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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102409
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】加飾部品、加飾部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B44F 1/06 20060101AFI20240724BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240724BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20240724BHJP
   B41M 3/06 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
B44F1/06
B32B27/00 E
B32B27/20 A
B41M3/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006248
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】592076113
【氏名又は名称】株式会社名栄社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 政樹
【テーマコード(参考)】
2H113
4F100
【Fターム(参考)】
2H113AA01
2H113AA06
2H113BA09
2H113BA28
2H113BB07
2H113BB22
2H113BB32
2H113DA49
2H113DA53
2H113DA58
4F100AK15A
4F100AK25A
4F100AK45A
4F100AT00A
4F100BA04
4F100BA05
4F100CA13B
4F100CA13C
4F100CA13D
4F100DD01B
4F100DD08B
4F100EH46B
4F100GB31
4F100GB48
4F100HB01C
4F100HB21B
4F100HB26B
4F100HB31B
4F100HB31C
4F100HB31D
4F100HB35B
4F100JL10C
4F100JL10D
4F100JN01A
4F100JN01B
4F100JN01C
4F100JN02D
4F100JN08D
(57)【要約】
【課題】
部分的に凹凸を設け、さらに、凹凸表面に光を部分的に通過させて、意匠性を高めることができる加飾部品、及び加飾部品の製造方法を提供する。
【解決手段】
対象物の表面に取り付けられる加飾部品900であって、透光性の基材シート100を備え、基材シート100の表面側には、透光性のインキを塗布した薄塗部220と透光性のインキを重ねて塗布した厚塗部210とが設けられて、凹凸部200が構成されており、基材シート100の裏面側には、透光性の高い高透光部600と、透光性の低い低透光部500がインキにより形成されていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の表面に取り付けられる加飾部品であって、
透光性の基材シートを備え、
前記基材シートの表面側には、透光性のインキを塗布した薄塗部と、前記透光性のインキを重ねて塗布した厚塗部とが設けられて、凹凸部が構成されており、
前記基材シートの裏面側には、透光性の高い高透光部と、透光性の低い低透光部がインキにより形成されていることを特徴とする加飾部品。
【請求項2】
前記基材シートの裏面側には、第一着色インキが塗布された第一着色層と、更に、前記第一着色層の裏面側に、第二着色インキが塗布された第二着色層とが、形成されており、
前記高透光部は、前記第二着色層が設けられておらず、外部へ露出している第一着色層により構成され、
前記低透光部は、重ねられた前記第一着色層と前記第二着色層により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の加飾部品。
【請求項3】
前記高透光部は、図形や文字を象った形状をしていることを特徴とする請求項2に記載の加飾部品。
【請求項4】
対象物の表面に取り付けられる加飾部品の製造方法であって、
透光性の基材シートの表面側に、透光性のインキを塗布して薄塗部を形成し、さらに、前記透光性のインキを重ねて塗布して厚塗部を形成する工程と、
前記基材シートの裏面側に、インキを塗布して透光性の高い高透光部と、透光性の低い低透光部を形成することを特徴とする加飾部品の製造方法。
【請求項5】
