(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102250
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】パーキンソン病を処置するための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
A61K 35/545 20150101AFI20240723BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20240723BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240723BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240723BHJP
A61K 38/47 20060101ALI20240723BHJP
A61K 35/28 20150101ALI20240723BHJP
A61K 38/30 20060101ALI20240723BHJP
A61K 38/55 20060101ALI20240723BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20240723BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20240723BHJP
A61K 31/505 20060101ALI20240723BHJP
A61K 31/138 20060101ALI20240723BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240723BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20240723BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240723BHJP
C12N 15/867 20060101ALI20240723BHJP
C12N 15/864 20060101ALI20240723BHJP
C12N 15/863 20060101ALI20240723BHJP
C12N 15/861 20060101ALI20240723BHJP
C12N 15/86 20060101ALI20240723BHJP
C12N 15/56 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
A61K35/545
A61P25/16
A61P43/00 105
A61K48/00
A61K38/47
A61K35/28
A61K38/30
A61K38/55
A61K47/64
A61K31/5377
A61K31/505
A61K31/138
A61P43/00 121
C12N5/10
C12N15/09 110
C12N15/63 Z
C12N15/867 Z
C12N15/864 100Z
C12N15/864 Z
C12N15/863 Z
C12N15/861 Z
C12N15/86 Z
C12N15/56
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024075599
(22)【出願日】2024-05-08
(62)【分割の表示】P 2020571336の分割
【原出願日】2019-03-08
(31)【優先権主張番号】62/641,012
(32)【優先日】2018-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520346572
【氏名又は名称】アブロバイオ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メイソン,クリス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ティル,ニコ,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】クーパー,オリバー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】パーキンソン病を処置する方法、組成物およびキットを提供する。
【解決手段】グルコセレブロシダーゼ(GBA)を発現する多能性細胞またはGBA及び1つもしくは複数のM2促進物質を発現する多能性細胞を対象に投与することにより、パーキンソン病を有する、または発症するリスクのある対象を処置する方法が提供される。GBA及び1つまたは複数のM2促進物質を発現する多能性細胞などの、GBAを発現する多能性細胞を含む組成物も提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象におけるパーキンソン病を処置する方法であって、グルコセレブロシダーゼ(GBA)をコードする導入遺伝子を発現する多能性細胞の集団を含む組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記GBAが全長GBAである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記GBAがGBAの触媒ドメインである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記GBAが、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記GBAが、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記GBAが、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記GBAが、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記GBAが、配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記GBAが、配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記GBAが、配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記GBAが配列番号5のアミノ酸配列を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
GBAをコードする前記導入遺伝子が、配列番号6の核酸配列に対して少なくとも85%同一である核酸配列を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
GBAをコードする前記導入遺伝子が、配列番号6の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
GBAをコードする前記導入遺伝子が、配列番号6の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
GBAをコードする前記導入遺伝子が配列番号6の核酸配列を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
GBAをコードする前記導入遺伝子が、配列番号7の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
GBAをコードする前記導入遺伝子が、配列番号7の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
GBAをコードする前記導入遺伝子が、配列番号7の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
GBAをコードする前記導入遺伝子が配列番号7の核酸配列を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
GBAをコードする前記導入遺伝子が、配列番号11の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
GBAをコードする前記導入遺伝子が、配列番号11の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
GBAをコードする前記導入遺伝子が、配列番号11の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
GBAをコードする前記導入遺伝子が配列番号11の核酸配列を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記GBAがシグナルペプチドを含む、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記シグナルペプチドが、配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記シグナルペプチドが、配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記シグナルペプチドが、配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記シグナルペプチドが、配列番号16のアミノ酸配列を有する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記シグナルペプチドが、配列番号20の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有するポリヌクレオチドによりコードされる、請求項24~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記シグナルペプチドが、配列番号20の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有するポリヌクレオチドによりコードされる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記シグナルペプチドが、配列番号20の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有するポリヌクレオチドによりコードされる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記シグナルペプチドが、配列番号20の核酸配列を有するポリヌクレオチドによりコードされる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
GBAをコードする前記導入遺伝子が非分泌型GBAをコードする、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
非分泌型GBAをコードする前記導入遺伝子がシグナルペプチドを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記シグナルペプチドがGBAシグナルペプチドである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
GBAをコードする前記導入遺伝子が分泌型GBAをコードする、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
分泌型GBAをコードする前記導入遺伝子が分泌シグナルペプチドを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記分泌シグナルペプチドがアルファ-1アンチトリプシン分泌シグナルペプチドである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記分泌シグナルペプチドがインスリン様成長因子II(IGF-II)分泌シグナルペプチドである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
GBAをコードする前記導入遺伝子がGBA融合タンパク質をコードする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記GBA融合タンパク質が、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記GBA融合タンパク質が、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記GBA融合タンパク質が、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記GBA融合タンパク質が配列番号2のアミノ酸配列を有する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記GBA融合タンパク質が、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
前記GBA融合タンパク質が、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記GBA融合タンパク質が、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも約95%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記GBA融合タンパク質が配列番号3のアミノ酸配列を有する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記GBA融合タンパク質が、配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項40に記載の方法。
【請求項50】
前記GBA融合タンパク質が、配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記GBA融合タンパク質が、配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記GBA融合タンパク質が配列番号4のアミノ酸配列を有する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記GBA融合タンパク質をコードする導入遺伝子が、配列番号8の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、請求項40に記載の方法。
【請求項54】
前記GBA融合タンパク質をコードする導入遺伝子が、配列番号8の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記GBA融合タンパク質をコードする導入遺伝子が、配列番号8の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有する、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記GBA融合タンパク質をコードする導入遺伝子が、配列番号8の核酸配列を有する、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記GBA融合タンパク質をコードする導入遺伝子が、配列番号9の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、請求項40に記載の方法。
【請求項58】
前記GBA融合タンパク質をコードする導入遺伝子が、配列番号9の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記GBA融合タンパク質をコードする導入遺伝子が、配列番号9の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有する、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記GBA融合タンパク質をコードする導入遺伝子が配列番号9の核酸配列を有する、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記GBA融合タンパク質をコードする導入遺伝子が、配列番号10の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、請求項40に記載の方法。
【請求項62】
前記GBA融合タンパク質をコードする導入遺伝子が、配列番号10の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記GBA融合タンパク質をコードする導入遺伝子が、配列番号10の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有する、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記GBA融合タンパク質をコードする導入遺伝子が配列番号10の核酸配列を有する、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記GBA融合タンパク質がGBA及びグリコシル化非依存性リソソームターゲティング(GILT)タグを含む、請求項40~64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記GILTタグが、成熟ヒトIGF-IIのアミノ酸配列(配列番号12)と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を有し、かつインスリン受容体についての天然に存在するヒトIGF-IIの親和性と比較して、インスリン受容体についての結合親和性が低下しているヒトIGF-IIムテインを含み、その際、前記IGF-IIムテインが、フーリン切断に抵抗性があり、かつマンノース-6-リン酸非依存的な様式で前記ヒトカチオン非依存性マンノース-6-リン酸受容体に結合する、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記IGF-IIムテインが、配列番号12のアミノ酸30~40に対応する領域内に変異を含み、前記変異が少なくとも1つのフーリンプロテアーゼ切断部位を無効にする、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記変異がアミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記変異が、配列番号12のArg37またはArg40に対応する位置でのLysまたはAlaアミノ酸置換である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記変異が、配列番号12の31~40、32~40、33~40、34~40、30~39、31~39、32~39、34~37、33~39、35~39、36~39、37~40、34~40及びそれらの組み合わせからなる群から選択される位置に対応するアミノ酸残基の欠失または置換である、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記GILTタグが、配列番号13のアミノ酸配列と少なくとも約70%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項65~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記GILTタグが、配列番号13のアミノ酸配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記GILTタグが、配列番号13のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記GILTタグが、配列番号13のアミノ酸配列を有する、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記GILTタグが、配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項65~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
前記GILTタグが、配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記GILTタグが、配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記GILTタグが、配列番号14のアミノ酸配列を有する、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記GILTタグが、配列番号15のアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項65~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
前記GILTタグが、配列番号15のアミノ酸配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記GILTタグが、配列番号15のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記GILTタグが配列番号15のアミノ酸配列を有する、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記GILTタグが、配列番号17の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有するポリヌクレオチドによりコードされる、請求項65~82のいずれか1項に記載の方法。
【請求項84】
前記GILTタグが、配列番号17の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有するポリヌクレオチドによりコードされる、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記GILTタグが、配列番号17の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有するポリヌクレオチドによりコードされる、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記GILTタグが、配列番号17の核酸配列を有するポリヌクレオチドによりコードされる、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記GILTタグが、配列番号18の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有するポリヌクレオチドによりコードされる、請求項65~82のいずれか1項に記載の方法。
【請求項88】
前記GILTタグが、配列番号18の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有するポリヌクレオチドによりコードされる、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記GILTタグが、配列番号18の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有するポリヌクレオチドによりコードされる、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記GILTタグが、配列番号18の核酸配列を有するポリヌクレオチドによりコードされる、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記GILTタグが、配列番号19の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有するポリヌクレオチドによりコードされる、請求項65~82のいずれか1項に記載の方法。
【請求項92】
前記GILTタグが、配列番号19の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有するポリヌクレオチドによりコードされる、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記GILTタグが、配列番号19の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有するポリヌクレオチドによりコードされる、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記GILTタグが、配列番号19の核酸配列を有するポリヌクレオチドによりコードされる、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記GBA融合タンパク質が、アポリポタンパク質E(ApoE)の受容体結合(Rb)ドメインを含む、請求項40~94のいずれか1項に記載の方法。
【請求項96】
前記Rbドメインが、配列番号21の残基25~185、50~180、75~175、100~170、125~160、または130~150のアミノ酸配列を有するApoEの一部を含む、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記Rbドメインが、配列番号21の残基159~167のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有する領域を含む、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
GBAをコードする前記導入遺伝子が、3’-UTRにマイクロRNA(miRNA)ターゲティング配列をさらに含む、請求項1~97のいずれか1項に記載の方法。
【請求項99】
前記miRNAターゲティング配列がmiR-126ターゲティング配列である、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記分泌型GBAが、前記対象において血液脳関門(BBB)を透過する、請求項36~99のいずれか1項に記載の方法。
【請求項101】
前記パーキンソン病がGBA関連パーキンソン病である、請求項1~100のいずれか1項に記載の方法。
【請求項102】
前記多能性細胞がCD34+細胞である、請求項1~101のいずれか1項に記載の方法。
【請求項103】
前記CD34+細胞が胚性幹細胞である、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記CD34+細胞が人工多能性幹細胞である、請求項102に記載の方法。
【請求項105】
前記CD34+細胞が造血幹細胞である、請求項102に記載の方法。
【請求項106】
前記CD34+細胞が骨髄系前駆細胞である、請求項102に記載の方法。
【請求項107】
前記対象の内因性ミクログリアの集団を、前記組成物の投与前に除去しておく、請求項1~106のいずれか1項に記載の方法。
【請求項108】
前記組成物を前記対象に投与する前に、前記対象の内因性ミクログリアの集団を除去することを含む、請求項1~106のいずれか1項に記載の方法。
【請求項109】
前記ミクログリアを、ブスルファン、PLX3397、PLX647、PLX5622、トレオスルファン、及びクロドロネートリポソームからなる群から選択される薬剤を使用して、放射線療法、またはそれらの組み合わせにより除去する、請求項107または108に記載の方法。
【請求項110】
前記組成物を前記対象に全身投与する、請求項1~109のいずれか1項に記載の方法。
【請求項111】
前記組成物を前記対象に静脈内注射により投与する、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記組成物を前記対象の中枢神経系に直接投与する、請求項1~109のいずれか1項に記載の方法。
【請求項113】
前記組成物を、脳室内注射、定位注射、またはそれらの組み合わせにより前記対象に投与する、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記組成物を前記対象の骨髄に直接投与する、請求項1~109のいずれか1項に記載の方法。
【請求項115】
前記組成物を骨内注射により前記対象に投与する、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記組成物を、前記組成物を含む骨髄移植により前記対象に投与する、請求項1~109のいずれか1項に記載の方法。
【請求項117】
前記組成物を脳室内注射により前記対象に投与する、請求項1~109のいずれか1項に記載の方法。
【請求項118】
前記組成物を静脈内注射により前記対象に投与する、請求項1~109のいずれか1項に記載の方法。
【請求項119】
前記組成物を前記対象に、前記対象の中枢神経系への直接投与及び全身投与により投与する、請求項1~109のいずれか1項に記載の方法。
【請求項120】
前記組成物を前記対象に、脳室内注射及び静脈内注射により投与する、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
CD34+細胞の集団を前記対象に投与することをさらに含む、請求項1~120のいずれか1項に記載の方法。
【請求項122】
前記組成物の投与前に、前記CD34+細胞の集団を前記対象に投与する、請求項121に記載の方法。
【請求項123】
前記組成物の投与後に、前記CD34+細胞の集団を前記対象に投与する、請求項121に記載の方法。
【請求項124】
前記CD34+細胞を、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、造血幹細胞、及び骨髄性前駆細胞からなる群から選択する、請求項121~123のいずれか1項に記載の方法。
【請求項125】
前記CD34+細胞を、GBAをコードする導入遺伝子を発現するように改変していない、請求項121~124のいずれか1項に記載の方法。
【請求項126】
前記CD34+細胞を前記対象に全身投与する、請求項121~125のいずれか1項に記載の方法。
【請求項127】
前記CD34+細胞を前記対象に、静脈内注射により投与する、請求項126に記載の方法。
【請求項128】
前記対象への前記組成物の投与前に、内因性GBAを前記多能性細胞において破壊する、請求項1~127のいずれか1項に記載の方法。
【請求項129】
前記対象への前記組成物の投与前に、内因性GBAを前記対象において破壊する、請求項1~128のいずれか1項に記載の方法。
【請求項130】
前記対象への前記組成物の投与の前に、内因性GBAを前記対象においてニューロンの集団において破壊する、請求項129に記載の方法。
【請求項131】
前記内因性GBAを、前記多能性細胞を、前記多能性細胞中の内因性GBA核酸の切断を触媒するヌクレアーゼと接触させることにより破壊する、請求項128に記載の方法。
【請求項132】
前記ヌクレアーゼが、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)関連タンパク質である、請求項131に記載の方法。
【請求項133】
前記CRISPR関連タンパク質がCRISPR関連タンパク質9(Cas9)である、請求項132に記載の方法。
【請求項134】
前記ヌクレアーゼが転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、またはジンクフィンガーヌクレアーゼである、請求項131に記載の方法。
【請求項135】
前記内因性GBAを、阻害性RNA分子を前記多能性細胞、前記対象、または前記ニューロンの集団に投与することにより破壊する、請求項128~130のいずれか1項に記載の方法。
【請求項136】
前記阻害性RNA分子が短鎖干渉RNA、短鎖ヘアピンRNA、またはmiRNAである、請求項135に記載の方法。
【請求項137】
前記多能性細胞が、それぞれがM2促進物質をコードする1つまたは複数の導入遺伝子をさらに発現する、請求項1~136のいずれか1項に記載の方法。
【請求項138】
前記多能性細胞が、それぞれがM2促進物質をコードする2つの導入遺伝子を発現する、請求項1~136のいずれか1項に記載の方法。
【請求項139】
それぞれがM2促進物質をコードする前記1つまたは複数の導入遺伝子のうちの少なくとも1つが、インターロイキン-25(IL-25)、インターロイキン-4(IL-4)、インターロイキン-10(IL-10)、インターロイキン-13(IL-13)、及びトランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF-β)からなる群から選択されるサイトカインをコードする、請求項137または138に記載の方法。
【請求項140】
それぞれがM2促進物質をコードする前記1つまたは複数の導入遺伝子のうちの少なくとも1つがIL-25をコードする、請求項139に記載の方法。
【請求項141】
それぞれがM2促進物質をコードする前記1つまたは複数の導入遺伝子のうちの少なくとも1つが、グルココルチコイド受容体、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)、PPARγ、PPARβ/δ、エストロゲン受容体、核内受容体サブファミリー4グループAメンバー2(NR4A2)、リジンデメチラーゼ6B(KDM6B)、MSHホメオボックス3(MSX3)、配列類似性19を持つファミリー(ケモカイン(C-Cモチーフ)様)、メンバーA3(FAM19A3)、核因子NF-カッパB P50サブユニット(NF-κB P50)、マイクロRNA124(miR124)、マイクロRNA21(miR21)、及びマイクロRNA181c(miR181c)、C-X3-Cモチーフケモカインリガンド1(CX3CL1)、C-X3-Cモチーフケモカイン受容体1(CX3CR1)、CD200分子(CD200)、CD200受容体1(CD200R)、補体因子H(CFH)、白血球表面抗原CD47(CD47)、補体崩壊促進因子(CD55)、栄養膜白血球共通抗原(CD46)、接着Gタンパク質共役受容体E5(ADGRE5)、シグナル調節タンパク質アルファ(SIRPA)、及びシグレックからなる群から選択される作用物質をコードする、請求項137または138に記載の方法。
【請求項142】
前記多能性細胞が自家細胞である、請求項1~141のいずれか1項に記載の方法。
【請求項143】
前記多能性細胞が同種異系細胞である、請求項1~141のいずれか1項に記載の方法。
【請求項144】
前記多能性細胞を、前記GBAを発現するようにエクスビボで形質導入する、請求項1~141のいずれか1項に記載の方法。
【請求項145】
前記多能性細胞を、前記GBA及び前記1つまたは複数のM2促進物質を発現するようにエクスビボで形質導入する、請求項137~144のいずれか1項に記載の方法。
【請求項146】
前記多能性細胞を、アデノ随伴ウイルス(AAV)、アデノウイルス、パルボウイルス、コロナウイルス、ラブドウイルス、パラミクソウイルス、ピコルナウイルス、アルファウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、及びRetroviridae科ウイルスからなる群から選択されるウイルスベクターで形質導入する、請求項144または145に記載の方法。
【請求項147】
前記ウイルスベクターがRetroviridae科ウイルスベクターである、請求項146に記載の方法。
【請求項148】
前記Retroviridae科ウイルスベクターがレンチウイルスベクターである、請求項147に記載の方法。
【請求項149】
前記Retroviridae科ウイルスベクターがアルファレトロウイルスベクターである、請求項147に記載の方法。
【請求項150】
前記Retroviridae科ウイルスベクターがガンマレトロウイルスベクターである、請求項147に記載の方法。
【請求項151】
前記Retroviridae科ウイルスベクターが、中央ポリプリン路、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント、5’-LTR、HIVシグナル配列、HIV Psiシグナル5’-スプライス部位、デルタGAGエレメント、3’-スプライス部位、及び3’-自己不活性化LTRを含む、請求項147~150のいずれか1項に記載の方法。
【請求項152】
前記ウイルスベクターが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、及びAAVrh74からなる群から選択されるAAVである、請求項146に記載の方法。
【請求項153】
前記ウイルスベクターが偽型ウイルスベクターである、請求項146に記載の方法。
【請求項154】
前記偽型ウイルスベクターが、偽型AAV、偽型アデノウイルス、偽型パルボウイルス、偽型コロナウイルス、偽型ラブドウイルス、偽型パラミクソウイルス、偽型ピコルナウイルス、偽型アルファウイルス、偽型ヘルペスウイルス、偽型ポックスウイルス、及び偽型Retroviridae科ウイルスからなる群から選択される、請求項153に記載の方法。
【請求項155】
前記多能性細胞を、別個のモノシストロニック発現カセットから前記GBA及び前記1つまたは複数のM2促進物質を発現するように形質導入する、請求項144~154のいずれか1項に記載の方法。
【請求項156】
前記多能性細胞を、ポリシストロニック発現カセットから前記GBA及び前記1つまたは複数のM2促進物質を発現するように形質導入する、請求項144~154のいずれか1項に記載の方法。
【請求項157】
前記多能性細胞が単一のM2促進物質を発現し、かつ前記多能性細胞を、ビシストロニック発現カセットから前記GBA及び前記M2促進物質を発現するように形質導入する、請求項156に記載の方法。
【請求項158】
前記ポリシストロニック発現カセットが、前記GBAをコードするポリヌクレオチドと前記1つまたは複数のM2促進物質のうちの1つをコードするポリヌクレオチドとの間に位置する内部リボソーム進入部位(IRES)を含む、請求項156に記載の方法。
【請求項159】
前記ポリシストロニック発現カセットが、前記GBAをコードするポリヌクレオチドと前記1つまたは複数のM2促進物質のうちの1つをコードするポリヌクレオチドとの間に位置する口蹄疫ウイルス2A(FMDV2A)ポリヌクレオチドを含む、請求項156に記載の方法。
【請求項160】
前記多能性細胞が、単一のポリシストロニック発現カセットからGBA、第1のM2促進物質、及び第2のM2促進物質を発現し、かつ前記ポリシストロニック発現カセットが、前記GBAをコードするポリヌクレオチドと前記第1のM2促進物質をコードするポリヌクレオチドとの間に位置する第1のFMDV2Aポリヌクレオチドを含み、前記ポリシストロニック発現カセットが、前記第1のM2促進物質をコードするポリヌクレオチドと前記第2のM2促進物質をコードするポリヌクレオチドとの間に位置する第2のFMDV2Aポリヌクレオチドをさらに含む、請求項156に記載の方法。
【請求項161】
前記多能性細胞を、前記GBAを発現するようにエクスビボでトランスフェクトする、請求項1~143のいずれか1項に記載の方法。
【請求項162】
前記多能性細胞を、前記GBA及び前記1つまたは複数のM2促進物質を発現するようにエクスビボでトランスフェクトする、請求項137~144のいずれか1項に記載の方法。
【請求項163】
前記多能性細胞を、
a)カチオン性ポリマー、ジエチルアミノエチル-デキストラン、ポリエチレンイミン、カチオン性脂質、リポソーム、リン酸カルシウム、活性化デンドリマー、及び磁性ビーズからなる群から選択される作用物質;または
b)エレクトロポレーション、Nucleofection、スクイーズ-ポレーション、ソノポレーション、光学トランスフェクション、Magnetofection、及びインペールフェクションからなる群から選択される技術を使用してトランスフェクトする、請求項161または162に記載の方法。
【請求項164】
前記多能性細胞を、別個のモノシストロニック発現カセットから前記GBA及び前記1つまたは複数のM2促進物質を発現するようにエクスビボでトランスフェクトする、請求項162または163に記載の方法。
【請求項165】
前記モノシストロニック発現カセットを2つ以上の別個のプラスミド内に配置する、請求項164に記載の方法。
【請求項166】
前記モノシストロニック発現カセットを単一のプラスミド上に配置する、請求項164に記載の方法。
【請求項167】
前記多能性細胞を、ポリシストロニック発現カセットから前記GBA及び前記1つまたは複数のM2促進物質を発現するようにエクスビボでトランスフェクトする、請求項162または163に記載の方法。
【請求項168】
前記多能性細胞が単一のM2促進物質を発現し、かつ前記多能性細胞を、ビシストロニック発現カセットから前記GBA及び前記M2促進物質を発現するようにエクスビボでトランスフェクトする、請求項167に記載の方法。
【請求項169】
前記ポリシストロニック発現カセットが、前記GBAをコードするポリヌクレオチドと前記1つまたは複数のM2促進物質のうちの1つをコードするポリヌクレオチドとの間に位置するIRESを含む、請求項167に記載の方法。
【請求項170】
前記ポリシストロニック発現カセットが、前記GBAをコードするポリヌクレオチドと前記1つまたは複数のM2促進物質のうちの1つをコードするポリヌクレオチドとの間に位置するFMDV2Aポリヌクレオチドを含む、請求項167に記載の方法。
