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特開2024-102212ジッパーテープおよびジッパーテープ付き容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102212
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】ジッパーテープおよびジッパーテープ付き容器
(51)【国際特許分類】
   A44B 19/16 20060101AFI20240723BHJP
   B65D 33/25 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
A44B19/16
B65D33/25 A
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024074437
(22)【出願日】2024-05-01
(62)【分割の表示】P 2021522877の分割
【原出願日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】P 2019102598
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020029300
(32)【優先日】2020-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】500163366
【氏名又は名称】出光ユニテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉村 熙晟
(57)【要約】      (修正有)
【課題】生分解性樹脂組成物を用いてジッパーテープを形成した場合の形状安定性および係合強度を向上させることが可能なジッパーテープおよびジッパーテープ付き容器を提供することを目的とする。
【解決手段】1対の基部条片21A,21B、および1対の基部条片の互いに対向する面からそれぞれ突出し互いに係合可能な係合部22A,22Bを断面形状に含む長尺状のジッパーテープ20において、少なくとも係合部が、引張試験における降伏ひずみが3.4%以上である第1の生分解性樹脂組成物で形成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1対の基部条片、および前記1対の基部条片の互いに対向する面からそれぞれ突出し互いに係合可能な係合部を断面形状に含む長尺状のジッパーテープであって、
少なくとも前記係合部が、引張試験における降伏ひずみが3.4%以上である第1の生分解性樹脂組成物で形成されるジッパーテープ。
【請求項2】
前記第1の生分解性樹脂組成物は、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)(PBAT)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(カプロラクトン/ブチレンサクシネート)(PCLBS)、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)(PBSA)、ポリ(ブチレンサクシネート/カーボネート)(PEC)、ポリ(エチレンテレフタレート/サクシネート)(PETS)、ポリ(テトラメチレンアジペート/テレフタレート)(PTMAT)、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリビニルアルコール(PVA-H)、ポリグリコール酸(PGA)、およびポリ(ヒドロキシブチレート/ヒドロキシヘキサノエート)(PHBH)からなる群のうちの少なくとも1つ以上を含む、請求項1に記載のジッパーテープ。
【請求項3】
前記第1の生分解性樹脂組成物は、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)(PBAT)、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)(PBSA)からなる群のうちの少なくとも1つ以上を含む、請求項2に記載のジッパーテープ。
【請求項4】
前記第1の生分解性樹脂組成物は、ポリブチレンサクシネート(PBS)及び、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)(PBAT)を含む、請求項3に記載のジッパーテープ。
【請求項5】
前記第1の生分解性樹脂組成物において、ポリブチレンサクシネート(PBS)の含有量は50質量%以上99質量%以下であり、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)(PBAT)の含有量は1質量%以上50質量%以下である、請求項4に記載のジッパーテープ。
【請求項6】
前記第1の生分解性樹脂組成物は、可塑剤をさらに含む、請求項2から請求項5のいずれか1項に記載のジッパーテープ。
【請求項7】
