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特開2024-102405印刷装置、印刷制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102405
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】印刷装置、印刷制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A45D 29/18 20060101AFI20240724BHJP
   A45D 31/00 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
A45D29/18
A45D31/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006237
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐野 智文
(57)【要約】
【課題】液剤を手塗りする場合に、容易に爪の形状通りに塗布する。
【解決手段】印刷装置1が、指固定部材62に指Uが配置されたことを検出する検出部314と、指固定部材62に配置されたことが検出部314により検出された指Uについて爪Tの形状を認識する爪認識部315と、少なくとも爪認識部315により認識された爪Tの周辺の指部に、爪Tに塗布される例えば下地用コート剤等の「他の液剤」との密着性が低く他の液剤よりも皮膚から剥離させやすい性質を有する「第1の液剤」であるマスキングコート剤を塗布する第1の印刷ヘッドであるマスク用ヘッド41aと、を備えている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置部材に指が配置されたことを検出する検出部と、
前記載置部材に配置されたことが前記検出部により検出された指について爪の形状を認識する爪認識部と、
少なくとも前記爪認識部により認識された前記爪の周辺の指部に、前記爪に塗布される他の液剤との密着性が低い第1の液剤であって、前記他の液剤よりも皮膚から剥離させやすい性質を有する第1の液剤を塗布する第1の印刷ヘッドと、
を備えている、ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
載置部材に指が配置されたことを検出する検出部と、
前記載置部材に配置されたことが前記検出部により検出された指について爪の形状を認識する爪認識部と、
少なくとも前記爪認識部により認識された前記爪の周辺の指部に、前記爪に塗布される他の液剤との密着性が低いとともに皮膚から剥離させやすい性質を有する第1の液剤を塗布する第1の印刷ヘッドと、
装置外において少なくとも前記爪に第2の液剤が塗布されたのち、前記第1の液剤が除去された前記爪の爪領域を検出する爪領域検出部と、
前記爪領域検出部により爪領域として検出された領域を印刷範囲として、前記爪に前記第1の液剤と異なる第3の液剤を塗布する第2の印刷ヘッドと、
を備えている、ことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
前記載置部材に指が配置されたことを前記検出部が検出しないときは、各部の動作を停止させるように制御する動作制御手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記他の液剤は爪に下地層を形成するための液剤を含む、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
【請求項5】
一旦装置外に取り出され装置外において爪に第2の液剤が塗布された指が、再度装置内に配置されたときに、当該指が、前記第1の液剤が塗布された指と同一の指であるか否かを判断する判断部をさらに備え、
前記第2の印刷ヘッドは、前記判断部により同一の指が配置されたと判断されたときに、当該指の爪に前記第3の液剤を塗布する、
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記第2の液剤は爪に下地層を形成するものであり、
前記爪領域検出部は、前記第2の液剤により前記下地層が形成されている領域を前記爪領域として検出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項7】
載置部材に指が配置されたことを検出する検出工程と、
前記検出工程において前記載置部材に配置されたことが検出された指について爪の形状を認識する爪認識工程と、
少なくとも前記爪認識工程において認識された前記爪の周辺の指部に、前記爪に塗布される他の液剤との密着性が低い第1の液剤であって、前記他の液剤よりも皮膚から剥離させやすい性質を有する第1の液剤を塗布させる第1の塗布工程と、
を含んでいる、ことを特徴とする印刷制御方法。
【請求項8】
載置部材に指が配置されたことを検出する検出工程と、
前記検出工程において前記載置部材に配置されたことが検出された指について爪の形状を認識する爪認識工程と、
少なくとも前記爪認識工程において認識された前記爪の周辺の指部に、前記爪に塗布される他の液剤との密着性が低いとともに皮膚から剥離させやすい性質を有する第1の液剤を塗布させる第1の塗布工程と、
前記第1の液剤が塗布されたのち、装置外において少なくとも前記爪に第2の液剤を塗布する第3の塗布工程と、
前記第1の液剤を除去したのちに、前記第2の液剤が塗布されている領域を前記爪の爪領域として検出する爪領域検出工程と、
前記爪領域検出工程において爪領域として検出された領域を印刷範囲として、前記爪に第3の液剤を塗布させる第2の塗布工程と、
を含んでいる、ことを特徴とする印刷制御方法。
【請求項9】
コンピュータに、
載置部材に指が配置されたことを検出する検出機能と、
前記載置部材に配置されたことが検出された指について爪の形状を認識する爪認識機能と、
少なくとも認識された前記爪の周辺の指部に、前記爪に塗布される他の液剤との密着性が低い第1の液剤であって、前記他の液剤よりも皮膚から剥離させやすい性質を有する第1の液剤を塗布させる第1の塗付制御機能と、
を実現させる、ことを特徴とするプログラム。
【請求項10】
コンピュータに、
載置部材に指が配置されたことを検出する検出機能と、
前記載置部材に配置されたことが検出された指について爪の形状を認識する爪認識機能と、
少なくとも認識された前記爪の周辺の指部に、前記爪に塗布される他の液剤との密着性が低いとともに皮膚から剥離させやすい性質を有する第1の液剤を塗布させる第1の塗付制御機能と、
装置外において少なくとも前記爪に第2の液剤が塗布されたのち、前記第1の液剤が除去された前記爪の爪領域を検出する爪領域検出機能と、
前記爪領域として検出された領域を印刷範囲として、前記爪に第3の液剤を塗布させる第2の塗付制御機能と、
を実現させる、ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、印刷制御方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、爪等にネイルデザインの印刷を行う印刷装置(ネイルプリント装置)が知られている。爪に印刷を行う場合、カラーでデザイン印刷を行う前に爪の上に白色等の下地層を形成することも行われている。