【請求項171】
前記多能性細胞が、単一のポリシストロニック発現カセットからGBA、第1のM2促進物質、及び第2のM2促進物質を発現し、かつ前記ポリシストロニック発現カセットが、前記GBAコードするポリヌクレオチドと前記第1のM2促進物質をコードするポリヌクレオチドとの間に位置する第1のFMDV2Aポリヌクレオチドを含み、かつ前記ポリシストロニック発現カセットが、前記第1のM2促進物質をコードするポリヌクレオチドと前記第2のM2促進物質をコードするポリヌクレオチドとの間に位置する第2のFMDV2Aポリヌクレオチドをさらに含む、請求項167に記載の方法。
【請求項172】
前記多能性細胞における前記GBAの発現及び/または前記1つまたは複数のM2促進物質の発現を、ユビキタスプロモーターを使用して駆動する、請求項137~171のいずれか1項に記載の方法。
【請求項173】
前記ユビキタスプロモーターを、伸長因子1-アルファ及びホスホグリセリン酸キナーゼ1からなる群から選択する、請求項172に記載の方法。
【請求項174】
前記多能性細胞における前記GBA及び/または前記の1つまたは複数のM2促進物質の発現を、組織特異的プロモーターを使用して駆動する、請求項137~171のいずれか1項に記載の方法。
【請求項175】
前記組織特異的プロモーターを、CD68分子、C-X3-Cモチーフケモカイン受容体1、インテグリンサブユニットアルファM、同種移植炎症因子1、プリン作動性受容体P2Y12、膜貫通タンパク質119、及びコロニー刺激因子1受容体からなる群から選択する、請求項174に記載の方法。
【請求項176】
GBAをコードする前記導入遺伝子を、タンパク質不安定化ドメインをコードする核酸に作動可能に連結させる、請求項1~175のいずれか1項に記載の方法。
【請求項177】
前記不安定化ドメインがFK506結合タンパク質1A(FKBP12)不安定化ドメインである、請求項176に記載の方法。
【請求項178】
前記FPBP12不安定化ドメインが、F15S、V24A、H25R、E60G、L106P、M66T、R71G、D100G、D100N、E102G、及びK105Iからなる群から選択されるFKBP12変異体である、請求項177に記載の方法。
【請求項179】
機能的GBAの発現を誘導するために十分な量でShield-1を前記対象に投与することをさらに含む、請求項177または178に記載の方法。
【請求項180】
前記不安定化ドメインが大腸菌ジヒドロ葉酸レダクターゼ(ecDHFR)不安定化ドメインである、請求項176に記載の方法。
【請求項181】
機能的GBAの発現を誘導するために十分な量でトリメトプリムを前記対象に投与することをさらに含む、請求項180に記載の方法。
【請求項182】
前記不安定化ドメインがヒトエストロゲン受容体リガンド結合ドメイン(ERLBD)不安定化ドメインである、請求項176に記載の方法。
【請求項183】
機能的GBAの発現を誘導するために十分な量でCMP8または4-ヒドロキシタモキシフェンを前記対象に投与することをさらに含む、請求項182に記載の方法。
【請求項184】
前記多能性細胞において前記1つまたは複数のM2促進物質のそれぞれをコードする1つまたは複数のポリヌクレオチドをタンパク質不安定化ドメインに作動可能に連結させる、請求項137~183のいずれか1項に記載の方法。
【請求項185】
前記不安定化ドメインがFKBP12不安定化ドメインである、請求項184に記載の方法。
【請求項186】
前記FPBP12不安定化ドメインが、F15S、V24A、H25R、E60G、L106P、M66T、R71G、D100G、D100N、E102G、及びK105Iからなる群から選択されるFKBP12変異体である、請求項185に記載の方法。
【請求項187】
機能的M2促進物質の発現を誘導するために十分な量でShield-1を前記対象に投与することをさらに含む、請求項185または186に記載の方法。
【請求項188】
前記不安定化ドメインがecDHFR不安定化ドメインである、請求項184に記載の方法。
【請求項189】
機能的M2促進物質の発現を誘導するために十分な量でトリメトプリムを前記対象に投与することをさらに含む、請求項188に記載の方法。
【請求項190】
前記不安定化ドメインがヒトERLBD不安定化ドメインである、請求項184に記載の方法。
【請求項191】
機能的M2促進物質の発現を誘導するために十分な量でCMP8または4-ヒドロキシタモキシフェンを前記対象に投与することをさらに含む、請求項190に記載の方法。
【請求項192】
前記組成物を、
a)前記対象の脳内のM1ミクログリアの量と比較して、前記対象の脳内のM2ミクログリアの量を増加させる;
b)前記対象の脳における1つまたは複数の炎症誘発性サイトカインのレベルを低下させる;
c)前記対象の脳内の1つまたは複数の抗炎症性サイトカインのレベルを上昇させる;
d)前記対象の認知能力を向上させる;
e)前記対象の運動機能を改善する;
f)前記対象のドーパミン作動性ニューロンの喪失を減少させる;及び/または
g)前記対象におけるα-シヌクレインレベルまたはその凝集を減少させるために十分な量で前記対象に投与する、請求項1~191のいずれか1項に記載の方法。
【請求項193】
前記対象がヒトである、請求項1~192のいずれか1項に記載の方法。
【請求項194】
(i)非分泌型GBAをコードする第1の導入遺伝子;及び(ii)それぞれがM2促進物質をコードする1つまたは複数の導入遺伝子を発現する多能性細胞の集団を含む組成物。
【請求項195】
(i)分泌型GBAをコードする第1の導入遺伝子;及び(ii)それぞれがM2促進物質をコードする1つまたは複数の導入遺伝子を発現する多能性細胞の集団を含む組成物。
【請求項196】
前記GBAが全長GBAである、請求項194または195に記載の組成物。
【請求項197】
前記GBAがGBAの触媒ドメインである、請求項194または195に記載の組成物。
【請求項198】
前記GBAが、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項194~197のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項199】
前記GBAが、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項198に記載の組成物。
【請求項200】
前記GBAが、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項199に記載の組成物。
【請求項201】
前記GBAが、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項200に記載の組成物。
【請求項202】
前記GBAが、配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項195~197のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項203】
前記GBAが、配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項202に記載の組成物。
【請求項204】
前記GBAが、配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項203に記載の組成物。
【請求項205】
前記GBAが配列番号5のアミノ酸配列を有する、請求項204に記載の組成物。
【請求項206】
前記導入遺伝子が、配列番号6の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチドをコードする、請求項194~197のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項207】
前記導入遺伝子が、配列番号6の核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドをコードする、請求項206に記載の組成物。
【請求項208】
前記導入遺伝子が、配列番号6の核酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドをコードする、請求項207に記載の組成物。
【請求項209】
前記導入遺伝子が、配列番号6の核酸配列を有するポリヌクレオチドをコードする、請求項208に記載の組成物。
【請求項210】
前記導入遺伝子が、配列番号7の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチドをコードする、請求項194~197のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項211】
前記導入遺伝子が、配列番号7の核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドをコードする、請求項210に記載の組成物。
【請求項212】
前記導入遺伝子が、配列番号7の核酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドをコードする、請求項211に記載の組成物。
【請求項213】
前記導入遺伝子が、配列番号7の核酸配列を有するポリヌクレオチドをコードする、請求項212に記載の組成物。
【請求項214】
前記導入遺伝子が、配列番号11の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチドをコードする、請求項195~197のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項215】
前記導入遺伝子が、配列番号11の核酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドをコードする、請求項214に記載の組成物。
【請求項216】
前記導入遺伝子が、配列番号11の核酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドをコードする、請求項215に記載の組成物。
【請求項217】
前記導入遺伝子が配列番号11の核酸配列を有するポリヌクレオチドをコードする、請求項216に記載の組成物。
【請求項218】
前記GBAがシグナルペプチドを含む、請求項195~197のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項219】
前記シグナルペプチドが、配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項218に記載の組成物。
【請求項220】
前記シグナルペプチドが、配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項219に記載の組成物。
【請求項221】
前記シグナルペプチドが、配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項220に記載の組成物。
【請求項222】
前記シグナルペプチドが配列番号16のアミノ酸を有する、請求項221に記載の組成物。
【請求項223】
前記シグナルペプチドが、配列番号20の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有するポリヌクレオチドによりコードされる、請求項195~197のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項224】
前記シグナルペプチドが、配列番号20の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有するポリヌクレオチドによりコードされる、請求項223に記載の組成物。
【請求項225】
前記シグナルペプチドが、配列番号20の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有するポリヌクレオチドによりコードされる、請求項224に記載の組成物。
【請求項226】
前記シグナルペプチドが、配列番号20の核酸を有するポリヌクレオチドによりコードされる、請求項225に記載の組成物。
【請求項227】
分泌型GBAをコードする前記導入遺伝子が分泌シグナルペプチドを含む、請求項195に記載の組成物。
【請求項228】
前記シグナルペプチドがGBAシグナルペプチドである、請求項227に記載の組成物。
【請求項229】
前記分泌シグナルペプチドがアルファ-1アンチトリプシン分泌シグナルペプチドである、請求項227に記載の方法。
【請求項230】
前記分泌シグナルペプチドがインスリン様成長因子II(IGF-II)分泌シグナルペプチドである、請求項227に記載の組成物。
【請求項231】
前記導入遺伝子がGBA融合タンパク質をコードする、請求項195~230のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項232】
前記GBA融合タンパク質が、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項231に記載の組成物。
【請求項233】
前記GBA融合タンパク質が、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項232に記載の組成物。
【請求項234】
前記GBA融合タンパク質が、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項233に記載の組成物。
【請求項235】
前記GBA融合タンパク質が配列番号2のアミノ酸配列を有する、請求項234に記載の組成物。
【請求項236】
前記GBA融合タンパク質が、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項231に記載の組成物。
【請求項237】
前記GBA融合タンパク質が、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項236に記載の組成物。
【請求項238】
前記GBA融合タンパク質が、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項237に記載の組成物。
【請求項239】
前記GBA融合タンパク質が配列番号3のアミノ酸配列を有する、請求項238に記載の組成物。
【請求項240】
前記GBA融合タンパク質が、配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項231に記載の組成物。
【請求項241】
前記GBA融合タンパク質が、配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項240に記載の組成物。
【請求項242】
前記GBA融合タンパク質が、配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項241に記載の組成物。
【請求項243】
前記GBA融合タンパク質が配列番号4のアミノ酸配列を有する、請求項242に記載の組成物。
【請求項244】
前記GBA融合タンパク質をコードする導入遺伝子が、配列番号8の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、請求項231に記載の組成物。
【請求項245】
前記GBA融合タンパク質をコードする導入遺伝子が、配列番号8の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、請求項244に記載の組成物。
【請求項246】
前記GBA融合タンパク質をコードする導入遺伝子が、配列番号8の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有する、請求項245に記載の組成物。
【請求項247】
前記GBA融合タンパク質をコードする導入遺伝子が配列番号8の核酸配列を有する、請求項246に記載の組成物。
【請求項248】
前記GBA融合タンパク質をコードする導入遺伝子が、配列番号9の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、請求項231に記載の組成物。
【請求項249】
前記GBA融合タンパク質をコードする導入遺伝子が、配列番号9の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、請求項248に記載の組成物。
【請求項250】
前記GBA融合タンパク質をコードする導入遺伝子が、配列番号9の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有する、請求項249に記載の組成物。
【請求項251】
前記GBA融合タンパク質をコードする導入遺伝子が配列番号9の核酸配列を有する、請求項250に記載の組成物。
【請求項252】
前記GBA融合タンパク質をコードする導入遺伝子が、配列番号10の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、請求項231に記載の組成物。
【請求項253】
前記GBA融合タンパク質をコードする導入遺伝子が、配列番号10の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、請求項252に記載の組成物。
【請求項254】
前記GBA融合タンパク質をコードする導入遺伝子が、配列番号10の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有する、請求項253に記載の組成物。
【請求項255】
前記GBA融合タンパク質をコードする導入遺伝子が配列番号10の核酸配列を有する、請求項254に記載の組成物。
【請求項256】
前記GBA融合タンパク質がGBA及びグリコシル化非依存性リソソームターゲティング(GILT)タグを含む、請求項231~255のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項257】
前記GILTタグが、成熟ヒトIGF-IIのアミノ酸配列(配列番号12)と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を有し、かつインスリン受容体についての天然に存在するヒトIGF-IIの親和性と比較して、インスリン受容体についての結合親和性が低下しているヒトIGF-IIムテインを含み、その際、前記IGF-IIムテインが、フーリン切断に抵抗性があり、かつマンノース-6-リン酸非依存的な様式で前記ヒトカチオン非依存性マンノース-6-リン酸受容体に結合する、請求項256に記載の組成物。
【請求項258】
前記IGF-IIムテインが、配列番号12のアミノ酸30~40に対応する領域内に変異を含み、この際、前記変異が少なくとも1つのフーリンプロテアーゼ切断部位を無効にする、請求項257に記載の組成物。
【請求項259】
前記変異がアミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入である、請求項258に記載の組成物。
【請求項260】
前記変異が、配列番号12のArg37またはArg40に対応する位置でのLysまたはAlaアミノ酸置換である、請求項259に記載の組成物。
【請求項261】
前記変異が、配列番号12の31~40、32~40、33~40、34~40、30~39、31~39、32~39、34~37、33~39、35~39、36~39、37~40、34~40及びそれらの組み合わせからなる群から選択される位置に対応するアミノ酸残基の欠失または置換である、請求項260に記載の組成物。
【請求項262】
前記GILTタグが、配列番号13のアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項256~261のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項263】
前記GILTタグが、配列番号13のアミノ酸配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項262に記載の組成物。
【請求項264】
前記GILTタグが、配列番号13のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項263に記載の組成物。
【請求項265】
前記GILTタグが配列番号13のアミノ酸配列を有する、請求項264に記載の組成物。
【請求項266】
前記GILTタグが、配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項256~261のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項267】
前記GILTタグが、配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項266に記載の組成物。
【請求項268】
前記GILTタグが、配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項267に記載の組成物。
【請求項269】
前記GILTタグが配列番号14のアミノ酸配列を有する、請求項268に記載の組成物。
【請求項270】
前記GILTタグが、配列番号15のアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項256~261のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項271】
前記GILTタグが、配列番号15のアミノ酸配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項270に記載の組成物。
【請求項272】
前記GILTタグが、配列番号15のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項271に記載の組成物。
【請求項273】
前記GILTタグが配列番号15のアミノ酸配列を有する、請求項272に記載の組成物。
【請求項274】
前記GILTタグが、配列番号17の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有するポリヌクレオチドによりコードされる、請求項256~273のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項275】
前記GILTタグが、配列番号17の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有するポリヌクレオチドによりコードされる、請求項274に記載の組成物。
【請求項276】
前記GILTタグが、配列番号17の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有するポリヌクレオチドによりコードされる、請求項275に記載の組成物。
【請求項277】
前記GILTタグが、配列番号17の核酸配列を有するポリヌクレオチドによりコードされる、請求項276に記載の組成物。
【請求項278】
前記GILTタグが、配列番号18の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有するポリヌクレオチドによりコードされる、請求項256~273のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項279】
前記GILTタグが、配列番号18の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有するポリヌクレオチドによりコードされる、請求項278に記載の組成物。
【請求項280】
前記GILTタグが、配列番号18の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有するポリヌクレオチドによりコードされる、請求項279に記載の組成物。
【請求項281】
前記GILTタグが、配列番号18の核酸配列を有するポリヌクレオチドによりコードされる、請求項280に記載の組成物。
【請求項282】
前記GILTタグが、配列番号19の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有するポリヌクレオチドによりコードされる、請求項256~273のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項283】
前記GILTタグが、配列番号19の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有するポリヌクレオチドによりコードされる、請求項282に記載の組成物。
【請求項284】
前記GILTタグが、配列番号19の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有するポリヌクレオチドによりコードされる、請求項283に記載の組成物。
【請求項285】
前記GILTタグが、配列番号19の核酸配列を有するポリヌクレオチドによりコードされる、請求項284に記載の組成物。
【請求項286】
前記GBA融合タンパク質が、アポリポタンパク質E(ApoE)の受容体結合(Rb)ドメインを含む、請求項194~285のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項287】
前記Rbドメインが、配列番号21の残基25~185、50~180、75~175、100~170、125~160、または130~150のアミノ酸配列を有するApoEの一部を含む、請求項286記載の組成物。
【請求項288】
前記Rbドメインが、配列番号21の残基159~167のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有する領域を含む、請求項286に記載の組成物。
【請求項289】
GBAをコードする前記導入遺伝子が3’-UTRにマイクロRNA(miRNA)ターゲティング配列をさらに含む、請求項194~288のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項290】
前記miRNAターゲティング配列がmiR-126ターゲティング配列である、請求項289に記載の組成物。
【請求項291】
前記多能性細胞がCD34+細胞である、請求項194または195に記載の組成物。
【請求項292】
前記CD34+細胞が胚性幹細胞である、請求項291に記載の組成物。
【請求項293】
前記CD34+細胞が人工多能性幹細胞である、請求項291に記載の組成物。
【請求項294】
前記CD34+細胞が造血幹細胞である、請求項291に記載の組成物。
【請求項295】
前記CD34+細胞が骨髄性前駆細胞である、請求項291に記載の組成物。
【請求項296】
それぞれがM2促進物質をコードする前記1つまたは複数の導入遺伝子のうちの少なくとも1つが、IL-25、IL-4、IL-10、IL-13、及びTGF-βからなる群から選択されるサイトカインをコードする、請求項194~295のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項297】
それぞれがM2促進物質をコードする前記1つまたは複数の導入遺伝子のうちの少なくとも1つがIL-25をコードする、請求項296に記載の組成物。
【請求項298】
それぞれがM2促進物質をコードする前記1つまたは複数の導入遺伝子のうちの少なくとも1つが、グルココルチコイド受容体、PPAR、PPARγ、PPARβ/δ、エストロゲン受容体、NR4A2、KDM6B、MSX3、FAM19A3、NF-κBp50、miR124、miR21、及びmiR181c、CX3CL1、CX3CR1、CD200、CD200R、CFH、CD47、CD55、CD46、ADGRE5、SIRPα、及びシグレックからなる群から選択される作用物質をコードする、請求項194~297のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項299】
前記多能性細胞が、前記GBA及び前記1つまたは複数のM2促進物質を発現するようにエクスビボで形質導入されている、請求項194~298のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項300】
前記多能性細胞が、前記GBA及び前記1つまたは複数のM2促進物質を発現するようにエクスビボでトランスフェクトされている、請求項194~298のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項301】
内因性GBAが前記多能性細胞において破壊されている、請求項194~300のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項302】
請求項194~301のいずれか1項に記載の組成物及び添付文書を含むキット。
【請求項303】
前記添付文書が、前記キットのユーザーに請求項1~193のいずれか1項に記載の方法を実行するように指示する、請求項302に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2019年3月8日に作成された前記ASCIIコピーの名称は51182-007WO2_Sequence Listing_3.8.19_ST25であり、サイズは49,962バイトである。
【0002】
本発明は、パーキンソン病を処置するための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
パーキンソン病(PD)は、運動に影響を及ぼし、安静時振戦、硬直、運動緩慢などの症状をもたらす神経系の進行性障害である。パーキンソン病に罹患している患者は、うつ病、便秘、疼痛、睡眠障害、認知機能低下、及び嗅覚機能障害を含む非運動症状も経験し得る。PD患者の脳の死後分析では多くの場合に、罹患した脳領域におけるα-シヌクレインを含むレビー小体と、黒質緻密部におけるドーパミン作動性ニューロンの喪失とが明らかになる。PDの現在の処置は主に、ドーパミンレベルの上昇に焦点を当てている。PDを処置するための改善された治療モダリティーが必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、グルコセレブロシダーゼ(GBA)を発現する、とりわけCD34+細胞及び造血幹細胞などの多能性細胞を使用してパーキンソン病を処置するための方法を提供する。前記細胞を、とりわけ患者の中枢神経系に直接的(例えば、脳室内投与により)、または全身的(例えば、静脈内投与により)を含めて、様々な経路の1つまたは複数によりパーキンソン病を有する患者に投与することができる。前記細胞は、M2促進物質をコードする導入遺伝子などの1つまたは複数の追加の導入遺伝子をさらに発現してもよい。本発明はまた、そのような多能性細胞を含む組成物、さらにはパーキンソン病を処置するための、これらの細胞を含むキットを特徴とする。
【0005】
第1の態様では、本発明は、GBAをコードする導入遺伝子を発現する多能性細胞の集団を含む組成物を対象に投与することにより、対象においてパーキンソン病を処置する方法を提供する。一部の実施形態では、GBAは、配列番号1のアミノ酸配列を有するGBAなどの全長GBAまたはそれに対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、配列番号1に対して85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性)を有するそのバリアントである。一部の実施形態では、GBAは成熟GBAタンパク質である。一部の実施形態では、GBAは、配列番号1の触媒ドメインなどのGBAの触媒ドメイン(例えば、配列番号1の残基76~381及び416~430を含む触媒ドメイン)である。
【0006】
一部の実施形態では、GBAをコードする導入遺伝子は、野生型ヒトGBA(配列番号1)をコードするポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、GBAをコードする導入遺伝子は、配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチドに対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、GBAをコードする導入遺伝子は、配列番号1の配列を有するポリペプチドと比較して、1つまたは複数の保存的アミノ酸置換などの1つまたは複数のアミノ酸置換(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10以上の保存的アミノ酸置換など、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10以上のアミノ酸置換)を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、GBAをコードする導入遺伝子は、配列番号6の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、GBAをコードする導入遺伝子は、配列番号7の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するコドン最適化ポリヌクレオチドを含む。
【0007】
一部の実施形態では、GBAをコードする導入遺伝子は、非分泌型GBAをコードする。一部の実施形態では、非分泌型GBAをコードする導入遺伝子は、コドン最適化されている。一部の実施形態では、分泌型GBAをコードする導入遺伝子は、GBAシグナルペプチド(例えば、39アミノ酸のGBAシグナルペプチド)などのシグナルペプチドを含む。一部の実施形態では、分泌型GBAをコードする導入遺伝子は、改変シグナルペプチドを含む。一部の実施形態では、改変シグナルペプチドを含むGBAは、配列番号5のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、改変シグナルペプチドを含む分泌型GBAをコードする導入遺伝子は、配列番号11の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性)を有する核酸配列を有する。一部の実施形態では、改変シグナルペプチドは、配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、改変シグナルペプチドは、配列番号20の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性)を有するポリヌクレオチドによりコードされる。
【0008】
一部の実施形態では、GBAをコードする導入遺伝子は、分泌型GBAをコードする。一部の実施形態では、分泌型GBAをコードする導入遺伝子は、コドン最適化されている。一部の実施形態では、分泌型GBAをコードする導入遺伝子は、分泌シグナルペプチドを含む。一部の実施形態では、分泌シグナルペプチドは、GBA分泌シグナルペプチドである。一部の実施形態では、分泌シグナルペプチドは、アルファ-1アンチトリプシン分泌シグナルペプチドである。一部の実施形態では、分泌シグナルペプチドは、インスリン様成長因子II(IGF-II)分泌シグナルペプチドである。
【0009】
一部の実施形態では、GBAは、GBA融合タンパク質である。一部の実施形態では、GBAをコードする導入遺伝子は、GBA融合タンパク質をコードする。一部の実施形態では、GBA融合タンパク質は、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、GBA融合タンパク質は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、GBA融合タンパク質は、配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、GBA融合タンパク質をコードする導入遺伝子は、配列番号8の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性)を有する核酸配列を有する。一部の実施形態では、GBA融合タンパク質をコードする導入遺伝子は、配列番号9の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性)を有する核酸配列を有する。一部の実施形態において、GBA融合タンパク質をコードする導入遺伝子は、配列番号10の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性)を有する核酸配列を有する。一部の実施形態では、GBA融合タンパク質は、GBA及びグリコシル化非依存性リソソームターゲティング(GILT)タグを含む。一部の実施形態では、GILTタグを、GBAのN末端に作動可能に連結させる。一部の実施形態では、GILTタグを、GBAのC末端に作動可能に連結させる。一部の実施形態では、GILTタグは、成熟ヒトIGF-IIのアミノ酸配列(配列番号12)と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を有するヒトIGF-IIムテインを含む。ムテインは、インスリン受容体についての天然に存在するヒトIGF-IIの親和性と比較して、インスリン受容体についての結合親和性が低下していてもよく、及び/またはフーリン切断に対して抵抗性があってもよい。ムテインは、マンノース-6-リン酸非依存的な様式で、ヒトカチオン非依存性マンノース-6-リン酸受容体に結合してよい。一部の実施形態では、IGF-IIムテインは、配列番号12のアミノ酸30~40に対応する領域内に変異を含み、その際、その変異は少なくとも1つのフーリンプロテアーゼ切断部位を無効にする。一部の実施形態では、変異は、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入である。一部の実施形態では、変異は、配列番号12のArg37またはArg40に対応する位置でのLysまたはAlaアミノ酸置換である。一部の実施形態では、変異は、配列番号12の31~40、32~40、33~40、34~40、30~39、31~39、32~39、34~37、33~39、35~39、36~39、37~40、34~40及びそれらの組み合わせからなる群から選択される位置に対応するアミノ酸残基の欠失または置換である。一部の実施形態では、GILTタグは、配列番号13のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、GILTタグは、配列番号14のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、GILTタグは、配列番号15のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、GILTタグは、配列番号17の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有する核酸配列を有する。一部の実施形態では、GILTタグは、配列番号18の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有する核酸配列を有する。一部の実施形態では、GILTタグは、配列番号19の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有する核酸配列を有する。
【0010】
一部の実施形態では、GBA融合タンパク質は、アポリポタンパク質E(ApoE)の低密度リポタンパク質受容体ファミリー(LDLRf)結合(Rb)ドメイン、またはその断片、バリアント、もしくはオリゴマーを含む。一部の実施形態では、ApoEのRbドメイン、またはその断片、バリアント、もしくはオリゴマーを、GBAのN末端に作動可能に連結させる。一部の実施形態では、ApoEのRbドメイン、またはその断片、バリアント、もしくはオリゴマーを、GBAのC末端に作動可能に連結させる。一部の実施形態では、分泌型GBA融合タンパク質は、ApoEのRbドメインの1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)のオリゴマーを含む。一部の実施形態では、Rbドメインは、配列番号21の残基25~185に対して少なくとも70%の配列同一性(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するApoEの領域を含む。一部の実施形態では、Rbドメインは、配列番号21の残基50~180に対して少なくとも70%の配列同一性(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するApoEの領域を含む。一部の実施形態では、Rbドメインは、配列番号21の残基75~175に対して少なくとも70%の配列同一性(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するApoEの領域を含む。一部の実施形態では、Rbドメインは、配列番号21の残基100~170に対して少なくとも70%の配列同一性(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するApoEの領域を含む。一部の実施形態では、Rbドメインは、配列番号21の残基125~160に対して少なくとも70%の配列同一性(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するApoEの領域を含む。一部の実施形態では、Rbドメインは、配列番号21の残基130~150に対して少なくとも70%の配列同一性(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するApoEの領域を含む。一部の実施形態では、Rbドメインは、配列番号21の残基148~173もしくは残基159~167を含むその一部に対して少なくとも70%の配列同一性(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するApoEの領域、または配列番号21の残基159~167に対して少なくとも70%の配列同一性(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するバリアントを含む。一部の実施形態では、Rbドメインは、配列番号21の残基159~167のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有する領域を含む。