前記基材シートの裏面側に、第一着色インキを塗布して第一着色層を形成し、更に、前記第一着色層の裏面側に、第二着色インキを塗布して第二着色層を形成する工程を備え、
前記高透光部は、前記第二着色層が設けられておらず、外部へ露出させた第一着色層により構成され、
前記低透光部は、重ねられた前記第一着色層と前記第二着色層により構成されていることを特徴とする請求項4に記載の加飾部品の製造方法。
【請求項6】
前記高透光部は、図形や文字を象った形状をしていることを特徴とする請求項5に記載の加飾部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、自動車部品や家電製品などの対象物の表面に取り付けて使用する加飾部品、及び加飾部品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車部品や家電製品などの対象物の表面に取り付けて使用する加飾部品が知られており、加飾部品の表面には凹凸が設けられているので、利用者に独特の感触を与えていた。例えば、特許文献1に示す技術のように、表面の凹凸は革などを用いて表現したり、シート状の基材にエンボス加工を施すことで表現していた。
【0003】
しかしながら、革を利用した場合は、凹凸表面に光を部分的に通過させて、光の明暗によって意匠性を高めたりすることが難しく、また、シート状の基材にエンボス加工を施す場合は、エンボスロールなどにより表面全体にエンボス加工が一様に施されるため、任意の箇所に凹凸を設けて、デザインを多様化して意匠性を高めることが難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-25668
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本願発明は上記問題に鑑み、部分的に凹凸を設け、さらに、凹凸表面に光を部分的に通過させて、意匠性を高めることができる加飾部品、及び加飾部品の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の加飾部品は、対象物の表面に取り付けられる加飾部品であって、透光性の基材シートを備え、前記基材シートの表面側には、透光性のインキを塗布した薄塗部と、前記透光性のインキを重ねて塗布した厚塗部とが設けられて、凹凸部が構成されており、前記基材シートの裏面側には、透光性の高い高透光部と、透光性の低い低透光部がインキにより形成されていることを特徴とする。
【0007】
上記特徴によれば、インキが塗布される厚さを変えることで、任意の箇所に任意の範囲で、凹凸部を部分的に形成できる。さらに、凹凸部には、高透光部からの光を部分的に通過させて、意匠性を高めることができるのである。
【0008】
さらに、本願発明の加飾部品は、前記基材シートの裏面側には、第一着色インキが塗布された第一着色層と、更に、前記第一着色層の裏面側に、第二着色インキが塗布された第二着色層とが、形成されており、前記高透光部は、前記第二着色層が設けられておらず、外部へ露出している第一着色層により構成され、前記低透光部は、重ねられた前記第一着色層と前記第二着色層により構成されていることを特徴とする。
【0009】
上記特徴によれば、高透光部は、第二着色層を設けないという簡単な構成で実現される。
【0010】
さらに、本願発明の加飾部品は、前記高透光部は、図形や文字を象った形状をしていることを特徴とする。
【0011】
上記特徴によれば、図形や文字を象った形状を浮かび上がらせることでき、意匠性に優れる。
【0012】
さらに、本願発明の加飾部品の製造方法は、対象物の表面に取り付けられる加飾部品の製造方法であって、透光性の基材シートの表面側に、透光性のインキを塗布して薄塗部を形成し、さらに、前記透光性のインキを重ねて塗布して厚塗部を形成する工程と、前記基材シートの裏面側に、インキを塗布して透光性の高い高透光部と、透光性の低い低透光部を形成することを特徴とする。
【0013】
上記特徴によれば、インキが塗布される厚さを変えることで、任意の箇所に任意の範囲で、凹凸部を部分的に形成できる。さらに、凹凸部には、高透光部からの光を部分的に通過させて、意匠性を高めることができるのである。
【0014】
さらに、本願発明の加飾部品の製造方法は、前記基材シートの裏面側に、第一着色インキを塗布して第一着色層を形成し、更に、前記第一着色層の裏面側に、第二着色インキを塗布して第二着色層を形成する工程を備え、前記高透光部は、前記第二着色層が設けられておらず、外部へ露出させた第一着色層により構成され、前記低透光部は、重ねられた前記第一着色層と前記第二着色層により構成されていることを特徴とする。
【0015】
上記特徴によれば、高透光部は、第二着色層を設けないという簡単な構成で実現される。
【0016】
さらに、本願発明の加飾部品の製造方法は、前記高透光部は、図形や文字を象った形状をしていることを特徴とする。
