(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102355
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】ソーラーシェアリングシステム
(51)【国際特許分類】
H02S 20/30 20140101AFI20240723BHJP
H02S 20/10 20140101ALI20240723BHJP
【FI】
H02S20/30 C
H02S20/10 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2024080553
(22)【出願日】2024-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】398036748
【氏名又は名称】長島 彬
(72)【発明者】
【氏名】長島 彬
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ソーラーシェアリングの設置条件を傾斜地にまで拡大することと、安価な大形モジュールを採用しても作物に対する日照の均等性を損なわない方法を探すこと。さらにモジュールの大きさに制約されない柔軟性を付加してモジュールの寿命をはるかに越えた長期使用期間を実現する方法を見つけること。
【解決手段】架台に対するモジュール搭載方法を変えて日照の細分化による均等性に変えて日照時間のシェアリングにすることによって均等化を実現し、汎用の大形モジュールをソーラーシェアリングに利用出来る道を開き、かつ設置する地面の傾斜に沿えるよう梁を柱側面の1本の水平ネジ軸で固定して、架台の傾斜対応力を上げるとともに、モジュールの取り付け方法をモジュールの大きさに制約されないように改良して、比較的短いモジュールの更新後も引き続き架台の継続使用を可能にする
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーラーシェアリング用の柱の頂部の側面に、4面を持つ柱の必要な方向に梁と柱を連結するコの字状の継手を先入ナットや貫通ボルトを利用して取り付け、この継手を使用して、前記の梁と柱を連結して、土地上に4本の梁で構成した長方形(正方形を含む)のモジュール取り付け枠を形成し、汎用の大形モジュールを利用出来るよう、前記モジュールが持つ組立用の既成のボルト穴を用いずに、大形モジュールの4つの角部を、上下に挟んでモジュール固定部材を用い保持し、時代と共に変わりゆく大形モジュールの大きさに合わせ、縦幅が自在に調整できるように、前記大形モジュールの長手方向に柔軟に移動できる「モジュール設置用の梁」を構造用の梁とは別に最低1本用いて、モジュールの長手方向のサイズの変化に対応するとともに、モジュール上面の地面との傾斜角の5度をモジュール固定部材の機能によって維持できるようにするとともに、梁の上下面で構成される、薄い直方体の中に前記大形モジュールの大部分を沈めて、風荷重を最小限に押さえ要求される地耐力や架台強度を上げずに耐風性能を向上し、また傾斜の確保により雨水による自己清浄機能を維持したことを特長にしたソーラーシェアリングシステム。
【請求項2】
前記コの字状の継手に設けられた水平軸の穴に、東西南北方向の梁を1本のネジ軸を中心に上下に回動出来るように構成し、南北に傾斜した斜面に幾何学的な矛盾無く斜面の傾斜に沿って汎用の大形モジュール群を形成できるようにする。さらに東西の梁が傾斜した土地に沿った設置も出来るよう、南北の梁とは別のモジュール設置専用の梁を4本の柱で構成される1区画内に請求項1で加えたモジュール設置用の梁をさらに1本加えてモジュールの両側を支えることにより、東西方向の土地の傾斜した斜面に幾何学的な矛盾無く斜面の傾斜に沿って汎用の大形モジュール群を形成できるようにし、架台の倒伏を防止する方杖の上下の継手を土地の傾斜に沿った適切な場所に移動して方杖が機能するよう固定可能にした、前記請求項1に該当するソーラーシェアリングシステム。
【請求項3】
大形モジュールの短辺である南北方向の間隔をつめることによって、後続のモジュールに加わる風圧荷重を減らすと共に、モジュール長辺方向に、東西方向のモジュール無い部分を、大形モジュールの幅以上に設定した、前記請求項1に該当するソーラーシェアリングシステム。
【請求項4】
