(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102413
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】ファージ感受性の異なる乳酸菌株の取得方法
(51)【国際特許分類】
C12N 1/20 20060101AFI20240724BHJP
A23L 11/50 20210101ALI20240724BHJP
A23L 27/50 20160101ALI20240724BHJP
C12Q 1/04 20060101ALN20240724BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALN20240724BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20240724BHJP
【FI】
C12N1/20 A ZNA
A23L11/50 107
A23L27/50 B
A23L27/50 103
C12Q1/04
C12Q1/6869 Z
C12N15/09 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006262
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006770
【氏名又は名称】ヤマサ醤油株式会社
(72)【発明者】
【氏名】樋口 敬太
(72)【発明者】
【氏名】脇中 琢良
【テーマコード(参考)】
4B039
4B063
4B065
【Fターム(参考)】
4B039LB01
4B039LB12
4B039LQ11
4B039LQ40
4B063QA13
4B063QA18
4B063QQ06
4B063QQ42
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS36
4B065AA01X
4B065AC20
4B065BB27
4B065CA42
(57)【要約】
【課題】テトラジェノコッカス属乳酸菌におけるファージ感受性を決定する遺伝子を見出すことで、ファージ感受性の異なる乳酸菌株の取得方法を明らかにし、さらには醤油等の発酵食品製造に際し乳酸発酵を安定して行うための方法を得る。
【解決手段】(1)テトラジェノコッカス属に属する乳酸菌の異なる複数株において、cps遺伝子座の塩基配列を決定する工程、(2)cps遺伝子座の塩基配列を比較し、塩基配列の相同性が相互に70%以下である2株以上の菌株を選抜する工程を含む、ファージ感受性の異なる2以上の乳酸菌株を取得する方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)テトラジェノコッカス属に属する乳酸菌の異なる複数の株において、cps遺伝子座の塩基配列を決定する工程、
(2)cps遺伝子座の塩基配列を比較し、塩基配列の相同性が相互に70%以下である2株以上の菌株を選抜する工程を含む、
ファージ感受性の異なる2以上の乳酸菌株を取得する方法。
【請求項2】
請求項1の方法で取得した、cps遺伝子座の塩基配列の相同性が互いに70%以下である2種以上のテトラジェノコッカス属乳酸菌株を同時に、又は交替で組み合わせてスターターとして使用することを特徴とする、発酵食品の製造方法。
【請求項3】
発酵食品が醤油、味噌または魚醤である、請求項2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳酸菌ゲノムにおける、特定の遺伝子座の全体または一部のDNA配列に基づいて分類を行うことによる、テトラジェノコッカス(Tetragenococcus)属乳酸菌のファージ感受性を識別する方法、ならびにそれを利用した発酵食品の乳酸発酵を安定化する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
テトラジェノコッカス・ハロフィラス(Tetragenococcus halophilus)などのテトラジェノコッカス属に属する耐塩性乳酸菌は、醤油、味噌、魚醤などの発酵食品の生産において欠くことのできない有用な微生物であり、有機酸をはじめとする各種の成分を生成することにより、当該発酵食品のpHを降下させ、特徴的な香味を付与する役割を担っている。発酵食品の製造、例えば醤油の醸造においては、これらの耐塩性乳酸菌のうち、好ましい性質を保有する優良菌株を諸味に適宜添加することにより、品質のすぐれた醤油を得ることが可能となる。
【0003】
しかしながら、諸味の熟成中にしばしばテトラジェノコッカス属乳酸菌はバクテリオファージによる感染を受けることが知られており、感染を受けたテトラジェノコッカス属乳酸菌は生育が阻害され、その結果乳酸発酵不良を起こしうる。
【0004】
テトラジェノコッカス・ハロフィラスに感染するファージは、そのファージの種別ごとにおける宿主特異性が高く、感染域が狭い、すなわち乳酸菌の中でも限定された菌株のみに感染するケースが多いことが報告されている一方、宿主である乳酸菌において、ファージ感受性を決定する要因はほとんど知られていない。近年、タイコ酸の構造の違いがファージ感受性を決定する一要因であることが特定されたが、構造的多様性が豊富でないタイコ酸とは別に、菌株ごとに多様なファージ感受性を生ぜしめる主要な因子が別にあるであろうことが推測されていた(非特許文献1)。
【0005】
複数のグラム陰性菌においては、莢膜多糖が宿主のファージ感受性を決定する主要な因子であることが知られていたが(非特許文献2)、グラム陽性菌、特に乳酸菌においては、ファージの宿主への吸着に莢膜多糖が関わるとする報告があるものの(非特許文献3)、ファージ感受性を決定する主要な因子とはみなされていなかった(非特許文献4)。
【0006】
このように、テトラジェノコッカス属乳酸菌のファージ感受性に関する機構を解明することは、優良菌株の取得や、より良好な発酵食品の製造において重要な知見をもたらすものと考えられるが、その機構には明らかになっていない部分も大きかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Wakinaka et al., Microbiology Spectrum, 2022, e00336-22.
