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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102427
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】マッサージ機
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20240724BHJP
   A61H 23/02 20060101ALI20240724BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
A61H7/00 322
A61H23/02 330
A61B5/00 101Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006299
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】521199915
【氏名又は名称】株式会社IYASU
(74)【代理人】
【識別番号】100206678
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100192795
【弁理士】
【氏名又は名称】小牧 哲也
(72)【発明者】
【氏名】清水 賢二
【テーマコード(参考)】
4C074
4C100
4C117
【Fターム(参考)】
4C074AA03
4C074BB05
4C074CC01
4C074GG02
4C074HH01
4C100AD01
4C100AD11
4C100AF02
4C100BA01
4C100BB05
4C100CA01
4C100DA08
4C117XB01
4C117XC03
4C117XE27
4C117XJ13
4C117XJ44
4C117XR20
(57)【要約】
【課題】 マッサージ中の筋肉の硬度の変化に対応することができるマッサージ機を提供する。
【解決手段】 使用者の身体の一部を押圧する左エアバッグ220と、使用者の筋硬度を測定する筋硬度計600と、左エアバッグ220の作動を制御する制御部400とを備えているマッサージ機であって、制御部400は、左エアバッグ220の作動中に筋硬度計600によって測定された筋硬度に基づいて左エアバッグ220の押圧力を調整するよう構成されている。
【選択図】 図33
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の身体の一部を押圧する押圧部材と、使用者の筋硬度を測定する筋硬度測定部と、押圧部材の作動を制御する押圧制御部とを備えているマッサージ機であって、
押圧制御部は、
押圧部材の作動中に筋硬度測定部によって測定された筋硬度に基づいて押圧部材の押圧力を調整するよう構成されていることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
押圧部材の作動モードとして、第一モードと第一モードよりも押圧力の小さい第二モードとを有し、
押圧制御部は、
筋硬度測定部によって測定された筋硬度に基づいて基準値を取得する基準値取得ステップと、
押圧部材を第一モードで作動させる初期作動ステップと、
初期作動ステップの後に、押圧部材の作動時間が所定時間に達したか否かを判断する所定時間判断ステップと、
所定時間判断ステップにて所定時間に達したと判断した場合に、筋硬度測定部に筋硬度を再度測定させることで測定された筋硬度に基づいて途中値を取得する途中値取得ステップと、
途中値と基準値とを比較判断する値比較判断ステップと、
値比較判断ステップにて途中値が基準値よりも小さくないと判断した場合には、押圧部材の作動モードを第一モードで作動させる第一作動ステップと、
値比較判断ステップにて途中値が基準値よりも小さいと判断した場合には、押圧部材の作動モードを第二モードで作動させる第二作動ステップと、
を実行することを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
押圧部材の作動モードとして、第一モードと第一モードよりも押圧力の小さい第二モードとを有し、
押圧制御部は、
筋硬度測定部によって測定された筋硬度に基づいて基準値を取得する基準値取得ステップと、
押圧部材を第一モードで作動させる初期作動ステップと、
初期作動ステップの後に、押圧部材の作動時間が所定時間に達したか否かを判断する所定時間判断ステップと、
所定時間判断ステップにて所定時間に達したと判断した場合に、筋硬度測定部に筋硬度を再度測定させることで測定された筋硬度に基づいて途中値を取得する途中値取得ステップと、
途中値と基準値とを比較判断する値比較判断ステップと、
値比較判断ステップにて途中値が基準値よりも小さくないと判断した場合には、押圧部材の作動モードを第一モードで作動させる第一作動ステップと、
値比較判断ステップにて途中値が基準値よりも小さいと判断した場合には、押圧部材の作動モードを第二モードで作動させる第二作動ステップと、
初期作動ステップに係る押圧部材の作動開始から測定した押圧部材の作動時間が予め定められた作動上限時間に達すると、押圧部材の作動を停止させる作動停止ステップと、を実行することを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項4】
押圧部材の作動モードとして、第一モードと第一モードよりも押圧力の小さい第二モードとを有し、
押圧制御部は、
筋硬度測定部によって測定された筋硬度に基づいて基準値を取得する基準値取得ステップと、
押圧部材を第一モードで作動させる初期作動ステップと、
初期作動ステップの後に、押圧部材の作動時間が所定時間に達したか否かを判断する所定時間判断ステップと、
所定時間判断ステップにて所定時間に達したと判断した場合に、筋硬度測定部に筋硬度を再度測定させることで測定された筋硬度に基づいて途中値を取得する途中値取得ステップと、
途中値と基準値とを比較判断する値比較判断ステップと、
値比較判断ステップにて途中値が基準値よりも小さくないと判断した場合には、押圧部材の作動モードを第一モードで作動させる第一作動ステップと、
値比較判断ステップにて途中値が基準値よりも小さいと判断した場合には、押圧部材の作動モードを第二モードで作動させる第二作動ステップと、
初期作動ステップに係る押圧部材の作動開始から測定した押圧部材の作動時間が予め定められた作動上限時間に達すると、押圧部材の作動を停止させる作動停止ステップと、を実行し、
予め定められた作動上限時間に達する前の状況下では、第一作動ステップまたは第二作動ステップの後から計時された再測定時間に達する度に、途中値取得ステップおよび値比較判断ステップを経た第一作動ステップの実行、または、途中値取得ステップおよび値比較判断ステップを経た第二作動ステップの実行を繰り返すことを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のマッサージ機として、特別な測定機器を用いることなく、使用者の筋肉の硬度を測定することができるもの(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-072252号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記マッサージ機においては、マッサージ終了後における使用者の筋肉の硬度を測定してマッサージ効果を確認することに留まり、マッサージ中の筋肉の硬度の変化に対応することができないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、マッサージ中の筋肉の硬度の変化に対応することができるマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るマッサージ機は、使用者の身体の一部を押圧する押圧部材と、使用者の筋硬度を測定する筋硬度測定部と、押圧部材の作動を制御する押圧制御部とを備えているマッサージ機であって、押圧制御部は、押圧部材の作動中に筋硬度測定部によって測定された筋硬度に基づいて押圧部材の押圧力を調整するよう構成されていることを特徴とするマッサージ機である。
【0007】
また、押圧部材の作動モードとして、第一モードと第一モードよりも押圧力の小さい第二モードとを有し、押圧制御部は、筋硬度測定部によって測定された筋硬度に基づいて基準値を取得する基準値取得ステップと、押圧部材を第一モードで作動させる初期作動ステップと、初期作動ステップの後に、押圧部材の作動時間が所定時間に達したか否かを判断する所定時間判断ステップと、所定時間判断ステップにて所定時間に達したと判断した場合に、筋硬度測定部に筋硬度を再度測定させることで測定された筋硬度に基づいて途中値を取得する途中値取得ステップと、途中値と基準値とを比較判断する値比較判断ステップと、値比較判断ステップにて途中値が基準値よりも小さくないと判断した場合には、押圧部材の作動モードを第一モードで作動させる第一作動ステップと、値比較判断ステップにて途中値が基準値よりも小さいと判断した場合には、押圧部材の作動モードを第二モードで作動させる第二作動ステップと、を実行するようにしても良い。
【0008】
また、押圧部材の作動モードとして、第一モードと第一モードよりも押圧力の小さい第二モードとを有し、押圧制御部は、筋硬度測定部によって測定された筋硬度に基づいて基準値を取得する基準値取得ステップと、押圧部材を第一モードで作動させる初期作動ステップと、初期作動ステップの後に、押圧部材の作動時間が所定時間に達したか否かを判断する所定時間判断ステップと、所定時間判断ステップにて所定時間に達したと判断した場合に、筋硬度測定部に筋硬度を再度測定させることで測定された筋硬度に基づいて途中値を取得する途中値取得ステップと、途中値と基準値とを比較判断する値比較判断ステップと、値比較判断ステップにて途中値が基準よりも小さくないと判断した場合には、押圧部材の作動モードを第一モードで作動させる第一作動ステップと、値比較判断ステップにて途中値が基準値よりも小さいと判断した場合には、押圧部材の作動モードを第二モードで作動させる第二作動ステップと、初期作動ステップに係る押圧部材の作動開始から測定した押圧部材の作動時間が予め定められた作動上限時間に達すると、押圧部材の作動を停止させる作動停止ステップと、を実行するようにしても良い。
【0009】
また、押圧部材の作動モードとして、第一モードと第一モードよりも押圧力の小さい第二モードとを有し、押圧制御部は、筋硬度測定部によって測定された筋硬度に基づいて基準値を取得する基準値取得ステップと、押圧部材を第一モードで作動させる初期作動ステップと、初期作動ステップの後に、押圧部材の作動時間が所定時間に達したか否かを判断する所定時間判断ステップと、所定時間判断ステップにて所定時間に達したと判断した場合に、筋硬度測定部に筋硬度を再度測定させることで測定された筋硬度に基づいて途中値を取得する途中値取得ステップと、途中値と基準値とを比較判断する値比較判断ステップと、値比較判断ステップにて途中値が基準よりも小さくないと判断した場合には、押圧部材の作動モードを第一モードで作動させる第一作動ステップと、値比較判断ステップにて途中値が基準値よりも小さいと判断した場合には、押圧部材の作動モードを第二モードで作動させる第二作動ステップと、初期作動ステップに係る押圧部材の作動開始から測定した押圧部材の作動時間が予め定められた作動上限時間に達すると、押圧部材の作動を停止させる作動停止ステップと、を実行し、予め定められた作動上限時間に達する前の状況下では、第一作動ステップまたは第二作動ステップの後から計時された再測定時間に達する度に、途中値取得ステップおよび値比較判断ステップを経た第一作動ステップの実行、または、途中値取得ステップおよび値比較判断ステップを経た第二作動ステップの実行を繰り返すようにしても良い。
【0010】
また、本発明に係るマッサージ機は、膨張及び収縮可能な膨張収縮部材と、使用者の身体と膨張収縮部材との間に介在する押圧部材と、を有するマッサージ部を備え、押圧部材は、膨張収縮部材が膨張することで、使用者の身体の一部を押圧する第一押圧部とされていることを特徴とする。
【0011】
また、押圧部材は、膨張収縮部材の表面に一体的に設けられており、膨張収縮部材の表面は、膨張収縮部材が膨張することで、使用者の体の一部を押圧する第二押圧部とされているようにしても良い。
