(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010229
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】上流くぼみを有するマウスピースを有するエアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
A24D 3/04 20060101AFI20240116BHJP
A24D 1/02 20060101ALI20240116BHJP
A24D 3/14 20060101ALI20240116BHJP
A24D 1/20 20200101ALI20240116BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240116BHJP
【FI】
A24D3/04
A24D1/02
A24D3/14
A24D1/20
A24F40/20
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023192055
(22)【出願日】2023-11-10
(62)【分割の表示】P 2020523978の分割
【原出願日】2018-11-27
(31)【優先権主張番号】17204767.2
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】ジョルディル イヴ
(72)【発明者】
【氏名】ナッピ レオナルド
(57)【要約】 (修正有)
【課題】添加剤をマウスピースの中へと放出するためのより確実で安定した手段を提供し、マウスピース内のカプセルの劣化を減少するエアロゾル発生物品が提供される。
【解決手段】エアロゾル発生基体12と、エアロゾル発生基体と軸方向に整列したマウスピース14であって、一つ以上の壊れやすいカプセル22を含む濾過材料の添加剤セグメント18を含み、各壊れやすいカプセルが外側シェルおよび添加剤を収容する内部コアを含む、マウスピースとを備える、エアロゾル発生物品10。濾過材料の添加剤セグメントは、エアロゾル発生基体から下流に間隙を介して、濾過材料のエアロゾル発生基体と濾過材料の添加剤セグメントとの間に上流くぼみ26を画定し、上流くぼみは実質的に充填されていない。ラッパー16は、濾過材料の添加剤セグメントおよび上流くぼみを囲む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生物品であって、
エアロゾル発生基体と、
前記エアロゾル発生基体と軸方向に整列したマウスピースであって、前記マウスピースが、一つ以上の壊れやすいカプセルを含む濾過材料の添加剤セグメントを含み、各壊れやすいカプセルが外側シェルおよび添加剤を収容する内部コアを含み、前記濾過材料の添加剤セグメントが、前記エアロゾル発生基体から下流に間隙を介して、前記エアロゾル発生基体と前記濾過材料の添加剤セグメントとの間に上流くぼみを画定し、前記上流くぼみが実質的に充填されていない、マウスピースと、
前記濾過材料の添加剤セグメントおよび前記上流くぼみを囲むラッパーと、を含む、エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記上流くぼみが、少なくとも3ミリメートルの長さを有する、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記ラッパーがプラグラップであり、前記上流くぼみが前記プラグラップによって画定される、請求項1または2のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記プラグラップが少なくとも50グラム/平方メートルの坪量を有するシート材料で形成される、請求項3に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記上流くぼみの前記長さが、前記マウスピースの全長の25パーセント以下に相当する、請求項3または4のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記マウスピースが、前記第一の濾過材料のセグメントと前記エアロゾル発生基体との間に中空管セグメントを含み、前記中空管セグメントが前記上流くぼみを画定する、請求項1または2のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記中空管セグメントによって画定される前記上流くぼみの前記長さが、最大30ミリメートルである、請求項6に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記上流くぼみが、前記エアロゾル発生基体の下流端から前記添加剤セグメントの上流端に延びる、請求項1~7のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
前記マウスピースが、前記添加剤セグメントの下流に、濾過材料の下流セグメントをさらに含む、請求項1~8のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項10】
前記濾過材料の下流セグメントが一つ以上の追加的な壊れやすいカプセルを含み、各追加的な壊れやすいカプセルが外側シェルおよび添加剤を収容する内部コアを含む、請求項9に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項11】
前記マウスピースが、前記濾過材料の添加剤セグメントの周りに一つ以上の通気ゾーンを含む、請求項1~10のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項12】
前記一つ以上の通気ゾーンが、前記濾過材料の添加剤セグメント内の前記一つ以上の壊れやすいカプセルの上流に提供される、請求項11に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項13】
前記一つ以上の通気ゾーンが、前記濾過材料の添加剤セグメント内の前記一つ以上の壊れやすいカプセルの少なくとも2ミリメートル上流に提供される、請求項12に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項14】