【0011】
一部の実施形態では、GBAをコードする導入遺伝子は、マイクロRNA(miRNA)ターゲティング配列(例えば、miR-126ターゲティング配列)をさらに含む。一部の実施形態では、miRNAターゲティング配列(例えば、miR-126ターゲティング配列)は、導入遺伝子の3’-UTR内に配置される。
【0012】
一部の実施形態では、分泌型GBAは、対象の血液脳関門(BBB)を透過する。
【0013】
一部の実施形態では、パーキンソン病はGBA関連パーキンソン病である。
【0014】
一部の実施形態では、多能性細胞はCD34+細胞である。一部の実施形態では、CD34+細胞は胚性幹細胞である。一部の実施形態では、CD34+細胞は人工多能性幹細胞である。一部の実施形態では、CD34+細胞は造血幹細胞である。一部の実施形態では、CD34+細胞は骨髄系前駆細胞である。
【0015】
一部の実施形態では、対象への組成物の投与前に、対象の内因性ミクログリアの集団を除去する。一部の実施形態では、前記方法は、組成物を対象に投与する前に、対象の内因性ミクログリアの集団を除去することを含む。一部の実施形態では、ミクログリアを、ブスルファン、PLX3397、PLX647、PLX5622、トレオスルファン、及びクロドロネートリポソームからなる群から選択される薬剤を使用して、放射線療法またはそれらの組み合わせにより除去する。
【0016】
一部の実施形態では、前記組成物を対象に全身投与する。一部の実施形態では、前記組成物を、静脈内注射により対象に投与する。一部の実施形態では、前記組成物を、対象の中枢神経系に直接投与する。一部の実施形態では、脳室内注射、定位注射、またはそれらの組み合わせにより対象に投与する。
【0017】
一部の実施形態では、前記組成物を、対象の骨髄に直接投与する。一部の実施形態では、前記組成物を、骨内注射により投与する。
【0018】
一部の実施形態では、前記組成物を、骨髄移植により対象に投与する。一部の実施形態では、組成物を、脳室内注射により対象に投与する。一部の実施形態では、前記組成物を、静脈内注射により対象に投与する。
【0019】
一部の実施形態では、前記組成物を、対象の中枢神経系への直接投与及び全身投与により対象に投与する。一部の実施形態では、前記組成物を、脳室内注射及び静脈内注射により対象に投与する。
【0020】
一部の実施形態では、前記方法は、CD34+細胞の集団を対象に投与することを含む。一部の実施形態では、CD34+細胞の集団を、前記組成物の投与前に対象に投与する。一部の実施形態では、CD34+細胞の集団を、前記組成物の投与後に対象に投与する。一部の実施形態では、CD34+細胞を、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、造血幹細胞、及び骨髄性前駆細胞からなる群から選択する。一部の実施形態では、CD34+細胞を、GBAをコードする導入遺伝子を発現するように改変しない。一部の実施形態では、CD34+細胞を、対象に全身投与する。一部の実施形態では、CD34+細胞を、静脈内注射により対象に投与する。
【0021】
一部の実施形態では、内因性GBAを、対象への前記組成物の投与前に多能性細胞で破壊する。
【0022】
一部の実施形態では、内因性GBAを、多能性細胞を、多能性細胞における内因性GBA核酸の切断を触媒するヌクレアーゼと接触させることにより破壊する。一部の実施形態では、ヌクレアーゼはCRISPR関連タンパク質である。一部の実施形態では、CRISPR関連タンパク質は、CRISPR関連タンパク質9である。一部の実施形態では、ヌクレアーゼは、転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、またはジンクフィンガーヌクレアーゼである。
【0023】
一部の実施形態では、内因性GBAを、例えば、内因性GBAの発現を破壊するために十分な時間及び量で、多能性細胞を阻害性RNA分子と接触させることにより破壊する。一部の実施形態では、阻害性RNA分子は、短鎖干渉RNA(siRNA)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、またはマイクロRNA(miRNA)である。
【0024】
一部の実施形態では、内因性GBAを、対象への前記組成物の投与前に、対象において破壊する。一部の実施形態では、内因性GBAを、阻害性RNA分子を対象に投与することにより破壊する。一部の実施形態では、阻害性RNA分子は、siRNA、shRNA、またはmiRNAである。
【0025】
一部の実施形態では、内因性GBAを、対象への前記組成物の投与前に、対象のニューロンの集団において破壊する。一部の実施形態において、内因性GBAは、例えば、内因性GBAの発現を破壊するために十分な時間及び量で、ニューロンの集団を阻害性RNA分子と接触させることにより、ニューロンの集団において破壊される。一部の実施形態では、阻害性RNA分子は、siRNA、shRNA、またはmiRNAである。
【0026】
一部の実施形態では、GBAをコードする導入遺伝子を発現する多能性細胞は、それぞれがM2促進物質をコードする1つまたは複数の導入遺伝子をさらに発現する。一部の実施形態では、GBAをコードする導入遺伝子を発現する多能性細胞は、それぞれがM2促進物質をコードする2つの導入遺伝子を発現する。
【0027】
一部の実施形態では、それぞれがM2促進物質をコードする1つまたは複数の導入遺伝子は、インターロイキン-25(IL-25)、インターロイキン-4(IL-4)、インターロイキン-10(IL-10)、インターロイキン-13(IL-13)、及びトランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF-β)を含む群から選択されるサイトカインをコードする。一部の実施形態では、それぞれがM2促進物質をコードする1つまたは複数の導入遺伝子は、IL-25をコードする。一部の実施形態では、それぞれがM2促進物質をコードする1つまたは複数の導入遺伝子は、グルココルチコイド受容体、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)、PPARγ、PPARβ/δ、エストロゲン受容体、核内受容体サブファミリー4グループAメンバー2(NR4A2)、リジンデメチラーゼ6B(KDM6B)、MSHホメオボックス3(MSX3)、配列類似性19を持つファミリー(ケモカイン(C-Cモチーフ)様)、メンバーA3(FAM19A3)、核因子NF-カッパB P50サブユニット(NF-κB P50)、マイクロRNA124(miR124)、マイクロRNA21(miR21)、及びマイクロRNA181C(miR181c)、C-X3-Cモチーフケモカインリガンド1(CX3CL1)、C-X3-Cモチーフケモカイン受容体1(CX3CR1)、CD200分子(CD200)、CD200受容体1(CD200R)、補体因子H(CFH)、白血球表面抗原CD47(CD47)、補体崩壊促進因子(CD55)、栄養膜白血球共通抗原(CD46)、接着Gタンパク質共役受容体E5(ADGRE5)、シグナル調節タンパク質アルファ(SIRPA)、及びシグレックを含む群から選択される作用物質をコードする。
【0028】
一部の実施形態では、多能性細胞は自家細胞である。一部の実施形態では、多能性細胞は同種異系細胞である。
【0029】
一部の実施形態では、多能性細胞を、GBAを発現するようにエクスビボで形質導入する。一部の実施形態では、多能性細胞を、GBA及び1つまたは複数のM2促進物質を発現するようにエクスビボで形質導入する。
【0030】
一部の実施形態では、多能性細胞を、アデノ随伴ウイルス(AAV)、アデノウイルス、パルボウイルス、コロナウイルス、ラブドウイルス、パラミクソウイルス、ピコルナウイルス、アルファウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、及びレトロウイルス科ウイルスを含む群から選択されるウイルスベクターで形質導入する。
【0031】
一部の実施形態では、ウイルスベクターは、レトロウイルス科ウイルスベクターである。一部の実施形態では、レトロウイルス科ウイルスベクターは、レンチウイルスベクターである。一部の実施形態では、レトロウイルス科ウイルスベクターは、アルファレトロウイルスベクターである。一部の実施形態では、レトロウイルス科ウイルスベクターは、ガンマレトロウイルスベクターである。一部の実施形態では、レトロウイルス科ウイルスベクターは、中央ポリプリン路、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント、5’-LTR、HIVシグナル配列、HIV Psiシグナル5’-スプライス部位、デルタ-GAGエレメント、3’-スプライス部位、及び3’-自己不活化LTRを含む。
【0032】
一部の実施形態では、ウイルスベクターは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、及びAAVrh74を含む群から選択されるAAVである。
【0033】
一部の実施形態では、ウイルスベクターは、偽型ウイルスベクターである。一部の実施形態では、ウイルスベクターは、偽型AAV、偽型アデノウイルス、偽型パルボウイルス、偽型コロナウイルス、偽型ラブドウイルス、偽型パラミクソウイルス、偽型ピコルナウイルス、偽型アルファウイルス、偽型ヘルペスウイルス、偽型ポックスウイルス、及び偽型レトロウイルス科ウイルスである。
【0034】
一部の実施形態では、多能性細胞を、別々のモノシストロニック発現カセットからGBA及び1つまたは複数のM2促進物質を発現するように形質導入する。
【0035】
一部の実施形態では、多能性細胞を、ポリシストロニック発現カセットからGBA及び1つまたは複数のM2促進物質を発現するように形質導入する。一部の実施形態では、多能性細胞は単一のM2促進物質を発現し、その多能性細胞を、ビシストロニック発現カセットからGBA及びM2促進物質を発現するように形質導入する。一部の実施形態では、ポリシストロニック発現カセットは、GBAをコードするポリヌクレオチドと1つまたは複数のM2促進物質の1つをコードするポリヌクレオチドとの間に位置する内部リボソーム進入部位(IRES)を含む。一部の実施形態では、ポリシストロニック発現カセットは、GBAをコードするポリヌクレオチドと1つまたは複数のM2促進物質の1つをコードするポリヌクレオチドとの間に位置する口蹄疫ウイルス2A(FMDV2A)ポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、多能性細胞は、単一のポリシストロニック発現カセットから、GBA、第1のM2促進物質、及び第2のM2促進物質を発現し、その際、そのポリシストロニック発現カセットは、GBAをコードするポリヌクレオチドと第1のM2促進物質をコードするポリヌクレオチドとの間に位置する第1のFMDV2Aポリヌクレオチドを含み、かつそのポリシストロニック発現カセットは、第1のM2促進物質をコードするポリヌクレオチドと第2のM2促進物質をコードするポリヌクレオチドとの間に位置する第2のFMDV2Aポリヌクレオチドをさらに含む。
【0036】
一部の実施形態では、多能性細胞を、GBAを発現するようにエクスビボでトランスフェクトする。一部の実施形態では、多能性細胞を、GBA及び1つまたは複数のM2促進物質を発現するようにエクスビボでトランスフェクトする。
【0037】
一部の実施形態では、多能性細胞を、カチオン性ポリマー、ジエチルアミノエチル-デキストラン、ポリエチレンイミン、カチオン性脂質、リポソーム、リン酸カルシウム、活性化デンドリマー、及び磁気ビーズを含む群から選択される薬剤;またはエレクトロポレーション、Nucleofection、スクイーズ-ポレーション、ソノポレーション、光学トランスフェクション、Magnetofection、及びインペールフェクション(impalefection)を含む群から選択される技術を使用してトランスフェクトする。
【0038】
一部の実施形態では、多能性細胞を、別々のモノシストロニック発現カセットからGBA及び1つまたは複数のM2促進物質を発現するようにエクスビボでトランスフェクトする。一部の実施形態では、モノシストロニック発現カセットを2つ以上の別個のプラスミド内に配置する。一部の実施形態では、モノシストロニック発現カセットを単一のプラスミド上に配置する。
【0039】
一部の実施形態では、多能性細胞を、ポリシストロニック発現カセットからGBA及び1つまたは複数のM2促進物質を発現させるようにエクスビボでトランスフェクトする。一部の実施形態では、多能性細胞は単一のM2促進物質を発現し、その多能性細胞を、ビシストロニック発現カセットからGBA及びM2促進物質を発現するようにエクスビボでトランスフェクトする。一部の実施形態では、ポリシストロニック発現カセットは、GBAをコードするポリヌクレオチドと1つまたは複数のM2促進物質の1つをコードするポリヌクレオチドとの間に位置するIRESを含む。一部の実施形態では、ポリシストロニック発現カセットは、GBAをコードするポリヌクレオチドと1つまたは複数のM2促進物質の1つをコードするポリヌクレオチドとの間に位置するFMDV 2Aポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、多能性細胞は、単一のポリシストロニック発現カセットから、GBA、第1のM2促進物質、及び第2のM2促進物質を発現し、その際、そのポリシストロニック発現カセットは、GBAをコードするポリヌクレオチドと第1のM2促進物質をコードするポリヌクレオチドとの間に位置する第1のFMDV2Aポリヌクレオチドを含み、かつそのポリシストロニック発現カセットは、第1のM2促進物質をコードするポリヌクレオチドと第2のM2促進物質をコードするポリヌクレオチドとの間に位置する第2のFMDV2Aポリヌクレオチドをさらに含む。
【0040】
一部の実施形態では、多能性細胞におけるGBA及び/または1つまたは複数のM2促進物質の発現を、ユビキタスプロモーターを使用して駆動する。ユビキタスプロモーターには、伸長因子1-αプロモーター及びホスホグリセリン酸キナーゼ1プロモーターが含まれる。一部の実施形態では、多能性細胞におけるGBA及び/または1つまたは複数のM2促進物質の発現を、組織特異的プロモーターを使用して駆動する。組織特異的プロモーターには、CD68分子、C-X3-Cモチーフケモカイン受容体1、インテグリンサブユニットアルファM、同種移植炎症因子1、プリン作動性受容体P2Y12、膜貫通タンパク質119、及びコロニー刺激因子1受容体が含まれる。
【0041】
一部の実施形態では、GBAをコードする導入遺伝子を、タンパク質不安定化ドメインをコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結させる。
【0042】
一部の実施形態では、不安定化ドメインは、FK506結合タンパク質1A(FKBP12)不安定化ドメインである。一部の実施形態では、FPBP12不安定化ドメインは、F15S、V24A、H25R、E60G、L106P、M66T、R71G、D100G、D100N、E102G、及びK105Iを含む群から選択されるFKBP12変異体である。一部の実施形態では、前記方法は、機能的GBAの発現を誘導するために十分な量でShield-1を対象に投与することを含む。
【0043】
一部の実施形態では、不安定化ドメインは、大腸菌ジヒドロ葉酸レダクターゼ(ecDHFR)不安定化ドメインである。一部の実施形態では、前記方法は、機能的GBAの発現を誘導するために十分な量でトリメトプリムを対象に投与することを含む。
【0044】
一部の実施形態では、不安定化ドメインは、ヒトエストロゲン受容体リガンド結合ドメイン(ERLBD)不安定化ドメインである。一部の実施形態では、前記方法は、機能的GBAの発現を誘導するために十分な量でCMP8または4-ヒドロキシタモキシフェンを対象に投与することを含む。
【0045】
一部の実施形態では、多能性細胞において1つまたは複数のM2促進物質のそれぞれをコードする1つまたは複数のポリヌクレオチドを、タンパク質不安定化ドメインに作動可能に連結させる。
【0046】
一部の実施形態では、不安定化ドメインは、FKBP12不安定化ドメインである。一部の実施形態では、FPBP12不安定化ドメインは、F15S、V24A、H25R、E60G、L106P、M66T、R71G、D100G、D100N、E102G、及びK105Iを含む群から選択されるFKBP12変異体である。一部の実施形態では、前記方法は、機能的M2促進物質の発現を誘導するために十分な量でShield-1を対象に投与することを含む。
【0047】
一部の実施形態では、不安定化ドメインは、ecDHFR不安定化ドメインである。一部の実施形態では、前記方法は、機能的M2促進物質の発現を誘導するために十分な量でトリメトプリムを対象に投与することを含む。
【0048】
一部の実施形態では、不安定化ドメインは、ヒトERLBD不安定化ドメインである。一部の実施形態では、前記方法は、機能的M2促進物質の発現を誘導するために十分な量でCMP8または4-ヒドロキシタモキシフェンを対象に投与することを含む。
【0049】
一部の実施形態では、前記組成物を、対象の脳内のM1ミクログリアの量と比較して、対象の脳内のM2ミクログリアの量を増加させる、対象の脳内の1つまたは複数の炎症誘発性サイトカインのレベルを低下させる、対象の脳内の1つまたは複数の抗炎症性サイトカインのレベルを上昇させる、対象の認知能力を改善する、対象の運動機能を改善する、対象におけるドーパミン作動性ニューロン喪失を減少させる、及び/または対象におけるα-シヌクレインレベルまたはその凝集を減少させるために十分な量で対象に投与する。
【0050】
一部の実施形態では、対象はヒトである。
【0051】
別の態様では、本発明は、(i)非分泌型GBAをコードする第1の導入遺伝子;及び(ii)それぞれがM2促進物質をコードする1つまたは複数の導入遺伝子を発現する多能性細胞の集団を含む組成物を提供する。
【0052】
別の態様では、本発明は、(i)分泌型GBAをコードする第1の導入遺伝子;及び(ii)それぞれがM2促進物質をコードする1つまたは複数の導入遺伝子を発現する多能性細胞の集団を含む組成物を提供する。
【0053】
先行する2つの態様のいずれかの一部の実施形態では、多能性細胞はCD34+細胞である。一部の実施形態では、CD34+細胞は胚性幹細胞である。一部の実施形態では、CD34+細胞は人工多能性幹細胞である。一部の実施形態では、CD34+細胞は造血幹細胞である。一部の実施形態では、CD34+細胞は骨髄系前駆細胞である。一部の実施形態では、それぞれがM2促進物質をコードする1つまたは複数の導入遺伝子のうちの少なくとも1つは、IL-25、IL-4、IL-10、IL-13、及びTGF-βからなる群から選択されるサイトカインをコードする。一部の実施形態では、それぞれがM2促進物質をコードする1つまたは複数の導入遺伝子のうちの少なくとも1つは、IL-25をコードする。一部の実施形態では、それぞれがM2促進物質をコードする1つまたは複数の導入遺伝子のうちの少なくとも1つは、グルココルチコイド受容体、PPAR、PPARγ、PPARβ/δ、エストロゲン受容体、NR4A2、KDM6B、MSX3、FAM19A3、NF-κBp50、miR124、miR21、及びmiR181c、CX3CL1、CX3CR1、CD200、CD200R、CFH、CD47、CD55、CD46、ADGRE5、SIRPα、及びシグレックからなる群から選択される作用物質をコードする。一部の実施形態では、多能性細胞を、GBA及び1つまたは複数のM2促進物質を発現するようにエクスビボで形質導入する。一部の実施形態では、多能性細胞を、GBA及び1つまたは複数のM2促進物質を発現するようにエクスビボでトランスフェクトする。一部の実施形態では、内因性GBAを、多能性細胞において破壊する。
【0054】
追加の態様では、本発明は、上記の態様及び実施形態のいずれかによる組成物ならびに添付文書を含むキットを提供する。一部の実施形態では、添付文書は、キットのユーザーに上記の態様及び実施形態のいずれかによる方法を実行するように指示する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1A】N末端からC末端の方向に、GBAシグナルペプチド(SP)と、ヒト細胞での発現のためにコドン最適化されたGBA触媒ドメイン(GBA-co CD)とをコードするポリペプチド配列を含む、例示的なGBA導入遺伝子構築物の図である。
【
図1B】N末端からC末端方向に、GBA SPと、ApoEのRbドメイン(Rb-ApoE)と、コドン最適化GBA(GBA-co)とをコードするポリペプチド配列を含む、例示的なGBA導入遺伝子構築物の図である。
【
図1C】N末端からC末端の方向に、コドン最適化ヒトインスリン様成長因子II分泌シグナルペプチド(IGF-II-co SSP)と、R37A変異を含むGILTタグ(GILT)と、リンカー(L)と、GBA-coとをコードするポリペプチド配列を含む、例示的なGBA導入遺伝子構築物の図である。
【
図1D】N末端からC末端の方向に、IGF-II-co SSPと、第1のリンカー(L)と、Rb-ApoEと、第2のリンカーと、R37A変異を含むGILTと、第3のリンカーと、GBA-coとをコードするポリペプチド配列を含む、例示的なGBA導入遺伝子構築物の図である。
【
図1E】N末端からC末端方向に、IGF-II-co SSPと、R37A変異を含むGILTと、リンカーと、Rb-ApoEと、リンカーと、3つの主要な非翻訳領域(3’-UTR)にマイクロRNAターゲティング配列(miRT)を含むGBA-coとをコードするポリペプチド配列を含む、例示的なGBA導入遺伝子構築物の図である。
【
図1F】N末端からC末端の方向に、IGF-II-co SSPと、第1のリンカー(L)と、GBA-coと、第2のリンカーと、R37A変異を含むGILTとをコードするポリペプチド配列を含む、例示的なGBA導入遺伝子構築物の図である。
【
図1G】N末端からC末端方向に、IGF-II-co SSPと、第1のリンカー(L)と、GBA-coと、第2のリンカーと、Rb-ApoEとをコードするポリペプチド配列を含む、例示的なGBA導入遺伝子構築物の図である。
【
図2A】緑色蛍光タンパク質(GFP)またはGBA構築物で形質導入された哺乳動物細胞株におけるGBA酵素活性及びタンパク質レベルを実証する一連の棒グラフである。
図2Aは、GFP(黒色のバー)またはコドン最適化GBA(GBAco)構築物(灰色のバー)でのレンチウイルス形質導入後のヒトHEK293T細胞細胞の細胞溶解物から測定されたGBA酵素活性を示している。GBAにより酵素的に変換されて蛍光生成物である4-メチルウンベリフェロン(4MU)を生成する4-メチルウンベリフェリルβ-D-グルコピラノシド(4MUG)基質を使用して、GBA酵素活性を測定した。試験したGBAco構築物には次が含まれる:1)GBAcoのみ;2)GBAco、C末端グリコシル化非依存的リソソームターゲティング(GILT)タグ、及びペプチドリンカー;3)GBAco及び改変シグナルペプチド配列;4)GBAco、GILTタグ、及び剛性ペプチドリンカー;または5)GBAco、GILTタグ、及びXTENリンカー。レンチウイルスでコードされたGBAco構築物はすべて、試験した細胞株の両方でGBA酵素活性の上昇をもたらした。データは平均値±SEM;n=3の独立した形質導入として表されている。アステリスクは、統計学的有意性に一元ANOVA検定を使用して決定した場合に、0.05未満のp値を示す。
【
図2B】緑色蛍光タンパク質(GFP)またはGBA構築物で形質導入された哺乳動物細胞株におけるGBA酵素活性及びタンパク質レベルを実証する一連の棒グラフである。
図2Bは、GFP(黒色のバー)またはコドン最適化GBA(GBAco)構築物(灰色のバー)でのレンチウイルス形質導入後のHEK293T細胞からの細胞溶解物のウエスタンブロット分析によりアッセイした場合のGBAタンパク質レベルを示している。レンチウイルスでコードされたGBAco構築物はすべて、試験した細胞株の両方でGBAタンパク質レベルの上昇をもたらした。データは平均値±SEM;n=3の独立した形質導入として表されている。アステリスクは、統計学的有意性に一元ANOVA検定を使用して決定した場合に、0.05未満のp値を示す。
【
図2C】緑色蛍光タンパク質(GFP)またはGBA構築物で形質導入された哺乳動物細胞株におけるGBA酵素活性及びタンパク質レベルを実証する一連の棒グラフである。
図2Cは、GFP(黒色のバー)またはコドン最適化GBA(GBAco)構築物(灰色のバー)でのレンチウイルス形質導入後のマウスRAW264.7細胞の細胞溶解物から測定されたGBA酵素活性を示している。GBAにより酵素的に変換されて蛍光生成物である4-メチルウンベリフェロン(4MU)を生成する4-メチルウンベリフェリルβ-D-グルコピラノシド(4MUG)基質を使用して、GBA酵素活性を測定した。試験したGBAco構築物には次が含まれる:1)GBAcoのみ;2)GBAco、C末端グリコシル化非依存的リソソームターゲティング(GILT)タグ、及びペプチドリンカー;3)GBAco及び改変シグナルペプチド配列;4)GBAco、GILTタグ、及び剛性ペプチドリンカー;または5)GBAco、GILTタグ、及びXTENリンカー。レンチウイルスでコードされたGBAco構築物はすべて、試験した細胞株の両方でGBA酵素活性の上昇をもたらした。データは平均値±SEM;n=3の独立した形質導入として表されている。アステリスクは、統計学的有意性に一元ANOVA検定を使用して決定した場合に、0.05未満のp値を示す。
【
図2D】緑色蛍光タンパク質(GFP)またはGBA構築物で形質導入された哺乳動物細胞株におけるGBA酵素活性及びタンパク質レベルを実証する一連の棒グラフである。2Dは、GFP(黒色のバー)またはコドン最適化GBA(GBAco)構築物(灰色のバー)でのレンチウイルス形質導入後のRAW264.7細胞からの細胞溶解物のウエスタンブロット分析によりアッセイした場合のGBAタンパク質レベルを示している。レンチウイルスでコードされたGBAco構築物はすべて、試験した細胞株の両方でGBAタンパク質レベルの上昇をもたらした。データは平均値±SEM;n=3の独立した形質導入として表されている。アステリスクは、統計学的有意性に一元ANOVA検定を使用して決定した場合に、0.05未満のp値を示す。
【
図3】HEK293T細胞の細胞溶解液から採取したグリコシル化導入遺伝子由来GBAのウエスタンブロット分析である。細胞を、1)GBAcoのみ;2)GBAco、GILTタグ、及び剛性ペプチドリンカー;または3)GBAco、GILTタグ、及びXTENリンカーを含む群から選択される3つのレンチウイルスでコードされたGBAco構築物のうちの1つで形質導入した。細胞溶解物をEndoHまたはPNGase Fグリコシダーゼで処理して、電気泳動移動度の上昇によりN結合型グリコシル化の変化を評価した。ウエスタンブロット分析は、予測された分子量で操作GBAcoタンパク質を検出し、これは、GILT及びリンカーペプチドが安定発現されることを示唆している。さらに、操作GBAタンパク質の電気泳動移動度が酵素的脱グリコシル化後に増加し、これは、これらのタンパク質が生理学的グリコシル化を受けること実証している。
【
図4A】野生型及びGBA変異型マウス由来のマウス系統陰性(Lin
-)細胞におけるGBA酵素活性を実証する一連の棒グラフである。Lin
-細胞を骨髄から単離し、GFPまたはGBAcoをコードするレンチウイルスベクターで形質導入した。Aは、GFP(黒色のバー)またはGBAco(灰色のバー)をコードするベクターで形質導入された野生型マウス及びGBA欠失遺伝子導入マウス(Gba
D409V/+、Gba
D409V/+;Thy1-SNCA及びGba
D409V/D409V)からのLin
-細胞溶解産物におけるGBA酵素活性の棒グラフを示している。Lin
-細胞の酵素活性は、ヘテロ接合及びホモ接合Gba変異がGBA導入遺伝子の非存在下でそれぞれGBA活性を43%及び92%低下させたことを実証した(WT:13.04±0.644nmol hr
-1mg
-1;Gba
D409V/+:7.49±0.293nmol hr
-1mg
-1;Thy1-SNCA;Gba
D409V/+:7.14±0.252nmol hr
-1mg
-1;Thy1-SNCA;Gba
D409V/D409V:1.20±0.114nmol hr
-1mg
-1;p<0.001、Tukey事後分析を伴うANOVA、A)。GBAco構築物でのLin
-細胞のレンチウイルス形質導入は、試験したマウス株すべてにわたってGBA活性をかなり上昇させた(GFP対照と比較;P<0.001、Tukey事後分析を伴うANOVA)。Bは、GFP(黒色のバー)またはGBAco(灰色のバー)でのレンチウイルス形質導入後のGba
D409V/+、Gba
D409V/+;Thy1-SNCA及びGba
D409V/D409Vマウス(合計n=8動物)からのLin
-細胞馴化培地におけるGBA活性の棒グラフを示しており、これは、GBA活性の検出の増加を実証している。データは平均±SEM(n=1つの独立した形質導入)として表されている。まとめると、これらの所見は、レンチウイルスGBAco構築物が造血幹細胞(例えば、マウスLin
-細胞において)において機能的GBA酵素を産生し、GBA欠乏のマウスモデルにおいてGBAの活性及び発現レベルを奪回することができることを実証している。
【発明を実施するための形態】
【0056】
定義
本明細書で使用する場合、「投与」は、任意の有効な経路により、治療薬(例えば、GBAをコードする導入遺伝子を発現するCD34+細胞などの多能性細胞、またはGBAをコードする導入遺伝子を発現する多能性細胞。例えば、GBAをコードする導入遺伝子を発現する多能性細胞は、それぞれがM2促進物質をコードする1つまたは複数の導入遺伝子を追加的に発現してもよい)を対象に提供または与えることを指す。例示的な投与経路を、本明細書において以下に記載する(例えば、脳室内(ICV)注射、静脈内(IV)注射、及び定位注射)。
【0057】
本明細書で使用する場合、「同種異系」とは、同じ種の異なる対象から採取された、または由来する細胞、組織、DNA、または因子を意味する。例えば、同種形質導入多能性細胞がパーキンソン病の対象に投与される状況では、対象ではない患者から得られた細胞に由来する多能性細胞が、GBA及び、任意選択で、1つまたは複数のM2促進物質の発現を指示するベクターで形質導入またはトランスフェクトされ、その形質導入された細胞が対象に投与される。「発現を指示する」という語句は、発現される分子をコードする配列を含むポリヌクレオチドに関する。ポリヌクレオチドは、目的の分子の発現を増強する追加の配列を含み得る。
【0058】
本明細書で使用する場合、「自家」とは、個体自身の組織、細胞、またはDNAから採取された、または由来する細胞、組織、DNA、または因子に関する。例えば、形質導入された自家の多能性細胞がパーキンソン病の対象に投与される状況では、対象から得られた細胞に由来する多能性細胞が、GBA、及び任意選択で1つまたは複数のM2促進物質の発現を指示するベクターで形質導入またはトランスフェクトされ、その形質導入された細胞が対象に投与される。
【0059】
本明細書で使用する場合、「ApoE」という用語は、脂質輸送に関与するタンパク質のクラスのメンバーであるアポリポタンパク質Eを指す。アポリポタンパク質Eは、キロミクロン及び中密度リポタンパク質(IDL)の一部である脂肪結合タンパク質(アポリポタンパク質)である。これらは、トリグリセリドに富むリポタンパク質の正常なプロセシング(異化作用)に必須である。ApoEはAPOE遺伝子によりコードされる。「ApoE」という用語はまた、野生型ApoEタンパク質のバリアント、例えば、配列番号21で示される野生型ApoEのアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性(例えば、85%、86%、例えば85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.9%の同一性、またはそれ以上)を有するタンパク質を指す。
【0060】
本明細書で使用する場合、「細胞型」という用語は、遺伝子発現データに基づいて統計的に区別可能な表現型を共有する細胞のグループを指す。例えば、細胞型が共通する細胞は、類似した遺伝子活性化パターン及び抗原提示プロファイルなどの類似した構造及び/または機能的特徴を共有し得る。細胞型が共通する細胞には、共通の組織(例えば、上皮組織、神経組織、結合組織、または筋肉組織)から単離されるもの、及び/または共通の臓器、組織系、血管、または生体の他の構造及び/または領域から単離されるものが含まれ得る。
【0061】
本明細書で使用する場合、「コドン最適化」は、コーディングDNAにおける同義コドン(例えば、同じアミノ酸をコードするコドン)の出現頻度が異なる種では偏っているという原則に従って、核酸配列を改変するプロセスを指す。そのようなコドン縮重は、同一のポリペプチドが様々なヌクレオチド配列によりコードされることを可能にする。このようにして改変された配列は、本明細書では「コドン最適化」と称される。このプロセスは、発現または安定性を増強するために、本明細書に記載の配列のいずれで行われてもよい。コドン最適化は、例えば、それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,561,972号、第7,561,973号、及び第7,888,112号に記載されているような様式で行うことができる。翻訳開始部位を取り巻く配列は、既知の方法に従ってコンセンサスコザック配列に変換することができる。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるKozak et al, Nucleic Acids Res. 15 (20): 8125-8148を参照されたい。複数の停止コドンを組み込むことができる。
【0062】
本明細書で使用する場合、「前処置」及び「前処置すること」という用語は、多能性幹細胞(例えば、CD34+細胞)を含む移植片を受け取るために対象が準備されるプロセスを指す。そのような手順は、例えば、内因性ミクログリアまたは造血幹細胞を選択的に枯渇させ、それにより外因性多能性幹細胞移植片により満たされる空孔を作ることにより、多能性幹細胞移植片の生着を促進する。本明細書に記載の方法によれば、対象を、多能性幹細胞移植療法のために、内因性ミクログリア及び/または造血幹細胞または前駆細胞を除去することができる1つまたは複数の薬剤(例えば、ブスルファン、トレオスルファン、PLX3397、PLX647、PLX5622、及びクロドロネートリポソーム)、放射線療法、またはそれらの組み合わせを対象に投与することにより、前処置することができる。前処置は、骨髄破壊的または非骨髄破壊的であってよい。当技術分野で周知の他の細胞除去薬及び方法(例えば、抗体-薬物コンジュゲート)を使用することもできる。
【0063】
本明細書で使用する場合、「保存的変異」、「保存的置換」、及び「保存的アミノ酸置換」という用語は、極性、静電荷、及び立体体積などの類似の物理化学的特性を示す1つまたは複数の異なるアミノ酸で1つまたは複数のアミノ酸を置換することを指す。これらの特性を、20種の天然に存在するアミノ酸のそれぞれについて、下の表1にまとめる。[表1]
表1.天然に存在するアミノ酸の代表的な物理化学的特性
【0064】
この表から、保存的アミノ酸ファミリーには(i)G、A、V、L及びI;(ii)D及びE;(iii)C、S及びT;(iv)H、K及びR;(v)N及びQ;(vi)F、Y、及びWが含まれることが分かるであろう。したがって、保存的変異または置換は、同じアミノ酸ファミリーのメンバーを1つのアミノ酸で置換するものである(例えば、ThrをSerに、ArgをLysに置換)。
【0065】
本明細書で使用する場合、「不安定化ドメイン(destabilizing domain)」及び「不安定化ドメイン(destabilization domain)」という用語は、それらが作動可能に連結されるタンパク質を不安定化することができる調節エレメントを指す。これらのドメインは、小分子などの特異的外因性リガンドにより安定化され得る。例示的な不安定化ドメインには、これらの不安定化ドメインに融合した他のタンパク質に不安定性を与える、ヒトFK506及びラパマイシン結合タンパク質(FKBP12)の変異体が含まれる。その開示がFKBP12不安定化ドメインに関係するため、参照により本明細書に組み込まれるBanaszynski et al., Cell 126:995 (2006)において特徴付けられているとおり、FKBP12変異体には、N末端変異体F15S、V24A、H25R、E60G、及びL106P、ならびにC末端変異体M66T、R71G、D100G、D100N、E102G、及びK105Iが含まれる。FKBP12不安定化ドメインはタンパク質分解を促進する。小分子リガンドShield-1(Shld1)を使用して、FKBP12変異体含有タンパク質を分解から保護して安定化させることができる。それぞれの開示が不安定化ドメインシステムに関係するため、参照により本明細書に組み込まれるIwamoto et al., Chem Biol. 17:981 (2010) and Miyazaki et al., J Am Chem Soc., 134:3942 (2012)に記載のとおり、GBAまたはM2促進物質の発現を調節するために使用することができる他の不安定化ドメインには、目的のタンパク質と融合すると不安定性を与えて分解をもたらし、かつそれぞれ小分子リガンドトリメトプリム(TMP)により、またはCMP8もしくは4-ヒドロキシタモキシフェン(4OHT)により安定化され得る大腸菌ジヒドロ葉酸レダクターゼ(ecDHFR)の変異体及びヒトエストロゲン受容体リガンド結合ドメイン(ERLBD)の変異体が含まれる。
【0066】
本明細書で使用する場合、遺伝子に関して「破壊する」という用語は、機能的遺伝子産物の形成を阻止することを指す。遺伝子産物は、その正常な(野生型)機能を満たしていれば機能的である。遺伝子の破壊は、遺伝子によりコードされる機能的因子の発現を阻止し、遺伝子によりコードされる配列及び/または動物における遺伝子の発現に必要なプロモーター及び/またはオペレーターにおける1つまたは複数の塩基の挿入、削除、または置換を含む。破壊される遺伝子は、例えば、動物のゲノムからの遺伝子の少なくとも一部の除去、遺伝子によりコードされる機能的因子の発現を阻止するような遺伝子の改変、干渉RNA、または外因性遺伝子によるドミナントネガティブ因子の発現により破壊されてもよい。1つまたは複数の遺伝子の発現を破壊するための、多能性幹/前駆細胞(例えば、CD34+細胞)を遺伝子改変するための材料及び方法は、それぞれの開示がその全体で参照により本明細書に組み込まれる(矛盾する場合、本明細書が優先される)US8,518,701;US2010/0251395;及びUS2012/0222143に詳述されている。
【0067】
本明細書で使用する場合、本明細書に記載の組成物、ベクター構築物、ウイルスベクター、または細胞の「有効量」、「治療有効量」、及び「十分量」という用語は、哺乳動物、例えばヒトを含む対象に投与したときに、臨床結果を含む有益または所望の結果をもたらすために十分な量を指し、したがって、「有効量」またはその同義語は、それが適用される状況に依存する。例えば、パーキンソン病の処置の文脈では、それは、組成物、ベクター構築物、ウイルスベクター、または細胞を投与しなかった場合に得られる応答と比較して、処置応答を達成するために十分な組成物、ベクター構築物、ウイルスベクター、または細胞の量である。そのような量に対応する本明細書に記載の所与の組成物の量は、所与の薬剤、医薬製剤、投与経路、疾患もしくは障害の種類、対象のアイデンティティ(例えば、年齢、性別、体重)または処置される受容者などの様々な因子に応じて変化するが、それにもかかわらず、当業者はルーチン的に決定することができる。また、本明細書で使用する場合、本開示の組成物、ベクター構築物、ウイルスベクター、または細胞の「治療有効量」は、対照と比較して、対象において有益または所望の結果をもたらす量である。本明細書で定義されるとおり、本開示の組成物、ベクター構築物、ウイルスベクター、または細胞の治療有効量は、当業者により、当技術分野で公知のルーチン的な方法により容易に決定され得る。投薬計画を、最適な治療応答が得られるように調節することができる。