下地層の上にデザイン印刷を行うとカラーインクの発色が良くなり、仕上がり品質を向上させることができる。また、印刷範囲となる爪領域はカメラにより撮影した画像等に基づいて認識される。爪に白色等の下地層を形成すると、周りの皮膚と区別しやすくなり、カメラで爪及びその周辺を撮影した画像から爪領域を検出しやすくなる。
【0003】
下地層は、例えばユーザ自らが手動(手塗り等の手作業)で液剤(下地用コート剤)を塗布することで形成される。手塗りする場合には、比重の高い白色顔料(例えば酸化チタン)を含む液剤等でも容易に塗布することができ、地爪が透けず白色度の高い下地層を形成することができる。
【0004】
しかし下地用コート剤等の液剤を爪の範囲からはみ出さないように、かつ爪の隅々まで過不足なく塗布することは技術を要し、慣れていないユーザにとっては難しい。
この点、爪に塗布する液剤が爪以外に付着するのを防止するために、爪の周りにマスキングテープを貼着することも行われている(例えば、特許文献1参照)。
爪以外の部分にマスキングを施すことができれば、はみ出すことを気にせずに爪の隅々まで液剤を塗布しやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-213267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、マスキングテープを自爪の形状に合わせて適切に貼着することは難しい。このため、爪以外の部分にだけ適切にマスキングを行うことができるかどうかは、結局ユーザの技術に左右されてしまうという問題があった。
【0007】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、液剤を手塗りする場合に、容易に爪の形状通りに塗布することのできる印刷装置、印刷制御方法及びプログラムを提供することを利点とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の印刷装置の一態様は、
載置部材に指が配置されたことを検出する検出部と、
前記載置部材に配置されたことが前記検出部により検出された指について爪の形状を認識する爪認識部と、
少なくとも前記爪認識部により認識された前記爪の周辺の指部に、前記爪に塗布される他の液剤との密着性が低い第1の液剤であって、前記他の液剤よりも皮膚から剥離させやすい性質を有する第1の液剤を塗布する第1の印刷ヘッドと、
を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、液剤を手塗りする場合に、容易に爪の形状通りに塗布することができるとの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態における印刷装置及びこれと連携する端末装置の要部構成を示す斜視図である。
図2】実施形態に係る印刷装置の前後方向に垂直な面での要部断面図である。
図3】本実施形態における印刷装置及びこれと連携する端末装置の制御構成を示した要部ブロック図である。
図4】本実施形態における印刷制御処理を示すフローチャートである。
図5】マスキング印刷が施された指の一例を示す平面図である。
図6】マスキング印刷が施された指の爪に下地用コート剤を塗布した状態の一例を示す平面図である。
図7図6の状態の指からマスキング印刷を除去した状態の一例を示す平面図である。
図8図7の状態の爪にデザイン印刷を施した状態の一例を示す平面図である。
【0011】
図1から図8を参照しつつ、本発明に係る印刷装置、印刷制御方法及びプログラムの一実施形態について説明する。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
また、以下の実施形態では、印刷装置が手の指の爪を印刷対象としてこれに印刷する印刷装置を例に説明するが、本発明における印刷装置の印刷対象は手の指の爪に限るものではなく、例えば足の指の爪等を印刷対象としてもよい。また、ネイルチップや各種アクセサリの表面等、人の爪以外の爪様のものを印刷対象としてもよい。
【0012】
図1は、本実施形態における印刷装置及びこれと連携する端末装置の要部外観構成を示す斜視図である。図2は、図1に示す印刷装置の前後方向に垂直な面での要部断面図である。また図3は、印刷装置及び端末装置の要部制御構成を示すブロック図である。
なお、以下の実施形態において、上下、左右及び前後は、各図に示した向きをいうものとする。また、X方向、Y方向は、各図に示した方向をいうものとする。
【0013】
図1に示すように、印刷装置1は、ほぼ箱形に形成された筐体2を有している。
筐体2は、前面側(印刷装置1の正面側、図1において前側)の下側部分に、左右方向(印刷装置1の横方向、図1において左右方向、X方向)のほぼ全面に亘って形成された開口部21を有している。また、筐体2の左右方向のほぼ中央部には、開口部21の上側に連続して切り欠き部22が形成されている。切り欠き部22は、後述する印刷ヘッド41を装置に対して着脱する際の出入口として機能する。
【0014】
また、筐体2の上面(天板)には、印刷装置1の操作部14が設けられている。操作部14は、例えば印刷装置1の電源をON/OFFする操作ボタン(電源スイッチボタン)である。操作部14が操作されると、操作信号が制御装置30に出力され、制御装置30が操作信号に従った制御を行い、印刷装置1の各部を動作させる。
なお、操作部14に代えて、後述する端末装置7の操作部71から入力された操作信号に従って印刷装置1の各部が動作するようにしてもよい。
筐体2各部の形状や各部の配置等は、図示例に限定されず、適宜設定可能である。例えば、操作部14は、筐体2の上面ではなく側面や背面等に設けられていてもよい。また、筐体2にはその他各種の操作ボタンが操作部14として設けられていてもよいし、各種表示部やインジケータ等が設けられていてもよい。
【0015】
筐体2の内部には、装置本体10が収容されている。
装置本体10は、基台11と、これに取り付けられた指固定部6、印刷部40、撮像部50等を備えている。また図2に示すように、基台11上には支持部材12が立設されている。支持部材12は、天板121と、その左右両端の脚部122とを有し、脚部122が基台11の左右両端に立設されている。
【0016】
図1及び図2に示すように、指固定部6は、基台11における装置前面側の左右方向(X方向)のほぼ中央部に配置されており、本実施形態における印刷対象である爪T(図5等参照)を有する指Uを印刷に適した領域内に保持する。
指固定部6は、装置前面側に開口部61を有している。また指固定部6の内部には、指固定部材62が設けられている。指固定部材62は、開口部61から挿入された指Uを下側から押し上げ支持するものであり、例えば柔軟性を有する樹脂等で形成されている。すなわち、指固定部材62は、指Uが載置される載置部材としても機能する。
指固定部6の上面には開口部61から挿入され指固定部材62により保持された指Uの爪T部分を露出させる窓部63が形成されている。
指固定部6内の後部(装置後方側、奥側)には、指Uの先端が突き当てられてその爪Tの先端中央が引っ掛けられる爪係止部65(図2参照)が設けられている。
【0017】
印刷部40は、後述する制御部31(図3参照)において生成される印刷用データにしたがって印刷対象である爪Tの表面に印刷を施す。
