(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102418
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】包装用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/34 20060101AFI20240724BHJP
【FI】
B65D1/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006273
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】396000422
【氏名又は名称】リスパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水野 冴理
(72)【発明者】
【氏名】蔭山 春香
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA10
3E033BA15
3E033BA16
3E033BA18
3E033BA22
3E033CA03
3E033CA07
3E033DC04
3E033DE05
3E033EA05
3E033FA01
3E033FA04
3E033GA03
(57)【要約】
【課題】
より簡単な構成で、加熱ムラを効果的に抑えることが出来る包装用容器を提供する。
【解決手段】
底壁110と、底壁110から立ち上がる側壁120とを、備えた、加熱装置の熱風により加熱可能な包装用容器100であって、側壁120の外側には、下方へ延出して載置面に接地するハカマ部130が設けられ、側壁120とハカマ部130の間の裏面側には、通気空間140が設けられ、ハカマ部130の一部には、通気空間140と連通した通気口150が設けられていることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁と、前記底壁から立ち上がる側壁とを、備えた、加熱装置の熱風により加熱可能な包装用容器であって、
前記側壁の外側には、下方へ延出して載置面に接地するハカマ部が設けられ、
前記側壁と前記ハカマ部の間の裏面側には、通気空間が設けられ、
前記ハカマ部の一部には、前記通気空間と連通した通気口が設けられていることを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
前記通気口には、外側へ突出した縁部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食品を収容する包装用容器が、スーパーやコンビニエンスストア等で使用されている。
【0003】
包装用容器には、様々な種類があり、特許文献1の包装用容器は、容器本体と蓋体とを備えており、容器本体の側壁と蓋体との側壁の間に断熱空間を備えている。そして、包装用容器をオーブンレンジ等で加熱する際には、熱風等が周囲から送り込まれるが、断熱空間によって、局所的に熱風が当たるのを防ぎ、加熱ムラを抑えていた。しかしながら、この断熱空間を構成するには、容器本体と蓋体を利用しなければならず、不便であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本願発明は、上記問題に鑑み、より簡単な構成で、加熱ムラを効果的に抑えることが出来る包装用容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願発明の請求項1に係る包装用容器は、底壁と、前記底壁から立ち上がる側壁とを、備えた、加熱装置の熱風により加熱可能な包装用容器であって、前記側壁の外側には、下方へ延出して載置面に接地するハカマ部が設けられ、前記側壁と前記ハカマ部の間の裏面側には、通気空間が設けられ、前記ハカマ部の一部には、前記通気空間と連通した通気口が設けられていることを特徴とする。
【0007】
上記特徴によれば、側壁とハカマ部と、その間の通気空間を備えるという簡単な構成で、加熱ムラを抑えることができる。さらに、通気空間に熱風を効率的に取り込めるように、ハカマ部の一部に、通気口を設けているので、より効果的に加熱ムラを抑えることができる。
【0008】
上記課題を解決するために、本願発明の請求項2に係る包装用容器は、前記通気口には、外側へ突出した縁部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
上記特徴によれば、熱風を通気口内に効率的に取り込むことができる。
【発明の効果】
【0010】
本願発明の包装用容器は、より簡単な構成で、加熱ムラを効果的に抑えることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本願発明の実施形態1にかかる包装用容器の全体斜視図である。
【
図2】(a)は、包装用容器の平面図、(b)は、包装用容器の右側面図、(c)は、包装用容器の左側面図である。
【
図3】(a)は、包装用容器の底面図、(b)は、
図2に示すA-A端面図、(c)は、
図2に示すB-B端面図である。
【
