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特開2024-102433介護業務量算出システム、介護業務量算出方法、および介護業務量算出プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102433
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】介護業務量算出システム、介護業務量算出方法、および介護業務量算出プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/00 20180101AFI20240724BHJP
【FI】
G16H40/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006307
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】村田 絵理沙
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 喬
(72)【発明者】
【氏名】小林 直弘
(72)【発明者】
【氏名】西角 雅史
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA13
(57)【要約】
【課題】被介護者の介護に必要な介護業務量を精度良く算出できる介護業務量算出システム、介護業務量算出方法、および介護業務量算出プログラムを提供する。
【解決手段】介護業務量算出システム1は、情報取得部211、特徴抽出部212、および業務量算出部213を有する。情報取得部211は、介護業務量を算出する対象の被介護者の身体状況および/または精神状況に関する情報を含む被介護者情報と、被介護者の身体状況および/または精神状況に基づき予め定義された被介護者の特徴を含むプロファイル情報と、を取得する。特徴抽出部212は、被介護者情報に基づいて、介護業務量を算出する対象の被介護者の介護に関連する特徴をプロファイル情報から抽出する。業務量算出部213は、抽出された特徴に基づいて、被介護者を介護するための介護業務量を算出する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被介護者を介護するための介護業務量を算出する介護業務量算出システムであって、
介護業務量を算出する対象の対象被介護者の身体状況および/または精神状況に関する情報を含む被介護者情報と、被介護者の身体状況および/または精神状況に基づき予め定義された被介護者の特徴を含むプロファイル情報と、を取得する情報取得部と、
前記被介護者情報に基づいて、前記対象被介護者の介護に関連する特徴を前記プロファイル情報から抽出する特徴抽出部と、
抽出された前記特徴に基づいて、前記対象被介護者に関する介護業務の介護業務量を算出する業務量算出部と、を有する、介護業務量算出システム。
【請求項2】
前記業務量算出部は、介護業務ごとに予め設定された標準介護業務量に対する調整業務量を算出し、前記標準介護業務量に前記調整業務量を加えることにより、前記対象被介護者を介護するための介護業務量を算出する、請求項1に記載の介護業務量算出システム。
【請求項3】
前記業務量算出部は、1日に複数回ある介護業務の1回当たりの介護業務について前記調整業務量を算出する、請求項2に記載の介護業務量算出システム。
【請求項4】
前記業務量算出部は、複数の被介護者からなるグループごとの介護業務量を算出する、請求項1~3のいずれか1項に記載の介護業務量算出システム。
【請求項5】
前記業務量算出部は、複数の被介護者からなるグループにおいて被介護者ごとに介護業務量を算出する、請求項1~3のいずれか1項に記載の介護業務量算出システム。
【請求項6】
前記情報取得部は、被介護者の身体状況および/または精神状況に関するLIFE項目について、前記対象被介護者が該当するか否かに関する情報を取得し、前記LIFE項目および前記情報に基づいて前記被介護者情報を生成することにより取得する、請求項1~3のいずれか1項に記載の介護業務量算出システム。
【請求項7】
前記プロファイル情報に含まれる被介護者の特徴は、被介護者の身体状況および/または精神状況に関する複数のLIFE項目に基づき予め定義されており、
前記特徴抽出部は、前記被介護者情報に基づいて、前記プロファイル情報に含まれる被介護者の特徴のうち、前記対象被介護者の介護に関連する特徴を抽出する、請求項6に記載の介護業務量算出システム。
【請求項8】
前記業務量算出部は、予め設定された介護業務ごとに前記対象被介護者を介護するための介護業務量を算出する、請求項1~3のいずれか1項に記載の介護業務量算出システム。
【請求項9】
前記業務量算出部は、抽出された前記特徴のうち、介護業務ごとに予め設定された特徴のみに基づいて、介護業務量を算出する、請求項8に記載の介護業務量算出システム。
【請求項10】
算出された前記介護業務量を前記介護業務ごとに出力する業務量出力部をさらに有する、請求項8に記載の介護業務量算出システム。
【請求項11】
被介護者を介護するための介護業務量を算出する介護業務量算出装置と、端末装置と、を有する介護業務量算出システムであって、
前記介護業務量算出装置は、介護業務量を算出する対象の対象被介護者の身体状況および/または精神状況に関する情報を含む被介護者情報と、被介護者の身体状況および/または精神状況に基づき予め定義された被介護者の特徴を含むプロファイル情報と、を取得する情報取得部と、
前記被介護者情報に基づいて、前記対象被介護者の介護に関連する特徴を前記プロファイル情報から抽出する特徴抽出部と、
抽出された前記特徴に基づいて、前記対象被介護者を介護するための介護業務量を算出する業務量算出部と、
少なくとも前記対象被介護者の個人IDを含む被介護者リストを記憶する記憶部と、
前記被介護者リストを送信または受信する通信部と、を有し、
前記端末装置は、
前記被介護者リストを送信または受信する送受信部と、
前記対象被介護者の身体状況および/または精神状況に関する情報を受け付ける受付部と、を有する、介護業務量算出システム。
【請求項12】
被介護者を介護するための介護業務量を算出する介護業務量算出方法であって、
介護業務量を算出する対象の対象被介護者の身体状況および/または精神状況に関する情報を含む被介護者情報と、被介護者の身体状況および/または精神状況に基づき予め定義された被介護者の特徴を含むプロファイル情報と、を取得するステップ(a)と、
前記被介護者情報に基づいて、前記対象被介護者の介護に関連する特徴を前記プロファイル情報から抽出するステップ(b)と、
抽出された前記特徴に基づいて、前記対象被介護者に関する介護業務の介護業務量を算出するステップ(c)と、を含む、介護業務量算出方法。
【請求項13】
被介護者を介護するための介護業務量を算出する介護業務量算出プログラムであって、
介護業務量を算出する対象の対象被介護者の身体状況および/または精神状況に関する情報を含む被介護者情報と、被介護者の身体状況および/または精神状況に基づき予め定義された被介護者の特徴を含むプロファイル情報と、を取得するステップ(a)と、
前記被介護者情報に基づいて、前記対象被介護者の介護に関連する特徴を前記プロファイル情報から抽出するステップ(b)と、
抽出された前記特徴に基づいて、前記対象被介護者に関する介護業務の介護業務量を算出するステップ(c)と、を含む処理をコンピューターに実行させるための介護業務量算出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、介護業務量算出システム、介護業務量算出方法、および介護業務量算出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
介護施設に入居している被介護者に質が高く、かつ効率の良い介護を提供するためには、被介護者の数に対して必要かつ十分な数の介護者が対応することが求められる。そのためには、被介護者に必要とされる介護が何で、それに対してどの程度の介護業務量が必要であるかを把握する必要がある。
【0003】
これに関連して、下記特許文献1には、被介護者1人当たりの介護・支援サービスにかかる時間と、介護・支援サービスを必要とする被介護者の人数と、1人の被介護者に対して直接介護を担当する介護者の人数とに基づいて、介護者の業務量(時間・人)を算出する介護業務管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-71789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の介護業務管理システムでは、被介護者1人当たりの介護・支援サービスにかかる時間は、被介護者の状態にかかわらず介護・支援サービスごとに予め一律に定められている。したがって、被介護者の介護に必要な介護業務量を精度良く算出できないという問題がある。
