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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102431
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/076 20060101AFI20240724BHJP
   F21S 41/657 20180101ALI20240724BHJP
   F21S 41/147 20180101ALI20240724BHJP
   F21S 41/32 20180101ALI20240724BHJP
   F21S 41/25 20180101ALI20240724BHJP
   F21S 41/50 20180101ALI20240724BHJP
   B60Q 1/115 20060101ALI20240724BHJP
   F21W 102/10 20180101ALN20240724BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240724BHJP
【FI】
B60Q1/076
F21S41/657
F21S41/147
F21S41/32
F21S41/25
F21S41/50
B60Q1/115
F21W102:10
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006304
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100081433
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 章夫
(72)【発明者】
【氏名】望月 翔太
(72)【発明者】
【氏名】玉井 裕之
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339AA25
3K339AA32
3K339BA01
3K339BA04
3K339BA05
3K339BA12
3K339BA14
3K339BA18
3K339BA23
3K339BA25
3K339BA26
3K339BA28
3K339CA01
3K339CA06
3K339CA12
3K339CA22
3K339CA24
3K339DA01
3K339GA08
3K339GA13
3K339GA14
3K339GB01
3K339GC04
3K339GC05
3K339HA02
3K339HA12
3K339HA13
3K339HA14
3K339HA15
3K339KA07
3K339LA02
3K339LA03
3K339LA06
3K339LA11
3K339MC45
(57)【要約】
【課題】、部品点数を削減した簡易な構成のランプ光軸調整装置を備えた車両用灯具を提供する。
【解決手段】ランプユニット1のランプ光軸調整装置2は、エイミング機構3により傾動されるメインブラケット5と、ランプユニット1を支持してメインブラケット5に傾動可能に支持されたサブブラケット6を備える。サブブラケット6は、ランプユニット1を覆うカバー部61と、傾動時に支点となる支点部62と、レベリング機構4のアクチュエータ41に連結される連結部63が一体に形成されている。
【選択図】 図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプユニットと、このランプユニットのランプ光軸を角度調整するランプ光軸調整装置とがランプハウジング内に配設された車両用灯具であって、前記ランプ光軸調整装置は、前記ランプユニットを支持するとともに当該ランプユニットを覆い、前記ランプハウジングに対して少なくともランプユニットの上下方向に傾動されるサブブラケットを備えており、エクステンションに設けられた窓を通して前記ランプユニットの光照射レンズと前記サブブラケットの一部が露呈され、前記サブブラケットは、前記ランプユニットを覆うカバー部と、傾動時に支点となる支点部と、レベリング機構のアクチュエータに連結される連結部が一体に形成されていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記ランプハウジングに対して前記ランプユニットの上下方向及び左右方向に傾動可能に支持されたメインブラケットを備えており、前記サブブラケットは、前記メインブラケットに対して