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特開2024-102354ピキア・アノマーラ及びN-アセチルグルコサミンを含む局所用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102354
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】ピキア・アノマーラ及びN-アセチルグルコサミンを含む局所用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/99 20170101AFI20240723BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20240723BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
A61K8/99
A61K8/60
A61Q19/08
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024080110
(22)【出願日】2024-05-16
(62)【分割の表示】P 2019156472の分割
【原出願日】2019-08-29
(31)【優先権主張番号】62/724,820
(32)【優先日】2018-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】522236350
【氏名又は名称】ジョンソン アンド ジョンソン コンシューマー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】マンプリート・ランドハワ
(72)【発明者】
【氏名】マリサ・デビータ・デュフォルト
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・コニッシュ
(72)【発明者】
【氏名】プリトウィラジ・マイトラ
(57)【要約】
【課題】皮膚を処置すること。
【解決手段】本発明は、(i)0.025~0.078重量%のピキア・アノマーラの抽出物と(ii)1.0~3.0重量%のn-アセチルグルコサミンとを含む、局所用組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)0.025~0.078重量%のピキア・アノマーラの抽出物と(ii)1.0~3.0重量%のn-アセチルグルコサミンとを含む、局所用組成物。
【請求項2】
(i)0.026~0.052重量%の前記ピキア・アノマーラの抽出物と(ii)2.0~3.0重量%のn-アセチルグルコサミンとを含むか、又は、(i)0.052~0.078重量%の前記ピキア・アノマーラの抽出物と(ii)1.0~2.0重量%のn-アセチルグルコサミンとを含む、請求項1に記載の局所用組成物。
【請求項3】
0.052重量%の前記ピキア・アノマーラの抽出物を含む、請求項1に記載の局所用組成物。
【請求項4】
2.0重量%のn-アセチルグルコサミンを含む、請求項3に記載の局所用組成物。
【請求項5】
前記局所用組成物中のn-アセチルグルコサミンに対する前記ピキア・アノマーラの抽出物の重量比が0.026である、請求項1に記載の局所用組成物。
【請求項6】
少なくとも4重量%のグリセリンを更に含む、請求項2に記載の局所用組成物。
【請求項7】
6.5以下のpHを有する、請求項2に記載の局所用組成物。
【請求項8】
1~2重量%のセテアリルオリベートとソルビタンオリベートとの混合物、4~5重量%のグリセリン、及び少なくとも65重量%の水を更に含み、6未満のpHを有する、請求項7に記載の局所用組成物。
【請求項9】
皮膚老化の徴候を処置する方法であって、前記皮膚老化の処置を要する皮膚に、請求項1~8のいずれか一項に記載の局所用組成物を局所的に塗布することを含む、方法(但し、ヒトに対する医療行為を除く)。
【請求項10】
皮膚バリア機能及び保湿性を改善する方法であって、前記皮膚バリア機能及び前記保湿性の改善を要する皮膚に、請求項1~8のいずれか一項に記載の局所用組成物を局所的に塗布することを含む、方法(但し、ヒトに対する医療行為を除く)。
【請求項11】
ピキア・アノマーラの抽出物を皮膚と接触させることによる、前記皮膚によって産生されるヒアルロン酸の量の増加を増強させる方法であって、
前記方法は、
前記ピキア・アノマーラの抽出物を含む組成物にn-アセチルグルコサミンを添加することにより請求項1~8のいずれか一項に記載の局所用組成物を調製することと、
前記局所用組成物を前記皮膚と接触させることと、を含み、
前記局所用組成物はゲルクリームである、方法(但し、ヒトに対する医療行為を除く)。
【請求項12】
前記局所用組成物が、0.052重量%の前記ピキア・アノマーラの抽出物と2.0重量%のn-アセチルグルコサミンとを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記局所用組成物が、1~2重量%のセテアリルオリベートとソルビタンオリベートとの混合物、4~5重量%のグリセリン、及び少なくとも65重量%の水を更に含み、6未満のpHを有する、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピキア・アノマーラ(Pichia anomala)の抽出物とn-アセチルグルコサミンとの組み合わせを皮膚に局所的に塗布することによって皮膚を処置する方法を提供する。更に、ピキア・アノマーラの抽出物とn-アセチルグルコサミンとの組み合わせを含む局所用組成物が提供される。
【背景技術】
【0002】
ヒアルロン酸は、皮膚のコラーゲン及びエラスチン繊維の外周、及びこれらの繊維が交差する部分に見出される。ヒアルロン酸は、真皮内だけでなく、表皮の細胞間隙、特に中間有棘層にも局在しているが、角質層(SC)又は顆粒層には局在していない。老化した皮膚ではヒアルロン酸の濃度は低下し、コラーゲン及びエラスチンから解離する。ヒアルロン酸の濃度が低下した皮膚は水分結合の低下も示し、これが、しわ、弾力の変化、ハリの低下、及び皮膚の微小血管を支持する能力の低下をはじめとする、老化した皮膚に見られる変化に関与していると考えられる。主要なグリコサミノグリカン(GAG)の1つであるヒアルロン酸は、その重量の1000倍の水を結合することが可能であり、皮膚による水分の保持及び維持の助けとなり得る。ヒアルロン酸は全ての結合組織において見られ、皮膚の線維芽細胞及び角化細胞によって主として産生される。
【0003】
ヒアルロン酸の注入をはじめとする、しわ及び小じわに対処するための複数の異なる方法が提案されている。外因性のヒアルロン酸の注入は、軟組織の増大処置における一時的な真皮充填剤として用いられている。しかしながら、注入されたヒアルロン酸の持続時間(lifetime)は限られている。一方、外来性ヒアルロン酸を皮膚に浸透させることは局所塗布では困難であることが示されている。
【0004】
ピキア属は、サッカロミセス科(Saccharomycetaceae)の酵母の属である。この属の100を超える種が公知である。とりわけよく知られた種としては、ピキア・アノマーラ、ピキア・ギリエルモンジィ(Pichia guilliermondii)、ピキア・ノルベゲンシス(Pichia norvegensis)、及びピキア・オーメリ(Pichia ohmeri)が挙げられる。
【0005】
ピキア・アノマーラ(旧称ハンゼヌラ・アノマーラ(Hansenula anomala))は、生乳及びチーズに見られる。ピキア属の酵母の抽出物は、マンノースモノマーで構成される多糖類であるマンナンを多く含んでいる。ピキア・アノマーラ及びマンナンは、老化する皮膚の処置において使用されることが知られている。例えば、仏国特許第2938768号、仏国特許第2906719号、仏国特許第2897266号及び仏国特許第2976490号を参照。
【0006】
PRO-LIPISKIN(登録商標)は、ピキア・アノマーラの抽出物を含有する市販の化粧料成分である。これは、サトウキビから単離されたピキア株によって生成される。これは、Silab-Franceから入手可能である。
【0007】
米国特許出願公開第2017/0172913(A1)号は、ヒアルロン酸の産生を増加させる、ピキア・アノマーラ抽出物とチコリ根抽出物との組み合わせを含む局所用組成物、及び皮膚老化の徴候を治療し、皮膚バリアの保護及び皮膚の保湿性を改善する方法に関する。
【0008】
N-アセチルグルコサミンは糖アミンであり、GAGの構成単位である。N-アセチルグルコサミンは、NeoStrata Company Inc.社より市販されているNEOSTRATA Skin Active Retinol+NAG Complexなどの多くの美容スキンケア製品に使用されている。
【0009】
米国再発行特許第RE41339号は、皮膚、爪、及び毛髪に局所使用するための、n-アセチルグルコサミンを含む、様々なn-アセチルアルドサミン、n-アセチルアミノ酸、及び他のn-アセチル化合物を開示している。これらの化合物は、皮膚の薄化、敏感肌、小じわ、しわなどを緩和するなどといった、複数のアンチエイジング効果を提供する。