前記引張試験における降伏ひずみが30%以下である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のジッパーテープ。
【請求項8】
前記1対の基部条片の互いに対向する面とは反対側の面が、前記第1の生分解性樹脂組成物とは異なる第2の生分解性樹脂組成物で形成される、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のジッパーテープ。
【請求項9】
前記第2の生分解性樹脂組成物は、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)(PBAT)、およびポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)(PBSA)の少なくともいずれかを含む、請求項8に記載のジッパーテープ。
【請求項10】
前記第2の生分解性樹脂組成物は、ポリブチレンサクシネート(PBS)またはポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)(PBSA)の少なくともいずれかを含む、請求項8に記載のジッパーテープ。
【請求項11】
前記第2の生分解性樹脂組成物において、ポリブチレンサクシネート(PBS)の含有量は90質量%以下であり、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)(PBSA)の含有量は10質量%以上100質量%以下である、請求項10に記載のジッパーテープ。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のジッパーテープと、
前記ジッパーテープが接合される容器本体と
を備えるジッパーテープ付き容器。
【請求項13】
前記容器本体は、袋体を形成する、請求項12に記載のジッパーテープ付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジッパーテープおよびジッパーテープ付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
環境負荷の観点から、生分解性材料で容器を形成する技術が知られている。例えば、特許文献1には、生分解性チャック袋におけるチャック用部品の製造方法であって、曲げ弾性率が150MPa~400MPaである脂肪族ポリエステル樹脂を主成分とする樹脂組成物を溶融し、チャック用部品形成用の開口部を有するダイから押出して凸部材及び凹部材からなるチャック用部品をそれぞれ形成させた後、速度40℃/秒~60℃/秒で冷却する製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4889285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、生分解性樹脂組成物を用いてジッパーテープを形成した場合の形状安定性および係合強度については、従来技術においてなおも改善の余地がある。
【0005】
そこで、本発明は、生分解性樹脂組成物を用いてジッパーテープを形成した場合の形状安定性および係合強度を向上させることが可能なジッパーテープおよびジッパーテープ付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある観点によれば、1対の基部条片、および1対の基部条片の互いに対向する面からそれぞれ突出し互いに係合可能な係合部を断面形状に含む長尺状のジッパーテープであって、少なくとも係合部が、引張試験における降伏ひずみが3.4%以上である第1の生分解性樹脂組成物で形成されるジッパーテープが提供される。
【0007】
本発明の別の観点によれば、上記記載のジッパーテープと、ジッパーテープが接合される容器本体とを備えるジッパーテープ付き容器が提供される。
【0008】
本発明によれば、生分解性樹脂組成物を用いてジッパーテープを形成した場合の形状安定性および係合強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態に係るジッパーテープ付き袋の平面図である。
図2図1に示すジッパーテープ付き袋のII-II線断面図である。
図3】本発明の第2の実施形態に係るジッパーテープ付き袋の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
なお、以下の説明において、樹脂組成物の成分の含有率は、別途記載がない限り樹脂組成物全体に対する質量%で表記する。また、樹脂組成物の主成分は、単層の樹脂組成物の全体、または多層の樹脂組成物の各層を形成する樹脂成分の中で、最も含有率が多い樹脂成分を意味する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係るジッパーテープ付き袋の平面図であり、図2図1に示すジッパーテープ付き袋のII-II線断面図である。図1および図2に示されるように、第1の実施形態に係るジッパーテープ付き袋1は、第1面11Aおよび第2面11Bを有する袋体を形成するフィルム10と、ジッパーテープ20とを含む。