前記ランプユニットと一体的にランプユニットの上下方向に傾動可能に支持される請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記サブブラケットの支点部は、前記ランプユニットの左右方向に沿った2つの球継手を備え、当該サブブラケットは前記2つの球継手を結ぶ線を支軸として傾動可能とされる請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記アクチュエータは前記ランプユニットの前後方向に移動される駆動軸部を備え、当該駆動軸部は前記サブブラケットの連結部に設けられた連結スリーブに内挿され、当該駆動軸部の移動により前記サブブラケットが傾動される請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記アクチュエータは、リニア駆動機構を内装するケーシングを備え、前記駆動軸部はこのケーシングに開口された開口溝から突出され、突出された先端部が前記連結スリーブに内挿される。請求項4に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車等の車両のヘッドランプに適用して好適な車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用ヘッドランプは、所要の配光特性を得るために、照射する光の中心軸を所定の方向に設定するためのランプ光軸調整装置が設けられる。そのため、ヘッドランプにはランプユニットから出射される光の中心軸(以下、ランプ光軸と称する)の上下方向と左右方向の各角度位置を調整するためのエイミング機構が設けられる。また、自動車の走行に伴って生じる自動車のピッチ角(俯仰角)の変化によるランプ光軸の上下方向の角度位置の変化を調整するためのレベリング機構が設けられたものもある。
【0003】
特許文献1のランプには、エイミングブラケットの上下方向と左右方向の各角度位置を調整するためのエイミング機構が設けられており、また、このエイミングブラケットに支持されたレベリングブラケットの上下方向の角度位置を調整するためのレベリング機構が設けられている。レベリングブラケットにはランプユニットが支持されており、レベリングブラケットの上下方向の角度位置の調整によりランプ光軸が調整される。
【0004】
一方、特許文献2のランプには、ランプユニットを支持しているブラケットを上下方向、左右方向に角度調整するエイミング機構が設けられており、このエイミング機構のナットに、ブラケットに支持したアクチュエータが連結された構成が設けられている。このアクチュエータによりブラケットをナットに対して傾動させることにより、ランプ光軸の上下方向の角度位置が調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-70295号公報
【特許文献2】特開2019-61809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、車両用のランプにおいては、外観上の見栄え向上のために、ランプ内に装飾用のエクステンションが配設されることがある。特許文献1,2のようなレベリング機構を備えたランプにエクステンションを配設する場合には、ランプユニットの傾動時にエクステンションとランプユニットが干渉することがないように所要の隙間を設ける必要があり、この隙間を通してランプユニットの一部が露呈されることがある。従来では、隙間を通して露呈されても見栄えが低下することがないように、ブラケットとは別にランプユニットを覆うユニットカバーが設けられており、このために部品点数が増大するという課題がある。
【0007】
また、特許文献1のレベリング機構はスクリュー・ナット構造であり、その螺合部分が露呈されているため、埃の付着や潤滑剤の洩れ等の問題が生じることがある。特許文献2で用いられているリニア型のアクチュエータではこの種の問題は少ないが、アクチュエータとブラケットとの連結部にガタが生じると、ブラケットが傾動されたときに、ブラケットの左右方向への変位や面ぶれ等の変動が生じ、ランプ光軸の調整精度が低下する要因となる。このようなブラケットの変動を防止するために、ブラケットの傾動をガイドするためのスライダーが設けられるが、スライダーの構造が複雑になるとともに、スライダーを挟んでアクチュエータとブラケットを連結させるためのジョイントも必要になり、このための部品点数が増大するという課題がある。