前記濾過材料の添加剤セグメントが、2ミリメートル~5ミリメートルの最大幅を有する単一の壊れやすいカプセルを含む、請求項1~13のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項15】
前記エアロゾル発生基体がたばこロッドであり、前記エアロゾル発生物品が、前記マウスピースを前記たばこロッドと軸方向に整列して固定するチッピングラッパーをさらに含む、請求項1~14のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上流くぼみを有するマウスピースを有するエアロゾル発生物品に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルター付き紙巻たばこは典型的に、紙ラッパーで包囲されたたばこカットフィラーの円柱状のロッドと、巻かれたたばこロッドとの端と端とが隣接する関係で軸方向に整列した円柱状のフィルターとを備える。円柱状のフィルターは典型的に、紙プラグラップによって囲まれた濾過材料を含む。従来的には、包まれたたばこロッドおよびフィルターは、フィルターの全長および包まれたたばこロッドの隣接部分を囲む、通常は不透明の紙材料によって形成されるチッピングラッパーの帯によって結合される。そのフィルターセクションの口側端にくぼみを有する喫煙物品も提案されてきた。
【0003】
たばこが燃焼するよりはむしろ加熱される多くの喫煙物品が、当業界において提唱されてきた。加熱式喫煙物品において、エアロゾルはエアロゾル発生基体(たばこなど)を加熱することによって生成される。公知の加熱式喫煙物品には、例えばエアロゾルが電気的加熱によるか、または可燃性燃料要素または熱源からエアロゾル形成基体への熱の伝達によって生成される喫煙物品が含まれる。喫煙中、揮発性化合物は、熱源からの熱伝達によってエアロゾル形成基体から放出され、喫煙物品を通して引き出された空気中に混入される。放出された化合物は冷めるにつれて凝縮してエアロゾルを形成し、これを消費者が吸い込む。また、ニコチン含有エアロゾルがたばこ材料、たばこ抽出物、またはその他のニコチン源から、燃焼することなく、また一部の場合には加熱することなく、例えば化学反応によって生成される、喫煙物品も公知である。
【0004】
添加剤を収容する一つ以上の壊れやすいカプセルをエアロゾル発生物品のマウスピースの中へと組み込むことは公知であり、一つ以上の壊れやすいカプセルは、マウスピースに圧縮力をかけることによって消費者によって破壊されることが意図される。一つ以上のカプセルが破壊されると、カプセル内に収容される添加剤がマウスピースの中へと放出され、マウスピースを通過する煙またはエアロゾル中に混入されうる。消費者は、喫煙前、喫煙中、または喫煙後に、一つ以上のカプセルを破壊して添加剤をマウスピースの中へと放出するよう選択しうる。例えば、風味剤が主流煙の中へと放出されて修正された感覚的体験を消費者に提供しうるよう、追加的な風味剤を収容する一つ以上の壊れやすいカプセルを喫煙物品のマウスピースの中へと組み込むことが提唱されてきた。
【0005】
壊れやすいカプセルは一般的に、添加剤を含む内部コアおよび壊れやすい外側シェルを含む内部コアで一般的に形成される。消費者が力をかけると、外側シェルがひび割れて分断し、内部コアがカプセルから放出される。外側シェルの破壊は通常可聴音を生成し、これにより、カプセルが破壊されて添加剤が放出されたことが消費者に示される。
【0006】
壊れやすいカプセルを組み込む喫煙物品の喫煙中、マウスピースを通してエアロゾル発生基体から引き出される煙は通常、マウスピース内のカプセルと接触する。カプセルは、煙の熱および水分によって悪影響を受けうることが分かっている。具体的には、煙との接触の結果としてカプセルの外側シェルが軟化し、これによって添加剤を放出するために消費者がカプセルを破壊することが困難となる場合がある。また、破壊時に可聴音を生成するには外側シェルが軟化し過ぎるために、カプセルが破壊されたかどうかを消費者に伝えることも困難となりうる。加熱式エアロゾル発生物品においても、マウスピースを通過するエアロゾルがカプセルと接触する結果として、同じ問題が生じうる。
【0007】
喫煙中に風味剤などの添加剤をマウスピースの中へと放出するためのより確実で安定した手段を提供する新規なマウスピース配置を組み込む、エアロゾル発生物品を提供することが望ましい。特に、使用中に生成した主流煙またはエアロゾルとの接触の結果としてのマウスピース内のカプセルの劣化を減少するマウスピース配置を有する、こうしたエアロゾル発生物品を提供することが望ましい。さらに、著しい修正を必要とすることなく、既存の装置および方法を使用して高速製造されうるこうしたエアロゾル発生物品を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0008】
本発明によれば、エアロゾル発生基体と、エアロゾル発生基体と軸方向に整列したマウスピースであって、一つ以上の壊れやすいカプセルを含む濾過材料の添加剤セグメントを含み、各壊れやすいカプセルは、外側シェルおよび添加剤を収容する内部コアを含む、マウスピースとを備える、エアロゾル発生物品が提供されている。濾過材料の添加剤セグメントは、エアロゾル発生基体から下流に間隙を介して、エアロゾル発生基体と濾過材料の添加剤セグメントとの間に上流くぼみを画定し、上流くぼみは実質的に充填されていない。エアロゾル発生物品は、濾過材料の添加剤セグメントおよび上流くぼみを囲むラッパーをさらに備える。
【0009】
本明細書で使用される「エアロゾル発生基体」という用語は、加熱(燃焼を含む)されると揮発性化合物を放出する能力を有する基体であって、エアロゾルを形成することができるものを説明する。エアロゾル発生基体から生成されるエアロゾルは、見えても見えなくてもよく、ベイパー(例えば、室温では通常、液体または固体である物質の気体状の微粒子)、ならびに凝縮されたベイパーの気体および液滴を含んでもよい。本明細書で使用される「エアロゾル」という用語は、加熱式エアロゾル発生物品内の基体の加熱時に生成されるエアロゾル、および燃焼性喫煙物品内の基体の燃焼時に生成される煙を包含する。
