(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102190
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】ヌクレアーゼ融合タンパク質によるシェーグレン病の処置
(51)【国際特許分類】
A61K 38/16 20060101AFI20240723BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240723BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20240723BHJP
C07K 16/00 20060101ALN20240723BHJP
C12N 9/22 20060101ALN20240723BHJP
C12Q 1/68 20180101ALN20240723BHJP
C07K 19/00 20060101ALN20240723BHJP
【FI】
A61K38/16
A61P37/06 ZNA
G01N33/53 M
C07K16/00
C12N9/22
C12Q1/68
C07K19/00
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024073573
(22)【出願日】2024-04-30
(62)【分割の表示】P 2021538992の分割
【原出願日】2020-01-03
(31)【優先権主張番号】62/788,730
(32)【優先日】2019-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519000951
【氏名又は名称】リゾルブ セラピューティクス, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ アーサー ポサダ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル バージ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】シェーグレン病を処置するための医薬組成物を提供する。
【解決手段】ヒトFcドメインバリアントのN末端にリンカーを用いて、または用いずに作動可能に連結したヒトRNase 1からなるポリペプチドを含む医薬組成物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのポリペプチドを含むホモ二量体を含む医薬組成物であって、各ポリペプチドが、ヒトFcドメインバリアントのN末端にリンカーを用いて、または用いずに作動可能に連結したヒトRNase 1からなり、前記医薬組成物が、前記ホモ二量体による処置の候補としてシェーグレン症候群を有する患者を同定する方法において候補と同定された患者を処置するためのものであり、前記方法が、
(a)前記患者から得られた試料における炎症関連遺伝子発現プロファイルを決定する工程であって、前記プロファイル中の前記炎症関連遺伝子が、MAP3K8、ACKR3、STAT1、STAT2、TRIM37、および/またはZNF606を含む、工程と、
(b)工程(a)において決定された前記炎症関連遺伝子発現プロファイルを、前記ホモ二量体で処置されたが臨床的応答を示さなかった対照の被験体から得られた試料における炎症関連遺伝子発現プロファイルと比較する工程と
を含み、a)前記試料中のZNF606の発現レベルが前記対照の被験体と比較して増加していること;b)前記試料中のACKR3の発現レベルが前記対照の被験体と比較して増加していること;c)前記試料中のSTAT1の発現レベルが前記対照の被験体と比較して減少していること;d)前記試料中のSTAT2の発現レベルが前記対照の被験体と比較して減少していること;e)前記試料中のTRIM37の発現レベルが前記対照の被験体と比較して減少していること;f)前記試料中のMAP3K8の発現レベルが前記対照の被験体と比較して減少していること;またはg)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、および(f)の任意の組み合わせが、前記患者が前記ホモ二量体による処置の候補であることを指し示す、医薬組成物。
【請求項2】
シェーグレン症候群を処置する方法における使用のための医薬組成物であって、2つのポリペプチドを含むホモ二量体を含み、各ポリペプチドが、ヒトFcドメインバリアントのN末端にリンカーを用いて、または用いずに作動可能に連結したヒトRNase 1からなり、前記医薬組成物は前記患者に投与されることを特徴とし、処置が、1種または複数種の炎症関連遺伝子の減少をもたらす、医薬組成物。
【請求項3】
前記1種または複数種の炎症関連遺伝子が、IL-5、TNF受容体、IL-6受容体、IL-1アクセサリータンパク質、CXCL1、IL-17受容体A、LTBR4およびSTAT5Bからなる群から選択される、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記1種または複数種の炎症関連遺伝子が、IL5、TNFRSF1A、IL6R、IL1RAP、CXCL1、IL17RA、LTB4RおよびSTAT5Bからなる群から選択される、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
シェーグレン症候群を処置する方法における使用のための医薬組成物であって、2つのポリペプチドを含むホモ二量体を含み、各ポリペプチドが、ヒトFcドメインバリアントのN末端にリンカーを用いて、または用いずに作動可能に連結したヒトRNase 1からなり、前記医薬組成物は前記患者に投与されることを特徴とし、処置が、1種または複数種の炎症関連遺伝子の増加をもたらす、医薬組成物。
【請求項6】
前記1種または複数種の炎症関連遺伝子が、CXCL10(IP-10)、CD163、RIPK2およびCCR2からなる群から選択される、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
シェーグレン症候群を処置する方法における使用のための医薬組成物であって、2つのポリペプチドを含むホモ二量体を含み、各ポリペプチドが、ヒトFcドメインバリアントのN末端にリンカーを用いて、または用いずに作動可能に連結したヒトRNase 1からなり、前記医薬組成物は前記患者に投与されることを特徴とし、処置が、1種または複数種のサイトカインの増加および疲労の改善をもたらす、医薬組成物。
【請求項8】
前記サイトカインが、CXCL10である、請求項7に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2019年1月4日に出願された米国特許仮出願第62/788,730号の利益を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
原発性シェーグレン症候群(pSS)は、母集団の0.5%~1%の間が罹患すると推定される自己免疫障害であり、その患者10名のうち9名が女性である(Ramos-Casals, 2005, Ann Rheum Dis. 64, 347-354;Skopouli, 2000, Semin. Arthritis Rheum. 29:296-304)。pSSの女性の大多数は、疲労、関節痛ならびに眼球および/または口腔乾燥として顕在化する軽度~中等度の疾患によって特徴付けされる。疾患は、唾液腺および涙腺のリンパ球浸潤と、その後の、ドライアイおよび口渇を引き起こす腺の炎症、損傷および機能喪失によって特徴付けされる。肺、腎臓および肝臓を含む主要な臓器系の関与は、pSSの共通の全身性顕在化である(Malladi, 2012, Arthritis Care Res. 64:911-918)。生化学的レベルでは、pSSは、増加した免疫グロブリンレベル、ならびにSSA/RoおよびSSB/La等のリボヌクレオタンパク質複合体に対する抗核内(nuclear)抗体の産生を伴う(Bave, 2005, Arth. & Rheum. 52:1185-1195;Hall 2015, Arth. & Rheum. 67, 2437-2446)。
【0003】
形成されると、RNA含有免疫複合体は、樹状細胞等の免疫系細胞へと直ちに内部移行され、そこで、免疫複合体に結合されたRNAは、RNAセンサー、TLR7等のToll様受容体(TLR)と相互作用することができる。TLRは、病原体関連分子構成成分を認識することにより、自然免疫系の鍵となるエレメントとして作動すると考えられるが、現在、宿主核酸も、TLR7、TLR8およびTLR9を含む特異的なファミリーメンバーを活性化することができることが明らかである(Theofilopoulos, 2010, Nat. Rev. Rheum., 6:146-156)。これらの受容体を発現する細胞は、受容体を細胞表面に分布させることなく発現を行う;それどころか、TLR7/8/9は、エンドソーム内に隔絶される(Theofilopoulos, 2010, Nat. Rev. Rheum., 6:146-156)。この位置決めは、宿主核酸との相互作用を最小化すると仮定される。しかし、免疫複合体内に存在する場合、核酸抗原は、受容体媒介性エンドサイトーシスを介して細胞に能動的に内部移行される。エフェクターFc、補体およびB細胞受容体は全て、エンドソームへの核酸含有ICの進入を容易にすることができる(Means, 2005, J. Clin. Invest. 115:407-417;Lau, 2005, J. Exp.
Med. 202:1171-1177;Brkic 2013, Ann. Rheum. Dis. 72(5):728-735)。内部移行されると、核酸は、内在するエンドソームTLRに結合し、これを活性化するように位置決めされる。次いで、活性化されたTLRは、pDCからの1型IFN産生を促進し、PMNを活性化し、B細胞増殖および自己抗体産生を促進する。よって、核酸含有抗原は、pSS疾患の病態生理学の複数の側面に寄与する。
疲労は、シェーグレン症候群の最も一般的な腺外症状の1つであり、永続的な全般性の疲れによって定義される。pSS患者の推定70%は、クオリティ・オブ・ライフにマイナスの影響を有すると報告される著明な疲労を患う。血清学的には、これらの患者のおよそ80%は、小型の非コードRNA分子を含有する自己抗原に結合する抗Ro/SSA自己抗体を有する。疲労は、強度、持続時間および日常の機能における効果の観点から特徴付けることができる。注目すべきことに、プライマリケア設定において、疲労は、抑うつ状態に強く関連する(Segal et al. Arthritis Rhem. 2008 December 15; 59(12): 1780-1778)。よって、シェーグレン症候群等の自己免疫疾患の患者における疲労を改善する手段の必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Ramos-Casals, 2005, Ann Rheum Dis. 64, 347-354
【非特許文献2】Skopouli, 2000, Semin. Arthritis Rheum. 29:296-304
【非特許文献3】Malladi, 2012, Arthritis Care Res. 64:911-918
【非特許文献4】Bave, 2005, Arth. & Rheum. 52:1185-1195
【非特許文献5】Hall 2015, Arth. & Rheum. 67, 2437-2446
【非特許文献6】Theofilopoulos, 2010, Nat. Rev. Rheum., 6:146-156
【非特許文献7】Means, 2005, J. Clin. Invest. 115:407-417
【非特許文献8】Lau, 2005, J. Exp. Med. 202:1171-1177
【非特許文献9】Brkic 2013, Ann. Rheum. Dis. 72(5):728-735
【非特許文献10】Segal et al. Arthritis Rhem. 2008 December 15; 59(12): 1780-1778
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、少なくとも一部には、シェーグレン症候群の処置を必要とするヒト患者におけるシェーグレン症候群の処置に有用である、RNase-Fc融合タンパク質を含むRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質に関する。一部の態様では、本開示は、シェーグレン症候群患者における疲労の処置、低下または寛解に有用である、RNase-Fc融合タンパク質を含むRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質に関する。一部の態様では、本開示は、シェーグレン症候群患者における認知能力の改善、増強もしくは増加に、または失認の低下、減少もしくは寛解に有用である、RNase-Fc融合タンパク質を含むRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質に関する。一部の態様では、本開示は、疲労に関連する抑うつ状態を含む、シェーグレン症候群患者における抑うつ状態の低下、減少または寛解に有用である、RNase-Fc融合タンパク質を含むRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質に関する。一部の態様では、本開示は、シェーグレン症候群を処置または予防するための方法、シェーグレン症候群患者における疲労を処置、予防または低下するための方法、およびシェーグレン症候群患者における認知能力を改善するための方法において有用である、RNase-Fc融合タンパク質と、1種または複数種の薬学的に許容される担体および/または希釈剤とを含む組成物に関する。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、約5~10mg/kg、約2~8mg/kg、約3~6mg/kg、約3mg/kg、約5mg/kgまたは約10mg/kgの用量で、注射(例えば、静脈内注射)によってヒト患者に投与される。
【0006】
一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、RSLV-132である。RSLV-132は、配列番号50として示されるアミノ酸配列をそれぞれ有する2個のポリペプチドのホモ二量体を含むヌクレアーゼ融合タンパク質である。ホモ二量体の各ポリペプチドは、RNase-FcのN末端からC末端へと
図1に示す構成を有し、野生型ヒトRNase 1ドメイン(配列番号2)が、リンカーなしで、3個のヒンジ領域システイン残基のうち1個におけるセリンへの変異(残基220またはC220S、本明細書で、「SCCヒンジ」とも称される)ならびにCH2ドメインにおける2個の変異P238SおよびP331Sを含むヒトIgG1 FcドメインのN末端に作動可能に連結されている。これらの変異を有するヒトIgG1 Fcドメインの配列は、配列番号22に示される。
【0007】
一部の態様では、本開示は、シェーグレン病を処置することを必要とするヒト患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置するための方法であって、有効量のRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質、例えばRNase-Fc融合タンパク質、例えばRSLV-132を患者に投与するステップを含み、これにより、患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置する方法を提供する。
【0008】
一部の態様では、本開示は、シェーグレン病を処置することを必要とするヒト患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置するための方法であって、静脈内注射により、約5~10mg/kgのRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質、例えばRNase-Fc融合タンパク質、例えばRSLV-132の用量を患者に投与するステップを含み、これにより、患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置する方法を提供する。
【0009】
一部の態様では、本開示は、シェーグレン病を処置することを必要とするヒト患者において認知効果を改善することによりシェーグレン病を処置するための方法であって、有効量のRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質、例えばRNase-Fc融合タンパク質、例えばRSLV-132を患者に投与するステップを含み、これにより、患者において認知効果を改善することによりシェーグレン病を処置する方法を提供する。一部の態様では、患者における認知効果は、ProFの精神的構成成分において、処置前のProFの精神的構成成分と比べて少なくとも1ポイント改善される。一部の態様では、患者における認知効果は、処置前のProFの精神的構成成分と比べて、ProFの精神的構成成分において1ポイントを超えて、2ポイントを超えてまたは3ポイントを超えて改善される。
【0010】
一部の態様では、本開示は、シェーグレン病を処置することを必要とするヒト患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置するための方法であって、配列番号50に示されるアミノ酸配列を含む有効量のRNase-Fc融合タンパク質を患者に投与するステップを含み、これにより、患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置する方法を提供する。一部の態様では、配列番号50に示されるアミノ酸配列を含むRNase-Fc融合タンパク質の有効量は、約5mg/kg~約10mg/kgの用量である。一部の態様では、RNase-Fc融合タンパク質は、薬学的に許容される担体を含有する組成物の形態で投与される。一部の態様では、配列番号50に示されるアミノ酸配列を含むRNase-Fc融合タンパク質を含む組成物は、静脈内注射(例えば、溶液における)のために製剤化される。
【0011】
一部の態様では、本開示は、シェーグレン病を処置することを必要とするヒト患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置するための方法であって、有効量の医薬組成物を患者に投与するステップを含み、組成物が、配列番号50に示されるアミノ酸配列を含むRNase-Fc融合タンパク質;ならびに1種または複数種の薬学的に許容される担体および/または希釈剤を含み、これにより、患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置する方法を提供する。一部の態様では、配列番号50に示されるアミノ酸配列を含むRNase-Fc融合タンパク質を含む組成物は、静脈内注射(例えば、溶液における)のために製剤化される。
【0012】
本開示の方法の前述の実施形態または関連する実施形態のいずれかでは、本明細書における使用のためのRNase-Fc融合タンパク質は、ヒト膵臓RNase 1を含む。一部の態様では、ヒト膵臓RNase 1は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む。一部の態様では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質は、野生型ヒトIgG1 Fcドメインまたは1つもしくは複数の変異を含むヒトIgG1 Fcドメインを含む。一部の態様では、ヒトIgG1 Fcドメインは、ヒト細胞上のFcγ受容体への結合を減少させる1つまたは複数の変異を含む。一部の態様では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質は、オプソニン化、ファゴサイトーシス、補体依存性細胞傷害および抗体依存性細胞性細胞傷害からなる群から必要に応じて選択されるエフェクター機能の低下を有する。
【0013】
一部の態様では、ヒトIgG1 Fcドメインは、ヒンジドメイン、CH2ドメインおよびCH3ドメインを含む。一部の態様では、ヒトIgG1 Fcドメインは、3個のヒンジ領域システイン残基のうち1つまたは複数のセリンによる置換を含む。一部の態様では、Fcドメインは、EUインデックスに従ってナンバリングしてSCC変異(残基220、226および229)を含む。一部の態様では、ヒトIgG1 Fcドメインは、配列番号22に示されるアミノ酸配列を含む。
【0014】
本開示の方法の前述の実施形態または関連する実施形態のいずれかでは、本明細書における使用のためのRNase-Fc融合タンパク質は、リンカーありまたはなしで、EUナンバリングに従って、C220S変異、P238S変異およびP331S変異を含むヒトIgG1 Fcドメインに連結されたヒト膵臓RNase 1を含む。
【0015】
本開示の方法の前述の実施形態または関連する実施形態のいずれかでは、本明細書における使用のためのRNase-Fc融合タンパク質は、配列番号50に示されるアミノ酸配列を含む。
【0016】
本開示の方法の前述の実施形態または関連する実施形態のいずれかでは、本明細書における使用のための、RNase-Fc融合タンパク質、例えば、RSLV-132、またはRNase-Fc融合タンパク質を含む医薬組成物は、静脈内注射により患者に投与される。一部の態様では、患者は、有効用量のRNase-Fc融合タンパク質、例えば、RSLV-132、またはRNase-Fc融合タンパク質を含む医薬組成物を2週間毎に投与される。
【0017】
一部の態様では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質、例えばRSLV-132、またはRNase-Fc融合タンパク質を含む医薬組成物は、約5~10mg/kgの用量で患者に投与される。一部の態様では、RNase-Fc融合タンパク質、例えばRSLV-132、またはRNase-Fc融合タンパク質を含む医薬組成物は、約10mg/kgの用量で患者に投与される。一部の態様では、RNase-Fc融合タンパク質、例えばRSLV-132、またはRNase-Fc融合タンパク質を含む医薬組成物は、約5mg/kgの用量で患者に投与される。一部の態様では、RNase-Fc融合タンパク質、例えばRSLV-132、またはRNase-Fc融合タンパク質を含む医薬組成物は、2週間毎に約5~10mg/kgの用量で患者に投与される。一部の態様では、RNase-Fc融合タンパク質、例えばRSLV-132、またはRNase-Fc融合タンパク質を含む医薬組成物は、3ヶ月間にわたり2週間毎に約5~10mg/kgの用量で患者に投与される。一部の態様では、RNase-Fc融合タンパク質、例えばRSLV-132、またはRNase-Fc融合タンパク質を含む医薬組成物は、3ヶ月間に及ぶ6回の隔週注入において患者に投与される。一部の態様では、RNase-Fc融合タンパク質、例えばRSLV-132、またはRNase-Fc融合タンパク質を含む医薬組成物は、3週間にわたり毎週患者に投与され、次いで2週間毎に1回投与されて、治療効果を達成または維持する。
【0018】
一部の態様では、本開示は、シェーグレン症候群の処置を必要とするヒト患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置するための方法であって、RNase-Fc融合タンパク質、例えば、RSLV-132、またはRNase-Fc融合タンパク質を含む医薬組成物の少なくとも3用量の投薬レジメンを投与するステップを含み、各用量が、約5~10mg/kg、約2~8mg/kg、約3~6mg/kg、約3mg/kg、約5mg/kgまたは約10mg/kgの用量で患者に投与される(例えば、注射、例えば、静脈内注射により)、方法を提供する。一部の態様では、患者は、RNase-Fc融合タンパク質の少なくとも4用量を投与される。一部の態様では、患者は、RNase-Fc融合タンパク質の少なくとも5用量を投与される。一部の態様では、患者は、RNase-Fc融合タンパク質の少なくとも6用量を投与される。一部の態様では、患者は、RNase-Fc融合タンパク質の少なくとも7用量を投与される。一部の態様では、患者は、RNase-Fc融合タンパク質の少なくとも8用量を投与される。
【0019】
一部の態様では、本開示は、シェーグレン症候群の処置を必要とするヒト患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置するための方法であって、RNase-Fc融合タンパク質、例えば、RSLV-132、またはRNase-Fc融合タンパク質を含む医薬組成物の用量の投薬レジメンを、少なくとも2週間にわたり週1回投与するステップを含み、各用量が、約5~10mg/kg、約2~8mg/kg、約3~6mg/kg、約3mg/kg、約5mg/kgまたは約10mg/kgの用量で患者に投与される(例えば、注射、例えば、静脈内注射により)、方法を提供する。一部の態様では、患者は、RNase-Fc融合タンパク質の用量を、少なくとも3週間にわたり毎週投与される。一部の態様では、患者は、RNase-Fc融合タンパク質の用量を、少なくとも4週間にわたり毎週投与される。一部の態様では、患者は、RNase-Fc融合タンパク質の用量を、少なくとも5週間にわたり毎週投与される。一部の態様では、患者は、RNase-Fc融合タンパク質の用量を、少なくとも6週間にわたり毎週投与される。一部の態様では、患者は、RNase-Fc融合タンパク質の用量を、少なくとも7週間にわたり毎週投与される。一部の態様では、患者は、RNase-Fc融合タンパク質の用量を、少なくとも8週間にわたり毎週投与される。
【0020】
一部の態様では、患者は、RNase-Fc融合タンパク質の用量を、少なくとも2週間にわたり2週間毎に投与される。一部の態様では、患者は、RNase-Fc融合タンパク質の用量を、少なくとも4週間にわたり2週間毎に投与される。一部の態様では、患者は、RNase-Fc融合タンパク質の用量を、少なくとも6週間にわたり2週間毎に投与される。一部の態様では、患者は、RNase-Fc融合タンパク質の用量を、少なくとも8週間にわたり2週間毎に投与される。
【0021】
一部の態様では、患者は、RNase-Fc融合タンパク質の用量を、3週間にわたり毎週投与され、次いで、2週間毎に1回の投与が少なくとも1ヶ月間なされる。一部の態様では、患者は、RNase-Fc融合タンパク質の用量を、3週間にわたり毎週投与され、次いで、2週間毎に1回の投与が少なくとも2ヶ月間なされる。一部の態様では、患者は、RNase-Fc融合タンパク質の用量を、3週間にわたり毎週投与され、次いで、2週間毎に1回の投与が少なくとも3ヶ月間なされる。
【0022】
一部の態様では、本開示は、シェーグレン病を処置することを必要とするヒト患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置するための方法であって、有効量のRNase-Fc融合タンパク質、例えばRSLV-132、またはRNase-Fc融合タンパク質を含む医薬組成物を患者に投与するステップを含み、処置が、EULAR
SS患者報告指標(ESSPRI)スコアにおいて、処置前のESSPRIスコアと比べて、患者における疲労を少なくとも1ポイント低下させる、方法を提供する。一部の態様では、処置は、処置前のESSPRIスコアと比べて、ESSPRIスコアを少なくとも1ポイント低下させる。一部の態様では、疲労は、1~10のESSPRI尺度で4.5~5.5の間のスコアへと低下する。
【0023】
一部の態様では、本開示は、シェーグレン病を処置することを必要とするヒト患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置するための方法であって、有効量のRNase-Fc融合タンパク質、例えばRSLV-132、またはRNase-Fc融合タンパク質を含む医薬組成物を患者に投与するステップを含み、処置が、慢性疾患治療の機能評価(FACIT)疲労尺度において、処置前のFACITスコアと比べて、患者における疲労を少なくとも1ポイント改善する、方法を提供する。一部の態様では、処置は、FACIT疲労尺度において、患者における疲労を少なくとも2ポイント改善する。一部の態様では、処置は、処置前のFACIT疲労スコアと比べて、FACIT疲労スコアを少なくとも1ポイント増加させる。一部の態様では、処置は、処置前のFACIT疲労スコアと比べて、FACIT疲労スコアを少なくとも2ポイント増加させる。
【0024】
一部の態様では、本開示は、シェーグレン病を処置することを必要とするヒト患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置するための方法であって、有効量のRNase-Fc融合タンパク質、例えばRSLV-132、またはRNase-Fc融合タンパク質を含む医薬組成物を患者に投与するステップを含み、処置が、疲労のプロファイル(ProF)スコアにおいて、処置前のProFスコアと比べて、患者における疲労を少なくとも1ポイント低下させる、方法を提供する。一部の態様では、処置は、疲労のプロファイル(ProF)スコアの精神的構成成分において、処置前の精神的構成成分ProFスコアと比べて、患者における疲労を少なくとも1ポイント低下させる。一部の態様では、処置は、疲労のプロファイル(ProF)スコアの身体的構成成分において、処置前の身体的構成成分ProFスコアと比べて、患者における疲労を少なくとも1ポイント低下させる。
【0025】
一部の態様では、本開示は、シェーグレン病を処置することを必要とするヒト患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置するための方法であって、有効量のRNase-Fc融合タンパク質、例えばRSLV-132、またはRNase-Fc融合タンパク質を含む医薬組成物を患者に投与するステップを含み、処置が、数字符号置換検査(DSST)検査によって測定される患者における認知機能を、処置前のDSST検査スコアと比べて改善する、方法を提供する。一部の態様では、処置は、数字符号置換検査(DSST)検査において患者による90秒間で完了するマッチ数を増加させる。一部の態様では、処置は、患者によるDSST検査を完了するまでの時間を低下させる。
【0026】
他の態様では、本開示は、有効量の本開示のRNase-Fc融合タンパク質、例えば、RSLV-132、または配列番号50に示されるアミノ酸配列を含むRNase-Fc融合タンパク質、またはRNase-Fc融合タンパク質;ならびに1種または複数種の薬学的に許容される担体および/もしくは希釈剤を含む医薬組成物を含む注射用溶液を含む容器と、それを必要とするヒト患者における疲労を低下させることによるシェーグレン病の処置における使用のための使用説明書とを含むキットであって、注射用溶液が、静脈内投与のために製剤化される、キットを提供する。
【0027】
一部の態様では、本開示は、シェーグレン病を処置することを必要とするヒト患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置するための方法における使用のためのRNase-Fc融合タンパク質、例えばRSLV-132、またはRNase-Fc融合タンパク質を含む医薬組成物を提供し、前記処置が、有効量のRNase-Fc融合タンパク質を前記患者に投与するステップを含む。
【0028】
一部の態様では、本開示は、シェーグレン病を処置することを必要とするヒト患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置するための医薬の製造における使用のためのRNase-Fc融合タンパク質、例えばRSLV-132、またはRNase-Fc融合タンパク質を含む医薬組成物を提供する。
【0029】
一部の態様では、本開示は、シェーグレン病を処置することを必要とするヒト患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置するための方法における使用のためのRNase-Fc融合タンパク質、例えばRSLV-132、またはRNase-Fc融合タンパク質を含む医薬組成物を提供し、前記処置が、静脈内注射により、約5~10mg/kgのRNase-Fc融合タンパク質の用量を前記患者に投与するステップを含む。
【0030】
一部の態様では、本開示は、シェーグレン病を処置することを必要とするヒト患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置するための医薬の製造における使用のためのRNase-Fc融合タンパク質、例えばRSLV-132、またはRNase-Fc融合タンパク質を含む医薬組成物を提供し、前記使用が静脈内注射により、約5~10mg/kgのRNase-Fc融合タンパク質の用量を前記患者に投与するステップを含む。
【0031】
一部の態様では、本開示は、シェーグレン病を処置することを必要とするヒト患者において認知効果を改善することによりシェーグレン病を処置するための方法における使用のためのRNase-Fc融合タンパク質、例えばRSLV-132、またはRNase-Fc融合タンパク質を含む医薬組成物を提供し、前記処置が、有効量のRNase-Fc融合タンパク質を前記患者に投与するステップを含む。
【0032】
一部の態様では、本開示は、シェーグレン病を処置することを必要とするヒト患者において認知効果を改善することによりシェーグレン病を処置するための医薬の製造における使用のためのRNase-Fc融合タンパク質、例えばRSLV-132、またはRNase-Fc融合タンパク質を含む医薬組成物を提供し、前記使用が有効量のRNase-Fc融合タンパク質を前記患者に投与するステップを含む。
【0033】
一部の態様では、本開示は、シェーグレン病を処置することを必要とするヒト患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置するための方法における使用のためのRNase-Fc融合タンパク質、例えばRSLV-132、またはRNase-Fc融合タンパク質を含む医薬組成物を提供し、前記処置が、配列番号50に示されるアミノ酸配列を含む有効量のRNase-Fc融合タンパク質を前記患者に投与するステップを含む。
【0034】
一部の態様では、本開示は、シェーグレン病を処置することを必要とするヒト患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置するための医薬の製造における使用のためのRNase-Fc融合タンパク質、例えばRSLV-132、またはRNase-Fc融合タンパク質を含む医薬組成物を提供し、前記使用が配列番号50に示されるアミノ酸配列を含む有効量のRNase-Fc融合タンパク質を前記患者に投与するステップを含む。
【0035】
一部の態様では、本開示は、シェーグレン病を処置することを必要とするヒト患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置するための方法における使用のためのRNase-Fc融合タンパク質、例えばRSLV-132、またはRNase-Fc融合タンパク質を含む医薬組成物を提供し、前記処置が、有効量の医薬組成物を前記患者に投与するステップを含み、前記組成物が、配列番号50に示されるアミノ酸配列を含むRNase-Fc融合タンパク質;ならびに1種または複数種の薬学的に許容される担体および/または希釈剤を含む。
【0036】
一部の態様では、本開示は、シェーグレン病を処置することを必要とするヒト患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置するための医薬の製造における使用のためのRNase-Fc融合タンパク質、例えばRSLV-132、またはRNase-Fc融合タンパク質を含む医薬組成物を提供し、前記使用が、有効量の医薬組成物を前記患者に投与するステップを含み、前記組成物が、配列番号50に示されるアミノ酸配列を含むRNase-Fc融合タンパク質;ならびに1種または複数種の薬学的に許容される担体および/または希釈剤を含む。
【0037】
一部の態様では、本開示は、シェーグレン病を処置することを必要とする患者においてシェーグレン病を処置する方法であって、有効量のRNAヌクレアーゼ剤を前記患者に投与するステップを含み、処置が、1種または複数種の炎症関連遺伝子の減少をもたらす方法を提供する。一部の態様では、1種または複数種の炎症関連遺伝子は、IL-5、TNF受容体、IL-6受容体、IL-1アクセサリータンパク質、CXCL1、IL-17受容体A、LTBR4およびSTAT5Bを含む群から選択される。
【0038】
一部の態様では、本開示は、シェーグレン病を処置することを必要とする患者においてシェーグレン病を処置する方法であって、有効量のRNAヌクレアーゼ剤を前記患者に投与するステップを含み、処置が、1種または複数種の炎症関連遺伝子の減少をもたらす方法を提供する。一部の態様では、1種または複数種の炎症関連遺伝子は、IL5、TNFRSF1A、IL6R、IL1RAP、CXCL1、IL17RA、LTB4RおよびSTAT5Bからなる群から選択される。
【0039】
一部の態様では、本開示は、シェーグレン病の処置のための医薬の製造におけるRNAヌクレアーゼ剤の使用であって、前記使用が有効量のRNAヌクレアーゼ剤を前記患者に投与するステップを含み、処置が、1種または複数種の炎症関連遺伝子の減少をもたらす使用を提供する。一部の態様では、1種または複数種の炎症関連遺伝子は、IL-5、TNF受容体、IL-6受容体、IL-1アクセサリータンパク質、CXCL1、IL-17受容体A、LTBR4およびSTAT5Bからなる群から選択される。
【0040】
一部の態様では、本開示は、シェーグレン病の処置のための医薬の製造におけるRNAヌクレアーゼ剤の使用であって、前記使用が有効量のRNAヌクレアーゼ剤を前記患者に投与するステップを含み、処置が、1種または複数種の炎症関連遺伝子の減少をもたらす使用を提供する。一部の態様では、1種または複数種の炎症関連遺伝子は、IL5、TNFRSF1A、IL6R、IL1RAP、CXCL1、IL17RA、LTB4RおよびSTAT5Bからなる群から選択される。
【0041】
一部の態様では、本開示は、シェーグレン病を処置する方法における使用のためのRNAヌクレアーゼ剤であって、前記使用が、有効量のRNAヌクレアーゼ剤を前記患者に投与するステップを含み、処置が、1種または複数種の炎症関連遺伝子の減少をもたらす、RNAヌクレアーゼ剤を提供する。一部の態様では、1種または複数種の炎症関連遺伝子は、IL-5、TNF受容体、IL-6受容体、IL-1アクセサリータンパク質、CXCL1、IL-17受容体A、LTBR4およびSTAT5Bからなる群から選択される。
【0042】
一部の態様では、本開示は、シェーグレン病を処置する方法における使用のためのRNAヌクレアーゼ剤であって、前記使用が、有効量のRNAヌクレアーゼ剤を前記患者に投与するステップを含み、処置が、1種または複数種の炎症関連遺伝子の減少をもたらす、RNAヌクレアーゼ剤を提供する。一部の態様では、1種または複数種の炎症関連遺伝子は、IL5、TNFRSF1A、IL6R、IL1RAP、CXCL1、IL17RA、LTB4RおよびSTAT5Bからなる群から選択される。
【0043】
一部の態様では、本開示は、シェーグレン病を処置することを必要とする患者においてシェーグレン病を処置する方法であって、有効量のRNAヌクレアーゼ剤を前記患者に投与するステップを含み、処置が、1種または複数種の炎症関連遺伝子の増加をもたらす方法を提供する。一部の態様では、1種または複数種の炎症関連遺伝子は、CXCL10(IP-10)、CD163、RIPK2およびCCR2からなる群から選択される。
【0044】
一部の態様では、本開示は、シェーグレン病の処置のための医薬の製造におけるRNAヌクレアーゼ剤の使用であって、前記使用が有効量のRNAヌクレアーゼ剤を前記患者に投与するステップを含み、処置が、1種または複数種の炎症関連遺伝子の増加をもたらす使用を提供する。一部の態様では、1種または複数種の炎症関連遺伝子は、CXCL10(IP-10)、CD163、RIPK2およびCCR2からなる群から選択される。
【0045】
一部の態様では、本開示は、シェーグレン病を処置する方法における使用のためのRNAヌクレアーゼ剤であって、前記使用が、有効量のRNAヌクレアーゼ剤を前記患者に投与するステップを含み、処置が、1種または複数種の炎症関連遺伝子の増加をもたらす、RNAヌクレアーゼ剤を提供する。一部の態様では、1種または複数種の炎症関連遺伝子は、CXCL10(IP-10)、CD163、RIPK2およびCCR2からなる群から選択される。
【0046】
一部の態様では、本開示は、シェーグレン病を処置することを必要とする患者においてシェーグレン病を処置する方法であって、有効量のRNAヌクレアーゼ剤を前記患者に投与するステップを含み、処置が、1種または複数種のサイトカインの増加および疲労の改善をもたらす方法を提供する。一部の態様では、サイトカインは、CXCL10である。
【0047】
一部の態様では、本開示は、シェーグレン病の処置のための医薬の製造におけるRNAヌクレアーゼ剤の使用であって、前記使用が有効量のRNAヌクレアーゼ剤を前記患者に投与するステップを含み、処置が、1種または複数種のサイトカインの増加および疲労の改善をもたらす使用を提供する。一部の態様では、サイトカインは、CXCL10である。
【0048】
一部の態様では、本開示は、シェーグレン病を処置する方法における使用のためのRNAヌクレアーゼ剤であって、前記使用が、有効量のRNAヌクレアーゼ剤を前記患者に投与するステップを含み、処置が、1種または複数種のサイトカインの増加および疲労の改善をもたらす、RNAヌクレアーゼ剤を提供する。一部の態様では、サイトカインは、CXCL10である。
【0049】
一部の態様では、本開示は、RNAヌクレアーゼ剤による処置の候補としてシェーグレン病の患者を同定する方法であって、(a)前記患者から得られた試料における炎症関連遺伝子発現プロファイルを決定するステップと、(b)ステップ(a)において決定された前記炎症関連遺伝子発現プロファイルを、適切な対照の対象から得られた試料における炎症関連遺伝子発現プロファイルと比較するステップとを含み、前記炎症関連遺伝子発現プロファイルが、前記患者がRNAヌクレアーゼ剤による処置の候補であることを指し示す方法を提供する。一部の態様では、炎症関連遺伝子が、MAP3K8、ACKR3、STAT1、STAT2、TRIM37およびZNF606からなる群から選択される。
【0050】
特許または出願ファイルは、カラーで実行された少なくとも1枚の図面を含有する。カラー図面(複数可)入りのこの特許または特許出願公開の複写は、依頼し必要料金を支払うことにより、当該省庁によって提供される。
【0051】
本発明のこれらのおよび他の特徴、態様、および利点は以下の説明および添付図に関してよりよく理解されよう。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
シェーグレン病を処置することを必要とするヒト患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置するための方法であって、有効量のRNase-Fc融合タンパク質を前記患者に投与するステップを含み、これにより、前記患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置する方法。
(項目2)
前記RNase-Fc融合タンパク質が、ヒト膵臓RNase 1を含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記ヒト膵臓RNase 1が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記RNase-Fc融合タンパク質が、野生型ヒトIgG1 Fcドメインまたは1つもしくは複数の変異を含むヒトIgG1 Fcドメインを含む、項目1に記載の方法。(項目5)
1つまたは複数の変異を含む前記Fcドメインが、ヒト細胞上のFcγ受容体への結合の減少を有する、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記RNase-Fc融合タンパク質が、オプソニン化、ファゴサイトーシス、補体依存性細胞傷害および抗体依存性細胞性細胞傷害からなる群から必要に応じて選択されるエフェクター機能の低下を有する、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記ヒトIgG1 Fcドメインが、EUナンバリングに従って、P238S変異およびP331S変異を含む、項目4に記載の方法。
(項目8)
前記ヒトIgG1 Fcドメインが、ヒンジドメイン、CH2ドメインおよびCH3ドメインを含む、項目4に記載の方法。
(項目9)
前記ヒトIgG1 Fcドメインが、3個のヒンジ領域システイン残基のうち1つまたは複数のセリンによる置換を含む、項目4に記載の方法。
(項目10)
前記Fcドメインが、EUインデックスに従ってナンバリングしてSCC変異(残基220、226および229)を含む、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記ヒトIgG1 Fcドメインが、配列番号22に示されるアミノ酸配列を含む、項目1に記載の方法。
(項目12)
前記RNase-Fc融合タンパク質が、配列番号50に示されるアミノ酸配列を含む、項目1に記載の方法。
(項目13)
前記RNase-Fc融合タンパク質が、約5~10mg/kgの用量で前記患者に投与される、項目1に記載の方法。
(項目14)
前記RNase-Fc融合タンパク質が、約10mg/kgの用量で前記患者に投与される、項目1に記載の方法。
(項目15)
前記RNase-Fc融合タンパク質が、約5mg/kgの用量で前記患者に投与される、項目1に記載の方法。
(項目16)
前記RNase-Fc融合タンパク質が、静脈内注射により前記患者に投与される、項目1に記載の方法。
(項目17)
前記RNase-Fc融合タンパク質が、2週間毎に約5~10mg/kgの用量で前記患者に投与される、項目1に記載の方法。
(項目18)
前記RNase-Fc融合タンパク質が、3ヶ月間にわたり2週間毎に約5~10mg/kgの用量で前記患者に投与される、項目1に記載の方法。
(項目19)
前記RNase-Fc融合タンパク質が、3ヶ月間に及ぶ6回の隔週注入において前記患者に投与される、項目1に記載の方法。
(項目20)
前記RNase-Fc融合タンパク質が、3週間にわたり毎週前記患者に投与され、次いで2週間毎に1回投与されて、治療効果を達成または維持する、項目1に記載の方法。(項目21)
処置が、EULAR SS患者報告指標(ESSPRI)スコアにおいて、処置前のESSPRIスコアと比べて、前記患者における疲労を少なくとも1ポイント低下させる、項目1に記載の方法。
(項目22)
処置が、処置前の前記ESSPRIスコアと比べて、前記ESSPRIスコアを少なくとも1ポイント低下させる、項目1に記載の方法。
(項目23)
疲労が、1~10のESSPRI尺度で4.5~5.5の間のスコアへと低下する、項目21に記載の方法。
(項目24)
前記患者が、2週間毎に有効用量の前記RNase-Fcを投与される、項目21に記載の方法。
(項目25)
処置が、慢性疾患治療の機能評価(FACIT)疲労尺度において、処置前のFACITスコアと比べて、前記患者における疲労を少なくとも1ポイント改善する、項目1に記載の方法。
(項目26)
処置が、FACIT疲労尺度において、前記患者における疲労を少なくとも2ポイント改善する、項目25に記載の方法。
(項目27)
処置が、処置前の前記FACIT疲労スコアと比べて、前記FACIT疲労スコアを少なくとも1ポイント増加させる、項目1に記載の方法。
(項目28)
処置が、処置前の前記FACIT疲労スコアと比べて、前記FACIT疲労スコアを少なくとも2ポイント増加させる、項目27に記載の方法。
(項目29)
処置が、疲労のプロファイル(ProF)スコアにおいて、処置前のProFスコアと比べて、前記患者における疲労を少なくとも1ポイント低下させる、項目1に記載の方法。
(項目30)
処置が、疲労のプロファイル(ProF)スコアの精神的構成成分において、処置前の精神的構成成分ProFスコアと比べて、前記患者における疲労を少なくとも1ポイント低下させる、項目1に記載の方法。
(項目31)
処置が、疲労のプロファイル(ProF)スコアの身体的構成成分において、処置前の身体的構成成分ProFスコアと比べて、前記患者における疲労を少なくとも1ポイント低下させる、項目1に記載の方法。
(項目32)
処置が、数字符号置換検査(DSST)検査によって測定される前記患者における認知機能を、処置前のDSST検査スコアと比べて改善する、項目1に記載の方法。
(項目33)
処置が、数字符号置換検査(DSST)検査において前記患者による90秒間で完了するマッチ数を増加させる、項目1に記載の方法。
(項目34)
処置が、前記患者による前記DSST検査を完了するまでの時間を低下させる、項目1に記載の方法。
(項目35)
シェーグレン病を処置することを必要とするヒト患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置するための方法であって、静脈内注射により、約5~10mg/kgのRNase-Fc融合タンパク質の用量を前記患者に投与するステップを含み、これにより、前記患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置する方法。
(項目36)
シェーグレン病を処置することを必要とするヒト患者において認知効果を改善することによりシェーグレン病を処置するための方法であって、有効量のRNase-Fc融合タンパク質を前記患者に投与するステップを含み、これにより、前記患者において認知効果を改善することによりシェーグレン病を処置する方法。
(項目37)
前記患者における認知効果が、ProFの精神的構成成分において、処置前のProFの精神的構成成分と比べて少なくとも1ポイント改善される、項目36に記載の方法。
(項目38)