【0012】
また、押圧部材は、互いに間隔を空けて複数設けられており、膨張収縮部材の表面のうち、互いに隣り合う押圧部材の間の部分が第二押圧部とされているようにしても良い。
【0013】
また、膨張収縮部材は、使用者の身体の一部を包囲するよう構成されており、複数の押圧部材は、第一押圧部材と第二押圧部材とを有し、膨張収縮部材が使用者の身体の一部を包囲した状態において、第一押圧部材と第二押圧部材とは互いに対面する位置関係となるように構成されているようにしても良い。
【0014】
また、膨張収縮部材は、使用者の身体の一部を包囲するよう構成されており、複数の押圧部材は、第三押圧部材と第四押圧部材とを備え、膨張収縮部材が使用者の身体の一部を包囲した状態において、第三押圧部材と第四押圧部材とは互いに対面しない位置関係となるように構成されているようにしても良い。
【0015】
また、膨張収縮部材および押圧部の少なくとも一方に、使用者の身体に帯電した静電気除電可能な除電部が設けられているようにしても良い。
【0016】
また、押圧部材は、除電部からなっているようにしても良い。
【0017】
また、使用者が抱きかかえることが可能であるとともに、使用者の手の少なくとも一部を差し込み可能な穴部を有するクッション部を備え、マッサージ部は、穴部に差し込まれた使用者の手をマッサージするよう構成されており、穴部は、使用者が抱きかかえた際における使用者の手の方向と同方向となるように形成されているようにしても良い。
【0018】
また、クッション部の内部には、クッション部を起立した状態を保持するための芯材を備えているようにしても良い。
【0019】
また、芯材の天面は、傾斜面とされているようにしても良い。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、マッサージ中の筋肉の硬度の変化に対応することができるマッサージ機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態におけるマッサージ機を示す斜視図である。
図2】マッサージ機を示す正面図である。
図3】マッサージ機を示す平面図である。
図4】マッサージ機を示す側面図である。
図5】マッサージ機を示す背面図である。
図6】マッサージ機の使用状態を示す図である。
図7】マッサージ機の電気的構成を示すブロック図である。
図8】マッサージ機のクッション部とマッサージ部を説明するための図である。
図9】マッサージ機のクッション部とマッサージ部を説明するための図である。
図10】マッサージ機のクッション部とマッサージ部を説明するための図である。
図11】マッサージ機の左有底穴部を拡大した拡大図である。
図12】マッサージ機の右有底穴部を拡大した拡大図である。
図13】マッサージ機の使用状態を示す図である。
図14図13の一部を拡大した拡大図である。
図15】マッサージ部を示す図である。
図16】左マッサージ部を拡大した拡大図である。
図17】左マッサージ部を平面的に展開した展開図である。
図18】左マッサージ部の左揉み玉およびエアバッグを説明するための図である。
図19】左揉み玉およびエアバッグを説明するための図である。
図20】左揉み玉を説明するための図である。
図21】左揉み玉を説明するための図である。
図22】マッサージ機で使用者の左手をマッサージする様子を説明するための図である。
図23】本実施形態の変形例1に係るマッサージ機を説明するための図である。
図24】本実施形態の変形例2に係るマッサージ機を説明するための図である。
図25】本実施形態の変形例3に係るマッサージ機を説明するための図である。
図26】本実施形態の変形例10に係るマッサージ機を説明するための図である。
図27】変形例9に係るマッサージ機を説明するための図である。
図28】変形例9に係るマッサージ機の揉み玉を説明するための図である。
図29】変形例9に係るマッサージ機の揉み玉を説明するための図である。
図30】本実施形態の変形例11に係るマッサージ機を説明するための図である。
図31】本実施形態の変形例12に係るマッサージ機を説明するための図である。
図32】本実施形態の変形例13に係るマッサージ機を説明するための図である。
図33】本実施形態の変形例14に係るマッサージ機の電気的構成を示すブロック図である。
図34】本実施形態の変形例14に係るマッサージ機の制御の流れを示すフローチャートである。
図35】本実施形態の変形例14に係るマッサージ機の制御の流れを示すフローチャートである。
図36】本実施形態の変形例14に係るマッサージ機の制御の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明をクッション型のマッサージ機に採用した場合の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0023】
以下の説明において、左右、前後、上下の各方向は、クッション型のマッサージ機を使用する使用者から見た方向を指すものとする。また、各図面において、左右方向をX方向、前後方向をY方向、上下方向をZ方向で示す。
【0024】
本実施形態のマッサージ機1は、主として、肘関節から手指先までの各部位に対して、マッサージを行うことができるものである。説明の便宜上、肘関節から手指先までのことを「手」という。また、適宜、マッサージを行う肘関節から手指先までの各部位のことを「患部」という。なお、「手」としては、肩から手指先までを含むものとしてもよいことはいうまでもない。
【0025】
図1乃至図5に示すように、マッサージ機1は、概略、X方向に480mm、Y方向に300mm、Z方向に550mmの大きさを成し、その重量は2500gである。図6に示すように、使用者は、マッサージ機1を膝の上に置き、マッサージ機1の内部に両手を差し込むようにしてマッサージ機1を抱きかかえ、その状態で両手のマッサージを受けることができる。
【0026】
図1乃至図10に示すように、マッサージ機1は、クッション部100と、マッサージ部200と、操作部300と、制御部400と、電源部500とを主に備えている。
【0027】
図7は、マッサージ機1の電気的構成を示すブロック図である。図8乃至図10は、クッション部100と、マッサージ部200の一部とを説明するための図であり、同図における破線は、マッサージ機1の内部構造の一部を示す。
【0028】
クッション部100は、使用者がマッサージ機1を抱きかかえやすいように楕円球状に形成されている。マッサージ部200は、クッション部100の内部に設けられ、マッサージ機1の内部に差し込まれた使用者の手をマッサージする。操作部300は、マッサージ部200を所定の態様で動作させるためのコントローラである。制御部400は、操作部300の操作に基づき、マッサージ部200の動作を制御する。電源部500は、バッテリを有しており、家庭用コンセント等から電源コードを介して電源供給を受けることにより、マッサージ部200を動作させるための電力をバッテリに充電する。
【0029】
図8乃至図10に示すように、クッション部100は、カバー材110と、クッション材120と、芯材130とを有している。
【0030】
クッション部100は、カバー材110の内部に充填材としてのクッション材120を所定量だけ充填することで、楕円球状に形成されている。カバー材110は、抱き心地の良好な肌触りの良い綿糸やポリエステル糸から成り、クッション材120と芯材130とを内包している。クッション材120は、緩衝性に優れた所定材料(例えばウレタン樹脂等)で形成され、芯材130を包囲している。
【0031】
芯材130は、クッション部100の内部略中央でかつ手前側(Y1側)寄りの位置(図10で見て左側寄り)に配置され、Z方向(鉛直方向)に延びて縦長形状を成し、マッサージ機1(クッション部100)を起立させた状態で保持する。芯材130は、底面131と、胴体132と、天面133とを有している。底面131は、図示を省略するが、半円状を成し、カバー材110の内側底面に固定されている。胴体132は、底面131からZ1方向に直線状に延びている。天面133は、Y1方向(使用者側)に下る傾斜面となっている(詳細は後述)。
【0032】
クッション部100は、使用者の手を差し込み可能な有底穴部140と、使用者の頭部を支持する支持部170とを有している。
【0033】
図8乃至図12に示すように、有底穴部140は左有底穴部150と右有底穴部160とを有している。図11は左有底穴部150を説明するための模式的な図であり、図12は右有底穴部160を説明するための模式的な図である。左有底穴部150は使用者の左手を差し込むための有底穴であり、使用者は左手のマッサージを受ける際に左有底穴部150に左手を差し込む。同様に、右有底穴部160は使用者の右手を差し込むための有底穴であり、使用者は右手のマッサージを受ける際に右有底穴部160に右手を差し込む。
【0034】
図8に示すように、マッサージ機1を正面視したとき、左有底穴部150と右有底穴部160とは、芯材130の胴体132に直交する垂直面に略沿うように、同図に示す中心線Mを中心にして略鏡像対象となる。また、図9に示すように、マッサージ機1を平面視したとき、左有底穴部150と右有底穴部160とは、それらの一部がZ方向にオーバーラップしている。
【0035】
図11は左有底穴部150の拡大図であり、図12は右有底穴部の拡大図である。同図に示すように、左有底穴部150は、左差し込み口151と、左穴底152と、左通路153と、左内壁面154とを有している。同様に、右有底穴部160は、右差し込み口161と、右穴底162と、右通路163と、右内壁面164とを有している。
【0036】
左差し込み口151は、使用者の左手を左通路153に差し込むための差し込み口である。図8に示すように、マッサージ機1を正面視したとき、左差し込み口151は、クッション部100の前方略中央の左側部に設けられ、その内径は、一般的な成人男性の肘関節の外周(例えば、28cm)よりも大きく形成されている。左穴底152は、図9に示すように、芯材130の背面側(Y2側)に位置している。左通路153は、左差し込み口151から左穴底152まで同径状に延びている。左内壁面154は、左通路153を画成するものであり、肌触りが良好な生地(例えば綿糸やポリエステル糸から成る生地)で形成されている。
【0037】
右差し込み口161は、使用者の右手を右通路163に差し込むための差し込み口である。図8に示すように、マッサージ機1を正面視したとき、右差し込み口161は、クッション部100の前方略中央の右側部に設けられ、その内径は、一般的な成人男性の肘関節の外周(例えば、28cm)よりも大きく形成されている。右穴底162は、図9に示すように、芯材130の背面側(Y2側)に位置している。右通路163は、右差し込み口161から右穴底162まで同径状に延びている。右内壁面164は、右通路163を画成するものであり、肌触りが良好な生地(例えば綿糸やポリエステル糸から成る生地)で形成されている。
【0038】
このように、マッサージ機1には、使用者の両手を差し込むための差し込み口151,161がクッション部100の前方略中央の左右にそれぞれ設けられ、左通路153が左差し込み口151から芯材130の背面側に位置する左穴底152まで延び、右通路163が右差し込み口161から芯材130の背面側に位置する右穴底162まで延びている。これにより、図6に示すように、使用者は、使用者の両手を対応する有底穴部150,160にそれぞれ差し込んだ状態でクッション部100(マッサージ機1)を抱きかかえることができる。つまり、クッション部100は、使用者がマッサージ機1を抱きかかえた際における使用者の左手の方向と同方向となる左有底穴部150と、使用者がマッサージ機1を抱きかかえた際における使用者の右手の方向と同方向となる右有底穴部160とを有している。
【0039】
本実施形態では、左内壁面154と右内壁面164の外周面側にそれぞれマッサージ部200が配置されている(図16参照)。マッサージ部200は、内壁面154,164を介して、左有底穴部150と右有底穴部160にそれぞれ差し込まれた使用者の両手をマッサージする(詳細は後述)。
【0040】
