(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102205
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】皮下注射のための抗IFNAR1投薬計画
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20240723BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240723BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240723BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240723BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240723BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240723BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240723BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240723BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240723BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20240723BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240723BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240723BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
A61K45/00 ZNA
A61P43/00 111
A61K9/08
A61K47/18
A61K47/26
A61K39/395 N
A61P37/06
A61P13/12
A61P17/00
A61K31/573
A61P43/00 121
A61P29/00
A61P21/00
C07K16/28
A61K45/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】89
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024074264
(22)【出願日】2024-05-01
(62)【分割の表示】P 2023562678の分割
【原出願日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】63/178,739
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/245,285
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/272,851
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391008951
【氏名又は名称】アストラゼネカ・アクチエボラーグ
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】リンドホルム,カタリーナ
(72)【発明者】
【氏名】チア,イェン リン
(72)【発明者】
【氏名】トゥマラ,ラジェンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ロスコス,ロリン
(72)【発明者】
【氏名】アルムクヴィスト,ヨアキム
(72)【発明者】
【氏名】ルーセ,トマス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】I型IFN媒介性疾患、具体的には全身性エリテマトーデス、ループス腎炎等の自己免疫疾患の治療のための方法及び組成物を提供する。
【解決手段】対象に、105mg超(>)及び150mg未満(<)のI型IFN受容体(IFNAR1)阻害剤、具体的にはIFNAR1に特異的なヒトモノクローナル抗体、更に具体的にはアニフロルマブを含む単位容量を含む医薬組成物を、週1回皮下投与する方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
105mg超(>)及び150mg未満(<)のI型IFN受容体(IFNAR1)阻害剤を含む、皮下投与用の単位用量。
【請求項2】
135mg以下(≦)の前記IFNAR1阻害剤を含む、請求項1に記載の単位用量。
【請求項3】
約120mgの前記IFNAR1阻害剤を含む、請求項1又は2に記載の単位用量。
【請求項4】
>105mg及び<150mgの前記IFNAR1阻害剤から本質的になる、請求項1に記載の単位用量。
【請求項5】
≦135mgの前記IFNAR1阻害剤から本質的になる、請求項4に記載の単位用量。
【請求項6】
約120mgの前記IFNAR1阻害剤から本質的になる、請求項5に記載の単位用量。
【請求項7】
前記IFNAR1阻害剤の濃度が約150mg/mlである、請求項1~6のいずれか一項に記載の単位用量。
【請求項8】
前記単位用量の体積が約0.8mlである、請求項1~7のいずれか一項に記載の単位用量。
【請求項9】
前記単位用量が、約150~200mg/mlの前記IFNAR1阻害剤と、約25~150mMのリジン塩と、非荷電賦形剤と、の製剤を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の単位用量。
【請求項10】
25mMのヒスチジン-HCLと、130mMのトレハロースと、0.05w/v%のポリソルベート80と、の製剤を含む、請求項9に記載の単位用量。
【請求項11】
前記製剤が約5.9のpHを有する、請求項9又は10に記載の単位用量。
【請求項12】
前記IFNAR1阻害剤が、IFNAR1に特異的なヒトモノクローナル抗体、任意選択的に、修飾されたIgG1クラスヒトモノクローナル抗体である、請求項1~11のいずれか一項に記載の単位用量。
【請求項13】
前記抗体が、
(a)配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域相補性決定領域1(HCDR1);
(b)配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域相補性決定領域2(HCDR2);
c)配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域相補性決定領域3(HCDR3);
(d)配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域相補性決定領域1(LCDR1);
(e)配列番号7のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域相補性決定領域2(LCDR2);及び/又は
(f)配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域相補性決定領域3(LCDR3)
を含む、請求項12に記載の単位用量。
【請求項14】
前記抗体が、(a)配列番号1のアミノ酸配列を含むヒト重鎖可変領域、及び(b)配列番号2のアミノ酸配列を含むヒト軽鎖可変領域
を含む、請求項12又は13に記載の単位用量。
【請求項15】
前記抗体が、Kabatに記載されるEUインデックスによって付番されるL234Fのアミノ酸置換を含むFc領域を含み、前記抗体が、非修飾抗体と比較して少なくとも1つのFcリガンドに対する低下した親和性を示し、任意選択的に、前記抗体が、Kabatに記載されるEUインデックスによって付番されるL235E及び/又はP331Sのアミノ酸置換を前記Fc領域中に含む、請求項11~14のいずれか一項に記載の単位用量。
【請求項16】
前記抗体が、(a)配列番号11のアミノ酸配列を含むヒト重鎖、及び(b)配列番号12のアミノ酸配列を含むヒト軽鎖
を含む、請求項12~15のいずれか一項に記載の単位用量。
【請求項17】
前記IFNAR1阻害剤が、アニフロルマブ又はその機能的バリアントである、請求項1~16のいずれか一項に記載の単位用量。
【請求項18】
対象におけるI型インターフェロン(IFN)媒介性疾患を治療するための方法であって、請求項1~17のいずれか一項に記載の単位用量を、I型インターフェロン(IFN)媒介性疾患を有する対象に皮下投与することを含む、方法。
【請求項19】
対象におけるI型IFN媒介性疾患を治療する方法であって、IFNAR1阻害剤の1用量を前記対象に皮下投与することを含み、前記用量が105mg超(>)及び150mg未満(<)である、方法。
【請求項20】
対象におけるI型IFN媒介性疾患を治療する方法であって、IFNAR1阻害剤の1用量を皮下投与することを含み、前記用量を週1回皮下投与することで、300mgの前記IFNAR1阻害剤を4週間に1回静脈内投与することによって提供される血漿濃度と少なくとも等価の血漿濃度が前記対象中に提供される、方法。
【請求項21】
前記用量を週1回皮下投与することで、300mgの前記IFNAR1阻害剤を4週間に1回静脈内投与することによって提供される血漿濃度を上回る血漿濃度が前記対象中に提供される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記用量が、<150mgの前記IFNAR1阻害剤である、請求項18~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記用量が、>105mgの前記IFNAR1阻害剤である、請求項18~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記用量が単回の投与工程で皮下投与される、請求項18~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記用量が、135mg以下(≦)の前記IFNAR1阻害剤である、請求項18~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記用量が、約120mgの前記IFNAR1阻害剤である、請求項18~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記用量又は単位用量を6~8日おきに皮下投与することを含む、請求項18~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記用量又は単位用量を1週間に1回(QW)皮下投与することを含む、請求項18~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記用量又は単位用量は、120mgの前記IFNAR1阻害剤であり、前記方法は、前記用量を1週間に1回(QW)単回の投与工程で皮下投与することを含む、請求項18~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記用量又は単位用量は、少なくとも約4、8、12、16、20、24、28、又は32週間の間、1週間に1回皮下投与される、請求項18~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記用量又は単位用量は、少なくとも約8週間の間、1週間に1回皮下投与される、請求項18~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記用量又は単位用量は、約0.5~約1mlの体積を有する、請求項18~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記用量又は単位用量は、約0.8mlの体積を有する、請求項18~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記患者にコルチコステロイドを投与することを含み、任意選択的に、前記コルチコステロイドは経口コルチコステロイドである、請求項18~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記コルチコステロイドの初回用量を投与し、その後、前記コルチコステロイドの第2回用量を投与することを含み、前記コルチコステロイドの前記第2回用量は、前記コルチコステロイドの前記初回用量よりも少ない、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記コルチコステロイドの前記第2回用量は、約7.5mgのプレドニゾン等価物用量以下であり、任意選択的に、前記コルチコステロイドの前記第2回用量は、5mgのプレドニゾン等価物用量以下であり、任意選択的に、前記方法は、前記コルチコステロイドの前記第2回用量を1日1回投与することを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記コルチコステロイドの前記初回用量は、約10mgのプレドニゾン等価物用量である、請求項35又は36に記載の方法。
【請求項38】
前記コルチコステロイドの前記第2回用量を1日1回投与することを含む、請求項35~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記コルチコステロイドの前記第2回用量は、少なくとも24週間の間、任意選択的には少なくとも28週間の間投与される、請求項35~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記用量又は単位の投与により、血漿1mlあたり≧10μgのアニフロルマブ又はその機能的バリアント(≧10μg/ml)の、前記IFNAR1阻害剤の血漿濃度が前記対象中に提供される、請求項18~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記用量又は単位用量の投与により、約10~100μg/ml、任意選択的に約20~80μg/ml、任意選択的に約30~70μg/mlの前記IFNAR1阻害剤の血漿濃度が前記対象中に提供される、請求項18~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記用量又は単位用量の投与により、≧20μg/ml、任意選択的に≧30μg/ml、任意選択的に≧40μg/mlの前記IFNAR1阻害剤のトラフ濃度が前記対象中に提供される、請求項18~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記用量又は単位用量の投与により、約20~100μg/ml、任意選択的に約30~80μg/ml、任意選択的に約40~70μg/mlの前記IFNAR1阻害剤のトラフ濃度が前記対象中に提供される、請求項18~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記対象は、前記用量又は単位用量の投与前に、I型インターフェロンで刺激された遺伝子シグネチャー(IFNGS)試験結果の高い患者であり、任意選択的に、前記IFNGSは、4遺伝子、5遺伝子、又は21遺伝子IFNGSである、請求項18~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記対象を、前記用量又は単位用量での治療前にIFNGS試験結果の高い患者として同定することを含む、請求項18~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記用量又は単位用量は、4週間に1回(Q4W)投与される300mgの静脈内用量の前記IFNAR1阻害剤の投与によって提供される治療効果と少なくとも等価の治療効果を前記対象中で提供する、請求項18~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記用量又は単位用量は、4週間に1回(Q4W)の300mgの静脈内用量のアニフロルマブ又はその機能的バリアントの投与によって提供される前記IFNAR1阻害剤のトラフ濃度を上回る前記IFNAR1阻害剤のトラフ濃度を前記対象中で提供する、請求項18~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記IFNAR1阻害剤は医薬組成物内に含まれる、請求項18~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記医薬組成物は、150mg/mLの前記IFNAR1阻害剤と、50mMのリジンHClと、130mMのトレハロース二水和物と、0.05%のポリソルベート80と、25mMのヒスチジン/ヒスチジンHClとを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記I型IFN媒介性疾患は、健康なドナーと比較して高いIFNGSスコアに関連し、前記IFNGSスコアは、4遺伝子、5遺伝子、及び/又は21遺伝子スコアである、請求項18~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記I型IFN媒介性疾患が自己免疫疾患である、請求項18~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記I型IFN媒介性疾患がループスである、請求項18~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記I型IFN媒介性疾患が全身性エリテマトーデス(SLE)であり、任意選択的に、前記SLEが中等度から重度の活性自己抗体陽性SLEである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記I型IFN媒介性疾患がループス腎炎(LN)である、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記I型IFN媒介性疾患が皮膚エリテマトーデス(CLE)である、請求項52に記載の方法。
【請求項56】
前記用量又は単位用量の投与により、患者のBILAGベースの複合ループス評価(BICLA)応答率のベースラインからの改善がもたらされる、請求項52~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記用量又は単位用量の投与により、患者の全身性エリテマトーデスレスポンダー指数(SRI)のベースラインから4スコアの改善がもたらされる、請求項52~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記対象におけるSLE疾患活性を低下させる、請求項52~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記対象におけるSLE疾患活性を低下させることが、
a)前記対象におけるBILAGベースの複合ループス評価(BICLA)応答、
b)前記対象におけるSRI(4)応答、及び/又は
c)前記対象の皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数(CLASI)スコアを、治療前の前記対象のCLASIスコアと比較して低下させることを含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記I型IFN媒介性疾患が筋炎である、請求項51に記載の方法。
【請求項61】
前記I型IFN媒介性疾患が強皮症である、請求項51に記載の方法。
【請求項62】
前記I型IFN媒介性疾患がシェーグレン症候群である、請求項51に記載の方法。
【請求項63】
前記IFNAR1阻害剤が、前記対象における前記高いIFNGSを中和する、請求項18~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記IFNAR1が、IFNAR1に特異的なヒトモノクローナル抗体、任意選択的に、修飾されたIgG1クラスヒトモノクローナル抗体である、請求項18~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記抗体が、
a)配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域相補性決定領域1(HCDR1);
(b)配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域相補性決定領域2(HCDR2);
c)配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域相補性決定領域3(HCDR3);
(d)配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域相補性決定領域1(LCDR1);
(e)配列番号7のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域相補性決定領域2(LCDR2);及び/又は
(f)配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域相補性決定領域3(LCDR3)を含む、請求項64に記載の単位用量。
【請求項66】
前記抗体が、(a)配列番号1のアミノ酸配列を含むヒト重鎖可変領域、及び(b)配列番号2のアミノ酸配列を含むヒト軽鎖可変領域を含む、請求項64又は65に記載の単位用量。
【請求項67】
前記抗体が、Kabatに示されるEUインデックスによって付番されるL234Fのアミノ酸置換を含むFc領域を含み、前記抗体が、非修飾抗体と比較して少なくとも1つのFcリガンドに対する低下した親和性を示す、請求項64又は65に記載の方法。
【請求項68】
前記抗体が、(a)配列番号11のアミノ酸配列を含むヒト重鎖、及び(b)配列番号12のアミノ酸配列を含むヒト軽鎖を含む、請求項64~66のいずれか一項に記載の単位用量。
【請求項69】
前記IFNAR1阻害剤が、アニフロルマブ又はその機能的バリアントである、請求項18~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記I型IFN媒介性疾患がSLEであり、前記IFNAR1阻害剤が、アニフロルマブ又はその機能的バリアントであり、前記用量が120mgであり、前記方法が、前記用量を週1回皮下投与することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項71】
前記I型IFN媒介性疾患がLNであり、前記IFNAR1阻害剤が、アニフロルマブ又はその機能的バリアントであり、前記用量が120mgであり、前記方法が、前記用量を週1回皮下投与することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項72】
前記I型IFN媒介性疾患がCLEであり、前記IFNAR1阻害剤が、アニフロルマブ又はその機能的バリアントであり、前記用量が120mgであり、前記方法が、前記用量を週1回皮下投与することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項73】
前記I型IFN媒介性疾患が筋炎であり、前記IFNAR1阻害剤が、アニフロルマブ又はその機能的バリアントであり、前記用量が120mgであり、前記方法が、前記用量を週1回皮下投与することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項74】
前記I型IFN媒介性疾患が強皮症であり、前記IFNAR1阻害剤が、アニフロルマブ又はその機能的バリアントであり、前記用量が120mgであり、前記方法が、前記用量を週1回皮下投与することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項75】
前記I型IFN媒介性疾患がシェーグレン症候群であり、前記IFNAR1阻害剤が、アニフロルマブ又はその機能的バリアントであり、前記用量が120mgであり、前記方法が、前記用量を週1回皮下投与することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項76】
請求項18~75のいずれか一項に記載の治療方法で使用するための医薬組成物であって、前記方法が、前記対象に前記医薬組成物を皮下投与することを含み、前記医薬組成物が、請求項1~17のいずれか一項に記載の単位用量を含む、医薬組成物。
【請求項77】
対象におけるI型IFN媒介性疾患を治療する方法で使用するための医薬組成物であって、前記方法が、対象に前記医薬組成物を皮下投与することを含み、前記医薬組成物が、アニフロルマブ又はその機能的バリアントの1用量を含み、前記用量が105mg超(>)及び150mg未満(<)である、医薬組成物。
【請求項78】
請求項76又は77に記載の使用のための医薬組成物であって、前記用量が約120mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントである、医薬組成物。
【請求項79】
請求項1~17のいずれか一項に記載の単位用量又は請求項76~78のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物を含む、注射装置。
【請求項80】
プレフィルドシリンジ(PFS)である、請求項79に記載の注射装置。
【請求項81】
アクセサリ付きプレフィルドシリンジ(AFPS)である、請求項79に記載の注射装置。
【請求項82】
自動注射器である、請求項79に記載の注射装置。
【請求項83】
i)請求項1~17のいずれか一項に記載の単位用量、ii)請求項77若しくは78に記載の医薬組成物、又はiii)請求項79~82のいずれか一項に記載の注射装置、及び使用説明書を含むキットであって、前記使用説明書が、前記単位用量又は医薬組成物を対象に皮下投与するための説明書を含む、キット。
【請求項84】
前記使用説明書が、前記単位用量又は医薬組成物は、請求項18~75のいずれか一項に記載の方法のいずれかを使用するためのものであることを明記する、請求項83に記載のキット。
【請求項85】
パッケージングを含み、前記パッケージングが、前記注射装置及び前記使用説明書を保持するように構成されている、請求項83又は84に記載のキット。
【請求項86】
前記使用説明書が、前記注射装置に添付されている、請求項83~85のいずれか一項に記載のキット。
【請求項87】
前記使用説明書が、120mgのアニフロルマブ又は前記機能的バリアントを投与するための説明書を含む、請求項83~86のいずれか一項に記載のキット。
【請求項88】
前記使用説明書が、120mgのアニフロルマブ又は前記機能的バリアントを週1回皮下投与するための説明書を含む、請求項83~87のいずれか一項に記載のキット。
【請求項89】
前記使用説明書が、請求項18~75のいずれか一項に記載の方法に従う使用のための説明書を含む、請求項83~87のいずれか一項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
今日まで、I型IFN受容体(IFNAR1)阻害剤であるアニフロルマブの臨床研究は、主に、抗体の静脈内(IV)投与による全身性エリテマトーデス(SLE)などの1型インターフェロン媒介性疾患の治療に焦点を当てていた。しかしながら、静脈内投与は、医療専門家によって処置が実施され得るように、患者が病院又は診療所を訪問することを必要とする。そのため、静脈内投与は患者にとって不便であり、患者及び保健医療制度の両方に負担を課すものである。
【0002】
1.1.全身性エリテマトーデス(SLE)
全身性エリテマトーデス(SLE)は、病因不明の慢性多臓器性身体障害性自己免疫リウマチ疾患である。SLEの治療には、特に中等度又は重度の疾患を有する患者における、未だに満たされていない相当な医学的必要性が存在する。多くの患者において、長期予後は不十分なままである。ヒドロキシクロロキンが円板状ループス及びSLEにおける使用に認可されてから約60年の間に、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration)(FDA)及び欧州医薬品庁(European Medicines Agency)(EMA)によって認可されたSLEに対する新たな治療(ベリムマブ)はわずか1つである。アザチオプリン、シクロホスファミド、及びミコフェノール酸モフェチル/ミコフェノール酸など、SLEを治療するために現在使用される多くの薬剤は、その疾患に対して認可されていない。更に、これらの薬剤の全てが、十分に文書化された安全性の課題を有し、全ての患者におけるループスの全ての徴候に対して有効でない。グルココルチコイドは依然として主要な治療方法であり、これは疾患徴候の重症度に応じて用量が変化する。白内障、骨粗しょう症、及び冠状動脈などのグルココルチコイド誘導性障害の発症リスクに関して、経口グルココルチコイドの「安全な」用量というものは存在せず、大量のグルココルチコイドへの曝露が全体的な障害発生の増加に関連することが示されている一方で、かなり少量~中量の用量も障害の増加に関連する可能性がある。