シェーグレン病を処置することを必要とするヒト患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置するための方法であって、配列番号50に示されるアミノ酸配列を含む有効量のRNase-Fc融合タンパク質を前記患者に投与するステップを含み、これにより、前記患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置する方法。
(項目39)
シェーグレン病を処置することを必要とするヒト患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置するための方法であって、有効量の医薬組成物を前記患者に投与するステップを含み、前記組成物が、配列番号50に示されるアミノ酸配列を含むRNase-Fc融合タンパク質;ならびに1種または複数種の薬学的に許容される担体および/または希釈剤を含み、これにより、前記患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置する方法。
(項目40)
前記RNase-Fc融合タンパク質が、ヒト膵臓RNase 1を含む、項目35または36に記載の方法。
(項目41)
前記ヒト膵臓RNase 1が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記RNase-Fc融合タンパク質が、野生型ヒトIgG1 Fcドメインまたは1つもしくは複数の変異を含むヒトIgG1 Fcドメインを含む、項目35から41のいずれか一項に記載の方法。
(項目43)
1つまたは複数の変異を含む前記Fcドメインが、ヒト細胞上のFcγ受容体への結合の減少を有する、項目42に記載の方法。
(項目44)
前記RNase-Fc融合タンパク質が、オプソニン化、ファゴサイトーシス、補体依存性細胞傷害および抗体依存性細胞性細胞傷害からなる群から必要に応じて選択されるエフェクター機能の低下を有する、項目35から39のいずれか一項に記載の方法。
(項目45)
前記ヒトIgG1 Fcドメインが、EUナンバリングに従って、P238S変異およびP331S変異を含む、項目42に記載の方法。
(項目46)
前記ヒトIgG1 Fcドメインが、ヒンジドメイン、CH2ドメインおよびCH3ドメインを含む、項目42に記載の方法。
(項目47)
前記ヒトIgG1 Fcドメインが、3個のヒンジ領域システイン残基のうち1つまたは複数のセリンによる置換を含む、項目42に記載の方法。
(項目48)
前記Fcドメインが、EUインデックスに従ってナンバリングしてSCC変異(残基220、226および229)を含む、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記ヒトIgG1 Fcドメインが、配列番号22に示されるアミノ酸配列を含む、項目35または36に記載の方法。
(項目50)
前記RNase-Fc融合タンパク質が、配列番号50に示されるアミノ酸配列を含む、項目35または36に記載の方法。
(項目51)
前記RNase-Fc融合タンパク質が、約5~10mg/kgの用量で前記患者に投与される、項目36から39のいずれか一項に記載の方法。
(項目52)
前記RNase-Fc融合タンパク質が、約10mg/kgの用量で前記患者に投与される、項目35から39のいずれか一項に記載の方法。
(項目53)
前記RNase-Fc融合タンパク質が、約5mg/kgの用量で前記患者に投与される、項目35から39のいずれか一項に記載の方法。
(項目54)
前記RNase-Fc融合タンパク質が、静脈内注射により前記患者に投与される、項目36から39のいずれか一項に記載の方法。
(項目55)
前記RNase-Fc融合タンパク質が、2週間毎に約5~10mg/kgの用量で前記患者に投与される、項目35から39のいずれか一項に記載の方法。
(項目56)
前記RNase-Fc融合タンパク質が、3ヶ月間にわたり2週間毎に約5~10mg/kgの用量で前記患者に投与される、項目35から39のいずれか一項に記載の方法。(項目57)
前記RNase-Fc融合タンパク質が、3ヶ月間に及ぶ6回の隔週注入において前記患者に投与される、項目35から39のいずれか一項に記載の方法。
(項目58)
前記RNase-Fc融合タンパク質が、3週間にわたり毎週前記患者に投与され、次いで2週間毎に1回投与される、項目35から39のいずれか一項に記載の方法。
(項目59)
処置が、EULAR SS患者報告指標(ESSPRI)スコアにおいて、処置前のESSPRIスコアと比べて、前記患者における疲労を少なくとも1ポイント低下させる、項目35から39のいずれか一項に記載の方法。
(項目60)
処置が、処置前の前記ESSPRIスコアと比べて、前記ESSPRIスコアを少なくとも1ポイント低下させる、項目35から39のいずれか一項に記載の方法。
(項目61)
疲労が、1~10のESSPRI尺度で4.5~5.5の間のスコアへと低下する、項目59に記載の方法。
(項目62)
前記患者が、2週間毎に有効用量の前記RNase-Fcを投与される、項目59に記載の方法。
(項目63)
処置が、慢性疾患治療の機能評価(FACIT)疲労尺度において、処置前のFACITスコアと比べて、前記患者における疲労を少なくとも1ポイント改善する、項目35から39のいずれか一項に記載の方法。
(項目64)
処置が、FACIT疲労尺度において、前記患者における疲労を少なくとも2ポイント改善する、項目63に記載の方法。
(項目65)
処置が、処置前の前記FACIT疲労スコアと比べて、前記FACIT疲労スコアを少なくとも1ポイント増加させる、項目35から39のいずれか一項に記載の方法。
(項目66)
処置が、処置前の前記FACIT疲労スコアと比べて、前記FACIT疲労スコアを少なくとも2ポイント増加させる、項目65に記載の方法。
(項目67)
処置が、疲労のプロファイル(ProF)スコアにおいて、処置前のProFスコアと比べて、前記患者における疲労を少なくとも1ポイント低下させる、項目35から39のいずれか一項に記載の方法。
(項目68)
処置が、疲労のプロファイル(ProF)スコアの精神的構成成分において、処置前の精神的構成成分ProFスコアと比べて、前記患者における疲労を少なくとも1ポイント低下させる、項目35から39のいずれか一項に記載の方法。
(項目69)
処置が、疲労のプロファイル(ProF)スコアの身体的構成成分において、処置前の身体的構成成分ProFスコアと比べて、前記患者における疲労を少なくとも1ポイント低下させる、項目35から39のいずれか一項に記載の方法。
(項目70)
処置が、数字符号置換検査(DSST)検査によって測定される前記患者における認知機能を、処置前のDSST検査スコアと比べて改善する、項目35から39のいずれか一項に記載の方法。
(項目71)
処置が、数字符号置換検査(DSST)検査において前記患者による90秒間で完了するマッチ数を増加させる、項目35から39のいずれか一項に記載の方法。
(項目72)
処置が、前記患者による前記DSST検査を完了するまでの時間を低下させる、項目35から39のいずれか一項に記載の方法。
(項目73)
注射用溶液を含む容器と、使用説明書とを含む、シェーグレン病を処置することを必要とするヒト患者において疲労を低下させることによるシェーグレン病の処置における使用のためのキットであって、
配列番号50に示される有効量のRNase-Fc融合タンパク質;ならびに
1種または複数種の薬学的に許容される担体および/または希釈剤
を含み、前記注射用溶液が、静脈内投与のために製剤化されている、キット。
(項目74)
シェーグレン病を処置することを必要とするヒト患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置するための方法における使用のためのRNase-Fc融合タンパク質であって、前記処置が、有効量のRNase-Fc融合タンパク質を前記患者に投与するステップを含む、RNase-Fc融合タンパク質。
(項目75)
シェーグレン病を処置することを必要とするヒト患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置するための医薬の製造における使用のための、RNase-Fc融合タンパク質の使用。
(項目76)
シェーグレン病を処置することを必要とするヒト患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置するための方法における使用のためのRNase-Fc融合タンパク質であって、前記処置が、静脈内注射により、約5~10mg/kgのRNase-Fc融合タンパク質の用量を前記患者に投与するステップを含む、RNase-Fc融合タンパク質。
(項目77)
シェーグレン病を処置することを必要とするヒト患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置するための医薬の製造における使用のための、RNase-Fc融合タンパク質の使用であって、前記使用が静脈内注射により、約5~10mg/kgのRNase-Fc融合タンパク質の用量を前記患者に投与するステップを含む使用。
(項目78)
シェーグレン病を処置することを必要とするヒト患者において認知効果を改善することによりシェーグレン病を処置するための方法における使用のためのRNase-Fc融合タンパク質であって、前記処置が、有効量のRNase-Fc融合タンパク質を前記患者に投与するステップを含む、RNase-Fc融合タンパク質。
(項目79)
シェーグレン病を処置することを必要とするヒト患者において認知効果を改善することによりシェーグレン病を処置するための医薬の製造における使用のための、RNase-Fc融合タンパク質の使用であって、前記使用が有効量のRNase-Fc融合タンパク質を前記患者に投与するステップを含む使用。
(項目80)
シェーグレン病を処置することを必要とするヒト患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置するための方法における使用のためのRNase-Fc融合タンパク質であって、前記処置が、配列番号50に示されるアミノ酸配列を含む有効量のRNase-Fc融合タンパク質を前記患者に投与するステップを含む、RNase-Fc融合タンパク質。
(項目81)
シェーグレン病を処置することを必要とするヒト患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置するための医薬の製造における使用のための、RNase-Fc融合タンパク質の使用であって、前記使用が配列番号50に示されるアミノ酸配列を含む有効量のRNase-Fc融合タンパク質を前記患者に投与するステップを含む使用。(項目82)
シェーグレン病を処置することを必要とするヒト患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置するための方法における使用のためのRNase-Fc融合タンパク質であって、前記処置が、有効量の医薬組成物を前記患者に投与するステップを含み、前記組成物が、配列番号50に示されるアミノ酸配列を含むRNase-Fc融合タンパク質;ならびに1種または複数種の薬学的に許容される担体および/または希釈剤を含む、RNase-Fc融合タンパク質。
(項目83)
シェーグレン病を処置することを必要とするヒト患者において疲労を低下させることによりシェーグレン病を処置するための医薬の製造における使用のためのRNase-Fc融合タンパク質であって、前記使用が、有効量の医薬組成物を前記患者に投与するステップを含み、前記組成物が、配列番号50に示されるアミノ酸配列を含むRNase-Fc融合タンパク質;ならびに1種または複数種の薬学的に許容される担体および/または希釈剤を含む、RNase-Fc融合タンパク質。
(項目84)
シェーグレン病を処置することを必要とする患者においてシェーグレン病を処置する方法であって、有効量のRNAヌクレアーゼ剤を前記患者に投与するステップを含み、処置が、1種または複数種の炎症関連遺伝子の減少をもたらす方法。
(項目85)
前記1種または複数種の炎症関連遺伝子が、IL-5、TNF受容体、IL-6受容体、IL-1アクセサリータンパク質、CXCL1、IL-17受容体A、LTBR4およびSTAT5Bからなる群から選択される、項目84に記載の方法。
(項目86)
前記1種または複数種の炎症関連遺伝子が、IL5、TNFRSF1A、IL6R、IL1RAP、CXCL1、IL17RA、LTB4RおよびSTAT5Bからなる群から選択される、項目84に記載の方法。
(項目87)
シェーグレン病を処置することを必要とする患者においてシェーグレン病を処置する方法であって、有効量のRNAヌクレアーゼ剤を前記患者に投与するステップを含み、処置が、1種または複数種の炎症関連遺伝子の増加をもたらす方法。
(項目88)
前記1種または複数種の炎症関連遺伝子が、CXCL10(IP-10)、CD163、RIPK2およびCCR2からなる群から選択される、項目86に記載の方法。
(項目89)
シェーグレン病を処置することを必要とする患者においてシェーグレン病を処置する方法であって、有効量のRNAヌクレアーゼ剤を前記患者に投与するステップを含み、処置が、1種または複数種のサイトカインの増加および疲労の改善をもたらす方法。
(項目90)
前記サイトカインが、CXCL10である、項目89に記載の方法。
(項目91)
RNAヌクレアーゼ剤による処置の候補としてシェーグレン病の患者を同定する方法であって、
(a)前記患者から得られた試料における炎症関連遺伝子発現プロファイルを決定するステップと、
(b)ステップ(a)において決定された前記炎症関連遺伝子発現プロファイルを、適切な対照の対象から得られた試料における炎症関連遺伝子発現プロファイルと比較するステップと
を含み、前記炎症関連遺伝子発現プロファイルが、前記患者がRNAヌクレアーゼ剤による処置の候補であることを指し示す方法。
(項目92)
前記炎症関連遺伝子が、MAP3K8、ACKR3、STAT1、STAT2、TRIM37およびZNF606からなる群から選択される、項目91に記載の方法。
(項目93)
シェーグレン病の処置のための医薬の製造におけるRNAヌクレアーゼ剤の使用であって、前記使用が有効量のRNAヌクレアーゼ剤を前記患者に投与するステップを含み、処置が、1種または複数種の炎症関連遺伝子の減少をもたらす使用。
(項目94)
前記1種または複数種の炎症関連遺伝子が、IL-5、TNF受容体、IL-6受容体、IL-1アクセサリータンパク質、CXCL1、IL-17受容体A、LTBR4およびSTAT5Bからなる群から選択される、項目93に記載の使用。
(項目95)
前記1種または複数種の炎症関連遺伝子が、IL5、TNFRSF1A、IL6R、IL1RAP、CXCL1、IL17RA、LTB4RおよびSTAT5Bからなる群から選択される、項目93に記載の使用。
(項目96)
シェーグレン病を処置する方法における使用のためのRNAヌクレアーゼ剤であって、前記使用が、有効量のRNAヌクレアーゼ剤を前記患者に投与するステップを含み、処置が、1種または複数種の炎症関連遺伝子の減少をもたらす、RNAヌクレアーゼ剤。
(項目97)
前記1種または複数種の炎症関連遺伝子が、IL-5、TNF受容体、IL-6受容体、IL-1アクセサリータンパク質、CXCL1、IL-17受容体A、LTBR4およびSTAT5Bからなる群から選択される、項目96に記載のRNAヌクレアーゼ剤。
(項目98)
前記1種または複数種の炎症関連遺伝子が、IL5、TNFRSF1A、IL6R、IL1RAP、CXCL1、IL17RA、LTB4RおよびSTAT5Bからなる群から選択される、項目96に記載のRNAヌクレアーゼ剤。
(項目99)
シェーグレン病の処置のための医薬の製造におけるRNAヌクレアーゼ剤の使用であって、前記使用が有効量のRNAヌクレアーゼ剤を前記患者に投与するステップを含み、処置が、1種または複数種の炎症関連遺伝子の増加をもたらす使用。
(項目100)
前記1種または複数種の炎症関連遺伝子が、CXCL10(IP-10)、CD163、RIPK2およびCCR2からなる群から選択される、項目99に記載の使用。
(項目101)
シェーグレン病を処置する方法における使用のためのRNAヌクレアーゼ剤であって、前記使用が、有効量のRNAヌクレアーゼ剤を前記患者に投与するステップを含み、処置が、1種または複数種の炎症関連遺伝子の増加をもたらす、RNAヌクレアーゼ剤。
(項目102)
前記1種または複数種の炎症関連遺伝子が、CXCL10(IP-10)、CD163、RIPK2およびCCR2からなる群から選択される、項目101に記載のRNAヌクレアーゼ剤。
(項目103)
シェーグレン病の処置のための医薬の製造におけるRNAヌクレアーゼ剤の使用であって、前記使用が有効量のRNAヌクレアーゼ剤を前記患者に投与するステップを含み、処置が、1種または複数種のサイトカインの増加および疲労の改善をもたらす使用。
(項目104)
前記サイトカインが、CXCL10である、項目103に記載の使用。
(項目105)
シェーグレン病を処置する方法における使用のためのRNAヌクレアーゼ剤であって、前記使用が、有効量のRNAヌクレアーゼ剤を前記患者に投与するステップを含み、処置が、1種または複数種のサイトカインの増加および疲労の改善をもたらす、RNAヌクレアーゼ剤。
(項目106)
前記サイトカインが、CXCL10である、項目105に記載のRNAヌクレアーゼ剤。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】
図1は、2個のポリペプチドを含むホモ二量体RNase-Fc融合タンパク質であるRSLV-132の構成を示す図である。ホモ二量体の各ポリペプチドは、構成RNase-Fcを有し、野生型ヒトRNase 1ドメインは、リンカーなしで、SCCヒンジならびにCH2変異P238SおよびP331Sを含むヒトIgG1 FcドメインのN末端に作動可能に連結される。
【0053】
【
図2】
図2は、プラセボで処置した患者と比較した、RSLV-132で処置したpSS患者におけるESSPRIスコアの改善を示すグラフである。ESSPRIスコアは、試験1(ベースライン)、29、57、85および99日目/処置の終わりに、RSLV-132およびプラセボで処置したpSS患者において評価した。少なくとも1ポイントのESSPRIスコアの減少は、臨床的に有意義である。
【
図3】
図3は、プラセボで処置した患者と比較した、RSLV-132で処置した患者におけるESSPRIスコアの改善を示すグラフである。ベースラインからの経時的なESSPRIスコアの変化をy軸に示す。ESSPRIスコアは、試験1(ベースライン)、29、57、85および99日目/処置の終わりに、RSLV-132およびプラセボで処置した患者において評価した。少なくとも1ポイントのESSPRIスコアの減少は、臨床的に有意義である。
【0054】
【
図4】
図4は、RSLV-132およびプラセボ群に関する、ESSPRIの疲労構成成分のベースラインからの平均変化を示すグラフである(p=0.136)。プラセボで処置した患者と比較した、RSLV-132で処置した患者におけるESSPRIスコアの疲労構成成分の改善を示す。ベースラインからの経時的なESSPRIスコアの疲労構成成分の変化をy軸に示す。ESSPRIスコアは、試験1(ベースライン)、29、57、85および99日目/処置の終わりに、RSLV-132およびプラセボで処置した患者において評価した。処置群間の真の平均差がゼロであったという帰無仮説(H
0)をそれぞれ検査する、来診(visit)毎の別々の一元配置分散分析(ANOVA)モデルを使用して、結果を解析した。未調整アルファ=0.05。全標準誤差バーは、99日目の標準誤差を使用する。
【0055】
【
図5A】
図5Aは、プラセボで処置した患者と比較した、RSLV-132で処置した患者におけるESSPRIスコアの疲労構成成分の改善を示すグラフである。ESSPRIスコアの疲労構成成分をy軸に示す。ESSPRIスコアは、試験1(ベースライン)および99日目に、RSLV-132およびプラセボで処置した患者において評価した。
【0056】
【
図5B】
図5Bは、プラセボで処置した患者と比較した、RSLV-132で処置した患者におけるESSPRIスコアの疼痛構成成分を示すグラフである。ESSPRIスコアの疼痛構成成分をy軸に示す。ESSPRIスコアは、試験1(ベースライン)および99日目に、RSLV-132およびプラセボで処置した患者において評価した。
【0057】
【
図5C】
図5Cは、プラセボで処置した患者と比較した、RSLV-132で処置した患者におけるESSPRIスコアの乾燥構成成分を示すグラフである。ESSPRIスコアの乾燥構成成分をy軸に示す。ESSPRIスコアは、試験1(ベースライン)および99日目に、RSLV-132およびプラセボで処置した患者において評価した。
【0058】
【
図6】
図6は、RSLV-132およびプラセボ群に関する、FACITのベースラインからの平均変化を示すグラフである(p=0.92)。プラセボで処置した患者と比較した、RSLV-132で処置した患者におけるFACIT疲労スコアの改善を示す。FACIT疲労スコアは、試験1(ベースライン)、29、57、85および99日目/処置の終わりに、RSLV-132およびプラセボで処置した患者において評価した。FACIT疲労スコアの増加は、疲労の改善を指し示す。処置群間の真の平均差がゼロであったという帰無仮説(H
0)をそれぞれ検査する、来診毎の別々の一元配置分散分析(ANOVA)モデルを使用して、結果を解析した。未調整アルファ=0.05。全標準誤差バーは、99日目の標準誤差を使用する。
【0059】
【
図7】
図7は、プラセボで処置した患者と比較した、RSLV-132で処置した患者におけるProFの改善を示すグラフである。ベースラインからの経時的なProFスコアの変化をy軸に示す。ProFスコアは、試験1(ベースライン)、29、57、85および99日目/処置の終わりに、RSLV-132およびプラセボで処置した患者において評価した。ProFスコアの低下は、疲労の改善を指し示す。
【0060】
【
図8】
図8は、RSLV-132およびプラセボ群に関する、ProFの精神的疲労構成成分の平均変化を示すグラフである(p=0.046)。プラセボで処置した患者と比較した、RSLV-132で処置した患者におけるProFの精神的構成成分の改善を示す。ベースラインからの経時的なProFスコアの精神的構成成分の変化をy軸に示す。ProFスコアの精神的構成成分は、試験1(ベースライン)、29、57、85および99日目/処置の終わりに、RSLV-132およびプラセボで処置した患者において評価した。ProFスコアの低下は、疲労の改善を指し示す。処置群間の真の平均差がゼロであったという帰無仮説(H
0)をそれぞれ検査する、来診毎の別々の一元配置分散分析(ANOVA)モデルを使用して、結果を解析した。未調整アルファ=0.05。全標準誤差バーは、99日目の標準誤差を使用する。
【0061】
【
図9】
図9は、プラセボで処置した患者と比較した、RSLV-132で処置した患者におけるProFの身体的構成成分の改善を示すグラフである。ベースラインからの経時的なProFスコアの身体的構成成分の変化をy軸に示す。ProFスコアの身体的構成成分は、試験1(ベースライン)、29、57、85および99日目/処置の終わりに、RSLV-132およびプラセボで処置した患者において評価した。ProFスコアの低下は、疲労の改善を指し示す。
【0062】
【
図10】
図10Aおよび
図10Bは、RSLV-132およびプラセボで処置した患者における数字符号置換検査(Digit Symbol Substitution Test)(DSST)の結果を示す。試験のベースライン(1日目)および99日目に、患者にDSST検査を施行した。
図10Aに示す通り、「90秒間の総計」は、90秒間で数字とマッチした符号の総数を指す。「完了」は、秒単位で表す検査を完了するまでの時間を指す。初期ベースライン検査(1日目)から経過観察(99日目)にかけて、DSST検査を完了するまでの時間の統計的に有意な改善が、RSLV-132で処置した患者において観察された。
図10Bは、プラセボ処置患者に関する完了するまでの時間の増加、およびRSLV-132処置患者に関する完了までの時間の減少を示すグラフである。
【0063】
【
図11】
図11は、臨床応答を達成したまたは達成しなかったRSLV-132対象に関する、1日目(ベースライン)と比較した99日目における遺伝子発現の変化を示す図である。ヒートマップに示す遺伝子は、FACIT計測手段(instrument)成績と高い程度の相関があった遺伝子である(R
2>0.6)。
【0064】
【
図12A】
図12A~
図12Cは、その後99日目にMCIIを経験するRSLV-132処置対象の、それを経験しなかった対象と比較したベースライン(試験薬投与前の)遺伝子発現パターンを示す図である。所与の計測手段と最高の相関がある遺伝子を示す。
図12Aは、FACITと相関がある遺伝子を示す図である(R
2>0.6)。
図12Bは、ProFと相関がある遺伝子を示す図である(R
2>0.6)。
図12Cは、ESSPRIと相関がある遺伝子を示す図である(R
2>0.6)。
【
図12B】
図12A~
図12Cは、その後99日目にMCIIを経験するRSLV-132処置対象の、それを経験しなかった対象と比較したベースライン(試験薬投与前の)遺伝子発現パターンを示す図である。所与の計測手段と最高の相関がある遺伝子を示す。
図12Aは、FACITと相関がある遺伝子を示す図である(R
2>0.6)。
図12Bは、ProFと相関がある遺伝子を示す図である(R
2>0.6)。
図12Cは、ESSPRIと相関がある遺伝子を示す図である(R
2>0.6)。
【
図12C】
図12A~
図12Cは、その後99日目にMCIIを経験するRSLV-132処置対象の、それを経験しなかった対象と比較したベースライン(試験薬投与前の)遺伝子発現パターンを示す図である。所与の計測手段と最高の相関がある遺伝子を示す。
図12Aは、FACITと相関がある遺伝子を示す図である(R
2>0.6)。
図12Bは、ProFと相関がある遺伝子を示す図である(R
2>0.6)。
図12Cは、ESSPRIと相関がある遺伝子を示す図である(R
2>0.6)。
【発明を実施するための形態】
【0065】
本開示は、循環するRNA、ならびに自己抗体および免疫複合体と複合体形成したRNAを消化し、これにより、原発性シェーグレン症候群(pSS)の患者を処置する、RNase-Fc融合タンパク質を含むRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質を提供する。本開示は、また、シェーグレン症候群等、循環するRNAおよび/またはRNA含有自己抗体の上昇したレベルによって特徴付けられる疾患を処置するための方法、ならびにそれを必要とするヒト患者におけるシェーグレン症候群関連の疲労等、循環するRNAおよびRNA含有自己抗体の上昇したレベルによって特徴付けられる疾患の症状を処置するための方法を提供する。本開示は、また、それを必要とするpSSの患者を含むシェーグレン症候群のヒト患者へのRNase-Fc融合タンパク質を含むRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質の投与に有効な処置および投薬レジメンを提供する。
【0066】
本開示は、少なくとも一部には、RSLV-132等のRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質の投与によるpSS患者の処置が、患者におけるpSSに関連する疲労を低下させるという驚くべき発見に基づく。理論に制約されることなく、本開示のRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質が、自己免疫疾患の患者における循環するRNA、ならびに自己抗体および免疫複合体と複合体形成したRNAを消化して、これにより、シェーグレン症候群関連の疲労等、自己免疫疾患の症状を低下させることができると考えられる。
【0067】
理論に制約されることなく、RSLV-132等のRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質の投与によるシェーグレン症候群患者の処置が、循環するRNAを、それが循環中で自己抗体と会合しているのであれ遊離しているのであれ、低下させ、これにより、TLRの活性化およびいくつかの下流炎症経路の活性化を低下させるとも考えられる。したがって、RSLV-132等のRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質の投与によるpSS患者を含むシェーグレン症候群患者の処置は、炎症促進性カスケードの活性化を低下、減少または阻害し、これにより、患者におけるシェーグレン症候群の全体的な炎症特徴を低下または減少させ、これにより、疲労、疼痛、乾燥、抑うつ状態および/または認知機能障害を含むシェーグレン症候群に関連する症状を低下または減少させることができる。
【0068】
予想外なことに、RSLV-132等のRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質の投与によるpSS患者の処置は、処置後の疲労の改善を一貫して示した3種の別々の検査によって、患者における疲労の改善をもたらしたことが発見された。特に、pSS患者に、RSLV-132による処置後にEULARシェーグレン症候群患者報告指標(EULAR Sjogren’s Syndrome Patient Reported Index)(ESSPRI)を施行した場合、患者は、ESSPRIスコアの疲労構成成分において1ポイントまたはそれよりも大きいESSPRIスコアの臨床的に有意義な減少を経験した。ESSPRIスコアの減少は、疲労改善に関連する。RSLV-132による処置後のこれらの患者に対する慢性疾患検査の機能評価(Functional assessment of Chronic Illness Test)(FACIT)の施行は、疲労低下に関連するFACIT疲労スコアの増加をもたらした。同様に、RSLV-132による処置後の疲労のプロファイル(Profile of Fatigue)(ProF)検査の施行は、疲労低下に関連するProFスコアの減少をもたらした。
【0069】
さらに、驚くべきことに、RLSV-132によるpSS患者の処置後に、患者が、数字符号置換検査(DSST)によって測定される、認知能力改善を実証したことが発見された。したがって、本開示は、シェーグレン症候群を処置する方法、シェーグレン症候群関連の疲労を低下させる方法、およびシェーグレン症候群患者の認知能力を改善する方法において有用である、RNase-Fc融合タンパク質を含むRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質を提供する。本開示は、また、シェーグレン症候群を処置する方法、シェーグレン症候群関連の疲労を低下させる方法、およびシェーグレン症候群患者の認知能力を改善する方法において有用である、RNase-Fc融合タンパク質と、1種または複数種の薬学的に許容される担体および/または希釈剤とを含む組成物を提供する。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、RSLV-132である。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、約5~10mg/kg、約2~8mg/kg、約3~6mg/kg、約3mg/kg、約5mg/kgまたは約10mg/kgの用量で、ヒト患者に投与される。
【0070】
さらに、RNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)による原発性シェーグレン症候群(pSS)の患者の処置後に、臨床応答を達成する患者が、炎症関連遺伝子の発現の減少を呈したことが発見された。例えば、IL-5、TNF受容体、IL-6受容体、IL-1アクセサリータンパク質、CXCL1、IL-17受容体A、LTBR4およびSTAT5Bの発現は、臨床応答を経験した、RNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)で処置した患者において低下した。RSLV-132による処置後に、臨床応答を達成する患者が、炎症関連遺伝子の発現の増加を呈したことも発見された。例えば、CXCL10(IP-10)、CD163、RIPK2およびCCR2の発現は、臨床応答を経験した、RNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)で処置した患者において増加した。
【0071】
RNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)に対して陽性臨床応答をその後に有した自己免疫疾患(例えば、原発性シェーグレン症候群(pSS))の患者において、RNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)の投与前に、別個の遺伝子発現プロファイルが存在することがさらに発見された。例えば、ベースライン遺伝子発現が、FACIT、ProFまたはESSPRIのいずれかと相関した場合、RSLV-132応答者の間で特異的なプロファイルが明らかになった。STAT1およびSTAT2の発現の減少は、FACIT検査と相関し、ZNF606の発現の増加およびTRIM37の発現の減少は、ProF検査と相関し、ACKR3の発現の増加およびMAPK3K8の発現の減少は、ESSPRI検査と相関した。
【0072】
理論に制約されることなく、一部の患者の循環中には、これらの患者における炎症経路の慢性活性化を促進する特異的なRNA分子が存在し得るため、RNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)による特異的な循環する非コードRNAの除去と、炎症促進性RNAの除去は一般に、自己免疫疾患(例えば、pSS)の患者の処置に寄与すると考えられる。したがって、「遺伝子発現フィンガープリント」を使用して、RSLV-132等のRNAヌクレアーゼ剤による処置から最も利益を得るであろう患者を同定することが可能となり得る。
【0073】
定義
特許請求の範囲および明細書で使用されている用語は、他に指定がなければ、下に表記されている通りに定義される。
【0074】
「アミノ酸」は、天然に存在するおよび合成のアミノ酸、ならびに天然に存在するアミノ酸と同様の様式で機能するアミノ酸アナログおよびアミノ酸ミメティックを指す。天然に存在するアミノ酸は、遺伝暗号によってコードされるアミノ酸と共に、後に修飾されるアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタメートおよびO-ホスホセリンである。アミノ酸アナログは、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的化学構造、すなわち、水素に結合された炭素、カルボキシル基、アミノ基およびR基を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。そのようなアナログは、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的化学構造を保持する。アミノ酸ミメティックは、アミノ酸の一般化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と同様の様式で機能する化学的な化合物を指す。
【0075】
アミノ酸は、IUPAC-IUB生化学命名法委員会(Biochemical Nomenclature Commission)によって推奨される、その一般的に公知の3文字記号または1文字記号のいずれかによって本明細書において参照することができる。ヌクレオチドは、同様に、その一般的に許容される一文字コードによって参照することができる。
【0076】
「アミノ酸置換」は、所定のアミノ酸配列(出発ポリペプチドのアミノ酸配列)における少なくとも1つの現存するアミノ酸残基の、第2の異なる「置き換え」アミノ酸残基による置き換えを指す。「アミノ酸挿入」は、所定のアミノ酸配列への少なくとも1つの追加的なアミノ酸の取り込みを指す。挿入は通常、1または2個のアミノ酸残基の挿入からなるであろうが、より大きい「ペプチド挿入」、例えば、約3~約5個またはさらには最大で約10、15もしくは20個のアミノ酸残基の挿入を行うことができる。挿入される残基(単数または複数)は、上に開示される通り、天然に存在するまたは天然に存在しない残基であり得る。「アミノ酸欠失」は、所定のアミノ酸配列からの少なくとも1つのアミノ酸残基の除去を指す。
【0077】
「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーを指すように本明細書で互換的に使用されている。これらの用語は、1つまたは複数のアミノ酸残基が、対応する天然に存在するアミノ酸の人工の化学的ミメティックであるアミノ酸ポリマーと共に、天然に存在するアミノ酸ポリマーおよび天然に存在しないアミノ酸ポリマーに適用される。
【0078】
「核酸」は、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド、および一本または二本鎖のいずれかの形態でのこれらのポリマーを指す。特に制約がなければ、この用語は、参照核酸と同様の結合特性を有し、天然に存在するヌクレオチドと同様の様式で代謝される天然ヌクレオチドの公知アナログを含有する核酸を包含する。他に断りがなければ、特定の核酸配列は、明確に示される配列のみならず、その保存的に修飾されたバリアント(例えば、縮重コドン置換)および相補配列も暗に包含する。特に、縮重コドン置換は、1つまたは複数の選択された(または全ての)コドンの第3の位置が、混合塩基および/またはデオキシイノシン残基に置換された配列を生成することにより達成することができる(Batzer et al., Nucleic Acid Res 1991;19:5081;Ohtsuka et al., JBC 1985;260:2605-8);Rossolini et al., Mol Cell Probes 1994;8:91-8)。アルギニンおよびロイシンに関して、第2の塩基における修飾が保存的となることもできる。核酸という用語は、遺伝子、cDNA、および遺伝子によってコードされるmRNAと互換的に使用される。
【0079】
本発明のポリヌクレオチドは、未修飾RNAもしくはDNAまたは修飾RNAもしくはDNAとなり得る、いずれかのポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチド(polydeoxribonucleotide)で構成され得る。例えば、ポリヌクレオチドは、一本および二本鎖DNA、一本および二本鎖領域の混合物であるDNA、一本および二本鎖RNA、ならびに一本および二本鎖領域の混合物であるRNA、一本鎖、またはより典型的には二本鎖、または一本および二本鎖領域の混合物となり得るDNAおよびRNAを含むハイブリッド分子で構成され得る。加えて、ポリヌクレオチドは、RNAまたはDNA、またはRNAおよびDNAの両方を含む三本鎖領域で構成され得る。ポリヌクレオチドは、安定性または他の理由のために修飾された、1つまたは複数の修飾された塩基またはDNAもしくはRNA骨格を含有することもできる。「修飾された」塩基は、例えば、イノシン等、トリチル化塩基および珍しい塩基を含む。DNAおよびRNAに種々の修飾をなすことができる;よって、「ポリヌクレオチド」は、化学的に、酵素的にまたは代謝的に修飾された形態を包括する。
【0080】
本明細書で使用される場合、用語「作動可能に連結される」または「作動可能に連結される」は、記載されている構成成分が、その意図される様式で機能することを可能にする関係性にある並置を指す。
【0081】
本明細書で使用される場合、用語「グリコシル化」または「グリコシル化された」は、分子への糖部分の付加の過程または結果を指す。
【0082】
本明細書で使用される場合、用語「変更されたグリコシル化」は、非グリコシル化(aglycosylated)、脱グリコシル化(deglycosylated)または不十分グリコシル化(underglycosylated)された分子を指す。
【0083】
本明細書で使用される場合、「グリコシル化部位(単数または複数)」は、炭水化物部分を潜在的に受容し得る部位と、炭水化物部分が実際に付着したタンパク質内の部位の両方を指し、オリゴ糖および/または炭水化物のアクセプターとして作用し得るいずれかのアミノ酸配列を含む。
【0084】
本明細書で使用される場合、用語「非グリコシル化」または「非グリコシル化された」は、グリコシル化されていない(unglycosylated)形態での分子の産生を指す(例えば、グリコシル化のアクセプターとして機能するアミノ酸残基を欠くようにタンパク質またはポリペプチドを操作することにより)。あるいは、タンパク質またはポリペプチドは、例えば、E.coliにおいて発現させて、非グリコシル化されたタンパク質またはポリペプチドを産生することができる。
【0085】
本明細書で使用される場合、用語「脱グリコシル化」または「脱グリコシル化された」は、分子における糖部分の酵素による除去の過程または結果を指す。
【0086】
本明細書で使用される場合、用語「不十分グリコシル化」または「不十分グリコシル化された」は、哺乳動物細胞において産生された場合に正常に存在する筈の1つまたは複数の炭水化物構造が、省略、除去、修飾または遮蔽された分子を指す。
【0087】
本明細書で使用される場合、用語「Fc領域」および「Fcドメイン」は、抗原に結合する可変領域なしで、その2本の重鎖のそれぞれのFcドメイン(またはFc部分)によって形成された天然の免疫グロブリンの部分である。一部の実施形態では、Fcドメインは、パパイン切断部位のすぐ上流のヒンジ領域において始まり、抗体のC末端で終わる。したがって、完全Fcドメインは、少なくともヒンジドメイン、CH2ドメインおよびCH3ドメインを含む。ある特定の実施形態では、Fcドメインは、次のうち少なくとも1つを含む:ヒンジ(例えば、上部、中央および/または下部ヒンジ領域)ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン、CH4ドメイン、またはこれらのバリアント、部分もしくは断片。他の実施形態では、Fcドメインは、完全Fcドメイン(すなわち、ヒンジドメイン、CH2ドメインおよびCH3ドメイン)を含む。一実施形態では、Fcドメインは、CH3ドメイン(またはその部分)に融合されたヒンジドメイン(またはその部分)を含む。別の実施形態では、Fcドメインは、CH3ドメイン(またはその部分)に融合されたCH2ドメイン(またはその部分)を含む。別の実施形態では、Fcドメインは、CH3ドメインまたはその部分からなる。別の実施形態では、Fcドメインは、ヒンジドメイン(またはその部分)およびCH3ドメイン(またはその部分)からなる。別の実施形態では、Fcドメインは、CH2ドメイン(またはその部分)およびCH3ドメインからなる。別の実施形態では、Fcドメインは、ヒンジドメイン(またはその部分)およびCH2ドメイン(またはその部分)からなる。一実施形態では、Fcドメインは、CH2ドメインの少なくとも部分(例えば、CH2ドメインの全体または一部)を欠く。一実施形態では、本発明のFcドメインは、FcRn結合に要求されることが当技術分野で公知のFc分子の少なくとも部分を含む。一実施形態では、本発明のFcドメインは、プロテインA結合に要求されることが当技術分野で公知のFc分子の少なくとも部分を含む。一実施形態では、本発明のFcドメインは、プロテインG結合に要求されることが当技術分野で公知のFc分子の少なくとも部分を含む。本明細書におけるFcドメインは、一般に、免疫グロブリン重鎖のFcドメインの全体または一部を含むポリペプチドを指す。そのようなものとして、CH1、ヒンジ、CH2および/またはCH3ドメイン全体を含むポリペプチドと共に、例えば、ヒンジ、CH2およびCH3ドメインのみを含むそのようなペプチドの断片が挙げられるがこれらに限定されない。Fcドメインは、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgD、IgA、IgEまたはIgM抗体が挙げられるがこれらに限定されない、いずれかの種および/またはいずれかのサブタイプの免疫グロブリンに由来することができる。Fcドメインは、天然のFcおよびFcバリアント分子を包含する。Fcバリアントおよび天然のFcと同様に、Fcドメインという用語は、抗体全体から消化されたか、他の手段によって産生されたかにかかわらず、単量体または多量体形態の分子を含む。
【0088】
本明細書に表記される通り、当業者であれば、天然に存在する免疫グロブリン分子の天然のFcドメインからアミノ酸配列が変動するように、いずれかのFcドメインを改変することができることが理解されるであろう。
【0089】
本開示のRNase-Fc融合タンパク質のFcドメインは、異なる免疫グロブリン分子に由来することができる。例えば、RNase-Fc融合タンパク質のFcドメインは、IgG1分子に由来するCH2および/またはCH3ドメイン、ならびにIgG3分子に由来するヒンジ領域を含むことができる。別の例では、Fcドメインは、IgG1分子に部分的に由来し、IgG3分子に部分的に由来するキメラヒンジ領域を含むことができる。別の例では、Fcドメインは、IgG1分子に部分的に由来し、IgG4分子に部分的に由来するキメラヒンジを含むことができる。野生型ヒトIgG1 Fcドメインは、配列番号20に示されるアミノ酸配列を有する。
【0090】
本明細書で使用される場合、用語「血清半減期」は、in vivo血清RNase-Fc融合タンパク質濃度が、50%減退するのに要求される時間を指す。RNase-Fc融合タンパク質の血清半減期が短いほど、これが治療効果を発揮するのにかかる時間が短くなる。
【0091】
本明細書で使用される場合、用語「RNAヌクレアーゼ剤」は、RNaseドメインを含む薬剤を指す。一部の実施形態では、RNAヌクレアーゼ剤は、RNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質である。一部の実施形態では、RNAヌクレアーゼ剤は、RNase-Fc融合タンパク質である。一部の実施形態では、RNAヌクレアーゼ剤のRNaseドメインは、ヒト膵臓RNase 1である。一部の実施形態では、RNAヌクレアーゼ剤は、ポリペプチドである。一部の実施形態では、RNAヌクレアーゼ剤は、RSLV-132である。
【0092】
本明細書で使用される場合、用語「RNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質」は、リンカーありまたはなしで、Fcドメインまたはそのバリアントもしくは断片等のPK部分(薬物動態部分)に作動可能に連結されている少なくとも1個のヌクレアーゼドメインを含むポリペプチド、およびそのようなポリペプチドをコードする核酸を指す。一部の実施形態では、RNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質は、「RNase-Fc融合タンパク質」であり、これは、リンカーありまたはなしで、Fcドメインまたはそのバリアントもしくは断片に作動可能に連結されている少なくとも1個のヌクレアーゼドメインを含むポリペプチド、およびそのようなポリペプチドをコードする核酸を指す。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、リンカーありまたはなしで、Fcドメインまたはそのバリアントもしくは断片に作動可能に連結されている少なくとも2個のヌクレアーゼドメインを含むポリペプチド、およびそのようなポリペプチドをコードする核酸である。一部の実施形態では、ヌクレアーゼドメインは、ヒトRNase 1である。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、1つまたは複数のRNaseドメイン、および1つまたは複数のFcドメインを含む。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、1つまたは複数のRNase-ドメイン、1つまたは複数のFcドメイン、および1つまたは複数のDNaseドメインを含む。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、FcドメインのNまたはC末端に作動可能に連結されるRNase 1ドメイン、およびFcドメインのNまたはC末端に作動可能に連結されるDNaseドメインを含む。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、タンデムRNase-Fc融合タンパク質であり、例えば、1つもしくは複数のRNase 1ドメインおよび/または1つもしくは複数のDNaseドメインが1つまたは複数のFcドメインのNまたはC末端のいずれかにタンデムに連結されている。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、ホモ二量体RNase-Fc融合タンパク質(2個の同じポリペプチド)である。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、ヘテロ二量体RNase-Fc融合タンパク質(2個の異なるポリペプチド)である。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質のドメインは、リンカードメインありで作動可能に連結される。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質のドメインは、リンカードメインなしで作動可能に連結される。
【0093】
本明細書で使用される場合、用語「タンデムRNase-Fc融合タンパク質」は、(N末端からC末端へと)タンデムに連結されている少なくとも2個のヌクレアーゼドメイン、およびFcドメインまたはそのバリアントもしくは断片を含むポリペプチド、ならびにそのようなポリペプチドをコードする核酸を指す。一部の実施形態では、タンデムRNase-Fc融合タンパク質は、少なくとも1個のFcドメインにタンデムに作動可能に連結されている少なくとも2個のRNase 1ドメインを含むポリペプチドである。一部の実施形態では、タンデムRNase-Fc融合タンパク質は、少なくとも1個のFcドメインにタンデムに作動可能に連結されている、少なくとも1個のDNase1ドメインおよび少なくとも1個のRNase1ドメインを含むポリペプチドである。一部の実施形態では、タンデムRNase-Fc融合タンパク質は、N末端からC末端へと、DNase1ドメイン、第1のリンカー、RNase1ドメイン、第2のリンカー、およびFcドメインまたはそのバリアントもしくは断片を含む。
