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  • 特開-ヒヨコマメタンパク質濃縮物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102291
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】ヒヨコマメタンパク質濃縮物
(51)【国際特許分類】
   A23J 1/00 20060101AFI20240723BHJP
   A23J 3/14 20060101ALI20240723BHJP
   A23J 3/00 20060101ALI20240723BHJP
   A23L 13/00 20160101ALI20240723BHJP
   A23L 17/00 20160101ALI20240723BHJP
【FI】
A23J1/00 B
A23J3/14
A23J3/00 502
A23L13/00 Z
A23L17/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024076789
(22)【出願日】2024-05-09
(62)【分割の表示】P 2022031789の分割
【原出願日】2017-07-09
(31)【優先権主張番号】62/360,388
(32)【優先日】2016-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/429,890
(32)【優先日】2016-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517009578
【氏名又は名称】イッサム リサーチ デベロップメント カンパニー オブ ザ ヘブリュー ユニバーシティー オブ エルサレム リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】レイフェン,ラム
(72)【発明者】
【氏名】バル-エル ダドン,シムリット
(72)【発明者】
【氏名】シェーリング,マーティン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】味の良いヒヨコマメベースのタンパク質濃縮物、その製造方法、およびかかるタンパク質濃縮物を含む食品を提供する。
【解決手段】総乾燥物の70重量%超のタンパク質含量を有する、脱苦味処理されたヒヨコマメタンパク質濃縮物を提供する。特定の実施形態において、動物の肉またはチーズに似た構造、触感、および風味を有する、ヒヨコマメベースの代用肉および代用チーズを提供する。特定の実施形態において、脱苦味処理されたヒヨコマメタンパク質濃縮物を製造する方法を更に提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
総乾燥物の70重量%超のタンパク質含量を有する、脱苦味処理されたヒヨコマメタンパク質濃縮物。
【請求項2】
総乾燥物の80重量%超のタンパク質含量を有する、請求項1に記載のヒヨコマメタンパク質濃縮物。
【請求項3】
1%未満のフィチン酸を含む、請求項1または2に記載のヒヨコマメタンパク質濃縮物。
【請求項4】
0.8mg/g未満のサポニンを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のヒヨコマメタンパク質濃縮物。
【請求項5】
25%未満の脂肪を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のヒヨコマメタンパク質濃縮物。
【請求項6】
ヒヨコマメ材料を脱苦味処理する工程を含む方法によって製造される、請求項1~5のいずれか1項に記載のヒヨコマメタンパク質濃縮物。
【請求項7】
前記脱苦味処理する工程が、材料をフマル酸と混合することを含む、請求項6に記載のヒヨコマメタンパク質濃縮物。
【請求項8】
前記方法が、25℃以下の温度、好ましくは15℃以下の温度で行われる、請求項6または7に記載のヒヨコマメタンパク質濃縮物。
【請求項9】
前記方法が、8~10のpH値にまでアルカリ化する工程を含む、請求項6~8のいずれか1項に記載のヒヨコマメタンパク質濃縮物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のヒヨコマメタンパク質濃縮物を含む、食品。
【請求項11】
少なくとも10%のタンパク質を含む、請求項10に記載の食品。
【請求項12】
牛肉、豚肉、羊肉、鶏肉、および魚肉の類似物からなる群から選択される肉類似物である、請求項10または11に記載の食品。
【請求項13】
脱苦味処理されたヒヨコマメタンパク質濃縮物を製造するための方法であって、(i)ヒヨコマメ材料の水懸濁液を与える工程と、(ii)ヒヨコマメ材料を脱苦味処理する工程と、(iii)前記工程(ii)の生成物からタンパク質を抽出する工程と、を含む、方法。
【請求項14】
前記工程(ii)が、前記材料をフマル酸と混合することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記工程(iii)が、前記工程(ii)の生成物をアルカリ条件に曝露することを含む、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記材料が、ヒヨコマメ粉である、請求項13~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記工程(ii)が、フマル酸を0.2%~1%のフマル酸の最終濃度にまで混合することを含む、請求項13~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記工程(ii)が、pH約4.5に酸性化することを含む、請求項13~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記工程(iii)が、7.5~10のpH値にまでアルカリ化することを含む、請求項13~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
膜蒸留、ナノ濾過、限外濾過、透析濾過、および蒸発からなる群から選択されるプロセスによってタンパク質を濃縮する工程を更に含む、請求項13~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記脱苦味処理する工程に続いて、前記工程(ii)で生成されたタンパク質沈殿物を前記水懸濁液から分離する工程を行う、請求項13~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記分離された材料をタンパク質抽出に供する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
豆類タンパク質濃縮物を製造するための方法であって、(i)豆類材料の水懸濁液を与える工程と、(ii)フマル酸と混合することにより、材料を脱苦味処理する工程と、(iii)前記工程(ii)の生成物からタンパク質を抽出する工程と、を含む、方法。
【請求項24】
前記豆類が、マメ、レンズマメ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記豆類が、ヒヨコマメ、エンドウマメ、白インゲンマメ、レンズマメ、ピーナッツ、アルファルファ、大豆、ルピナス、ササゲマメ、キマメ、黒インゲンマメ、小豆、キドニービーン、ソラマメ、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記工程(iii)が、前記工程(ii)の生成物をアルカリ条件に曝露することを含む、請求項23~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記材料が、ヒヨコマメ粉である、請求項23~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記工程(ii)が、フマル酸を0.2%~1%のフマル酸の最終濃度にまで混合することを含む、請求項23~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記工程(ii)が、pH約4.5に酸性化することを含む、請求項23~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記工程(iii)が、7.5~10のpH値にまでアルカリ化することを含む、請求項23~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