【0017】
上記特徴によれば、図形や文字を象った形状を浮かび上がらせることでき、意匠性に優れる。
【発明の効果】
【0018】
上述したように、本願発明の加飾部品、及び加飾部品の製造方法によれば、部分的に凹凸を設け、さらに、凹凸表面に光を部分的に通過させて、意匠性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本願発明の加飾部品の裏面側から光が照らされてない状態の平面図である。
図2】本願発明の加飾部品の裏面側から光が照らされた状態の平面図である。
図3図2のA―A端面図である。
図4図2のB―B端面図である。
図5図2のC―C端面図である。
図6図2のD―D端面図である。
【符号の説明】
【0020】
100 基材シート
200 凹凸部
210 厚塗部
220 薄塗部
500 低透光部
600 高透光部
900 加飾部品

【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本願発明の加飾部品900について、図1から図6を用いて説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本願発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。
【0022】
まず、図1及び図2に、加飾部品900の全体平面図を示す。なお、図1は、加飾部品900の裏面側から光が照らされてない状態の平面図、図2は、加飾部品900の裏面側から光が照らされた状態の平面図である。
【0023】
図1に示すように、加飾部品900は、透光性の基材シート100を備えており、その表面側に透光性のインキを塗布して凹凸部200が構成されている。また、基材シート100の表面には、部分的に透光性のインキが塗布されておらず、基材シート100の表面が外側にそのまま露出している平坦部800が設けられている。凹凸部200は、後述するように、透光性のインキにより形成されており、凹凸部200表面の感触は、本革の感触に類似している。また、平坦部800では、基材シート100の裏面側にインキが木目調に塗布されており、平坦部800には木目調のデザインが広がるようになっている。そして、この加飾部品900は、加飾部品900の裏面側を自動車のシフトレバー付近に取り付けて利用され、利用者に、本革の質感と木目調のデザインにより、高級感を与えている。なお、加飾部品900を対象物に取り付ける際は、加飾部品900の裏面側に接着剤等を塗布して取り付けるなど、任意の方法で取り付けることができる。また、図1及び図2に示す加飾部品900では、外周に基材シート100が飛び出ているが、対象物に実際に取り付ける際は、飛び出た基材シート100を綺麗に切り取っている。また、加飾部品900は、シフトレバー付近に合う形状となっているが、これに限定されず、自動車部品や家電製品などの任意の対象物に合う形状としてもよい。
【0024】
そして、図2に示すように、加飾部品900の裏面側から光が照らされると、凹凸部200の一部では、光が裏から表に通過して、数字やピクトグラム等の図形901が浮かび上がるのである。また、平坦部800の一部でも、光が裏から表に通過して、数字やピクトグラム等の図形902が浮かび上がるのである。
【0025】
では次に、図3から図6を参照して、加飾部品900の構成について更に詳しく説明する。なお、図3は、図2のA―A端面図、図4は、図2のB―B端面図、図5は、図2のC―C端面図、図6は、図2のD―D端面図である。
【0026】
まず、図3に示すように、加飾部品900の基礎部分となる基材シート100は、光を裏側から表側に通過させられる透光性を備えた合成樹脂シートから構成されており、例えば、基材シート100は透明なポリカーボネート樹脂から構成されている。なお、基材シート100は、光を裏側から表側に通過させることができるように透光性を備えていれば、透明に限定されず、任意の色に着色されていてもよい。さらに、基材シート100は、光を裏側から表側に通過させることができるように透光性を備えていれば、ポリカーボネート樹脂に限定されず、ポリ塩化ビニル樹脂やポリメチルメタクリレート樹脂など、任意の素材から構成されてもよい。
【0027】
また、図3に示すように、基材シート100の表面側には、段状になった凹凸部200が設けられている。この凹凸部200は、透光性のインキを用いてスクリーン印刷により形成したもので、透光性のインキを部分的に何度(本実施形態では、3回重ねてインキを印刷している)も塗り重ねることで厚塗部210となり、厚塗部210と比べて塗り重ねる回数(本実施形態では、インキを1回印刷している)が少ない箇所が薄塗部220となる。このようにして、インキが厚く塗布された厚塗部210とインキが薄く塗布された薄塗部220を設けることで、基材シート100の表面には凹凸部200が形成され、凹凸部200の表面が本革の質感を実現しているのである。このように、インキが塗布される厚さを変えることで、任意の箇所に任意の範囲で、凹凸部200を部分的に形成できる。また、スクリーン印刷技術を用いることにより、基材シート100の表面において、任意の箇所に任意の範囲で、インキを塗布して凹凸部200を部分的に形成し易くなる。