【非特許文献2】Shen & Loessner. Current Opinion in Biotechnology, 2021, 68, 166.
【非特許文献3】Rodriguez et al., Letters in applied microbiology, 2008, 46, 462.
【非特許文献4】Chapot-Chartier. Frontiers in Microbiology, 2014, 5, 236.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
すなわち、本発明の課題は、テトラジェノコッカス属乳酸菌におけるファージ感受性を決定する遺伝子を見出すことで、ファージ感受性の異なる乳酸菌株の取得方法を明らかにし、さらには醤油等の発酵食品製造に際し乳酸発酵を安定して行うための方法を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、テトラジェノコッカス属に属しない乳酸菌では、莢膜多糖がファージ感受性を決定する主要な因子とはみなされていなかった(非特許文献4)にもかかわらず、発酵食品の醸造に重要な役割を示すテトラジェノコッカス属に属する乳酸菌株においては、従来の知見とは異なり、莢膜多糖生合成に関与するcps遺伝子がバクテリオファージ感受性を決定することを新たに発見した。そして、cps遺伝子座の配列が異なる株はファージ感受性も異なることを新たに見出した。
【0010】
本願発明は、これらの知見に基づいて完成したものである。すなわち、本願発明は、(1)テトラジェノコッカス属に属する乳酸菌の異なる複数株において、cps遺伝子座の塩基配列を決定する工程、(2)cps遺伝子座の塩基配列を比較し、塩基配列の相同性が相互に70%以下である2株以上の菌株を選抜する工程を含む、ファージ感受性の異なる2以上の乳酸菌株を取得する方法に関するものである。また、本願発明は、cps遺伝子座の塩基配列に基づいて識別し、異なる複数の菌株を組み合わせてスターターとして使用し、および/または一定期間ごとに菌株を交替でスターターとして使用することを特徴とする、発酵食品の製造方法に関するものである。
【発明の効果】
【0011】
本願発明は、(1)テトラジェノコッカス属に属する乳酸菌の異なる複数株において、cps遺伝子座の塩基配列を決定する工程、(2)cps遺伝子座の塩基配列を比較し、塩基配列の相同性が相互に70%以下である2株以上の菌株を選抜する工程を含む、ファージ感受性の異なる2以上の乳酸菌株を取得すること、また得られたファージ感受性の異なる菌株を組み合わせることで、該乳酸菌のファージ感染のリスクを低減し、発酵食品製造における乳酸発酵を安定化させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、cps遺伝子座の模式図を示す。太い矢印がORFを表す。ORFの上に示した細い矢印は、 表1に記したプライマーの設計位置を表す。ORFの下の黒い三角形は、耐性株YA5_pyruvylTrferase::ISおよびYG2_wzy::ISでISが転移していた位置を表す。
【
図2】
図2は、テトラジェノコッカス属に属する各種乳酸菌株のファージ感受性を示す。上側に示したファージ溶液を、左側に示した各宿主菌株に対し滴下した。滴下したファージは、phiYA5_2が1.2×10
7PFU、phiYG2_4が1.6×10
5PFUである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本願発明は、テトラジェノコッカス属に属する乳酸菌の菌株を、莢膜多糖生合成に関与するcps遺伝子座の塩基配列に基づいて識別し、塩基配列の異なる複数の菌株を組み合わせてスターターとして使用し、および/または一定期間ごとに菌株を交替でスターターとして使用することを特徴とする、発酵食品の製造方法に関する。
【0014】
本明細書において、テトラジェノコッカス属に属する乳酸菌とは、発酵食品の醸造に使用可能な種であれば特に制限されないが、中でもテトラジェノコッカス・ハロフィラス(Tetragenococcus halophilus)であることが好ましい。
【0015】
本明細書において、テトラジェノコッカス属乳酸菌におけるcps遺伝子座とは、乳酸菌株間での保存性の高いcpsA、cpsC、cpsD、cpsBからなる4つの遺伝子(それぞれ、NCBIの登録番号WP_014123785、WP_014123786、WP_014123787、WP_041591890で登録される遺伝子を指す。)と、その下流に続く相同性の低い遺伝子領域を合わせた領域のことを意味する。cpsBの下流の領域については、cpsBの終止コドンより10kbの範囲を指す。
【0016】