膜蒸留、ナノ濾過、および蒸発からなる群から選択されるタンパク質濃縮プロセスを更に含む、請求項23~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記脱苦味処理する工程に続いて、前記工程(ii)で生成された沈殿物を前記水懸濁液から分離する工程を行う、請求項23~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記分離された材料をタンパク質抽出に供する、請求項32に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、味の良いヒヨコマメタンパク質濃縮物に関し、詳細には、脱苦味処理工程を含むプロセスによって得られる濃縮物、かかるタンパク質濃縮物の製造方法、およびかかるタンパク質濃縮物を含む食品に関する。
【背景技術】
【0002】
健康的な食品および持続可能な食料源に関する公衆の意識の高まりによって、植物タンパク質を主成分とする食品に対する関心が高まっている。肉類の消費量を減らす人の割合は着実に増加している。こうした食習慣の変化により、肉類およびチーズに代わり、同様の高タンパクの栄養価を有する健康的で味の良い食品に対する消費者の需要を満たす新しい製品が求められている。
【0003】
現在の代用肉は官能品質の面で消費者の好みを完全に満たすものではない。詳細には、噛み心地、味、ジューシーさのスコアが肉と比較して低い。より大きなマーケットシェアを得るには、代用肉は好ましくは本物の肉に似ているべきである。
【0004】
大豆タンパク質は、加工ベジタリアン食品に最も多く使用されているタンパク質である。しかしながら、大豆ベースの食品の使用は、アレルゲン性の問題、遺伝子改変豆類、残留除草剤の存在、および、大豆ベースの食品中に存在する大量のホルモンなどの他の健康上の懸念のために問題がある。このことは、他の一般的なベジタリアン食品の問題と併せて、代替的な、ベジタリアンで、安全かつ味の良い製品に対するニーズを生じさせている。
【0005】
ヒヨコマメはガルバンゾ豆としても知られ、世界で2番目に重要なマメ科作物である。ヒヨコマメは、世界の多くの国々で育てられている一年生のマメ科作物であり、地中海領域を原産とする。ヒヨコマメは、その高い栄養価のため、世界中の多くの途上国および先進国で食生活の一部となっている。ヒヨコマメは、ビタミンK、葉酸、リン、亜鉛、銅、マンガン、コリン、およびセレン、ならびに高濃度の鉄、ビタミンB6、およびマグネシウムを含む。ヒヨコマメは、有益なタンパク質、ビタミン、およびミネラルの供給源であることに加えて、繊維質が豊富で、低脂肪であり、健康効果を有することが示されている(例えば、コレステロールダメージを低下させる)。
【0006】
米国特許出願公開第2015/0296834号は、動物の肉に似た構造、食感、および他の性質を有する食品を開示している。
【0007】
米国特許出願公開第2013/0196028号は、栄養成分を濃縮したヒヨコマメ可溶性画分、およびその製造方法を開示している。当該出願は、出発材料に対して少なくとも90%のタンパク質含量を開示している(例えば、ヒヨコマメ種子は、約20~25重量%のタンパク質を含有しているのに対して、最終タンパク質含量20%以上)。当該公開は、プロテアーゼ、アミラーゼ、およびフィターゼによる酵素的消化、ならびにデンプンおよびタンパク質を変性させるための必要に応じて行われる加熱工程を開示している。
【0008】
本出願の発明者の1人による国際公開第WO2008/056360号は、ヒヨコマメの全種子に基づいた組成物、乳児用調製粉乳、および栄養補助食品を開示している。
【0009】
米国特許第6,818,246号は、低含量の難消化性オリゴ糖および高含量のイソフラボンを有する大豆タンパク質濃縮物の製造方法を開示している。当該方法は、タンパク質から難消化性オリゴ糖を分離する一方で、イソフラボンおよびサポニンはタンパク質とともに維持するための限外濾過プロセスにおける膜の使用を含む。
【0010】
米国特許出願公開第2016/0309743号は、タンパク質濃縮物を生成する方法であって、小麦粉、水、および基剤を加え合わせることにより最初のアルカリ化スラリーを生成することと、可溶化高タンパク質ストリームを分離することにより可溶化高タンパク質ストリームを生成することと、脱油された可溶化高タンパク質ストリームを酸と混合し、酸凝乳をタンパク質沈殿物から分離することにより酸凝乳を含むタンパク質沈殿物を生成することと、を含む方法を開示している。本出願の優先日よりも後に公開された当該米国特許出願は、プロテアーゼの使用を更に含み得る。
【0011】
改善された風味および食感、ならびに高い栄養価を有する広範な食品の原料として適当なベジタリアンタンパク質濃縮物に対する、いまだ満たされていないニーズが存在する。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、味の良いヒヨコマメタンパク質濃縮物、該タンパク質濃縮物を含む食品、およびその製造方法を提供するものである。詳細には、本発明は、脱苦味処理したヒヨコマメ高タンパク質濃縮物を提供する。本発明は、特定の実施形態において、動物の肉またはチーズに似た構造、触感、および風味を有する、ヒヨコマメベースの代用肉および代用チーズを提供する。本発明は、特定の実施形態において、脱苦味処理されたヒヨコマメタンパク質濃縮物を製造する方法を更に提供する。
【0013】
本発明は、フマル酸により脱苦味処理を行う工程を含む方法によってヒヨコマメタンパク質濃縮物を製造することにより、広範な食品の原料として有用な、味の良い高品質のタンパク質濃縮物が提供されるという予期せざる発見に一部基づいてなされたものである。本発明の方法は、フマル酸による脱苦味処理工程、沈殿したタンパク質の分離工程、およびアルカリ条件下でのタンパク質抽出工程を含む。
【0014】
本発明の教示によれば、動物肉食品と似た触感および構造を有し、したがって健康的かつ味の良い代用肉および/または代用チーズとして機能し得る食品に更に加工することが可能な、脱苦味処理されたヒヨコマメタンパク質濃縮物が初めて提供される。従来より知られている方法を用いたヒヨコマメタンパク質濃縮物を製造する試みは、かかる調製物の特徴である苦味の問題、および/または非食用化合物の使用を必要とし、および/または非食用化合物の残存量の問題があった。本明細書に記載されるタンパク質濃縮物は、かかる苦味を実質的に有さない。
【0015】
本明細書に記載されるヒヨコマメタンパク質濃縮物は、肉およびチーズ類似物のような食品に、増粘、食感、および構造的特性を与えるために多くの食品用途において有用である。タンパク質濃縮物は乳化させることで構造を与えることができ、これにより、タンパク質濃縮物にしっかりした噛み応えおよび肉のような食感が与えられる。
【0016】
第1の態様によれば、本発明は、総乾燥物の70重量%超のタンパク質含量を有する、脱苦味処理されたヒヨコマメタンパク質濃縮物を提供する。
【0017】
特定の実施形態によれば、タンパク質濃縮物は、総乾燥物の80重量%超のタンパク質含量を有する。特定の実施形態によれば、タンパク質濃縮物は、総乾燥物の90重量%超のタンパク質含量を有する。特定の実施形態によれば、タンパク質濃縮物は、総乾燥物の75重量%~85重量%のタンパク質含量を有する。更なる実施形態によれば、タンパク質濃縮物は、総乾燥物の80重量%~95重量%のタンパク質含量を有する。
【0018】
特定の実施形態によれば、タンパク質濃縮物は、1%未満のフィチン酸を含む。特定の実施形態によれば、タンパク質濃縮物は、0.8%未満のフィチン酸を含む。特定の実施形態によれば、タンパク質濃縮物は、0.6%未満のフィチン酸を含む。特定の実施形態によれば、タンパク質濃縮物は、0.3%未満のフィチン酸を含む。特定の実施形態によれば、タンパク質濃縮物は、0.1%未満のフィチン酸を含む。更なる実施形態によれば、タンパク質濃縮物は、フィチン酸を実質的に含まない。
【0019】
特定の実施形態によれば、タンパク質濃縮物は、苦味を実質的に有さない。特定の例示的な実施形態によれば、タンパク質濃縮物は、フマル酸以外の酸によるタンパク質沈殿の工程を含むプロセスにより調製されたタンパク質濃縮物と比較して低い苦味を有する。
【0020】
特定の実施形態によれば、タンパク質濃縮物は、0.8mg/g未満のサポニンを含む。特定の実施形態によれば、タンパク質濃縮物は、0.6mg/g未満のサポニンを含む。特定の実施形態によれば、タンパク質濃縮物は、0.4mg/g未満のサポニンを含む。特定の実施形態によれば、タンパク質濃縮物は、0.2mg/g未満のサポニンを含む。更なる実施形態によれば、タンパク質濃縮物は、サポニンを実質的に含まない。
【0021】
特定の実施形態によれば、タンパク質濃縮物は、25%未満の脂肪を含む。更なる実施形態によれば、タンパク質濃縮物は、20%、18%、16%、14%、12%、10%、8%または5%未満の脂肪を含む。それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を示す。更なる実施形態によれば、タンパク質濃縮物は、5%~20%の脂肪を含む。