【0003】
SLEの臨床徴候としては、疲労感及び発熱などの全身症状、脱毛症、発疹、漿膜炎、関節炎、腎炎、脈管炎、リンパ節腫脹、脾腫、溶血性貧血、認知機能不全、並びに他の神経系障害が挙げられるが、これらに限定されない。これらの疾患徴候は、疾病の重大な負荷を生じさせ、恒久的臓器障害、身体機能低下、失業、及び健康に関連する生活の質(QoL)の大幅な低下をもたらす可能性がある。入院、並びに長期にわたる高用量のグルココルチコイド及び他の免疫抑制療法を含む薬物療法の副作用の増加は、SLEの疾患負荷を大幅に増加させる。SLEの治療のために現在用いられる療法の全てが、周知の有害作用プロファイルを有しており、新たな標的化療法、特に、グルココルチコイド及び細胞傷害性薬剤の必要量を低減させ得る薬剤を同定するという医学的必要性が存在する。
【0004】
1.2.皮下投与
静脈内投与経路と比較して、皮下投与は家庭での投与を可能にし、したがって患者が病院を訪問する頻度を低減するという利点を有する。したがって、皮下(SC)投与は、SARS-Cov2のパンデミックなどの世界規模のパンデミックの間は、免疫が脆弱である可能性のある患者が病院を訪問することでSARS-Cov2感染のリスクに晒される必要性を回避するために、特に有利である。
【0005】
皮下投与は静脈内注射と比較して利点があるものの、静脈内投与から皮下投与への切り替えは容易ではない。皮下投薬への転換は、新規の製剤の開発、並びにバイオアベイラビリティ薬物動態学的特性の差、及び静脈内投与と比較した皮下投与の免疫原性などの要因の検討が必要となる場合がある[1]。
【0006】
皮下製剤と静脈内製剤とで薬物動態学的プロファイルは異なる。モノクローナル抗体を血流に直接注入すると、通常は即座に最大血清濃度(Cmax)が得られる。それとは反対に、皮下注射された治療用タンパク質の薬物動態学的(PK)プロファイルは、典型的には、吸収速度の遅れ、及び静脈内投薬で得られるものよりも低いCmaxレベルを特徴とする[2]。更に、皮下投与の場合、注射された分子のバイオアベイラビリティが不十分となり、mAbの場合で50~80%の広範にわたり得る[2]。不十分なバイオアベイラビリティのために、典型的には、静脈内注入の場合よりも高い用量の皮下投与が必要となる。このため、治療のために投与されたSCのPKを予測することは困難である[2]。
【0007】
静脈内用量に基づいて安全及び治療的に有効な皮下用量を予測することは、ループス(例えばSLE)などの異種自己免疫疾患においては特に困難である。生物製剤の静脈内投与からのデータを用いてSLEの治療のための安全及び有効な皮下用量を予測することの困難さは、過去にその試みが失敗したことにより実証されている。例えば、SLEの第1相研究では、単回用量のタバルマブ(tabalumab)(抗BAFFモノクローナル抗体)を、合計で5人のSLE患者に静脈内投与した[3]。続く第3相ILLUMINATE試験(NCT01205438及びNCT01196091)では、静脈内経路の代わりに皮下投薬が選択された[4、5]。第1相試験では、SLE患者に単回用量の静脈内タバルマブを、0.125mg/kg又は2.0mg/kgのいずれかで投与した[3]。第3相ILLUMINATE試験では、対象に240mgの初期皮下負荷用量を投与し、続いて120mgを週2回又は月1回のいずれかで皮下投与した。主要評価項目のSRI-5応答は、いずれの用量群でも適合しなかった。治験担当医師は、試験が失敗した考えられる理由は、不適切なSC用量を選択したことであり[4]、試験に従っても最適なSC用量は不明であった[5]とコメントした。
【0008】
1.3.アニフロルマブ
アニフロルマブは、I型インターフェロン受容体(IFNAR1)のサブユニット1に対するヒト免疫グロブリンG1カッパ(IgG1κ)モノクローナル抗体(mAb)である。皮下投与は静脈内投与に対する利点があるものの、SLE患者において安全及び有効なアニフロルマブの皮下用量は過去に判明されなかった。
【0009】
本発明は、皮下投与用のIFNAR1阻害剤(例えばアニフロルマブ)の1用量を提供することにより、上記の問題のうち1つ以上を解決する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、I型IFN受容体(IFNAR1、別名IFNAR)阻害剤の皮下用量に関する。本発明は、対象においてループス(例えばSLE)などのI型IFN媒介性疾患を治療する方法に使用するための、IFNAR1阻害剤の皮下用量にも関する。本発明は、一般的なI型IFN遺伝子シグネチャー(IFNGS)が、ループス、筋炎、強皮症、及びシェーグレン症候群を含むI型IFN媒介性疾患を患う対象中で増加すること、このIFNGSが疾患の重症度に関連していること、並びにIFNGSを中和するIFNAR1阻害剤の安全及び有効な用量の同定を示すデータによって裏付けされる。
【0011】
本発明は、とりわけ、SLE患者における2回の第3相、多施設、多国籍、無作為化、二重盲検、プラセボ対照臨床試験(NCT02446899及びNCT02962960)、SLE患者における第2相、多国籍、多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並列群臨床試験(NCT02962960)、健康患者(health subjects)における第1相、無作為化、プラセボ対照、二重盲検臨床試験(NCT02601625)、I型インターフェロン試験結果の高い成人SLE対象におけるアニフロルマブの薬物動態、薬力、及び安全性を特性決定するための第2相研究(NCT02962960)からのIFNAR1阻害剤(アニフロルマブ)に関する有効性、安全性、及びPKデータによって裏付けされ、これらのデータ解析は本明細書で初めて提示される。本発明者らは、革新的なデータモデル化を用いて、静脈内用量と等価の安全性及び有効性を提供するIFNAR1阻害剤の最適な皮下用量を同定した。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】TULIP-1及びTULIP-2の研究設計 ACR:米国リウマチ学会(American College of Rheumatology);ANA:抗核抗体;抗dsDNA:抗二重鎖DNA;抗Sm:抗スミス抗体;BICLA:BILAGベースの複合ループス評価;BILAG:イギリス諸島ループス評価群;IFNGS:インターフェロン遺伝子シグネチャー;IV:静脈内;OCS:経口コルチコステロイド;PGA:医師の総合評価;Q4W:4週間に1回;SLE:全身性エリテマトーデス;SLEDAI-2K:SLE疾患活性指数2000;SRI(4):SLEレスポンダー指数。
aACRのSLE分類を満たした適格患者:
b患者は、IFNGS状態、SLEDAI-2Kスコア、及びOCS投薬量別に階層化した;
cプレドニゾン≧10mg/日又は等価物のベースラインOCSを有する患者の場合。
【
図2】TULIP-1及びTULIP-2の有効性結果 TULIP-1、TULIP-2、及びMUSEの全体的な有効性結果。BICLA:BILAGベースの複合ループス評価;BILAG:イギリス諸島ループス評価群;CI:信頼区間;CLASI:皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数;IFNGS:インターフェロン遺伝子シグネチャー;OCS:経口コルチコステロイド;SRI(4):SLEレスポンダー指数。解析手法及び定義は試験間で異なる。公開されたデータはオッズ比として表される;
b過去に公開されていないデータ。
【
図3】研究05、経時的なBICLA応答及び第1のフレアまでの時間
図3Aは、イギリス諸島ループス評価群(BILAG)ベースの総合ループス評価(BICLA)応答を有する患者のパーセンテージを示す。縦棒は95%信頼区間(CI)を示す。
図3Bは、第1のフレアまでの時間を示し、フレアは、以前の訪問と比較しての、少なくとも1つの新規のBILAG2004インデックス(BILAG-2004)のA項目、又は少なくとも2つの新規のBILAG-2004のB項目として定義される。BILAG-2004は、9つの器官系をカバーする97の臨床及び検査用変数のアセスメントであり、スコアは、各器官系に関してA(重度)からE(影響なし)までの範囲にわたる。パネルの白抜き黒丸は打ち切りデータを示す。第1のフレアまでの時間を、Cox比例ハザードモデルを使用して評価したが、が、多重比較のための調整は行わず、この結果から推定を導き出すことはできなかった。
【
図4】平均アニフロルマブ濃度対帯状疱疹発生率 プラセボ、300mgのIVアニフロルマブ、又は1000mgのIVアニフロルマブを投与される研究1013の患者における帯状疱疹の発生率(%)。
【
図5】平均アニフロルマブ血清濃度-時間プロファイル
図5A:SScにおける研究MI-CP180-単回のIV用量後の平均アニフロルマブ血清濃度-時間プロファイル。データは+/-SDを表す。LLOQを下回る平均データはプロットされていない。IV;静脈内;LLOQ:定量下限;MEDI546:アニフロルマブ;n:下位群中の患者数;SSc:全身性硬化症。
図5B:健康な志願者における研究06-単回のSC及びIV用量後の平均アニフロルマブ血清濃度-時間プロファイル。名目採取時間から>10%偏差した実際の採取時間を有する試料を平均から除外した。IV:静脈内;N:対象数;SC:皮下。
【
図6】研究08の研究設計及び結果
図6A:SLE患者におけるSCアニフロルマブの第2相の研究設計。研究08(NCT02962960)は、1週間おきに2つのアニフロルマブ用量の効果を評価した。
図6B:経時的なアニフロルマブの平均血清濃度。
図6C:I型IFN遺伝子シグネチャーのアニフロルマブ中和。
【
図7】計算された中央AUC比(SC/IV)
図7A:様々なSC用量での0~52週の間の計算された中央AUC比(SC/IV)。0~52週の間で研究06から推定されたバイオアベイラビリティに基づいて計算された中央AUC比(SC/IV)(皮下用量は、75mg(+記号)、90mg(白抜き四角)、105mg(円)、120mg(三角)、又は135mg(黒四角)のいずれかである)。本明細書では、皮下用量は7日に1回(QW)投与し、IV用量は300mg用量で4週間に1回(Q4W)投与する。AUCに基づくと、90及び105mgのSC QWの両方が、300mgのIVと類似するように思われる。
図7B:90mg及び105mgのSC QWに対する計算された中央AUC比(SC/IV)。0~52週の間で研究06から計算されたバイオアベイラビリティよりも約7%低い推定バイオアベイラビリティに基づいて計算された中央AUC比(SC/IV)(皮下用量は、90mgのSC QW又は105mgのSCのいずれかである)。
【
図8】異なる用量での経時的なアニフロルマブ濃度
図8A:(i)7日に1回の105mg皮下アニフロルマブ(直線)、(ii)4週間に1回の300mgの静脈内アニフロルマブ(下部の点線)、(ii)4週間に1回の1000mgの静脈内アニフロルマブ(上部の点線)のいずれかを投与された患者における血漿アニフロルマブの(計算された)トラフ濃度を示すプロット。影のついた領域は、300mgのIV Q4W用量の5パーセンタイルと95パーセンタイルとの間の領域を表す。
図8B:IFNGSが高いSLE対象におけるアニフロルマブのトラフ濃度。投与後の高IFNGS患者の血漿中のアニフロルマブの計算されたトラフ濃度は以下のとおりである:(i)300mgのIV Q4W、(ii)90mgのSC QW、(iii)105mgのSC QW、(iv)135mgのSC QW、(v)1000mgのIV Q4W。SC=皮下。トラフに基づいて、90mg及び105mgのSC QWの両方が、300mgのIVよりも高いPD抑制を有することが予測された。
【
図9】高IFNGS患者におけるTULIP1及びTULIP2で観察された陽性曝露-BICLA関係
図9A:プラセボ、150mg、及び300mgアニフロルマブに対するTULIP I。
図9B:プラセボ及び300mgに対するTULIP II。
【
図10】BICLAの用量応答
図10A:予測平均(灰色の線)及び95%信頼区間(CI)(破線領域)を示す、52週間にわたるアニフロルマブC
aveに対するBICLA応答基準(高IFNGS患者における)を満たす可能性に関する用量応答曲線。患者は用量ごとにグループ分けされる(150mg、n=62;300mg、n=242;及び1000mg)。
図10B:様々なSC用量での予測PK及び有効性。105mgから開始して最大で150mgの週1回の皮下用量で(高IFNGS患者において)BICLAを満たす確率。データを生成するための前提条件は、用量の遅延/中断がないことを含む。
【
図11】腹部注射と比較した、大腿部注射後のC
トラフ 大腿部注射後のC
トラフは、腹部注射と比較して低下傾向であった。
図11A:150mg SC Q2W。
図11B:300mg SC Q2W。
【
図12】81~87%のバイオアベイラビリティ及び予備PKモデリングに基づく曝露予測 PK予備モデリング及びバイオアベイラビリティ仮定に基づく90~150mgのSC QW対300mgのQ4Wに関して予測されたアニフロルマブの中間C
ave比。81~87%のバイオアベイラビリティ(F1)が仮定された場合、105mgが、300mgのIVに匹敵するCaveをもたらすと最初に予測された。
【
図13】様々なSC及びIV用量での、高IFNGS患者における52週間にわたるアニフロルマブのC
ave 推定バイオアベイラビリティが約70%以下に減少した場合、105mg QWの皮下用量のC
ave中央値は1未満に下がった。
図13A:105mgのSC QW。
図13B:120mgのSC QW。
図13C:1000mgのIV Q4Wとの重複。
【
図14】SC QW対300mgのIV Q4WのC
ave 比中央値 105mg超、好ましくは120mg以上の用量を選択することで、ループス(例えばSLE)を有する患者における応答開始及びバイオアベイラビリティの変動性の影響を最小化することにより、曝露応答が最適化される。
図14A:81%のバイオアベイラビリティが推定される。
図14B:70%のバイオアベイラビリティが推定される。
【
図15】平均アニフロルマブ濃度対帯状疱疹の発生率 プラセボ、300mgのIVアニフロルマブ、又は1000mgのIVアニフロルマブを投与される研究1013の患者における帯状疱疹の発生率(%)150mg QW未満のSC用量も、帯状疱疹感染症のリスクを低減するのに望ましい。
【
図16】PK/PDモデルの概略図 非線形混合効果モデル。Ab:中心コンパートメント中のアニフロルマブ;Abp:末梢組織画分中のアニフロルマブ;Ab.R:アニフロルマブ-IFNAR1複合体;CLRES:細網内皮系によるクリアランス;GSIFN,wb:全血中のI型IFN PDシグネチャー;IC50、効力:PDシグネチャー産生の半最大阻害に対応するアニフロルマブ濃度;IFN:インターフェロン;Imax:アニフロルマブによるPDシグネチャー産生の阻害の最大画分範囲;k
deg,:IFN-αR1の分解速度定数;kin,wb:全血中のIFN遺伝子の産生速度定数;k
int:内部移行速度定数;k
off:解離速度定数;k
on:会合速度定数;kout:IFN遺伝子の排出速度定数;PD:薬力;PK:薬物動態;Q:コンパートメント間クリアランス;wb:全血。
【
図17】スクリーニング時の4遺伝子IFNGS状態(高又は低)とTULIP-1及びTULIP-2試験からプールされたデータにおけるベースライン21遺伝子IFNGSと間の関連 21-IFNGS:21遺伝子の薬力学的インターフェロン遺伝子シグネチャー;IFNGS:インターフェロン遺伝子シグネチャー;SLE:全身性エリテマトーデス。データ点は、30のプールされた健康な対照と比較した、TULIP-1及びTULIP-2試験でのSLEを有する患者における21-IFNGSの倍数変化として示される。示される数は、各群の中央値を示す。TULIP-1及びTULIP-2試験でアニフロルマブ300mg、アニフロルマブ150mg、又はプラセボのうち少なくとも1つの用量を投与された819人の患者のうち、25人の患者(18人が高IFNGS患者、及び6人が低IFNGS患者)で、ベースライン21-IFNGSスコアが欠落していたため、794人の患者のみをこの解析に含めた。
【
図18】TULIP-1及びTULIP-2からプールされたデータにおける、年齢群ごとの、スクリーニング時のIFNGS状態及びベースライン時の21-IFNGSスコア スクリーニング時の二分式IFNGS試験及びベースライン時の中央21-IFNGSスコアの両方で、年齢とIFNGS発現との間の負の関連が観察された。21-IFNGS:21遺伝子の薬力学的インターフェロン遺伝子シグネチャー;IFNGS:インターフェロン遺伝子シグネチャー。
【
図19】TULIP-1及びTULIP-2での高IFNGS患者対低IFNGS患者における21-IFNGSスコア(健康な対照に対する倍数変化) 21-IFNGS:21遺伝子の薬力学的インターフェロン遺伝子シグネチャー;IFNGS:インターフェロン遺伝子シグネチャー;SLE:全身性エリテマトーデス。軸は、30のプールされた健康な対照に対する、SLEを有する患者における21-IFNGSの中央倍数変化を表す。エラーバーは、中央値絶対偏差を表す。この解析は、少なくとも1つのベースライン又はベースライン後の21-IFNGS測定値を有する、TULIP-1における439人の患者及びTULIP-2における355人の患者を含んだ。
【
図20】TULIP-1及びTULIP-2においてアニフロルマブ300mgで治療された高IFNGS患者からプールされたデータ間のベースライン21-IFNGS四分位ごとの21遺伝子IFNGS中和中央値 ベースライン21-IFNGSの最低四分位にある患者(低IFNGS患者で観察されたものと最も近いベースライン21-IFNGSを有する)は、より高いベースライン21-IFNGS四分位にある患者よりも変動性の大きい、より低いPD中和を有した。21-IFNGS:21遺伝子の薬力学的インターフェロン遺伝子シグネチャー;IFNGS:インターフェロン遺伝子シグネチャー;MAD:中央値絶対偏差;PD:薬力;Q:四分位。この解析は、ベースライン21-IFNGS測定値を有する、TULIP-1及びTULIP-2からのアニフロルマブ300mgで治療された291人の高IFNGS患者を含んだ。ベースライン21-IFNGS四分位を、ベースライン21-IFNGS測定値を有する、TULIP-1及びTULIP-2試験でアニフロルマブ300mg、アニフロルマブ150mg、又はプラセボのうち少なくとも1つの用量を投与された794人の患者(高IFNGS又は低IFNGS)に基づいて計算した。このプロットは高IFNGS患者のみを含むため、各四分位中の数は等しくない。
【
図21】TULIP-2及びTULIP-1における52週間の治療期間にわたるCave下位群による、21遺伝子I型IFNGSの観察されたPD中和
図21A:TULIP-2。
図21A:TULIP-1。C
ave:治療期間にわたる平均アニフロルマブ濃度;IFNGS:インターフェロン遺伝子シグネチャー;MAD:中央値絶対偏差;PD:薬力;PK:薬物動態。図は、≧1の定量可能な血清PK観測値及び中止前の≧1のPD測定値を有する高IFNGS患者を含む。中止後に収集されたPD測定値は含めなかった。
【
図22】ベースライン疾患特性に従いアニフロルマブ300mgで治療した高IFNGS患者における21-IFNGS薬力学的中和 SLEDAI-2Kスコア(<10対≧10)、経口グルココルチコイド投薬量(<10対≧10mg/日
-1)、及びループス血清学(抗dsDNA抗体、C3及びC4)に基づく下位群を含むベースライン疾患活性下位群全体にわたり、アニフロルマブ300mgでの実質的及び持続的なPD中和が一貫して観察された。21-IFNGS:21遺伝子の薬力学的インターフェロン遺伝子シグネチャー;抗dsDNA:抗二重鎖DNA;C3:補体3;C4:補体4;GC:グルココルチコイド;IFNGS:インターフェロン遺伝子シグネチャー;MAD:中央値絶対偏差;SLEDAI-2K:全身性エリテマトーデス疾患活性指数2000。
【
図23】アニフロルマブ150mg及び300mgのPK/PDモデルの視覚的事後予測性能評価(Visual Predictive Check) PK/PDモデリング解析は、プラセボ(n=289)、アニフロルマブ150mg(n=70)、又はアニフロルマブ300mg(n=287)を投与されたプールされたTULIP-1及びTULIP-2試験からの646人の高IFNGS患者を含んだ。PK/PD間接応答モデルは、視覚的事後予測性能評価によって実証されるとおり、95%の予測区間によって観測されたデータを適切に捕捉した。21-IFNGS:21遺伝子の薬力学的インターフェロン遺伝子シグネチャー;Obs:観測された;Obs-Med:観測された中央値;PD:薬力;PK:薬物動態;PI:予測区間。暗色の線は、21-IFNGS発現の予測された中和百分率中央値を示す。解析は、PK/PD解析セットにおける646人の高IFNGS患者(プラセボに289人、150mg群に70人、及び300mg群に287人)に基づいた。
【
図24】アニフロルマブ150mg及び300mgに関するPK/PDモデルで予測した24週目のアニフロルマブ濃度トラフ 24週目C
トラフの推定中央値は、非線形性のためにアニフロルマブ300mgがアニフロルマブ150mgよりも高かった(15.6対0.2μg/mL
-1)。21-IFNGS:21遺伝子I型インターフェロン遺伝子シグネチャー;PD:薬力;PK:薬物動態。IC
80は、21-IFNGS発現の最大阻害の80%を得るのに必要な概算アニフロルマブ濃度である。予測値は、ソフトウェアNONMEM(バージョン7.3以上)に実装された非線形混合効果PK/PDモデルの5000回のシミュレーションに基づいた。
【
図25】PK/PDモデルの診断プロット CWRES:条件付き重み付き残差;IFN:インターフェロン;PD:薬力;PK:薬物動態。緑色の線は、
図25A及び
図25Bでは同一性の線(line of identity)を表し、
図25C及び
図25DではLOESS(局所重み付け平滑化(locally weighted smoothing))線を表す。
【
図26】I型高IFNGS患者におけるI型21-IFNGS PD中和の四分位中央値ごとの、52週目におけるBICLA及びSRI(4)応答率
図26A:BICLA;
図26B:SRI(4)。BICLA:イギリス諸島ループス評価群(BILAG)ベースの複合ループス評価;IFNGS:インターフェロン遺伝子シグネチャー;PD:薬力;SRI(4):全身性エリテマトーデスレスポンダー指数≧4。解析は、TULIP-1及びTULIP-2試験においてアニフロルマブ150mg若しくは300mg(n=341)又はプラセボ(n=280)を投与された、ベースライン、及び少なくとも1つの中止前のベースライン後のPD評価を有する高IFNGS患者を含んだ。中止後に収集されたPD測定値は除外された。
【
図27】TULIP-1及びTULIP-2におけるベースライン21-IFNGS四分位に基づく全参加者のBICLA応答率 TULIP-1及びTULIP-2における全てのベースライン21-IFNGSスコア四分位で、BICLA応答はアニフロルマブ300mgがプラセボよりも高かった。21-IFNGS:21遺伝子の薬力学的インターフェロン遺伝子シグネチャー;BICLA:イギリス諸島ループス評価群(BILAG)ベースの複合ループス評価。TULIP-1及びTULIP-2試験でアニフロルマブ300mg、アニフロルマブ150mg、又はプラセボのうち少なくとも1つの用量を投与された819人の患者のうち、25人の患者(18人が高IFNGS患者、及び7人が低IFNGS患者)で、ベースライン21-IFNGSスコアが欠落していたため、794人の患者のみをこの解析に含めた。ベースライン21-IFNGS四分位は、同じ集団に基づいて計算した。
【
図28】21遺伝子の薬力学的インターフェロン遺伝子シグネチャーを構成する21インターフェロンα/β誘導性遺伝子
【
図29】インターフェロン遺伝子シグネチャー(IFNGS) 診断試験でSLEに陽性の患者と陰性の患者との間には明確な境界が存在する。
図29A:倍数変化(RQ)シグネチャー。
図29B:各SLE患者の転写物スコアの分布。試験の結果は、低い又は高いレベルのIFN誘導性遺伝子発現を伴う2群に患者を分類する、予め確立されたカットオフと比較されるスコアである。
図29C:高いI型IFN遺伝子シグネチャーは、SLEにおける高い疾患活性及びステロイドの使用に関連する。
【
図30】IFNGS中和
図30A:SLE患者におけるシファリムマブ治療の研究CP152
図30B:ベースラインIFNGSが高い患者におけるI型IFNGSの変化IFNGS:インターフェロン遺伝子シグネチャー:MAD:中央値絶対偏差。
【
図31】I型IFN媒介性疾患におけるIFNGSの分布
図31A:SLE、LN、及びシェーグレン症候群を有する患者におけるIFNGSの分布。LN:ループス腎炎;SLE:全身性エリテマトーデス;HD:健康なドナー。
図31B:研究MI-CP180における患者由来の全血及び皮膚のマイクロアレイ解析。IFNスコアは、健康な対照と比較して、強皮症患者において最も示差的に調節される遺伝子のうちの一部であった、5つのI型IFN誘導性遺伝子の中央倍数変化(FC)として定義される。ベースライン(0日目)のスコアを用いて、患者がIFNシグネチャーに陽性か陰性かを判断した。5つの遺伝子は、SLEにおけるPDを測定するのに用いられた21の遺伝子セットのサブセットである。
【
図32】5遺伝子IFNGSを用いるベースライン遺伝子シグネチャー
図32A:全血(WB)におけるI型IFN誘導性遺伝子シグネチャースコア。
図32B:皮膚におけるI型IFN誘導性遺伝子シグネチャースコア。5遺伝子スコア:(IFI27、RSAD2、IFI44L、IFI44、IFI6)。
【
図33】SScにおけるアニフロルアンブ(anifroluamb):第1相研究設計 多施設、非盲検、用量漸増研究;米国の7箇所から34人の患者(NCT00930683)。
【
図34】強皮症患者における疾患活性と相関するベースラインI型IFNスコア
図34A:ベースラインにおけるSSc及びSLEの5つの遺伝子シグネチャーの分布の比較。
図34B:末梢部におけるIFNGSは疾患組織におけるIFNGSと相関する。ベースラインにおいてRNAをWB及び皮膚から単離し、5つのIFN誘導性遺伝子(IFI27、IFI6、IFI44、IFI44L、及びRSAD2)の中央倍数変化(FC)を計算することによってIFNスコアを決定した。末梢組織と疾患組織との間の相関関係を評価した。
図34C:ベースラインIFNGSは、疾患活性スコア(mRTSSスコア)と相関する。ベースラインにおいてRNAをWB及び皮膚から単離し、IFNスコアを測定した。SScの疾患活性の評価である修正ロドナン合計皮膚スコア(Modified Rodnan total skin score、mRTSS)を、臨床医によって決定した。(A)全ての患者におけるIFNスコアとmRTSSとの間の相関関係が示される。(B)IFN(+)対IFN(-)患者におけるmRTSSスコアは、IFNシグネチャー(+)患者の間における疾患活性の有意な増加を明らかにする。患者は、WBの≧3のIFNスコア及び皮膚の≧2のIFNスコアのカットオフに基づいてシグネチャー(+)と判定された。
【
図35】シグネチャー陽性の強皮症患者のWB及び皮膚における(5遺伝子)IFNスコアの用量依存的中和 患者らに、複数の用量レベルでアニフロルマブの単回投与を施した。中和%は、ベースラインIFNスコアに対して計算した。
【
図36】SSc患者におけるアニフロルマブの治療効果。患者らに、複数の用量レベルでアニフロルマブの単回投与を施した。
【
図37】DM及びPMを有する患者における抗IFN-αモノクローナル抗体であるシファリムマブの第Ib相試験 研究MI-CP151のプロトコルの概要。DM:皮膚筋炎;IFN:インターフェロン;IFNGS:インターフェロン遺伝子シグネチャー;IV:静脈内;PM:多発性筋炎;Q2W:2週間に1回;R:無作為化。
aBohan及びPeterの1975年基準
2で評価された。
b薬力学的IFNGS測定が実施された時を表す。
【