クッション部100に説明を戻し、支持部170は、クッション部100の頂部の略中央に設けられている。図10に示すように、支持部170の下方(Z2方向)に芯材130の天面133が配置されている。天面133は、Y1方向に下り傾斜の傾斜面となっており、床面に対する傾斜角度が15度乃至30度に形成されている。なお、傾斜角度については、この範囲に限定されず、仕様に応じて適宜設定可能であることはいうまでもない。
【0041】
図13および図14に示すように、使用者は、使用者の両手を対応する有底穴部150,160にそれぞれ差し込み、クッション部100(マッサージ機1)を抱きかかえている状態で、使用者の首を前傾させることにより、使用者の頭部を支持部170に預けることができる。使用者が支持部170に頭部を預けたとき、頭部の重さによって、支持部170の下方にあるクッション材120が下方(Z2方向)に沈む。このとき、クッション材120は、支持部170の下方に配置された芯材130の天面133によってY1方向に緩やかに傾斜した状態に変形し、この状態で使用者の頭部が保持される。
【0042】
次に、マッサージ部200について説明する。図7および図15示すように、マッサージ部200は、左マッサージ部210と、右マッサージ部240と、左パイプ270と、右パイプ280と、供給部290とを有している。
【0043】
図15示すように、左マッサージ部210は、左パイプ270を介して供給部290と接続している。右マッサージ部240は、右パイプ280を介して供給部290と接続している。供給部290は、左マッサージ部210および右マッサージ部240にそれぞれ空気を供給するためのコンプレッサである。供給部290として、例えば、オイル式のコンプレッサ、非オイル式のエアコンプレッサ等を用いることができる。なお、左マッサージ部210と右マッサージ部240は、構成上、実質的に同一であるため、以下の説明では、主として、左マッサージ部210について詳細に説明し、右マッサージ部240についての詳細な説明を省略する。
【0044】
図16に示すように、左マッサージ部210は、両端が開放された筒状を成しており、左差し込み口151側から芯材130の背面側に位置する左穴底152側まで延びて左内壁面154を覆っている(図9参照)。つまり、左マッサージ部210の内周面側には、肌触りが良好な生地材料で形成された左内壁面154が配置されている。左マッサージ部210は、左内壁面154を介して、左有底穴部150に差し込まれた使用者の左手をマッサージする。
【0045】
図17は、筒状の左マッサージ部210を平面的に展開した展開図である。同図に示すように、左マッサージ部210は、左エアバッグ220と、左揉み玉230とを有している。
【0046】
左エアバッグ220は、膨張および収縮可能な膨張収縮部材であり、左パイプ270を介して供給部290に接続している。左揉み玉230は、使用者の左手の一部を押圧する押圧部材であり、左エアバッグ220の表面に所定の接着材料で固定されている。供給部290は、左パイプ270を介して、左エアバッグ220に空気を送出することにより左エアバッグ220を膨張させ、左エアバッグ220に充填された空気を排出することにより左エアバッグ220を収縮させる。
【0047】
左エアバッグ220は、第1エアバッグ221と、第2エアバッグ222と、第3エアバッグ223とを有している。
【0048】
第1乃至第3エアバッグ221,222,223は左右方向に横一列となるよう配置されている。第1乃至第3エアバッグ221,222,223は、供給部290の動作により、互いに独立して膨張および収縮を可能としている。
【0049】
本実施形態では、第1乃至第3エアバッグ221,222,223は1枚の大判シート(図示省略)から成る。具体的には、柔軟性を有する材料で形成された袋状の大判シートを3つの領域に区画し、これら3つの領域が互いに連通しないように、各領域をシール(密封)する。これにより、各領域はそれぞれ第1乃至第3エアバッグ221,222,223と成り、これら第1乃至第3エアバッグ221,222,223で一連一体の左エアバッグ220と成る。なお、本明細書では、第1乃至第3エアバッグ221、222、223を総括して、単に「エアバッグ」ということもある。
【0050】
図16および図17に示すように、第1エアバッグ221は、左差し込み口151側に配置されており、矩形状の第1突出領域221aを有している。第1突出領域221aは、第1エアバッグ221の右辺221bの上部から右方向(第2エアバッグ222側)に向けて突出して、第2エアバッグ222の上辺222bに接している。第2エアバッグ222は、第1エアバッグ221と第3エアバッグ223との間に配置されており、矩形状の第2突出領域222aを有している。第2突出領域222aは、第2エアバッグ222の上辺222bの略中央から上方向に向けて突出している。第3エアバッグ223は、左穴底152側に配置されており、第3突出領域223aを有している。第3突出領域223aは、第3エアバッグ223の左辺223bの上部から左方向(第2エアバッグ222側)に向けて突出して、第2エアバッグ222の上辺222bに接している。
【0051】
このように、左エアバッグ220は、互いに隣接する矩形状の突出領域221a,222a,223aを有しており、第1突出領域221aと第3突出領域223aとが第2突出領域222aを介して対向するように、各突出領域221a,222a,223aが横一列に並んでいる。
【0052】
左パイプ270は、第1パイプ271と、第2パイプ272と、第3パイプ273とを有している。これら第1乃至第3パイプ271,272,273は、図15に示すように、それらの一方端が供給部290に接続し、他方端が左エアバッグ220(左マッサージ部210)に接続している。左パイプ270の一方端側では、第1乃至第3パイプ271,272,273が互いに隣接するように供給部290から左エアバッグ220に向かって延びている。一方、左パイプ270の他方端側では、第1乃至第3パイプ271,272,273が等間隔に整列した状態で左エアバッグ220に接続している。具体的には、図17に示すように、第1パイプ271の他方端が第1突出領域221aに接続し、第2パイプ272の他方端が第2突出領域222aに接続し、第3パイプ273の他方端が第3突出領域223aに接続している。つまり、第1乃至第3パイプ271,272,273は、左エアバッグ220のうち第1乃至3突出領域221a,222a,223aで構成された領域(以下、「特定領域」という。)に接続している。
【0053】
第1パイプ271は、供給部290から送出された空気を第1エアバッグ221に供給し、この供給により第1エアバッグ221は膨張する。第2パイプ272は、供給部290から送出された空気を第2エアバッグ222に供給し、この供給により第2エアバッグ222は膨張する。第3パイプ273は、供給部290から送出された空気を第3エアバッグ223に供給し、この供給により第3エアバッグ223は膨張する。
【0054】
図18および図19は、左マッサージ部210における左エアバッグ220と左揉み玉230との配置状態を説明するための模式図であり、図19では、説明の便宜上、筒状の左エアバッグ220を平面的に展開して図示している。本実施形態では、図18および図19に示すように、使用者の左手のうち手指先が左穴底152に到達するまで、あるいは、左穴底152に到達してはいないものの左穴底152の近傍に位置するまで、使用者の左手が左有底穴部150に差し込まれている状態(以下、「状態A」という。)において、第1エアバッグ221は、肘関節から手指先までの各部位のうち図19に示す部位Nに対向する位置に配置され、第2エアバッグ222は、前記各部位のうち図19に示す部位Pに対向する位置に配置され、第3エアバッグ223は、前記各部位のうち図19に示す部位Qに対向する位置に配置されている。そして、使用者の左手が状態Aにあるとき、供給部290が第1エアバッグ221に空気を供給した場合、第1エアバッグ221は部位Nに向かって膨張し、供給部290が第2エアバッグ222に空気を供給した場合、第2エアバッグ222は部位Pに向かって膨張し、供給部290が第3エアバッグ223に空気を供給した場合、第3エアバッグ223は部位Qに向かって膨張する。
【0055】
左揉み玉230は、耐衝撃性に優れた加工の容易な樹脂材料で形成されている。図15乃至図21に示すように、左揉み玉230は、同形状の6個の揉み玉231乃至236を有しており、これら揉み玉231乃至236は、第3エアバッグ223の表面に互いに間隔を空けて設けられている。図19に示すように、揉み玉231乃至236は、平面視、円状であり、第3エアバッグ223の表面から左内壁面154に向かって突出している。図示は省略するが、揉み玉231乃至236は、直径が約20mm、厚み(第3エアバッグ223の表面からの高さ)が約18mmの大きさである。なお、本明細書において、揉み玉231乃至236を総括して、単に「揉み玉」ということもある。
【0056】
図20および図21は、左揉み玉230の配置状態を説明するための模式図であり、図21は、平面的に展開された第3エアバッグ223を左手指先の掌側から視た平面図である。同図に示すように、揉み玉231乃至236は、使用者の左手が状態Aにあるとき、第3エアバッグ223に空気が供給されて第3エアバッグ223が膨張すると、手指先の配置状態に応じて、第1揉み玉231は小指に、第2揉み玉232は小指球に、第3揉み玉233は手根に、第4揉み玉234は母指球に、第5揉み玉235は人差し指に、第6揉み玉236は薬指に、それぞれ当接可能なように、第3エアバッグ223の表面に設けられている。
【0057】
次に、図7を用いて操作部300と制御部400について説明する。操作部300は、マッサージ機1の所定位置に配置されている。使用者は、マッサージ部200の動作に関する情報(以下、「動作情報」という。)を操作部300に入力することができる。操作部300は、操作部300に動作情報が入力されると、入力された動作情報を制御部400に所定方法により送信(出力)する。
【0058】
制御部400は、クッション部100の内部に設けられており、CPU、ROM、RAM等を有している。CPUは、操作部300から送信(出力)された動作情報を受信(入力)すると、ROMに格納されたプログラムから該動作情報に対応するプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、該処理に基づいて、供給部290による空気の送排出を制御する。ROMには、供給部290による空気の送排出の態様として、少なくとも、第1態様に係るプログラムと、第1態様と異なる第2態様に係るプログラムとが格納されている。
【0059】
第1態様は、最初に第3エアバッグ223を膨張させ、次に第2エアバッグ222を膨張させ、最後に第1エアバッグ221を膨張させるといった順番で、供給部290を制御する態様である。第2態様は、最初に第1エアバッグ221を膨張させ、次に第2エアバッグ222を膨張させ、最後に第3エアバッグ223を膨張させるといった順番で、供給部290を制御する態様である。第1態様に、左マッサージ部210の動作に関する情報としての第1情報が対応付けられ、第2態様に、左マッサージ部210の動作に関する情報としての第2情報が対応付けられている。
【0060】
図22は、左マッサージ部210が状態Aにある使用者の左手をマッサージしている様子を模式的に示した図であり、制御部400が第1態様で供給部290(マッサージ部200)を制御した場合の例である。
【0061】
