(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102342
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】電気的サブアセンブリ及び関連する動作方法
(51)【国際特許分類】
H02K 16/00 20060101AFI20240723BHJP
H02K 19/10 20060101ALI20240723BHJP
H02P 5/46 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
H02K16/00
H02K19/10 A
H02P5/46 H
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024079487
(22)【出願日】2024-05-15
(62)【分割の表示】P 2021529534の分割
【原出願日】2019-08-05
(31)【優先権主張番号】1812682.1
(32)【優先日】2018-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】521051440
【氏名又は名称】アドヴァンスド・エレクトリック・マシーンズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェームス・ウィドマー
(57)【要約】
【課題】レアアース磁石の使用を必要とせずかつ効率を改善する、電気モータ技術を提供する。
【解決手段】電気的サブアセンブリ及び関連する動作方法。第1モータと、リラクタンスモータである第2モータと、を有する電気的サブアセンブリが提供される。第1モータ及び第2モータの各々が、他方に駆動接続されたそれぞれのロータを有し、単独で又は互いに組み合わせてトルクを発生させるように動作可能である。第1モータ及び第2モータの各々によって発生されるトルクは、車両のドライブトレインに伝達可能である。このように、電気的サブアセンブリは、ハイブリッド車両又は電気車両において特定の用途を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1モータと;
第2モータと;
を備える電気的サブアセンブリであって、
前記第1モータ及び前記第2モータの各々が、他方に駆動接続されたそれぞれのロータを有するリラクタンスモータであり、前記第1モータ及び前記第2モータの各々が、単独又は互いに組み合わせた前記第1モータ及び前記第2モータの双方によってトルクを発生させるように動作可能であり、
前記それぞれのロータの一方の機械的角度が、前記それぞれのロータの他方の機械的角度からオフセットされていることを特徴とする電気的サブアセンブリ。
【請求項2】
前記それぞれのロータの各々が、共通の軸周りに回転可能であることを特徴とする請求項1に記載の電気的サブアセンブリ。
【請求項3】
前記それぞれのロータが、前記それぞれのロータの間で延在する、前記第1モータ及び前記第2モータによって発生されたトルクを伝達するための駆動シャフトによって互いに駆動接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気的サブアセンブリ。
【請求項4】
前記駆動シャフトが、前記それぞれのロータの間で延在するモノリシックな連結部を備えていることを特徴とする請求項3に記載の電気的サブアセンブリ。
【請求項5】
前記それぞれのロータの少なくとも一方が、前記それぞれのロータの少なくとも一方と前記駆動シャフトとの間の角度方向の対応が維持されるように、前記駆動シャフトに接続されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の電気的サブアセンブリ。
【請求項6】
前記第1モータ及び前記第2モータの少なくとも一方が、スイッチトリラクタンスモータ及び同期リラクタンスモータの一方であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電気的サブアセンブリ。
【請求項7】
前記第1モータ及び前記第2モータが、互いにほぼ同じであることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の電気的サブアセンブリ。
【請求項8】
前記第1モータ及び前記第2モータの少なくとも一方の動作を制御するように構成された制御装置をさらに備えていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の電気的サブアセンブリ。
【請求項9】