図38】筋炎患者におけるIFNGS(研究MI-CP151) DM及びPM患者の筋肉及び血中のベースラインI型IFN遺伝子シグネチャー(13遺伝子スコア)値を測定し、BM及びPM患者の両方の全血及び筋肉中でIFNGSスコアが高いことを明らかにした。
【
図39】筋炎患者におけるIFNGSの中和(研究MI-CP151) 研究MI-CP151のDM(
図39A)又はPM(
図39A)患者の血液又は筋肉中のI型IFN遺伝子シグネチャーのシファリムマブによる標的調節。
【
図40】血中のI型IFN遺伝子シグネチャーの標的調節は、DM及びPM患者において疾患活性との相関的傾向を示す(研究MI-CP151)
図40A:x軸上に提供される閾値において98日目にI型IFN遺伝子シグネチャーの抑制を示す、シファリムマブで治療されたDM又はPM患者の割合を表す階層化標的中和曲線。98日目に(0日目と比較して)MMT8スコアの少なくとも15%の改善を示した患者は、オレンジ色の線で示され、そうではない患者は青色の線で示される。シファリムマブの事前投薬で治療された全てのI型IFNシグネチャー陽性患者(27)。
図40B:I型IFN遺伝子シグネチャーの標的抑制は、筋組織の重要なシグナル伝達イベントの抑制と相関する。
【
図41】IFNαの阻害は、筋炎筋肉(DM及びPM)への免疫細胞の浸潤を低減する(研究 シファリムマブは、DM及びPM患者の筋炎筋細胞における免疫細胞の浸潤を低減する。
【
図42】シファリムマブは、薬理学的に活性な用量で筋力を改善する 用量としては、1mg/kg、3mg/kg、及び10mg/kgが挙げられる。シファリムマブ群:6ヶ月で14用量(Q2W)。プラセボ群:3ヶ月間投薬し、続いて3ヶ月間のシファリムマブに切り替える。
【
図43】アニフロルマブ及びシファリムマブのIFNGS中和効果の比較 シファリムマブ及びアニフロルマブの両方を、SLEの第2相臨床試験で試験した(それぞれNCT01283139及び研究1013、表6-1:臨床研究)。どちらの療法も陽性の結果を有し、I型IFN GSを中和し、効果の規模はアニフロルマブの方が大きかった。
【
図44】送達装置 第3相研究プロトコル(
図44A)。アニフロルマブは、プレフィルドシリンジ(PFS)(
図44B)又は自動注射器(
図44C)などの注射装置[1][9]によって投与される。
【
図45】自動注射器 分解立体図(
図45A)、組立図(
図45B)及び原薬を充填した場合(
図45C)におけるその機能的バリアントのアニフロルマブを投与するための自動注射器。
【
図46】アクセサリ付きプレフィルドシリンジ その機能的バリアントのアニフロルマブのためのアクセサリ付きプレフィルドシリンジ(APFS)。主なチューブを、組立形態(
図46A)及び分解立体図(
図46B)で示す。追加の部品を有するAPFSを、組立形態(
図46C)及び分解立体図(
図46D)で示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
4.1.皮下単位用量
本発明は、>105mg(すなわち105mg超)及び<150mg(すなわち150mg未満)のアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含む、皮下投与のための単位用量(薬剤単位用量、単位用量形態、又は薬剤単位用量形態)に関する。単位用量は、単位用量(すなわち、単回の投与工程で対象に投与するための)としてパッケージ化又は製剤化され得る。
【0014】
本発明は、>105mg(すなわち105mg超)及び<150mg(すなわち150mg未満)のIFNAR1阻害剤を含む、皮下投与のための単位用量(薬剤単位用量、単位用量形態、又は薬剤単位用量形態)に関する。単位用量は、単位用量(すなわち、単回の投与工程で対象に投与するための)としてパッケージ化又は製剤化され得る。
【0015】
単位用量は、≦135mg(すなわち135mg以下)のIFNAR1阻害剤を含み得る。単位用量は、約120mgのIFNAR1阻害剤を含み得る。単位用量は、120mgのIFNAR1阻害剤を含み得る。単位用量は、>105mg及び<150mgのIFNAR1阻害剤から本質的になり得る。単位用量は、≦135mgのIFNAR1阻害剤から本質的になり得る。単位用量は、約120mgのIFNAR1阻害剤から本質的になり得る。単位用量中のIFNAR1阻害剤の濃度は、約150mg/mlであり得る。単位用量の体積は1ml未満であり得る。用量又は単位用量は0.5~1mlの体積を有し得る。単位用量の濃度は約0.8mlであり得る。単位用量の体積は0.8mlであり得る。単位用量は、150~200mg/mlのアニフロルマブ又はその機能的バリアントと、25~150mMのリジン塩と、非荷電賦形剤との製剤を含み得る。単位用量は、150~200mg/mlのIFNAR1阻害剤と、25~150mMのリジン塩と、非荷電賦形剤との製剤を含み得る。単位用量は、25mMのヒスチジン-HCLと、130mMのトレハロースと、0.05w/v%のポリソルベート80と、の製剤を含む。製剤は、約5.9のpHを有し得る。
【0016】
単位用量は、≦135mg(すなわち135mg以下)のアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含み得る。単位用量は、約120mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含み得る。単位用量は、120mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含み得る。単位用量は、>105mg及び<150mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントから本質的になり得る。単位用量は、≦135mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントから本質的になり得る。単位用量は、約120mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントから本質的になり得る。単位用量中のアニフロルマブ又はその機能的バリアントの濃度は、約150mg/mlであり得る。単位用量の体積は1ml未満であり得る。用量又は単位用量は0.5~1mlの体積を有し得る。単位用量の濃度は約0.8mlであり得る。単位用量の体積は0.8mlであり得る。単位用量は、150~200mg/mlのアニフロルマブ又はその機能的バリアントトと、25~150mMのリジン塩と、非荷電賦形剤との製剤を含み得る。単位用量は、150~200mg/mlのアニフロルマブ又はその機能的バリアントと、25~150mMのリジン塩と、非荷電賦形剤との製剤を含み得る。単位用量は、25mMのヒスチジン-HCLと、130mMのトレハロースと、0.05w/v%のポリソルベート80と、の製剤を含む。製剤は、約5.9のpHを有し得る。
【0017】
4.2.I型IFN媒介性疾患を治療する方法
本発明は、対象におけるI型インターフェロン(IFN)媒介性疾患を治療するための方法にも関し、治療方法は、本発明の単位用量を、I型インターフェロン(IFN)媒介性疾患を有する対象に皮下投与することを含む。本発明は、対象におけるI型IFN媒介性疾患を治療する方法であって、IFNAR1阻害剤の1用量を皮下投与することを含み、この用量が>105mg及び<150mgである、方法にも関する。本発明は、対象におけるI型IFN媒介性疾患を治療する方法であって、アニフロルマブ又はその機能的バリアントの1用量を皮下投与することを含み、この用量が>105mg及び<150mgである、方法にも関する。
【0018】
本発明は、対象におけるI型IFN媒介性疾患を治療する方法であって、IFNAR1阻害剤の1用量を皮下投与することを含み、この用量を週1回投与することで、300mgのIFNAR1阻害剤を4週間に1回静脈内投与することによって提供される血漿濃度と少なくとも等価の血漿濃度が対象中に提供される、方法にも関する。この用量を週1回投与することで、300mgのIFNAR1阻害剤を4週間に1回静脈内投与することによって提供される血漿濃度を上回る血漿濃度が対象中に提供され得る。この用量を週1回投与することで、400mgのIFNAR1阻害剤を4週間に1回静脈内投与することによって提供される血漿濃度と少なくとも等価の血漿濃度が対象中に提供され得る。この用量は、単回の投与工程で皮下投与され得る。対象に投与される用量は、<150mg(すなわち150mg未満)のIFNAR1阻害剤であり得る。対象に投与される用量は、>105mg(すなわち105mg超)のIFNAR1阻害剤であり得る。対象に投与される用量は、≦135mg(すなわち135mg以下)のIFNAR1阻害剤であり得る。対象に投与される用量は、約120mgのIFNAR1阻害剤であり得る。
【0019】
本発明は、対象におけるI型IFN媒介性疾患を治療する方法であって、アニフロルマブ又はその機能的バリアントの1用量を皮下投与することを含み、この用量を週1回投与することで、300mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを4週間に1回静脈内投与することによって提供される血漿濃度と少なくとも等価の血漿濃度が対象中に提供される、方法にも関する。この用量を週1回投与することで、300mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを4週間に1回静脈内投与することによって提供される血漿濃度を上回る血漿濃度が対象中に提供され得る。この用量を週1回投与することで、400mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを4週間に1回静脈内投与することによって提供される血漿濃度と少なくとも等価の血漿濃度が対象中に提供され得る。この用量は、単回の投与工程で皮下投与され得る。対象に投与される用量は、<150mg(すなわち150mg未満)のアニフロルマブ又はその機能的バリアントであり得る。対象に投与される用量は、>105mg(すなわち105mg超)のアニフロルマブ又はその機能的バリアントであり得る。対象に投与される用量は、≦135mg(すなわち135mg以下)のアニフロルマブ又はその機能的バリアントであり得る。対象に投与される用量は、約120mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントであり得る。
【0020】
I型IFN媒介性疾患はループスであり得る。I型IFN媒介性疾患は全身性エリテマトーデス(SLE)であり得る。用量又は単位用量の投与により、患者のBILAGベースの複合ループス評価(BICLA)応答率のベースラインからの改善がもたらされ得る。用量又は単位用量の投与により、対象はBICLA応答を有し得、ここでBICLA応答は、(1)エントリー時に中等度又は重度の疾患活性を有する全ての身体系におけるベースラインBILAGスコアの改善の少なくとも1つの勾配(例えば、全A(重度疾患)スコアのB(中等度)、C(軽度)、又はD(活動性なし)への減少及び全BスコアのC又はDへの減少);(2)新たなBILAG Aの不在又は2つ以上の新たなBILAG Bスコア;(3)全SLEDAIスコアのベースラインからの悪化なし;(4)医師の総合評価における有意な悪化なし(≦10%);及び(5)処置失敗(非プロトコル処置の開始)なしと定義される。用量又は単位用量の投与により、患者の全身性エリテマトーデスレスポンダー指数(SRI)4スコアのベースラインからの改善がもたらされ得る。対象は、以下の基準の全てが満たされた場合、SRI(4)を達成する。1.SLEDAI-2Kにおける≧4ポイントのベースラインからの減少;2.1以上又は2以上のBILAG-2004 Aによって定義される新たな冒された器官系がないこと;3.BILAG-2004 Bの項目がBILAG-2004を用いてベースラインと比較されること;4.3ポイントPGA VASでの≧0.30ポイントの増加によって定義される、対象のループス疾患活性におけるベースラインからの悪化がないこと。ループスは、SLE、ループス腎炎、及び皮膚エリテマトーデス(CLE)を含む。
【0021】
治療方法は、対象におけるSLE疾患活性を低減させ得る。対象におけるSLE疾患活性の低減は、a)対象におけるBILAGベースの複合ループス評価(BICLA)応答、b)対象におけるSRI(4)応答、及び/又は対象の皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数(CLASI)スコアを、治療前の対象のCLASIスコアと比較して低下させることを含み得る。
【0022】
I型IFN媒介性疾患は自己免疫疾患であり得る。I型IFN媒介性疾患は筋炎であり得る。I型IFN媒介性疾患はシェーグレン症候群であり得る。I型IFN媒介性疾患は強皮症であり得る。
【0023】
I型IFN媒介性疾患は、患者が健康なドナーと比較して高いIFNGSを有する疾患として定義され得る。高いIFNGSは、患者の全血及び/又は病変組織(例えば筋肉及び皮膚)におけるものであり得る。高いIFNGSは、4遺伝子、5遺伝子、又は21遺伝子スコアとして測定され得る。
【0024】
4.3.用量
単位用量(単位用量形態、薬剤単位用量、又は薬剤単位用量形態とも称される)とは、単回単位から形成される用量である。単位用量(単位用量形態)は、単回の投与工程で対象に投与することに好適である。単位用量(単位用量形態)は、例えば、使い捨てのプレフィルドシリンジ又は自動注射器などの単回単位容器中にパッケージされ得る。単位用量は、これらを、所定量の薬物を含有する単回用量単位として、注文、パッケージ化、取り扱い、及び投与することが可能であるという利点を提供する。単位用量は、投与ミスを減らし、廃棄物を低減する。
【0025】
別の態様では、本発明は、>105mg(すなわち105mg超)及び<150mg(すなわち150mg未満)のIFNAR1阻害剤を含む、皮下投与のための単位用量(薬剤単位用量、単位用量形態、又は薬剤単位用量形態)に関する。単位用量は、105~149mgのIFNAR阻害剤を含み得る。
【0026】
別の態様では、本発明は、>105mg(すなわち105mg超)及び<150mg(すなわち150mg未満)のアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含む、皮下投与のための単位用量(薬剤単位用量、単位用量形態、又は薬剤単位用量形態)に関する。
【0027】
単位用量は、≦135mg(すなわち135mg以下)のIFNAR1阻害剤を含み得る。単位用量は、105mg~135mgのIFNAR阻害剤を含み得る。単位用量は、約120mgのIFNAR1阻害剤を含み得る。単位用量は、120mgのIFNAR1阻害剤を含み得る。単位用量は、>105mg及び<150mgのIFNAR1阻害剤から本質的になり得る。単位用量は、≦135mgのIFNAR1阻害剤から本質的になり得る。単位用量は、約120mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントから本質的になり得る。単位用量中のIFNAR1阻害剤の濃度は、約150mg/mlであり得る。単位用量の体積は1ml以下であり得る。用量又は単位用量は0.5~1mlの体積を有し得る。単位用量の濃度は約0.8mlであり得る。単位用量の体積は0.8mlであり得る。単位用量は、150~200mg/mlのIFNAR1阻害剤と、25~150mMのリジン塩と、非荷電賦形剤との製剤を含み得る。単位用量は、150~200mg/mlのIFNAR1阻害剤と、25~150mMのリジン塩と、非荷電賦形剤との製剤を含み得る。単位用量は、25mMのヒスチジン-HCLと、130mMのトレハロースと、0.05w/v%のポリソルベート80と、の製剤を含む。製剤は、約5.9のpHを有し得る。
【0028】
別の態様では、本発明は、対象におけるループス(例えばSLE)を治療するための方法に関し、治療方法は、本発明の単位用量を、ループス(例えばSLE)を有する対象に皮下投与することを含む。別の態様では、本発明は、対象におけるループス(例えばSLE)を治療する方法であって、アニフロルマブ又はその機能的バリアントの1用量を皮下投与することを含み、この用量が>105mg及び<150mgである、方法にも関する。別の態様では、本発明は、対象におけるループス(例えばSLE)を治療する方法であって、アニフロルマブ又はその機能的バリアントの1用量を皮下投与することを含み、この用量が>105mg~149mgである、方法にも関する。
【0029】
別の態様では、本発明は、対象におけるループス(例えばSLE)を治療する方法であって、IFNAR1阻害剤の1用量を皮下投与することを含み、この用量を週1回投与することで、300mgのIFNAR1阻害剤を4週間に1回静脈内投与することによって提供される血漿濃度と少なくとも等価の血漿濃度が対象中に提供される、方法にも関する。この用量を週1回投与することで、300mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを4週間に1回静脈内投与することによって提供される血漿濃度を上回る血漿濃度が対象中に提供され得る。この用量を週1回投与することで、400mgのIFNAR1阻害剤を4週間に1回静脈内投与することによって提供される血漿濃度と少なくとも等価の血漿濃度が対象中に提供され得る。この用量は、単回の投与工程で皮下投与され得る。対象に投与される用量は、<150mg(すなわち150mg未満)のIFNAR1阻害剤であり得る。対象に投与される用量は、>105mg(すなわち105mg超)のIFNAR1阻害剤であり得る。対象に投与される用量は、≦135mg(すなわち135mg以下)のIFNAR1阻害剤であり得る。対象に投与される用量は、約105mg~135mgのIFNAR1阻害剤であり得る。対象に投与される用量は、約120mgのIFNAR1阻害剤であり得る。
【0030】
別の態様では、本発明は、対象におけるループス(例えばSLE)を治療する方法であって、アニフロルマブ又はその機能的バリアントの1用量を皮下投与することを含み、この用量を週1回投与することで、300mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを4週間に1回静脈内投与することによって提供される血漿濃度と少なくとも等価の血漿濃度が対象中に提供される、方法にも関する。この用量を週1回投与することで、300mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを4週間に1回静脈内投与することによって提供される血漿濃度を上回る血漿濃度が対象中に提供され得る。この用量を週1回投与することで、400mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを4週間に1回静脈内投与することによって提供される血漿濃度と少なくとも等価の血漿濃度が対象中に提供され得る。この用量は、単回の投与工程で皮下投与され得る。対象に投与される用量は、<150mg(すなわち150mg未満)のアニフロルマブ又はその機能的バリアントであり得る。対象に投与される用量は、>105mg(すなわち105mg超)のアニフロルマブ又はその機能的バリアントであり得る。対象に投与される用量は、約105mg~149mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントであり得る。対象に投与される用量は、約105mg~135mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントであり得る。対象に投与される用量は、約120mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントであり得る。
【0031】
本発明の方法は、用量又は単位用量を6~8日おきに皮下投与することを含み得る。用量又は単位用量は、1週間に1回(QW)投与され得る。用量又は単位用量は、120mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントであり得、方法は、用量を1週間に1回(QW)単回の投与工程で投与することを含む。言い換えると、方法は、QWの120mgのその機能的バリアントのアニフロルマブを投与することを含む。用量又は単位用量は、少なくとも約4週間の間、1週間に1回投与され得る。用量又は単位用量は、少なくとも約8週間の間、1週間に1回投与され得る。用量又は単位用量は、少なくとも約12週間の間、1週間に1回投与され得る。用量又は単位用量は、少なくとも約16週間の間、1週間に1回投与され得る。用量又は単位用量は、少なくとも約20週間の間、1週間に1回投与され得る。用量又は単位用量は、少なくとも約24週間の間、1週間に1回投与され得る。用量又は単位用量は、少なくとも約28週間の間、1週間に1回投与され得る。用量又は単位用量は、少なくとも約32週間の間、1週間に1回投与され得る。用量又は単位用量は、約8週間の間、1週間に1回投与され得る。用量又は単位用量は、単回の皮下投与工程での送達に好適となる体積を有し得る。用量又は単位用量は0.5~1mlの体積を有し得る。用量又は単位用量は1ml未満の体積を有し得る。用量又は単位用量は約0.8mlの体積を有し得る。
【0032】
用量又は単位用量の投与により、患者中に、血漿1mlあたり≧10μg(すなわち10μg以上)のアニフロルマブ又はその機能的バリアントの、アニフロルマブ又はその機能的バリアントの血漿濃度(すなわち≧10μg/mlの血漿濃度)がもたらされ得る。用量又は単位用量の投与により、対象中に、約10~100μg/mlの、アニフロルマブ又はその機能的バリアントの血漿濃度がもたらされ得る。用量又は単位用量の投与により、対象中に、20~80μg/mlの、アニフロルマブ又はその機能的バリアントの血漿濃度がもたらされ得る。用量又は単位用量の投与により、対象中に、30~70μg/mlの、アニフロルマブ又はその機能的バリアントの血漿濃度がもたらされ得る。用量又は単位用量の投与により、対象中に、≧20μg/ml(すなわち20μg/ml以上)の、アニフロルマブ又はその機能的バリアントのトラフ濃度がもたらされ得る。用量又は単位用量の投与により、対象中に、≧30μg/ml(すなわち30μg/ml以上)の、アニフロルマブ又はその機能的バリアントのトラフ濃度がもたらされ得る。用量又は単位用量の投与により、対象中に、≧40μg/ml(すなわち40μg/ml以上)の、アニフロルマブ又はその機能的バリアントのトラフ濃度がもたらされ得る。用量又は単位用量の投与により、対象中に、20~100μg/mlの、アニフロルマブ又はその機能的バリアントのトラフ濃度がもたらされ得る。用量又は単位用量の投与により、対象中に、約30~80μg/mlの、アニフロルマブ又はその機能的バリアントのトラフ濃度がもたらされ得る。用量又は単位用量の投与により、対象中に、40~70μg/mlの、アニフロルマブ又はその機能的バリアントのトラフ濃度がもたらされ得る。
【0033】
用量又は単位用量は、対象中で、(Q4W)ごとに1回投与される300mgの静脈内用量のアニフロルマブ又はその機能的バリアントの投与によって提供される治療効果と少なくとも等価の治療効果をもたらし得る。用量又は単位用量は、対象中に、4週間に1回(Q4W)の300mgの静脈内用量のアニフロルマブ又はその機能的バリアントの投与によって提供されるアニフロルマブ又はその機能的バリアントのトラフ濃度よりも高い、アニフロルマブ又はその機能的バリアントのトラフ濃度をもたらし得る。
【0034】
本発明の方法は、用量又は単位用量を6~8日おきに皮下投与することを含み得る。用量又は単位用量は、1週間に1回(QW)投与され得る。用量又は単位用量は、120mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントであり得、方法は、用量を1週間に1回(QW)単回の投与工程で投与することを含む。言い換えると、方法は、QWの120mgのその機能的バリアントのアニフロルマブを投与することを含む。用量又は単位用量は、少なくとも4週間の間、1週間に1回投与され得る。用量又は単位用量は、少なくとも8週間の間、1週間に1回投与され得る。用量又は単位用量は、少なくとも12週間の間、1週間に1回投与され得る。用量又は単位用量は、少なくとも16週間の間、1週間に1回投与され得る。用量又は単位用量は、少なくとも20週間の間、1週間に1回投与され得る。用量又は単位用量は、少なくとも24週間の間、1週間に1回投与され得る。用量又は単位用量は、少なくとも28週間の間、1週間に1回投与され得る。用量又は単位用量は、少なくとも32週間の間、1週間に1回投与され得る。用量又は単位用量は、約8週間の間、1週間に1回投与され得る。用量又は単位用量は、単回の皮下投与工程での送達に好適となる体積を有し得る。用量又は単位用量は0.5~1mlの体積を有し得る。用量又は単位用量は1ml未満の体積を有し得る。用量又は単位用量は約0.8mlの体積を有し得る。
【0035】
用量又は単位用量の投与により、患者中に、血漿1mlあたり≧10μg(すなわち10μg以上)のアニフロルマブ又はその機能的バリアントの、アニフロルマブ又はその機能的バリアントの血漿濃度(すなわち≧10μg/mlの血漿濃度)がもたらされ得る。用量又は単位用量の投与により、対象中に、10~100μg/mlの、アニフロルマブ又はその機能的バリアントの血漿濃度がもたらされ得る。用量又は単位用量の投与により、対象中に、20~80μg/mlの、アニフロルマブ又はその機能的バリアントの血漿濃度がもたらされ得る。用量又は単位用量の投与により、対象中に、30~70μg/mlの、アニフロルマブ又はその機能的バリアントの血漿濃度がもたらされ得る。用量又は単位用量の投与により、対象中に、≧20μg/ml(すなわち20μg/ml以上)の、アニフロルマブ又はその機能的バリアントのトラフ濃度がもたらされ得る。用量又は単位用量の投与により、対象中に、≧30μg/ml(すなわち30μg/ml以上)の、アニフロルマブ又はその機能的バリアントのトラフ濃度がもたらされ得る。用量又は単位用量の投与により、対象中に、≧40μg/ml(すなわち40μg/ml以上)の、アニフロルマブ又はその機能的バリアントのトラフ濃度がもたらされ得る。用量又は単位用量の投与により、対象中に、20~100μg/mlの、アニフロルマブ又はその機能的バリアントのトラフ濃度がもたらされ得る。用量又は単位用量の投与により、対象中に、約30~80μg/mlの、アニフロルマブ又はその機能的バリアントのトラフ濃度がもたらされ得る。用量又は単位用量の投与により、対象中に、40~70μg/mlの、アニフロルマブ又はその機能的バリアントのトラフ濃度がもたらされ得る。
【0036】
用量又は単位用量は、対象中で、(Q4W)ごとに1回投与される300mgの静脈内用量のアニフロルマブ又はその機能的バリアントの投与によって提供される治療効果と少なくとも等価の治療効果をもたらし得る。用量又は単位用量は、対象中に、4週間に1回(Q4W)の300mgの静脈内用量のアニフロルマブ又はその機能的バリアントの投与によって提供されるアニフロルマブ又はその機能的バリアントのトラフ濃度よりも高い、アニフロルマブ又はその機能的バリアントのトラフ濃度をもたらし得る。
【0037】
用量又は単位用量は、105mg、106mg、107mg、108mg、109mg、110mg、111mg、112mg、113mg、114mg、115mg、116mg、117mg、118mg、119mg、120mg、121mg、122mg、123mg、124mg or 125mg、126mg、127mg、128mg、129mg、130mg、131mg、132mg、133mg、134mg、135mg、136mg、137mg、138mg、139mg、140mg、141mg、142mg、143mg、144mg、145mg、146mg、147mg、148mg、又は149mgであり得る。
【0038】
4.4.対象
対象は、ヒト対象であり得る。対象は、成体であり得る。対象は、ループスを有し得る。対象は、SLEを有し得る。対象は、活性のSLEを有し得る。対象は、中等度から重度のSLEを有し得る。対象は、ループス腎炎(LN)を有し得る。対象は、CLEを有し得る。対象は、筋炎を有し得る。対象は、強皮症を有し得る。対象は、シェーグレン症候群を有し得る。
【0039】