図22(a)に示すように、使用者の左手が左穴底152に到達するまで左有底穴部150に差し込まれている状態Aでは、左の肘関節から手指先までの各部位(左手)が左エアバッグ220に包まれている。このとき、左手指先の掌側と第3エアバッグ223の表面223cとが左内壁面154を介して対向し、左手指先の甲側と第3エアバッグ223の表面223dとが左内壁面154を介して対向している。左揉み玉230(揉み玉231乃至236)は、左有底穴部150に差し込まれた使用者の左手指先と第3エアバッグ223との間に介在している。この状態で、使用者は、右手で操作部300を操作して、第1情報を操作部300に入力し、その後、速やかに右手を右有底穴部160に差し込んだとする。そうすると、同図(b)に示すように、制御部300は、最初に、第3エアバッグ223に空気を供給するよう供給部290を制御する。これにより、供給部290から送出された空気が第3エアバッグ223に供給されて、第3エアバッグ223は膨張する。このとき、左内壁面154が互いに近接する方向に移動して、第3エアバッグ223に対応する左通路153(左穴底152側の左通路153)が狭くなり、左揉み玉230が左手指先の掌の各部位を押圧する。具体的には、第1揉み玉231が小指、第2揉み玉232が小指球、第3揉み玉233が手根、第4揉み玉234が母指球、第5揉み玉235が人差し指、第6揉み玉236が薬指をそれぞれ押圧する。これにより、第3エアバッグ223の表面223dは、左手指先の甲を押圧している状態となるが、第3エアバッグ223の表面223cは、未だ左手指先の掌側を押圧していない状態となる。この状態から、さらに、制御部400は、第3エアバッグ223に空気を送出するよう供給部290を制御する。そうすると、同図(c)に示すように、供給部290から送出された空気が第3エアバッグ223に供給されて、第3エアバッグ223はさらに膨張する。そうすると、表面223cは、さらに左手指先の掌に近接し、その後、左内壁面154を介して左手指先の掌を押圧している状態となる。これにより、第3エアバッグ223の表面223cが左手指先の掌を押圧するとともに、左揉み玉230が同図(b)に示す状態よりも強く左手指先の掌を押圧する。このとき、第3エアバッグ223の表面223d、表面223c、および左揉み玉230の全てが手指先を押圧している状態となる。その後の様子については、図示を省略するが、第1情報に対応する動作として、制御部400は、第2エアバッグ222を膨張させた後に、第3エアバッグ223を膨張させるよう供給部290を制御する。なお、第2エアバッグ222を膨張させる際には、第3エアバッグ223の膨張を維持した状態で、第2エアバッグ222を膨張させ、第1エアバッグ221を膨張させる際には、第3エアバッグ223および第2エアバッグ222の膨張を維持した状態で、第1エアバッグ221を膨張させる。
【0062】
このように、本実施形態では、左マッサージ部210が筒状に形成され、供給部290が第3エアバッグ223に空気を送出すると、第3エアバッグ223は膨張し、その膨張に伴い、使用者の左手指先と第3エアバッグ223との間に介在している左揉み玉230が左手指先の掌を押圧するとともに、左揉み玉230から露出した左エアバッグ220の表面223c,d(露出面)が左手指先の全体を押圧する。そして、供給部290が第3エアバッグ223に充填された空気を排出すると、まずは、第3エアバッグ223の表面223cが左手指先(掌側)の押圧を開放し、かかる後に、左揉み玉230および第3エアバッグ223の表面223dが左手指先の押圧を開放する。これにより、押圧と押圧の開放とを繰り返し左手指先をマッサージする。
【0063】
以上のように、本実施形態のマッサージ機1は、使用者の肘関節から手指先までの各部位を差し込み可能な有底穴部150,160を有するクッション部100と、有底穴部150,160に差し込まれた前記各部位をマッサージするマッサージ部200とを備え、有底穴部150,160(通路153,163)の形成方向が、クッション部100を抱きかかえた際の両手の方向とそれぞれ同じ方向に形成されているため、使用者は、クッション部100を抱きかかえた状態でマッサージを受けることができる。しかも、この状態では、使用者の左手および右手がそれぞれ、左有底穴部150および右有底穴部160に支持されているため、自らの力でクッションを抱く必要がなく、脱力した状態を維持することができる。これにより、マッサージ機1は、マッサージ機能を有していない通常の抱き用クッションを抱いているときと同じ感覚で(違和感なく)ありながらも、通常の抱き用クッションよりも脱力してリラックスした状態となり、その上でさらに、マッサージを受けることができ、より一層のリラックス効果を図ることができる。
【0064】
本実施形態のマッサージ機1は、クッション部100が楕円球状に形成され、クッション部100の表面は肌触りの良いカバー材110で形成されているため、マッサージ部200を作動させていない状態では、寝具のクッションとして使用することができる。
【0065】
本実施形態のマッサージ機1は、使用者の左手を差し込むための有底穴である左有底穴部150と、使用者の右手を差し込むための有底穴である右有底穴部160とを個別に有しているため、使用者は、両手のマッサージを同時に行うことができる。
【0066】
本実施形態のマッサージ機1は、左有底穴部150と右有底穴部160とを個別に有しており、左有底穴部150に差し込まれた左手をマッサージする左マッサージ部210と、右有底穴部160に差し込まれた右手をマッサージする右マッサージ部240と、を個別に動作させることができるため、使用者は、左手および右手の何れか一方のみをマッサージすることができる。したがって、例えば、左手のみマッサージを受けながら、右手で電子機器(例えばPC)を操作するといったように、使用者は、一方の手のマッサージを受けながら、他方の手で他の作業を行うことができるため、マッサージ機1は、利便性の向上を図ることができる。
【0067】
本実施形態のマッサージ機1は、クッション部100を抱きかかえている状態で、使用者の頭部を預けることのできる支持部170を有しているため、睡眠や仮眠をとりながらのマッサージを提供することができる。
【0068】
本実施形態のマッサージ機1では、クッション部100を抱きかかえているとき、クッション部100の前面に使用者の上半身を預けることができるため、リラックスした状態でマッサージを受けることができる。
【0069】
本実施形態のマッサージ機1は、クッション部100の内部にZ方向に延びる芯材130を有しており、芯材130はマッサージ機1を起立させた状態で維持するため、マッサージ機1を膝の上に載せて使用する際に、膝の上にマッサージ機1を安定して載せることができる。
【0070】
本実施形態のマッサージ機1は、マッサージ機1を起立させた状態で維持する芯材130を有しているため、マッサージ機1を起立させた状態で保管・収納することができる。
【0071】
本実施形態のマッサージ機1では、芯材130がクッション部100内部の略中央に配置され、左有底穴部150を包囲する左マッサージ部210が左差し込み口151側から芯材130の背面側に位置する左穴底152側まで延び、右有底穴部160を包囲する右マッサージ部240が右差し込み口161側から芯材130の背面側に位置する右穴底162側まで延びている。換言すると、芯材130は、左有底穴部150と右有底穴部160との間に設けられ、マッサージ部200は芯材130と有底穴部150,160との間に設けられている。このため、使用者が両手を有底穴部150,160にそれぞれ差し込んでクッション部100(マッサージ機1)を抱きかかえている状態では、使用者が、Z方向(鉛直方向)に延びる芯材130と、他の部材よりも比較的に重く電気的に駆動するマッサージ部200とを両手で囲むように、マッサージ機1を抱きかかえている状態となる。このため、使用者は、マッサージ機1を安定して抱きかかえることができる。なお、本実施形態例において、左有底穴部150と右有底穴部160との間に供給部290を配置するようにすると、芯材130とマッサージ部200に加えて、供給部290も両手で囲むようにマッサージ機1を抱きかかえている状態となり、よりマッサージ機1を安定して抱きかかえることができるため好適である。
【0072】
本実施形態のマッサージ機1では、芯材130が天面133を有しており、天面133はY1方向に下る傾斜面であるため、支持部170に載せられた使用者の頭部を特定の角度で保持することができる。これにより、一層のリラックス感を使用者に与えることができる。
【0073】
本実施形態のマッサージ機1では、マッサージ機1を起立させるための芯材130を利用して、その天面133で頭部を支持する構成になっているため、頭部を支持する部材として、芯材とは別の部材をあらたに設ける必要がない。これにより、マッサージ機1の製作コストを低減させることができ得るとともに、マッサージ機1の軽量化を図ることができる。
【0074】
本実施形態のマッサージ機1では、マッサージ機1(クッション部100)を起立させるための芯材130が、左有底穴部150と右有底穴部160との間に配置されているが、この構成に限られず、使用者がマッサージ機1を安定して抱きかかえることができることを前提として、左有底穴部150と右有底穴部160との間に配置されていない構成であってもよい。より具体的には、本実施形態では、図9に示すように、マッサージ機1を平面視したとき、芯材130が有底穴部140のY1側に配置されているが、例えば、芯材130が有底穴部140のY2側に配置される構成であってもよい。
【0075】
本実施形態のマッサージ機1では、マッサージ機1を起立させるための芯材130がクッション部100の内部に1つ配置されているが、この構成に限られず、複数個の芯材130が配置されていてもよい。例えば、マッサージ機1を平面視したとき(図9参照)、芯材130が有底穴部140のY1側とY2側の双方にそれぞれ配置される構成であってもよい。
【0076】
本実施形態のマッサージ機1では、芯材130がカバー材110の内側底面に固定されて、図10に示すように、芯材130の天面133が常にY1方向に下る傾斜面となっているが、この構成に限られず、天面133がY1方向のみならず、他の方向にも下る傾斜面となるように構成してもよい。このようにすると、使用者の所望する状態で頭部を支持部170に保持させることができる。該変形例について、図示を省略するが、天面133が、胴体132の軸方向(図10に示すZ方向)を回転軸として底面131(床面)に対して回転可能とする。具体的には、芯材130が天面133と胴体132とを連結する連結部材を有しており、該連結部材は、胴体132の軸方向を回転軸として、天面133を底面131に対して回転可能とする。また該変形例として、天面133および胴体132が、胴体132の軸方向を回転軸として底面131(床面)に対して回転可能とする構成であってもよい。具体的には、芯材130が底面131と胴体132とを連結する連結部材を有しており、該連結部材は、胴体132の軸方向を回転軸として、天面133および胴体132を底面131に対して回転可能とする。
【0077】
本実施形態では、左有底穴部150は、左差し込み口151から左穴底152まで同径状に延びているが、この構成に限られなくともよい。例えば、左通路153が左差し込み口151から所定位置まで同径状に延びた後に、該所定位置から左穴底152まで左内壁面154が相互に近接するようにテーパー状に延びる構成であってもよい(右有底穴部160も同様)。このようにすると、一般的に、手指先の形状は、手首から指先にかけてテーパー状に延びているため、手指先の形状に沿うように、左有底穴部150を形成することができる。
【0078】
本実施形態では、左有底穴部150は左穴底152を有しており、左穴底152の近傍に左揉み玉230が配置されている。このため、左手指先を左穴底152に到達するまで左有底穴部150に差し込むことにより、左手指先の各部位を揉み玉とエアバッグの双方で確実に押圧することができる。つまり、左穴底152は、左手指先の各部位を揉み玉とエアバッグとの双方で押圧するための位置決めとしての機能を有している。
【0079】
本実施形態のマッサージ機1は、第1乃至第3エアバッグ221,222,223で一連一体の左エアバッグ220を有しており、左エアバッグ220は、第1乃至第3パイプ271,272,273である左パイプ270を介して供給部290と接続し、これら第1乃至第3パイプ271,272,273の一方端は、互いに隣接するように供給部290から左エアバッグ220に向かって延び、他方端は、第1乃至第3突出領域221a,222a,223aで構成された特定領域に等間隔で横一列に整列した状態で接続している。このため、マッサージ機1の内部でパイプ271,272,273が散乱しないようにパイプ271,272,273を結束させやすい。
【0080】
本実施形態のマッサージ機1では、複数(6個)の揉み玉231乃至236(左揉み玉230)が、左有底穴部150に差し込まれた使用者の左手指先と左エアバッグ220との間に介在している。このため、左エアバッグ220の膨張に伴い、使用者の左手指先の各部位に左揉み玉230を近接する方向に移動させて、左手指先の各部位を押圧することができる。
【0081】