【0010】
本明細書で使用される「上流」および「下流」という用語は、ユーザーが使用中に、エアロゾル発生物品を吸う方向に関してエアロゾル発生物品の要素または要素の部分の相対的な位置を説明する。本明細書に記載のエアロゾル発生物品は、下流端および反対側の上流端を備える。使用時、消費者はエアロゾル発生物品の下流端を吸う。口側の端としても記述される下流端は、遠位端としても記述されうる上流端の下流である。
【0011】
本明細書で使用される場合、「実質的に充填されていない」という用語は、実質的に固体または液体材料を含まないくぼみを説明する。上流くぼみの5パーセント未満が固体または液体材料を含むことが好ましい。上流くぼみの2パーセント未満が固体または液体材料を含むことがより好ましい。上流くぼみは、上流くぼみが固体または液体材料を含まないよう、完全に充填されていないことが最も好ましい。したがって、エアロゾルが実質的に非制限的に上流くぼみを通過する。
【0012】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体と一つ以上のカプセルを含む添加剤セグメントとの間に上流くぼみを組み込むマウスピースを備える。上流くぼみの提供により、有利なことに、上述のカプセルに対するエアロゾルの悪影響を著しく減少させることによって、一つ以上のカプセルの安定性が向上する。これは、エアロゾルが、添加剤セグメントに達する前に上流くぼみを通過しなければならず、このことは、一つ以上のカプセルと接触する時にエアロゾルが冷却されていることを意味する、という事実に起因する。また、通常、上流くぼみ内にはある程度の凝縮があり、これは、添加剤セグメントに達する前に、エアロゾルの含水量が減少することを意味する。
【0013】
したがって、上流くぼみの結果として、エアロゾルがエアロゾル発生基体から直接添加剤セグメントの中へと入る場合よりも、添加剤セグメント内の一つ以上のカプセルに達するまでに、エアロゾルは著しく冷却され、かつ低い含水量を有する。したがって、エアロゾルは一つ以上のカプセルの外側シェルに対してより小さな影響を有する。特に、エアロゾル発生物品の使用中の外側シェルの軟化が減少、好ましくは最小化され、その結果、添加剤セグメント内の一つ以上のカプセルは、消費者が圧縮力をかけるとより確実に破壊されることが見い出された。さらに、一つ以上のカプセルは、破壊時に可聴音を生成する能力を保持するため、消費者は、使用中に一つ以上のカプセルの破壊をより確実に検出することができうる。
【0014】
本発明の新規なマウスピース配置は、製造装置および技術に著しい影響を与えることなく、エアロゾル発生物品の中へと容易に組み込まれうる。マウスピース構成要素自体を著しく修正する必要はなく、また、マウスピース構成要素を組み立てるための装置は、組み立て工程の速度に著しい影響を与えることなく、上流くぼみを有する新規な配置を提供するよう容易に調整されうる。
【0015】
上流くぼみは、少なくとも約3ミリメートルの長さを有することが好ましく、少なくとも約4ミリメートルの長さを有することがより好ましく、少なくとも約5ミリメートルの長さを有することが最も好ましい。これにより上流くぼみが確実に、添加剤セグメントに達する前に所望の程度にまでエアロゾルが冷却および乾燥されるのに十分な空間を提供する。上流くぼみは、約30ミリメートル未満の長さを有することが好ましく、約25ミリメートル未満の長さを有することがより好ましい。ただし、特定の実施形態、例えば、上流くぼみが下記に説明するプラグラップによって画定される実施形態では、上流くぼみは約10ミリメートル未満の長さを有することが好ましく、約7ミリメートル未満の長さを有することがより好ましい。上流くぼみの「長さ」は、エアロゾル発生物品の長軸方向における上流くぼみの寸法を指す。
【0016】
上流くぼみの長さは、マウスピースの全長の少なくとも約15パーセントに相当することが好ましく、マウスピースの全長の少なくとも約20パーセントに相当することがより好ましい。
【0017】
上流くぼみの断面積は、マウスピースの断面積の少なくとも約30パーセントに相当することが好ましく、マウスピースの断面積の少なくとも約50パーセントに相当することがより好ましい。
【0018】
本発明の一部の実施形態では、上流くぼみはエアロゾル発生基体の下流端から添加剤セグメントの上流端へと延びる。こうした実施形態では、エアロゾル発生基体の下流端と添加剤セグメントの上流端との間に介在材料は必要ではない。
【0019】
代替的な実施形態では、マウスピースは、エアロゾル発生基体と添加剤フィルターセグメントとの間に一つ以上の濾過材料の中間セグメントを含む。例えば、濾過材料の中間セグメントは、上流くぼみが濾過材料の中間セグメントと添加剤セグメントとの間に提供されるように、エアロゾル発生基体に隣接して提供されうる。別の方法として、または追加的に、濾過材料の中間セグメントは、添加剤セグメントに隣接して提供されてもよい。本発明によるエアロゾル発生物品のラッパーは、エアロゾル発生基体と添加剤セグメントとの間に提供される任意の濾過材料の中間セグメントを囲むことが好ましい。
【0020】
一つ以上の濾過材料の中間セグメントの提供により、有利なことに、添加剤セグメントに達する前に、エアロゾルのさらなる冷却および乾燥が提供され、その結果、一つ以上のカプセルに対するエアロゾルの影響がさらに減少されうる。
【0021】
本発明によるエアロゾル発生物品のマウスピースの上流くぼみは、任意の適切な手段によって画定されうる。
【0022】
本発明の特定の好ましい実施形態では、添加剤セグメントおよび上流くぼみを囲むラッパーはプラグラップであり、プラグラップは上流くぼみを画定する。したがって、プラグラップは添加剤セグメントの上流に延びて上流くぼみを画定する。こうした実施形態では、プラグラップは、少なくとも約50グラム/平方メートルの坪量を有することが好ましく、少なくとも約70グラム/平方メートルの坪量を有することがより好ましい。これにより、上流くぼみの構造剛性を維持し、製造中、または使用中の上流くぼみの崩壊を防止するのに役立つ、比較的堅いプラグラップが提供される。例えば、プラグラップは約50グラム/平方メートル~約120グラム/平方メートル、または約70グラム/平方メートル~約110グラム/平方メートルの坪量を有してもよい。