対象は、高いI型IFN遺伝子シグネチャーを有する患者であり得る。対象は、用量又は単位用量の投与前に、I型インターフェロンで刺激された遺伝子シグネチャー(IFNGS)試験結果の高い患者であり得る。IFNGSは、21遺伝子シグネチャーであり得る。IFNGSは、4遺伝子シグネチャーであり得る。IFNGSは、5遺伝子シグネチャーであり得る。対象は、全血中の遺伝子IFI27、IFI44、IFI44L、及びRSAD2の高い発現レベルを有し得る。対象は、全血中の遺伝子IFI27、RSAD2、IFI44、IFI44L、IFI6の高い発現レベルを有し得る。方法は、用量又は単位用量による治療前に、対象をIFNGS試験結果の高い患者として同定することを含み得る。方法は、対象の全血中の遺伝子IFI27、IFI44、IFI44L、及びRSAD2の発現を測定することを含み得る。方法は、対象の全血中の遺伝子IFI27、IFI44、IFI44L、及びRSAD2の発現を測定することを含み得る。方法は、対象の全血中の遺伝子IFI27、RSAD2、IFI44、IFI44L、IFI6の発現をRT-PCRによって測定することを含み得る。遺伝子発現は、対象から単離された試料中で測定され得る。測定は、物理的測定工程を含み得る。
【0040】
対象は、ベースライン(すなわち、用量による治療前)で、約13の21-IFNGSスコアを有し得る。対象は、ベースライン(すなわち、用量による治療前)で、約10、11、12、13、14、15、又は16の21-IFNGSスコアを有し得る。対象は、ベースライン(すなわち、用量による治療前)で、約13.1の21-IFNGSスコアを有し得る。
【0041】
4.5.医薬組成物
別の態様では、本発明は、その対象中のSLEを治療するのに使用するための医薬組成物であって、方法が、対象に医薬組成物を皮下投与することを含み、医薬組成物が、本発明の単位用量を含む、医薬組成物に関する。
【0042】
別の態様では、本発明は、対象におけるI型IFN媒介性疾患を治療する方法で使用するための医薬組成物であって、方法が、対象に医薬組成物を皮下投与することを含み、医薬組成物が、本発明の単位用量を含む、医薬組成物に関する。
【0043】
別の態様では、本発明は、対象におけるI型IFN媒介性疾患を治療する方法で使用するための医薬組成物であって、前記方法が、対象に医薬組成物を皮下投与することを含み、医薬組成物が、アニフロルマブ又はその機能的バリアントの1用量を含み、この用量が>105mg及び<150mgである、医薬組成物に関する。アニフロルマブ又はその機能的バリアントの用量は、単位用量(単位用量形態、薬剤単位用量形態、薬剤単位用量)であり得る。機能的アニフロルマブバリアントは、アニフロルマブの抗原結合断片、並びにアニフロルマブの抗体及び免疫グロブリン誘導体を含む。
【0044】
別の態様では、本発明は、対象におけるI型IFN媒介性疾患を治療する方法で使用するための医薬組成物であって、方法が、対象に医薬組成物を皮下投与することを含み、医薬組成物が、アニフロルマブ又はその機能的バリアントの1用量を含み、この医薬組成物を週1回投与することで、300mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを4週間に1回静脈内投与することによって提供される血漿濃度と少なくとも等価の血漿濃度が対象中に提供される、医薬組成物に関する。この用量を週1回投与することで、400mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを4週間に1回静脈内投与することによって提供される血漿濃度とほぼ等価の血漿濃度が対象中に提供され得る。用量は、<150mg(すなわち150mg未満)のアニフロルマブ又はその機能的バリアントであり得る。用量は、>105mg(すなわち105mg超)のアニフロルマブ又はその機能的バリアントであり得る。用量は、≦135mg(すなわち135mg以下)のアニフロルマブ又はその機能的バリアントであり得る。用量は、約120mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントであり得る。用量は、120mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントであり得る。
【0045】
医薬組成物の投与により、患者中に、血漿1mlあたり≧10μg(すなわち10μg以上)のアニフロルマブ又はその機能的バリアントの、アニフロルマブ又はその機能的バリアントの血漿濃度(すなわち≧10μg/mlの血漿濃度)がもたらされ得る。医薬組成物の投与により、対象中に、10~100μg/mlの、アニフロルマブ又はその機能的バリアントの血漿濃度がもたらされ得る。医薬組成物の投与により、対象中に、20~80μg/mlの、アニフロルマブ又はその機能的バリアントの血漿濃度がもたらされ得る。医薬組成物の投与により、対象中に、30~70μg/mlの、アニフロルマブ又はその機能的バリアントの血漿濃度がもたらされ得る。医薬組成物の投与により、対象中に、≧20μg/ml(すなわち20μg/ml以上)の、アニフロルマブ又はその機能的バリアントのトラフ濃度がもたらされ得る。医薬組成物の投与により、対象中に、≧30μg/ml(すなわち30μg/ml以上)の、アニフロルマブ又はその機能的バリアントのトラフ濃度がもたらされ得る。医薬組成物の投与により、対象中に、≧40μg/ml(すなわち40μg/ml以上)の、アニフロルマブ又はその機能的バリアントのトラフ濃度がもたらされ得る。医薬組成物の投与により、対象中に、20~100μg/mlの、アニフロルマブ又はその機能的バリアントのトラフ濃度がもたらされ得る。医薬組成物の投与により、対象中に、30~80μg/mlの、アニフロルマブ又はその機能的バリアントのトラフ濃度がもたらされ得る。医薬組成物の投与により、対象中に、40~70μg/mlの、アニフロルマブ又はその機能的バリアントのトラフ濃度がもたらされ得る。
【0046】
医薬組成物は、対象中で、(Q4W)ごとに1回投与される300mgの静脈内用量のアニフロルマブ又はその機能的バリアントの投与によって提供される治療効果と少なくとも等価の治療効果をもたらし得る。医薬組成物は、対象中に、4週間に1回(Q4W)の300mgの静脈内用量のアニフロルマブ又はその機能的バリアントの投与によって提供されるアニフロルマブ又はその機能的バリアントのトラフ濃度よりも高い、アニフロルマブ又はその機能的バリアントのトラフ濃度をもたらし得る。アニフロルマブ又はその機能的バリアントは、医薬組成物内に含まれ得る。医薬組成物は、約150~200mg/mlのアニフロルマブ又はその機能的バリアントと、約25~150mMのリジン塩と、非荷電賦形剤とを含み得る。医薬組成物は、150mg/mLのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含み得る。医薬組成物は、50mMのリジンHClを含み得る。医薬組成物は、130mMのトレハロース二水和物を含み得る。医薬組成物は、0.05%のポリソルベート80を含み得る。医薬組成物は、25mMのヒスチジン/ヒスチジンHClを含み得る。医薬組成物は、150mg/mLのアニフロルマブ又はその機能的バリアントと、50mMのリジンHClと、130mMのトレハロース二水和物と、0.05%のポリソルベート80と、25mMのヒスチジン/ヒスチジンHClとを含み得る。
【0047】
4.6.製剤
IFNAR1阻害剤は、医薬組成物内に含まれ得る。医薬組成物は、約150~200mg/mlのIFNAR1阻害剤と、約25~150mMのリジン塩と、非荷電賦形剤とを含み得る。医薬組成物は、150mg/mLのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含み得る。医薬組成物は、50mMのリジンHClを含み得る。医薬組成物は、130mMのトレハロース二水和物を含み得る。医薬組成物は、0.05%のポリソルベート80を含み得る。医薬組成物は、25mMのヒスチジン/ヒスチジンHClを含み得る。医薬組成物は、150mg/mLのIFNAR1阻害剤と、50mMのリジンHClと、130mMのトレハロース二水和物と、0.05%のポリソルベート80と、25mMのヒスチジン/ヒスチジンHClとを含み得る。
【0048】
アニフロルマブ又はその機能的バリアントは、医薬組成物内に含まれ得る。医薬組成物は、約150~200mg/mlのアニフロルマブ又はその機能的バリアントと、約25~150mMのリジン塩と、非荷電賦形剤とを含み得る。医薬組成物は、150mg/mLのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含み得る。医薬組成物は、50mMのリジンHClを含み得る。医薬組成物は、130mMのトレハロース二水和物を含み得る。医薬組成物は、0.05%のポリソルベート80を含み得る。医薬組成物は、25mMのヒスチジン/ヒスチジンHClを含み得る。医薬組成物は、150mg/mLのアニフロルマブ又はその機能的バリアントと、50mMのリジンHClと、130mMのトレハロース二水和物と、0.05%のポリソルベート80と、25mMのヒスチジン/ヒスチジンHClとを含み得る。
【0049】
単位用量は、約150~200mg/mlのアニフロルマブ又はその機能的バリアントと、約25~150mMのリジン塩と、非荷電賦形剤とを含み得る。単位用量は、150mg/mLのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含み得る。単位用量は、50mMのリジンHClを含み得る。単位用量は、130mMのトレハロース二水和物を含み得る。単位用量は、約150~200mg/mlのアニフロルマブ又はその機能的バリアントと、約25~150mMのリジン塩と、非荷電賦形剤とを含み得る。単位用量は、150mg/mLのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含み得る。単位用量は、50mMのリジンHClを含み得る。単位用量は、130mMのトレハロース二水和物を含み得る。単位用量は、0.05%のポリソルベート80を含み得る。単位用量は、25mMのヒスチジン/ヒスチジンHClを含み得る。単位用量は、150mg/mLのアニフロルマブ又はその機能的バリアントと、50mMのリジンHClと、130mMのトレハロース二水和物と、0.05%のポリソルベート80と、25mMのヒスチジン/ヒスチジンHClとを含み得る。
【0050】
医薬組成物は、約150~200mg/mlのアニフロルマブ又はその機能的バリアントと、約25~150mMのリジン塩と、非荷電賦形剤とを含み得る。医薬組成物は、150mg/mLのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含み得る。医薬組成物は、50mMのリジンHClを含み得る。医薬組成物は、130mMのトレハロース二水和物を含み得る。医薬組成物は、約150~200mg/mlのアニフロルマブ又はその機能的バリアントと、約25~150mMのリジン塩と、非荷電賦形剤とを含み得る。医薬組成物は、150mg/mLのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含み得る。医薬組成物は、50mMのリジンHClを含み得る。医薬組成物は、130mMのトレハロース二水和物を含み得る。医薬組成物は、0.05%のポリソルベート80を含み得る。医薬組成物は、25mMのヒスチジン/ヒスチジンHClを含み得る。医薬組成物は、150mg/mLのアニフロルマブ又はその機能的バリアントと、50mMのリジンHClと、130mMのトレハロース二水和物と、0.05%のポリソルベート80と、25mMのヒスチジン/ヒスチジンHClとを含み得る。
【0051】
対象への投与に適し、アニフロルマブを含む安定な製剤については、その全体が本明細書に組み込まれる米国特許第10125195B1号明細書に詳述されている。
【0052】
4.7.ステロイド
ループス(例えばSLE)を有する多くの患者が、コルチコステロイド(グルココルチコイド、経口コルチコステロイド、OCS)を投与される。しかしながら、コルチコステロイドは臓器障害に関連している。アニフロルマブは、ループス(例えばSLE)患者におけるコルチコステロイド(グルココルチコイド)の漸減(ステロイド使用量の削減)を可能にする。治療方法又は方法は、対象にコルチコステロイドを投与することを含み得、任意選択的に、このコルチコステロイドは経口コルチコステロイドである。方法は、対象に投与するコルチコステロイドの用量を漸減すること(ステロイド使用量の削減)を含み得る。方法は、コルチコステロイドの初回用量を投与し、その後、コルチコステロイドの第2回用量を投与することを含み得、ここでコルチコステロイドの第2回用量は、コルチコステロイドの初回用量よりも少ない。コルチコステロイドの第2回用量は、約7.5mgのプレドニゾン等価物用量以下であり得る(表5-4を参照)。コルチコステロイドの第2回用量は、5mgのプレドニゾン等価物用量以下であり得る。方法又は治療方法は、コルチコステロイドの第2回用量を1日1回投与することを含み得る。コルチコステロイドの初回用量は、約10mgのプレドニゾン等価物用量であり得る。方法は、患者に投与するコルチコステロイドの用量を、1日10mg以上から1日10mg未満まで漸減させることを含み得る。方法又は治療方法は、コルチコステロイドの第2回用量を1日1回投与することを含み得る。方法は、数週間持続するコルチコステロイドの低減された用量の投与を可能にし得る。コルチコステロイドの第2回用量は、少なくとも24週間の間投与され得る。コルチコステロイドの第2回用量は、少なくとも28週間の間投与され得る。
【0053】
本発明の方法は、対象に標準治療(SOC)を施すことを含み得る。本発明の方法は、対象にステロイドを投与することを含み得る。方法又は本発明の方法は、対象中でのステロイド使用量の削減を含み得、対象に投与するステロイドの用量は、ベースラインにおける削減前用量から削減後用量まで漸減する。
【0054】
方法は、対象中でのステロイド使用量の削減を含み得、対象に投与するステロイドの用量は、ベースラインにおける削減前用量から削減後用量まで漸減する。削減後用量は、≦7.5mg/日のプレドニゾン又はプレドニゾン等価物用量であり得る。削減前用量は、20mg/日のプレドニゾン又はプレドニゾン等価物用量であり得る。ステロイドは、グルココルチコイドを含み得る。ステロイドは、経口グルココルチコイドを含み得る。ステロイドは、ヒドロコルチゾン、モメタゾン、フルチカゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノロン、フルランドレノロンアセトニド、シクレソニド、ブデソニド、ベクロメタゾン、デフラザコート、フルニソリド、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチゾール、トリアムシノロン、クロベタゾール、プロピオン酸クロベタゾール、酪酸クロベタゾール、コルチゾン、コルチコステロン、クロコルトロン、ジヒドロキシコルチゾン、アルクロメタゾン、アムシノニド、吉草酸ジフルコルトロン、フルコルトロン、フルプレドニデン、フルアンドレノロン、フルオロメトロン、ハルシノニド、ハロベタゾール、デソニド、ジフロラゾン、フルランドレノリド、フルオシノニド、プレドニカルベート、デソキシメタゾン、フルプレドニゾロン、プレドニゾン、アゼラスチン、21-リン酸デキサメタゾン、フルドロコルチゾン、フルメタゾン、フルオシノニド、ハロプレドン、17-吉草酸ヒドロコルチゾン、17-酪酸ヒドロコルチゾン、21-酢酸ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、21-リン酸プレドニゾロン、プロピオン酸クロベタゾール、トリアムシノロンアセトニド、又はこれらの混合物からなる群から選択され得る。ステロイドはプレドニゾンであり得る。
【0055】
4.8.装置
本発明は、本発明の単位用量、又は本発明のいずれかの使用のための医薬組成物を含む注射装置にも関する。注射装置中の医薬は、>105mg(すなわち105mg超)及び<150mg(すなわち150mg未満)のアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含み得る。注射装置中の医薬組成物は、約120mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含み得る。注射装置中の医薬組成物は、120mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含み得る。注射装置中の医薬組成物中のアニフロルマブ又はその機能的バリアントの濃度は、150mg/mlであり得る。注射装置中の医薬組成物の体積は、少なくとも約0.8mlであり得る。医薬組成物の体積は約0.8mlであり得る。
【0056】
注射装置中の医薬組成物は、約150~200mg/mlのアニフロルマブ又はその機能的バリアントと、25~150mMのリジン塩と、非荷電賦形剤とを含み得る。注射装置中の医薬組成物は、150mg/mLのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含み得る。注射装置中の医薬組成物は、50mMのリジンHClを含み得る。医薬組成物は、130mMのトレハロース二水和物を含み得る。注射装置中の医薬組成物は、約150~200mg/mlのアニフロルマブ又はその機能的バリアントと、約25~150mMのリジン塩と、非荷電賦形剤とを含み得る。注射装置中の医薬組成物は、150mg/mLのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含み得る。医薬組成物は、50mMのリジンHClを含み得る。注射装置中の医薬組成物は、130mMのトレハロース二水和物を含み得る。注射装置中の医薬組成物は、0.05%のポリソルベート80を含み得る。注射装置中の医薬組成物は、25mMのヒスチジン/ヒスチジンHClを含み得る。注射装置中の医薬組成物は、150mg/mLのアニフロルマブ又はその機能的バリアントと、50mMのリジンHClと、130mMのトレハロース二水和物と、0.05%のポリソルベート80と、25mMのヒスチジン/ヒスチジンHClとを含み得る。
【0057】
抗体の皮下投与を提供することに加えて、(例えば家庭で使用するために)自己投与する能力は、アクセサリ付きプレフィルドシリンジ(APFS)、自動注射器(AI)、又はこれらの組み合わせによる皮下投与によって更に強化され得る。こうした装置は、皮下用量の抗体を投与するのに十分に忍容性があり及び信頼することができ、患者のケアを最適化するための更なる選択肢を提供することが判明している。当然ながら、こうした装置は、患者の頻繁な診療所訪問の負担を低減し得る。好適なAPFS装置の例は、Ferguson et. al[6]に記載されており、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0058】
APFS装置は、典型的には1mlの最大体積を投与するため、本発明者らによって解明された用量は、APFSの投与に関して更なる利点を提供する。>105mg~<155mgの範囲の用量は、約0.8mlの体積によって容易に収容され得るため、本発明の用量は、APFS及びAIの投与に比類なく適している。比較のため、アニフロルマブの粘度が原因で、より大きな用量(具体的には>150mgの用量)が>1mlの体積内で投与される必要があり、これは少なくとも2回のSC注射を必要とするが、これは患者に不都合であり、また複数のプレフィルド装置を必要とする。
【0059】
送達装置は、この用量の手動によるSC投与を可能にするように設計された、単回使用の使い捨てシステムであり得る。
【0060】
本発明は、単位用量を含む注射装置にも関する。単位用量は、>105mg(すなわち少なくとも105mg)及び<150mg(すなわち150mg未満)のアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含み得る。単位用量は、≦135mg(すなわち135mg以下)のアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含み得る。単位用量は、約120mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含み得る。注射装置の単位用量は、120mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含み得る。注射装置の単位用量は、>105mg及び<150mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントから本質的になり得る。注射装置の単位用量は、≦135mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントから本質的になり得る。注射装置の単位用量は、約120mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントから本質的になり得る。注射装置中の単位用量中のアニフロルマブ又はその機能的バリアントの濃度は、約150mg/mlであり得る。注射装置中の単位用量の体積は1ml未満であり得る。注射装置中の単位用量は0.5~1mlの体積を有し得る。単位用量の濃度は約0.8mlであり得る。単位用量の体積は0.8mlであり得る。注射装置中の単位用量は、約150~200mg/mlのアニフロルマブ又はその機能的バリアントと、約25~150mMのリジン塩と、非荷電賦形剤との製剤を含み得る。注射装置中の単位用量は、150~200mg/mlのアニフロルマブ又はその機能的バリアントと、25~150mMのリジン塩と、非荷電賦形剤との製剤を含み得る。単位用量は、25mMのヒスチジン-HCLと、130mMのトレハロースと、0.05w/v%のポリソルベート80と、の製剤を含む。製剤は、約5.9のpHを有し得る。
【0061】
注射装置は、プレフィルドシリンジ(PFS)であり得る。注射装置は、アクセサリ付きプレフィルドシリンジ(AFPS)であり得る。注射装置は、自動注射器(AI)であり得る。
【0062】
4.9.キット
本発明は、本発明の単位用量及び使用説明書を含むキットであって、使用説明書が、単位用量を対象に皮下投与するための説明書を含む、キットにも関する。本発明は、本発明の使用のための医薬組成物を含むキットであって、使用説明書が、医薬組成物を対象に皮下投与するための説明書を含む、キットにも関する。
【0063】
本発明は、本発明のいずれかの注射装置及び使用説明書を含むキットであって、使用説明書が、単位用量又は医薬組成物を対象に皮下投与するための注射装置の使用説明書を含む、キットにも関する。
【0064】
使用説明書は、注射装置、単位用量、及び/又は医薬組成物が、SLEの治療に使用するためのものであることを明記してもよい。本発明のキットはパッケージングを含んでもよく、パッケージングは、注射装置及び使用説明書を保持するように構成されている。使用説明書は、注射装置に添付され得る。使用説明書は、>105mg及び<150mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを投与するための説明書を含み得る。使用説明書は、≦135mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを投与するための説明書を含み得る。使用説明書は、120mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを投与するための説明書を含み得る。使用説明書は、120mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを4週間に1回投与するための説明書を含み得る。使用説明書は、対象を、I型IFN媒介性疾患を有するものとして定義することができる。使用説明書は、対象を、ループス(例えばSLE)を有するものとして定義することができる。使用説明書は、書面による説明書であり得る。使用説明書は、I型IFN阻害剤が皮下投与用であることを明記し得る。
【0065】
使用説明書は、注射装置、単位用量、及び/又は医薬組成物が、本発明の方法のいずれかで使用するためのものであることを明記してもよい。
【0066】
本発明は、本発明のキット、又は本発明の医薬組成物、若しくは本発明の単位用量を製造する方法にも関する。
【0067】
4.10.I型IFN媒介性シグナル伝達の阻害剤
I型IFN媒介性シグナル伝達の阻害剤は、IFNAR1阻害剤であり得る。IFNAR1阻害剤は、IFNAR1に特異的なヒトモノクローナル抗体であり得る。IFNAR1阻害剤は、IFNAR1に特異的な修飾されたIgG1クラスヒトモノクローナル抗体であり得る。
【0068】
抗体は、配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域相補性決定領域1(HCDR1)を含み得る。抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域相補性決定領域2(HCDR2)を含み得る。抗体は、配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域相補性決定領域3(HCDR3)を含み得る。抗体は、配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域相補性決定領域1(LCDR1)を含み得る。抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域相補性決定領域2(LCDR2)を含み得る。抗体は、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域相補性決定領域3(LCDR3)を含み得る。
【0069】
抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含むヒト重鎖可変領域を含み得る。抗体は、配列番号2のアミノ酸配列を含むヒト軽鎖可変領域を含み得る。抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含むヒト軽鎖定常領域を含み得る。抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を含むヒト重鎖定常領域を含み得る。抗体は、Kabatに示されるEUインデックスによって付番されるL234Fのアミノ酸置換をFc領域に含み得、上記の抗体は、非修飾抗体と比較して少なくとも1つのFcリガンドに対する低下した親和性を示す。抗体は、配列番号11のアミノ酸配列を含むヒト重鎖を含み得る。抗体は、配列番号12のアミノ酸配列を含むヒト軽鎖を含み得る。
【0070】
抗体は、以下を含み得る:a)配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域相補性決定領域1(HCDR1);(b)配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域相補性決定領域2(HCDR2);c)配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域相補性決定領域3(HCDR3);(d)配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域相補性決定領域1(LCDR1);(b)配列番号7のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域相補性決定領域2(LCDR2);c)配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域相補性決定領域3(LCDR3)。
【0071】
抗体は、(a)配列番号11のアミノ酸配列を含むヒト重鎖、及び(b)配列番号12のアミノ酸配列を含むヒト軽鎖を含み得る。
【0072】
IFNAR1阻害剤は、アニフロルマブ又はその機能的バリアントであり得る。
【0073】
IFNAR1阻害剤は、約3.88μg mL-1のIC80を有し得、ここで、IC80は、ベースラインと比較して80%の21-IFNGS発現の最大阻害を得るのに必要な概算濃度として定義される。IFNAR1阻害剤は、約6のIC50を有し得る。IFNAR1阻害剤は、約6.56nMのIC50を有し得る。
【0074】
5.定義
5.1.I型IFNシグナル伝達の阻害剤
5.1.1.アニフロルマブ
アニフロルマブ(MEDI-546、アニフロ(anifro)、ANI)は、I型インターフェロン受容体(IFNAR1)のサブユニット1に対するヒト免疫グロブリンG1カッパ(IgG1κ)モノクローナル抗体(mAb)である。アニフロルマブは、IFNARシグナル伝達を下方制御し、IFN誘導性遺伝子の発現を抑制する。アニフロルマブに関する開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,662,381号明細書及び同第9,988,459号明細書で見出すことができる。アニフロルマブの配列情報を表5-1に示し、配列を