【0006】
これに対して、被介護者の要介護度を考慮することにより、被介護者ごとの介護業務量をある程度推定することもできるが、そもそも要介護度には幅があり、加えて同じ要介護度でも各々の被介護者により状態が異なる場合がある。したがって、要介護度だけでは各々の被介護者の介護に必要な介護業務量を精度良く算出することは難しい。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、被介護者の介護に必要な介護業務量を精度良く算出できる介護業務量算出システム、介護業務量算出方法、および介護業務量算出プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記課題は、以下の手段によって解決される。
【0009】
(1)被介護者を介護するための介護業務量を算出する介護業務量算出システムであって、介護業務量を算出する対象の対象被介護者の身体状況および/または精神状況に関する情報を含む被介護者情報と、被介護者の身体状況および/または精神状況に基づき予め定義された被介護者の特徴を含むプロファイル情報と、を取得する情報取得部と、前記被介護者情報に基づいて、前記対象被介護者の介護に関連する特徴を前記プロファイル情報から抽出する特徴抽出部と、抽出された前記特徴に基づいて、前記対象被介護者に関する介護業務の介護業務量を算出する業務量算出部と、を有する、介護業務量算出システム。
【0010】
(2)前記業務量算出部は、介護業務ごとに予め設定された標準介護業務量に対する調整業務量を算出し、前記標準介護業務量に前記調整業務量を加えることにより、前記対象被介護者を介護するための介護業務量を算出する、上記(1)に記載の介護業務量算出システム。
【0011】
(3)前記業務量算出部は、1日に複数回ある介護業務の1回当たりの介護業務について前記調整業務量を算出する、上記(2)に記載の介護業務量算出システム。
【0012】
(4)前記業務量算出部は、複数の被介護者からなるグループごとの介護業務量を算出する、上記(1)~(3)のいずれか1つに記載の介護業務量算出システム。
【0013】
(5)前記業務量算出部は、複数の被介護者からなるグループにおいて被介護者ごとに介護業務量を算出する、上記(1)~(3)のいずれか1つに記載の介護業務量算出システム。
【0014】
(6)前記情報取得部は、被介護者の身体状況および/または精神状況に関するLIFE項目について、前記対象被介護者が該当するか否かに関する情報を取得し、前記LIFE項目および前記情報に基づいて前記被介護者情報を生成することにより取得する、上記(1)~(3)のいずれか1項に記載の介護業務量算出システム。
【0015】
(7)前記プロファイル情報に含まれる被介護者の特徴は、被介護者の身体状況および/または精神状況に関する複数のLIFE項目に基づき予め定義されており、前記特徴抽出部は、前記被介護者情報に基づいて、前記プロファイル情報に含まれる被介護者の特徴のうち、前記対象被介護者の介護に関連する特徴を抽出する、上記(6)に記載の介護業務量算出システム。
【0016】
(8)前記業務量算出部は、予め設定された介護業務ごとに前記対象被介護者を介護するための介護業務量を算出する、上記(1)~(3)のいずれか1つに記載の介護業務量算出システム。
【0017】
(9)前記業務量算出部は、抽出された前記特徴のうち、介護業務ごとに予め設定された特徴のみに基づいて、介護業務量を算出する、上記(8)に記載の介護業務量算出システム。
【0018】
(10)算出された前記介護業務量を前記介護業務ごとに出力する業務量出力部をさらに有する、上記(8)に記載の介護業務量算出システム。
【0019】
(11)被介護者を介護するための介護業務量を算出する介護業務量算出装置と、端末装置と、を有する介護業務量算出システムであって、前記介護業務量算出装置は、介護業務量を算出する対象の対象被介護者の身体状況および/または精神状況に関する情報を含む被介護者情報と、被介護者の身体状況および/または精神状況に基づき予め定義された被介護者の特徴を含むプロファイル情報と、を取得する情報取得部と、前記被介護者情報に基づいて、前記対象被介護者の介護に関連する特徴を前記プロファイル情報から抽出する特徴抽出部と、抽出された前記特徴に基づいて、前記対象被介護者を介護するための介護業務量を算出する業務量算出部と、少なくとも前記対象被介護者の個人IDを含む被介護者リストを記憶する記憶部と、前記被介護者リストを送信または受信する通信部と、を有し、前記端末装置は、前記被介護者リストを送信または受信する送受信部と、前記対象被介護者の身体状況および/または精神状況に関する情報を受け付ける受付部と、を有する、介護業務量算出システム。
【0020】
(12)被介護者を介護するための介護業務量を算出する介護業務量算出方法であって、介護業務量を算出する対象の対象被介護者の身体状況および/または精神状況に関する情報を含む被介護者情報と、被介護者の身体状況および/または精神状況に基づき予め定義された被介護者の特徴を含むプロファイル情報と、を取得するステップ(a)と、前記被介護者情報に基づいて、前記対象被介護者の介護に関連する特徴を前記プロファイル情報から抽出するステップ(b)と、抽出された前記特徴に基づいて、前記対象被介護者に関する介護業務の介護業務量を算出するステップ(c)と、を含む、介護業務量算出方法。
【0021】
(13)被介護者を介護するための介護業務量を算出する介護業務量算出プログラムであって、介護業務量を算出する対象の対象被介護者の身体状況および/または精神状況に関する情報を含む被介護者情報と、被介護者の身体状況および/または精神状況に基づき予め定義された被介護者の特徴を含むプロファイル情報と、を取得するステップ(a)と、前記被介護者情報に基づいて、前記対象被介護者の介護に関連する特徴を前記プロファイル情報から抽出するステップ(b)と、抽出された前記特徴に基づいて、前記対象被介護者に関する介護業務の介護業務量を算出するステップ(c)と、を含む処理をコンピューターに実行させるための介護業務量算出プログラム。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、介護業務量を算出する対象の対象被介護者の介護に関連する特徴をプロファイル情報から抽出し、抽出された特徴に基づいて、対象被介護者に関する介護業務の介護業務量を算出する。したがって、対象被介護者の介護に関連する特徴が介護業務量の算出に加味されるので、介護業務量を精度良く算出できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る見守りシステムの全体構成を示す図である。
図2図1に示す検知部が配置された、ケア対象者の居室内を示す図である。
図3】検知部のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4図1に示すサーバーのハードウェア構成を示すブロック図である。
図5図4に示す制御部の機能のブロック図である。
図6図4に示す制御部により介護業務量を算出する処理において使用される各種のデータおよび情報の関係を示す模式図である。
図7】介護業務量を算出する対象のケア対象者に該当するLIFE項目、およびLIFE項目に基づき定義された被介護者の特徴を例示する図である。
図8】介助項目ごとに有効性が予め設定された特徴と、特徴ごとの介護業務量の調整業務量とを例示する図である。
図9図5に示す業務量算出部によって算出された調整業務量の出力を例示する模式図である。
図10図1に示す固定端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
図11図1に示す携帯端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
図12】本発明の一実施形態に係る介護業務量算出方法の処理手順を例示するフローチャートである。
図13】介護業務量を算出する対象のケア対象者(Aさん)に該当するLIFE項目が入力されたスプレッドシートを例示する模式図である。
図14】介護におけるAさんの特徴を例示する模式図である。
図15】各々の介助項目について特徴の有効性、および調整業務量(追加業務量)が入力されたスプレッドシートを例示する模式図である。
図16】Aさんに対して介助項目ごとに算出された介護業務量を例示する図である。
図17】グループ全体に対する介護業務量算出方法の処理手順を例示するフローチャートである。
