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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102440
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 45/00 20180101AFI20240724BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20240724BHJP
【FI】
F21S45/00
F21W102:13
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006317
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110004060
【氏名又は名称】弁理士法人あお葉国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100207642
【弁理士】
【氏名又は名称】簾内 里子
(74)【代理人】
【識別番号】100077986
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100139745
【弁理士】
【氏名又は名称】丹波 真也
(74)【代理人】
【識別番号】100187182
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 由希
(72)【発明者】
【氏名】戸塚 貴丈
(72)【発明者】
【氏名】薦田 良
(72)【発明者】
【氏名】奥村 亜耶
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆一
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 葵
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ランプボディと前面カバーを備えた車両用灯具に関し、ランプボディの形状を工夫することで、ランプボディの剛性向上を図る。
【解決手段】前面が開口する容器状のランプボディと、前記ランプボディの前面開口部に組付けられて、内側に灯室を画成する前面カバーと、を備え、前記ランプボディをある一方向に沿った断面で見たとき、前記断面は凹凸が連続するように形成されている車両用灯具を提供する。前記凹凸は、開口部を中心とし、これを取り囲む花弁として凸部または凹部が形成されたペタロイド状であると、好ましい。凹凸によりランプボディの一領域に複雑な湾曲面が形成され、ランプボディの断面二次モーメントを向上させて剛性が高まる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面が開口する容器状のランプボディと、前記ランプボディの前面開口部に組付けられて、内側に灯室を画成する前面カバーと、を備え、
前記ランプボディをある一方向に沿った断面で見たとき、前記断面は凹凸が連続するように形成されている、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記ランプボディの一部領域は、前記凹凸が略ペタロイド形状を形成する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記略ペタロイド形状の中心には、開口部が配置される
ことを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記略ペタロイド形状は、前記略ペタロイド形状の中心から半径方向に見て一つ目の前記凹凸となる第1花弁を備え、前記略ペタロイド形状の中心から前記半径方向に見て二つ目の前記凹凸となる第2花弁を備える
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランプボディと前面カバーを備えた車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カーボンニュートラルの観点から、ランプボディの軽量化に向けた動きがある。軽量化のために、単純にランプボディの肉厚を薄くすると、ボディの剛性が低下する恐れがあり、ランプボディの剛性維持が課題である。例えば特許文献1では、ランプボディに補強リブが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-123292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ランプボディの剛性向上のために補強リブを設けると、補強リブ分、ランプボディの重量化を招いてしまう。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するために提案されたものであり、ランプボディの形状を工夫することで、ランプボディの剛性向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するため、本開示のある態様においては、前面が開口する容器状のランプボディと、前記ランプボディの前面開口部に組付けられて、内側に灯室を画成する前面カバーと、を備え、前記ランプボディをある一方向に沿った断面で見たとき、前記断面は凹凸が連続するように形成されているように車両用灯具を構成した。
【0007】
また、ある態様においては、前記ランプボディの一部領域は、前記凹凸が略ペタロイド形状を形成するように構成した。
【0008】
また、ある態様においては、前記略ペタロイド形状の中心には、開口部が配置されるものとした。
【0009】
また、ある態様においては、前記略ペタロイド形状は、前記略ペタロイド形状の中心から半径方向に見て一つ目の前記凹凸となる第1花弁を備え、前記略ペタロイド形状の中心から前記半径方向に見て二つ目の前記凹凸となる第2花弁を備えるように構成した。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明から明らかなように、ランプボディの形状を工夫することで、ランプボディの剛性向上を図った車両用灯具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る車両用灯具1の概略正面図である。