前記制御装置が、前記第1モータ及び前記第2モータの少なくとも一方の速度及び/又はトルクを示す入力を受信するように、かつ前記入力に応じて前記第1モータ及び前記第2モータの少なくとも一方の動作を制御するように構成されていることを特徴とする請求項8に記載の電気的サブアセンブリ。
【請求項10】
前記制御装置が、前記入力を前記第1モータ及び前記第2モータの少なくとも一方の効率に関連付ける関数を使用することによって、前記入力に応じて動作を制御するようにさらに構成されていることを特徴とする請求項9に記載の電気的サブアセンブリ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の電気的サブアセンブリを備えることを特徴とする電気車両又はハイブリッド電気車両。
【請求項12】
第1モータ及び第2モータのいずれか一方又は双方を動作させるステップであって、前記第1モータ及び前記第2モータの各々が、他方に駆動接続されたそれぞれのロータを有するリラクタンスモータであり、前記第1モータ及び前記第2モータの各々が、単独又は互いに組み合わせてトルクを発生させるように動作させる、ステップを含み、
前記それぞれのロータの一方の機械的角度が、前記それぞれのロータの他方の機械的角度からオフセットされていることを特徴とする電気的サブアセンブリを動作させる方法。
【請求項13】
前記第1モータと前記第2モータとの間でほぼ等しいトルクを発生させるために、前記第1モータ及び前記第2モータの双方を選択的に動作させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1モータと前記第2モータとの間でほぼ等しくないトルクを発生させるために、前記第1モータ及び前記第2モータの双方を選択的に動作させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1モータ及び前記第2モータの双方を動作させることと比較して増大された効率でトルクを発生させるために、前記第1モータ及び前記第2モータの一方を選択的に動作させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1モータ及び前記第2モータの一方を動作させることと比較して増大された効率でトルクを発生させるために、前記第1モータ及び前記第2モータの双方を選択的に動作させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項12から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第1モータ及び前記第2モータの少なくとも一方の速度及び/又はトルクを示す入力を受信するステップと;
前記入力に応じて前記第1モータ及び前記第2モータのいずれか一方又は双方を選択的に動作させるステップと;
をさらに含むことを特徴とする請求項12から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記入力に応じて選択的に動作させるステップが、前記入力を前記第1モータ及び前記第2モータの少なくとも一方の効率に関連付ける関数を使用するステップを含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的サブアセンブリ、特に、ハイブリッド車両又は電気車両のための電気的けん引駆動部として使用するための電気的サブアセンブリに関する。本発明の態様は、電気的サブアセンブリ、車両、方法及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車両及び電気車両は、典型的には、ネオジム(Nd)などのレアアース要素を通常組み込んだ永久磁石を備えるモータを利用する。他のタイプのモータは、しばしば、さまざまな技術的理由のために使用されず、これらの技術的理由は、より低いトルク密度と、騒音、振動及びハーシュネスの問題と、を含む。しかしながら、レアアース永久磁石を備えるモータは、それら自身の欠点を有する。特に、レアアース磁石は、少なくとも電気モータの他の構成要素のコストに対して非常に高価である(レアアース磁石は、モータのコストの2倍以上になることがある)。また、レアアース磁石は、それらの採鉱及び精錬で使用される方法に起因して、持続可能性の信用が乏しい。
【0003】