【0094】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロ二量体RNase-Fc融合タンパク質」は、少なくとも2個のヌクレアーゼドメイン、および2個のFcドメイン、そのバリアントまたは断片を一緒になって含む、第1および第2のポリペプチドを含むヘテロ二量体、ならびにそのようなポリペプチドをコードする核酸を指す。一部の実施形態では、ヘテロ二量体は、第1のRNase 1および第2のRNase 1ドメインが、ヘテロ二量体の同じ末端(NまたはC末端)に位置付けられるように、リンカーありまたはなしで第1のFcドメインのNまたはC末端に作動可能に連結されている第1のRNase 1ドメイン、およびリンカーありまたはなしで第2のFcドメインのNまたはC末端に作動可能に連結されている第2のRNase 1ドメインを含む。一部の実施形態では、ヘテロ二量体は、リンカーありまたはなしで第1のFcドメインのN末端に作動可能に連結されている第1のRNase 1ドメイン、およびリンカーありまたはなしで第2のFcドメインのC末端に作動可能に連結されている第2のRNase 1を含む。一部の実施形態では、第1のRNase 1ドメインは、リンカーありまたはなしで第1のFcドメインのC末端に作動可能に連結され、第2のRNase 1ドメインは、リンカーありまたはなしで第2のFcドメインのN末端に作動可能に連結される。一部の実施形態では、ヘテロ二量体の第1および第2のRNase 1ドメインは異なる。一部の実施形態では、ヘテロ二量体RNase-Fc融合タンパク質は、少なくとも1個のFcドメインに作動可能に連結されている、少なくとも1個のDNase1ドメインおよび少なくとも1個のRNase1ドメインを含むヘテロ二量体であり、ここで、DNase 1ドメインは、リンカーありまたはなしで第1のFcドメインのNまたはC末端に作動可能に連結され、RNase 1ドメインは、リンカーありまたはなしで、同じ(第1のFcドメイン)または異なるFcドメイン(第2のFcドメイン)のNまたはC末端に作動可能に連結され、そうすることでDNase 1ドメインおよびRNase 1ドメインは、同じ(第1のFcドメイン)または異なるFcドメイン(第2のFcドメイン)のいずれかの反対の末端(NまたはC末端)に位置付けられる。一部の実施形態では、ヘテロ二量体は、DNaseを含む。
【0095】
本明細書で使用される場合、用語「ホモ二量体RNase-Fc融合タンパク質」は、少なくとも2個の同じヌクレアーゼドメイン、および2個のFcドメイン、そのバリアントまたは断片を一緒になって含む、第1および第2のポリペプチドを含むホモ二量体、ならびにそのようなポリペプチドをコードする核酸を指す。一部の実施形態では、ホモ二量体は、リンカーありまたはなしで第1のFcドメインのNまたはC末端に作動可能に連結されている第1のRNase 1ドメイン、およびリンカーありまたはなしで第2のFcドメインのNまたはC末端に作動可能に連結されている第2のRNase 1ドメインを含み、そうすることで第1のRNase 1および第2のRNase 1ドメインは、ホモ二量体の同じ末端(NまたはC末端)に位置付けられる。一部の実施形態では、ホモ二量体の第1および第2のRNase 1ドメインは同一である。一部の実施形態では、ホモ二量体は、リンカーありまたはなしでFcドメインのNまたはC末端に作動可能に連結されているRNase 1ドメイン、およびリンカーありまたはなしでFcドメインのNまたはC末端に作動可能に連結されているDNaseドメインを含む。一部の実施形態では、RNase 1およびDNaseドメインは、Fcドメインの同じ末端(NまたはC末端)に位置付けられる。一部の実施形態では、RNase 1およびDNaseドメインは、Fcドメインの反対の末端に位置付けられる。
【0096】
本明細書で使用される場合、用語「二量体」は、2個の巨大分子(例えば、ポリペプチド)によって形成された巨大分子複合体を指す。「ホモ二量体」は、2個の同一巨大分子(例えば、ポリペプチド)によって形成された二量体を指す。「ヘテロ二量体」は、2個の異なる巨大分子(例えば、ポリペプチド)によって形成された二量体を指す。
【0097】
本明細書で使用される場合、用語「バリアント」は、野生型ヌクレアーゼ(例えば、RNase)またはFcドメインに由来し、1つまたは複数の位置における1つまたは複数の変更(単数または複数)、すなわち、置換、挿入および/または欠失が野生型とは異なるポリペプチドを指す。置換は、ある位置を占有するアミノ酸の、異なるアミノ酸による置き換えを意味する。欠失は、ある位置を占有するアミノ酸の除去を意味する。挿入は、ある位置を占有するアミノ酸に直接隣接する1~3個等、1つまたは複数のアミノ酸付加を意味する。バリアントポリペプチドは、必然的に、野生型ポリペプチドと100%未満の配列同一性または類似性を有する。一部の実施形態では、バリアントポリペプチドは、例えば、バリアントポリペプチドの長さにわたり、野生型ポリペプチドのアミノ酸配列と約75%~100%未満のアミノ酸配列同一性もしくは類似性、または約80%~100%未満もしくは約85%~100%未満もしくは約90%~100%未満(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%)もしくは約95%~100%未満のアミノ酸配列同一性もしくは類似性を有するアミノ酸配列を有するであろう。
【0098】
ある特定の態様では、RNase-Fc融合タンパク質は、ポリペプチドリンカー等、1つまたは複数の「リンカードメイン」を用いる。本明細書で使用される場合、用語「リンカードメイン」は、線状ポリペプチド配列において2つまたはそれよりも多いペプチドドメインを接続する1つまたは複数のアミノ酸を指す。本明細書で使用される場合、用語「ポリペプチドリンカー」は、タンパク質の線状アミノ酸配列において2つまたはそれよりも多いポリペプチドドメインを接続するペプチドまたはポリペプチド配列(例えば、合成ペプチドまたはポリペプチド配列)を指す。例えば、ポリペプチドリンカーを使用して、ヌクレアーゼドメイン(例えば、RNase)をFcドメインに作動可能に連結することができる。そのようなポリペプチドリンカーは、一部の実施形態では、ポリペプチド分子に柔軟性をもたらす。一部の実施形態では、ポリペプチドリンカーを使用して、RNaseドメインをFcドメインに接続(例えば、遺伝学的に融合)する。RNase-Fc融合タンパク質は、1より多いリンカードメインまたはペプチドリンカーを含むことができる。様々なペプチドリンカーは、当技術分野で公知である。
【0099】
本明細書で使用される場合、用語「gly-serポリペプチドリンカー」は、グリシンおよびセリン残基からなるペプチドを指す。例示的なgly/serポリペプチドリンカーは、アミノ酸配列(Gly4Ser)nを含む。一部の実施形態では、nは、2もしくはそれよりも多い、3もしくはそれよりも多い、4もしくはそれよりも多い、5もしくはそれよりも多い、6もしくはそれよりも多い、7もしくはそれよりも多い、8もしくはそれよりも多い、9もしくはそれよりも多いまたは10もしくはそれよりも多い(例えば、(Gly4Ser)10)等、1または複数である。別の例示的なgly/serポリペプチドリンカーは、アミノ酸配列Ser(Gly4Ser)nを含む。一部の実施形態では、nは、2もしくはそれよりも多い、3もしくはそれよりも多い、4もしくはそれよりも多い、5もしくはそれよりも多い、6もしくはそれよりも多い、7もしくはそれよりも多い、8もしくはそれよりも多い、9もしくはそれよりも多いまたは10もしくはそれよりも多い(例えば、Ser(Gly4Ser)10)等、1または複数である。
【0100】
本明細書で使用される場合、用語「連結される(coupled)」、「コンジュゲートされた」、「連結される(linked)」、「融合された」または「融合」は、互換的に使用される。これらの用語は、化学的コンジュゲーションまたは組換え手段を含むいずれの手段によるものであれ、2つまたはそれよりも多い(two more)エレメントまたは構成成分またはドメインを一体に連接することを指す。化学的コンジュゲーションの方法(例えば、ヘテロ二官能性架橋剤を使用した)は、当技術分野で公知である。
【0101】
指名されたポリペプチドまたはタンパク質「に由来する」ポリペプチドまたはアミノ酸配列は、ポリペプチドの起源を指す。好ましくは、特定の配列に由来するポリペプチドまたはアミノ酸配列は、当該配列またはその部分と本質的に同一であるアミノ酸配列を有し、この部分は、少なくとも10~20アミノ酸、好ましくは少なくとも20~30アミノ酸、より好ましくは少なくとも30~50アミノ酸からなる、またはこれは、当業者であれば、当該配列にその起源を有すると他の仕方で同定可能である。別のポリペプチドに由来するポリペプチドは、出発ポリペプチドと比べて1つまたは複数の変異、例えば、別のアミノ酸残基に置換された、または1つもしくは複数のアミノ酸残基挿入もしくは欠失を有する、1つまたは複数のアミノ酸残基を有することができる。
【0102】
一実施形態では、出発ポリペプチド配列およびそれに由来する配列の間には、1個のアミノ酸の差が存在する。この配列に関する同一性または類似性は、配列を整列し、必要であればギャップを導入して、最大パーセント配列同一性を達成した後に、出発アミノ酸残基と同一(すなわち、同じ残基)である候補配列におけるアミノ酸残基のパーセンテージとして本明細書で定義される。
【0103】
一実施形態では、本開示のポリペプチドは、本明細書に開示されている配列リストまたは配列表に表記されているアミノ酸配列、およびその機能的に活性なバリアントからなる、これから本質的になるまたはこれを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、本明細書に開示されている配列リストまたは配列表に表記されているアミノ酸配列と少なくとも80%、例えば、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドは、本明細書に開示されている配列リストまたは配列表に表記されている近接アミノ酸配列と少なくとも80%、例えば、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である近接アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドは、本明細書に開示されている配列リストまたは配列表に表記されているアミノ酸配列の少なくとも10、例えば、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400または少なくとも500(またはこれらの数以内のいずれかの整数)個の近接アミノ酸を有するアミノ酸配列を含む。
【0104】
一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質は、ヌクレオチド配列によってコードされる。本開示のヌクレオチド配列は、クローニング、遺伝子療法、タンパク質発現および精製、変異導入、それを必要とする宿主のDNAワクチン接種、例えば、受動免疫化のための抗体生成、PCR、プライマーおよびプローブ生成、siRNA設計および生成(例えば、Dharmacon siDesignウェブサイトを参照)その他を含む多数の適用に有用となり得る。一部の実施形態では、本開示のヌクレオチド配列は、配列表または配列リストから選択されるRNase-Fc融合タンパク質のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む、これからなるまたはこれから本質的になる。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、本明細書に開示されている配列リストまたは配列表のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列と少なくとも80%、例えば、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一であるヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、本明細書に開示されている配列リストまたは配列表に表記されているアミノ酸配列をコードする近接ヌクレオチド配列と少なくとも80%、例えば、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である近接ヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、本明細書に開示されている配列リストまたは配列表に表記されているアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列の少なくとも10、例えば、少なくとも15、例えば、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400または少なくとも500(またはこれらの数以内のいずれかの整数)個の近接ヌクレオチドを有するヌクレオチド配列を含む。
【0105】
当業者であれば、天然の配列の望ましい活性を保持しつつ、その構成成分(例えば、ヌクレアーゼドメイン、リンカードメインおよびFcドメイン)が由来する天然に存在するまたは天然の配列から配列が変動するように、RNase-Fc融合タンパク質を変更することができることも理解するであろう。例えば、「非必須」アミノ酸残基に保存的置換または変化をもたらすヌクレオチドまたはアミノ酸置換をなすことができる。非天然バリアントをコードする単離された核酸分子は、コードされるタンパク質に1つまたは複数のアミノ酸置換、付加または欠失が導入されるように、RNase-Fc融合タンパク質のヌクレオチド配列に1つまたは複数のヌクレオチド置換、付加または欠失を導入することにより作製することができる。変異は、部位特異的変異誘発およびPCR媒介性変異誘発等、標準技法によって導入することができる。
【0106】
RNase-Fc融合タンパク質は、1つまたは複数のアミノ酸残基、例えば、必須または非必須アミノ酸残基に保存的アミノ酸置換を含むことができる。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、同様の側鎖を有するアミノ酸残基に置き換えられた置換である。同様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野で定義されており、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ-分枝状側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む。よって、RNase-Fc融合タンパク質における非必須アミノ酸残基が、同じ側鎖ファミリー由来の別のアミノ酸残基に好ましくは置き換えられる。別の実施形態では、アミノ酸の連なりを、側鎖ファミリーメンバーの順序および/または組成が異なる構造的に同様の連なりに置き換えることができる。あるいは、別の実施形態では、変異を、飽和変異誘発等によりコード配列の全体または一部に沿ってランダムに導入し、結果としての変異体を、RNase-Fc融合タンパク質に取り込み、所望の標的に結合するその能力に関してスクリーニングすることができる。
【0107】
本明細書で使用される場合、用語「自然免疫系の制御因子」は、サイトカインおよびケモカイン発現および分泌;樹状細胞活性化;ならびに補体カスケードを含む、自然免疫応答の発現または制御に関連する任意の遺伝子、タンパク質、核酸またはマイクロRNAを指す。一部の実施形態では、自然免疫系の制御因子は、炎症関連分子を含む。一部の実施形態では、自然免疫系の制御因子は、炎症関連遺伝子を含む。一部の実施形態では、自然免疫系の制御因子は、炎症関連タンパク質を含む。
【0108】
一部の実施形態では、自然免疫系の制御因子は、シグナル伝達、インターフェロンファミリーメンバー、補体、抗原プロセシング、シグナル伝達、ユビキチン化、走化性、細胞接着およびポリメラーゼ活性の制御に関連する遺伝子またはタンパク質を含む。
【0109】
用語「自然免疫系」は、抗原に対する非特異的な防御機構を指す。自然免疫応答は、特定の抗原に対する特異性によって駆動されないが、抗原の存在によって駆動される。自然免疫系の機能は、感染病原体に対する物理的および化学的障壁として作用すること、白血球細胞による異物の識別および除去、樹状細胞活性化、サイトカインおよびケモカイン分泌、ならびに補体カスケードの活性化、ならびに適応免疫系の活性化を含む。
【0110】
本明細書で使用される場合、用語「炎症関連分子」は、炎症または炎症応答において機能する分子を指す。一部の実施形態では、炎症関連分子は、炎症促進性分子である。一部の実施形態では、炎症関連分子は、抗炎症性分子である。一部の実施形態では、炎症関連分子は、炎症関連遺伝子である。一部の実施形態では、炎症関連分子は、炎症関連タンパク質である。一部の実施形態では、炎症関連分子は、炎症関連サイトカインである。一部の実施形態では、炎症関連分子は、炎症メディエーターである。
【0111】
本明細書で使用される場合、用語「炎症関連遺伝子」は、炎症または炎症応答において機能する遺伝子を指す。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、炎症促進性遺伝子である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、抗炎症性遺伝子である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、炎症関連タンパク質をコードする。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、サイトカインをコードする。
【0112】
本明細書で使用される場合、用語「炎症関連タンパク質」は、炎症または炎症応答において機能するタンパク質を指す。一部の実施形態では、炎症関連タンパク質は、炎症促進性タンパク質である。一部の実施形態では、炎症関連タンパク質は、抗炎症性タンパク質である。一部の実施形態では、炎症関連タンパク質は、サイトカインである。
【0113】
本明細書で使用される場合、用語「炎症促進性分子」は、炎症応答を増強または刺激する分子を指す。一部の実施形態では、炎症促進性分子は、「炎症促進性遺伝子」である。一部の実施形態では、炎症促進性分子は、「炎症促進性タンパク質」である。一部の実施形態では、炎症促進性遺伝子は、炎症促進性タンパク質をコードする。一部の実施形態では、炎症促進性分子は、「炎症性サイトカイン」である。
【0114】
一部の実施形態では、用語「炎症応答を刺激すること」は、炎症性サイトカインの産生を刺激することを指す。
【0115】
本明細書で使用される場合、用語「炎症性サイトカイン」は、免疫細胞(例えば、ヘルパーT細胞およびマクロファージ)から分泌され、炎症応答における役割を果たす、シグナル伝達分子(サイトカイン)を指す。
【0116】
本明細書で使用される場合、用語「遺伝子発現プロファイル」は、試料において発現されている遺伝子を同定する、および/または指定の時間におけるその発現の程度を決定する技法を指す。用語「炎症関連遺伝子発現プロファイル」は、発現されている炎症関連遺伝子を同定する、および/または指定の時間におけるその発現の程度を決定する遺伝子発現プロファイルを指す。
【0117】
用語「寛解すること」は、その予防法、重症度もしくは進行の低減、軽快または治癒を含む、疾患状態、例えば、自己免疫性疾患状態(例えば、SLE、シェーグレン症候群)の処置におけるいずれかの治療上有益な結果を指す。
【0118】
本明細書で使用される場合、用語「原発性シェーグレン症候群(pSS)」、「シェーグレン症候群」、「シェーグレン病」および「シェーグレン」は、互換的に使用することができる。
【0119】
用語「in situ」は、生体から分離して成長する、例えば、組織培養において成長する生細胞において起こる過程を指す。
【0120】
用語「in vivo」は、生体において起こる過程を指す。
【0121】
用語「哺乳動物」または「対象」または「患者」は、本明細書で使用される場合、ヒトおよび非ヒトの両方を含み、そのようなものとして、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、マウス、ウシ、ウマおよびブタが挙げられるがこれらに限定されない。
【0122】
2種またはそれよりも多い核酸またはポリペプチド配列の文脈におけるパーセント「同一性」という用語は、後述する配列比較アルゴリズム(例えば、BLASTPおよびBLASTNまたは当業者に利用できる他のアルゴリズム)の1種を使用してまたは目視点検によって測定した場合、比較および整列すると、最大一致に関して、同じである指定のパーセンテージのヌクレオチドまたはアミノ酸残基を有する2種またはそれよりも多い配列または部分配列を指す。適用に応じて、パーセント「同一性」は、比較されている配列の領域にわたって、例えば、機能的ドメインにわたって存在することができる、あるいは、比較しようとする2種の配列の全長にわたって存在することができる。
【0123】
配列比較のため、典型的には、1種の配列が、被験配列が比較される参照配列として作用する。配列比較アルゴリズムを使用する場合、被験および参照配列が、コンピュータに入力され、必要であれば部分配列座標が指名され、配列アルゴリズムプログラムパラメーターが指名される。次いで、配列比較アルゴリズムが、指名されたプログラムパラメーターに基づき、参照配列と比べて被験配列(単数または複数)のパーセント配列同一性を計算する。
【0124】
例えば、Smith & Waterman, Adv Appl Math 1981;2:482の局所的相同性アルゴリズムにより、Needleman & Wunsch, J Mol Biol 1970;48:443の相同性整列アルゴリズムにより、Pearson & Lipman, PNAS 1988;85:2444の類似性方法の検索により、これらのアルゴリズムのコンピュータ処理されたインプリメンテーションにより(GAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA、Wisconsin Genetics Software Package内、Genetics Computer Group、575 Science Dr.、Madison、Wis.)、または目視点検により(全般的に、Ausubel et al、下記を参照)、比較のための配列の最適整列を行うことができる。
【0125】
パーセント配列同一性および配列類似性の決定に適したアルゴリズムの一例は、Altschul et al., J Mol Biol 1990;215:403-10に記載されているBLASTアルゴリズムである。BLAST解析を実行するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationウェブサイトを介して公開されている。
【0126】
用語「十分な量」は、所望の効果の産生に十分な量を意味する。
【0127】
用語「治療有効量」は、疾患の症状の寛解に有効な量である。予防法は治療法と考慮することができるため、治療有効量は、「予防有効量」であり得る。
【0128】
用語「約」は、当業者であれば、これが使用される文脈に応じてある程度まで変動することを理解するであろう。これが使用される文脈を考慮しても当業者に明らかでない、この用語の使用がなされる場合、「約」は、特定の値のプラス・マイナス10%までを意味するであろう。
【0129】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」が、文脈がそれ以外を明らかに指示しない限り、複数形の指示対象を含むことに留意する必要がある。
【0130】
RNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質
RNase-Fc融合タンパク質を含む本開示のRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質は、足場を提供する、および/またはそのようなPK部分がないヌクレアーゼドメインと比較してRNaseドメインのin vivo半減期を延長するPK部分に作動可能に連結されている、ヒトRNase 1またはその断片もしくはバリアント等の少なくとも1個の酵素活性があるRNaseドメインまたはその断片もしくはバリアントを含む。一部の態様では、RNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質は、Fcドメインまたはそのバリアントもしくは断片に融合されていないヌクレアーゼ分子と比較して、それが融合されたヌクレアーゼ分子の血清半減期を変更する、ヒトIgG1 Fcドメインまたはそのバリアントもしくは断片等のFcドメインに作動可能に連結されているヒトRNase 1またはその断片もしくはバリアント等の少なくとも1個の酵素活性があるRNaseドメインまたはその断片もしくはバリアントを含むRNase-Fc融合タンパク質である。
【0131】
一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質を含め、本開示のRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質は、リンカードメインを介して、Fcドメインまたはそのバリアントもしくは断片に作動可能に連結される。一部の実施形態では、リンカードメインは、リンカーペプチドである。一部の実施形態では、リンカードメインは、リンカーヌクレオチドである。
【0132】
一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質を含め、本開示のRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質は、リーダー配列、例えば、リーダーペプチドを含む。一部の実施形態では、リーダー分子は、ヌクレアーゼドメインのN末端に位置するリーダーペプチドである。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、分子のN末端にリーダーペプチドを含み、リーダーペプチドは、インターフェロン受容体Fc構築物から後に切断される。組換えタンパク質に融合されるリーダーペプチドをコードする核酸配列を生成するための方法は、当技術分野で周知である。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、そのN末端に融合されたリーダーありまたはなしのいずれかで、発現することができる。融合されたリーダーペプチドの切断後の本開示のRNase-Fc融合タンパク質のタンパク質配列は、当業者であれば予測および/または推論することができる。
【0133】
一部の実施形態では、リーダーは、VK3リーダーペプチド(VK3LP)であり、リーダーペプチドは、RNase-Fc融合タンパク質のN末端に融合される。そのようなリーダー配列は、哺乳動物細胞におけるRNase-Fc融合タンパク質の合成および分泌のレベルを改善することができる。一部の実施形態では、リーダーは切断され、RNase-Fc融合タンパク質を生じる。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質は、そのN末端に融合されたリーダーペプチドなしで発現され、その結果生じるRNase-Fc融合タンパク質は、N末端メチオニンを有する。
【0134】
一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質は、RNase-Fc融合タンパク質のN末端に融合されたVK3リーダーペプチド、例えば、配列番号49(RSLV-132)を含む。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質は、リーダー配列を含まない、例えば、配列番号50(RSLV-132)である。
【0135】
一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、Fcドメインまたはそのバリアントもしくは断片のNまたはC末端に作動可能に連結されたRNaseドメインを含む。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、RNaseドメインおよびDNaseドメインの両方を含む。
一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、互いにタンデムに作動可能に連結され、同じまたは異なるFcドメインまたはそのバリアントもしくは断片のNまたはC末端にさらに作動可能に連結された、2個のヌクレアーゼドメイン(例えば、2個のRNaseドメイン)を含む。
【0136】
配列表は、様々な構成の例示的なRNase-Fc融合タンパク質の配列を示す。
【0137】
一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、細胞外免疫複合体に特異的に結合する同じまたは異なるFcドメインまたはそのバリアントもしくは断片に融合された、マルチヌクレアーゼタンパク質(例えば、2種のRNAヌクレアーゼ、またはRNaseとDNase)である。
【0138】
一実施形態では、ヌクレアーゼドメインは、Fcドメインまたはそのバリアントもしくは断片のN末端に作動可能に連結される(例えば、化学的にコンジュゲートまたは遺伝学的に融合される(例えば、直接的に、またはポリペプチドリンカーを介してのいずれかで))。別の実施形態では、ヌクレアーゼドメインは、Fcドメインまたはそのバリアントもしくは断片のC末端に作動可能に連結される(例えば、化学的にコンジュゲートまたは遺伝学的に融合される(例えば、直接的に、またはポリペプチドリンカーを介してのいずれかで))。他の実施形態では、ヌクレアーゼドメインは、Fcドメインまたはそのバリアントもしくは断片のアミノ酸側鎖を介して、作動可能に連結される(例えば、化学的にコンジュゲートまたは遺伝学的に融合される(例えば、直接的に、またはポリペプチドリンカーを介してのいずれかで))。
【0139】
特定の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質は、2つまたはそれを超えるヌクレアーゼドメインと、少なくとも1つのFcドメインまたはそのバリアントもしくは断片とを含む。例えば、ヌクレアーゼドメインは、ヌクレアーゼドメインとFcドメイン、そのバリアントまたは断片との間の必要に応じたリンカーとともに、同じまたは異なるFcドメインまたはそのバリアントもしくは断片のN末端およびC末端の両方に作動可能に連結され得る。いくつかの態様では、ヌクレアーゼドメインは同一のものである(例えば、RNaseおよびRNase)。他の実施形態では、ヌクレアーゼドメインは異なるものである(例えば、2つの異なるRNAヌクレアーゼまたはRNaseおよびDNase)。
【0140】
いくつかの実施形態では、2つまたはそれを超えるヌクレアーゼドメインは、シリーズで(例えば、ポリペプチドリンカーを介して)互いに作動可能に連結され、タンデムに整列したヌクレアーゼドメインは、同じまたは異なるFcドメインまたはそのバリアントもしくは断片のN末端またはC末端のいずれかに作動可能に連結される(例えば、(例えば、直接的にまたはポリペプチドリンカーを介して)化学的にコンジュゲートされているか、または遺伝子的に融合されている)。他の実施形態では、タンデムに整列したヌクレアーゼドメインは、同じFcドメインまたはそのバリアントもしくは断片のN末端およびC末端の両方に作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼドメインは、リンカーありまたはなしで同じまたは異なるFcドメインのN末端またはC末端にタンデムに(例えば、N-RNase-RNase-C、N-RNase-DNase-CまたはN-DNase-RNase-C)作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、ホモ二量体またはヘテロ二量体を形成する。
【0141】
他の実施形態では、1つまたはそれを超えるヌクレアーゼドメインは、2つのFcドメインまたはそのバリアントもしくは断片の間に挿入さる。例えば、1つまたはそれを超えるヌクレアーゼドメインは、本開示のRNase-Fc融合タンパク質のポリペプチドリンカーの全部または一部を形成し得る。
【0142】
いくつかの実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、少なくとも2つのヌクレアーゼドメイン(例えば、RNaseおよびRNaseまたはRNaseおよびDNase)、少なくとも1つのリンカードメイン、および少なくとも1つのFcドメインまたはそのバリアントもしくは断片を含む。
【0143】
いくつかの実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質は、本明細書に記載されるFcドメインまたはそのバリアントもしくは断片を含み、それにより、RNase-Fc融合タンパク質の血清半減期およびバイオアベイラビリティを増加させる。いくつかの実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、1つまたはそれを超えるポリペプチド、例えば配列番号44~58のいずれかに示されているアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0144】
当業者であれば、ヌクレアーゼドメイン間および/またはヌクレアーゼドメインおよびFcドメインの間の必要に応じたリンカーの包接により、ヌクレアーゼドメインおよびFcドメインの他の構成が可能であることを理解するであろう。ヌクレアーゼドメインが、検査した特定の構成において活性である限り、ドメイン配向性を変更することができることも理解されるであろう。
【0145】
ある特定の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質は、生物学的効果を媒介する標的分子に特異的な少なくとも1つのヌクレアーゼドメインを有する。別の実施形態では、標的分子(例えば、RNAまたはDNA)への本開示のRNase-Fc融合タンパク質の結合は、例えば、細胞、組織または循環からの、標的分子の低下または排出をもたらす。
【0146】
他の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質は、一体に、または他のポリペプチドとアセンブルして、2つまたはそれよりも多いポリペプチドを有する結合タンパク質(「多量体」)を形成することができ、多量体の少なくとも1つのポリペプチドは、本開示のRNase-Fc融合タンパク質である。例示的な多量体形態は、二量体、三量体、四量体および六量体の変更された結合タンパク質その他を含む。一実施形態では、多量体のポリペプチドは、同じである(すなわち、変更されたホモマー結合タンパク質、例えば、ホモ二量体、ホモ四量体)。別の実施形態では、多量体のポリペプチドは、異なる(例えば、ヘテロマー)。一実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質は、一体にアセンブルされて、二量体を形成する。一実施形態では、二量体は、ホモ二量体である。一実施形態では、二量体は、ヘテロ二量体である。
【0147】
一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、Fcドメインまたはそのバリアントもしくは断片に融合されていない対応するヌクレアーゼ分子と比べて、少なくとも約1.5倍、例えば、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍、少なくとも約600倍、少なくとも約700倍、少なくとも約800倍、少なくとも約900倍、少なくとも約1000倍または1000倍もしくはそれを超えて増加した血清半減期を有する。他の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、Fcドメインまたはそのバリアントもしくは断片に融合されていない対応するヌクレアーゼ分子と比べて、多くても約3分の2、例えば、多くても3分の1、多くても5分の1、多くても10分の1、多くても約20分の1、多くても約50分の1、多くても約100分の1、多くても約200分の1、多くても約300分の1、多くても約400分の1、多くても約500分の1または500分の1もしくはそれよりも低くに減少した血清半減期を有する。常套的な当技術分野で認識される方法を使用して、本開示のRNase-Fc融合タンパク質の血清半減期を決定することができる。
【0148】
一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質におけるRNaseの活性は、対照のRNase分子の活性の約10分の1以上の低さ、例えば、9分の1の低さ、8分の1の低さ、7分の1の低さ、6分の1の低さ、5分の1の低さ、4分の1の低さ、3分の1の低さ、または2分の1の低さである。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質におけるRNaseの活性は、対照のRNase分子の活性にほぼ等しい。
【0149】
いくつかの実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、例えば可溶性形態のまたは不溶性複合体として沈着したDNAおよび/またはRNAを含有する細胞外免疫複合体に対して活性であり得る。
【0150】
いくつかの実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質の活性は、インビトロおよび/またはインビボで検出可能である。
【0151】
別の態様では、酵素、またはRNAまたはDNAにターゲティングされるscFvなどの結合特異性を有する別の抗体、または第1のドメインと同じまたは異なる特異性を有する第2のヌクレアーゼドメインに結合された多機能RNase分子が提供される。
【0152】
一部の実施形態では、リンカードメインは、5アミノ酸進行によってリンカーの長さを変更する、(gly4ser)3、4または5バリアントを含む。別の実施形態では、リンカードメインは、およそ18アミノ酸の長さであり、in vivoでプロテアーゼ切断に対して感受性となり得るN結合型グリコシル化部位を含む。一部の実施形態では、N結合型グリコシル化部位は、リンカードメインにおける切断からRNase-Fc融合タンパク質を保護することができる。一部の実施形態では、N結合型グリコシル化部位は、リンカードメインによって分離される独立した機能的ドメインのフォールディングの分離を支援することができる。
【0153】
一部の実施形態では、リンカードメインは、NLGリンカー(VDGASSPVNVSSPSVQDI)(配列番号37)である。
【0154】
いくつかの実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、DNaseの実質的に全部または少なくとも酵素的に活性な断片を含む。いくつかの実施形態では、DNaseは、I型分泌DNase、好ましくはヒトDNase、例えば成熟ヒト膵臓DNase1(UniProtKBエントリーP24855、配列番号6)である。いくつかの実施形態では、減少したアクチン感受性を示す天然に存在するバリアント対立遺伝子A114F(配列番号8)が、RNase-Fc融合タンパク質のDNase1に含まれる(Panら、JBC 1998;273:18374-81;Zhenら、BBRC 1997;231:499-504;Rodriguezら、Genomics 1997;42:507-13を参照のこと)。他の実施形態では、野生型DNase1と比べて高いDNase活性を示す天然に存在するバリアント対立遺伝子G105R(配列番号9)が、RNase-Fc融合タンパク質のDNase1に含まれる(Yasudaら、Int J
Biochem Cell Biol 2010;42:1216-25を参照のこと)。いくつかの実施形態では、ヒトDNase1のより安定な誘導体を生成するために、この変異がRNase-Fc融合タンパク質に導入される。いくつかの実施形態では、DNaseは、ヒト野生型DNase1であるか、またはすべての潜在的なN結合型グリコシル化部位、すなわち、配列番号6に示されるDNase1ドメインの18および106位のアスパラギン残基(これは、天然のリーダーを有する全長膵臓DNase1(配列番号5)のそれぞれ40および128位のアスパラギン残基に対応する)を除去するように変異されたヒトDNase1 A114F(すなわち、ヒトDNase1 N18S/N106S/A114F、配列番号11)である。
【0155】
いくつかの実施形態では、DNaseは、DNase機能性およびクロマチン切断を増加させるための1つまたはそれを超える塩基性(すなわち、正荷電)アミノ酸置換を含むヒトDNase1である。いくつかの実施形態では、DNA基質上の負荷電リン酸との結合を増強するために、塩基性アミノ酸がヒトDNase1のDNA結合面に導入される(米国特許第7407785号;米国特許第6391607号を参照のこと)。この過活性DNase1は、「クロマチンカッター」と称され得る。
【0156】
いくつかの実施形態では、1個、2個、3個、4個、5個または6個の塩基性アミノ酸置換がDNase1に導入される。例えば、DNA結合を増強するために、以下の残基の1つまたはそれよりも多くが変異される:Gln9、Glu13、Thr14、His44、Asn74、Asn110、Thr205。いくつかの実施形態では、上記アミノ酸の1つまたはそれよりも多くは、塩基性アミノ酸、例えばアルギニン、リジンおよび/またはヒスチジンで置換される。例えば、ヒトDNaseは、以下の置換の1つまたはそれよりも多くを含み得る:Q9R、E13R、T14K、H44K、N74K、N110R、T205K。いくつかの実施形態では、ヒトDNase1はまた、アクチン感受性を減少させるA114F置換を含む(米国特許第6348343号を参照のこと)。一実施形態では、ヒトDNase1は、以下の置換を含む:E13R、N74K、A114FおよびT205K。
【0157】
いくつかの実施形態では、ヒトDNase1は、潜在的なグリコシル化部位、例えば、配列番号6に示されるDNase1ドメインの18および106位のアスパラギン残基(これは、天然のリーダーを有する全長膵臓DNase1のそれぞれ40および128位のアスパラギン残基に対応する)を除去するための変異をさらに含む。一実施形態では、ヒトDNase1は、以下の置換を含む:E13R/N74K/A114F/T205K/N18S/N106S。
【0158】
いくつかの実施形態では、DNaseは、DNase1様(DNaseL)酵素1~3(UniProtKBエントリーQ13609;配列番号15)である。いくつかの実施形態では、DNaseは、3プライム修復エキソヌクレアーゼ1(TREX1;UniProtKBエントリーQ9NSU2;配列番号16)である。いくつかの実施形態では、DNaseは、DNase2である。いくつかの実施形態では、DNase2は、DNAse2α(すなわち、DNase2;UnitProtKBエントリーO00115配列番号18)またはDNase2β(すなわち、DNase2様酸DNase;UnitProtKBエントリーQ8WZ79;配列番号19)である。いくつかの実施形態では、DNase1L3、TREX1、DNase2αまたはDNase2βのN結合型グリコシル化部位は、潜在的なN結合型グリコシル化部位を除去するように変異されている。いくつかの実施形態では、20または25aaのリンカードメインを含有するDNase-リンカー-Fcドメインが作製される。
【0159】
一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質におけるDNaseの活性は、対照DNase分子の活性の9分の1、8分の1、7分の1、6分の1、5分の1、4分の1、3分の1または2分の1等、約10分の1以上である。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質におけるDNaseの活性は、対照DNase分子の活性にほぼ等しい。
【0160】
一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質は、ヒトRNase 1を含む。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、野生型ヒトRNase 1ドメインを含む。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、RNaseAファミリーのヒト膵臓RNase1(UniProtKBエントリーP07998;配列番号1)を含む。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、配列番号2に示される成熟型のヒト膵臓RNase1を含む。一部の実施形態では、RNase-Fcドメインは、1つまたは複数の変異を有するヒトRNase 1ドメインを含む。一部の実施形態では、ヒトRNase1は、任意の潜在的なN結合型グリコシル化部位、すなわち、天然のリーダーを有する全長膵臓RNase1(配列番号1)のそれぞれ62、104および116位におけるアスパラギン残基に対応する、配列番号2に示されるRNase1ドメインの34、76および88位におけるアスパラギン残基を除去するように変異される(ヒトRNase1 N34S/N76S/N88S、配列番号4)。一部の実施形態では、20または25aaリンカードメインを含有するRNase1-リンカー-Fcが作製される。
【0161】
一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、哺乳動物RNase 1を含む。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、霊長類RNase 1を含む。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、齧歯類RNase 1を含む。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、マウスRNase
1を含む。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、ラットRNase 1を含む。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、サルRNase 1を含む。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、ヤギRNase 1を含む。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、ウサギRNase 1を含む。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、ウマRNase 1を含む。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、イヌRNase 1を含む。一部の実施形態では、RNase 1ドメインは、変異体RNase 1ドメインである。
【0162】
一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、細胞外免疫複合体に特異的に結合するFcドメインに結合したRNase分子を含む。一部の実施形態では、Fcドメインは、Fcγ受容体に有効に結合しない。一態様では、RNase-Fc融合タンパク質は、C1qに有効に結合しない。他の態様では、RNase-Fc融合タンパク質は、IgG1由来のインフレームFcドメインを含む。他の態様では、RNase-Fc融合タンパク質は、ヒンジ、CH2および/またはCH3ドメインに変異をさらに含む。他の態様では、変異は、P238S、P331SまたはN297Sであり、3個のヒンジシステインのうち1つまたは複数に変異を含むことができる。一部のそのような態様では、変異は、EUインデックスに従ってナンバリングして残基220、226および229における3個のヒンジシステインのうち1つまたは複数にあり、例えば、1つまたは複数のシステイン残基のセリンによる置換、例えば、C220S、C226Sおよび/またはC229Sである。一部の実施形態では、3個のヒンジ領域システインのうち1個が、セリンによって置き換えられる、例えば、本明細書で「SCCヒンジ」とも称されるC220Sである。一部の実施形態では、全3個のヒンジ領域システインが、セリンによって置き換えられる、本明細書で「SSSヒンジ」とも称されるC220S、C226SおよびC229Sである。他の態様では、RNase-Fc融合タンパク質は、SCCヒンジを含有するが、それ以外は、ヒトIgG1 Fc CH2およびCH3ドメインの野生型であり、Fc受容体に効率的に結合し、それが結合した細胞のエンドサイトーシス区画へのRNase-Fc融合タンパク質の取り込みを容易にする。他の態様では、RNase-Fc融合タンパク質は、一本鎖および/または二本鎖RNA基質に対する活性を有する。
【0163】