図2】同車両用灯具1のランプボディ2の概略正面図である。
図3図2のランプボディ2の端面図である。図3(A)は図2のA-A線に沿った端面図である。図3(B)は、図2のB-B線に沿った端面図である。図3(C)は、図2のC-C線に沿った端面図である。図3(D)は、図2のD-D線に沿った端面図である。図3(E)は、図2のE-E線に沿った端面図である。図3(F)は、図2のF-F線に沿った端面図である。
図4図2のランプボディに形成されるトラス構造を説明する図である。
図5図2に示すランプボディ2のH部の背面図である。
図6図2に示すランプボディ2のH部の背面斜視図である。
図7図2に示すランプボディ2のH部の平面図である。
図8図5に示すJ-J線に沿った端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の具体的な実施形態を、図面を参照しながら説明する。実施形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述されるすべての特徴やその組合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。また、以下の実施形態および変形例の説明において、同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0013】
(車両用灯具)
図1は、本発明の好適な実施形態に係る車両用灯具1の概略的な正面図である。車両用灯具1は車両の前方の左右の角部に装着される前照灯である。図1に示すように、車両用灯具1は、前面開口部2´を有する容器状のランプボディ2と、ランプボディ2の前面開口部2´に組付けられる前面カバー4とを備える。前面カバー4は例えばポリカーボネイトなどの透光性を有する樹脂やガラスなどで構成され、前面カバー4がランプボディ2の前面開口部2´に取付けられることで、内側に灯室Sが画成される。
【0014】
画成された灯室S内には、ハイビーム用のランプユニットHiおよびロービーム用のランプユニットLoが収容される。ハイビーム用のランプユニットHiおよびロービーム用のランプユニットLoは、光源から出射した光を車両前方に照射して、ハイビーム配光/ロービーム配光を形成するよう構成された光学ユニットである。各ランプユニット(Hi,Lo)には、従来周知の構成、例えば反射型、プロジェクタ型などのランプユニットを用いてよく、その種類は問わない。
【0015】
(ランプボディの全体形状)
ランプボディ2の形状について詳しく説明する。図2はランプボディ2の概略正面図である。
【0016】
ランプボディ2は、硬質の合成樹脂材料を用いて射出成形により成形される。ランプボディ2の前面開口部2´の周縁には、前面カバー4の周縁に設けられたシール脚と係合するためのシール溝3が周設されている。ランプボディ2の前面開口部2´の周縁部外表面には、車両用灯具1が車体に取付けられるための車体取付部5が、車体側の取付部の形状に対応させて突設されている。車体取付部5は、ランプボディ2の外表面に、上方に三箇所、左方に二箇所、合計五箇所に設けられている。
【0017】
ランプボディ2は、構成面として、背面壁6、天井面7、底面8、左右の側面9,9を有し、背面壁6が後方に膨らみ、隣接する天井面7、底面8、および側面9,9と稜線を介して曲線的に連続して接続されている。また、天井面7、底面8、および側面9,9は基本としてランプボディ2の外側に向かって緩やかに膨らむ凸状の湾曲形状となっており、互いの縁部で緩やかに湾曲して、屈曲部や段差なく連続して連結されている。このため、ランプボディ2は全体として丸みを帯びた容器状に形成されている。
【0018】
底面8は、背面壁6の下方縁部から前方に向かって延出して形成され、ランプボディ2の前面開口部2´の縁部に設けられたシール溝3に接続する。側面9,9は、背面壁6の左右の縁部からそれぞれの側方かつやや前方に向かって延出して形成され、シール溝3に接続する。天井面7は、延出量が小さく、シール溝3の縁部から緩やかに後方下方に向かって湾曲しながら延在して背面壁6と接続し、背面壁6と略一体的に形成されている。
【0019】
このため、背面壁6、天井面7、底面8、および側面9,9は、主として平面ではなく曲率半径の大きな湾曲面で構成され、かつ、ランプボディ2は全体として、背面壁6を底部とみる容器状に形成され、背面壁6、天井面7、底面8、および側面9,9のそれぞれが、互いに曲面同士が滑らかに連続した容器面を形成している。
【0020】
ランプボディ2には、第1ユニット取付用孔31、第2ユニット取付用孔32、および第3ユニット取付用孔33が形成されている。第1ユニット取付用孔31は、ロービーム用のランプユニットLoを装着するための孔で、背面壁6の左上方に形成されている。第2ユニット取付用孔32は、バックカバー(図示せず)を取付けるための孔で、背面壁6の右上方に形成されている。第3ユニット取付用孔33は、ランプユニット(Hi,Lo)の点灯を制御するライトドライバモジュール(図示せず)を取付けるための孔で、背面壁6の下部略中央に形成されている。
【0021】
また、ランプボディ2には、第1エイミング部材取付用孔41、第2エイミング部材取付用孔42、および第3エイミング部材取付用孔43が、第3ユニット取付用孔33の回りに形成されている。各エイミング部材取付用孔41,42,43には、従来周知の構成のエイミング部材(図示略)が取付けられる。
【0022】
第1エイミング部材取付用孔41は、第1ユニット取付用孔31および第3ユニット取付用孔33の間に配置されるように、背面壁6の下縁部に設けられている。第2エイミング部材取付用孔42は、第3ユニット取付用孔33から第1エイミング部材取付用孔41までの距離と略等距離だけ、第1エイミング部材取付用孔41と反対方向にオフセットされるように、背面壁6の右方の下縁部に設けられている。第3エイミング部材取付用孔43は、第2エイミング部材取付用孔42の略鉛直上方に配置されるように、背面壁6の右方の上端部に設けられている。