図18】グループに対して介助項目ごとに算出された介護業務量を例示する図である。
図19】本発明の一実施形態に係る介護業務量評価方法の処理手順を例示するフローチャートである。
図20】施設における単位時間ごとの業務時間割を例示する模式図である。
図21】追加業務量を含む介護業務量、および業務キャパシティの時間推移を表すグラフである。
図22】比較例として、追加業務量を含まない介護業務量、および業務キャパシティの時間推移を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る、介護業務量算出システム、介護業務量算出方法、および介護業務量算出プログラムについて説明する。なお、図面において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0025】
(見守りシステム1)
図1は、一実施形態に係る見守りシステム1の全体構成を示す図である。見守りシステム1は、複数の検知部10、サーバー20、固定端末30、および1つ以上の携帯端末40を有する。これらは、有線や無線によって、LAN(Local Area Network)、電話網またはデータ通信網等のネットワーク50を介して、相互に通信可能に接続される。ネットワーク50は、通信信号を中継する中継機を備えてもよい。図1に示す例では、検知部10、サーバー20、固定端末30、および携帯端末40が、アクセスポイント51を含む無線LAN等(例えばIEEE802.11規格によるLAN)のネットワーク50によって、相互に通信可能に接続されている。見守りシステム1は介護業務量算出システムを構成する。介護業務量算出システムは、サーバー20のみにより構成されてもよい。
【0026】
見守りシステム1は、例えば、病院や老人福祉施設等の建物に好適に配設される。図1に示す例では、見守りシステム1は、複数のケア対象者80がそれぞれ入居する複数の居室やケアステーションを含む複数の部屋を備える施設の建物内に配置されている。以下、ケア対象者80がそれぞれ入居する居室を単に「居室」とも称する。
【0027】
検知部10は、ケア対象者80の観察領域である、各フロア(フロア(1)~(3))の居室にそれぞれ配置される。図1に示す例では、フロア(1)において、4つの検知部10がケア対象者80であるAさん、Bさん、Cさん、およびDさんの居室にそれぞれ配置されている。なお、図示は省略するが、その他のフロアにおいても、複数の検知部10が、ケア対象者80の居室にそれぞれ配置されている。ケアスタッフ70はそれぞれ携帯端末40を携帯している。サーバー20はネットワーク50に接続されている外部のサーバーであってもよい。また、固定端末30を省略し、サーバー20または携帯端末40がその機能を有してもよい。
【0028】
(検知部10)
図2は、図1に示す検知部10が配置された、ケア対象者80の居室内を示す図である。図3は、図1に示す検知部10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0029】
図2に示すように、カメラ14および体動センサー15は、例えば居室の天井に配置される。カメラ14および体動センサー15は、壁の上部に配置されてもよく、ベッド90に取り付けられてもよい。ケアコール部16は、例えば壁の適当な位置に配置される。
【0030】
図3に示すように、検知部10は、制御部11、通信部12、記憶部13、カメラ14、体動センサー15、およびケアコール部16を備え、これらの構成要素はバスにより相互に接続される。各構成要素は、単一の筐体内に実装されてもよく、それぞれ個別の筐体に実装されてもよい。
【0031】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)等を備える。制御部11は、プログラムに従って検知部10の各部の制御および演算処理を行う。制御部11の機能の詳細については後述する。
【0032】
通信部12は、LANを介して、例えば、サーバー20等と通信するためのインターフェース回路(例えばLANカード、無線通信回路等)である。
【0033】
記憶部13は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等を備える。記憶部13は、各種プログラムおよび各種データを記憶する。
【0034】
カメラ14は、例えばベッド90を含む撮影領域を撮像し、撮影画像(画像データ)を出力しうる。カメラ14は、撮像光学系と2次元撮像素子とを含んで構成されうる。撮影画像には、静止画および動画が含まれる。カメラ14は、例えば可視光カメラまたは近赤外線カメラでありうる。以下、カメラ14により撮影された撮影画像を、単に「撮影画像」とも称する。
【0035】
体動センサー15は、所定の照射領域にマイクロ波を送信し、反射波を受信することにより、ケア対象者80の体動(例えば呼吸動)によって生じたマイクロ波のドップラシフトを体動として検知する。所定の照射領域は、ケア対象者80に対しマイクロ波の照射が可能な領域であり、例えば、ベッド90の一部または全部を含む領域としうる。体動センサー15により、ケア対象者80の呼吸動作に伴う胸部の体動(胸部の上下動)を検知し、その胸部の体動における周期の乱れや、予め設定された閾値以下の、胸部の体動における振幅を検知することで、微体動異常を検知する。
【0036】
ケアコール部16は、押しボタン式のスイッチを含み、スイッチがケア対象者80によって押されることでケアコールを検知する。押しボタン式のスイッチに換えて、音声マイクによりケア対象者80の音声に基づいてケアコールを検知してもよい。なお、ケアコール部16は、携帯端末40との音声通話用のマイクおよびスピーカーを備えてもよい。
【0037】
制御部11は、撮影画像から、ケア対象者80の行動を認識する。この認識する行動には、例えば、起床、離床、離座、転倒、転落、歩行、および外出が含まれる。
【0038】
制御部11は、複数の撮影画像(例えば動画像)から画像のシルエット(以下、「人シルエット」という)を検知する。人シルエットは、例えば、撮影時刻が前後する画像を差分する時間差分により差分が相対的に大きい画素の範囲を抽出することで検知されうる。人シルエットは、撮影画像から背景画像を差分する背景差分法により検知されてもよい。人シルエットは、学習済みのニューラルネットワークのモデルを用いて撮影画像から検知される関節点により代替されてもよい。ケア対象者80の行動は、人シルエットに基づいて認識されるケア対象者80の姿勢(例えば、立位、座位、および臥位)の時間的変化から検知されうる。ケア対象者80の行動は、人シルエットとベッド90等の居室内の設置物との相対的な位置関係から検知されてもよい。例えば、「起床」は、撮影画像における座標領域として予め設定されたベッド90の領域を人シルエットが横切った行動(状態)として検知されてもよい。制御部11は、予め設定される所定の行動または状態(イベント)を検知した場合、検知された所定の行動または状態、検知部10を特定するユニークなID(例えばMACアドレスまたはIPアドレス)、および検知時刻を含むイベント通知を、通信部12を介してサーバー20へ送信する。イベント通知は、ケアスタッフ70等に報知されるべきケア対象者80の行動や状態等の情報を含む通知である。所定の行動には、例えばケア対象者80の起床、離床、離座、および転倒等が含まれる。所定の状態には、例えば微体動異常等が含まれる。
【0039】
イベント通知には、検知部10を特定するユニークなIDに代えてケア対象者80の氏名が含まれてもよい。この場合、制御部11は、予め記憶部13に記憶された、検知部10を特定するユニークなIDとケア対象者80の氏名の対応関係が登録されたテーブルを用いて、当該IDに基づいてケア対象者80の氏名を特定しうる。
【0040】
なお、ケア対象者80の所定の行動の検知は、サーバー20により行われてもよい。この場合、制御部11は、サーバー20へ撮影画像を送信する。
【0041】
制御部11は、体動センサー15により微体動異常が検知されたときは、検知された微体動異常、ケア対象者80の氏名、および検知時刻を含むイベント情報を通知するイベント通知を、通信部12を介してサーバー20へ送信する。
【0042】
制御部11は、ケアコール部16によりケアコールが検知されたときは、ケアコールの発生、ケア対象者80の氏名、および検知時刻を含むイベント情報を通知するイベント通知を、通信部12を介してサーバー20へ送信する。
【0043】
(サーバー20)
図4は、サーバー20のハードウェア構成を示すブロック図である。サーバー20は、制御部21、通信部22、および記憶部23を備え、これらはバスにより相互に接続される。サーバー20は、介護業務量算出装置として機能する。