印刷部40は、印刷動作を行うヘッド(以下「印刷ヘッド41」とする。)、印刷ヘッド41が装着され保持されるキャリッジ42、印刷ヘッド41を搭載するキャリッジ42を移動させるためのヘッド移動機構49(図3参照)等を備えている。
【0018】
図1に示すように、本実施形態のキャリッジ42には、印刷ヘッド41としてマスク用ヘッド41aとデザイン用ヘッド41bとが搭載されている。以下において、単に「印刷ヘッド41」としたときは、マスク用ヘッド41a及びデザイン用ヘッド41bの両方を含むものとする。なお、マスク用ヘッド41aとデザイン用ヘッド41bとの配置等は図示例に限定されない。例えばキャリッジが複数設けられ、各印刷ヘッド41がそれぞれ異なるキャリッジに搭載されてもよい。また、1つのキャリッジにはいずれか1つの印刷ヘッド41が搭載されるものとし、適宜搭載する印刷ヘッド41を付け替えて印刷を行うようにしてもよい。
【0019】
マスク用ヘッド41aは、少なくとも爪領域として認識された爪Tの周辺の指部(指Uの皮膚)に、「第1の液剤」(以下、「マスキングコート剤」ともいう。)を塗布するマスキング印刷Mc(図7等参照)を行う「第1の印刷ヘッド」である。
マスキング印刷Mcは、デザインが印刷される領域(印刷範囲となる爪領域Art(図7等参照))に「第2の液剤」を塗布する前に、爪Tの周りに施される。本実施形態において「第2の液剤」は、下地層Mg(図7等参照)を形成する液剤(「下地用コート剤」ともいう。)である。
マスキング印刷Mcを施す範囲は特に限定されないが、爪Tに「第2の液剤」(本実施形態では「下地用コート剤」)を手塗りした場合に、爪Tからはみ出して塗布されてしまうおそれのある範囲である。
【0020】
マスキング印刷Mcに用いられる「マスキングコート剤」(「第1の液剤」)は、マスキング印刷後に爪Tに塗布される他の液剤(特に「第2の液剤」、本実施形態の「下地用コート剤」)との密着性が低いとともに皮膚から剥離させやすい性質を有する液剤である。
「マスキングコート剤」(「第1の液剤」)は、透明又は半透明の皮膜を形成することのできるものであることが好ましい。
なお、「マスキングコート剤」には、爪Tの色と区別しやすい色(例えば青色や緑色等)が付されていてもよい。「マスキングコート剤」に爪Tの色と異なる色を付けておくことで、マスキング印刷後に爪Tに下地用コート剤等の「第2の液剤」を塗布する際にユーザが爪Tの範囲を認識しやすくなることも期待できる。
【0021】
ここで本実施形態における「第2の液剤」である「下地用コート剤」は、爪Tの表面に下地層(図6図7において「下地層Mg」)を形成する液剤である。本実施形態において「下地用コート剤」は、装置外において筆や刷毛等を用いてユーザにより手塗りされることが予定されている。
下地層Mgは、その上にデザインの印刷を行ったときにインクの発色がよくなるように、白色若しくはこれに近い色であることが好ましい。このため、下地層Mgを形成するための下地用コート剤(本実施形態における「第2の液剤」)も、例えば溶質として酸化チタン等の白色成分を含む液剤が好ましい。白色等で下地層Mgを形成することにより、爪Tと、その周辺の皮膚の色(肌色等)との区別もつきやすくなり、爪Tの範囲(以下「爪領域」とする)をより正確に認識しやすくなる。後述するように本実施形態では、下地用の液剤(下地用コート剤等)により下地層Mgが形成された領域を爪画像から検出してこれを印刷範囲としての「爪領域Art」(図7図8参照)とする。
【0022】
マスク用ヘッド41aによって印刷される「マスキングコート剤」(「第1の液剤」)としては、例えば水等の溶媒に、溶質として水溶性のシロキサン化合物等のシリコン系の化合物やフッ素系化合物等を含む液剤が適用される。
なお、「マスキングコート剤」(「第1の液剤」)を構成する化合物等は、ここに示した例に限定されない。「マスキングコート剤」(「第1の液剤」)は、「第2の液剤」である「下地用コート剤」等との密着性が低いものであればよく、例えば水であってもある程度の効果が期待できる。
【0023】
デザイン用ヘッド41bは、後述の爪認識部315(図3参照)により爪領域Art(図7等参照)と認識(検出)された領域を印刷範囲として、爪Tに「第1の液剤」である「マスキングコート剤」と異なる「第3の液剤」である「デザイン用インク」を塗布する「第2の印刷ヘッド」である。デザイン用ヘッド41bは、下地層Mgが形成された爪Tを撮影して得た爪画像に基づいて爪領域Artと認識された領域にデザイン印刷を行う。デザイン用ヘッド41bは、例えばシアン(C;CYAN)、マゼンタ(M;MAGENTA)、イエロー(Y;YELLOW)等の各色のインク(「第3の液剤」、以下「色インク」ともいう。)を吐出可能となっている。なお、デザイン用ヘッド41bが吐出可能な色インクの種類はこれに限定されず、この他の色のインクを吐出可能となっていてもよい。
【0024】
本実施形態において、マスク用ヘッド41a及びデザイン用ヘッド41bは、いずれも爪表面に対向する面がインクを吐出させる複数のノズル口を備えたインク吐出面(図示せず)となっており、インクを微滴化し、インク吐出面から印刷対象(爪T)の被印刷面である爪表面に対して直接にインクを吹き付けて印刷を行うインクジェット方式のインクジェットヘッドである。印刷ヘッド41の構成は特に限定されないが、例えばインク吐出面等の吐出機構部と内部にインクを貯留するインクカートリッジ(いずれも図示せず)とが一体となったカートリッジ一体型のヘッドである。
【0025】
ヘッド移動機構49は、印刷ヘッド41(印刷ヘッド41を搭載するキャリッジ42)を装置の左右方向(X方向)に移動させるためのX方向移動モータ46を備えるX方向の移動機構及び印刷ヘッド41(印刷ヘッド41を搭載するキャリッジ42)を装置の前後方向(Y方向)に移動させるためのY方向移動モータ48を備えるY方向の移動機構を含んでいる。
【0026】
本実施形態において支持部材12の天板121と基台11との間には、印刷ヘッド41が移動する空間が確保される。
ヘッド移動機構49は、この天板121と基台11との間の空間において、X方向移動モータ46を駆動させることにより印刷ヘッド41を装置の左右方向(X方向)に移動させる。また、Y方向移動モータ48を駆動させることにより印刷ヘッド41を装置の前後方向(Y方向)に移動させる。
ヘッド移動機構49のX方向移動モータ46、Y方向移動モータ48及び印刷ヘッド41(印刷ヘッド41の吐出機構部)の動作は、後述の制御装置30の印刷制御部316(図3参照)によって制御される。
【0027】
また、装置本体10のうち支持部材12の天板121の内側であって、指固定部6の窓部63の上方位置には、窓部63から露出する爪T(爪Tを含む指U)を撮影して爪Tの画像(爪Tを含む指Uの画像、以下「爪画像」という。)を取得する撮像部50が設けられている。撮像部50は、印刷対象(本実施形態では爪T)の画像を取得する。
撮像部50は、例えばカメラ51と、撮影対象である爪Tを照明する光源52とを備えている。カメラ51は、例えば所定以上の画素を有するCCD(Charge Coupled Device)型やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型等の固体撮影素子とレンズ等を備えて構成されている。光源52は、例えば複数の白色LED等で構成された照明ユニットである。なお光源52は、カメラ51の撮影対象を照明可能であれば、LEDに限定されない。