【0023】
プラグラップを使用して上流くぼみを画定することにより、追加的な構成要素をマウスピースの中へと組み込む必要がないため、製造工程が簡略化されうる。
【0024】
プラグラップが上流くぼみを画定する実施形態では、上流くぼみの長さは通常、マウスピースの構造的完全性を保持するために制限される。さらに、こうした実施形態では、上流くぼみはマウスピースのRTDに著しく寄与しない。したがって、所望のレベルのRTDは、添加剤セグメントおよび上流くぼみの下流の任意の他のマウスピース構成要素によって提供されなければならない。したがって、こうした実施形態では、上流くぼみは、7ミリメートル以下、例えば、約5ミリメートル~約7ミリメートルの長さを有することが好ましい。
【0025】
こうした実施形態では、上流くぼみの長さは、マウスピースの全長の約25パーセント未満に相当することが好ましく、マウスピースの全長の約20パーセント未満に相当することがより好ましい。したがって、これらの実施形態の上流くぼみの長さは、マウスピースの全長の約15パーセント~約25パーセントであることが好ましい。
【0026】
代替的な好ましい実施形態では、マウスピースは基体とフィルターセグメントとの間に中空管セグメントを備え、中空管セグメントは上流くぼみを画定する。中空管セグメントを使用して上流くぼみを画定することにより、有利なことに、上流くぼみをエアロゾル発生物品の製造およびその後の使用中における崩壊または変形に対してより抵抗力のあるものにしうる。一部の場合において、中空管セグメントは、マウスピースの全体的なRTDにさらに寄与しうる。
【0027】
中空管セグメントは、適切な任意の材料から形成されうる。例えば、中空管セグメントは、環状の濾過材料のセグメントの上流端から環状の濾過材料セグメントの下流端へと延びる中空のコアを有する、濾過材料(酢酸セルロースなど)の環状の濾過材料のセグメントから形成されうる。こうしたセグメントは、中空アセテート管と呼ばれることもある。
【0028】
環状セグメントの濾過材料は、フィラメント当たり約2.1デニール(dpf)~約12dpf、より好ましくはフィラメント当たり約3.0デニール(dpf)~約10dpfの繊維を含むことが好ましい。環状セグメントの濾過材料は、約30000総デニール(td)~約50000td、より好ましくは35000総デニール(td)~約45000tdの繊維を含むことが好ましい。
【0029】
好ましい一つの実施形態において、環状セグメントの濾過材料は約40000tdの繊維を含む。中空管セグメントは一つ以上の可塑剤を含むことが好ましい。適切な可塑剤には、トリアセチン、クエン酸トリエチル、およびトリエチレングリコールジアセテートが含まれる。可塑剤は、約8~約25重量パーセントの量で、より好ましくは約10~約22重量パーセントの量で環状セグメント内に存在することが好ましい。これは、中空管セグメントがマウスピース内の構造剛性を維持するのに役立ちうる。
【0030】
中空管が中空のアセテート管などの環状の濾過材料のセグメントである場合、中空管セグメントの壁厚は少なくとも約0.3ミリメートルであることが好ましく、少なくとも約0.5ミリメートルであることがより好ましい。別の方法としてまたは追加的に、こうした実施形態における中空管セグメントの壁厚は、約1.2ミリメートル未満であり、より好ましくは約1.1ミリメートル未満である。一部の好ましい実施形態では、中空管セグメントの壁厚は、約0.5ミリメートル~約1.1ミリメートルである。
【0031】
その他の一部の好ましい実施形態では、中空管セグメントは、紙材料から形成される。中空管セグメントは、複数の平行に巻かれた紙層または複数のらせん状に巻かれた紙層など、複数の重なり合った紙層から形成されることがより好ましい。複数の重なり合った紙層から中空管セグメントを形成することは、崩壊または変形に対する抵抗力を向上させるのに役立ちうる。
【0032】
各中空管セグメントは少なくとも二つの紙層を含むことが好ましい。別の方法として、または追加的に、中空管セグメントは11未満の紙層を含むことが好ましい。
【0033】
少なくとも一つの紙の層は、少なくとも約100グラム/平方メートルの坪量を持つ紙製であることが好ましい。
【0034】
中空管セグメントは、紙層で形成され、中空官セグメントの壁厚は少なくとも約100マイクロメートルであることが好ましい。中空管セグメントの壁厚は、少なくとも約200マイクロメートルであることがより好ましい。別の方法として、または追加的に、こうした実施形態の中空管セグメントの壁厚は、約300マイクロメートル未満である。中空管セグメントの壁厚は、約270マイクロメートル未満であることが好ましい。一部の好ましい実施形態では、中空管セグメントの壁厚は、約100マイクロメートル~約300マイクロメートルであり、200マイクロメートル~270マイクロメートルであることが好ましい。
【0035】
上述の通り、上流くぼみが中空管セグメントによって画定される場合、上流くぼみの長さは、上流くぼみがプラグラップによって画定される場合よりも著しく大きくてもよい。例えば、上流くぼみは、最大30ミリメートルの長さ、または最大25ミリメートルの長さであってもよい。これは、中空管セグメントによって提供される構造剛性に起因しており、上流くぼみの崩壊のリスクを減少する。
【0036】
こうした実施形態では、上流くぼみの長さは、マウスピースの全長の最大約85パーセント、またはマウスピースの全長の最大約70パーセントに相当しうる。したがって、これらの実施形態の上流くぼみの長さは、マウスピースの全長の約15パーセント~約85パーセントであることが好ましい。
【0037】
本発明によるエアロゾル発生物品のマウスピースの添加剤セグメントは、一つ以上の壊れやすいカプセルを収容する濾過材料のセグメントを含む。添加剤セグメントは、少なくとも約8ミリメートルの長さを有することが好ましく、少なくとも約10ミリメートルの長さを有することがより好ましく、約12ミリメートルの長さが最も好ましい。添加剤セグメントは、約16ミリメートル未満の長さを有することが好ましく、約14ミリメートル未満の長さを有することがより好ましい。