【0013】
フィルム10は、本実施形態における容器本体であり、例えば単層または多層の熱可塑性樹脂で形成される。より具体的には、フィルム10は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、またはポリプロピレン(PP)で形成された層を含んでもよい。PPは、ホモポリプロピレン(HPP)、ランダムポリプロピレン(RPP)、またはブロックポリプロピレン(BPP)であってもよい。フィルム10が多層である場合、表基材に二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(OPET)、または二軸延伸ナイロン(ONy)を用いてもよい。また、フィルム10は、アルミニウム蒸着やアルミニウム箔の積層などによって形成された無機材料の層を含んでもよい。また、環境負荷の観点から、フィルム10についても生分解性樹脂組成物の単層または多層構造によって形成することが好ましい。シーラントとしては、各種生分解性樹脂組成物を使用してもよく、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)(PBSA)などを用いてもよい。表基材には紙(クラフト)やセロハンを使用してもよい。
【0014】
なお、本実施形態では、2枚のフィルム10がボトムシール部12およびサイドシール部13において互いに接合されることによって第1面11Aおよび第2面11Bを有する袋体を形成しているが、別の実施形態では、1枚のフィルム10がサイドシール部13に対応する部分で折り返されることによって第1面11Aおよび第2面11Bが形成されてもよい。あるいは、図1の例におけるボトムシール部12またはサイドシール部13に対応する部分でフィルム10が内側に折り込まれた部分、いわゆるガセットが形成されてもよい。この場合、ガセットは、フィルム10によって形成されてもよいし、フィルム10に接合された別のフィルムによって形成されてもよい。また、ジッパーテープ付き袋1は、底部にガセットが形成されることによって立てて置くことが可能なスタンディングパウチであってもよい。
【0015】
また、本実施形態では、ボトムシール部12およびサイドシール部13が形成される一方で、トップシール部が形成されないことによってジッパーテープ付き袋1の開口部14が形成されているが、別の実施形態では、ボトムシール部12およびサイドシール部13に加えてトップシール部が形成され、トップシール部とジッパーテープ20との間を切断することによって事後的にジッパーテープ付き袋1に開口部14を形成することが可能であってもよい。さらに別の実施形態では、ボトムシール部12が形成されない、すなわちジッパーテープ付き袋1がジッパーテープ20とは反対側で封止されていない状態で袋体が提供されてもよい。この場合、ボトムシール部12はジッパーテープ付き袋1に内容物を充填した後で形成される。これ以外にも、ジッパーテープが融着されるものであれば、公知の各種の構成の袋、および袋以外の容器にジッパーテープを接合して本発明の実施形態に係るジッパーテープ付き容器とすることが可能である。
【0016】
ジッパーテープ20は、図2に示されるように、フィルム10の第1面11Aおよび第2面11Bにそれぞれ接合される1対の基部条片21A,21Bと、基部条片21A,21Bの互いに対向する面からそれぞれ突出し互いに係合可能な係合部22A,22Bと断面形状に含む長尺状の部材である。図示された例において、係合部22Aは雄型の断面形状を有し、係合部22Bは雌型の断面形状を有し、これらの係合部22A,22Bが互いに係合することによってジッパーテープ20が閉じられ、ジッパーテープ付き袋1の開口部14が封止される。なお、雄型および雌型に限られず、爪状、鉤状、または瘤状などを組み合わせた公知の各種のジッパーテープの係合部の形状を、上記の例の係合部22A,22Bに適用することも可能である。また、図示された例では1対の係合部が配置されているが、複数対の係合部が配置されてもよい。
【0017】
本実施形態では、ジッパーテープ20の基部条片21A,21Bおよび係合部22A,22Bが、引張試験における降伏ひずみが3.4%以上である生分解性樹脂組成物で形成される。ここで、引張試験における降伏ひずみは、「JIS K 7161:2014 プラスチック-引張特性の求め方」に従って測定することができる。降伏ひずみは、4%以上が好ましく、5%以上がより好ましく、7%以上がさらに好ましく、10%以上がよりさらに好ましく、15%以上が特に好ましい。3.4%以上とすることで、塑性変形しない繰り返し使用に適するジッパーテープとなる。上限については特に定めはないが、通常30%程度である。基部条片21A,21Bおよび係合部22A,22Bを形成する生分解性樹脂組成物としては、有機資源等由来の樹脂及び、石油由来の樹脂等、生分解性を有する樹脂組成物を使用できる。