を含むことができる。
【0128】
更に、いくつかの実施形態では、ガイドスロットをサイズ決め及び成形するステップ、ガイド体の内側側壁と外側側壁との間にガイドスロットを画定することを含み、内側側壁及び外側側壁のうちの少なくとも一方は、内側側壁及び外側側壁の他方に対して角度をなす。
【0129】
いくつかの実施形態では、ガイドスロットは、第1のガイドスロットであってもよく、カスタマイズされた患者別外科用器具モデルを生成することは、ボスを、カスタマイズされた患者別外科用器具モデルの外面から、ガイド体の自由端部から離間した自由端部まで外向きに延ばすことと、ボス内にドリルガイドスロットを画定することと、を更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、ボスを外面から外向きに延ばすステップは、ボスの第1の側面上にテーパ状面を画定するステップを含むことができ、カスタマイズされた患者別整形外科用器具を金属材料から製作するステップは、製作機械においてテーパ状面が下向きに向くように、製作機械内に金属材料を積層することを含む。
【0130】
いくつかの実施形態では、カスタマイズされた患者別外科用器具モデルを生成するステップは、外面及び骨接面を通って延びる複数の開口を画定することを更に含むことができる。
【0131】
いくつかの実施形態では、カスタマイズされた患者別外科用器具モデルを生成するステップは、カスタマイズされた患者別外科用器具モデルのガイド体を通して第2の複数の開口を画定することを更に含むことができる。更に、いくつかの実施形態では、開口のそれぞれは、菱形形状の開口部を含んでもよい。
【0132】
いくつかの実施形態では、ガイド体を、カスタマイズされた患者別外科用器具モデルの外面から自由端部まで外向きに延ばすステップは、ガイド体の第1の側面上にテーパ状面を画定することを含むことができ、カスタマイズされた患者別整形外科用器具を金属材料から製作することは、製作機械においてテーパ状面が下向きに向くように、製作機械内に金属材料を積層することを含むことができる。
【0133】
いくつかの実施形態では、カスタマイズされた患者別外科用器具モデルに基づいて、カスタマイズされた患者別整形外科用器具を金属材料から製作するステップは、カスタマイズされた患者別整形外科用器具を単一のモノリシックな構成要素として形成することを含んでもよい。
【0134】
いくつかの実施形態では、単一のモノリシックな構成要素は、金属材料の複数の積層体を含むことができる。
【0135】
いくつかの実施形態では、カスタマイズされた患者別整形外科用器具の製造方法は、患者別データに基づいて患者の骨の3次元モデルを生成することと、患者の骨の3次元モデル上のカスタマイズされた患者別外科用器具の外側境界を画定することと、外側境界内にカスタマイズされた患者別外科用器具モデルを生成することであって、カスタマイズされた患者別外科用器具モデルが、カスタマイズされた患者別骨接面を含む、生成することと、カスタマイズされた患者別整形外科用器具モデルに基づいて、カスタマイズされた患者別整形外科用器具を金属材料から製作することと、を含むことを理解されたい。カスタマイズされた患者別外科用器具モデルを生成するステップは、カスタマイズされた患者別外科用器具の外面を骨接面の反対側に生成することと、ガイド体を、カスタマイズされた患者別外科用器具モデルの外面から自由端部まで外向きに延ばすことと、ガイド体内にガイドスロットを画定すること、を含む。ガイドスロットは、外科用ツールを案内して患者の骨と係合させるようなサイズ及び形状であってもよい。
【0136】
いくつかの実施形態では、本方法は、患者の骨の切除表面を計画することを含み、カスタマイズされた患者別外科用器具モデルを生成することが、患者の骨の計画された切除表面の外縁部と一致するように、骨接面の外縁部を成形することを含んでもよい。
【0137】
いくつかの実施形態では、ガイド体は第1のガイド体であってもよく、カスタマイズされた患者別外科用器具モデルを生成することは、第2のガイド体を、カスタマイズされた患者別外科用器具モデルの外面から第1のガイド体の自由端部から離間した端部まで外向きに延ばすことと、第2のガイド体に、第2のガイドスロットを画定することであって、第2のガイドスロットが、外科用ツールを案内して患者の骨と係合させるようなサイズ及び形状であり、第1のガイドスロットに対して横方向に延びている、画定することと、を更に含むことができる。
【0138】
いくつかの実施形態では、カスタマイズされた患者別外科用器具モデルを生成するステップは、第3のガイド体を、カスタマイズされた患者別外科用器具モデルの外面から、第1のガイド体から離間した自由端部まで外向きに延ばすことと、第3のガイドスロットを画定することであって、第2のガイドスロットが、外科用ツールを案内して患者の骨と係合させるようなサイズ及び形状であり、第2の切断ガイドスロットと交差する、画定することと、を更に含むことができる。
【0139】
加えて、いくつかの実施形態では、第2のガイド体は、テーパ状の外面を有するボスを含んでもよく、第2のガイドスロットは、外科用ドリルを案内して患者の骨と係合させるようなサイズ及び形状のドリルガイドスロットであってもよい。
【0140】
いくつかの実施形態では、カスタマイズされた患者別外科用器具モデルに基づいて、カスタマイズされた患者別整形外科用器具を金属材料から製作するステップは、カスタマイズされた患者別整形外科用器具を単一のモノリシックな構成要素として形成することを含んでもよい。