図4】本願発明の実施形態2にかかる包装用容器の全体斜視図である。
【
図5】(a)は、包装用容器の平面図、(b)は、包装用容器の右側面図、(c)は、包装用容器の左側面図である。
【
図6】(a)は、包装用容器の底面図、(b)は、
図5に示すC-C端面図、(c)は、
図5に示すD-D端面図である。
【符号の説明】
【0012】
100 包装用容器
110 底壁
120 側壁
130 ハカマ部
140 通気空間
150 通気口
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本願発明の各実施形態について、図面を用いて説明する。なお、本明細書において、「上方」とは、包装用容器を水平面上に載置した際に、鉛直方向における上方に向かう方向のことであり、「下方」とは鉛直方向における下方に向かう方向のことである。
【0014】
<実施形態1>
まず、
図1から
図3に、本願発明の実施形態1にかかる包装用容器100を示す。なお、
図1は、包装用容器100の全体斜視図、
図2(a)は、包装用容器100の平面図、
図2(b)は、包装用容器100の右側面図、
図2(c)は、包装用容器100の左側面図、
図3(a)は、包装用容器100の底面図、
図3(b)は、
図2に示すA-A端面図、
図3(c)は、
図2に示すB-B端面図である。
【0015】
図1に示すように、包装用容器100は、合成樹脂シートから構成され、上方に開口した浅皿型で平面視略四角形状をしており、平坦で水平方向に広がる底壁110と、当該底壁110から上方へ向けて立ち上がる側壁120と、側壁120の上端121から連続し、側壁120の外側において下方へ延出するハカマ部130とを備える。また、ハカマ部130の下端131は、平坦面になっており、載置面等に安定して接地できるように構成されている。また、底壁110と下端131は面一となっているので、底壁110も載置面等に接地できるように構成されている。
【0016】
また、側壁120とハカマ部130は、側壁120の上端121で連続しているものの、下方側は互いに離間している。そのため、側壁120とハカマ部130の間の裏面側には、後述する熱風Gが通ることが出来る通気空間140が設けられている。また、底壁110には、相対する通気空間140へ向けて延出するリブ111が設けられている。このリブ111は、上方へ凸状になっているので、裏面側の凹部分は、後述する熱風Gが通気可能な通気溝112となる。なお、リブ111は、熱風Gを通気させる以外にも、収容された食品等の収容物の重量に耐えられるように、底壁110を補強する役割も担っている。
【0017】
さらに、ハカマ部130の一部には、下端131を上方へ切り欠いて開口させた形状の通気口150が設けられている。この通気口150は、包装用容器100の相対する両側のハカマ部130に設けられており、内側の通気空間140と連通している。また、通気口150には、外側へ突出した縁部151が設けられている。縁部151は、外側へ向けて水平方向へ延出しており、後述する熱風Gを通気口150内に効率的に取り込むことができる。なお、縁部151は、水平方向へ延出しているが、これに限定されず、熱風Gの風向きを変えて効率的に取り込むことが出来るのであれば、斜め下方や斜め上方など、任意の方向へ延出してもよい。
【0018】
また、側壁120、及びハカマ部130は、包装用容器100の周方向へ全周にわたり連続または断続して設けられている。さらに、通気空間140は、包装用容器100の裏面側において、包装用容器100の周方向へ全周にわたり連続している。また、包装用容器100は平面視略四角形状となっているが、これに限定されず、平面視略円形や平面視略多角形等、任意の形状とすることができる。
【0019】
なお、包装用容器100は、厚さが0.1mmから1.0mm(ミリメートル)程度のプラスチック(合成樹脂)製シートを用いて、シート成形(例えば、真空成形、圧空成形、熱盤成形)されたものであり、さらに、包装用容器100の素材としては、後述するように、オーブンレンジ等による加熱温度の100~220度に耐えられる素材、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、A-PET、ポリ乳酸や、これらを結晶化させたもの、二軸延伸させたものや紙、金属などを用いることができる。また、包装用容器100は、他の容器に取り付けることが出来る中皿として利用することが出来る。その場合は、包装用容器100は、中皿を収容する容器本体と、容器本体に嵌合する蓋体とから構成される3点式の容器において、その中皿として利用される。そして、包装用容器100には、蓋体を直接取り付ける構成(例えば、蓋体を嵌合させる嵌合部など)を設けておらず、後述するように、包装用容器100に収容された食品等をオーブンレンジ等で加熱する際は、包装用容器100のみをそのまま取り出して加熱するのである。
【0020】
では次に、包装用容器100を加熱する態様について説明する。包装用容器100に収容された食品等を加熱する際は、熱風により食品を加熱するオーブンレンジ等を利用することができる。なお、オーブンレンジ以外にも、加熱した気体を送り込んで食品を加熱する加熱装置であれば、適宜利用できる。