さらに、永久磁石モータは、電流がモータに加えられているか否かにかかわらず、このようなモータ内のロータが回転しているときにはいつでも磁束を発生する。これは、磁気により誘導された電圧がモータの電気的端子で発生され得るか又は高電流がモータ巻き線を通じて発生され得るので、潜在的なシステム信頼性及び安全関係を有する。加えて、このようなモータは、ロータの回転磁場によって誘導される、無負荷での鉄損を生じさせ、モータが回転するときに変動するゼロでない平均トルクを生じる可能性があり、現象は、しばしば「コギング」と称される。コギングに対処するために採用される技術は、モータ効率を減少させる傾向がある。高いロータ速度を達成することを可能とするために、しばしば、いわゆる”弱め界磁”を加えることも必要である。そうでなければ、ロータの回転によってモータ巻き線にわたって誘導された電圧は、モータを駆動する供給電圧を超え、従って、より高い動作速度を防止する可能性がある。しかしながら、弱め界磁は、増大された抵抗損失を引き起こし、より低い効率をもたらす。レアアース磁石は、過熱した場合に減磁しやすく、ロータ内に配置される場合には冷却が困難である。このように、制御方針は、しばしば、過熱を防止するように実施されなければならない。
【0004】
永久磁石モータの代替案は、誘導モータと、巻き線型ロータモータと、を含む。しかしながら、これらのモータは、それらのロータに、永久磁石モータの損失よりも高い損失を発生させる。これらの比較的より高い損失は、モータが、より多くの巻き線、すなわちロータ及びステータ双方に巻き線を有することに起因する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-225203号公報
【特許文献2】特開平9-247910号公報
【特許文献3】特開2018-117481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
永久磁石、特にレアアース磁石の使用を必要とせずかつ/又は公知の代替案のものよりも効率を改善する、新たな電気モータ技術を開発することが望ましい。本発明の実施形態の目的は、公知の装置に関連する1つ以上の問題を少なくとも軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によれば、第1モータと;リラクタンスモータである第2モータと;を備える電気的サブアセンブリであって、第1モータ及び第2モータの各々が、他方に駆動接続されたそれぞれのロータを有し、第1モータ及び第2モータの各々が、トルクを発生させるように動作可能であり、すなわちトルクの共通の供給部/源である、電気的サブアセンブリが提供される。このように、第1モータ及び第2モータは、第1モータ単独によって、又は互いに組み合わせた第1モータ及び第2モータによって、トルク、例えばドライブトレインに伝達可能なトルクを発生させるように独立して動作可能であってもよい。
【0008】
所定の実施形態では、第1モータが、リラクタンスモータであってもよく、すなわち電気的サブアセンブリは、第1リラクタンスモータ及び第2リラクタンスモータを備えてもよく、第1モータ及び第2モータの各々は、単独で又は互いに組み合わせてトルクを発生させるように動作可能であってもよい。
【0009】
電気的サブアセンブリは、ハイブリッド車両又は電気車両のためのけん引駆動部(ただし、これに限定されない)を含む電気的駆動部の一部を形成してもよい。電気的サブアセンブリは、電気的駆動部のコストを低減させかつ/又は効率を改善することができ、従って、輸送手段としてのハイブリッド車両及び電気車両(ただし、これに限定されない)を含む電気的に駆動される解決法の魅力及び/又は実行可能性を増大させる。
【0010】
所定の実施形態では、それぞれのロータの各々は、共通の軸周りに回転可能であり、このような構成は、シンプルでコンパクトなモータ形態を可能にする。それぞれのロータは、それぞれのロータの間で延在する、第1モータ及び第2モータによって発生されるトルクの供給を伝達するための駆動シャフトによって互いに駆動接続されてもよい。選択的に、駆動シャフトは、それぞれのロータの間で延在するモノリシックな連結部を備え、シンプルでコンパクトかつ/又は頑丈なモータ形態を可能にしてもよい。
【0011】
それぞれのロータの少なくとも一方が、それぞれのロータの少なくとも一方と駆動シャフトとの間の角度方向の対応(angular correspondence)が維持されるように、駆動シャフトに接続されていてもよい。追加的に又は代替的に、それぞれのロータの一方の機械的角度は、それぞれのロータの他方の機械的角度からオフセットされてもよい。これは、トルクリップルと、トルクリップルに起因する音響ノイズと、の低減を容易にする。第1モータ及び第2モータの少なくとも一方が、スイッチトリラクタンスモータ及び同期リラクタンスモータの一方であってもよい。第1モータ及び第2モータは、互いにほぼ同じ、すなわち同じ仕様に作られてもよい。
【0012】