本実施形態では図2に示すように、支持部材12の天板121のうち、左右方向のほぼ中央部にカメラ51が配置され、カメラ51の周りを囲むように光源52が配置されている。
【0028】
なお図2ではカメラ51の左右(X方向の両側)に光源52が配置されている場合を示しているが、カメラ51や光源52の配置等は図示例に限定されない。例えば光源52はカメラ51の左右だけでなく前後(Y方向の両側)等にも配置されてもよい。
また撮像部50は、指固定部6に載置された指Uの爪Tを撮影可能な位置に設けられていればよく、具体的な配置は特に限定されない。
例えば、撮像部50は、印刷ヘッド41を移動させるヘッド移動機構49等によってXY方向に移動可能に構成されていてもよい。
【0029】
この撮像部50は、後述する制御装置30の撮影制御部312(図3参照)によって制御される。
カメラ51によって撮影された爪画像は、撮影制御部312において取得される。爪画像は、後述する記憶部32に記憶されてもよい。
なお、撮像部50によって撮影された画像の画像データは、連携する端末装置7に適宜送信されて、表示部72等に表示されてもよい。
【0030】
制御装置30は、例えば支持部材12の天板121の内側(下面側)等に配置された図示しない基板等に搭載されている。
制御装置30は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサで構成される制御部31と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等(いずれも図示せず)で構成される記憶部32とを備えるコンピュータである。
なお、記憶部32は別構成とし、制御装置30の外部に設けるようにしてもよい。
【0031】
記憶部32は、印刷装置1を動作させるための各種プログラム等が格納されたプログラム記憶領域321を有している。
具体的には、記憶部32には、印刷処理を行うための印刷プログラム等が格納されており、制御部31がこれらのプログラムを例えばRAMの作業領域に展開して、プログラムが制御部31において実行されることによって、印刷装置1の各部が統括制御されるようになっている。
【0032】
本実施形態の制御部31は、機能的に見た場合、通信制御部311、撮影制御部312、検出部314、爪認識部315、印刷制御部316等を備えている。これら通信制御部311、撮影制御部312、検出部314、爪認識部315、印刷制御部316等としての機能は、制御部31と記憶部32のプログラム記憶領域321に記憶されたプログラムとの協働によって実現される。
【0033】
通信制御部311は、通信部13の動作を制御するものである。
通信部13は、端末装置7の通信部73との間で通信可能な無線通信モジュール等を備えており、通信制御部311は、印刷装置1、端末装置7間で各種のデータ等を送受信する際に通信部13の動作を制御する。
本実施形態の印刷装置1は、後述する端末装置7と連携してネイルデザイン(以下単に「デザイン」ともいう。)の印刷を行うようになっている。
例えば爪Tに印刷するデザインのデータは端末装置7側に記憶されており、通信制御部311は適宜通信部13による通信を制御し、通信部13を介して端末装置7側からデザインのデータを取得する。
【0034】
印刷装置1と端末装置7との間での通信は、インターネット等のネットワーク回線を使うものであってもよいし、例えばBluetooth(登録商標)やWi-Fi等の近距離無線通信規格に基づく無線通信を行うものであってもよい。ネットワークを介して通信を行う場合、通信に用いるネットワークはどのような回線を利用するものでもよい。また、印刷装置1と端末装置7との間の通信は無線に限定されず、有線接続により両者間で各種データの送受信が可能な構成としてもよい。
なお、通信部13は、端末装置7との間で通信を行うことのできるものであればよく、端末装置7の通信部73の通信規格と合致するものが適用される。
【0035】
撮影制御部312は、撮像部50のカメラ51及び光源52を制御してカメラ51により、印刷対象(本実施形態では、指固定部6に載置された指Uの爪T)の画像を含む指Uの画像(爪画像)を撮影させる。
本実施形態では、後述するように撮像部50は下地用コート剤(「第2の液剤」)が塗布され下地層Mg(図7参照)が形成された状態の爪Tを撮影するようになっている。撮像部50により撮影された当該爪Tの画像(爪画像)は、撮影制御部312に送られ取得される。なお、撮影制御部312は爪画像を記憶部32に記憶させてもよい。また爪画像は通信部13等を介して端末装置7に送られて端末装置側の表示部72等において表示可能となってもよい。
【0036】
検出部314は、指固定部6に指Uが配置(セット)されるとこれを検出する。
本実施形態では、指固定部6の窓部63周辺は撮像部50のカメラ51で随時撮影されており、指Uが配置(セット)されると、カメラ51により取得された画像から検出部314によって指Uの存在が認識される。
なお、検出部314は画像に基づいて指Uが配置されていることを検出するものに限定されない。例えば指固定部6の指固定部材62等に接触センサ等を設けておき、指Uがセンサによって検出されると、指が配置されたことを検出部314が検出してもよい。
【0037】
爪認識部315は、指固定部6に配置された指Uを撮像部50で撮影して得られた爪Tの画像(爪画像)に基づいて、指Uの爪Tについての爪情報を認識(検出)する。
爪認識部315は、例えば爪Tの形状を認識(地爪認識)する。また爪認識部315は、装置外において少なくとも爪Tに「第2の液剤」が塗布されたのち、「第1の液剤」である「マスキングコート剤」(「マスキングコート剤」で形成されたマスキング印刷Mc)が除去された指Uが指固定部6に配置されると、当該指Uの爪Tの爪領域を認識(検出)する爪領域検出部としても機能する。
本実施形態において爪認識部315は、指Uの爪Tの爪輪郭を検出し爪輪郭の内側領域を爪領域として認識(検出)する。本実施形態では、爪領域として検出(認識)された領域が印刷部40により印刷が行われる印刷範囲となる。
【0038】
爪認識部315が爪画像から爪領域(爪輪郭)を認識(検出)する手法は特に限定されない。
例えば撮像部50で撮影された爪画像について各種画像解析を行うことで、爪Tとそれ以外の部分(指Uの皮膚等)との輝度差等を検出し、輪郭形状を検出する。
本実施形態では、ユーザが手塗りによって爪Tに「第2の液剤」として「下地用コート剤」を塗布することで、下地層Mg(図6図7参照)が形成される。爪領域検出部としての爪認識部315は、この下地層Mgが形成されている領域を爪領域Artと認識する。下地層Mgは白色等であり、爪周辺の皮膚との区別が付きやすい。このため爪認識部315は、爪領域Artをより正確に認識(検出)することができる。
【0039】
なお、爪認識部315によって認識(検出)される情報は爪領域(爪輪郭)に限定されない。各種の爪情報を認識することができるとしてもよい。
爪認識部315によって検出(認識)される爪情報は、例えば、爪Tの表面の、XY平面に対する傾斜角度(爪Tの傾斜角度、爪曲率)等を含んでいてもよい。また、カメラ51によって撮影された画像等から爪Tの高さ(爪Tの垂直方向の位置)を取得できる場合には、爪Tの高さも爪情報に含まれてよい。
【0040】
印刷制御部316は、印刷用データにしたがって爪Tに印刷を施すように印刷部40を制御する。