【0022】
特定の実施形態によれば、タンパク質濃縮物は、ヒヨコマメ材料を脱苦味処理する工程を含む方法によって製造される。特定の実施形態によれば、ヒヨコマメ材料は、水に浸漬されたヒヨコマメ粉である。特定の実施形態によれば、脱苦味処理工程は、材料をフマル酸と混合することを含む。
【0023】
特定の実施形態によれば、方法は、タンパク質抽出の工程を更に含む。特定の実施形態によれば、タンパク質抽出は、材料をアルカリ条件に曝露することを含む。
【0024】
特定の実施形態によれば、方法は、フマル酸を、0.1%~1%のフマル酸の最終濃度にまで混合することを含む。特定の実施形態によれば、方法は、フマル酸を、0.15%~0.5%のフマル酸の最終濃度にまで混合することを含む。
【0025】
特定の実施形態によれば、方法は、7.5~10のpH値にまでアルカリ化する工程を含む。特定の実施形態によれば、方法は、pH8にまでアルカリ化する工程を含む。特定の実施形態によれば、方法は、pH9にまでアルカリ化する工程を含む。特定の実施形態によれば、方法は、pH9以下のpH値にまでアルカリ化する工程を含む。更なる実施形態によれば、方法は、pH10以下のpH値にまでアルカリ化する工程を含む。
【0026】
特定の実施形態によれば、生成物をアルカリ条件に曝露する工程は、NaOHまたはKOHの使用を含む。
【0027】
特定の実施形態によれば、方法は、pH約4.5にまで酸性化することを含む。
【0028】
特定の実施形態によれば、方法は、ヒヨコマメ材料に酸化防止剤を加えることを含む。
【0029】
特定の実施形態によれば、方法は、25℃よりも低い温度で行われる。特定の実施形態によれば、方法は、20℃よりも低い温度で行われる。特定の実施形態によれば、方法は、0℃~15℃の温度で行われる。特定の実施形態によれば、方法は、0℃~10℃の温度で行われる。特定の実施形態によれば、方法は、5℃~15℃の温度で行われる。
【0030】
特定の実施形態によれば、方法は、消化酵素を加えることを含まない。
【0031】
特定の実施形態によれば、方法は、プロテアーゼを加えることを含まない。
【0032】
特定の実施形態によれば、タンパク質濃縮物は、控えめな味を有する。更なる実施形態によれば、タンパク質濃縮物は、味の良い味を有する。
【0033】
更なる一態様によれば、本発明は、本発明のヒヨコマメタンパク質濃縮物を含む食品を提供する。
【0034】
特定の実施形態によれば、食品は、少なくとも5%の本発明のヒヨコマメタンパク質濃縮物を含む。特定の実施形態によれば、食品は、少なくとも20%の本発明のヒヨコマメタンパク質濃縮物を含む。特定の実施形態によれば、食品は、少なくとも30%の本発明のヒヨコマメタンパク質濃縮物を含む。
【0035】
特定の実施形態によれば、食品は代用肉である。
【0036】
特定の実施形態によれば、食品は、これらに限定されるものではないが、牛肉、豚肉、羊肉、鶏肉、および魚肉の類似物を含む肉類似物である。
【0037】
他の実施形態によれば、食品は、代用乳または代用チーズである。更なる実施形態によれば、食品は、飲料、スナック、バー、スポーツフード、および医療用食品からなる群から選択される。それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を示す。
【0038】
特定の実施形態によれば、食品は、0.1重量%~約30重量%の脂質を含む。特定の実施形態によれば、食品は、0.5重量%~約25重量%の脂質を含む。更なる実施形態によれば、食品は、1重量%~約20重量%の脂質を含む。
【0039】
特定の実施形態によれば、食品は、約0.1重量%~約10重量%の1種類以上の結合剤を含む。特定の実施形態によれば、食品は、約1重量%~約5重量%の1種類以上の結合剤を含む。
【0040】
特定の実施形態によれば、食品は、1重量%~10重量%の食物繊維を含む。特定の実施形態によれば、食品は、2重量%~5重量%の食物繊維を含む。
【0041】
特定の実施形態によれば、食品は、パスタまたはヌードルに似た食感および風味を有する。
【0042】
別の態様によれば、本発明は、脱苦味処理されたヒヨコマメタンパク質濃縮物を製造するための方法であって、(i)ヒヨコマメ材料の水懸濁液を与える工程と、(ii)ヒヨコマメ材料を脱苦味処理する工程と、(iii)工程(ii)の生成物からタンパク質を抽出する工程と、を含む方法を提供する。
【0043】
特定の実施形態によれば、タンパク質濃縮物は、控えめな味を有する。更なる実施形態によれば、タンパク質濃縮物は、味の良い味を有する。
【0044】
特定の実施形態によれば、工程(ii)は、材料をフマル酸と混合することを含む。
【0045】
特定の実施形態によれば、工程(ii)は、フマル酸を、0.1%~1%のフマル酸の最終濃度にまで混合することを含む。特定の実施形態によれば、工程(ii)は、フマル酸を、0.15%~0.5%のフマル酸の最終濃度にまで混合することを含む。特定の実施形態によれば、工程(ii)は、フマル酸を、約0.5%のフマル酸の最終濃度にまで混合することを含む。他の実施形態によれば、工程(ii)は、フマル酸を、約0.2%のフマル酸の最終濃度にまで混合することを含む。
【0046】
特定の実施形態によれば、工程(ii)は、pH約4.5にまで酸性化することを含む。
【0047】
特定の実施形態によれば、工程(iii)は、工程(ii)の生成物をアルカリ条件に曝露することを含む。
【0048】
特定の実施形態によれば、工程(iii)は、7.5~10のpH値にまでアルカリ化することを含む。特定の実施形態によれば、工程(iii)は、pH8にまでアルカリ化することを含む。特定の実施形態によれば、工程(iii)は、pH9にまでアルカリ化することを含む。
【0049】
特定の実施形態によれば、生成物をアルカリ条件に曝露することは、NaOHまたはKOHの使用を含む。
【0050】
特定の実施形態によれば、浸漬されたヒヨコマメ材料は、10~25重量%の固形分を有する。
【0051】
特定の実施形態によれば、方法は、膜蒸留、ナノ濾過、および蒸発からなる群から選択されるプロセスによってタンパク質を濃縮する工程を更に含む。特定の実施形態によれば、方法は、膜蒸留処理を更に含む。
【0052】
タンパク質は、酸性化工程において沈殿される。特定の実施形態によれば、方法は、分離する工程を更に含む。特定の例示的な実施形態によれば、分離は遠心分離によって行われる。他の実施形態によれば、分離はデカンターによって行われる。これらの実施形態によれば、分離工程に続いて、アルカリ条件を用いたタンパク質の抽出を行う。
【0053】
特定の実施形態によれば、方法は、(i)ヒヨコマメ材料の水懸濁液を与える工程と、(ii)ヒヨコマメ材料を脱苦味処理する工程と、(iii)工程(ii)において生成された沈殿物を分離する工程と、(iv)工程(iii)の生成物からタンパク質を抽出する工程と、を含む。
【0054】
特定の実施形態によれば、工程(iv)に続いて、更なる分離工程を行う。
【0055】
特定の例示的な実施形態によれば、方法は、少なくとも2サイクルのフマル酸酸性化による脱苦味処理に続き、タンパク質を分離することと、上清を除去することと、脱苦味処理された材料をタンパク質抽出に供することと、を含む。
【0056】
本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の説明および図面より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】ヒヨコマメタンパク質濃縮物の典型的な製造プロセスの概略ワークフローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0058】
本発明は、広範な食品を調製するための原料として適当なヒヨコマメベースのタンパク質濃縮物を提供する。本発明は、味の良いヒヨコマメベースのタンパク質濃縮物の製造方法を更に提供する。本明細書に開示されるタンパク質濃縮物は、肉に似た食感および風味を有する代用肉の調製に適している。本明細書に開示されるタンパク質濃縮物は、牛乳の代替製品、プロテインシェイク、スポーツ栄養食品、エネルギーバー、スナック、および医療用食品の調製にも適している。
【0059】
本明細書に記載されるタンパク質濃縮物の製造方法は、フマル酸を使用したヒヨコマメ材料の酸性化を含む。当該方法は、7.5~10のpH値へのアルカリ化工程を更に含む。特定の実施形態において、タンパク質濃縮物の調製方法は、膜蒸留処理の工程を更に含む。有利な点として、本発明は、より高収率で、かつ苦味が抑えられたヒヨコマメタンパク質濃縮物の製造方法を提供する。本発明は、特定の実施形態において、他の豆類からタンパク質抽出物を製造する方法を更に提供する。