適切に、サブアセンブリは、第1モータ及び第2モータの少なくとも一方の動作を制御するように構成された制御装置を備えてもよい。制御装置が、第1モータ及び第2モータの少なくとも一方の速度及び/又はトルクを示す入力を受信するように構成されてもよい。さらに、制御装置が、入力に応じて第1モータ及び第2モータの少なくとも一方の動作を制御するように構成されてもよい。制御装置が、入力を第1モータ及び第2モータの少なくとも一方の効率に関連付ける関数を使用することによって、入力に応じて動作を制御するようにさらに構成されてもよい。
【0013】
本発明の別の側面によれば、上述した電気的サブアセンブリを備えるハイブリッド車両又は電気車両が提供される。
【0014】
本発明の別の側面によれば、第1モータ及び第2モータのいずれか一方又は双方を動作させて、第1モータ単独によって、又は互いに組み合わせた第1モータ及び第2モータによってトルクを発生させるステップであって、第2モータが、リラクタンスモータであり、第1モータ及び第2モータの各々が、他方に駆動接続されたそれぞれのロータを有する、ステップを含む電気的サブアセンブリを動作させる方法が提供される。第1モータが、リラクタンスモータであってもよい。このように、トルクは、単独で又は互いに組み合わせて第1モータ及び第2モータによって発生され得る。
【0015】
方法は、第1モータと第2モータとの間でほぼ等しいトルクを発生させるために、第1モータ及び第2モータの双方を選択的に動作させるステップをさらに含んでもよい。追加的に又は代替的に、方法は、第1モータと第2モータとの間でほぼ等しくないトルクを発生させるために、第1モータ及び第2モータの双方を選択的に動作させるステップを含んでもよい。
【0016】
所定の実施形態では、方法は、第1モータ及び第2モータの双方を動作させることと比較して増大された効率でトルクを発生させるために、第1モータ及び第2モータの一方、例えば第1モータのみを選択的に動作させるステップを含んでもよい。追加的に又は代替的に、方法は、第1モータ及び第2モータの一方を動作させることと比較して増大された効率でトルクを発生させるために、第1モータ及び第2モータの双方を選択的に動作させるステップを含んでもよい。
【0017】
選択的に、方法は、第1モータ及び第2モータの少なくとも一方の速度及び/又はトルクを示す入力を受信するステップと;入力に応じて第1モータ及び第2モータのいずれか一方又は双方を選択的に動作させるステップと;を含んでもよい。入力に応じて選択的に動作させるステップは、入力を第1モータ及び第2モータの少なくとも一方の効率に関連付ける関数を使用するステップを含んでもよい。
【0018】
本発明の別の側面によれば、電気的サブアセンブリのための制御装置であって、制御装置が、単独で又は互いに組み合わせてトルクを発生させるために第1モータ及び第2モータの少なくとも一方を動作させるように;第1モータ及び第2モータの少なくとも一方の速度及び/又はトルクを示す入力を受信するように;かつ入力を第1モータ及び第2モータの少なくとも一方の効率に関連付ける関数を使用することによって、入力に応じて第1モータ及び第2モータの少なくとも一方の動作を制御するように;構成されている制御装置が提供される。第1モータ及び第2モータのいずれか又は双方は、リラクタンスモータであってもよい。
【0019】
上述した側面のうちの1つの特徴は、他の上述した側面の1つ以上の特徴と組み合わせられてもよいことが理解されるべきである。
【0020】
本発明の実施形態は、添付の図面を参照して単に例としてこれから説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態による電気的サブアセンブリの断面図である。
【
図2】2つのモータの一方のみを動作させるときの
図1の電気的サブアセンブリの性能を示す外形プロットである。
【
図3】2つのモータの双方を動作させるときの
図1及び
図2の電気的サブアセンブリの性能を示す外形プロットである。
【
図4】2つのモータのいずれか一方又は双方を動作させるときの
図1から
図3の電気的サブアセンブリのピーク性能を示す外形プロットである。
【
図5】本発明の一実施形態によるハイブリッド車両又は電気車両の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の一実施形態による電気的サブアセンブリ10を示す。サブアセンブリ10は、ハイブリッド車両又は電気車両100(
図5参照)のための電気的けん引デバイスとして使用するための特定の用途を有する。このように、サブアセンブリ10は、パワートレインの一部であってもよく、すなわち、パワートレインは、電気的サブアセンブリ10及びドライブトレインを備えてもよい。当業者は理解するように、ドライブトレインは、サブアセンブリ10から最終駆動部、例えば1つ以上の駆動ホイールに機械的動力を送達する1つ以上の機構を備えてもよい。ドライブトレインは、ギアボックス、クラッチ、車軸、トランスミッション及びトルクコンバータのうちの1つ以上を備えてもよい。他の用途が考えられる。