【0010】
ピキア・アノマーラ抽出物及びn-アセチルグルコサミンは、異なる生物学的機序により作用し、異なる臨床効果の改善をもたらす。N-アセチルグルコサミンは、HA産生に必要な基質の1つとして知られている。ピキア・アノマーラ抽出物は、水和、皮膚バリアの改善、引き締めなどを含む臨床的効果につながるヒアルロン酸シンターゼ2酵素の活性を高めることによって、水和経路を通じて作用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
当該技術分野では、ピキア・アノマーラの抽出物及びn-アセチルグルコサミンの局所的使用を別々に提供しているが、本出願人らは、比較的少量のこれら2つの成分の組み合わせを局所塗布することによっても、ヒアルロン酸を産生する優れた活性が期せずしてもたらされることをここに発見したものである。これは、皮膚の老化の少なくとも1つの徴候の外観を改善、低減、阻止、又は遅延させること、並びに、費用効果の高い量の活性物質、特にピキア・アノマーラの抽出物を使用して皮膚バリアの保護及び皮膚の保湿性を高めることを含む、多大な効果を皮膚にもたらすものである。したがって、例えば、皮膚の老化の徴候を処置する新しい方法がここに与えられるものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、ピキア・アノマーラの抽出物とn-アセチルグルコサミンとを含む局所用組成物に関する。
【0013】
本発明は、約0.052重量%のピキア・アノマーラの抽出物と、約2重量%のn-アセチルグルコサミンとを含む局所用組成物にも関する。
【0014】
本発明は、皮膚老化の徴候を処置する方法であって、皮膚老化の処置を要する皮膚に、ピキア・アノマーラの抽出物とn-アセチルグルコサミンとを含む局所用組成物を局所的に塗布することを含む方法にも関する。
【0015】
本発明は、皮膚バリア機能及び保湿性を改善する方法であって、皮膚バリア機能及び保湿性の改善を要する皮膚に、ピキア・アノマーラの抽出物とn-アセチルグルコサミンとを含む局所用組成物を局所的に塗布することを含む方法を更に提供する。
【0016】
本発明は、ピキア・アノマーラの抽出物と接触される際に皮膚によって産生されるヒアルロン酸の量を増加させる方法であって、ピキア・アノマーラの抽出物とn-アセチルグルコサミンとを含む組成物を皮膚と接触させることを含む方法も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の局所用組成物は、ピキア・アノマーラの抽出物とn-アセチルグルコサミンとの相乗作用により、皮膚におけるヒアルロン酸の産生を高める。
【0018】
当業者であれば、本明細書の記載に基づいて本発明を最大限利用できると考えられる。以下の具体的な実施形態は、あくまで例示的なものとして解釈すべきであり、以下の開示内容をいかなる意味においても限定するものとして解釈すべきではない。
【0019】
特段の記載がない限り、本明細書で用いられる全ての科学技術用語は、本発明が属する技術分野における当業者が一般に解釈するのと同じ意味を有する。更に、本明細書において言及する刊行物、特許出願、特許、及びその他の引用文献は全て参照により援用するものである。特に指定しない限り、成分の量を表すために用いられる%は、重量%(すなわち、%(W/W)である。同様に、成分の相対的割合を表すために用いられる重量比も重量%を用いて求められる(すなわち、重量比は、ある成分の重量%を別の成分の重量%で除することによって計算される)。特に明記しない限り、全ての範囲は、両端点を包含し、例えば、「4~9」は、両端点の4と9を含む。
【0020】
本明細書で使用するとき、「製品」は、任意に、包装された最終製品の状態である。一実施形態では、パッケージは、組成物を収容しているプラスチック、金属又はガラスの管又はジャーなどの容器である。製品は、このような容器を保管するためのプラスチック又は板紙の箱などの追加の包装を更に含んでもよい。一実施形態では、製品は、本発明の組成物を含み、皮膚又は毛髪に当該組成物を適用することをユーザに指示する指示書を含む。
【0021】
本明細書で使用するとき、「局所的に塗布」とは、例えば、手、又は拭き取り用品、ローラー若しくはスプレーなどのアプリケータを使用することによって、外皮、頭皮又は毛髪に直接塗るか又は広げることを意味する。
【0022】
本明細書で使用するとき、「化粧料」とは、具体的には組織又は皮膚の外観に関する場合、身体的に美しい外観を保つ、回復させる、与える、装う若しくは高める、又は美しさ若しくは若々しさが増すようにみえる美容用物質又は製剤を指す。
【0023】
本発明で使用するとき、「化粧用として許容可能な」とは、この用語が説明する成分が、過度の毒性、不適応性、不安定性、刺激、又はアレルギー応答などなく、組織(例えば、皮膚又は毛髪)と接触させて使用するのに好適であることを意味する。
【0024】
特定の実施形態では、本発明の組成物は、皮膚の老化の徴候を処置するのに好適である。本明細書で使用するとき、「皮膚の老化の徴候」とは、小じわ及びしわの存在、弾性の喪失、まだらのある皮膚、並びにシミを含む。特に好ましい実施形態では、老化の徴候は、小じわ及びしわの存在、及び/又は弾性の喪失である。
【0025】
本発明で使用するとき、「皮膚の老化の徴候の処置」とは、上述の皮膚の老化の存在又は徴候の緩和、低減、予防、改善又は排除を指す。
【0026】
本明細書で使用するとき、「しわ」は、細かい小じわ、細かいしわ、又は粗いしわを含む。しわの例としては、目の周囲の細かい小じわ(例えば、「カラスの足跡」のようなしわ)、額及び頬のしわ、眉間の小じわ、並びに口の周囲の笑いじわが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
本明細書で使用するとき、「弾性の喪失」には、たるんだ、弛緩した及び緩んだ組織を含むが、これらに限定されない皮膚又は組織の弾性又は構造的完全性の喪失を含む。弾性、又は組織の構造的完全性の喪失は、疾患、老化、ホルモン変化、機械的外傷、環境損傷、又は化粧料若しくは医薬品などの製品の組織への適用の結果を含むが、これらに限定されない、多数の要因の結果であり得る。
【0028】
本明細書で使用するとき、「まだらのある皮膚」とは、炎症後色素沈着過剰などの色素沈着過剰に分類され得る、びまん性又は斑点模様の色素沈着に関連する皮膚の状態を意味する。
【0029】
本明細書で使用するとき、「シミ」とは、赤み又は紅斑に関連する皮膚の状態を意味する。
【0030】
本明細書で使用するとき、「皮膚の張りの改善」とは、皮膚の張り若しくは弾性の強化、皮膚の張り若しくは弾性の喪失の予防、又はたるんだ、弛緩した及び緩んだ皮膚の予防若しくは処置を意味する。皮膚の張り又は弾性は、キュートメータを使用することによって測定することができる。Handbook Of Non-Invasive Methods And The Skin,eds.J.Serup,G.Jemec & G.Grove,Chapter66.1(2006)を参照。皮膚の弾性又は張りの喪失は、老化、環境からのダメージ、又は化粧料の皮膚への適用によるものが挙げられるが、これらに限定されない、多数の要因の結果であり得る。
【0031】
本明細書で使用するとき、「皮膚の質感の改善」とは、皮膚表面における隆起又は凹みのいずれかをなくすために皮膚の表面を滑らかにすることを意味する。
【0032】
本明細書で使用するとき、「皮膚におけるしわの外観の改善」とは、皮膚におけるしわ及び細かい小じわの形成プロセスを阻止、遅延、停止又は後戻りさせることを意味する。
【0033】
本明細書で使用するとき、「安全かつ有効な量」という用語は、所望の効果を誘導するのに十分であるが、重篤な副作用を回避するのに十分少ない量を意味する。化合物、抽出物又は組成物の安全かつ有効な量は、例えば、エンドユーザの年齢、健康及び環境曝露、処置の期間及び性質、使用される具体的な抽出物、成分又は組成物、利用される具体的な担体、及び同様の要因によって変動するであろう。
【0034】
本発明で使用するとき、「皮膚のバリア機能及び保湿性の改善を要している皮膚」とは、水分が欠如している、皮脂が欠如している、ひび割れしている、乾燥している、痒みがある、鱗屑性である、乾皮症である、脱水状態である、柔軟性が欠如している、輝きが欠如している、くすんでいる、又は脂質が欠如しているが、これらに限定されない皮膚を意味する。
【0035】
本明細書に述べられるように、出願人らは、ピキア・アノマーラの抽出物とn-アセチルグルコサミンとを低濃度の組み合わせた局所塗布が、予想外に良好な皮膚バリア機能、皮膚保湿性、及び皮膚のアンチエイジング効果をもたらすことを発見した。
【0036】