具体的には、印刷制御部316は、印刷用データに基づいて印刷部40に制御信号を出力し、爪Tに対してこの印刷用データにしたがった印刷を施すように印刷部40のX方向移動モータ46、Y方向移動モータ48、印刷ヘッド41等を制御する。
【0041】
本実施形態では、印刷制御部316が、爪認識部315によって認識された爪領域Artに所望のデザインを合わせ込んで印刷用データを生成する。
具体的には、例えば印刷制御部316は、ユーザによって選択されたネイルデザイン(デザイン)の画像データを、爪領域Artを画する爪輪郭に外接する矩形枠に合うように切り出し、適宜拡大縮小、配置の調整等を行うとともに、爪画像から検出された爪領域Artの形状に合わせてフィッティングする。
なお、爪認識部315において爪Tの曲率等が取得された場合には、印刷制御部316は、この爪Tの曲率等に基づいて、印刷用データに適宜曲面補正を行ってもよい。曲面補正を行った場合には、より爪Tの形状に合った印刷用データを生成することができる。
【0042】
また制御部31は、検出部314が指固定部6に指Uが配置されたことを検出しないときには、装置各部の動作を停止させるように制御する動作制御手段としても機能してもよい。これにより、印刷対象である爪Tが配置されていない状態で無駄に装置が動作することを防止することができる。
【0043】
さらに本実施形態では、「第1の液剤」である「マスキングコート剤」を塗布するマスキング印刷Mcが施された後、一旦装置外に取り出され装置外において爪Tに「第2の液剤」(本実施形態では「下地用コート剤」)が塗布された指Uが、再度装置内(装置内の指固定部6)に配置されたときには、制御部31が判断部として、当該指が、前記第1の液剤が塗布された指と同一の指であるか否かを判断する。
そして、判断部としての制御部31が、装置内に同一の指Uが配置されたと判断されたときに、「第2の印刷ヘッド」であるデザイン用ヘッド41bにより、当該指Uの爪Tに「第3の液剤」であるデザイン用インクを塗布するようになっている。
このため、まだマスキング印刷Mcを施していない(すなわち、下地層Mgが正しく形成されていない可能性の高い)爪Tに対応する指Uを誤って配置してしまった場合でも当該爪Tにそのままデザイン印刷がされるのを防止することができる。
【0044】
また、前述のように、本実施形態の印刷装置1は、端末装置7と連携して爪Tに対する印刷を行う。
端末装置7は、例えばスマートフォン等の携帯端末装置である。なお、端末装置7はスマートフォンに限定されない。例えばタブレット型のパーソナルコンピュータ(以下において「PC」とする。)やノート型のPC、据置型のPC、ゲーム用の端末装置等であってもよい。
図2に示すように、端末装置7は、操作部71、表示部72、通信部73及び制御装置80等を備えている。
【0045】
操作部71は、ユーザの操作に応じて各種の入力・設定等を行うことができるようになっており、例えば表示部72の表面に一体的に設けられたタッチパネルである(図1参照)。操作部71が操作されると、当該操作に対応する入力信号が制御部81に送信される。
表示部72に構成されるタッチパネルには、制御部81の制御にしたがって各種の操作画面が表示され、ユーザはタッチパネルへのタッチ操作によって各種の入力・設定等の操作を行うことができる。
なお、各種の入力・設定等の操作を行う操作部71はタッチパネルである場合に限定されない。例えば各種の操作ボタンやキーボード、ポインティングデバイス等が操作部71として設けられていてもよい。
【0046】
本実施形態では、ユーザが操作部71を操作することで、端末装置7から印刷装置1に対して印刷開始等の各種指示が出力されるようになっており、端末装置7は印刷装置1の操作部としても機能する。
また、ユーザが操作部71を操作することで、爪Tに印刷するネイルデザイン(単に「デザイン」ともいう)を選択すること等ができるようになっている。
【0047】
表示部72は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のフラットディスプレイ等で構成されている。
なお、前述のように、表示部72の表面に各種の入力を行うためのタッチパネルが一体的に構成されていてもよい。この場合には、タッチパネルが操作部71として機能する。
表示部72は、後述する制御装置80の制御部81に接続され、該制御部81によって制御される。
【0048】
表示部72は、各種の画面を表示させる表示手段である。本実施形態では、ユーザが操作部71から入力・選択したネイルデザインや、各種の案内画面、警告表示画面等が表示部72に表示可能となっている。
また、本実施形態において表示部72には、印刷装置1の撮像部50(撮像部50のカメラ51)で撮影された爪画像が適宜表示される。表示部72に爪Tにデザインを印刷した場合の印刷イメージがプレビュー画像として表示されてもよい。また、印刷装置1の撮像部50が動画撮影可能に構成されている場合には、ユーザが指固定部6に指Uをセット(配置)する様子を撮像部50により撮影し、得られた画像を表示部72にライブビュー画像として表示させてもよい。
特にユーザが指固定部6に指Uを配置する際、指Uや爪Tを撮影した画像を表示させることで、ユーザは自分の指Uが正しく配置されているか否かを容易に確認し、位置がずれている場合には正しく修正することができる。
【0049】
通信部73は、印刷装置1の通信部13との間で通信可能に構成されたものである。
印刷装置1と端末装置7との間での通信は、前述のように、無線接続方式、有線接続方式のどちらでもよく、具体的な方式は限定されない。通信部73は印刷装置1との間で通信を行うことのできるものであればよく、印刷装置1の通信部13の通信規格と合致するものが適用される。
通信部73は、後述する制御装置80の制御部81に接続され、該制御部81によって制御される。
【0050】
図2に示すように、本実施形態の端末装置7の制御装置80は、図示しないCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサにより構成される制御部81と、図示しないROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等で構成される記憶部82とを備えるコンピュータである。
【0051】
記憶部82には、端末装置7の各部を動作させるための各種プログラムや各種データ等が格納されている。
具体的には、記憶部82のROM等には、端末装置7の各部を統括制御するための動作プログラム821aの他、印刷装置1を用いたネイルプリントを行うためのネイルプリントアプリケーションプログラム821b(以下「ネイルプリントAP」とする。)等の各種プログラムが格納されたプログラム記憶領域821が設けられており、制御部81がこれらのプログラムを例えばRAMの作業領域に展開して、プログラムが制御部81において実行されることによって、端末装置7の各部が統括制御されるようになっている。
【0052】
また図示は省略するが、本実施形態の記憶部82には、ネイルデザイン(デザイン)のデータが記憶されている。
なお、記憶部82に格納されるネイルデザイン(デザイン)は、予め用意された既存のデザインであってもよいし、ユーザが自ら作成したデザインであってもよい。
また、端末装置7が各種ネットワークに接続可能である場合には、ネットワーク接続可能な図示しないサーバ装置等に記憶されているネイルデザイン(デザイン)を取り込んで記憶部82に記憶させることができてもよい。
