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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102401
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】画像形成システム及び画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240724BHJP
   G06F 3/04815 20220101ALI20240724BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240724BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240724BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
G06F3/12 356
G06F3/12 308
G06F3/12 353
G06F3/12 350
G06F3/12 378
G06F3/04815
G03G21/00 386
B41J29/38 202
H04N1/00 127B
H04N1/00 350
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006230
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 理紗
(72)【発明者】
【氏名】山中 孝師
(72)【発明者】
【氏名】片本 浩司
(72)【発明者】
【氏名】石川 克俊
(72)【発明者】
【氏名】文 静
(72)【発明者】
【氏名】井戸 愛
(72)【発明者】
【氏名】山村 実穂
(72)【発明者】
【氏名】佐枝 政夫
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
5C062
5E555
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061HN05
2C061HQ17
2H270KA59
2H270MF22
2H270NC28
2H270PA26
2H270QB18
2H270ZC03
2H270ZC04
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA29
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB40
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC30
5E555AA12
5E555AA27
5E555BA27
5E555BB06
5E555BB27
5E555BC11
5E555BC13
5E555CA12
5E555CA42
5E555CB14
5E555CB21
5E555CB66
5E555DB53
5E555DC21
5E555DC43
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】印刷設定と印刷物との関係を印刷前に認識できる画像形成システム及び画像形成方法を提供する。
【解決手段】情報処理装置と、当該情報処理装置と通信可能な携帯端末と、を備えた画像形成システムであって、情報処理装置は、印刷処理の設定に関する設定情報を取得する取得部と、設定情報に基づき印刷される印刷物の仮想的な三次元データを生成する三次元データ生成部と、三次元データを携帯端末に送信する三次元データ送信部とを備え、携帯端末は、情報処理装置から三次元データを受信する受信部と、受信した三次元データを表示する表示部とを備える。
【選択図】図9A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置と、当該情報処理装置と通信可能な携帯端末と、を備えた画像形成システムであって、
前記情報処理装置は、
印刷処理の設定に関する設定情報を取得する取得部と、
前記設定情報に基づき印刷される印刷物の仮想的な三次元データを生成する三次元データ生成部と、
前記三次元データを前記携帯端末に送信する三次元データ送信部と
を備え、
前記携帯端末は、
前記情報処理装置から前記三次元データを受信する受信部と、
前記受信した三次元データを表示する表示部と
を備える画像形成システム。
【請求項2】
前記携帯端末は、
前記表示部に表示された前記三次元データに対するユーザの操作を受け付ける操作部と、
前記操作部で受け付けた前記操作に関する情報を前記情報処理装置へ送信する操作情報送信部と
を更に備え、
前記情報処理装置は、
前記携帯端末から送信された前記操作に関する情報を受け付ける受付部を更に備え、
前記三次元データ生成部は、生成された前記三次元データを、前記受付部で受け付けた前記操作に関する情報に基づいて変更し、
前記三次元データ送信部は、前記変更された三次元データを前記携帯端末に送信する、請求項1記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記情報処理装置は、前記携帯端末から受信した前記操作に関する情報に従って前記設定情報を変更する設定変更部を更に備える、請求項2記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記操作部は、前記ユーザによる前記表示部における所定の箇所への接触、または前記携帯端末自体の姿勢変化を、前記ユーザの操作として受け付ける、請求項2または3記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記携帯端末は、撮影部を更に備え、
前記表示部は、前記撮影部で撮影された画像と共に、前記画像内の所定の位置に前記三次元データを表示可能である、請求項2または3記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記操作部は、前記表示部における前記三次元データと、前記撮影部で撮影されたユーザの手の動きとの関係に基づいて、前記三次元データに対するユーザの操作を受け付ける、請求項5記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記情報処理装置は、前記携帯端末が前記三次元データを取得するために前記携帯端末が光学的に読み取り可能な模様で構成された情報コードを生成する情報コード生成部を更に備える、請求項1記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記設定情報は、紙折り、ステープル、パンチ、及びページ集約の少なくともいずれかを含む、請求項3記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記設定情報は紙折りであり、
前記携帯端末の前記操作部において、前記紙折りされた印刷物の前記三次元データに対して行われた、前記印刷物を開く操作を受け付けた際に、