出願人らはまた、ピキア・アノマーラの抽出物とn-アセチルグルコサミンとの組み合わせを含有する組成物の局所塗布が、皮膚中の内因性ヒアルロン酸(「HA」)の濃度と、ピキア・アノマーラの抽出物のみを使用して実現される濃度よりも高めることも発見した。かかる組成物の局所的使用は、より若い皮膚で見られるようにヒアルロン酸の濃度を増大させることができ、これにより皮膚への構造的支持を与えることで皮膚の老化の徴候の外観を低減することができる。
【0037】
ピキア・アノマーラ
局所用組成物は、ピキア・アノマーラ(Pichia anomala)の1つ以上の抽出物を含む。具体的には、このような抽出物は、植物の果実又は他の地上部から単離されたピキア・アノマーラの様々な株のうちの1つを用いて生成される抽出物であってよい。ピキア・アノマーラの任意の化粧用として許容可能な抽出物を使用してよい。
【0038】
ピキア・アノマーラの好適な抽出物の一例は、Silab-Franceから市販されているPRO-LIPISKINである。これは、サトウキビに存在するピキア・アノマーラの株から生成される。
【0039】
ピキア・アノマーラの適当な抽出物の別の例は、キウイ植物の果実又は葉に存在するピキア・アノマーラの株から生成される。
【0040】
ピキア・アノマーラの抽出物は、約20重量%、より詳細には2~10重量%、最も詳細には3~7重量%の範囲の乾燥物(抽出物)を含有する溶液として与えることができる。
【0041】
かかる溶液の溶媒としては、水、アルコール、グリコールなどが挙げられる。一実施形態では、溶媒は、少なくとも約90重量%が水、又は少なくとも約95重量%が水である。
【0042】
N-アセチルグルコサミン
局所用組成物は、n-アセチルグルコサミンも含有する。N-アセチルグルコサミンは、以下の構造を有する。
【0043】
【化1】
【0044】

任意の適当な量のピキア・アノマーラ抽出物及びn-アセチルグルコサミンを、本発明の組成物中に使用することができる。好ましくは、組成物は、安全かつ有効な量の両方の成分を含む。詳細には、使用されるピキア・アノマーラ抽出物及びn-アセチルグルコサミンの量は化粧用として許容可能であり、老化の徴候、バリア機能の低下、又は保湿性の低下などの特定の状態に対して皮膚の所望の処置を実現するように選択される。
【0045】
特定の好ましい実施形態では、組成物は、約0.01~約1重量%のピキア・アノマーラ抽出物、より好ましくは約0.025~約0.25重量%のピキア・アノマーラ抽出物を含む。一実施形態では、組成物は、約0.052重量%のピキア・アノマーラ抽出物を含む。
【0046】
特定の好ましい実施形態では、組成物は、約0.01~約10重量%、より好ましくは約0.5~約5重量%のn-アセチルグルコサミンを含む。一実施形態では、組成物は、約2重量%のn-アセチルグルコサミンを含む。
【0047】
特定の実施形態では、組成物中のn-アセチルグルコサミンに対するピキア・アノマーラ抽出物の重量比は、約0.01~約0.05である。一実施形態では、組成物中のn-アセチルグルコサミンに対するピキア・アノマーラ抽出物の重量比は、約0.026である。
【0048】
局所用組成物
本発明の組成物は、ヒトの皮膚又は毛髪に局所的に塗布される。したがって、本組成物は、組成物の約50重量%~約99.99重量%(例えば、組成物の約80重量%~約99重量%)であってよい化粧用として許容可能な局所用キャリアを更に含み得る。本発明の好ましい実施形態では、化粧用として許容可能な局所用キャリアには水が含まれる。
【0049】
本組成物は、ローション、クリーム、ゲル、スティック、スプレー、軟膏、クレンジング液体洗浄剤、及び固形バー、シャンプー及びヘアコンディショナー、ヘアフィクサー、ペースト、フォーム、パウダー、ムース、シェービングクリーム、拭き取り用品、パッチ、ヒドロゲル、フィルム形成製品、フェイシャルマスク及びスキンマスク、フィルム、並びにファンデーション及びマスカラなどのメークアップを含むが、これらに限定されない、多種多様な製品の種類へと作製されてもよい。これらの製品の種類としては、溶液、懸濁液、マイクロエマルション及びナノエマルションなどのエマルション、ゲル、固形物、及びリポソームが挙げられるが、これらに限定されない、数種類の化粧用として許容可能な局所用キャリアを含有し得る。以下は、このようなキャリアの非限定例である。当業者によれば他のキャリアを配合することもできる。
【0050】
本発明に有用な組成物は溶液として配合することができる。溶液は、典型的には、水性又は有機溶媒(例えば、約50%~約99.99%又は約90%~約99%の化粧用として許容可能な水性又は有機溶媒)を含む。好適な有機溶媒の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセロール、1,2,4-ブタントリオール、ソルビトールエステル、1,2,6-ヘキサントリオール、エタノール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0051】
本発明に有用な組成物は、皮膚軟化剤を含む溶液として配合することができる。このような組成物は、好ましくは、約2%~約50%の皮膚軟化剤(複数可)を含有する。本発明で使用する場合、「皮膚軟化剤」とは、皮膚からの経皮水分蒸散を防止することなどにより、乾燥状態の防止又は緩和のために使用する材料を指す。皮膚軟化剤の例としては、当該技術分野で周知のものが挙げられる。特に好適な皮膚軟化剤の例としては、植物油、鉱油、脂肪エステルなどが挙げられる。
【0052】
ローションはそのような溶液から作製され得る。ローションは、典型的には、約1%~約20%(例えば、約5%~約10%)の皮膚軟化剤(複数可)と、約50%~約90%(例えば、約60%~約80%)の水とを含有する。
【0053】
溶液から配合できる別の種類の製品にはクリームがある。クリームは、典型的には、約5%~約50%(例えば、約10%~約20%)の皮膚軟化剤(複数可)と、約45%~約85%(例えば、約50%~約75%)の水とを含有する。
【0054】
本発明の組成物は、水を含んでよく、又は無水であってよく、若しくは水を含まないが有機及び/又はシリコーン溶媒、油、脂質、並びにワックスを含む軟膏であってよい。軟膏は、動物又は植物油の単一塩基又は半固体の炭化水素を含有してもよい。軟膏は、約2%~約10%の皮膚軟化剤(複数可)と、約0.1%~約2%の増粘剤(複数可)とを含有し得る。
【0055】
組成物は、エマルションとして配合されてもよい。局所用キャリアがエマルションである場合、約1%~約10%(例えば、約2%~約5%)の局所用キャリアが乳化剤(複数可)を含有する。乳化剤は、非イオン性、アニオン性、又はカチオン性であってもよい。乳化剤の例は、当該技術分野では周知のものである。
【0056】
ローション及びクリームを、エマルションとして配合することができる。典型的には、このようなローションは、0.5%~約5%の乳化剤(複数可)を含有する。このようなクリームは、典型的には、約1%~約20%(例えば、約5%~約10%)の皮膚軟化剤(複数可)と、約20%~約80%(例えば、約30%~約70%)の水と、約1%~約10%(例えば、約2%~約5%)の乳化剤(複数可)とを含有する。
【0057】
水中油型及び油中水型の、ローション及びクリームのような単相エマルションのスキンケア製剤は、化粧品技術分野で周知であり、本発明に有用である。水中油中水型又は油中水中油型などの多相エマルション組成物もまた、本発明に有用である。一般に、そのような単相又は多相のエマルションは、必須成分として水、皮膚軟化剤、及び乳化剤を含有する。
【0058】
本発明の組成物は、ゲル(例えば、好適なゲル化剤を使用した水性、アルコール、アルコール/水、又は油ゲル)として配合することもできる。水性及び/又はアルコール性ゲル用の好適なゲル化剤には、天然ゴム、アクリル酸及びアクリレートのポリマー及びコポリマー、及びセルロース誘導体(例えば、ヒドロキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース)が含まれるが、これらに限定されない。油(鉱油など)用の好適なゲル化剤としては、水素添加ブチレン/エチレン/スチレンコポリマー及び水素添加エチレン/プロピレン/スチレンコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。このようなゲルは、典型的には、約0.1重量%~5重量%のこのようなゲル化剤を含有する。
【0059】
一実施形態では、組成物はゲルクリームである。ゲルクリームの美粧性は、水のような変化(watery break)、半透明の外観及び軽い使用感を特徴とする。本明細書で使用するとき、「ゲルクリーム」という用語は、低濃度の油滴が水性ゲルマトリクスに懸濁している処方を意味する。
【0060】
本発明の組成物は、固形配合物(例えば、ワックス系スティック、固形石鹸組成物、パウダー、又はパウダーを含有するティッシュ)に配合することもできる。
【0061】
組成物は、上記の成分以外に、当該技術分野で確立された濃度で皮膚及び毛髪用の組成物に従来より使用されている、後半な更なる油溶性材料及び/又は水溶性材料を含有することができる。
【0062】
追加の化粧用活性剤