なお、記憶部32に記憶される情報はここに例示したものに限定されず、各種の情報が記憶されてもよい。
【0053】
端末装置7の制御部81は、機能的に見た場合、通信部73の動作を制御する通信制御部、表示部72を制御して表示部72に各種の表示画面を表示させる表示制御部等として機能する。これらの機能は、制御部81のCPUと記憶部82のROMに記憶されたプログラムとの協働によって実現される。なお、端末装置7の制御部81が備える機能はこれに限定されず、その他各種の機能部を備えていてもよい。
【0054】
次に、図4から図8を参照しつつ、本実施形態の印刷装置の作用、印刷制御処理について説明する。
図4は、本実施形態における印刷制御処理を示すフローチャートである。図4では、ユーザによって手塗りされる「第2の液剤」が「下地用コート剤」である場合を例に説明する。
図4に示すように、まず端末装置7の表示部72等においてネイルプリント(ネイルデザインの印刷)を行いたい爪Tに対応する指Uを印刷装置1の指固定部6に配置(セット)するようにユーザに促す表示を行う(ステップS1)。
制御部31の検出部314は、指固定部6に指Uが配置されたか否かを随時判断し(ステップS2)、配置されていない場合(ステップS2;NO)には、ステップS1の処理を繰り返す。
【0055】
指固定部6の窓部63周辺は撮像部50のカメラ51で随時撮影されており、指Uが配置されると、カメラ51により取得された画像から検出部314に認識されるようになっている。指Uが配置されたと認識されると(ステップS2;YES)、制御部31の撮影制御部312が爪Tを含む指Uを撮像部50のカメラ51で撮影させる。撮影された爪画像(地爪を含む指Uを撮影した画像)は制御部31(撮影制御部312)に取得される(ステップS3)。そして、爪認識部315において、爪画像(地爪の爪画像)から爪領域が検出(認識)される(すなわち、地爪領域の認識、ステップS4)。
【0056】
爪領域が検出されると、制御部31は、検出された爪領域(地爪領域)の周辺にマスキング印刷を行うためのマスク用データを生成し、マスク用ヘッド41aにより、爪Tにマスキング印刷Mc(図5等参照)を施す(ステップS5)。
爪Tの周囲にマスキング印刷Mcを施した指Uの一例を図5に示す。図5では指Uのうちマスキング印刷Mcの下に隠れる部分を破線で示している。
また、ステップS5においてマスキング印刷Mcが行われた爪Tについて、ステップS4で検出された爪領域に係る情報や指Uの形状に係る情報と、ステップS5でマスキング印刷Mcが行われたという情報と、が対応付けられた状態で、印刷装置1の記憶部32に記憶されるようになっている。
【0057】
図5に示すように、マスキング印刷Mcは爪Tの領域を避けて爪領域(地爪領域)の外側に施される。マスキング印刷Mcは指Uの外側まで広く行われてもよい。これにより仮に指固定部6にまで「マスキングコート剤」(「第1の液剤」)が付着したとしても、次に指Uを指固定部6に配置したときには指Uの腹側に「マスキングコート剤」が付着するおそれがあるだけであり、爪Tへの印刷には影響しない。
なお、指固定部6の指固定部材62が例えば黒色等で形成されている場合、指固定部材62の上に配置された指Uの輪郭形状を画像から容易に検出することができる。このため、マスキング印刷Mcの範囲が爪領域の外側であって指Uの範囲内に留まるようにマスク用データを生成し、「マスキングコート剤」が指Uからはみ出さないようにマスキング印刷Mcを施すようにしてもよい。
【0058】
マスキング印刷が完了すると、端末装置7の表示部72等に、装置外で下地用コート剤を塗布し、下地層Mgを形成後にマスキング印刷Mcを除去してから再度指Uを印刷装置1の指固定部6にセットするようユーザに促す表示を行う(ステップS6)。なお、上記の表示に代えて、または加えて、爪からはみ出した下地層(So)がある場合には、はみ出した下地層を除去してから再度指Uを印刷装置1の指固定部6にセットするようユーザに促す表示を行うようにしてもよい。
ユーザは、筆や刷毛等を用いて装置外において、マスキング印刷Mcが施された指Uの爪Tに下地用コート剤を塗布する。このとき、ユーザは爪Tの範囲からはみ出さないように気を使いながら下地用コート剤を塗布する必要がなく、爪Tの範囲内に塗り残しがないか、むらがないか等にだけ注意すればよい。
なお、下地用コート剤を塗布したらユーザはドライヤや専用の乾燥装置等を用いて爪Tを乾燥させる。これにより爪Tに下地層Mg(図6等参照)が形成される。また図示は省略するが、下地層Mgが形成されると、下地層Mgの上にさらにプレプリントコートを塗布し、これを乾燥させてインク受容層を形成することが好ましい。これにより次のデザイン印刷において塗布されるデザイン用インクを爪Tの上に良好に定着させることができる。
【0059】
図6は、マスキング印刷が施された指の爪に下地用コート剤を塗布した状態の一例を示す図である。
図6に示す例では、爪T全体に下地用コート剤が塗布され、さらに爪Tの右横や左下部分に、下地用コート剤がはみ出して塗布されたはみ出し部分Soを生じている。ただ、はみ出し部分Soは、マスキング印刷Mcの上にはみ出して塗られているだけである。このため、指Uを水等で洗うことで、マスキング印刷Mcごとはみ出し部分Soを容易に除去することができる。この結果、図7に示すように、爪Tの範囲(図7等において爪領域Art)だけに隅々まで白等の下地層Mg(図7参照)が形成された状態となる。なお、はみ出し部分Soが除去されればよいため、マスキング印刷Mcの一部が除去しきれずに残っていても問題はない。
【0060】
次に制御部31は、指固定部6に指Uが再度配置(セット)されたか否かを判断する(ステップS7)。なお、指固定部6から指Uが取り外されると制御部31は動作制御手段として印刷装置1の各部の動作を停止させ、指固定部6に指Uがセットされると印刷装置1の各部を起動させるように装置各部の動作を制御してもよい。これにより、印刷対象(本実施形態では爪T)のない状態で無駄に装置が動作することを防ぐことができる。
【0061】
指固定部6に指Uが配置(セット)されるまで(ステップS7;NO)は、ステップS6に示す表示を行い、ステップS7の判断を繰り返す。
他方、指固定部6に再度指Uが配置(セット)されると(ステップS7;YES)、制御部31は撮像部50のカメラ51を動作させて、爪Tとその周辺を撮影させ、爪画像を取得する(ステップS8)。
制御部31は判定部として、爪画像から、マスキング印刷Mcを施した指Uと同一の指Uが指固定部6に配置(セット)されたか否かを判断する(ステップS9)。指Uの同一性を判断する手法は特に限定されない。例えば指Uの形状同士をテンプレートマッチング等によって比較して同一性を判断してもよい。また、比較する対象は指Uでなくてもよく、例えば爪Tの形状同士を比較して同一性を判断してもよい。
上述したように、ステップS5でマスキング印刷Mcが行われた爪Tについて、その爪情報や爪Tに対応する指の形状に係る情報が対応付けられて記憶部32に記憶される。このため、例えば、第1の指の爪(人差し指の爪)、第2の指の爪(中指の爪)についてステップS5においてこの順でマスキング印刷Mcが行われた後、ステップS7において最初に配置された指が第2の指である場合でも、この指がマスキング印刷を施した指と一致するかどうかを判定することができる。すなわち、複数本の指Uの爪Tについてまとめてマスキング印刷Mcを施した後、1本ずつ指固定部6に配置(セット)して印刷を行う場合でも、当該指Uがマスキング印刷Mcを施した指Uであるか否かを適切に判定することができる。