前記情報処理装置の前記三次元データ生成部は、前記印刷物が前記ユーザの操作に基づいて開かれるように前記三次元データを変更する、請求項2記載の画像形成システム。
【請求項10】
前記設定情報は紙折りであり、
前記携帯端末の前記操作部において、前記紙折りされた印刷物のページの順序を入れ替える操作を受け付けた際に、
前記情報処理装置の設定変更部は、前記印刷物の印刷位置が前記ユーザの操作に基づいく位置に一致するように設定情報を変更する、請求項3記載の画像形成システム。
【請求項11】
前記情報処理装置は、
外部の演算装置から有線また無線通信により印刷データ及び前記設定情報を受け付け、
前記印刷データ及び前記変更された印刷設定を、外部の画像形成装置に送信する、請求項3記載の画像形成システム。
【請求項12】
前記情報処理装置は画像形成装置に備えられ、前記画像形成装置は、
外部の演算装置から有線また無線通信により印刷データ及び前記設定情報を受け付け、
前記印刷データ及び前記変更された設定情報に基づいて印刷することにより前記印刷物を生成する、請求項3記載の画像形成システム。
【請求項13】
情報処理装置と、当該情報処理装置と通信可能な携帯端末と、を用いた画像形成方法であって、
情報処理装置が、印刷処理の設定に関する設定情報を受信することと、
前記情報処理装置が、前記設定情報に基づき印刷される印刷物の仮想的な三次元データを生成することと、
前記情報処理装置が、前記三次元データを携帯端末に送信することと、
前記携帯端末が、前記情報処理装置から前記三次元データを受信することと、
前記携帯端末が、前記受信した三次元データを表示部に表示することと
を備える画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成システム及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の複合機(MFP:Multifunction Peripheral)は、印刷物を出力する際に、例えば両面印刷や、ページ集約など、幅広い印刷設定に対応している。特許文献1には、両面印刷を行う際に、表面の画像データと裏面の画像データとを携帯端末に送信し、携帯端末によって、設定された印刷設定に基づくプレビュー画像をユーザが確認する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-187761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のように、近年の高性能化が進む複合機では、豊富な印刷設定が用意されている反面、印刷の設定方法が複雑となり、ユーザが望む印刷形式を正しく設定することが難しい場合がある。その結果、ユーザが、希望する印刷設定を行ったつもりであっても、その希望通りに印刷物が印刷されない場合がある。この点、特許文献1に記載の方法は、両面印刷の場合にのみプレビューを可能とするものに過ぎず、かかる問題を解決するものではない。
【0005】
1つの側面として、本開示の目的は、印刷設定と印刷物との関係を印刷前に認識できる画像形成システム及び画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る画像形成システムは、情報処理装置と、情報処理装置と通信可能な携帯端末と、を備えた画像形成システムであって、情報処理装置は、印刷処理の設定に関する設定情報を取得する取得部と、設定情報に基づき印刷される印刷物の仮想的な三次元データを生成する三次元データ生成部と、三次元データを携帯端末に送信する三次元データ送信部とを備え、携帯端末は、情報処理装置から三次元データを受信する受信部と、受信した三次元データを表示する表示部とを備える。
【0007】
本開示の一態様に係る画像形成方法は、情報処理装置と、情報処理装置と通信可能な携帯端末と、を用いた画像形成方法であって、情報処理装置が、印刷処理の設定に関する設定情報を受信することと、情報処理装置が、設定情報に基づき印刷される印刷物の仮想的な三次元データを生成することと、情報処理装置が、三次元データを携帯端末に送信することと、携帯端末が、情報処理装置から三次元データを受信することと、携帯端末が、受信した三次元データを表示部に表示することとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る画像形成システムのブロック図。
図2】一実施形態に係るパーソナルコンピュータのブロック図。
図3】一実施形態に係るサーバのブロック図。
図4】一実施形態に係る携帯端末のブロック図。
図5】一実施形態に係る画像形成装置のブロック図。
図6A】一実施形態に係る印刷物の表面を示す模式図。
図6B】一実施形態に係る印刷物の裏面を示す模式図。
図6C】一実施形態に係る印刷物を巻き三つ折りした際の表紙を示す模式図。
図6D】一実施形態に係る印刷物の表紙を開いた際の様子を示す模式図。
図6E】一実施形態に係る巻き三つ折り設定の様子を示す概念図。
図7】一実施形態に係る巻き三つ折り設定の詳細を示す概念図。
図8A】巻き三つ折り設定の様子を示す概念図。
図8B】印刷物を巻き三つ折りした際の表紙を示す模式図。
図8C】印刷物の表紙を開いた際の様子を示す模式図。
図9A】一実施形態に係る画像形成システムの動作を示すシーケンスチャート。
図9B】一実施形態に係る画像形成システムの動作を示すシーケンスチャート。
図10A】一実施形態に係るパーソナルコンピュータにおける印刷設定画面の模式図。
図10B】一実施形態に係るパーソナルコンピュータにおける印刷設定画面の模式図。
図11A】一実施形態に係る携帯端末画面の模式図。
図11B】一実施形態に係る携帯端末画面の模式図。
図11C】一実施形態に係る携帯端末画面の模式図。
図11D】一実施形態に係る携帯端末をユーザが操作する様子を示す模式図。
図11E】一実施形態に係る携帯端末画面の模式図。
図11F】一実施形態に係る携帯端末画面の模式図。
図11G】一実施形態に係る携帯端末画面の模式図。
図11H】一実施形態に係る携帯端末画面の模式図。
図12A】印刷物を巻き三つ折りした際の表紙を示す模式図。
図12B】印刷物の表紙を開いた際の様子を示す模式図。
図13A】一実施形態に係る携帯端末画面の模式図。
図13B】一実施形態に係る携帯端末画面の模式図。
図13C】一実施形態に係る携帯端末画面の模式図。
図13D】一実施形態に係る携帯端末をユーザが操作する様子を示す模式図。
図13E】一実施形態に係る携帯端末画面の模式図。
図13F】一実施形態に係る携帯端末画面の模式図。
図13G】一実施形態に係る携帯端末画面の模式図。
図13H】一実施形態に係る携帯端末画面の模式図。
図14】一実施形態に係る画像形成方法におけるパーソナルコンピュータの処理を示すフローチャート。
図15A】一実施形態に係る画像形成方法における携帯端末の処理を示すフローチャート。
図15B】一実施形態に係る画像形成方法における携帯端末の処理を示すフローチャート。