本発明の組成物は、任意の様々な追加の化粧用活性剤を更に含んでよい。好適な追加の活性剤の例としては、皮膚美白剤、黒化剤、追加のアンチエイジング剤、トロポエラスチンプロモーター、コラーゲンプロモーター、抗ニキビ剤、光沢調整剤、抗微生物剤(例えば、抗酵母剤、抗真菌剤及び抗菌剤)、抗炎症剤、抗寄生生物剤、外用鎮痛剤、日焼け止め剤、光防護剤、酸化防止剤、角質溶解剤、洗剤/界面活性剤、保湿剤、栄養素、ビタミン、エネルギーエンハンサ、抗発汗剤、収斂剤、防臭剤、脱毛剤、育毛強化剤、育毛遅延剤、安定剤、水和増進剤、有効性増進剤、抗たこ剤、皮膚コンディショニング剤、抗セルライト剤、悪臭防止剤(例えば、悪臭マスキング剤)又はpH変更剤などが挙げられる。
【0063】
様々な好適な追加の化粧用として許容可能な活性物質の例としては、以下が挙げられる。ヒドロキシ酸、過酸化ベンゾイル、D-パンテノール、UVフィルター[アボベンゾン(PARSOL1789)、ビスジスリゾール二ナトリウム(NEO HELIOPAN AP)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート(UVINUL A Plus)、エカムスル(MEXORYL SX)、メチルアントラニレート、4-アミノ安息香酸(PABA)、シノキセート、エチルヘキシルトリアゾン(UVINUL T150)、ホモサレート、4-メチルベンジリデンカンファー(PARSOL 5000)、オクチルメトキシシンナメート(Octinoxate)、オクチルサリチレート(Octisalate)、パディメートO(ESCALOL 507)、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(ENSULIZOLE)、ポリシリコーン-15(PARSOL SLX)、トロラミンサリチレート、ベモトリジノール(TINOSORB S)、ベンゾフェノン1-12、ジオキシベンゾン、ドロメトリゾールトリシロキサン(MEXORYL XL)、イソコトリジノール(UVASORB HEB)、オクトクリレン、オキシベンゾン(EUSOLEX 4360)、スルイソベンゾン、ビソクトリゾール(TINOSORB M)、二酸化チタン、酸化亜鉛が挙げられるが、これらに限定されない。]、カロチノイド、フリーラジカルスカベンジャー、スピントラップ剤、レチノイド及びレチノイド前駆体(例えば、レチノール、レチノイン酸及びパルミチン酸レチニル)、セラミド、多価不飽和脂肪酸、必須脂肪酸、酵素、酵素阻害剤、ミネラル、ホルモン(例えば、エストロゲン)、ステロイド、例えば、ヒドロコルチゾン、2-ジメチルアミノエタノール、銅塩(例えば、塩化銅)、銅を含有するペプチド、コエンザイムQ10、アミノ酸(例えば、プロリン)、ビタミン、ラクトビオン酸、アセチル-コエンザイムA、ナイアシン、リボフラビン、チアミン、リボース、電子輸送体(例えば、NADH及びFADH2)、並びに他の植物抽出物(例えば、オート麦、アロエベラ、ナツシロギク、ダイズ、シイタケの抽出物)、並びにこれらの誘導体及び混合物。
【0064】
特定の好ましい実施形態では、組成物は、ピキア・アノマーラ抽出物とn-アセチルグルコサミンとの組み合わせと、少なくとも1つの更なる皮膚保湿活性剤とを含む。
【0065】
特定の好ましい実施形態では、スキンケア組成物は、ピキア・アノマーラ抽出物と、n-アセチルグルコサミンと、皮膚の少なくとも1つの老化の徴候の外観を改善するための少なくとも1つの更なる剤との組み合わせを含む。皮膚の老化の少なくとも1つの徴候の外観を改善する適当な更なる剤の例としては、これらに限定されるものではないが、トロポエラスチンプロモーター、コラーゲンプロモーター、レチノイド、架橋ヒアルロン酸を含むヒアルロン酸、ジメチルアミノエタノール、N,N,N’,N’-テトラキス(2ーヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、αヒドロキシ酸、ポリヒドロキシ酸、及びこれらの2つ以上の組み合せが挙げられる。
【0066】
「トロポエラスチンプロモーター」とは、本明細書で使用するとき、トロポエラスチンの生成を強化する生物活性を有する化合物の分類を指す。本発明によるトロポエラスチンプロモーターとしては、人体におけるトロポエラスチンの生成を強化することができる全ての天然又は合成化合物が挙げられる。
【0067】
好適なトロポエラスチンプロモーターの例としては、クロイチゴ抽出物、ハグマノキ抽出物、ナツシロギク抽出物、並びに銅及び/又は亜鉛成分を有する二金属錯体が挙げられるが、これらに限定されない。銅及び/又は亜鉛構成要素を有する二金属錯体は、例えば、クエン酸銅-亜鉛、シュウ酸銅-亜鉛、酒石酸銅-亜鉛、リンゴ酸銅-亜鉛、コハク酸銅-亜鉛、マロン酸銅-亜鉛、マレイン酸銅-亜鉛、アスパラギン酸銅-亜鉛、グルタミン酸銅-亜鉛、グルタル酸銅-亜鉛、フマル酸銅-亜鉛、グルカル酸銅-亜鉛、ポリアクリル酸銅-亜鉛、アジピン酸銅-亜鉛、ピメリン酸銅-亜鉛、スベリン酸銅-亜鉛、アゼライン酸銅-亜鉛、セバシン酸銅-亜鉛、ドデカン酸銅-亜鉛又はこれらの組み合わせであってよい。好ましい実施形態では、トロポエラスチンプロモーターは、クロイチゴ抽出物、ハグマノキ抽出物、ナツシロギク抽出物、及びこれらの組み合わせから選択される。特に好ましい実施形態では、トロポエラスチンプロモーターは、クロイチゴ抽出物、ナツシロギク抽出物、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0068】
「クロイチゴ抽出物」とは、キイチゴ属の植物、好ましくは、セイヨウヤブイチゴから単離された化合物のブレンドを意味する。一実施形態では、上記の化合物は、植物の花から単離される。更なる実施形態では、上記の化合物は、乾燥させた植物の花から単離される。このような化合物は、植物の1つ又は2つ以上の部分(例えば、植物全体、植物の花、種子、根、根茎、茎部、果実及び/又は葉)から単離され得る。好ましい実施形態では、クロイチゴ抽出物は、クロイチゴ葉抽出物である。ある特に好適なクロイチゴ抽出物は、マルトデキストリンマトリクスを用いて、約5%~約10%の活性になるように配合された水とエタノールとの混合物でセイヨウヤブイチゴの葉を抽出することによって生成されるものであり、Symrise Inc.(Teterboro,NJ)から市販されており、商標名SYMMATRIXとして販売されている。
【0069】
本発明の組成物は、化粧用として有効な量の1つ又は2つ以上のトロポエラスチンプロモーター(例えば、上記のもの)を含んでよい。上記の組成物は、活性物質に基づいて、好ましくは約0.1%~約10%のトロポエラスチンプロモーター、より好ましくは約0.5%~約5%のトロポエラスチンプロモーター、最も好ましくは約0.5%~約2%のトロポエラスチンプロモーターを含む。
【0070】
「コラーゲンプロモーター」とは、本明細書で使用するとき、コラーゲンの生成を強化する、生物活性を有する化合物を指す。本発明による「非レチノイド系コラーゲンプロモーター」としては、レチノイドでもなくレチノイドに由来するものでもなく、かつ人体におけるコラーゲンの生成を強化することができる全ての天然又は合成化合物が挙げられる。
【0071】
好適なコラーゲンプロモーターの例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。レチノール、レチンアルデヒド及びレチノイン酸を含むレチノイド、ナツシロギク(Tanacetum parthenium)の抽出物、ツボクサ(Centella asiatica)の抽出物及びメナモミ(Siegesbeckia orientalis)の抽出物、ダイズの抽出物、コラーゲン促進ペプチド、ウルソール酸、並びにアシアチコシド。
【0072】
ツボクサは、レユニオン島ではViolette marronne、インドではGotu Kola又はインドツボクサ、北米ではCentella repanda、マダガスカルではTalapetrakaとしても知られており、多形性の草本であり、セリ科(Apiaceae)、特にチドメグサ亜科に属する。これは、熱帯全体に自生しており、海抜約600~1200メートルの高度の多湿で日陰の地域を好む。ツボクサは、3つの変種、Typica、Abyssinica及びFloridanaを有する。この草本は公知であり、その治癒、鎮静、鎮痛、抗うつ、抗ウイルス及び抗微生物特性のために使用されている。この草本の生物活性は、草本中のトリテルペン分子の存在に起因すると思われる。好適なツボクサの抽出物は、Bayer Consumer HealthCare(Basel,Switzerland)からTECAとして入手可能である。
【0073】
「メナモミの抽出物」とは、Sederma(Croda International Group(Edison,NJ))から入手可能なDarutosideを含む、メナモミ植物の様々な抽出物のうちのいずれかを意味する。
【0074】