【0008】
本発明の目的は、部品点数を削減した簡易な構成のランプ光軸調整装置を備えた車両用灯具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の車両用灯具は、ランプユニットと、このランプユニットのランプ光軸を角度調整するランプ光軸調整装置とがランプハウジング内に配設された車両用灯具であって、ランプ光軸調整装置は、ランプユニットを支持するとともに当該ランプユニットを覆い、ランプハウジングに対して少なくとも上下方向に傾動されるサブブラケットを備えており、エクステンションに設けられた窓を通してランプユニットの光照射レンズとサブブラケットの一部が露呈され、サブブラケットは、ランプユニットを覆うカバー部と、傾動時に支点となる支点部と、レベリング機構のアクチュエータに連結される連結部が一体に形成されている。
【0010】
本発明において、ランプハウジングに対してランプユニットの上下方向及び左右方向に傾動可能に支持されたメインブラケットを備えており、サブブラケットはメインブラケットに対してランプユニットと一体的に当該ランプユニットの上下方向に傾動可能に支持される。この構成において、サブブラケットの支点部は、ランプユニットの左右方向に沿った2つの球継手を備え、サブブラケットはこれらの球継手を結ぶ線を支軸として傾動可能とされる構成とすることが好ましい。
【0011】
また、本発明において、アクチュエータはランプユニットの前後方向に移動される駆動軸部を備え、駆動軸部はサブブラケットの連結部に設けられた連結スリーブに内挿され、駆動軸部の移動によりサブブラケットが傾動される構成とすることが好ましい。この構成において、アクチュエータは、リニア駆動機構を内装するケーシングを備え、駆動軸部はこのケーシングに開口された開口溝から突出され、突出された先端部が連結スリーブに内挿される構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の車両用灯具は、ランプユニットを覆うカバー部がサブブラケットに一体に形成されているので、サブブラケットとカバー部を一部品で構成でき、部品点数を削減し、かつ組み付け作業が簡易化できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明を適用したフロントランプを備える自動車の概略構成の正面図。
図2図1のフロントランプのII-II線に沿う拡大断面図
図3】フロントランプに配設された照明ランプの正面図。
図4】フロントランプの一部を分解して示す斜視図。
図5】照明ランプの概略の部分分解斜視図。
図6】ランプユニットの概略の縦断面図。
図7】球継手の断面図。
図8】レベリングアクチュエータとサブブラケットの連結部の一部を破断した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明を適用した複合型のフロントランプ(フロントコンビネーションランプ)FCLを備えた自動車CARの車体右前部を概略図示する正面図である。以降の説明において、前後方向は図1に示したフロントランプFCLのランプ前後方向であり、上下及び左右方向は図1を基準にした方向である。フロントランプFCLはランプハウジング100を有しており、このランプハウジング100内に、ヘッドランプ等の照明ランプLLと、クリアランスランプやデイタイムランニングランプ等の表示ランプDLと、ターンシグナルランプ等の信号ランプSLが配設されている。
【0015】
照明ランプLLの詳細は後述するが、いわゆるプロジェクター型のヘッドランプとして構成されており、ハイビーム及びロービームの配光制御が可能とされている。表示ランプDLは光源の光を導光し、かつその前面側から出射するライトガイド(導光体)200を用いた構成である。信号ランプSLは光源と、この光源の光を透過して所要の配光で出射するインナーレンズ300を備える構成である。これら表示ランプDLと信号ランプSLについては、本発明との関連が少ないので詳細な説明は省略する。
【0016】