図16】一実施形態に係る画像形成方法におけるサーバの処理を示すフローチャート。
図17】一実施形態に係る画像形成方法における画像形成装置の処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0010】
一実施形態に係る画像形成システム及び画像形成方法について説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成システムの全体構成を示すブロック図である。図1に示すように画像形成システム1は、パーソナルコンピュータ100、サーバ200、携帯端末300、及び画像形成装置400を備えており、これらは例えば有線または無線のネットワーク500により相互に通信可能に接続されている。
【0011】
本実施形態に係る画像形成システム1では、パーソナルコンピュータ100においてユーザの操作によって生成された印刷物に関する印刷データと、印刷データを印刷するための設定情報とをサーバ200に送信可能である。印刷データと設定情報とを受信したサーバ200は、印刷物の仮想的な三次元データを生成し、ユーザに対して携帯端末300を介して当該三次元データを表示させる。ユーザは、携帯端末300に表示された仮想的な三次元データを参照するとともに、VR(Virtual Reality)技術により三次元データとして表示された印刷物のページを開くなどの操作を行う。これによりユーザは、印刷物の出力前に、最終的な印刷状態(ユーザが意図した設定の通りに印刷処理されるか否か)を認識する。この印刷処理には、印刷された用紙の紙折り設定など、画像形成装置400による印刷物に対する処理も含まれる。例えば設定が複雑な巻き三つ折りなども、ユーザは意図した通りに折られているかを携帯端末300で確認できる。そして本実施形態に係る画像形成システム1では、印刷状態が正しければ画像形成装置400に対して印刷を命令することが可能である。他方で、印刷物を表す三次元データが、ユーザの意図する印刷状態でない場合、例えば巻き三つ折りにおいて、ユーザの意図と異なって紙が折られていれば、携帯端末300上で前述のVR技術を用いて、ユーザが意図した結果となるように印刷設定を修正することができる。以下、パーソナルコンピュータ100、サーバ200、携帯端末300、及び画像形成装置400の構成について順次説明する。なお、以下で説明する各装置の構成については、上記説明した本実施形態に係る動作に関する機能についてのみ説明する。
【0012】
まずパーソナルコンピュータ100につき図2を用いて説明する。図2は、本実施形態に係るパーソナルコンピュータ100のブロック図である。図2に示すようにパーソナルコンピュータ100は、送信部110、受信部120、表示部130、操作部140、印刷データ生成部150、及び印刷処理設定部160を備えている。
【0013】
送信部110は、パーソナルコンピュータ100内のデータを、ネットワーク500を介して、サーバ200、携帯端末300、及び画像形成装置400に送信する。受信部120は、サーバ200、携帯端末300、及び画像形成装置400からネットワーク500を介して送信されたデータを受信する。表示部130は、例えばディスプレイであり、パーソナルコンピュータ100において実行中のアプリケーション画面などを表示する。操作部140は、例えばキーボードやタッチパッドなどであり、ユーザからの命令を受け付ける。印刷データ生成部150は、パーソナルコンピュータ100において実行中のアプリケーションにおいて、ユーザから印刷命令を受け付けた際に、例えば写真や文書などの印刷すべき画像のデータである印刷データを生成する。印刷処理設定部160は、ユーザから印刷命令を受け付けた際に、印刷処理の設定に関する設定情報を生成する。設定情報は、印刷データをどのような形式で印刷するかを示す情報であり、例えばカラー印刷、白黒印刷、片面印刷、両面印刷、及びページ集約(印刷用紙一面に印刷するページ数)、また印刷後におけるステープル、パンチ、及び紙折りに関する情報である。本構成において、印刷データ生成部150及び印刷処理設定部160は、例えばCPUなどのプロセッサであり、図示せぬメモリに保持されたプログラムをプロセッサが実行することにより、プロセッサが印刷データ生成部150及び印刷処理設定部160として機能する。もちろん、これらの機能ブロックがそれぞれ専用の電子回路で構成されてもよい。また上記説明では、表示部130及び操作部140がパーソナルコンピュータ100の一部である場合を例に説明したが、パーソナルコンピュータ100の外部に設けられる場合であってもよい。
【0014】
次にサーバ200について説明する。前述の通りサーバ200は、印刷データと設定情報とに基づいて印刷物の仮想的な三次元データを生成し、携帯端末300を介してユーザに三次元データを表示させる情報処理装置である。図3は、本実施形態に係るサーバ200のブロック図である。図3に示すようにサーバ200は、送信部210、受信部220、三次元データ生成部230、設定変更部240、及び情報コード生成部250を備えている。
【0015】
送信部210は、サーバ200内のデータを、ネットワーク500を介して、パーソナルコンピュータ100、携帯端末300、及び画像形成装置400に送信する。本例において送信部210は、ネットワーク500を介して上記三次元データを携帯端末300に送信する三次元データ送信部として機能する。受信部220は、サーバ200、携帯端末300、及び画像形成装置400からネットワーク500を介して送信されたデータを受信する。本例において受信部220は、ネットワーク500を介してパーソナルコンピュータ100から送信された印刷データと設定情報とを取得する取得部として機能する。また受信部220は、後述する携帯端末300においてユーザにより三次元データに対してなされた操作に関する情報を受け付ける受付部として機能する。三次元データ生成部230は、受信部220において取得された印刷データと設定情報とに基づき、VR技術を用いて印刷物の仮想的な三次元データを生成する。設定変更部240は、受信部220において受け付けた、携帯端末300における三次元データに対する操作に関する情報に従って設定情報を変更する。情報コード生成部250は、三次元データ生成部230で生成された三次元データを携帯端末300が取得できるように、携帯端末300が例えば光学的に読み取り可能な模様で構成された情報コードを生成する。情報コードは、例えばQRコード(登録商標)などである。本構成において、三次元データ生成部230、設定変更部240、及び情報コード生成部250は、例えばCPUなどのプロセッサであり、図示せぬメモリに保持されたプログラムをプロセッサが実行することにより、プロセッサが三次元データ生成部230、設定変更部240、及び情報コード生成部250として機能する。もちろん、これらの機能ブロックがそれぞれ専用の電子回路で構成されてもよい。
【0016】
次に、携帯端末300につき図4を用いて説明する。図4は、本実施形態に係る携帯端末300のブロック図である。図4に示すように携帯端末300は、送信部310、受信部320、表示部330、操作部340、及び撮影部350を備えている。