本実施形態のマッサージ機1では、左エアバッグ220の膨張により、左揉み玉230が使用者の左手指先を押圧する構成になっているため、マッサージとして用いられるエアバッグそのものを左揉み玉230の駆動源として利用することができる。これにより、揉み玉の駆動源を別途設ける必要が無いため、マッサージ機1の製作コストを低減させることができるとともに、マッサージ機1の軽量化を図ることができる。
【0082】
特に、本実施形態のマッサージ機1では、左揉み玉230(揉み玉231乃至236)が、左エアバッグ220の表面に互いに間隔を空けて複数設けられているため、一の揉み玉と他の揉み玉との間に左エアバッグ220の表面が露出する。そして、左エアバッグ220の膨張に伴い、左揉み玉230のみならず、この左エアバッグ220の露出した面(以下、「露出面」という。)も使用者の手を押圧する構成になっている。これにより、手指先を揉み玉で押圧するとともに、エアバッグの露出面でも手指先を押圧することができる。
【0083】
本実施形態のマッサージ機1では、図17等に示すように、第3エアバッグ223における左揉み玉230の占有する領域(以下、「領域A」という。)が、第3エアバッグ223における露出面の占有する領域(以下、「領域B」という。)よりも狭い領域となるように、左揉み玉230が第3エアバッグ223の表面(表面223c)に設けられている。これにより、第3エアバッグ223の露出面によって手指先を広範囲に押圧しつつも、左揉み玉230でピンポイントに手指先を押圧するといったマッサージを実施することができる。
【0084】
本実施形態のマッサージ機1では、揉み玉とエアバッグとを備え、揉み玉とエアバッグとの双方で患部(例えば手指先)を押圧することができるため、異なる押圧力で患部をマッサージすることができる。このため、コリのひどい箇所に揉み玉を当てることで、コリのひどい個所を相対的に強く押圧して重点的にほぐしつつも、コリのひどい箇所の周囲(コリのひどい箇所よりもコリ度合いが低い箇所)をも同時にかつ、コリのひどい箇所よりも相対的に弱く押圧してすることができ、コリ具合に応じた適度な強度でのマッサージを行うことができる。
【0085】
本実施形態では、操作部300がマッサージ機1の所定位置に配置されているが、この構成に限られず、操作部300がマッサージ機1と物理的に分離している構成であってもよい。例えば、操作部300は、情報携帯端末(例えばスマートフォン)であり、操作部300の操作に基づいてマッサージ部200を動作させる。使用者がマッサージ部200の動作に関する情報(動作情報)を操作部300に入力すると、操作部300は入力された動作情報を制御部400に例えば無線通信による方法で送信する。
【0086】
また、本実施形態においては、操作部300が左穴底152および右穴底162のいずれか一方、あるいは、左穴底152および右穴底162の双方に配置されている構成であってもよい。このようにすると、片手または両手が、これらに対応する有底穴部150,160に差し込まれている状態で、マッサージ部200を動作させることができる。
【0087】
本実施形態では、最初に第3エアバッグ223を膨張させ、次に第2エアバッグ222を膨張させ、最後に第1エアバッグ221を膨張させるといった順番で、供給部290を制御する第1態様と、最初に第1エアバッグ221を膨張させ、次に第2エアバッグ222を膨張させ、最後に第3エアバッグ223を膨張させるといった順番で、供給部290を制御する第2態様で、肘関節から手指先までをマッサージすることができるため、手指先から肘関節に向けてのリンパマッサージと、肘関節から手指先に向けてのリンパマッサージの双方を実施することができる。
【0088】
本実施形態では、図22に示すように、第3エアバッグ223の表面223d、表面223c、および左揉み玉230の全てが手指先を押圧している状態となった後に、第2エアバッグ222を膨張させ、次に、第3エアバッグ223を膨張させるよう供給部290を制御する構成になっているが、この構成に限られず、第3エアバッグ223の表面223dおよび左揉み玉230のみが手指先を押圧し、表面223cが手指先を押圧していない状態、すなわち、図22(b)に示す状態となったとき、あるいは、その後すみやかに、第3エアバッグ223のさらなる膨張と、第2エアバッグ222の膨張とを実行する構成であってもよい。
【0089】
本実施形態において、揉み玉の数、エアバッグにおける揉み玉の配置状態、揉み玉の大きさ(揉み玉の直径や高さ)、揉み玉の形状を変更および調整することにより、本実施形態とは異なるマッサージを提供することができる。この変形例について、以下に説明する。なお、以下に示す各変形例においては、本実施形態と同様な構成要素については、同一の符号を付することによってその説明を省略または簡略化するものとする。
【0090】
変形例1乃至3として、揉み玉の配置状態を変更および調整する。本実施形態では、左揉み玉230が第3エアバッグ223の表面223cにのみ設けられているが、例えば、下記の変形例1乃至3のように変更および調整が可能である。
【0091】
変形例1では、左揉み玉が、第1乃至第3エアバッグ221,222,223のうち少なくとも何れか一つの表面に設けられている構成とする。具体的には、図23に示すように、左揉み玉が、第1乃至第3エアバッグ221,222,223の各表面の全てに設けられている構成であってもよいし、あるいは、何れか一つまたは二つの表面に限り設けられている構成であってもよい。すなわち、変形例1に係るマッサージ機は、膨張および収縮可能な複数のエアバッグと、使用者の身体とエアバッグとの間に介在する揉み玉とを備え、揉み玉は、複数のエアバッグのうち少なくとも何れか一の表面に一体的に設けられており、揉み玉が設けられているエアバッグの膨張により、揉み玉が患部を押圧するように構成されている。このように構成すると、使用者の所望する患部をマッサージすることができる。
【0092】
変形例2として、図24に示すように、第3エアバッグ223の表面のうち、手指先の掌に対応する表面223cに第一揉み玉230aを設け、手指先の甲に対応する表面223dに第二揉み玉230bを設け、第一揉み玉230aと第二揉み玉230bとが対向する位置関係となるように構成する。つまり、変形例2に係るマッサージ機は、膨張および収縮可能なエアバッグと、使用者の身体(例えば手指先)とエアバッグとの間に介在する複数の揉み玉とを備え、エアバッグが使用者の身体の一部を包囲可能に設けられ、複数の揉み玉に少なくとも第一揉み玉と第二揉み玉とを含み、エアバッグが使用者の身体の一部を包囲した状態において、第一揉み玉と第二揉み玉とは互いに対向する位置関係となるように構成されている。このように構成すると、第一揉み玉と第二揉み玉とで患部を挟むように押圧することができるため、より強い押圧力で、患部をマッサージすることができる。
【0093】
変形例3として、図25に示すように、第2エアバッグ222の表面のうち、手指先の掌に対応する表面222cに第三揉み玉230cを設け、手指先の甲に対応する表面222dに第四揉み玉230dを設け、第三揉み玉230cと第四揉み玉230dとが対向しない位置関係となるように構成する。つまり、変形例3に係るマッサージ機は、膨張および収縮可能なエアバッグと、使用者の身体(例えば手指先)とエアバッグとの間に介在する複数の揉み玉とを備え、エアバッグは、使用者の身体の一部(例えば手指先)を包囲可能に設けられ、複数の揉み玉に少なくとも第三揉み玉と第四揉み玉とを含み、エアバッグが使用者の身体の一部を包囲した状態において、第三揉み玉と第四揉み玉とは互いに対向しない位置関係となるように構成されている。このように構成した場合、使用者が押圧したい個所が異なる場合、それぞれを適切に一度に押圧することができる。
【0094】
変形例4乃至9として、揉み玉の数を増減し、あるいは、揉み玉の形状や大きさを変更する。本実施形態では、左揉み玉の数は6個で、これら揉み玉の形状および大きさは同一であって、その直径は20mm、エアバッグの表面からの高さは18mmであるが、下記の変形例4乃至8のように構成可能である。
【0095】
図示を省略するが、変形例4として、第3エアバッグ223における左揉み玉の占有する領域(領域A)と、第3エアバッグ223における左揉み玉から露出する露出面の占有する領域(領域B)とが同程度の広さになるように、左揉み玉の数および左揉み玉の大きさの少なくとも一方を調整する。つまり、変形例4に係るマッサージ機は、膨張および収縮可能なエアバッグと、使用者の身体(例えば手指先)とエアバッグとの間に介在する揉み玉とを備え、揉み玉はエアバッグの表面に一体的に設けられており、エアバッグが膨張することで、揉み玉は使用者の身体の一部を押圧する第一押圧部とされ、エアバッグの表面のうち揉み玉から露出する露出面は使用者の身体の一部を押圧する第二押圧部とされ、エアバッグにおける揉み玉の占有する領域Aと、エアバッグにおける露出面の領域Bとが同程度の広さとなるように構成されている。このようにすると、揉み玉による押圧と、エアバッグの露出面による押圧とは、互いに押圧力が異なるため、多様性に富むマッサージ機を提供することができる。
【0096】
図示を省略するが、変形例5として、第3エアバッグ223における左揉み玉の占有する領域Aが、第3エアバッグ223における左揉み玉から露出する露出面の占有する領域Bよりも広くなるように、揉み玉の数と大きさを調整する構成であってもよい。
【0097】
図示を省略するが、変形例6として、一の揉み玉の高さと、他の揉み玉の高さとが異なるように、揉み玉の高さを変更する。本実施形態では、揉み玉の高さは全て同じ高さとなるように統一されているが、例えば、一の揉み玉の高さを18mmに、他の揉み玉の高さを25mmに変更する。つまり、変形例6に係るマッサージ機は、膨張および収縮可能なエアバッグと、使用者の身体(例えば手指先)とエアバッグとの間に介在する複数の揉み玉とを備え、複数の揉み玉はエアバッグの表面に一体的に設けられており、エアバッグが膨張することで、複数の揉み玉は使用者の身体の一部を押圧する第一押圧部とされ、エアバッグの表面のうち複数の揉み玉から露出する露出面は使用者の身体の一部を押圧する第二押圧部とされ、エアバッグが膨張した場合、一の揉み玉が所定の患部に当接した後に、他の揉み玉が前記所定の患部と異なる患部に当接するように構成されている。このように構成すると、一の揉み玉が所定の患部(例えば手指先の小指球)に当接した後に、他の揉み玉が前記所定の患部と異なる患部(例えば手根)に当接するため、一の揉み玉による押圧力と他の揉み玉による押圧力とを異なるものにすることができるとともに、よりコリのひどい箇所(患部)に、押圧力の強い揉み玉を当てることで、使用者の所望するマッサージを提供することができる。
【0098】
変形例7として、一の揉み玉の形状と他の揉み玉の形状とが異なるように、揉み玉の形状を変更する。本実施形態では、平面視、円状に形成されているが、例えば、一の揉み玉の形状を、平面視、円状とし、他の揉み玉の形状を、平面視、円状と異なる形状(例えば楕円状や矩形状など)とすることにより、例えば、肘関節から手指先までの各部位に点在するツボを適切に押圧する揉み玉とすることができる。つまり、変形例8に係るマッサージ機は、膨張および収縮可能なエアバッグと、使用者の身体(例えば手指先)とエアバッグとの間に介在する複数の揉み玉とを備え、エアバッグは、使用者の身体の一部を包囲可能に設けられ、複数の揉み玉に、第七揉み玉と、この第七揉み玉の形状と異なる形状の第八揉み玉とを含むように構成されている。
【0099】
他の変形例として、変形例1乃至7を適宜組み合わせたマッサージ機を採用しうることはいうまでもない。例えば、第3エアバッグ223の表面のうち、手指先の掌に対応する表面223cに第五揉み玉を設け、手指先の甲に対応する表面223dに、第五揉み玉よりも小さい第六揉み玉を設け、第五揉み玉と第六揉み玉とが対向する位置関係または対向しない位置関係となるように構成する。つまり、変形例1乃至7を適宜組み合わせた変形例8に係るマッサージ機は、膨張および収縮可能なエアバッグと、使用者の身体(例えば手指先)とエアバッグとの間に介在する複数の揉み玉とを備え、エアバッグは、使用者の身体の一部を包囲可能に設けられ、複数の揉み玉は、第五揉み玉と、この第五揉み玉よりも小さい第六揉み玉とを備え、エアバッグが使用者の身体の一部を包囲した状態において、第五揉み玉と第六揉み玉とは互いに対向した位置関係または対向しない位置関係となるように構成されている。このように構成すると、ピンポイントに患部を押圧する揉み玉のうち、比較的に押圧力が大きくなる第六揉み玉と、これよりも押圧力の小さい第五揉み玉と、これよりも押圧力の小さいエアバッグの露出面といった3つの異なる押圧力を一度に実施することができる。