【0068】
本明細書で使用する場合、「胚性幹細胞」及び「ES細胞」という用語は、適切な条件下でインビトロ培養で維持することができる胚盤胞の内部細胞塊に由来する、胚由来の全能性または多能性幹細胞を指す。ES細胞は3つの脊椎動物の胚葉、例えば、内胚葉、外胚葉、及び中胚葉のいずれの細胞にも分化することができる。ES細胞は、適切なインビトロ培養条件下で無期限に増殖するその能力によっても特徴付けられる。例えば、Thomson et al., Science 282:1145 (1998)を参照されたい。
【0069】
本明細書で使用する場合、「内因性」という用語は、特定の生物(例えば、ヒト)または生物内の特定の場所(例えば、臓器、組織、またはヒト細胞などの細胞)において天然に見い出される分子(例えば、ポリペプチド、核酸、または補因子)を説明している。
【0070】
本明細書で使用する場合、「発現する」という用語は、次の事象のうちの1つまたは複数を指す:(1)(例えば転写による)DNA配列からのRNAテンプレートの産生;(2)(例えば、スプライシング、編集、5’キャップ形成、及び/または3’エンドプロセシングによる)RNA転写物のプロセシング;(3)RNAのポリペプチドまたはタンパク質への翻訳;及び(4)ポリペプチドまたはタンパク質の翻訳後修飾。対象における目的の遺伝子の発現は、例えば、対象から得られたサンプルにおける、対応するタンパク質をコードするmRNAの量または濃度の増加(例えば、本明細書に記載か、または定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)及びRNA seq技術などの当技術分野で公知のRNA検出手順を使用して評価される)、対応するタンパク質の量または濃度の増加(例えば、本明細書に記載か、またはとりわけ酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などの当技術分野で公知のタンパク質検出方法を使用して評価される)、及び/または対応するタンパク質の活性の上昇(例えば、酵素の場合、本明細書に記載か、または当技術分野で公知の酵素活性アッセイを使用して評価される)を検出することにより明らかにすることができる。
【0071】
本明細書で使用する場合、「外因性」という用語は、特定の生物(例えば、ヒト)または生物内の特定の場所(例えば、臓器、組織、またはヒト細胞などの細胞)において天然には見い出されない分子(例えば、ポリペプチド、核酸、または補因子)を説明する。外因性物質には、外部供給源から生物または生物から抽出された培養物に提供されるものが含まれる。
【0072】
本明細書で使用する場合、「FMDV2A」という用語は、口蹄疫ウイルスの2A核酸配列を指す。一般に、FMDV2A配列は、単一のオープンリーディングフレームから等モル量で複数のタンパク質を協調的に発現させることを可能にする機能である。FMDV2Aは、2A配列により連結されたタンパク質を分離する共翻訳切断事象を媒介する。複数の2A配列を1つのベクターで用いることができ、切断活性は真核生物のリボソームに依存するため、2Aにより連結されたタンパク質の共発現はほとんどの真核細胞で機能する。複数のタンパク質を発現させるためのFMDV2Aの使用例については、その開示が参照により本明細書に組み込まれるRyan and Drew, EMBO Journal 13:928 (1994)を参照されたい。
【0073】
本明細書で使用する場合、造血幹細胞などの幹細胞に関連する「機能的可能性」という用語は、1)多能性(限定されないが、顆粒球(例えば、前骨髄球、好中球、好酸球、好塩基球)、赤血球(例えば、網状赤血球、赤血球)、血小板(例えば、巨核芽球、血小板産生巨核球、血小板)、単球(例えば、単球、マクロファージ)、樹状細胞、ミクログリア、破骨細胞、及びリンパ球(例えば、NK細胞、B細胞及びT細胞)を含む複数の異なる血液細胞系に分化する能力を指す)、2)自己再生(母細胞と同等の能力を有し、さらにこの能力が消耗することなく個人の生涯を通じて繰り返し発生し得る娘細胞を生じさせる幹細胞の能力を指す)、及び3)幹細胞またはその後代が移植レシピエントに再導入されると、幹細胞ニッチェに帰着し、生産的で持続的な細胞の成長と分化を再確立する能力を含む幹細胞の機能的特性を指す。
【0074】
本明細書で使用する場合、「フーリン抵抗性IGF-IIムテイン」という用語は、野生型ヒトIGF-IIペプチドと比較して、フーリン切断が阻止、阻害、低減、または減速されるように、少なくとも1つの天然フーリンプロテアーゼ切断部位を無効にするか、または天然フーリンプロテアーゼ切断部位に近いか、または隣接する配列を変更する、野生型IGF-II(配列番号12)と比較して変化したアミノ酸配列を含むインスリン様成長因子II(IGF-II)ベースのペプチドを指す。本明細書で使用する場合、フーリン抵抗性IGF-IIムテインは、フーリンに対して抵抗性であるIGF-IIムテインとも称される。例示的なフーリン抵抗性IGF-IIムテインは、配列番号12のArg37及び/またはArg40に対応する位置にアミノ酸置換を含む。
【0075】
本明細書で使用する場合、「フーリンプロテアーゼ切断部位」(「フーリン切断部位」または「フーリン切断配列」とも称される)という用語は、フーリンまたはフーリン様プロテアーゼによる酵素的プロテアーゼ切断の認識配列として機能するペプチドまたはタンパク質のアミノ酸配列を指す。典型的には、フーリンプロテアーゼ切断部位は、コンセンサス配列Arg-X-X-Argを有し、ここで、Xは任意のアミノ酸である。切断部位は、配列中のカルボキシ末端アルギニン(Arg)残基の後に位置する。一部の実施形態では、フーリン切断部位はコンセンサス配列Lys/Arg-X-X-X-Lys/Arg-Argを有し、ここで、Xは任意のアミノ酸である。切断部位は、配列中のカルボキシ末端アルギニン(Arg)残基の後に位置する。
【0076】
本明細書で使用する場合、「フーリン」という用語は、フーリンまたはフーリン様プロテアーゼを含む、本明細書で定義するとおりのフーリンプロテアーゼ切断部位を認識及び切断することができる任意のプロテアーゼを指す。フーリンはまた、対塩基性アミノ酸切断酵素(PACE)としても知られている。フーリンはサブチリシン様プロタンパク質転換酵素ファミリーに属する。フーリンをコードする遺伝子は、FUR(FES Upstream Region)として知られている。
【0077】
本明細書で使用する場合、「グリコシル化非依存性リソソームターゲティング」または「GILT」という用語は、マンノース-6-リン酸(M6P)非依存性であるリソソームターゲティングを指す。GILTタグは、GILTタグ付き融合タンパク質(例えば、IGF-IIムテインに結合されたGBA融合タンパク質)として発現されるタンパク質(例えば、GBA)をリソソームにターゲティングするために使用することができる。
【0078】
本明細書で互換的に使用する場合、「カチオン非依存性マンノース-6-リン酸受容体(CI-MPR)」、「M6P/IGF-II受容体」、「CI-MPR/IGF-II受容体」、「IGF-II受容体」もしくは「IGF2受容体」という用語、またはそれらの略語は、M6P及びIGF-IIの両方に結合する細胞受容体を指す。
【0079】
本明細書で使用する場合、「GBA関連パーキンソン病」または「GBA関連PD」に罹患している患者は、パーキンソン病を有すると診断されており、かつGBA遺伝子に有害な変異も含む患者である。重度の病原性変異にはc.84GGIns、IVS2+1G>A、p.V394L、p.D409H、p.L444P、及びRecTLが含まれ、これらは、PD発症のオッズ比9.92~21.29につながっている。軽度のGBA変異p.N370S及びp.R496Hは、PD発症のオッズ比2.84~4.94につながっている。変異p.E326KもPDリスク因子として同定されている。GBA変異は、それらの開示がヒトGBA変異に関連するため、参照により本明細書に組み込まれる Barkhuizen et al., Neurochemistry International 93:6 (2016)及びSidransky and Lopez, Lancet Neurol. 11:986 (2012)において論述されている。
【0080】
本明細書で使用する場合、「グルコセレブロシダーゼ」及び「GBA」という用語は、グルコセレブロシド(グルコシルセラミドとしても公知)のグルコース及びセラミドへの代謝を担うリソソーム酵素を指す。この遺伝子は染色体1q21に配置されており、GBA1としても公知である。「グルコセレブロシダーゼ」及び「GBA」という用語は、野生型グルコセレブロシダーゼ酵素のバリアント及びそれをコードする核酸、例えば、野生型GBA酵素のアミノ酸配列(例えば、配列番号1)のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは99.9%の同一性、またはそれ以上)を有するバリアントタンパク質、または野生型GBA遺伝子の核酸配列(例えば、配列番号6)に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは99.9%の同一性、またはそれ以上)を有するポリヌクレオチドを指すが、ただし、コードされたGBA類似体が野生型GBAの治療機能を保持することを条件とする。「GBA」はまた、天然シグナルペプチドが存在するGBAタンパク質を指すこともある。「グルコセレブロシダーゼ」及び「GBA」という用語は、GBAをコードするコドン最適化ポリヌクレオチド、例えば、配列番号3の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは99.9%の同一性、またはそれ以上)を有するコドン最適化ポリヌクレオチドも指し得る。別法では、「GBA」は、天然シグナルペプチドが除去されたGBAタンパク質(例えば、成熟タンパク質)も指し得る。GBAは、配列番号1の残基76~381及び416~430を含むドメインなどのGBAの触媒ドメイン、またはそのようなドメインに対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するバリアントを指すこともある。本明細書で使用する場合、GBAは、当業者には理解されるとおり、文脈に応じて、リソソーム酵素またはこのタンパク質をコードする遺伝子を指すこともある。
【0081】
本明細書で使用する場合、「造血幹細胞」及び「HSC」という用語は、限定されないが、顆粒球(例えば、前骨髄球、好中球、好酸球、好塩基球)、赤血球(例えば、網状赤血球、赤血球)、血小板(例えば、巨核芽球、血小板産生巨核球、血小板)、単球(例えば、単球、マクロファージ)、樹状細胞、ミクログリア、破骨細胞、及びリンパ球(例えば、NK細胞、B細胞及びT細胞)を含む、自己複製し、かつ多様な細胞系の成熟血液細胞に分化する能力を有する未熟血液細胞を指す。そのような細胞はCD34+細胞を含んでも、または含まなくてもよいことが当技術分野で知られている。CD34+細胞は、CD34細胞表面マーカーを発現する未熟細胞である。ヒトでは、CD34+細胞には、上記で定義した幹細胞特性を持つ細胞の亜集団が含まれると考えられるが、マウスでは、HSCはCD34-である。加えて、HSCは、長期再増殖HSC(LT-HSC)及び短期再増殖HSC(ST-HSC)も指す。LT-HSC及びST-HSCは、機能的可能性及び細胞表面マーカーの発現に基づき区別される。例えば、ヒトHSCは、CD34+、CD38-、CD45RA-、CD90+、CD49F+、及びlin-(CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD10、CD11B、CD19、CD20、CD56、CD235Aを含む成熟細胞系マーカーについて陰性)である。マウスでは、骨髄LT-HSCは、CD34-、SCA-1+、C-kit+、CD135-、Slamf1/CD150+、CD48-及びlin-(Ter119、CD11b、Gr1、CD3、CD4、CD8、B220、IL-7raなどの成熟細胞系マーカーについて陰性)であるが、ST-HS Careは、CD34+、SCA-1+、C-kit+、CD135-、Slamf1/CD150+、及びlin-(Ter119、CD11b、Gr1、CD3、CD4、CD8、B220、IL-7raを含む成熟細胞系マーカーについて陰性)である。加えて、ST-HSCは、恒常性条件下でLT-HSCよりも静止しておらず(すなわち、よりアクティブであり)、より増殖性である。しかしながら、LT-HSCは、より高い自己再生能力(すなわち、成人期を通じて存続し、継代レシピエントを通じて連続して移植することができる)を有するが、ST-HSCは、限られた自己再生能力を有する(すなわち、限られた期間しか生存せず、かつ連続移植能力を持たない)。これらのHSCのいずれも、本明細書に記載の方法のいずれかで使用することができる。任意選択で、ST-HSCは、非常に増殖性が高く、したがって分化した後代をより迅速に生じさせることができるため、有用である。
【0082】
本明細書で使用する場合、「HLAマッチの」という用語は、造血幹細胞移植療法を必要とするレシピエントに造血幹細胞移植片を提供するドナーなど、ドナーとレシピエントとの間でHLA抗原のいずれもミスマッチしないドナー-レシピエントのペアを指す。HLAマッチの(すなわち、6つの対立遺伝子すべてがマッチする)ドナー-レシピエントのペアは、内因性T細胞及びNK細胞が外来移植片を異物として認識する可能性が低く、したがって移植片に対する免疫応答を開始する可能性が低いため、移植片拒絶のリスクが低い。
【0083】
本明細書で使用する場合、「HLAミスマッチの」という用語は、造血幹細胞移植療法を必要とするレシピエントに造血幹細胞移植片を提供するドナーなど、ドナーとレシピエントとの間で特にHLA-A、HLA-B、HLA-C、及びHLA-DRに関して、少なくとも1つのHLA抗原がミスマッチしているドナー-レシピエントのペアを指す。一部の実施形態では、一方のハプロタイプは一致し、他方はミスマッチする。HLAミスマッチのドナー-レシピエントのペアの場合には内因性T細胞及びNK細胞が、外来移植片を異物として認識する可能性が高く、したがってそのようなT細胞及びNK細胞が移植片に対する免疫応答を開始する可能性がより高いので、HLAミスマッチのドナー-レシピエントのペアは、HLAマッチのドナー-レシピエントのペアと比較して、移植片拒絶のリスクが高くなり得る。
【0084】
本明細書で使用する場合、「人工多能性幹細胞」、「iPS細胞」、及び「iPSC」という用語は、分化した体細胞に直接由来し得る多能性幹細胞を指す。ヒトiPS細胞は、例えば、Oct3/4、Soxファミリー転写因子(例えば、Sox1、Sox2、Sox3、Sox15)、Mycファミリー転写因子(例えば、c-Myc、1-Myc、n-Myc)、クルッペル様ファミリー(KLF)転写因子(例えば、KLF1、KLF2、KLF4、KLF5)、及び/またはNANOG、LIN28などの関連転写因子及び/またはGlis1が含まれ得る、特異的なセットの再プログラミング因子を非多能性細胞に導入することにより生成することができる。ヒトiPS細胞は、例えば、miRNA、転写因子の作用を模倣する小分子、または細胞系指定子の使用により生成することもできる。ヒトiPS細胞は、3つの脊椎動物の胚葉、例えば内胚葉、外胚葉、または中胚葉の任意の細胞に分化するそれらの能力により特徴づけられる。ヒトiPS細胞は、適切なインビトロ培養条件下で無期限に増殖するそれらの能力によっても特徴づけられる。例えば、Takahashi and Yamanaka, Cell 126:663 (2006)を参照されたい。
【0085】
本明細書で使用する場合、「IRES」という用語は、内部リボソーム進入部位を指す。一般に、IRES配列は、真核生物のリボソームがmRNA転写物に結合し、5’キャップ末端に結合せずに翻訳を開始することを可能にする機能である。IRES配列を含むmRNAは2つの翻訳産物を生成し、1つはmRNAの5’末端から開始し、もう1つはIRESにより媒介される内部翻訳機構から開始する。
【0086】
本明細書で使用する場合、「M2促進物質」という用語は、さらなる抗炎症状態へと細胞をシフトさせることによりマクロファージまたはミクログリアの分極に影響を及ぼす作用物質を指す。M2促進物質には、マクロファージまたはミクログリアによる古典的活性化/M1に関連する炎症誘発性サイトカイン及び遺伝子、例えば、IL-1β、腫瘍壊死因子(TNF)、iNOS、またはIL-12の分泌及び/または発現を減少させることができるものが含まれる。例えば、M2促進物質は、活性化マクロファージまたはミクログリアの集団をその物質の存在下で、例えば、約2時間~24時間(例えば、約2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、または24時間)にわたって培養した場合に、炎症誘発性サイトカイン及びIL-1β、TNF、iNOS、またはIL-12などの古典的M1活性化に関連する遺伝子の分泌または発現を10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、200%、500%、またはそれ以上減少させることができる物質である。加えてM2促進物質には、抗炎症性サイトカイン及びマクロファージまたはミクログリアによる代替の活性化/M2に関連する遺伝子、例えばIL-25、IL-10、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF-β)、CD163、もしくはTREM2の分泌及び/または発現を増加させる、または細胞の形態または形状を変化させる、例えば、分岐を増加させることができるものが含まれる。例えば、M2促進物質は、活性化マクロファージまたはミクログリアの集団をその物質の存在下で、例えば、約2時間~24時間(例えば、約2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、または24時間)の期間にわたって培養した場合に、抗炎症性サイトカイン及び代替M2活性化に関連する遺伝子、例えば、IL-10、TGF-β、CD163、またはTREM2の分泌または発現を10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、200%、500%、またはそれ以上増加させることができる物質である。細胞培養培地中の分泌されたサイトカインの濃度を決定するために適切な技術は、例えば、当技術分野で公知の酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)である。加えて、目的の遺伝子の発現を定量化するために使用することができる技術には、限定されないが、当技術分野で公知の定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)アッセイが含まれる。
【0087】
本明細書で使用する場合、「モノシストロニック」という用語は、単一のタンパク質またはポリペプチド産物のコーディング配列を含むRNAまたはDNA構築物を指す。
【0088】
本明細書で使用する場合、「骨髄破壊的」または「骨髄破壊」という用語は、典型的には細胞毒性薬(例えば、ブスルファン)または放射線への曝露により、造血系を実質的に損傷または破壊する前処置レジメンを指す。骨髄破壊は、造血系を破壊する高用量の細胞毒性剤または全身照射によりもたらされる完全な骨髄破壊を含む。
【0089】
本明細書で使用する場合、「非骨髄破壊性」または「骨髄抑制性」という用語は、宿主起源の実質的にすべての造血細胞を排除しない前処置レジメンを指す。
【0090】
本明細書で使用する場合、「ポリシストロニック」という用語は、1種よりも多いタンパク質またはポリペプチド産物のコーディング配列を含むRNAまたはDNA構築物を指す。例示的なポリシストロニックベクターには、WO1993/003143、Ryan and Drew, EMBO Journal 13:928 (1994)、Szymczak and Vignali, Expert Opin Biol Ther. 5:627 (2005)、Szymczak et al., Nat Biotechnol. 22:589 (2004)、及びOsborn et al., Molecular Therapy 12:569 (2005)に記載のものが含まれる。
【0091】
本明細書で使用する場合、「多能性細胞」という用語は、造血細胞系(例えば、顆粒球(例えば、前骨髄球、好中球、好酸球、好塩基球)、赤血球(例えば、網状赤血球、赤血球)、血小板(例えば、巨核芽球、血小板産生巨核球、血小板)、単球(例えば、単球、マクロファージ)、樹状細胞、ミクログリア、破骨細胞、及びリンパ球(例えば、NK細胞、B細胞及びT細胞)の細胞型などの1種よりも多い分化細胞型に成長する能力を有する細胞を指す。多能性細胞の例は、胚性幹細胞(ES細胞)及び人工多能性幹細胞(iPS細胞またはiPSC)である。例示的な多能性細胞は、CD34+細胞である。
【0092】
本明細書で使用する場合、「プラスミド」という用語は、追加のDNAセグメントがライゲートされ得る染色体外環状二本鎖DNA分子を指す。プラスミドはベクターの1種であり、連結している別の核酸を輸送することができる核酸分子である。ある特定のプラスミドは、それらが導入された宿主細胞において自己複製することができる(例えば、細菌起源の複製を有する細菌プラスミド及びエピソーム性哺乳動物プラスミド)。他のベクター(例えば、非エピソーム性哺乳動物ベクター)が、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムに組み込まれてもよく、それにより、宿主ゲノムと共に複製される。ある特定のプラスミドは、それらが作動可能に連結された遺伝子の発現を指示することができる。
【0093】
本明細書で使用する場合、「プロモーター」という用語は、RNAポリメラーゼが結合するDNA上の認識部位を指す。ポリメラーゼは導入遺伝子の転写を駆動する。本明細書に記載の組成物及び方法で使用するために適した例示的なプロモーターは、例えば、その開示が核酸調節エレメントに関係するため、参照により本明細書に組み込まれるSandelin et al., Nature Reviews Genetics 8:424 (2007)に記載されている。
【0094】
参照ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列に関する「配列同一性パーセント(%)」は、配列をアラインさせ、必要に応じてギャップを導入して、最大配列同一性パーセントを達成した後に、参照ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列における核酸またはアミノ酸と同一である候補配列における核酸またはアミノ酸のパーセンテージと定義される。核酸及びアミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的でのアラインメントは、当業者の能力の範囲内である様々な方式で、例えばBLAST、BLAST-2、またはMegalignソフトウェアなどの公共利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して達成することができる。当業者は、比較されている配列の全長にわたって最大のアラインメントを得るために必要とされる任意のアルゴリズムを含む、配列をアラインするために適切なパラメータを決定することができる。例えば、配列同一性パーセント値を、配列比較コンピュータープログラムBLASTを使用して生成することができる。一例示として、所与の核酸またはアミノ酸配列Bに対する、それとの、またはそれと対比した、所与の核酸またはアミノ酸配列Aの配列同一性パーセント(代替的に、所与の核酸またはアミノ酸配列Bに対する、それとの、またはそれと対比したある特定の配列同一性パーセントを有する所与の核酸またはアミノ酸配列Aとも表現され得る)は、次のように算出される:
100掛ける(分数X/Y)
ここで、Xは、A及びBのプログラムのアラインメントで、配列アラインメントプログラム(例えば、BLAST)により同一のマッチとしてスコア付けされたヌクレオチドまたはアミノ酸の数であり、Yは、Bの核酸の総数である。核酸またはアミノ酸配列Aの長さが核酸またはアミノ酸配列Bの長さに等しくない場合、Bに対するAの配列同一性パーセントは、Aに対するBの配列同一性パーセントに等しくないことは分かるであろう。
【0095】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される」という用語は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題となる合併症を伴うことなく哺乳動物(例えば、ヒト)などの対象の組織と接触させるために適した、妥当なベネフィット/リスク比に見合う化合物、材料、組成物及び/または剤形を指す。
【0096】
本明細書で使用する場合、強力な「ApoE由来の受容体結合ペプチド(Rb)」は、融合タンパク質として操作された場合、タンパク質をBBBを超えて脳に移動させる能力を有する。したがって、この方法は、融合タンパク質として操作された場合、治療薬(例えば、可溶性GBA)のためにBBBを選択的に開けるように機能し得る。このペプチドは、ApoEタンパク質全体ではなく、ApoEのRbドメインを利用するため、生物学的機能を危険にさらしたり、またはApoEの重要な生物学的機能を妨害したりすることなく、診断薬または治療薬に容易に結合させることができる。この経路はまた、脳実質におけるLDLRfメンバーの広範な発現により、薬剤がCNSに到達した後のさらなる/二次的脳内分布を促進することができる代替の取り込み経路である。例示的なRbドメインは、ApoEのN末端において見い出され得る。例えば、本明細書に記載の組成物及び方法と併せて有用なRbドメインは、配列番号21の残基1~191のアミノ酸配列、配列番号21の残基25~185、配列番号21の残基50~180、配列番号21の残基75~175、配列番号21の残基100~170、または配列番号21の残基125~165を有するポリペプチド、さらにはこれらの配列のいずれかに関して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するポリペプチドなどのそのバリアントである。例示的なRbドメインは、配列番号21の残基159~167のアミノ酸配列を有するApoEの領域である。
【0097】
本明細書で使用する場合、「調節配列」という用語には、抗体鎖遺伝子の転写または翻訳を制御するプロモーター、エンハンサー及び他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)が含まれる。そのような調節配列は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるGoeddel, Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185 (Academic Press, San Diego, CA, (1990))に記載されている。
【0098】
本明細書で使用する場合、「サンプル」という用語は、対象から単離された検体(例えば、血液、血液成分(例えば、血清または血漿))、尿、唾液、羊水、脳脊髄液、組織(例えば、胎盤または皮膚)、膵液、絨毛膜絨毛サンプル、及び細胞)を指す。
【0099】
本明細書で使用する場合、「分泌シグナルペプチド」という用語は、前駆体タンパク質の分泌物を宿主の細胞質から細胞周辺腔または細胞外腔へと向ける、前駆体タンパク質内の短い(通常は16~60アミノ酸)ペプチド領域を指す。そのような分泌シグナルペプチドは一般に、前駆体タンパク質のアミノ末端に配置される。一部の実施形態では、分泌シグナルペプチドは、アミノ末端に連結されており、それが連結されているタンパク質に対して異種であってもよい。典型的には、分泌シグナルペプチドは、細胞分泌経路を通過する間に切断される。分泌されたタンパク質がその望ましい活性を保持している限り、切断は必須ではない。例示的な分泌シグナルペプチドには、IGF-II、アルファ-1アンチトリプシン、及びGBAからのものが含まれる。
【0100】
本明細書で使用する場合、「シグナルペプチド」という用語は、成熟タンパク質には典型的には存在しない、前駆体タンパク質に(典型的にはN末端に)存在する短い(通常は16~60アミノ酸)ポリペプチドを指す。シグナルペプチドは、細胞膜を介しての翻訳されたタンパク質の輸送を指示する。シグナルペプチドは、ターゲティングシグナル、トランジットペプチド、ローカリゼーションシグナル、またはシグナル配列とも呼ばれる。例えば、シグナル配列は、同時翻訳または翻訳後シグナルペプチドであってもよい。例示的なシグナルペプチドには、GBAシグナルペプチドが含まれる(例えば、参照により本明細書に組み込まれるSorge et al., Am. J. Hum. Genet. 41:1016-1024 (1987)に記載されているとおりの39アミノ酸GBAシグナルペプチド)。
【0101】
本明細書で使用する場合、「幹細胞」及び「未分化細胞」という用語は、複数の細胞型に分化する発生能を有する未分化または部分的に分化した状態の細胞を指す。幹細胞は、その機能的可能性を維持しながら増殖して、より多くのそのような幹細胞を生じさせることができる。幹細胞は非対称的に分裂することができ、これは義務的非対称分化として知られ、一方の娘細胞は親幹細胞の機能的能力を保持し、他方の娘細胞は、親細胞とは多少異なる他の特異的な機能、表現型及び/または発生能を発現する。親の発生能を有する1つまたは複数の細胞も保持しながら増殖し、かつ1つまたは複数の成熟した細胞タイプに後で分化する後代を生じるように、娘細胞そのものを誘導することができる。分化細胞は、それ自体が多能性細胞に由来する多能性細胞などに由来してもよい。別法では、集団中の幹細胞の一部は2つの幹細胞に対称的に分裂することができる。したがって、「幹細胞」という用語は、特定の状況下では、より特殊化または分化した表現型に分化する発生能を有し、ある特定の状況下では、実質的に分化することなく増殖する能力を保持している細胞の任意のサブセットを指す。一部の実施形態では、幹細胞という用語は一般的に、その子孫(子孫細胞)が、分化によって、例えば、胚細胞及び組織の徐々に進行する多様化において起こるように、完全にそれぞれ異なる特徴を獲得することによって特殊化する、多くの場合に種々の方向に特殊化する、天然に存在する親細胞を指す。一部の分化細胞は、より優れた発生能の細胞を生じる能力も持つ。このような能力は天然でもよいし、または様々な因子で処理することで人為的に誘導されてもよい。幹細胞として始まった細胞は、分化表現型に進み得るが、「逆戻り」させ、次いで、幹細胞表現型を再発現するように誘導することができ、この用語は、当業者によって「脱分化」または「リプログラミング」または「逆分化」と呼ばれることが多い。
【0102】
本明細書で使用する場合、「トランスフェクション」という用語は、外因性DNAを原核生物または真核生物の宿主細胞に導入するために一般に使用される多種多様な技術のいずれか、例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション、リン酸カルシウム沈殿、DEAE-デキストラントランスフェクション、Nucleofection、スクイーズ-ポレーション、ソノポレーション、光学トランスフェクション、Magnetofection、インペールフェクションなどを指す。
【0103】
本明細書で使用する場合、「導入遺伝子」という用語は、遺伝子産物(例えば、GBA)をコードする組換え核酸(例えば、DNAまたはcDNA)を指す。遺伝子産物は、RNA、ペプチド、またはタンパク質であり得る。遺伝子産物のコード領域に加えて、導入遺伝子は、プロモーター、エンハンサー(複数可)、不安定化ドメイン(複数可)、応答エレメント(複数可)、レポーターエレメント(複数可)、インスレーターエレメント(複数可)、ポリアデニル化シグナル(複数可)及び/または他の機能エレメントなどの発現を促進または増強する1つまたは複数のエレメントを含むか、またはそれらに作動可能に連結していてもよい。本発明の実施形態は、任意の公知の適切なプロモーター、エンハンサー(複数可)、不安定化ドメイン(複数可)、応答エレメント(複数可)、レポーターエレメント(複数可)、インスレーターエレメント(複数可)、ポリアデニル化シグナル(複数可)、及び/または他の機能的エレメントを利用してもよい。
【0104】
本明細書で使用する場合、「対象」または「患者」という用語は、動物(例えば、ヒトなどの哺乳動物)を指す。本明細書に記載の方法に従って処置される対象は、パーキンソン病もしくはGBA関連パーキンソン病と診断されている対象、またはこれらの状態を発症するリスクのある対象であり得る。診断は、当技術分野で公知の任意の方法または技法により行うことができる。当業者は、本開示に従って処置される対象が、標準検査を受けていてもよいし、または検査なしに、病気や状態に関連する1つまたは複数のリスク因子の存在によってリスクのあるものとして同定されていてもよいことを理解するであろう。
【0105】
本明細書で使用する場合、「形質導入」及び「形質導入する」という用語は、ベクター構築物またはその一部を細胞に導入する方法を指す。ベクター構築物が、例えばレンチウイルスベクターなどのウイルスベクターに含まれる場合、形質導入は、細胞のウイルス感染、及びその後のベクター構築物またはその一部の細胞ゲノムへの移入及び組み込みを指す。
【0106】
本明細書で使用する場合、疾患または状態に関連する「処置」または「処置する」は、有益または所望の結果、例えば臨床結果を得るためのアプローチを指す。有益または所望の結果には、限定されないが、検出可能または検出不可能にかかわらず、1つまたは複数の症状または状態の緩和または改善;疾患または状態の程度の縮小;疾患、障害、または状態の状況の安定化(すなわち、悪化しない);疾患または状態の進展の予防;疾患または状態の進行の遅延または減速;疾患または状態の改善または緩和;及び寛解(部分的か、または完全かにかかわらず)が含まれる。疾患または状態を「改善すること」または「緩和すること」は、処置がない場合の程度または時間経過と比較して、疾患、障害、または状態の程度及び/または望ましくない臨床兆候が減少し、及び/または進行の時間経過が減速または延長されることを意味する。「処置」はまた、処置を受けない場合に予想される生存期間と比較して、生存期間を延長することも意味し得る。処置を必要とする者には、状態もしくは障害を既に有する者、さらには状態もしくは障害を有し易い者、または病態もしくは障害を予防する必要がある者が含まれる。
【0107】
本明細書で使用する場合、「ベクター」という用語には、核酸ベクター、例えば、プラスミドなどのDNAベクター、RNAベクター、ウイルス、または他の適切なレプリコン(例えば、ウイルスベクター)が含まれる。外因性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを原核細胞または真核細胞に送達するための様々なベクターが開発されている。そのような発現ベクターの例は、例えば、目的の遺伝子の発現に適したベクターに関連するため、参照により本明細書に組み込まれるWO1994/011026に開示されている。本明細書に記載の組成物及び方法での使用に適した発現ベクターは、ポリヌクレオチド配列、さらには例えば、タンパク質の発現及び/またはこれらのポリヌクレオチド配列の哺乳動物細胞のゲノムへの組み込みに使用される追加の配列エレメントを含む。本明細書に記載のGBA及びM2促進物質の発現に使用することができる、ある特定のベクターには、プロモーター及びエンハンサー領域など、遺伝子転写を指示する調節配列を含むプラスミドが含まれる。GBA及びM2促進物質の発現のための他の有用なベクターは、これらの遺伝子の翻訳速度を高める、または遺伝子転写から生じるmRNAの安定性もしくは核外輸送を改善するポリヌクレオチド配列を含む。これらの配列エレメントには、例えば、発現ベクターで運ばれる遺伝子の効率的な転写を指示するために、5’及び3’非翻訳領域、内部リボソーム進入部位(IRES)、及びポリアデニル化シグナル部位が含まれる。本明細書に記載の組成物及び方法で使用するために適した発現ベクターはまた、そのようなベクターを含む細胞を選択するためのマーカーをコードするポリヌクレオチドを含んでもよい。適切なマーカーの例は、アンピシリン、クロラムフェニコール、カナマイシン、ヌーセオトリシン、またはゼオシンなどの抗生物質に対する抵抗性をコードする遺伝子である。
【0108】
詳細な説明
対象(哺乳動物対象、例えば、ヒトなど)におけるパーキンソン病(PD)を処置するための組成物及び方法を本明細書では記載する。本明細書に記載の組成物及び方法を使用して、グルコセレブロシダーゼ(GBA)をコードする導入遺伝子を発現するCD34+細胞などの多能性細胞を投与することにより、対象(例えば、ヒト対象)におけるパーキンソン病(例えば、GBA関連パーキンソン病)を処置することができる。例えば、GBAを発現するようにエクスビボで改変された多能性細胞を含む組成物を本明細書では記載する。以下のセクションでは、パーキンソン病を処置するために有用な組成物及び方法をさらに詳細に記載する。
【0109】
パーキンソン病
PDは運動に影響を及ぼす進行性の障害であり、アルツハイマー病に次いで2番目に多い神経変性疾患として認識されている。PDに共通する症状には、安静時振戦、硬直、及び運動緩慢が含まれ、うつ病、便秘、疼痛、睡眠障害、泌尿生殖器系の問題、認知機能の低下、及び嗅覚障害などの非運動症状もますます、PDに関連づけられている。PDの重要な特徴は、黒質緻密部におけるドーパミン作動性ニューロンの死滅であり、そのため、PDの最新の処置はドーパミンの増加に焦点を当てている。PDの別の周知の神経病理学的特徴は、PDによる影響を受けた脳領域にα-シヌクレインを含むレビー小体が存在することであり、これが、この疾患に寄与していると考えられている。
【0110】
PDは、遺伝的及び環境的リスク因子の組み合わせから生じると考えられている。パーキンソン病のすべての症例の原因となる単一の遺伝子はなく、PD症例の大部分は散発性であり、直接的に遺伝しないようである。パーキン、PTEN誘発推定キナーゼ1(PINK1)、ロイシンリッチリピートキナーゼ2(LRRK2)、及びパーキンソニズム関連デグリカーゼ(DJ-1)をコードする遺伝子の変異が、PDに関連していることが見い出されているが、それらはPD症例の総数のうちの小さなサブセットを表しているに過ぎない。一部の農薬及び除草剤への職業上の暴露も、PDのリスク因子として提案されている。合成神経毒MPTPはパーキンソン症候群を引き起こし得るが、その使用は非常にまれである。
【0111】
GBA関連パーキンソン病
最近の研究では、GBA遺伝子の変異とPDのリスクの増加との関連が示されており、その際、より重度の変異がより高レベルのリスクをもたらす。グルコセレブロシダーゼは、グルコセレブロシド(グルコシルセラミドとしても公知)のグルコースとセラミドへの代謝を担うリソソーム酵素である。これは、特にマクロファージ/単球細胞系統においてスフィンゴ脂質の分解に重要な役割を果たす。PD患者の黒質、小脳、及び尾状核において、GBA活性の低下が報告されているが、GBA活性が年齢とともに低下することも示されている(PDにおけるGBA活性に関連するため、参照により本明細書に組み込まれるAlcalay et al., Brain 138:2648 (2015)を参照されたい)。重度の病原性変異にはc.84GGIns、IVS2+1G>A、p.V394L、p.D409H、p.L444P、及びRecTLが含まれ、これらは、PD発症のオッズ比9.92~21.29につながっている。軽度のGBA変異p.N370S及びp.R496Hは、PD発症のオッズ比2.84~4.94につながっている。変異p.E326KもPDリスク因子として同定されている。GBA変異は、それらの開示がヒトGBA変異に関与するため、参照により本明細書に組み込まれるBarkhuizen et al., Neurochemistry International 93:6 (2016)及びSidransky and Lopez, Lancet Neurol. 11:986 (2012)において論述されている。これらの変異はまた、変異タンパク質がERにトラップされるときに、小胞体(ER)ストレスを活性化することによる毒性機能の獲得も誘発し得る。GBA変異を伴うPD脳ではERストレスのマーカーが上昇し、ERカルシウム貯蔵の調節不全が、PDに関連するGBA変異を含む細胞モデルで報告されている。加えて、これらの変異体は、神経細胞における分解されるべきミスフォールディングされたポリペプチドの総負担を増加させ、細胞資源の転用により細胞機能の変化をもたらし得る。毒性機能の獲得及び/または細胞資源の転換による細胞機能の変化をもたらすGBA変異は、それらの開示がヒトGBA変異に関係するため、参照により本明細書に組み込まれるGregg et al., Ann. Neurol. 72:455-463 (2012)、Schondorf et al., Nat. Commun. 5:4028 (2014)、Kilpatrick et al., Cell Calcuim. 59:12-20 (2016)、及びCullen et al., Ann. Neurol.69:940-953 (2011)において論述されている。それらの開示がGBAとα-シヌクレインとの間の関係に関連するため、参照により本明細書に開示されるRocha et al., Antioxidants & Redox Signaling 23: 550 (2015)及びRocha et al., Neurobiology of Disease 82:495 (2015)に記載されてるとおり、PDのげっ歯類モデルにおける研究では、GBA活性とα-シヌクレイン蓄積との関連も示唆されている。