本願発明の方法は、(1)テトラジェノコッカス属に属する乳酸菌の異なる複数株において、cps遺伝子座の塩基配列を決定する工程、(2)cps遺伝子座の塩基配列を比較し、塩基配列の相同性が相互に70%以下である2株以上の菌株を選抜する工程を含む、ファージ感受性の異なる2以上の乳酸菌株を取得する方法に関するものである。
【0017】
cps遺伝子座の塩基配列を特定する方法は特に限定されないが、全ゲノムを抽出して次世代シーケンサーで解読する方法や、cps遺伝子座の一部をPCR法により増幅して解読する方法などが可能である。
【0018】
PCR法を利用する場合、cps遺伝子座の一部または全体を増幅するように設計されたオリゴヌクレオチドをプライマーとして利用し、汎用的なサーマルサイクラーによりDNA断片を増幅する。増幅鎖長は特に限定されないが、良好な増幅を得るためには10kb以下であることが望ましい。プライマーの鎖長は、該領域を増幅できれば特に限定されないが、好ましくは15~100bp、より好ましくは20~50bpに設計される。またプライマーは、該領域を増幅できれば混合塩基のプライマーでもよい。PCRの各種条件は増幅鎖長やプライマーのTm値等を考慮して、適宜決定することができる。PCRに使用するDNAポリメラーゼは通常遺伝子クローニングに使用されるグレードのものであれば特に限定されるものでなく、例えばKOD DNA Polymerase(Toyobo製)等を使用することができる。増幅したDNA断片は適当な方法で精製した後、従来型のサンガー法によるシーケンサーや次世代シーケンサー等を用いて配列を解読する。DNA断片の精製方法は限定されないが、例えば市販のスピンカラムを用いた精製キットが利用できる。
【0019】
以上の操作を行い、被験菌株のcps遺伝子座の配列を比較した結果、遺伝子構成自体の違いや共通する遺伝子の塩基配列のような違いがあることを根拠として、当該菌株のファージ感受性が異なると判断することができる。
【0020】
すなわち、特定の菌株に対し、cps遺伝子座のヌクレオチド配列の相同性が70%を下回る菌株であれば、当該菌株とファージ感受性が同一ではないと判断することができ、そのような配列を有する2以上の株を選抜することで、ファージ感受性の異なる菌株を取得することが可能となる。相同性の比較方法の一例としては、cpsAのスタートコドンから、CpsBのストップコドンより下流10kbまでのDNA配列を、ClustalW(Version 2.1)で比較し、出力されるAligned. Scoreが、70.0を下回るか否かを確認する方法などを挙げることができる。
【0021】
さらに、ファージ感受性が異なると識別された2種以上の菌株を組み合わせて同時に、または一定期間ごとに交替で発酵スターターとして使用することで、発酵食品製造におけるファージ感染による乳酸発酵不良のリスクを減ずることができる。すなわち、cps遺伝子座の配列がそれぞれ70%を下回る程度に異なる乳酸菌株を、菌株ごとに別個に培養しておく。2種以上の菌株を組み合わせる場合、これを混合して発酵スターターとして同時に使用することができる。また、一定期間ごとに交替で用いる場合、発酵スターターとして用いる乳酸菌株を、1週間~1年の間隔で、別のcps遺伝子座配列を有する乳酸菌株に変更することにより、特定の菌株のファージによる感染が拡大することを抑制することが可能である。
【0022】
本願発明における発酵食品は、比較的高塩分での醸造を行う食品を挙げることができ、こいくち醤油、うすくち醤油、たまり醤油、白醤油などの醤油類や、米味噌、豆味噌、麦味噌などの味噌類、魚醤、チーズや漬物を挙げることができる。中でも醤油または味噌であることが好ましく、醤油であることがさらに好ましい。
【0023】
食品製造においては、別途食品に適用可能な形態で培養したテトラジェノコッカス属乳酸菌を、スターターとして食品中に添加する。醤油醸造を例にとると、添加の時期としては、麹と食塩水を混合して成る諸味に添加することができる。諸味への添加時期としては、仕込と同時であっても良く、仕込から3か月以内であっても良い。
【0024】
乳酸菌の添加量は、目的とする発酵食品の種別や性状によって適宜設定することができるが、例えば醤油醸造であれば、諸味に対し培養液を1/10万~1/100量添加することが可能である。
【実施例0025】
以下、本願発明を実施例等により説明するが、本願発明はこれらによって何ら制限されるものではない。
【0026】
(実施例1)
醤油諸味に由来するテトラジェノコッカス・ハロフィラスYA5株およびYG2株を親株とし、それぞれバクテリオファージphiYA5_2およびphiYG2_4に対し、感受性を失った耐性株(それぞれYA5_pyruvylTrfase::IS、YG2_wzy::ISと呼称する)を得た。これらの親株および耐性株のゲノムから、