好適なコラーゲン促進ペプチドとしては、以下を含むマトリカインペプチド(すなわち、細胞外マトリクスタンパク質の分解から誘導されるペプチド-コラーゲン、エラスチン又はプロテオグリカン)が挙げられ、それには、パルミトイルペンタペプチド[例えば、Sederma(Croda International Group(Edison,NJ))製のMATRIXYL]、Photomedex(Montgomeryville,PA)からPROCYTEとして入手可能なGHK銅ペプチド、Sederma(Croda International Group(Edison,NJ))からBiopoeptide CLとして入手可能なパルミトイルGHKペプチド、Unipex(Quebec,Canada)からChronoline Tri Peptideとして入手可能なものなどの生体模倣テトラペプチド、及びDSM(Basel,Switzerland)からSyn-Collとして入手可能なパルミトイルトリペプチドが挙げられる。
【0075】
ウルソール酸は、五環式トリテルペン酸、Prunol、Malol、Urson、β-ウルソール酸及び3-β-ヒドロキシ-ウルサ-12-エン-28-酸としても知られている。これは、例えば、Sigma-Aldrich(St.Louis,MO)から市販されている。
【0076】
化学的に[6-[[3,4-ジヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)-5-(3,4,5-トリヒドロキシ-6-メチルオキサン-2-イル)オキシオキサン-2-イル]オキシメチル]-3,4,5-トリヒドロキシオキサン-2-イル]10,11-ジヒドロキシ-9-(ヒドロキシメチル)-1,2,6a,6b,9,12a-ヘキサメチル-2,3,4,5,6,6a,7,8,8a,10,11,12,13,14b-テトラデカヒドロ-1H-ピセン-4a-カルボキシレート)としても知られているアシアチコシドは、例えば、Bayer Sante Familiale Division Serdex,69,Boulevard Victor Hugo 93400 SAINT-OUEN Franceから市販されている。
【0077】
本発明の組成物は、化粧用として有効な量の1つ又は2つ以上のコラーゲンプロモーターを含んでよい。上記の組成物は、活性物質に基づいて、好ましくは約0.1%~約10%のコラーゲンプロモーター、より好ましくは約0.5%~約5%のコラーゲンプロモーター、最も好ましくは約0.5%~約2%のコラーゲンプロモーターを含む。
【0078】
本発明の組成物は、少なくとも1つの皮膚美白活性剤を更に含んでよい。好適な皮膚美白活性剤の例としては、チロシナーゼ阻害物質、メラニン分解剤、メラノソーム移動阻害剤(PAR-2アンタゴニストを含む)、剥離剤、日焼け止め剤、レチノイド、酸化防止剤、トラネキサム酸、トラネキサム酸セチルエステルヒドロクロリド、皮膚白化剤、リノール酸、アデノシン一リン酸二ナトリウム塩、カモミール抽出物、アラントイン、乳白剤、タルク及びシリカ、亜鉛塩など、並びにSolano et al.Pigment Cell Res.19(550-571)及びAndo et al.Int J Mol Sci 11(2566-2575)に記載されているような他の剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
好適なチロシナーゼ阻害物質の例としては、ビタミンC及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、コウジ酸、アルブチン、レゾルシノール、ヒドロキノン、フラボン(例えば、カンゾウフラバノイド、カンゾウ根抽出物、クワ根抽出物、ディオスコレア・コポジータ(Dioscorea Coposita)根抽出物、ユキノシタ科抽出物など)、エラグ酸、サリチル酸塩及び誘導体、グルコサミン及び誘導体、フラーレン、ヒノキチオール、二酸、5,5’-ジプロピル-ビフェニル-2,2’-ジオール(Magnolignan)、4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノール(4-HPB)、これらのうちの2つ又は3つ以上の組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。ビタミンCの誘導体の例としては、これらに限定されるものではないが、アスコルビン酸及びその塩、アスコルビン酸-2-グルコシド、アスコルビン酸リン酸ナトリウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、及びビタミンCを濃縮した天然抽出物が挙げられる。ビタミンEの誘導体としては、これらに限定されるものではないが、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール、α-トコトリエノール、β-トコトリエノール、γ-トコトリエノール、δ-トコトリエノール、及びこれらの混合物、酢酸トコフェロール、リン酸トコフェロール、及びビタミンE誘導体を濃縮した天然抽出物が挙げられる。レゾルシノール誘導体の例としては、レゾルシノール、4-置換レゾルシノール[例えば、4-ブチルレゾルシノール(ルシノール)、4-ヘキシルレゾルシノール(Synovea HR、Sytheon)、フェニルエチルレゾルシノール(Symwhite、Symrise)、1-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-3-(2,4-ジメトキシ-3-メチルフェニル)-プロパン(ニビトール、Unigen)などの4-アルキルレゾルシノール]、及びレゾルシノールを多く含む天然抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。サリチル酸塩の例としては、4-メトキシカリウムサリチレート、サリチル酸、アセチルサリチル酸、4-メトキシサリチル酸及びこれらの塩が挙げられるが、これらに限定されない。特定の好ましい実施形態では、チロシナーゼ阻害物質としては、4-置換レゾルシノール、ビタミンC誘導体又はビタミンE誘導体が挙げられる。より好ましい実施形態では、チロシナーゼ阻害物質は、フェニルエチルレゾルシノール、4-ヘキシルレゾルシノール又はアスコルビル-2-グルコシドを含む。
【0080】
好適なメラニン分解剤の例としては、ペルオキシド及び酵素(例えば、ペルオキシダーゼ及びリグニナーゼ)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の好ましい実施形態では、メラニン阻害剤としては、ペルオキシド又はリグニナーゼが挙げられる。
【0081】
好適なメラノソーム移動阻害剤の例としては、PAR-2アンタゴニスト(例えば、ダイズトリプシン阻害物質又はボーマン-バーク阻害物質)、ビタミンB3及び誘導体(例えば、ナイアシンアミド)、必須ダイズ、全ダイズ、ダイズ抽出物が挙げられる。特定の好ましい実施形態では、メラノソーム移動阻害剤としては、ダイズ抽出物又はナイアシンアミドが挙げられる。
【0082】
剥離剤の例としては、α-ヒドロキシ酸(例えば、乳酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸又は前述のもののいずれかの任意の組み合わせ)、β-ヒドロキシ酸(例えば、サリチル酸、ポリヒドロキシ酸、例えば、ラクトビオン酸及びグルコン酸)、及び機械的剥離剤(例えば、微小皮膚擦傷剤)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の好ましい実施形態では、剥離剤としては、グリコール酸又はサリチル酸が挙げられる。
【0083】
レチノイドの例としては、レチノール(ビタミンAアルコール)、レチナール(ビタミンAアルデヒド)、酢酸レチニル、プロピオン酸レチニル、リノール酸レチニル、レチノイン酸、パルミチン酸レチニル、イソトレチノイン、タザロテン、ベキサロテン、アダパレン、これらの2つ又は3つ以上の組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。特定の好ましい実施形態では、レチノイドは、レチノール、レチナール、酢酸レチニル、プロピオン酸レチニル、リノール酸レチニル、及びこれらの2つ又は3つ以上の組み合わせからなる群から選択される。特定のより好ましい実施形態では、レチノイドは、レチノールである。
【0084】