【0100】
変形例9として、図26乃至図29に示すマッサージ機を採用しうる。図26および図27は、左揉み玉230の配置状態を説明するための模式図であり、図28および図29は、左揉み玉230の形状を説明するための図である。
【0101】
変形例9に係るマッサージ機では、互いに形状の異なる第七揉み玉230eと第八揉み玉230fとが設けられ、これら揉み玉230e,fは、第3エアバッグ223の表面のうち手指先の掌に対応する表面223cに設けられている。
【0102】
図26および図27に示すように、使用者の左手が状態Aにあるとき、第3エアバッグ223に空気が供給されて第3エアバッグ223が膨張すると、手指先の配置状態に応じて、第七揉み玉230eは小指球に、第八揉み玉230fは母指球に、それぞれ当接可能なように、第3エアバッグ223の表面に設けられている。
【0103】
図28に示すように、第七揉み玉230eは蒲鉾状を成し、第八揉み玉230fは、3個の第七揉み玉230eを横一列に並列させた形状を成す。これら揉み玉230e,fは、図29に示す板状の大判部材Gを分割して得られる。大判部材Gには、分割ラインG1乃至G3が均等な間隔で平行に形成されている。大判部材Gを分割ラインG1に沿って分割することにより、1個の第七揉み玉230eと、1個の第八揉み玉230fとが得られる。大判部材Gの分割には、例えば、回転軸を中心に回転自在な分割用のローラを用いることができる。具体的には、分割ラインG1上に分割用ローラを押し当てた後に押圧し、その状態で分割用ローラを分割ラインG1に沿うように移動させることで、大判部材Gを分割ラインG1に沿って分割する。この分割によって得られた第七揉み玉230eおよび第八揉み玉230fを第3エアバッグ223の表面223cに固着させて、エアバッグと揉み玉とを一体化させる。
【0104】
このように、変形例9では、大判部材Gを分割ラインG1またはG3で分割することにより、互いに形状の異なる第七揉み玉230eと第八揉み玉230fとを容易に得ることができる。これにより、マッサージ機の製造に対する労力の低減と費用の低廉化とを実現することができる。
【0105】
なお、変形例9では、大判部材Gに3つの分割ラインG1乃至G3が均等な間隔で平行に形成され、1つの大判部材Gから1個の第七揉み玉230eと1個の第八揉み玉230fとを得る構成になっているが、この構成に限られず、大判部材Gに複数(例えば、5つや9つ等の任意の数)の分割ラインが均等な間隔で平行に形成され、大判部材Gに形成された複数の分割ラインのうち、何れの分割ラインで分割するかに応じて、大判部材Gから、複数の第七揉み玉230eのみを得る構成であってもよいし、複数の第七揉み玉230eと複数の第八揉み玉230fとを得る構成であってもよいし、複数の第七揉み玉230eと、2個の第七揉み玉230eを横一列に並列させた形状の揉み玉とを得る構成であってもよい。
【0106】
変形例10として、揉み玉を、使用者の体に帯電した静電気を除電可能な除電部である導電性シリコンで形成する構成であってもよい。すなわち、変形例10に係るマッサージ機は、膨張および収縮可能なエアバッグと、使用者の身体とエアバッグとの間に介在する揉み玉とを備え、揉み玉は、導電性シリコンで形成されているとともに、エアバッグの表面に一体的に設けられており、エアバッグの膨張により、揉み玉が患部を押圧するように構成されている。このように構成すると、揉み玉の導電特性により、揉み玉がアースとなって、身体が帯電している状態(静電気)を防止することができる。なお、導電性シリコンは、揉み玉のみならず、エアバッグの表面の少なくとも一部にも設けられている構成であってもよく、揉み玉およびエアバッグの少なくとも一方に設けられていればよい。換言すれば、導電性シリコンは、左有底穴部150および右有底穴部160において、使用者(患部)に接触する箇所に設けられていればよい。さらに、除電部としては、導電性シリコンに限定されず、静電気を除電可能なものであれば特に限定されないことは言うまでもない。
【0107】
本実施形態のマッサージ機1では、図9等に示すように、マッサージ機1を平面視したとき(マッサージ機1をZ1方向から見たとき)、左有底穴部150と右有底穴部160とは、それらの一部がZ方向にオーバーラップしているが、この構成に限られず、変形例11として、図30に示すように、マッサージ機1を正面視したとき(Y1方向から見たとき)、左有底穴部150と右有底穴部160とは、それらの一部がY方向にオーバーラップしている構成であってもよい。
【0108】
本実施形態のマッサージ機1では、左有底穴部150と右有底穴部160は有底穴であるが、この構成に限られず、変形例12として、左差し込み口と右差し込み口とが連通した貫通孔である構成であってもよい。図31に示すように、変形例12に係るマッサージ機は、クッション部100が使用者の両手を差し込む一つの穴部を有しており、穴部は、左差し込み口と、右差し込み口と、左差し込み口から右差し込み口まで湾曲して延びる通路と、この通路を画成する内壁面とを有している。換言すると、変形例12に係るクッション部100は、使用者がマッサージ機を抱きかかえた際における使用者の手の方向と同方向となる穴部を有している。このように構成しても、本実施形態の効果、すなわち、リラックス効果の高いマッサージを提供することができるという効果を奏する。
【0109】
本実施形態のマッサージ機1では、左通路153と右通路163とを直線状に形成しているが、この構成に限られず、使用者が両手を対応する有底穴部にそれぞれ差し込んでクッション部を抱きかかえ易いように、緩やかに湾曲させてもよい。
【0110】
本実施形態において、支持部170は、使用者の頭を床面に対して15度乃至30度の状態で保持することにより、使用者をよりリラックスできるマッサージ機1を提供することができるが、使用者の頭部に限られず、使用者の顎部等の体の一部を保持するものとしてもよい。また、支持部170の天面は傾斜のある平面状に形成されているが、使用者の体の一部を保持しやすくするために、凹面状に形成するようにしてもよい。
【0111】
本実施形態のマッサージ機1では、揉み玉は、耐衝撃性に優れた加工の容易な樹脂材料で形成されており、エアバッグの表面に所定の接着材料で固定されているが、この構成に限られず、揉み玉をエアバッグの表面に着脱可能とする構成であってもよい。例えば、該変形例に係るマッサージ機は、揉み玉が、ゲルと、このゲルを収容するとともに可撓性を有する収納部と、ゲルを収容した収容部をエアバッグの表面に取り付ける取付部とを備えている構成とする。このように構成すると、使用者が揉み玉の配置状態を変更することができるため、使用者が所望する患部を押圧するマッサージ機を提供することができる。
【0112】
本実施形態のマッサージ機1では、図1および図9等に示すように、左差し込み口151は、クッション部100の前方略中央の左側部に設けられ、右差し込み口161は、クッション部100の前方略中央の左側部に設けられているが、この構成に限られなくともよい。変形例13に係るマッサージ機は、図32に示すように、マッサージ機1の大きさに応じて、使用者がマッサージ機1を抱きかかえやすいように、左差し込み口151がクッション部100の左側部に設けられ、右差し込み口161がクッション部100の右側部に設けられている。
【0113】
本実施形態では、エアバッグと揉み玉とを有するマッサージ部200をクッション型のマッサージ機に採用したが、クッション型以外のマッサージ機に採用する構成であってもよい。
【0114】
次に、変形例14に係るマッサージ機では、図33に示すように、マッサージ部200に、使用者の筋硬度(筋肉の硬度、筋肉の硬さ)を測定可能な筋硬度計(筋硬度測定部)600と、使用者の心拍数を計測する心拍計(心拍数計測部)700と、使用者の体の一部に振動を与える振動部(押圧部材)800とを有しており、これらの筋硬度計600、心拍計700および振動部800はマッサージ部200を介した制御部(押圧制御部、振動制御部)400からの各種コマンドよって制御される。この制御部400には、図示しないが、後述する所与時間、所定時間、特定時間、再計測時間、駆動上限時間、作動条件時間等を計測するタイマが内蔵されており、制御部400は、このタイマの計測時間に応じた各種制御を行うようになっている。また、これらの各種時間については、操作部300への操作によって適宜変更可能としても良い。
【0115】
筋硬度計600は、使用者の疲労度によって変化する筋硬度を測定する圧力計であり、例えば、ばねによって付勢された端子(図示せず)を使用者の体のうち、硬さを測りたい個所に押し当てることでばねの反発力を検知して数値化するものが挙げられる。この筋硬度計600は、例えば、左内壁面154のうち、肘関節から手首までの間に対応する箇所のうちの適宜の個所(例えば、図25における第三揉み玉230cまたは第四揉み玉230dの近傍等)に設けられている。
【0116】
この筋硬度計600は、制御部400からのコマンドを受けて、筋硬度の測定開始・終了等を行う。また、筋硬度計600によって測定された筋硬度(測定値)は、制御部400に送信される。制御部400では、筋硬度計600から受けた筋硬度(測定値)に応じて後述する各種制御を行うようになっている。
【0117】
なお、筋硬度計600については、手(使用者の身体の一部)の筋硬度が計測可能であれば、その設置個所は特に限定されず、例えば、左内壁面154のうち、掌に対応した箇所に設けられるようにしても良い。また、筋硬度測定部としては、上述の筋硬度計600のみならず、筋肉の硬さを測定できるものであれば、特に限定されないことは言うまでもない。
【0118】
なお、筋硬度計600によって測定された筋硬度(測定値)については、0~30未満があまり凝っていない正常な状態、30以上~40未満が凝っている状態、40以上が相当凝っている状態として説明するものとする。これらの数値は説明の便宜上のための値であり、筋硬度計600によって数値化される値については、その仕様によって異なることは言うまでもない。
【0119】
心拍計700は、一定の時間内に心臓が拍動する回数を計測するものであり、本変形例14では、1分間に60回拍動したら60bpm(以後、「bpm」という単位を外して、「心拍数が60」というようにする)というように、1分間に心臓が何回拍動したかを計測可能となっている。本変形例14では、心拍計700は、例えば、左内壁面154のうち、手首の内側に対応した箇所に設けられ、手首の脈拍によって心拍数を計測するように構成されている。なお、心拍計700の設置個所についても、手首の内側に限定されず、例えば、指先、耳たぶ、胸等に直接取り付けることによって心拍数を計測するように構成しても良い。
【0120】
この心拍計700は、制御部400からのコマンドを受けて、心拍数の計測開始・終了等を行う。また、心拍計700によって計測された心拍数(計測値)は、制御部400に送信される。制御部400では、心拍計700からの心拍数(計測値)に応じて後述する各種制御を行うようになっている。
【0121】
なお、心拍計700によって計測される心拍数(計測値)については、一般的に、心拍数が100までが平常状態とし、心拍数が100を超えたら興奮状態とされているが、実際には、これらの閾値が使用者の年齢や体格等によって異なることは言うまでもない。
【0122】
振動部800は、制御部400からのコマンドを受けることによって振動し、これによって使用者の体の一部(対象部位)をマッサージするものである。この振動部800は、例えば、左内壁面154のうち、肘関節から手首までの間に対応する箇所のうちの適宜の個所(例えば、図25における第三揉み玉230cまたは第四揉み玉230dの近傍等)に設けられている。この振動部800の振動数は、例えば、1分間で60回振動する振動数60(1秒で1回振動。1ヘルツということもある。)となったり、1分間で120回振動する振動数120(1秒間で2回振動。2ヘルツということもある。)となったりというように、その振動数が制御部400の制御によって可変となるように構成されている。
【0123】
なお、振動部800については、使用者の身体の一部をマッサージ可能であれば、その設置個所は特に限定されず、例えば、左内壁面154のうち、掌に対応した箇所に設けられるようにしても良い。
【0124】