【0017】
送信部310は、携帯端末300内のデータを、ネットワーク500を介して、パーソナルコンピュータ100、サーバ200、及び画像形成装置400に送信する。受信部320は、パーソナルコンピュータ100、サーバ200、及び画像形成装置400からネットワーク500を介して送信されたデータを受信する。本例において受信部320は、ネットワーク500を介してサーバ200から送信された三次元データを受信する。表示部330は、例えばVR対応のディスプレイであり、受信部320で受信した三次元データを表示する。すなわち、パーソナルコンピュータ100によって設定された設定情報に従って印刷される印刷物が、三次元立体構造として表示部330に表示される。操作部340は、表示部330に表示された三次元データに対するユーザの操作を受け付ける。操作部340は、例えば紙折りされた印刷物の三次元データにおいて、表紙となるページを開くなどのユーザの操作を受け付け可能である。より具体的には、操作部340は、例えばユーザによる表示部330における所定の箇所への接触、または携帯端末自体の姿勢変化を、ユーザの操作として受け付けることができる。前者の場合、表示部330にはタッチパネルが用いられ、後者の場合には携帯端末300はジャイロスコープを備え、ジャイロスコープにより携帯端末300自体の姿勢変化を検出できる。操作部340で受け付けたユーザによる操作に関する情報は、送信部310によってサーバ200に送信される。本例において送信部310は操作情報送信部として機能する。撮影部350は、例えばカメラである。撮影部350によって撮影された画像は表示部330によって表示される。そして操作部340は、例えば表示部330における三次元データと、撮影部350で撮影されたユーザの手の動きとの関係に基づいても、三次元データに対するユーザの操作を受け付けることができる。上記構成の携帯端末300の一例は、例えばスマートフォンやタブレット端末などであるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
次に、画像形成装置400につき図5を用いて説明する。図5は、本実施形態に係る画像形成装置400のブロック図である。図5に示すように画像形成装置400は、受信部410、表示部420、操作部430、及び画像形成部440を備えている。そして本例に係る画像形成装置400は、例えばMFPである。
【0019】
受信部410は、パーソナルコンピュータ100、サーバ200、及び携帯端末300からネットワーク500を介して送信されたデータを受信する。本例において受信部410は、ネットワーク500を介してパーソナルコンピュータ100から受信した印刷データと設定情報とを受信する。表示部420は、例えば液晶パネルであり、MFPに関する種々の情報を表示する。操作部430は、画像形成装置400の有する種々の機能(コピー、スキャン、ファクシミリなどの機能と、各機能についての種々の設定)に対するユーザからのアクセスを受け付ける。表示部420がタッチパネルである場合には、表示部420と操作部430とが一体化される。画像形成部440は、受信部410で受信された印刷データと設定情報とに基づいて、印刷物を出力する。
【0020】
本実施形態に係る上記構成の画像形成システム1は、携帯端末300の表示部330に三次元データとして表示させ、更にVR技術によりユーザが三次元データを操作することにより、印刷物が画像形成装置400によってどのように印刷処理されるのかを、ユーザに印刷前に把握させる。そして、ユーザが意図していない形式で印刷処理される様子が表示された場合には、ユーザが三次元データを操作することにより、意図した形式での印刷処理が可能となるよう、設定情報を変更するものである。特に近年のMFPは多くの機能を備えており、例えば印刷機能については、前述の通り片面印刷、両面印刷、及びページ集約などを設定可能であり、また印刷後においてはステープル、パンチ、及び紙折りなどの設定が可能である。本実施形態は、これらのいずれの設定に対しても適用可能であるが、特に紙折りは、ユーザが視覚的に認識することが困難であり、ミスコピーをしやすい。したがって、以下では一例として両面印刷且つ巻き三つ折りのケースを例に挙げて説明する。
【0021】
まず、両面印刷且つ巻き三つ折りについて説明する。図6A及び図6Bは、短辺綴じ両面印刷された際の表面及び裏面の印刷結果を示す模式図である。図6A及び図6Bの例であると、表面には右から順に画像A’、B’、及びC’が順次印刷され、巻き三つ折りの設定により、画像A’と画像B’との間が山折り(図中の山折りI)とされ、画像B’と画像C’との間も山折り(図中の山折りII)とされるように紙折り処理される。他方で、裏面には、左から順に画像A、B、及びCが順次印刷され、巻き三つ折りの設定により、画像Aと画像Bとの間が谷折り(図中の谷折りI)とされ、画像Bと画像Cとの間も谷折り(図中の谷折りII)とされるように紙折り処理される。また本例の場合には、画像A’の裏面に画像Aが印刷され、画像B’の裏面に画像Bが印刷され、画像C’の裏面に画像Cが印刷される。
【0022】
図6Cは、図6A及び図6Bのように印刷された印刷物が、画像形成装置400により巻き三つ折り処理された様子を示し、図6D図6Cの表紙を開いた際の様子を示す模式図である。図6Cに示すように、本例の設定であると、表紙が画像A’となるよう、巻き三つ折り設定されている。したがって図6Dに示すように、表紙を開いた際には、内側に印刷された画像Aと、外側に印刷された画像C’とが見える。このような巻き三つ折りを画像形成装置400に処理させるには、ユーザはパーソナルコンピュータ100において図6Eのように設定する。図6Eは、巻き三つ折りの設定の様子を示す模式図である。図6Eに示すように、前述した通り画像Aと画像Bとの間、及び画像Bと画像Cとの間が谷折りで、且つ画像Bと画像Cとの間(前述の谷折りII)が先に折り込まれ、次に画像Aと画像Bとの間(前述の谷折りI)が折り込まれるように設定する必要がある。また、前述の通り、画像A’の裏面に画像Aが印刷され、画像B’の裏面に画像Bが印刷され、画像C’の裏面に画像Cが、縦方向において同じ向きを向くように印刷されるように設定されている必要がある。
【0023】
上記の設定を整理すると図7のようになる。図7は、巻き三つ折り処理のために必要な設定条件を整理したものである。図示するように、2つのページを1枚の印刷用紙に両面印刷する場合に、長辺綴じとするか、短辺綴じとするか、を設定する必要がある。また、印刷面につき、2つのページのそれぞれを、内側(図6Bに示す裏面)に印刷するか、外側(図6Aに示す表面)に印刷するか、を設定する必要がある。更に、三つ折り状態から開く方向を左開きとするか、右開きとするか、を設定する必要がある。すなわち、両面印刷、印刷面、及び開く方向だけでも、8通りの組み合わせが存在し、ユーザはこの8通りの組み合わせの中から正しい組み合わせを選ぶ必要がある。
【0024】