【0023】
サブアセンブリ10は、第1リラクタンスモータ12及び第2リラクタンスモータ14を備えている。当業者は理解するように、リラクタンスモータは、強磁性ロータ上に非永久磁極を誘導する電気モータである。ロータは、ロータ巻き線を必要とせず、トルクは、磁気抵抗現象によってモータにより発生される。第1モータ12及び第2モータ14の各々は、それぞれのロータ16,18及びそれぞれのステータ20,22を備えている。それぞれのロータ16,18は、互いに駆動接続されるように構成されている。本明細書で使用される駆動接続されるは、1つ以上の接続された機構の間でトルクの伝達を可能にするように接続されることを意味すると理解される。このように、第1ロータ16及び第2ロータ18の一方の回転は、他方の回転を引き起こす。それぞれのステータ20,22の各々は、ステータ巻き線のための巻かれた界磁コイルを有してもよい。
【0024】
所定の実施形態では、第1モータ12及び第2モータ14の少なくとも一方は、同期リラクタンスモータ(しばしばSynRMと省略される)である。所定の実施形態では、第1モータ12及び第2モータ14の少なくとも一方は、スイッチトリラクタンスモータ(しばしばSRMと省略され、可変リラクタンスモータと称されることもある)である。リラクタンスモータは、ロータに電力を供給する必要がないので、より一般的に使用されるモータ、例えば誘導モータと比較して簡略化された設計を有する。従って、リラクタンスモータは、少なくとも、より一般的に使用されるモータと比較すると、製造が簡単であり、かつ高価でない。当業者は理解するように、モータ12,14の各々は、所有の三相パワーエレクトロニクスによって制御され得る。しかしながら、任意の適切な制御手段、例えば非対称ハーフブリッジコンバータが、使用され得る。
【0025】
それぞれのロータ16,18は、駆動シャフト24によって互いに駆動接続される。駆動シャフト24は、第1モータ12及び第2モータ14のいずれかによって発生されたトルクを他の機構に伝達するためのものであり、すなわち、駆動シャフト24は、ドライブトレインの一部を形成する。第1モータ12及び第2モータ14は、それぞれのロータ16,18が共通の軸26周りで回転可能となるように、互いに対して配置される(このような配置は、
図1に示されている)。しかしながら、所定の実施形態では、第1モータ12及び第2モータ14は、それぞれのロータ16,18がそれぞれの軸周りで各々回転可能となるように、角度方向にオフセットされている。このために、駆動シャフト24は、ユニバーサルジョイント、ジョーカップリング及びラグジョイントのうちの1つ以上を備え得る。所定の実施形態では、駆動シャフト24は、それぞれのロータ16,18の間で延在するモノリシックな連結部であるか、又はそれぞれのロータ16,18の間で延在するモノリシックな連結部を備える。本明細書で使用されるモノリシックは、一体形態を意味すると理解される。それぞれのロータ16,18が共通の軸26周りで回転可能となるように第1モータ12及び第2モータ14を配置することと、それぞれのロータ16,18の間で延在するモノリシックな連結部を有することと、は、構成が、製造するのが簡単でありかつ頑丈になるので、特に有益である。所定の実施形態では、それぞれのロータ16,18は、駆動ベルトによって互いに駆動接続される。
【0026】
所定の実施形態では、第1モータ12及び第2モータ14の各々の間(並びに/又は第1モータ12及び第2モータ14の少なくとも一方と1つ以上の他の機構、例えばドライブトレインの機構との間)の整列及び/又は距離を変化させることを可能にするために、駆動シャフト24は、溝をつけられてもよく、すなわち駆動シャフトは、それぞれのロータ16,18の少なくとも一方の対応する溝と噛合するために周囲を囲むように延在する複数のリッジ又は歯を有してもよい。このように、それぞれのロータ16,18の少なくとも一方は、溝をつけられたハブを有してもよい。リッジ又は歯は、それぞれのロータ16,18の少なくとも一方と駆動シャフト24との間の角度方向の対応を維持してもよい。追加的に又は代替的に、それぞれのロータ16,18の少なくとも一方と駆動シャフト24との間の角度方向の対応は、キー溝及びキー構成によって維持されてもよい。所定の実施形態では、それぞれのロータ16,18のいずれか又は双方は、駆動シャフト24と固定して接続されるか、又は駆動シャフト24と一体的に形成され得る。
【0027】