【0044】
制御部21は、CPU、RAM、およびROM等を備える。制御部21は、プログラムに従ってサーバー20の各部の制御および演算処理を行う。制御部21の機能の詳細については後述する。
【0045】
通信部22は、LANを介して、例えば、検知部10、固定端末30、および携帯端末40等と通信するためのインターフェース回路により構成される。
【0046】
記憶部23は、HDD、SSD等により構成され、OS(Operating System)、介護業務量算出プログラム等の各種プログラム、および各種データを記憶する。また、本実施形態では、記憶部23は、標準的な被介護者に対する介護業務量である標準介護業務量の値を記憶している。
【0047】
[介護業務量]
本明細書において、介護業務量(または単に「業務量」ともいう)は、例えば、ケアスタッフ70が介護業務を遂行するために要する時間である。あるいは、介護業務量は、予め業務時間割によって定められた時間内において介護業務を遂行するために必要なケアスタッフ70の人数でありうる。
【0048】
また、介護業務は、起床介助(誘導含む)、食事介助、服薬介助、食事前後誘導、口腔ケア、排泄介助(日中)、排泄介助(夜間)、入浴準備・誘導、入浴介助、入浴後対応・誘導、お茶・おやつ、就寝介助、定期巡回/体位交換等の介助業務と、配膳、コール/駈け付け対応、および記録・事務作業等の介助に付随する業務とを含みうる。
【0049】
施設における各々の介護業務は、介助の動作、工程、条件等により分類・細分化された複数の介助、工程(段階)を含みうる。例えば、介護業務の1つである起床介助(誘導含む)は、ケア対象者80が起床してから食堂へ移動するまでに行う介助であり、基本介助、移乗介助、および移動介助の複数の介助を含む。各々の介護業務の各々の介助(工程)について、ケアスタッフ70が当該介助(工程)を遂行するために必要な業務量(工数)が記憶部23に予め保存されている。
【0050】
[標準介護業務量]
各々の介助(工程)に対する工数は、複数のケア対象者80について計測された工数を平準化(平均)することにより生成されうる。標準介護業務量は、それぞれの種類の介護業務が含む介助(工程)の工数に基づいて生成されうる。例えば、介護業務が複数の介助(工程)を含む場合、標準介護業務量は、それらの複数の介助(工程)に必要な工数が足し合わされることにより算出される。また、各々の介助(工程)に付随するさらなる工程が必要である場合は、標準介護業務量を算出する際に付随する工程の工数も加えられる。また、介護業務が複数の選択肢から選択される介助(工程)を含む場合、標準介護業務量は、選択された介助(工程)の工数が加えられることにより算出される。また、介護業務が複数の介助(工程)、および複数の選択肢から選択される介助(工程)を含む場合、標準介護業務量は、それらの複数の介助(工程)に必要な工数、および選択された介助(工程)の工数が足し合わされることにより算出される。
【0051】
上述のとおり、起床介助(誘導含む)の介護業務は、基本介助、移乗介助、および移動介助の複数の介助を含む。基本介助において着替え介助が必要である場合、基本介助の工数に加えて、着替え介助の工数が標準介護業務量に含められる。また、ベッドから車椅子に移乗する際に2人の介助が必要である場合、移乗2人介助の工数が標準介護業務量に含められる。また、食事のため別フロアの食堂へ移動する際に、移動介助が必要な場合は歩行介助および車椅子介助のいずれかの工数が標準介護業務量に含められる。同様に、起床介助(誘導含む)以外の介護業務についても、標準介護業務量が算出される。
【0052】
<制御部21の機能>
制御部21は、介護業務量を算出する機能を有する。図5図4に示す制御部21の機能ブロック図であり、図6図4に示す制御部により介護業務量を算出する処理において使用される各種のデータおよび情報の関係を示す模式図である。また、図7は介護業務量を算出する対象のケア対象者80に該当するLIFE項目、およびLIFE項目に基づき定義されたケア対象者80の特徴を例示する図であり、図8は介助項目ごとに有効性が予め設定された特徴と、特徴ごとの介護業務量の調整業務量とを例示する図である。
【0053】
[調整業務量]
調整業務量は、介護業務量を算出する対象のケア対象者80の特徴に応じて介護業務量を調整するためのパラメーターである。本実施形態では、ケア対象者80の介護業務量は、標準介護業務量にケア対象者80の特徴に応じた調整業務量を加えることにより算出される。調整業務量は、ケア対象者80の介護に影響のある特徴に応じて正値、または負値でありうる。例えば、ケア対象者80の特徴により介護の負担が増加することが見込まれる場合、調整業務量は正値であり、減少することが見込まれる場合、調整業務量は負値でありうる。
【0054】
図5に示すように、制御部21は、情報取得部211、特徴抽出部212、業務量算出部213、業務量出力部214、業務時間割作成部215、および業務量評価部216として機能する。これらの機能は、CPUが介護業務量算出プログラムを実行することにより実現される。
【0055】
情報取得部211は、介護業務量を算出する対象のケア対象者(「対象被介護者」ともいう)80の身体状況および/または精神状況に関する情報を含むケア対象者情報(被介護者情報)を取得する。ケア対象者80の身体状況には、ケア対象者80の身体の状態、および身体に付随する事項が含まれる。また、ケア対象者80の精神状況には、ケア対象者80の精神の状態、および精神に付随する事項が含まれる。例えば、身体状況および/または精神状況に関する情報は、ケアスタッフ70により携帯端末40から入力され、サーバー20に送信される。情報取得部211は、通信部22を通じて、身体状況および/または精神状況に関する情報を受信し、RAMに記憶させる。
【0056】
情報取得部211は、例えば、LIFE項目に基づきケア対象者情報を取得できる。LIFE(Long-term care Information system For Evidence)とは、厚生労働省が推進している科学的介護情報システムである。このLIFEを活用するためには、厚生労働省のLIFEシステムへデータ(LIFEデータという)の入力が求められる。LIFEデータは、例えば、既往歴、ADL、栄養等に関する多数の入力項目(LIFE項目)を有する。これらの項目には、ケア対象者80の身体状況および/または精神状況に関する項目が含まれる。LIFE項目の具体例については後述する。LIFE項目に基づきケア対象者情報を取得する手順は例えば、以下のとおりである。
【0057】
情報取得部211は、被介護者の身体状況および/または精神状況に関するLIFE項目について、介護業務量を算出する対象のケア対象者80が該当するか否かに関する情報を取得する。図7に示すように、ケアスタッフ70は、例えば、携帯端末40を使用して、LIFE項目のうち身体状況および/または精神状況に関する複数のLIFE項目(1)~(M)の各々について、ケア対象者80に該当するか否かを、例えば該当する場合を「1」、該当しない場合(非該当)を「0」として入力する。情報取得部211は、入力されたLIFE項目についての該当/非該当に関する情報を取得し、該当するLIFE項目を抽出することによりケア対象者情報を生成し、取得する。図7に示す例では、情報取得部211は、入力が「1」に対応するLIFE項目(1)およびLIFE項目(M)を含むケア対象者情報を生成し、取得する。
【0058】
また、情報取得部211は、プロファイル情報を取得する。プロファイル情報は、一般的な被介護者の特徴に関し、被介護者の身体状況および/または精神状況に基づき予め定義されている。本実施形態では、例えば、LIFE項目に基づきプロファイル情報を取得する場合について例示する。例えば、プロファイル情報は、被介護者の介護に関連する特徴として、特徴(1)~(N)を含む。被介護者の介護に関連する特徴は、介護に影響のある、人の特徴や特性であり、例えば、行動特性、性格特性、各種生活シーンにおける遂行能力、人格等でありうる。これらの特徴は、LIFE項目(1)~(M)の少なくともいずれかに基づきケアスタッフ70や管理者等により予め定義されている。特徴(1)~特徴(N)の具体例については後述する。例えば、図7には、特徴(1)はLIFE項目(2)に基づいて定義され、特徴(2)はLIFE項目(1)に基づいて定義され、特徴(N)はLIFE項目(2)およびLIFE項目(M)に基づいて定義されることが示されている(図7の表における「●」の箇所)。
【0059】