一部の態様では、RNase-Fc融合タンパク質は、変異体Fcドメインを含む。一部の態様では、RNase-Fc融合タンパク質は、変異体IgG1 Fcドメインを含む。一部の態様では、変異体Fcドメインは、ヒンジ、CH2および/またはCH3ドメインに1つまたは複数の変異を含む。一部の態様では、変異体Fcドメインは、P238S変異を含む。一部の態様では、変異体Fcドメインは、P331S変異を含む。一部の態様では、変異体Fcドメインは、P238S変異およびP331S変異を含む。一部の態様では、変異体Fcドメインは、P238Sおよび/またはP331Sを含み、3個のヒンジシステインのうち1つまたは複数に変異を含むことができる。一部の態様では、変異体Fcドメインは、P238Sおよび/もしくはP331S、ならびに/または3個のヒンジシステインにおける1つもしくは複数の変異を含む。一部の態様では、変異体Fcドメインは、P238Sおよび/もしくはP331S、ならびに/またはSSSとなるように3個のヒンジシステインもしくはSCCとなるように1個のヒンジシステインにおける変異を含む。一部の態様では、変異体Fcドメインは、P238SおよびP331S、および3個のヒンジシステインにおける変異を含む。一部の態様では、変異体Fcドメインは、P238SおよびP331S、およびSCCまたはSSSのいずれかを含む。一部の態様では、変異体Fcドメインは、P238SおよびP331S、およびSCCを含む。一部の態様では、変異体Fcドメインは、P238S SSSを含む。一部の態様では、変異体Fcドメインは、P331S、およびSCCまたはSSSのいずれかを含む。一部の態様では、変異体Fcドメインは、3個のヒンジシステインのうち1つまたは複数に変異を含む。一部の態様では、変異体Fcドメインは、3個のヒンジシステインにおける変異を含む。一部の態様では、変異体Fcドメインは、SSSとなるように3個のヒンジシステインにおける変異を含む。一部の態様では、変異体Fcドメインは、SCCとなるように3個のヒンジシステインのうち1個に変異を含む。一部の態様では、変異体Fcドメインは、SCCまたはSSSを含む。一部の態様では、変異体Fcドメインは、配列番号21~28のいずれかに示す通りである。一部の態様では、RNase-Fc融合タンパク質は、配列番号44~58のいずれかに示す通りである。一部の態様では、RNase-Fc融合タンパク質は、SCC、P238SおよびP331Sを含む変異体ヒトIgG1 Fcドメイン、またはSSS、P238SおよびP331Sを含む変異体ヒトIgG1 Fcドメインに連結されている野生型ヒトRNase1ドメインを含む。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、配列番号45~46に示される。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、配列番号50に示される。
【0164】
一部の態様では、RNase-Fc融合タンパク質は、(Gly4Ser)4リンカードメインを介して、SCC、P238SおよびP331Sを含む変異体ヒトIgG1 Fcドメイン、またはSSS、P238SおよびP331Sを含む変異体ヒトIgG1 Fcドメインに連結された野生型ヒトRNase1ドメインを含む。一部の態様では、RNase-Fc融合タンパク質は、配列番号47~48に示される。
【0165】
一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、野生型ヒトRNase1ドメインにNLGリンカードメインを介して連結された、SCC、P238SおよびP331Sを含む変異体ヒトIgG1 Fcドメインに、(Gly4Ser)4リンカードメインを介して連結されたヒトDNase1 G105R A114Fドメインを含む。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、野生型ヒトRNase1ドメインにNLGリンカードメインを介して連結された、SSS、P238SおよびP331Sを含む変異体ヒトIgG1 Fcドメインに、(Gly4Ser)4リンカードメインを介して連結されたヒトDNase1 G105R A114Fドメインを含む。一部の態様では、RNase-Fc融合タンパク質は、配列番号51~52に示される。
【0166】
一部の態様では、RNase-Fc融合タンパク質は、ヒトDNase1 G105R
A114FドメインにNLGリンカードメインを介して連結された、SCC、P238SおよびP331Sを含む変異体ヒトIgG1 Fcドメインに、(Gly4Ser)4リンカードメインを介して連結された野生型ヒトRNase1ドメインを含む。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、ヒトDNase1 G105R A114FドメインにNLGリンカードメインを介して連結された、SSS、P238SおよびP331Sを含む変異体ヒトIgG1 Fcドメインに、(Gly4Ser)4リンカードメインを介して連結された野生型ヒトRNase1ドメインを含む。一部の態様では、RNase-Fc融合タンパク質は、配列番号53~54に示される。
【0167】
一部の態様では、RNase-Fc融合タンパク質は、ヒトDNase1 G105R
A114FドメインにNLGリンカードメインを介して連結された、SCC、P238SおよびP331Sを含む変異体ヒトIgG1 Fcドメインに連結された野生型ヒトRNase1ドメインを含む。一部の態様では、RNase-Fc融合タンパク質は、ヒトDNase1 G105R A114FドメインにNLGリンカードメインを介して連結された、SSS、P238SおよびP331Sを含む変異体ヒトIgG1 Fcドメインに連結された野生型ヒトRNase1ドメインを含む。一部の態様では、RNase-Fc融合タンパク質は、配列番号55~58に示される。
【0168】
一部の態様では、RNase-Fc融合タンパク質の活性は、in vitroおよび/またはin vivoで検出可能である。
【0169】
一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、RNaseドメインおよびFcドメインを含み、RNase1ドメインは、FcのCOOH側に位置付けられる。他の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、RNaseドメインおよびFcドメインを含み、RNase1ドメインは、FcのNH2側に位置付けられる。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、RNase-Fc;Fc-RNase;Fc-リンカー-RNase;RNase-リンカー-Fc;RNase-Fc-DNase;DNase-Fc-RNase;RNase-リンカー-Fc-リンカー-DNase;DNase-リンカー-Fc-リンカー-RNase;RNase-Fc-リンカー-DNase;DNase-Fc-リンカー-RNase;RNase-リンカー-Fc-DNase;DNase-リンカー-Fc-RNaseを含む。
【0170】
一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質の酵素ドメインおよび他のドメインの間の融合接合部は最適化されている。
【0171】
一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質のRNase酵素活性の標的は、主に細胞外にあり、例えば、これは抗RNP自己抗体との免疫複合体に含有されるRNAおよびアポトーシスを起こしている細胞の表面に発現されるRNAからなる。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、細胞内小胞の酸性環境において活性がある。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、例えば、分子がFcRに結合し、免疫複合体によって使用される進入経路を通ってエンドサイトーシス区画に進入することを可能にするために、野生型(wt)Fcドメインを含む。一部の実施形態では、Fcドメインまたはそのバリアントもしくは断片を含むRNase-Fc融合タンパク質は、細胞外およびエンドサイトーシス環境(ここでTLR7が発現され得る)の両方で活性であるように適応されている。一部の態様では、これにより、野生型Fcドメインまたはそのバリアントもしくは断片を含むRNase-Fc融合タンパク質は、事前に貪食された免疫複合体をする、またはウイルス感染後にTLR7を活性化させるRNAによるTLR7シグナル伝達を停止させることが可能となる。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質の野生型RNaseは、RNaseの細胞質阻害因子による阻害に対して抵抗性ではない。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質の野生型RNaseは、細胞の細胞質において活性がない。
【0172】
一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、RNaseを含む。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、DNaseおよびRNaseの両方を含む。一部の実施形態では、これらのRNase-Fc融合タンパク質は、RNA、DNA、またはRNAおよびDNAの両方の組合せを含有する免疫複合体を消化または分解し、細胞外で活性があるため、シェーグレン病の療法を改善する。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質は、シェーグレン病の患者における疲労を低下させる。
【0173】
一部の実施形態では、本開示は、障害、疾患および状態を処置または予防するための遺伝子療法の方法における使用のための、1種または複数種のRNase-Fc融合タンパク質をコードする核酸を提供する。遺伝子療法の方法は、本開示のポリペプチド(単数または複数)の発現を達成するための、それを必要とする動物へのRNase-Fc融合タンパク質核酸(DNA、RNA、およびアンチセンスDNAまたはRNA)配列の導入に関する。この方法は、標的組織によるRNase-Fc融合タンパク質の発現に必要なプロモーターおよび他の任意の遺伝子的要素に作動可能に連結された、本開示のRNase-Fc融合タンパク質をコードする1種または複数種のポリヌクレオチドの導入を含むことができる。
【0174】
遺伝子治療の適用では、治療的に有効な遺伝子産物のin vivo合成を実現するために、RNase-Fc融合タンパク質遺伝子を細胞に導入する。「遺伝子治療」は、単回処置によって永続効果が実現される従来の遺伝子治療、および治療的に有効なDNAまたはmRNAを1回または反復投与することを伴う遺伝子治療剤の投与のどちらも含む。オリゴヌクレオチドを、それらの取り込みが増強されるように、例えば、それらの負に荷電したリン酸ジエステル基を非荷電基で置換することによって修飾することができる。
【0175】
Fcドメイン
一部の実施形態では、1つまたは複数のヌクレアーゼドメインまたはそのバリアントもしくは断片を含むポリペプチドは、リンカードメインありまたはなしで、足場として、また、ポリペプチドの血清半減期を増加させる手段として機能するFcドメインに作動可能に連結される。一部の実施形態では、1つまたは複数のヌクレアーゼドメインおよび/またはFcドメインは、非グリコシル化、脱グリコシル化または不十分グリコシル化されている。一部の実施形態では、Fcドメインは、変異体もしくはバリアントFcドメイン、またはFcドメインの断片である。
【0176】
適したFcドメインは、当技術分野で周知であり、そのようなものとして、WO2011/053982、WO02/060955、WO02/096948、WO05/047327、WO05/018572およびUS2007/0111281(前述の内容は参照により本明細書に組み込まれる)に開示されているもの等、FcおよびFcバリアントが挙げられるがこれらに限定されない。本明細書に開示されているRNase-Fc融合タンパク質(変更されたグリコシル化ありまたはなし)へのFcドメインの導入に常套的な方法(例えば、クローニング、コンジュゲーション)を使用することは、当業者の能力の範囲内にある。
【0177】
一部の実施形態では、Fcドメインは、配列番号20に示されるもの等、野生型ヒトIgG1 Fcである。一部の実施形態では、Fcドメインは、1つまたは複数の変異を有するヒトIgG1 Fcドメインである。
【0178】
一部の実施形態では、Fcドメインは、配列番号30~31に示されるもの等、野生型ヒトIgG4 Fcである。一部の実施形態では、Fcドメインは、1つまたは複数の変異を有するヒトIgG4 Fcドメインである。
【0179】
一部の実施形態では、Fcドメインは、例えば、アミノ酸付加、欠失または置換をもたらす変異によって変更または改変される。本明細書で使用される場合、用語「Fcドメインバリアント」は、Fcドメインが由来する野生型Fcと比較して、アミノ酸置換等の少なくとも1つのアミノ酸改変を有するFcドメインを指す。例えば、Fcドメインが、ヒトIgG1抗体に由来する場合、バリアントは、ヒトIgG1 Fc領域の対応する位置における野生型アミノ酸と比較して、少なくとも1つのアミノ酸変異(例えば、置換)を含む。Fcバリアントのアミノ酸置換(単数または複数)は、抗体のFc領域における当該残基に付与される位置番号(EUインデックスに従ったナンバリング)に対応すると称されるFcドメイン内の位置に位置付けることができる。
【0180】
一実施形態では、Fcバリアントは、ヒンジ領域またはその部分に位置付けられるアミノ酸位置(複数可)に1つまたは複数のアミノ酸置換を含む。別の実施形態では、Fcバリアントは、CH2ドメインまたはその部分に位置付けられるアミノ酸位置(複数可)に1つまたは複数のアミノ酸置換を含む。別の実施形態では、Fcバリアントは、CH3ドメインまたはその部分に位置付けられるアミノ酸位置(複数可)に1つまたは複数のアミノ酸置換を含む。別の実施形態では、Fcバリアントは、CH4ドメインまたはその部分に位置付けられるアミノ酸位置(複数可)に1つまたは複数のアミノ酸置換を含む。
【0181】
一部の実施形態では、Fcドメインは、次のアミノ酸置換のうち1つまたは複数を含む:T350V、L351Y、F405AおよびY407V。一部の実施形態では、Fcドメインは、次のアミノ酸置換のうち1つまたは複数を含む:T350V、T366L、K392LおよびT394W。
【0182】
一部の実施形態では、ヒトIgG1 Fc領域は、N83(すなわち、KabatナンバリングによるN297)に変異を有し、非グリコシル化Fc領域(例えば、Fc N83S;配列番号21)を生じる。一部の実施形態では、ヒトIgG1 Fcドメインは、3個のヒンジ領域システイン(残基220、226および229、EUインデックスに従ったナンバリング)のうち1つまたは複数に変異を含む。一部の実施形態では、Fcドメインにおける3個のヒンジシステインのうち1つまたは複数は、SCC(配列番号24)またはSSS(配列番号25)に変異することができ、「S」は、セリンによるシステインのアミノ酸置換を表す(CCCは、野生型ヒンジドメインに存在する3個のシステインを指す)。したがって、「SCC」は、3個のヒンジ領域システイン(残基220、226および229、EUインデックスに従ったナンバリング)のうち第1のシステインのみのセリンへのアミノ酸置換を示す一方、「SSS」は、ヒンジ領域における全3個のシステインが、セリンに置換されたことを示す(残基220、226および229、EUインデックスに従ったナンバリング)。
【0183】
一部の態様では、Fcドメインは、1つまたは複数の変異を有するヒトIgG1 Fcドメインである。
【0184】
一部の態様では、変異体Fcドメインは、ヒンジ、CH2および/またはCH3ドメインに1つまたは複数の変異を含む。
【0185】
一部の態様では、Fcドメインは、1つまたは複数の変異を有するヒトIgG4 Fcドメインである。一部の実施形態では、IgG4 Fcドメインにおける変異は、変異の次の群から選択される1つまたは複数の変異を含む:F296Y、E356K、R409KおよびH345R。一部の実施形態では、IgG4 Fcドメインにおける変異は、変異の次の群から選択される1つまたは複数の変異を含む:F296Y、R409KおよびK439E。一部の実施形態では、本明細書に開示されているRNase-Fc融合タンパク質は、Fcドメインが変異F296Y、E356K、R409KおよびH345Rを含む、変異体IgG4 Fcドメインを含む第1のポリペプチドと、CH3ドメインが変異F296Y、R409KおよびK439Eを含む変異体IgG4 Fcドメインを含む第2のポリペプチドとを含む。一部の実施形態では、変異体IgG4 Fcドメインは、ヒンジ、CH2および/またはCH3ドメインに1つまたは複数の変異を含む。
【0186】
CH2置換
一部の態様では、変異体Fcドメインは、P238S変異を含む。一部の態様では、変異体Fcドメインは、P331S変異を含む。一部の態様では、変異体Fcドメインは、P238S変異およびP331S変異を含む。一部の態様では、変異体Fcドメインは、EUインデックスに従ったナンバリングで、P238Sおよび/またはP331Sを含み、また、3個のヒンジシステイン(残基220、226および229)のうち1つまたは複数に変異を含むことができる。一部の態様では、変異体Fcドメインは、EUインデックスに従ったナンバリングで、P238Sおよび/またはP331S、および/または3個のヒンジシステイン(残基220、226および229)における1つもしくは複数の変異を含む。一部の態様では変異体Fcドメインは、P238Sおよび/またはP331S、および/またはSCCとなるようヒンジシステインにおけるもしくはSSSとなるよう3個のヒンジシステインにおける変異を含む。一部の態様では、変異体Fcドメインは、P238SおよびP331S、ならびに3個のヒンジシステインのうち少なくとも1つにおける変異を含む。一部の態様では、変異体Fcドメインは、P238SおよびP331SおよびSCCを含む。一部の態様では、変異体Fcドメインは、P238SおよびP331SおよびSSSを含む。一部の態様では、変異体Fcドメインは、P238SおよびSCCまたはSSSを含む。一部の態様では、変異体Fcドメインは、P331SおよびSCCまたはSSSを含む(EUインデックスに従った全ナンバリング)。
【0187】
一部の態様では、変異体Fcドメインは、N297等のN結合型グリコシル化の部位における変異、例えば、セリン等の別のアミノ酸による(for)アスパラギンの置換、例えば、N297Sを含む。一部の態様では、変異体Fcドメインは、N297等のN結合型グリコシル化の部位における変異、例えば、セリン等の別のアミノ酸によるアスパラギンの置換、例えば、N297S、および3個のヒンジシステインのうち1つまたは複数における変異を含む。一部の態様では、変異体Fcドメインは、N297等のN結合型グリコシル化の部位における変異、例えば、セリン等の別のアミノ酸によるアスパラギンの置換、例えば、N297S、およびSCCとなるよう3個のヒンジシステインのうち1個またはSSSとなるよう全3個のシステインにおける変異を含む。一部の態様では、変異体Fcドメインは、N297等のN結合型グリコシル化の部位における変異、例えば、セリン等の別のアミノ酸によるアスパラギンの置換、例えば、N297、ならびにP238もしくはP331またはその両方における変異、例えば、P238SもしくはP331S、またはP238SおよびP331Sの両方等、FcγR結合および/または補体活性化を減少させるCH2ドメインにおける1つまたは複数の変異を含む。一部の態様では、そのような変異体Fcドメインは、ヒンジ領域における変異、例えば、SCCまたはSSSをさらに含むことができる(EUインデックスに従った全ナンバリング)。一部の態様では、変異体Fcドメインは、本明細書における配列表または配列リストに示す通りのものである。
【0188】
CH3置換
一部の実施形態では、ヘテロ二量体は、本明細書に開示されているRNase-Fc融合タンパク質におけるFcドメインのCH3ドメインにおける変異によって形成される。重鎖を先ず、「ノブ-イントゥ-ホール」戦略を使用してヘテロ二量体化のために操作した(参照により本明細書に組み込まれるRigway B, et al., Protein Eng., 9 (1996) pp. 617-621)。用語「ノブ-イントゥ-ホール」は、突起(pertuberance)(ノブ)を一方のポリペプチドへと、空洞(ホール)を他方のポリペプチドへと、両者が相互作用する界面において導入することにより、2個のポリペプチドのin vitroまたはin vivoでの一体的なペア形成を方向付ける技術を指す。例えば、WO96/027011、WO98/050431、US5,731,168、US2007/0178552、WO2009089004、US20090182127を参照されたい。特に、CH3ドメインにおける変異の組合せを使用して、ヘテロ二量体を形成することができ、例えば、「ノブ」重鎖におけるS354C、T366W、および「ホール」重鎖におけるY349C、T366S、L368A、Y407V。別の例では、「ノブ」重鎖におけるT366Y、および「ホール」重鎖におけるY407T。一部の実施形態では、本明細書に開示されているヘテロ二量体RNase-Fc融合タンパク質は、ノブ変異T366Wを有する第1のCH3ドメイン、ならびにホール変異T366S、L368AおよびY407Vを有する第2のCH3ドメインを含む(EUインデックスに従ったナンバリング)。一部の実施形態では、本明細書に開示されているRNase-Fc融合タンパク質は、ノブ変異T366Yを有する第1のCH3ドメイン、およびホール変異Y407Tを有する第2のCH3ドメインを含む。
【0189】
一部の実施形態では、CH3変異は、これらは参照により本明細書に組み込まれるUS2012/0149876A1、US2017/0158779、US9574010およびUS9562109;ならびに参照により本明細書に組み込まれるVon Kreudenstein, T.S. et al. mABs, 5 (2013), pp. 646-654に記載されている変異であり、次の変異を含む:T350V、L351Y、F405AおよびY407V(第1のCH3ドメイン);ならびにT350V、T366L、K392L、T394W(第2のCH3ドメイン)。一部の実施形態では、本明細書に開示されているヘテロ二量体RNase-Fc融合タンパク質は、T350V、L351Y、F405AおよびY407V変異を有する第1のCH3ドメイン、ならびにT350V、T366L、K392L、T394W変異を有する第2のCH3ドメインを含む(EUインデックスに従ったナンバリング)。
【0190】
一部の実施形態では、ヘテロ二量体は、本明細書に開示されているRNase-Fc融合タンパク質におけるFcドメインのCH3ドメインにおける変異によって形成される。特に、CH3ドメインにおける変異の組合せを使用して、高いヘテロ二量体安定性および純度を有するヘテロ二量体を形成することができる;例えば、これらのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる、Von Kreudenstein et al., mAbs 5:5, 646-654; September-October 2013、ならびにUS2012/0149876A1、US2017/0158779、US9574010およびUS9562109を例えば参照されたい。一部の実施形態では、Fcドメインにおける変異は、変異の次の群から選択される1つまたは複数の変異を含む:T350V、L351Y、F405AおよびY407V。一部の実施形態では、Fcドメインにおける変異は、変異の次の群から選択される1つまたは複数の変異を含む:T350V、T366L、K392LおよびT394W。一部の実施形態では、本明細書に開示されているRNase-Fc融合タンパク質は、変異T350V、L351Y、F405AおよびY407Vを有するCH3ドメインを含む。一部の実施形態では、本明細書に開示されているRNase-Fc融合タンパク質は、変異T350V、T366L、K392LおよびT394Wを有するCH3ドメインを含む。一部の実施形態では、本明細書に開示されているRNase-Fc融合タンパク質は、CH3ドメインが変異T350V、L351Y、F405AおよびY407Vを含む、変異体Fcドメインを含む第1のポリペプチドと、CH3ドメインが変異T350V、T366L、K392LおよびT394Wを含む、変異体Fcドメインを含む第2のポリペプチドとを含む。
【0191】
FcドメインのCH3ドメインにおける他の変異は、ヘテロ二量体を優先的に形成することが企図される。例えば、参照により本明細書に組み込まれるVon Kreudenstein et al., mAbs 5:5, 646-654; September-October 2013を例えば参照されたい。一部の実施形態では、第1のポリペプチドのFcドメインにおける変異は、変異の次の群から選択される1つまたは複数の変異を含み:T350V、L351Y、F405AおよびY407V、第2のポリペプチドのFcドメインにおける変異は、変異の次の群から選択される1つまたは複数の変異を含む:T350V、T366L、K392MおよびT394W。一部の実施形態では、第1のポリペプチドのFcドメインにおける変異は、変異の次の群から選択される1つまたは複数の変異を含み:L351Y、F405AおよびY407V、第2のポリペプチドのFcドメインにおける変異は、変異の次の群から選択される1つまたは複数の変異を含む:T366L、K392MおよびT394W。
【0192】
一部の実施形態では、CH3変異は、Moore, G.L. et al. (mABs, 3 (2011), pp. 546-557)によって記載されている変異であり、次の変異を含む:S364HおよびF405A(第1のCH3ドメイン);ならびにY349TおよびT394F(第2のCH3ドメイン)。一部の実施形態では、本明細書に開示されているヘテロ二量体RNase-Fc融合タンパク質は、S364HおよびF405A変異を有する第1のCH3ドメイン、ならびにY349TおよびT394F変異を有する第2のCH3ドメインを含む(EUインデックスに従ったナンバリング)。
【0193】
一部の実施形態では、CH3変異は、Gunasekaran, K. et al. (J. Biol. Chem., 285 (2010), pp. 19637-19646)によって記載されてい変異であり、次の変異を含む:K409DおよびK392D(第1のCH3ドメイン);ならびにD399KおよびE365K(第2のCH3ドメイン)。一部の実施形態では、本明細書に開示されているRNase-Fc融合タンパク質は、K409DおよびK392D変異を有する第1のCH3ドメイン、ならびにD399KおよびE365K変異を有する第2のCH3ドメインを含む(EUインデックスに従ったナンバリング)。
【0194】
本開示のRNase-Fc融合タンパク質は、エフェクター機能および/またはFcR結合に変更を付与することが公知である当技術分野で認識されるFcバリアントを用いることができる。例えば、これらのそれぞれが参照により本明細書に組み込まれる、国際PCT公開第WO88/07089A1、WO96/14339A1、WO98/05787A1、WO98/23289A1、WO99/51642A1、WO99/58572A1、WO00/09560A2、WO00/32767A1、WO00/42072A2、WO02/44215A2、WO02/060919A2、WO03/074569A2、WO04/016750A2、WO04/029207A2、WO04/035752A2、WO04/063351 A2、WO04/074455A2、WO04/099249A2、WO05/040217A2、WO04/044859、WO05/070963A1、WO05/077981A2、WO05/092925A2、WO05/123780A2、WO06/019447A1、WO06/047350A2、およびWO06/085967A2;米国特許出願公開番号第US2007/0231329、US2007/0231329、US2007/0237765、US2007/0237766、US2007/0237767、US2007/0243188、US20070248603、US20070286859、US20080057056;または米国特許第5,648,260; 5,739,277; 5,834,250; 5,869,046; 6,096,871; 6,121,022; 6,194,551; 6,242,195; 6,277,375; 6,528,624; 6,538,124; 6,737,056; 6,821,505; 6,998,253; 7,083,784;および同第7,317,091号に開示されているアミノ酸位置のうち1つまたは複数における変化(例えば、置換)。一実施形態では、特異的変化(例えば、当技術分野に開示されている1つまたは複数のアミノ酸の特異的置換)を、開示されているアミノ酸位置のうち1つまたは複数になすことができる。別の実施形態では、開示されているアミノ酸位置のうち1つまたは複数における異なる変化(例えば、当技術分野に開示されている1つまたは複数のアミノ酸位置の異なる置換)をなすことができる。
【0195】
Fcドメインにおける他のアミノ酸変異は、Fcガンマ受容体およびFcガンマ受容体サブタイプへの結合を低下させることが企図される。Fcドメインへのアミノ酸残基番号の割り当ては、Kabatの定義に従う。例えば、これらのそれぞれがあらゆる目的のため参照により本明細書に組み込まれる、Sequences of Proteins of Immunological Interest (Table of Contents, Introduction and Constant Region Sequences sections), 5th edition, Bethesda, MD:NIH vol. 1:647-723 (1991);Kabat et
al., ”Introduction” Sequences of Proteins of Immunological Interest, US Dept of
Health and Human Services, NIH, 5th edition, Bethesda, MD vol. 1:xiii-xcvi (1991);Chothia & Lesk, J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987);Chothia et al., Nature 342:878-883 (1989)を参照されたい。
【0196】
例えば、Fc領域の位置238、239、248、249、252、254、255、256、258、265、267、268、269、270、272、279、280、283、285、298、289、290、292、293、294、295、296、298、301、303、305、307、312、315、322、324、327、329、330、331、333、334、335、337、338、340、356、360、373、376、378、379、382、388、389、398、414、416、419、430、434、435、437、438または439における変異は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2004年5月18日に発行された米国特許第6,737,056号に記載されている通り、結合を変更することができる。この特許は、IgG3におけるPro331をSerに変化させると、変異していないIgG3と比較して、6分の1の親和性がもたらされたことを報告し、FcガンマRI結合におけるPro331の関与を示す。加えて、位置234、235、236および237、297、318、320および322におけるアミノ酸改変は、1997年4月29日に発行された、その全体が参照により本明細書に組み込まれるU.S.5,624,821において、受容体結合親和性を潜在的に変更するものとして開示されている(EUインデックスに従ったナンバリング)。
【0197】
使用に企図されるさらに別の変異は、例えば、2006年10月19日に公開された、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2006/0235208号に記載されている変異を含む。この刊行物は、232G、234G、234H、235D、235G、235H、236I、236N、236P、236R、237K、237L、237N、237P、238K、239R、265G、267R、269R、270H、297S、299A、299I、299V、325A、325L、327R、328R、329K、330I、330L、330N、330P、330R、および331L(ナンバリングは、EUインデックスに従う)、ならびに二重変異体236R/237K、236R/325L、236R/328R、237K/325L、237K/328R、325L/328R、235G/236R、267R/269R、234G/235G、236R/237K/325L、236R/325L/328R、235G/236R/237K、および237K/325L/328Rを含む、Fc領域における少なくとも1つのアミノ酸改変を含む、Fcガンマ受容体への低下した結合、低下した抗体依存性細胞媒介性細胞傷害、または低下した補体依存性細胞傷害を示すFcバリアントについて記載する。この刊行物に記載されている使用に企図される他の変異は、227G、234D、234E、234G、234I、234Y、235D、235I、235S、236S、239D、246H、255Y、258H、260H、2641、267D、267E、268D、268E、272H、272I、272R、281D、282G、283H、284E、293R、295E、304T、324G、324I、327D、327A、328A、328D、328E、328F、328I、328M、328N、328Q、328T、328V、328Y、330I、330L、330Y、332D、332E、335D、位置235および236の間へのGの挿入、位置235および236の間へのAの挿入、位置235および236の間へのSの挿入、位置235および236の間へのTの挿入、位置235および236の間へのNの挿入、位置235および236の間へのDの挿入、位置235および236の間へのVの挿入、位置235および236の間へのLの挿入、位置235および236の間へのGの挿入、位置235および236の間へのAの挿入、位置235および236の間へのSの挿入、位置235および236の間へのTの挿入、位置235および236の間へのNの挿入、位置235および236の間へのDの挿入、位置235および236の間へのVの挿入、位置235および236の間へのLの挿入、位置297および298の間へのGの挿入、位置297および298の間へのAの挿入、位置297および298の間へのSの挿入、位置297および298の間へのDの挿入、位置326および327の間へのGの挿入、位置326および327の間へのAの挿入、位置326および327の間へのTの挿入、位置326および327の間へのDの挿入、ならびに位置326および327の間へのEの挿入を含む(ナンバリングは、EUインデックスに従う)。その上、米国特許出願公開第2006/0235208号に記載されている変異は、227G/332E、234D/332E、234E/332E、234Y/332E、234I/332E、234G/332E、235I/332E、235S/332E、235D/332E、235E/332E、236S/332E、236A/332E、236S/332D、236A/332D、239D/268E、246H/332E、255Y/332E、258H/332E、260H/332E、264I/332E、267E/332E、267D/332E、268D/332D、268E/332D、268E/332E、268D/332E、268E/330Y、268D/330Y、272R/332E、272H/332E、283H/332E、284E/332E、293R/332E、295E/332E、304T/332E、324I/332E、324G/332E、324I/332D、324G/332D、327D/332E、328A/332E、328T/332E、328V/332E、328I/332E、328F/332E、328Y/332E、328M/332E、328D/332E、328E/332E、328N/332E、328Q/332E、328A/332D、328T/332D、328V/332D、328I/332D、328F/332D、328Y/332D、328M/332D、328D/332D、328E/332D、328N/332D、328Q/332D、330L/332E、330Y/332E、330I/332E、332D/330Y、335D/332E、239D/332E、239D/332E/330Y、239D/332E/330L、239D/332E/330I、239D/332E/268E、239D/332E/268D、239D/332E/327D、239D/332E/284E、239D/268E/330Y、239D/332E/268E/330Y、239D/332E/327A、239D/332E/268E/327A、239D/332E/330Y/327A、332E/330Y/268 E/327A、239D/332E/268E/330Y/327A、挿入G>297-298/332E、挿入A>297-298/332E、挿入S>297-298/332E、挿入D>297-298/332E、挿入G>326-327/332E、挿入A>326-327/332E、挿入T>326-327/332E、挿入D>326-327/332E、挿入E>326-327/332E、挿入G>235-236/332E、挿入A>235-236/332E、挿入S>235-236/332E、挿入T>235-236/332E、挿入N>235-236/332E、挿入D>235-236/332E、挿入V>235-236/332E、挿入L>235-236/332E、挿入G>235-236/332D、挿入A>235-236/332D、挿入S>235-236/332D、挿入T>235-236/332D、挿入N>235-236/332D、挿入D>235-236/332D、挿入V>235-236/332Dおよび挿入L>235-236/332Dを含み(EUインデックスに従ったナンバリング)、使用に企図される。変異体L234A/L235Aは、例えば、2003年6月12日に公開された、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2003/0108548号に記載されている。実施形態では、記載されている改変は、個々にまたは組み合わせてのいずれかで含まれる(EUインデックスに従ったナンバリング)。
【0198】
PK部分
一部の実施形態では、RNaseは、足場として、また、RNaseの血清半減期を増加させる手段として機能するPK部分に作動可能に連結される。
【0199】
適したPK部分は、当技術分野で周知であり、そのようなものとして、アルブミン、トランスフェリン、Fcおよびそれらのバリアント、ならびにポリエチレングリコール(PEG)およびその誘導体が挙げられるがこれらに限定されない。適したPK部分として、US5,876,969、WO2011/124718およびWO2011/0514789に開示されているもの等、HSAまたはそのバリアントもしくは断片;WO2011/053982、WO02/060955、WO02/096948、WO05/047327、WO05/018572およびUS2007/0111281に開示されているもの等、FcおよびFcバリアント;US7,176,278およびUS8,158,579に開示されているトランスフェリンまたはそのバリアントもしくは断片;ならびにZalipsky et al. (”Use of Functionalized Poly(Ethylene Glycols) for Modification of Polypeptides” in Polyethylene Glycol Chemistry: Biotechnical and Biomedical Applications, J. M. Harris, Plenus Press, New York (1992))およびZalipsky et al. Advanced Drug Reviews 1995:16: 157-182)ならびに米国特許第4,640,835号、同第4,496,689号、同第4,301,144号、同第4,670,417号、同第4,791,192号、同第4,179,337号および同第5,932,462号(前述の内容は参照により本明細書に組み込まれる)に開示されているもの等、PEGまたは誘導体が挙げられるがこれらに限定されない。常套的な方法を使用して、PK部分を本発明のRNaseに作動可能に結合させること(例えば、クローニング、コンジュゲーション)は、当業者の能力の範囲内にある。
【0200】
一部の実施形態では、PK部分は、天然に非グリコシル化されたHSAである。
【0201】
一部の実施形態では、PK部分は、野生型Fc(配列番号20)である。
【0202】
ある特定の実施形態では、Fcドメインは、例えば、アミノ酸変異(例えば、付加、欠失または置換)によって変更または改変される。本明細書で使用される場合、用語「Fcドメインバリアント」は、Fcドメインが由来する野生型Fcと比較して、アミノ酸置換等の少なくとも1つのアミノ酸改変を有するFcドメインを指す。例えば、Fcドメインが、ヒトIgG1抗体に由来する場合、バリアントは、ヒトIgG1 Fc領域の対応する位置における野生型アミノ酸と比較して、少なくとも1つのアミノ酸変異(例えば、置換)を含む。例えば、Fcドメインが、ヒトIgG4抗体に由来する場合、バリアントは、ヒトIgG4 Fc領域の対応する位置に、野生型アミノ酸と比較して、少なくとも1個のアミノ酸変異(例えば、置換)を含む。
【0203】
一部の実施形態では、PK部分は、本明細書に記載されているFcバリアントのいずれかである。
【0204】
一部の実施形態では、PK部分は、野生型HSTである。他の実施形態では、PK部分は、N413および/またはN611および/またはS12(S12は、潜在的なO結合型グリコシル化部位である)に変異を有するHSTであり、変更されたグリコシル化を有するHSTを生じる(すなわち、HST N413S、HST N611S、HST N413S/N611SおよびHST S12A/N413S/N611S)。
【0205】
リンカードメイン
いくつかの実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、リンカードメインを含む。いくつかの実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、複数のリンカードメインを含む。いくつかの実施形態では、リンカードメインは、ポリペプチドリンカーである。特定の態様では、ポリペプチドリンカーを用いて、Fcまたはそのバリアントもしくは断片を1つまたはそれを超えるヌクレアーゼドメインに融合し、RNase-Fc融合タンパク質を形成することが望ましい。
【0206】
一実施形態では、ポリペプチドリンカーは、合成である。本明細書で使用される場合、ポリペプチドリンカーに関する用語「合成」は、これが自然状態では天然に連結されていない配列(これは天然に存在しても存在しなくてもよい)(例えば、Fc配列)に、アミノ酸の線状配列において連結されるアミノ酸配列(これは天然に存在しても存在しなくてもよい)を含むペプチド(またはポリペプチド)を含む。例えば、ポリペプチドリンカーは、天然に存在するポリペプチドの改変形態である(例えば、付加、置換または欠失等の変異を含む)、または第1のアミノ酸配列(これは天然に存在しても存在しなくてもよい)を含む、天然に存在しないポリペプチドを含むことができる。本発明のポリペプチドリンカーを用いて、例えば、Fcまたはそのバリアントもしくは断片が並置されることを確実にして、機能的Fcまたはそのバリアントもしくは断片の適正なフォールディングおよび形成を確実にすることができる。好ましくは、本発明と適合性であるポリペプチドリンカーは、相対的に非免疫原性であり、結合タンパク質の単量体サブユニットの間のいかなる非共有結合的会合も阻害しないであろう。
【0207】
特定の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、配列番号37に示されるNLGリンカーを用いる。
【0208】
特定の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質は、ポリペプチドリンカーを用いて、単一ポリペプチド鎖においてインフレームで任意の2つまたはそれを超えるドメインを接続する。一実施形態では、2つまたはそれを超えるドメインは、本明細書で議論されるFcドメインもしくはそのバリアントもしくは断片またはヌクレアーゼドメインのいずれかから独立して選択され得る。一実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質のRNaseドメインは、Fcドメインにリンカードメインを介して作動可能に連結される。一実施形態では、ポリペプチドリンカーは、同一のFc断片を融合し、それによりホモ二量体Fc領域を形成するために使用され得る。他の実施形態では、ポリペプチドリンカーは、異なるFc断片を融合し、それによりヘテロ二量体Fc領域を形成するために使用され得る。他の実施形態では、本発明のポリペプチドリンカーは、第1のFc断片のC末端を第2のFc断片のN末端に遺伝子的に融合して、完全Fcドメインを形成するために使用され得る。
【0209】
一実施形態では、ポリペプチドリンカーは、Fcドメインまたはそのバリアントもしくは断片の部分を含む。例えば、一実施形態では、ポリペプチドリンカーは、Fc断片(例えば、CまたはNドメイン)、またはFcドメインもしくはそのバリアントの異なる部分を含むことができる。
【0210】
別の実施形態では、ポリペプチドリンカーは、gly-serリンカーを含むまたはこれからなる。本明細書で使用される場合、用語「gly-serリンカー」は、グリシンおよびセリン残基からなるペプチドを指す。例示的なgly/serリンカーは、式(Gly4Ser)nのアミノ酸配列を含み、式中、nは、正の整数(例えば、1、2、3、4または5)である。好まれるgly/serリンカーは、(Gly4Ser)4である。別の好まれるgly/serリンカーは、(Gly4Ser)3である。別の好まれるgly/serリンカーは、(Gly4Ser)5である。ある特定の実施形態では、gly-serリンカーは、ポリペプチドリンカー(例えば、本明細書に記載されているポリペプチドリンカー配列のいずれか)の2個の他の配列の間に挿入することができる。他の実施形態では、gly-serリンカーは、ポリペプチドリンカー(例えば、本明細書に記載されているポリペプチドリンカー配列のいずれか)の別の配列の一方または両方の末端に付着される。さらに他の実施形態では、2つまたはそれよりも多いgly-serリンカーが、ポリペプチドリンカーにおいて連続して取り込まれる。
【0211】
他の実施形態では、本発明のポリペプチドリンカーは、生物学的に関連するペプチド配列またはその配列部分を含む。例えば、生物学的に関連するペプチド配列として、抗拒絶反応または抗炎症性ペプチドに由来する配列を挙げることができるがこれらに限定されない。前記抗拒絶反応または抗炎症性ペプチドは、サイトカイン阻害性ペプチド、細胞接着阻害性ペプチド、トロンビン阻害性ペプチドおよび血小板阻害性ペプチドからなる群から選択され得る。好まれる実施形態では、ポリペプチドリンカーは、IL-1阻害性またはアンタゴニストペプチド配列、エリスロポエチン(EPO)ミメティックペプチド配列、トロンボポエチン(TPO)ミメティックペプチド配列、G-CSFミメティックペプチド配列、TNFアンタゴニストペプチド配列、インテグリン結合ペプチド配列、セレクチンアンタゴニストペプチド配列、抗病原性ペプチド配列、血管作用性小腸ペプチド(VIP)ミメティックペプチド配列、カルモジュリンアンタゴニストペプチド配列、マスト細胞アンタゴニスト、SH3アンタゴニストペプチド配列、ウロキナーゼ受容体(UKR)アンタゴニストペプチド配列、ソマトスタチンまたはコルチスタチンミメティックペプチド配列、ならびにマクロファージおよび/またはT細胞阻害ペプチド配列からなる群から選択されるペプチド配列を含む。そのうちいずれか1種をポリペプチドリンカーとして用いることができる例示的なペプチド配列は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,660,843号に開示されている。
【0212】
RNase-Fc融合タンパク質における使用に適した他のリンカーは、当技術分野で公知であり、例えば、US5,525,491に開示されているセリンリッチリンカー、Arai et al., Protein Eng 2001;14:529-32に開示されているヘリックス形成ペプチドリンカー(例えば、A(EAAAK)nA(n=2~5))、ならびにChen et al., Mol Pharm 2011;8:457-65に開示されている安定したリンカー、すなわち、ジペプチドリンカーLE、トロンビン感受性ジスルフィドシクロペプチドリンカーおよびアルファ-ヘリックス形成リンカーLEA(EAAAK)4ALEA(EAAAK)4ALE(配列番号39)が挙げられる。
【0213】
他の例示的なリンカーは、GSリンカー(すなわち、(GS)n)、GGSG(配列番号40)リンカー(すなわち、(GGSG)n)、GSATリンカー(配列番号41)、SEGリンカーおよびGGSリンカー(すなわち、(GGSGGS)n)を含み、式中、nは、正の整数(例えば、1、2、3、4または5)である。RNase-Fc融合タンパク質における使用のための他の適したリンカーは、リンカーデータベース(ibi.vu.nl/programs/linkerdbwww)等、公開データベースを使用して見出すことができる。リンカーデータベースは、新規融合タンパク質において潜在的なリンカーとして機能する多機能性酵素におけるドメイン間リンカーのデータベースである(例えば、George et al., Protein Engineering 2002;15:871-9を参照)。
【0214】
1つまたは複数のアミノ酸置換、付加または欠失が、ポリペプチドリンカーに導入されるように、ポリペプチドリンカーをコードするヌクレオチド配列に1つまたは複数のヌクレオチド置換、付加または欠失を導入することにより、これらの例示的なポリペプチドリンカーのバリアント形態を作製することができることが理解されるであろう。変異は、部位特異的変異誘発およびPCR媒介性変異誘発等、標準技法によって導入することができる。