図2は、図1のフロントランプFCLの略II-II線に沿った位置での拡大断面図であり、照明ランプLLに関連する部位を示している。また、図3はその正面図,図4は一部を分解した斜視図である。前記ランプハウジング100は、ランプ前方が開口された容器状のランプボディ101と、このランプボディ101の開口に取り付けられた透光性のアウターカバー102とを備えている。このランプハウジング100内には、照明ランプLLが配設されるとともに、照明ランプLLの一部、すなわち配光に供しない部位がアウターカバー102を透して外部に露見されることを防止するためのエクステンション103が配設されている。このエクステンション103には、照明ランプLLから出射される光を透過させる窓104が開口されるとともに、その一部は、前記した表示ランプDLのライトガイド200からの光を反射するリフレクタ105として構成されている。
【0017】
前記照明ランプLLは、図5に概略の部分分解斜視図を示すように、所要の配光で照明光を出射するランプユニット1と、このランプユニット1のランプ光軸Lxを上下、左右に角度調整するためのランプ光軸調整装置2が一体に構成されている。また、このランプ光軸調整装置2は、ランプユニット1のランプ光軸Lxを手操作により上下、左右に角度調整するエイミング機構3と、ランプ光軸Lxを電子制御により上下に角度調整するレベリング機構4とを備えた構成とされている。以下、これらについて詳細に説明する。
【0018】
図6はランプユニット1の概略の縦断面図である。概略筒状に形成されたユニットケース11を備えており、このユニットケース11の後側部にヒートシンク12が連結され、前側開口に光照射レンズ13が支持されている。ヒートシンク12は後面に複数の放熱フィンが形成されており、前面は幾分上方に向けて傾斜され、この前面には光源基板14が密接状態に取り付けられている。この光源基板14の前面の上縁寄りの位置で、光照射レンズ13の焦点近傍位置には、それぞれ白色光を発光する第1LED(発光ダイオード)15Lと第2LED15Hが上下に並んで搭載されている。上側の第1LED15Lはロービーム配光用の光源として構成され、下側の第2LED15Hはハイビーム配光用の光源として構成されている。これら第1LED15Lと第2LED15Hは配光に必要とされる光量を得るために、それぞれ複数個のLED15L,15Hが水平方向に配列されている。
【0019】
また、前記ユニットケース11内には、光源基板14の前側位置にリフレクタ16が配設されている。このリフレクタ16は所要の凹曲面に形成されるとともに、第1LED15Lと第2LED15Hに対向する位置に窓が開口されている。また、この窓内の第1LED15Lと第2LED15Hの上下方向の略中間位置には、左右方向に延びる細片状をしたシェード16Sがリフレクタ16と一体に形成されている。
【0020】
ランプユニット1では、図6に矢印線で示すように、第1LED15Lと第2LED15Hが発光されたときには、各LED15L,15Hから出射された光は、直接あるいはリフレクタ16で反射されて光照射レンズ13に入射され、光照射レンズ13において屈折されて前方に向けて照射される。第1LED15Lの光は一部がシェード16Sの先端に形成された遮光部により遮光されることにより、シェード16Sの形状に依存したカットオフラインを有するロービーム配光が形成される。第2LEDの15H光は略全部の光が光照射レンズ13において屈折されて前方に向けて照射され、ハイビーム配光が形成される。なお、これらの配光の中心に向けられるランプ光軸Lxは、光照射レンズ13のレンズ光軸とは若干ずれていることがあるが、ここでは便宜的に光照射レンズ13のレンズ光軸をランプユニット1のランプ光軸、さらには照明ランプLLのランプ光軸Lxとしている。
【0021】
図5に示したように、前記ランプ光軸調整装置2は、メインブラケット5とサブブラケット6とを備えている。メインブラケット5は、エイミング機構3を介してランプボディ101に対して上下方向及び左右方向に傾動されて上下方向及び左右方向の角度調整が可能とされている。サブブラケット6はランプユニット1の少なくとも前側を覆うようにして当該ランプユニット1を支持しており、メインブラケット5に対して上下方向に傾動可能に支持されている。このサブブラケット6は、メインブラケット5の下部に支持されたレベリング機構4を構成するレベリングアクチュエータ41により上下方向の角度調整が可能とされている。
【0022】
メインブラケット5は、ランプユニット1の上下寸法、左右寸法よりも一回り大きく、かつ前後方向に貫通された縦窓52を有する矩形の縦枠部51と、この縦枠部51の下部に連続され、かつ上下方向に貫通された下窓54が開口された下枠部53を備えており、剛性の高い樹脂により一体に形成されている。そして、縦枠部51には、前面側から見たときに、縦枠部51の右下、右上、左下の各位置にそれぞれ前後方向に貫通する3つのエイミング孔H1,H2,H3が開口されている。