これらの中でも、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)(PBAT)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(カプロラクトン/ブチレンサクシネート)(PCLBS)、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)(PBSA)、ポリ(ブチレンサクシネート/カーボネート)(PEC)、ポリ(エチレンテレフタレート/サクシネート)(PETS)、ポリ(テトラメチレンアジペート/テレフタレート)(PTMAT)、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリビニルアルコール(PVA-H)、ポリグリコール酸(PGA)、およびポリ(ヒドロキシブチレート/ヒドロキシヘキサノエート)(PHBH)からなる群のうちの少なくとも1つ以上を含むことが好ましく、PLA、PBS、PBAT、およびPBSAからなる群のうちの少なくとも1つ以上を含むことがより好ましく、PBS、PBAT、およびPBSAを含むことが好ましく、PBS及びPBATを含むことがさらに好ましく、PBS及びPBATからなることが特に好ましい。PBS及びPBATからなる場合であっても、スリップ剤、目ヤニ防止剤、酸化防止剤などの添加物や、不純物の含有は許容される。また、基部条片21A,21Bおよび係合部22A,22Bを形成する生分解性樹脂組成物は、可塑剤をさらに含んでもよい。可塑剤として、例えばグリセリン脂肪酸エステルを用いることができる。
【0018】
基部条片21A,21Bおよび係合部22A,22Bを形成する生分解性樹脂組成物が、PBS及びPBATを含む場合、またはPBS及びPBATからなる場合、PBSが50以上99%以下、PBATが1%以上50%以下であることが好ましく、PBSが60%以上90%以下、PBATが10%以上40%以下であることがより好ましく、PBSが60%以上80%以下、PBATが20%以上40%以下であることがさらに好ましい。
【0019】
本実施形態では、ジッパーテープ20の基部条片21A,21Bおよび係合部22A,22Bを上記のような生分解性樹脂組成物で形成することによって、環境負荷の低い生分解性樹脂組成物を用いつつ、特に係合部22A,22Bの形状安定性および係合強度を向上させることができる。
【0020】
なお、上記の例ではフィルム10を形成する樹脂組成物の成分について特に限定しなかったが、環境負荷の観点から、フィルム10についても生分解性樹脂組成物の単層または多層構造によって形成することが好ましい。この場合、ジッパーテープ20の基部条片21A,21Bに対向するフィルム10のシーラント層を形成する生分解性樹脂組成物の成分に応じて、基部条片21A,21Bのシール面、すなわち係合部22A,22Bとは反対側の面を形成する樹脂組成物の成分を例えば以下で説明するように調整することによって、ジッパーテープ20をフィルム10のシーラント層に良好に接着させることができる。
【0021】
より具体的には、例えば、ジッパーテープ20を形成する生分解性樹脂組成物がPBSを40%以上80%以下含む場合、フィルム10のシーラント層を形成する生分解性樹脂組成物がPLAまたはPBSのどちらを主成分とする場合にもジッパーテープ20をフィルム10に良好に接着させることができる。また、例えば、ジッパーテープ20を形成する生分解性樹脂組成物がPLAを40%以上含む場合、フィルム10のシーラント層を形成する生分解性樹脂組成物がPLAを主成分とする場合に良好な接着性を得ることができる。また、例えば、ジッパーテープ20を形成する生分解性樹脂組成物がPBSを20%以上含む場合、フィルム10のシーラント層を形成する生分解性樹脂組成物がPBSを主成分とする場合に良好な接着性を得ることができる。
【0022】
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態に係るジッパーテープ付き袋の断面図である。図3に示されるように、第2の実施形態に係るジッパーテープ付き袋2は、フィルム10と、ジッパーテープ30とを含む。なお、フィルム10の構成については、上記の第1の実施形態と同様であるため、以下では重複した説明を省略する。
【0023】
ジッパーテープ30は、フィルム10の第1面11Aおよび第2面11Bにそれぞれ接合される1対の基部条片のシール面を含む第2層312A,312Bと、基部条片のシール面とは反対側の面および係合部22A,22Bを含む第1層311A,311Bとを含む。係合部22A,22Bを含む第1層311A,311Bを形成する生分解性樹脂組成物(第1の樹脂組成物)は、特に限定されないが、例えば上記の第1の実施形態と同様に構成されてもよい。すなわち、第1層311A,311Bを形成する生分解性樹脂組成物は、引張試験における降伏ひずみが3.4%以上である生分解性樹脂組成物で形成される。降伏ひずみは、4%以上が好ましく、5%以上がより好ましく、7%以上がさらに好ましく、10%以上がよりさらに好ましく、15%以上が特に好ましい。3.4%以上とすることで、塑性変形しない繰り返し使用に適するジッパーテープとなる。上限については特に定めはないが、通常30%程度である。