【0215】
本開示のポリペプチドリンカーは、少なくとも1アミノ酸の長さであり、変動的な長さとなり得る。一実施形態では、本発明のポリペプチドリンカーは、約1~約50アミノ酸の長さである。この文脈で使用される場合、用語「約」は、+/-2アミノ酸残基を示す。リンカーの長さは正の整数でなければならないため、約1~約50アミノ酸の長さという長さは、1から48~52アミノ酸の長さという長さを意味する。別の実施形態では、本開示のポリペプチドリンカーは、約10~20アミノ酸の長さである。別の実施形態では、本開示のポリペプチドリンカーは、約15~約50アミノ酸の長さである。
【0216】
別の実施形態では、本開示のポリペプチドリンカーは、約20~約45アミノ酸の長さである。別の実施形態では、本開示のポリペプチドリンカーは、約15~約25アミノ酸の長さである。別の実施形態では、本開示のポリペプチドリンカーは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60もしくは61またはそれよりも多いアミノ酸の長さである。
【0217】
ポリペプチドリンカーは、当技術分野で公知の技法を使用して、ポリペプチド配列に導入することができる。改変は、DNA配列解析によって確認することができる。プラスミドDNAを使用して、産生されるポリペプチドの安定した産生のために宿主細胞を形質転換することができる。
【0218】
変更されたグリコシル化を有するRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質
グリコシル化(例えば、O結合型(O-lined)またはN結合型グリコシル化)は、例えば、マンノースおよびアシアロ糖タンパク質受容体ならびに他のレクチン様受容体による、その循環からの除去を最小化することにより、RNase-Fc融合タンパク質を含む、本開示のRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質の血清半減期に影響を与えることができる。したがって、一部の実施形態では、本開示の可溶性インターフェロン受容体は、非グリコシル化、脱グリコシル化または不十分グリコシル化形態で調製される。好ましくは、N結合型グリコシル化は変更され、RNase-Fc融合タンパク質は非グリコシル化(aglycosyated)される。
【0219】
一部の実施形態では、Asn-X-Ser/Thr(Xは、Proを除く他のいずれかの天然に存在するアミノ酸であり得る)コンセンサスに適合するRNase-Fc融合タンパク質における全てのアスパラギン残基は、N結合型グリコシル化のアクセプターとして機能しない残基(例えば、セリン、グルタミン)に変異され、これにより、タンパク質をグリコシル化する細胞において合成されたときに、RNase-Fc融合タンパク質のグリコシル化を排出する。
【0220】
一部の実施形態では、N結合型グリコシル化部位を欠くRNase-Fc融合タンパク質は、哺乳動物細胞において産生される。一実施形態では、哺乳動物細胞は、CHO細胞である。したがって、特異的な実施形態では、非グリコシル化されたRNase-Fc融合タンパク質は、CHO細胞において産生される。
【0221】
他の実施形態では、N-グリコシル化の低下または欠如は、例えば、宿主(例えば、E.coli等の細菌)、グリコシル化に重要な1種もしくは複数の酵素を欠くように操作された哺乳動物細胞、またはツニカマイシン(Dol-PP-GlcNAc形成の阻害剤)等のグリコシル化を防止する薬剤で処置された哺乳動物細胞においてRNase-Fc融合タンパク質を産生することによって達成される。
【0222】
一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、高マンノース型糖ではなく複合N-グリカンを有する糖タンパク質を産生するように操作された下等真核生物において産生される(例えば、US2007/0105127を参照)。
【0223】
一部の実施形態では、グリコシル化されたRNase-Fc融合タンパク質(例えば、CHO細胞等の哺乳動物細胞において産生された受容体)は、化学的にまたは酵素的に処置されて、1つもしくは複数の炭水化物残基(例えば、1つまたは複数のマンノース、フコースおよび/またはN-アセチルグルコサミン残基)を除去する、または1つもしくは複数の炭水化物残基を修飾もしくは遮蔽する。そのような修飾または遮蔽は、マンノース受容体および/またはアシアロ糖タンパク質受容体および/または他のレクチン様受容体へのRNase-Fc融合タンパク質の結合を低下させることができる。化学的脱グリコシル化は、例えば、Sojar et al., JBC 1989;264:2552-9およびSojar et al., Methods Enzymol 1987;138:341-50に開示されている通り、トリフルオロメタンスルホン酸(TFMS)でRNase-Fc融合タンパク質を処置することにより、またはSojar et al.(1987、上記参照)に開示されている通り、フッ化水素で処置することにより達成することができる。RNase-Fc融合タンパク質からのN結合型炭水化物の酵素による除去は、Thotakura et al. (Methods Enzymol
1987;138:350-9)に開示されている通り、タンパク質N-グリコシダーゼ(PNGase)AまたはFでRNase-Fc融合タンパク質を処置することにより達成することができる。使用に適した他の当技術分野で認識されている市販の脱グリコシル化酵素は、エンド-アルファ-N-アセチル-ガラクトサミニダーゼ、エンドグリコシダーゼF1、エンドグリコシダーゼF2、エンドグリコシダーゼF3およびエンドグリコシダーゼHを含む。一部の実施形態では、これらの酵素のうち1種または複数を使用して、本開示のRNase-Fc融合タンパク質を脱グリコシル化することができる。脱グリコシル化のための代替方法は、例えば、US8,198,063に開示されている。
【0224】
一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、部分的に脱グリコシル化されている。部分的脱グリコシル化は、複合型炭水化物ではなくN結合型高マンノース炭水化物を切断するエンドグリコシダーゼ(例えば、エンドグリコシダーゼH)でRNase-Fc融合タンパク質を処置し、アスパラギンに連結される単一GlcNAc残基を残すことにより達成することができる。エンドグリコシダーゼHで処置されたRNase-Fc融合タンパク質は、高マンノース炭水化物を欠き、肝マンノース受容体との相互作用低下をもたらすであろう。この受容体は、末端GlcNAcを認識するが、タンパク質表面における単一GlcNAcとの生産的相互作用の確率は、インタクト高マンノース構造との生産的相互作用の確率ほど大きくはない。
【0225】
他の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質のグリコシル化は、例えば、酸化、還元、脱水、置換、エステル化、アルキル化、シアリル化、炭素間結合切断その他によって修飾されて、血液からのRNase-Fc融合タンパク質のクリアランスを低下させる。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、過ヨウ素酸塩および水素化ホウ素ナトリウムで処置されて、炭水化物構造を修飾する。過ヨウ素酸塩処置は、近接ジオールを酸化し、炭素間結合を切断し、ヒドロキシル基をアルデヒド基に置き換える;水素化ホウ素は、アルデヒドをヒドロキシルに還元する。多くの糖残基は、近接ジオールを含み、したがって、この処置によって切断される。過ヨウ素酸塩および水素化ホウ素ナトリウムによる延長された血清半減期は、これらの薬剤によるリソソーム酵素β-グルクロニダーゼの逐次処置によって例証される(例えば、Houba et al. (1996) Bioconjug Chem 1996:7:606-11;Stahl et al. PNAS 1976;73:4045-9;Achord et al. Pediat. Res 1977;11:816-22;Achord et al.
Cell 1978;15:269-78を参照)。過ヨウ素酸塩および水素化ホウ素ナトリウムによる処置のための方法は、Hickman et al., BBRC 1974;57:55-61に開示されている。リシンの血清半減期および組織分布を増加させる、過ヨウ素酸塩およびシアノ水素化ホウ素による処置のための方法は、Thorpe et al. Eur J Biochem 1985;147:197-206に開示されている。
【0226】
一実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質の炭水化物構造は、マンノースもしくはアシアロ糖タンパク質受容体または他のレクチン様受容体による構造の認識に干渉する1つまたは複数の追加的な部分(例えば、炭水化物基、リン酸基、アルキル基等)の付加によって遮蔽することができる。
【0227】
一部の実施形態では、1つまたは複数の潜在的グリコシル化部位は、RNase-Fc融合タンパク質をコードする核酸の変異によって除去され、これにより、タンパク質をグリコシル化する細胞、例えば、CHO細胞等の哺乳動物細胞において合成されるときに、RNase-Fc融合タンパク質のグリコシル化を低下させる(不十分グリコシル化)。一部の実施形態では、例えば、不十分グリコシル化されたRNase-Fc融合タンパク質が、増加した活性を示す場合、または増加した血清半減期に寄与する場合、その中の潜在的N結合型グリコシル化部位を変異させることにより、RNase-Fc融合タンパク質を選択的に不十分グリコシル化することが望ましくなり得る。他の実施形態では、例えば、そのような修飾が、RNase-Fc融合タンパク質の血清半減期を改善する場合、ある特定のドメインがN-グリコシル化を欠くように、RNase-Fc融合タンパク質の部分を不十分グリコシル化することが望ましくなり得る。あるいは、グリコシル化アクセプター近傍の他のアミノ酸を修飾し、正常にグリコシル化されるであろうアミノ酸を必ずしも変化させなくても、グリコシル化酵素のための認識モチーフを破壊することができる。
【0228】
一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質のグリコシル化は、グリコシル化部位を導入することにより変更することができる。例えば、RNase-Fc融合タンパク質のアミノ酸配列は、Asn-X-Ser/Thr(Xは、プロリン以外のいずれかのアミノ酸である)のN結合型グリコシル化のためのコンセンサス配列を導入するように修飾することができる。追加的なN結合型グリコシル化部位は、RNase-Fc融合タンパク質のアミノ酸配列のどの箇所に付加してもよい。好ましくは、グリコシル化部位は、RNase-Fc融合タンパク質の活性を実質的に低下させないアミノ酸配列における位置に導入される。
【0229】
O結合型グリコシル化部位の付加は、成長ホルモン、卵胞刺激ホルモン、IGFBP-6、第IX因子およびその他多く等、タンパク質の血清半減期を変更することが報告された(例えば、Okada et al., Endocr Rev 2011;32:2-342;Weenen et al., J Clin Endocrinol Metab 2004;89:5204-12;Marinaro et al., European Journal of Endocrinology 2000;142:512-6;US2011/0154516に開示されている通り)。したがって、一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質のO結合型グリコシル化(セリン/スレオニン残基における)が変更される。O結合型グリコシル化を変更するための方法は、当技術分野で常套的であり、例えば、ベータ-排出によって(例えば、Huang et
al., Rapid Communications in Mass Spectrometry 2002;16:1199-204;Conrad, Curr Protoc Mol Biol 2001; Chapter 17:Unit17.15A;Fukuda, Curr Protoc Mol Biol 2001;Chapter 17;Unit 17.15B;Zachara et al., Curr Protoc Mol Biol 2011; Unit 17.6; を参照);市販のキット(例えば、GlycoProfile(商標)ベータ-排出キット、Sigma)を使用することによって;またはGal β1-3GalNAcおよび/またはGlcNAc β1-3GalNAcのみが残るまで、β1-4ガラクトシダーゼおよびβ-N-アセチルグルコサミニダーゼ等が挙げられるがこれらに限定されない一連のエキソグリコシダーゼによる処置に続く、例えば、エンド-α-N-アセチルガラクトサミニダーゼ(すなわち、O-グリコシダーゼ)による処置にRNase-Fc融合タンパク質を付すことによって、達成することができる。そのような酵素は、例えば、New England Biolabsから市販されている。さらに他の実施形態では、例えば、Okada et al.(上記参照)、Weenen et al.(上記参照)、US2008/0274958;およびUS2011/0171218に開示されている通り、RNase-Fc融合タンパク質は、RNase-Fc融合タンパク質にO結合型グリコシル化を導入するように変更される。一部の実施形態では、CXXGGT/S-C(配列番号59)(van den Steen et al., In Critical Reviews in Biochemistry and Molecular Biology, Michael Cox, ed., 1998;33:151-208)、NST-E/D-A(配列番号60)、NITQS(配列番号61)、QSTQS(配列番号62)、D/E-FT-R/K-V(配列番号63)、C-E/D-SN(配列番号64)およびGGSC-K/R(配列番号65)等、1つまたは複数のO結合型グリコシル化コンセンサス部位が、RNase-Fc融合タンパク質に導入される。追加的なO結合型グリコシル化部位は、RNase-Fc融合タンパク質のアミノ酸配列のどの箇所に付加してもよい。好ましくは、グリコシル化部位は、RNase-Fc融合タンパク質の活性を実質的に低下させないアミノ酸配列における位置に導入される。あるいは、O結合型糖部分は、例えば、WO87/05330およびAplin et al., CRC
Crit Rev Biochem 1981;259-306)に記載されている通り、RNase-Fc融合タンパク質におけるアミノ酸を化学修飾することにより導入される。
【0230】
一部の実施形態では、N結合型およびO結合型グリコシル化部位の両方が、RNase-Fc融合タンパク質に、好ましくは、RNase-Fc融合タンパク質の活性を実質的に低下させないアミノ酸配列における位置に導入される。
【0231】
RNase-Fc融合タンパク質におけるグリコシル化(例えば、N結合型またはO結合型グリコシル化)を導入、低下または排出し、当技術分野で常套的な方法を使用して、グリコシル化状態におけるそのような修飾が、RNase-Fc融合タンパク質の活性または血清半減期を増加または減少させるか決定することは、十分に当業者の能力の範囲内にある。
【0232】
一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、変更されたグリコフォーム(例えば、不十分フコシル化(underfucosylated)またはフコース不含グリカン)を含むことができる。
【0233】
一部の実施形態では、変更されたグリコシル化を有するRNase-Fc融合タンパク質は、対応するグリコシル化されたRNase-Fc融合タンパク質(例えば、潜在的N結合型グリコシル化部位が変異されていないRNase-Fc融合タンパク質)と比べて、少なくとも約1.5倍、例えば、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍、少なくとも約600倍、少なくとも約700倍、少なくとも約800倍、少なくとも約900倍、少なくとも約1000倍もしくは1000倍またはそれを超えて増加した血清半減期を有する。常套的な当技術分野で認識される方法を使用して、変更されたグリコシル化状態を有するRNase-Fc融合タンパク質の血清半減期を決定することができる。
【0234】
一部の実施形態では、変更されたグリコシル化を有するRNase-Fc融合タンパク質(例えば、非グリコシル化、脱グリコシル化または不十分グリコシル化されたRNase-Fc融合タンパク質)は、対応するグリコシル化されたRNase-Fc融合タンパク質(例えば、潜在的N結合型グリコシル化部位が変異されていないRNase-Fc融合タンパク質)の活性の少なくとも50%、例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%または100%を保持する。
【0235】
一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質のグリコシル化状態の変更は、活性を直接的に増加させることにより、またはバイオアベイラビリティ(例えば、血清半減期)を増加させることにより、活性を増加させることができる。したがって、一部の実施形態では、変更されたグリコシル化を有するRNase-Fc融合タンパク質の活性は、対応するグリコシル化されたRNase-Fc融合タンパク質(例えば、潜在的N結合型グリコシル化部位が変異されていないRNase-Fc融合タンパク質)と比べて、少なくとも1.3倍、例えば、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9倍、少なくとも9.5倍もしくは10倍またはそれを超えて増加される。
【0236】
当業者は、当技術分野で認識される方法を使用して、RNase-Fc融合タンパク質のグリコシル化状態を容易に決定することができる。好まれる実施形態では、グリコシル化状態は、質量分析を使用して決定される。他の実施形態では、コンカナバリンA(Con A)との相互作用を評価して、RNase-Fc融合タンパク質が不十分グリコシル化されているか決定することができる。不十分グリコシル化されたRNase-Fc融合タンパク質は、対応するグリコシル化されたRNase-Fc融合タンパク質と比較して、Con A-セファロースへの結合低下を示すと予想される。SDS-PAGE解析を使用して、不十分グリコシル化されたタンパク質および対応するグリコシル化されたタンパク質の移動度を比較することもできる。不十分グリコシル化されたタンパク質は、グリコシル化されたタンパク質と比較して、SDS-PAGEにおけるより大きい移動度を有すると予想される。タンパク質グリコシル化状態を解析するための、他の適した当技術分野で認識される方法は、例えば、Roth et al., International Journal of Carbohydrate Chemistry 2012;1-10に開示されている。
【0237】
異なるグリコシル化状態を有するRNase-Fc融合タンパク質の血清半減期等の薬物動態は、常套的な方法を使用して、例えば、マウスに、例えば、静脈内にRNase-Fc融合タンパク質を導入し、所定の時点で血液試料を採取し、試料におけるRNase-Fc融合タンパク質のレベルおよび/または活性をアッセイおよび比較することにより、アッセイすることができる。
【0238】
RNase-Fc融合タンパク質を作製する方法
RNase-Fc融合タンパク質を含めRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質は、組換えDNA技法を使用して、形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞において作製される。これをなすために、RNase-Fc融合タンパク質をコードする組換えDNA分子が調製される。そのようなDNA分子を調製する方法は、当技術分野で周知である。例えば、RNase-Fc融合タンパク質をコードする配列は、適した制限酵素を使用して、DNAから切除することができる。あるいは、DNA分子は、ホスホロアミド酸塩方法等、化学合成技法を使用して合成することができる。また、これらの技法の組合せを使用することができる。
【0239】
本発明は、また、適切な宿主においてRNase-Fc融合タンパク質を発現することができるベクターを含む。ベクターは、適切な発現制御配列に作動可能に連結される、RNase-Fc融合タンパク質をコードするDNA分子を含む。DNA分子がベクターに挿入される前または後に、この作動可能な連結に影響を与える方法が周知である。発現制御配列は、プロモーター、アクチベーター、エンハンサー、オペレーター、リボソームヌクレアーゼドメイン、開始シグナル、終止シグナル、キャップシグナル、ポリアデニル化シグナル、および転写または翻訳の制御に関与する他のシグナルを含む。
【0240】
DNA分子を有するその結果生じるベクターは、適切な宿主の形質転換またはトランスフェクトに使用される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質は、RNase-Fc融合タンパク質をコードするDNAを含む2種またはそれよりも多い発現ベクターを適切な宿主にコトランスフェクトまたは同時形質転換することにより作製することができる。この形質転換またはトランスフェクションは、当技術分野で周知の方法を使用して行うことができる。
【0241】
多数の利用でき周知の宿主細胞のいずれかを、本発明の実施において使用することができる。特定の宿主の選択は、当技術分野で認識される多数の因子に依存する。そのようなものとして、例えば、選ばれた発現ベクターとの適合性、DNA分子によってコードされるRNase-Fc融合タンパク質の毒性、形質転換またはトランスフェクションの率、RNase-Fc融合タンパク質の回収の容易さ、発現特徴、バイオセイフティーおよび費用が挙げられる。これらの因子は、全ての宿主が特定のDNA配列の発現に等しく有効となり得るとは限らないことの理解と均衡を取らなければならない。これらの一般ガイドライン内で、有用な微生物宿主は、細菌(E.coli等)、酵母(Saccharomyces等)および他の真菌、昆虫、植物、培養中の哺乳動物(ヒトを含む)細胞、または当技術分野で公知の他の宿主を含む。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、CHO細胞において産生される。
【0242】
次に、形質転換またはトランスフェクトされた宿主が培養され、精製される。宿主細胞は、所望の化合物が発現されるように、従来の発酵または培養条件下で培養することができる。そのような発酵および培養条件は、当技術分野で周知である。最後に、RNase-Fc融合タンパク質が、当技術分野で周知の方法によって培養物から精製される。
【0243】
化合物は、合成方法によって作製することもできる。例えば、固相合成技法を使用することができる。適した技法は、当技術分野で周知であり、Merrifield (1973), Chem. Polypeptides, pp. 335-61 (Katsoyannis and Panayotis eds.);Merrifield (1963), J. Am. Chem. Soc. 85: 2149;Davis
et al., Biochem Intl 1985;10: 394-414;Stewart and Young (1969), Solid Phase Peptide Synthesis;米国特許第3,941,763号;Finn et al. (1976), The Proteins (3rd ed.) 2: 105-253;およびErickson et al. (1976), The Proteins (3rd ed.) 2: 257-527に記載されている技法を含む。一部の実施形態では、誘導体化ペプチドを含有するまたは非ペプチド基を含有する化合物は、周知の有機化学技法によって合成することができる。
【0244】
分子発現/合成の他の方法は、当業者にとって一般に当技術分野で公知である。
【0245】
医薬組成物
ある特定の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質を含む、本開示のRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質を単独で投与する。ある特定の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質を少なくとも1つの他の治療剤の投与前に投与する。ある特定の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質を少なくとも1つの他の治療剤の投与と同時に投与する。ある特定の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質を少なくとも1つの他の治療剤の投与の後に投与する。他の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質を少なくとも1つの他の治療剤の投与前に投与する。当業者には理解されるように、一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質を他の薬剤/化合物と組み合わせる。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質と他の薬剤を同時に投与する。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質と他の薬剤を同時には投与せず、RNase-Fc融合タンパク質を、薬剤を投与する前、またはその後に投与する。一部の実施形態では、対象は、同じ防止期間、障害の発症、および/または処置期間中、RNase-Fc融合タンパク質と他の薬剤の両方を受ける。
【0246】
本開示の医薬組成物は、併用療法で、すなわち、他の薬剤と組み合わせて投与することができる。ある特定の実施形態では、併用療法は、RNase-Fc融合タンパク質と少なくとも1つの他の薬剤の組合せを含む。薬剤としては、これだけに限定されないが、in vitroで合成により調製された化学組成物、抗体、抗原結合性領域、ならびにその組合せおよびコンジュゲートが挙げられる。ある特定の実施形態では、薬剤は、アゴニスト、アンタゴニスト、アロステリックなモジュレーター、または毒素としての機能を果たし得る。
【0247】
ある特定の実施形態では、本開示は、RNase-Fc融合タンパク質を薬学的に許容される希釈剤、担体、可溶化剤、乳化剤(emulsifier)、防腐剤および/またはアジュバントと共に含む医薬組成物を提供する。
【0248】
ある特定の実施形態では、本発明は、RNase-Fc融合タンパク質および治療有効量の少なくとも1つの追加的な治療剤を、薬学的に許容される希釈剤、担体、可溶化剤、乳化剤、防腐剤および/またはアジュバントと共に含む医薬組成物を提供する。
【0249】
ある特定の実施形態では、許容される製剤材料は、使用される投与量および濃度でレシピエントに対して無毒性であることが好ましい。一部の実施形態では、製剤材料(単数または複数)は、s.c.投与用および/またはI.V.投与用である。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、例えば、組成物のpH、重量オスモル濃度、粘度、清澄性、色、等張性、匂い、無菌性、安定性、溶解または放出の速度、吸着または透過を改変する、維持するまたは保存するための製剤材料を含有し得る。ある特定の実施形態では、適切な製剤材料としては、これだけに限定されないが、アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンもしくはリジン等);抗菌薬;抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウムもしくは亜硫酸水素ナトリウム等);緩衝液(例えば、ホウ酸、炭酸水素、Tris-HCl、クエン酸、リン酸もしくは他の有機酸等);増量剤(例えば、マンニトールもしくはグリシン等);キレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等);錯化剤(例えば、カフェイン、ポリビニルピロリドン、ベータ-シクロデキストリンもしくはヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリン等);充填剤;単糖;二糖;および他の炭水化物(例えば、グルコース、マンノースもしくはデキストリン等);タンパク質(例えば、ゼラチン等);着色剤、香味剤および希釈剤;乳化剤(emulsifying agent);親水性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン等);低分子量ポリペプチド;塩形成性対イオン(例えば、ナトリウム等);防腐剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸もしくは過酸化水素等);溶媒(例えば、グリセリン、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコール等);糖アルコール(例えば、マンニトールもしくはソルビトール等);懸濁化剤;界面活性物質もしくは湿潤剤(例えば、プルロニック(登録商標)、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルベート20、ポリソルベート80等のポリソルベート、トリトン、トロメタミン、レシチン、コレステロール、チロキサポール等);安定性増強剤(例えば、スクロースもしくはソルビトール等);張度増強剤(例えば、ハロゲン化アルカリ金属、好ましくは塩化ナトリウムもしくは塩化カリウム、マンニトールソルビトール等);送達ビヒクル;希釈剤;賦形剤および/または医薬アジュバントが挙げられる(Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, A. R. Gennaro, ed., Mack Publishing Company (1995))。一部の実施形態では、製剤は、PBS;20mMのNaOAC、pH5.2、50mMのNaCl;および/または10mMのNAOAC、pH5.2、9%スクロースを含む。
【0250】
ある特定の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質および/または治療用分子を当技術分野で公知の半減期延長ビヒクルと連結する。そのようなビヒクルとしては、これだけに限定されないが、ポリエチレングリコール、グリコーゲン(例えば、RNase-Fc融合タンパク質のグリコシル化)、およびデキストランが挙げられる。そのようなビヒクルは、例えば、米国特許出願第09/428,082号、現在米国特許第6,660,843号およびPCT特許公開第WO99/25044号に記載されている。
【0251】
ある特定の実施形態では、最適な医薬組成物は、当業者により、例えば、意図された投与経路、送達形式および所望の投与量に基づいて決定される。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、上記を参照されたい。ある特定の実施形態では、そのような組成物は、本開示の融合タンパク質の物理的な状態、安定性、in vivo放出の速度およびin vivoクリアランスの速度に影響を及ぼす可能性がある。
【0252】
ある特定の実施形態では、医薬組成物中の主要なビヒクルまたは担体は、水性であっても非水性であってもよい。例えば、ある特定の実施形態では、適切なビヒクルまたは担体は、場合によって非経口投与用の組成物によく見られる他の材料を補充した、注射用水、生理的食塩水または人工脳脊髄液であり得る。一部の実施形態では、生理食塩水は、等張性リン酸緩衝食塩水を含む。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、約pH7.0~8.5のトリス緩衝液または約pH4.0~5.5の酢酸緩衝液を含み、したがって、ソルビトールまたは適切な代用物をさらに含み得る。ある特定の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質を少なくとも1つの追加的な治療剤を伴ってまたは伴わずに含む組成物を、保管のために、所望の程度の純度を有する選択された組成物を必要に応じた製剤化剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences、上記)と混合することにより、凍結乾燥したケーキまたは水溶液の形態で調製することができる。さらに、ある特定の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質を少なくとも1つの追加的な治療剤を伴ってまたは伴わずに含む組成物を、スクロース等の妥当な賦形剤を使用し、凍結乾燥物として製剤化することができる。
【0253】
ある特定の実施形態では、医薬組成物を非経口送達のために選択することができる。ある特定の実施形態では、組成物を、経口的に等の、吸入または消化管を通じた送達のために選択することができる。そのような薬学的に許容される組成物の調製は、当業者の能力の範囲内に入る。
【0254】
ある特定の実施形態では、製剤構成成分は、投与の部位に許容される濃度で存在する。ある特定の実施形態では、組成物を生理的pHまたはわずかに低いpH、典型的には約5~約8までのpH範囲内に維持するために緩衝液を使用する。
【0255】
ある特定の実施形態では、非経口投与が企図されている場合、治療用組成物は、薬学的に許容されるビヒクル中の、パイロジェンフリーであり、所望のRNase-Fc融合タンパク質を追加的な治療剤を伴ってまたは伴わずに含む、非経口的に許容される水溶液の形態であり得る。ある特定の実施形態では、非経口注射用のビヒクルは、適正に保存された、RNase-Fc融合タンパク質が少なくとも1つの追加的な治療剤を伴ってまたは伴わずに滅菌等張性溶液として製剤化された滅菌蒸留水である。ある特定の実施形態では、調製は、所望の分子を、製品の制御放出または持続放出をもたらすことができ、そしてデポ注射によって送達することができる注射用マイクロスフェア、生物侵食性粒子、高分子化合物(例えば、ポリ乳酸またはポリグリコール酸等)、ビーズまたはリポソーム等の薬剤と共に製剤化することを伴う。ある特定の実施形態では、ヒアルロン酸を使用することもでき、これには、循環中の長期にわたる持続時間を促進する効果がある。ある特定の実施形態では、埋め込み型薬物送達デバイスを使用して所望の分子を導入することができる。
【0256】
ある特定の実施形態では、医薬組成物を吸入用に製剤化することができる。ある特定の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質を、少なくとも1つの追加的な治療剤を伴ってまたは伴わずに、吸入用の乾燥粉末として製剤化することができる。ある特定の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質を少なくとも1つの追加的な治療剤を伴ってまたは伴わずに含む吸入溶液を、エアロゾル送達用の噴射剤を用いて製剤化することができる。ある特定の実施形態では、溶液を噴霧することができる。経肺投与は、化学修飾されたタンパク質の経肺送達について記載されているPCT出願第PCT/US94/001875号にさらに記載されている。
【0257】
ある特定の実施形態では、製剤を経口投与できることが企図されている。ある特定の実施形態では、この方式で投与される、少なくとも1つの追加的な治療剤を伴うまたは伴わないRNase-Fc融合タンパク質は、錠剤およびカプセル剤等の固体剤形の配合において習慣的に使用される担体を伴ってまたは伴わずに製剤化することができる。ある特定の実施形態では、カプセル剤を、製剤の活性部分が、胃腸管内で生物学的利用能が最大化され、かつ前全身性(pre-systemic)分解が最小化される時点で放出されるように設計することができる。ある特定の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質および/または任意の追加的な治療剤の吸収を容易にするために、少なくとも1つの追加的な薬剤を含めることができる。ある特定の実施形態では、希釈剤、香味剤、低融点ワックス、植物油、滑沢剤、懸濁化剤、錠剤崩壊剤、および結合剤も使用することができる。
【0258】
ある特定の実施形態では、医薬組成物は、有効な数量のRNase-Fc融合タンパク質を、少なくとも1つの追加的な治療剤を伴ってまたは伴わずに、錠剤の製造に適した無毒性賦形剤との混合物として伴い得る。ある特定の実施形態では、錠剤を滅菌水または別の妥当なビヒクルに溶解させることにより、溶液を単位用量形態で調製することができる。ある特定の実施形態では、適切な賦形剤として、これだけに限定されないが、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムもしくは炭酸水素、ラクトースもしくはリン酸カルシウム等の不活性希釈剤;またはデンプン、ゼラチンもしくはアラビアゴム等の結合剤;またはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸もしくはタルク等の潤滑剤が挙げられる。
【0259】
持続送達または制御送達製剤としての、RNase-Fc融合タンパク質を少なくとも1つの追加的な治療剤を伴ってまたは伴わずに伴う製剤を含めた追加的な医薬組成物が当業者には明らかになろう。ある特定の実施形態では、リポソーム担体、生物侵食性微小粒子または多孔質ビーズおよびデポ注射等の種々の他の持続送達または制御送達手段を製剤化するための技法も当業者には公知である。例えば、医薬組成物を送達するための多孔質ポリマー微小粒子の制御放出について記載されているPCT出願第PCT/US93/00829号を参照されたい。ある特定の実施形態では、持続放出調製物は、造形品、例えばフィルムまたはマイクロカプセルの形態の半透性ポリマーマトリックスを含み得る。持続放出マトリックスとしては、ポリエステル、ハイドロゲル、ポリ乳酸(米国特許第3,773,919号およびEP058,481)、L-グルタミン酸とガンマエチル-L-グルタミン酸の共重合体(Sidman et al, Biopolymers, 22:547-556 (1983))、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリル酸)(Langer et al., J Biomed Mater Res, 15: 167-277 (1981)およびLanger, Chem Tech, 12:98-105 (1982))、エチレン酢酸ビニル(Langer et al,、上記)またはポリ-D(-)-3-ヒドロキシ酪酸(EP133,988)が挙げられる。ある特定の実施形態では、持続放出組成物は、リポソームも含み得、これは、当技術分野で公知のいくつかの方法のいずれかによって調製することができる。例えば、Eppstein et al, PNAS, 82:3688-3692 (1985);EP036,676;EP088,046およびEP143,949を参照されたい。
【0260】
in vivo投与のために使用される医薬組成物は、典型的には滅菌されている。ある特定の実施形態では、これは、滅菌濾過膜を通す濾過によって実現することができる。ある特定の実施形態では、組成物を凍結乾燥させる場合、この方法を使用した滅菌を凍結乾燥前、または凍結乾燥および再構成後のいずれかに行うことができる。ある特定の実施形態では、非経口投与用の組成物を凍結乾燥形態でまたは溶液として保存することができる。ある特定の実施形態では、非経口用組成物は、一般に、滅菌された、アクセスポートを有する容器、例えば皮下注射針で穴をあけることができる止め栓を有する静脈内溶液バッグまたはバイアルに入れられる。
【0261】
ある特定の実施形態では、医薬組成物を製剤化したら、溶液、懸濁液、ゲル、エマルション、固体、または脱水もしくは凍結乾燥した粉末として滅菌バイアル中に保管する。ある特定の実施形態では、そのような製剤は、すぐに使える形態で保管することもでき、投与前に再構成される形態(例えば、凍結乾燥した形態)で保管することもできる。
【0262】
ある特定の実施形態では、単回用量の投与単位を生産するためのキットが提供される。ある特定の実施形態では、キットは、乾燥させたタンパク質を有する第1の容器と水性製剤を有する第2の容器の両方を含有し得る。ある特定の実施形態では、単一チャンバーおよびマルチチャンバー充填済みシリンジ(例えば、液体シリンジおよび分散シリンジ(lyosyringe))を含有するキットが含まれる。
【0263】
ある特定の実施形態では、治療的に使用される、RNase-Fc融合タンパク質を少なくとも1つの追加的な治療剤を伴ってまたは伴わずに含む医薬組成物の有効量は、例えば、治療の状況および目的に依存する。したがって、ある特定の実施形態によると、処置のために妥当な投与量レベルは、送達される分子、RNase-Fc融合タンパク質が少なくとも1つの追加的な治療剤を伴ってまたは伴わずに使用される適応症、投与経路、ならびに患者のサイズ(体重、体表または臓器サイズ)および/または状態(年齢および全体的な健康)に一部応じて変動することが当業者には理解されよう。ある特定の実施形態では、最適な治療効果を得るために、臨床医が投与量を用量設定し、投与経路を改変することができる。ある特定の実施形態では、典型的な投与量は、上記の因子に応じて、約0.5μg/kgから最大約50mg/kgまたはそれよりも多くまでにわたり得る。ある特定の実施形態では、投与量は、約5~10mg/kg、約2~8mg/kg、約3~6mg/kg、約3mg/kg、約5mg/kg、または約10mg/kgにわたり得る。
【0264】
ある特定の実施形態では、投薬の頻度については、使用される製剤中のRNase-Fc融合タンパク質および/または任意の追加的な治療剤の薬物動態パラメーターを考慮する。ある特定の実施形態では、臨床医が組成物を所望の効果が実現される投与量に達するまで投与する。ある特定の実施形態では、したがって、組成物を、単回用量として、または2回またはそれよりも多くの用量として(所望の分子を同じ量含有してもよく同じ量含有しなくてもよい)、経時的に、または埋め込み型デバイスまたはカテーテルを介した連続注入として投与することができる。妥当な投与量のさらなる精密化が当業者によって常套的に行われ、当業者が常套的に実施する課題の範囲内に入る。ある特定の実施形態では、妥当な用量応答データを使用することによって妥当な投与量を確認することができる。
【0265】
ある特定の実施形態では、医薬組成物の投与経路は、公知の方法と一致して、例えば、経口的に、静脈内、腹腔内、脳内(実質内)、脳室内、筋肉内、皮下、眼内、動脈内、門脈内、または病巣内経路による注射によるもの;持続放出系によるもの、または埋め込み型デバイスによるものである。ある特定の実施形態では、組成物をボーラス注射によって、または注入によってもしくは埋め込み型デバイスによって連続的に投与することができる。
【0266】
ある特定の実施形態では、組成物を、所望の分子を吸収させたまたは封入した膜、海綿または別の妥当な材料を埋め込むことによって局所的に投与することができる。埋め込み型デバイスを使用するある特定の実施形態では、デバイスを任意の適切な組織または臓器に埋め込むことができ、所望の分子の送達は、拡散、持効性ボーラス、または連続投与であり得る。
【0267】
ある特定の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質を少なくとも1つの追加的な治療剤を伴ってまたは伴わずに含む医薬組成物をex vivo様式で使用することが望ましい場合がある。そのような例では、患者から取り出した細胞、組織および/または臓器を、RNase-Fc融合タンパク質を少なくとも1つの追加的な治療剤を伴ってまたは伴わずに含む医薬組成物に曝露させ、その後に続けて、細胞、組織および/または臓器を患者に埋め込み戻す。
【0268】
ある特定の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質および/または任意の追加的な治療剤を、遺伝子操作されたある特定の細胞を本明細書に記載のもの等の方法を使用して埋め込んでポリペプチドを発現および分泌させることによって送達することができる。ある特定の実施形態では、そのような細胞は、動物またはヒト細胞であってよく、また、自己、異種(heterologous)、または異種(xenogeneic)であってよい。ある特定の実施形態では、細胞を不死化することができる。ある特定の実施形態では、免疫学的応答の可能性を低下させるために、細胞を封入して周囲の組織の浸潤を回避することができる。ある特定の実施形態では、封入材料は、典型的には、タンパク質製品(単数または複数)の放出を可能にするが、患者の免疫系によるまたは周囲の組織に由来する他の有害因子による細胞の破壊は防止する生体適合性の半透性ポリマー封入物または膜である。
in vitroアッセイ
【0269】
当技術分野で公知の種々のin vitroアッセイを使用して、RNase-Fc融合タンパク質を含む、本開示のRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質の有効性を評価することができる。
【0270】
例えば、正常対象由来の培養ヒトPBMC、ループス患者PBMC、またはシューグレンPBMCを単離し、培養し、RNase-Fc融合タンパク質の存在下または非存在下、様々な刺激(例えば、TLRリガンド、共刺激抗体、免疫複合体および正常血清または自己免疫血清)で処理する。刺激した細胞によるサイトカイン産生は、様々なサイトカイン(例えば、IL-6、IL-8、IL-10、IL-4、IFN-γおよびTNF-α)のための市販の試薬、例えばBiolegend(San Diego,CA)製の抗体ペアキットを使用して測定され得る。アッセイのために適切な種々の時点(例えば、24時間、48時間またはそれよりも後の時点)において培養上清を回収して、RNase-Fc融合タンパク質がサイトカイン産生に及ぼす効果を決定する。IFN-α産生は、例えば、PBL interferon source(Piscataway,NJ)から入手可能な抗ヒトIFN-α抗体および標準曲線試薬を使用して測定される。同様のアッセイが、例えばMiltenyi Biotech(Auburn,CA)から入手可能な市販の磁気ビーズベースの単離キットを使用して、精製されたヒトリンパ球亜集団(単離された単球、B細胞、pDC、T細胞など)を使用して実施される。
【0271】
当技術分野で認められている常套的な方法を使用して、刺激後の様々な時点において、PBMCまたは単離された細胞亜集団におけるリンパ球活性化受容体、例えばCD5、CD23、CD69、CD80、CD86およびCD25の発現を測定することによって、免疫細胞活性化に対するRNase-Fc融合タンパク質の効果を評価するために、マルチカラーフローサイトメトリーが使用され得る。
【0272】
RNase-Fc融合タンパク質の有効性はまた、例えば、Ahlinら、Lupus
2012:21:586-95;Mathssonら、Clin Expt Immunol 2007;147:513-20;およびChiangら、J Immunol
2011;186:1279-1288に記載されているように、SLEまたはシューグレン患者血清を正常ヒトpDCと共にインキュベートして、IFNアウトプットを活性化することによって試験され得る。理論に縛られるものではないが、SLEまたはシューグレン患者血清中の循環核酸含有免疫複合体は、Fc受容体媒介性エンドサイトーシスを介したpDCエンドソームへの核酸抗原侵入、続いて、エンドソームTLR7、8および9に対する核酸の結合およびそれらの活性化を促進する。RNase-Fc融合タンパク質の影響を評価するために、RNase-Fc融合タンパク質でSLEまたはシューグレン患者血清または血漿を前処理し、その後、健常志願者から単離されたpDC細胞の培養物に添加する。次いで、複数の時点において、産生されたIFN-αのレベルを決定する。核酸含有免疫複合体を分解することによって、有効なRNase-Fc融合タンパク質は、産生されるIFN-αの量を減少させると予想される。
【0273】
RNase-Fc融合タンパク質の有効性は、本明細書に開示されるRNase-Fc融合タンパク質で処理された細胞からのアッセイの結果と、対照製剤で処理された細胞からのアッセイの結果とを比較することによって実証される。処理後、上記様々なマーカー(例えば、サイトカイン、細胞表面受容体、増殖)のレベルは、概して、有効なRNase-Fc融合タンパク質処理群では、処理前に存在するマーカーレベルと比べて、または対照群において測定されたレベルと比べて改善される。
【0274】
処置方法
本開示のRNase-Fc融合タンパク質を含む本開示のRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質は、自己免疫障害または異常な免疫応答の処置において特に有効である。この点について、本開示のRNase-Fc融合タンパク質を含む本開示のRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質は、外部抗原および自己抗原の両方に対する望まれない免疫応答を制御、抑制、モジュレート、処置または排除ために使用されることが理解される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質を含む本開示のRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質は、自己免疫障害の患者における疲労の処置または低下に使用される。一部の実施形態では、疲労は、シェーグレン症候群関連の疲労である。
【0275】