【0112】
パーキンソン病の処置は、長い間ドーパミンの補充に焦点を当てていた。疾患の症状を処置しているだけのこれらの処置とは異なり、本明細書に記載の組成物及び方法は、パーキンソン病の発症の根底にあり得る別の生化学的現象を処置するという利点を提供する。したがって、本明細書に記載の組成物及び方法は、疾患の生理学的原因をターゲティングし、治癒的治療の可能性を表す。本明細書に記載の組成物及び方法は、GBAを発現する多能性細胞(例えば、CD34+細胞)を投与することにより、PDを処置するために使用することができる。これらの組成物及び方法を使用すると、いずれの病因、例えば、遺伝子変異、環境毒素、または散発性によるパーキンソン病も処置することができる。これらの組成物及び方法はまた、GBA関連PD、例えばGBA遺伝子の変異に関連するPDを有する患者を処置するために使用することもできる。本明細書に記載の組成物及び方法は、正常なGBA活性、低下したGBA活性を有する患者、及びそのGBA変異状態及び/またはGBA活動レベルが不明な患者を処置するために使用することができる。本明細書に記載の組成物及び方法は、パーキンソン病を発症するリスクのある患者、例えばGBA変異を有する患者、GBA活性が低下した患者、またはパーキン、PINK1、LRRK2、またはDJ-1をコードする遺伝子のうちの1つまたは複数に変異を有する患者に予防的処置として投与することもできる。PDに罹患している患者に投与される細胞は、GBAに加えて、1つまたは複数のM2促進物質を発現してもよい。
【0113】
本明細書に記載の組成物及び方法と組み合わせて使用することができるGBAをコードする構築物は、野生型GBAをコードするポリヌクレオチド(そのアミノ酸配列は配列番号1として下に示されている)またはそのバリアント、例えば、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む導入遺伝子を含む。一部の実施形態では、GBAをコードする構築物は、配列番号1の残基76~381及び416~430を含むドメインなど、GBAの触媒ドメインをコードするポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、GBAをコードする構築物は、配列番号6の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、GBAをコードする構築物は、配列番号3の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するコドン最適化ポリヌクレオチドであってもよく、それにより、内因性GBAに向けられたヌクレアーゼ及び阻害性RNAによる分解に対する抵抗性を付与する。一部の実施形態では、GBAをコードする導入遺伝子は、GBA融合タンパク質をコードする。一部の実施形態では、GBA融合タンパク質は、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、GBA融合タンパク質は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、GBA融合タンパク質は、配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、GBA融合タンパク質をコードする導入遺伝子は、配列番号8の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性)を有する核酸配列を有する。一部の実施形態では、GBA融合タンパク質をコードする導入遺伝子は、配列番号9の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性)を有する核酸配列を有する。一部の実施形態において、GBA融合タンパク質をコードする導入遺伝子は、配列番号10の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性)を有する核酸配列を有する。
【0114】
野生型ヒトGBA(GenBankアクセッション番号:AAC63056.1)は、以下のアミノ酸配列を有する:
MEFSSPSREECPKPLSRVSIMAGSLTGLLLLQAVSWASGARPCIPKSFGYSSVVCVCNATYCDSFDPPTFPALGTFSRYESTRSGRRMELSMGPIQANHTGTGLLLTLQPEQKFQKVKGFGGAMTDAAALNILALSPPAQNLLLKSYFSEEGIGYNIIRVPMASCDFSIRTYTYADTPDDFQLHNFSLPEEDTKLKIPLIHRALQLAQRPVSLLASPWTSPTWLKTNGAVNGKGSLKGQPGDIYHQTWARYFVKFLDAYAEHKLQFWAVTAENEPSAGLLSGYPFQCLGFTPEHQRDFIARDLGPTLANSTHHNVRLLMLDDQRLLLPHWAKVVLTDPEAAKYVHGIAVHWYLDFLAPAKATLGETHRLFPNTMLFASEACVGSKFWEQSVRLGSWDRGMQYSHSIITNLLYHVVGWTDWNLALNPEGGPNWVRNFVDSPIIVDITKDTFYKQPMFYHLGHFSKFIPEGSQRVGLVASQKNDLDAVALMHPDGSAVVVVLNRSSKDVPLTIKDPAVGFLETISPGYSIHTYLWRRQ(配列番号1)
【0115】
GBA融合タンパク質は、以下のアミノ酸配列を有する:
MEFSSPSREECPKPLSRVSIMAGSLTGLLLLQAVSWASGARPCIPKSFGYSSVVCVCNATYCDSFDPPTFPALGTFSRYESTRSGRRMELSMGPIQANHTGTGLLLTLQPEQKFQKVKGFGGAMTDAAALNILALSPPAQNLLLKSYFSEEGIGYNIIRVPMASCDFSIRTYTYADTPDDFQLHNFSLPEEDTKLKIPLIHRALQLAQRPVSLLASPWTSPTWLKTNGAVNGKGSLKGQPGDIYHQTWARYFVKFLDAYAEHKLQFWAVTAENEPSAGLLSGYPFQCLGFTPEHQRDFIARDLGPTLANSTHHNVRLLMLDDQRLLLPHWAKVVLTDPEAAKYVHGIAVHWYLDFLAPAKATLGETHRLFPNTMLFASEACVGSKFWEQSVRLGSWDRGMQYSHSIITNLLYHVVGWTDWNLALNPEGGPNWVRNFVDSPIIVDITKDTFYKQPMFYHLGHFSKFIPEGSQRVGLVASQKNDLDAVALMHPDGSAVVVVLNRSSKDVPLTIKDPAVGFLETISPGYSIHTYLWRRQGGGGAGGGGAGGGGAGGGGAGGGPSLCGGELVDTLQFVCGDRGFYFSRPASRVSARSRGIVEECCFRSCDLALLETYCATPAKSE(配列番号2)
【0116】
別法では、GBA融合タンパク質は、以下のアミノ酸配列を有する:
MEFSSPSREECPKPLSRVSIMAGSLTGLLLLQAVSWASGARPCIPKSFGYSSVVCVCNATYCDSFDPPTFPALGTFSRYESTRSGRRMELSMGPIQANHTGTGLLLTLQPEQKFQKVKGFGGAMTDAAALNILALSPPAQNLLLKSYFSEEGIGYNIIRVPMASCDFSIRTYTYADTPDDFQLHNFSLPEEDTKLKIPLIHRALQLAQRPVSLLASPWTSPTWLKTNGAVNGKGSLKGQPGDIYHQTWARYFVKFLDAYAEHKLQFWAVTAENEPSAGLLSGYPFQCLGFTPEHQRDFIARDLGPTLANSTHHNVRLLMLDDQRLLLPHWAKVVLTDPEAAKYVHGIAVHWYLDFLAPAKATLGETHRLFPNTMLFASEACVGSKFWEQSVRLGSWDRGMQYSHSIITNLLYHVVGWTDWNLALNPEGGPNWVRNFVDSPIIVDITKDTFYKQPMFYHLGHFSKFIPEGSQRVGLVASQKNDLDAVALMHPDGSAVVVVLNRSSKDVPLTIKDPAVGFLETISPGYSIHTYLWRRQGAPGGGSPAPAPTPAPAPTPAPAGGGPSGAPLCGGELVDTLQFVCGDRGFYFSRPASRVSARSRGIVEECCFRSCDLALLETYCATPAKSE(配列番号3)
【0117】
別法では、GBA融合タンパク質は、以下のアミノ酸配列を有する:
MEFSSPSREECPKPLSRVSIMAGSLTGLLLLQAVSWASGARPCIPKSFGYSSVVCVCNATYCDSFDPPTFPALGTFSRYESTRSGRRMELSMGPIQANHTGTGLLLTLQPEQKFQKVKGFGGAMTDAAALNILALSPPAQNLLLKSYFSEEGIGYNIIRVPMASCDFSIRTYTYADTPDDFQLHNFSLPEEDTKLKIPLIHRALQLAQRPVSLLASPWTSPTWLKTNGAVNGKGSLKGQPGDIYHQTWARYFVKFLDAYAEHKLQFWAVTAENEPSAGLLSGYPFQCLGFTPEHQRDFIARDLGPTLANSTHHNVRLLMLDDQRLLLPHWAKVVLTDPEAAKYVHGIAVHWYLDFLAPAKATLGETHRLFPNTMLFASEACVGSKFWEQSVRLGSWDRGMQYSHSIITNLLYHVVGWTDWNLALNPEGGPNWVRNFVDSPIIVDITKDTFYKQPMFYHLGHFSKFIPEGSQRVGLVASQKNDLDAVALMHPDGSAVVVVLNRSSKDVPLTIKDPAVGFLETISPGYSIHTYLWRRQGAPGGSPAGSPTSTEEGTSESATPESGPGTSTEPSEGSAPGSPAGSPTSTGPSGAPLCGGELVDTLQFVCGDRGFYFSRPASRVSARSRGIVEECCFRSCDLALLETYCATPAKSE(配列番号4)
【0118】
改変シグナルペプチド配列を有するGBAタンパク質は、以下のアミノ酸配列を有する:
MGIPMGKSMLVLLTFLAFASCCIAARPCIPKSFGYSSVVCVCNATYCDSFDPPTFPALGTFSRYESTRSGRRMELSMGPIQANHTGTGLLLTLQPEQKFQKVKGFGGAMTDAAALNILALSPPAQNLLLKSYFSEEGIGYNIIRVPMASCDFSIRTYTYADTPDDFQLHNFSLPEEDTKLKIPLIHRALQLAQRPVSLLASPWTSPTWLKTNGAVNGKGSLKGQPGDIYHQTWARYFVKFLDAYAEHKLQFWAVTAENEPSAGLLSGYPFQCLGFTPEHQRDFIARDLGPTLANSTHHNVRLLMLDDQRLLLPHWAKVVLTDPEAAKYVHGIAVHWYLDFLAPAKATLGETHRLFPNTMLFASEACVGSKFWEQSVRLGSWDRGMQYSHSIITNLLYHVVGWTDWNLALNPEGGPNWVRNFVDSPIIVDITKDTFYKQPMFYHLGHFSKFIPEGSQRVGLVASQKNDLDAVALMHPDGSAVVVVLNRSSKDVPLTIKDPAVGFLETISPGYSIHTYLWRRQ(配列番号5)
【0119】
野生型ヒトGBA(GenBankアクセッション番号:M19285.1)は、以下の核酸配列を有する:
GCTAACCTAGTGCCTATAGCTAAGGCAGGTACCTGCATCCTTGTTTTTGTTTAGTGGATCCTCTATCCTTCAGAGACTCTGGAACCCCTGTGGTCTTCTCTTCATCTAATGACCCTGAGGGGATGGAGTTTTCAAGTCCTTCCAGAGAGGAATGTCCCAAGCCTTTGAGTAGGGTAAGCATCATGGCTGGCAGCCTCACAGGTTTGCTTCTACTTCAGGCAGTGTCGTGGGCATCAGGTGCCCGCCCCTGCATCCCTAAAAGCTTCGGCTACAGCTCGGTGGTGTGTGTCTGCAATGCCACATACTGTGACTCCTTTGACCCCCCGACCTTTCCTGCCCTTGGTACCTTCAGCCGCTATGAGAGTACACGCAGTGGGCGACGGATGGAGCTGAGTATGGGGCCCATCCAGGCTAATCACACGGGCACAGGCCTGCTACTGACCCTGCAGCCAGAACAGAAGTTCCAGAAAGTGAAGGGATTTGGAGGGGCCATGACAGATGCTGCTGCTCTCAACATCCTTGCCCTGTCACCCCCTGCCCAAAATTTGCTACTTAAATCGTACTTCTCTGAAGAAGGAATCGGATATAACATCATCCGGGTACCCATGGCCAGCTGTGACTTCTCCATCCGCACCTACACCTATGCAGACACCCCTGATGATTTCCAGTTGCACAACTTCAGCCTCCCAGAGGAAGATACCAAGCTCAAGATACCCCTGATTCACCGAGCCCTGCAGTTGGCCCAGCGTCCCGTTTCACTCCTTGCCAGCCCCTGGACATCACCCACTTGGCTCAAGACCAATGGAGCGGTGAATGGGAAGGGGTCACTCAAGGGACAGCCCGGAGACATCTACCACCAGACCTGGGCCAGATACTTTGTGAAGTTCCTGGATGCCTATGCTGAGCACAAGTTACAGTTCTGGGCAGTGACAGCTGAAAATGAGCCTTCTGCTGGGCTGTTGAGTGGATACCCCTTCCAGTGCCTGGGCTTCACCCCTGAACATCAGCGAGACTTCATTGCCCGTGACCTAGGTCCTACCCTCGCCAACAGTACTCACCACAATGTCCGCCTACTCATGCTGGATGACCAACGCTTGCTGCTGCCCCACTGGGCAAAGGTGGTACTGACAGACCCAGAAGCAGCTAAATATGTTCATGGCATTGCTGTACATTGGTACCTGGACTTTCTGGCTCCAGCCAAAGCCACCCTAGGGGAGACACACCGCCTGTTCCCCAACACCATGCTCTTTGCCTCAGAGGCCTGTGTGGGCTCCAAGTTCTGGGAGCAGAGTGTGCGGCTAGGCTCCTGGGATCGAGGGATGCAGTACAGCCACAGCATCATCACGAACCTCCTGTACCATGTGGTCGGCTGGACCGACTGGAACCTTGCCCTGAACCCCGAAGGAGGACCCAATTGGGTGCGTAACTTTGTCGACAGTCCCATCATTGTAGACATCACCAAGGACACGTTTTACAAACAGCCCATGTTCTACCACCTTGGCCACTTCAGCAAGTTCATTCCTGAGGGCTCCCAGAGAGTGGGGCTGGTTGCCAGTCAGAAGAACGACCTGGACGCAGTGGCACTGATGCATCCCGATGGCTCTGCTGTTGTGGTCGTGCTAAACCGCTCCTCTAAGGATGTGCCTCTTACCATCAAGGATCCTGCTGTGGGCTTCCTGGAGACAATCTCACCTGGCTACTCCATTCACACCTACCTGTGGCATCGCCAGTGATGGAGCAGATACTCAAGGAGGCACTGGGCTCAGCCTGGGCATTAAAGGGACAGAGTCAGCTCACACGCTGTCTGTGACTAAAGAGGGCACAGCAGGGCCAGTGTGAGCTTACAGCGACGTAAGCCCAGGGGCAATGGTTTGGGTGACTCACTTTCCCCTCTAGGTGGTGCCCAGGGCTGGAGGCCCCTAGAAAAAGATCAGTAAGCCCCAGTGTCCCCCCAGCCCCCATGCTTATGTGAACATGCGCTGTGTGCTGCTTGCTTTGGAAACTNGCCTGGGTCCAGGCCTAGGGTGAGCTCACTGTCCGTACAAACACAAGATCAGGGCTGAGGGTAAGGAAAAGAAGAGACTAGGAAAGCTGGGCCCAAAACTGGAGACTGTTTGTCTTTCCTAGAGATGCAGAACTGGGCCCGTGGAGCAGCAGTGTCAGCATCAGGGCGGAAGCCTTAAAGCAGCAGCGGGTGTGCCCAGGCACCCAGATGATTCCTATGGCACCAGCCAGGAAAAATGGCAGCTCTTAAAGGAGAAAATGTTTGAGCCCA(配列番号6)
【0120】
コドン最適化GBA構築物は、以下の核酸配列を有する:
ATGGAATTCAGCAGCCCCAGCCGGGAGGAATGCCCCAAGCCCCTGAGCAGAGTGTCCATCATGGCCGGATCTCTGACCGGACTGCTGCTGCTGCAAGCCGTGTCTTGGGCCAGCGGCGCCAGACCTTGCATCCCCAAGAGCTTCGGCTACAGCAGCGTCGTGTGCGTGTGCAACGCCACCTACTGCGACAGCTTCGACCCCCCTACCTTTCCCGCCCTGGGCACCTTCAGCAGATACGAGAGCACCCGCAGCGGCAGACGGATGGAACTGAGCATGGGCCCCATCCAGGCCAATCACACCGGAACCGGCCTGCTGCTGACCCTGCAGCCCGAGCAGAAATTCCAGAAAGTGAAGGGCTTCGGCGGAGCCATGACAGACGCCGCTGCCCTGAACATCCTGGCCCTGAGCCCCCCTGCTCAGAATCTGCTGCTCAAGAGCTACTTCAGCGAGGAAGGCATCGGCTACAACATCATCCGGGTGCCCATGGCTAGCTGCGACTTCAGCATCCGGACCTACACCTACGCCGACACCCCCGACGACTTCCAGCTGCACAACTTCAGCCTGCCCGAAGAGGACACCAAGCTGAAGATCCCCCTGATCCACAGAGCCCTGCAGCTGGCCCAGAGGCCTGTGTCTCTGCTGGCTAGCCCTTGGACCAGCCCCACCTGGCTGAAAACCAACGGAGCCGTGAACGGCAAGGGCAGCCTGAAGGGCCAGCCCGGCGACATCTACCACCAGACCTGGGCCCGGTACTTCGTGAAGTTCCTGGACGCCTATGCCGAGCACAAGCTGCAGTTCTGGGCCGTGACCGCCGAGAATGAGCCTAGCGCTGGACTGCTGTCCGGCTACCCCTTCCAATGCCTGGGCTTCACACCCGAGCACCAGCGGGACTTTATCGCCAGAGATCTGGGCCCCACACTGGCCAACAGCACCCACCACAACGTGCGGCTGCTGATGCTGGACGACCAGAGACTGCTGCTCCCCCACTGGGCCAAGGTGGTGCTGACAGACCCCGAGGCCGCCAAATACGTCCACGGGATTGCCGTGCACTGGTATCTGGACTTTCTGGCCCCTGCCAAGGCCACACTGGGCGAGACACACCGGCTGTTCCCCAACACCATGCTGTTCGCCAGCGAGGCCTGCGTGGGCAGCAAGTTCTGGGAGCAGAGCGTGCGGCTGGGCAGCTGGGACAGAGGCATGCAGTACAGCCACAGCATCATCACCAACCTGCTGTACCACGTCGTGGGCTGGACCGACTGGAATCTGGCCCTGAACCCTGAGGGAGGACCCAACTGGGTCCGCAACTTCGTGGACAGCCCCATCATCGTGGACATCACCAAGGACACCTTCTACAAGCAGCCCATGTTCTACCACCTGGGCCACTTCAGCAAGTTCATCCCCGAGGGCAGCCAGAGAGTGGGACTGGTCGCCAGCCAGAAGAACGATCTGGACGCCGTGGCCCTGATGCACCCTGATGGCAGCGCTGTGGTGGTGGTCCTGAATCGGTCCAGCAAGGACGTGCCCCTGACCATCAAGGACCCCGCCGTGGGCTTCCTGGAAACCATCAGCCCCGGCTACTCCATCCACACCTACCTGTGGCGGAGACAATGA(配列番号7)
【0121】
コドン最適化GBA融合タンパク質構築物は、以下の核酸配列を有する:
ATGGAATTCAGCAGCCCCAGCCGGGAGGAATGCCCCAAGCCCCTGAGCAGAGTGTCCATCATGGCCGGATCTCTGACCGGACTGCTGCTGCTGCAAGCCGTGTCTTGGGCCAGCGGCGCCAGACCTTGCATCCCCAAGAGCTTCGGCTACAGCAGCGTCGTGTGCGTGTGCAACGCCACCTACTGCGACAGCTTCGACCCCCCTACCTTTCCCGCCCTGGGCACCTTCAGCAGATACGAGAGCACCCGCAGCGGCAGACGGATGGAACTGAGCATGGGCCCCATCCAGGCCAATCACACCGGAACCGGCCTGCTGCTGACCCTGCAGCCCGAGCAGAAATTCCAGAAAGTGAAGGGCTTCGGCGGAGCCATGACAGACGCCGCTGCCCTGAACATCCTGGCCCTGAGCCCCCCTGCTCAGAATCTGCTGCTCAAGAGCTACTTCAGCGAGGAAGGCATCGGCTACAACATCATCCGGGTGCCCATGGCTAGCTGCGACTTCAGCATCCGGACCTACACCTACGCCGACACCCCCGACGACTTCCAGCTGCACAACTTCAGCCTGCCCGAAGAGGACACCAAGCTGAAGATCCCCCTGATCCACAGAGCCCTGCAGCTGGCCCAGAGGCCTGTGTCTCTGCTGGCTAGCCCTTGGACCAGCCCCACCTGGCTGAAAACCAACGGAGCCGTGAACGGCAAGGGCAGCCTGAAGGGCCAGCCCGGCGACATCTACCACCAGACCTGGGCCCGGTACTTCGTGAAGTTCCTGGACGCCTATGCCGAGCACAAGCTGCAGTTCTGGGCCGTGACCGCCGAGAATGAGCCTAGCGCTGGACTGCTGTCCGGCTACCCCTTCCAATGCCTGGGCTTCACACCCGAGCACCAGCGGGACTTTATCGCCAGAGATCTGGGCCCCACACTGGCCAACAGCACCCACCACAACGTGCGGCTGCTGATGCTGGACGACCAGAGACTGCTGCTCCCCCACTGGGCCAAGGTGGTGCTGACAGACCCCGAGGCCGCCAAATACGTCCACGGGATTGCCGTGCACTGGTATCTGGACTTTCTGGCCCCTGCCAAGGCCACACTGGGCGAGACACACCGGCTGTTCCCCAACACCATGCTGTTCGCCAGCGAGGCCTGCGTGGGCAGCAAGTTCTGGGAGCAGAGCGTGCGGCTGGGCAGCTGGGACAGAGGCATGCAGTACAGCCACAGCATCATCACCAACCTGCTGTACCACGTCGTGGGCTGGACCGACTGGAATCTGGCCCTGAACCCTGAGGGAGGACCCAACTGGGTCCGCAACTTCGTGGACAGCCCCATCATCGTGGACATCACCAAGGACACCTTCTACAAGCAGCCCATGTTCTACCACCTGGGCCACTTCAGCAAGTTCATCCCCGAGGGCAGCCAGAGAGTGGGACTGGTCGCCAGCCAGAAGAACGATCTGGACGCCGTGGCCCTGATGCACCCTGATGGCAGCGCTGTGGTGGTGGTCCTGAATCGGTCCAGCAAGGACGTGCCCCTGACCATCAAGGACCCCGCCGTGGGCTTCCTGGAAACCATCAGCCCCGGCTACTCCATCCACACCTACCTGTGGCGGAGACAAGGCGGAGGCGGAGCTGGTGGCGGCGGAGCAGGCGGTGGTGGTGCAGGCGGCGGAGGTGCTGGCGGAGGACCATCTCTTTGTGGCGGAGAACTGGTGGACACCCTGCAGTTCGTGTGTGGCGACAGAGGCTTCTACTTTAGCAGACCCGCCAGCAGAGTGTCCGCCAGATCTAGAGGAATCGTGGAAGAGTGCTGCTTCAGAAGCTGCGACCTGGCACTGCTGGAAACCTACTGTGCCACACCAGCCAAGAGCGAGTGATGA(配列番号8)
【0122】
別法では、コドン最適化ヒトGBA融合タンパク質は、以下の核酸配列を有する:
ATGGAATTCAGCAGCCCCAGCCGGGAGGAATGCCCCAAGCCCCTGAGCAGAGTGTCCATCATGGCCGGATCTCTGACCGGACTGCTGCTGCTGCAAGCCGTGTCTTGGGCCAGCGGCGCCAGACCTTGCATCCCCAAGAGCTTCGGCTACAGCAGCGTCGTGTGCGTGTGCAACGCCACCTACTGCGACAGCTTCGACCCCCCTACCTTTCCCGCCCTGGGCACCTTCAGCAGATACGAGAGCACCCGCAGCGGCAGACGGATGGAACTGAGCATGGGCCCCATCCAGGCCAATCACACCGGAACCGGCCTGCTGCTGACCCTGCAGCCCGAGCAGAAATTCCAGAAAGTGAAGGGCTTCGGCGGAGCCATGACAGACGCCGCTGCCCTGAACATCCTGGCCCTGAGCCCCCCTGCTCAGAATCTGCTGCTCAAGAGCTACTTCAGCGAGGAAGGCATCGGCTACAACATCATCCGGGTGCCCATGGCTAGCTGCGACTTCAGCATCCGGACCTACACCTACGCCGACACCCCCGACGACTTCCAGCTGCACAACTTCAGCCTGCCCGAAGAGGACACCAAGCTGAAGATCCCCCTGATCCACAGAGCCCTGCAGCTGGCCCAGAGGCCTGTGTCTCTGCTGGCTAGCCCTTGGACCAGCCCCACCTGGCTGAAAACCAACGGAGCCGTGAACGGCAAGGGCAGCCTGAAGGGCCAGCCCGGCGACATCTACCACCAGACCTGGGCCCGGTACTTCGTGAAGTTCCTGGACGCCTATGCCGAGCACAAGCTGCAGTTCTGGGCCGTGACCGCCGAGAATGAGCCTAGCGCTGGACTGCTGTCCGGCTACCCCTTCCAATGCCTGGGCTTCACACCCGAGCACCAGCGGGACTTTATCGCCAGAGATCTGGGCCCCACACTGGCCAACAGCACCCACCACAACGTGCGGCTGCTGATGCTGGACGACCAGAGACTGCTGCTCCCCCACTGGGCCAAGGTGGTGCTGACAGACCCCGAGGCCGCCAAATACGTCCACGGGATTGCCGTGCACTGGTATCTGGACTTTCTGGCCCCTGCCAAGGCCACACTGGGCGAGACACACCGGCTGTTCCCCAACACCATGCTGTTCGCCAGCGAGGCCTGCGTGGGCAGCAAGTTCTGGGAGCAGAGCGTGCGGCTGGGCAGCTGGGACAGAGGCATGCAGTACAGCCACAGCATCATCACCAACCTGCTGTACCACGTCGTGGGCTGGACCGACTGGAATCTGGCCCTGAACCCTGAGGGAGGACCCAACTGGGTCCGCAACTTCGTGGACAGCCCCATCATCGTGGACATCACCAAGGACACCTTCTACAAGCAGCCCATGTTCTACCACCTGGGCCACTTCAGCAAGTTCATCCCCGAGGGCAGCCAGAGAGTGGGACTGGTCGCCAGCCAGAAGAACGATCTGGACGCCGTGGCCCTGATGCACCCTGATGGCAGCGCTGTGGTGGTGGTCCTGAATCGGTCCAGCAAGGACGTGCCCCTGACCATCAAGGACCCCGCCGTGGGCTTCCTGGAAACCATCAGCCCCGGCTACTCCATCCACACCTACCTGTGGCGGAGACAAGGAGCACCAGGCGGAGGATCTCCAGCTCCTGCTCCTACACCAGCTCCAGCACCGACGCCTGCTCCAGCTGGCGGAGGACCTTCTGGTGCACCTCTTTGTGGCGGAGAGCTGGTGGATACCCTGCAGTTCGTGTGTGGCGACCGGGGCTTCTACTTTAGCAGACCTGCCAGCAGAGTGTCCGCCAGATCTAGAGGCATCGTGGAAGAGTGCTGCTTCAGAAGCTGCGACCTGGCACTGCTGGAAACCTACTGTGCCACACCAGCCAAGAGCGAGTGATGA(配列番号9)
【0123】
別法では、コドン最適化ヒトGBA融合タンパク質は、次の核酸配列を有する:
ATGGAATTCAGCAGCCCCAGCCGGGAGGAATGCCCCAAGCCCCTGAGCAGAGTGTCCATCATGGCCGGATCTCTGACCGGACTGCTGCTGCTGCAAGCCGTGTCTTGGGCCAGCGGCGCCAGACCTTGCATCCCCAAGAGCTTCGGCTACAGCAGCGTCGTGTGCGTGTGCAACGCCACCTACTGCGACAGCTTCGACCCCCCTACCTTTCCCGCCCTGGGCACCTTCAGCAGATACGAGAGCACCCGCAGCGGCAGACGGATGGAACTGAGCATGGGCCCCATCCAGGCCAATCACACCGGAACCGGCCTGCTGCTGACCCTGCAGCCCGAGCAGAAATTCCAGAAAGTGAAGGGCTTCGGCGGAGCCATGACAGACGCCGCTGCCCTGAACATCCTGGCCCTGAGCCCCCCTGCTCAGAATCTGCTGCTCAAGAGCTACTTCAGCGAGGAAGGCATCGGCTACAACATCATCCGGGTGCCCATGGCTAGCTGCGACTTCAGCATCCGGACCTACACCTACGCCGACACCCCCGACGACTTCCAGCTGCACAACTTCAGCCTGCCCGAAGAGGACACCAAGCTGAAGATCCCCCTGATCCACAGAGCCCTGCAGCTGGCCCAGAGGCCTGTGTCTCTGCTGGCTAGCCCTTGGACCAGCCCCACCTGGCTGAAAACCAACGGAGCCGTGAACGGCAAGGGCAGCCTGAAGGGCCAGCCCGGCGACATCTACCACCAGACCTGGGCCCGGTACTTCGTGAAGTTCCTGGACGCCTATGCCGAGCACAAGCTGCAGTTCTGGGCCGTGACCGCCGAGAATGAGCCTAGCGCTGGACTGCTGTCCGGCTACCCCTTCCAATGCCTGGGCTTCACACCCGAGCACCAGCGGGACTTTATCGCCAGAGATCTGGGCCCCACACTGGCCAACAGCACCCACCACAACGTGCGGCTGCTGATGCTGGACGACCAGAGACTGCTGCTCCCCCACTGGGCCAAGGTGGTGCTGACAGACCCCGAGGCCGCCAAATACGTCCACGGGATTGCCGTGCACTGGTATCTGGACTTTCTGGCCCCTGCCAAGGCCACACTGGGCGAGACACACCGGCTGTTCCCCAACACCATGCTGTTCGCCAGCGAGGCCTGCGTGGGCAGCAAGTTCTGGGAGCAGAGCGTGCGGCTGGGCAGCTGGGACAGAGGCATGCAGTACAGCCACAGCATCATCACCAACCTGCTGTACCACGTCGTGGGCTGGACCGACTGGAATCTGGCCCTGAACCCTGAGGGAGGACCCAACTGGGTCCGCAACTTCGTGGACAGCCCCATCATCGTGGACATCACCAAGGACACCTTCTACAAGCAGCCCATGTTCTACCACCTGGGCCACTTCAGCAAGTTCATCCCCGAGGGCAGCCAGAGAGTGGGACTGGTCGCCAGCCAGAAGAACGATCTGGACGCCGTGGCCCTGATGCACCCTGATGGCAGCGCTGTGGTGGTGGTCCTGAATCGGTCCAGCAAGGACGTGCCCCTGACCATCAAGGACCCCGCCGTGGGCTTCCTGGAAACCATCAGCCCCGGCTACTCCATCCACACCTACCTGTGGCGGAGACAAGGAGCACCAGGCGGATCTCCAGCAGGATCTCCAACCTCTACCGAGGAAGGCACAAGCGAGTCTGCCACACCTGAGTCTGGACCTGGCACAAGCACAGAGCCTAGCGAAGGATCTGCCCCAGGTTCTCCTGCCGGCTCTCCTACAAGTACAGGACCTTCTGGCGCTCCACTGTGTGGCGGAGAACTGGTGGATACCCTGCAGTTCGTGTGCGGCGACAGAGGCTTCTACTTTAGCAGACCCGCCAGCAGAGTGTCCGCCAGATCTAGAGGAATCGTGGAAGAGTGCTGCTTCAGAAGCTGCGATCTGGCACTGCTGGAAACCTACTGTGCCACACCAGCCAAGAGCGAGTGATGA
(配列番号10)
【0124】
改変シグナルペプチド配列を有するコドン最適化ヒトGBAは、以下の核酸配列を有する:
ATGGGGATTCCTATGGGCAAGTCTATGCTGGTCCTGCTGACATTTCTGGCCTTCGCTTCATGCTGTATCGCTGCCAGACCTTGCATCCCCAAGAGCTTCGGCTACAGCAGCGTCGTGTGCGTGTGCAACGCCACCTACTGCGACAGCTTCGACCCCCCTACCTTTCCCGCCCTGGGCACCTTCAGCAGATACGAGAGCACCCGCAGCGGCAGACGGATGGAACTGAGCATGGGCCCCATCCAGGCCAATCACACCGGAACCGGCCTGCTGCTGACCCTGCAGCCCGAGCAGAAATTCCAGAAAGTGAAGGGCTTCGGCGGAGCCATGACAGACGCCGCTGCCCTGAACATCCTGGCCCTGAGCCCCCCTGCTCAGAATCTGCTGCTCAAGAGCTACTTCAGCGAGGAAGGCATCGGCTACAACATCATCCGGGTGCCCATGGCTAGCTGCGACTTCAGCATCCGGACCTACACCTACGCCGACACCCCCGACGACTTCCAGCTGCACAACTTCAGCCTGCCCGAAGAGGACACCAAGCTGAAGATCCCCCTGATCCACAGAGCCCTGCAGCTGGCCCAGAGGCCTGTGTCTCTGCTGGCTAGCCCTTGGACCAGCCCCACCTGGCTGAAAACCAACGGAGCCGTGAACGGCAAGGGCAGCCTGAAGGGCCAGCCCGGCGACATCTACCACCAGACCTGGGCCCGGTACTTCGTGAAGTTCCTGGACGCCTATGCCGAGCACAAGCTGCAGTTCTGGGCCGTGACCGCCGAGAATGAGCCTAGCGCTGGACTGCTGTCCGGCTACCCCTTCCAATGCCTGGGCTTCACACCCGAGCACCAGCGGGACTTTATCGCCAGAGATCTGGGCCCCACACTGGCCAACAGCACCCACCACAACGTGCGGCTGCTGATGCTGGACGACCAGAGACTGCTGCTCCCCCACTGGGCCAAGGTGGTGCTGACAGACCCCGAGGCCGCCAAATACGTCCACGGGATTGCCGTGCACTGGTATCTGGACTTTCTGGCCCCTGCCAAGGCCACACTGGGCGAGACACACCGGCTGTTCCCCAACACCATGCTGTTCGCCAGCGAGGCCTGCGTGGGCAGCAAGTTCTGGGAGCAGAGCGTGCGGCTGGGCAGCTGGGACAGAGGCATGCAGTACAGCCACAGCATCATCACCAACCTGCTGTACCACGTCGTGGGCTGGACCGACTGGAATCTGGCCCTGAACCCTGAGGGAGGACCCAACTGGGTCCGCAACTTCGTGGACAGCCCCATCATCGTGGACATCACCAAGGACACCTTCTACAAGCAGCCCATGTTCTACCACCTGGGCCACTTCAGCAAGTTCATCCCCGAGGGCAGCCAGAGAGTGGGACTGGTCGCCAGCCAGAAGAACGATCTGGACGCCGTGGCCCTGATGCACCCTGATGGCAGCGCTGTGGTGGTGGTCCTGAATCGGTCCAGCAAGGACGTGCCCCTGACCATCAAGGACCCCGCCGTGGGCTTCCTGGAAACCATCAGCCCCGGCTACTCCATCCACACCTACCTGTGGCGGAGACAATGA
(配列番号11)
【0125】
一部の実施形態では、GBAをコードする構築物は、野生型GBAを天然シグナルペプチド(Sorge et al., Am. J. Hum. Genet. 41:1016-1024 (1987)に記載のとおりの39アミノ酸GBAシグナルペプチド)と共にコードするポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、GBAをコードする構築物は、天然のシグナルペプチドを伴わずに野生型GBAをコードするポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、分泌型GBAをコードする導入遺伝子は、改変シグナルペプチドを含む。一部の実施形態では、改変シグナルペプチドを含むGBAは、配列番号5のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、改変シグナルペプチドを含む分泌型GBAをコードする導入遺伝子は、配列番号11の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性)を有する核酸配列を有する。一部の実施形態では、改変シグナルペプチドは、下に示すとおりの配列番号16のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を有する。
MGIPMGKSMLVLLTFLAFASCCIA(配列番号16)
【0126】
一部の実施形態では、改変シグナルペプチドは、下に示すとおりの配列番号20の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性)を有するポリヌクレオチドによりコードされる。
ATGGGGATTCCTATGGGCAAGTCTATGCTGGTCCTGCTGACATTTCTGGCCTTCGCTTCATGCTGTATCGCT(配列番号20)
【0127】
本明細書に記載の方法によると、患者に、配列番号1のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド、または配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、または配列番号1と比較して1つまたは複数の保存的アミノ酸置換(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10以上の保存的アミノ酸置換)を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを発現する多能性細胞(例えば、HSC、iPSC、CD34+細胞、ES細胞、または骨髄前駆細胞)を投与することができるが、ただし、コードされるGBA類似体が野生型GBAの治療機能を保持していることを条件とする。野生型GBAの酵素活性は糖脂質の代謝に重要である。GBAはリソソームで作用して、スフィンゴ脂質グルコセレブロシドをグルコースとセラミドに代謝する。GBA機能の喪失は、マクロファージにおけるグルコセレブロシドの蓄積につながる。
【0128】
宿主細胞
本明細書に記載の組成物及び方法と併せて使用することができる細胞には、さらなる分化を受けることができる細胞が含まれる。例えば、本明細書に記載の組成物及び方法と組み合わせて使用することができる細胞の1つの型は、多能性細胞(例えば、CD34+細胞)である。多能性細胞は、1種よりも多い分化した細胞型に成長する能力を有する細胞である。多能性細胞の例は、胚性幹細胞(ES細胞)及び人工多能性幹細胞(iPS細胞またはiPSC)である。ES細胞及びiPS細胞は、皮膚及び神経系を生じさせる外胚葉、消化管及び気道、内分泌腺、肝臓、及び膵臓を形成する内胚葉、ならびに骨、軟骨、筋肉、結合組織、及びほとんどの循環器系を形成する中胚葉の細胞に分化する能力を有する。
【0129】
本明細書に記載の組成物及び方法と併せて使用することができる細胞には、造血幹細胞及び骨髄系前駆細胞が含まれる。造血幹細胞(HSC)は、自己再生し、かつ限定されないが、顆粒球(例えば、前骨髄球、好中球、好酸球、好塩基球)、赤血球(例えば、網状赤血球、赤血球)、血小板(例えば、巨核芽球、血小板産生巨核球、血小板)、単球(例えば、単球、マクロファージ)、樹状細胞、ミクログリア、破骨細胞、及びリンパ球(例えば、NK細胞、B細胞及びT細胞)を含む多様な細胞系を含む成熟血液細胞に分化する能力を有する未熟血液細胞である。ヒトHSCは、CD34+である。加えて、HSCはまた、長期再増殖HSC(LT-HSC)及び短期再増殖HSC(ST-HSC)も指す。これらのHSCのいずれも、本明細書に記載の組成物及び方法と併せて使用することができる。