【0038】
本発明の一部の実施形態、例えば、上流くぼみがプラグラップによって画定される場合、添加剤セグメントの長さは上流くぼみの長さよりも大きくてもよい。例えば、添加剤セグメントの長さは、上流くぼみの長さの少なくとも約1.5倍であってもよく、上流くぼみの長さの少なくとも2倍であることがより好ましい。
【0039】
本発明のその他の実施形態、例えば、上流くぼみが中空管セグメントによって画定される場合、添加剤セグメントの長さは、上流くぼみの長さよりも小さい、または実質的に同一であってもよい。例えば、添加剤セグメントの長さは、上流くぼみの長さの約0.25倍~約1倍であってもよい。
【0040】
添加剤セグメントの長さは、マウスピースの全長の少なくとも約20パーセントに相当することが好ましく、少なくとも約30パーセントに相当することがより好ましい。添加剤セグメントの長さは、マウスピース全長の約85パーセント未満に相当することが好ましく、約60パーセント未満に相当することがより好ましい。
【0041】
添加剤セグメントは酢酸セルローストウまたは紙などの繊維質濾過材料のプラグを備えることが好ましい。フィルター可塑剤を、分離された繊維上に噴霧することによって従来的な方法で繊維質の濾過材料に塗布しうる。
【0042】
添加剤セグメントは、単一の壊れやすいカプセルを含みうる。例えば、一つの好ましい実施形態では、添加剤セグメントは、酢酸セルローストウのプラグ内に単一の壊れやすいカプセルを含む。単一の壊れやすいカプセルが提供される場合、壊れやすいカプセルは、約2ミリメートル~約5ミリメートルの直径を有する実質的に球状であることが好ましい。単一のカプセルは、添加剤セグメントの長さに沿ってほぼ中央に提供されることが好ましい。
【0043】
別の方法として、添加剤セグメントは、セグメントを通して分散された複数の壊れやすいカプセルを含んでもよい。複数の壊れやすいカプセルはすべて同一の添加剤を含んでもよく、または壊れやすいカプセルは二つ以上の異なる添加剤を含んでもよい。
【0044】
一つ以上の壊れやすいカプセル内に収容される添加剤は、メントール、リナロール、チモール、ユーカリプトル、サリチル酸メチル、およびそれらの組み合わせのうちの少なくとも一つを含む少なくとも一つの風味剤を含みうる。加えて、または別の方法として、その少なくとも一つの風味剤は、レモンオイル、ペパーミントオイル、パセリオイル、シャンピニオンエッセンス、緑茶抽出物、ウーロン茶抽出物、ヨモギ抽出物、リンゴ抽出物、カキ抽出物、ショウガエッセンス、およびそれらの組み合わせのうちの少なくとも一つを含んでもよい。適切な風味剤は米国特許第6426089(B1)号明細書に記載されている。
【0045】
少なくとも一つの風味剤は希釈剤を含んでもよい。その希釈剤はパーム油および中鎖トリグリセリドのうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0046】
数多くの天然の風味剤は、自然源からの抽出によって、または化合物の構造が既知である場合には化学合成によって入手可能である。風味剤は物理的手段、酵素、または水もしくは有機溶剤によって植物または動物の一部から抽出可能であり、それ故にそのどのような抽出物、エッセンス、加水分解物、留出物、または無水物も風味剤に含まれる。風味剤を提供するために使用可能である植物にはシソ科(例えばミント)、セリ科(例えばアニス、ウイキョウ)、クスノキ科(例えば月桂樹、シナモン、ローズウッド)、ミカン科(例えば柑橘類の果物)、フトモモ科(例えばアニスマートル)、およびマメ科(例えば甘草)に属する植物が含まれるがこれらに限定されない。風味剤源の非限定的な例にはペパーミントおよびスペアミントなどのミント、コーヒー、茶、シナモン、クローブ、ショウガ、ココア、バニラ、チョコレート、ユーカリ、ゼラニウム、リュウゼツラン、ヨウシュネズ、レモンバーム、バジル、シナモン、レモンバジル、チャイブ、コリアンダー、ラベンダー、セージ、茶、タイム、およびキャラウェイが含まれる。「ミント」という用語はハッカ属の植物を意味するために使用される。適切なタイプのミントの葉は、ペパーミント、ヨウシュハッカ、エジプトミント、ベルガモットミント、スペアミント、カーリーミント、ケンタッキーカーネルミント、ナガバハッカ、メグサハッカ、アップルミント、パイナップルミントを含むがこれらに限定されない植物品種から採取され得る。
【0047】
一つ以上の壊れやすいカプセル内に収容される添加剤は、清涼感または温熱感、ヒリヒリ感、痺れ感、興奮、唾液分泌の増加、鎮咳およびそれらの組み合わせなど、風味感覚以外の一つ以上の感覚的効果を提供しうる。これらの感覚的効果は上記の風味剤を含む、一つ以上の風味剤によって提供されうる。加えて、または追加的に、添加剤は、風味感覚を提供せずにこれらの感覚的効果のうちの一つ以上を提供する少なくとも一つの非風味剤材料を含んでよい。例えば、清涼効果を生み出し、かつ活性材料として使用可能である適切な化合物には、ウィルキンソン・ソード(WS)化合物WS-3(N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド)、WS-23(2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミド)、WS-5[エチル3-(p-メンタン-3-カルボキサミド)アセテート]、WS-27(N-エチル-2,2-ジイソプロピルブタンアミド)、WS-14[N-([エトキシカルボニル]メチル)-p-メンタン-3-カルボキサミド]、およびWS-116(N-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-2,2-ジエチルブタンアミド)などのカルボキサミド系の化合物が含まれるが、これらに限定されない。鎮咳効果を提供する適切な化合物はベンゾナテートである。
【0048】