一部の態様では、RNase-Fc融合タンパク質を含む本開示のRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質は、RNase-Fc融合タンパク質等の本開示のRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質を有効量または十分量でそれを必要とするヒト患者に投与し、これにより疾患を処置することによる、ヒト患者における自己免疫疾患の処置に有用である。所望の効果を実現するために適切な任意の投与経路が本開示により企図されている(例えば、静脈内、筋肉内、皮下)。疾患状態の処置により、状態に付随する症状の低減をもたらすことができ、これは、長期もしくは短期のものであり得る、またはさらには一過性の有益な効果であり得る。一部の実施形態では、シェーグレン病の処置は、この疾患または状態に関連する疲労の減少をもたらす。
【0276】
生化学的アッセイ
一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質を含む本開示のRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質は、それを必要とするヒト患者に投与されて、シェーグレン症候群を処置する。一部の態様では、RNase-Fc融合タンパク質の効果は、プラセボと比較して、本明細書で開示されているRNase-Fc融合タンパク質で処置したヒト患者におけるIFN-アルファレベル、IFN-アルファ応答遺伝子レベル、自己抗体価、腎臓機能および病理学、ならびに/または循環免疫複合体レベルを比較することにより実証される。
【0277】
例えば、処置を必要とするヒト対象を選択または同定する(例えば、American-European Consensus Sjogren’s Classification Criteriaを満たす患者)。対象は、例えば、シェーグレン症候群の原因または症状、例えばpSSを低減する必要があり得る。一部の実施形態では、患者は、シェーグレン症候群を有し、疲労の低減を必要とする。対象の同定は、臨床的状況で行うこともでき、他の場所で、例えば、対象の自宅において、対象自身が自己検査キットを使用することによって行うこともできる。
【0278】
ベースライン(1日目)において、RNase-Fc融合タンパク質を含む本開示のRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質の適切な第1の用量は、それを必要とする患者に投与される。RNase-Fc融合タンパク質は、本明細書に記載されている通りに製剤化される。患者の状態は、例えば、IFN-アルファレベル、IFN-アルファ応答遺伝子レベル、自己抗体価、腎臓機能および病理学、ならびに/または循環する免疫複合体レベルを測定することにより、ベースライン(1日目)においておよび第1の用量からある期間の後に、例えば、8日目、15日目、29日目、43日目、57日目、71日目、85日目、99日目にまたは試験の終わりに評価される。他の関連する判断基準を測定することもできる。用量の回数および濃さは、対象の必要に従って調整される。処置後に、対象のIFN-アルファレベル、IFN-アルファ応答遺伝子レベル、自己抗体価、腎臓機能および病理学、ならびに/または循環する免疫複合体レベルは、処置前に存在するレベルと比べて、または同様に罹患したが無処置の/対照の対象において測定されるレベルと比べて低減および/または改善される。
【0279】
疲労アッセイ
様々な患者報告成績(PRO)計測手段が、慢性疾患の対象における疲労の測定において使用および検証されてきた。そのようなPROは、当技術分野で公知であり、RNase-Fc融合タンパク質を含む本開示のRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質の有効性の評価に使用することができる。
【0280】
EULARシェーグレン症候群患者報告指標(ESSPRI)
欧州リウマチ対策連盟(European League Against Rheumatism)(EULAR)シェーグレン症候群(SS)患者報告指標(ESSPRI)を開発して、原発性シェーグレン症候群の患者の症状を評価した(Seror et al., Ann. Rheum. Dis. 2011;70:968-972)。ESSPRIは、原発性シェーグレン症候群の重要なかつ機能障害を引き起こす症状:乾燥、四肢疼痛および疲労を全て測定するための包括的なスコアとして開発した。ESSPRIは、内容妥当性を損失することのない、症状のそれぞれの測定に十分であることが示され、スコアは、計算し易い。
【0281】
ESSPRIは、原発性シェーグレン症候群の患者の症状を評価する患者記入質問票である。質問票は、次の症状のそれぞれにつき1つの、3つの尺度を含む:(1)乾燥、(2)四肢疼痛および(3)疲労。ESSPRIの各構成成分は、単一の0~10の数値的尺度により測定され、包括的ESSPRIスコアは、3つの尺度の平均である:(乾燥+四肢疼痛+疲労)/3。ESSPRIスコアの少なくとも1ポイントの減少は、臨床的に有意義である。
【0282】
一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質を含む本開示のRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質またはその医薬組成物の実効性は、RNase-Fc融合タンパク質を含む本開示のRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質またはその医薬組成物による処置後の患者における疲労の改善を評価することにより実証される。処置後に、疲労は一般に、処置前の患者における疲労のレベルと比較した場合、および/または対照製剤で処置した患者と比較した場合に、ESSPRIによって測定された際に患者において低下する。
【0283】
FACIT-疲労
慢性疾患治療の機能評価疲労尺度(FACIT-疲労)は、ここ1週間にわたる通常の日常活動における個体の疲労レベルの評価に使用される。FACIT-疲労質問票ならびにスコアリングおよび解釈材料(Scoring & Interpretation Materials)は、FACIT.org(Elmhurst、Ill.、USA)から入手できる。FACIT-疲労質問票は、数々の汎用のおよび標的化された尺度を提供する。FACIT疲労尺度は、高い内部妥当性、高い検査-再検査信頼性、種々の慢性健康状態を有する患者の変化に対する信頼性および感度、使用の容易さ、ならびに種々の設定での使用を含む多くの利益を有する(K.F. Tennant, Try This: best Practices in Nursing Care to Older Adults, Issue 30, 2012;Chandran et al., Ann. Rheum. Dis. 2007; 66: 936-939)。
【0284】
FACIT-疲労は、がん患者における疲労を測定するために本来開発された、13項目の質問票であり、現在、疲労を測定するためにシェーグレン病患者において使用されている。患者は、0~4(0=全く当てはまらない、1=ごく僅かに当てはまる、2=若干当てはまる、3=大いに当てはまる、4=非常に当てはまる)にスコアリングされた13個の質問に答えるように求められる。疲労尺度は、13項目を有し、52が最高の可能なスコアである。疲労尺度におけるより高いスコアは、より低いレベルの疲労に対応し、より良いクオリティ・オブ・ライフを指し示す。
【0285】
FACIT-疲労スコアを計算するために、否定的な言い回しの質問での応答スコアは、反転され、次いで、13項目の応答を足す。応答を有する11項目は、それらのスコアを反転させ(応答が抜けていない場合、項目スコア=4-応答)、2項目(項目7~8)は、それらの応答を変化させない。より高いスコアがより少ない疲労に対応するように、全項目を足す。個々の質問がスキップされた場合、尺度における他の答えの平均を使用してスコアを案分する。
FACIT-疲労=13*[和(反転された項目)+和(項目7~8)]/答えた項目の数
【0286】
一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質を含む本開示のRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質またはその医薬組成物の実効性は、RNase-Fc融合タンパク質を含む本開示のRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質またはその医薬組成物で処置した患者における疲労の改善を評価することにより実証される。処置後に、疲労は一般に、処置前の患者における疲労のレベルと比較した場合、および/または対照製剤で処置した患者と比較した場合に、FACIT疲労尺度によって測定された際に患者において低下する。
【0287】
疲労のプロファイル
疲労のプロファイル(ProF)を開発して、原発性シェーグレン症候群に関連する疲労の特徴付けにおいて有効な評価ツールを確立した。したがって、疲労、不快感および疼痛の患者の愁訴を表すように使用される原発性シェーグレン症候群の患者という言葉は、ProF質問票において使用された。ProFは、原発性シェーグレン症候群の患者における疲労および全身の不快感の重症度を測定するための信頼できるかつ妥当な計測手段であることが示された。
【0288】
ProFは、1つは身体的疲労に関し、もう1つは精神的疲労に関する、2つのドメインに分けられる16項目の自己記入質問票である。身体的疲労ドメインは、4つのファセット:(a)休息が必要(4項目)、(b)始動(starting)不良(3項目)、(c)スタミナが低い(3項目)および(d)筋肉が弱い(2項目)に分けられる12項目を含む。精神的疲労ドメインは、2つのファセット:(a)集中力が乏しい(2項目)および(b)記憶力が乏しい(2項目)に分けられる4項目を含む。尺度0~7(0=「全く問題ない」および7=「考え得る限りの最悪」)における項目毎の患者のスコアは、ここ2週間にわたる最悪の状態で患者がどのように感じたかに基づく。ファセット毎のスコアは、各ファセット内の項目スコアを合計し、和を各ファセットにおける項目の数で割ることにより得ることができる。ドメイン(例えば、身体的、精神的)毎のスコアは、各ドメイン内のファセットスコアを合計し、和を各ドメイン内のファセットの数で割ることにより得ることができる。より高いスコアは、より大きい疲労を指し示す(Bowman
et al., Rheumatology, 2004; 43: 758-764;Strombeck et al., Scand. J. Rheumatol. 2005;34:455-459;Segal et al., Arthritis Rheum. 2008 Dec. 15; 59(12):1780-1787)。
【0289】
一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質を含む本開示のRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質またはその医薬組成物の実効性は、RNase-Fc融合タンパク質を含む本開示のRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質またはその医薬組成物で処置した患者における疲労の改善を評価することにより実証される。処置後に、疲労は一般に、処置前の患者における疲労のレベルと比較した場合、および/または対照製剤で処置した患者と比較した場合に、ProFによって測定された際に患者において低下する。
【0290】
シェーグレン症候群関連の(Associate)疲労の低下の評価
一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質を含む本開示のRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質の実効性は、RNase-Fc融合タンパク質を含むRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質で処置した患者における疲労の低下を評価することにより実証される。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質で処置した患者は、処置前の患者における疲労のレベルと比較した場合、および/または対照製剤で処置した患者と比較した場合に、疲労の低下を実証するであろう。一部の実施形態では、疲労は、シェーグレン症候群関連の疲労である。
【0291】
一部の実施形態では、患者の状態は、処置前の患者における疲労のレベルと比較して、または同様に罹患した無処置もしくは対照患者における疲労のレベルと比べて、1種または複数種の患者報告指標(例えば、ESSPRI、ProF、FACIT)によって患者における疲労を測定することにより評価される。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質の実効性は、対照製剤で処置した患者と比較した場合に、本明細書で開示されているRNase-Fc融合タンパク質で処置した患者におけるEULAR SS患者報告指標(ESSPRI)、疲労のプロファイル(ProF)および/または慢性疾患治療の機能評価(FACIT)疲労尺度を評価することにより実証される。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質で処置した患者は、処置前の患者のESSPRI指標、ProFおよび/もしくはFACIT疲労尺度と比較した場合に、または対照製剤で処置した患者と比較した場合に、ESSPRI指標、ProFおよび/またはFACIT疲労尺度の改善を実証するであろう。
【0292】
例えば、処置を必要とするヒト対象を選択または同定する(例えば、American
College of Rheumatology criteria for SLEを満たす患者、またはAmerican-European Consensus Sjogren’s Classification Criteriaを満たす患者)。対象は、例えば、疲労などのSLEまたはシェーグレン症候群の原因または症状を低減する必要があり得る。対象の同定は、臨床的状況で行うこともでき、他の場所で、例えば、対象の自宅において、対象自身が自己検査キットを使用することによって行うこともできる。
【0293】
ベースライン(1日目)において、RNase-Fc融合物の適切な第1の用量が、対象に投与される。RNase-Fc融合タンパク質は、本明細書に記載されている通りに製剤化される。患者の状態は、例えば、ESSPRI指標、ProFおよび/またはFACIT疲労尺度によって、ベースライン(1日目)においておよび第1の用量からある期間の後に、例えば、8日目、15日目、29日目、43日目、57日目、71日目、85日目、99日目にまたは試験の終わりに評価される。他の関連性のある判断基準も測定することができる。用量の数および強度を対象の必要性に応じて調整する。処置後に、以下の転帰の1つまたは複数の改善を認めることができる:(1)処置前のESSPRI指数と比べた、または同様に罹患しているが無処置の/対照の対象と比べたESSPRI指数の改善、(2)処置前のPROFと比べた、または同様に罹患しているが無処置の/対照の対象と比べたPROFの改善、(3)処置前のFACIT疲労尺度と比べた、または同様に罹患しているが無処置の/対照の対象と比べたFACIT疲労尺度の改善を認めることができる。一部の実施形態では、ESSPRI指標の改善は、臨床的に有意義な改善である。ESSPRI指標の臨床的に有意義な改善は、ESSPRIスコアの少なくとも1ポイントの減少である。
【0294】
疲労アッセイの神経心理学的解析
当技術分野で公知の様々な神経心理学的アッセイを使用して、RNase-Fc融合タンパク質を含む本開示のRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質の有効性を評価することができる。
【0295】
数字符号置換検査
数字符号置換検査(DSST)は、多くのドメインによって影響された認知機能不全を測定するための妥当なかつ高感度な検査を提供する。DSSTは、認知機能不全の存在と、シェーグレン症候群患者を含むある範囲の臨床集団にわたる認知機能の変化の両方に対して高感度である。この神経心理学的検査は、実行機能関連の入力において読み取る、広く使用され、高度に検証され、極めて高感度な検査である。
【0296】
DSSTは、1枚の紙に記された、時間制限のある筆記による認知検査である。検査は、患者に、紙面の最初に書かれた鍵に従って、符号を数字にマッチさせることを要求する。患者は、数字の列の下にあるスペースに符号を複写し、規定時間(例えば、90または120秒間)内の正しい符号の数が計算される。検査は、課題実行の正確性および速度に関するデータを提供する。DSSTにおける患者実行は、日常的な課題を達成する能力、およびある範囲の精神医学状態における機能的な能力障害からの回復等、現実世界での機能的転帰と相関する。DSST検査を使用して、患者における注意力および/または集中力を評価することができる。
【0297】
DSSTは、ある範囲の認知操作を測定する多因子(polyfactorial)検査であり、経時的な認知機能をモニタリングするための実用的かつ有効な方法を提供する。DSSTにおいて良い成績を挙げるには、患者は、スキャニング、および書くまたは描く能力(すなわち、基本的な精神的器用さ)を含む、インタクトな運動速度(motor
speed)、注意力および視知覚機能を有する必要がある。DSSTは、認知機能障害を検出する高い感度を提供し、簡潔さ、信頼性、変化に対する感度、ならびに検査性能における言語、文化および教育での影響が最小であることを含む多くの利益を有する(Jaeger, J., Journal of Clinical Psycopharmacology, 38(5), 513-518, October 2018)。
【0298】
さらに、DSSTは、薬物動態/薬力学(PK/PD)関係性を定義するために臨床開発において使用される。この検査は、CNS試験におけるPDバイオマーカーとしても使用され、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)の2用量間を識別することができる。
【0299】
一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質を含む本開示のRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質またはその医薬組成物の実効性は、RNase-Fc融合タンパク質を含む本開示のRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質またはその医薬組成物で処置した患者における認知機能の改善を評価することにより実証される。処置後に、認知機能は一般に、処置前の患者における認知機能のレベルと比較した場合、および/または対照製剤で処置した患者と比較した場合に、DSST検査によって測定された際に患者において改善される。
【0300】
シェーグレン症候群関連の認知機能の改善の評価
一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質を含む本開示のRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質の実効性は、RNase-Fc融合タンパク質を含む本開示のRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質で処置した患者における認知機能の改善を評価することにより実証される。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質で処置した患者は、処置前の患者における認知機能のレベルと比較した場合、および/または対照製剤で処置した患者と比較した場合に、認知機能の改善を実証する。一部の実施形態では、患者は、シェーグレン症候群を有する。
【0301】
一部の実施形態では、患者の状態は、処置前の患者における認知機能のレベルと比較して、または同様に罹患した無処置もしくは対照患者における認知機能のレベルと比べて、1種または複数種の神経心理学的アッセイ(例えば、DSST)によって患者における認知機能を測定することにより評価される。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質の実効性は、対照製剤で処置した患者と比較した場合の、本明細書で開示されているRNase-Fc融合タンパク質で処置した患者におけるDSST検査の結果を評価することにより実証される。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質で処置した患者は、処置前の患者のDSST検査スコアと比較した場合に、または対照製剤で処置した患者と比較した場合に、DSST検査の改善を実証するであろう。
【0302】
例えば、処置を必要とするヒト対象は、選択または同定される(例えば、米国・ヨーロッパ改訂シェーグレン分類基準(American-European Consensus Sjogren’s Classification Criteria)を満たす患者)。対象は、例えば、認知機能不全等、シェーグレン症候群の原因または症状の低下を必要とし得る。対象の同定は、臨床設定で、または他の場所、例えば、対象の家で、対象自身による自己検査キットの使用により起こり得る。
【0303】
ベースライン(1日目)において、RNase-Fc融合物の適切な第1の用量は、対象に投与される。RNase-Fc融合タンパク質は、本明細書に記載されている通りに製剤化される。患者の状態は、例えば、DSSTによって、ベースライン(1日目)においておよび第1の用量からある期間の後に、例えば、8日目、15日目、29日目、43日目、57日目、71日目、85日目、99日目にまたは試験の終わりに評価される。他の関連する判断基準を測定することもできる。用量の回数および濃さは、対象の必要に従って調整される。処置後に、処置前のDSST検査スコアと比べた、または同様に罹患したが無処置の/対照の対象と比べたDSST検査スコアの改善が得られる。
【0304】
投薬レジメン
本開示のRNase-Fc融合タンパク質を含む本開示のRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質および/または本開示の医薬組成物は、当業者にとって公知の従来方法によって、ヒト対象のための薬学的に許容される剤形へと製剤化される。一部の実施形態では、本開示の医薬組成物における活性成分(すなわち、RNase-Fc融合)の実際の投薬量レベルは、患者にとって許容し難いほど毒性となることなく、特定のヒト患者のための所望の治療応答、組成物および/または投与機序の達成に有効な活性成分の量を得ることができるように変動される。
【0305】
選択された投薬量レベルは、特定のRNase-Fc融合タンパク質の活性、投与経路、投与時間、投与されている特定のRNase-Fc融合タンパク質の排泄または代謝の速度、吸収の速度および程度、投与される特定のRNase-Fc融合タンパク質と組み合わせて使用される処置、他の薬物、化合物および/または材料の持続時間、処置されている患者の年齢、性別、体重、状態、全体的な健康および前病歴、ならびに医術分野で周知の同様の因子を含む種々の因子に依存するであろう。
【0306】
一般に、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物の適切な用量は、ヒト対象における治療効果を生じるのに有効な最低用量である活性成分の量である。そのような有効用量は、一般に、上述の因子に依存するであろう。一般に、ヒト患者のための本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物の静脈内、経口および皮下用量は、指し示されている効果のために使用される場合、1週間当たり体重1キログラム当たり約0.5mg~約50mgに及ぶ。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または医薬組成物は、注射により(例えば、静脈内注射により、例えば、注入により)、それを必要とするヒト患者に、1週間当たり体重1キログラム当たり約0.5mg~約50mgの用量で投与される。
【0307】
一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、一般に、1週間当たり約1~20mg/kg、1週間当たり2~10mg/kg、1週間当たり5~15mg/kg、1週間当たり5~10mg/kg、または1週間当たり2~5mg/kgの用量でヒト患者に投与される。一部の実施形態では、1週間当たり10mg/kgを超えるまたは15mg/kgを超えるまたは20mg/kgを超える用量が必要となり得る。一部の実施形態では、1週間当たり20mg/kg未満のまたは15mg/kg未満のまたは10mg/kg未満の用量が必要となり得る。一部の実施形態では、例えば、ヒト患者へのi.v.投与等の非経口用量は、1週間当たり約5~10mg/kgである。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、約0.5mg/kg、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、10mg/kg、11mg/kg、12mg/kg、14mg/kg、15mg/kg、16mg/kg、17mg/kg、18mg/kg、19mg/kg、20mg/kg、21mg/kg、22mg/kg、23mg/kg、24mg/kg、25mg/kgの毎週、隔週、毎月または半月毎(semi-monthly)(例えば、2ヶ月毎、3ヶ月毎)の用量で、ヒト患者に投与される。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、毎週、隔週、毎月または半月毎に、1mg/kgの用量でヒト患者に投与される。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、毎週、隔週、毎月または半月毎に、2mg/kgの用量でヒト患者に投与される。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、毎週、隔週、毎月または半月毎に、3mg/kgの用量でヒト患者に投与される。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、毎週、隔週、毎月または半月毎に、4mg/kgの用量でヒト患者に投与される。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、毎週、隔週、毎月または半月毎に、5mg/kgの用量でヒト患者に投与される。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、毎週、隔週、毎月または半月毎に、6mg/kgの用量でヒト患者に投与される。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、毎週、隔週、毎月または半月毎に、7mg/kgの用量でヒト患者に投与される。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、毎週、隔週、毎月または半月毎に、8mg/kgの用量でヒト患者に投与される。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、毎週、隔週、毎月または半月毎に、9mg/kgの用量でヒト患者に投与される。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、毎週、隔週、毎月または半月毎に、10mg/kgの用量でヒト患者に投与される。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、毎週、隔週、毎月または半月毎に、12mg/kgの用量でヒト患者に投与される。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、毎週、隔週、毎月または半月毎に、15mg/kgの用量でヒト患者に投与される。一部の実施形態では、前述の用量は、静脈内注射のために製剤化される。
【0308】
所望であれば、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物の有効な毎週、隔週、毎月または半月毎の用量は、必要に応じて単位剤形において、1日を通して適切な間隔で別々に投与される(例えば、静脈内注射または注入として)、2、3、4、5、6またはそれよりも多い副用量(sub-dose)としてヒト患者に投与される。一部の実施形態では、投薬は、1日当たり1回の投与である。一部の実施形態では、投薬は、治療効果(例えば、自己抗体および/またはRNA含有免疫複合体と複合体形成した循環するRNAの消化に十分な)を得るために、適宜、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日毎に、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12週間毎に、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヶ月毎に1回または複数回の投与である。一部の実施形態では、投薬は、1週間毎に1回の、1回の投与(例えば、静脈内注射または注入)である。一部の実施形態では、投薬は、2週間毎に1回の、1回または複数回の投与である。一部の実施形態では、投薬は、2週間毎に1回の、1回の投与である。一部の実施形態では、投薬は、1ヶ月毎に、1回または複数回の投与である。一部の実施形態では、投薬は、1ヶ月毎に、1回の投与である。一部の実施形態では、投薬は、半月毎(例えば、2ヶ月毎、3ヶ月毎)に、1回または複数回の投与である。一部の実施形態では、投薬は、2ヶ月毎または3ヶ月毎に、1回の投与である。一部の実施形態では、前述の用量は、静脈内注射のために製剤化される。
【0309】
一部の実施形態では、投薬は、治療効果を達成または維持するために、2週間にわたる1週間毎に1回の、1回の投与(例えば、静脈内注射または注入)、次いでその後に、2週間毎に1回の投与である。一部の実施形態では、投薬は、治療効果を達成または維持するために、3週間にわたる1週間毎に1回の、1回の投与、次いでその後に、2週間毎に1回の投与である。一部の実施形態では、投薬は、治療効果を達成または維持するために、4週間にわたる1週間毎に1回の、1回の投与、次いでその後に、2週間毎に1回の投与である。一部の実施形態では、投薬は、治療効果を達成または維持するために、2週間にわたる1週間毎に1回の、1回の投与、次いでその後に、1ヶ月毎に1回の投与である。一部の実施形態では、投薬は、治療効果を達成または維持するために、3週間にわたる1週間毎に1回の、1回の投与、次いでその後に、1ヶ月毎に1回の投与である。一部の実施形態では、投薬は、治療効果を達成または維持するために、4週間にわたる1週間毎に1回の、1回の投与、次いでその後に、1ヶ月毎に1回の投与である。一部の実施形態では、前述の用量は、静脈内注射のために製剤化される。本明細書で使用される場合、初期毎週投与と、続く隔週、毎月または半月毎の投薬は、「負荷用量」と称される。
【0310】
一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約1mg/kgの用量で毎週投与される(例えば、静脈内注射または注入によって)。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約2mg/kgの用量で毎週投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約3mg/kgの用量で毎週投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約4mg/kgの用量で毎週投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約5mg/kgの用量で毎週投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約6mg/kgの用量で毎週投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約7mg/kgの用量で毎週投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約8mg/kgの用量で毎週投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約9mg/kgの用量で毎週投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約10mg/kgの用量で毎週投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約12mg/kgの用量で毎週投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約15mg/kgの用量で毎週投与される。一部の実施形態では、前述の用量は、静脈内注射のために製剤化される。本明細書で使用される場合、毎週は、当技術分野で受け入れられる1週間毎の意義を有するものと理解される。
【0311】
一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約1mg/kgの用量で隔週投与される(例えば、静脈内注射または注入によって)。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約2mg/kgの用量で隔週投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約3mg/kgの用量で隔週投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約4mg/kgの用量で隔週投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約5mg/kgの用量で隔週投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約6mg/kgの用量で隔週投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約7mg/kgの用量で隔週投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約8mg/kgの用量で隔週投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約9mg/kgの用量で隔週投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約10mg/kgの用量で隔週投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約12mg/kgの用量で隔週投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約15mg/kgの用量で隔週投与される。一部の実施形態では、前述の用量は、静脈内注射のために製剤化される。本明細書で使用される場合、隔週は、当技術分野で受け入れられる2週間毎の意義を有するものと理解される。
【0312】
一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約1mg/kgの用量で3週間毎に投与される(例えば、静脈内注射または注入によって)。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約2mg/kgの用量で3週間毎に投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約3mg/kgの用量で3週間毎に投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約4mg/kgの用量で3週間毎に投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約5mg/kgの用量で3週間毎に投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約6mg/kgの用量で3週間毎に投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約7mg/kgの用量で3週間毎に投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約8mg/kgの用量で3週間毎に投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約9mg/kgの用量で3週間毎に投与される。一部の実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質は、約10mg/kgの用量で3週間毎に投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約12mg/kgの用量で3週間毎に投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約15mg/kgの用量で3週間毎に投与される。一部の実施形態では、前述の用量は、静脈内注射のために製剤化される。本明細書で使用される場合、3週間毎は、当技術分野で受け入れられる3週間毎に1回の意義を有するものと理解される。
【0313】
一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約1mg/kgの用量で毎月投与される(例えば、静脈内注射または注入によって)。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約2mg/kgの用量で毎月投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約3mg/kgの用量で毎月投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約4mg/kgの用量で毎月投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約5mg/kgの用量で毎月投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約6mg/kgの用量で毎月投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約7mg/kgの用量で毎月投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約8mg/kgの用量で毎月投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約9mg/kgの用量で毎月投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約10mg/kgの用量で毎月投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約12mg/kgの用量で毎月投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、約15mg/kgの用量で毎月投与される。一部の実施形態では、前述の用量は、静脈内注射のために製剤化される。本明細書で使用される場合、毎月は、当技術分野で受け入れられる1ヶ月毎の意義を有するものと理解される。
【0314】
一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、2週間にわたり約2mg/kgの用量で毎週、次いで、約2mg/kgの用量で隔週投与される(例えば、静脈内注射または注入によって)。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、3週間にわたり約2mg/kgの用量で毎週、次いで、約2mg/kgの用量で隔週投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、4週間にわたり約2mg/kgの用量で毎週、次いで、約2mg/kgの用量で隔週投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、2週間にわたり約2mg/kgの用量で毎週、次いで、約2mg/kgの用量で毎月投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、3週間にわたり約2mg/kgの用量で毎週、次いで、約2mg/kgの用量で毎月投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、4週間にわたり約2mg/kgの用量で毎週、次いで、約2mg/kgの用量で毎月投与される。一部の実施形態では、前述の用量は、静脈内注射のために製剤化される。
【0315】
一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、2週間にわたり約5mg/kgの用量で毎週、次いで、約5mg/kgの用量で隔週投与される(例えば、静脈内注射または注入によって)。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、3週間にわたり約5mg/kgの用量で毎週、次いで、約5mg/kgの用量で隔週投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、4週間にわたり約5mg/kgの用量で毎週、次いで、約5mg/kgの用量で隔週投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、2週間にわたり約5mg/kgの用量で毎週、次いで、約5mg/kgの用量で毎月投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、3週間にわたり約5mg/kgの用量で毎週、次いで、約5mg/kgの用量で毎月投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、4週間にわたり約5mg/kgの用量で毎週、次いで、約5mg/kgの用量で毎月投与される。一部の実施形態では、前述の用量は、静脈内注射のために製剤化される。
【0316】
一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、2週間にわたり約10mg/kgの用量で毎週、次いで、約10mg/kgの用量で隔週投与される(例えば、静脈内注射または注入によって)。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、3週間にわたり約10mg/kgの用量で毎週、次いで、約10mg/kgの用量で隔週投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、4週間にわたり約10mg/kgの用量で毎週、次いで、約10mg/kgの用量で隔週投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、2週間にわたり約10mg/kgの用量で毎週、次いで、約10mg/kgの用量で毎月投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、3週間にわたり約10mg/kgの用量で毎週、次いで、約10mg/kgの用量で毎月投与される。一部の実施形態では、本開示のRNase-Fc融合タンパク質または組成物は、4週間にわたり約10mg/kgの用量で毎週、次いで、約10mg/kgの用量で毎月投与される。一部の実施形態では、前述の用量は、静脈内注射のために製剤化される。
【0317】
当技術分野で理解される通り、毎週、隔週、3週間毎または毎月の投与は、上に記す通り、1回もしくは複数回の投与または副用量においてなすことができる。
【0318】
一実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質の有効量は、1週間当たりヒト対象当たり約2mg/kgである。一実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質の有効量は、1週間当たりヒト対象当たり約3mg/kgである。一実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質の有効量は、1週間当たりヒト対象当たり約4mg/kgである。一実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質の有効量は、1週間当たりヒト対象当たり約5mg/kgである。一実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質の有効量は、1週間当たりヒト対象当たり約6mg/kgである。一実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質の有効量は、1週間当たりヒト対象当たり約7mg/kgである。一実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質の有効量は、1週間当たりヒト対象当たり約8mg/kgである。一実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質の有効量は、1週間当たりヒト対象当たり約9mg/kgである。一実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質の有効量は、1週間当たりヒト対象当たり約10mg/kgである。一部の実施形態では、前述の用量は、静脈内注射のために製剤化される。
【0319】
一実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質の有効量は、2週間毎にヒト対象当たり約2mg/kgである。一実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質の有効量は、2週間毎にヒト対象当たり約3mg/kgである。一実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質の有効量は、2週間毎にヒト対象当たり約4mg/kgである。一実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質の有効量は、2週間毎にヒト対象当たり約5mg/kgである。一実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質の有効量は、2週間毎にヒト対象当たり約6mg/kgである。一実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質の有効量は、2週間毎にヒト対象当たり約7mg/kgである。一実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質の有効量は、2週間毎にヒト対象当たり約8mg/kgである。一実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質の有効量は、2週間毎にヒト対象当たり約9mg/kgである。一実施形態では、RNase-Fc融合タンパク質の有効量は、2週間毎にヒト対象当たり約10mg/kgである。一部の実施形態では、前述の用量は、静脈内注射のために製剤化される。
【0320】
炎症関連分子の方法および使用
本明細書に記載されている炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子、炎症関連タンパク質、炎症促進性分子)の診断および治療方法および使用が本明細書に提供される。対象から得られた試料における1種または複数種の炎症関連分子の存在を検出する、またはその量もしくは発現レベル(例えば、量または発現レベル)を決定することにより、本明細書に記載されているRNAヌクレアーゼ剤による処置に応答する可能性があるとシェーグレン病の対象を同定する方法であって、1種または複数種の炎症関連分子の存在またはその量もしくは発現レベルが、対象が、RNAヌクレアーゼ剤による処置に応答する可能性があることを指し示す方法が本明細書にさらに提供される。
【0321】
炎症関連分子
一部の態様では、本開示は、対象由来の試料(例えば、シェーグレン症候群の対象由来の試料)における炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)の存在を検出する、またはその量もしくは発現レベルを決定するための方法を提供する。一部の態様では、本開示は、対象から得られた試料における炎症関連遺伝子発現プロファイルを決定し、対象から得られた試料において決定された炎症関連遺伝子発現プロファイルを、適切な対照の対象から得られた試料における炎症関連遺伝子発現プロファイルと比較することにより、RNaseヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)による処置の候補としてシェーグレン病の対象を同定するための方法であって、炎症関連遺伝子発現プロファイルが、対象が、RNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)による処置の候補であることを指し示す方法を提供する。
【0322】
本明細書で使用される場合、用語「炎症関連分子」は、炎症または炎症応答において機能する分子を指す。一部の実施形態では、炎症関連分子は、炎症促進性分子である。一部の実施形態では、炎症関連分子は、抗炎症性分子である。一部の実施形態では、炎症関連分子は、炎症メディエーターである。一部の実施形態では、炎症関連分子は、炎症関連タンパク質である。一部の実施形態では、炎症関連分子は、炎症関連サイトカインである。一部の実施形態では、炎症関連分子は、炎症関連遺伝子である。
【0323】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、IL-5、TNF受容体、IL-6受容体、IL-1アクセサリータンパク質、CXCL1、IL-17受容体A、LTBR4、STAT5B、CXCL10(IP-10)、CD163、RIPK2、および/またはCCR2.