【0023】
図3に示すように、右下のエイミング孔H1には球面受け31が嵌合支持されている。この球面受け31はランプボディ101の対応する位置において前方に向けて立設されたボールピン34のボールに嵌合される。この球面受け31は、例えば、図7の断面図に示すように、円筒状に形成されており、その一端に設けられた逆円錐状の弾性支持片31aと、軸芯位置に設けられた固定支持片31bとでボールピン34を挟持する構成である。そして、周面に設けられたフック31cにより、エイミング孔H1の内縁に係止された状態で嵌合され、これらにより球面受け31は球継手(ボールジョイント)31として構成される。
【0024】
また、右上と左下の各エイミング孔H2,H3にはそれぞれエイミングナット32,33が嵌合支持されており、これらのエイミングナット32,33はランプボディ101の対応する位置において前方に向けて軸転可能に軸支されたエイミングスクリュー35,36に螺合されている。このエイミングナット32,33は、図示は省略するが、嵌合支持されるエイミング孔H2,H3に対して球面支持される構成である。このようなエイミングナットは既に知られているので、ここでは説明は省略する。
【0025】
このようなエイミング機構3を備えることにより、メインブラケット5は球継手31を支点にして上下、左右に傾動が可能とされる。そして、右上のエイミングスクリュー35を軸転操作すると、これに螺合されているエイミングナット32は螺進されて前後方向に移動され、メインブラケット5は球継手31を支点にして上下方向に傾動されて上下方向の角度調整が行われる。また、左下のエイミングスクリュー36を軸転操作すると、これに螺合されているエイミングナット33は螺進されて前後方向に移動され、これによりメインブラケット5は球継手31を支点にして左右方向に傾動されて左右方向の角度調整が行われる。
【0026】
また、図4に示したように、メインブラケット5の下枠部53にはレベリングアクチュエータ41が固定支持される。このレベリングアクチュエータ41は、箱型のケーシング42の上面に細長い開口溝43が開口されており、この開口溝43から先端が球状をした駆動軸部44が突出されている。この駆動軸部44は、ケーシング42に内装されている図外のリニア駆動機構により、開口溝43に沿って往復移動される構成とされている。リニア駆動機構は、例えば、ラック・ピニオン機構、スクリュー・ナット機構、電磁ソレノイド機構等の回転-直線変換駆動機構が採用でき、このリニア駆動機構を駆動することにより駆動軸部44が往復移動される。リニア駆動機構は、いずれの機構であってもケーシング42に内装されていることにより、機構における埃の付着や潤滑剤の洩れ等による不具合が防止される。
【0027】
レベリングアクチュエータ41は、駆動軸部44が上方に向けられ、かつ開口溝43の長手方向が前後方向に向けられた状態で、メインブラケット5の下枠部53に固定される。レベリングアクチュエータ41のケーシング42には支持片45が一体に形成されており、この支持片45を利用したネジ止め等によりメインブラケット5に固定される。このように固定されたときには、駆動軸部44はメインブラケット5の下窓54内において上方に突出した状態とされ、レベリングアクチュエータ41が駆動されたときに下窓54内において前後方向に移動することが可能とされる。
【0028】
一方、ランプ光軸調整装置2のサブブラケット6は、ランプユニット1の前面から両側面にわたる領域を覆うカバー部61と、このカバー部61の上縁部に設けられた支点部62と、カバー部61の下縁部に設けられた連結部63を備えている。これの各部は所要の剛性を有し、さらにある程度の耐摩耗性を有する樹脂により一体に形成されている。例えば、ガラス繊維入りのポリアミド樹脂系材料で形成される。このサブブラケット6は、ランプユニット1の前側から被せるように取り付けられた上で、ランプユニット1に一体的に支持される。
【0029】
カバー部61には略中央にレンズ窓64が開口されており、ランプユニット1が取り付けられたときに、ランプユニット1の光照射レンズ13がレンズ窓64を通して前側に露呈される。その一方で、ランプユニット1の光照射レンズ13を除く部位、特に光照射レンズ13の周囲の前面領域と両側面領域はカバー部61により覆われた状態とされ、外部に露呈されることが防止される。因みに、このカバー部61は、従前のランプ光軸調整装置においては、サブブラケットとは別体の部材として構成されている。