【0028】
なお、凹凸部200を構成するインキは、光を裏側から表側に通過させることができるように透光性を備えていれば、黒や茶色など任意の色に着色されていてもよく、また、インキの素材も任意の素材でよい。また、厚塗部210は、インクを印刷する範囲を徐々に狭くして、3回重ねてインキをスクリーン印刷しているので、厚塗部210は、段状に、いわゆるピラミッド形状になっているが、これに限定されず、インクを塗り重ねる回数や塗り重ねた形状は、任意であってもよい。また、スクリーン印刷を用いることにより、インキを塗り重ねて厚塗部210を形成しているが、これに限定されず、スクリーン印刷以外の印刷方法で、インキを厚く立体的に塗布して、厚塗部210を形成してもよい。
【0029】
また、基材シート100の裏面側には、第一着色インキが塗布されて第一着色層300が形成されている。さらに、第一着色層300の裏面側には、第二着色インキが塗布されて第二着色層400が形成されている。第一着色層300を構成している第一着色インキは、透光性を備える黒色のインキとなっており、第二着色層400を構成している第二着色インキは、遮光性を備える黒色のインキとなっている。そのため、基材シート100の裏面から照射された光Lは、重ねられた第一着色層300と第二着色層400によって大部分が遮られるため、基材シート100の表側へは通過し難い。そして、第一着色層300と第二着色層400が重なった部分は、光を通しにくいため、透光性の低い低透光部500を形成しているのである。このように、凹凸部200の裏面側において、低透光部500が配置されている箇所では、光Lが表側に通過し難い。そのため、図2及び図3に示すように、凹凸部200には裏面側の第一着色層300の色が現れるため、凹凸部200は常に黒色で表現された状態となる。
【0030】
なお、第一着色層300を構成している第一着色インキは、透光性を備える黒色のインキとなっているが、これに限定されず、第一着色インキは、透光性を備える任意の色のインキであってもよい。また、第二着色層400を構成している第二着色インキは、遮光性を備える黒色のインキとなっているが、これに限定されず、第二着色インキは、遮光性を備える任意の色のインキであってもよい。また、第二着色インキは、遮光性のインキに限定されず、透光性を備える任意の色のインキであってもよい。第二着色インキが、透光性を備える任意の色のインキであっても、第一着色層300と第二着色層400が重なった部分は光を通しにくいため、透光性の低い低透光部500を形成できる。
【0031】
次に、図4に示すように、凹凸部200上において、図形901を浮かび上がらせたい箇所では、基材シート100の裏面側に高透光部600を配置している。具体的には、基材シート100の裏面側には、第一着色インキが塗布されて第一着色層300が形成されている。さらに、第一着色層300の裏面側には、第二着色インキが塗布されて第二着色層400が部分的に形成されるものの、第二着色インキが塗布されず、第二着色層400が部分的に形成されてない箇所もある。つまり、第二着色層400が形成されて無い箇所では、第一着色層300が外部へ露出した状態となっている。
【0032】
そのため、基材シート100の裏面から照射された光Lは低透光部500では遮られるが、第二着色層400が形成されて無い箇所では、光Lが第一着色層300を通過して、そのまま基材シート100及び凹凸部200へと表側へ通過していくのである。そして、第二着色層400が形成されておらず、第一着色層300が外部へ露出した部分は、光Lを通過させやすいので、透光性の高い高透光部600を形成しているのである。このように、凹凸部200の裏面側において、高透光部600が配置されている箇所では、光Lが表側に通過し易い。そのため、図2及び図4に示すように、凹凸部200には高透光部600からの光が通過して、凹凸部200に図形901が浮かび上がるのである。このように、凹凸部200に光を部分的に通過させて、意匠性を高めることができるのである。また、高透光部600は、第二着色層400を設けないという簡単な構成で実現される。
【0033】
なお、高透光部600の形状は、数字やピクトグラム等など任意の図形や文字であってもよく、高透光部600が象っている任意の形状が、凹凸部200から浮かび上がるのである。なお、基材シート100の裏面から光Lが照射されていない時は、凹凸部200には裏面側の第一着色層300の色が現れるため、凹凸部200は黒色で表現された状態となる。