図1および表1に示すプライマーを用いてcps遺伝子座のDNA断片を増幅し、市販のスピンカラムを用いた精製キットによって精製した上で、DNA配列をDNAシーケンスサービス(ファスマック社)で解析した。
【0027】
【0028】
その結果、耐性株であるYA5_pyruvylTrfase::ISおよびYG2_wzy::ISと呼称するは、
図1に示すようにcps遺伝子座にインサーションシーケンス(IS)が転位していた。
【0029】
YA5株とYG2株のDNA配列の比較の結果、cps遺伝子座のうち、cpsA、cpsC、cpsD、cpsBの領域は93.6%と比較的高い相同性を示したが、cpsBより下流のORFは互いに全く異なっており、全体として、cpsAのスタートコドンから、cpsBのストップコドンより下流10kbまでのDNA配列の相同性は39.3%と、70%を大きく下回っていた。また、データベースに登録されたテトラジェノコッカス・ハロフィラス NBRC 12172株のゲノム(NCBIの登録番号 NC_016052)に存在するcps遺伝子座の配列と比較すると、YA5株との相同性50.7%、YG2株との相同性40.4%と、いずれも相同性は70%を大きく下回っていた。さらに、YA5株由来の耐性株YA5_pyruvylTrfase::ISはcps遺伝子座内のPolysaccharide pyruvyl transferaseをコードすると推定される遺伝子のORF上に、YG2株由来の耐性株YG2_wzy::ISはRepeat unit polymerase(Wzy)をコードすると推定される遺伝子のORF上に、ISの挿入があった。
【0030】
これらの乳酸菌株のファージ感受性を評価するために、寒天培地上でハローアッセイを実施した。アッセイの方法は非特許文献1に記載の方法に従った。具体的には、ファージ懸濁液を被験菌が塗布された培地上に滴下し、一定時間培養することで、滴下したファージが被験菌に感染した場合、被験菌が溶菌することから培地上にハローが確認される。アッセイに用いるファージは、phiYA5_2、phiYG2_4とした。
【0031】
ハローアッセイの結果、cps遺伝子座の配列が大きく異なるYA5株とYG2株では、それぞれ感染するファージの種類が異なっていた。具体的には、YA5はphiYA5_2に感染するのに対し、YG2株はphiYG2_4に感染しており、cps遺伝子座の配列の違いが、ファージ感受性と対応している可能性が示唆された。
【0032】
さらに、cps遺伝子座へのISの挿入による変異が、ファージの感受性に影響したかを解析すると、YA5株に感染するファージphiYA5_2に対しての感受性が、YA5株由来の耐性株(YA5_pyruvylTrferase::IS)では変化し、非感受性となっていた。またYG2株に感染するファージphiYG2_4に対する感受性についても、YG2由来の耐性株(YG2_wzy::IS)では変化し、非感受性となった。一方、YG2_wzy::ISは、親株では非感受性であったphiYA5_2に対して感染するようになった(
図2)。
【0033】
このように、cps遺伝子座の塩基配列の相同性が70%以下であるテトラジェノコッカス・ハロフィラスでは、ファージ感受性が異なっていることが明らかになった。
【0034】
(実施例2)
テトラジェノコッカス属の乳酸菌に対する遺伝子組換技術は、現状では確立されていない。そこで、YA5株またはYG2株を親株とし、それぞれファージphiYA5_2またはphiYG2_4に対する感受性を失った変異株を取得した後、当該変異株のcps遺伝子座周辺における遺伝子配列を解析した。解析方法は実施例1に従った。
【0035】
その結果、YA5株を親株として取得されたファージphiYA5_2非感受性変異株のうち、cps遺伝子座上にISが確認できる16株を得た。また、YG2株を親株として取得されたphiYG2_4非感受性の変異株のうち、cps遺伝子座にISの挿入が確認できる変異株48株を得た。このように、テトラジェノコッカス属に属する複数の乳酸菌株においては、cps遺伝子座における塩基配列の違いがファージ感受性と相関するものであることが、きわめて強く示唆された。
【0036】
(実施例3)醤油の製造
脱脂加工大豆200gに水を260L加え吸水させ、常法に従って蒸煮した。また、生小麦200gを常法に従って焙焼し、割砕した。麹菌アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)の胞子1×10^6 cfu/gをそれぞれ混合し、常法に従い48時間製麹した。
【0037】
得られた麹について食塩濃度約25%(w/v)の塩水を700mL添加して、濃口醤油の仕込みを行った。仕込と同時に、上記テトラジェノコッカス・ハロフィラスYA5株、YG2株を、スターターとしてそれぞれ1mLずつ添加し、4ヶ月間発酵・熟成させた。熟成後の諸味をろ過し、生醤油を得た。