【0024】
一方、本実施形態において、ジッパーテープ30の基部条片のシール面を含む第2層312A,312Bは、第1層311A,311Bを形成する生分解性樹脂組成物(第1の生分解性樹脂組成物)と同じでもよいが、成分が異なる生分解性樹脂組成物(第2の生分解性樹脂組成物)で形成されることが好ましい。第2の生分解性樹脂組成物の成分については特に限定されないが、例えば、PBS、PBAT、及びPBSAの少なくともいずれかを含むのが好ましい。なお、PBSを含む場合には、PBSを20%以上100%以下、好ましくはPBSを40%以上80%以下含んでもよい。あるいは、第2層312A,312Bを形成する第2の生分解性樹脂組成物は、他の生分解性樹脂、具体的には例えばPLAを主成分とするものであってもよい。
【0025】
第1層311A,311Bを形成する生分解性樹脂組成物(第1の生分解性樹脂組成物)が、PBS及びPBATを含む場合、またはPBS及びPBATからなる場合、第2層312A,312Bを形成する生分解性樹脂組成物(第2の生分解性樹脂組成物)の成分は、PBSを0~100%、PBSAを100~0%の範囲で、任意の割合とすることができる。PBSを0~90%、PBSAを100~10%の範囲で含有することが好ましい。
【0026】
第1層311A,311Bを形成する生分解性樹脂組成物(第1の生分解性樹脂組成物)が、PBS及びPBATを含む場合、またはPBS及びPBATからなる場合、第2層312A,312Bを形成する生分解性樹脂組成物(第2の生分解性樹脂組成物)の成分は、PBSを0~100%、PBATを100~0%の範囲で、任意の割合とすることができる。PBSを0~90%、PBATを100~10%の範囲で含有することが好ましい。
【0027】
第1層311A,311Bを形成する生分解性樹脂組成物(第1の生分解性樹脂組成物)が、PBS及びPBATを含む場合、またはPBS及びPBATからなる場合、第2層312A,312Bを形成する生分解性樹脂組成物(第2の生分解性樹脂組成物)の成分は、PBSAを0~100%、PBATを100~0%の範囲で、任意の割合とすることができる。PBSAを0~90%、PBATを100~10%の範囲で含有することが好ましい。
【0028】
第1層311A,311Bを形成する生分解性樹脂組成物(第1の生分解性樹脂組成物)が、PBS及びPBATを含む場合、またはPBS及びPBATからなる場合、第2層312A,312Bを形成する生分解性樹脂組成物(第2の生分解性樹脂組成物)の成分は、PBSを0~100%、PBSAを0~100%、PBATを100~0%の範囲で、任意の割合とすることができる。
【0029】
また、例えばフィルム10が生分解性樹脂組成物で形成される場合、以下で説明するようにジッパーテープ30のシール面を形成する樹脂組成物、すなわち上記の第2層312A,312Bを形成する生分解性樹脂組成物(第2の生分解性樹脂組成物)の成分を調節することによって、ジッパーテープ30を生分解性樹脂組成物(第3の生分解性樹脂組成物)で形成されるフィルム10のシーラント層に良好に接着させることができる。
【0030】
より具体的には、例えば、第2層312A,312Bを形成する生分解性樹脂組成物がPBSを40%以上80%以下含む場合、フィルム10のシーラント層を形成する生分解性樹脂組成物がPLAまたはPBSのどちらを主成分とする場合にもジッパーテープ30をフィルム10のシーラント層に良好に接着させることができる。また、例えば、第2層312A,312Bを形成する生分解性樹脂組成物がPLAを40%以上含む場合、フィルム10のシーラント層を形成する生分解性樹脂組成物がPLAを主成分とする場合に良好な接着性を得ることができる。また、例えば、第2層312A,312Bを形成する生分解性樹脂組成物がPBSを20%以上含む場合、フィルム10のシーラント層を形成する生分解性樹脂組成物がPBSを主成分とする場合に良好な接着性を得ることができる。
【0031】
また、例えば、第2層312A,312Bを形成する生分解性樹脂組成物がPBSAを含む場合、フィルム10のシーラント層を形成する生分解性樹脂組成物がPBSまたはPBSAの少なくとも一方を主成分とする場合にもジッパーテープ30をフィルム10のシーラント層に良好に接着させることができる。また、例えば、第2層312A,312Bを形成する生分解性樹脂組成物がPBSを含む場合、フィルム10のシーラント層を形成する生分解性樹脂組成物がPBSまたはPBSAの少なくとも一方を主成分とする場合に良好な接着性を得ることができる。また、例えば、第2層312A,312Bを形成する生分解性樹脂組成物がPBSAを10%以上100%以下含む場合、フィルム10のシーラント層を形成する生分解性樹脂組成物がPBSまたはPBSAの少なくとも一方を主成分とする場合にもジッパーテープ30をフィルム10のシーラント層により良好に接着させることができる。また、例えば、第2層312A,312Bを形成する生分解性樹脂組成物がPBSを0%以上90%以下含む場合、フィルム10のシーラント層を形成する生分解性樹脂組成物がPBSまたはPBSAの少なくとも一方を主成分とする場合により良好な接着性を得ることができる。また、例えば、第2層312A,312Bを形成する生分解性樹脂組成物がPBSAを10%以上100%以下、PBSを0%以上90%以下含む場合、フィルム10のシーラント層を形成する生分解性樹脂組成物がPBSまたはPBSAの少なくとも一方を主成分とする場合にもジッパーテープ30をフィルム10のシーラント層にさらに良好に接着させることができる。