【0034】
なお、高透光部600の透光性が高いとは、低透光部500の透光性と比較したもので、低透光部500よりも光を通しやすいという意味である。また同様に、低透光部500の透光性が低いとは、高透光部600の透光性と比較したもので、高透光部600よりも光を通しにくいという意味である。また、低透光部500は第一着色層300と第二着色層400とから構成され、高透光部600は第一着色層300から構成されているが、これに限定されず、低透光部500が高透光部600よりも透光性が低いのであれば、任意の構成とすることができ、例えば、基材シート100の裏面側に透光性のインキを厚く塗って光を通しにくい部分を低透光部500とし、基材シート100の裏面側に透光性のインキを薄く塗って光を通しやすい部分を高透光部600としてもよい。その他にも、基材シート100の裏面側に遮光性のインキを一層塗って光を通しにくい部分を低透光部500とし、低透光部500以外の部分に、透光性のインキを一層塗って光を通しやすい部分を高透光部600としてもよく、低透光部500が高透光部600よりも透光性が低いのであれば、任意の構成とすることができる。
【0035】
次に、図5に示すように、平坦部800では、基材シート100の上に凹凸部200が形成されておらず、基材シート100の表面側は外部に露出している。そして、基材シート100の裏面側には、第一着色インキにより第一着色層300が形成され、第一着色層300の裏面側には第二着色インキにより第二着色層400が形成されている。なお、第一着色層300を構成している第一着色インキは、透光性を備えており、さらに、木目調のデザインを描くように塗布されている。そして、基材シート100の裏面から照射された光Lは、重ねられた第一着色層300と第二着色層400によって大部分が遮られるため、基材シート100の表側へは通過し難い。そして、第一着色層300と第二着色層400が重なった部分は、光を通しにくいため、透光性の低い低透光部500を形成している。このように、基材シート100の裏面側において、低透光部500が配置されている箇所では、光Lが表側に通過し難い。そのため、図2及び図5に示すように、平坦部800において、基材シート100表面には、裏面側の第一着色層300の木目調のデザインが常に表現された状態となる。なお、第一着色層300を構成している第一着色インキは、木目調のデザインの他にも、透光性を備えているのであれば、任意の色やデザインを描くように塗布してもよい。また、基材シート100の裏面側に、第一着色層300を形成することで、第一着色層300は基材シート100によって保護されている。
【0036】
次に、図6に示すように、平坦部800において、図形902を浮かび上がらせたい箇所では、基材シート100の裏面側に高透光部600を配置している。具体的には、基材シート100の裏面側には、第一着色インキが木目調のデザインを描くように塗布されて第一着色層300が形成されている。さらに、第一着色層300の裏面側には、第二着色インキが塗布されて第二着色層400が部分的に形成されるものの、第二着色インキが塗布されず、第二着色層400が部分的に形成されてない箇所もある。つまり、第二着色層400が形成されて無い箇所では、第一着色層300が外部へ露出した状態となっている。
【0037】
そのため、基材シート100の裏面から照射された光Lは低透光部500では遮られるが、第二着色層400が形成されて無い箇所では、光Lが第一着色層300を通過して、そのまま基材シート100へと表側へ通過していくのである。そして、第二着色層400が形成されておらず、第一着色層300が外部へ露出した部分は、光Lを通過させやすいので、透光性の高い高透光部600を形成している。このように、基材シート100の裏面側において、高透光部600が配置されている箇所では、光Lが表側に通過し易い。そのため、図2及び図6に示すように、平坦部800の一部では、高透光部600からの光が通過して、図形902が浮かび上がるのである。なお、高透光部600の形状は、数字やピクトグラム等など任意の図形や文字であってもよく、高透光部600が象っている任意の形状が、平坦部800から浮かび上がるのである。なお、基材シート100の裏面から光Lが照射されていない時は、平坦部800には裏面側の第一着色層300の木目調のデザインが現れている。
【0038】
なお、本願発明の加飾部品及び加飾部品の製造方法は、上記の実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせもその権利範囲に含むものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6