例えば、図6Eで説明した正しい設定に対して、図8Aのように設定したとする。図8A図6Eと同様に巻き三つ折りの設定の様子を示す模式図である。図8Aに示すように、本例では画像A、B、及びCが外側(表面)に印刷され、三つ折り状態から開く方向が左開きで設定されている。また図8Aでは図示していないが、両面印刷の際に長辺綴じを設定したとする。その結果、完成する印刷物は図8B及び図8Cに示す通りである。図8Bは、図8Aの設定情報に基づいて印刷及び巻き三つ折りされた様子を示し、図8C図8Bの表紙を開いた際の様子を示す模式図である。本例の設定であると、図8Bに示すように、表紙が画像Cとなり、図8Cに示すように表紙を開いたときには外側に画像Aが見える。内側に関しては、長辺綴じを設定したため、外側とは上下が逆向きに印刷され、内側左側には画像A’が上下逆に見える。
【0025】
以上のように、特に巻き三つ折りなどを使用する際には、ユーザが意図した通りに印刷処理することが困難になってきている。そこで本実施形態では、設定情報に応じてサーバ200が図6C図6D図8B、及び図8Cなどの三次元データを生成することにより、ユーザに対して正しい設定を視覚的に可能とするものである。
【0026】
図9A及び図9Bは、ユーザが印刷実行を決定してから、画像形成装置400により実際に印刷が開始されるまでの画像形成システム1の動作の流れを示すシーケンスチャートである。
【0027】
まず図9Aに示すように、ステップS1002において、ユーザの操作により、パーソナルコンピュータ100はプリンタドライバを立ち上げる。引き続きステップS1004において、ユーザの操作により、パーソナルコンピュータ100の受信部120は、印刷データと設定情報の選択情報を受け付ける。これにより、パーソナルコンピュータ100では、印刷データ生成部150が、印刷対象となる画像などの印刷データを生成し、印刷処理設定部160は、先に説明した両面印刷や紙折り設定などの設定情報を生成する。これらが生成された時点で、パーソナルコンピュータ100は、送信部110により印刷データと設定情報を画像形成装置400に送信することで印刷可能な状態となる。この様子を図10Aに示す。図10Aは、パーソナルコンピュータ100の表示部130に表示されている印刷設定画面の模式図である。図10Aにおいても、本実施形態に関わらない項目についての図示は省略している。図10Aに示すように、ユーザにより巻き三つ折りの設定が受け付けられ、更に例えば設定タブなどにおいて図7で説明した項目が決定され、設定情報を生成される。設定情報が生成されると、前述した仮想的な三次元データをサーバ200により生成するためのボタン(図10Aにおける例えば「向きのデモンストレーション」)が表示される。ユーザによる当該ボタンの選択を受け付けると、ステップS1006においてパーソナルコンピュータ100は、ステップS1004で生成された印刷データと設定情報とを、送信部110からサーバ200に送信する。
【0028】
サーバ200の受信部220が印刷データと設定情報とを受信すると、サーバの三次元データ生成部230が、印刷データと設定情報とに基づいて、印刷物の仮想的な三次元データを生成する。更に、サーバ200の情報コード生成部250が、情報コード、例えばQRコードを生成する。そしてステップS1008において、サーバ200の三次元データ生成部230は、生成した三次元データを例えばサーバ200内のメモリに保持させ、送信部210はQRコードをパーソナルコンピュータ100に送信する。
【0029】
ステップS1008においてQRコードがパーソナルコンピュータ100の受信部120で受信されると、表示部130は受信したQRコードを表示させる。この様子を図10Bに示す。図10B図10Aと同様にパーソナルコンピュータ100の表示部130に表示されている印刷設定画面の模式図であり、図10Aの後にQRコードを受信した際の表示画面を示している。図10Bに示すように、表示部130にはサーバ200から受信したQRコードが表示される。
【0030】
パーソナルコンピュータ100の表示部130にQRコードが表示されると、ユーザの操作に従ってステップS1010において、携帯端末300の撮影部350がQRコードを読み取る。するとステップS1012において携帯端末300は、QRコードで指定されたURLへアクセスする。このURLで指定される場所には、サーバ200の三次元データ生成部230で生成された三次元データが保持されている。したがって、携帯端末300は、この三次元データを読み出して、表示部330に表示する。この様子を図11Aに示す。図11Aは、携帯端末(本例ではスマートフォン)300と、表示部330に表示されている画像を示している。図11Aの例では、巻き三つ折りされた印刷物が三次元データとして表示されている。この印刷物は、ステップS1006でサーバ200に送信された印刷データ及び設定情報に従って印刷・加工される予定の構造を有している。この際、表示部330には、撮影部350によって撮影された画像の所定の位置に、三次元データとしての印刷物が表示される。その後、例えば数秒後に、図11Bに示すように、表示部330は例えば「編集」ボタン、「レビュー」ボタン、及び「印刷」ボタンを表示する。
【0031】
ユーザから「編集」の選択を受け付けた場合には、サーバ200及び携帯端末300は、印刷物の設定情報を変更する。「レビュー」の選択を受け付けた場合には、サーバ200及び携帯端末300は、ユーザの要求に応じて、ステップS1006の設定情報を維持した状態で、三次元データを様々な角度から表示したり、折り曲げられた状態から開いた状態を表示したりする。「印刷」の選択を受け付けた場合には、現在の設定情報に基づいて、画像形成装置400で印刷が実行される。以下、「レビュー」、「編集」、及び「印刷」が選択された場合について、順次説明する。
【0032】
図9Aに戻って、ユーザからの「レビュー」の選択を携帯端末300の操作部340が受け付けた場合について説明する。「レビュー」が選択された場合、携帯端末300はレビューモードとなり、操作部340は、表示部330に表示されている三次元データに対するユーザからの操作を受け付ける。前述の通り、この操作は、三次元データとして表示されている印刷物を、VR技術を用いて裏返したり、折り曲げられた状態から開いたりする操作である。このように仮想的に印刷物の印刷状態をレビューすることで、ユーザは現在の設定情報が適切であるか否かを判断できる。
【0033】
まず携帯端末300の送信部310は、ステップS1016において、操作部340で受け付けたユーザの操作に関する情報を、サーバ200に送信する。するとサーバ200の三次元データ生成部230は、受信部220で受信したこの情報に基づいて、ユーザの操作の結果得られる形状の三次元データを生成する。なお、この時点で設定情報の変更はなされない。そしてステップS1018において、サーバ200の送信部210が、変更された三次元データ(または元の三次元データからの変更内容情報)を携帯端末300に送信する。その結果、携帯端末300の表示部330には、ユーザの操作に伴って変形された三次元データが表示される。