【0030】
支点部62はカバー部61よりも所要の長さで後方に突出されており、その後端壁には左右に並んで2つの支持孔H4が開口され、これらの支持孔65に球面受け66が嵌合支持されている。これらの球面受け66には、メインブラケット5の縦枠部51の上縁部に前方に向けて立設されたボールピン55が内挿されており、球面受け66は球継手66として構成される。この球継手66は、図7に示した構造と同じものを用いてもよい。これによりサブブラケット6は球継手66により、メインブラケット5に懸架された状態で支持されることになり、この球継手66を結ぶ線を支軸として、すなわち支点部62を支点にして上下方向に揺動するように傾動され、上下方向の角度調整が可能とされる
【0031】
このようにしてサブブラケット6がメインブラケット5に支持された状態では、サブブラケット6に支持されているランプユニット1は、その後側部位がメインブラケット5の縦窓52を内に位置され、メインブラケット5との干渉が防止される。また、この状態では、サブブラケット6の連結部63はメインブラケット5の下窓54の上側に位置され、下枠部53に支持されているレベリングアクチュエータ41の上側に対向配置される。
【0032】
連結部63には、図8にも示すように、下方に向けて開口された短円筒状の連結スリーブ65が一体に設けられており、図2に示したように、この連結スリーブ65にレベリングアクチュエータ41の駆動軸部44が内挿される。この内挿により、連結スリーブ65と駆動軸部44は、少なくとも前後方向に一体化された状態で連結されることになり、レベリングアクチュエータ41が駆動して駆動軸部44が前後方向に移動されると、これに従って連結スリーブ67、すなわち連結部63が前後方向に移動され、サブブラケット6は支点部62を支軸として上下方向に傾動される。
【0033】
以上の照明ランプLLのランプ光軸調整装置2においては、エイミング機構3によりランプユニット1のランプ光軸Lxの基準角度を調整するためのエイミング調整が行われる。すなわち、図4における右上のエイミングスクリュー35を軸転操作することによりメインブラケット5は上下方向に傾動されて角度調整が行われ、左下のエイミングスクリュー36を軸転操作することによりメインブラケット5は左右方向に傾動されて角度調整が行われる。このとき、メインブラケット5に支持されているサブブラケット6と、これに支持されているランプユニット1は一体的に上下方向及び左右方向に傾動されて角度調整される。これにより、ランプユニット1のランプ光軸Lxを、自動車CARの車体に対して所定の基準角度に設定するためのエイミング調整が行われる。
【0034】
その上で、自動車CARのピッチ角の変化、すなわち路面に対する車体の前後方向の角度が変化したときに、路面に対するランプユニット1のランプ光軸Lxを所定角度に制御するためにレベリング機構4が駆動される。例えば、図示は省略するが、自動車CARには車体のピッチ角を検出するセンサーが搭載されており、検出したピッチ角に基づいて制御部によりレベリングアクチュエータ41をフィードバック制御する。この制御によりレベリングアクチュエータ41の駆動軸部44は前後方向に移動され、位置が変化される。この駆動軸部44の移動により、駆動軸部44が内挿されて連結状態とされている連結スリーブ65、すなわちサブブラケット6の連結部63が前後方向に移動され、サブブラケット6は支点部62を支軸にして上下方向に傾動され、角度調整される。これにより、サブブラケット6に支持されているランプユニット1のランプ光軸Lxが上下方向に角度調整され、レベリング調整が行われる。
【0035】
このように、実施形態のランプ光軸調整装置2においては、ランプユニット1をレベリング調整するための被調整部材と、ランプユニット1を覆うカバー部材とが1つのサブブラケット6として構成されている。これにより、これらのカバー部材と被調整部材を個別の部品で構成するものに比較して部品点数が削減できる。さらに、一体に構成されたサブブラケット6は、ランプユニット1の前面ないし側面領域を覆うカバー部61と、傾動支点となる支点部62と、傾動に際しての力点となる連結部63が一体に形成されているので、これらの各部が個別に構成されている場合に比較して構成が簡略化でき、かつこの点でも部品点数を削減することができる。したがって、これら複数の個別の部品を組み付けるための作業も不要となり、低コスト化が実現できる。
【0036】