【0060】
いずれの特定の機序または理論にも束縛されることを望むものではないが、本明細書に開示される組成物の苦味のない味は、処理におけるタンパク質の加水分解が最小限に抑えられていることに特によるものである。加水分解物中のペプチドの疎水性および分子量が苦味に寄与することは、広く受け入れられている。苦味はまた、サポニンおよび他の栄養阻害物質の存在によるものである。
【0061】
用語の定義
本明細書で使用するところの「豆類」なる用語は、マメ科(family FabaceaeまたはLeguminosae)の植物または果実/種子のことを言う。
【0062】
本明細書で使用するところの「ヒヨコマメ」なる用語は、ヒヨコマメ(Cicer arietinum)種の任意の種類、および他の種との交雑によって生じるその子孫のことを言う。ヒヨコマメは、これらに限定されるものではないが、スパニッシュカーブリー、3279カーブリー、デーシー14088、デーシー8631、ハダス-カーブリー、およびデーシー8575などのヒヨコマメの品種デーシーおよびカーブリーなどのヒヨコマメのいずれの品種から得られるいずれの改変品種であってもよい。
【0063】
本明細書で使用するところの「ヒヨコマメ粉」なる用語は、ヒヨコマメの豆またはその一部を粉砕することによって得られる粉末のことを言う。粉は、部分的または完全に粉砕されたヒヨコマメの豆またはその一部を含む。特定の実施形態によれば、粉は、これらに限定されるものではないが、内因性の、又は他は外部から添加されたタンパク質およびミネラルなどの各種の食品成分で栄養強化される。
【0064】
本明細書で使用するところの「タンパク質濃縮物」なる用語は、乾燥重量ベースで65%超のタンパク質を有する、原料豆類から可溶性炭水化物および他の成分を除去して得られる材料のことを言う。
【0065】
本明細書で使用するところの「ヒヨコマメタンパク質濃縮物」なる用語は、完全乾燥ベースで65重量%超のヒヨコマメタンパク質を含むヒヨコマメタンパク質含有材料のことを言う。本明細書で使用するところの「タンパク質濃縮物」なる用語には、「タンパク質単離物」も包含される。タンパク質単離物は、通常、85重量%超のタンパク質を含む材料として定義される。
【0066】
本明細書で使用するところの「脱苦味処理されたタンパク質濃縮物」なる用語は、他の方法により生成されたタンパク質濃縮物と比較して苦味の低いタンパク質濃縮物のことを言う。特定の実施形態では、本明細書に記載されるタンパク質濃縮物は、ヒト味覚試験で評価した場合に低い苦味スコアを有する。例えば、本明細書に記載されるタンパク質濃縮物は、フマル酸以外の酸による酸タンパク質沈殿を含むプロセスにより調製されたタンパク質濃縮物と比較して低い苦味を有する。特定の実施形態では、低い苦味は、例えばサポニンまたは疎水性ペプチドのような特定の成分の濃度がより低いことによる。
【0067】
「控えめな味」または「控えめな風味」なる用語は本明細書では互換的に用いられ、最小限のまろやかですっきりとした味を与える風味のことを言う。
【0068】
「味の良い」なる用語は、本明細書の全体を通じて本発明に基づく組成物をその味に関して述べるのに用いられる。本発明に基づく味の良いヒヨコマメタンパク質濃縮物は、良い味のする、または他の形で心地の良い味のする組成物である。
【0069】
本明細書で使用するところの「タンパク質」なる用語は、任意の長さのアミノ酸のポリマーの形態のことを言う。
【0070】
本明細書で使用するところの「食品」なる用語は、ヒトが消費する(例えば、食べる、飲む、または摂取する)ことができる任意の物品のことを言う。
【0071】
「肉類似物」および「代用肉」なる用語は、本明細書では互換的に用いられ、動物由来のものではないが、動物の肉に似た構造、食感、および/または他の性質を有する製品のことを言う。
【0072】
本明細書で使用するところの「食感」なる用語は、食品の感覚的知覚に関連する食品の機械的特性のことを言う。
【0073】
本明細書で使用するところの「構造」なる用語は、広範な食品の物理的特性を述べる。構造は、物理的特性の組み合わせから生じる、口触りを含む触覚、および視覚によって知覚される物質の属性として定義される。
【0074】
一態様によれば、本発明は、(i)豆類材料の水懸濁液を与える工程と、(ii)フマル酸と混合することにより、材料を脱苦味処理する工程と、(iii)工程(ii)の生成物からタンパク質を抽出する工程と、を含む方法によって得られる、脱苦味処理された豆類タンパク質濃縮物を提供する。生成物は、出発材料中の全タンパク質濃度よりも大幅に高い濃度のタンパク質を含有する点は理解されよう。
【0075】
特定の実施形態によれば、豆類は、ヒヨコマメ、青エンドウマメ、黄エンドウマメ、レンズマメ、ピーナッツ、シロツメクサ、大豆、ウズラマメ、グレートノーザンマメ、シロインゲンマメ、小豆、黒インゲンマメ、暗赤色および淡赤色キドニービーンズ、ソラマメ、グリーンベビーリマビーンズ、ピンクビーンズ、ミアシビーンズ(myasi beans)、クロメマメ、クランベリービーンズ、白インゲンマメ、ライスビーンズ(rice beans)、ライマメ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を示す。
【0076】
特定の実施形態によれば、豆類は、マメ、レンズマメ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0077】
特定の実施形態によれば、豆類は、ヒヨコマメ、エンドウマメ、白インゲンマメ、レンズマメ、ピーナッツ、アルファルファ、大豆、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を示す。特定の例示的な実施形態によれば、豆類は、ヒヨコマメである。
【0078】
特定の実施形態によれば、ヒヨコマメ粉は脱脂粉である。特定の実施形態によれば、豆類出発材料は、油分分離に供される。油分分離は、これらに限定されるものではないが、ヘキサン、石油エーテル、またはエタノールなどの溶媒によって行うことができる。
【0079】
特定の実施形態によれば、豆類タンパク質濃縮物は、味の良いものである。特定の実施形態では、改善された味の良さは、特定の酸による脱苦味処理によるものである。更なる実施形態によれば、豆類タンパク質濃縮物は、控えめな味を特徴とする。
【0080】
特定の実施形態によれば、脱苦味処理された豆類タンパク質濃縮物は、総乾燥物の少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%のタンパク質含量を有する。
【0081】
特定の実施形態によれば、タンパク質濃縮物は、総乾燥物の80重量%超のタンパク質含量を有する。特定の実施形態によれば、タンパク質濃縮物は、総乾燥物の90重量%超のタンパク質含量を有する。特定の実施形態によれば、タンパク質濃縮物は、総乾燥物の75重量%~85重量%のタンパク質含量を有する。
【0082】
特定の実施形態によれば、タンパク質濃縮物は、苦味を実質的に有さない。特定の例示的な実施形態によれば、タンパク質濃縮物は、フマル酸以外の酸による酸タンパク質沈殿を含むプロセスにより調製されたタンパク質濃縮物と比較して低い苦味を有する。
【0083】
特定の実施形態によれば、工程(ii)は、材料をフマル酸と混合することを含む。
【0084】
特定の実施形態によれば、工程(iii)は、工程(ii)の生成物をアルカリ条件に曝露することを含む。
【0085】
酸およびアルカリ条件への曝露は、タンパク質を大きく分解しない範囲内で行われる点は理解されよう。
【0086】
特定の実施形態によれば、材料は、豆類粉である。特定の実施形態によれば、材料は、ヒヨコマメ粉である。
【0087】
特定の実施形態によれば、工程(ii)は、フマル酸を、0.1%~1%のフマル酸の最終濃度にまで混合することを含む。特定の実施形態によれば、工程(ii)は、フマル酸を、0.15%~0.6%のフマル酸の最終濃度にまで混合することを含む。特定の実施形態によれば、工程(ii)は、フマル酸を、約0.2%のフマル酸の最終濃度にまで混合することを含む。更なる実施形態によれば、工程(ii)は、フマル酸を、約0.5%のフマル酸の最終濃度にまで混合することを含む。
【0088】
特定の実施形態によれば、浸漬されたヒヨコマメ材料は、10~25重量%の固形分を有する。
【0089】
特定の実施形態によれば、工程(iii)は、7.5~10のpH値にまでアルカリ化することを含む。特定の実施形態によれば、工程(iii)は、pH9にまでアルカリ化することを含む。特定の実施形態によれば、工程(iii)は、pH8にまでアルカリ化することを含む。
【0090】