酸化防止剤の例としては、スルフヒドリル化合物及びその誘導体(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム及びN-アセチル-システイン、グルタチオン)、リポ酸及びジヒドロリポ酸、スチルベノイド(例えば、レスベラトロール及び誘導体)、ラクトフェリン、鉄及び銅キレート剤、並びにアスコルビン酸及びアスコルビン酸誘導体(例えば、アスコビル-2-グルコシド、パルミチン酸アスコルビル及びアスコビルポリペプチド)などの水溶性酸化防止剤が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物において使用するのに適した油溶性酸化防止剤としては、ブチル化ヒドロキシトルエン、レチノイド(例えば、レチノール及びパルミチン酸レチニル)、トコフェロール(例えば、酢酸トコフェロール)、トコトリエノール、及びユビキノンが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物において使用するのに適した酸化防止剤を含有する天然抽出物としては、フラボノイド及びイソフラボノイド並びにこれらの誘導体(例えば、ゲニステイン及びダイゼイン)を含有する抽出物、レスベラトロールを含有する抽出物などが挙げられるが、これらに限定されない。このような天然抽出物の例としては、ブドウ種子、緑茶、紅茶、白茶、マツ樹皮、ナツシロギク、パルテノライドを含まないナツシロギク、オート麦抽出物、クロイチゴ抽出物、ハグマノキ抽出物、ダイズ抽出物、ザボン抽出物、小麦胚抽出物、ヘスペレジン、ブドウ抽出物、スベリヒユ抽出物、リコカルコン、カルコン、2,2’-ジヒドロキシカルコン、サクラソウ抽出物、プロポリスなどが挙げられる。
【0085】
追加の化粧用活性剤は、任意の好適な量、例えば、組成物の約0.0001重量%~約20重量%、例えば、約0.001重量%~約10重量%、例えば、約0.01重量%~約5重量%などの量で組成物中に存在してよい。特定の好ましい実施形態では、0.1%~5%、他の好ましい実施形態では、1%~2%の量である。
【0086】
本発明の組成物は、化粧用として有効な量の1つ又は2つ以上の抗炎症化合物を含んでよい。
【0087】
好適な抗炎症剤の例としては、置換レゾルシノール、(E)-3-(4-メチルフェニルスルホニル)-2-プロペンニトリル(例えば、Sigma-Aldrich(St.Louis,Missouri)から市販されている「Bay11-7082」)、テトラヒドロクルクミノイド(例えば、Sabinsa Corporation(Piscataway,NJ)から入手可能なテトラヒドロクルクミノイドCG)、以下に由来する抽出物及び物質[キハダ(Phellodendron amurense)外皮抽出物(PCE)、非変性ダイズ(Glycine max)、ナツシロギク(Tanacetum parthenium)、ショウガ(Zingiber officinale)、イチョウ(Ginkgo biloba)、マデカソシド(Centella asiatica抽出物成分)、ハグマノキ(Cotinus coggygria)、西洋フキ抽出物(Petasites hybridus)、クコの実(Lycium barbarum)、マリアアザミ抽出物(Silybum marianum)、ハニーサックル(Lonicera japonica)、ペルーバルサム(Myroxylon pereirae)、セージ(Salvia officinalis)、クランベリー抽出物(Vaccinium oxycoccos)、アマランス油(Amaranthus cruentus)、ザクロ(Punica granatum)、イェルバ・マテ(Ilex paraguariensis葉抽出物)、白百合花抽出物(Lilium candidum)、オリーブ葉抽出物(Olea europaea)、フロレチン(リンゴ抽出物)、オート麦粉(Aveena sativa)、Lifenol(ホップ、Humulus lupulus)抽出物、Bugrane P(Ononis spinosa)、リコカルコン(カンゾウ、Glycyrrhiza inflate抽出物成分)、Symrelief(ビサボロール及びショウガ抽出物)、これらのうちの2つ以上の組み合わせなど]が挙げられる。
【0088】
一実施形態では、抗炎症剤は、レゾルシノールである。特に好適な置換レゾルシノールとしては、4-ヘキシルレゾルシノール及び4-オクチルレゾルシノール、特に、4-ヘキシルレゾルシノールが挙げられる。4-ヘキシルレゾルシノールは、Sytheon(Lincoln Park、NJ)からSYNOVEA HRとして市販されている。4-オクチルレゾルシノールは、City Chemical LLC(West Haven、Connecticut)から市販されている。
【0089】
「ナツシロギクの抽出物」とは、例えば、「PARTHENOLIDE FREE BIOACTIVE INGREDIENTS FROM FEVERFEW(TANACETUM PARTHENIUM)AND PROCESSES FOR THEIR PRODUCTION」と題された米国特許公開第2007/0196523号に記載の詳細に従って生成され得る、植物「ナツシロギク」の抽出物を意味する。ある特に好適なナツシロギク抽出物は、Integrated Botanical Technologies(Ossining、NY)から約20%活性ナツシロギクとして市販されている。
【0090】
本発明のスキンケア組成物では、抗炎症化合物の量に対する、ピキア・アノマーラ抽出物とn-アセチルグルコサミンとを合わせた量の比を変えることができる。例えば、抽出物と抗炎症化合物とは、約0.001~約100、好ましくは約0.01~約10、より好ましくは約0.25~約2の重量比(乾燥抽出物の重量を抗炎症化合物の重量で割ることで求められる)で存在してもよい。
【0091】
様々な他の材料が本発明の組成物中に存在してもよい。特定の好ましい実施形態では、組成物は、界面活性剤、キレート剤、皮膚軟化剤、保湿剤、コンディショナー、防腐剤、乳白剤、芳香剤などからなる群から選択される1つ又は2つ以上の局所適用成分を含む。
【0092】
皮膚軟化剤とは、(例えば、皮膚の表面又は角質層に残存して潤滑剤として作用することによって)皮膚の柔らかく、滑らかで、しなやかな外観を維持するのに役立つ化合物を意味する。好適な皮膚軟化剤の例としては、Handbook of Cosmetic Science and Technology(A.Barel、M.Paye及びH.Maibach編、2001年発行、Marcel Dekker,Inc New York,NY)の第35章399~415ページ(Skin Feel Agents、G Zocchi著)に見られるものが挙げられ、例えば、ワセリン、ヘキシルデシルステアレート、並びに植物、ナッツ及び野菜油(例えば、マカダミアナッツ油、米糠油、ブドウ種子油、パーム油、サクラソウ油、水素添加ピーナッツ、油及びアボカド油)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
保湿剤とは、皮膚の最上層の含水量を増加させる意図の化合物(例えば、吸湿性化合物)を意味する。好適な保湿剤の例としては、Handbook of Cosmetic Science and Technology(A.Barel、M.Paye及びH.Maibach編、2001年発行、Marcel Dekker,Inc New York,NY)の第35章399~415ページ(Skin Feel Agents、G Zocchi著)に見られるものが挙げられ、例えば、グリセリン、ソルビトール又はトレハロース(例えば、α,α-トレハロース、β,β-トレハロース、α,βートレハロース)又はこれらの塩若しくはエステル(例えば、トレハロース-6-ホスフェート)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0094】
一実施形態では、組成物は、グリセリンを含有する。例えば、組成物は、少なくとも約4重量%のグリセリンを含有する。組成物は、少なくとも約10重量%のグリセリンを含有してもよい。
【0095】
別の実施形態では、組成物は、約6.5のpHを有する。例えば、組成物は、約5.5~約6のpHを有することができる。
【0096】
特定の実施形態では、組成物は、約0.052重量%のピキア・アノマーラの抽出物と、約2重量%のn-アセチルグルコサミンとを含有する。
【0097】
組成物は、約1~約2重量%のセテアリルオリベートとソルビタンオリベートとの混合物、約4~約5重量%のグリセリン、及び少なくとも約65重量%の水を更に含んでもよく、約6未満のpHを有してもよい。
【0098】
界面活性剤とは、洗浄又は乳化の意図の表面活性剤を意味する。好適な界面活性剤の例としては、Handbook of Cosmetic Science and Technology(A.Barel、M.Paye及びH.Maibach編、2001年発行、Marcel Dekker,Inc New York,NY)の第37章431~450ページ(Classification of surfactants、L.Oldenhove de Guertechin著)に見られるものが挙げられ、例えば、サルフェートなどのアニオン性界面活性剤、ベタインなどのカチオン性界面活性剤、ココグリシンナトリウムなどの両性界面活性剤、アルキルポリグルコシドなどのノニオン性界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