【0324】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、IL-5、TNF受容体、IL-6受容体、IL-1アクセサリータンパク質、CXCL1、IL-17受容体A、LTBR4、および/またはSTAT5Bである。
【0325】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、CXCL10(IP-10)、CD163、RIPK2、および/またはCCR2である。
【0326】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、IL-5である。
【0327】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、TNF受容体である。
【0328】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、IL-6受容体である。
【0329】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、IL-1アクセサリータンパク質である。
【0330】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、CXCL1である。
【0331】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、IL-17受容体Aである。
【0332】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、LTBR4である。
【0333】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、STAT5Bである。
【0334】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、CXCL10(IP-10)である。
【0335】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、CD163である。
【0336】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、RIPK2である。
【0337】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、CCR2である。
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、タンパク質「インターロイキン5(IL-5)」をコードする遺伝子であるIL5である。
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、タンパク質「TNF受容体スーパーファミリーメンバー1A」をコードする遺伝子であるTNFRSF1Aである。
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、タンパク質「インターロイキン6受容体 (IL-6受容体)」をコードする遺伝子であるIL6Rである。
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、タンパク質「インターロイキン1受容体アクセサリータンパク質」をコードする遺伝子であるIL1RAPである。
【0338】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、タンパク質「C-X-Cモチーフケモカカインリガンド1(CXCL1)」をコードする遺伝子であるCXCL1である。
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、タンパク質「インターロイキン17受容体A」をコードする遺伝子であるIL17RAである。
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、タンパク質「ロイコトリエンB4受容体」をコードする遺伝子であるLTB4Rである。
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、タンパク質「シグナル伝達兼転写活性化因子5B (転写因子STAT 5B)」をコードする遺伝子であるSTAT5Bである。
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、タンパク質「C-X-Cモチーフケモカカインリガンド10(IP-10)」をコードする遺伝子であるCXCL10である。
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、タンパク質「CD163」をコードする遺伝子であるCD163である。
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、タンパク質「受容体相互作用セリン/スレオニンキナーゼ2」をコードする遺伝子であるRIPK2である。
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、タンパク質「C-Cモチーフケモカカイン受容体2(CCR2)」をコードする遺伝子であるCCR2である。
【0339】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、IL5、TNFRSF1A、IL6R、IL1RAP、CXCL1、IL17RA、LTB4R、STAT5B、CXCL10、CD163、RIPK2、および/またはCCR2である。
【0340】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、IL5、TNFRSF1A、IL6R、IL1RAP、CXCL1、IL17RA、LTB4R、および/またはSTAT5Bである。
【0341】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、CXCL10、CD163、RIPK2、および/またはCCR2である。
【0342】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、APOL3、HGF、TBC1D23、SETD6、CCR2、CD47、CD163、CD36、CYBB、PLA2G7、IDO1、RIPK2、ACER3、CXCL10、AIMP1、BIRC3、SNX4、PTPN2、VAMP7、APPL1、CSF1、GBA、GPS2、AKT1、MAPKAPK2、PGLYRP1、NUPR1、TNFRSF1A、MAPK13、ORM2、CCN3、F11R、NFAM1、IL17RA、MMP25、ADAM8、NDST1、FOS、NLRP12、PIK3CD、IL1RAP、IL1R2、STAT5B、TREM1、SIRPA、IL6R、SLC11A1、LTB4R、BCL6、MMP9、FPR1、FPR2、TBXA2R、NOD2、IL1RN、IL5、CXCL1、TPST1、ZC3H12A、TYROBP、および/またはCDK19である。
【0343】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、APOL3である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、HGFである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、TBC1D23である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、SETD6である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、CCR2である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、CD47である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、CD163である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、CD36である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、CYBBである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、PLA2G7である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、IDO1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、RIPK2である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、ACER3である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、CXCL10である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、AIMP1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、BIRC3である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、SNX4である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、PTPN2である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、VAMP7である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、APPL1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、CSF1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、GBAである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、GPS2である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、AKT1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、MAPKAPK2である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、PGLYRP1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、NUPR1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、TNFRSF1Aである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、MAPK13である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、ORM2である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、CCN3である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、F11Rである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、NFAM1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、IL17RAである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、MMP25である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、ADAM8である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、NDST1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、FOSである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、NLRP12である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、PIK3CDである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、IL1RAPである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、IL1R2である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、STAT5Bである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、TREM1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、SIRPAである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、IL6Rである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、SLC11A1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、LTB4Rである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、BCL6である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、MMP9である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、FPR1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、FPR2である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、TBXA2Rである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、NOD2である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、IL1RNである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、IL5である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、CXCL1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、TPST1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、ZC3H12Aである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、TYROBPである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、CDK19である。
【0344】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、STAT1、STAT2、ZNF606、TRIM37、ACKR3、および/またはMAP3K8.
【0345】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、STAT1およびSTAT2である。
【0346】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、STAT1である。
【0347】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、STAT2である。
【0348】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、ZNF606およびTRIM37である。
【0349】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、ZNF606である。
【0350】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、TRIM37である。
【0351】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、ACKR3およびMAP3K8である。
【0352】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、ACKR3である。
【0353】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、MAP3K8である。
【0354】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、サイトカインシグナル伝達経路の鍵となるメディエーターであるタンパク質「シグナル伝達因子兼転写活性化因子1」をコードする遺伝子である、「STAT1」である。
【0355】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、サイトカインシグナル伝達経路の鍵となるメディエーターであるタンパク質「シグナル伝達因子兼転写活性化因子2」をコードする遺伝子である、「STAT2」である。
【0356】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、ウイルス感染に対する宿主応答において機能するタンパク質「ジンクフィンガータンパク質606」をコードする遺伝子である、「ZNF606」である。
【0357】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、クラスI MHC媒介性抗原提示経路において機能するタンパク質「三要素モチーフ含有タンパク質37」をコードする遺伝子である、「TRIM37」である。
【0358】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、NFκB、TNF、IL-2およびTLR4シグナル伝達の誘導因子であるタンパク質「マイトジェン活性化タンパク質キナーゼキナーゼキナーゼ8」をコードする遺伝子である、「MAP3K8」である。
【0359】
一部の実施形態では、「ACKR3」は、CXCL11およびCXCL12のための受容体として機能するタンパク質「非定型ケモカイン受容体3」をコードする遺伝子を指す。
【0360】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、CRELD1、PARVG、ACAP1、RXRB、COX19、CERS4、B4GALT7、ZNF329、ZFAND2B、NELFB、EMD、UBTF、PYCR2、RNF216、SEC24C、NUMA1、CARD11、EMG1、ZNF576、TRAF2、MAP2K7、CDK4、KHDC4、GIPC1、ILF3、GBP4、FCER1G、STAT1、STAT2、DTX3L、EPSTI1、PARP9、TRIM22、SP140、TRIM5、PSMB9、MAP3K8、ACOT9、XRCC2、KLF5、NBPF10、PRUNE2、LACTB、FAM241A、CCDC169、KLHL33、KDM1B、FANCL、MR1、および/またはTRIM13である。
【0361】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、PLCB1、EFHC2、RING1、REV1、HIBADH、C2ORF68、PPP2R2A、HADHA、ENY2、ZNF671、ERP29、TOB1、NUDT16L1、ZNF329、ZFAND2B、YIPF2、SNUPN、ZNF606、ELAC1、ECI1、HAX1、PFDN6、COQ8B、GOLGA8N、TOMM7、PIK3C2B、LOXHD1、FAM122C、IGHD、SYS1、OR2A42、OR2A1、IL4R、GRB10、RAB20、MOB3C、KLHL33、USF3、PFFIBP1、CD40、PLEKHA2、ABL2、PI3、TIMELESS、CLHC1、KMT5A、BCL7A、HACE1、TRIM37、および/またはC5ORF22である。
【0362】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、KHDC4、PMS2、GIMAP1-GIMAP5、SLC25A25、EML2、ZNF790、VSIG1、AXIN2、DHRS3、TESPA1、RGPD5、SPOUT1、TRAF3IP3、RPL13A、NUDT16L1、ACKR3、TFPT、SPAG7、TOB1、ZFAND2B、ZNF329、UBTF、HIC2、TRMT61A、ZNF324B、PRKCE、PLEKHA2、BCL7A、ZNF608、TIMELESS、FCHSD2、SMG7、ATXN1、CNNM2、SIPA1L2、CDKL5、TSKU、GGA3、TESK2、BTN2A2、UBXN7、CHP2、MAP3K8、POU5F2、NF1、XRCC2、NME9、KLHL33、MR1、および/またはUSF3である。
【0363】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、CRELD1、PARVG、ACAP1、RXRB、COX19、CERS4、B4GALT7、ZNF329、ZFAND2B、NELFB、EMD、UBTF、PYCR2、RNF216、SEC24C、NUMA1、CARD11、EMG1、ZNF576、TRAF2、MAP2K7、CDK4、KHDC4、GIPC1、ILF3、GBP4、FCER1G、STAT1、STAT2、DTX3L、EPSTI1、PARP9、TRIM22、SP140、TRIM5、PSMB9、MAP3K8、ACOT9、XRCC2、KLF5、NBPF10、PRUNE2、LACTB、FAM241A、CCDC169、KLHL33、KDM1B、FANCL、MR1、TRIM13、PLCB1、EFHC2、RING1、REV1、HIBADH、C2ORF68、PPP2R2A、HADHA、ENY2、ZNF671、ERP29、TOB1、NUDT16L1、ZNF329、ZFAND2B、YIPF2、SNUPN、ZNF606、ELAC1、ECI1、HAX1、PFDN6、COQ8B、GOLGA8N、TOMM7、PIK3C2B、LOXHD1、FAM122C、IGHD、SYS1、OR2A42、OR2A1、IL4R、GRB10、RAB20、MOB3C、KLHL33、USF3、PFFIBP1、CD40、PLEKHA2、ABL2、PI3、TIMELESS、CLHC1、KMT5A、BCL7A、HACE1、TRIM37、C5ORF22、KHDC4、PMS2、GIMAP1-GIMAP5、SLC25A25、EML2、ZNF790、VSIG1、AXIN2、DHRS3、ESPA1、RGPD5、SPOUT1、TRAF3IP3、RPL13A、NUDT16L1、ACKR3、TFPT、SPAG7、TOB1、ZFAND2B、ZNF329、UBTF、HIC2、TRMT61A、ZNF324B、PRKCE、PLEKHA2、BCL7A、ZNF608、TIMELESS、FCHSD2、SMG7、ATXN1、CNNM2、SIPA1L2、CDKL5、TSKU、GGA3、TESK2、BTN2A2、UBXN7、CHP2、MAP3K8、POU5F2、NF1、XRCC2、NME9、KLHL33、MR1、および/またはUSF3である。
【0364】
一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、CRELD1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、PARVGである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、ACAP1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、RXRBである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、COX19である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、CERS4である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、B4GALT7である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、ZNF329である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、ZFAND2Bである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、NELFBである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、EMDである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、UBTFである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、PYCR2である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、RNF216である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、SEC24Cである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、NUMA1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、CARD11である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、EMG1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、ZNF576である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、TRAF2である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、MAP2K7である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、CDK4である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、KHDC4である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、GIPC1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、ILF3である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、GBP4である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、FCER1Gである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、STAT1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、STAT2である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、DTX3Lである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、EPSTI1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、PARP9である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、TRIM22である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、SP140である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、TRIM5である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、PSMB9である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、MAP3K8である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、ACOT9である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、XRCC2である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、KLF5である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、NBPF10である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、PRUNE2である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、LACTBである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、FAM241Aである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、CCDC169である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、KLHL33である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、KDM1Bである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、FANCLである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、MR1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、TRIM13である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、PLCB1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、EFHC2である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、RING1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、REV1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、HIBADHである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、C2ORF68である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、PPP2R2Aである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、HADHAである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、ENY2である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、ZNF671である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、ERP29である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、TOB1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、NUDT16L1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、ZNF329である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、ZFAND2Bである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、YIPF2である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、SNUPNである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、ZNF606である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、ELAC1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、ECI1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、HAX1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、PFDN6である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、COQ8Bである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、GOLGA8Nである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、TOMM7である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、PIK3C2Bである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、LOXHD1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、FAM122Cである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、IGHDである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、SYS1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、OR2A42である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、OR2A1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、IL4Rである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、GRB10である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、RAB20である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、MOB3Cである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、KLHL33である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、USF3である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、PFFIBP1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、CD40である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、PLEKHA2である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、ABL2である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、PI3である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、TIMELESSである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、CLHC1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、KMT5Aである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、BCL7Aである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、HACE1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、TRIM37である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、C5ORF22である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、KHDC4である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、PMS2である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、GIMAP1-GIMAP5である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、SLC25A25である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、EML2である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、ZNF790である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、VSIG1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、AXIN2である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、DHRS3である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、ESPA1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、RGPD5である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、SPOUT1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、TRAF3IP3である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、RPL13Aである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、NUDT16L1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、ACKR3である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、TFPTである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、SPAG7である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、TOB1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、ZFAND2Bである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、ZNF329である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、UBTFである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、HIC2である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、TRMT61Aである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、ZNF324Bである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、PRKCEである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、PLEKHA2である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、BCL7Aである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、ZNF608である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、TIMELESSである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、FCHSD2である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、SMG7である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、ATXN1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、CNNM2である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、SIPA1L2である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、CDKL5である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、TSKUである。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、GGA3である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、TESK2である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、BTN2A2である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、UBXN7である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、CHP2である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、MAP3K8である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、POU5F2である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、NF1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、XRCC2である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、NME9である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、KLHL33である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、MR1である。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、USF3である。
【0365】
したがって、一部の態様では、本開示は、それを必要とする患者におけるシェーグレン病を処置するための方法であって、有効量のRNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)を患者に投与するステップを含み、処置が、1種または複数種の炎症関連遺伝子の減少をもたらす方法を提供する。一部の態様では、炎症関連遺伝子は、IL-5、TNF受容体、IL-6受容体、IL-1アクセサリータンパク質、CXCL1、IL-17受容体A、LTBR4および/またはSTAT5Bである。一部の態様では、炎症関連遺伝子は、IL5、TNFRSF1A、IL6R、IL1RAP、CXCL1、IL17RA、LTB4Rおよび/またはSTAT5Bである。
【0366】
したがって、一部の態様では、本開示は、それを必要とする患者におけるシェーグレン病を処置するための方法であって、有効量のRNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)を患者に投与するステップを含み、処置が、1種または複数種の炎症関連遺伝子の減少および疲労の改善をもたらす方法を提供する。一部の態様では、炎症関連遺伝子は、IL-5、TNF受容体、IL-6受容体、IL-1アクセサリータンパク質、CXCL1、IL-17受容体A、LTBR4および/またはSTAT5Bである。一部の態様では、炎症関連遺伝子は、IL5、TNFRSF1A、IL6R、IL1RAP、CXCL1、IL17RA、LTB4Rおよび/またはSTAT5Bである。
【0367】
一部の態様では、本開示は、それを必要とする患者におけるシェーグレン病を処置するための方法であって、有効量のRNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)を患者に投与するステップを含み、処置が、1種または複数種の炎症関連遺伝子の増加をもたらす方法を提供する。一部の態様では、炎症関連遺伝子は、CXCL10(IP-10)、CD163、RIPK2および/またはCCR2である。
【0368】
一部の態様では、本開示は、それを必要とする患者におけるシェーグレン病を処置するための方法であって、有効量のRNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)を患者に投与するステップを含み、処置が、1種または複数種の炎症関連遺伝子の増加および疲労の改善をもたらす方法を提供する。一部の態様では、炎症関連遺伝子は、CXCL10(IP-10)、CD163、RIPK2および/またはCCR2である。
【0369】
一部の態様では、本開示は、それを必要とする患者におけるシェーグレン病を処置するための方法であって、有効量のRNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)を患者に投与するステップを含み、処置が、1種または複数種のサイトカインの増加をもたらす方法を提供する。一部の態様では、サイトカインは、CXCL10(IP-10)である。
【0370】
一部の態様では、本開示は、それを必要とする患者におけるシェーグレン病を処置するための方法であって、有効量のRNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)を患者に投与するステップを含み、処置が、1種または複数種のサイトカインの増加および疲労の改善をもたらす方法を提供する。一部の態様では、サイトカインは、CXCL10(IP-10)である。
【0371】
一部の態様では、本開示は、対象から得られた試料における炎症関連遺伝子発現プロファイルを決定し、シェーグレン病の対象由来の炎症関連遺伝子発現プロファイルを、適切な対照の対象から得られた試料における炎症関連遺伝子発現プロファイルと比較することにより、RNAヌクレアーゼ剤による処置の候補としてシェーグレン病の対象を同定するための方法であって、炎症関連遺伝子発現プロファイルが、対象が、RNAヌクレアーゼ剤による処置の候補であることを指し示す方法を提供する。一部の態様では、炎症関連遺伝子は、MAP3K8、ACKR3、STAT1、STAT2、TRIM37および/またはZNF606を含む。
【0372】
したがって、一部の態様では、本開示は、対象から得られた試料における炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)の存在を検出することにより、本明細書に記載されているRNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)による処置に応答する可能性があるシェーグレン(Sjogen)症候群の対象を同定する方法であって、炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)の存在が、対象が、この薬剤による処置に応答する可能性があることを指し示す方法を提供する。一部の態様では、試料における炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)の量または発現レベルが決定され、炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)の参照量または参照発現レベルと比較される。一部の態様では、試料における炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)の量または発現レベルが、炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)の参照量または参照発現レベルと比べて増加する場合、患者は、本明細書で開示されているRNAヌクレアーゼ剤による処置に応答する可能性がある。一部の態様では、試料における炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)の量または発現レベルが、炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)の参照量または参照発現レベルと比べて減少する場合、患者は、本明細書で開示されているRNAヌクレアーゼ剤による処置に応答する可能性がある。
【0373】
一部の態様では、本開示は、本明細書に記載されているRNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)による処置に応答する可能性がある患者を同定する方法であって、患者由来の試料が、炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)のDNAまたはRNAにおける相補的標的配列とハイブリダイズする核酸プローブと接触され、これにより、核酸プローブおよび炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)のDNAまたはRNAの間でハイブリダイゼーション複合体を形成する、方法を提供する。炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)の標的DNAまたはRNA配列へのプローブのハイブリダイゼーションを検出するために、プローブは、分子マーカー;例えば、放射性マーカー、蛍光マーカー、酵素マーカーまたはジゴキシゲニンで標識される。一部の態様では、プローブ-標的複合体の存在は、患者が、処置に応答する可能性があることを指し示す。一部の態様では、試料におけるプローブ-標的複合体の量は、対照と比較される。一部の態様では、試料におけるプローブ-標的複合体の量が、対照と比べて増加する場合、患者は、RNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)による処置に応答する可能性がある。一部の態様では、試料におけるプローブ-標的複合体の量が、対照と比べて減少する場合、患者は、RNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)による処置に応答する可能性がある。
【0374】
一部の態様では、本開示は、本明細書に記載されているRNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)による処置に応答する可能性があるとシェーグレン症候群患者を同定する方法であって、患者由来の試料が、炎症関連分子(例えば、炎症関連タンパク質)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合性断片と接触され、これにより、炎症関連分子と複合体を形成し、抗体-炎症関連分子複合体の存在が検出され、複合体の存在が、患者が、処置に応答する可能性があることを指し示す方法を提供する。一部の態様では、試料における抗体-炎症関連分子複合体の量は、対照と比較される。一部の態様では、試料における抗体-炎症関連分子複合体の量が、対照と比べて増加する場合、患者は、RNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)による処置に応答する可能性がある。一部の態様では、試料における抗体-炎症関連分子複合体の量が、対照と比べて減少する場合、患者は、RNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)による処置に応答する可能性がある。
【0375】
診断方法
本開示は、1種または複数種の試料における本明細書に記載されている1種または複数種の炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)(例えば、STAT1、STAT2、ZNF606、TRIM37、ACKR3および/またはMAP3K8)を検出するおよび/または定量化するステップに関する方法であって、個々のまたは組み合わせた1種または複数種の炎症関連分子の検出および/または定量化は、RNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)が、シェーグレン病の患者に治療効果または利益を提供する見込みを指し示すであろう、方法を提供する。
【0376】
対象から得られた試料における炎症関連遺伝子発現プロファイルを決定し、シェーグレン病の対象由来の炎症関連遺伝子発現プロファイルを、適切な対照の対象から得られた試料における炎症関連遺伝子発現プロファイルと比較することにより、RNAヌクレアーゼ剤による処置の候補としてシェーグレン病の対象を同定するための方法であって、炎症関連遺伝子発現プロファイルが、対象が、RNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)による処置の候補であることを指し示す方法が本明細書に提供される。一部の態様では、遺伝子発現プロファイルにおける炎症関連遺伝子は、MAP3K8、ACKR3、STAT1、STAT2、TRIM37および/またはZNF606を含む。
【0377】
対象から得られた試料における炎症関連遺伝子発現プロファイルを決定し、シェーグレン病の対象由来の炎症関連遺伝子発現プロファイルを、適切な対照の対象から得られた試料における炎症関連遺伝子発現プロファイルと比較することにより、RNAヌクレアーゼ剤による処置の候補としてシェーグレン病の対象を同定するための方法であって、シェーグレン病の対象由来の試料における1種または複数種の炎症関連遺伝子の量が、適切な対照の対象から得られた試料における1種または複数種の炎症関連遺伝子の量に等しいまたはこれを上回る場合、炎症関連遺伝子発現プロファイルが、対象が、RNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)による処置の候補であることを指し示す方法が、本明細書にさらに提供される。一部の実施形態では、遺伝子発現プロファイルにおける炎症関連遺伝子は、ZNF606および/またはACKR3を含む。
【0378】
対象から得られた試料における炎症関連遺伝子発現プロファイルを決定し、シェーグレン病の対象由来の炎症関連遺伝子発現プロファイルを、適切な対照の対象から得られた試料における炎症関連遺伝子発現プロファイルと比較することにより、RNAヌクレアーゼ剤による処置の候補としてシェーグレン病の対象を同定するための方法であって、シェーグレン病の対象由来の試料における1種または複数種の炎症関連遺伝子の量が、適切な対照の対象から得られた試料における1種または複数種の炎症関連遺伝子の量未満である場合、炎症関連遺伝子発現プロファイルが、対象が、RNAヌクレアーゼ剤による処置の候補であることを指し示す方法が、本明細書にさらに提供される。一部の実施形態では、遺伝子発現プロファイルにおける炎症関連遺伝子は、STAT1、STAT2、TRIM37および/またはMAP3K8を含む。
【0379】
対象から得られた試料における炎症関連遺伝子発現プロファイルを決定し、シェーグレン病の対象由来の炎症関連遺伝子発現プロファイルを、適切な対照の対象から得られた試料における炎症関連遺伝子発現プロファイルと比較し、RNAヌクレアーゼ剤による処置の候補として対象を同定することにより、RNAヌクレアーゼ剤による処置の候補としてシェーグレン病の対象を同定するための方法であって、プロファイルにおける炎症関連遺伝子が、MAP3K8、ACKR3、STAT1、STAT2、TRIM37および/またはZNF606を含み、a)試料におけるZNF606の発現レベルが、対照と比べて増加する;b)試料におけるACKR3の発現レベルが、対照と比べて増加する;c)試料におけるSTAT1の発現レベルが、対照と比べて減少する;d)試料におけるSTAT2の発現レベルが、対照と比べて減少する;e)試料におけるTRIM37の発現レベルが、対照と比べて減少する;f)試料におけるMAP3K8の発現レベルが、対照と比べて減少する;またはg)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)および(f)のいずれかの組合せである、方法が、本明細書にさらに提供される。
【0380】
RNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)による処置に応答する可能性があるとシェーグレン病の患者を同定する方法であって、炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)の参照量と比べて、患者から得られた試料における1種または複数種の炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)(例えば、STAT1、STAT2、ZNF606、TRIM37、ACKR3および/またはMAP3K8)の量を決定するステップを含み、炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)の参照量と比べた試料における炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)の量が、患者が処置に応答する見込みを指し示す方法が、本明細書にさらに提供される。