特定の実施形態によれば、生成物をアルカリ条件に曝露することは、NaOHまたはKOHの使用を含む。
【0091】
特定の実施形態によれば、工程(ii)は、pH約4.5にまで酸性化することを含む。
【0092】
特定の実施形態によれば、方法は、膜蒸留、ナノ濾過、および蒸発からなる群から選択されるプロセスによってタンパク質濃縮処理の工程を更に含む。特定の実施形態によれば、方法は、膜蒸留処理を更に含む。
【0093】
特定の実施形態によれば、脱苦味処理工程に続いて、脱苦味処理された豆類材料の水懸濁液からの分離を行う。これらの実施形態によれば、分離された材料は、タンパク質抽出に供される。特定の例示的な実施形態によれば、沈殿は遠心分離によって行われる。
【0094】
一態様によれば、本発明は、ヒヨコマメタンパク質濃縮物を製造するための方法であって、(i)水に浸漬されたヒヨコマメ材料を与える工程と、(ii)材料をフマル酸と混合する工程と、(iii)工程(ii)の生成物をアルカリ条件に曝露する工程と、を含む方法を提供する。
【0095】
特定の実施形態によれば、方法は、工程(iii)のヒヨコマメ材料を膜蒸留処理に供することを更に含む。
【0096】
本明細書に記載されるタンパク質濃縮物を製造する方法は、試験した他の従来の酸と比較して優れていることが見いだされたフマル酸によって液体浸漬されたヒヨコマメ材料を酸性化することを含む。この工程後、大部分のタンパク質は不溶性である。フマル酸による酸性化は、様々な栄養阻害物質が除去される脱苦味処理工程としての役割を果たす。栄養阻害物質は栄養素の吸収を妨げる化合物であり、非限定的な例としてフィチン酸を含む。
【0097】
アルカリ化工程は、タンパク質を再可溶化するために用いられる。この工程では、可溶性デンプンおよび繊維の残渣が除去される。
【0098】
特定の実施形態によれば、生成物をアルカリ条件に曝露することは、NaOHまたはKOHの使用を含む。特定の実施形態によれば、生成物をアルカリ条件に曝露することは、pHを7.5以上に調整することを含む。特定の実施形態によれば、生成物をアルカリ条件に曝露することは、pHを9または10以下のpH値に調整することを含む。より高いpHは、タンパク質の加水分解を増大させ、ひいては苦味を増大させ得る。
【0099】
本発明に基づくタンパク質濃縮物の製造方法は、乾燥工程を更に含むことができる。特定の実施形態によれば、前記乾燥工程は、スプレー乾燥によって行われる。
【0100】
タンパク質濃縮物は、乾燥に先立って低温殺菌処理を行うことができる。特定の実施形態によれば、低温殺菌処理工程は、ジェットクッキングによって行われる。特定の実施形態によれば、低温殺菌処理工程は、スチームジャケット付きケトルによって行われる。
【0101】
一態様によれば、本発明は、本発明のヒヨコマメタンパク質濃縮物を含む食品を提供する。
【0102】
特定の実施形態によれば、本発明は、動物肉に似た構造、食感、および他の性質を有する肉構造化されたヒヨコマメ製品を提供する。特定の実施形態によれば、製品は、繊維および脂質含量を有する。製品はアレルギー性化合物を含まず、また、健康に悪い大量の飽和脂肪を含まないにもかかわらず動物肉に似た口触りを与えることができる。
【0103】
特定の実施形態によれば、本明細書に開示されるタンパク質濃縮物は、これらに限定されるものではないが、シェーク、飲料、スポーツフード、スナック、および医療用食品を含む様々な食品中のタンパク質成分として機能することができる。
【0104】
特定の実施形態によれば、ヒヨコマメ食品は、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、または85%の上記に述べたヒヨコマメタンパク質濃縮物を含む。それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を示す。
【0105】
本明細書で与えられるヒヨコマメベースの食品は、少なくとも約10重量%のタンパク質を含む。特定の実施形態によれば、ヒヨコマメベースの食品は、約10重量%~約90重量%、約20重量%~約80重量%、約30重量%~約70重量%、約34重量%~約50重量%、約30重量%~約60重量%、約30重量%~約50重量%、約40重量%~約50重量%、約60重量%~約80重量%、または約70重量%~約90重量%のタンパク質を含む。食品のタンパク質含量は、これらに限定されるものではないが、AOACインターナショナル基準法AOAC990.03およびAOAC992.15などの様々な方法によって求めることができる。
【0106】
本明細書で提供されるヒヨコマメベースの食品は脂質を含むことができる。いずれの理論にも束縛されることを望むものではないが、脂質は咀嚼中の乾いた感じを防止することができると考えられている。適当な脂質の例としては、これらに限定されるものではないが、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、共役脂肪酸、エイコサノイド、パルミチン酸、糖脂質(例えば、セレブロシド、ガラクト脂質、スフィンゴ糖脂質、リポ多糖、ガングリオシド)、膜脂質(例えば、セラミド、スフィンゴミエリン、バクトプレノール)、グリセリド、セカンドメッセンジャーシグナル伝達脂質(例えば、ジグリセリド)、トリグリセリド、プレノール脂質、プロスタグランジン、サッカロ脂質、油類(例えば、ノンエッセンシャルオイル、エッセンシャルオイル、アーモンド油、アロエベラ油、キョウニン油、アボカド油、バオバブ油、キンセンカ油、キャノーラ油、トウモロコシ油、綿実油、ツキミソウ油、ブドウ油、グレープシードオイル、ヘーゼルナッツ油、ホホバ油、アマニ油、マカダミア油、天然油、ニーム油、非水素化油、オリーブ油、パーム油、部分的水素化油、ラッカセイ油、ナタネ油、ゴマ油、ダイズ油、ヒマワリ油、合成油、植物油)、オメガ脂肪酸(例えば、アラキドン酸、ω-3-脂肪酸、ω-6-脂肪酸、ω-7-脂肪酸、ω-9-脂肪酸)、及びリン脂質(例えば、カルジオリピン、セラミドホスホコリン、セラミドホスホエタノールアミン、グリセロリン脂質、ファスファチジン酸、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴリン脂質、ホスファチジルセリン)が挙げられる。特定の実施形態によれば、脂質の少なくとも一部は植物由来のものである。脂質は、いずれか1つの植物源に由来するかまたは複数の植物源に由来するものでよい。特定の実施形態によれば、脂質は植物源由来のものでないが植物源に見られる脂質と同じまたは同様のものであり、例えば、脂質は合成によりまたは生合成により生成されるが植物源に見られる脂質と同じまたは同様のものである。特定の実施形態によれば、本明細書で提供されるタンパク質繊維質製品は、約1重量%~約10重量%、約2重量%~約8重量%、約2重量%~約6重量%、約2重量%~約5重量%、約2重量%~約4重量%、約3重量%~約6重量%、約3重量%~約5重量%、約3重量%~約4重量%、約4重量%~約5重量%、または約5重量%~約10重量%の脂質を含む。食品の脂質含量は、これらに限定されるものではないが、AOACインターナショナル基準法AOAC954.02などの様々な方法によって求めることができる。特定の実施形態によれば、肉構造化タンパク質製品は、約2重量%未満、約1重量%未満、約0.5重量%未満、約0.25重量%未満、約0.1重量%未満、または約0.005重量%未満の飽和脂肪を含む。
【0107】
本明細書で提供されるヒヨコマメベースの食品は炭水化物を含むことができる。これらに限定されるものではないが、デンプン、粉、食物繊維、およびこれらの任意の組み合わせを含む各種の成分を炭水化物の全体または一部として用いることができる。
【0108】
特定の実施形態によれば、タンパク質濃縮物は、植物エストロゲンを含まない。
【0109】
本明細書で提供されるヒヨコマメベースの製品は、少なくとも約25%の含水量(MC)を有する。高いMCは、咀嚼中の乾いた感じを防止することができる。特定の実施形態によれば、本明細書で提供されるヒヨコマメベースの製品は、約30重量%~約70重量%、約40重量%~約60重量%、約33重量%~約45重量%、約40重量%~約50重量%約30重量%~約60重量%、約50重量%~約70重量%、または約55重量%~約65重量%のMCを有する。特定の実施形態では、本明細書で提供される水和タンパク質繊維質製品は、約50重量%~約85重量%、約60重量%~約80重量%、約50重量%~約70重量%、約70重量%~約80重量%、約75重量%~約85重量%、または約65重量%~約90重量%のMCを有する。
【0110】
本明細書で提供されるヒヨコマメベースの食品は、少量(すなわち2重量%以下)のタンパク質、炭水化物、脂質、または他の動物由来成分(例えばアルブミンまたはコラーゲン)を含むこともまた、本発明の範囲内である。
【0111】