【0130】
HSCは、CD34+でもある骨髄性前駆細胞に分化することができる。骨髄系前駆細胞はさらに、顆粒球(例えば、前骨髄球、好中球、好酸球、好塩基球)、赤血球(例えば、網状赤血球、赤血球)、血小板(例えば、巨核芽球、血小板産生巨核球、及び血小板)、単球(例えば、単球及びマクロファージ)、樹状細胞、及びミクログリアに分化することができる。一般的な骨髄系前駆細胞は、細胞表面分子により特徴付けることができ、lin-、SCA1-、c-kit+、CD34+、及びCD16/32midであることが公知である。
【0131】
HSC及び骨髄前駆細胞は血液製剤から得ることができる。血液製剤は、造血起源の細胞を含む身体または身体の臓器から得られる製品である。そのような供給源には、分画されていない骨髄、臍帯、胎盤、末梢血、または動員末梢血が含まれる。前述の粗製または未分画の血液製剤はすべて、いくつかの方法で、HSCまたは骨髄系前駆細胞の特徴を有する細胞について富化することができる。例えば、それらが発現する細胞表面分子に基づき、より成熟した分化細胞を選択することができる。血液製剤は、CD34+細胞を正で選択することにより分画することができ、これには、自己再生、多分化能が可能で、移植レシピエントに再導入されると造血幹細胞ニッチェに帰着し得て、生産的かつ持続的な造血を再確立することができる造血幹細胞の亜集団が含まれる。このような選択は、例えば、市販の磁性抗CD34ビーズ(Dynal, Lake Success, NY)を使用して達成される。骨髄系前駆細胞は、それらが発現するマーカーに基づいて単離することもできる。未分画の血液製剤は、ドナーから直接入手するか、凍結保存保管庫から回収することができる。HSC及び骨髄前駆細胞を、ES細胞、iPS細胞、または他の再プログラムされた成熟細胞型の分化により取得することもできる。
【0132】
本明細書に記載の組成物及び方法と併せて使用することができる細胞には、同種細胞または自家細胞が含まれる。前述の細胞型はすべて、ミクログリアに分化し得る。細胞は、ミクログリア前駆細胞またはミクログリア幹細胞に分化することもある。分化は、エクスビボまたはインビボで起こってよい。ヒトES細胞及びiPS細胞のエクスビボ分化のための方法は当業者に知られており、その開示が多能性細胞をミクログリアに分化させる方法に関するため、参照により本明細書に組み込まれるMuffat et al., Nature Medicine 22:1358-1367 (2016)及びPandya et al., Nature Neuroscience (2017)(印刷前にepub)に記載されている。
【0133】
ミクログリア
本明細書に記載の組成物及び方法と併せて使用することができる細胞には、ミクログリア細胞に分化することができるものが含まれる。ミクログリアは、中枢神経系の免疫細胞または常在マクロファージとして機能する骨髄由来細胞である。ミクログリアは、遺伝的にも機能的にもマクロファージに非常に類似しており、炎症誘発性状態と抗炎症性状態との間を動的にシフトする能力を共有している。炎症誘発性状態は古典的活性化、またはM1として公知であり、抗炎症状態は代替活性化、またはM2と呼ばれる。ミクログリアは、細胞外シグナル、例えばとりわけ、隣接するニューロンまたは星状細胞、細胞片、毒素、感染症、虚血、及び外傷などからのシグナルにより、2つの状態の間でシフトされ得る。M1ミクログリアは多くの場合に、罹患した脳において、特にPDなどの神経炎症を伴う疾患において観察される。古典的活性化M1表現型は、パーキンヌルマウス及びDJ-1ヌルマウスなどのPDのマウスモデルにおいても観察される。M1ミクログリアが神経炎症の原因または結果であるかどうかは不明であるが、ミクログリアが古典的に活性化されると、炎症誘発性サイトカイン、例えば、TNF-α、IL-1β、及びIL-6、ケモカイン、一酸化窒素を分泌し得て、これらが、持続的な炎症、ニューロンの損傷、及びM1ミクログリアのさらなる活性化につながり得る。この正のフィードバックループは、脳組織に有害であり得るので、したがって、M1活性化を低下させる、及び/またはM2活性化を上昇させる方法は、神経炎症を特徴とする疾患、例えば、パーキンソン病の患者の助けとなり得る。
【0134】
M2促進物質
本明細書に記載の組成物及び方法は追加的に、GBA及び1つまたは複数のM2促進物質を発現する細胞を提供する。M2促進物質は、細胞をより抗炎症状態へと移行させることにより、マクロファージまたはミクログリアの分極に影響を及ぼす作用物質である。M2促進物質は、炎症誘発性サイトカイン、ケモカイン、及び古典的活性化/M1に関連する遺伝子、例えば、IL-1β、腫瘍壊死因子、iNOS、IL-6、またはIL-12の分泌または発現を減少させることにより、M1ミクログリア数またはM1ミクログリア表現型を減少させることができる。M2促進物質はまた、M1細胞のマーカー、例えば、MHC II、CD86、CD68、CD11B、及びFcγ受容体を減少させ得る。M2促進物質は、抗炎症性サイトカイン及び代替の活性化/M2に関連する遺伝子、例えば、IL-25、IL-10、トランスフォーミング増殖因子ベータ、CD163、TREM2、Arg1、またはCD206の分泌及び発現を増加させることにより、M2ミクログリアまたはM2表現型の数を増加させ得る。M2促進物質はまた、細胞の形態または形状を変化させることがあり、例えば、アメーバ様ミクログリアを減少させるか、またはミクログリア分岐を増加させる。本明細書に記載の組成物及び方法で使用されるM2作用物質は、投与された細胞にM2表現型をディスプレイさせることができ、脳のミクログリアをM1表現型から、またはM2表現型へとシフトさせることができるか、または投与された細胞及び内因性ミクログリアの両方の表現型に影響を及ぼすことができる。ミクログリアは、厳密にM1またはM2状態で観察されることはほとんどなく、M1マーカー及びM2マーカーの両方のサブセットとして発現されることが多い。M2表現型へのシフトは、1種もしくは複数のM1関連サイトカインもしくは遺伝子の減少、1種もしくは複数のM2関連サイトカイン及び遺伝子の増加、またはM1及びM2関連サイトカインと遺伝子の両方の変化として現れ得る。
【0135】
M2促進物質は多くの広範なカテゴリーに分類される。M2表現型を促進する、またはM1表現型を減少させる作用物質には、抗炎症性サイトカイン、例えば、インターロイキン-25(IL-25)、インターロイキン-4(IL-4)、インターロイキン-10(IL-10)、インターロイキン-13(IL-13)、及びトランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF-β)が含まれる。IL-4R、IL-17RB、IL-10R、TGFβR1、及びTGFβR2などのサイトカイン受容体の発現はまた、細胞が抗炎症性サイトカインを検出できるようにすることにより、M2表現型を促進し得る。IL-25は、神経炎症を阻害することが示されている抗炎症性サイトカインである。その開示がM2促進物質としてのIL-25に関連するため、参照により本明細書に組み込まれるMaiorino et al., Gene Therapy 20:487 (2013)に記載されているとおり、IL-25は、2型ヘルパーT(Th2)細胞、マスト細胞、上皮細胞、好酸球、好塩基球及び肺胞マクロファージなどのいくつかの細胞により産生され、ミクログリアをより抗炎症性のM2状態にシフトさせることが示されている。
【0136】
M2促進物質の別のカテゴリーには、炎症誘発性メディエーター、例えば、サイトカイン、亜硝酸塩、及びNF-κB活性の発現、合成、及び分泌を減少させる作用物質が含まれる。このカテゴリーの作用物質には、グルココルチコイド受容体、例えば、GR、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)、例えば、PPARγ、PPARβ/δ、エストロゲン受容体、例えば、ERα、ERβ、及び核内受容体サブファミリー4グループAメンバー2(NR4A2)が含まれる。M2促進物質は、エピジェネティックな変化を引き起こすことによりM2表現型を誘発することができ、このクラスの作用物質には、リジンデメチラーゼ6B(KDM6B)、MSHホメオボックス3(MSX3)、配列類似性19を持つファミリー(ケモカイン(C-Cモチーフ)様)、メンバーA3(FAM19A3)、核因子NF-カッパB P50サブユニット(NF-κB P50)が含まれる。miR124、miR21、及びmiR181cを含むマイクロRNAも、M2促進物質として機能し得る。M2表現型を促進するか、またはM1表現型を減少させることができる作用物質の別のカテゴリーは、免疫系から食細胞が自己物質を非自己物質から区別するのを助けることで知られている自己関連分子パターン(SAMP)として公知の作用物質である。このクラスの作用物質には、C-X3-Cモチーフケモカインリガンド1(CX3CL1)、C-X3-Cモチーフケモカイン受容体1(CX3CR1)、CD200分子(CD200)、CD200受容体1(CD200R)、補体因子H(CFH)、白血球表面抗原CD47(CD47)、補体崩壊促進因子(CD55)、栄養膜白血球共通抗原(CD46)、接着Gタンパク質共役受容体E5(ADGRE5)、シグナル調節タンパク質アルファ(SIRPA)、及びシグレック、例えば、Siglec-1、Siglec-2、Siglec-3、Siglec-4、CD33関連シグレックが含まれる。ミクログリアの保護調節シグナルの論述については、その開示がミクログリアの古典的活性化を低下させるシグナルに関連するため、参照により本明細書に組み込まれるLe et al., Frontiers in Molecular Neuroscience 9 (2016) online publicationを参照されたい。
【0137】
哺乳動物細胞におけるGBA及びM2促進物質の発現
パーキンソン病の患者では、グルコセレブロシダーゼ活性が低下しており、PD脳は、古典的活性化M1ミクログリアを含む。本明細書に記載の組成物及び方法は、GBAをコードする導入遺伝子(例えば、非分泌型GBAまたは分泌型GBA)、及び任意選択で、それぞれがM2促進物質をコードする1つまたは複数の導入遺伝子を発現する細胞を投与することにより、これらの機能障害をターゲティングする。パーキンソン病の処置における治療用途でこれらの作用物質を利用するために、これらの作用物質は、細胞の内部に、特定の例では、特定のオルガネラに向けられ得る。そのようなタンパク質を哺乳動物細胞に送達するために、かつ哺乳動物細胞においてそのようなタンパク質をコードする遺伝子を安定発現させるために、幅広い方法が確立されている。
【0138】
GBA及びM2促進物質をコードするポリヌクレオチド
哺乳動物細胞でGBA及びM2促進物質の治療上有効な細胞内濃度を達成するために使用することができるプラットフォームの1つは、これらの作用物質をコードする遺伝子の安定発現によるものである(例えば、哺乳動物細胞の核またはミトコンドリアゲノムへの統合により)。これらの遺伝子は、対応するタンパク質の一次アミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドである。そのような外来遺伝子を哺乳動物細胞に導入するために、これらの遺伝子をベクターに組み込むことができる。ベクターは、形質転換、トランスフェクション、直接取り込み、プロジェクタイル衝撃法(projectile bombardment)を含む様々な方法により、及びリポソーム中でのベクターの封入により、細胞に導入することができる。細胞をトランスフェクトまたは形質転換する適切な方法の例は、リン酸カルシウム沈殿、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、感染、リポフェクション、及び直接取り込みである。そのような方法は、例えば、それぞれの開示が参照により本明細書に組み込まれる Green et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Fourth Edition (Cold Spring Harbor University Press, New York (2014));及びAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology (John Wiley & Sons, New York (2015))にさらに詳細に記載されている。
【0139】
GBA及びM2促進物質は、そのような作用物質をコードする遺伝子を含むベクターを細胞膜リン脂質にターゲティングすることにより、哺乳動物細胞に導入することもできる。例えば、ベクター分子を、すべての細胞膜リン脂質に親和性を持つウイルスタンパク質であるVSV-Gタンパク質に連結させることにより、ベクターを細胞膜の細胞外表面上のリン脂質にターゲティングすることができる。そのような構築物は、当業者に周知の方法を使用して生成することができる。
【0140】
哺乳動物RNAポリメラーゼによるGBA及び/またはM2促進物質をコードするポリヌクレオチドの認識及び結合が、遺伝子発現には重要である。したがって、これは、RNAポリメラーゼを動員する転写因子について高い親和性を示し、転写開始部位での転写複合体のアセンブリを促進する配列エレメントをポリヌクレオチド内に含むことができる。そのような配列エレメントには、例えば、その配列が特異的な転写開始因子及び最終的にはRNAポリメラーゼにより認識及び結合され得る哺乳動物プロモーターが含まれる。哺乳動物プロモーターの例は、その開示が参照により本明細書に組み込まれるSmith et al., Mol. Sys. Biol., 3:73 online publicationに記載されている。
【0141】
本明細書に記載の組成物及び方法で使用するために適したポリヌクレオチドには、哺乳動物プロモーターの下流でGBA及び/またはM2促進物質をコードするものが含まれる。哺乳動物細胞におけるGBA及び/またはM2促進物質の発現に有用なプロモーターには、例えば、伸長因子1-アルファ(EF1α)プロモーター、ホスホグリセリン酸キナーゼ1(PGK)プロモーター、CD68分子(CD68)プロモーター(GBAを発現するためのPGK及びCD68プロモーターの使用に関連するため、参照により本明細書に組み込まれるDahl et al., Molecular Therapy 23:835 (2015)を参照されたい)、C-X3-Cモチーフケモカイン受容体1(CX3CR1)プロモーター、インテグリンサブユニットアルファM(ITGAM)プロモーター、同種移植炎症因子1(AIF1)プロモーター、プリン作動性受容体P2Y12(P2Y12)プロモーター、膜貫通タンパク質119(TMEM119)プロモーター、及びコロニー刺激因子1受容体(CSF1R)プロモーターが含まれる。別法では、ウイルスゲノムに由来するプロモーターも、哺乳動物細胞におけるこれらの作用物質の安定発現のために使用することができる。これらの作用物質の哺乳動物発現を促進するために使用することができる機能的ウイルスプロモーターの例は、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター、シミアンウイルス40(SV40)プロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター、単純ヘルペスウイルス(HSV)のtkプロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)のロングターミナルリピート(LTR)プロモーター、モロニーウイルスのプロモーター、エプスタインバーウイルス(EBV)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、及びサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターである。
【0142】
GBA及び/またはM2促進物質をコードするポリヌクレオチドが哺乳動物細胞の核DNAに組み込まれたら、このポリヌクレオチドの転写を、当技術分野で公知の方法により誘導することができる。例えば、哺乳動物細胞を、転写因子、及び/またはRNAポリメラーゼの哺乳動物プロモーターへの結合を調節して、遺伝子発現を調節する薬剤などの外部化学試薬に曝露することにより、発現を誘導することができる。化学試薬は、例えばプロモーターに結合したリプレッサータンパク質を除去することにより、RNAポリメラーゼ及び/または転写因子の哺乳動物プロモーターへの結合を促進するために役立つ。別法では、化学試薬は、RNAポリメラーゼ及び/または転写因子についての哺乳動物プロモーターの親和性を上昇させて、プロモーターの下流に配置された遺伝子の転写率が化学試薬の存在下で上昇するようにするために役立ち得る。上記の機構によりポリヌクレオチド転写を増強する化学試薬の例は、テトラサイクリン及びドキシサイクリンである。これらの試薬は市販されており(Life Technologies,Carlsbad,CA)、確立されたプロトコルに従って遺伝子発現を促進するように哺乳動物細胞に投与することができる。
【0143】
本明細書に記載の組成物及び方法で使用するためのポリヌクレオチドに含めることができる他のDNA配列エレメントは、エンハンサー配列である。エンハンサーは、DNAが転写開始部位で転写因子及びRNAポリメラーゼの結合に好都合な3次元配向を採用するように、目的の遺伝子を含むポリヌクレオチドのコンフォメーション変化を誘導する調節エレメントの別のクラスを表す。したがって、本明細書に記載の組成物及び方法で使用するためのポリヌクレオチドには、GBA及び/またはM2促進物質をコードし、追加的に哺乳動物エンハンサー配列を含むものが含まれる。多くのエンハンサー配列が哺乳動物遺伝子から現在公知であり、例は、哺乳動物グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン、及びインスリンをコードする遺伝子に由来するエンハンサーである。本明細書に記載の組成物及び方法で使用するためのエンハンサーには、真核細胞に感染することができるウイルスの遺伝物質に由来するものも含まれる。例は、複製起点の後半側のSV40エンハンサー(bp100~270)、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後半側のポリオーマエンハンサー、及びアデノウイルスエンハンサーである。真核生物の遺伝子転写の活性化を誘導する追加のエンハンサー配列は、Yaniv et al., Nature 297:17 (1982)に開示されている。エンハンサーは、例えば、この遺伝子の5’または3’位で、水形成NADHオキシダーゼをコードするポリヌクレオチドを含むベクターにスプライシングされ得る。好ましい配向では、エンハンサーはプロモーターの5’側に位置し、次いでこれは、GBA及び/またはM2促進物質をコードするポリヌクレオチドに対して5’側に配置される。
【0144】
GBA及び/またはM2促進物質をコードするポリヌクレオチドは、遺伝子発現をオンまたはオフにすることができる調節エレメントを含み得る。これらの調節エレメントには、スイッチまたは不安定化ドメインが含まれ得る。例示的な不安定化ドメインは、ヒトFK506及びラパマイシン結合タンパク質(FKBP12)の変異体であり、これらは、これらの不安定化ドメインに融合した他のタンパク質に不安定性を与える。FKBP12変異体には、その開示がFKBP12不安定化ドメインに関係するので、参照により本明細書に組み込まれるBanaszynski et al., Cell 126:995 (2006)において特徴付けられているとおり、N末端変異体F15S、V24A、H25R、E60G、及びL106P、ならびにC末端変異体M66T、R71G、D100G、D100N、E102G、及びK105Iが含まれる。FKBP12不安定化ドメインはタンパク質分解を促進する。小分子リガンドShield-1(Shld1)は、FKBP12変異体含有タンパク質を分解から保護して安定化させるために使用することができる。それぞれの開示が不安定化ドメインシステムに関係するため、参照により本明細書に組み込まれるIwamoto et al., Chem Biol. 17:981 (2010)及びMiyazaki et al., J Am Chem Soc., 134:3942 (2012)に記載されているとおり、GBAまたはM2促進物質の発現を調節するために使用することができる他の不安定化ドメインには、目的のタンパク質に融合すると不安定性を与えて分解をもたらし、かつそれぞれ小分子リガンドトリメトプリム(TMP)により、またはCMP8もしくは4-ヒドロキシタモキシフェン(4OHT)により安定化され得る大腸菌ジヒドロ葉酸レダクターゼ(ecDHFR)の変異体及びヒトエストロゲン受容体リガンド結合ドメイン(ERLBD)の変異体が含まれる。GBAをコードする遺伝子及びM2促進物質(例えばIL-25)をコードする遺伝子などの1つまたは複数の遺伝子の発現を独立に調節するために、本明細書に記載の組成物及び方法で併せて使用することができる追加の不安定化ペプチド/安定化リガンド系は、それらの開示が不安定化ドメイン及びそれらの対応するリガンドの使用に関係するので、参照により本明細書に組み込まれるWO2014/164828、US2005/0214738、US8,173,792、US2012/0178168、US2014/0255361、WO2014/164828、WO2015/152813、WO2014/043189、WO2014/089158、US8,106,191、US2015/0307850、及びUS2014/0220062でさらに説明されている。
【0145】
細胞特異的遺伝子発現
干渉RNA(RNAi)は、小分子干渉RNA(siRNA)を細胞に送達して相補的mRNAの分解を引き起こすことにより内在性遺伝子の発現をノックダウンするために広く使用されている。追加の適用は、人工miRNAターゲット配列でタグ付けされた外因的に導入された導入遺伝子の発現を負に調節するために、内因性マイクロRNA(miRNA)の多様性を利用することである。これらのmiRNAターゲットタグ付き導入遺伝子は、組織、細胞系、活性化、または分化段階に特異的であり得る所与のmiRNAの活性に応じて、負に調節され得る。これらの人工miRNAターゲット配列(miRT)は、特異的miRNAによりターゲットとして認識されて、転写後遺伝子サイレンシングを誘導し得る。ターゲティングされた細胞での強力な導入遺伝子発現は有益な治療結果をもたらし得るが、HSPCまたは他の前駆細胞での異所性または無秩序な導入遺伝子発現などのオフターゲット発現は、細胞毒性効果を有し得、細胞挙動の変化及び治療効果の低下につながる導入遺伝子含有細胞の対抗選択をもたらし得る。HSPC及び前駆細胞では広く発現しているが、骨髄細胞系の細胞には存在しないmiRNAのためのmiRNAターゲット配列(miRT)の組み込みにより、HSPC及び他の前駆細胞での導入遺伝子発現の抑制が可能になり、導入遺伝子含有造血後代のサイレントで長期の貯留が可能になる一方で、成熟分化ターゲット細胞での強力な導入遺伝子発現が可能になる。miR-126は、HSPC、他の前駆細胞、及び赤血球細胞系の細胞で高度に発現するが、骨髄細胞系の細胞(例えば、マクロファージ及びミクログリア)には存在しない(Gentner et al., Science Translational Medicine. 2:58ra34 (2010))。例えば、導入遺伝子内に組み込まれたmiR-126ターゲティング配列は、骨髄細胞系の細胞における導入遺伝子のターゲティングされた発現及びHSPC及び他の前駆細胞における発現の抑制を可能にし、したがって、オフターゲットの細胞毒性効果を最小限にする。一部の実施形態では、GBA及び/またはM2促進物質をコードする導入遺伝子はmiR-126ターゲティング配列を含んでもよい。
【0146】
シグナルペプチド
GBAをコードするポリヌクレオチドは、シグナルペプチドをコードする1つまたは複数のポリヌクレオチドを含んでもよい。シグナルペプチドは、5~30残基長のアミノ酸配列を有してよく、GBAをコードするポリヌクレオチドの上流(例えば、5’側)に配置されていてよい。これらのシグナルペプチドは、シグナル認識粒子による合成中の新生GBAポリペプチドの認識を可能にし、粗面小胞体の膜を超えての輸送、さらにはリソソームに輸送するためのグリコシル化をもたらす。GBAをリソソーム輸送するための例示的なシグナルペプチドは、GBAに由来するものである。
【0147】
分泌シグナルペプチド
GBAをコードするポリヌクレオチドは、分泌シグナルペプチドをコードする1つまたは複数のポリヌクレオチドを含んでもよい。分泌シグナルペプチドは、5~30残基長のアミノ酸配列を有してよく、GBAをコードするポリヌクレオチドの上流(すなわち、5’側)に配置されていてよい。これらの分泌シグナルペプチドは、シグナル認識粒子による合成中の新生ポリペプチドの認識を可能にし、ERへの移行、輸送小胞へのパッケージング、そして最後に分泌をもたらす。タンパク質分泌のための例示的な分泌シグナルペプチドは、GBA、IGF-II、アルファ-1アンチトリプシン、IL-2、IL-6、CD5、免疫グロブリン、トリプシノーゲン、血清アルブミン、プロラクチン、エラスチン、組織プラスミノーゲン活性化シグナルペプチド(tPA-SP)、及びインスリンに由来するものである。一部の実施形態では、分泌型のGBAを発現する多能性細胞(例えば、CD34+細胞)を、失った酵素を血流に注入することにより酵素欠損(例えば、GBA)を補正するための治療戦略として利用することができる。血液が患者の組織を灌流すると、GBAが細胞により取り込まれ、リソソームに輸送され、そこで酵素が、酵素欠乏症に起因してリソソーム内に蓄積したグルコセレブロシドを排除するように作用する。リソソーム酵素補充療法が有効であるためには、治療用酵素(例えば、GBA)は、貯蔵不全が明らかになっている組織の適切な細胞内のリソソームに送達されなければならない。従来のリソソーム酵素補充療法は、ターゲット細胞の表面上の特異的な受容体に係合するために、そのタンパク質に天然に結合する炭水化物を使用して送達される。カチオン非依存性マンノース-6-リン酸(M6P)受容体(CI-MPR)という1種の受容体が、補充リソソーム酵素をターゲティングするために特に有用であり、それというのも、CI-MPRはほとんどの細胞型の表面に存在するためである。
【0148】
グリコシル化非依存性リソソームターゲティング
グリコシル化非依存性リソソームターゲティング(GILT)技術を利用して、治療用酵素(GBAなど)をリソソームにターゲティングすることができる。具体的には、GILT技術は、リソソームターゲティングでCI-MPRに係合するために、M6Pの代わりにペプチドタグを使用する。典型的には、GILTタグは、マンノース-6-リン酸非依存的な様式でCI-MPRに結合するタンパク質、ペプチド、または他の部分である。有利なことに、この技術は、リソソーム酵素を取り込むための通常の生物学的機構を模倣するが、マンノース-6-リン酸に非依存的な様式で模倣する。一部の実施形態では、GBAは、GBA及びGILTタグを含有するGBA融合タンパク質として分泌される。一部の実施形態では、GILTタグは、ヒトインスリン様成長因子II(IGFII)に由来する。ヒトIGF-IIはCI-MPRの高親和性リガンドであり、IGF-II受容体とも称される。M6P/IGF-II受容体へのGILTタグ付き治療用酵素の結合は、エンドサイトーシス経路を介してタンパク質をリソソームにターゲティングする。GILT技術及びGILTタグの詳細な説明は、それらすべての教示が、その全体で参照により本明細書に組み込まれる米国公開番号20030082176、20040006008、20040005309、20050281805、及び2009043207において見い出すことができる。
【0149】
フーリン抵抗性GILTタグ
IGF-II由来のGILTタグは、哺乳動物細胞における産生中にフーリンによるタンパク質分解切断を受けることがある。フーリンプロテアーゼは典型的に、コンセンサス配列Arg-X-X-Argを有する切断部位を認識及び切断し、ここで、Xは任意のアミノ酸である。切断部位は、配列のカルボキシ末端アルギニン(Arg)残基の後に位置する。一部の実施形態では、フーリン切断部位は、コンセンサス配列Lys/Arg-X-X-X-Lys/Arg-Argを有し、ここで、Xは任意のアミノ酸である。切断部位は、配列のカルボキシ末端アルギニン(Arg)残基の後に位置する。成熟ヒトIGF-IIペプチド配列を下に示す。
(配列番号12)
【0150】
成熟ヒトIGF-IIは、残基34~40(太字)の間に2つの潜在的な重複するフーリン切断部位を含む。フーリンによる切断に抵抗性のある改変GILTタグは、マンノース-6-リン酸非依存的な様式でCI-MPRに結合する能力をまだ保持している。具体的には、フーリン抵抗性GILTタグは、その変異が少なくとも1つのフーリン切断部位を無効にするように、1つまたは複数のフーリン切断部位でアミノ酸配列を変異させることにより設計することができる。したがって、一部の実施形態では、フーリン抵抗性GILTタグは、フーリン切断が野生型IGF-IIペプチド(例えば、野生型ヒト成熟IGF-II)と比較して阻止される、阻害される、低減される、または減速されるように、少なくとも1つのフーリンプロテアーゼ切断部位を無効にするか、またはフーリンプロテアーゼ切断部位に隣接する配列を変更する変異を含むフーリン抵抗性IGF-IIムテインである。適切な変異は、フーリン抵抗性GILTタグがヒトカチオン非依存性マンノース-6-リン酸受容体に結合する能力に影響を与えない。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法と併せて使用するために適したフーリン抵抗性IGF-IIムテインは、マンノース-6-リン酸非依存的な様式で、pH7.4で10-7以下(例えば、10-8、10-9、10-10、10-11、またはそれ以下)の解離定数で、ヒトカチオン非依存性マンノース-6-リン酸受容体に結合する。一部の実施形態では、フーリン抵抗性IGF-IIムテインは、配列番号12のアミノ酸30~40(例えば、31~40、32~40、33~40、34~40、30~39、31~39、32~39、34~37、32~39、33~39、34~39、35~39、36~39、37~40、34~40)に対応する領域内に変異を含む。一部の実施形態では、適切な変異は、少なくとも1つのフーリンプロテアーゼ切断部位を無効にする。変異は、アミノ酸の置換、欠失、または挿入であってよい。例えば、配列番号12の残基30~40(例えば、31~40、32~40、33~40、34~40、30~39、31~39、32~39、34~37、32~39、33~39、34~39、35~39、36~39、37~40、34~40)に対応する領域内の任意の1つのアミノ酸を、他の任意のアミノ酸で置換するか、または欠失させることができる。例えば、34位での置換は、最初の切断部位のフーリン認識に影響を及ぼし得る。各認識部位内に1つまたは複数の追加のアミノ酸を挿入すると、一方または両方のフーリン切断部位を無効にすることができる。縮重位置の残基のうちの1個または複数の残基を欠失させて、両方のフーリン切断部位を無効にすることもできる。
【0151】
一部の実施形態では、フーリン抵抗性IGF-IIムテインは、配列番号12のArg37またはArg40に対応する位置にアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、フーリン抵抗性IGF-IIムテインは、Arg37またはArg40位にLysまたはAla置換を含む。37位と40位の両方でのLys及び/またはAla変異の組み合わせ、またはLysもしくはAla以外のアミノ酸の置換を含む、他の置換が可能である。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法と併せて使用するために適したフーリン抵抗性IGF-IIムテインは、追加の変異を含んでもよい。例えば、配列番号12の残基のうちの最大30%またはそれ以上が変更されていてもよい(例えば、最大1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%またはそれ以上の残基が変更されていてもよい)。したがって、本明細書に記載の組成物及び方法と併せて使用するために適したフーリン抵抗性IGF-IIムテインは、配列番号12と少なくとも70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%を含めて少なくとも70%同一なアミノ酸配列を有してよい。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法と併せて使用するために適したフーリン抵抗性IGF-IIムテインを、特異的にCI-MPRにターゲティングする。CI-MPRには高い親和性で(例えば、pH7.4で10-7M以下の解離定数で)結合するが、IGF-IIが結合することが公知の他の受容体には天然IGF-IIと比較して低い親和性で結合するタンパク質をもたらすIGF-IIポリペプチドの変異は、特に有用である。例えば、本明細書に記載の組成物及び方法と併せて使用するために適したフーリン抵抗性IGF-IIムテインを、IGF-I受容体についての天然に存在するヒトIGF-IIの親和性と比較して、IGF-I受容体についての結合親和性が低いように改変することができる。追加の変異戦略が利用されており、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2009043207号において詳細に論述されている。例えば、IGF-II残基Tyr27をLeuで、Leu43をValで、またはSer26をPheで置換すると、IGF-I受容体についてのIGF-IIの親和性がそれぞれ94倍、56倍、及び4倍低下する(Torres et al., J. Mol. Biol. 248(2):385-401 (1995))。ヒトIGF-IIの残基1~7を欠失させると、ヒトIGF-I受容体についての親和性が30倍低下し、それに伴ってラットIGF-II受容体についての親和性が12倍上昇した(Hashimoto et al., J. Biol. Chem. 270(30):18013-8 (1995))。IGF-IIのNMR構造は、Thr7が残基48Phe及び50Serの近く、さらには9Cys-47Cysジスルフィド橋の近くに配置されていることを示している。Thr7とこれらの残基との相互作用が、IGF-I受容体結合に必要な柔軟なN末端ヘキサペプチドを安定化させ得ると考えられる(Terasawa et al., EMBO J. 13(23)5590-7 (1994))。同時に、この相互作用はIGF-II受容体への結合を調節することができる。IGF-IIのC末端の短縮化(残基62~67)も、IGF-I受容体についてのIGF-IIの親和性を5倍低下させるようである(Roth et al., Biochem. Biophys.Res. Commun. 181(2):907-14 (1991))。IGF-I及びカチオン非依存性M6P受容体の結合面は、IGF-IIの別々の面にある。構造及び変異データに基づき、ヒトIGF-IIよりも大幅に小さい機能的カチオン非依存性M6P結合ドメインを構築することができる。例えば、アミノ末端アミノ酸(例えば、1~7または2~7)及び/またはカルボキシ末端残基62~67を欠失させる、または置換することができる。加えて、ポリペプチドの残りのフォールディングを変更したり、またはカチオン非依存性M6P受容体に結合したりすることなく、アミノ酸29~40をおそらく削除または置き換えることができる。したがって、アミノ酸8~28及び41~61を含むターゲティング部分を構築することができる。アミノ酸のこれらのストレッチはおそらく、直接結合され得るか、またはリンカーにより分離され得るであろう。別法では、アミノ酸8~28及び41~61を別々のポリペプチド鎖上に提供することができる。IGF-IIと相同であり、IGF-IIの構造と密接に関連する三次構造を持つインスリンの比較可能なドメインは、別々のポリペプチド鎖に存在する場合でも適切な三次構造への適正なリフォールディングを許容する十分な構造情報を有する(Wang et al., Trends Biochem. Sci. 16(8):279-281 (1991))。したがって、例えば、アミノ酸8~28、またはその保存的置換バリアントをリソソーム酵素に融合させることができる;得られた融合タンパク質を、アミノ酸41~61、またはその保存的置換バリアントと混合し、患者に投与することができるであろう。IGF-II/GILT構築物の隔離を回避するために、IGF-IIを、血清IGF結合タンパク質への結合を最小限にするように改変することもできる(Baxter, Am. J. Physiol Endocrinol Metab. 278(6):967-76(2000))。多くの研究が、IGF結合タンパク質への結合に必要なIGF-II中の残基を位置特定している。これらの残基に変異を有する構築物を、M6P/IGF-II受容体に結合する高い親和性の維持、及びIGF結合タンパク質についての低い親和性についてスクリーニングすることができる。例えば、IGF-IIのPhe 26をSerに置き換えると、IGFBP-1及び-6についてのIGF-IIの親和性は低下するが、M6P/IGF-II受容体への結合については作用がないと報告されている。(Bach et al., J. Biol. Chem. 268(13):9246-54 (1993))。Glu9ではLysなどの他の置換も有利であり得る。IGF-IIと高度に保存されているIGF-Iの領域での類似の変異は、別々に、または組み合わせで、IGF-BP結合の大幅な減少をもたらす(Magee et al., Biochemistry 38(48):15863-70 (1999))。
【0152】
代替のアプローチは、M6P/IGF-II受容体に高い親和性で結合し得るIGF-IIの最小領域を同定することである。M6P/IGF-II受容体へのIGF-IIの結合に関係している残基はほとんど、IGF-IIの片面に集まっている(Terasawa et al., EMBO J. 13(23):5590-7 (1994))。IGF-II三次構造は通常3つの分子内ジスルフィド結合により維持されるが、IGF-IIのM6P/IGF-II受容体結合表面上のアミノ酸配列を組み込んだペプチドを、適正にフォールドし、結合活性を有するように設計することができる。そのような最小の結合ペプチドは、非常に好ましいリソソームターゲティングドメインである。例えば、好ましいリソソームターゲティングドメインは、ヒトIGF-IIのアミノ酸8~67である。M6P/IGF-II受容体に結合する、アミノ酸48~55の周りの領域に基づいて設計されたペプチドも、望ましいリソソームターゲティングドメインである。別法では、ペプチドのランダムライブラリーを、酵母ツーハイブリッドアッセイまたはファージディスプレイタイプアッセイのいずれかにより、M6P/IGF-II受容体に結合する能力についてスクリーニングすることができる。
【0153】
本明細書に記載の多くのフーリン抵抗性IGF-IIムテインは、インスリン受容体についての結合親和性が低下または減少している。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法と併せて使用するために適したペプチドタグは、インスリン受容体についての天然に存在するヒトIGF-IIの親和性と比較して、インスリン受容体についての結合親和性が低下または減少している。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法と併せて使用するために適した、インスリン受容体についての結合親和性が低下または減少しているペプチドタグには、野生型成熟ヒトIGF-IIの結合親和性よりも、インスリン受容体についての結合親和性が1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、12倍、14倍、16倍、18倍、20倍、50倍、100倍超低いペプチドタグが含まれる。インスリン受容体についての結合親和性は、当技術分野で公知の様々なインビトロ及びインビボアッセイを使用して測定することができる。
【0154】
一部の実施形態では、GILTタグは、下に示すとおりの配列番号13のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するアミノ酸配列を有する。
GGGGAGGGGAGGGGAGGGGAGGGPSLCGGELVDTLQFVCGDRGFYFSRPASRVSARSRGIVEECCFRSCDLALLETYCATPAKSE(配列番号13)
【0155】
一部の実施形態では、GILTタグは、下に示すとおりの配列番号14のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するアミノ酸配列を有する。
GAPGGGSPAPAPTPAPAPTPAPAGGGPSGAPLCGGELVDTLQFVCGDRGFYFSRPASRVSARSRGIVEECCFRSCDLALLETYCATPAKSE(配列番号14)
【0156】
一部の実施形態では、GILTタグは、下に示すとおりの配列番号15のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有するアミノ酸配列を有する。