【0141】
いくつかの実施形態では、カスタマイズされた患者別整形外科用器具を製作するステップは、3次元金属プリンタを操作して、金属材料の積層体を形成することによってカスタマイズされた患者別外科用器具を製作するステップを含むことができる。
【0142】
いくつかの実施形態において、カスタマイズされた患者別整形外科用器具の設計方法は、患者別のデータに基づいて患者の骨の3次元モデルを生成することと、患者の骨の3次元モデル上のカスタマイズされた患者別外科用器具の外側境界を画定することと、外側境界内にカスタマイズされた患者別外科用器具モデルを生成することと、を含むことを理解されたい。カスタマイズされた患者別外科用器具モデルは、カスタマイズされた患者別骨接面を含む。いくつかの実施形態では、カスタマイズされた患者別外科用器具モデルを生成することは、カスタマイズされた患者別外科用器具の外面を骨接面の反対側に生成することと、ガイド体を、カスタマイズされた患者別外科用器具モデルの外面から自由端部まで外向きに延ばすことと、ガイド体にガイドスロットを画定することであって、ガイドスロットが、外科用ツールを案内して患者の骨と係合させるようなサイズ及び形状である、画定することと、を含む。
【0143】
図面及び上記の説明において本開示を詳細に例証及び説明してきたが、このような例証及び説明は、その性質上、あくまで例示的なものであって限定的なものとは見なすべきではなく、あくまで例示的な実施形態を示して説明してきたにすぎず、本開示の趣旨の範囲内に含まれる全ての変更及び改変は保護されることが望ましいことが理解される。
【0144】
本明細書に述べられる装置、システム、及び方法の様々な特徴に由来する本開示の複数の利点が存在する。本開示の装置、システム、及び方法の代替的実施形態は、記載される特徴のすべてを含まないことがあるが、そのような特徴の利点の少なくとも一部によって利するものである点に留意されたい。当業者であれば、本発明の特徴の1つ又は2つ以上を組み込んだ、本開示の趣旨及び範囲内にある装置、システム、及び方法について、独自の実現例を容易に考案し得る。
【0145】
〔実施の態様〕
(1) 整形外科用器具であって、
患者の大腿骨の遠位端部の切除された表面上に配置されるようにサイズ決めされたベースプレートであって、骨接面、前記骨接面の反対側に配置された遠位表面、及び前記骨接面と前記遠位表面との間に延びる外壁を有する、ベースプレートと、
前記遠位表面に取り付けられ、前記遠位表面から自由遠位端部まで延びる本体であって、その自由遠位端部に画定された細長い開口部を含む、本体と、
前記本体の前記開口部から前記骨接面に画定された第1の開口部を通って延びる切断ガイドスロットであって、切断鋸刃を受容するようにサイズ決めされている、切断ガイドスロットと、
前記遠位表面に取り付けられ、前記遠位表面から前記本体の前記自由遠位端部から離間した自由遠位端部まで延びるボスであって、その自由遠位端部に画定された開口部を含む、ボスと、
前記ボスの前記開口部から、前記骨接面に画定された第2の開口部を通って延びるドリルガイドスロットであって、外科用ドリルを受容するようにサイズ決めされている、ドリルガイドスロットと、
を備える金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具、を備える、整形外科用器具。
(2) 前記骨接面が、前記患者の大腿骨の前記遠位端部の前記切除された表面の外縁部と一致するように成形された、カスタマイズされた患者別の外縁部を含む、実施態様1に記載の整形外科用器具。
(3) 前記金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具が、前記外縁部のセクションによって画定されるノッチを含み、
前記切断ガイドスロットが前記ノッチに開口する、
実施態様1に記載の整形外科用器具。
(4) 前記外縁部の前記セクションが上側セクションであり、これにより、前記ノッチが、前記金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具の上側端部に画定されている、実施態様3に記載の整形外科用器具。
(5) 前記外縁部の前記セクションが下側セクションであり、これにより、前記ノッチが、前記金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具の下側端部に画定されている、実施態様3に記載の整形外科用器具。
【0146】
(6) 前記本体が第1の本体であり、前記切断ガイドが第1の切断ガイドであり、前記金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具が、
前記遠位表面に取り付けられ、前記遠位表面から前記第1の本体及び前記ボスの前記遠位端部から離間した遠位端部まで延びる第2の本体であって、その遠位端部に画定された細長い開口部を含む、第2の本体と、
前記第2の本体の前記開口部から、前記骨接面に画定された第3の開口部を通って延びる第2の切断ガイドスロットであって、切断鋸刃を受容するようにサイズ決めされている、第2の切断ガイドスロットと、
を更に備える、実施態様1に記載の整形外科用器具。
(7) 前記第1の切断ガイドが第1の切断面を画定し、
前記第2の切断ガイドが、前記第1の切断面に対して角度をなす第2の切断面を画定する、
実施態様1に記載の整形外科用器具。
(8) 前記金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具が、