本明細書で提供されるヒヨコマメベースの食品は、これらに限定されるものではないが、大豆、大麦、キャノーラ、ルピナス、トウモロコシ、オートムギ、エンドウマメ、ジャガイモ、米、レンズマメ、アマニ、および小麦タンパク質を含む他の植物タンパク質を含むこともまた、本発明の範囲内である。特定の実施形態によれば、ヒヨコマメベースの食品は、50重量%以下の非ヒヨコマメ植物タンパク質を含む。
【0112】
本明細書で提供されるヒヨコマメ食品は、調理された動物肉のほぼ同様の食味および口触りを有する。
【0113】
特定の実施形態によれば、本明細書で提供されるヒヨコマメベースの食品はグルテンフリーである。特定の実施形態によれば、ヒヨコマメベースの食品は、これらに限定されるものではないが、グルコマンナン、β-1,3-グルカン、トランスグルタミナーゼ、ポリフェノール、カルシウム塩、およびマグネシウム塩を含む、フィラメント形成を促進することができる架橋剤を含む。
【0114】
製品の所望の用途に応じて、製品は1種類以上の添加剤も好ましくは含む。広範な添加剤を、特に、結合剤、甘味料(糖類を含む)、香味剤およびエッセンス、塩類、乳化剤、安定化剤、酸化防止剤、ビタミン類、ミネラル類、タンパク質、着色剤、酵素、粉剤(flour agents)、湿潤剤、増粘剤、防腐剤、酸性化剤、ハーブ類、スパイス類、ホルモン、オリゴ糖、脂質、および微生物から選択することができる。かかる添加剤は、当該技術分野では周知のものである。有用な参考文献の1つとして、Codex Alimentariusにより刊行されるCodex General Standard for Food Additives 192-1995がある。
【0115】
増粘剤を加えることで触感特性を向上させ、シネレシスを最小に抑え、沈殿を防止することができる。従来の食品グレードの増粘剤を使用することができる。かかる増粘剤としては、β-グルカン、カラギーナン、キサンタンおよび他のガム、ペクチン、グアーローカストビーン、ならびにコンニャクが挙げられる。
【0116】
ビタミン類及びミネラル類をサプリメントとして、または推奨される一日摂取量を満たすように加えてもよい。添加することができるビタミン類及びミネラル類の例としては、すべての一般的に用いられるレチノイドおよびレチノールエステルを含むビタミンA、ビタミンB群、C、D、葉酸、様々な形態のビタミンEおよび他の水溶性または脂溶性ビタミン類がある。添加することができるミネラル類の例としては、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄の塩、および天然の海塩などの各種のミネラル調製物がある。
【0117】
本明細書で提供されるヒヨコマメベースの食品は、栄養補助食品を調製するために使用することができる。栄養補助製品は、栄養補助を必要とする人に不可欠な必要成分を与えるように設計することができる。例えば、ビタミン欠乏症を有する人に対するビタミン類、貧血に対する鉄、骨増殖および密度に対するカルシウム、健康な血管組織および冠動脈心疾患の予防ならびにメンタルヘルスの向上に対するオメガ3、腸または口腔の健康のためにBifidus sp.およびAcidophilus sp.などの腸内の微生物の存在を高めるプレバイオティクス、ならびに、抗酸化物質および/またはエストロゲンレベルの低下にともなう付帯的健康効果を有するエストロゲン模倣物質として主に機能する植物エストロゲンなどのホルモン。したがって、本発明の製品および副生成物は、医療および医薬品用途も有する。
【0118】
本明細書で提供されるヒヨコマメタンパク質製品は、任意の形状および形態を有することができる。形状の例としては、これらに限定されるものではないが、クランブル、ストリップ、スラブ、ステーキ、カツレツ、パテ、ナゲット、ローフ、チューブ状、ヌードル状、チャンク、ポッパー、およびキューブ状の小片が挙げられる。特定の実施形態によれば、ヒヨコマメタンパク質製品は、幅約2mm~約25mm、厚さ約2mm~約25mm、および長さ約2mm~約50mmの寸法を有するクランブルの形状を有する。特定の実施形態によれば、ヒヨコマメタンパク質製品は、幅約1cm~約8cm、および長さ約5cm~約30cmのストリップの形状を有する。特定の実施形態によれば、本明細書で提供されるヒヨコマメタンパク質製品は、幅約30mm~約110cmのスラブの形状を有する。特定の実施形態によれば、本明細書で提供されるヒヨコマメタンパク質製品は、約2mm~約15mm、約3mm~約12mm、約4mm~約10mm、または約5mm~約8mmの厚さを有する。特定の実施形態では、本明細書で提供されるヒヨコマメタンパク質製品は、その長さまたは幅の少なくとも約95%、少なくとも約90%、少なくとも約80%、少なくとも約70%、少なくとも約60%、または少なくとも約50%にわたって同じ厚さを有する。特定の実施形態によれば、本明細書で提供されるヒヨコマメタンパク質製品は、その幅または長さの約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下、または約10%以下にわたって同じ厚さを有する。
【0119】
ヒヨコマメタンパク質製品は、スライス、切断、粉砕、細片化、すりおろし、または他の形で加工するか、または加工しないままとすることができる。ヒヨコマメタンパク質製品は、透過性または不透過性のケーシングに詰めてソーセージを形成してもよい。特定の実施形態では、本明細書で提供されるヒヨコマメタンパク質製品は、Food Standards and Labeling Policy Book(USDA,2005)ガイドラインにしたがって、細片化してから一体に結合されるか、チャンクにしてから成形されるか、粉砕してから成形されるか、または切り刻んでから成形される。
【0120】
本明細書で提供されるヒヨコマメタンパク質製品は、ヒトまたは動物が消費するために調製することができる。ヒヨコマメタンパク質製品は、調理するか、部分的に調理することができ、または調理されていないか、部分的に調理されるか、もしくは調理された状態で冷凍することができる。調理には、ソテーするかまたは油で揚げることによる揚げ、焼き、燻し、蒸し、およびこれらの組み合わせが含まれる。特定の実施形態によれば、ヒヨコマメタンパク質製品は、これらに限定されるものではないが、スープ、ヌードル、ブリトー、チリ、サンドウィッチ、ラザニア、パスタソース、シチュー、ケバブ、ピザのトッピング、およびミートスティックを含む調理肉に使用される。特定の実施形態によれば、ヒヨコマメタンパク質製品は、これらに限定されるものではないが、他の植物由来製品および/または動物肉を含む他のタンパク質製品と混合される。
【0121】
本発明の方法を用いて製造することが可能な食品の例としては、これらに限定されるものではないが、粉、デンプン、発酵もしくは無発酵パン、パスタ、ヌードル、動物飼料、朝食シリアル、スナックフード、ケーキ、モルト、粉ベースのソースが入ったペストリーまたは食品が挙げられる。
【0122】
ヒヨコマメタンパク質材料組成物を乳化肉に使用することで乳化肉に構造を与え、これにより乳化肉にしっかりした噛み応えおよび肉のような触感を与えることができる。ヒヨコマメタンパク質材料組成物は、速やかに水分を吸収することにより、調理による乳化肉からの水分の損失も減らし、肉の脂肪の「脂肪滲出」を防止するため、調理された肉はよりジューシーとなる。
【0123】
肉エマルションは、肉エマルションに保存性、風味、または発色性を与える他の成分を含むこともできる。例えば、肉エマルションは、約1重量%~約4重量%の塩、約0.01重量%~約3重量%のスパイス、および、約0.01~約0.5重量%の硝酸塩などの防腐剤を含むことができる。
【0124】
一態様によれば、本発明は、少なくとも10%の本発明のタンパク質濃縮物を含む肉様またはチーズ様食品を提供する。特定の実施形態によれば、肉様食品は、約10重量%~約75重量%のタンパク質、約0.5重量%~約25重量%の総炭水化物、約0.05重量%~約10重量%の食物繊維、約0.1重量%~約25重量%の総脂質、および約30重量%~約80重量%の水を含む。特定の実施形態によれば、肉様食品は、約25重量%~約65重量%のタンパク質、約1重量%~約10重量%の総炭水化物、約0.1重量%~約5重量%の食物繊維、約1重量%~約5重量%の総脂質、および約40重量%~約60重量%の水を含む。
【0125】
特定の実施形態によれば、食品は、約0.1重量%~約10重量%の1種類以上の結合剤を含む。特定の実施形態によれば、食品は、約0.5重量%~約5重量%の1種類以上の結合剤を含む。更なる実施形態によれば、食品は、少なくとも約0.01重量%、約0.01重量%~約15重量%、約0.1重量%~約10重量%、約0.25重量%~約7重量%、約0.25重量%~約5重量%、約0.5重量%~約4.5重量%、約1重量%~約4重量%、約1.5重量%~約3.5重量%、約2重量%~約3重量%、約1重量%~約2.5重量%、約2重量%~約2.5重量%、約0.5重量%~約2重量%、または約5重量%~約10重量%の結合剤を含む。それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を示す。