GAPGGSPAGSPTSTEEGTSESATPESGPGTSTEPSEGSAPGSPAGSPTSTGPSGAPLCGGELVDTLQFVCGDRGFYFSRPASRVSARSRGIVEECCFRSCDLALLETYCATPAKSE(配列番号15)
【0157】
一部の実施形態では、GILTタグは、下に示すとおりの配列番号17の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有する核酸配列によりコードされる。
GGCGGAGGCGGAGCTGGTGGCGGCGGAGCAGGCGGTGGTGGTGCAGGCGGCGGAGGTGCTGGCGGAGGACCATCTCTTTGTGGCGGAGAACTGGTGGACACCCTGCAGTTCGTGTGTGGCGACAGAGGCTTCTACTTTAGCAGACCCGCCAGCAGAGTGTCCGCCAGATCTAGAGGAATCGTGGAAGAGTGCTGCTTCAGAAGCTGCGACCTGGCACTGCTGGAAACCTACTGTGCCACACCAGCCAAGAGCGAGTGATG
(配列番号17)
【0158】
一部の実施形態では、GILTタグは、下に示すとおりの配列番号18の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有する核酸配列によりコードされる。
GGAGCACCAGGCGGAGGATCTCCAGCTCCTGCTCCTACACCAGCTCCAGCACCGACGCCTGCTCCAGCTGGCGGAGGACCTTCTGGTGCACCTCTTTGTGGCGGAGAGCTGGTGGATACCCTGCAGTTCGTGTGTGGCGACCGGGGCTTCTACTTTAGCAGACCTGCCAGCAGAGTGTCCGCCAGATCTAGAGGCATCGTGGAAGAGTGCTGCTTCAGAAGCTGCGACCTGGCACTGCTGGAAACCTACTGTGCCACACCAGCCAAGAGCGAGTGATGA(配列番号18)
【0159】
一部の実施形態では、GILTタグは、下に示すとおりの配列番号19の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性)を有する核酸配列によりコードされる。
GGAGCACCAGGCGGATCTCCAGCAGGATCTCCAACCTCTACCGAGGAAGGCACAAGCGAGTCTGCCACACCTGAGTCTGGACCTGGCACAAGCACAGAGCCTAGCGAAGGATCTGCCCCAGGTTCTCCTGCCGGCTCTCCTACAAGTACAGGACCTTCTGGCGCTCCACTGTGTGGCGGAGAACTGGTGGATACCCTGCAGTTCGTGTGCGGCGACAGAGGCTTCTACTTTAGCAGACCCGCCAGCAGAGTGTCCGCCAGATCTAGAGGAATCGTGGAAGAGTGCTGCTTCAGAAGCTGCGATCTGGCACTGCTGGAAACCTACTGTGCCACACCAGCCAAGAGCGAGTGATGA(配列番号19)
【0160】
分泌型GBAのBBB透過のためのApoEタグ
一部の実施形態では、分泌型GBA(例えば、分泌型GBA融合タンパク質)を、血液脳関門(BBB)を透過するように改変する。BBB透過を媒介するための改変は、当技術分野で周知である。例示的な改変は、アポリポタンパク質E(ApoE)の受容体結合(Rb)ドメイン(配列番号21のアミノ酸残基148~173)を含むタグの使用である。完全なApoEペプチド配列を下に示す。
MKVLWAALLVTFLAGCQAKVEQAVETEPEPELRQQTEWQSGQRWELALGRFWDYLRWVQTLSEQVQEELLSSQVTQELRALMDETMKELKAYKSELEEQLTPVAEETRARLSKELQAAQARLGADMEDVCGRLVQYRGEVQAMLGQSTEELRVRLASHLRKLRKRLLRDADDLQKRLAVYQAGAREGAERGLSAIRERLGPLVEQGRVRAATVGSLAGQPLQERAQAWGERLRARMEEMGSRTRDRLDEVKEQVAEVRAKLEEQAQQIRLQAEAFQARLKSWFEPLVEDMQRQWAGLVEKVQAAVGTSAAPVPSDNH(配列番号21)
【0161】
ApoEは脂質輸送に関与する重要なタンパク質であり、その細胞内在化は、LDL受容体、超低密度リポタンパク質受容体(VLDLR)、及びLDL受容体関連タンパク質(LRP1、LRP2、及びLRP8を含むLRP)を含む、低密度リポタンパク質(LDL)受容体遺伝子ファミリーのいくつかのメンバーにより媒介される。LDL受容体は、脳毛細血管内皮細胞(BCEC)で高度に発現されることが見い出されており、末梢血管では発現の下方制御が観察されている。BCEC、ニューロン、グリア細胞で検出した場合、肝臓及び脳でも、LRPとVLDLRの発現の制限が顕著に示されている。LDLRを除いて、LRP1及びVLDLRを含む低密度リポタンパク質受容体ファミリー(LDLRf)タンパク質のいくつかのメンバーは、BBBを形成するBCECで高度に発現される。これらのタンパク質はApoEに結合して、BBBの反管腔側へのそれらのトランスサイトーシスを促進し得る。
【0162】
加えて、LRP1及びVLDLRの両方のアンタゴニスト及びリガンドである受容体関連タンパク質(RAP)は、インビボ及びインビトロでトランスフェリンよりもBBBを超えての透過性が高いことが示されており(Pan et al., J. Cell Sci. 117:5071-8 (2004))、これは、これらのリポタンパク質受容体(LDLRf)が、トランスフェリン受容体よりも発現が低いにもかかわらず、効率的なBBB送達ターゲットであり得ることを示している。本明細書に記載のとおり、ApoEに由来する強力な受容体結合ペプチド(Rb)は、融合タンパク質として操作された場合、タンパク質をBBBを超えて脳に移動させる能力を有する。したがって、この方法は、融合タンパク質として操作された場合、治療薬(例えば、可溶性GBA)のためにBBBを選択的に開くように機能し得る。このペプチドは、ApoEタンパク質全体ではなく、ApoEのRbドメインを利用するため、それらの生物学的機能を危険にさらしたり、またはApoEの重要な生物学的機能を妨害したりすることなく、診断薬または治療薬に容易に結合させることができる。この経路はまた、脳実質におけるLDLRfメンバーの広範な発現により、薬剤がCNSに到達した後のさらなる/二次的脳内分布を促進することができる代替の取り込み経路である。施与戦略、例えば酵素補充療法または細胞ベース遺伝子ベースの治療にかかわらず、脳実質内の治療薬の量と分布の両方が、疾患処置の臨床成果に大きな影響を有するはずである。BBBを超えるタンパク質のターゲティング化送達におけるApoEのRbドメインの開発及び使用の詳細な説明は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第20140219974号において見出すことができる。
【0163】
一部の実施形態では、分泌型GBA融合タンパク質は、配列番号21のLDLRf受容体結合ドメイン(Rb)を含むペプチド配列、またはその断片、バリアント、もしくはオリゴマーを有する。例示的な受容体結合ドメインは、ApoEのN末端、例えば、配列番号21のアミノ酸残基1~191の間、配列番号21のアミノ酸残基25~185の間、配列番号21のアミノ酸残基50~180の間、配列番号21のアミノ酸残基75~175の間、配列番号21のアミノ酸残基100~170の間、または配列番号21のアミノ酸残基125~165の間で見出すことができる。例示的な受容体結合ドメインは、配列番号21の残基159~167のアミノ酸配列を有する。
【0164】
一部の実施形態では、ApoEの受容体結合ドメインを含むペプチド配列は、少なくとも1つのアミノ酸変異、欠失、付加、または置換を含んでよい。一部の実施形態では、アミノ酸置換は、2つ以上の変異、欠失、付加、または置換の組み合わせであってよい。一部の実施形態では、少なくとも1つの置換は保存的置換である。一部の実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸付加は、ApoEのRbドメインに既に見出される選択された配列の付加を含む。当業者は、BBBを超えての輸送のために、ある程度の生化学的活性を保持しながら配列に対して行うことができる適切な改変を認識するであろう。
【0165】
GBA及びM2促進物質の発現用ベクター
高い転写及び翻訳率を達成することに加えて、哺乳動物細胞における外因性遺伝子の安定発現を、遺伝子を含むポリヌクレオチドを哺乳動物細胞の核ゲノムに組み込むことにより達成することができる。外因性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを哺乳動物細胞の核DNAに送達及び組み込むための様々なベクターが開発されている。発現ベクターの例は、例えば、WO1994/011026に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の組成物及び方法で使用するための発現ベクターは、GBA及び/またはM2促進物質をコードするポリヌクレオチド配列、さらには例えば、これらの作用物質の発現及び/またはこれらのポリヌクレオチド配列の哺乳動物細胞のゲノムへの組み込みに使用される追加の配列エレメントを含む。GBA及びM2促進物質の発現に使用することができるある特定のベクターには、プロモーター及びエンハンサー領域などの遺伝子転写を指示する調節配列を含むプラスミドが含まれる。GBA及びM2促進物質の発現に有用な他のベクターは、これらの遺伝子の翻訳速度を高める、または遺伝子転写から生じるmRNAの安定性または核外輸送を改善するポリヌクレオチド配列を含む。これらの配列エレメントには、例えば、発現ベクター上で運ばれる遺伝子の効率的な転写を指示するために、5’及び3’非翻訳領域、内部リボソーム進入部位(IRES)、及びポリアデニル化シグナル部位が含まれる。本明細書に記載の組成物及び方法で使用するために適した発現ベクターはまた、そのようなベクターを含む細胞を選択するためのマーカーをコードするポリヌクレオチドを含んでもよい。適切なマーカーの例は、アンピシリン、クロラムフェニコール、カナマイシン、ヌーセオトリシンなどの抗生物質に対する抵抗性をコードする遺伝子である。
【0166】
本明細書に記載の組成物及び方法で使用するための発現ベクターは、モノシストロニックまたはポリシストロニック発現カセットからGBA及び1つまたは複数のM2促進物質を発現することができる。モノシストロニック発現カセットは、単一の遺伝子をコードするポリヌクレオチド配列を含む。本明細書に記載の多能性細胞(例えば、CD34+細胞)を、例えば、それぞれがモノシストロニック発現カセットを含む複数のプラスミド、または1つよりも多いモノシストロニック発現カセットを含む単一のプラスミドでトランスフェクトすることができる。ポリシストロニック発現カセットを使用して、単一の転写物から2つ以上のタンパク質を同時に発現させることができる。ポリシストロニック発現カセットは、単一の転写物から2つのタンパク質を生成するために使用することができ、かつリボソームを動員して5’キャップ以外のmRNAの領域から翻訳を開始するIRES配列を含んでもよいビシストロニック発現カセットを含む。
【0167】
口蹄疫ウイルス2A(FMDV2A)ポリヌクレオチドを、2つ以上の遺伝子(例えば、2つの遺伝子、3つの遺伝子、4つの遺伝子、5つの遺伝子またはそれ以上)を発現させるために利用することができ、ビシストロニックまたはポリシストロニック発現カセットを使用して、同じ転写物から等モルレベルの複数の遺伝子を生成することができる。FMDV2Aは、2A配列により連結されたタンパク質を分離する同時翻訳切断イベントを媒介し、複数の2A配列を1つのベクターで使用することができる。複数のタンパク質を発現させるためのFMDV2Aの使用例については、その開示がFMDV2A配列の使用に関係するため、参照により本明細書に組み込まれるRyan and Drew, EMBO Journal 13:928 (1994)を参照されたい。他のウイルス由来の2A様配列も、本明細書に記載の組成物及び方法で使用することができ、それらの開示が遺伝子発現における2A様配列の使用に関連するため、参照により本明細書に組み込まれるSzymczak and Vignali, Expert Opin Biol Ther. 5:627 (2005), Szymczak et al., Nat Biotechnol. 22:589 (2004)、及びOsborn et al., Molecular Therapy 12:569 (2005)に記載のとおり、ウマ鼻炎Aウイルス(E2A)、ブタテスコウイルス-1(P2A)、及びThosea asignaウイルス(T2A)由来の2A様配列が含まれる。
【0168】
GBA及びM2促進物質を発現させるためのウイルスベクター
ウイルスゲノムは、哺乳動物細胞への外因性遺伝子の効率的な送達に使用することができるベクターの豊富な供給源を提供する。ウイルスゲノムは、そのようなゲノム内に含まれるポリヌクレオチドが典型的に、一般化または特殊化された形質導入により哺乳動物細胞の核ゲノムに組み込まれるため、遺伝子送達に特に有用なベクターである。これらのプロセスは、天然のウイルス複製サイクルの一部として生じ、遺伝子統合を誘導するために追加のタンパク質または試薬を必要としない。ウイルスベクターの例は、レトロウイルス(例えば、Retroviridae科ウイルスベクター)、アデノウイルス(例えば、Ad5、Ad26、Ad34、Ad35、及びAd48)、パルボウイルス(例えば、アデノ随伴ウイルス)、コロナウイルス、オルソミクソウイルスなどのマイナス鎖RNAウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)、ラブドウイルス(例えば、狂犬病及び水疱性口内炎ウイルス)、パラミクソウイルス(例えば、麻疹及びセンダイ)、ピコルナウイルス及びアルファウイルスなどのプラス鎖RNAウイルス、ならびにアデノウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス1型及び2型、エプスタインバーウイルス、サイトメガロウイルス)、及びポックスウイルス(ワクシニア、改変ワクシニアアンカラ(MVA)、鶏痘、カナリア痘)を含む二本鎖DNAウイルスである。他のウイルスには、例えば、ノーウォークウイルス、トガウイルス、フラビウイルス、レオウイルス、パポバウイルス、ヘパドナウイルス、ヒトパピローマウイルス、ヒト泡沫状ウイルス、及び肝炎ウイルスが含まれる。レトロウイルスの例は、トリ白血病肉腫、トリC型ウイルス、哺乳動物C型、B型ウイルス、D型ウイルス、オンコレトロウイルス、HTLV-BLVグループ、レンチウイルス、アルファレトロウイルス、ガンマレトロウイルス、スプマウイルスである(Coffin, J. M., Retroviridae: The viruses and their replication, Virology, Third Edition (Lippincott-Raven, Philadelphia, (1996)))。他の例は、マウス白血病ウイルス、マウス肉腫ウイルス、マウス乳房腫瘍ウイルス、ウシ白血病ウイルス、ネコ白血病ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、トリ白血病ウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス、ヒヒ内在性ウイルス、ギボンサル白血病ウイルス、メイソンファイザーサルウイルス、サル免疫不全ウイルス、サル肉腫ウイルス、ラウス肉腫ウイルス及びレンチウイルスである。ベクターの他の例は、例えば、その教示が参照により本明細書に組み込まれるMcVey et al., (US 5,801,030)に記載されている。
【0169】
核酸送達のためのAAVベクター
本明細書に記載の組成物及び方法の核酸を、細胞へのそれらの導入を容易にするために、rAAVベクター及び/またはビリオンに組み込むことができる。AAVベクターは中枢神経系で使用することができ、適切なプロモーター及び血清型は、その開示がCNS遺伝子治療において有用なプロモーター及びAAV血清型に関するため参照により本明細書に組み込まれるPignataro et al., J Neural Transm (2017)(印刷前にepub)において論述されている。本明細書に記載の組成物及び方法において有用なrAAVベクターは、(1)発現されるべき異種配列(例えば、GBA及び/またはM2促進物質をコードするポリヌクレオチド)及び(2)異種遺伝子の統合及び発現を促進するウイルス配列を含む組換え核酸構築物である。ウイルス配列は、ビリオンへのDNAの複製及びパッケージング(例えば、機能的ITR)のためにシスで必要とされるAAVの配列を含んでよい。そのようなrAAVベクターはまた、マーカーまたはレポーター遺伝子を含んでもよい。有用なrAAVベクターは、AAV WT遺伝子の1つまたは複数を全体的または部分的に欠失しているが、機能的隣接ITR配列は保持する。AAV ITRは、特定の用途に適した任意の血清型のものであってよい。rAAVベクターを使用する方法は、例えば、それぞれの開示が遺伝子送達のためのAAVベクターに関係するため、参照により本明細書に組み込まれる Tal et al., J. Biomed. Sci. 7:279 (2000),及びMonahan and Samulski, Gene Delivery 7:24 (2000)に記載されている。
【0170】
本明細書に記載の核酸及びベクターを、細胞への核酸またはベクターの導入を容易にするために、rAAVビリオンに組み込むことができる。AAVのキャプシドタンパク質は、ビリオンの外側の非核酸部分を構成し、AAV cap遺伝子によりコードされる。cap遺伝子は、ビリオンのアセンブリに必要な3つのウイルスコートタンパク質、VP1、VP2、及びVP3をコードする。rAAVビリオンの構築は、例えば、それぞれの開示が遺伝子送達のためのAAVベクターに関連するため、参照により本明細書に組み込まれるUS5,173,414;US5,139,941;US5,863,541;US5,869,305;US6,057,152;及びUS6,376,237さらにはRabinowitz et al., J. Virol. 76:791 (2002)及びBowles et al., J. Virol. 77:423 (2003)に記載されている。
【0171】
本明細書に記載の組成物及び方法と併せて有用なrAAVビリオンには、AAV 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10及びrh74を含む様々なAAV血清型に由来するものが含まれる。中枢神経系に配置されている、または中枢神経系に送達される細胞をターゲティングするためには、AAV2、AAV9、及びAAV10が特に有用であり得る。種々の血清型のAAVベクター及びAAVタンパク質の構築及び使用は、例えば、それぞれの開示が遺伝子送達のためのAAVベクターに関連するため、参照により本明細書に組み込まれるChao et al., Mol. Ther. 2:619 (2000);Davidson et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:3428 (2000);Xiao et al., J. Virol. 72:2224 (1998);Halbert et al., J. Virol. 74:1524 (2000);Halbert et al., J. Virol. 75:6615 (2001);及びAuricchio et al., Hum. Molec. Genet. 10:3075 (2001)に記載されている。
【0172】
偽型rAAVベクターも、本明細書に記載される組成物及び方法と併せて有用である。偽型ベクターには、所与の血清型以外の血清型に由来するキャプシド遺伝子で偽型化された所与の血清型のAAVベクターが含まれる(例えば、とりわけAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、及びAAV10)。偽型rAAVビリオンの構築及び使用をに関する技術は当技術分野で知られており、例えば、Duan et al., J. Virol. 75:7662 (2001);Halbert et al., J. Virol. 74:1524 (2000);Zolotukhin et al., Methods, 28:158 (2002);及びAuricchio et al., Hum. Molec. Genet. 10:3075 (2001)に記載されている。
【0173】
ビリオンキャプシド内に変異を有するAAVビリオンを使用して、非変異型キャプシドビリオンよりも効果的に特定の細胞型を感染させることができる。例えば、適切なAAV変異体は、特異的な細胞型へのAAVのターゲティングを容易にするためのリガンド挿入変異を有してもよい。挿入変異体、アラニンスクリーニング変異体、及びエピトープタグ変異体を含むAAVキャプシド変異体の構築及び特徴付けは、Wu et al., J. Virol. 74:8635 (2000)に記載されている。本明細書に記載の方法で使用することができる他のrAAVビリオンには、ウイルスの分子育種により、さらにはエクソンシャッフリングにより生成されるキャプシドハイブリッドが含まれる。例えば、Soong et al., Nat. Genet., 25:436 (2000)及びKolman and Stemmer, Nat. Biotechnol. 19:423 (2001)を参照されたい。
【0174】
レトロウイルスベクター
本明細書に記載の方法及び組成物で使用される送達ベクターは、レトロウイルスベクターであってもよい。本明細書に記載の方法及び組成物で使用することができるレトロウイルスベクターの1つの型は、レンチウイルスベクターである。レトロウイルスのサブセットであるレンチウイルスベクター(LV)は、広範囲の分裂細胞型及び非分裂細胞型を高効率で形質導入し、導入遺伝子の安定した長期発現をもたらす。レンチウイルスベクターの最適化戦略の概要は、その開示が参照により本明細書に組み込まれるDelenda, The Journal of Gene Medicine 6: S125 (2004)に提示されている。
【0175】
レンチウイルスベースの遺伝子導入技術の使用は、目的の導入遺伝子が収容されている高度に欠失したウイルスゲノムを運ぶ組換えレンチウイルス粒子のインビトロ生成に依存している。特に、組換えレンチウイルスは、(1)パッケージング構築物、すなわち、Gag-Pol前駆体をRevと共に発現するベクター(代替では、トランスで発現);(2)一般に異種の性質のエンベロープ受容体を発現するベクター;及び(3)すべてのオープンリーディングフレームが除去されているが、複製、キャプシド形成、及び発現に必要な配列を維持し、発現されるべき配列が挿入されているウイルスcDNAであるトランスファーベクターの許容細胞株でのイントランス共発現により回収される。
【0176】
本明細書に記載の方法及び組成物で使用されるレンチウイルスベクターは、5’-長末端反復(LTR)、HIVシグナル配列、HIV Psiシグナル5’-スプライス部位(SD)、デルタ-GAGエレメント、Revレスポンシブエレメント(RRE)、3’-スプライス部位(SA)、伸長因子(EF)1-アルファプロモーター及び3’-自己不活性化LTR(SIN-LTR)のうちの1つまたは複数を含んでもよい。レンチウイルスベクターは、その開示がWPREに関連するため参照により本明細書に組み込まれるUS6,136,597に記載されているとおり、中央ポリプリン路(cPPT)及びウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)を任意選択で含む。レンチウイルスベクターは、例えば下に示すとおりのものを含み得るpHR’主鎖をさらに含んでもよい。
【0177】
Lu et al., Journal of Gene Medicine 6:963 (2004)に記載のレンチゲンレンチウイルスベクターを使用して、DNA分子を発現させる、及び/または細胞を形質導入することもできる。
【0178】
本明細書に記載の方法及び組成物で使用されるレンチウイルスベクターは、5’-長末端反復(LTR)、HIVシグナル配列、HIV Psiシグナル5’-スプライス部位(SD)、デルタ-GAGエレメント、Revレスポンシブエレメント(RRE)、3’-スプライス部位(SA)、伸長因子(EF)1-アルファプロモーター及び3’-自己不活性化LTR(SIN-LTR)を含んでもよい。任意選択で、これらの領域の1つまたは複数が、同様の機能を実行する別の領域で置換されることは、当業者には容易に明らかであろう。
【0179】
GBAまたはM2促進物質は、十分に高いレベルで発現する必要がある。導入遺伝子の発現は、プロモーター配列により駆動される。任意選択で、レンチウイルスベクターはCMVプロモーターを含む。前記プロモーターは、EF1αまたはPGKプロモーターであってもよい。別の実施形態では、前記プロモーターは、ミクログリア特異的プロモーター、例えば、CD68プロモーター、CX3CR1プロモーター、ITGAMプロモーター、AIF1プロモーター、P2Y12プロモーター、TMEM119プロモーター、またはCSF1Rプロモーターである。当業者は、本明細書に記載のベクター構築物において適切である多くのプロモーターに精通しているであろう。
【0180】
改変DNA分子の発現を増加させる、またはレンチウイルスの組み込み効率を高めるために、エンハンサーエレメントを使用することができる。本明細書に記載の方法及び組成物で使用されるレンチウイルスベクターは、nef配列を含んでもよい。本明細書に記載の方法及び組成物で使用されるレンチウイルスベクターは、ベクター統合を増強するcPPT配列を含んでもよい。cPPTは、(+)-鎖DNA合成の第2の起点として機能し、その天然HIVゲノムの中央に部分的なストランドオーバーラップを導入する。トランスファーベクター主鎖にcPPT配列を導入すると、核輸送及びターゲット細胞のDNAに組み込まれるゲノムの総量が大幅に増加した。本明細書に記載の方法及び組成物で使用されるレンチウイルスベクターは、ウッドチャック転写後調節エレメント(WPRE)を含んでもよい。WPREは、転写物の核輸出を促進することにより、及び/または新生転写物のポリアデニル化の効率を高めることにより、転写レベルで機能し、したがって、細胞内のmRNAの総量を増加させる。レンチウイルスベクターにWPREを付加すると、インビトロ及びインビボの両方で、いくつかの異なるプロモーターからの導入遺伝子発現レベルが大幅に改善される。本明細書に記載される方法及び組成物において使用されるレンチウイルスベクターは、cPPT配列及びWPRE配列の両方を含んでもよい。ベクターはまた、単一のプロモーターからの複数のポリペプチドの発現を可能にする内部リボソーム進入部位(IRES)配列を含んでもよい。
【0181】
IRES配列に加えて、複数のポリペプチドの発現を可能にする他のエレメントが有用である。本明細書に記載の方法及び組成物で使用されるベクターは、1種よりも多いポリペプチドの発現を可能にする複数のプロモーターを含んでもよい。本明細書に記載の方法及び組成物で使用されるベクターは、1種よりも多いポリペプチドの発現を可能にするタンパク質切断部位を含んでもよい。1種よりも多いポリペプチドの発現を可能にするタンパク質切断部位の例は、それらの開示が1種よりも多いポリペプチドの発現を可能にするタンパク質切断部位に関するため、参照により本明細書に組み込まれるKlump et al., Gene Ther.;8:811 (2001), Osborn et al., Molecular Therapy 12:569 (2005), Szymczak and, Vignali,. Expert Opin Biol Ther. 5:627 (2005)、及びSzymczak et al., Nat Biotechnol. 22:589 (2004)に記載されている。当業者には、将来同定される複数のポリペプチドの発現を可能にする他のエレメントが有用であり、本明細書に記載の組成物及び方法での使用に適したベクターで利用することができることは容易に明らかであろう。
【0182】
本明細書に記載の方法及び組成物で使用されるベクターは、臨床グレードのベクターであってもよい。
【0183】
ウイルス調節エレメント
ウイルス調節エレメントは、核酸分子を宿主細胞に導入するために使用される送達担体の成分である。ウイルス調節エレメントは任意選択で、レトロウイルス調節エレメントである。例えば、ウイルス調節エレメントは、HSC1またはMSCVからのLTR及びgag配列であってもよい。レトロウイルス調節エレメントはレンチウイルスに由来してもよいし、または他のゲノム領域から同定される異種配列であってもよい。
【0184】
当業者は、他のウイルス調節エレメントが同定されたとき、それらを本明細書に記載の核酸分子と共に使用することができることも理解するであろう。
【0185】
ターゲット細胞に外因性核酸を送達するための方法
コドン最適化DNAまたはRNA(例えば、mRNA、tRNA、siRNA、miRNA、shRNA、化学改変RNA)などのポリヌクレオチドを哺乳動物細胞に導入するために使用することができる技術は、当技術分野で周知である。例えば、エレクトロポレーションを使用して、目的の細胞に静電位を印加することにより、哺乳動物細胞(例えば、ヒトターゲット細胞)を透過性にすることができる。この様式で外部電場にかけられたヒト細胞などの哺乳動物細胞はその後、外因性核酸を取り込みやすくなる。哺乳動物細胞のエレクトロポレーションは、例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれるChu et al., Nucleic Acids Research 15:1311 (1987)に詳細に記載されている。同様の技術であるNucleofection(商標)は、真核細胞の核への外因性ポリヌクレオチドの取り込みを刺激するために、印加電場を利用する。Nucleofection(商標)及びこの技術を実行するために有用なプロトコルは、例えば、それぞれの開示が参照により本明細書に組み込まれるDistler et al., Experimental Dermatology 14:315 (2005)、さらにはUS2010/0317114に詳細に記載されている。
【0186】
ターゲット細胞のトランスフェクションに有用な追加の技術は、スクイーズ-ポレーション法である。この技術は、加えられたストレスに応答して形成される膜孔を通して外因性DNAの取り込みを刺激するために、細胞の急速な機械的変形を誘導する。この技術は、ヒトターゲット細胞などの細胞への核酸の送達にベクターが必要とされないということにおいて有利である。スクイーズ-ポレーションは、例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれるSharei et al., Journal of Visualized Experiments 81:e50980 (2013)に詳細に記載されている。
【0187】
リポフェクションは、ターゲット細胞のトランスフェクションに有用な別の技術である。この方法は、多くの場合に第4級またはプロトン化アミンなどのカチオン性官能基をリポソーム外部に向かって提示するリポソームに、核酸を負荷することを伴う。これは、細胞膜のアニオン性の性質により、リポソームと細胞との間の静電相互作用を促進し、最終的に、例えば、リポソームと細胞膜の直接融合により、または複合体のエンドサイトーシスにより、外因性核酸の取り込みにつながる。リポフェクションは、例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,442,386号に詳細に記載されている。細胞膜とのイオン相互作用を利用して外来核酸の取り込みを誘発する同様の技術は、細胞をカチオン性ポリマー-核酸複合体と接触させることである。ポリヌクレオチドと会合して細胞膜との相互作用に好ましい正電荷を付与する例示的なカチオン性分子は、活性化デンドリマー(例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれるDennig, Topics in Current Chemistry 228:227 (2003)に記載)ポリエチレンイミン、及びジエチルアミノエチル(DEAE)-デキストランであり、トランスフェクション剤としてのその使用は、例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれるGulick et al., Current Protocols in Molecular Biology 40:I:9.2:9.2.1 (1997)に詳細に記載されている。磁気ビーズは、穏やかで効率的な様式でターゲット細胞をトランスフェクトするために使用することができる別のツールである。それというのも、この方法は、核酸の取り込みを指示するため印加された磁場を利用するためである。この技術は、例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれるUS2010/0227406で詳細に説明されている。
【0188】
ターゲット細胞による外因性核酸の取り込みを誘導するための別の有用なツールは、光トランスフェクションとも呼ばれるレーザーフェクションであり、これは細胞を穏やかに透過性にし、ポリヌクレオチドを細胞膜に透過させるために、細胞を特定の波長の電磁放射線に曝露することを含む技術である。この技術の生物活性は、エレクトロポレーションと同様であり、場合によっては、エレクトロポレーションより優れているとみられる。
【0189】
インペールフェクションは、遺伝物質をターゲット細胞に送達するために使用することができる別の技術である。これは、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、ナノワイヤーなどのナノ材料の使用に依存している。針状のナノ構造を、基質の表面に対して垂直に合成する。細胞内送達が意図されている遺伝子を含むDNAを、ナノ構造表面に付着させる。次いで、これらの針のアレイを備えたチップを細胞または組織に押し付ける。ナノ構造を突き刺された細胞は、送達された遺伝子(複数可)を発現することができる。この技術の例は、その開示が参照により本明細書に組み込まれるShalek et al., PNAS 107: 1870 (2010)に記載されている。
【0190】
マグネトフェクションも、核酸をターゲット細胞に送達するために使用することができる。マグネトフェクションの原理は、核酸をカチオン性磁性ナノ粒子と会合させることである。磁性ナノ粒子は、完全に生分解性である酸化鉄から作製され、用途に応じて変化する特異的なカチオン性独自の分子(proprietary molecules)でコーティングされる。遺伝子ベクター(DNA、siRNA、ウイルスベクターなど)とのそれらの会合は、塩誘導性コロイド凝集及び静電相互作用により達成される。次いで、磁石により生じる外部磁場の影響により、磁性粒子がターゲット細胞で濃縮される。この技術は、その開示が参照により本明細書に組み込まれるScherer et al., Gene Therapy 9:102 (2002)に詳細に説明されている。
【0191】
ターゲット細胞による外因性核酸の取り込みを誘導するための別の有用なツールは、ソノポレーションであり、これは、細胞原形質膜の透過性を変更するために音(典型的には超音波周波数)を使用して細胞を透過性にし、ポリヌクレオチドが細胞膜を透過することを可能にする技術である。この技術は、例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれるRhodes et al., Methods in Cell Biology 82:309 (2007)に詳細に説明されている。
【0192】
微小胞は、本明細書に記載の方法に従ってターゲット細胞のゲノムを改変するために使用され得る別の潜在的な担体を表す。例えば、糖タンパク質VSV-Gと、例えばヌクレアーゼなどのゲノム改変タンパク質との同時過剰発現により誘導される微小胞を使用して、後で内因性ポリヌクレオチド配列の部位特異的切断を触媒するタンパク質を細胞に効率的に送達して、遺伝子または調節配列などの目的のポリヌクレオチドの共有結合的組み込みのために細胞のゲノムを準備することができる。真核細胞の遺伝子改変ではジェシクルとも称されるそのような小胞の使用は、例えば、Quinn et al., Genetic Modification of Target Cells by Direct Delivery of Active Protein [abstract]: Methylation changes in early embryonic genes in cancer [abstract] : Proceedings of the 18th Annual Meeting of the American Society of Gene and Cell Therapy;2015 May 13, Abstract No. 122に詳細に記載されている。
【0193】
遺伝子編集技術を使用した遺伝子発現の調節
内因性GBAの破壊
一部の実施形態では、内因性GBAを破壊する(例えば、処置中の対象のニューロンの集団においてなど、処置を受けている対象において、または対象に投与される多能性細胞において)。内因性GBA発現を破壊するための例示的な方法は、阻害性RNA分子を対象に投与するか、または対象のニューロンの集団または対象に投与される多能性細胞の集団と接触させる方法である。阻害性RNA分子は、内因性GBA発現を破壊するように機能し得る、例えば、RNA干渉(RNAi)経路を介して作用し得る。阻害性RNA分子は、内因性GBAの発現レベル(例えば、タンパク質レベルまたはmRNAレベル)を低下させ得る。例えば、阻害性RNA分子には、全長の内因性GBAをターゲティングする短鎖干渉RNA、短鎖ヘアピンRNA、及び/またはマイクロRNAが含まれる。siRNAは、典型的には約19~25塩基対の長さを持つ二本鎖RNA分子である。shRNAは、RNAiを介してターゲット遺伝子の発現を減少させるヘアピンターンを含むRNA分子である。shRNAは、プラスミド、例えば、ウイルスまたは細菌ベクターなどの形態で、例えば、トランスフェクション、エレクトロポレーション、または形質導入により細胞に送達することができる。マイクロRNAは、典型的には約22ヌクレオチドの長さを有する非コーディングRNA分子である。miRNAは、mRNA分子上のターゲット部位に結合し、例えば、mRNAの切断、mRNAの不安定化、またはmRNAの翻訳の阻害を引き起こすことにより、mRNAをサイレンシングする。阻害性RNA分子は、改変ヌクレオチド、例えば、2’-フルオロ、2’-o-メチル、2’-デオキシ、アンロックド核酸、2’-ヒドロキシ、ホスホロチオエート、2’-チオウリジン、4’-チオウリジン、2’-デオキシウリジンを含むように改変することができる。理論に束縛されることはないが、ある特定の改変はヌクレアーゼ抵抗性及び/または血清安定性を上昇させることができるか、または免疫原性を低下させることができると考えられる。
【0194】
一部の実施形態では、阻害性RNA分子は、内因性GBAのレベル及び/または活性もしくは機能を低下させる。実施形態では、阻害性RNA分子は、内因性GBAの発現を阻害する。他の実施形態では、阻害性RNA分子は、内因性GBAの分解を増加させる、及び/または内因性GBAの安定性を低下させる。阻害性RNA分子を、化学的に合成するか、またはインビトロで転写することができる。
【0195】
一部の実施形態では、内因性GBAを、例えば、本明細書に記載の遺伝子編集技術を使用して、GBA導入遺伝子を含む多能性幹細胞において破壊する。一部の実施形態では、内因性GBAを、例えば、本明細書に記載の遺伝子編集技術を使用して、対象において全体的に破壊する。一部の実施形態では、内因性GBAを、例えば、本明細書に記載の遺伝子編集技術を使用して、対象のニューロンの集団で破壊する。一部の実施形態では、対象、ニューロン、及び/またはGBA導入遺伝子を含む多能性細胞における内因性GBAの破壊を、多能性幹細胞を対象に投与する前に行う。
【0196】
リボザイム、RNAse P、siRNA、miRNAなどの非コーディングRNAに基づく阻害性治療薬の作製及び使用も、例えば、Sioud, RNA Therapeutics: Function, Design, and Delivery (Methods in Molecular Biology). Humana Press 2010に記載のとおり、当技術分野で公知である。
【0197】
ヌクレアーゼ媒介遺伝子導入