請求項1に記載したコの字状の継手に代えて、柱や梁に継手が係合できるレール状の係合部を設け、このレールに係合して固定位置の位置を自在に変更できる新たな形式の継手2bによって前記請求項1、および請求項2、請求項3の機能を保持したソーラーシェアリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はソーラーシェアリングを多くの斜面に展開できるようにするとともに、設置時のコスト削減と架台の使用可能期間を延ばして実質的な更新費用の低減を目的とする。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電普及促進するためには、導入全経費が売電のkWh単価の1万倍が目安になる。例えば、売電単価11円/kWhを実施するためには導入経費が約11万円/kW以下にすることが一つの目標となる。
太陽光発電は、IC等の材料である半導体級シリコン(純度99.999999999%(11N)以上)の切れ端利用から純度が6N(99.9999%)~7N(99.99999%)程度のソーラーグレードシリコンの量産によって、価格が大きく下がり、いよいよ全ての発電方式に比べて最も安い発電方法と評価されるに至り、「再生可能エネルギーのみからなる社会」の基幹になる発電方法として、今後の発展がますます期待されはじめている。
このような状況の中、今後約200年で尽きると言われる化石燃料の寿命問題はもとより、地球温暖化による過酷な自然災害を防止するため、その炭酸ガス排出量ゼロを目指し、急速に化石燃料の使用量を縮小することが最重要課題で、より太陽光発電を広範に行う必要がある。
【0003】
太陽光発電用を行うには大面積の土地が必要で、その用地として、当初は家屋の屋根から始まり、つぎに工業や一次産業の遊休地を利用したメガソーラが各地に出来、その後は日本の買い取り価格が世界の常識からかなり高いことから、安く調達できる外国の資本等によって、里山を伐採し山を崩し造成し、休耕地を埋め立てその用地とされてきた。ここに至って、太陽光発電は「自然を破壊する自然エネルギー」となり、多くの自治体も環境アセスメントに必要性を感じて、規制条例などを検討しているのが実情である。メガソーラを平地に作れば、雑草や蔓草の繁茂によってパネルが埋もれることを防止するために、敷地内を全面舗装したり、防草シートを張ったり、除草剤を高頻度に散布せざるを得ず、山林を太陽光発電敷地として利用するには、森林を伐採して山を崩し土地を造成して自然破壊を行い、設置後も雑草対策や灌木対策を続けざるを得ず、その結果は、野や山に新たな危険な不毛の設備を大増殖することになった。
【0004】
太陽光発電の発電単価は全ての発電方法に比べ安価になり、原子力や化石燃料による発電の代替として人類永遠のエネルギー取得手段になったが、それを実現するためには「自然を破壊せずに共存し自然景観を損ねないこと」を重視した新たな環境を破壊しない太陽光発電システムを実現しなければならない。その中でその欠点を克服する方法として、農地の営農形発電や公園、牧草地、屋上などに支柱を立てて太陽光発電モジュールを空中に設置して空中で太陽光発電を行い、下部の土地を本来の用途に維持しながら発電するという、いわゆる「ソーラーシェアリング」の考え方が広く社会の支持を得て、普及し始めている。しかしながら太陽光発電の売電価格は低く抑えられ、また全体的に発電量が増したときには発電の抑制さえ要求され初めている。今後さらに再エネ社会を築いていくためには、発電単価をさらに下げて蓄電装置を含んだ発電単価をも競争力のある価格にしていく必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許7051069号
【特許文献2】特開2020-036399
【非特許文献1】NEDO 営農型太陽光発電システムの設計・施工ガイドライン 2023 年版
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
地上数m上に太陽光発電のモジュール(パネル)を設置するソーラーシェアリングシステムにおいて、近年の地球温暖化による巨大台風等の襲来時の暴風に対するために、架台に重量鉄骨を用いコンクリートの頑丈な基礎を用いたり、モジュールを単純に水平に固定したりするような力任せの対策をするのでなく、風荷重を極力減らして架台に要求される強度を最小限にする方法として、モジュールを緩やかに傾斜して架台の上部でなく架台の内側に設置して半分ほど沈める案が特許文献1の方法によって提示されている。しかし、ソーラーシェアリングに適した細身のモジュールの生産量は相対的に少なく、入手値段が高いことをもあり、導入コストを一層低限することが普及の課題として残っている。
【0007】