特徴抽出部212は、ケア対象者情報に基づいて、ケア対象者80の介護に影響のある特徴をプロファイル情報から抽出する。より具体的には、特徴抽出部212は、ケア対象者情報に基づいて、プロファイル情報が含むケア対象者80の特徴のうち、ケア対象者80に該当する特徴を抽出する。例えば、図7に示す例では、LIFE項目(1)およびLIFE項目(M)について入力が「1」であるので、特徴抽出部212は、特徴(2)および特徴(N)をケア対象者80の特徴として抽出する。すなわち、ケア対象者80は、特徴(2)および特徴(N)を有しているが、特徴(1)を有しない。
【0060】
業務量算出部213は、特徴抽出部212によって抽出された、ケア対象者80の特徴に基づいて、ケア対象者80に関する介護業務の介護業務量を算出する。より具体的には、業務量算出部213は、ケア対象者80の特徴に基づいて、介護業務ごとに予め設定された標準介護業務量に対する調整業務量を算出し、算出された調整業務量を使用して、ケア対象者80を介護するための介護業務量を算出する。
【0061】
業務量算出部213は、ケア対象者80の特徴により、介護の負担が増加する場合、調整業務量として業務量の増加分を算出し、介護の負担が減少する場合、調整業務量として業務量の減少分を算出する。例えば、標準的な被介護者に比べて、ケア対象者80の身体機能が低い場合は、介護の負担が増加しうるが、反対にケア対象者80の身体機能が高い場合は、介護の負担が減少しうる。したがって、介護業務量の算出において介護の負担が減少する場合についても考慮することにより、介護業務量の算出精度を向上できる。
【0062】
また、業務量算出部213は、例えば、食事や排泄の介助のように1日に複数回ある介護業務の1回当たりの介護業務について上記調整業務量を算出するように構成されうる。後述するように、例えば、算出された介護業務量に基づいて、業務時間割を作成する場合や、介護業務量をグラフ等で可視化し、分析・評価を行う場合等においては、1回当たりの介護業務について上記調整業務量が算出されることにより、介護業務量の分析・評価が容易になる。
【0063】
また、業務量算出部213は、グループごと、またはグループにおけるケア対象者80ごとに介護業務量を算出できる。グループは、複数のケア対象者80(例えば、図1に示すAさん、Bさん、Cさん、Dさん)からなる。グループは、例えば、1つのユニットに含まれる複数のケア対象者80、または1つのフロアに入居する複数のケア対象者80でありうる。ユニットは、施設内の特定の範囲(例えばフロア(1))に入居する複数のケア対象者80と当該ケア対象者80を共同で担当する複数のスタッフとで構成される。
【0064】
また、業務量算出部213は、予め設定された介護業務、とくにケアスタッフ70がケア対象者80を直接的に介助する介助シーン(介助項目)ごとに介護業務量を算出する。図8に示す例では、複数の介助項目(介助項目(1)~(K))が含まれる。これらの介助項目としては、例えば、起床介助(誘導含む)、食事介助、服薬介助、食事前誘導、食事後誘導、口腔ケア、排泄介助(日中)、排泄介助(夜間)、入浴準備・誘導、入浴介助、入浴後対応・誘導、お茶・おやつ、就寝介助、定期巡回/体位交換等が挙げられるが、これらに限定されない。介助項目には、例えば、配膳、コール/駈け付け対応、および記録・事務作業等の介助に付随する業務は含まれない。
【0065】
ケア対象者80の介護に影響のある特徴は介助シーンごとに異なりうる。本実施形態では、介助項目ごとに、介護に影響のある特徴を有効、影響のない特徴を無効とし、特徴の有効(図8の表中のグレーのマス目に対応)/無効(同図の表中の白のマス目に対応)が設定される。業務量算出部213は、特徴抽出部212によって抽出された特徴のうち、介助項目ごとに有効な特徴のみに基づいて、介護業務量を算出しうる。なお、特徴の有効/無効は、ケアスタッフ70や管理者等の経験に基づいて予め設定されうる。例えば、図8において、介助項目(1)については、特徴(1)、特徴(2)、および特徴(N)が有効に設定されている。また、介助項目(2)については、特徴(1)および特徴(N)が有効に設定されている。また、介助項目(K)については、特徴(1)が有効に設定されている。
【0066】
また、ケア対象者80の介護に影響のある各々の特徴が、ケア対象者80の介護に影響する度合いも介助シーンごとに異なりうる。図8における表中の数値(例えば、単位は時間の「分」)は、特徴ごとの調整業務量を示し、ケアスタッフや管理者等の経験により予め設定されうる。調整業務量が正値である場合は標準介護業務量に対する増加量(追加量)を示し、負値である場合は標準介護業務量に対する減少量を示す。例えば、介助項目(1)について特徴(1)による調整業務量は「10」であるので10分の増加(追加)を表し、介助項目(2)について特徴(N)による調整業務量は「5」であるので、5分の増加を表す。
【0067】
業務量算出部213は、各々の介助項目について、ケア対象者80が有する各々の特徴による調整業務量を足し合わせることにより、各々の特徴による調整業務量の合計値を算出する。図8に示す例では、介助項目(1)については、特徴(1)は有効に設定されているが、ケア対象者情報からケア対象者80は特徴(1)を有しないので、特徴(2)および特徴(N)に基づいて介護業務量が算出される。したがって、調整業務量の合計値は、10+10=20となる。また、介助項目(2)については、特徴(N)のみに基づいて介護業務量が算出される。したがって、調整業務量の合計値(=特徴(N)による調整業務量)は5となる。また、介助項目(K)については、ケア対象者80は特徴(N)を有するが、いずれの特徴も無効に設定されているので、調整業務量の合計値は0となる。
【0068】
図9は、図5に示す業務量算出部213によって算出された調整業務量の出力を例示する模式図である。業務量出力部214は、業務量算出部213によって算出された調整業務量を介護業務(介助項目)ごとに出力する。また、業務量出力部214は、上記調整業務量に標準介護業務量を加えた介護業務量を出力するように構成されてもよい。
【0069】
業務時間割作成部215は、介護業務の業務時間割を作成する。業務時間割は、施設においてケアスタッフ70が介護業務を実施する時間帯を介護業務項目ごとに一覧表示する表である(図20を参照)。業務時間割作成部215の機能の詳細については後述する。
【0070】
業務量評価部216は、業務量算出部213によって算出された介護業務量を評価する。業務量評価部216の機能の詳細については後述する。
【0071】
<固定端末30>
図10は、固定端末30のハードウェア構成を示すブロック図である。固定端末30は、PC(Personal Computer)であり、制御部31、通信部32、記憶部33、表示部34、および入力部35を備える。制御部31、通信部32、記憶部33の基本的な構成は、サーバー20の対応する要素の構成と同様であるため重複する説明は省略する。
【0072】
表示部34は、例えば液晶ディスプレイにより構成され、各種情報を表示する。入力部35は、キーボードまたはタッチパネルにより構成され、管理者等による各種情報の操作入力を受け付ける。
【0073】
制御部31は、入力部35により、検知部10を特定するユニークなIDとケア対象者80との対応関係が登録されたテーブルの入力を受け付け、サーバー20へ送信し、記憶部23に記憶させうる。
【0074】
また、制御部31は、入力部35により、携帯端末40を特定するユニークなIDとケアスタッフ70との対応関係が登録されたテーブルを受け付け、サーバー20へ送信し、記憶部23に記憶させうる。
【0075】
また、制御部31は、入力部35により、ケアスタッフ70と、ケアスタッフ70が担当するケア対象者80との対応関係が登録されたテーブルを受け付け、サーバー20へ送信し、記憶部23に記憶させうる。
【0076】
また、制御部31は、入力部35により、ケアスタッフ70のシフト表等を受け付け、サーバー20へ送信し、記憶部23に記憶させうる。
【0077】
また、ケアスタッフ70または技術スタッフ等は、固定端末30を通じて、検知部10を各部屋(居室)に取り付けたときに、部屋番号と検知部10の対応付けをしたり、ベッド90等の居室内の設置物の位置情報、すなわち、天井のカメラ14による上方視の輪郭情報の校正、指定を行ったりする。また、ケアスタッフ70または技術スタッフ等は、入居しているケア対象者80の個人ID(氏名、識別番号等)と、各居室番号との対応付けも行う。固定端末30は、ケア対象者80の個人ID、居室番号、担当のスタッフ名、所属ユニット等を含む被介護者リストを管理する。被介護者リストは、見守りシステム1内において共用されうる。
【0078】
<携帯端末40>