制御部400は、供給部290からの空気の送出を制御することによって左エアバック220による押圧力(揉み玉とエアバッグとの双方による押圧力)を可変に構成されている。具体的には、供給部290からの空気の送出量を調整することによって、左エアバッグ220の膨張度合いを調整することで、左エアバッグ220による押圧力の強弱を調整するようになっている。本変形例14では、制御部400は、左エアバッグ220によるデフォルトの押圧力でマッサージを行う標準モードと、この標準モードよりも左エアバッグ220による押圧力が弱いさすりモードとでマッサージを行えるように構成されている。
【0125】
また、本変形例14においては、マッサージの態様として、複数のモードを有している。具体的には、振動部800によるマッサージを行うモード1(叩き(振動)モード)と、左エアバッグ220による(左マッサージ部210、右マッサージ部240による)マッサージを行うモード2(もみモード)と、左エアバッグ220および振動部800の双方によるマッサージを行うモード3(混在モード・自動モード)とを有している。これらのモード1~3の切り替えは、操作部300への操作によって行う。次に、この操作部300への操作によって選択された各モード1~3について、図34乃至36を参照しながら説明する。
【0126】
先ず、モード1について説明する。図34に示すように、使用者が操作部300を操作することで選択したモードがモード1であった場合(ステップS0において「モード1」)、図35に示すように、振動部800が駆動(作動)する前(マッサージ機によるマッサージが行われる前)の初期心拍数である初期心拍数値Aを計測(チェック)する(ステップS1)。このステップS1では、制御部400が心拍計700による心拍数の計測を開始させることで、心拍計700に心拍数を計測させて、初期心拍数の計測値である初期心拍数値A(以後、単に「値A」ということもある)を得る。
【0127】
この値Aを得た後、制御部400は、この値Aに基づいた初期振動数を設定する(ステップS2)。このステップS2では、心拍数計700からの値Aを得た制御部400が、制御部400内に設けられたメモリ(図示せず)内の所定の領域に、この値Aを記憶する。そして、制御部400は、例えば、値Aが120(心拍数120)であったら、振動部800による初期振動数を、値Aと同じ120(振動数120)に設定する(初期振動数設定)。ここでの120という値Aは、上述のとおり、使用者が興奮状態にあるという状況である。
【0128】
この初期振動数設定の後、制御部400は、所与時間(例えば、10分)が経過するまで、振動部800を初期振動数での振動数にて駆動させる(ステップS3、ステップS4でNo)。このステップS3では、制御部400が、設定した振動数120にて振動する旨のコマンドを振動部800に送ることで、振動部800が振動数120にて振動を実行(開始)する。
【0129】
そして、所与時間が経過すると(ステップS4でYes)、制御部400は、振動部800が駆動している最中(マッサージ機が駆動している最中)の途中心拍数値Bを計測(チェック)する(ステップS5)。このステップS5では、振動部800の駆動中において、制御部400が心拍計700による心拍数の計測を再度開始させることで、心拍計700に心拍数を計測させて、振動部800による駆動が行われている最中の心拍数の計測値である途中心拍数値B(以後、単に「値B」ということもある)を得る。
【0130】
この値Bを得た後、制御部400は、この値Bとメモリに記憶されている値Aとを比較判断し、値Bが値Aよりも小さくないと判断した場合、換言すれば、振動部800が駆動する前の初期心拍数が今現在の心拍数以上であり、使用者が未だに興奮状態にある場合(ステップS6でNo)、振動部800に対し初期振動数での振動を現状の継続させる旨のコマンドを送ることにより、振動部800は初期振動数による振動を現状のまま実行する(ステップS7)。なお、ここでは、制御部400から現状のまま継続する旨のコマンドを送ることによって、振動部800を制御したが、これに代えて、制御部400から振動部800に対して、何のコマンドを送らないことで、振動部800の振動数をそのまま維持するようにしてもよい。また、本変形例14では、値Aと値Bとが同じであった場合には、マッサージによって落ち着いた状態であるとは言えないので、ステップS7に進むようになっている。
【0131】
一方、制御部400は、値Bが値Aよりも小さいと判断した場合、換言すれば、今現在の心拍数が初期心拍数よりも小さく、使用者がマッサージ前よりも落ち着いた状態となった場合(ステップS6でYes)、制御部400は、例えば、値Bが90(心拍数90)であったら、振動部800による途中振動数を、値Bと同じ90(振動数90)に設定する(ステップS8)。なお、本変形例では、現在の心拍数が初期心拍数よりも大きい場合は、振動部800の振動数を現状維持とする(ステップS7)ようにしていたが、これに代えて、例えば、心拍数が100から120に上がった場合には、振動部800の振動数を120に設定するというように、現在の心拍数が初期心拍数よりも小さくなった場合、または大きくなった場合のいずれにおいても、その心拍数に合致した振動数を設定するようにしても良い。
【0132】
この途中振動数設定の後、制御部400は、再計測時間(例えば、5分)が経過するまで、振動部800を途中振動数での振動数にて駆動させる(ステップS9)。このステップS9では、制御部400は、設定した振動数90にて振動する旨のコマンドを振動部800に送ることで、振動部800による振動数を振動数120から振動数90に切り替える。
【0133】
そして、再計測時間が経過すると(ステップS10でYes)、制御部400は、振動部800による駆動の上限時間、換言すれば、マッサージ機あるいはモード1の上限時間ともいえる駆動上限時間(例えば、20分)に達しているか否かを判断し、駆動上限時間に達していない場合には(ステップS11でNo)、ステップS5に戻って、ステップS5以降の制御を繰り返す。すなわち、本変形例では、駆動上限時間については、所与時間の10分に、再計測時間の5分の2倍(整数倍)を足した20分とすることで、ステップS4乃至S10に係る制御の繰り返し回数が2回になるようになっている。この繰り返し回数については、所与時間、再計測時間、駆動上限時間を各自が調整することによって、適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0134】
一方、駆動上限時間に達し、かつ、現在のモードがモード1である場合には(ステップS11でYes、ステップS12でYes)、図36に示すように、現在の振動数での振動、すなわち、現在の振動数が初期振動数であれば初期振動数での振動、現在の振動数が途中振動数であれば途中振動数での振動を1分ほど行うクールダウンを経て終了する(ステップS31)。本変形例では、駆動上限時間に達した際に行われている振動数でのクールダウンを行ったが、これに代えて、一律に途中振動数の振動数でのクールダウンを行ったり、一律に途中振動数よりも少ない振動数でのクールダウンを行ったり、あるいは、駆動上限時間に達した際に、そのときの心拍数を計測し、この計測値に応じた心拍数での振動数にてクールダウンを行ったりするようにしても良い。
【0135】
このように、モード1では、振動部800による振動数を使用者の心拍数と同じとすることで、使用者の身体に対する負荷を軽減することができる。また、振動部800による振動数と使用者の心拍数とを極力一致させるようにし、振動部800による振動と使用者の心拍とが極力同調するようにすることで、使用者がよりリラックスすることができ、癒し効果の向上を図ることができる。また、振動部800によるマッサージを行っている最中に、再度心拍数を計測するようにすることで、マッサージを継続しながらも(マッサージ中の)使用者の心拍数の変化に対応した適切な振動数によるマッサージを行うことができる。さらに、自動的にマッサージを終了させるための駆動上限時間を設けたことによって、振動部800を駆動させた状態が放置されることを防止することができ、マッサージのし過ぎによる揉み返しを防止することができるとともに、マッサージ機の無駄な作動を防止することができる。また、駆動上限時間まで特定時間毎にステップS5乃至ステップS10を繰り返すようにしているので、定期的に(再計測時間毎に)そのときの心拍数に応じた適切なマッサージを行うことができる。
【0136】
ここで、本変形例では、上述のように、ステップS5乃至S10を2回繰り返していることから、例えば、1回目においては、ステップS6にてNoとなってステップS7に進んでも、2回目においては、ステップS6にてYesとなってステップS8に進むパターン1(1回目では心拍数が落ち着いていなく初期振動数のままであったが、2回目では心拍数が落ち着いて途中振動数に切り替わったパターン)や、1回目・2回目のいずれもステップS6にてNoとなってそのまま終了するパターン2(2回繰り返しても心拍数が落ち着いていないパターン)となることが想定される。このパターン2に対しては、例えば、ステップS11に代えて、ステップS8およびS9を通ったか否かを判断し(心拍数が落ち着いて途中振動数による振動が行われたか否かを判断し)、通っている場合(心拍数が落ち着いている場合)にはステップS12に進み、通っていない場合(心拍数が落ち着いていない場合)には、ステップS5に戻るようにしても良い。すなわち、ステップS6において値B<値Aとなるまで、ステップS5乃至S10を繰り返し実行する構成であってもよい。この場合、確実に心拍数が落ち着いた状態でマッサージを完了することができる。
【0137】
なお、本変形例では、初期振動数にしても、途中振動数にしても、計測した心拍数と同じになるようにしたが、例えば、計測した心拍数が80であれば、これに基づく振動数を、160あるいは240というように、計測した心拍数の整数倍とするようにしても良いし、計測した心拍数に予め定めた値を乗じて得られたものを初期振動数や途中振動数とするようにしても良い。
【0138】
また、本変形例において、初期振動数は、計測した心拍数に第1値を乗じて得られたものとし、途中振動数は、計測した心拍数に前記第1値と異なる第2値を乗じて得られたものとする構成であっても良い。この構成において、第1値>第2値とした場合には、初期振動数が途中振動数よりも大きい値となりやすく、時間の経過に応じて、振動数が段階的に小さくなるようなマッサージを提供することができる。一方、第2値>第1値とした場合には、初期振動数が途中振動数よりも小さい値となりやすく、時間の経過に応じて、振動数が段階的に大きくなるようなマッサージを提供することができる。
【0139】
また、本変形例では、ステップS11による駆動上限時間に達するまで、ステップS45乃至ステップS11を繰り返すようにしたが、これに代えて、ステップS11にて、制御部400等に内蔵されたカウンタによってステップS5乃至ステップS11に係る制御の繰り返し回数をカウントし、カウント数が所定回数(例えば2回)となったらステップS12に進むようにしても良い。
【0140】
また、本変形例では、振動部800を設け、この振動部800の振動数を心拍数に同期させるようにしたが、これに代えて、図1の左マッサージ部210の左エアバッグ220の膨張・収縮による往復動作数、換言すれば、左エアバッグ220の振動数を心拍数に同期するように制御しても良いし、これらの両方を併用するようにしても良い。
【0141】
また、本変形例では、ステップS5乃至ステップS11の1セットを再計測時間が経過するまで複数回繰り返し実行し、この1セットあたりの再計測時間は、1セット毎に変化することなく同じ時間となるように構成されているが、この構成に限られず、ステップS5乃至ステップS11の1セットを繰り返すごとに、再計測時間が変化する構成であってもよい。例えば、1セット目を10分、2セット目を5分、3セット目を3分、4セット目を2分といったように、1セットを繰り返すごとに、再計測時間が短くなるように構成すると、1セットの時間が段階的に短くなり、途中心拍数Bのチェック(S5)を、モード1の序盤よりも終盤に増加させることができる。また、例えば、1セット目を2分、2セット目を3分、3セット目を5分、4セット目を10分といったように、1セットを繰り返すごとに、再計測時間が長くなるように構成すると、1セットの時間が段階的に長くなり、途中心拍数Bのチェック(S5)をモード1の終盤よりも序盤に増加させることができる。これにより、使用者の状態および趣向に応じたマッサージを提供することができる。