特許文献2では耐風性能を向上するためモジュールを、南北を軸に回動出来る構造にして、発電量の増加によって設置時コストの上昇を相殺することにしたが、部品数が多くなり設置時の煩雑さも増し、部品の金型代の増大や管理費用高となり普及するに至っていない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
特許文献1に示される効能を維持しながらソーラーシェアリング設置する土地の傾斜に対し傾斜に合わせて設置できる架台構造にして需要を増やすことや、大形の安価な汎用のモジュールを使用しても作物への光量を均等化出来るようにして、大形モジュールの使用を正当なものになるような改良を行い、ソーラーシェアリングの残されたコスト問題を解決する。
【0009】
さらに約25年と言われるモジュールの使用期限がきたとき、今までのように架台を含むシステム全体を更新する必要性を無くし、その更新時点の新たなモジュールにも対応使用できるよう、あらかじめ架台のモジュール取り付け方法をフレキシブルな構造を採用し、比較的短いモジュールの寿命を超えて、架台自体の寿命が尽きるまで使用していけるようにすることで、実質的なシステム単価を減じることを可能にする。
【発明の効果】
【0010】
ソーラーシェアリングの導入コストをkWあたり11万円に低減できれば、システムの年間の発電量を少なめに1000kWhに設定しても 発電設備費は11万円、発電量は25年間で1000×25=25000kWhとなるので、単純なコスト計算として110000÷25000=4.4円/kWhということになる。このように圧倒的に安い発電単価をソーラーシェアリングで実現できる可能性が高い。ここに再エネ利用の手段として、最も設置が簡易で、安全で、更新しやすく安価で、また自然破壊の少ないエネルギー源としてのソーラーシェアリングの評価が確立する。傾斜した土地にも対応すれば、ソーラーシェアリングは水田、畑地に加え土地に傾斜がある果樹園、茶園、牧場などの農地に加え、農家の邸内、庭園や公園はもとより、強すぎる日照による乾燥激しい不毛の原野に設置すれば、大量の電力を得ながら不毛の原野の緑化も進められて、地球環境を改善しながら再エネ割合100%の世界が早期に実現可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1はゆるく南北と東西に傾斜する斜面に本案実施例1の方法で実施した斜視図である。
【
図2】
図2は本案実施例1の梁と大形モジュールの結合状態を示す断面図である。
【
図3】
図3は本案実施例1によってA、B、C、3地点がモジュールの影の中に入る時間帯を角度で表した側面図である。
【
図4】
図4は本案実施例1がモジュールの横幅に制約を受けない理由を示す斜視図でも東西方向柱間結合用の梁に近いモジュールの右上(南に立てば東北の角)を拡大した斜視図である。
【
図5】
図5は本案実施例1のモジュールの縦幅や地面の傾斜に制約を受けない方法を示す斜視図である。
【
図6】
図6は本案実施例2のモジュールの縦幅や地面の傾斜に制約を受けない方法を示す斜視図である。
【
図7】
図7は本案実施例3のモジュールの縦幅方向が水平の地面に設置したときモジュールの傾斜を維持する方法を示す斜視図である。
【
図8】
図8は本案全ての実施例の基礎構造斜視図と柱埋設穴の構造を示す断面図である。
【
図9】
図9は本案全ての実施例を多雪地帯に対応させるときの斜視図である
【
図10】
図10は従来の理想的なソーラーシェアリングの形態を示す斜視図である。
【
図11】
図11は野立ての太陽光発電の代替を示す実施例の斜視図である。
【
図12】
図12は実施例3の柱と梁の結合詳細を示す参考斜視図である。
【
図13】
図13は実施例3の柱と方杖の結合詳細を示す参考斜視図である。
【
図14】
図14は実施例1の柱と梁の結合詳細を示す参考斜視図である。
【
図15】
図15は実施例2の柱と梁の結合詳細を示す参考斜視図である。
【
図16】
図16は東西南北両側が傾斜した斜面に設置したときのモジュールを貫通ボルトで支える梁5bの両端ピッチの幾何学的な長さの変化と傾斜角10度、5度傾斜の実態断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ソーラーシェアリングの基本はソーラーシェアリング下の作物の日射量をできるだけ均等に減じることが大切である。この条件を満たす必要から
図10に示すように細身のパネルを粗に並べることを理想の形としてきた。しかし細身のモジュールは太陽光発電モジュールの生産全体から見れば需要が少なく、生産規模が大きくならず割高で、ソーラーシェアリング普及の障害になっている。
【0013】