図48及び49に示す。
【0075】
【0076】
アニフロルマブは、I型インターフェロン受容体(IFNAR1)のサブユニット1に高い特異性及び親和性で結合するヒト免疫グロブリンG1カッパモノクローナル抗体である。この結合により、I型IFNシグナル伝達が阻害され、それによってI型IFNの生物活性を遮断する。アニフロルマブはまた、IFNAR1の内部移行を誘発し、それにより受容体の集合に利用可能な細胞表面のIFNAR1のレベルを低下させる。受容体媒介性I型IFNシグナル伝達を遮断することにより、IFN応答性遺伝子の発現、並びに下流の炎症性及び免疫学的プロセスが阻害される。I型IFNの阻害により、血漿細胞の分化が遮断され、末梢T細胞サブセットが正規化され、SLE中で異常調節される適応免疫と先天性免疫間のバランスを回復させる。
【0077】
SLEを有する成人患者において、4週間に1回静脈内注入により用量≧300mgのアニフロルマブを投与すると、血中で21遺伝子I型インターフェロン薬力学的(PD)シグネチャーの均一な中和(≧80%)が示された。この抑制は、治療後4週間ほどの早期に発生し、52週間の治療期間にわたって、維持されるか、又は更に抑制された。SLE臨床試験の52週間の治療期間の終了時におけるアニフロルマブの退薬後、血中試料中のI型IFN PDシグネチャーは、8~12週間以内にベースラインレベルに戻った。アニフロルマブ150mg IVは、早期の時点における遺伝子シグネチャーの<20%の抑制を示し、これは、治療期間の終了時までに最大で<60%に達した。
【0078】
アニフロルマブは、それぞれ配列番号3、配列番号4、及び配列番号5のHCDR1、HCDR2、及びHCDR3(又はその機能的バリアント);並びにそれぞれ配列番号6、配列番号7、及び配列番号8のLCDR1、LCDR2、及びLCDR3(又はその機能的バリアント)を含む免疫グロブリンである。アニフロルマブは、配列番号1のVH及び配列番号2のVLを含む免疫グロブリンである。
【0079】
アニフロルマブの定常領域は、アニフロルマブが少なくとも1つのFcリガンドに対して非修飾抗体と比較して低下した親和性を示すように修飾されている。アニフロルマブは、Kabat(1991,NIH Publication 91-3242,National Technical Information Service,Springfield,Va.)に記載のEUインデックスによって付番される、L234Fのアミノ酸置換をFc領域内に含む、IFNAR1に対して特異的な修飾されたIgGクラスのモノクローナル抗体である。アニフロルマブは、Kabat(1991,NIH Publication 91-3242,National Technical Information Service,Springfield,Va.)に記載のEUインデックスによって付番される、L234F、L235E及び/又はP331Sのアミノ酸置換をFc領域内に含む、IFNAR1に特異的な修飾されたIgGクラスのモノクローナル抗体である。アニフロルマブは、配列番号9の軽鎖定常領域を含む抗体である。アニフロルマブは、配列番号10の重鎖定常領域を含む抗体である。アニフロルマブは、配列番号9の軽鎖定常領域及び配列番号10の重鎖定常領域を含む抗体である。アニフロルマブは、配列番号11の重鎖を含む抗体である。アニフロルマブは、配列番号12の軽鎖を含む抗体である。アニフロルマブは、配列番号11の重鎖及び配列番号12の軽鎖を含む抗体である。
【0080】
アニフロルマブの機能的バリアントは、アニフロルマブと同じ機能を実施する配列バリアントである。アニフロルマブの機能的バリアントは、アニフロルマブと同じ標的に結合し、アニフロルマブと同じエフェクター機能を有するバリアントである。機能的アニフロルマブバリアントは、アニフロルマブの抗原結合断片並びにアニフロルマブの抗体及び免疫グロブリン誘導体を含む。機能的バリアントは、バイオシミラー及び互換可能な産物を含む。バイオシミラー及び互換可能な産物という用語は、FDA及びEMAによって定義される。バイオシミラーという用語は、承認された(例えば、FDAで承認された)生物学的産物(参照産物、例えば、アニフロルマブ)と構造の観点で高度に類似し、及び薬物動態、安全性及び有効性の観点で参照産物との臨床的に有意な差異を有しない生物学的産物を指す。バイオシミラーの臨床的に有意な差異の存在は、ヒト薬物動態(曝露)及び薬力(応答)研究並びに臨床免疫原性の評価において評価されてもよい。互換可能な産物は、任意の所与の患者において参照産物と同じ臨床結果をもたらすことが想定されるバイオシミラーである。
【0081】
例えば、参照(アニフロルマブ)抗体のバリアントは、配列番号3と比較して最大で2つのアミノ酸差異を有する重鎖CDR1;配列番号4と比較して最大で2つのアミノ酸差異を有する重鎖CDR2;配列番号5と比較して最大で2つのアミノ酸差異を有する重鎖CDR3;配列番号6と比較して最大で2つのアミノ酸差異を有する軽鎖CDR1;配列番号7と比較して最大で2つのアミノ酸差異を有する軽鎖CDR2;及び配列番号8と比較して最大で2つのアミノ酸差異を有する軽鎖CDR3を含み得、バリアント抗体は、アニフロルマブの標的(例えば、IFNAR)に、好ましくは、同じ親和性で結合する。
【0082】
参照(アニフロルマブ)抗体のバリアントは、配列番号3と比較して最大で1つのアミノ酸差異を有する重鎖CDR1;配列番号4と比較して最大で1つのアミノ酸差異を有する重鎖CDR2;配列番号5と比較して最大で1つのアミノ酸差異を有する重鎖CDR3;配列番号6と比較して最大で1つのアミノ酸差異を有する軽鎖CDR1;配列番号7と比較して最大で1つのアミノ酸差異を有する軽鎖CDR2;及び配列番号8と比較して最大で1つのアミノ酸差異を有する軽鎖CDR3を含み得、バリアント抗体は、アニフロルマブの標的(例えば、IFNAR)に、任意選択的に、同じ親和性で結合する。
【0083】
バリアント抗体は、対応する参照(アニフロルマブ)抗体と比較されるとき、そのCDRにおいて、CDRあたり最大で2つ(任意選択的に、最大で1つ)のアミノ酸差異があるという条件で、全体で最大で5、4又は3つのアミノ酸差異を有してもよい。バリアント抗体は、対応する参照(アニフロルマブ)抗体と比較されるとき、そのCDRにおいて、CDRあたり最大で2つのアミノ酸差異があるという条件で、全体で最大で2つ(任意選択的に、最大で1つ)のアミノ酸差異を有してもよい。バリアント抗体は、対応する参照(アニフロルマブ)抗体と比較されるとき、そのCDRにおいて、CDRあたり最大で1つのアミノ酸差異があるという条件で、全体で最大で2つ(任意選択的に、最大で1つ)のアミノ酸差異を有してもよい。
【0084】
バリアント抗体は、対応する参照(アニフロルマブ)抗体と比較されるとき、そのフレームワーク領域において、フレームワーク領域あたり最大で2つ(任意選択的に、最大で1つ)のアミノ酸差異があるという条件で、全体で最大で5、4又は3つのアミノ酸差異を有してもよい。任意選択的に、バリアント抗体は、対応する参照(アニフロルマブ)抗体と比較されるとき、そのフレームワーク領域において、フレームワーク領域あたり最大で2つのアミノ酸差異があるという条件で、全体で最大で2つ(任意選択的に、最大で1つ)のアミノ酸差異を有する。任意選択的に、バリアント抗体は、対応する参照(アニフロルマブ)抗体と比較されるとき、そのフレームワーク領域において、フレームワーク領域あたり最大で1つのアミノ酸差異があるという条件で、全体で最大で2つ(任意選択的に、最大で1つ)のアミノ酸差異を有する。
【0085】
バリアント抗体は、本明細書中に記載される可変重鎖及び可変軽鎖を含み得、ここで、重鎖は、本明細書中の重鎖配列と比較して、最大で14つのアミノ酸差異(各CDRにおいて最大で2つのアミノ酸差異及び各フレームワーク領域において最大で2つのアミノ酸差異)を有し、軽鎖は、本明細書中の軽鎖配列と比較して、最大で14つのアミノ酸差異(各CDRにおいて最大で2つのアミノ酸差異及び各フレームワーク領域において最大で2つのアミノ酸差異)を有し、バリアント抗体は、参照(アニフロルマブ)抗体と同じ標的抗原(例えば、IFNAR)に、好ましくは、同じ親和性で結合する。
【0086】
バリアント重鎖又は軽鎖は、参照重鎖又は軽鎖の「機能的等価物」と称され得る。バリアント抗体は、本明細書中に記載される可変重鎖及び可変軽鎖を含み得、重鎖は、本明細書中の重鎖配列と比較して、最大で7つのアミノ酸差異(各CDRにおいて最大で1つのアミノ酸差異及び各フレームワーク領域において最大で1つのアミノ酸差異)を有し、軽鎖は、本明細書中の軽鎖配列と比較して、最大で7つのアミノ酸差異(各CDRにおいて最大で1つのアミノ酸差異及び各フレームワーク領域において最大で1つのアミノ酸差異)を有し、バリアント抗体は、参照(アニフロルマブ)抗体と同じ標的抗原(例えば、IFNAR)に、好ましくは、同じ親和性で結合する。
【0087】
アニフロルマブの機能的バリアントには、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2018/023976A1号パンフレットに記載される抗体が含まれる(表5-2)。
【0088】
【0089】
機能的バリアントには、配列番号13のVHアミノ酸配列を含む抗体が含まれる。機能的バリアントには、配列番号16のVHアミノ酸配列を含む抗体が含まれる。機能的バリアントには、配列番号14のVLアミノ酸配列を含む抗体が含まれる。機能的バリアントには、配列番号15のVLアミノ酸配列を含む抗体が含まれる。機能的バリアントには、配列番号16のVHアミノ酸配列を含む抗体が含まれる。機能的バリアントには、配列番号13のVH配列及び配列番号16のVLアミノ酸配列を含む抗体が含まれる。機能的バリアントには、配列番号13のVH配列及び配列番号15のVLアミノ酸配列を含む抗体が含まれる。機能的バリアントには、配列番号16のVH配列及び配列番号15のVLアミノ酸配列を含む抗体が含まれる。機能的バリアントには、配列番号16のVH配列及び配列番号14のVLアミノ酸配列を含む抗体が含まれる。
【0090】
IFNAR阻害剤は、配列番号13のVHアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体であり得る。抗IFNAR抗体は、配列番号16のVHアミノ酸配列を含み得る。抗IFNAR抗体は、配列番号14のVLアミノ酸配列を含み得る。抗IFNAR抗体は、配列番号15のVLアミノ酸配列を含み得る。抗IFNAR抗体は、配列番号16のVLアミノ酸配列を含み得る。抗IFNAR抗体は、配列番号13のVH配列及び配列番号16のVLアミノ酸配列を含み得る。抗IFNAR抗体は、配列番号13のVH配列及び配列番号15のVLアミノ酸配列を含み得る。抗IFNAR抗体は、配列番号16のVH配列及び配列番号15のVLアミノ酸配列を含み得る。抗IFNAR抗体は、配列番号16のVH配列及び配列番号14のVLアミノ酸配列を含み得る。
【0091】
アニフロルマブ及び抗IFNAR抗体の機能的バリアントとしては、参照により本明細書に組み込まれる中国特許第11327807号明細書に記載のQX006N抗体が挙げられる。
【0092】
【0093】
IFNAR阻害剤は、配列番号17のVHアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体であり得る。抗IFNAR抗体は、配列番号18のVLアミノ酸配列を含み得る。
【0094】
QX006Nは、それぞれ配列番号19、配列番号20、及び配列番号21のHCDR1、HCDR2、及びHCDR3(又はその機能的バリアント);並びにそれぞれ配列番号22、配列番号23、及び配列番号23のLCDR1、LCDR2、及びLCDR3(又はその機能的バリアント)を含む免疫グロブリンである。QX006Nは、VHアミノ酸配列の配列番号17VLアミノ酸配列の配列番号18を含む免疫グロブリンである。
【0095】
5.1.2.シファリムマブ
シファリムマブ(MEDI-545)は、IFN-αサブタイプの大部分に結合してこれを中和する完全ヒト免疫グロブリンG1κモノクローナル抗体である[7]。シファリムマブは、米国特許第7,741,449号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。中等度から重度の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を有する成人の第IIb相無作為化二重盲検プラセボ対照研究(NCT01283139)において、シファリムマブの有効性及び安全性を評価した。431名の患者を無作為化し、標準処置薬に加えて、毎月静脈内シファリムマブ(200mg、600mg又は1200mg)或いはプラセボを投与した。主要有効性評価項目は、52週目にSLEレスポンダー指数応答を達成した患者の割合であった。プラセボと比較して、シファリムマブ(全ての投薬量)を投与された患者のより大きな割合が主要評価項目を満たした(プラセボ:45.4%;200mg:58.3%;600mg:56.5%;1200mg 59.8%)。
【0096】
5.2.ステロイド
経口コルチコステロイド(OCS、グルココルチコイド)としては、プレドニゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン及びトリアムシノロンが挙げられる。経口プレドニゾンの等価物用量の例を(表5-4)に示す。
【0097】
【0098】
5.3.評価項目
5.3.1.SRI(≧4の全身性エリテマトーデスレスポンダー指数)
対象は、以下の基準の全てが満たされた場合、SRI(4)を達成する:
・SLEDAI-2Kにおける≧4ポイントのベースラインからの減少;
・1以上又は2以上のBILAG-2004 Aによって定義される新たな冒された器官系がないこと
・BILAG-2004 Bの項目がBILAG-2004を用いてベースラインと比較されること;
・3ポイントPGA VASでの≧0.30ポイントの増加によって定義される、対象のループス疾患活性におけるベースラインからの悪化がないこと。
【0099】
SRI(X)(X=5、6、7、又は8)は、以下の基準を満たす対象の割合によって定義される:
・SLEDAI-2Kにおける≧Xポイントのベースラインからの減少;
・1以上又は2以上のBILAG-2004 Aによって定義される新たな冒された器官系がないこと、又は
・より多くのBILAG-2004 Bの項目がBILAG-2004を用いてベースラインと比較されること;
・3ポイントのPGA VASでの≧0.30ポイントの増加によって定義される、
対象のループス疾患活性におけるベースラインからの悪化がないこと
【0100】
5.3.2.SLEDAI-2K(全身性エリテマトーデス疾患活性指数2000)
SLEDAI-2K疾患活性指数は、臓器徴候のリストであって、各々が定義を有するものからなる。認定治験担当医師又は指定医師は、SLEDAI-2K評価を完了し、各徴候が直近4週間以内に「存在する」又は「存在しない」のいずれかを判定することになる。評価はまた、SLEDAI-2Kの実験室カテゴリーの評価のための血液及び尿の収集を含む。
【0101】
SLEDAI-2K評価は、24のループス関連項目からなる。それは加重装置であり、そこでは記述子に対して特定臓器の「重量」が乗じられる。例えば、腎臓の記述子に対して4が乗じられ、中枢神経の記述子に対して8が乗じられ、これらの重み付けられた臓器徴候は、最終スコアに合計される。SLEDAI-2Kスコア範囲は、0~105ポイントであり、0は不活性疾患を示す。SLEDAI-2Kスコアは、ループス疾患活性の有効な、信頼できる、高感度な臨床的評価である。
【0102】
5.3.3.BILAG-2004(イギリス諸島ループス評価群-2004)
BILAG-2004は、SLE患者における臨床的徴候の重症度の変化を取得することができる、9つの器官系(全身、皮膚粘膜、精神神経、筋骨格、心肺、消化管、眼、腎臓、及び血液)による翻訳指数である。それは、設計による順序尺度を有し、総合スコアを有さず;むしろ、直前4週をそれらに先行する4週と比較することによって、異なる器官系を通じた疾患活性を一目で分かるように記録する。それは、医師の処置意図の原則に基づき、疾患活性をAからEにかけての5つの異なるレベルに大別する:
・グレードAは、免疫抑制薬及び/又は>20mg/日の用量のプレドニゾン若しくは等価物を必要とする非常に活動性の高い疾患を表す
・グレードBは、より低い用量のコルチコステロイド、局所ステロイド、局所免疫抑制剤、抗マラリア剤、又はNSAIDを必要とする中等度の疾患活性を表す
・グレードCは、軽度安定疾患を指す
・グレードDは、疾患活性がないが、系が以前に罹患していることを意味する
・グレードEは、現在又は以前の疾患活性がないことを示す
【0103】
BILAG-2004は、処置意図の原則に基づいて開発されたが、処置は、スコアリング指数に対する関連性を有しない。活動性徴候の存在のみがスコアリングに影響する。
【0104】
5.3.4.BICLA(BILAGベースの複合ループス評価)
BICLAは、疾患活性指数の専門家コンセンサスによって最初に得られた複合指数である。BICLA応答は、(1)エントリー時に中等度又は重度の疾患活性を有する全ての身体系におけるベースラインBILAGスコアの改善の少なくとも1つの勾配(例えば、全A(重度疾患)スコアのB(中等度)、C(軽度)、又はD(活動性なし)への減少及び全BスコアのC又はDへの減少);(2)新たなBILAG Aの不在又は2つ以上の新たなBILAG Bスコア;(3)全SLEDAIスコアのベースラインからの悪化なし;(4)医師の総合評価における有意な悪化なし(≦10%);及び(5)処置失敗(非プロトコル処置の開始)なしと定義される。
【0105】
特に、対象は、以下の基準が満たされる場合、BICLAレスポンダーである:
・1つの新しいBILAG-2004A又は2つ以上の新しいBILAG-2004Bの項目によって定義されるとおり、全てのベースラインBILAG-2004AのB/C/Dへの減少、ベースラインBILAG-2004BのC/Dへの減少、及び他の器官系におけるBILAG-2004の悪化なし;
・SLEDAI-2Kにおける>0ポイントのベースラインからの増加と定義される、SLEDAI-2Kにおけるベースラインからの悪化なし;
・3ポイントのPGA VASでの≧0.30ポイントの増加によって定義される、対象のループス疾患活性におけるベースラインからの悪化なし;
【0106】
BICLA応答は、全てのベースラインBILAG-2004A及びBのスコアの改善、SLEDAI-2K及びPGAによって評価して悪化がないこと、並びに、IPの中止がないこと、及びプロトコルが認める閾値を超えた禁止薬物の使用がないことを必要とする複合評価項目である。BILAGは、器官系における相対的な改善を捕捉し(SRIの改善を示すために使用され、器官系における完全な消散(complete resolution)を必要とするSLEDAI-2Kとは対照的に);BICLAの改善を測定するための使用されるBILAG-2004は、臨床的に有意な器官系における相対的改善を検出することができる。
【0107】
5.3.5.CLASI(皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数)
CLASIは、SLEの皮膚病変を評価するのに用いられる証明された指数であり、2つの別個のスコアからなる:第1のスコアは、疾患の炎症活性を要約する;第2のスコアは、疾患によってできる損傷の尺度である。活動性スコアでは、紅斑、鱗屑/肥大、粘膜病変、最近の毛髪減少、及び非瘢痕性脱毛症が考慮される。損傷スコアは、色素沈着異常、瘢痕化/萎縮/脂肪織炎、及び頭皮の瘢痕化を表す。対象は、彼らの色素沈着異常が12ヶ月以上続いたか否かが尋ねられ、その場合、色素沈着異常スコアが疑われる。上記パラメータの各々は、13の異なる解剖学的位置で測定され、具体的には、それらが最も多くは皮膚エリテマトーデス(CLE)に関与することから含められる。各領域内の最も重度の病変が測定される。
【0108】
5.3.6.圧痛関節及び関節腫脹
関節腫脹数及び圧痛関節数は、左右の肩、肘、手首、中手指節関節(MCP)1、MCP2、MCP3、MCP4、MCP5、上肢の近位指節間(PIP)1、PIP2、PIP3、PIP4、PIP5関節、及び下肢の左右の膝に基づき得る。関節数評価用の能動関節は、圧痛及び腫脹がある関節と定義され得る。
【0109】
5.4.薬物動態の用語解説
曲線下面積(AUC):血漿薬物濃度対時間曲線下の面積であり、薬物曝露の指標としての役割を果たす。
【0110】
Cave:定常状態平均濃度。
【0111】
Cmax:血漿中の薬物の最大(又はピーク)濃度。
【0112】
Cmin:最小血漿薬物濃度。
【0113】
Cトラフ:次回用量を投与する直前の定常状態における血漿中の薬物濃度。トラフ血漿濃度(定常状態(次回投与の直前に取られる)における投薬間隔の最後に測定される濃度)。
【0114】
LLOQ:定量下限(好適な精度及び確度で定量的に決定することのできる試料中の分析質の最低量)。
【0115】
線形薬物動態:血中又は血漿中の薬物濃度が用量の増加に比例して増加し、排出速度が濃度に比例する場合、その薬物は線形薬物動態を示すものとされる。これらの薬物のクリアランス及び分布容積は用量依存的である。
【0116】
非線形薬物動態:線形薬物動態とは反対に、血中又は血漿中の薬物濃度は用量の増加に比例して増加しない。これらのクリアランス及び分布容積は、投与された用量に応じて変化し得る。非線形性は、吸収、分布、及び/又は排出プロセスの任意の構成要素に関連し得る。
【0117】
5.5.PK/PD
SC投与及びIV投与によって得ることが可能な血漿レベルは、血漿薬物濃度-時間曲線(AUC)に基づいて比較することができ、これは、ある用量の薬物を投与した後に抗体に対する身体の曝露を反映する。例えば、臨床研究中に、いくつかの時点における血漿濃度を測定することによって、患者の血漿薬物濃度-時間プロファイルをプロットすることができる。コンピュータによるモデリング手法が用いられる場合、任意の所与の用量に対する血漿薬物濃度-時間が予測され得る。続いて、血漿薬物濃度-時間曲線を積分することによって、AUC(曲線下面積)を計算することができる。好適な方法論は、Tummala et.al.[8]に記載されており、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の実施例においては、PKパラメータは、Phoenix WinNonlin V/6.2(Certara,Inc.,Princeton,New Jersey,USA)を用いたノンコンパートメント解析によって計算され、血清濃度-時間曲線(AUC)、クリアランス(CL、CL/F)、最大血清濃度(Cmax)、及び最大血清濃度到達時間(tmax)下の面積を含んだ。全てのデータはSAS System V.9.2(SAS Institute,Inc.,Cary,NC,USA)で解析した。
【0118】
好都合なことに、SC投与で得ることができるAUCに対するIV投与によって得ることができるAUCの比(AUCSC/AUCIV)を計算して、投与経路によって提供されるバイオアベイラビリティの数値比較を提供することができる。本明細書では、「AUC比」への言及は、AUCSC/AUCIV比を意味する。統計的頑健性を提供するため、AUC比は、好ましくは、複数の反復実験(又はコンピュータによるシミュレーション)から計算される平均、中央、又は最頻(例えば平均)値である。このアプローチは、実施例を参照して実証される。平均、中央、又は最頻(好ましくは平均)は、複数の患者(又は複数のコンピュータによるシミュレーション)から得られるデータをプールすることによって導出され得る。かくして、AUC比は、複数の患者における平均、中央、又は最頻(好ましくは平均)AUCを反映することができる。
【0119】
非線形PKは、クリアランスが一定でない場合に発生する。言い換えれば、非線形PKは、クリアランスが用量に応じて変化する場合に発生する。
【0120】
5.6.I型IFN媒介性疾患
I型IFN媒介性疾患は、I型IFNの異常調節を特徴とする疾患として定義され得る[9]。I型IFN疾患は、I型IFN媒介性自己免疫疾患であり得る。I型IFN疾患は、I型IFN媒介性全身性自己免疫疾患であり得る。I型IFN媒介性疾患としては、ループス(SLE、LN、及びCLEを含む)が挙げられる。I型IFN媒介性疾患はループス腎炎であり得る。I型IFN媒介性疾患としては、皮膚エリテマトーデスが挙げられる。I型IFN媒介性疾患としては筋炎が挙げられる。I型IFN媒介性疾患としては強皮症が挙げられる。I型IFN媒介性疾患としてはシェーグレン症候群が挙げられる。
【0121】
I型IFN媒介性疾患としてはインターフェロノパチーが挙げられる。I型IFN媒介性疾患は、健康な対象と比較して高い21遺伝子IFNGSとの関連性を特徴とし得る。I型IFN媒介性疾患は、健康な対象と比較して高い4遺伝子IFNGSとの関連性を特徴とし得る。I型IFN媒介性疾患は、健康な対象と比較して高い5遺伝子IFNGSとの関連性を特徴とし得る。
【0122】
5.6.1.筋炎
SLEなどの筋炎(別名:特発性炎症性筋疾患(IMM))は、1型IFNが強く関与する結合組織疾患である。筋炎は、稀な、進行性及び衰弱性の疾患である。筋炎はI型IFN媒介性疾患である。具体的には、I型IFN誘導性遺伝子は、筋炎を有する患者の全血及び筋中で過剰発現する[10、11]。I型IFN遺伝子の発現は、筋炎の疾患活性と相関する[10、11]。更に、筋炎を有する患者の標的組織中にはI型IFN分泌性の形質細胞様DC(pDC)が存在する[12、13]。加えて、筋炎は、IFN治療によって新たに誘導されるか、或いは悪化する[13、14]。最終的に、抗IFN-αモノクローナル抗体のシファリムマブは、筋肉のDM及びPMの両方におけるIFN遺伝子発現を中和し、これは、筋機能の改善を伴った(実施例、セクション11.4を参照)。疲労感、発疹、光過敏症、及び関節痛の臨床的徴候は、ループス及び筋炎の両方に共通している。
【0123】
5.6.2.強皮症
SLEなどの全身性硬化症(強皮症、SSc)は、1型IFNが強く関与する結合組織疾患である。全身性硬化症は、微小血管の機能的及び構造的異常並びに皮膚及び内臓器官の線維症を特徴とする多系統の自己免疫疾患である。1型IFN経路は、SScにおける病原性駆動因子である。SScの発症機序(炎症及び線維化プロセス)におけるI型IFNの中心的役割の証拠としては、SScにおける1型IFN経路が関与する、複数の関連する遺伝的多型が挙げられる[15]。更に、SScの自己抗体は、1型IFN応答を直接増幅させることが判明しており[16]、また、SSc患者の肺及び皮膚におけるTGF-β依存性及び非依存性線維症に1型IFNが寄与する証拠が存在する[17]。加えて、SScにおける小血管の血管病変に起因する指尖潰瘍は、高いIFNシグネチャーに関連している[18]。
【0124】
5.7.I型IFN遺伝子シグネチャー(IFNGS)
インターフェロン遺伝子シグネチャー(IFNGS)は、I型IFNリガンド(IFN-α、IFN-β、及びIFN-ω)の結合によってIFN受容体(IFNAR1)が活性化すると、その発現が増加する、一連の特異的遺伝子転写物として定義される。異なる測定値を提供するために、Saphnelo及びシファリムマブ試験の一部として2つのインターフェロン遺伝子シグネチャーが用いられる:4遺伝子インターフェロン遺伝子シグネチャーは、ゲノム規模の遺伝子発現研究から導出され、定量的PCT試験(4遺伝子に基づくIFN遺伝子発現を特異的に測定するために開発された)によって更に確証された末梢血シグネチャーである。これは、ベースラインにおいて、疾患又は特定の患者の疾患がI型IFN駆動性であるかどうかを理解するために更に用いられる。21インターフェロン遺伝子シグネチャーは、ゲノム規模の遺伝子発現研究から導出された末梢血シグネチャーである。これは、治療後の1型インターフェロンシグナル伝達の阻害の指標を提供することによりSaphneloの薬力学的効果を研究するために使用される。
【0125】
IFN21遺伝子シグネチャー(IFNGS)は、I型IFNシグナル伝達の有効な薬力学的マーカーであり[10](
図28)、これは、SLE、ループス腎炎、筋炎、シェーグレン及び強皮症を含むI型IFN媒介性疾患を有する患者において上昇する(
図31A及び
図31B)。
【0126】
IFI27、IFI44、IFI44L及びRSAD2発現の測定によって4遺伝子IFNGSスコアが計算される。IFI27、RSAD2、IFI44、IFI44L、IFI6発現の測定によって5遺伝子IFNGSスコアが計算される。