【0381】
RNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)による処置に応答する可能性があるとシェーグレン病の患者を同定する方法であって、患者から得られた試料における1種または複数種の炎症関連遺伝子の量を決定するステップと、試料における1種または複数種の炎症関連遺伝子の量を、1種または複数種の炎症関連遺伝子の参照量と比較するステップとを含み、試料における1種または複数種の炎症関連遺伝子の量が、1種または複数種の炎症関連遺伝子の参照量に等しいまたはこれを上回る場合、患者が、処置に応答する可能性がある、方法が、本明細書にさらに提供される。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、ZNF606および/またはACKR3である。
【0382】
RNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)による処置に応答する可能性があるとシェーグレン病の患者を同定する方法であって、患者から得られた試料における1種または複数種の炎症関連遺伝子の量を決定するステップと、試料における1種または複数種の炎症関連遺伝子の量を、1種または複数種の炎症関連遺伝子の参照量と比較するステップとを含み、試料における1種または複数種の炎症関連遺伝子の量が、1種または複数種の炎症関連遺伝子の参照量未満である場合、患者が、処置に応答する可能性がある、方法が、本明細書にさらに提供される。一部の実施形態では、炎症関連遺伝子は、STAT1、STAT2、TRIM37および/またはMAP3K8である。
【0383】
RNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)による処置に応答する可能性があるとシェーグレン病の患者を同定する方法であって、患者由来の試料における炎症関連遺伝子のパネルの発現レベルを決定するステップであって、パネルが、STAT1、STAT2、ZNF606、TRIM37、ACKR3および/またはMAP3K8を含む、ステップと、試料におけるパネルの発現レベルを、対照におけるパネルの発現レベルと比較するステップであって、対照における炎症関連遺伝子の量と比べた試料における炎症関連遺伝子の量が、患者が処置に応答する見込みを指し示す、ステップとを含む方法が、本明細書にさらに提供される。
【0384】
RNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)による処置に応答する可能性があるとシェーグレン病の患者を同定する方法であって、患者由来の試料における炎症関連遺伝子のパネルの発現レベルを決定するステップであって、パネルが、STAT1、STAT2、ZNF606、TRIM37、ACKR3および/またはMAP3K8を含む、ステップと、試料におけるパネルの発現レベルを、対照におけるパネルの発現レベルと比較するステップと、RNAヌクレアーゼ剤による処置に応答する可能性があると患者を同定するステップであって、a)試料におけるZNF606の発現レベルが、対照と比べて増加する;b)試料におけるACKR3の発現レベルが、対照と比べて増加する;c)試料におけるSTAT1の発現レベルが、対照と比べて減少する;d)試料におけるSTAT2の発現レベルが、対照と比べて減少する;e)試料におけるTRIM37の発現レベルが、対照と比べて減少する;f)試料におけるMAP3K8の発現レベルが、対照と比べて減少する;またはg)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)および(f)のいずれかの組合せである、ステップとを含む方法が、本明細書にさらに提供される。
【0385】
RNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)による処置に応答する可能性があるとシェーグレン病の患者を同定する方法であって、試料を、炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)のDNAまたはRNAにおける相補的標的配列にハイブリダイズする核酸プローブと接触させ、これにより、核酸プローブおよび炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)のDNAまたはRNAの間でハイブリダイゼーション複合体を形成するステップと、参照試料における複合体の量と比べた試料における複合体の量を決定するステップであって、参照試料における複合体の量と比べた試料における複合体の量が、患者が、RNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)による処置に対して感受性である見込みを指し示す、ステップとを含む方法が、本明細書にさらに提供される。
【0386】
RNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)による処置に応答する可能性があるとシェーグレン病の患者を同定する方法であって、試料を、炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)に特異的に結合する少なくとも1種の診断抗体またはその抗原結合性断片と接触させ、これにより、診断抗体-炎症関連分子複合体を形成するステップと、参照試料における複合体の量と比べた試料における複合体の量を決定するステップであって、参照試料における複合体の量と比べた試料における複合体の量が、患者が、RNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)による処置に対して感受性である見込みを指し示す、ステップとを含む方法が、本明細書にさらに提供される。
【0387】
RNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)で処置したシェーグレン病の患者の応答をモニタリングするための方法であって、RNAヌクレアーゼ剤による処置前に得られた患者由来の第1の試料における1種または複数種の炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)の発現レベルおよび/または活性を決定するステップと、RNAヌクレアーゼ剤による処置後に得られた患者由来の第2の試料における1種または複数種の炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)の発現レベルおよび/または活性を決定するステップと、第2の試料における1種または複数種の炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)の発現レベルおよび/または活性を、第1の試料における1種または複数種の炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)の発現レベルおよび/または活性と比較するステップであって、第1の試料における1種または複数種の炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)の発現レベルおよび/または活性と比べた第2の試料における1種または複数種の炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)の発現レベルおよび/または活性の変化が、RNAヌクレアーゼ剤で処置した患者の応答を指し示す、ステップとを含む方法が、本明細書にさらに提供される。一部の態様では、1種または複数種の炎症関連分子は、炎症関連遺伝子である。一部の態様では、炎症関連遺伝子は、IL-5、TNF受容体、IL-6受容体、IL-1アクセサリータンパク質、CXCL1、IL-17受容体A、LTBR4、STAT5B、CXCL10(IP-10)、CD163、RIPK2および/またはCCR2である。一部の態様では、炎症関連遺伝子は、IL5、TNFRSF1A、IL6R、IL1RAP、CXCL1、IL17RA、LTB4R、STAT5B、CXCL10、CD163、RIPK2および/またはCCR2である。
【0388】
RNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)で処置したシェーグレン病の患者の応答をモニタリングするための方法であって、RNAヌクレアーゼ剤による処置前に得られた患者由来の第1の試料における1種または複数種の炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)の発現レベルおよび/または活性を決定するステップと、RNAヌクレアーゼ剤による処置後に得られた患者由来の第2の試料における1種または複数種の炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)の発現レベルおよび/または活性を決定するステップと、第2の試料における1種または複数種の炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)の発現レベルおよび/または活性を、第1の試料における1種または複数種の炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)の発現レベルおよび/または活性と比較するステップであって、第1の試料における1種または複数種の炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)の発現レベルおよび/または活性と比べた第2の試料における1種または複数種の炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)の発現レベルおよび/または活性の減少が、RNAヌクレアーゼ剤で処置した患者の応答を指し示す、ステップとを含む方法が、本明細書にさらに提供される。一部の態様では、1種または複数種の炎症関連分子は、炎症関連遺伝子である。一部の態様では、炎症関連遺伝子は、IL-5、TNF受容体、IL-6受容体、IL-1アクセサリータンパク質、CXCL1、IL-17受容体A、LTBR4および/またはSTAT5Bである。一部の態様では、炎症関連遺伝子は、IL5、TNFRSF1A、IL6R、IL1RAP、CXCL1、IL17RA、LTB4Rおよび/またはSTAT5Bである。
【0389】
RNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)で処置したシェーグレン病の患者の応答をモニタリングするための方法であって、RNAヌクレアーゼ剤による処置前に得られた患者由来の第1の試料における1種または複数種の炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)の発現レベルおよび/または活性を決定するステップと、RNAヌクレアーゼ剤による処置後に得られた患者由来の第2の試料における1種または複数種の炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)の発現レベルおよび/または活性を決定するステップと、第2の試料における1種または複数種の炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)の発現レベルおよび/または活性を、第1の試料における1種または複数種の炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)の発現レベルおよび/または活性と比較するステップであって、第1の試料における1種または複数種の炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)の発現レベルおよび/または活性と比べた第2の試料における1種または複数種の炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)の発現レベルおよび/または活性の増加が、RNAヌクレアーゼ剤で処置した患者の応答を指し示す、ステップとを含む方法が、本明細書にさらに提供される。一部の態様では、1種または複数種の炎症関連分子は、炎症関連遺伝子である。一部の態様では、炎症関連遺伝子は、CXCL10(IP-10)、CD163、RIPK2および/またはCCR2である。
【0390】
RNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)で処置したシェーグレン病の患者の応答をモニタリングするための方法であって、RNAヌクレアーゼ剤による処置前に得られた患者由来の第1の試料における1種または複数種のサイトカインの発現レベルおよび/または活性を決定するステップと、RNAヌクレアーゼ剤による処置後に得られた患者由来の第2の試料における1種または複数種のサイトカインの発現レベルおよび/または活性を決定するステップと、第2の試料における1種または複数種のサイトカインの発現レベルおよび/または活性を、第1の試料における1種または複数種のサイトカインの発現レベルおよび/または活性と比較するステップであって、第1の試料における1種または複数種のサイトカインの発現レベルおよび/または活性と比べた第2の試料における1種または複数種のサイトカインの発現レベルおよび/または活性の増加が、RNAヌクレアーゼ剤で処置した患者の応答を指し示す、ステップとを含む方法が、本明細書にさらに提供される。一部の態様では、サイトカインは、CXCL10(IP-10)である。
【0391】
RNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)で処置したシェーグレン病の患者の応答をモニタリングするための方法であって、RNAヌクレアーゼ剤による処置前に得られた患者由来の第1の試料における1種または複数種のサイトカインの発現レベルおよび/または活性を決定するステップと、RNAヌクレアーゼ剤による処置後に得られた患者由来の第2の試料における1種または複数種のサイトカインの発現レベルおよび/または活性を決定するステップと、第2の試料における1種または複数種のサイトカインの発現レベルおよび/または活性を、第1の試料における1種または複数種のサイトカインの発現レベルおよび/または活性と比較するステップであって、第1の試料における1種または複数種のサイトカインの発現レベルおよび/または活性と比べた第2の試料における1種または複数種のサイトカインの発現レベルおよび/または活性の減少が、RNAヌクレアーゼ剤で処置した患者の応答を指し示す、ステップとを含む方法が、本明細書にさらに提供される。
【0392】
RNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)で処置したシェーグレン病の患者の応答をモニタリングするための方法であって、RNAヌクレアーゼ剤による処置前に得られた患者由来の第1の試料における1種または複数種のサイトカインの発現レベルおよび/または活性を決定するステップと、RNAヌクレアーゼ剤による処置後に得られた患者由来の第2の試料における1種または複数種のサイトカインの発現レベルおよび/または活性を決定するステップと、第2の試料における1種または複数種のサイトカインの発現レベルおよび/または活性を、第1の試料における1種または複数種のサイトカインの発現レベルおよび/または活性と比較するステップであって、第1の試料における1種または複数種のサイトカインの発現レベルおよび/または活性と比べた第2の試料における1種または複数種のサイトカインの発現レベルおよび/または活性の変化が、RNAヌクレアーゼ剤で処置した患者の応答を指し示す、ステップとを含む方法が、本明細書にさらに提供される。一部の態様では、サイトカインは、CXCL10(IP-10)である。
【0393】
炎症関連分子の決定
試料における本明細書に記載されている1種または複数種の炎症関連分子(例えば、炎症促進性遺伝子または炎症促進性タンパク質等、炎症関連遺伝子、炎症関連タンパク質、炎症促進性分子)の存在またはその量もしくは発現レベルは、免疫組織化学的検査(IHC)、免疫蛍光法(IF)、ウエスタンブロット解析、免疫沈降、分子結合アッセイ、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、酵素結合免疫濾過(immunofiltration)アッセイ(ELIFA)、フローサイトメトリー、MassARRAY、プロテオミクス、定量的な血液に基づくアッセイ(例えば、血清ELISA)、生化学的酵素活性アッセイ、in situハイブリダイゼーション、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)、サザン解析、ノーザン解析、全ゲノム配列決定、定量的リアルタイムPCR(qRT-PCR)を含むポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および例えば、分岐DNA、SISBA、TMAその他等の他の増幅型検出方法、RNA-Seq、マイクロアレイ解析、遺伝子発現プロファイリング、および/または遺伝子発現の連続的解析(serial analysis of gene expression)(SAGE)、ならびにタンパク質、遺伝子および/または組織アレイ解析によって行うことができる多種多様なアッセイのうちいずれか1種を含むがこれらに限定されない、当技術分野で公知であり当業者によって理解されている、多数の方法論および技法によって検出または決定することができる。遺伝子および遺伝子産物の状態を評価するための典型的なプロトコールは、例えば、Ausubel et al., eds., 1 995, Current Protocols In Molecular Biologyのユニット2(ノーザンブロッティング)、4(サザンブロッティング)、15(イムノブロッティング)および18(PCR解析)に見出される。Rules Based MedicineまたはMeso Scale Discovery(「MSD」)から入手できるイムノアッセイ等のマルチプレックス化されたイムノアッセイを使用することもできる。本開示の炎症関連分子に結合する診断抗体は、BD Biosciences、ebiosciences、BioLegend、Abcamその他等の種々の商業的供給源から入手できる。
【0394】
核酸炎症関連分子技法
一部の実施形態では、本明細書に記載されている炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)の発現レベルは、核酸発現レベルとなることができる。一部の実施形態では、核酸発現レベルは、qPCR、rtPCR、RNA-Seq、マルチプレックスqPCRまたはRT-qPCR、マイクロアレイ解析、遺伝子発現プロファイリング、SAGE、MassARRAY技法またはin situハイブリダイゼーション(例えば、FISH)を使用して決定される。一部の実施形態では、炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)の発現レベルは、シェーグレン病の患者由来の細胞において決定される。一部の実施形態では、本明細書に記載されている炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)の発現レベルは、シェーグレン病の患者由来の血液細胞において決定される。
【0395】
細胞におけるmRNAの評価のための方法は、当技術分野で公知であり、例えば、相補的DNAプローブを使用したハイブリダイゼーションアッセイ(1種または複数種の遺伝子に特異的な標識されたリボプローブを使用したin situハイブリダイゼーション、ノーザンブロットおよび関連技法等)および様々な核酸増幅アッセイ(遺伝子のうち1種または複数種に特異的な相補的プライマーを使用したRT-PCR、および例えば、分岐DNA、SISBA、TMAその他等の他の増幅型検出方法等)を含む。加えて、そのような方法は、生体試料における標的mRNAのレベルを決定させることができる1または複数のステップを含むことができる(例えば、アクチンファミリーメンバー等の「ハウスキーピング」遺伝子の比較対照mRNA配列のレベルを同時に試験することにより)。
【0396】
本開示の炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子、炎症促進性遺伝子)の核酸配列は、当技術分野で公知である。一部の実施形態では、本開示の炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)は、IL-5、TNF受容体、IL-6受容体、IL-1アクセサリータンパク質、CXCL1、IL-17受容体A、LTBR4、STAT5B、CXCL10(IP-10)、CD163、RIPK2および/またはCCR2を含む。一部の実施形態では、本開示の炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)は、IL5、TNFRSF1A、IL6R、IL1RAP、CXCL1、IL17RA、LTB4R、STAT5B、CXCL10、CD163、RIPK2および/またはCCR2を含む。一部の実施形態では、本開示の炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子)は、STAT1、STAT2、ZNF606、TRIM37、ACKR3および/またはMAP3K8を含む。
【0397】
一部の実施形態では、増幅された標的cDNAの配列を決定することができる。方法は、マイクロアレイ技術によって組織または細胞試料における標的mRNA等のmRNAを試験または検出するプロトコールを含む。核酸マイクロアレイを使用して、被験および対照組織試料由来の被験および対照mRNA試料を逆転写および標識して、cDNAプローブを生成する。次にプローブを、固体支持体に固定化された核酸のアレイにハイブリダイズさせる。アレイは、アレイの各メンバーの配列および位置が分かるように構成されている。例えば、その発現が、RNAヌクレアーゼ剤(例えば、RSLV-132)を含む処置の臨床利益増加または低下と相関する遺伝子の選択は、固体支持体上にアレイ化することができる。特定のアレイメンバーと標識プローブとのハイブリダイゼーションは、プローブが派生した試料が、当該遺伝子を発現することを指し示す。
【0398】
そのメンバーが、処置を必要とするおよび/もしくは必要としない、処置から利益を得るおよび/もしくは得ない、または処置に応答するおよび/もしくは応答しないと予測される患者集団を同定することができるという点において、本明細書に記載されている処置から利益を得る可能性がある患者を同定するための方法(例えば、治療的処置または介入の選択)、または処置の開発(例えば、臨床試験における患者の登録)を対象にする、いずれかの方法の一部としての本明細書に記載されている診断方法のいずれかの算入は、診断方法を含まない方法を上回る利点を提供する。
【0399】
したがって、一部の実施形態では、本開示における使用に適した炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子または炎症促進性分子(例えば、炎症促進性遺伝子))は、診断用炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子または炎症促進性分子(例えば、炎症促進性遺伝子))である。一部の実施形態では、炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子または炎症促進性分子(例えば、炎症促進性遺伝子))は、モニタリング用炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子または炎症促進性分子(例えば、炎症促進性遺伝子))である。一部の実施形態では、炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子または炎症促進性分子(例えば、炎症促進性遺伝子))は、予測用炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子または炎症促進性分子(例えば、炎症促進性遺伝子))である。
【0400】
炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子または炎症促進性分子(例えば、炎症促進性遺伝子))は、その検出が特定の生理的状況(例えば、疾患状況)を指し示す物質または生物学的事象となることができる。例えば、患者の血清における炎症関連遺伝子の存在は、疾患(例えば、シェーグレン症候群)を指し示すことができる。処置前に患者において測定された炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子または炎症促進性分子(例えば、炎症促進性遺伝子))を使用して、臨床試験における算入に適した患者を同定することができる。処置後の炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子または炎症促進性分子(例えば、炎症促進性遺伝子))変化は、候補薬物に関する安全性問題を予測もしくは同定することができる、または処置の最終的な利益を予測すると予想される薬理活性をまたは明らかにすることができる。炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子または炎症促進性分子(例えば、炎症促進性遺伝子))は、薬物性能に関する定量化可能な予測を提供することにより、薬物開発および評価における不確実性を低下させることができ、用量選択に寄与することができる。単一の炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子または炎症促進性分子(例えば、炎症促進性遺伝子))が、評価に要求される関連する情報の全てを提供することができるとは限らない場合、複合炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子または炎症促進性分子(例えば、炎症促進性遺伝子))は、単一の解釈的読み出し情報に達する記述アルゴリズムにおける、いくつかの個々の炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子または炎症促進性分子(例えば、炎症促進性遺伝子))を含む。
【0401】
代理のエンドポイントは、臨床エンドポイントの代用となることが意図され、疫学的、治療的、病態生理学的または他の科学的証拠に基づき、臨床利益を予測すると予想される炎症関連分子(例えば、炎症関連遺伝子または炎症促進性分子(例えば、炎症促進性遺伝子))である。
【0402】
タンパク質炎症関連分子技法
一部の実施形態では、炎症関連分子(例えば、炎症関連タンパク質)の量は、炎症関連分子(例えば、炎症関連タンパク質または炎症促進性分子(例えば、炎症促進性タンパク質))のタンパク質発現レベルを決定することにより測定される。本開示によって提供される方法において使用することができる、当技術分野で公知でありかつ本明細書に記載されているタンパク質発現レベルを測定または決定する多数の技法が存在する。例えば、一部の実施形態では、炎症関連分子(例えば、炎症関連タンパク質または炎症促進性分子(例えば、炎症促進性タンパク質))のタンパク質発現レベルは、フローサイトメトリー(例えば、蛍光標識細胞分取(FACS(商標)))、ウエスタンブロット、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、免疫沈降、免疫組織化学的検査(IHC)、免疫蛍光法、ラジオイムノアッセイ、ドットブロッティング、免疫検出方法、HPLC、表面プラズモン共鳴、光学分光法、質量分析およびHPLCからなる群から選択される方法を使用して決定される。
【0403】
一部の実施形態では、試料は、炎症関連分子(例えば、炎症関連タンパク質または炎症促進性分子(例えば、炎症促進性タンパク質))の結合に許容的な条件下で、本明細書に記載されている炎症関連分子(例えば、炎症関連タンパク質または炎症促進性分子(例えば、炎症促進性タンパク質))に特異的に結合する抗体と接触させられ、抗体および炎症関連分子(例えば、炎症関連タンパク質または炎症促進性分子(例えば、炎症促進性タンパク質))によって形成された複合体の存在が検出される。一部の実施形態では、試料は、本明細書に記載されている炎症関連分子(例えば、炎症関連タンパク質または炎症促進性分子(例えば、炎症促進性タンパク質))の組合せに特異的に結合する抗体の組合せと接触させられる。一部の実施形態では、炎症関連分子(例えば、炎症関連タンパク質または炎症促進性分子(例えば、炎症促進性タンパク質))のタンパク質発現レベルは、シェーグレン病の患者由来の細胞において決定される。一部の実施形態では、炎症関連分子(例えば、炎症関連タンパク質または炎症促進性分子(例えば、炎症促進性タンパク質))のタンパク質発現レベルは、シェーグレン病の患者由来の血液細胞において決定される。
【0404】
一部の実施形態では、試料における炎症関連分子(例えば、炎症関連タンパク質または炎症促進性分子(例えば、炎症促進性タンパク質))の量は、炎症関連分子(例えば、炎症関連タンパク質または炎症促進性分子(例えば、炎症促進性タンパク質))に結合する診断抗体を使用して決定される。一部の実施形態では、抗炎症関連分子診断抗体は、炎症関連分子(例えば、炎症関連タンパク質または炎症促進性分子(例えば、炎症促進性タンパク質))に特異的に結合する。一部の実施形態では、診断抗体は、非ヒト抗体である。一部の実施形態では、診断抗体は、ラット、マウスまたはウサギ抗体である。一部の実施形態では、診断抗体は、モノクローナル抗体である。一部の実施形態では、診断抗体は、直接的に標識される。他の実施形態では、診断抗体は、間接的に標識される。
【0405】
キット
本開示は、RNase-Fc融合タンパク質を含む本開示のRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質と、使用説明書とを含むキットを提供する。キットは、適切な容器内に、本明細書で開示されているRNase-Fc融合タンパク質、1種または複数種の対照、ならびに様々な緩衝液、試薬、酵素、および当技術分野で周知の他の標準成分を含むことができる。一部の実施形態では、キットは、RNase-Fc融合タンパク質ならびに1種または複数種の薬学的に許容される担体および/または希釈剤を含む注射用溶液を含む。一部の実施形態では、注射用溶液は、静脈内投与のために製剤化される。一部の実施形態では、キットは、使用説明書を含む。
【0406】
容器は、その中にRNase-Fc融合タンパク質を置くことができ、一部の実例では、適切に分注することができる、少なくとも1個のバイアル、ウェル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジまたは他の容器手段を含むことができる。追加的な構成成分が提供される場合、キットは、その中にこの構成成分を置くことができる、追加的な容器を含有することができる。キットは、商業販売のための厳重に封じ込めたRNase-Fc融合タンパク質を含有するための手段および他のいずれかの試薬容器を含むこともできる。そのような容器は、その中に所望のバイアルが保持される、注射またはブロー成形プラスチック容器を含むことができる。容器および/またはキットは、使用説明書および/または警告を示す表示を含むことができる。
【実施例0407】
以下は、本発明を実行するための特定の実施形態の例である。実施例は、単に例示的な目的で提供されており、いかなる形でも本発明の範囲を限定するものではない。使用される数字(例えば、量、温度等)に関しては正確さを確実にするための試みが行われているが、いくらかの実験的誤差および偏差は当然許容されるべきである。
【0408】
本発明の実施には、別段の指定のない限り、当技術分野の範囲内に入るタンパク質化学、生化学、組換えDNA技法および薬理学の従来の方法を使用する。そのような技法は、文献において十分に説明されている。例えば、T.E. Creighton, Proteins: Structures and Molecular Properties (W.H. Freeman and Company, 1993);A.L.
Lehninger, Biochemistry (Worth Publishers, Inc., current addition);Sambrook, et
al, Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd Edition, 1989);Methods In Enzymology (S. Colowick and N. Kaplan eds., Academic Press, Inc.);Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Edition (Easton, Pennsylvania: Mack Publishing Company, 1990);Carey and Sundberg Advanced Organic Chemistry 3rd Ed. (Plenum Press) Vols A
and B (1992)を参照されたい。
【0409】
(実施例1)
RNase-Fc融合タンパク質コード発現ベクターの生成
本開示のRNase含有ヌクレアーゼ融合タンパク質の様々な実施形態は、配列表(表1)に示されている。例示的なRNase-Fc融合タンパク質であるRSLV-132を構築し、これは、
図1に示す構成を有する。具体的には、RNase-Fc融合タンパク質のアミノ酸配列から始めて、哺乳動物細胞における最適な発現を可能にするためのGenescript(Genescript、Piscatawy、N.J.)によるコドン最適化を使用して、RNase-Fc融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを直接的に合成した。最適化のプロセスは、例えば、可能であれば非常に高い(>80%)または非常に低い(<30%)GC含量の領域の回避、ならびに高等真核生物における内部TATA-ボックス、カイ-部位およびリボソーム進入部位、AT-リッチまたはGC-リッチ配列ストレッチ、RNA不安定性モチーフ、反復配列およびRNA二次構造ならびに潜在的スプライスドナーおよびアクセプター部位等のシス作用性配列モチーフの回避が関与した。RNase-Fc融合タンパク質をコードするDNAは、pcDNA3.1+哺乳動物発現ベクターにクローニングされる。RSLV-132は、次の構成を有するRNase-Fc融合タンパク質であり、生成された(
図1)。
【0410】
RSLV-132は、配列番号50として示されるアミノ酸配列をそれぞれ有する2個のポリペプチドを含むホモ二量体である。ホモ二量体の各ポリペプチドは、構成RNase-Fcを有し、野生型ヒトRNase1ドメイン(配列番号2)は、リンカーなしで、SCCヒンジならびにCH2変異P238SおよびP331Sを含むヒトIgG1 Fcドメイン(配列番号22)のN末端に作動可能に連結される。
【0411】
(実施例2)
RNase-Fc融合タンパク質の一過性発現およびこれを発現する安定した哺乳動物細胞系
一過性発現のため、製造業者推奨のトランスフェクションプロトコールを使用して、FreeStyle(商標)MAX試薬を使用して、RNase-Fc融合タンパク質挿入物を含有する実施例1の発現ベクターを、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、例えば、CHO-S細胞(例えば、FreeStyle(商標)CHO-S細胞、Invitrogen)へと一過性にトランスフェクトした。2mM L-グルタミンおよびペニシリン-ストレプトマイシンを含有するFreeStyle(商標)CHO発現培地においてCHO-S細胞を維持した。
【0412】
当技術分野で公知の常套的な方法を使用して、RNase-Fc融合タンパク質を発現する安定したCHO-S細胞系を生成した。例えば、CHO-S細胞に、RNase-Fc融合タンパク質の核酸配列と共に、例えば、フローサイトメトリーまたは磁気ビーズ分離(例えば、MACSelect(商標)システム)を使用して選択されるマーカー(例えば、GFP、磁気ビーズによって選択可能な表面マーカー)をコードする核酸配列を含むウイルス(例えば、レトロウイルス、レンチウイルス)を感染させることができる。あるいは、CHO-S細胞に、電気穿孔(Lonza)等の当技術分野で公知のいずれかのトランスフェクション方法または上に言及されているFreeStyle(商標)MAX試薬を使用して、RNase-Fc融合タンパク質および選択可能なマーカーの核酸配列を含むベクターをトランスフェクトし、続いて、例えば、フローサイトメトリーを使用して選択を行うことができる。選択可能なマーカーは、RNase-Fc融合タンパク質をコードするベクターと同じベクターにまたは別々のベクターに取り込むことができる。
【0413】
プロテインAセファロースビーズを充填したカラムを使用して分子を捕捉し、続いてカラム洗浄緩衝液(例えば、90mM Tris、150mM NaCl、0.05%アジ化ナトリウム)において洗浄し、適切な溶出緩衝液(例えば、0.1Mクエン酸緩衝液、pH3.0)を使用してカラムから分子を放出させることにより、培養上清からRNase-Fc融合タンパク質を精製した。溶出された材料は、Centricon濃縮器を使用したPBSにおける連続スピンによる緩衝液交換と、それに続く0.2μmフィルターデバイスを通した濾過によってさらに濃縮した。標準分光光度的方法(例えば、ブラッドフォード、BCA、ローリー、ビウレットアッセイ)を使用して、RNase-Fc融合タンパク質の濃度を決定した。
【0414】
(実施例3)
試験設計および患者特徴
28名の原発性シェーグレン症候群(pSS)患者におけるRSLV-132の8回の静脈内注入の影響を評価するための多施設二重盲検プラセボ対照試験を行った。試験参加者は、18~85歳であり、2002 American-European Consensus Group(AEGC)に従って原発性シェーグレン症候群と診断された。具体的には、血液細胞における抗Ro 52/60自己抗体の上昇したレベルおよび上昇したインターフェロン刺激遺伝子発現のパターン(例えば、スクリーニングにおける陽性インターフェロンシグネチャー)を有したシェーグレン患者のサブセットにおいて、試験を実行した。試験対象は、ベースライン来診前に30日間、併用薬物療法を安定に維持することを要求された。ベースラインの30日以内のヒドロキシクロロキン;ベースラインの90日以内のベリムマブ、アバタセプトもしくはTNF阻害剤;またはベースラインの180日以内のシクロホスファミドもしくはリツキシマブの使用が禁止された。患者は、過去の頭頸部放射線照射、リンパ腫、移植片対宿主病またはIgG4関連疾患がなかったことをさらに要求された。試験エントリー前(すなわち、ベースライン来診前)60日以内に、潜在的な対象をスクリーニングして、試験に参加するためのその適格性を評価した。30名の対象をスクリーニングし、試験へとランダム化した。2名の対象は、試験処置を受ける前に同意を撤回した。28名の対象をこのランダム化二重盲検プラセボ対照第2相試験(clinicaltrials.gov:NCT03247686)に登録した。試験の1日目にベースライン評価を行った。ベースライン評価後に、患者は、RSLV-132またはプラセボの1回目の注入を受けた。
【0415】
対象のそれぞれを3:1(活性:プラセボ)にランダム化し、試験のベースラインに、2週間にわたり毎週(3用量)、次いで次の10週間にわたり2週間毎に1回(すなわち、静脈内注入は、1(ベースライン)、8、15、29、43、57、71および85日目に投与した)、10mg/kgのRSLV-132またはプラセボの8回の注入を受けた。EESPRI、FACITおよび疲労のプロファイル(ProF)によって測定される患者報告成績を使用して、ベースラインおよび試験の99日目を比較して、活性、対、対照群を評価した。1、29、57、85および99日目(または処置の終わり)に、当該日の用量を受ける前に、患者報告成績を測定した。99日目に有効性エンドポイントを測定し、141、176および211日目に安全性経過観察を実行した。
【0416】
RSLV-132は、静脈内注入のための希釈のための緩衝液を含む5.3mLの保存料不含滅菌溶液を含有する使い捨てバイアル内に9.5mg/mLの濃度で提示された。注入のためのプラセボとして0.9%塩化ナトリウム溶液を使用した。
【0417】
Declaration of Helsinki and the International Conference on the Harmonisation Guidelines for Good Clinical Practiceの原理に従って試験を実行した。倫理委員会および施設内審査委員会の承認を得て、全患者が書面によるインフォームドコンセントを出した。
【0418】
(実施例4)
ベースラインにおける患者特徴の評価
処置群(すなわち、RSLV-132で処置した患者と比較してプラセボで処置した患者)の間の差を評価し、解析のためのベースラインレベルを確立するために、処置前に個体群統計および疾患特徴を得た。ベースラインにおける患者特徴の解析は、補体C3および補体C4レベル、IgGレベル(mg/dL)、ESRレベル、ESSDAIスコア、ESSPRIスコア、FACITスコアおよび疲労のプロファイル(ProF)の解析を含んだ。
補体C3および補体C4(C3/C4)測定が使用されて、免疫系の活性化を評価する。血液におけるC3/C4の測定は、免疫活性のための読み出し情報として使用される。血液検査は、特異的補体タンパク質(C3またはC4)を測定し、1デシリットル当たりのミリグラム数として報告する。血液における低レベルのC3/C4は、疾患または自己免疫を指し示すことができる。
【0419】
免疫グロブリンG(IgG)は、血清免疫グロブリンの約80パーセントを占める。血液試料からのIgGレベルの測定は、病状を指し示すことができる。血液におけるIgGの量は典型的に、1デシリットル当たりのミリグラム数として報告される。
【0420】
赤血球沈降速度(ESR)は、身体における炎症のスクリーニングとして使用される。典型的には、赤血球細胞は、一部の病状において、血漿フィブリノーゲン、免疫グロブリンおよび他の急性期反応タンパク質の増加が原因で、より急速に沈殿する。赤血球細胞の形状または数の変化も、ESRに影響を与え得る。抗凝固剤処置された全血を、細い垂直管内に立たせておくと、重力の影響下にある赤血球細胞は、血漿から沈殿する。赤血球細胞が沈殿する速度は、1時間後にカラム上部に存在する清澄な血漿のミリメートル数(mm/時間)として測定される。
【0421】
欧州リウマチ対策連盟(EULAR)シェーグレン症候群(SS)疾患活動性指標(ESSDAI)を全身活動性の均質評価として開発した(Seror et al. , Ann Rheum Dis. 2010; 69(6):1103-1109)。ESSDAIは、12種のドメイン(すなわち、臓器系:皮膚、呼吸器、腎、関節、筋肉、末梢神経系、中枢神経系、血液学的、腺、体質的、リンパ節症(lymphadenopathic)、生物学的)を含む。各ドメインは、3~4レベルの活動性に分けられる。各活動性レベルの定義は、当該ドメインにおいて考慮されるべきものの詳細な説明によって提供される。可能なスコアは、0~123の間に及び、患者の約80パーセントが、スコア≦13を有する。
【0422】
ベースライン個体群統計、疾患特徴および生化学的データは、処置群間で同様であった(表2)。具体的には、試験集団は、ESSDAIスコアによって決定される軽度~中等度の疾患およびESSPRIスコアによる高い疾患活動性を有していた。試験対象は、著明な疲労も報告した。プラセボ群におけるESSDAIおよびESSPRIスコアは、RSLV-132群におけるスコアよりもやや高かった。補体3、補体4、ESRおよびIgG測定は、健康な値に匹敵し、2群間で同様であった。表2。
【表2】
【0423】
(実施例5)
RSLV-132で処置した患者は、ESSPRIスコアの臨床的に有意義な改善およびESSPRI疲労の改善を経験した
【0424】
pSSは、唾液腺および涙腺のリンパ性浸潤と、その後の、ドライアイおよび口渇を引き起こす腺の炎症、損傷および機能喪失によって特徴付けされる自己免疫障害である。pSSの臨床特色は、2群に分離することができる:(1)機能障害を引き起こし大部分の患者が罹患し得る、乾燥、疼痛および疲労等の良性症状;ならびに(2)重篤であり患者の20~40%が罹患し得る、全身性顕在化(Seror et al. Ann Rheum Dis 2011; 70:968-972)。
【0425】
EULAR SS患者報告指標(ESSPRI)は、原発性シェーグレン症候群における患者の症状を評価するために開発されており、FDAによって検証および認容された。ESSPRIは、患者における乾燥、疼痛および疲労を評価し、各症状は、0~10の数値的尺度で評価される。ESSPRIスコアの少なくとも1ポイントの減少は、臨床的に有意義である。
【0426】
RSLV-132処置患者は、試験の経過にわたりESSPRIスコアの1ポイントを超える減少を経験した(
図2)。具体的には、RSLV-132を受けている患者のESSPRIスコアは、ベースラインにおけるおよそ6から、99日目におけるおよそ4.5へと減少し(
図2)、患者のベースラインからの変化は、-1.20であった(
図3および表3)。このESSPRIスコアの改善は、臨床的に有意義であった。対照的に、
図3および表3に示す通り、プラセボで処置した患者は、-0.54のベースラインからの変化を生じた。さらに、RSLV-132で処置した患者は、プラセボ群における0と比較して、ベースラインから試験の99日目へと、およそ-1.4のESSPRI疲労の改善を経験した(
図4)。ESSPRIスコアの3種の構成成分を個々に評価した場合、RSLV-132で処置した患者は、プラセボで処置した対照患者と比較して、シェーグレンに関係する疲労の減少を経験した(
図5A~
図5C)。対象レベルデータは、プラセボ群における対象の25%およびRSLV-132処置対象の55%が、ESSPRIの最小の臨床的に重要な改善(MCII)を有した(≧1ポイント減少)ことを明らかにした(表3)。これらのデータは、RSLV-132処置がpSS患者における症状を改善すること、また、疲労の臨床的に有意義な低下が存在することの証拠を提供する。
【表3】
【0427】
(実施例6)
RSLV-132で処置した患者は、FACIT疲労スコアの臨床的に有意義な改善を経験した
慢性疾患検査の機能評価(FACIT)疲労尺度は、慢性疾患における疲労の測定に使用されており、シェーグレン(Sjorgren)症候群の患者において広く使用されている。FACIT疲労質問票は、4ポイントのリッカート尺度で測定される疲労に関する13個の質問を含む。総スコアは、0~52に及び、より高いスコアは、より少ない疲労を表す(Chandran et al., Ann Rheum Dis 2007;
66:936-939)。
【0428】
図6に描写されている通り、RSLV-132で処置した患者は、FACIT疲労スコアの臨床的に有意義な改善を経験した。特に、RSLV-132で処置した患者のFACITスコアは、ベースラインおよび試験の57日目の間でおよそ6ポイント増加した。対照的に、試験の57日目に、プラセボで処置した患者のFACITスコアは、およそ1ポイント増加した。試験の99日目に、RSLV-132で処置した患者のFACITスコアは、ベースラインからおよそ6ポイント増加した(平均5.9増加)。対照的に、試験の99日目に、プラセボで処置した患者のFACITスコアは、ベースラインからおよそ1ポイント増加した(平均増加1.13)。対象レベルデータは、プラセボ対象の25%およびRSLV-132処置対象の45%が、FACITスコアの最小の臨床的に重要な改善(MCII)を有した(≧6ポイント増加)ことを明らかにした(表3)。これらのデータは、RSLV-132処置が、pSS患者における疲労を改善することの証拠を提供する。
【0429】
(実施例7)
RSLV-132で処置した患者は、ProFの改善を経験した
疲労のプロファイル(ProF)は、慢性疾患に関連する疲労の測定に使用されており、シェーグレン症候群患者における疲労の評価に使用された。ProFは、2つのドメイン:(1)身体的疲労および(2)精神的疲労へと分けられる16項目からなる。ProFは、0~7にスコアリングされ、高いスコアは、より大きい疲労を表す。スコアリングは、プロファイルとしてまたは計算された総スコアとして示すことができる(Strombeck et al., Scand J Rheumatol 2005; 34:455-459)。
【0430】
RSLV-132処置患者は、試験の持続時間にわたりProFの改善を経験した。具体的には、RSLV-132で処置した患者のProFスコアは、ベースラインから試験の99日目へと、1ポイントを超えて減少した(1.04ポイントの平均低下)(
図7)。対照的に、プラセボで処置した患者は、ProFの減少を経験せず、平均低下は0.02ポイントであった(
図7)。
【0431】
注目すべきことに、精神的スコアは、ベースラインから試験の99日目へと、およそ1.5ポイント減少したため(精神的疲労構成成分の1.53ポイントの平均減少)(
図8)、RSLV-132で処置した患者は、試験の経過にわたりProFの精神的構成成分の臨床的に有意義な改善を経験した。対照的に、プラセボで処置した患者は、0.06ポイントのProFスコアの平均減少を経験した(
図8)。表3に示す通り、精神的疲労応答(≧1ポイント減少)は、99日目にプラセボ患者の25%およびRSLV-132処置患者の55%において観察された。これらのデータは、活性群(RSLV-132で処置した患者)が、ProFの精神的構成成分の臨床的に有意義な改善(≧1ポイント減少)を経験したことの証拠を提供する。
【0432】
身体的スコアは、ベースラインから試験の経過にわたりおよそ0.8ポイント減少したため(
図9)、RSLV-132で処置した患者は、ProFの身体的構成成分の改善も経験した。表3に示す通り、身体的疲労応答(≧1ポイント減少)は、99日目にプラセボ患者の25%およびRSLV-132処置患者の50%において観察された。プラセボで処置した患者は、ProFの精神的または身体的構成成分のいずれにおいても減少を経験しなかった。これらのデータは、RSLV-132処置が、pSS患者における疲労を改善することの証拠を提供する。
【0433】
(実施例8)
RSLV-132で処置した患者は、DSSTの統計的に有意な改善を経験した
数字符号置換検査(DSST)を使用して、シェーグレン症候群患者における認知機能(例えば、注意力および集中力)を測定した。DSSTは、実行機能に関する読み出し情報としてCNS薬物が関与する臨床試験において広く使用されている、高度に検証された高感度計測手段である。DSSTは、時間制限のある筆記による認知検査である。検査は、患者に、紙面の最初に書かれた鍵に従って、符号を数字にマッチさせることを要求する。患者は、数字の列の下にあるスペースに符号を複写し、規定時間内の正しい符号の数が計算される。
【0434】
12名の患者のサブセットに、数字符号置換検査(DSST)を実施した。DSST神経心理学的検査の結果は、上述の疲労結果を支持する。患者に、ベースラインおよび経過観察(99日目)においてDSSTを実施した。90秒間で完了した数字にマッチした符号の総数を測定すると共に、秒単位で表す検査を完了するまでの時間を測定した。持ち時間で完了したマッチの数の増加は、改善を実証する。検査を完了するまでの時間の減少も、改善を実証する。注目すべきことに、RSLV-132で処置した患者は、プラセボで処置した患者の-2.80の変化と比較して16.40の変化により、ベースラインおよび経過観察の間で検査を完了するまでの時間の統計的に有意な改善を実証した(
図10A)。
図10Bに示す通り、RSLV-132患者は、ベースラインよりも16.40秒間速く(16.4秒減)課題を完了した一方、プラセボ患者は、ベースラインにおける本来の時間よりも2.80秒間遅かった(2.80秒増)。RSLV-132で処置した患者は、ベースラインおよび経過観察の間での90秒間で完了したマッチの数の改善も実証した(
図10A)。疲労の低下は、認知能力改善と対応するため、DSST検査の改善は、シェーグレン症候群患者における疲労低下の知見を支持する。
【0435】
(実施例9)
RSLV-132に対する応答者は、鍵となる炎症性遺伝子を発現する
遺伝子発現解析を行って、RSLV-132処置したシェーグレン症候群患者における炎症低下の生化学的証拠をアッセイし、これを次の通りに行った。
【0436】
Q2 Solutions|EA Genomics、Morrisville、NC.において全血試料のRNA配列決定を行った。1および99日目に、試験処置前に、PAXGene(登録商標)収集管内に全血を収集した。RNAを抽出し、Thermo-FisherのNanoDrop 8000を使用した分光光度法によって定量化し、Bioanalyzer 2100におけるRNA 6000 Nano Assayを使用して統合性を評価した。rRNAのRiboZero Magnetic Gold枯渇によるIllumina TruSeq Stranded Total RNAプロトコールを使用して、50塩基対ストランドのペアードエンド配列決定ライブラリーを生成した。5千万個の読み取りデータの標的深度までIllumina HiSeqにおいてライブラリーを配列決定した。マッピング前に、アダプタートリミング、ホモポリマーフィルタリングおよび低品質読み取りデータフィルタリングを行った。次に、STAR v2.4を使用して、処理された読み取りデータをhg19ゲノムにマッピングした。RSEM 1.2.14を使用して、遺伝子および転写物定量化を行った。
【0437】
遺伝子発現解析の結果は、RSLV-132に対して臨床応答を経験するRSLV-132処置患者における炎症の低下の生化学的証拠を提供した(
図11)。これらの患者は、鍵となる炎症経路の幅広い低下を実証し、これは、臨床応答を達成していないRSLV-132処置患者においては観察されなかった。臨床応答は、3種の計測手段のうち2種において最小の臨床的に重要な改善(MCII)を経験する患者として定義された;ESSPRI(≧1ポイント減少)、FACIT(≧6ポイント増加)またはProF(≧1ポイント減少)。これらの判断基準を使用して、RSLV-132群における9/20名(45%)の患者およびプラセボ群における2/8名(25%)の患者が、臨床応答を経験した。
【0438】
臨床応答を達成したまたは達成しなかったRSLV-132対象に関して、99日目における遺伝子発現の変化を1日目と比較した。非応答者群における7名の患者および応答群由来の7名の患者から全血を採取し、上述のプロトコールに従ってRNAseqを使用して遺伝子発現解析のために処理した。
図11におけるヒートマップに示す遺伝子は、自然免疫系の制御に関与する鍵となる炎症性遺伝子であり、FACIT計測手段成績との高い程度の相関を有した(R
2>0.6)。臨床応答を達成するRSLV-132処置患者は、炎症関連遺伝子発現の広範囲にわたる減少を呈し、臨床応答を達成しなかった対象においては観察されなかった(
図11)。IL-5、TNF受容体、IL-6受容体、IL-1アクセサリータンパク質、CXCL1、IL-17受容体A、LTBR4およびSTAT5B等の鍵となる炎症性遺伝子の発現は、臨床応答を経験したRSLV-132処置患者において低下するが、経験していない患者においては低下しないことが観察された。CXCL10(IP-10)、CD163、RIPK2およびCCR2等、他の遺伝子の増加も、臨床応答を達成する患者において観察された。プラセボ群における2名の対象は、臨床応答を経験したが、RSLV-132処置した応答者と同様の遺伝子発現プロファイルを有しなかった(データは示していない)。
【0439】
これらのデータは、臨床応答を達成するRSLV-132処置対象が、炎症関連遺伝子発現の減少を呈することの証拠を提供する。
【0440】
(実施例10)
RSLV-132に対する応答者は、別個の遺伝子発現プロファイルを示す
遺伝子発現プロファイルを試験して、RSLV-132による処置に応答する可能性がある患者の同定に有用な遺伝子発現「フィンガープリント」を同定した。臨床応答を有しなかったRSLV-132処置対象のベースライン遺伝子発現プロファイルと比較して、その後99日目に臨床応答(MCII)を有したRSLV-132処置対象のベースライン遺伝子発現プロファイル(試験薬投与前)の間で、遺伝子発現の別個のパターンが観察された。
【0441】
ベースラインにおいて(RSLV-132投与前)において患者から採取された血液試料、実施例9に記載されている通りにRNAseqを行った。非応答者(臨床応答を示さなかった、RSLV-132で処置した患者)および応答者(臨床応答を有した、RSLV-132で処置した患者)のベースライン遺伝子発現プロファイルを解析した。応答者対非応答者RSLV-132サブグループの遺伝子発現プロファイルの試験は、応答者の間で興味深いプロファイルを明らかにした。
図12A~
図12Cおよび表4に示す通り、1日目に、試験薬の投与前に、その後試験の99日目に陽性臨床応答を有した患者において、別個の遺伝子発現プロファイルが観察された。
【0442】
ベースライン遺伝子発現が、FACIT(
図12A)、ProF(
図12B)またはESSPRI(
図12C)のいずれかと相関した場合、RSLV-132応答者の間で特異的なプロファイルが明らかになった。STAT1およびSTAT2の発現の減少は、FACIT検査と相関し(
図12A)、ZNF606の発現の増加およびTRIM37の発現の減少は、ProF検査と相関し(
図12B)、ACKR3の発現の増加およびMAPK3K8の発現の減少は、ESSPRI検査と相関した(
図12C)。表4に示す通り、MAP3K8およびACKR3は、ESSPRIと高度に相関し(R
2>0.9)、STAT1およびSTAT2は、FACITと高度に相関し(R
2>0.76)、TRIM37およびZNF606は、ProFと高度に相関した(R
2>0.71)。これらのデータは、一部の患者において、当該患者における炎症経路の慢性活性化を促進する、循環する特異的なRNA分子が存在することの証拠を提供する。
【表4】
【0443】
(実施例11)
RSLV-132処置の安全性および忍容性
RSLV-132による処置の全体的な安全性および忍容性を評価するために、試験を通して有害事象を測定した。最終処置後211日間、有害事象をモニタリングした。処置中に発生した有害事象、重篤有害事象および薬物関連の有害事象の発生率は、RSLV-132およびプラセボ処置群の間で匹敵した(表5)。試験中に死亡は生じなかった。疲労は、試験における最も一般的な有害事象(AE)であった。疲労AEの大部分は、試験初期に報告された。試験中にいずれの処置群においても、重篤な感染も注入反応も観察されなかった。有害事象AEが原因で試験薬を中止した患者はいなかった。RSLV-132群における1名の患者は、重篤有害事象を経験し、試験薬の最後の用量の88日後に耳下腺炎のため入院した。この有害事象は、RSLV-132処置と相関するように思われなかった。
【表5】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】