【0062】
指固定部6に配置された指Uがマスキング印刷Mcを施した指Uと異なる場合(ステップS9;NO)には、指Uが異なる旨を表示部72等にエラー表示させるとともに、マスキング印刷を行った指Uと同一の指Uを配置するようにユーザに促す表示を行う(ステップS10)。そして、ステップS7に戻って指Uが配置されたか否かの判断以降の処理を繰り返す。なお、複数の爪Tについて順次マスキング印刷Mcを行った場合には、指固定部6に配置された指Uが、マスキング印刷Mcを施したことが記憶されている全ての爪情報に対応する指Uと異なる場合に、指Uが異なる旨を表示部72等にエラー表示させるようにする。
一方、マスキング印刷Mcを施した指Uと同一の指Uが指固定部6に配置されている場合(ステップS9;YES)には、制御部31(爪認識部315)は、指固定部6に配置された爪Tを含む指Uが撮影された爪画像から爪領域Art(図7参照)等の爪情報を検出(認識)する(ステップS11)。そして、印刷範囲(すなわち、爪領域Artとして認識された範囲)に合わせて制御部31がデザイン用印刷データを生成する(ステップS12)。
【0063】
具体的には、ユーザが爪Tに施したいデザイン(ネイルデザイン)として選択したデザインDを爪領域Artとして認識された範囲に合わせ込む。そして適宜必要な補正等を施して、デザインDを爪領域Artに印刷するためのデザイン用印刷データを生成する。
なお、爪Tに印刷したいデザインDの選択は、どの段階で行われてもよい。例えば下地用コート剤の塗布後、指Uが再度印刷装置1の指固定部6にセットされるタイミングでデザインDの選択・入力が行われてもよいし、一連の印刷処理を始める前にデザインDを予め選択・入力しておいてもよい。
【0064】
制御部31は、生成されたデザイン用印刷データを印刷部40に出力し、印刷部40のデザイン用ヘッド41b等を動作させ、爪領域Artとして認識された範囲に、デザイン用印刷データにしたがったデザイン印刷が行わせる(ステップS13)。
これにより、図8に示すように、過不足のない範囲に下地層Mgが施された爪領域Artに所望のデザインDが印刷される。
なお、デザインDが印刷された上からさらにトップコートを塗布してもよい。トップコートの塗布も、装置外においてユーザにより筆や刷毛等を用いて行われる。トップコートを塗布することにより、もちのよいネイルプリントを実現することができる。
【0065】
このように、爪Tの周囲にマスキング印刷Mcを施した上で下地用コート剤を塗布し、下地層Mgを形成することで、ネイルプリントの施術に慣れていないユーザの場合や、利き手ではない方の手で施術を行う場合等にも、例えば図6に示すように、下地用コート剤のはみ出しを気にせずに下地層Mgを形成することができる。このため、ユーザの技量等に左右されることなく、爪Tの隅々まで丁寧に下地層Mgを施すことができ、仕上がりの美しいネイルプリントを行うことができる。
【0066】
以上のように、本実施形態によれば、印刷装置1が、指固定部材62に指Uが配置されたことを検出する検出部314と、指固定部材62に配置されたことが検出された指Uについて爪Tの形状を認識する爪認識部315と、少なくとも爪認識部315により認識された爪Tの周辺の指部に、爪Tに塗布される他の液剤(特に「下地用コート剤」)との密着性が低く、「他の液剤」よりも皮膚から剥離させやすい性質を有する「マスキングコート剤」(「第1の液剤」)を塗布する第1の印刷ヘッドであるマスク用ヘッド41aと、を備えている。
このため、「下地用コート剤」が爪Tからはみ出して塗布されても、「マスキングコート剤」(「マスキングコート剤」を塗布することで爪Tの周りに施されたマスキング印刷Mc)を除去すれば「マスキングコート剤」(マスキング印刷Mc)の上に乗っていた「下地用コート剤」(図6のはみだし部分So)も一緒に除去することができる。
これにより、ネイルプリントの施術に慣れていないユーザ等でも指Uの汚れを気にせず、大胆に「下地用コート剤」を塗布することができ、爪Tの隅々まできれいに下地層Mgを形成することができる。そして爪T全体に過不足なく下地層Mgが形成されることで、下地層Mgが形成された部分を検出すれば正しく爪Tの領域を検出することができる。
【0067】
また本実施形態の印刷装置1は、指固定部材62に指Uが配置されたことを検出する検出部314と、指固定部材62に配置されたことが検出された指Uについて爪Tの形状を認識する爪認識部315と、少なくとも爪認識部315により認識された爪Tの周辺の指部に、爪Tに塗布される他の液剤(特に「下地用コート剤」)との密着性が低いとともに皮膚から剥離させやすい性質を有する「マスキングコート剤」(「第1の液剤」)を塗布する「第1の印刷ヘッド」であるマスク用ヘッド41aと、装置外において少なくとも爪Tに「第2の液剤」としての「下地用コート剤」が塗布されたのち、「マスキングコート剤」(「第1の液剤」)が除去された爪Tの爪領域Artを検出する爪領域検出部としての爪認識部315と、爪認識部315により爪領域Artとして検出された領域を印刷範囲として、爪Tに「第1の液剤」(すなわち「マスキングコート剤」)と異なる「第3の液剤」(すなわち「デザイン用インク」)を塗布する「第2の印刷ヘッド」であるデザイン用ヘッド41bと、を備えている。
このため、「下地用コート剤」が爪Tからはみ出して塗布されても、「マスキングコート剤」を除去すれば「マスキングコート剤」の上に乗っていた「下地用コート剤」(図6のはみだし部分So)も一緒に除去することができる。
これにより、ネイルプリントの施術に慣れていないユーザ等でも指Uの汚れを気にせず、大胆に「下地用コート剤」を塗布することができ、爪Tの隅々まできれいに下地層Mgを形成することができる。そして爪T全体に過不足なく下地層Mgが形成されることで、下地層Mgが形成された部分を検出すれば正しく爪Tの領域を検出することができる。そして下地層Mgが形成された正しい爪領域Art内にデザインDを印刷することができ、発色のよいネイルプリントを容易に完成させることができる。
【0068】
また本実施形態において、検出部として指Uが配置されたことを検出できないときは、制御部31が動作制御部として、装置各部の動作を停止させるように制御する。
このため、印刷対象である爪Tが存在していない状態で装置が無駄に動作するのを防ぐことができる。
【0069】
また本実施形態において、「他の液剤」は爪Tに下地層Mgを形成するための液剤(すなわち「下地用コート剤」)を含んでいる。
例えば下地層Mgを形成する「下地用コート剤」は白色等の液剤であり、爪T以外の部分に付着すると目立ってしまう。
この点、本実施形態では爪Tの周囲に、「他の液剤」との密着性が低いとともに皮膚から剥離させやすい「マスキングコート剤」を塗布するマスキング印刷を行う。このため、仮に「下地用コート剤」等の「他の液剤」が爪Tからはみ出して塗布されてしまった場合にも水等で洗うだけで容易に除去することができる。このため、ユーザは手指の汚れを気にせずネイルプリントの施術を行うことができる。
【0070】