図28に示される遺伝子の測定によって21遺伝子IFNGSスコアが計算される。遺伝子発現は、対象の全血又は組織中のmRNAを検出することによって測定され得る。IFNGS(4遺伝子、5遺伝子又は21遺伝子)スコアは、対象の血液又は組織におけるIFNGS遺伝子発現(例えばmRNA)を測定し、遺伝子発現レベルを、血液又は組織におけるハウスキーピング遺伝子又は対照遺伝子、例えば、ACTB、GAPDH及び18S rRNAの発現と比較することによって、対象において検出され得る。
【0127】
6.実施例1:診療所におけるアニフロルマブ
8回の盲検又は非盲検の静脈内(IV)及び皮下(SC)研究でアニフロルマブの安全性を評価した:6つの研究がSLEを有する患者におけるものであり(研究05、研究04、研究1013、研究1145、及び研究08)、1つの研究が全身性硬化症(SSc)を有する患者におけるものであり(研究MI-CP180)、1つの研究が健康な志願者におけるものであった(研究06)(表6-1)。これらの研究の中の2つ(研究08及び06)において、SCアニフロルマブ投与が用いられた。SLEを有する患者における1つの研究(研究09)及びループス腎炎(LN)を有する患者における1つの研究(研究07)、の2つの研究が継続中である。
【0128】
【0129】
研究MI-CP151については、Higgs et al.2013[10]でより詳細に説明される。研究1013については、Furie et al.2017[19]でより詳細に説明され、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。研究04については、Furie et al.2019[20]でより詳細に説明され、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。研究05の結果は、Morand et al.2020[21]で提示されており、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。SLEにおける静脈内アニフロルマブの臨床的有効性についての証拠の完全な要約は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるTanaka et al.,2020[22]に提示されている。
【0130】
7.実施例2:静脈内アニフロルマブの安全性及び有効性
7.1.有効性
アニフロルマブの有効性の主な評価は、3つの総合的な、無作為化、二重盲検、プラセボ対照研究(第3相研究04及び05、並びに第2相研究1013)からのデータに基づく。これらの研究は、52週間の治療期間を含み、類似する患者特性及び一定の組み入れ//除外基準を有するという点で設計が酷似していた。3つの研究全ての主目的は、全体的疾患活性に対するプラセボと比較したアニフロルマブの効果を評価することである。二次的な目的は、プラセボと比較したアニフロルマブの有効性を更に特性決定すること(例えば、グルココルチコイドの使用を低減する能力、器官特異的な評価項目(皮膚SLE活性及び関節)に対する効果、及びフレア率)が選択された。
【0131】
3つの二重盲検、総合的な第2/3相研究(研究04、05、及び1013)にわたり、中等度から重度のSLE患者におけるアニフロルマブ300mg IV Q4Wの有効性を、広範な臨床的に重要な評価項目にわたって観察した。アニフロルマブは、全体的な疾患活性に対する早期及び持続的な効果、ステロイドの使用を臨床的に有益なレベル(≦7.5mg/日)まで漸減させ、このレベルを52週目まで維持する能力、皮膚活性(cutaneous skin activity)に対する早期及び持続的な利益を示し、フレア率の臨床的に有意な低減をもたらす。
【0132】
2.1.1:研究1013(MUSE、NCT01438489)
研究1013(MUSE、NCT01438489)は、標準治療(SOC)療法を受けたにもかかわらず中等度から重度の活性SLEを有する成人患者における、プラセボと比較した、第2b相、多施設、二重盲検、無作為化、プラセボ対照の、アニフロルマブ300mg及び1000mgの52週間研究であった。試験中は、治験担当医師の裁量次第でOCSの漸減が勧められた。主要有効性評価項目は、治療から24週間後のOCS使用の持続的な低減を含むSRI(4)によって測定した、SLE疾患活性の低減に基づいて評価された。
【0133】
24週目における持続的なOCS低減を含むSRI(4)応答の複合物の主要評価項目は、プラセボ(300mg及び1000mg対プラセボの場合で、それぞれ17.6%[n=102];p=0.014及びp=0.063)よりもアニフロルマブ(300mg[n=99]及び1000mg[n=104]を投与される患者でそれぞれ34.3%及び28.8%)を投与される患者でより多く満たされた。ベースラインでIFNGSが高い患者でより高い効果サイズが観察され(アニフロルマブ300mg及び1000mgで治療された患者のそれぞれ36.0%(p=.004)及び28.2%(p=.029))、主要評価項目が達成された(プラセボを投与された患者の13.2%に対して)。ベースラインでIFNGSが低い患者では、主要評価項目を達成する患者のそれぞれの応答率は、アニフロルマブ300mg、アニフロルマブ1000mg、及びプラセボで、29.2%、30.8%、及び30.8%であった。
【0134】
研究1013については、Furie et al.2017[19]でより詳細に説明され、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0135】
7.1.1.研究04及び05(TULIP I及びTULIP II)
中枢(pivotal)TULIP(IFN経路を介した未制御ループスの治療(Treatment of Uncontrolled Lupus via the IFN Pathway))プログラムは、2つの第3相、多国籍、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並列群臨床試験のTULIP-1(研究04)及びTULIP-2(研究05)を含んだ。研究04及び研究05の設計はほぼ同一であった(
図1)。どちらの研究も、0週目から48週目まで合計13用量のアニフロルマブ又はプラセボのIV Q4Wを含む52週間の治療期間からなった。主要評価項目を52週目に評価した。OCSを漸減する試みは、両方の研究でベースラインの経口プレドニゾン≧10mg/日又は等価物を投与される患者に対して、8週目から40週目まで≦7.5mg/日の投薬量が達成されるまで強制され、この用量は52週目まで持続される必要があった。臨床的に有意なSLE疾患活性の改善を検出した以下の複合評価項目を両方の研究で用いた:SRI(4)(TULIP-1の主要評価項目)及びBICLA(TULIP-2の主要評価項目)。
【0136】
これらの研究に4週間に1回(Q4W)の用量300mgのアニフロルマブを選択したことは、2用量のアニフロルマブ(300mg及び1000mg)が、プラセボと比較して評価される第2b相1013研究の中間解析からの安全性及び有効性結果、並びに用量-応答モデリング及びシミュレーションに基づいていた(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際公開第2013188494号パンフレットに対応する米国特許第9493570号明細書に記載されるとおり)。第2b相研究の中間解析では、300mgの用量で臨床的に有意な利益が観察され、1000mgにおいては漸増的な利益はなかった。更に、300mgと比較して1000mgで、より多くの割合の対象が帯状疱疹の再活性化を報告したことが観察された。アニフロルマブの用量300mgと1000mgとでは有効性が同等であり、及び300mg用量群と比較して1000mg用量群で帯状疱疹の頻度が増加したことを前提とすると、利益/リスクプロファイルは、300mg用量に有利であると考えられる。
【0137】
TULIP-1及びTULIP-2では、標準治療を受けたにもかかわらず中等度から重度のSLEを有する患者を無作為化し、標準治療と並行して48週間にわたりQ4Wで、アニフロルマブ300mg(TULIP-1及びTULIP-2)、アニフロルマブ150mg(TULIP-1のみ)、又はプラセボを静脈内投与した。無作為化は、スクリーニング時の全身性エリテマトーデス疾患活性指数2000(SLEDAI-2K)スコア(<10対≧10)、及び4遺伝子IFNGS状態(高対低)、並びにベースラインにおける経口グルココルチコイド投薬量(<10対≧10mg/日
-1のプレドニゾン又は等価物)に応じて階層化した。TULIP-1及びTULIP-2試験は、一定の有効性変数、安全性変数、評価頻度、及び組み入れ/除外基準を有した(
図1)。
【0138】
7.1.2.研究04(TULIP I、NCT02446912)
研究04は、SOC治療を受けたにもかかわらず中等度から重度の活性SLEを有する成人患者において、アニフロルマブ150mg及び300mgとプラセボとを比較した。有効性は、SRI(4)応答によって測定したSLE疾患活性の低減に基づいて評価した。
【0139】
研究04では、52週目でSRI(4)応答の主要転帰を達成した患者の割合は、アニフロルマブ300mg群(84/180[47%])とプラセボ群(79/184[43%])とで同等であった(差:3.9;95%CI:6.3、14.1;p=.45)(
図2)。同様に、予め指定された解析(未修正の禁止薬物ルール)では、52週目でSRI(4)応答のあった患者の割合は、アニフロルマブ300mgで治療された180人のうち65人(36%)、及びプラセボ群の184人のうち74人(40%)であった(差:4.2;95%CI:14.2、5.8;p=.41)。
【0140】
研究04については、Furie et al.2019[20]でより詳細に説明され、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0141】
7.1.3.研究05(TULIP II、NCT02446899)
研究05(TULIP-2)では、プロトコルの修正により、試験データを非盲検化する前及びTULIP-1の完了後に、主要評価項目をSRI(4)からBICLA応答に変更した。この変更は、MUSE及びTULIP-1解析によって通知された。
【0142】
研究05は、SOC治療を受けたにもかかわらず中等度から重度の活性SLEを有する成人患者において、アニフロルマブ300mgとプラセボとを比較した。この試験における有効性は、BILAGベースの複合ループス評価(BICLA)応答によって測定したSLE疾患活性の低減に基づいて評価した。
【0143】
研究05では、プラセボ群(31.5%)よりもアニフロルマブ群(47.8%)で、52週目でより多くの割合の患者がBICLA応答の主要転帰を達成した(調整後差:16.3%;95%CI:6.3、26.3;p=.001)(
図2、
図3A、及び
図3B)。IFNGS試験結果が高い下位群では、52週目でBICLA応答のあった患者の割合は、アニフロルマブ群で48.0%(72/150)、プラセボ群で30.7%(46/151)であった(調整後差:17.3%;95%CI:6.5、28.2;調整後p=.002)。IFNGS試験結果が低い下位群の対応する結果は、アニフロルマブ群及びプラセボ群で、それぞれ患者の46.7%(14/30)及び35.5%(11/31)であった(調整後差:11.2;95%CI:13.5、35.8)。ベースラインの疾患重症度、人種、民族性、年齢、性別、発症時の年齢、及び抗薬物抗体の状態の、その他のプロトコルで定義された患者の下位群全体にわたり、アニフロルマブに有利なBICLA応答には均一性が存在した。全体の群における52週目までの持続的なBICLA応答を獲得するまでの時間に対するHRは、プラセボよりもアニフロルマブ300mgの群に有利であった (HR:1.55;95%CI:1.11、2.18)。
【0144】
アニフロルマブはまた、持続的なOCSの低減、及び皮膚疾患の重症度の低減(CLASIスコアの低減)の顕著な利益を示した(
図2)。ベースラインでプレドニゾン≧10mg/日又は等価物を投与された患者のうち、アニフロルマブで治療された患者の51.7%(45/87)及びプラセボを投与された者の30.1%(25/83)が、≦7.5mg/日への持続的な低減を達成した(調整後差:21.2%;95%CI:6.8、35.7;調整後p=.01)。ベースラインで少なくとも中等度に活性の皮膚疾患(CLASIスコア≧10)を有する患者のうち、アニフロルマブを投与された者の49.0%(24/49)及びプラセボを投与された者の25.0%(10/40)が、12週目でCLASIスコアの≧50%の低減を経験した(調整後差:24.0%;95%CI:4.3、43.6;調整後p=.04)。皮膚及び関節以外の器官における治療応答は、予め指定された解析の一部ではなかったが、BICLA応答の定義では、ベースラインにおいて影響を受けていた全ての器官系の改善(全てのベースラインBILAG-2004のA及びB領域スコアがそれぞれB/C/D及びC/Dに低減すること)、及び残りのBILAG-2004器官系に新規のフレアがないことが求められる。ベースラインでは、登録された患者の最も影響を受けた器官領域は、粘膜皮膚及び筋骨格であった(>80%がBILAG-2004のA又はBに関与)。ベースラインのBILAG-2004のA又はBのスコアは、心肺、全身、腎臓、精神神経、消化管、血液、及び眼領域では発生する頻度がより低かった。したがって、定義によれば、BICLA応答を達成した患者において、これら全ての影響を受けたBILAG-2004の器官系で応答が発生した。BILAG-2004をベースした年間フレア率は、アニフロルマブ群で0.43、プラセボ群で0.64であった(調整後率比:0.67;95%CI:0.48、0.94;調整後p=.08)[37]。ベースラインで≧6の関節腫脹及び≧6の圧痛関節を有する患者のうち、アニフロルマブ群の42.2%(30/71)、プラセボ群の37.5%(34/90)(調整後差:4.7%;95%CI:10.6、20.0;調整後p=.55)が、52週目で関節腫脹及び圧痛関節の両方の数が≧50%低減した。
【0145】
研究05の結果は、Morand et al.2020[21]で提示されており、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0146】
7.1.4.有効性の結論
研究05は、予め指定されたBICLAの主要評価項目に基づく、SOC治療を受けたにもかかわらず中等度から重度の活性SLEを有する患者の治療に対する、アニフロルマブの有効性に関する強力な証拠を提供した。3つの臨床試験全てから組み合わされたデータは、広範な臨床的に有意な評価項目全体にわたって、これらの患者におけるアニフロルマブ300mgの有効性を更に裏付けする。重要なことに、52週目におけるBICLA応答率の研究の全てで、アニフロルマブ300mgの一貫した利益が存在した。3つの研究の全てにおいて、BICLA応答率で、プラセボと比較して>16%の治療差が観察された。更に、TULIP-2及びMUSEの両方で、アニフロルマブはSRI(4)応答に対する治療利益を示唆した。多くの重要な副次的評価項目にわたるアニフロルマブ300mgの、一貫した裏付けとなる有効性の証拠(例えば、OCSの低減、CLASIスコアの改善、フレアの低減)は、特にSLEの徴候の不均一さを考慮すると、アニフロルマブの治療効果の全容を特性評価するのに妥当である。
【0147】
アニフロルマブは、フレアの低減に関する有効性を示しており、疾患活性を低減する治療効果の開始は、早ければ治療開始から8~12週間後に起こり、このとき、アニフロルマブ300mgに有利なことに、BICLA応答率の数値の>10%の分離が観察され、52週間の治療全体を通して維持される。更に、アニフロルマブのステロイド使用量削減効果は、SLEに関連する長期の器官損傷の累積的なリスクを低減させる可能性がある。皮膚徴候は一般的であり、顔、頭部、及び頸部が目に見える病変を伴うことが多いため、アニフロルマブ治療で見られる皮膚徴候における改善(CLASI活性度スコア)も特に重要である。
【0148】
SLEにおける静脈内アニフロルマブの臨床的有効性についての証拠の完全な要約は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるTanaka et al.,2020[22]に提示されている。
【0149】
7.2.安全性
アニフロルマブの安全性及び忍容性は一貫しており、3つの有効性研究の全てで概ね類似していた。任意の有害事象(AE)を有した患者の割合は、アニフロルマブで治療された者の研究全体では85%~89%の範囲にわたり、プラセボ群では77%~84%であった。最も一般的なAEは、上気道感染症、鼻咽頭炎、及び注入関連反応を含んだ。アニフロルマブの注入は概ね良好な忍容性を示し、TULIP-1でアニフロルマブ150mgを投与された患者で発生したアナフィラキシーの報告が1件存在した。過敏性を有した患者はわずかであり、大半の注入関連AEは重篤ではなく、その強度は軽度又は中等度であった。重篤なAE(SAE)は、アニフロルマブで治療された患者の8~16%、及びプラセボを投与された患者の16~19%で発生した。TULIP-1及びTULIP-2の治療期間でそれぞれ1件の死亡例があり、そのどちらもアニフロルマブ治療群で発生し、肺炎が原因であった。MUSEでも、アニフロルマブ1000mgの1用量を投与され、急性大腸炎を有した患者の死亡例が1件あった。中止につながるAEを有した患者の割合は、TULIP-2及びMUSEでは、プラセボに対してアニフロルマブを投与された者の間でより小さかったが、TULIP-1では、アニフロルマブで治療された患者の間でより大きかった(プラセボの3%に対して6%)。
【0150】
帯状疱疹の発生率は、プラセボ群(1~2%)と比較してアニフロルマブ治療群(5~7%)で増加し、大半の発生は、皮膚におけるものであり、重篤ではなく、中止につながるものではなかった。全てがSOC治療に応答し、一般に後遺症を伴うことなく消散する。特に興味深いその他のAEの場合、発生率は低く、治療群間で類似していた。
【0151】
アニフロルマブの安全性及び忍容性についての証拠の完全な要約は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるTanaka et al.,2020[22]に提示されている。
【0152】
7.3.結論
アニフロルマブは、SOCで治療された中等度から重度のSLEを有する対象における臨床的に関連する利益を実証した。その有効性は、広範囲の全体的(様々なレベルのSRI応答、BICLA)及び器官特異的疾患活性(CLASI、関節数)の臨床的尺度によって裏付けされた。300mg群において予め指定されたコルチコステロイドの低減を達成した対象の割合の臨床的に関連する増加も、プラセボと比較して観察されたが、1000mg群とプラセボとを比較しても明らかな差は観察されなかった。
【0153】
アニフロルマブは、概ね良好な忍容性を示した。プラセボと比較してアニフロルマブを投与される対象で、単純性帯状疱疹感染症を有する対象数の用量依存的な増加も観察された。
【0154】
BICLA応答は、持続的なOCSの低減及びCLASIの改善と同様に、3つの研究の全てで一貫して、プラセボと比較してアニフロルマブを投与される患者がより多くの数を達成した。MUSE及びTULIP-2の両方で、プラセボに対してアニフロルマブで、より多くの割合の患者がSRI(4)応答も達成した。アニフロルマブの安全性プロファイルは、有効性研究全体にわたり概ね類似しており、アニフロルマブで治療された患者の8~16%、及びプラセボを投与された患者の16~19%でSAEが発生した。3つの研究全てにおいて、帯状疱疹の発生率は、プラセボ群と比較してアニフロルマブ治療群で増加したが、大半の発生は皮膚症状であり、SOC治療に応答した。説明された臨床試験からの証拠は、活性のSLEを有する患者において、疾患活性応答の複合評価項目の達成、並びにOCS投薬量、皮膚疾患の重症度、及びフレア率の低減の点で、Q4WでIV投与されるアニフロルマブ300mgはプラセボより優れていることを示唆する。したがって、アニフロルマブのIV投与の臨床研究から、300mg IV Q4Wは、150mg Q4Wと比較すると最適な用量であったことが結論付けられた。用量を1000mg Q4Wまで増加させても漸増的な利益しか提供されないことが判明し、また帯状疱疹感染症の用量依存的な増加が観察された(
図4)。
【0155】
8.実施例3:アニフロルマブの皮下投与
8.1.SScを有する患者におけるIVアニフロルマブの第1相研究MI-CP180
体重に基づく単回用量投与後の平均アニフロルマブ血清濃度を
図5Aに示す。単回用量の投与後、高IFNGS及び低IFNGS患者の両方で、アニフロルマブは、より低い用量レベル(<10.0mg/kg)で非線形~線形PKを示した。C
maxの用量に比例した増加が観察されたが、AUCの増加は、0.1~10.0mg/kgでは用量比例を超えていた。アニフロルマブのt1/2は、より高用量のコホートではより長期にわたった。調査された最高の用量レベル(20.0mg/kg)では、最終t1/2は約12日であった。
【0156】
8.2.健康な志願者におけるIV及びSCアニフロルマブの第1相(研究06)
この第1相、無作為化、プラセボ対照研究では、30人の健康な成人を3つの治療コホート(アニフロルマブ300mg SC(n=6)、アニフロルマブ300mg静脈内(n=6)、アニフロルマブ600mg SC(n=6))及びプラセボ(n=4/コホート)に割り当てた。SC投与後、アニフロルマブへの曝露により、血清濃度-時間曲線下面積に基づいて用量は300mgから600mgへと比例的に増加した。単回のIV及びSC投与後の相加平均血清アニフロルマブ濃度-時間プロファイルを
図5Bに示す。Tummala et al.2018[8](参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)で報告されるとおり、この研究は、健康な志願者におけるアニフロルマブに対するバイオアベイラビリティを、静脈内曝露の87%であると推定していた。
【0157】
8.3.SLE患者におけるSCアニフロルマブの第2相(研究08)
この研究は、皮下投与されたアニフロルマブの薬物動態及び薬力を特性評価するために設計された(
図6A)。
【0158】
この研究は、皮下アニフロルマブの臨床薬理学、安全性、及び探索的有効性を調査した。研究08の薬物動態は、研究06(健康な志願者)の高いバイオアベイラビリティ、及びSLEを有する高IFNGS患者の高いCLと一致していた。SLE及び中等度から重度の皮膚徴候を有する患者に対して2週間に1回皮下投与されたアニフロルマブは、用量比例を超える非線形薬物動態を有し、用量依存的にI型インターフェロン遺伝子シグネチャーを中和した(
図6B及び
図6C)。特に、50週間にわたり2週間に1回投与された150mg又は300mgの皮下アニフロルマブは、非線形薬物動態を有し、それによりC
トラフ濃度は用量比例を超えていた。皮下アニフロルマブに伴う有害事象の数は、SLEを有する患者のより大規模な研究における静脈内投与後に観察された数と類似していた。
【0159】
研究08の結果は、Bruce et al.[23]で詳細に記載されており、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0160】
研究08は、より小さな試料サイズに限定されており、研究薬物の(例えば補体C3又はC4の濃度に対する)生物学的効果、又はその臨床的有効性について何ら結論を引き出すことはできなかった。また、I型インターフェロン遺伝子シグネチャーが高く、活性の皮膚疾患を有する患者のみを組み入れたことで、研究の一般化可能性が類似の疾患特性を有する患者に限定された。この研究は、経時的に欠落する値の頻度が高まることによっても更に限定された。
【0161】
8.4.結論
アニフロルマブのPKは、標的媒介性の薬物動態を一貫して示し、ここでは、より低い用量レベルで、濃度又は曝露は用量比例を超えて低下した。研究06(健康な志願者)では、SC注射によって投与されたアニフロルマブの高いバイオアベイラビリティが観察された。300mg未満のアニフロルマブSC対アニフロルマブIVのAUCの比は、約87%であった。
【0162】
9.実施例4:最適な皮下単位用量の決定
9.1.目的
アニフロルマブ皮下投与の最適な投薬量レジメンを検出するために、本発明者らは、既存のヒト臨床試験を利用するように設計された母集団PK及びPK/PDモデルを開発した。母集団PKモデルの開発を支援するために、第3相研究04及び05並びに第2相研究1013からのPKデータを用いた。
【0163】
本発明者らの初期の目標は、標準300mg IV(Q4W)用量と等価の曝露を提供し、またそれに付随して、より少ない量で提供され得るより規則的な投薬を可能にする、皮下用量を検出することであった。これは、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるFurie et.al.2017[19]で報告されるとおり、300mg IV Q4Wが最適なPKプロファイル及び臨床的有効性(例えば、BICLA応答を達成する点において)を提供するという理解に基づいていた。
【0164】
9.2.結果
9.2.1.アニフロルマブの皮下用量の初期選択
初期解析において、本発明者らは、300mg Q4W IVで達成可能なものと等しい曝露を提供すると予測される、特定の投薬量レジメンを決定した。最初に、週1回(QW)の105mg皮下投薬量レジメンが、バイオアベイラビリティの個人間の変動性を考慮に入れるために予測バイオアベイラビリティがTummal et.al.2018[8](参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)で報告されるものと比較して約7%減少した場合であっても(
図7B)、1に近い(又は1よりわずかに高い)AUC比を提供する(
図7A)ことが発見された。105mgの皮下QWは、比較の300 Q4W mg IV用量と匹敵するか、又は改善された中央トラフ濃度及びIFNGS抑制を提供するものと考えられた(
図8A及び
図8B)。これらの初期解析から、アニフロルマブのSC 105mg QW用量が、300mg Q4Wとの等価物として、したがって、SLE患者の治療に最適な有効性/リスクプロファイルを有するものとして、選択されるべきであると考えられた。重要なことに、これらの解析から、300mg IV用量が、アニフロルマブの用量応答曲線のプラトー上又はその付近にあったこと、すなわち、300mg IV Q4Wを超える用量の増加は、特に、より高い用量での帯状疱疹感染症のリスク増加を考慮すると、患者に有意な利益を全く提供しないことが推定された。
【0165】
9.2.2.アニフロルマブの皮下用量の修正後選択
したがって、本発明者らは、MUSE研究、研究06、及び研究08から利用可能なデータに基づいて、最初に、105mg QWが、I型IFN媒介性疾患の治療のためのアニフロルマブの最適なSC用量であると考えた。しかしながら、105mgのSC用量の選択を確証するために、本発明者らは、TULIP I(研究04)及びTULIP II(研究05)臨床試験からのデータの更なる解析を実施した。
【0166】
追加のデータを使用して、高IFNGS患者における陽性-曝露-BICLAの関連性を実証した。驚くべきことに、この関連性は、300mg IV Q4W群であっても観察された(
図9A及び
図9B)。したがって、300mg IV Q4W患者群内のBICLA応答は変動的であった。患者における52週目のBILCA応答のロジスティック回帰は、PK曝露が、TULIP I及びTULIP IIの両方で有意な共変量であることを裏付けた。C
aveは、TULIP I及びTULIP IIの両方で独立して治療を完了した全参加者及び高IFNGSの解析、並びにプールされたTULIP I及びTULIP II解析の両方で統計的に有意であることが判明した。TULIP I及びTULIP II研究からプールされたデータ中で、より高いC
aveを実証する曝露-応答は、より高いBICLA及びSRI(4)と相関していた。言い換えれば、300mg Q4W IVを投与されたループス患者の中で、アニフロルマブに応答する曝露依存的な変動性があった(
図9A及び
図9B)。
【0167】
驚くべきことに、したがって、300mg IV Q4W用量は、曝露応答のプラトーの開始上に存在し、一方で準最適な150mg IV用量は、曝露-応答曲線のステップ領域中に存在したことが判明した(
図10A)。これらの解析の結論として、本発明者らは、105mg QWの皮下用量(これまでは300mg IV Q4W用量と等価であると考えられていた)が、ループス患者において有効性と安全性との最適なバランスを提供しないと決定した。したがって、本発明者らは、ループス患者の母集団に応答する変動性の影響を緩和する別の用量をSC投与のために選択することを決定した。