本発明はこのような実情を鑑み、ソーラーシェアリングに用いるモジュールをメーカーが量産する最新の大形パネルを使用して、ソーラーシェアリングの基本である作物への日照の均等化を維持しながら、耐風性能を保ち、材料を節約し、モジュールサイズの変更にも柔軟に対応できるようにし、架台が朽ちるまでモジュールの寿命を越えて使用できるようにして、設置コストの大幅な低減を図る。
【0014】
また傾斜面への設置を可能にして、果樹や茶園、牧場、山間の傾斜畑地、ゴルフ場跡など設置候補地を拡大することを目指すために、柱と柱間結合部材、柱と方杖を結合するためのボルトの穴の位置を、柱の中心から偏心させて側面で結合できるように構成し、柱間結合部材の梁や方杖の両端側面を水平のボルト軸(以後水平ボルトと略す)で結合し、柱間結合部材の梁や補強の方杖を、上下に変動自在に構成して、設置場所の地面の傾斜に無関係に垂直に柱を立てるという基本を維持しながら、モジュールを支持する部材を前記の梁と別に設定して、水平面に対しゆがみの無い傾斜した四辺形の面を形成して、モジュール列を地面の傾斜に合わせ設置できるように構成する。
【実施例0015】
図1は、本発明の実施例1の東南側上空からの斜視図であり、柱4本を一区画とすれば550Wの両面発電のモジュール9aを1区画3枚南北に並べたものである。区画中の英字の子文字は地面の傾斜を表していて、aは水平の面、bは南北方向のみの斜面、cは東西方向のみの斜面、dは南北両方向に傾斜がある斜面を表している。
【0016】
大形のモジュールは受風面積が大きいので、傾斜角を
図2に示す様に、モジュール9aの南面下部は架台の東西および南北方向の柱間結合用の梁3b、4bの下面におおむね等しくし、モジュール9aの北側のアルミフレームの下部が前記東西方向の柱間結合用の梁3bの上面と概ね一致するようにモジュール9aの傾斜角を設定し風荷重が最小限になるようにする。この方法によって風荷重を最小限に押さえられることから、柱部材や梁、方杖の断面性能の要求も最小限になり、軽量化がすすみ、材料コストや運搬コストを下げられるとともに、基礎の要求強度も著しく下がり、「非特許文献1 営農型太陽光発電システムの設計・施工ガイドライン 2023 年版」が必要であると示す、費用と時間のかかるあらゆる地盤調査が不要になるという大きな効果が得られる。
【0017】
汎用の大形パネル採用することでモジュールコストは容易に半減するが、通常作物への日照が不均等になりがちになる。日照不均等の問題は太陽が東西方向には180度その位置を変えるのに対し南北方向の位置はあまり位置が変わらないことが起因している。春秋の彼岸では南北方向の太陽の動きはゼロで、従来のモジュール配列では秋の彼岸の収穫時期近くで大きな不均等が生じることになる。そこで今までのようにモジュールを横1列に並べることをやめ、モジュールの南北間のピッチを積雪が落ちる程度まで狭く設定して、
図1に示す様に縦に並べることで日照不均衡の問題を改善する。
【0018】
地球の自転によって太陽は東からでて西に沈みその早さは1時間に15度であるから
縦配置のときのある地点がパネルの影に入っている時間を作図で求めれば
図3になりモジュールの影がその地点で1日の間に何時間になるか求められる。結果はA点で280分/12時間となり時間的な遮光率は38%、C点では25%が得られた。モジュール真下のB点で真昼の間の影に入っている時間は約3.6時間程度で真昼の強い日射が緩和できるので大きな改善が見込まれる。
【0019】
太陽光発電はモジュールの大きさによって架台仕様を決められて設置されてきたが、モジュールの寿命が尽きたとき、架台も共に更新する必要が生じ無駄が多い。仮設用の単管パイプのように朽ち果てるのが早い材の使用を止めて、耐久性のある耐食アルミとステンレスを用いるときは、架台の継続的な使用を考えることが肝要になる。
【0020】
そこで、モジュールの寿命が25年で尽きたとき、25年後に市販されているモジュールにも使用できるように、本実施例ではモジュールの外形寸法、取り付け穴の配置寸法に依存しないよう、モジュールの固定方法を
図4に示す様にモジュール9aの4隅をアルミ押し型材のモジュールを所定の傾斜に設定して固定する固定部材8bで挟み各々2本の固定ボルト13により摩擦力で固定し、前記固定部材8bもモジュールを先入ナットで支える梁5bに任意の位置で固定するようにし、さらに、梁5bはコの字形継手2aにより先入れナットを用いるための溝を持つ東西方向の柱間結合用の梁3bに
図4のX方向に調整可能の状態で固定されるので、次期使用のモジュールの幅に柔軟に合わせることが可能になる。よって架台が腐食し耐力が著しく落ちない限りモジュール寿命の何世代にわたっての使用が実現する。
【0021】