使用中に、第1モータ12及び第2モータ14の各々は、他方から独立して動作させられ、すなわち、動力は、第1モータ12及び第2モータ14のいずれか一方又は双方に、すなわち具体的にそれぞれのステータ20,22の一方又は双方に供給され得る。従って、トルクは、単独で又は互いに組み合わせて、第1モータ12及び第2モータ14のいずれか一方又は双方によって発生される。このように、同時に動作させられると、モータ12,14の各々は、発生されるトルクの総量に寄与する。すでに述べたように、それぞれのロータ16,18が互いに駆動接続されているので、それぞれのロータの一方の回転は、他方の回転を引き起こす。従って、それぞれのロータ16,18のいずれかは、動力がそれぞれのステータ20,22に供給されているかどうかに関わらず、回転する。有利には、この無負荷の(すなわち第1モータ12及び第2モータ14の少なくとも一方での)回転は、永久磁石モータでは発生する磁束を発生させない。従って、それぞれのロータ16,18のいずれかが回転して対応するモータがオフに切り替えられると、モータ端子には損失及び電圧がない。これは、効率及び/又は安全性に改善を提供する。当業者は理解するように、この利益は、リラクタンスモータである、無負荷の回転にさらされる第1モータ及び第2モータ14の一方から導かれ、すなわち、第1モータ12及び第2モータ14の他方は、他の方式、例えば誘導モータとして提供されてもよい。
【0028】
図2は、第1モータ12及び第2モータ14の一方のみを動作させるときのサブアセンブリ10のトルク(縦軸)及び速度(横軸)に対する効率を示す。示される効率は、電気的な動力入力に比例する機械的な動力出力である。ピーク効率は、車両が頻繁に動作する速度に対応するプロット範囲に示され、この速度は、説明される実施形態では、およそ3500rpm~7500rpmに対応する。当然ながら、サブアセンブリ10が、パワートレインの一部である場合には、第1モータ12及び第2モータ14の一方又は双方の速度は、車両100の速度に比例する。しかしながら、効率は、例えば加速を提供するためかつ/又は転がり抵抗及び空気抵抗を克服するために、必要とされるトルク量に応じて変化する。
図2に示されるように、より低い効率は、より低いトルク量で達成され得る。
【0029】
同様に、
図3は、第1モータ12及び第2モータ14の双方を動作させるときのサブアセンブリ10のトルク(縦軸)及び速度(横軸)に対する効率を示す(縦軸のスケールが異なることに注意されたい)。ピーク効率は、第1モータ12及び第2モータ14の一方のみを動作させるときの速度と同様の速度で示され得る。しかしながら、
図3に示されるように、より低い効率が、より低いトルク量で達成され得る。従って、単独で又は組み合わせて第1モータ12及び第2モータ14の各々を選択的に動作させることによって、比較的より高い効率が、より大きいトルク及び/又は速度の範囲にわたって達成され得る。この効果は、
図4に図示され、
図4は、第1モータ12及び第2モータ14のいずれか一方又は双方を動作させるときのサブアセンブリ10のトルク(縦軸)及び速度(横軸)に対するピーク効率を示し、すなわち所与のトルク及び/又は速度に対して第1モータ12及び第2モータ14のいずれか一方又は双方を動作させることによって達成可能な最良の効率を示す。
【0030】
サブアセンブリ10は、第1モータ12及び第2モータ14のいずれか又は双方の動作を制御するための制御装置110(
図5参照)を備える。制御装置110は、1つ以上の制御パラメータを選択することによって、第1モータ12及び第2モータ14のいずれか又は双方の動作を制御する。1つ以上の制御パラメータは、第1モータ12及び第2モータ14の各々に供給されるべき電圧及び電流を含んでもよい。第1モータ12及び第2モータ14の各々は、第1モータ12及び第2モータ14の各々をオンオフに切り替えることによって又は第1モータ12及び第2モータ14に可変的に動力を供給することによって、すなわち可変電流又は電圧の供給を提供することによって選択的に動作させられる。所定の実施形態では、サブアセンブリ10は、制御装置110を備えなくてもよく、代わりに、制御装置110は、例えば車両100上のどこかに設けられることによって、サブアセンブリ10と通信して動作可能であってもよい。
【0031】
制御装置110は、第1モータ12及び第2モータ14の各々もしくは双方の速度並びに/又は第1モータ12及び第2モータ14の各々もしくは双方によって発生されるトルクを示す入力を受信するように構成され得る。当業者は理解するように、サブアセンブリ10又は第1モータ12及び第2モータ14の各々又は第1モータ12及び第2モータ14のトルクは、トルクセンサ、すなわちトルクトランスデューサによって決定され得る。代替的に、トルクは、第1モータ12及び第2モータ14のいずれか又は双方に供給される電流から導かれ得る。電流は、電流トランスデューサによって決定され得る。速度は、エンコーダ及びレゾルバの少なくとも一方によって決定され得る。