【0168】
要約すると、初期解析から、105mg QWアニフロルマブの皮下用量の投与は、300mg IV Q4Wと少なくとも類似する有効性を達成するように思われた。しかしながら、驚くべきことに、更なる研究から新たに利用可能となったデータを本発明者らが更に解析した後で、バイオアベイラビリティ及び有効性の点で最大閾値に到達させることなく、この週1回(QW)用量の濃度を増加させることができることが判明した。言い換えれば、より高い血漿濃度及びIFNGS抑制を提供するため、及びSLE患者における応答で観察される変動性を緩和するために、QW用量を105mg超に増加させてもよい。したがって、105mgの用量は準最適となる。
【0169】
この驚くべき追加の用量-応答曲線データは、105mg用量を超える濃度で週1回皮下投与した場合に、関連するBICLA応答(高IFNGS患者における)を満たす確率が増加したことを実証することによって更に立証された(表9-1)。これらのデータは、(例えば、皮下投与下での)用量-応答プラトーの予期せぬ位置を実証し、この位置は、105mgを超えて増加する用量では右に移動して(
図10B)、最大BICLA応答が、実際は105mgを超える用量で達成可能であること、及びより高い用量が好ましいことを示す(表9-1)。
【0170】
【0171】
9.2.3.アニフロルマブのバイオアベイラビリティは変動性が高い
アニフロルマブのバイオアベイラビリティに関する更なる調査で、本発明者らは、皮下投与後におけるアニフロルマブのバイオアベイラビリティの驚くべきほど高いレベルの変動性が、異なる患者の間で存在し得ることを解明した。アニフロルマブのバイオアベイラビリティの高レベルの変動性皮下投与で>80%のバイオアベイラビリティを報告した過去の研究では認められなかった(実施例3を参照)[8]。研究08(SLE患者、SC)におけるアニフロルマブのバイオアベイラビリティ(F1)は、母集団PKモデルを用いて、健康な志願者では81%であることが判明した(表9-2)。
【0172】
【0173】
本発明者らは、ループス母集団におけるバイオアベイラビリティを決定するために、IV研究からの健康な志願者及びSLE患者で開発したPPKモデルを用いて、研究08、SLEにおける第2相SCの外部検証を実施した。
【0174】
研究08からのデータを徹底的に解析することにより、バイオアベイラビリティはSC投与部位の影響を受けていたことが明らかになった。特に、IVに対して腹部における300mgのバイオアベイラビリティを推測した時、バイオアベイラビリティ(F1)は、注射部位を考慮に含めなかった場合の81%と比較して85.4%と推定された。かくして、大腿部注射後のC
トラフは、腹部注射と比較して低下傾向であった(
図11A及び
図11B)。かくして、驚くべきことに、注射部位に起因する変動性、及び健康な志願者と比較した際のループス(SLE)患者のバイオアベイラビリティのより高い変動性を考慮に入れると、バイオアベイラビリティが実際には70%まで下がり得ることが結論付けられた。重要なことに、81~87%のバイオアベイラビリティ(F1)が仮定された場合、105mgが、300mgのIVに匹敵するC
aveをもたらすと最初に予測された(
図12)。対照的に、推定バイオアベイラビリティが約70%以下に減少した場合、105mg QWの皮下用量のC
ave 中央値は1未満に下がった(
図13A、
図13B、及び表9-3)。
【0175】
【0176】
更に、105mg SC QWと準最適なIV用量である150mg Q4Wとの間でC
aveに望ましくない30%の重複が存在したが、それに対し、バイオアベイラビリティを81%と仮定した場合は、16%の重複しか観察されなかった(
図13A)。しかし、SC120mg用量を用いた場合、150mg IV用量とのC
aveの重複は、70%の低いバイオアベイラビリティを仮定した場合であっても300mg IVの最適IV用量との重複よりも小さかった(
図13B)。更に、120mg SC QW用量は、望ましくない1000mg IV用量(ここで帯状疱疹感染リスクが増加する(
図15))との重複が最小限であった(
図13C)。150mg SC QW用量は、1000mg IV Q4W用量との望ましくない重複があった。更により驚くべきことに、120mg以上のSC用量は、仮定される最適300mg IV用量(表9-5)よりも良好なPD抑制を有することが予測された(表9-4)。
【0177】
したがって、105mg超、好ましくは120mg以上の用量を選択することで、ループス(例えばSLE)を有する患者における応答開始及びバイオアベイラビリティの変動性の影響を最小化することにより、曝露応答が最適化される(表9-4、
図14A、
図14B)。150mg QW未満のSC用量も、帯状疱疹感染症のリスクを低減するのに望ましい(
図15)。
【0178】
【0179】
【0180】
特に120mg及び135mg QWの用量は妥当な利益/リスクプロファイルを提供する。150mg QWのSC用量が1000mg IV Q4Wと等価であることを考えると、150mg QW以上の用量では安全性リスクが増加する、例えば、患者における帯状疱疹のリスクが増加する(
図13C、
図15A)。したがって、150mg QW未満及び105mg QW超の皮下用量が、好ましい用量として決定された。150mg QW未満及び135mg以下の皮下用量が、より好ましい用量として決定された。120mgの皮下用量は最適な用量として決定された。
【0181】
要約すると、本発明者らは、過去に利用可能であった予備データを考慮し、初めて、アニフロルマブの最適な皮下用量が105mg QWであると思われ得ることを発見した(
図15)。しかしながら、更なるデータ及び解析は、驚くべきことに、105mg QW以下の用量は、患者の有意な割合で用量が不十分となることを明らかにした(
図10B、表9-3)。したがって、本発明者らによって実証された特に有利な投薬レジメンは、105mg QWを超える用量であった。特に最適な用量は、推定されるバイオアベイラビリティによっては、約400mg IV Q4Wと等価の120mg皮下QWであると決定された。したがって、最適なSC用量は、驚くべきことに、300mg IV Q4Wとの比較、及びこれまでに理解されているアニフロルマブのバイオアベイラビリティのみに基づいて最適であるとみなされるものよりも>30%高い。言い換えると、研究06からのデータ(300mg IV対、300mg及び600mg SC(腹部)は、アニフロルマブのバイオアベイラビリティが約86%であると示唆する(300mg SCと300mg IVとを比較して)。しかしながら、驚くべきことに、研究08(150mg及び300mg SC、Q2W)の更なる解析により、大腿部注射後のC
トラフは、腹部注射と比較して低下傾向であったことが発見された。したがって、モデリング及びシミュレーションに基づいて注射部位を考慮に含めない場合は、バイオアベイラビリティは約81%と推定されたが、105mg QW超のSC用量選択を正当化すると70%まで下がる場合がある(
図14)。
【0182】
したがって、本発明者らは、驚くべきことに、105mg SC QW超及び150mg SC QW未満の用量、特に120mg QWの用量が、(a)許容可能な安全性プロファイルを維持しつつ有効性を最大化し、(b)バイオアベイラビリティの変動性の影響を緩和し、(c)応答の開始における変動性の影響を緩和することを実証した。したがって、105mg QW超の投薬量が、有利なことにバイオアベイラビリティの変動性の主な原因となり、治療結果の改善をもたらす。150mg QW未満の用量は、帯状疱疹感染症のリスクを緩和する。
【0183】
健康な志願者(研究06(IV治療群のみ))及びSLE患者(研究1013、02、04、及び05)の薬物動態学的データも、個体群統計及び腎/肝機能試験など、PK曝露に対する共変量の影響を評価するためにプールされた。体重の高い、及びI型IFN試験結果の高い患者は、有意に高いクリアランス(CL)及び低い濃度を有することが発見された。しかしながら、驚くべきことに、有効性及び安全性に対するこれらの共変量の臨床的に関連性のある影響は存在しなかった。驚くべきことに、母集団PKモデリングで評価された特定の母集団に関連するその他の共変量、例えば、人種/民族性/地域、年齢、性別、腎/肝機能試験、標準治療療法(例えば、OCS、抗マラリア性、アザチオプリン、メトトレキサート、ミコフェノール酸モフェチル、ミコフェノール酸、ミゾリビン、及びNSAID)、及びSLE患者に一般的に用いられる薬物(ACE阻害剤及びHMG-CoA還元酵素阻害剤)は、有意でないことが判明した。
【0184】
9.3.結論
本発明者らは、<150mg Q及び>105mg QWのアニフロルマブ用量が、300mg IV Q4Wと少なくとも類似するか、又は更にはこれよりも高い52週間にわたるCaveを提供することを実証した。特に、120mg SC QW用量は、ループス患者において300mg IV Q4W用量で実証された有効性と少なくとも等価の有効性を提供する。更に、120mg SC QW用量が、300mg IV Q4W用量で実証された有効性を上回る有効性を提供することが妥当に実証された。
【0185】
本明細書で実証されたデータに基づいて、SLEを有する成人患者における皮下アニフロルマブの有効性及び安全性を評価する多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、第3相研究のためにアニフロルマブの皮下用量が選択された。要約すると、2用量のSCアニフロルマブ(2週間に1回(Q2W)の150mg及び300mg)を、I型IFN試験結果が高く、活性の皮膚疾患を有するSLE患者における完了済みの第2相SC研究(研究06)中で評価した。第2相SC研究の主要な薬物動態(PK)/薬力(PD)評価項目を12週目で解析し、アニフロルマブのSC投与の安全性及び忍容性を52週目まで評価した。第2相SC研究からのPK/PDデータ、及びアニフロルマブIV研究からのデータに基づいて、単回注射の300mg IVに匹敵し及び劣ることのない平均濃度(Cave)を提供するために、この現行の第3相SC研究に120mg QWの用量が選択され、したがって、120mg SC QWが、300mg IV Q4Wと少なくとも類似の有効性を提供することが予期される。
【0186】
Q4WからQWへの投薬間隔の変化を考慮すると、また、少なくとも類似のCaveを提供することによって、120mg SC QWのトラフ濃度が300mg IV Q4Wのものよりも高くなることが予測され、したがって、300mg IVのものに劣らぬPD抑制を提供することが予期される。加えて、52週間にわたる120mg SC QWのCaveは、安全及び忍容性があることが示されている(第2b相研究1013で評価された)1000mg IVのCaveとの最小限の重複を有しており、したがって、1000mg IV Q4W未満と等価の任意の用量が安全であると考えられる。
【0187】
アニフロルマブ用のAIのAPFSを用いるSC投与経路の開発は、利便性及び投薬の柔軟性を改善し、患者及び/又は介護人が投薬のために診療所を訪問することに関連する感染リスク(インフルエンザ又はCOVID-19が含まれるがこれらに限定されない)への曝露を低減し、治療の利用容易性及びコンプライアンスを改善することが期待されている。
【0188】
10.実施例5:中等度から重度の全身性エリテマトーデスを有する患者における、アニフロルマブの薬物動態、薬力、及び有効性の間の関連性
10.1.概要
この研究は、中等度から重度の全身性エリテマトーデス(SLE)を有する患者におけるI型インターフェロン受容体抗体であるアニフロルマブの薬物動態/薬力及び薬力/有効性の関連性を解明することを目的とした。データは、静脈内アニフロルマブ(150mg/300mg、48週間にわたり4週間に1回(Q4W))の、無作為化、52週、プラセボ対照TULIP-1及びTULIP-2試験からプールされた。高IFNGS患者における薬力学的中和を、21遺伝子I型インターフェロン遺伝子シグネチャー(21-IFNGS)を用いて測定した。薬物動態/薬力の関連性をグラフ解析し、非線形混合効果モデルでモデル化した。21-IFNGS中和四分位全体にわたって、イギリス諸島ループス評価群ベースの総合ループス評価(BICLA)応答率を比較した。全体で、819人の患者が≧1用量のアニフロルマブ又はプラセボを投与され、そのうち676人が高IFNGSであった。52週間にわたり、高い平均アニフロルマブ血清濃度は、高い21IFNGS中和中央値に関連しており、これは、アニフロルマブ300mgでは急速及び持続的であり(>80%、12~52週目)、アニフロルマブ150mgでは低く及び遅延しており(>50%、52週目)、プラセボでは最小限であった。24週目でIC80(3.88μg/mL)を超えるアニフロルマブトラフ濃度(Cトラフ)を有する患者の割合は、アニフロルマブ300mgによるものがアニフロルマブ150mgよりも高く(約83%対約27%)、これはより高い推定Cトラフ中央値に起因する(15.6対0.2μg/mL)。BICLA応答率は、21-IFNGS中和で増加した。より多くの患者が、52週目で最高対最低の中和四分位のBICLA応答を有した(58.1%対37.6%)。要するに、アニフロルマブIV300mg Q4Wは、急速に、実質的に、及び持続的に21-IFNGSを中和し、また、これは、SLE患者における300mgのIV投薬レジメン及び対応する120mg SC用量の裏付けとなる臨床的有効性に関連していた。
【0189】
10.2.序論
全身性エリテマトーデス(SLE)は、重要臓器に不可逆的な損傷を生じさせ得る、先天性及び適応性の免疫経路異常調節、過剰炎症性(hyperinflammatory)シグナル伝達カスケード、及び組織中の免疫沈着物を特徴とする慢性の自己免疫的状態である。I型インターフェロン(IFN)シグナル伝達経路は、SLEの発症機序において重要な役割を果たす。I型IFNの5つのクラス(α、β、ε、κ、ω)の全てが、IFN遺伝子シグネチャー(IFNGS)を用いて測定される、IFNによって調節される遺伝子転写を刺激する下流シグナル伝達を媒介するI型IFN-α受容体(IFNAR)を活性化させる。血液又は組織中の高いI型IFNGSは、SLE患者の50~80%で発生し、これは高い疾患活性に関連している。10~13高IFNGS患者は、低IFNGS患者と比較して高レベルの抗二本鎖DNA(抗dsDNA)抗体を有するより活性なSLE疾患を有する。
【0190】
アニフロルマブは、高い親和性及び特異性でI型IFNARサブユニット1(IFNAR1)と結合して機能性IFNAR複合体の形成を立体的に阻害する、ヒト免疫グロブリンG1κ(IgG1κ)モノクローナル抗体である。後続の抗体-受容体複合体は急速に内部移行して、全てのクラスのI型IFNに応答したIFNAR1媒介性シグナル伝達を予防する。
【0191】
無作為化、プラセボ対照、52週間の第3相TULIP-1及びTULIP-2試験では、標準治療を受けたにもかかわらず、中等度から重度のSLEを有する患者において、48週間にわたる4週間に1回(Q4W)の300mgの静脈内アニフロルマブは、イギリス諸島ループス評価群(BILAG)ベースの総合ループス評価(BICLA)応答、皮膚応答、経口グルココルチコイド投薬量の低減、及びフレア率を含む広範な臨床的評価項目全体にわたって良好な忍容性を示し、及びプラセボよりも有効性が高かった。提案される作用機序に沿って、アニフロルマブ300mgは、高IFNGS患者において、21遺伝子I型IFNGS(21-IFNGS)の実質的(中央>85%)な薬力学的(PD)中和を誘発し、これは4週目ほどの早期に達成され、52週目まで持続した。
【0192】
5回の臨床試験全体にわたるアニフロルマブの薬物動態学的(PK)曝露の解析において、アニフロルマブ300mg Q4Wでのアニフロルマブ血清濃度中央値は、52週間の治療期間全体にわたって(試験全体にわたって、及び各試験内において)一定であり、定量限界を下回るトラフ濃度(Cトラフ)を有する患者はほとんどいなかった。高IFNGS患者の方が低IFNGS患者よりも排出までの時間の中央値が短かったため(57日間対67日間)、高いIFNGS発現は、より低いアニフロルマブの全身曝露と関連していた。アニフロルマブのPK濃度はまた、体重と逆相関していたが、検査されたその他の共変量(人種、年齢、性別、腎肝機能、免疫原性、及び一般的SLE薬物の使用)による影響は受けなかった。
【0193】
全身性硬化症及びSLEの患者において、高いアニフロルマブ投薬量は高いPD中和と相関していたが、PK/PDの関連性、及びPD/有効性の関連性、並びにこれらが疾患特性の影響を受けたかどうかは、未だに完全に特性決定されていなかった。本明細書では、本発明者らは、提案される推奨投薬量である静脈内アニフロルマブ300mg Q4W投薬レジメンが、SLEを有する高IFNGS患者において適切なPK曝露及びPD中和を提供するのを確認することを目的とした。PD中和は、ベースライン21-IFNGSスコアからの変化として定量化されたため、本発明者らは、低IFNGS患者のベースライン21-IFNGS発現は有意なPD中和を観察するには不十分であるため、その解析に低IFNGS患者を含めなかった。高IFNGS患者におけるPK及びPDを調査するため、本発明者らは、TULIP-1及びTULIP-2試験からプールされたデータを用いて、血清アニフロルマブ曝露の変化が21-IFNGSのPD中和に対してどのように影響を与えるか、及び、次に、21-IFNGSの中和が臨床的有効性とどのように関連するかを評価した。
【0194】
10.3.方法
10.3.1.研究設計
この解析のため、無作為化、二重盲検、並列群、プラセボ対照、52週間の第3相TULIP-1(NCT02446912)及びTULIP-2(NCT02446899)試験からデータをプールした(
図1)。
【0195】
10.3.2.患者
TULIP-1及びTULIP-2試験は、米国リウマチ学会(American College of Rheumatology)のSLE分類基準を満たす成人(18~70歳)を登録した。全ての患者は、SLEDAI-2Kスコア≧6(発熱、ループス関連頭痛、又は器質脳症候群に起因するポイントは除く)、及び臨床(実験室の結果を含まない)SLEDAI-2Kスコア≧4として定義される中等度から重度のSLEを有した。スクリーニング時、患者は、抗核抗体、抗dsDNA抗体、及び/又は抗Smith抗体に対して血清反応陽性であり、少なくとも1つの安定した標準治療処置を受けた。スクリーニング時、解析によって実証した患者の全血由来の4遺伝子(IFI27、IFI44、IFI44L、及びRSAD2)の定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)に基づく試験を用いて、中央検査室によって患者を4遺伝子I型高又は低IFNGSとして分類した。
【0196】
10.3.3.有効性評価項目
TULIP-1及びTULIP-2試験のどちらも、プラセボ群と対比したアニフロルマブ300mg群における、52週目でBICLA応答(TULIP-2の主要評価項目、TULIP-1の副次的評価項目)又は52週目で≧4応答のSLEレスポンダー指数(SRI[4])(TULIP-1の主要評価項目、TULIP-2の副次的評価項目)を有する患者の割合を評価した。BICLAレスポンダー又はSRI(4)レスポンダーとして分類された患者の割合、アニフロルマブ群とプラセボ群との間の差異、及び関連する95%信頼区間(CI)を、コクラン・マンテル・ヘンツェル法を用いて層別因子で調整した。
【0197】
BICLA応答を、以下の全てと定義した:全てのベースラインBILAG-2004のA及びB領域スコアがそれぞれB/C/D及びC/Dに低減し、及び他のBILAG-2004器官系に悪化がないこと;SLEDAI-2Kスコアの(ベースラインからの)増加がないこと;医師の総合評価(PGA)スコアの増加(ベースラインから≧0.3ポイントの)がないこと;研究治療の中止がないこと;及び、禁止薬物の使用がないこと。
【0198】
SRI(4)応答を、以下の全てと定義した:SLEDAI-2Kの≧4ポイントの低減;<1の新規のBILAG-2004 A又は<2の新規のBILAG-2004 B器官ドメインスコア;PGAスコアの(ベースラインから≧0.3ポイントの)増加がないこと;研究治療の中止がないこと;及び禁止薬物の使用がないこと。
【0199】
10.3.4.PKの測定及びモデリング
PK解析データセットは、アニフロルマブ150mg又はアニフロルマブ300mgを投与され、初回用量後に少なくとも1つの定量化可能な血清PK観測値を有した全ての患者を含んだ。PK測定値を、0、12、24、36、及び48週目の投与前、0週目及び48週目の注入後15±5分の投与後に取得し、最終アニフロルマブPK測定値を52週目に取得した。Meso Scale Discoveryプラットフォーム(Meso Scale Diagnostics、Rockville、MD、USA)上で、電気化学発光アッセイを用いてアニフロルマブの濃度を測定した。アッセイの測定範囲は、1:10に希釈されたヒト血清で20~1280ng/mL-1であり、定量下限は20ng/mL-1であった。上述したように、SLE用に開発された母集団PKモデルを用いて、指定の時点における予測アニフロルマブ濃度(例えば、24週目のアニフロルマブトラフ濃度[Cトラフ]及び治療期間にわたる予測平均アニフロルマブ濃度(Cave)を推定した。
【0200】
10.3.5.PDの測定
上述したように、PDを、二分式IFNGS試験において4つの遺伝子を含んだ21個のI型IFN-α/β-誘導性遺伝子(
図28)からなる21-IFNGSアッセイを用いて測定した[24、25]。ベースラインで取得したPD測定値は、30人の健康な志願者からプールされた健康対照試料に対する21-IFNGSスコアの倍数変化中央値として表された。PDは、12、24、36、及び52週目にも測定され、ここでPD中和中央値は、21-IFNGSにおけるベースラインからの変化百分率中央値+/-中央値絶対偏差(MAD)として表された。全てのPD解析は、ベースラインPD測定値が欠落していた25人の患者を除外した。
【0201】
10.3.6.PK/PDの解析
低IFNGS患者は、健康な対象と近いベースライン21-IFNGSスコアを有しており、これは有意なPD中和を観察するには不十分となるため、低IFNGS患者はPK/PD又はPD/有効性解析には含めなかった。
【0202】
10.3.6.1.グラフによるPK/PDの解析
グラフによるPK/PDの解析は、全ての治療群で中止前の少なくとも1つのPD測定値、並びにアニフロルマブ150mg及び300mg群で少なくとも1つの定量可能な血清PK観測値を有した、高IFNGS患者を含んだ。アニフロルマブで治療を受けた患者は、アニフロルマブ150mg又はアニフロルマブ300mgのそれぞれで、治療期間にわたる個々の予測された平均アニフロルマブ濃度(Cave)の中央値又は三分位(試料のサイズによる)に応じて分類された。52週間の治療期間にわたる中央21-IFNGSのPD中和を、Cave下位群全体にわたり比較した。
【0203】
10.3.6.2.PK/PDのモデリング
PK/PDモデリング解析の母集団は、全ての群におけるベースライン及び少なくとも1つの中止前のベースライン後のPD測定値、並びに、アニフロルマブ群における少なくとも1つの定量可能な血清PK観測値を有する高IFNGS患者を含んだ。アニフロルマブ曝露(PK)と21-IFNGSのPD中和との関係は、I型IFN誘導性遺伝子の産生がアニフロルマブによって阻害される間接応答モデルによって記述した。このモデルは、全身性硬化症を有する患者におけるアニフロルマブのPK/PD関係を記述するために初めて開発された非線形混合効果モデルであった。モデルの概略図を
図16に示す。PK/PDモデルは、ソフトウェアNONMEM(バージョン7.3以上、ICON Development Solutions,Ellicott City,MD;2006)に実装して、PK/PDパラメータ推定値を得た。観測データが、5000回のモデルシミュレーションに基づいて生成された95%の予測区間によって適切に捕捉されたことを保証するために、視覚的事後予測性能評価を実施した。
【0204】
10.3.7.PD/有効性の解析
PD/有効性解析は、ベースライン、及び少なくとも1つの中止前のベースライン後のPD評価を有する高IFNGS患者を含んだ。中止後に収集されたPD測定値を除く、アニフロルマブ150mg及び300mg治療群からプールされた観測データに基づいて、ベースラインから定常状態レベルまでの個々の21-IFNGS中和中央値を12、24、36、及び52週目にわたって計算した。プールされたアニフロルマブ150mg及び300mg治療群の患者を、21-IFNGS中和四分位の百分率中央値に応じて下位群に分類した。四分位下位群、及びプラセボ治療群全体に関して、52週目におけるBICLA及びSRI(4)応答率を計算した。
【0205】
10.4.結果
10.4.1.IFNGSによる個体群統計データ及びベースライン特性
TULIP-1及びTULIP-2試験において、819人の患者が、アニフロルマブ300mg、アニフロルマブ150mg、又はプラセボのうち少なくとも1つの用量を投与され、676人(82.5%)及び143人(17.5%)がそれぞれ4遺伝子I型高IFNGS及び低IFNGSであった。二分式4遺伝子IFNGS試験の4遺伝子は、連続した21-IFNGSのサブセットであるため
19、27、4遺伝子IFNGS状態(高対低)は、21-IFNGSスコア中央値と強い相関関係にあり、これは高IFNGS患者で15.1、及び低IFNGS患者で1.1であった(表10-1、
図17)。
【0206】
【0207】
I型高IFNGS及び低IFNGS患者のベースライン特性を表10-1に示す。高IFNGS患者は低IFNGS患者よりも若かった(年齢中央値が40歳対46歳)。スクリーニング時の二分式IFNGS試験及びベースライン時の中央21-IFNGSスコアの両方で、年齢とIFNGS発現との間の負の関連が観察された(
図18)。その他の地理的地域と比べて、北米の患者は若干年齢が高く(年齢中央値が44歳対40~41歳)、また高IFNGSとなる傾向が若干低かった(72.6%対88.5%~90.9%)。高IFNGSであった患者の割合は、北米によって促進された白人患者(78.3%)よりも、黒人/アフリカ系アメリカ人患者(86.1%)及びアジア系患者(95.2%)で高かった。
【0208】
高IFNGS患者は、低IFNGS患者よりも重症度の高い疾患を有しており、ベースラインで、より高い抗dsDNA血清陽性率(48.7%対25.9%)、C3異常率(41.7%対13.3%)、及びC4異常率(26.9%対5.6%)が存在し、より多くの患者が≧10のSLEDAI-2Kスコアを有した(71.9%対62.9%)(表10-1)。疾患重症度とIFNGSとの関連はプラセボ群においても反映されており、TULIP-1及びTULIP-2プロトコル16、17によって禁止されている薬物を使用する割合は、高IFNGS患者の方が低IFNGS患者よりも高く(34.1%対18.8%)、対照的に、アニフロルマブ300mgを投与される高IFNGS患者は、52週目までの禁止薬物使用率が低IFNGS患者と類似していた(約21%)。
【0209】
10.4.2.PK/PDの解析
低IFNGS下位群は、健康な対象と近いベースライン21-IFNGSスコアを有しており、これは有意なPD中和を観察するには不十分であり、そのため、経時的な21-IFNGSの中和百分率中央値は、低IFNGS患者におけるアニフロルマブ300mg及びプラセボの両方で最小限であった(
図19)。したがって、低IFNGS患者は、PK/PD又はPD/有効性解析に含まれなかった。
【0210】
【0211】
対照的に、アニフロルマブ300mgで治療された高IFNGS患者において、21-IFNGSのPD中和は全てのベースライン21-IFNGS群で発生した。しかし、ベースライン21-IFNGSの最低の四分位にある患者(低IFNGS患者で観察されたものと最も近いベースライン21-IFNGSを有する)は、ベースライン21-IFNGSのより高い四分位にある患者と比べて、より大きな変動性を伴うより低いPD中和を有した(
図20)。
【0212】
10.4.2.1.PK/PDのグラフ解析
PK/PDのグラフ解析は、プラセボ(n=144)、アニフロルマブ150mg(n=72)、又はアニフロルマブ300mg(n=141)を投与されたTULIP-1からの357人の高IFNGS患者、及びプラセボ(n=149)又はアニフロルマブ300mg(n=148)を投与されたTULIP-2からの297人の高IFNGS患者を含んだ(
図21)。
【0213】