また本実施形態において、一旦装置外に取り出され、装置外で爪Tに「第2の液剤」(本実施形態では「下地用コート剤」)が塗布された指Uが、再度装置内に配置されたときに、当該指Uが、「第1の液剤」(すなわち「マスキングコート剤」)が塗布された指Uと同一の指であるか否かを判断する判断部として機能する制御部31をさらに備え、「第2の印刷ヘッド」(本実施形態では「デザイン用ヘッド41b)は、判断部としての制御部31により同一の指Uが配置されたと判断されたときに、当該指Uの爪にT「第3の液剤」(本実施形態では「デザイン用インク」)を塗布する。
このため、確実に下地層Mgが形成された上にデザインDを印刷することができ、発色のよい良好な仕上がりのネイルプリントを実現することができる。
【0071】
また本実施形態において、「第2の液剤」は爪に下地層Mgを形成する「下地用コート剤」であり、爪領域検出部であり爪認識部315は、「第2の液剤」である「下地用コート剤」により下地層Mgが形成されている領域を爪領域Artとして検出する。
マスキング印刷が施されることで、はみ出し等を気にせず爪Tの隅々まで下地層Mgを形成することができ、下地層Mgが形成されている領域が印刷範囲となる爪Tの領域と正しく一致する。
【0072】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0073】
例えば、本実施形態では、マスキング印刷Mcが施されたのちに塗布される「第2の液剤」が下地層Mgを形成する「下地用コート剤」である場合を例示したが、「第2の液剤」は「下地用コート剤」に限定されない。
例えば「第2の液剤」はユーザによって手塗りされるマニキュア液等であってもよい。この場合印刷装置1は、「マスキングコート剤」を印刷するマスク用ヘッド41aのみ備えていればよく、デザイン印刷を行うデザイン用ヘッド41bを備えていなくてもよい。
マニキュア液を爪Tに塗布するだけの無地のネイルデザインを爪Tに施す場合にもネイルプリントの施術に慣れていないユーザが施術を行う場合や利き手ではない手で施術を行う場合には、マニキュア液を爪Tからはみ出さないように塗布することは難しい。
このような場合でも爪Tの周りにマスキング印刷Mcが施されていれば、爪Tからはみ出すことを気にせずに大胆にマニキュア液を塗布することができる。そして、マニキュア液の塗布後にマスキング印刷Mcを除去すれば爪Tの範囲内にだけきれいにマニキュアが施された状態とすることができる。このため、指の汚れ等を気にせず、またユーザの技量に関わらず、手軽にネイルデザインの施術を楽しむことができる。
【0074】
また、本実施形態では、1つの印刷装置1が印刷ヘッド41としてマスク用ヘッド41aとデザイン用ヘッド41bとを備え、マスク用ヘッド41aによって「マスキングコート剤」を印刷する場合を例示したが、印刷装置1の構成はこれに限定されない。
例えば、デザイン用インク(カラーインク、「第3の液剤」)によりデザインを印刷する印刷ヘッドを備えるデザイン印刷用の印刷装置と、マスキングコート剤(「第1の液剤」)を印刷する印刷部(印刷ヘッド等)を備えるマスク印刷専用の印刷装置とを用意してもよい。この場合には、マスク印刷専用の印刷装置を用いて爪Tにマスキングコート剤(「第1の液剤」)を塗布(印刷)してマスキング印刷Mcを施し、装置外で下地用コート剤を塗布してから、デザイン印刷用の印刷装置の指固定部に指を保持させて爪にデザインの印刷を行ってもよい。
【0075】
また、マスキングコート剤(「第1の液剤」)によってマスキング印刷Mcをどの範囲で施すかはユーザが設定できてもよい。
例えば爪Tを含む指Uの画像を端末装置7の表示部72等に表示させてマスキング印刷Mcを施したい範囲をユーザが画面上で囲むことで設定できるようにしてもよい。この場合、囲まれた範囲のうち爪Tの領域を除く範囲がマスキング印刷Mcを施す範囲となる。
また、図5に示すような画像を端末装置7の表示部72等に表示させてマスキング印刷Mcを施す範囲として囲まれている枠をユーザが確認し、任意に拡縮して調整できるようにしてもよい。
このようにユーザによるマスキング印刷Mcの範囲の調整を可能とすれば、自身の技量や癖(横方向に多くはみ出しがちである等)に応じて、適切な範囲にマスキング印刷Mcを施すことができる。
【0076】
また、本実施形態では、印刷装置1が端末装置7と連携して爪に印刷を行う場合を例示したが、印刷装置1はここに示すようなものに限定されず、単体で印刷動作が完結するように構成されたものであってもよい。
例えば、本実施形態では、端末装置7側に表示部72を備えるとともに、印刷開始指示の入力やネイルデザイン(デザイン)の選択等を端末装置7側の操作部71から行う場合を例としたが、印刷装置1に表示部を設け、各種指示の入力等についても印刷装置1側の操作部14において行う構成としてもよい。この場合、印刷装置1の表示部にタッチパネルを一体的に設け、タッチパネル式の操作部によって各種の入力操作を行えるようにしてもよい。
この場合、爪や指の配置位置の確認、爪画像や爪領域、印刷イメージの確認から印刷処理までを1つの装置で完結させることができ、簡易な構成とすることができる。
【0077】
また、本実施形態では、ネイルデザイン(デザイン)のデータが端末装置7の記憶部82に格納去されている場合を例示したが、ネイルデザインのデータは端末装置7の記憶部82に保存されている場合に限定されず、印刷装置1の記憶部32に保存されていてもよい。
また、ネットワーク回線等を介して接続可能なサーバ装置等にネイルデザインの画像データを記憶させておき、サーバ装置等にアクセスしてネイルデザインのデータを参照可能に構成してもよい。
このようにすることで、記憶部82等の容量を大きくしなくても、より多くのネイルデザインの中から印刷するデザインを選択することが可能となる。
【0078】
なお、本実施形態では、爪認識部315等が印刷装置1の制御部31に設けられており、印刷データの生成も制御部31で行われる場合を例示したが、装置構成は実施形態に示したものに限定されない。
例えば端末装置7の制御部81が爪認識部315や、印刷データ生成部等として各種処理を行うようにしてもよい。この場合には、撮像部50で撮影された画像(爪画像)が端末装置7の制御部81に送られ、各種の画像処理等を端末装置7の制御部81において行う。そして印刷装置1は処理後の検出結果や印刷用データ等を端末装置7側から受け取るようにする。この場合には各種処理に対応するプログラム等が端末装置7の記憶部82に格納される。
このような構成とすれば印刷装置1のCPU及び記憶部32にかかる負荷が少なくなりより簡易な構成で印刷制御処理を行うことができる。
【0079】
また、本実施形態では、印刷装置1の印刷ヘッド41として、インクジェット方式の印刷ヘッド41を備える構成としたが、印刷ヘッド41の構成はこれに限定されない。
シリンジ型のヘッドやペン型のヘッド等、インクジェット方式の印刷ヘッド41とは異なる構成のものを備えてもよい。
この場合には、ある程度粘度の高いインクや液剤を印刷することも可能となる。
【0080】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0081】
1 印刷装置
6 指固定部
7 端末装置
31 制御部
32 記憶部
40 印刷部
41 印刷ヘッド
41a マスク用ヘッド
41b デザイン用ヘッド
50 撮像部
51 カメラ
52 光源
312 撮影制御部
314 検出部
315 爪認識部
316 印刷制御部
81 制御部
82 記憶部
T 爪
U 指
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8