好適なキレート化剤の例としては、本発明の組成物を保護及び保存することができるものが挙げられる。好ましくは、キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(「EDTA」)であり、より好ましくは、Dow Chemical Company(Midland,Michigan)から商標名VERSENE 100XLとして市販されているEDTA四ナトリウムである。
【0100】
好適な防腐剤としては、例えば、パラベン、四級アンモニウム種、フェノキシエタノール、ベンゾエート、DMDMヒダントイン、有機酸が挙げられ、組成物の総重量に基づいて、約0~約1%又は約0.05%~約0.5%の量で組成物中に存在する。
【0101】
毛髪に光沢を与えるなどの更なる属性を付与する各種コンディショナーはいずれも、本発明における使用に適当である。例としては、約220℃未満の大気圧沸点を有する揮発性シリコーンコンディショニング剤が挙げられるが、これらに限定されない。適切な揮発性シリコーンの例としては、非排他的に、ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルシクロシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、Dow Corning Corporation(Midland,Michigan)から「DC-345」の商品名で市販されているポリジメチルシクロシロキサンなどのシクロメチコン流体、及びそれらの混合物が挙げられ、並びに好適にはシクロメチコン流体が挙げられる。他の好適なコンディショナーとしては、ポリクオタニウム、カチオン性グアーなどを含むカチオン性ポリマーが挙げられる。
【0102】
各種市販の真珠光沢又は不透明化剤はいずれも、組成物において使用するのに好適である。好適な真珠光沢又は不透明化剤の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。(a)約16~約22個の炭素原子を有する脂肪酸及び(b)エチレン若しくはプロピレングリコールのいずれかのモノ又はジエステル、(a)約16~約22個の炭素原子を有する脂肪酸、(b)式HO-(JO)-H(式中、Jは、約2~約3個の炭素原子を有するアルキレン基であり、aは2又は3である)のポリアルキレングリコールのモノ又はジエステル、約16~約22個の炭素原子を含有する脂肪族アルコール、式:KCOOCHL(式中、K及びLは、独立して、約15~約21個の炭素原子を含有する)の脂肪族エステル、シャンプー組成物に不溶性の無機固体、並びにこれらの混合物。
【0103】
皮膚において使用するのに好適な任意の芳香剤組成物を本発明に従って使用してよい。
【0104】
特定の好ましい実施形態では、本発明は、本発明の組成物を含む基材の形態である。任意の適当な基材を使用することができる。適当な基材及び基材材料の例は、例えばその全容を本明細書に参照により援用するところの米国特許出願公開第2005/0226834号及び同第2009/0241242号に開示されている。
【0105】
特定の好ましい実施形態では、基材は、ワイプ、手袋、又はフェイシャルマスクである。好ましくは、このような実施形態は、上記に引用した参照文献において定義されるような水溶性基材で構成される。特定の実施形態では、水溶性基材はヒトユーザの顔面を覆うことでユーザの顔面の周囲にマスク基材として水溶性基材を配置することを容易とするようなサイズ及び形状を有することができる。例えば、水溶性マスク基材は、ユーザの口、鼻、及び/又は両目に対する開口部を有することができる。あるいは、水溶性基材はこのような開口部を有さなくともよい。開口部のないこのような構成は、水溶性基材が顔面以外の皮膚部分を覆って被せられるような本発明の実施形態において、又は水溶性基材がワイプとして使用されることを目的とするような場合に有用となり得る。水溶性基材は、角のある形状(例えば長方形)、又は円形若しくは楕円形のような円弧状の形状など、様々な形状を有することができる。特定の実施形態では、基材は、その全容を本明細書に援用するところの米国特許出願公開第2006/0141014号に述べられるような手袋である。本発明の一実施形態では、製品は、異なる形状の複数の水溶性基材を含む。
【0106】
本発明は、皮膚のバリア機能及び保湿性の改善を要する皮膚にピキア・アノマーラの抽出物及びn-アセチルグルコサミンを塗布することによって、皮膚のバリア機能及び保湿性を改善する方法を更に含む。本方法は、例えば、皮膚のバリア機能及び保湿性の改善を要する皮膚に、ピキア・アノマーラ抽出物とn-アセチルグルコサミンとの組み合わせを含む本発明の組成物を局所的に塗布することを含む。このような局所塗布は、身体、例えば、顔、唇、首、胸、背中、腕、脇の下、手、足及び/又は脚の皮膚の処置を要している任意の皮膚に対して行ってよい。ピキア・アノマーラ抽出物とn-アセチルグルコサミンとの組み合わせは、好ましくは、皮膚のバリア機能の所望の改善が実現される有効量で塗布される。
【0107】
本発明は、皮膚の老化の少なくとも1つの徴候の外観の改善を要する皮膚に、ピキア・アノマーラ抽出物とn-アセチルグルコサミンとの組み合わせを塗布することによって、皮膚の老化の少なくとも1つの徴候の外観を改善する方法を更に含む。本方法は、例えば、皮膚老化の少なくとも1つの徴候の処置を要する皮膚に、ピキア・アノマーラ抽出物とn-アセチルグルコサミンとの組み合わせを含む本発明の組成物を局所的に塗布することを含む。このような局所適用は、身体、例えば、顔、唇、首、胸、背中、腕、腋窩、手、足及び/又は脚の皮膚の処置を要している任意の皮膚に対して行ってよい。ピキア・アノマーラ抽出物とn-アセチルグルコサミンとの組み合わせは、好ましくは、皮膚の老化の少なくとも1つの徴候の外観の所望の改善が実現される有効量で塗布される。
【0108】
要している皮膚に組成物を塗布する、任意の好適な方法を用いてよい。例えば、組成物を、要している皮膚にパッケージから直接塗布してもよく、要している皮膚に手で塗布してもよく、拭き取り用品若しくはマスクなどの基材から移動させてもよく、又はこれらのうちの2つ若しくは3つ以上の組み合わせであってもよい。他の実施形態では、組成物は、スポイト、チューブ、ローラー、スプレー及びパッチを介して適用してもよく、浴槽、又はそうでなければ皮膚などに適用される水に添加してもよい。上記の組成物を、リーブオンクリーム、マスク及び/又はセラムなどを含むが、これらに限定されない様々な方法/形態で適用してよい。
【0109】
特定の実施形態では、本発明の方法は、ピキア・アノマーラ抽出物とn-アセチルグルコサミンとを含む少なくとも2つの異なる組成物又は製品を皮膚に塗布することを含む。例えば、方法は、ピキア・アノマーラの抽出物を含む第1の組成物を塗布することと、それに続いて、第1の組成物とは異なる、n-アセチルグルコサミンを含む第2の組成物を、処置を要する皮膚に塗布することとを含むことができる。
【0110】
特定の好ましい実施形態では、第1及び第2の組成物は、ローション、クレンザー、マスク、ワイプ、クリーム、セラム、ゲルなどからなる群から独立して選択することができる。特定の好ましい実施形態では、第1及び第2の組成物の少なくとも一方は、クレンザー、ローション、クリーム、エッセンス、又はセラムであり、他方は、フェイシャルマスク又はワイプである。特定の他の好ましい実施形態では、第1及び第2の組成物の少なくとも一方はクレンザーであり、他方はローション又はクリームである。
【0111】
本発明のこのような組成物を含有する組成物並びに配合物及び製品は、当業者に周知の方法を用いて調製することができる。これらの組成物は、しわ、ハリの衰え、シミの低減(reducing blotchiness)を含む不均一な皮膚などの老化する皮膚を処置するうえで有用であり得る。組成物は日常的に使用することができ、皮膚刺激物質を実質的に含まない。
【0112】
一実施形態では、本発明は、ピキア・アノマーラの抽出物と接触される際に皮膚によって産生されるヒアルロン酸の量を増加させる方法であって、ピキア・アノマーラの抽出物とn-アセチルグルコサミンの抽出物とを含む組成物と皮膚を接触させることを含む方法を提供する。これにより、ピキア・アノマーラの抽出物を低濃度で、例えば約0.1重量%未満、又は約0.08重量%未満、例えば約0.052重量%の低濃度で使用することができ、なおかつ良好なHA産生を実現することができる。N-アセチルグルコサミンは、皮膚によるHA産生を誘導するうえでピキア・アノマーラの抽出物の活性増進剤として作用することができる。
【0113】
以下の非限定的な実施例は、本発明を更に説明するものである。
【実施例0114】
(実施例1)
異なる量のピキア・アノマーラ抽出物を含有する試験組成物1~4で皮膚移植片を以下のように処理した後で、ヒト皮膚移植片によるヒアルロン酸(HA)の産生を測定した。
【0115】
最初に、表1に記載の各成分を含有するゲルを調製した。
【0116】
【表1】
【0117】
組成物1~4は、2重量%のゲルを、異なる量のピキア・アノマーラ抽出物の5%水溶液及び追加成分と加え合わせることによって調製した。ピキア・アノマーラをキウイ植物上で増殖させた。この5%水溶液を100%の原液として処理した。