【0034】
上記ステップS1016及びS1018の具体例を図11C乃至図11Gを用いて説明する。図11C乃至図11Gは、図11A及び図11Bと同様に、携帯端末300と、表示部330に表示されている画像を示している。例えばステップS1012で表示される三次元データによる印刷物は、例えば机の上に置いてある状態で表示されているとする。この状態で、図11Cに示すように、印刷物が表示されている位置に、ユーザが手を一定期間置き、これを撮影部350が撮影すると、ステップS1016及びS1018の処理により、印刷物が浮き上がったように表示させることができる。また、その状態で図11Dに示すように、携帯端末300を傾けることにより、同じように印刷物を傾けて表示させたり、紙折りされたページが開くようにしたりしてもよい。
【0035】
また、図11Eに示すように、例えば紙折りの角の位置に指が置かれた状態を撮影部350が撮影した場合に、表示部330は「開く」ボタンを表示してもよい。ユーザによる「開く」ボタンの選択を操作部340が受け付けると、図11Eにおいて表紙が開かれる。あるいは、角に指を置く代わりに、例えば一定期間(3秒間など)、動作を停止させると、「開く」ボタンが表示されるようにしてもよい。また、表示するボタンは、「開く」ボタンに限らず、図11Fに示すように「右」ボタン及び/または「左」ボタンであってもよい。これは、表示中の印刷物を開く方向を示すボタンであり、ユーザが選択することで、右側に開いたり左側に開いたりすることができる。
【0036】
また図11G上図に示すように、例えば紙折りを開きたい方向に手をスライドさせてもよい。操作部340は、撮影部350で撮影された本動作を、表紙を開く動作を認識して、ステップS1016を実行し、その結果、図11G下図に示すように、ステップS1018の結果として、表紙が開かれた様子が表示部330に表示される。
【0037】
三次元データとしての印刷物を操作する方法は上記に限らず、種々の方法が採用できる。その操作内容を操作部340が認識することで、サーバ200の三次元データ生成部230は、ユーザの操作に従った結果の三次元データを生成できる。なお、レビューの結果に問題がなく、レビューモードを終了する際には、例えば図11Hに示すように、手を握った様子を撮影部350で撮影すればよい。図11Hも携帯端末300と、表示部330に表示されている画像を示している。なおレビューモード終了方法も、図11Hの方法に限らず種々選択可能であり、例えばユーザの操作に応答して表示部330に「終了」ボタンを表示させ、当該ボタンの選択を受け付けることによりレビューモードを終了してもよい。また、上記のようにレビューした結果、印刷の順序や紙折りの設定につき変更したい箇所が発見された際には、ユーザが「編集」ボタンを選択すること等により、次に説明する編集モードに移行して、表示部330は編集画面を表示し、印刷原稿の編集を可能にしてもよい。
【0038】
次に、ユーザからの「編集」の選択を携帯端末300の操作部340が受け付けた場合について、図9Bを用いて説明する。ユーザからの「編集」の選択を携帯端末300の操作部340が受け付けた場合、携帯端末300は編集モードとなる。そして図9Bに示すように、ステップS1020において、携帯端末300の操作部340でユーザから受け付けた三次元データに対する変更内容をサーバ200に送信する。するとステップS1022において、サーバ200の三次元データ生成部230は、受信した変更内容に従って三次元データを変更し、送信部210はそのデータを携帯端末300に送信する。これらの処理は、上述したステップS1016及びS1018と同様である。また、編集モードでは、前述のレビューモードと異なり、三次元データが変更された際には、携帯端末300の操作部340においてユーザによって受け付けられた印刷設定(設定情報)の変更の内容がステップS1024においてサーバ200に通知される。印刷設定の変更の内容が通知されたサーバ200では、ステップS1026において、設定変更部240が印刷設定を変更し、設定変更後の三次元データを携帯端末300に送信する。
【0039】
上記のステップS1020、S1022、S1024、及びS1026の具体例について以下説明する。一例として、当初の設定情報により印刷される印刷物が、図12A及び図12Bのようであったとする。図12A及び図12Bは印刷物の模式図であり、図12Aは印刷物の表紙を示し図12Bは表紙を開いた際の様子を示している。まず図12Aに示すように、印刷物の表紙は画像C’であり、図6Cに示すようなユーザの意図した印刷結果とは異なっている。更に図12Bに示すように、表紙を開くと、表紙は右側に開かれると共に、開いた際の外側は画像A’であり、内側は画像Cであり、表紙を開いた際も、図6Dに示すようなユーザの意図した印刷結果とは異なっている。
【0040】
上記の結果を、編集モードにおいて正しく変更する例につき、図13A乃至図13Hを用いて説明する。図13A乃至図13Hは、携帯端末300と、表示部330に表示されている画像を示している。まず図13Aに示すように、レビューモード時と同様に、携帯端末300の表示部330には、印刷物の三次元データが表示され、表紙には図12Aと同様に画像C’が表示されている。また、表示部330の「開く」ボタンをユーザが選択することで、図13Bに示すように、表紙が開かれた状態が表示され、図12Bと同様に、表紙は右側に開かれ、開いた際の外側は画像A’であり、内側は画像Cである印刷物が表示される。これにより、ユーザは、巻き三つ折りの設定に誤りがあることを認識できる。更に、図13Bにおいて「開く」ボタンをユーザが選択することで、図13Cに示すように、画像A’が印刷されたページが左側に開かれ、印刷物の内側(裏面)全体が表示部330に表示される。
【0041】
図13A乃至図13Cの表示に基づき、ユーザは、両面印刷の設定には誤りはなく、巻き三つ折りの設定に誤りがあることを認識できる。したがってユーザは、巻き三つ折りの設定を、携帯端末300を用いて変更する。すなわち、図13Dに示すように、例えば動かしたい画像の角を長押しすることで、携帯端末300の操作部340は、例えば「折る」ボタンを表示部330に表示させる。ユーザからの「折る」ボタンの選択を操作部340が受け付けると、引き続き操作部340は図13Eに示すように「山折り」ボタンと「谷折り」ボタンを表示部330に表示させる。「山折り」ボタン及び「谷折り」ボタンは、図13Dで指定された画像Cと画像Bとの間を山折りにするか谷折りにするかを選択するためのボタンである。本例では、「谷折り」ボタンを選択することで、画像Cと画像Bとの間を谷折りにすることができる。
【0042】