アニフロルマブ300mgで治療された患者を、Cave三分位数ごとに分類し、これらはTULIP-1及びTULIP-2にわたり概ね一貫していた。アニフロルマブ150mgで治療した患者は、試料サイズが小さいため、中央値(11.5μg mL-1)超又は中央値未満のCave値に応じて下位群へと分けた。アニフロルマブ300mgで治療された患者は、既に報告されているように、PK曝露の非線形性のため、概ね、アニフロルマブ150mgで治療した患者よりも高いCave値を有し、群と群との間での観測されたCave値の重複は最小限であった(表10-2)。
【0214】
全てのアニフロルマブ300mgのC
ave三分位が、約80%のPD中和中央値に到達し、これは12週目から52週目まで持続したが、両方の試験全体で、変動性は、最低のC
ave三分位の方が2つのより高いC
ave三分位よりも高かった(
図21A、
図21B)。2つの最高のC
ave三分位は、約90%で頭打ちとなるPD中和を有した。SLEDAI-2Kスコア(<10対≧10)、経口グルココルチコイド投薬量(<10対≧10mg/日
-1)、及びループス血清学(抗dsDNA抗体、C3及びC4)を含むベースライン疾患活性下位群全体にわたり、アニフロルマブ300mgでの実質的及び持続的なPD中和が一貫して観察された(
図22)。対照的に、中央値未満のC
ave値を有するアニフロルマブ150mgで治療された患者の下位群においては、PD中和は高変動性であった(大きなMAD値)が、プラセボで観測された最小PD中和よりも数値的に高かった。
【0215】
10.4.2.2.PK/PDモデリング解析
PK/PDモデリング解析は、プラセボ(n=289)、アニフロルマブ150mg(n=70)、又はアニフロルマブ300mg(n=287)を投与されたプールされたTULIP-1及びTULIP-2試験からの646人の高IFNGS患者を含んだ。PK/PD間接応答モデルは、視覚的事後予測性能評価によって実証されるとおり、95%の予測区間によって観測されたデータを適切に捕捉した(
図23)。NONMEMのアウトプットの診断プロットを
図25A~Dに示す。PK/PDモデルパラメータ推定値を表10-3に示す。
【0216】
IC
80は、ベースラインに対する21-IFNGS発現の最大阻害の80%を得るのに必要な概算アニフロルマブ濃度として定義された。モデルは、3.88μg mL
-1のIC
80推定値をもたらし、これは、6.56nMのIC
50推定値、及び148kDaのアニフロルマブ分子量に基づいていた。24週目のC
トラフの推定中央値は、非線形性のためにアニフロルマブ300mgがアニフロルマブ150mgよりも高かった(15.6対0.2μg/mL
-1)(
図24)。したがって、300mgのアニフロルマブで治療された患者は150mgと比較してより高い割合で(約83%対約27%)、24週目のC
トラフがIC
80を超えていた。モデルにより推定したベースライン21-IFNGSスコアは、高IFNGS患者で13.1であった(表10-3)。
【0217】
【0218】
10.4.3.プールされたアニフロルマブ150mg及び300mg群におけるPD中和
アニフロルマブ150mg又は300mgを投与された341人の高IFNGS患者を、PD中和四分位に応じて分類した(Q1 <51.7%、Q2 ≧51.7%~85.3%、Q3 ≧85.3%~92.6%、Q4 ≧92.6%)。アニフロルマブ300mg群の患者は、主により高いPD中和四分位(Q2~Q4)に存在しており、12週目~52週目のPD中和中央値はアニフロルマブ300mgで>86%であり、これに対しアニフロルマブ150mgでは<37%であった。
【0219】
PD中和解析に含まれたアニフロルマブ300mg群からの273人の高IFNGS患者のうち、41人(15.0%)は、PD中和の最低四分位中にあった(<51.7%中和)。これら41人の患者のうち、18人(43.9%)は、最低四分位(Q1<3.8)でベースライン21-IFNGSスコアを有しており、これらは、より低いPD中和と関連していた(
図20)。残る23人の患者は、低いPK曝露を有する傾向があり、19人は最低のアニフロルマブ300mg PK C
ave四分位中にあり(C
ave<27.6μg/mL
-1)、4人は第二四分位中にあった(27.6~39.2μg/mL
-1)(プールされたTULIP-1及びTULIP-2のアニフロルマブ300mg PK C
ave四分位を表10-4に示す)。合計の高IFNGS母集団(n=676)と比較すると、これら23人の患者は、より活性なベースライン疾患を有する傾向があり、数値的により高い割合の患者が、抗dsDNA抗体の陽性率(56.2%対48.7%)、低いC3(56.5%対41.7%)、低いC4(47.8%対26.9%)、SLEDAI-2Kスコア≧10(78.2%対71.9%)、又はより高い経口グルココルチコイド投薬量(12.4対10.2mg/日
-1)を有した。
【0220】
【0221】
10.4.4.PD/有効性の解析
PD/有効性解析は、アニフロルマブ150mg又は300mgを投与された341人の高IFNGS患者、及びプラセボを投与された280人の患者を含んだ。PD/有効性解析は、
図26A及び
図26Bに示される。52週目でBICLA応答があった患者の割合は、アニフロルマブ群におけるPD中和がより高い場合に増加し(Q1 37.6%、Q2 49.4%、Q3 51.8%、Q4 58.1%);全てのアニフロルマブ四分位における応答率は、プラセボ(30%)よりも数値的に高かった。同様に、52週目でSRI(4)応答があった患者の割合は、アニフロルマブ群におけるPD中和下位群で増加し(Q1 48.2%、Q2 56.5%、Q3 58.8%、Q4 64.0%);全てのアニフロルマブ四分位における応答率は、プラセボ(40%)よりも数値的に高かった。
【0222】
次に、本発明者らは、52週目におけるBICLA応答率とベースラインにおける21-IFNGSスコアとの間に関連性があるかどうかを調査した。アニフロルマブ300mg群では、52週目におけるBICLA応答率は、低い21-IFNGSスコアを有する患者(Q1<3.8)と比較して、高いベースライン21-IFNGSスコアを有する患者で数値的により高かった(Q4≧20.7)(TULIP-1:54%対40%;TULIP-2:47%対43%)。しかし、TULIP-1及びTULIP-2における全てのベースライン21-IFNGSスコア四分位にわたって、BICLA応答はアニフロルマブ300mgがプラセボよりも高かった(
図27)。
【0223】
10.5.考察
薬物濃度、薬力、及び有効性を相関させることによって、薬物の作用機序と臨床応答との関係に関する重要な洞察を得ることができる。この解析で、本発明者らは、中等度から重度のSLEを有する患者の第3相TULIP-1及びTULIP-2試験からプールされたデータを評価して、アニフロルマブのPK/PD及びPD/有効性の関係を調べた。この研究は、アニフロルマブの血清濃度とI型IFN誘導性遺伝子(21-IFNGS)のPD中和との関連性を特定し、続いてこれを、スクリーニング時に高IFNGSであった患者における52週目での有効性の改善と関連付けた。この所見は、アニフロルマブの作用機序、すなわち、I型IFN経路を遮断し、SLE疾患活性を伝播させてループスの発症機序を駆動する下流の遺伝子発現を阻害することにより、疾患活性及び臨床的有効性の指標が改善されたこと、を裏付けるものである。
【0224】
スクリーニング時の低IFNGS患者においてはPD中和が有意ではなかったため、高IFNGS患者のみを解析に加えた。また、高IFNGS患者はアニフロルマブのクリアランスが低IFNGS患者よりも高いため、特に高IFNGS患者を検討することが重要であった。評価されたIFNGS発現は、より高活性の治療抵抗性疾患、IFN-αの血清濃度の増加、並びに、腫瘍壊死因子IL-2、IFN-γ、及びIL-1R2を含む炎症及び免疫異常調節の血清マーカーと関連する。一貫して、低IFNGS患者と比較して、高IFNGS患者はベースライン疾患活性がより高く、より多くの患者が抗dsDNA抗体に血清陽性であるか、ベースラインで異常なC3/C4を有したことが判明した。プラセボ群では、高IFNGS患者は、低IFNGS患者よりも試験全体を通して禁止薬物を使用する傾向が高かった。しかし、アニフロルマブ300mgでの治療は、高IFNGS患者における禁止薬物の使用率が、低IFNGS患者で観察される使用率近くまで低減することに関連した。高IFNGS患者及び低IFNGS患者の両方において、治療中止率は、アニフロルマブ300mgの方がプラセボよりも低かった。
【0225】
推定値が観測データと一致していたため、PK/PDモデル、IFNAR1内部移行動態、及びSLE研究からの情報は、ロバストであると思われた。モデル予測したパラメータは、強いPK/PD関係を示した。アニフロルマブ300mg群における患者の予測された約83%は、21-IFNGS発現の>80%阻害を誘発し得るアニフロルマブトラフ濃度を有した。実際に、急速(12週目までの)、実質的(約80%)、及び持続的な(52週目まで)21-IFNGSの中和が、全てのアニフロルマブ300mg Cave三分位で観察された。対照的に、アニフロルマブ150mg群における患者の予測された約27%のみが、21-IFNGSの>80%阻害を誘発し得るアニフロルマブトラフ濃度を有した。したがって、特に中央値未満のCaveを有する患者において、より低く、より変動性が高く、遅延したPD中和がアニフロルマブ150mgで観察され、ここで、PD中和は最小限であり、プラセボで観察されたものに類似していた。より低いアニフロルマブ血清曝露は、試験及び投薬レジメン全体にわたってより変動性の高いPD中和プロファイルをもたらした。
【0226】
アニフロルマブ300mg群における高IFNGS患者の小サブセット(15%)は、試験全体にわたって高いPD中和を経験しなかった(ベースライン21-IFNGSの中和百分率中央値は、51.7%未満であった)。これらの患者の半数近くが、4遺伝子IFNGS試験の二分式の性質のために、高IFNGS状態を割り当てられたにもかかわらず、最低四分位中にベースライン21-IFNGSスコアを有し、そのため、健康な対照に類似する21-IFNGSスコアを得るために高いPD中和は必要でなかった。これらの患者のもう半数は、PK/PD関係を支持する低いPK曝露を有し、またベースラインにおいて数値的により高い疾患活性を有する傾向があった。しかしながら、ベースライン疾患活性の指標は、プールされた母集団全体においてアニフロルマブ300mgでPD中和に影響を与えるように見えず、これは、疾患活性とは関係なく、患者下位群全体にわたるアニフロルマブIV300mg投薬レジメン及び対応する120mg皮下用量を更に支持するものである。
【0227】
結果的に、低いPD中和を有する患者のサブセットが、300mgを超えるアニフロルマブの投薬量から利益を受ける可能性があることが示唆され得るが、300mg超のIV用量でBICLA応答率がより高くなることを示唆する証拠は存在しない。例えば、第2相MUSE研究では、52週目のBICLA応答率は、アニフロルマブ300mg(53.3%)の方がアニフロルマブ1000mg(41.2%)よりも高かった。更に、TULIP-1及びTULIP-2においてPK曝露とBICLA応答率との関係をモデリングした解析では、アニフロルマブ1000mgは、非線形性のために、アニフロルマブ300mgと比較して付加的な利益しかもたらさないことが予測された。しかし、実施例4:最適な皮下単位用量の決定に示すように、バイオアベイラビリティの変動性と組み合わせたこの変動性は、105mgを超える驚くほど高い皮下用量を正当化する。
【0228】
21-IFNGSのPD中和は、臨床的有効性の改善と関連していた。全てのアニフロルマブPD中和四分位は、プラセボ群よりも数値的に高いBICLA及びSRI(4)の比率を有した。しかし、最高のアニフロルマブPD中和四分位は、最低のアニフロルマブPD中和四分位(主にアニフロルマブ150mg群の患者からなる)よりもそれぞれ約21%及び約16%高いBICLA及びSRI(4)の絶対応答率を有した。これらの結果は、曝露/有効性関係を特定し、全てのアニフロルマブPK下位群がプラセボ群よりも高いBICLA/SRI(4)応答率を有したことを実証した、TULIP-1及びTULIP-2試験におけるPKと有効性との関連性の解析と一致している。
【0229】
後の時点における臨床的有効性と関連するPDマーカーの早期の変化は、臨床的に有益である。この研究は、IFNGS中和の程度は、様々な母集団(例えば、小児患者又はその他のループス母集団、例えば、ループス腎炎(LN)又は皮膚エリテマトーデス(CLE)を有する者)を調査する将来のアニフロルマブ試験の設計において、又は皮下注射などの様々な投与方法において、確立されたPDマーカーとして使用され得ることを示唆する。
【0230】
4週間に1回のアニフロルマブIV300mgが、第2相MUSE試験におけるその好ましいベネフィット/リスクプロファイルのために、中等度から重度のSLEを有する患者における最適な投薬レジメンとして選択された。アニフロルマブ300mgでのCaveは、研究全体にわたって一貫しており、またこれはアニフロルマブ150mgによって誘発された濃度よりも高く、下位群の間にわずかな重複が存在し、アニフロルマブの非線形PKプロファイルと一致していた。24週目のトラフ濃度で定量化したアニフロルマブの定常状態濃度は、アニフロルマブ300mgではアニフロルマブ150mgより約80倍高いことが予測された。
【0231】
10.6.結論
本明細書において、本発明者らは、標準治療を受けたにもかかわらず中等度から重度のSLEを有する患者における、アニフロルマブ血清曝露とPD中和との間の明確な関係を解明し、アニフロルマブIV 300mg Q4W投薬レジメン及びアニフロルマブSC 120mg QW投薬レジメンを支持する証拠を提供する。実際に、アニフロルマブ300mgは、高IFNGS患者に対して十分なPK曝露を提供して、急速、実質的、及び持続的な21-IFNGSの中和をもたらし、これは続いて、臨床的有効性の改善に関連した。したがって、QWでの105mg超、例えば120mgのアニフロルマブSC用量で、同じ臨床的有効性が期待される。
【0232】
11.実施例7:I型IFN疾患の治療
11.1.I型IFNシグネチャー
I型IFNの発現と抗IFN療法に対する応答との間の関係を理解するため、対象の疾患がI型IFNの活性化によって駆動されるか否かを知ることは必要である。しかし、I型IFNの直接的測定には、課題が残っている。そうしたことから、特定のmRNAマーカーのセットに対する標的タンパク質の過剰発現の効果を評価するため、転写物に基づくマーカーが開発された。これらのマーカーの発現は、例えばPCR(例えばTaqMan)アッセイを用いて全血中で容易に検出される。
【0233】
遺伝子の発現は、RT-PCRによって測定されてもよい。遺伝子の検出に適したプライマー及びプローブは、国際公開第2011028933号パンフレット中に見出すことができる。IFNGS試験における遺伝子発現の測定に適したキットは、Brohawn et alに記載される、QIAGEN therascreen(登録商標)IFIGx RGQ RT-PCRキット(IFIGxキット)である[26](これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。21-IFNGSアッセイは、上述したように、二分式IFNGS試験において4つの遺伝子を含む21個のI型IFN-α/β-誘導性遺伝子(
図28)からなる[24、25]。
【0234】
SLE対象における転写物スコアの二峰性分布は、IFN試験結果の高い亜集団及び低い亜集団を定義すること(4遺伝子IFN試験を用いた)を支援する(
図29A)。I型IFN試験は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2011028933A1号パンフレットに記載されている。I型IFN遺伝子シグネチャーを用いて、対象がI型IFN遺伝子シグネチャー(IFNGS)試験の高い患者又はIFNGS試験結果の低い患者を有することを同定することができる(
図29B)。4遺伝子IFNGS試験は、対象の全血中で、3つの参照遺伝子;18S、ACTB及びGAPDHと比較して、遺伝子IFI27、IFI44、IFI44L、及びRSAD2の発現を測定する。試験の結果は、低い又は高いレベルのIFN誘導性遺伝子発現を伴う2群に患者を分類する、予め確立されたカットオフと比較されるスコアである(
図29B)。
【0235】
I型IFN遺伝子スコアは、SLEにおける皮膚などの病変組織における発現との相関を実証する。特に、高いI型IFN遺伝子シグネチャーは、SLEにおける高い疾患活性及びOCSの使用に関連する(
図29C)。
【0236】
IFNGSは、IFNAR1阻害剤での治療に適するその他のI型IFN媒介性疾患を特定するのに使用され得る。I型IFN媒介性疾患としては、患者が高いIFNGSを有すると特定され得るループス腎炎(LN)及びシェーグレン症候群が挙げられる(
図31A及び
図31B)。類似のコアI型IFNシグネチャー(5遺伝子スコア)が、SSc及び筋炎患者において活性化される(
図32)。
【0237】
11.2.ループス
ループス(SLE)におけるIFNGS(21遺伝子)は、I型IFNシグナル伝達の阻害剤、例えば、抗IFN-α抗体のシファリムマブ(
図30A)、又はI型IFN受容体(IFNAR1)阻害剤のアニフロルマブ(
図30B)によって中和される。セクション10も参照されたい。
【0238】
11.3.強皮症
全身性硬化症(強皮症、SSc)は、慢性の免疫活性化及び細胞外基質成分の過剰堆積を特徴とする、希少な自己免疫疾患である。第1相用量漸増試験(研究CP180)は、SScを有する対象におけるアニフロルマブの安全性及び忍容性を調査した(
図33)。SSc患者におけるIFNGSスコアは、健康な対照と比較して、強皮症患者において最も示差的に調節される遺伝子のうちの一部であった、5つのIFN誘導性遺伝子の中央倍数変化(FC)であると決定された。5つの遺伝子は、21遺伝子IFNGSのサブセットである。
【0239】
5遺伝子IFNGSは、5遺伝子シグネチャー(IFI27、RSAD2、IFI44、IFI44L、IFI6)を用いて測定して、強皮症患者の全血(WB)中で上昇する(
図31B)。SSc患者における5遺伝子IFNGSスコアは、SLE患者における5遺伝子IFNGSと同等である(
図32A、
図34A)。ベースラインIFNシグネチャーは、罹患組織と末梢部との間で、及びベースライン疾患活性と、高度に相関している(
図34B)。ベースライン5遺伝子IFNGSスコアとSSc疾患活性との間にも、修正ロドナン皮膚スコア(modified Rodnan skin score、mRTSS)によって測定して正の相関が存在する(
図34C)。
【0240】
国際公開第2013/188494号パンフレット(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるとおり、5遺伝子IFNGSは、強皮症(SSc)患者において中和され得る(
図35A)。具体的には、研究CP180(NCT0093082)においては、約2/3のSSc患者が、ベースラインでI型IFNシグネチャー陽性である。アニフロルマブで治療した後、1mg/kg(mpk)以上の用量(単回用量及び複数回用量の両方)で、IFNGSの急速及び完全に近い抑制が起こり(1日目)(
図35B)、これは、回復前にシグネチャーが阻害された状態を維持した時点で明確な用量依存効果を伴った(
図35B及び
図35C)。その他の自己免疫適応症に用いられてきたものと類似する、研究CP180で用いられたIFNスコアは、SScにおけるI型IFN媒介性シグナル伝達の阻害剤を用いた治療に関連する高感度のPDマーカーであることが確認された。
【0241】
SSc患者のアニフロルマブ治療は、T細胞の活性化も抑制した(CXCL10及びCD40Lの低減を介して)(
図36)。アニフロルマブは、更に、コラーゲン形成マーカーを抑制し、及びコラーゲン分解マーカーを上方制御するが(
図36)、これは、それを介してSSc患者におけるI型IFNシグナル伝達の阻害が組織を調節する作用機序が調節されたことを示唆する。皮膚スコアの更なる改善が存在した(最高用量におけるmRSS)。
【0242】
要約すると、アニフロルマブによる強皮症患者の治療は、用量依存的な、WB及び皮膚におけるI型IFNスコアのほぼ完全な抑制を示す。コアIFNGSはSSc患者中で上昇し、アニフロルマブでの治療は、この遺伝子シグネチャーを中和する。アニフロルマブは、SSc患者における治療効果を有することも示されている。したがって、アニフロルマブは、SLEにおいて安全及び効果的であることが示されているものと類似の又は同じアニフロルマブ用量、すなわち300mg IV Q4W、又は105mg超及び150mg未満QWの等価のSC用量、特に120mgのSC QWで、SLE及びLN患者と類似する治療効果をSSc患者においても有することが期待される。
【0243】
11.4.筋炎
筋炎の筋生検におけるI型IFNの存在は、免疫組織化学的研究によって初めて観察され[27]、その後、PDCが皮膚筋炎(DM)の筋肉及び皮膚生検中で増加することが報告された[28、29]。DM又は多発性筋炎(PM)の発病は、IFN-α又はIFN-β療法の後に発生することが観察されており、これは、これら2つの適応症における潜在的治療標的としてI型IFNを示唆する[30、31]。IFN-β転写産物は、PM、及び皮膚筋炎/JDM7中で過剰発現し、IFN-α転写産物は過剰発現しなかった。IFN-βはDM患者の血液中で増加し、血中のI型IFN誘導性遺伝子と相関する[32]。筋炎患者由来の筋生検の遺伝子発現プロファイリング解析は、正常な対照と比較して、DM患者中で最も過剰に発現した転写産物は、IFN-α/β誘導性遺伝子であることを示した[28]。
【0244】
健康な志願者(値が<4として定義される)と比較して、皮膚筋炎(DM)又は多発性筋炎(PM)患者の血液中にI型IFN誘導性遺伝子(136遺伝子)、特にIFI44L及びRSAD2の過剰発現が存在する[11]。Greenberg et alは、13I型IFNシグネチャーPDマーカー、又は健康なドナーと比較して増加したIFI27、RSAD2、IFI44L、IFI44、OAS1、IFIT1、ISG15、OAS3、HERC5、MX1、ESPTI1、IFIT3、及びIFI6の発現を特定した[11]。研究MI-CP151(NCT00533091)では、患者の血液及び筋生検標本を収集した。DM及びPM患者の筋肉及び血中のベースラインI型IFN遺伝子シグネチャー(4遺伝子及び13遺伝子スコア)値を測定し、BM及びPM患者の両方の全血及び筋肉中でIFNGSスコアが高いことを明らかにした(
図37、
図31A、
図38)[10]。どちらも参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2009/011770号パンフレット及び同第2009/011770号パンフレットも参照されたい。
【0245】
I型IFN遺伝子シグナル伝達の阻害剤(シファリムマブ)は、用量依存的な方法で、DM及びPM患者の血液及び筋肉中の13遺伝子IFNGSスコアを中和した(研究MI-CP151、
図39)。特に、I型IFN遺伝子シグネチャーは、0.3mg/kgのコホートにおいて91%の中央値で最大限に中和され、シファリムマブで治療されたコホート全体にわたる平均中和は47%、33%、及び65%であり、これらはそれぞれ28日目、56日、及び98日目に観察された。98日目に、4つのシファリムマブ治療コホートは、54%~91%の範囲にわたる遺伝子シグネチャーの中和中央値を示した。シファリムマブによる筋炎患者の治療は、筋肉におけるI型IFNシグネチャーの最大80%の中和を示した(
図38)。プラセボ群に対して4つのシファリムマブ用量群(0.3、1.0、3.0、及び10mg.kg)の全てで、より多くのIFNGS抑制が用量依存的に観察された。IFNαの阻害は、筋炎筋肉(DM及びPM)への免疫細胞の浸潤を低減した(
図41)。シファリムマブは、筋炎患者由来の筋肉におけるI型IFNの下流経路を抑制し、標的の中和は、筋炎患者の筋機能(MMT8)の改善と相関した[10、11](
図42)。したがって、重要なことに、血中のI型IFN遺伝子シグネチャーの標的調節は、DM又はPM患者において疾患活性との相関的傾向を示した(
図40A)。更に、I型IFN遺伝子シグネチャーの標的抑制は、筋組織の重要な疾患関連シグナル伝達イベントの抑制と相関した(
図40B)。
【0246】
要約すると、コアIFNGSは筋炎患者中で上昇し、シファリムマブでの治療は、この遺伝子シグネチャーを中和する。したがって、IFNGSシグネチャーのデータは、IFN経路の活性化が、筋炎の場合ではSLEと類似する範囲内であることを妥当に示唆する。類似のIFN活性化が、SLE、DM、及びPMにわたり観察される(
図32)。更に、I型IFN受容体の遍在性のため、一般的な受容体の利用可能性は、筋炎の用量選択に対する最も重要な要因である。データは、複数の病態にわたり利用可能な類似のPF/PDが存在することを示す(例えば、SLEとSScとを比較する)。更に、研究06及び08から利用可能な皮下用量データは、筋炎における約120mg SC QWの用量の選択を支持する。アニフロルマブは、IFNARを介してI型IFNシグナル伝達を完全に抑制したが、シファリムマブはIFN-αの大部分のみを標的化する(
図43)。したがって、アニフロルマブは、SLEにおいて安全及び効果的であることが示されているものと類似の又は同じアニフロルマブ用量、すなわち300mg IV Q4W、又は105mg超及び150mg未満QWの等価のSC用量、特に120mgのSC QWで、筋炎患者におけるIFNGSに対してシファリムマブと類似の中和効果を有することが期待される。
【0247】
12.実施例8:注射装置
アニフロルマブは、プレフィルドシリンジ(PFS)(
図44A)又は自動注射器(AI)(
図44B)などの注射装置[1][9]によって投与される。
【0248】
12.1.自動注射器
アニフロルマブは、自動注射器[1]によって投与されてもよい。自動注射器は、分解立体図(
図45A)及び組立形態(
図45B)で示される。ラベル[4]は、自動注射器[1]の周囲に巻き付けられるか又はそれに貼付される(
図45C)。自動注射器は、自動注射器ハウジング[3]、キャップ及びキャップリムーバー[2]、並びに駆動ユニット[5]を有する。液体のアニフロルマブ製剤の単位用量[6]は、自動注射器ハウジング[3]内に含まれる。単位用量[6]は、視界窓[7]を通じて見ることができる。
【0249】
12.1.1.1.アクセサリ付きプレフィルドシリンジ
アニフロルマブは、アクセサリ付きプレフィルドシリンジ(APFS)[8]によって投与されてもよい。APFS[8]は、
図46Aにおける組立状態で、及び
図46Bにおける分解図で示される一次容器[9]内に含まれる単位用量のアニフロルマブ[6]を含む。一次容器[9]は、プランジャーストッパー[16]を有する。一次容器は、0.8mlの名目上の充填体積[17]を有するが、0.8mlより若干多いものを含んでもよい。一次容器[9]内の空間の残りは、気泡[18]によって占められる。気泡[18]は、3~5mm、任意選択的に、4mmのサイズを有してもよい。一次容器[9]は、規定されたストッパー位置[19]を有する。
【0250】
アクセサリ付きプレフィルドシリンジ(APFS)の一次容器[9]は、ニードルガード[12]、フィンガーフランジ[11]及びプランジャーロッド[13]を含む、PFSアセンブリ[8]内に提供される。ラベル[14]は、PFSアセンブリ[8]内の一次容器[9]とともに提供される。ラベル[14]は、シリンジ[9]周囲のラベル配置位置[15]に巻き付けられる。
【0251】
12.1.1.2.パッケージング
注射装置[1][8]は、キット[20]内に提供される(
図47)。ラベル[4][14]は、パッケージング中のAPFS又は自動注射器とともに提供される。ラベルは、注射装置[1],[8]の使用説明書を含む。パッケージングは、タンパーシールを含む。
【0252】
参考文献
本明細書及び/又は下記の参考文献で言及される全ての出版物は、参照により本明細書に組み込まれる。
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[29]J.Wenzel et al.,Clin.Exp.Dermatol.31,576(2006).
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[32]A.P.Liao et al.,Ann.Rheum.Dis.70,831(2011).
【配列表】
【外国語明細書】