また、サブブラケット6の支点部62に2つの球継手66が構成されており、サブブラケット6はこれら球継手66を結ぶ線を支軸として傾動されるので、サブブラケット6の傾動時における左右方向の変位と面ぶれ等の変動が防止される。したがって、単にレベリングアクチュエータ41の駆動軸部44をサブブラケット6の連結スリーブ65に内挿しただけの構成でも、サブブラケット6における変動を防止するための構成、例えば、スライダーや、サブブラケットとアクチュエータを連結するためのジョイント部材等が不要となり、連結構造を構成するための部品点数が削減でき、さらにこれらの組み付け作業も不要になる。
【0037】
さらに、照明ランプLLは、ランプ光軸調整に際して上下、左右に傾動されるが、この際においてもエクステンション103と干渉することがないように、エクステンション103の窓104は、ランプユニット1の光照射レンズ13よりも十分に大きな寸法に形成されている。そのため、この窓104通してランプユニット1の前面ないし周面領域の一部が露呈されるおそれがある。この実施形態では、これらの部位はレベリング調整される被調整部材として構成されているサブブラケット6により覆われているで、窓104にはサブブラケット6の一部が露呈されるのみであり、意匠性の低下は防止れる。また、サブブラケット6は窓104を通してその一部が露呈されるのみであるので、サブブラケット6の素材は、外観よりも剛性や耐摩耗性を優先して選択することができる。これにより、サブブラケット6の支点部62における支持強度を高め、さらには連結部63における摩耗性、特に駆動軸部44と連結スリーブ65との接触部における摩耗性を高めることができ、ランプ光軸調整装置2の耐久性を高め、かつ信頼性を高めることができる。
【0038】
ここで、サブブラケット6のカバー部61は、必ずしもランプユニット1の前面ないし両側面領域の全域を覆う必要はなく、少なくともエクステンション103の窓104を通して露呈されるおそれのある領域を覆う構成であればよい。また、カバー部61は、単に意匠性を改善するためにランプユニット1を覆うのみではなく、ランプユニット1から出射される配光に関与しない光が隣接領域に洩光することを防止する機能を備える構成とされてもよい。
【0039】
本発明においては、レベリングアクチュエータ41の軽量化が進み、これを支持するメインブラケット5における重量バランスをとることが可能な場合には、メインブラケット5の上部にレベリングアクチュエータ41を支持する構成としてもよい。この場合には、サブブラケット6はカバー部61の下側に支点部62を設け、カバー部61の上側に連結部63を設けてレベリングアクチュエータ41に連結する構成としてもよい。
【0040】
本発明において、ランプ光軸調整装置を構成するエイミング機構やレベリング機構、さらにレベリングアクチュエータの構成は実施形態の構成に限られるものではない。例えば、エイミング機構を構成する1つの球継手と2つのエイミングナットの位置は適宜に変更することができる。また、球継手の構造についても、メインブラケットやサブブラケットを傾動可能に支持する構成であれば、他の構造の球継手や回転継手を採用することも可能である。
【0041】
本発明はランプ光軸を角度調整する構成の車両用灯具であれば、実施形態のようなハイビーム配光とロービーム配光での照明を行うヘッドランプとして構成されるランプユニットを備える車両用灯具に限られるものではない。特に、光源として複数のLEDを備え、これらのLEDを選択的に発光して所望の配光を得るADB配光制御を行うランプユニットに適用されてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 ランプユニット
2 ランプ光軸調整装置
3 エイミング機構
4 レベリング機構
5 メインブラケット
6 サブブラケット
11 ユニットケース
12 ヒートシンク
13 光照射レンズ
15L,15H LED(発光ダイオード)
41 レベリングアクチュエータ(アクチュエータ)
44 駆動軸部
51 縦枠部
53 下枠部
61 カバー部
62 支点部
63 連結部
65 連結スリーブ
100 ランプハウジング
101 ランプボディ
102 アウターカバー
103 エクステンション
FCL フロントランプ
LL 照明ランプ
DL 表示ランプ
SL 信号ランプ
図1
図2
図3
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図7
図8