【0126】
本明細書で提供される食品は、少なくとも約0.05重量%の炭水化物を必要に応じて含んでもよい。これらに限定されるものではないが、デンプン、粉、食物繊維、およびこれらの組み合わせを含む各種の成分を炭水化物の全体または一部として用いることができる。適当なデンプンの例としては、これらに限定されるものではないが、マルトデキストリン、イヌリン、フルクトオリゴ糖(FOS)、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、グアーガム、コーンスターチ、オート麦デンプン、ジャガイモデンプン、米デンプン、インゲンマメデンプン、および小麦デンプンが挙げられる。適当な粉の例としては、これらに限定されるものではないが、アマランス粉、オート麦粉、キノア粉、米粉、ライ麦粉、ソルガム粉、大豆粉、小麦粉、およびトウモロコシ粉が挙げられる。適当な食物繊維としては、これらに限定されるものではないが、竹繊維、大麦ぬか、ニンジン繊維、柑橘類繊維、トウモロコシぬか、可溶性食物繊維、不溶性食物繊維、オート麦ぬか、エンドウマメ繊維、米ぬか、穀物殻(head husk)、大豆繊維、大豆多糖、小麦ぬか、および木材パルプセルロースが挙げられる。炭水化物は、いずれか1つの天然もしくは加工天然源、または複数の天然もしくは加工天然源由来のものとすることができる。特定の実施形態によれば、炭水化物は、天然もしくは加工天然源由来のものではないが、天然源に見られる炭水化物と同じまたは同様のものであり、例えば、炭水化物は、合成によりまたは生合成により生成されるが天然源に見られる分子と同じまたは同様の一次構造を有する分子を含む。特定の実施形態によれば、炭水化物の少なくとも一部は、植物由来のものである。特定の具体的な実施形態によれば、炭水化物の少なくとも一部は、エンドウマメ由来のものである。特定の実施形態によれば、食品は、約0.1重量%~約25重量%、約3重量%~約20重量%、約5重量%~約15重量%、約5重量%~約10重量%、約4重量%~約7重量%、または約3重量%~約35重量%の炭水化物を含む。特定の実施形態によれば、食品は、約0.1重量%~約10重量%、約1重量%~約8重量%、約2重量%~約6重量%、または約3重量%~約4.5重量%の繊維を含む。特定の実施形態によれば、本明細書に提供される食品は、約0.1重量%~約25重量%、約1重量%~約10重量%、約2重量%~約9重量%、約1重量%~約5重量%、約2重量%~約4重量%、約1重量%~約3重量%、約5重量%~約15重量%、約0.1重量%~約10重量%、約0.1重量%~約5重量%、約0.1重量%~約2.5重量%、約0.1重量%~約1.5重量%、約1重量%~約3重量%、約4重量%~約7重量%、または約2.5重量%~約7.5重量%の植物炭水化物を含む。特定の実施形態によれば、食品は、約0.1重量%~約15重量%、約0.5重量%~約15重量%、約3重量%~約15重量%、約5重量%~約15重量%、約10重量%~約15重量%、約0.1重量%~約3重量%、約1重量%~約3重量%、約2重量%~約3重量%、0.1重量%~約1.5重量%、約0.5重量%~約1.5重量%、または約1重量%~約1.5重量%の植物デンプンを含む。特定の実施形態によれば、食品は、エンドウマメデンプンを含む。特定の実施形態によれば、食品は、約0.1重量%~約3重量%、約1重量%~約3重量%、約2重量%~約3重量%、約0.1重量%~約1.5重量%、約0.5重量%~約1.5重量%、または約1重量%~約1.5重量%のエンドウマメデンプンを含む。特定の実施形態によれば、食品は、約0.1重量%~約10重量%、約0.1重量%~約5重量%、約0.1重量%~約3重量%、約0.1重量%~約2重量%、約0.4重量%~約0.6重量%、約0.05重量%~約2.5重量%、約0.05重量%~約1.5重量%、約0.05重量%~約1重量%、または約0.05重量%~約0.5重量%の植物食物繊維を含む。特定の実施形態によれば、食品は、食物エンドウマメ繊維を含む。特定の実施形態によれば、食品は、0.1重量%~約10重量%、約0.1重量%~約5重量%、約0.1重量%~約3重量%、約0.1重量%~約2重量%、約0.4重量%~約0.6重量%、約0.05重量%~約2.5重量%、約0.05重量%~約1.5重量%、約0.05重量%~約1重量%、または約0.05重量%~約0.5重量%のエンドウマメ食物繊維を含む。
【0127】
適当な結合剤の例としては、これらに限定されるものではないが、ピューレ(例えば、豆ピューレ、サツマイモピューレ、カボチャピューレ、アップルソース、ヤムピューレ、バナナピューレ、プランテーンピューレ、デーツピューレ、プルーンピューレ、イチジクピューレ、ズッキーニピューレ、ニンジンピューレ、ココナツピューレ)、天然または加工デンプン(例えば、穀物由来のデンプン、塊茎由来のデンプン、ジャガイモデンプン、サツマイモデンプン、トウモロコシデンプン、ワキシーコーンデンプン、タピオカデンプン、タピオカ、クズウコンデンプン、タロデンプン、エンドウデンプン、ヒヨコマメデンプン、コメデンプン、モチゴメデンプン、レンズマメデンプン、オオムギデンプン、ソルガムデンプン、コムギデンプン、およびこれらの物理的または化学的改質物[例えば、アルファ化デンプン、アセチル化デンプン、リン酸結合デンプン、カルボキシメチル化デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプンを含む])、穀類または豆類または根由来の粉(例えば、タロ、バナナ、ジャックフルーツ、コンニャク、レンズマメ、ソラマメ、ルーピンマメ、エンドウ、マメ類、コメ、コムギ、オオムギ、ライムギ、トウモロコシ、モチゴメ、ダイズ、テフ、ソバ、アマランス、ヒヨコマメ、ソルガム、アーモンド、チアシード、アマニ、ジャガイモ、タピオカ、ジャガイモ由来)、β-グルカン(例えば、細菌[例えば、カードラン]、オートムギ、ライムギ、コムギ、酵母、オオムギ、藻類、キノコ由来)、ガム(例えば、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ゲランガム、アラビアゴム、植物ガム、タラガム、トラガカントゴム、コンニャクガム、フェヌグリークガム、カラヤガム、ゲランガム、高アセチルゲランガム、低アセチルゲランガム)、ネイティブな又は比較的折り畳まれた(すなわち、完全にネイティブな機能状態にはないが、完全に変性されているわけでもない)タンパク質(例えば、ソラマメタンパク質、レンズマメタンパク質、エンドウタンパク質、リブロース-1,5-ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ[Rubisco]、ヒヨコマメタンパク質、緑豆タンパク質、キマメタンパク質、ルーピンマメタンパク質、ダイズタンパク質、白インゲンマメ(white bean)タンパク質、黒インゲンマメタンパク質、白インゲンマメ(navy bean)タンパク質、アズキマメタンパク質、ヒマワリ種子タンパク質)、多糖および改質多糖(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、マルトデキストリン、カラギーナンおよびその塩、アルギン酸およびその塩、寒天、アガロース、アガロペクチン、ペクチン、アルギネート)、ナッツ及び種子のバター(例えば、アーモンドバター、カシューバター、ヘーゼルナッツバター、マカダミアナッツバター、ピーナッツバター、ペカンバター、ピスタチオバター、クルミバター、カボチャ種子バター、ゴマ種子バター、ダイズバター、ヒマワリ種子バター)、酵素(例えば、トランスグルタミナーゼ、チオオキシドレダクターゼ)、プロラミン、ゼラチン、卵タンパク質、ジャガイモフレーク、オクラ、塊茎、繊維質(例えば、オオバコ外皮)、ならびにこれらの誘導体及び組み合わせが挙げられる。
【0128】
特定の実施形態によれば、食品は、有機成分のみを含む。特定の実施形態によれば、食品は、グルテンを含まない。特定の実施形態によれば、食品は、大豆を含まない。
【0129】
特定の実施形態によれば、食品は、約10分以下、約8分以下、または約6分以下の調理時間を有する。
【0130】