【0021】
包装用容器100は、底壁110の上に食品を収容した状態で、上方が開口した状態のままで、加熱装置内に配置される。そして、加熱装置により加熱を開始すると、包装用容器100の側方や上方から熱風Gが送り込まれる。具体的には、包装用容器100の上方は、蓋体によって閉じられておらず開口しているので、底壁110の上の食品全体に上方から熱風があたり、食品は均一に加熱される。さらに、包装用容器100の周囲の側壁120の外側にはハカマ部130が設けられているので、包装用容器100内部の食品は、側壁120とハカマ部130の2重の壁で覆われて、側方からの熱風Gが直接当たらない。さらに、側壁120とハカマ部130の間の通気空間140が暖まることで、側壁120も広範囲にわたり徐々に加熱され、側壁120の内側に収容された食品も均一に加熱される。これにより、包装用容器100内部の食品が、熱風Gにより局所的に加熱されることを防ぐのである。このように、本願発明の包装用容器100によれば、従来技術のような蓋体を用いることなく、側壁120とハカマ部130と、その間の通気空間140を備えるという簡単な構成で、加熱ムラを抑えることができる。さらに、通気空間140に熱風Gを効率的に取り込めるように、ハカマ部130の一部に、通気口150を設けているので、より効果的に加熱ムラを抑えることができる。
【0022】
また、ハカマ部130の下端131は、載置面に接地できるように構成されているので、通気口150から取り込まれて通気空間140を通る熱風Gが、ハカマ部130の下端131から外へ漏れることを防止できる。また、通気口150は、ハカマ部130の下端131を上方へ切り欠いたように開口した形状をしているので、載置面に沿って流れる熱風Gを、より多く取り込むことができる。なお、通気口150は、ハカマ部130の下端131を上方へ切り欠いたように開口した形状をしているが、これに限定されず、ハカマ部130の一部に設けられて、通気空間140へと熱風Gを取り込めるのであれば、通気口150はハカマ部130の任意の位置に任意の形状で設けてもよい。
【0023】
また、
図3に示すように、通気口150は、相対する両側のハカマ部130にそれぞれ配置されている。そのため、一方の通気口150から取り込まれた熱風Gは、通気空間140を通り、他方の通気口150へと流れていくことができる。特に、2つの通気口150を相対するハカマ部130にそれぞれ設けたことで、熱風Gは一方の通気口150から他方の通気口150へと、一方向にスムーズに流れ続け、通気空間140全体を効果的に加熱し続けることができる。これにより、更に効果的に加熱ムラを抑えることができる。なお、通気口150を、相対するハカマ部130にそれぞれ設けているが、これに限定されず、隣接するハカマ部130に通気口150をそれぞれ設けるなど、任意の位置に通気口150を設けてもよい。さらに、包装用容器100には、2つの通気口150を設けているが、これに限定されず、通気口150を一つのみ、又は、通気口150を3つ以上設けてもよい。
【0024】
<実施形態2>
では次に、
図4から
図6に、本願発明の実施形態2にかかる包装用容器100Aを示す。
図4は、包装用容器100Aの全体斜視図、
図5(a)は、包装用容器100Aの平面図、
図5(b)は、包装用容器100Aの右側面図、
図5(c)は、包装用容器100Aの左側面図、
図6(a)は、包装用容器100Aの底面図、
図6(b)は、
図5に示すC-C端面図、
図6(c)は、
図5に示すD-D端面図である。なお、本実施形態2にかかる包装用容器100Aは、底壁110Aの配置が、
図1から
図3に示す実施形態1にかかる包装用容器100と異なるが、その他の構成は、実施形態1にかかる包装用容器100と基本的に同一なので、詳細な説明は省略する。
【0025】
図4から
図6に示すように、包装用容器100Aは、上方に開口した浅皿型で平面視略円形形状をしており、平坦で水平方向に広がる底壁110Aと、当該底壁110Aから上方へ向けて立ち上がる側壁120Aと、側壁120Aの外側において下方へ延出するハカマ部130Aとを備える。そして、底壁110Aは、ハカマ部130Aの下端131Aよりも上方に配置されているので、包装用容器100Aを載置面に載置した際に、底壁110Aが載置面から浮いた状態となる。
【0026】
そのため、
図6に示すように、通気口150Aから取り込まれた熱風GAの一部は、通気空間140Aに流れて行くと共に、熱風GAのその他の一部は、底壁110Aの下側へと流れ込む。すると、底壁110Aも広範囲にわたり徐々に加熱され、底壁110A上に収容された食品も均一に加熱される。これにより、包装用容器100A内部の食品が、熱風GAにより局所的に加熱されることを更に効果的に防ぐのである。また、通気口150Aは、底壁110Aの下側へ向けて開口しているので、通気口150Aから取り込まれた熱風GAは、底壁110Aの下側へ流れ込みやすくなっている。
【0027】
なお、本願発明の包装用容器は、上記の実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせもその権利範囲に含むものである。