【0032】
制御装置110は、第1モータ12及び第2モータ14の各々もしくは双方の速度並びに/又は第1モータ12及び第2モータ14の各々もしくは双方によって発生されるトルクに応じて、第1モータ12及び第2モータ14の各々を制御するように構成され得る。制御装置110は、プロセッサ及び電子メモリを備え得る。電子メモリは、第1モータ12及び第2モータ14の速度及び/又はトルクを制御パラメータの1つ以上に関連付ける関数を記憶している。関数は、例えば
図2から
図4に示されるように、効率-トルク-速度データから導かれ得る。
【0033】
第1モータ12及び第2モータ14の各々は、互いにほぼ同じであり、すなわち第1モータ12及び第2モータ14の各々は、同じ仕様に製造され、従って、同じ動作及び性能特性を各々示し得る。これは、電気的サブアセンブリ10がモジュール構造からなることを可能にするので、特に有益である。電気的サブアセンブリ10は、複数のモータ、すなわち第3モータ、第4モータなどの2つ以上を備えてもよく、各モータは、他のモータのロータに駆動接続されたそれぞれのロータを有している。複数のモータの各々又はそのサブセットは、単独で又は互いに組み合わせて、トルクを発生するように動作可能である。電気的サブアセンブリ10は、同じ仕様に各々製造された、2つ、3つ又はそれ以上のモータを備え得る。しかしながら、所定の実施形態では、電気的サブアセンブリ10は、2つ以上の異なる仕様の1つに各々製造された、2つ、3つ又はそれ以上のモータを備え得る。さまざまな数のモータ及び/又は異なる仕様に製造されたモータを使用することによって、改善された効率が、さまざまなトルク及び/又は速度の範囲に対して可能である。
【0034】
リラクタンスモータに関連することがある欠点は、特に低速で動作させられるときの高いトルクリップル(すなわち、ロータの一旋回中に示される最大トルクと最小トルクとの間の差)と、トルクリップルに起因する音響ノイズと、を含む。しかしながら、これらの欠点は、それぞれのモータ16,18の一方の機械的角度を他方からオフセットさせることによって低減され得る。当業者は理解するように、機械的角度は、ステータに対するロータの角度である。モータにおける機械的度数は、ロータの回転を参照し、すなわち、ロータの一旋回は、360の機械的度数に等しい。オフセット量は、それぞれのロータ16,18の設計に依存するが、それぞれのロータ16,18の一方が、それぞれのロータ16,18の各々のロータ極の数の2倍だけ他方から分けられた360の機械的度数だけオフセットされるように構成されてもよく、又はいくつかの他の角度方向の変位が、モータハーモニクスを最小化するために有利であり得る。
【0035】
(任意の付属する特許請求の範囲及び図面を含む)本明細書で開示されたすべての機構及び/又はこのように開示された任意の方法もしくはプロセスのすべてのステップは、このような機構及び/又はステップの少なくともいくつかが相互に排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わせられてもよい。本発明は、ハイブリッド自動車又は電気自動車及び商用車、例えばトラック及びバンにおいて特定の用途を有することが考えられるが、ハイブリッド又は電気的な鉄道機関車、オフハイウェイ及び建設車両、海洋船舶及び静止用途を含む(ただし、これらに限定されない)他の用途が、考えられる。
【0036】
(任意の付随する特許請求の範囲及び図面を含む)本明細書で開示された各機構は、明示的に特段の定めをした場合を除き、同じ、同等の又は同様の目的を果たす代替的な機構によって置換され得る。従って、明示的に特段の定めをした場合を除き、開示された各機構は、同等又は同様の機構の包括的なシリーズの単なる一例である。
【0037】
本発明は、いかなる前述した実施形態の細部にも限定されない。本発明は、(任意の付随する特許請求の範囲及び図面を含む)本明細書で開示された機構の任意の新規の1つ又は任意の新規の組み合わせに、又はこのように開示された任意の方法又はプロセスのステップの任意の新規の1つ又は任意の新規の組み合わせに拡張する。特許請求の範囲は、単に上述の実施形態をカバーするよう解釈されるべきではなく、任意の実施形態は、特許請求の範囲内にある。
【符号の説明】
【0038】
10 電気的サブアセンブリ、12 第1モータ、14 第2モータ、16,18 ロータ、24 駆動シャフト、26 軸、110 制御装置
【外国語明細書】