図11は、携帯端末40のハードウェア構成を示すブロック図である。携帯端末40は、制御部41、無線通信部42、記憶部43、入力表示部44、音声入出力部45、および位置検知部46を備え、これらはバスにより相互に接続される。携帯端末40は、例えば、タブレット型コンピューター、スマートフォン、または携帯電話等の、持ち運び可能な通信端末機器によって構成されうる。制御部41の基本的な構成は、サーバー20の制御部21の構成と同様であるため重複する説明は省略する。制御部41の機能の詳細については後述する。
【0079】
無線通信部42はWi-Fi、Bluetooth(登録商標)等の規格を用いた無線通信により、アクセスポイント51を経由して、または直接的に各装置と無線通信する。
【0080】
記憶部43は、SSDやSDカードにより構成され、見守りシステム1に対応した携帯アプリケーション(以下、「見守りアプリ」という)や各種プログラム、および各種データを記憶する。
【0081】
入力表示部44は、例えば、液晶等の表示面にタッチセンサーを重畳させたタッチパネルにより構成される。入力表示部44は、各種情報を表示するとともに、各種入力を受け付ける。本実施形態では、入力表示部44は、ケア対象者80の身体状況および/または精神状況に関する情報を受け付けたり、受け付けた情報を表示したりする。例えば、入力表示部44は、制御部21の指示に従って、表示面にケア対象者80の身体状況および/または精神状況に関するLIFE項目を表示し、ケア対象者80に該当するLIFE項目をケアスタッフ70によるタッチ入力により受け付ける。
【0082】
音声入出力部45は、例えばスピーカーとマイクであり、無線通信部42により他の携帯端末40との間でケアスタッフ70による音声通話を可能にする。音声入出力部45は、無線通信部42によりサーバー20を介して、検知部10との間で、ケアスタッフ70によるケア対象者80との音声通話を可能にさせうる。
【0083】
位置検知部46は、GPSモジュール等であり、携帯端末40の位置を検出する。なお、後述するように、携帯端末40の位置は、所定の設置位置にそれぞれ設置された各ビーコンから発信される信号を用いて、制御部41により検知されてもよい。
【0084】
制御部41は、見守りアプリを実行することにより様々な機能を実現する。例えば、制御部41は、見守りアプリを実行して入力表示部44と協働することにより入力部として機能する。入力部は、被介護者リストを利用して、ケアスタッフ70にケア対象者80の身体状況および/または精神状況に関する情報を入力させる。
【0085】
(1人のケア対象者80に対する介護業務量算出方法)
以下、図12図16を参照して、1人のケア対象者80に対する介護業務量を算出する方法について説明する。以下の説明では、対象被介護者としてのAさんに対する介護業務量を算出する場合について説明する。また、以上では、調整業務量が正値または負値である場合について説明したが、以下では調整業務量が正値(正値の調整業務量を「追加業務量」と呼ぶ。)であるとして説明する。
【0086】
図12は本実施形態における介護業務量算出方法の処理手順を例示するフローチャートである。同図のフローチャートの処理は、制御部21のCPUが介護業務量算出プログラムを実行することにより実現される。介護業務量算出プログラムは、表計算機能を有しうる。あるいは介護業務量算出プログラムは、表計算機能を有するソフトウェアと連動して実行されうる。また、図13は介護業務量を算出する対象のケア対象者80(Aさん)に該当するLIFE項目が入力されたスプレッドシートを例示する模式図であり、図14は介護におけるAさんの特徴を例示する模式図である。また、図15はAさんに該当するLIFE項目が入力されたスプレッドシートを例示する模式図であり、図16はAさんの介護における特徴を例示する模式図である。また、図15は、各々の介助項目について特徴の有効性(有効/無効)、および調整業務量(追加業務量)が入力されたスプレッドシートを例示する模式図である。また、図16は、Aさんに対して介助項目ごとに算出された介護業務量を例示する図である。
【0087】
図12に示すように、まず、情報取得部211は、ケア対象者情報、およびプロファイル情報を取得する(ステップS101)。制御部21は、対象被介護者を被介護者リストと照合し、携帯端末40に対して対象被介護者の身体状況および/または精神状況に関する情報の入力を指示する。図13に示すように、ケアスタッフ70は、例えば携帯端末40を通じて、各々のLIFE項目について、Aさんに該当するLIFE項目に「1」を、Aさんに該当しないLIFE項目に「0」を入力セルに入力する。あるいは、LIFEデータのCSVファイルからAさんに該当するLIFE項目を自動的に入力するように構成してもよい。上述したとおり、情報取得部211は、LIFE項目に対する該当/非該当に関する情報を取得し、当該情報から該当するLIFE項目を抽出することにより、Aさんのケア対象者情報を生成して取得する。
【0088】
なお、図示の都合上、同図には、LIFE項目の一部が抜粋されて記載されている。LIFE項目は、全体では200項目以上あり、そのうちの30項目が基本的な入力項目として位置付けられている。本実施形態において、使用するLIFE項目の内容、および数は任意である。
【0089】
本明細書では、説明の便宜上、LIFE項目が大項目および小項目からなるとして説明する。大項目には、例えば、既往症、ADL、栄養、栄養補給法、口腔の健康状態、誤嚥性肺炎の発症・既往、認知症の診断、DBD13、Vitality Indexが含まれる。また、小項目には、既往症として、糖尿病、心臓病、高血圧、脳血管疾患、浮腫、便秘、パーキンソン病、呼吸器系疾患、骨折、リウマチ、うつ病が含まれる。また、ADLとして、食事、椅子とベッド間の移乗、整容、トイレ動作、入浴、平地歩行、階段昇降、更衣、排便コントロール、および排泄コントロールが含まれる。また、栄養として、身長、体重、および低栄養状態のリスクレベルが含まれる。また、栄養補給法として、経腸栄養法、経口接種、嚥下調整食品の必要性、食事の形態、とろみ、食事摂取量、必要栄養量、血清アルブミン値、および褥瘡が含まれる。また、口腔の健康状態として、「歯・入れ歯が汚れている」、「歯が少ないのに入れ歯を使っていない」、および「むせやすい」が含まれる。また、誤嚥性肺炎の発症として、誤嚥性肺炎の発症・既往が含まれる。また、認知症の診断として、認知症の有無、および認知症の診断が含まれる。また、DBD13として、「同じことを何度も何度も聞く」、「よく物をなくしたり、置き場所を間違えたり、隠したりする」、「日常的な物事に関心を示さない」、「特別な事情がないのに夜中に起きだす」、「特別な根拠もないのに人に言いがかりをつける」、「昼間、寝てばかりいる」、「やたらに歩きまわる」、「同じ動作をいつまでも繰り返す」、「口汚くののしる」、「場違いあるいは季節に合わない不適切な服装をする」、「世話をされるのを拒否する」、「物を貯め込む」、「引き出しや箪笥の中身をみんな出してしまう」が含まれる。また、Vitality Indexとして、起床、意思疎通、食事、排せつ、およびリハビリ・活動が含まれる。
【0090】
また、図示の都合上、図13には、プロファイル情報の一部が抜粋されて記載されている。プロファイル情報には、例えば、「意思疎通できない人」、「褥瘡になりやすい人」、「骨折しやすい人」、「転倒しやすい人」、「暴力的な人」、「整理整頓できない人」、「体重が重い人」、「重心が定まらない人」、「食事/水分摂取介助が必要な人」、「入浴にこだわりがある人」、「歩行介助が必要な人」、「移乗介助が必要な人」、「不適切な行動をする人」、「意欲がない人」、および「排泄に困難がある人」が含まれる。
【0091】
次に、図12に戻り、特徴抽出部212は、ケア対象者80の特徴を抽出する(ステップS102)。特徴抽出部212は、ケア対象者情報に基づいて、Aさんに該当する特徴をプロファイル情報から抽出する。上述のとおり、一般的な被介護者の特徴はLIFE項目に基づいて定義されている。例えば、図13においては、「(3)骨折しやすい人」は、「椅子とベッド間の移乗」および「平地歩行」の2つのLIFE項目に基づいて定義されている。
【0092】
本実施形態では、特徴抽出部212は、例えば、Aさんに該当する2つ以上のLIFE項目に基づいて定義されている特徴、すなわち「●」が2つ以上の特徴をAさんの特徴として抽出する。図13に示す例では、「(3)骨折しやすい人」がAさんの特徴として抽出される。
【0093】
また、図13では図示を省略しているが、図14に示すように、「(3)骨折しやすい人」以外にも、Aさんの特徴として、例えば、「(7)体重が重い人」、「(8)重心が定まらない人」、「(10)入浴にこだわりがある人」、「(13)不適切な行動をする人」が抽出される。同図において、「TRUE」はAさんの特徴に該当するため抽出されることを示し、「FALSE」はAさんの特徴に該当しないため抽出されないことを示す。