一つ以上の壊れやすいカプセルは、添加剤セグメントの上流端から少なくとも約2ミリメートルに提供されることが好ましく、少なくとも約4ミリメートルに提供されることがより好ましい。これにより、エアロゾル発生基体からの一つ以上のカプセルの分離が最大化され、これが次に、カプセルに達する前にエアロゾルの温度および含水量の減少を最大化する。さらに、一つ以上のカプセルを添加剤セグメントの上流端から離して位置付けることにより、添加剤が、一つ以上のカプセルから放出された後に添加剤セグメントを通して分散され、上流くぼみの中へと漏れないことを確実にする。
【0049】
添加剤セグメント内の一つ以上の壊れやすいカプセルは、エアロゾル発生基体の下流端から少なくとも約5ミリメートルに提供されることが好ましく、エアロゾル発生基体の下流端から少なくとも約8ミリメートルに提供されることがより好ましく、エアロゾル発生基体の下流端から少なくとも約10ミリメートルに提供されることが最も好ましい。例えば、添加剤セグメント内の一つ以上の壊れやすいカプセルは、エアロゾル発生基体の下流端から約5ミリメートル~約12ミリメートルの距離で提供されてもよい。
【0050】
本発明によるエアロゾル発生物品のマウスピースは、上流くぼみの下流に添加剤セグメントのみを含んでもよい。別の方法として、マウスピースは、添加剤セグメントの下流に濾過材料の下流セグメントをさらに含んでもよい。濾過材料の下流セグメントは、添加剤セグメントとの端と端とが当接する関係にあることが好ましい。
【0051】
存在する場合、濾過材料の下流セグメントは、一つ以上の追加的な壊れやすいカプセルを含むことが好ましく、これは、添加剤セグメント内の一つ以上の壊れやすいカプセルと同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0052】
濾過材料の下流セグメント内に一つ以上の追加的な壊れやすいカプセルを提供する代わりに、またはそれに加えて、濾過材料の下流セグメントは随意に下流窪みを組み込んでもよい。下流窪みは、マウスピースに口側端窪みを提供することが好ましい。存在する場合、窪みは約3ミリメートル~約8ミリメートルの長さ有してもよく、約5ミリメートルの長さを有することが最も好ましい。
【0053】
濾過材料の下流セグメントは、少なくとも約8ミリメートルの長さを有することがことが好ましく、少なくとも約9ミリメートルの長さを有することがより好ましく、約10ミリメートルの長さであることが最も好ましい。下流セグメントは、約14ミリメートル未満の長さを有することが好ましく、約12ミリメートル未満の長さを有することがより好ましい。濾過材料の下流セグメントの長さは、添加剤セグメントの長さとほぼ等しくてもよい。別の方法として、添加剤セグメントは、濾過材料の下流セグメントより少なくとも約1ミリメートル、または少なくとも約2ミリメートル長くてもよい。別の方法として、添加剤セグメントは、濾過材料の下流セグメントよりも少なくとも1ミリメートル短くてもよく、または少なくとも2ミリメートル長くてもよい。
【0054】
濾過材料の下流セグメントは、添加剤セグメントと同一の濾過材料、または異なる濾過材料で形成されてもよい。一つの好ましい実施形態では、添加剤セグメントおよび濾過材料の下流セグメントの両方は、酢酸セルローストウのプラグで形成される。
【0055】
濾過材料の下流セグメントは、必要な引き出し抵抗(RTD)を提供するように選択されうる。濾過材料の下流セグメントは、少なくとも約5mm WG(水位計)のRTDを有することが好ましい。濾過材料の下流セグメントは、約120mm WG未満のRTDを有することが好ましく、約80mmWG未満のRTDを有することがより好ましい。RTDは、ISO6565:2002に従って測定される。
【0056】
本発明によるエアロゾル発生物品のマウスピースは、添加剤セグメント上に提供された一つ以上の通気ゾーンをさらに含むことが好ましい。一つ以上の通気ゾーンは、添加剤セグメント内の一つ以上のカプセルの上流に提供されることが好ましい。上流通気ゾーンの提供により、一つ以上のカプセルの上流のエアロゾルに冷気が導入される。これは有利なことに、エアロゾルに対して追加的な冷却効果を提供し、外側シェルの破砕性に対するエアロゾルの影響をさらに最小化する。さらに、一つ以上の通気ゾーンを通してマウスピースの中へと導入された空気は、エアロゾルを希釈し、それによって含水量を減少する。これはさらに、外側シェルに対するエアロゾルの影響を最小化する。
【0057】
一つ以上の通気ゾーンは、添加剤セグメント内の一つ以上のカプセルの少なくとも約1ミリメートル上流に提供されることが好ましく、一つ以上のカプセルの少なくとも約2ミリメートル上流に提供されることがより好ましい。これにより、一つ以上のカプセルの、エアロゾルの中に混入されるのに十分上流において冷たい空気がマウスピースの中に導入されることを確実にする。
【0058】
一つ以上の通気ゾーンは、添加剤セグメントの上流端から少なくとも約2ミリメートルに提供されることが好ましく、添加剤セグメントの上流端から少なくとも約3ミリメートルに提供されることがより好ましい。
【0059】
添加剤セグメントの通気レベルは、ISO9512:2002に従って測定された、約20パーセント~約80パーセントであることが好ましい。
【0060】
一つ以上の通気ゾーンは、添加剤セグメントを囲むラッパーまたは複数のラッパー内に円周方向の穿孔の列によって提供されうる。例えば、オンラインレーザー穿孔工程を使用して、ラッパー内に必要な通気ゾーンを形成してもよい。
【0061】
上述する通り、添加剤セグメント上に提供される一つ以上の通気ゾーンの代わりに、またはこれに加えて、マウスピースは、上流くぼみ上に提供される一つ以上の通気ゾーンを含みうる。上流くぼみ上に一つ以上の通気ゾーンを提供することにより、喫煙中に、空気が上流くぼみの中へと導入される。これにより、有利なことに、上流くぼみ内のエアロゾルの乱流が増え、くぼみ内におけるエアロゾルの滞留時間が増す。その結果、エアロゾルは、添加剤セグメント内の一つ以上の壊れやすいカプセルに達するまでにより多くの時間がかかる。
【0062】