【0142】
次に、モード2について説明する。図34に示すように、使用者が操作部300を操作することで選択したモードがモード2であった場合(ステップS0において「モード2」)、図36に示すように、マッサージ機によるマッサージが行われる前の初期の筋肉硬度である初期筋肉硬度Cをチェック(測定)する(ステップS21)。このステップS21では、制御部400が筋硬度計600による筋硬度の測定を開始させることで、筋硬度計600に筋硬度を計測させて、初期の筋硬度の測定値である初期筋硬度値C(以後、単に「値C」ということもある)を得る。
【0143】
この値Cを得た後、制御部400は、この値Cをそのまま基準値として設定する(ステップS22)。このステップS22では、筋硬度計600からの初期筋硬度値Cを得た制御部400が、制御部400内に設けられたメモリ(図示せず)内の特定の領域に、この値Cを記憶する。そして、制御部400は、例えば、値Cが35であったら、基準値をそのまま35に設定する(基準値設定)。ここでの35という値Cは、上述のとおり、使用者の身体(手)が凝っている状態にあるという状況である。
【0144】
この基準値設定の後、制御部400は、所定時間(例えば、10分)が経過するまで、左エアバッグ220によるデフォルトの押圧力でマッサージを行う標準モードでのマッサージ(もみ)を開始する(ステップS23、ステップS24でNo)。このステップS23では、制御部400が、標準モードにてマッサージを行う旨のコマンドをマッサージ部200に送ることで、標準モードでのマッサージが行われる。
【0145】
そして、所定時間が経過すると(ステップS24でYes)、制御部400は、左エアバッグ220が作動(駆動)している最中(マッサージ機が駆動している最中)の途中筋硬度値Dを計測(チェック)する(ステップS25)。このステップS25では、左エアバッグ220の作動中において、制御部400が筋硬度計600による筋硬度の測定を再度開始させることで、筋硬度計600に筋硬度を計測させて、左エアバッグ220による作動が行われている最中の筋硬度の測定値である途中心拍数値D(以後、単に「値D」ということもある)を得る。
【0146】
この値Dを得た後、制御部400は、この値Dとメモリに記憶されている基準値とを比較判断し、値Dが基準値よりも小さくないと判断した場合、換言すれば、マッサージ機によるマッサージが行われる前の初期の筋肉硬度が今現在の筋肉硬度以上であり、使用者の凝りが未だに緩和されていない場合(ステップS26でNo)、マッサージ部200に対し標準モードをそのまま継続させる旨のコマンドを送ることにより、左エアバッグ220は標準モードを維持する(ステップS27)。なお、ここでは、制御部400から現状のまま継続する旨のコマンドを送ることによって、左エアバッグ220を制御したが、これに代えて、制御部400から左エアバッグ220に対して、何のコマンドを送らないことで、左エアバッグ220による標準モードをそのまま維持するようにしてもよい。また、本変形例14では、値Cと基準値とが同じであった場合には、マッサージによって落ち着いた状態であるとは言えないので、ステップS27に進むようになっている。
【0147】
一方、制御部400は、値Dが基準値よりも小さいと判断した場合、換言すれば、今現在の筋硬度が初期の筋硬度よりも小さく、使用者の凝りがマッサージ前よりもある程度解消された状態となった場合(ステップS26でYes)、制御部400は、左エアバッグ220によるマッサージを、標準モードよりも左エアバッグ220による押圧力が弱いさすりモードでのマッサージに切り替える(ステップS29)。
【0148】
そして、特定時間(例えば、5分)が経過すると(ステップS28でYes)、制御部400は、左エアバッグ220による作動の上限時間、換言すれば、マッサージ機あるいはモード2の上限時間ともいえる作動上限時間(例えば、20分)に達しているか否かを判断し、駆動上限時間に達していない場合には(ステップS30でNo)、ステップS25に戻って、ステップS25以降の制御を繰り返す。すなわち、本変形例では、作動上限時間については、所定時間の10分に、特定時間の5分の2倍(整数倍)を足した20分とすることで、ステップS25乃至S28に係る制御の繰り返し回数が2回になるようになっている。この繰り返し回数については、所定時間、特定時間、作動上限時間を各自が調整することによって、適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0149】
一方、作動上限時間に達したら(ステップS30でYes)、現在のモードでのマッサージ、すなわち、現在のモードが標準モードであれば標準モードでのマッサージ、現在のモードがさすりモードであればさすりモードでのマッサージを1分ほど行うクールダウンを経て終了する(ステップS31)。本変形例では、作動上限時間に達した際に行われているモードでのマッサージを継続するクールダウンを行ったが、これに代えて、現在のモードに拘わらず、一律にさすりモードでのマッサージによるクールダウンを行うようにしたり、あるいは、さすりモードよも押圧力の弱いクールダウンモードを別途設け、一律にこのクールダウンモードでのクールダウンを行うようにしても良い。
【0150】
このように、モード2では、左エアバッグ220によるマッサージとして、最初は相対的に押圧力の強い標準モードでのマッサージを行い、このマッサージの途中で測定した筋硬度によって凝りがある程度解消されていれば、相対的に押圧力の弱いさすりモードでのマッサージを行うようにしているので、マッサージによる使用者の筋硬度の変化に対応した適切なマッサージを行うことができる。また、左エアバッグ220によるマッサージを行っている最中に、再度筋硬度を測定するようにすることで、マッサージを継続しながらも(マッサージ中の)使用者の筋硬度の変化に対応した適切なモードによるマッサージを行うことができる。さらに、自動的にマッサージを終了させるための作動上限時間を設けたことによって、左エアバッグ220を駆動させた状態が放置されることを防止することができ、マッサージのし過ぎによる揉み返しを防止することができるとともに、マッサージ機の無駄な作動を防止することができる。また、作動上限時間まで特定時間毎にステップS25乃至ステップS30を繰り返すようにしているので、定期的に(特定時間毎に)そのときの筋硬度(凝りの状態)に応じた適切なマッサージを行うことができる。
【0151】
ここで、本変形例では、上述のように、ステップS25乃至ステップS30を2回繰り返していることから、例えば、1回目においては、ステップS26にてNoとなってステップS27に進んでも、2回目においては、ステップS26にてYesとなってステップS28に進むパターン3(1回目では凝りが解消されていなく標準モードのままであったが、2回目では凝りがある程度解消されてさすりモードに切り替わったパターン)や、1回目・2回目のいずれもステップS26にてNoとなってそのまま終了するパターン4(2回繰り返しても凝り解消されていないパターン)となることが想定される。このパターン4に対しては、例えば、ステップS30に代えて、ステップS29を通ったか否かを判断し(凝りがある程度解消されたか否かを判断し)、通っている場合(凝りがある程度解消されている場合)にはステップS31に進み、通っていない場合(凝りが解消されていない場合)には、ステップS25に戻るようにしても良い。すなわち、ステップS26において値D<基準値となるまで、ステップS25乃至S30を繰り返し実行する構成であってもよい。この場合、確実に凝りがある程度解消された状態でマッサージを完了することができる。
【0152】
なお、本変形例では、初期筋肉硬度値Cをそのまま基準値とし、この基準値と途中筋硬度値Dとの比較で標準モードおよびさすりモードの切り替えを行っていたが、これに代えて、例えば、あまり凝っていない正常な状態である範囲A(例えば、筋硬度計600が測定した筋硬度が上述の0~30未満)、凝っている状態である範囲B(例えば、筋硬度計600が測定した筋硬度が上述の30以上~40未満)や相当凝っている範囲C(例えば、筋硬度計600が測定した筋硬度が上述の40以上)を予めメモリに記憶させ、初期筋硬度値Cや途中筋硬度Dが、範囲BやCであれば標準モードでのマッサージを行う一方、範囲Aであればさすりモードでのマッサージを行うというように、筋硬度に応じたモードに自動的に切り替わるようにしても良い。この場合、使用者の筋硬度に応じた(使用者の疲労度に応じた)適切なマッサージを行うことができる。
【0153】
次に、モード3について説明する。図34に示すように、使用者が操作部300を操作することで選択したモードがモード3であった場合(ステップS0において「モード3」)、制御部400は、図35に示すモード1と同様な(ステップS1乃至ステップS11と同様な)制御を経て、図36に示すモード2と同様な(ステップS21乃至ステップS31)制御を行う(ステップ11でYesの後、ステップS12でNoを経て、ステップS21以降の制御を行う)。
【0154】
このように、モード3では、モード1およびモード2と同様な作用効果を奏するとともに、モード1にて心拍数を落ち着かせてから、モード2にて凝りをほぐすマッサージを行うことができるため、マッサージ効果および癒し効果のより一層の向上を図ることができる。
【0155】
本変形例では、モード3においては、ステップS5乃至S11の繰り返し回数が2回のモード1をそのまま行った後に、ステップS25乃至S30の繰り返し回数が2回のモード2を行うようにしたが、これに代えて、モード1における1回目のステップS5乃至S11が終わった後にそのまま(モード1の繰り返しを行わずにそのまま)モード2を行うようにしても良い。また、モード2における1回目のステップS25乃至S30が終わった後にそのまま(モード2の繰り返しを行わずにそのまま)モード1を行うようにしても良い。また、モード1におけるステップS5乃至S11の繰り返しと、モード2におけるステップS25乃至S30の繰り返しと、を順不同で適宜繰り返すようにしても良く、モード1におけるステップS5乃至S11およびモード2におけるステップS25乃至S30の順番、繰り返し回数等については、マッサージ機の仕様や使用者の状態に合わせて適宜設定可能である。
【0156】
本変形例については、図1に示すマッサージ機に適用したが、これに限定されず、例えば、エアバッグのみのハンドマッサージ(マッサージ機)に適用したり、あるいは、バイブレータおよび往復動することによって使用者の身体の一部(肩、背中、腰等)を叩く叩き部材等を含む振動部、エアバッグ、揉み玉を有するマッサージチェア(マッサージ機)に適用したりするようにしても良い。要は、揉み玉、エアバッグ、振動部を有するマッサージ機であれば、本変形例を適宜適用可能である。
【0157】
上述のように、実施形態を記載したが、この開示の一部をなす記載および図面は、限定するものと理解すべきでない。また、開示した実施形態を適宜組み合わせることもでき、また、ここで記載していない様々な実施の形態等が含まれる。
【符号の説明】
【0158】
1 マッサージ機
100 クッション部
110 カバー材
120 クッション材
130 芯材
140 有底穴部
150 左有底穴部
151 左差し込み口
152 左穴底
153 左通路
154 左内壁面
160 右有底穴部
161 右差し込み口
162 右穴底
163 右通路
164 右内壁面
200 マッサージ部
210 左マッサージ部
220 左エアバッグ
221 第1エアバッグ
222 第2エアバッグ
223 第3エアバッグ
221a 第1突出領域
222a 第2突出領域
223a 第3突出領域
230 左揉み玉
231 第1揉み玉
232 第2揉み玉
233 第3揉み玉
234 第4揉み玉
235 第5揉み玉
236 第6揉み玉
240 右マッサージ部
270 左パイプ
280 右パイプ
290 供給部
300 操作部
400 制御部(押圧制御部、振動制御部)
600 筋硬度計(筋硬度測定部)
700 心拍計(心拍数計測腐)
800 振動部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
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