【0118】
組成物1~4は、表2に示される成分を含有していた。
【0119】
【表2】
【0120】
組成物1~4によるHA産生を、3名のドナー(29、30、55歳)から得たヒト皮膚の正常移植片上で免疫組織学的に測定した。直径8mmの打ち抜き片を移植片から切り出し、滅菌ガーゼの小片に付着させ、6ウェルプレートの各ウェルに3mLの培地とともに1つずつの移植片を入れた。培地は、GIBCO DMEM/F-12(ThermoFisher Scientific(マサチューセッツ州ウォルサム)、カタログ番号11514436)の商標名で販売されており、1%GIBCOペニシリン-ストレプトマイシン(ThermoFisher Scientific、カタログ番号11528876)及び0.1%アンホテリシンBは、FUNGIZONE(ThermoFisher Scientific、カタログ番号11510496)の商標名で販売されている。
【0121】
各試験組成物について、5μLの試験組成物を、1日1回、5日間にわたって移植片に塗布した。非処理の移植片試料を対照として使用した。7日目に移植片を回収し、滅菌ガーゼで拭いた後、縦に半分に切断し、4%パラホルムアルデヒド(V/V)中で固定した。8日目に移植片を脱水し、パラフィンに埋め込んだ。各試験組成物を3重に試験した。
【0122】
パラフィン処理したスライドをキシレンで洗い、PTリンク(Agilent、カリフォルニア州サンタクララ)及びENVISION Flex、High pH(Dako、DM828、Agilent、カリフォルニア州サンタクララ)の商標名で販売される標的回収溶液を使用してエピトープ回収を行った。次いで、スライドを、ENVISION(Dako、DM831、Agilent、カリフォルニア州サンタクララ)の商標名で販売される洗浄バッファーで10分間一回すすいだ。PBS 0.3%Triton/5%ヤギ血清(Dako、カリフォルニア州サンタクララ、カタログ番号CP3418/X090710-8)を用いて透過処理及び飽和を30分間行った後、ヒアルロン酸結合タンパク質(Calbiochemより販売される「HABP」、カタログ番号385911、Millipore Sigma、ニュージャージー州セントルイス))を用いて4℃で一晩標識した。翌日、スライドをPBSで3回、それぞれ5分間すすいだ。ALEXA FLUOR488ストレプトアビジン(Invitrogen(商標)、カタログ番号S11223)の商標名で販売される、蛍光標識に共有結合させたビオチン結合タンパク質を用いて抗体を曝露し、5μg/mLのDAPI溶液(Dako、カリフォルニア州サンタクララ)を用いて、周囲温度で30分間、核の染色を行った。次いで、スライドをPBSですすぎ、Fluoprepマウンティング培地(bioMerieux UK Ltd.、英国、カタログ番号75521)を用いてマウントした。
【0123】
画像分析システム(NIS-ELEMENTS ARソフトウェア、Nikon Instruments(ニューヨーク州メルビル))と接続したOlympus IX70蛍光顕微鏡(オリンパス株式会社、日本)で皮膚切片の写真を撮影した。ImageJソフトウェアを用いて画像の定量分析を行った。
【0124】
結果を表3に示す。結果は、真皮の平均蛍光強度(任意単位(AU))として表される。蛍光強度(緑色)は、ヒアルロン酸の合成に比例する。
【0125】
【表3】
【0126】
これらの結果は、約0.13重量%のピキア・アノマーラ抽出物を使用した場合に皮膚によるHA産生が最大となることを示している。この量を超えるとHAの産生は横ばいとなった。
【0127】
(実施例2)
ヒト皮膚移植片によるヒアルロン酸(HA)産生を、ピキア・アノマーラ抽出物及びn-アセチルグルコサミンを含有する本発明による組成物5~7で処理した後に測定した。
【0128】
組成物5~7は、表4に示す各成分を含有していた。
【0129】
【表4】
【0130】
組成物は各フェーズで調製した。フェーズAは、水とアクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマーとをケトルベルミキサー内で加え合わせ、プロペラ撹拌しながら、完全に分散して滑らかかつ均一となるまで混合することによって調製した。フェーズBは、スクレロチウムガムとグリセリンとを均一になるまで予備混合してから主ケトルに加え、滑らかかつ均一となるまで再び混合することによって調製した。次に、主ケトルを70~75℃に加熱した。次に、フェーズCは、Greerco高速ホモジナイザーを使用して、クロルフェネシン、セテアリルオリベート、及びソルビタンオリベートを主ケトルに加え、滑らかで均一なバルクが形成されるまで混合した。次に、主ケトルをスイープブレードで混合を行いながら60℃まで冷却した。フェーズDは、水とn-アセチルグルコサミンとを別のケトル内で65℃に加熱しながら加え合わせてから、グリセリン、ジラウリン酸グリセリン、及びステアレス-10を加え、均一となるまで混合し、65℃で保持することにより調製した。フェーズDが均一になった時点で、これを65℃で主ケトルに加え、スイープ混合により均一となるまで混合した。次に、混合物を40℃まで冷却した。第2の副ケトル内で、ジメチコーン/ジメチコーンクロスポリマーとジメチコーンとを加え合わせ、均一となるまで混合してから、40℃で主ケトルに加えた後、ジメチコーン/ジメチコノールを加えることによって、フェーズEを調製した。フェーズFでは、ピキア・アノマーラ溶液の抽出物、エチルヘキシルグリセリン、及びフェノキシエタノールを、40℃以下で主ケトルに加え、均一となるまで混合した。最後に、主ケトルを30℃まで冷却した。必要に応じて、20%クエン酸及び/又は20%水酸化ナトリウムを用いてpHを5.5~6に調整した(フェーズG)。
【0131】
実施例1で述べた皮膚移植モデルにより、無処理の対照に対するHAPB産生の変化について各組成物を評価した。結果を表5に示す。
【0132】
【表5】
【0133】
組成物5~7のそれぞれは、0.078重量%以下のピキア・アノマーラ抽出物を含有していたが、これらはいずれも、n-アセチルグルコサミンの存在下では高いレベルで移植片におけるHA産生を刺激した。組成物7は、特に良好な結果を与えた。組成物7は、わずかに0.052重量%のピキア・アノマーラ抽出物を2重量%のn-アセチルグルコサミンとともに含有していたが、無処理に対するHABPのΔは16.15であり、これは、概ね同じ量のピキア・アノマーラ抽出物(0.065重量%)を含有する実施例1の組成物1によって得られた無処理に対するHABPのΔ(10.37)よりも予想外に高い。
【0134】
〔実施の態様〕
(1) ピキア・アノマーラの抽出物とn-アセチルグルコサミンとを含む局所用組成物。
(2) 前記ピキア・アノマーラの抽出物が、キウイ果実又は葉に存在するピキア・アノマーラの株から調製されるものである、実施態様1に記載の局所用組成物。
(3) 前記ピキア・アノマーラの抽出物が、サトウキビに存在するピキア・アノマーラの株から調製されるものである、実施態様1に記載の局所用組成物。
(4) 前記局所用組成物中のn-アセチルグルコサミンに対する前記ピキア・アノマーラの抽出物の重量比が約0.026である、実施態様1に記載の局所用組成物。
(5) 少なくとも4重量%のグリセリンを更に含む、実施態様1に記載の局所用組成物。
【0135】
(6) 約6.5以下のpHを有する、実施態様1に記載の局所用組成物。
(7) 約0.052重量%のピキア・アノマーラの抽出物と、約2重量%のn-アセチルグルコサミンとを含む局所用組成物。
(8) 約1~約2重量%のセテアリルオリベートとソルビタンオリベートとの混合物、約4~約5重量%のグリセリン、及び少なくとも約65重量%の水を更に含み、約6未満のpHを有する、実施態様7に記載の局所用組成物。
(9) 皮膚老化の徴候を処置する方法であって、皮膚老化の処置を要する皮膚に、ピキア・アノマーラの抽出物とn-アセチルグルコサミンとを含む局所用組成物を局所的に塗布することを含む、方法。
(10) 皮膚バリア機能及び保湿性を改善する方法であって、皮膚バリア機能及び保湿性の改善を要する皮膚に、ピキア・アノマーラの抽出物とn-アセチルグルコサミンとを含む局所用組成物を局所的に塗布することを含む、方法。
【0136】
(11) ピキア・アノマーラの抽出物と接触される際に皮膚によって産生されるヒアルロン酸の量を増加させる方法であって、前記ピキア・アノマーラの抽出物とn-アセチルグルコサミンとを含む組成物を前記皮膚と接触させることを含む、方法。
(12) 前記組成物が、約0.052重量%の前記ピキア・アノマーラの抽出物と約2重量%のn-アセチルグルコサミンとを含む、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記組成物が、約1~約2重量%のセテアリルオリベートとソルビタンオリベートとの混合物、約4~約5重量%のグリセリン、及び少なくとも約65重量%の水を更に含み、約6未満のpHを有する、実施態様12に記載の方法。
【外国語明細書】