特定の実施形態によれば、本明細書で提供されるヒヨコマメタンパク質製品は、熱可塑性押出し成形により製造される。熱可塑性押出し成形(押出し成形調理としても知られる)は、乾燥混合成分(例えば、タンパク質、炭水化物、脂質)および液体混合成分(例えば水)を密閉されたバレル内に供給するプロセスである。バレルは、混合物を混合して生地とし、生地を前方に搬送して剪断/機械的圧力を加える1つ以上のスクリューシャフトを収容している。生地がバレルの連続的な区域に沿って前進するのにしたがって、圧力および熱が増大し、生地は熱可塑性溶融物に変換され、タンパク質が広範囲に熱変性する(疎水性結合および水素結合の切断、ジスルフィド結合の加水分解、および新たな共有結合および非共有結合の形成などの構造的変化を生じる)。方向性の剪断力は更に溶融物中の高分子量成分を整列させ、整列したタンパク質繊維が形成される。この塊が最終的に冷却ダイから押し出されると、新たに生成された構造が最終的なタンパク質繊維質製品中で固定される。タンパク質繊維質製品は、適当な冷却ダイの構成を用いることにより任意の形状に形成することができ、例えば、ブレードチョッパーにより任意のサイズに切断することができる。
【0131】
あらゆる物理化学的パラメータまたは押出し機の構成パラメータが、ヒヨコマメタンパク質製品の外観、触感、および性質に影響し得る。かかる物理化学的パラメータとしては、これらに限定されるものではないが、生地の配合(例えば、タンパク質の種類および含量、炭水化物の種類および含量、脂質の種類および含量、含水量、他の成分)および調理温度が挙げられる。
【0132】
押出し機は、あらゆる市販の押出し機から選択することができる。適当な押出し機としては、これらに限定されるものではないが、米国特許第4,600,311号および同第4,118,164号に記載される押出し機、ならびにMPF50/25(APV Baker Inc.社、ミシガン州グランドラピッズ)、BC-72(Clextral,Inc.社、フロリダ州タンパ)、TX-57(Wenger Manufacturing,Inc.社、カンザス州サベサ)、TX-168(Wenger Manufacturing,Inc.社、カンザス州サベサ)、およびTX-52モデル(Wenger Manufacturing,Inc.社、カンザス州サベサ)などの市販の押出し機が挙げられる。
【0133】
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態をより完全に説明するために示すものである。しかしながら、かかる実施形態は、いかなる意味においても、本発明の広義の範囲を限定するものとして解釈されてはならない。当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に開示される原理の多くの変形および改変を容易に考案することが可能である。
【0134】
実施例
実施例1-ヒヨコマメ粉の苦味の低減
サポニンなどの苦味を有する化合物を除去するため、ヒヨコマメタンパク質を酸条件下で抽出した。ヒヨコマメ粉を、水または蒸留水と混合し(1:10の比)、マグネチックスターラー(MR3001、Heidolph instruments社、シュヴァーバッハ、ドイツ)を使用して均質な状態にした。硫酸(HSO)、リン酸(HPO)、塩酸(HCl)、フマル酸、またはクエン酸を用いてpHを4.5に調整した。このpHでは、ほとんどの栄養阻害成分および苦味成分が可溶性であるのに対して、タンパク質は不溶性である。組成物をマグネチックスターラー上で3時間抽出した後、8000Gで20分間遠心した。上清を捨て、沈降物を水に懸濁し、洗浄した。次いで、混合物を8000Gで約10分間遠心し、沈降物を秤量し、官能評価を行うために保存した。表1は、脱苦味処理の実験デザインおよび結果を示す。
【0135】
官能評価
5人の専門家のパネルに生成した沈降物をすべて評価してもらった。記述的試験法を用いて苦味を評価した。選ばれた大部分の中性沈降物に、第2の抽出工程であるタンパク質抽出を行った。表1から分かるように、フマル酸およびHClは、苦味の点で最も許容されるものとみなされた。
【0136】
【表1】
【0137】
実施例2-タンパク質抽出
実施例1で脱苦味処理した沈降物にアルカリタンパク質抽出を行った。フマル酸およびHClは苦味低減の点で許容され得るものであったため、これらについて更なる分析を行った。タンパク質の抽出を行うため、沈降物を1:8の比で水に溶かした。この沈降物/水の混合物を水酸化ナトリウム(NaOH)または水酸化カリウム(KOH)を用いて異なるpH(7.5~10)に調整した。室温で一晩攪拌後、混合物を8000Gで20分間遠心した。上清および沈降物の内容を評価した。およそ3gの試料を、乾燥したペトリ皿中に秤量し、乾燥オーブン(Memmert GmbH & Co.KG社、シュヴァーバッハ)中でフタをせずに103℃で1時間乾燥した。ペトリ皿を乾燥機中で室温に冷却し、重量損失を記録した。重量損失がなくなるかまたはオーブン内での酸化反応のために重量が再び増加するまで乾燥手順を繰り返した。乾燥物含量を以下の式を用いて計算した。
【数1】
GT=乾燥後の試料+ペトリ皿の重量
GL=ペトリ皿の風袋重量
GE=試料重量
【0138】
乾燥物中のタンパク質含量をケルダール法により求めた。表2は、異なる試験における遠心分離後の上清の乾燥物中のタンパク質含量(%)を示す。表2に示されるように、いずれのタンパク質抽出法によっても、タンパク質含量が70%よりも大きい乾燥物が得られた。更に、脱苦味処理法におけるフマル酸の使用により、より低いpHでより高い抽出収率およびより良い味が得られた。ヒヨコマメタンパク質濃縮物のプロセスのワークフローの一例を図1に示す。
【0139】
【表2】

【0140】
具体的な実施形態の上記の説明によって本発明の一般的な性質が詳らかに明らかとなるため、他者は現時点での知識を応用することで、これらの特定の実施形態を、不要な実験を行うことなく、また一般的概念から逸脱することなく、様々な用途に合わせて容易に改変および/または適合することが可能であり、したがって、かかる適合および改変は、開示される実施形態の均等物の意味および範囲内で理解されるはずであり、また、理解されることを意図している。本明細書で用いられる語句または用語は、説明を目的としたものであって限定を目的としたものではない点は理解されるべきである。様々な開示される機能を実行するための手段、材料、および工程は、発明から逸脱することなく様々な代替的形態を有し得る。
図1
【手続補正書】
【提出日】2024-06-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
総乾燥物の70重量%超のタンパク質含量を有する、ヒヨコマメタンパク質濃縮物であって、脱苦味処理されたヒヨコマメタンパク質が、(i)ヒヨコマメ材料の水懸濁液を与える工程と、(ii)前記水懸濁液をpH4.5に酸性化することにより、ヒヨコマメ材料を脱苦味処理する工程と、(iii)前記工程(ii)の生成物からタンパク質を抽出する工程によって製造され、前記工程(ii)が、前記材料をフマル酸と混合することを含む、ヒヨコマメタンパク質濃縮物。
【請求項2】
総乾燥物の80重量%超のタンパク質含量を有する、請求項1に記載のヒヨコマメタンパク質濃縮物。
【請求項3】
1%未満のフィチン酸を含む、請求項1または2に記載のヒヨコマメタンパク質濃縮物。
【請求項4】
25%未満の脂肪を含む、請求項1~のいずれか1項に記載のヒヨコマメタンパク質濃縮物。
【請求項5】
0.8mg/g未満のサポニンを含み、苦味除去されたものである、請求項1~4のいずれか1項に記載のヒヨコマメタンパク質濃縮物。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載のヒヨコマメタンパク質濃縮物を含む、食品。
【請求項7】
少なくとも10%のタンパク質を含む、請求項に記載の食品。
【請求項8】
牛肉、豚肉、羊肉、鶏肉、および魚肉の類似物からなる群から選択される肉類似物である、請求項またはに記載の食品。
【請求項9】
前記工程(iii)が、前記工程(ii)の生成物をアルカリ条件に曝露することを含む、請求項1に記載のヒヨコマメタンパク質濃縮物
【請求項10】
前記工程(ii)が、フマル酸を0.2%~1%のフマル酸の最終濃度にまで混合することを含む、請求項1に記載のヒヨコマメタンパク質濃縮物
【請求項11】
前記工程(ii)が、pH約4.5に酸性化することを含む、請求項1に記載のヒヨコマメタンパク質濃縮物
【請求項12】
前記工程(iii)が、7.5~10のpH値にまでアルカリ化することを含む、請求項1に記載のヒヨコマメタンパク質濃縮物
【請求項13】
膜蒸留、ナノ濾過、限外濾過、透析濾過、および蒸発からなる群から選択されるプロセスによってタンパク質を濃縮する工程を更に含む、請求項1に記載のヒヨコマメタンパク質濃縮物
【請求項14】
前記脱苦味処理する工程に続いて、前記工程(ii)で生成されたタンパク質沈殿物を前記水懸濁液から分離する工程を行う、請求項1に記載のヒヨコマメタンパク質濃縮物
【請求項15】
前記分離された材料をタンパク質抽出に供する、請求項14に記載のヒヨコマメタンパク質濃縮物