【0094】
また、図13において、ある特徴について、ある程度の関連性がある(弱く該当している)と考えられるLIFE項目については「〇」で表し、所定の個数の「〇」を1つの「●」(強く該当している)に換算するように特徴抽出部212を構成してもよい。例えば、3つの「〇」を1つの「●」に換算するように構成できる。この場合、特徴抽出部212は、「(4)転倒しやすい人」について「〇」が3つあり、3つの「〇」を1つの「●」に換算する。その結果、「●」が合計2つとなるので、特徴抽出部212は、「(4)転倒しやすい人」についても特徴を抽出する。
【0095】
次に、再び図12に戻り、業務量算出部213は、ケア対象者80について追加業務量を算出する(ステップS103)。上述のように、業務量算出部213は、特徴抽出部212によって抽出された、Aさんの特徴のうち、介助項目ごとに有効な特徴のみに基づいて、介護業務量を算出する。図15において特徴(1)~(15)は、図14における対象被介護者の特徴(1)~(15)に各々対応し、特徴の有効性が予め設定されている。図15において有効な特徴はグレーのマス目で示されている。また、有効な特徴に対して介助項目ごとに追加業務量が予め設定されている(マス目に記載された数値)。図15に示す例では、(a)起床介助(誘導含む)、(d)食事前誘導、(e)食事後誘導、および(m)就寝介助について特徴(3)が有効であり、それらの追加業務量が各々「10」に設定されている。また、(b)食事介助、(c)服薬介助、および(n)定期巡回・体位交換について特徴(13)が有効であり、それらの追加業務量が各々「10」に設定されている。業務量算出部213は、各々の介助項目について、有効な特徴による追加業務量を足し合わせることにより、追加業務量の合計値を算出する。
【0096】
その結果、図16に示すように、(a)起床介助(誘導含む)、(b)食事介助、(c)服薬介助、(d)食事前誘導、(e)食事後誘導、(m)就寝介助、および(n)定期巡回・体位交換の介助項目について、追加業務量は10となり、その他の介助項目について、追加業務量は0となる。
【0097】
次に、再び図12に戻り、業務量算出部213は、ケア対象者80について介護業務量を算出する(ステップS104)。業務量算出部213は、介助項目ごとに、標準介護業務量に追加業務量を足し合わせることにより介護業務量を算出する。例えば、(a)起床介助(誘導含む)について、標準介護業務量および追加業務量は各々10であるので、介護業務量は10+10=20となる。
【0098】
このように、図12に示すフローチャートの処理では、制御部21は、ケア対象者情報、およびプロファイル情報を取得し、介護業務量を算出する対象のケア対象者80の介護に関連する特徴をプロファイル情報から抽出し、抽出された特徴に基づいて、ケア対象者80を介護するための介護業務量を算出する。したがって、ケア対象者80の介護に関連する特徴が介護業務量の算出に加味されるので、介護業務量を精度良く算出できる。
【0099】
(グループ全体に対する介護業務量算出方法)
以下、図17および図18を参照して、複数のケア対象者80を含むグループ全体に対する介護業務量を算出する方法について説明する。以下の説明では、一例として、Aさん、Bさん、Cさん、およびDさんを含む合計27名のケア対象者80がグループに含まれ、このうちAさん、Bさん、およびCさんの3名に対して追加業務量が算出される場合について説明する。
【0100】
図17は、グループ全体に対する介護業務量算出方法の処理手順を例示するフローチャートである。図17のフローチャートの処理は、制御部21のCPUが介護業務量算出プログラムを実行することにより実現される。介護業務量算出プログラムは、表計算機能を有しうる。あるいは介護業務量算出プログラムは、表計算機能を有するソフトウェアと連動して実行されうる。また、図18は、グループに対して介助項目ごとに算出された介護業務量を例示する図である。
【0101】
図17に示すように、制御部21は、プロファイル情報を取得し(ステップS201)、グループ内のケア対象者80全員について、各々のケア対象者80のケア対象者情報を取得し(ステップS202)、各々ケア対象者80の特徴を抽出し(ステップS203)、各々のケア対象者80の追加業務量を算出する(ステップS204)。そして、制御部21は、グループ全体の介護業務量を算出する(ステップS205)。ステップS201、およびS202の処理は、上述した図12におけるステップS101の処理に対応し、ステップS203、およびS204の処理は各々ステップS102、およびS103の処理に対応するので、詳細な説明を省略する。
【0102】
ステップS205において、制御部21は、各々のケア対象者80の追加業務量を介助項目ごとに足し合わせることにより、グループ全体の介助項目ごとの追加業務量を算出する。さらに、制御部21は、グループ全体の標準介護業務量にグループ全体の追加業務量を介助項目ごとに足し合わせることにより、グループ全体の介助項目ごとの介護業務量を算出する。グループ全体の標準介護業務量は、グループに含まれるケア対象者80の人数に対応する標準介護業務量である。例えば、グループ全体の標準介護業務量は、1人の標準的なケア対象者80の標準介護業務量に、グループに含まれるケア対象者80の人数を掛け合わせることにより算出されうる。また、標準介護業務量がケア対象者80の人数に依存しない場合は、標準介護業務量を記憶部23に予め記憶させておき、グループ全体の標準介護業務量として使用するように構成してもよい。
【0103】
図18に示すように、例えば、(a)起床介助(誘導含む)について、グループ全体の標準介護業務量は188であり、追加業務量は20であるので、介護業務量は208となる。
【0104】
このように、図17に示すフローチャートの処理では、制御部21は、プロファイル情報を取得した後、グループ内のケア対象者80全員について、ケア対象者情報の取得、特徴の抽出、および追加業務量の算出の処理を行う。そして、制御部21は、グループ全体について、追加業務量、および介護業務量を介助項目ごとに算出する。これにより、グループ内のケア対象者80の介護に関連する特徴が介護業務量の算出に加味されるので、グループ全体の介護業務量を精度良く算出できる。
【0105】
(グループ全体に対する介護業務量評価方法)
続いて、図19から図22を参照して、グループ全体に対する介護業務量を評価する方法について説明する。図19は本実施形態における介護業務量評価方法の処理手順を例示するフローチャートである。同図のフローチャートの処理は、制御部21のCPUが介護業務量算出プログラムを実行することにより実現される。介護業務量算出プログラムは、表計算機能およびグラフ描画機能を有しうる。あるいは介護業務量算出プログラムは、表計算機能およびグラフ描画機能を有するソフトウェアと連動して実行されうる。また、図20は施設における単位時間ごとの業務時間割を例示する模式図である。また、図21は追加業務量を含む介護業務量、および業務キャパシティの時間推移を表すグラフであり、図22は比較例として、追加業務量を含まない介護業務量、および業務キャパシティの時間推移を表すグラフである。図21および図22における横軸は介護業務の実施時刻であり、縦軸は介護業務量[分]である。
【0106】
図19に示すように、業務量算出部213は、グループ全体の介護業務量を算出する(ステップS301)。グループ全体の介護業務量を介助項目ごとに算出する方法については上述したとおりである。また、介助項目以外の介護業務については、ケア対象者80によって追加業務量は発生しないので、予め設定された標準介護業務量がグループ全体の介護業務量として使用されうる。介助項目以外の介護業務についての標準介護業務量は記憶部23に記憶されている。
【0107】
次に、業務時間割作成部215は、介護業務の業務時間割を作成する(ステップS302)。図20には、介護業務項目ごとの実施時間帯に加えて、グループ全体の介護業務量、コマ数、およびグループ全体の介護業務量/コマ数が介護業務項目ごとに例示されている。なお、各々の実施時間帯を(T1)~(T42)の識別子により区別する。また、業務時間割には、例えば、食事介助や排泄介助等、1日に複数回行われる介助がある。例えば、食事介助は1日に3回行われる。
【0108】
また、グループ全体の介護業務量の値は、介助項目については上記ステップS301において算出された値であり、介助項目以外の業務項目については記憶部23に記憶されている標準介護業務量の値である。
【0109】