水田を除く多くの畑地や果樹園、茶園、牧場などは、ほとんど土地が傾斜しているので、風荷重の増加を最小限になるよう、斜面の傾斜にそった架台の設置が標準仕様の部材の組み合わせだけで行えることが大切で、普及を促進する効果が期待できる。
【0022】
図1における南北方向のみの傾斜地bおよび東西方向のみの傾斜cに対応して設置できるようにするには、
図5において架台の倒伏を押さえる方杖6bの上下の固定位置の柔軟性が必要になる。言い換えれば水平なら柱と梁の角度は90度になるよう方杖の両端を所定の位置に貫通ボルトで固定すれば足りるが、土地の傾斜に合わせるには、方杖6bの上端部固定位置か下端部の固定位置、もしくは上下両端部の固定位置を変更できる機能が架台に求められる。
【0023】
図5において南北方向の方杖6b上部のコの字状継手2aは、先入れナットを用いるための溝を持つ南北方向の柱間結合用の梁4bに摺動自在に設置固定できるように設定され、方杖6b下部のコの字状継手2aもまた固定する位置を、継手との結合用に先入れナットを用いるための溝を持つ柱1bと摺動自在になっているので、南北方向の柱間結合用の梁4bは土地のY方向の傾斜に合わせた最適な位置に設定できる。
【0024】
同様に東西方向の方杖6bも上下の位置が先入ナット方式を使用して土地の傾斜に合わせた最適な位置に設定できるようになっているので、南北方向の柱間結合用の梁4bおよび、東西方向の柱間結合用の梁3bは水平軸の貫通ボルト12によって、自在に図中Y方向の傾斜を許容して、土地の東西方向の傾斜にそった1区画の面を形成することが可能になる。しかし、南北の傾斜の場合と異なりモジュールの取り付けが南北方向の柱間結合用の梁4bは、柱や方杖設置の関係上東西方向に傾斜できない。この問題を解決するのが図中のX方向に摺動自在のモジュールを支える梁5bを追加することにより解決する。
【0025】
さらに南北と東西両方に傾斜があるような土地では少し複雑で、微少な幾何学的な誤差を、モジュールを先入ナットで支える梁5bの長さで吸収する必要がある。その誤差の程度を3次元CADで測定すれば、
図16のようになり、片方が10度、片方が5度以下の傾斜であればキリ穴の径を1ミリ程度大きくすることで十分であることが解り、実用できる。さらに傾斜がつよければ長穴にして対応出来る。
【0026】
本案の基礎構造斜視図と柱埋設穴の構造を示す
図8において、ベース部材7は耐食アルミの押出形材で、取り付けボルト12はステンレスで土中約30cmの深さで埋設する。基礎用の穴の底面に割り栗石24など入れて土の突き固め用のタンパー(図無し)などで柱設置部分を突き固めることが推奨される。目的の穴の深さになったかはタンパーの柄の中間に目印をつけ、水盛りやレーザー光で仕上がり深さを確認すれば良い。基礎穴の地耐圧は突き固め具合を底部22bに置いた木片23に測定者が全体重を加えて沈まないことを確認すれば足りる。木片は底面積が100平方cmに設定してあれば、体重を60kgの測定者が片足を上げて全体重60kgをかけ沈まなければ、地耐圧6000kg/平米以上となり、両足で立って半分の体重をかけて沈まなければ地耐圧が3000kg/平米ということになる。このように、この方法による基礎は柱部の地耐圧を全数自ら確認が出来ることと、柱の沈下が認められたとき掘り起こして再強化して補修が出来る特長があり推奨される。
【0027】
なお、近年普及が進むスクリュー杭基礎では基本的に重機が必要になり、費用が嵩む上、たとえ施工時に耐圧強度、引き抜き強度ともに全数測定出来るようにしても、基準に達しない箇所があったときに、その場所を強化して再び使用することは、杭の摩擦能力が失われて同じ位置に杭を設置するには問題がのこる。さらに材料自体が亜鉛引きの鋼材が故に、25年以上の使用保証には無理がある。また更新時に撤去するにも重機が必要であり、撤去中に発錆などで強度が不足し、途中で切断し先端部が残ってしまう危険があり、正当なソーラーシェアリングの基礎として不十分である。
【0028】
本実施例1を
図9に示すようにモジュールを千鳥に配置すれば、積雪の落下が促進できて多雪地帯にも対応できる。また
図10に示すような作物に、より均等性のある日照を与えることが求められるときは、細身のモジュールを使用することが出来る。さらに
図11のように全面にモジュールを設置すれば、雑草の繁茂を抑制し土地面積あたりの発電量が最大限にできるとともに、雑草と共存するので、不毛の土地を増加させない太陽光発電設備となり得る。さらに水害の多い地域では水没する危険が避けられ、また日照の強いアフリカなどの低緯度地方で利用すれば、乾燥を防いで緑化が促進できて、おいしい温帯地方の野菜育成と安価な電力供給する事業の切り札としての使用も期待できる。