【0032】
また、例えば、第2層312A,312Bを形成する生分解性樹脂組成物がPBSを0~100%、PBATを100~0%の範囲で、任意の割合で含む場合、好ましくはPBSを0%以上90%以下、PBATを10%以上100%以下含む場合、フィルム10のシーラント層を形成する生分解性樹脂組成物がPBSまたはPBSAの少なくとも一方を主成分とする場合にもジッパーテープ30をフィルム10のシーラント層に良好に接着させることができる。
【0033】
また、例えば、第2層312A,312Bを形成する生分解性樹脂組成物がPBSAを0~100%、PBATを100~0%の範囲で、任意の割合で含む場合、好ましくはPBSAを0%以上90%以下、PBATを10%以上100%以下含む場合、フィルム10のシーラント層を形成する生分解性樹脂組成物がPBSまたはPBSAの少なくとも一方を主成分とする場合にもジッパーテープ30をフィルム10のシーラント層に良好に接着させることができる。
【0034】
また、例えば、第2層312A,312Bを形成する生分解性樹脂組成物がPBSを0~100%、PBSAを0~100%、PBATを100~0%の範囲で含む場合、フィルム10のシーラント層を形成する生分解性樹脂組成物がPBSまたはPBSAの少なくとも一方を主成分とする場合にもジッパーテープ30をフィルム10のシーラント層に良好に接着させることができる。
【0035】
ジッパーテープ30は、例えば係合部22A,22Bを含む第1層311A,311Bを形成する第1の生分解性樹脂組成物と、基部条片のシール面を含む第2層312A,312Bを形成する第2の生分解性樹脂組成物とを共押出成形することによって形成される。なお、第1層311A,311Bと第2層312A,312Bとは必ずしも隣接していなくてもよく、第1層と第2層との間に1または複数の追加の層が形成されてもよい。この場合、基部条片は、上記で図示された例よりも多くの部分に分かれ、それぞれの部分が異なる生分解性樹脂組成物で形成される。
【0036】
本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、ジッパーテープ30の係合部22A,22Bの形状安定性および係合強度を向上させることができる。その一方で、基部条片のシール面を形成する生分解性樹脂組成物の成分を係合部22A,22Bを形成する生分解性樹脂組成物とは別に調整することによって、例えば基部条片とフィルム10との接合性を向上させることができる。また、第1および第2の生分解性樹脂組成物が共通の成分、例えばPBSを含むことによって、第1層311A,311Bと第2層312A,312Bとの間の接合性を良好に保つことができる。
【0037】
なお、第1の実施形態および第2の実施形態においては、意図しないジッパーテープの生分解が進行することを防ぐために、例えば製造されたジッパーテープを湿度が遮断できる形態で梱包することが好ましい。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アルミニウム(AL)、および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の積層体、アルミ蒸着PET(VMPET)、Kコートナイロンおよび直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の積層体、もしくは二軸延伸ポリプロピレン(OPP)および無延伸ポリプロピレン(CPP)を表面層および裏面層として含む積層体を用いた包装材料、または各種バリア包装を用いてジッパーテープを梱包してもよい。
また、第1の実施形態および第2の実施形態においては、梱包時に乾燥剤を同封することが好ましい。乾燥剤としては、例えばシリカゲルがあげられる。
また、第1の実施形態および第2の実施形態においては、ジッパーテープを落下させながら収納して梱包するいわゆるバラ仕様、および、ドラムに巻き付けて梱包するいわゆるドラム仕様の両方を適用することが可能であるが、ジッパーテープの剛性による折れを低減するためにはドラム仕様の方がより好ましい。
【実施例0038】
以下では、本発明の実施例について説明する。
【0039】