コマ数は、実施時間帯の時間の長さを単位時間で割った値である。単位時間は、10[分]、15[分]、20[分]等、任意に設定できるが、同図に示す業務時間割の例では15分に設定されている。例えば、起床介助(誘導含む)の(T1)の実施時間帯は6:00-8:00であるので時間の長さは120[分]であり、起床介助(誘導含む)のコマ数は120[分]/15[分]=8(コマ)である。また、グループ全体の介護業務量/コマ数は、208[分]/8(コマ)=26(分/コマ)である。
【0110】
次に、業務量評価部216は、必要介護業務量、および業務キャパシティを算出する(ステップS303)。業務量評価部216は、各々の介護業務項目について、グループ全体の介護業務量/コマ数、すなわち1コマ当たり(すなわち単位時間ごと)の介護業務量(以下、「必要介護業務量」という)を算出する。すなわち、必要介護業務量は、単位時間帯あたりに必要な介護業務量(時間、または人)である。
【0111】
例えば、施設においては、管理者は、勤務シフトを作成するソフトウェア等を使用して、必要介護業務量から各々単位時間帯において必要な(必要介護業務量に見合った)ケアスタッフ70の人数を決定し、ケアスタッフ70の勤務シフトを組む。業務量評価部216は、ケアスタッフ70の勤務シフトに基づいて、所定の演算機能により、単位時間帯における介護業務の遂行能力の大きさを示す業務キャパシティ[分]を算出する。
【0112】
次に、業務量評価部216は、介護業務量を評価する(ステップS304)。より具体的には、業務量評価部216は、必要介護業務量および業務キャパシティをグラフに表示することにより可視化する。図21に示すように、例えば、必要介護業務量は棒グラフによって表示され、業務キャパシティは折れ線グラフによって表示されうる。必要介護業務量の棒グラフは、複数の介護業務項目が同じ単位時間帯において重なって実施される場合、同じ単位時間帯において複数の介護業務項目の業務量を含みうる。例えば、必要介護業務量の棒グラフは、6:00-6:15の単位時間帯において、コール/駈け付け対応および起床介助(誘導含む)の2つの介護業務項目の業務量を含む。
【0113】
また、業務量評価部216は、必要介護業務量と業務キャパシティとの差分を算出する。同図のグラフにおいて、必要介護業務量[分]よりも業務キャパシティ[分]が小さい時間帯は、必要なケアに対して投入されている業務量が不足していると考えられる。一方、必要介護業務量より業務キャパシティが大きい時間帯は、必要なケアに対して投入されている業務量が過剰であると考えられる。例えば、6:00-6:15の単位時間帯において、コール/駈け付け対応および起床介助(誘導含む)の2つの介護業務項目の合計の介護業務量は約39[分]であり、業務キャパシティは30[分]であるので、約9[分]の業務量が不足している。例えば、管理者が8[分]程度の業務量の不足によりケアスタッフの人数の見直しを検討する場合を想定する。この場合、管理者は、6:00-6:15の単位時間帯における約9[分]の業務量の不足について、ケアスタッフ70の人数の見直しを行う。その結果、ケアスタッフ70によるケア対象者80に対する介護の品質が向上しうる。
【0114】
一方、図22に示すように、追加業務量を含まない介護業務量を示すグラフでは、例えば、6:00-6:15の単位時間帯において、コール/駈け付け対応および起床介助(誘導含む)の2つの介護業務項目の合計の介護業務量は約36[分]であり、業務キャパシティは30[分]であるので、約6[分]の業務量が不足している。したがって、6:00-6:15の単位時間帯においてケアスタッフ70の人数の見直しが行われるべきであったとしても、業務量の不足が8[分]に満たないため、管理者はケアスタッフ70の人数の見直しが必要と判断しない可能性がある。その結果、ケアスタッフ70によるケア対象者80に対する介護の品質が低下したり、後続の介護業務の実施時刻が業務時間割の実施時刻から遅れたりする可能性がある。
【0115】
このように、本実施形態では、ケア対象者80の個人的な特徴による調整業務量(追加業務量)を介護業務量に加味することにより、必要介護業務量をより精度良く算出できる。したがって、精度の良い必要介護業務量を使用してケアスタッフ70の勤務シフトを作成することにより、実際の介護業務量に対して過不足の少ない効率的な勤務シフトを実現できる。
【0116】
(変形例)
上述した実施形態では、携帯端末40において制御部41が見守りアプリを実行して入力表示部44と協働することにより、ケアスタッフ70にケア対象者80の身体状況および/または精神状況に関する情報を入力させる場合について説明した。しかしながら、本発明はこのような場合に限定されず、携帯端末(端末装置)40において、制御部41が、見守りアプリとは独立の携帯アプリ(以下、「独立携帯アプリ」という)を実行し、入力表示部44と協働して受付部として機能するように構成されてもよい。受付部は、ケア対象者80の身体状況および/または精神状況に関する情報をケアスタッフ70に入力させて受け付ける。このような独立携帯アプリを使用する場合は、起動時に自動的に見守りアプリと連携して、被介護者リストを共用するように構成されうる。
【0117】
また、制御部41は、独立携帯アプリを実行し、無線通信部42と協働することにより、サーバー20との間において被介護者リストを受け付け(受信)、または提供(送信)する送受信部として機能する。独立携帯アプリは、サーバー20から被介護者リストを受け取る場合、被介護者リストのフォーマットを自プログラムのフォーマットに合わせて変換し、自プログラムの被介護者リストにインポートしうる。この場合、独立携帯アプリは、自プログラムのユーザーインターフェースによりユーザーの操作を受け付けて、サーバー20から被介護者リストを受信(取得)するように構成されてもよいし、サーバー20のプログラムを自動的に検出し、被介護者リストを自動的にインポートするように構成されてもよい。
【0118】
また、独立携帯アプリは、被介護者リストをサーバー20に提供する場合、被介護者リストを自プログラムの所定フォーマットで出力し、サーバー20に送信する。独立携帯アプリは、自プログラムにおけるユーザーの操作をトリガーとして被介護者リストの送信を開始するように構成されてもよいし、サーバー20からの要求に応じて自動的に被介護者リストを提供するように構成されてもよい。
【0119】
また、ケア対象者80の身体状況および/または精神状況に関する情報の入力は、携帯端末40に限られず、サーバー20の入力デバイス(キーボード等)から行われるように構成されてもよい。
【0120】
以上説明したシステムの構成は、上述の実施形態の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上述の構成に限られず、特許請求の範囲内において、種々改変できる。
【0121】
また、上述したフローチャートにおいては、フローチャートに示したステップ以外のステップを含んでもよく、一部のステップを含まなくてもよい。また、ステップの順序は、上述した実施形態に限定されない。さらに、各ステップは、他のステップと組み合わされて一つのステップとして実行されてもよく、他のステップに含まれて実行されてもよく、複数のステップに分割されて実行されてもよい。
【0122】
また、上述した実施形態における各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、例えば、USBメモリやDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶装置に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、一機能として装置のソフトウェアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0123】
1 見守りシステム、
10 検知部、
11 制御部、
12 通信部、
13 記憶部、
14 カメラ、
15 体動センサー、
16 ケアコール部、
20 サーバー、
21 制御部、
211 情報取得部、
212 特徴取得部、
213 業務量算出部、
214 出力部、
215 業務時間割作成部、
216 業務評価部、
22 通信部、
23 記憶部、
30 固定端末、
31 制御部、
32 通信部、
33 記憶部、
34 表示部、
35 入力部、
40 携帯端末、
41 制御部、
42 無線通信部、
43 記憶部、
44 入力表示部、
45 音声入出力部、
46 位置検知部、
70 ケアスタッフ、
80 ケア対象者、
90 ベッド。
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図2
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