別の方法としては、図13F及び図13Gに示すように、谷折りにしたい画像Cから画像Bに向かって、ユーザが指をスライドさせてもよい。この動作を操作部340が谷折り設定と認識する。図13Eに示す「谷折り」ボタンの選択や、図13Gに示すユーザの指の動きを操作部340が巻き三つ折りの設定変更と認識し、その旨の内容がサーバ200に送信される。その結果、図13Hに示すように、画像Bと画像Cとの間が谷折りとなり、画像Cの裏面である画像C’が表示される。そして、同様にして、画像Aと画像Bとの間も谷折りに設定することで、図6Dに示すような巻き三つ折りを設定できる。これらの巻き三つ折り設定は、印刷処理の設定情報としてサーバ200のメモリに記憶され、携帯端末300に送信される。なお、編集モードを終了させる際には、例えばレビューモードの際と同様に、例えば図11Hに示すように、手を握った様子を撮影部350で撮影する方法や、「終了」ボタンの表示する方法などを用いればよい。
【0043】
図9Bに戻って、ユーザからの「印刷」の選択を携帯端末300の操作部430が受け付けた場合の動作について説明する。図9Bに示すように、ステップS1028において携帯端末300の送信部310は、サーバ200に対して印刷依頼を送信する。ステップS1030においてサーバ200の送信部210は、図示せぬメモリに保持された設定情報をパーソナルコンピュータ100に送信する。なお、編集モードにおいて印刷設定の変更がなかった場合には、設定情報に変更無い旨の情報をパーソナルコンピュータ100に送信する。設定情報を受信したパーソナルコンピュータ100の送信部110はステップS1032において、ステップS1032で受信した設定情報と共に、印刷データを画像形成装置400に送信する。その結果、画像形成装置400の画像形成部440において、印刷データと設定情報とに基づいて印刷処理(前述の通り、印刷データの印刷と、印刷物への紙折りなどの加工処理)が行われる。
【0044】
次に、上記動作を実行するためのパーソナルコンピュータ100、サーバ200、携帯端末300、及び画像形成装置400のそれぞれの処理につき、順次説明する。
【0045】
まず、パーソナルコンピュータ100の処理につき図14を用いて説明する。図14はパーソナルコンピュータ100の処理の流れを示すフローチャートである。図14に示すように、ユーザからの命令を操作部140が受信することで、ステップS100においてプリントドライバが立ち上げられ、ステップS101において表示部130が印刷処理設定画面を表示する(図10A参照)。ステップS102において、操作部140は、ユーザからの三次元データ作成の選択を受け付ける(図10Aにおける「向きのデモンストレーション」選択)。ステップS103において送信部110は、印刷データ生成部150で生成された印刷データと、印刷処理設定部160で生成された設定情報とを、三次元データ作成依頼と共にサーバ200へ送信する。
【0046】
ステップS104において受信部120が三次元データと情報コード(例えばQRコード)を受信すると、ステップS105において表示部130がQRコードを表示部130に表示する(図10B参照)。ステップS106においてサーバ200から設定情報を受信し、ステップS107において設定情報に変更があった場合(例えば図13Gにおける巻き三つ折り設定の変更参照)、ステップS108において印刷データ生成部150は印刷データを作成し、印刷処理設定部160は、設定情報をサーバ200から受信した内容に更新する。そして、ユーザによる印刷命令に基づいて、ステップS109において送信部110は、印刷データと設定情報とを画像形成装置400に送信する。
【0047】
次に、携帯端末300の処理につき図15A及び図15Bを用いて説明する。図15A及び図15Bは携帯端末300の処理の流れを示すフローチャートである。図示するように、ステップS300において撮影部350が、パーソナルコンピュータ100の表示部130に表示されているQRコード(図10B参照)を読み取ると、ステップS301において送信部310がQRコードに基づいてサーバ200にアクセスして、三次元データを要求する。そしてステップS302において表示部330は、サーバ200から受信した三次元データを表示部330に表示する。
【0048】
引き続き表示部330は、図11Bで説明したように「編集」、「レビュー」、及び「印刷」ボタンを表示し、ステップS303において操作部340が「レビュー」の選択を受け付けると、携帯端末300はレビューモードとなり、ステップS320の処理を行う。すなわち、ステップS304において撮影部350が起動されて、ユーザの手の撮影が開始され、ステップS305においてサーバ200から印刷物の三次元データを受信し、ステップS306において三次元データが表示部330に表示される。ステップS304~S306の順番は可能な限り入れ替えることができ、これらのステップは前述した図11Cの処理に相当する。
【0049】
そしてステップS307において、レビューモード時にユーザによる変更操作があった場合、すなわち、図11C乃至図11Gに示すようなユーザの動作を受け付けた場合、ステップS308において送信部310は、ユーザの動作に基づく三次元データの変更内容をサーバ200に送信する。ステップS309において、受信部320は、サーバ200から、ステップS308で送信された変更内容が反映された三次元データを受信し、ステップS310において表示部330が、受信した三次元データを表示する。
【0050】
またステップS311において、レビューモード時にユーザによる変更操作があり、更にユーザによる印刷設定の変更操作があった場合、携帯端末300はレビューモードから編集モードに移行し、後述するステップS316の処理を行う。
【0051】
ステップS311においてレビューモード時に印刷設定の変更操作がなく、ステップS312において、携帯端末300の表示部130に表示された「編集終了」ボタンのユーザによる選択を受け付けるか、または図11Hに示すようにユーザによる編集終了を示す手の動きを検出した際には、レビューモードは終了する。そうでない場合には、処理はステップS307に戻る。
【0052】
また、ステップS313において操作部340が「編集」の選択を受け付けると、ステップS314において携帯端末300は編集モードとなり、まず前述したステップS320の処理を行う。ステップS314において、設定情報の変更操作があった場合、すなわち図13E及び図13Gに示すような、例えば三つ折り設定の変更操作があった場合、ステップS316において送信部310は、印刷データの変更内容、すなわち設定情報をサーバ200に送信する。ステップS317において、ステップS311と同様に編集の終了が選択されると、編集モードは終了する。
【0053】
更に、ステップS318において操作部340が「印刷」の選択を受け付けると、ステップS319において携帯端末300の送信部310は、サーバ200に印刷指示を送信する。印刷が選択されなかった場合には、ステップS303の処理に戻る。
【0054】