表1に、上記で第1の実施形態として説明したジッパーテープ20において、基部条片21A,21Bおよび係合部22A,22BをPBSおよびPLAまたはPBATを主成分とする生分解性樹脂組成物で形成した場合の、引張試験における降伏ひずみと形状安定性との関係を示す。形状安定性は、降伏ひずみが6.0%以上であり、かつ開封および再封止を100回繰り返した後に再封止が可能である場合に「A」、降伏ひずみが3.4%以上6.0%未満であり、かつ開封および再封止を100回繰り返した後に再封止が可能である場合に「B」、降伏ひずみが3.4%未満である、または開封および再封止を100回繰り返す前に再封止が不可能になった場合に「C」とした。ここで、降伏ひずみは、「JIS K 7161:2014 プラスチック-引張特性の求め方」に従って測定した。具体的には、ジッパーテープの基部条片から試験片を切り出し、JIS K 7161に適合する試験機(島津製作所製AGS-X 1kN)を用いて測定した。測定にあたり、断面積は試験片幅×厚みとし、引張速度は300mm/minとした。この結果、引張試験における降伏ひずみが3.4%以上である場合に、形状安定性が「B」以上となることが示された。なお、ジッパーテープとして使用する場合、形状安定性は「A」であることが好ましいが、用途によっては「B」でも活用できる。
なお、PBS、PLA、PBATは以下を用いた。
・PBS (融点:115℃(DSC法による)、曲げ弾性率:650MPa(ISO 178による))
・PLA (融点:160℃(DSC法による)、引張弾性率:4500MPa(ISO 527による))
・PBAT (融点:110~120℃(DSC法による)、引張弾性率:80MPa(ISO 527による))
【0040】
【表1】
【0041】
次に、表2に、上記で第2の実施形態として説明したジッパーテープ30において、基部条片のシール面を含む第2層312A,312Bを形成する生分解性樹脂組成物(第2の生分解性樹脂組成物)と、フィルム10のシーラント層を形成する生分解性樹脂組成物(第3の生分解性樹脂組成物)との間のシール強度を測定した結果を示す。具体的には、それぞれの樹脂組成物で形成した層を積層してシール時間1.0秒、シール圧力2.0MPa、シール温度180℃にてシールした評価サンプルについて、イマダ社製「デジタルフォースゲージ」を用いて、幅15mm当たりの層間のヒートシール強度(N/15mm)を測定した。なお、シール強度測定の際の引張速度は300mm/分とし、表2ではシール強度が20(N/15mm)以上の場合を「A」、20(N/15mm)未満の場合を「C」として示している。
・PBS (融点:115℃(DSC法による)、曲げ弾性率:650MPa(ISO 178による))
・PLA (融点:160℃(DSC法による)、引張弾性率:4500MPa(ISO 527による))
・PBAT (融点:110~120℃(DSC法による)、引張弾性率:80MPa(ISO 527による))
・PBSA (融点:84℃(DSC法による)、引張弾性率:250MPa(ISO 527による))
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
上記で表2に示した結果から、基部条片のシール面を形成する生分解性樹脂組成物がPBSを40%以上80%以下含む場合は、フィルム10のシーラント層を形成する生分解性樹脂組成物がPLAおよびPBSのどちらを主成分とする場合にも良好なシール強度が得られることが示された。また、基部条片のシール面を形成する生分解性樹脂組成物がPLAを40%以上含む場合は、フィルム10のシーラント層を形成する生分解性樹脂組成物がPLAを主成分とする場合に特に良好なシール強度が得られることが示された。また、基部条片のシール面を形成する生分解性樹脂組成物がPBSを20%以上含む場合は、フィルム10のシーラント層を形成する生分解性樹脂組成物がPBSを主成分とする場合に特に良好なシール強度が得られることが示された。
【0046】
また、上記で表3に示した結果から、基部条片のシール面を形成する生分解性樹脂組成物がPBSおよびPBSAの任意割合の混合物である場合、フィルム10のシーラント層を形成する生分解性樹脂組成物がPBSおよびPBSAのどちらを主成分とする場合にも良好なシール強度が得られることが示された。また、上記で表3に示した結果から、フィルム10のシーラント層を形成する生分解性樹脂組成物としてPBSとPBSAとを併用することにより、生分解性樹脂組成物がPBSのみである場合と比較し、より良好なシール強度が得られることが示された。
【0047】
また、上記で表4に示した結果から、基部条片のシール面を形成する生分解性樹脂組成物がPBSおよびPBATの任意割合の混合物である場合、上記表3に示した生分解性樹脂組成物がPBSのみである場合と同程度のシール強度が得られることが示された。
【0048】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はこれらの例に限定されない。本発明の属する技術の分野の当業者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0049】
1,2…ジッパーテープ付き袋、10…フィルム、12…ボトムシール部、13…サイドシール部、14…開口部、20,30…ジッパーテープ、21A,21B…基部条片、22A,22B…係合部、311A,311B…第1層、312A,312B…第2層。
図1
図2
図3