上述の通り、本発明によるエアロゾル発生物品のマウスピースは、上流くぼみおよび添加剤セグメントを囲むラッパーを含む。ラッパーは、添加剤くぼみを囲み、上流くぼみを囲む、または画定する、プラグラップであることが好ましい。上述の通り、プラグラップは上流くぼみを画定し、プラグラップは、上述の通り比較的高い坪量を有する堅いプラグラップであることが好ましい。濾過材料の下流セグメントが添加剤セグメントの下流に提供される場合、プラグラップは、濾過材料の下流セグメントを囲んでマウスピース構成要素を組み合わせることが好ましい。同様に、一つ以上の濾過材料の中間セグメントがエアロゾル発生基体と添加剤セグメントとの間に提供される場合、プラグラップは、濾過材料の中間セグメントを囲んでマウスピース構成要素の全てを組み合わせることが好ましい。
【0063】
ラッパーはエアロゾル発生基体の任意の部分の周りには延びないことが好ましい。ラッパーは、エアロゾル発生基体の下流端とマウスピースの下流端との間に延びることが好ましい。エアロゾル発生基体の任意の部分の周りには延びないラッパーを利用することにより、有利なことに、マウスピースをエアロゾル発生基体とは別個に形成した後に製造工程において取り付けることが可能となるため、エアロゾル発生物品の構造を簡略化しうる。さらに、エアロゾル発生基体の任意の部分の周りには延びないラッパーを利用することによって、同一の外径を有するマウスピースおよびエアロゾル発生装基体を構築することが可能となり、これにより、マウスピースおよびエアロゾル生成基体を一緒に接続することを容易にする(例えば、チッピングラッパーを用いて)。
【0064】
マウスピースをエアロゾル発生基体に接続するために、本発明によるエアロゾル発生物品は、マウスピースおよびエアロゾル発生基体の少なくとも一部分を囲むチッピングラッパーを含みうる。チッピングラッパーは、約70グラム/立方メートル未満の坪量を有する紙を含んでもよく、約40グラム/立方メートル未満の坪量を有する紙を含むことが好ましい。チッピングラッパーは、約20グラム/立方メートルを超える坪量を有することが好ましい。
【0065】
本発明によるエアロゾル発生物品のマウスピースは、エアロゾル発生基体の下流端とエアロゾル発生物品の口側端との間で測定された、約20ミリメートル~約35ミリメートルの全長を有することが好ましい。例えば、マウスピースは約27ミリメートルの全長を有しうる。
【0066】
本発明によるエアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体は、燃焼されて煙を形成しうる包まれたたばこロッドを含むことが好ましい。別の方法として、エアロゾル発生基体は、たばこ材料、たばこ抽出物、またはその他のニコチン供与源の供給源であってもよく、これらは燃焼せずに加熱されてエアロゾルを生成しうる。
【0067】
エアロゾル発生基体は、約45ミリメートル~約65ミリメートルの長さを有しうる。例えば、エアロゾル発生基体は、約56ミリメートルの長さを有しうる。
【0068】
本発明によるエアロゾル発生物品は、燃焼して煙を形成するたばこ材料を含むエアロゾル発生基体が中に含まれているフィルター付き紙巻たばこまたは他の喫煙物品であってもよい。従って、上述の実施形態のいずれかにおいて、そのエアロゾル発生基体はたばこロッドを備えてもよい。
【0069】
別の方法として、本発明によるエアロゾル発生物品は、中のたばこ材料が燃焼するのではなく、加熱されてエアロゾルを形成する物品であってもよい。一つのタイプの加熱式エアロゾル発生物品において、たばこ材料は一つ以上の電気発熱体によって加熱されてエアロゾルを生成する。別のタイプの加熱式エアロゾル発生物品において、エアロゾルは、熱を可燃性の熱源または化学的な熱源から、物理的に分離されたたばこ材料(これは熱源の中、周囲、または下流に位置しうる)へと伝達することによって生成される。本発明は、ニコチン含有エアロゾルがたばこ材料、たばこ抽出物、または他のニコチン供給源から燃焼を経ずに、幾つかの場合では加熱を経ずに、例えば化学反応によって生成されるエアロゾル発生物品をさらに包含する。
【0070】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品の上流端とエアロゾル発生物品の口側端との間で測定された、約40ミリメートル~約90ミリメートルの全長を有してもよい。例えば、エアロゾル発生物品は、約83ミリメートルの全長を有しうる。
【0071】
エアロゾル発生物品は、約4ミリメートル~約9ミリメートルの外径を有してもよい(存在しうる任意のチッピングラッパーを含んで)。例えば、エアロゾル発生物品は約7.8ミリメートルの外径を有しうる。その他の好ましい実施形態では、エアロゾル発生物品は、約7.1ミリメートル未満、または約6ミリメートル未満の直径を有しうる。本発明は、約7.1ミリメートル未満の直径を有する「薄い」または「スリムな」エアロゾル発生物品のためのマウスピースにおいて特定の用途がある。こうしたエアロゾル発生物品において、使用中のエアロゾルとの接触の結果としてのマウスピース内のカプセルの劣化は、特に問題となりうる。
【0072】
ここで、例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【
図1】
図1は、本発明によるエアロゾル発生物品の斜視図を示す。
【0074】
【
図2】
図2は、
図1のエアロゾル発生物品の長軸方向の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0075】
図1および2は、本発明によるエアロゾル発生物品10を図示する。エアロゾル発生物品10は、一方の端で軸方向に整列したマウスピース14に取り付けられたたばこカットフィラーの包まれたロッド12を備える。チッピングペーパーの帯16は、マウスピース14と、包まれたロッド12の一部分とを囲んで、エアロゾル発生物品10の二つの構成要素をひとまとめにする。
【0076】
図2に示すように、マウスピース14は、第一のフィルターセグメント18および第二のフィルターセグメント20を含む。第一のフィルターセグメント18は、マウスピース14の口側端に提供され、中央に位置するカプセル22を収容する酢酸セルローストウの包まれたプラグを含む。第一のフィルターセグメント18は、10ミリメートルの長さを有する。第二のフィルターセグメント20は、第一のフィルターセグメント18の上流に提供され、第二のフィルターセグメント20の下流端は、第一のフィルターセグメント18の上流端に当接する。第二のフィルターセグメント20は、中央に位置するカプセル24を収容する酢酸セルローストウの包まれたプラグを含む。