前記遠位表面に取り付けられ、前記遠位表面から前記第2の本体の前記遠位端部に取り付けられた遠位端部まで延びる第3の本体であって、その遠位端部に画定された細長い開口部を含む、第3の本体と、
前記第3の本体の前記開口部から、前記骨接面に画定された第4の開口部を通って延びる第3の切断ガイドスロットであって、切断鋸刃を受容するようにサイズ決めされており、前記第2の切断ガイドスロットと交差する、第3の切断ガイドスロットと、
を更に備える、実施態様7に記載の整形外科用器具。
(9) 前記第3の切断ガイドが、前記第1の切断面及び前記第2の切断面に対して角度をなす第3の切断面を画定する、実施態様8に記載の整形外科用器具。
(10) 前記第2の本体の表面と、前記第3の本体の表面と、前記ベースプレートの前記遠位表面との間に、通路が画定されている、実施態様8に記載の整形外科用器具。
【0147】
(11) 前記金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具が、
前記遠位表面に取り付けられ、前記遠位表面から前記第1の本体、前記第2の本体、及び前記第3の本体の前記遠位端部から離間した自由遠位端部まで延びる第4の本体であって、その遠位端部に画定された細長い開口部を含む、第4の本体と、
前記第4の本体の前記開口部から、前記骨接面に画定された第5の開口部を通って延びる第4の切断ガイドスロットであって、切断鋸刃を受容するようにサイズ決めされており、前記第2の切断ガイドスロットを横切る、第4の切断ガイドスロットと、を更に備える、
実施態様8に記載の整形外科用器具。
(12) 前記金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具が、金属材料の複数の積層体を含む、実施態様1に記載の整形外科用器具。
(13) 整形外科用器具であって、
患者の大腿骨の遠位端部の切除された表面上に配置されるようにサイズ決めされたベースプレートであって、骨接面、前記骨接面の反対側に配置された遠位表面、及び前記骨接面と前記遠位表面との間に延びる外壁を有する、ベースプレートと、
前記遠位表面に取り付けられ、前記遠位表面から自由遠位端部まで延びる前方切除ガイド体であって、切断鋸刃を受容するようにサイズ決めされた前方切断ガイドスロットを含む、前方切除ガイド体と、
前記遠位表面に取り付けられ、前記遠位表面から自由遠位端部まで延びる後方切除ガイド体であって、切断鋸刃を受容するようにサイズ決めされた後方切断ガイドスロットを含む、後方切除ガイド体と、
前記遠位表面に取り付けられ、前記遠位表面から延びる一対の面取り切除ガイド体であって、各面取り切除ガイド体が、切断鋸刃を受容するようにサイズ決めされた面取り切断ガイドスロットを含み、各面取り切断ガイドスロットが、他方の切断ガイドスロットに対して斜めに延びている、一対の面取り切除ガイド体と、
を備える金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具、を備える、整形外科用器具。
(14) 前記金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具が、
前記遠位表面に取り付けられ、前記遠位表面から前記本体の前記自由遠位端部から離間した自由遠位端部まで延びるボスであって、その自由端部に画定される開口部を含む、ボスと、
前記ボスの前記開口部から前記骨接面に画定された第2の開口部を通って延びるドリルガイドスロットであって、外科用ドリルを受容するようにサイズ決めされている、ドリルガイドスロットと、を更に備える、
実施態様13に記載の整形外科用器具。
(15) 前記骨接面が、前記患者の大腿骨の前記遠位端部の前記切除された表面の外縁部と一致するように成形された、カスタマイズされた患者別の外縁部を含む、実施態様14に記載の整形外科用器具。
【0148】
(16) 前記金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具が、前記外縁部のセクションによって画定される上側ノッチを含み、
前記前方切断ガイドスロットが、前記上側ノッチに開口する、
実施態様15に記載の整形外科用器具。
(17) 前記金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具が、前記外縁部のセクションによって画定される下側ノッチを含み、
前記後方切断ガイドスロットが、前記下側ノッチに開口する、
実施態様15に記載の整形外科用器具。
(18) 前記金属製のカスタマイズされた患者別外科用器具が、金属材料の複数の積層体を含む、実施態様13に記載の整形外科用器具。
(19) 整形外科手術を行う方法であって、
カスタマイズされた患者別外科用器具を、患者の骨の切除された遠位表面と位置合わせすることと、
前記カスタマイズされた患者別外科用器具を前記切除された遠位表面と接触させて配置することと、
前記カスタマイズされた患者別外科用器具を前記切除された遠位表面上で回転させて、前記切除された遠位表面の外周縁部を、前記カスタマイズされた患者別外科用器具の骨接面のカスタマイズされた患者別の外縁部と位置合わせすることと、
切断鋸を、前記カスタマイズされた患者別外科用器具内に画定された切断ガイドスロットを通して挿入して、前記患者の骨を切除することと、を含む、方法。
(20) 前記カスタマイズされた患者別外科用器具が、前方切断ガイドスロットと、後方切断ガイドスロットと、一対の面取り切断ガイドスロットとを含む、実施態様19に記載の方法。
【外国語明細書】