次に、サーバ200の処理につき図16を用いて説明する。図16はサーバ200の処理の流れを示すフローチャートである。図16に示すように、ステップS200において受信部220が、パーソナルコンピュータ100から新規の印刷データ及び設定情報を受信した場合、ステップS201において三次元データ生成部230は、受信した印刷データ及び設定情報に基づく三次元データを生成し、メモリに保存する。また、情報コード生成部250が、生成された三次元データにアクセスするためのQRコードを生成する。ステップS202において送信部210は、ステップS201で生成された三次元データとQRコードとをパーソナルコンピュータ100に送信する。
【0055】
ステップS203において、携帯端末300からQRコードを介してサーバ200にアクセスがあり、レビューが選択された旨の情報を受信すると、ステップS204において三次元データ生成部230は三次元データを生成して、送信部210から携帯端末300に送信する。なお、ステップS204では三次元データの生成は行わずに、ステップS201で生成された三次元データが携帯端末300に送信されてもよい。
【0056】
ステップS205において、携帯端末300のレビュー時に変更操作があった旨の情報を受信すると、ステップS206において三次元データ生成部230は、変更内容をもとに三次元データを生成し、送信部210から携帯端末300に送信する。
【0057】
ステップS207において、携帯端末300から編集が選択された旨の情報を受信すると、ステップS208において三次元データ生成部230は三次元データを生成して、送信部210から携帯端末300に送信する。
【0058】
ステップS209において、携帯端末300の編集時に印刷設定の変更データを受信すると、ステップS210において設定変更部240は、設定情報を更新してメモリに保存する。印刷設定の変更データとは、例えば図13E及び図13Gで説明した巻き三つ折り設定などに関する情報である。
【0059】
そして、ステップS211において携帯端末300から印刷指示を受信すると、ステップS212において送信部210は、設定情報をパーソナルコンピュータ100に送信する。
【0060】
次に、画像形成装置400の処理につき図17を用いて説明する。図17は画像形成装置400の処理の流れを示すフローチャートである。図17に示すように、ステップS400において受信部410が、パーソナルコンピュータ100から新規の印刷データ及び設定情報を受信すると、ステップS401において画像形成部440が、受信した設定情報に基づいて印刷データの印刷処理を実行する。
【0061】
上記のように、本実施形態に係る画像形成システムは、ユーザにより設定された印刷処理の設定に関する設定情報をサーバが取得し、当該設定情報に基づき印刷される印刷物の三次元データをサーバが生成する。更にサーバは、携帯端末に三次元データを表示させる。これにより携帯端末には、ユーザにより設定された印刷設定での印刷物の仮想的な三次元データが表示される。
【0062】
上記構成により、ユーザは、設定情報に基づく印刷物を、三次元データとして携帯端末の表示部で確認することができる。したがって、例えば紙折り設定など、画像形成装置における複雑な印刷設定が正しく設定されているか否かを、画像形成装置で印刷する前に視覚情報として得ることができる。すなわち、ユーザは、実際に印刷物が出力される前に、印刷設定とその結果出力される印刷物との関係を認識できる。
【0063】
また、本実施形態に係る画像形成システムによれば、携帯端末は、表示部に表示された三次元データに対するユーザの操作を受け付け、当該操作に関する情報をサーバに送信する。この情報に基づいて、サーバは三次元データを変更し、変更された三次元データを携帯端末に表示させる。
【0064】
上記構成により、ユーザは、携帯端末の表示部に表示された三次元データに対して、仮想的な操作を行うことができる。すなわち、例えば紙折り設定に対して、正しい設定で紙折り処理が為されているかを、三次元データの表紙を開く操作などにより確認できる。これにより、より複雑な印刷設定に対しても、適切な設定が為されているかを詳細に確認することができる。なお、上記実施形態では、具体例として両面印刷且つ巻き三つ折りの場合を例に説明したが、前述したように、ステープルやパンチなどの設定の場合も同様である。
【0065】
なお、実施形態は上記説明した態様に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態で説明したサーバ200の機能(すなわち情報処理装置)は、画像形成装置400に備えられてもよい。すなわち、画像形成装置400内のプロセッサが、三次元データ生成部230、設定変更部240、及び情報コード生成部250として機能し、図9A図9B、及び図16の処理を実行してもよい。あるいは、サーバ200の機能をパーソナルコンピュータ100が実現する場合であってもよい。また、パーソナルコンピュータ100は、画像形成装置400における印刷設定及び印刷命令が可能な演算装置を備えたデバイスであればよく、例えばタブレット端末や、スマートフォンなどの携帯端末であってもよい。そして、サーバや画像形成装置のような情報処理装置が、この演算装置から有線また無線通信により印刷データ及び印刷設定を受け付け、印刷データ及び変更された印刷設定に基づいて印刷することにより印刷物を生成すればよい。また、三次元データに対する操作の方法や、編集及びレビューの終了操作は、上記実施形態において図11A乃至図11H及び図13A乃至図13Hで説明した方法に限らず、ユーザの操作の意図を携帯端末300で認識可能な方法であれば限定されない。
【0066】
本開示は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、上述した実施形態で説明するフローチャートの処理の順序は、可能な限り入れ替えることができる。
【0067】
上記実施形態の機能を実現するプログラムは、半導体媒体や光記録媒体、光磁気記録媒体等の非一時的な記録媒体に格納される。半導体媒体としては、例えば、不揮発性のメモリカード等が適用され得る。光記録媒体、光磁気記録媒体としては、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)等が適用され得る。また、上記プログラムは、伝送可能な任意の伝送媒体を介してコンピュータに供給されてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1…画像形成システム、100…パーソナルコンピュータ、110、210、310、410…送信部、120、220、320、420…受信部、130、330…表示部、140、340、430…操作部、150…印刷データ生成部、160…印刷処理設定部、200…サーバ、230…三次元データ生成部、240…設定変更部、250…情報コード生成部、300…携帯端末、350…撮影部、400…画像形成装置、440…画像形成部、500…ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図11G
図11H
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図13F
図13G
図13H
図14
図15A
図15B
図16
図17