【0077】
カプセル22、24のそれぞれは、風味剤添加剤の内部コアおよび壊れやすい外側シェルを含む。
【0078】
図2に示すように、第二のフィルターセグメント20は包まれたたばこロッド12から長軸方向に間隙を介しており、上流くぼみ26は第二のフィルターセグメント20と包まれたたばこロッド12との間に提供される。上流くぼみ26は充填されておらず、5ミリメートルの長さを有する。
【0079】
上流くぼみ26は、第一のフィルターセグメント18および第二のフィルターセグメント20を囲み、第二のフィルターセグメント20の上流に5ミリメートル延びる、組み合わせプラグラップ28によって画定される。したがって、組み合わせプラグラップ28は、包まれたたばこロッド12上には延びない。
図2に示す通り、チッピングラッパー16は、組み合わせプラグラップ28上にあり、マウスピース14および包まれたたばこロッド12を接続する。
【0080】
組み合わせプラグラップ28は、組み合わせプラグラップ28が比較的高い剛性を有するように、少なくとも70グラム/平方メートルの坪量を有する紙材料のシートで形成される。
【0081】
エアロゾル発生物品10は、第二のフィルターセグメント20に沿った位置で、カプセル24の上流に通気ゾーン30をさらに備える。通気ゾーン30は、チッピングラッパー16および組み合わせプラグラップ28を通って延びる穿孔の列を含む。
【0082】
エアロゾル発生物品10の喫煙中、包まれたロッド12内のたばこから生成された主流煙は、第二のフィルターセグメント20を通過してカプセル24と接触する前に上流くぼみ26内に入る。煙は下流に進み、カプセル22と接触している第一のフィルターセグメント18を通過する。主流煙は、上流くぼみ26を通過するにつれて冷却されるため、カプセル22、24に対する主流煙の影響が最小化される。カプセル22、24は、喫煙中にその粉砕性を保持し、喫煙後になおも消費者によって破壊されて可聴音を生成しうる。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生物品であって、
エアロゾル発生基体と、
前記エアロゾル発生基体と軸方向に整列したマウスピースと、
を含み、前記マウスピースが、
一つ以上の壊れやすいカプセルを含む濾過材料の添加剤セグメントであって、各壊れやすいカプセルが外側シェルおよび添加剤を収容する内部コアを含む、濾過材料の添加剤セグメント、および、
前記エアロゾル発生基体に隣接して提供された濾過材料の中間セグメントを含み、
前記濾過材料の添加剤セグメントが前記中間セグメントから下流に離間し、前記中間セグメントと前記濾過材料の添加剤セグメントとの間に上流くぼみを画定し、前記上流くぼみが実質的に充填されておらず、
前記エアロゾル発生物品が更に、
前記濾過材料の添加剤セグメントと前記上流くぼみとを囲むラッパー
を含み、
前記マウスピースが、前記上流くぼみ上に提供された、空気を前記上流くぼみの中へと導入する一つ以上の通気ゾーンをさらに含む、エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記添加剤セグメントの長さが、前記上流くぼみの長さよりも短い、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記マウスピースが、前記濾過材料の添加剤セグメントと前記中間セグメントとの間に中空管セグメントを含み、前記中空管セグメントが前記上流くぼみを画定する、請求項1または2のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記中空管セグメントが紙材料から形成される、請求項3に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記中空管セグメントが複数の重なり合った紙の層から形成される、請求項4に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記中空管セグメントが少なくとも2つの紙の層、かつ11未満の紙の層から形成される、請求項5に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記紙の層の少なくとも一つが、少なくとも100グラム/立方メートルの坪量を有する紙から作製される、請求項5または6に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記中空管セグメントの壁厚が少なくとも100マイクロメートルである、請求項4~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
前記添加剤セグメントが、前記添加剤セグメントの長さに沿ってほぼ中央に提供された単一の壊れやすいカプセルを含む、請求項1~8のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項10】
前記エアロゾル発生基体が、燃焼せずに加熱されてエアロゾルを生成する、たばこ材料、たばこ抽出物、またはその他のニコチン供与源の供給源である、請求項1~9のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項11】
前記エアロゾル発生物品が、40ミリメートル~90ミリメートルの全長を有する、請求項1~10のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項12】
前記上流くぼみの5パーセント未満が固体または液体材料を含む、請求項1~11のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載のエアロゾル発生物品、および前記エアロゾル発生物品の前記エアロゾル発生基体を燃焼させずに加熱してエアロゾルを生成するように構成された一つ以上の電子発熱体を含む装置を備える、システム。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品の使用。