多能性幹細胞のゲノムへのターゲット遺伝子の破壊及び統合のための別の有用なツールは、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)/Casシステムであり、これは、元々はウイルス感染に対する細菌と古細菌における適応防御機構として進化したシステムである。CRISPR/Casシステムは、プラスミドDNA及び関連Cas9ヌクレアーゼ内の回文リピート配列を含む。このDNA及びタンパク質の集合体は、最初に外来DNAをCRISPR遺伝子座に組み込むことにより、ターゲット配列の部位特異的DNA切断を指示する。次いで、これらの外来配列及びCRISPR遺伝子座のリピート-スペーサーエレメントを含むポリヌクレオチドを宿主細胞に転写してガイドRNAを作製し、その後これを、ターゲット配列にアニーリングし、Cas9ヌクレアーゼをこの部位に局在化させることができる。このように、Cas9をターゲットDNA分子に近接させる相互作用はRNA:DNAハイブリダイゼーションに支配されるので、高度に部位特異的なCas9媒介DNA切断を外来ポリヌクレオチドにおいて操作することができる。結果として、理論的にはCRISPR/Casシステムを、目的の任意のターゲットDNA分子(例えば、内因性GBA)を切断するために設計することができる。この技術は、真核生物のゲノムを編集するために利用されており(その開示が参照により本明細書に組み込まれるHwang et al. Nature Biotechnology 31:227 (2013))、多能性幹細胞ゲノムを部位特異的に編集して、ターゲット遺伝子をコードする遺伝子の取り込み前にDNA切断をするための効率的な手段として使用することができる。遺伝子発現を調節するためのCRISPR/Casの使用は、例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれるUS8,697,359に記載されている。多能性幹細胞に目的の遺伝子を組み込む前に、ゲノムDNAを部位特異的に切断することによりターゲットDNSを破壊するための代替方法には、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)及び転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)の使用が含まれる。CRISPR/Casシステムとは異なり、これらの酵素は、特異的なターゲット配列に局在化するための誘導ポリヌクレオチドを含まない。代わりに、ターゲット特異性は、これらの酵素内のDNA結合ドメインにより制御される。ゲノム編集用途でのZFN及びTALENの使用は、例えば、その両方の開示が参照により本明細書に組み込まれるUrnov et al. Nature Reviews Genetics 11:636 (2010);及びJoung et al. Nature Reviews Molecular Cell Biology 14:49 (2013)に記載されている。一部の実施形態では、内因性GBAを、本明細書に記載のこれらの遺伝子編集技術を使用して、GBA導入遺伝子及び/またはM2促進物質を含む多能性幹細胞において破壊することができる。
【0198】
トランスポゾン媒介遺伝子導入
ウイルスベクターに加えて、外因性遺伝子を多能性幹細胞(CD34+細胞など)に組み込むために使用することができる様々な追加のツールが開発されている。ターゲット遺伝子をコードするポリヌクレオチドを多能性幹細胞に組み込むために使用することができるそのような方法の1つは、トランスポゾンの使用を含む。トランスポゾンは、トランスポザーゼ酵素をコードするポリヌクレオチドであり、目的のポリヌクレオチド配列または遺伝子を5’及び3’切除部位に隣接して含む。トランスポゾンが細胞に送達されると、トランスポザーゼ遺伝子の発現が始まり、トランスポゾンから目的の遺伝子を切断する活性酵素が生じる。この活性は、トランスポザーゼによるトランスポゾン切除部位の部位特異的認識により媒介される。ある特定の場合には、これらの切除部位は、末端リピートまたは逆位末端リピートであってもよい。トランスポゾンから切除されると、目的の遺伝子は、細胞の核ゲノム内に存在する同様の切除部位のトランスポザーゼ触媒切断により、哺乳動物細胞のゲノムに統合され得る。これにより、目的の遺伝子が相補的切除部位で切断された核DNAに挿入されることが可能になり、その後、目的の遺伝子を哺乳動物細胞ゲノムのDNAに結合するホスホジエステル結合の共有ライゲーションで、組み込みプロセスは完了する。ある特定の場合には、トランスポゾンはレトロトランスポゾンであってもよく、その結果、ターゲット遺伝子をコードする遺伝子は、最初にRNA産物に転写され、次いで、哺乳動物細胞ゲノムへの組み込み前にDNAに逆転写される。トランスポゾンシステムには、ピギーバックトランスポゾン(例えば、WO2010/085699に詳細に記載)及びスリーピングビューティートランスポゾン(例えば、US2005/0112764に詳細に記載)が含まれ、それぞれの開示が参照により本明細書に組み込まれる。
【0199】
処置の方法
対象の選択
本明細書に記載のとおりに処置され得る対象は、パーキンソン病を有するか、または発症するリスクのある対象である。PDのタイプは、GBA関連PD、散発性PD、環境毒素、例えば除草剤や農薬により引き起こされるPD、または非GBA変異、例えばパーキン、PINK1、LRRK2、もしくはDJ-1をコードする遺伝子のうちの1つまたは複数の変異に関連するPDであってよい。本明細書に記載の組成物及び方法を使用して、正常なGBA活性を有する患者、GBA活性が低下している患者、及びそのGBA変異状態及び/またはGBA活動レベルが不明な患者を処置することができる。本明細書に記載の組成物及び方法を、パーキンソン病を発症するリスクのある患者、例えばGBA変異を有する患者、GBA活性が低下している患者、パーキン、PINK1、LRRK2、またはDJ-1をコードする遺伝子のうちの1つまたは複数に変異を有する患者、またはPDに関連する環境毒素に曝露された患者に予防的処置として投与することもできる。PDのリスクのある患者は、処置を投与するときにPDの初期症状を示していてもよいし、またはまだ症状がなくてもよい。
【0200】
投与経路
本明細書に記載の細胞及び組成物は、脳室内、定位的、静脈内、骨内などの様々な経路により、または骨髄移植により、パーキンソン病を有する対象に投与することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載の細胞及び組成物を、全身的に(例えば、静脈内)、中枢神経系(CNS)に直接(例えば、脳室内または定位的)、または骨髄に直接(例えば、骨内)投与することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載の細胞及び組成物を大脳側脳室へと脳室内で、対象に投与する(この方法の説明は、マウスモデルの大脳側脳室への造血幹細胞及び前駆細胞の脳室内注入に関連するため、参照により本明細書に組み込まれるCapotondo et al., Science Advances 3:e1701211 (2017)において見い出すことができる)。一部の実施形態では、本明細書に記載の細胞及び組成物を、黒質への定位的注射により対象に投与する(この方法の説明は、PDマウスモデルの黒質への造血幹細胞及び前駆細胞の定位注入に関連するため、参照により本明細書に組み込まれるAltarche-Xifro et al., EBiomedicine 8:83 (2016)において見い出すことができる)。任意の所与の症例における最適な投与経路は、投与される特定の細胞または組成物、患者、医薬製剤方法、投与方法(例えば、投与時間及び投与経路)、患者の年齢、体重、性別、処置される疾患の重症度、患者の食事、及び患者の排泄速度に依存する。複数の投与経路を使用して、例えば、脳室内もしくは定位注射と静脈内注射、脳室内もしくは定位注射と骨内注射、または脳室内もしくは定位注射と骨髄移植で、単一の対象を処置することができる。複数の投与経路を使用して、単一の対象を一度に処置することもできるし、または対象は、最初に1つの投与経路を介して処置を受け、2回目の受診時に、例えば1週間後、2週間後、1ヶ月後、6ヶ月後、または1年後に、別の投与経路を介して処置を受けてもよい。パーキンソン病の処置のために、細胞を対象に1回投与してもよいし、または細胞を対象に週、月、または年に1回または複数回(例えば2~10回)投与してもよい。
【0201】
前処置
細胞または組成物の投与前に、内因性ミクログリア及び/または造血幹細胞及び前駆細胞を枯渇または除去することが有利であり得る。ミクログリア及び/または造血幹細胞及び前駆細胞は、化学薬剤(例えば、ブスルファン、トレオスルファン、PLX3397、PLX647、PLX5622、またはクロドロネートリポソーム)、照射、またはそれらの組み合わせを使用することで除去することができる。細胞除去に使用される薬剤は、BBB透過性であってもよいし(例えば、ブスルファン)、またはBBBを超える能力を欠いていてもよい(例えば、トレオスルファン)。例示的なミクログリア及び/または造血幹細胞及び前駆細胞除去薬はブスルファン(その開示がミクログリアを除去するためのブスルファンの使用に関連するため、参照により組み込まれるCapotondo et al., PNAS 109:15018 (2012))、トレオスルファン、PLX3397、PLX647、PLX5622、またはクロドロネートリポソームである。内因性ミクログリア及び/または造血幹細胞及び前駆細胞を枯渇させるための他の薬剤には、造血幹細胞により発現される抗原に結合することができる抗体またはその抗原結合断片に共有結合して抗体薬物複合体を形成することができる細胞毒素が含まれる。抗体薬物コンジュゲートに適した細胞毒素には、当技術分野で既知の中でも、DNA挿入薬(例えば、アントラサイクリン)、有糸分裂紡錘体を破壊することができる薬剤(例えば、ビンカアルカロイド、メイタンシン、メイタンシノイド、及びそれらの誘導体)、RNAポリメラーゼ阻害薬(例えば、α-アマニチン及びその誘導体などのアマトキシン)、タンパク質生合成を妨害することができる薬剤(例えば、サポリン及びリシンA鎖などのrRNA N-グリコシダーゼ活性を示す薬剤)が含まれる。除去はすべてのミクログリア及び/または造血幹細胞及び前駆細胞を排除してもよいし、またはミクログリア及び/または造血幹細胞と前駆細胞の数を少なくとも10%(例えば、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれ以上)減少させてもよい。ミクログリア及び/または造血幹細胞及び前駆細胞を除去する1種または複数の薬剤を、本明細書に記載の細胞または組成物の投与の少なくとも1週間(例えば、1、2、3、4、5、または6週間以上)前に投与することができる。本明細書に記載の方法で投与された細胞は、除去されたミクログリア及び/または造血幹細胞及び前駆細胞に取って代わることができ、脳室内、定位的、静脈内、または骨内注射後に、または骨髄移植後に、脳で再増殖し得る。静脈内、骨内、または骨髄移植により投与された細胞は、血液脳関門を通過して脳に入り、ミクログリアに分化し得る。脳に投与された細胞、例えば、脳室内または定位的に投与された細胞は、インビボでミクログリアに分化し得るか、エクスビボでミクログリアに分化し得る。
【0202】
幹細胞の奪回
本明細書に記載の方法は、CD34+細胞の集団(例えば、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、造血幹細胞、及び骨髄性前駆細胞)を対象に投与することを含み得る。これらの細胞は、GBAをコードする導入遺伝子を発現するように改変されていないCD34+細胞であってもよい。これらの細胞が内因性GBAを破壊していてもよい。本明細書に記載のとおりの前処置後に、CD34+細胞を全身的に(例えば、静脈内)、または骨髄移植により投与して、骨髄区画を再構成することができる。例えば、これらのCD34+細胞は幹細胞ニッチェに移動し、そのような部位で造血細胞系の細胞の量を例えば1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、またはそれ以上増加させることができる。投与を、本明細書に記載の組成物の投与前または後に行うことができる。
【0203】
ドナー細胞の選択
一部の実施形態では、対象はドナーである。そのような場合、取り出された造血幹細胞または前駆細胞を(改変(例えば、GBA及び/または1つ以上のM2促進物質をコードする導入遺伝子の組み込み、及び/または内因性GBAの破壊)後に)対象に再注入することができ、その後、細胞は、造血組織に帰着し、生産的造血を確立することとなり、それにより、対象において欠陥または欠損している細胞株(例えば、ミクログリアの集団)を増殖または再増殖することができる。このシナリオでは、注入される細胞が患者に由来し、患者が発現するのと同じHLAクラスI及びクラスII抗原を発現するので、移植された造血幹細胞または前駆細胞は移植片拒絶を受ける可能性が最も低くなる。
【0204】
別法では、対象及びドナーは異なってもよい。一部の実施形態では、対象及びドナーは血縁があり、例えば、HLAマッチであってよい。本明細書に記載されているとおり、HLAマッチのドナー-レシピエントのペアは、移植レシピエント内の内因性T細胞及びNK細胞が外来造血幹細胞または前駆細胞を異物として認識する可能性が低く、したがって移植に対する免疫応答を開始する可能性が低いので、移植片拒絶のリスクが低い。例示的なHLAマッチのドナー-レシピエントのペアは、家族内ドナー-レシピエントペア(例えば、兄弟ドナー-レシピエントペア)などの遺伝的に関連するドナー及びレシピエントである。
【0205】
一部の実施形態では、対象及びドナーはHLAミスマッチであり、これは、特にHLA-A、HLA-B及びHLA-DRに関して、少なくとも1つのHLA抗原がドナーとレシピエントとの間でミスマッチである場合に起こる。例えば、移植片拒絶の可能性を低下させるために、一方のハプロタイプがドナーとレシピエントとの間でマッチしてもよく、かつ他方はミスマッチであってもよい。
【0206】
薬学的組成物及び用量
本明細書に記載のとおりにパーキンソン病(例えば、GBA関連パーキンソン病)を処置するために対象に投与される細胞の数は、例えば、GBAの発現レベル、及び任意選択で、細胞におけるM2促進物質の発現レベル、患者、医薬製剤方法、投与方法(例えば、投与時間及び投与経路)、患者の年齢、体重、性別、処置を受ける疾患の重症度、及び患者が内因性ミクログリアを除去する薬剤で処置を受けたことがあるかどうかに依存し得る。投与される細胞の数は、例えば、1×106細胞/kg~1×1012細胞/kg、またはそれ以上(例えば、1×107細胞/kg、1×108細胞/kg、1×109細胞/kg、1×1010細胞/kg、1×1011細胞/kg、1×1012細胞/kg、またはそれ以上)であってよい。細胞を未分化状態で、またはミクログリアへの部分的もしくは完全な分化後に投与することができる。CD34+細胞の数を、前処置後に任意の適切な用量で投与することができる。用量の非限定的な例は、約1×105CD34+細胞/レシピエントkg~約1×107CD34+細胞/kg(例えば、約2×105CD34+細胞/kg~約9×106CD34+細胞/kg、約3×105CD34+細胞/kg~約8×106CD34+細胞/kg、約4×105CD34+細胞/kg~約7×106CD34+細胞/kg、約5×105CD34+細胞/kg~約6×106CD34+細胞/kg、約5×105CD34+細胞/kg~約1×107CD34+細胞/kg、約6×105CD34+細胞/kg~約1×107CD34+細胞/kg、約7×105CD34+細胞/kg~約1×107CD34+細胞/kg、約8×105CD34+細胞/kg~約1×107CD34+細胞/kg、約9×105CD34+細胞/kg~約1×107CD34+細胞/kg、及び約1×106CD34+細胞/kg~約1×107CD34+細胞/kg))である。追加の例示的な投与量は、とりわけ約1×1010CD34+細胞/レシピエントkg~約1×1012CD34+細胞/kg(例えば、約2×1010CD34+細胞/kg~約9×1011CD34+細胞/kg、約3×1010CD34+細胞/kg~約8×1011CD34+細胞/kg、約4×1010CD34+細胞/kg~約7×1011CD34+細胞/kg、約5×1010CD34+細胞/kg~約6×1011CD34+細胞/kg、約5×1010CD34+細胞/kg~約1×1012CD34+細胞/kg、約6×1010CD34+細胞/kg~約1×1012CD34+細胞/kg、約7×1010CD34+細胞/kg~約1×1012CD34+細胞/kg、約8×1010CD34+細胞/kg~約1×1012CD34+細胞/kg、約9×1010CD34+細胞/kg~約1×1012CD34+細胞/kg、及び約1×1011CD34+細胞/kg~約1×1012CD34+細胞/kg)である。
【0207】
本明細書に記載の細胞及び組成物は、PDにおける1つまたは複数の病理学的特徴を改善するために十分な量で投与することができる。本明細書に記載の細胞または組成物の投与は、対象の脳におけるM1ミクログリアの量と比較して、対象の脳におけるM2ミクログリアの量を増加させる、対象の脳における炎症誘発性サイトカインのレベルを低下させる、対象の脳における抗炎症性サイトカインのレベルを上昇させる、対象の認知能力を改善する、対象の運動機能を改善する、対象におけるα-シヌクレインレベルまたはその凝集を低減する、及び/または対象におけるドーパミン作動性ニューロンの喪失を減少させることができる。M1及びM2ミクログリアの数を、処置前後の対象の脳脊髄液(CSF)におけるサイトカイン、ケモカイン、ならびに他の炎症誘発性及び抗炎症性メディエーターのレベルを比較するためにELISAを使用して、処置の前後に古典的活性化M1ミクログリアで高度に発現されるタンパク質であるトランスロケータータンパク質(TSPO)を、例えばTSPO放射性リガンド11C-(R)-PK11195を使用して観察するためにPETイメージングを使用することにより、または標準的な技術、例えばウエスタンブロット分析、免疫組織化学分析、もしくは定量的RT-PCRを使用して組織サンプル中のM1及びM2関連遺伝子及びタンパク質のレベルを分析することにより評価することができる。認知と運動機能は、処置の前後に標準的な神経学的検査を使用して評価することができ、単量体及びオリゴマーのα-シヌクレインはELISAを使用して血漿とCSFで検出することができる。ドーパミン作動性ニューロンの損失は、F18-ドーパPETスキャンまたはドーパミントランスポーターイメージングスキャン(123I-FP-CIT DaTSCAN)を使用して評価することができる。M2促進物質は、1つまたは複数の炎症誘発性サイトカイン、例えばIL-1β、腫瘍壊死因子、iNOS、IL-6、またはIL-12、ケモカイン、M1関連遺伝子及び/またはタンパク質レベル、例えば、MHC II、CD86、CD68、CD11B、またはFcγ受容体、オリゴマーα-シヌクレインレベル、及び/またはTSPOシグナルを10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、200%、500%、またはそれ以上減少させ得る。M2促進物質は、1つまたは複数の抗炎症性サイトカイン、例えばIL-25、IL-10またはTGF-β、ケモカイン、M2関連遺伝子及び/またはタンパク質レベル、例えば、CD163、TREM2、Arg1、またはCD206、認知機能、運動機能、及び/またはF18-ドーパシグナルを10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、200%、500%、またはそれ以上増加させ得る。M2促進物質は、認知機能、運動機能及び/またはF18-ドーパシグナルの低下を減速させる、または予防することができる。これらの作用は、例えば、1つまたは複数のM2促進物質を発現する多能性細胞の投与後1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、15週間、20週間、25週間、またはそれ以上の内に生じ得る。患者を、処置に使用された投与経路に応じて、多能性細胞の集団の投与から1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月またはそれ以上後に評価することができる。評価の結果に応じて、患者は追加の処置を受けることができる。
【0208】
キット
本明細書に記載の組成物を、パーキンソン病の処置において使用するためのキットで提供することができる。組成物は、GBA及び1つまたは複数のM2促進物質を発現し、かつ任意選択で、内因性GBAを破壊していてもよい本明細書に記載の宿主細胞(例えば、HSC、iPSC、ES細胞、CD34+細胞、骨髄前駆細胞)を含んでよい。細胞を、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロール、または別の凍結保護剤中で凍結保存することができる。前記キットは、医師などのキットのユーザーに本明細書に記載の方法を実施するように指示する添付文書を含むことができる。前記キットは任意選択で、組成物を投与するためのシリンジまたは他のデバイスを含んでもよい。
【実施例0209】
以下の実施例は、本明細書に記載の組成物及び方法をどのように使用し、作製し、評価することができるかについての説明を当業者に提供するために記載するものであって、本発明を単に例示することを意図しており、本発明者らが本発明とみなす範囲を限定することを意図したものではない。
【0210】
実施例1.非分泌型グルコセレブロシダーゼ(GBA)及び任意選択でM2促進物質を発現するCD34+造血幹細胞の生成
本明細書に記載の組成物及び方法で使用するための、非分泌型GBA及び任意選択でM2促進物質を発現する多能性細胞(例えば、CD34+細胞)を作製するための例示的な方法は、形質導入である。CD68プロモーターなどのミクログリア特異的プロモーター、GBAシグナルペプチドなどのシグナルペプチド、及びGBAをコードするポリヌクレオチドを含むレトロウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター、アルファレトロウイルスベクター、またはガンマレトロウイルスベクター)を、当技術分野で公知の標準技術を使用して操作することができる。GBA及びIL-25などのM2促進物質を発現する多能性細胞を作製すべき場合、GBAをコードするポリヌクレオチドとIL-25をコードするポリヌクレオチドとの間にIRES配列が配置されたビシストロニック発現カセットを使用することができる。レトロウイルスベクターを操作した後、そのレトロウイルスを使用して多能性細胞(例えば、iPS細胞、ES細胞、CD34+HSC)を形質導入すると、非分泌型GBA及び任意選択でM2促進物質を発現する多能性細胞の集団を生成することができる。
【0211】
本明細書に記載の組成物及び方法で使用するための、非分泌型GBA、及び任意選択でM2促進物質を発現する多能性細胞を作製するための追加の例示的な方法は、トランスフェクションである。当技術分野で公知の分子生物学技術を使用して、ミクログリア特異的プロモーター(例えば、CD68プロモーター)などのプロモーター、GBAシグナルペプチドなどのシグナルペプチド、及びGBAをコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドDNAを生成することができる。例えば、GBA遺伝子を、当技術分野で公知のPCRベースの技術を使用してヒト細胞株から増幅することができるか、または遺伝子を、例えば、固相ポリヌクレオチド合成手順を使用して合成することができる。次いで、GBA遺伝子、プロモーター、及びM2促進物質をコードする核酸を、例えば、適切な制限エンドヌクレアーゼ媒介切断及びライゲーションプロトコルを使用して、目的のプラスミドにライゲートすることができる。非分泌型GBA及びIL-25などのM2促進物質を発現する多能性細胞を作製すべき場合、IRES配列がGBAをコードするポリヌクレオチドとIL-25をコードするポリヌクレオチドとの間に位置するビシストロニック発現カセットを使用することができる。プラスミドDNAを操作した後、そのプラスミドを使用して、例えばエレクトロポレーションまたは本明細書に記載の別のトランスフェクション技術を使用して多能性細胞(例えば、iPS細胞、ES細胞、CD34+HSC)をトランスフェクトし、非分泌型GBA及び任意選択でM2促進物質を発現する多能性細胞の集団を生成することができる。本明細書に記載の両方の例示的な方法で、非分泌型GBAを、GBA融合タンパク質として発現させることができる。融合タンパク質は、非分泌型GBA及びグリコシル化非依存型リソソームターゲティング(GILT)タグを含んでもよい。例示的なGILTタグは、成熟ヒトIGF-IIのアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を有するヒトインスリン様成長因子II(IGF-II)に由来するムテインである。これらのIGF-IIムテインは、インスリン受容体についての天然に存在するヒトIGF-IIの親和性と比較して、インスリン受容体についての結合活性が低下しており、フーリン切断に抵抗性があり、マンノース-6-リン酸非依存的な様式でヒトカチオン非依存性マンノース-6-リン酸受容体に結合する。GILTタグは、分泌型GBA融合タンパク質のリソソームへの送達を容易にする。
【0212】
本明細書に記載の組成物及び方法と併せて使用するためのGBAをコードする例示的な構築物は、
図1A~1Gに示されている。
【0213】
実施例2.分泌型グルコセレブロシダーゼ、及び任意選択でM2促進物質を発現するCD34+造血幹細胞の生成
本明細書に記載の組成物及び方法で使用するための、分泌型GBA、及び任意選択でM2促進物質を発現する多能性細胞(例えば、CD34+細胞)を作製するための例示的な方法は形質導入である。CD68プロモーターなどのミクログリア特異的プロモーター、IGF-II、α-1アンチトリプシン、またはGBA分泌シグナルペプチドなどの分泌シグナルペプチド、及びGBAをコードするポリヌクレオチドを含むレトロウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター、アルファレトロウイルスベクター、またはガンマレトロウイルスベクター)を、当技術分野で公知の標準的な技術を使用して操作することができる。分泌型GBA及びIL-25などのM2促進物質を発現する多能性細胞を作製すべき場合、GBAをコードするポリヌクレオチドとIL-25をコードするポリヌクレオチドとの間にIRES配列が位置するビシストロニック発現カセットを使用することができる。レトロウイルスベクターを操作した後、そのレトロウイルスを使用して多能性細胞(例えば、iPS細胞、ES細胞、CD34+HSC)を形質導入し、非分泌型GBA及び任意選択でM2促進物質を発現する多能性細胞の集団を生成することができる。
【0214】
本明細書に記載の組成物及び方法で使用するための、分泌型GBA、及び任意選択でM2促進物質を発現する多能性細胞を作製するための追加の例示的な方法は、トランスフェクションである。当技術分野で公知の分子生物学技術を使用して、ミクログリア特異的プロモーター(例えば、CD68プロモーター)などのプロモーター、IGF-II、アルファ-1アンチトリプシン、またはGBA分泌シグナルペプチドなどの分泌シグナルペプチド、及びGBAをコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドDNAを生成することができる。例えば、GBA遺伝子を、当技術分野で公知のPCRベースの技術を使用してヒト細胞株から増幅することができるか、または遺伝子を、例えば、固相ポリヌクレオチド合成手順を使用して合成することができる。次いで、GBA遺伝子、プロモーター、及びM2促進物質をコードする核酸を、例えば、適切な制限エンドヌクレアーゼ媒介切断及びライゲーションプロトコルを使用して、目的のプラスミドにライゲートすることができる。分泌型GBA及びIL-25などのM2促進物質を発現する多能性細胞を作製すべき場合、GBAをコードするポリヌクレオチドとIL-25をコードするポリヌクレオチドとの間にIRES配列が位置するビシストロニック発現カセットを使用することができる。プラスミドDNAを操作した後、そのプラスミドを使用して、例えばエレクトロポレーションまたは本明細書に記載の別のトランスフェクション技術を使用して多能性細胞(例えば、iPS細胞、ES細胞、CD34+HSC)をトランスフェクトし、非分泌型GBA及び任意選択でM2促進物質を発現する多能性細胞の集団を生成することができる。
【0215】
本明細書に記載の例示的な方法の両方で、分泌型GBAを、GBA融合タンパク質として発現させることができる。融合タンパク質は、分泌型GBA及びグリコシル化非依存型リソソームターゲティング(GILT)タグを含んでもよい。例示的なGILTタグは、成熟ヒトIGF-IIのアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を有するヒトインスリン様成長因子II(IGF-II)に由来するムテインである。これらのIGF-IIムテインは、インスリン受容体についての天然に存在するヒトIGF-IIの親和性と比較して、インスリン受容体についての結合活性が低下しており、マンノース-6-リン酸非依存的な様式でフーリン切断に抵抗性があり、ヒトカチオン非依存性マンノース-6-リン酸受容体に結合する。GILTタグは、分泌型GBA融合タンパク質のリソソームへの送達を容易にする。分泌型GBA融合タンパク質は追加的に、血液脳関門(BBB)を超えてのGBA融合タンパク質の透過を可能にするLDLRf受容体結合(Rb)ドメインアポリポタンパク質E(ApoE)を含むペプチド配列を含む。
【0216】
実施例3.パーキンソン病に罹患している患者への、GBAを発現する多能性細胞の集団の投与
本明細書に開示の方法によれば、当業医師は、パーキンソン病の症状を軽減または緩和するように、ヒト患者などの患者を処置することができる。この目的のために、当業医師は、GBAを発現する多能性細胞(例えば、CD34+細胞(ES細胞、iPS細胞、HSC、または骨髄前駆細胞など))の集団をヒト患者に投与することができる。細胞は、IL-25、IL-4、IL-10、IL-13、またはTGF-βなどのM2促進物質を発現してもよい。本明細書に記載されているか、または当技術分野で公知の技術を使用して、細胞を、GBA及び、任意選択でM2促進物質を発現するようにエクスビボで形質導入またはトランスフェクトすることができる。GBA、及び任意選択でM2促進物質を発現する多能性細胞の集団を、例えば、全身的に(例えば、静脈内)、中枢神経系(CNS)に直接的に(例えば、脳室内または定位的)、骨髄に直接的に(例えば、骨内)患者に投与して、パーキンソン病を処置することができる。細胞を、複数の投与経路により、例えば静脈内及び脳室内で患者に投与することもできる。細胞を、1×106細胞/kg~1×1012細胞/kgまたはそれ以上(例えば1×107細胞/kg、1×108細胞/kg、1×109細胞/kg、1×1010細胞/kg、1×1011細胞/kg、1×1012細胞/kg、またはそれ以上)などの治療有効量で投与する。
【0217】
GBA、及び任意選択でM2促進物質を発現する多能性細胞の集団を患者に投与する前に、1つまたは複数の薬剤、例えば、ブスルファン、トレオスルファン、PLX3397、PLX647、PLX5622、及び/またはクロドロネートリポソームを患者に投与して、患者の内因性ミクログリア及び/または造血幹細胞及び前駆細胞を除去することもできる。照射など、当技術分野で周知の他の細胞除去方法を、単独で、または前述の薬剤の1つまたは複数と組み合わせて使用して、患者のミクログリア及び/または造血幹細胞及び前駆細胞を除去することができる。これらの薬剤及び/または処置は、当技術分野で公知のPET画像化技術により評価した場合に、内因性ミクログリア及び/または造血幹細胞及び前駆細胞を少なくとも10%(例えば、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、それ以上)除去し得る。ミクログリア除去後に、GBA及び、任意選択でM2促進物質を発現する多能性細胞の集団を患者に投与すると、多能性細胞が脳で再増殖し、ミクログリアに分化する。GBAび、任意選択でM2促進物質を発現する多能性細胞の集団を、例えば、ミクログリア除去から1週間から1ヶ月(例えば、1週間、2週間、3週間、4週間)またはそれ以上後に患者に投与することができる。
【0218】
患者の内因性ミクログリア及び/または造血幹細胞及び前駆細胞の除去後に、CD34+細胞の集団を、患者に全身的に(例えば、静脈内)、または骨髄移植により投与して、骨髄区画を再構成することができる。CD34+細胞の数を、前処置後に任意の適切な用量で投与することができる。用量の非限定的な例は、約1×105CD34+細胞/レシピエントkg~約1×107CD34+細胞/kg(例えば、とりわけ約2×105CD34+細胞/kg~約9×106CD34+細胞/kg、約3×105CD34+細胞/kg~約8×106CD34+細胞/kg、約4×105CD34+細胞/kg~約7×106CD34+細胞/kg、約5×105CD34+細胞/kg~約6×106CD34+細胞/kg、約5×105CD34+細胞/kg~約1×107CD34+細胞/kg、約6×105CD34+細胞/kg~約1×107CD34+細胞/kg、約7×105CD34+細胞/kg~約1×107CD34+細胞/kg、約8×105CD34+細胞/kg~約1×107CD34+細胞/kg、約9×105CD34+細胞/kg~約1×107CD34+細胞/kg、または約1×106CD34+細胞/kg~約1×107CD34+細胞/kg)である。投与は、GBA、及び任意選択で1つまたは複数のM2促進物質を発現する多能性細胞の投与の前、または後に行うことができる。
【0219】
GBA及び任意選択でM2促進物質を発現する多能性細胞の集団を、パーキンソン病の病理学的特徴の1つまたは複数を処置するために十分な量で患者に投与することができる。例えば、GBA及び任意選択でM2促進物質を発現する多能性細胞の集団を、患者の脳のM1ミクログリアの量と比較して、患者の脳のM2ミクログリアの量を増加させるために十分な量で投与することができる。相対的な増加は、当技術分野で公知の従来の技術を使用して、例えば処置の前後に患者のCSFでELISAを実行して、両方の時点でM1及びM2ミクログリアにより分泌される炎症誘発性及び抗炎症性サイトカインのレベルを評価することにより測定することができる。認知能力と運動機能の変化を評価するために、医師が標準的な神経学的検査を処置前後に行うこともできる。患者を、処置に使用される投与経路に応じて、多能性細胞の集団の投与から例えば1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月またはそれ以上後に評価することもできる。GBA及び任意選択でM2促進物質を発現する多能性細胞の集団の投与後の炎症誘発性サイトカインの減少、抗炎症性サイトカインの増加、及び/または認知機能または運動機能の改善の所見は、処置がパーキンソン病を成功裏に処置していることを示す。
【0220】
実施例4.パーキンソン病に罹患している患者への投与前の多能性細胞における内因性GBAの破壊。
本明細書に開示の方法のいずれかにおいて、CD34+細胞などの多能性幹細胞(例えば、GBA及び任意選択で1つまたは複数のM2促進物質をコードする導入遺伝子を発現するもの、または導入遺伝子非含有CD34+細胞)を、患者への投与前に内因性GBAを破壊するように処理することができる。多能性細胞の内因性GBAを破壊する例示的な方法は、GBA特異的ガイドRNA(gRNA)を含むCRISPR/Casシステム(例えば、CRISPR/Cas9)を使用して、1つまたは複数の二本鎖切断(DSB)を誘導することである。DSBを修復するための非相同末端結合(NHEJ)に続いて、新しく形成されたインデル変異の存在により、内因性GBAの破壊が生じる。多能性幹細胞にGBA導入遺伝子を組み込む前にゲノムDNAを部位特異的に切断することにより内因性GBAを破壊するための代替方法には、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)及び転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)の使用が含まれる。CRISPR/Casシステムとは異なり、これらの酵素は、特異的なターゲット配列に局在化するガイドポリヌクレオチドは含まないが、代わりに酵素内の内部DNA結合ドメインに依存してターゲット特異性を媒介する。例示的な実施形態において、多能性細胞は、内因性GBAの発現を10%またはそれ以上低下または減少させるために、ヌクレアーゼによりエクスビボで操作される(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%またはそれ以上)。
【0221】
実施例5.コドン最適化GBAを発現する哺乳動物細胞株の生成。
レンチウイルスでコードされるコドン最適化GBA(GBAco)導入遺伝子(例えば、配列番号7~10のいずれか1つのコドン最適化核酸配列を持つGBAco導入遺伝子)の、哺乳動物細胞株で安定発現する能力を評価するために、ヒトHEK293T細胞、及びマウスRAW264.7細胞をインビトロで形質導入した。細胞を、1)緑色蛍光タンパク質(GFP);2)GBAcoのみ;3)GBAco、グリコシル化非依存性リソソームターゲティング(GILT)タグ、及びペプチドリンカー;4)GBAco及び改変シグナルペプチド配列;5)GBAco、GILTタグ、及び剛性ペプチドリンカー;または6)GBAco、GILTタグ、及びXTENリンカーを含む群から選択される6つの操作構築物の1つで形質導入した。形質導入後にタンパク質サンプルを採取して、GBA酵素活性を測定し、タンパク質レベルを定量化した。GBAにより酵素的に変換されて蛍光生成物である4-メチルウンベリフェロン(4MU)を生成する4-メチルウンベリフェリルβ-D-グルコピラノシド(4MUG)基質を使用して、GBA酵素活性を測定した。HEK293T(ベクターコピー数(VCN)=1.21)またはRAW264.7(VCN=0.93)細胞でのGBAco構築物のレンチウイルス発現は、対照GFP構築物と比較して、GBA酵素活性(
図2A、2C)及びタンパク質レベル(
図2B、2D)を増加させた(p<0.05、Tukey事後分析を伴うANOVA、n=3の独立した形質導入)。さらに、操作GBAタンパク質は予測された分子量で検出され、これは、GILT及びリンカーペプチドが安定生成されたことを示唆している(
図3)。
【0222】
GBAタンパク質のN末端での翻訳後グリコシル化(例えば、N結合型グリコシル化)は、GBA機能にとって重要である。したがって、操作GBAタンパク質を、インビトロでHEK293T細胞におけるN結合型グリコシル化について試験した。本発明者らは、糖タンパク質からN結合型糖を除去するEndoHまたはPNGase Fグリコシダーゼで酵素消化した後、操作GBAタンパク質の電気泳動移動度シフトをアッセイした。細胞溶解産物のウエスタンブロット分析により、試験した構築物のすべて(例えば、GBAco、GBAco、GILTタグ、及び剛性リンカー、またはGBAco、GILTタグ、及びXTENリンカー;
図3)において脱グリコシル化後の電気泳動移動度の上昇が明らかになり、これは、操作GBAタンパク質が哺乳動物細胞株でグリコシル化されることを示している。
【0223】
操作GBA構築物が安定して造血幹細胞で発現し得るかを決定するために、レンチウイルスでコードされる構築物を、GBA欠乏のマウスモデルの骨髄から単離したマウス系統陰性(Lin
-)造血幹細胞に形質導入した(Gba
D409V/+n=3;Thy1-SNCA;Gba
D409V/+n=1;Thy1-SNCA;Gba
D409V/D409Vn=2;野生型(WT)n=2)。GFPまたはGBAcoをコードするレンチウイルス構築物での形質導入の5日後(感染の多重度=80)に、Lin
-細胞は>83%生存していて(トリパンブルー色素排除によりアッセイ)、かつ多能性のままであった(>50コロニー形成単位)。Lin
-細胞の酵素アッセイは、ヘテロ接合及びホモ接合Gba変異がGBA導入遺伝子の非存在下でそれぞれGBA活性を43%及び92%低下させたことを実証した(WT:13.04±0.644nmol hr
-1mg
-1;Gba
D409V/+:7.49±0.293nmol hr
-1mg
-1;Thy1-SNCA;Gba
D409V/+:7.14±0.252nmol hr
-1mg
-1;Thy1-SNCA;Gba
D409V/D409V:1.20±0.114nmol hr
-1mg
-1;p<0.001、Tukey事後分析を伴うANOVA、
図4A)。重要なことに、Lin
-細胞のGBAco形質導入は、GFP対照と比較して、すべての試験したGBAco構築物で同様のレベルにまでGBA酵素活性を有意に上昇させた(P<0.001、Tukey事後分析を伴うANOVA。
図4A)。さらに、GBAco発現は、ウエスタンブロットによるLin
-細胞からの馴化培地におけるGBA活性の検出につながった(
図4B)。まとめると、これらの所見は、レンチウイルスGBAco構築物が造血幹細胞(例えば、マウスLin
-細胞において)において機能的GBA酵素を産生し、GBA欠乏のマウスモデルにおいてGBAの活性及び発現レベルを奪回することができることを実証している。
【0224】
他の実施形態
本発明の様々な改変及び変形が、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。本発明を、具体的な実施形態との関係において説明してきたが、特許請求の範囲に記載のとおりの本発明は、そのような具体的な実施形態に過度に限定されるべきでないことは理解されるべきである。実際に、当業者に明らかである、本発明を実施するための記載の様式の様々な改変が本発明の範囲内であることが意図されている。
【0225】
他の実施形態は、特許請求の範囲に見出される。
【0226】