【0023】
(背面壁と梁)
背面壁6には、該背面壁6の一部を構成する、第1梁61、第2梁62、第3梁63、第4梁64、第5梁65、および第6梁66が、背面壁6の上端部から下端部に亘り延在している。ここで、背面壁6の梁61~66の構成部分以外の部分を背面壁本体69と称する。
【0024】
第1梁61は、背面壁6の左下方の第1エイミング部材取付用孔41と、上方の第1ユニット取付用孔31を端点として、両者を結ぶようにして延在している。このため、第1梁61は、正面視して、左方に傾いて形成されている。
【0025】
第2梁62は、背面壁6の左下方の第1エイミング部材取付用孔41から、正面視しておおむね上方に向かって、まっすぐに背面壁6の上端部まで延在している。
【0026】
第3梁63は、背面壁6の左下方の第1エイミング部材取付用孔41から、背面壁6の上端部まで、上方の右方に向かって延在している。このため、第3梁63は、正面視して、右方に傾いて形成されている。
【0027】
第4梁64は、背面壁6の右下方の第2エイミング部材取付用孔42から、背面壁6の上端部まで、上方の左上に向かって延在している。このため、第4梁64は、正面視して、左方に傾いて形成されている。
【0028】
第5梁65は、背面壁6の右下方の第2エイミング部材取付用孔42と、上方の第3エイミング部材取付用孔43を端点として、両者を結ぶように延在している。このため、第5梁65は、正面視しておおむね上方に向かって、まっすぐに背面壁6の上端部まで延在している。
【0029】
第6梁66は、背面壁6の右下方の第2エイミング部材取付用孔42と、上方の第2ユニット取付用孔32を端点として、両者を結ぶようにして延在している。このため、第6梁66は、正面視して、右方に傾いて形成されている。
【0030】
図3は、図2に示す切断線に沿った、各梁61~66の端面図である。図3(A)は図2のA-A線に沿った端面図であり、主として第1梁61の断面形状を示す。図3(B)は、図2のB-B線に沿った端面図であり、主として第2梁62の断面形状を示す。図3(C)は、図2のC-C線に沿った端面図であり、主として第3梁63の断面形状を示す。図3(D)は、図2のD-D線に沿った端面図であり、主として第4梁64の断面形状を示す。図3(E)は、図2のE-E線に沿った端面図であり、主として第5梁65の断面形状を示す。図3(F)は、図2のF-F線に沿った端面図であり、主として第6梁66の断面形状を示す。
【0031】
図3(A)~図3(F)に示すように、各梁61~66は、その延在方向に直行した横断面形状が、それぞれの曲率半径や幅、および突出量は異なるものの、全て略円弧状に構成される。各梁61~梁66の湾曲面の突出方向は、灯室Sの方向(前方)または灯室Sの外方向(後方)のどちらに形成されていてもよく、本実施形態では、各梁は61~66は、灯室Sの方向(前方)に向かって湾曲する梁として形成されている。背面壁本体69とは稜線を介して滑らかに接続されており、ランプボディ2の該当断面形状は、一定の肉厚を保ったまま、屈曲部なく連続して構成されている。
【0032】
図4は、ランプボディ2の正面図であり、各梁61~66を薄墨で示している。図4に示すように、各梁61~66は、背面壁6の上端部から下端部まで延在し、かつある梁の端部から他の梁が斜めに延出するなど、三角形を単位としたトラス構造となっている。ここで、肉厚に構成されるシール溝3はトラス構造に組込まれる。このため、背面壁6を含むランプボディ2は、荷重に対して変形しにくい構造となっている。また、梁61~66自体が応力を分散させる横断面略円弧状の湾曲面であることから、より変形に強い剛性の高い構造となっている。
【0033】
このため、本実施形態のランプボディ2は、このようなトラス構造を有さないランプボディに比して、剛性の高い構造となっている。ランプボディ2の剛性の向上により、従来よりも薄肉化が可能となる。
【0034】
(ペタロイド構造)
上記構成に限られず、ランプボディ2の少なくとも一部の構成面を湾曲面で構成することで、曲げ剛性を高めることができる。また、ランプボディ2の剛性を高めることで、補強リブを設ける必要がなくなり、軽量化を図ることができる。一例として、ランプボディ2の開口部である第3ユニット取付用孔33の周辺の構造について説明する。
【0035】
図5図7は、図2に示すランプボディ2のH部である。図5は、H部の背面図である。図6は、H部の背面斜視図である。図7は、H部の平面図である。
【0036】
第3ユニット取付用孔33は、ランプボディ2の背面壁6の下部略中央に設けられ、上辺71、下辺72、左辺73、および右辺74から成る矩形状に形成されている。各辺71~74は、中央部分が外側に向かって膨らんだ曲線で、かつ各辺71~74同士の接続部(角部)も円弧状に形成されていることから、第3ユニット取付用孔33は、全体として丸みを帯びた形状となっている。
【0037】
第3ユニット取付用孔33の周縁部には、ランプドライバモジュール(図示せず)を嵌合して安定して支持するため、第3ユニット取付用孔33を延長するように、筒状体の嵌合部80が設けられている。嵌合部80は、背面壁6の外表面から後方に向かって突出して設けられており、内孔の形状は、第3ユニット取付用孔33の形状となっている。ランプドライバモジュールの被嵌合部(図示せず)が、嵌合部80に挿嵌されることで、ランプドライバモジュールが第3ユニット取付用孔33に取付けられる。
【0038】
前述の通り、ランプボディ2は、全体が主として湾曲面で構成されており、第3ユニット取付用孔33が設けられた背面壁6の下部略中央部の、第3ユニット取付用孔33を中心とした領域(H部)においても、基本的には外側に向かって大きく膨らむ、曲率半径が大きい湾曲面から構成されている。さらに、この領域に凹部または凸部が形成されることで、この領域のランプボディ2の剛性をより向上させる構成となっている。
【0039】
背面壁6において、第3ユニット取付用孔33の設けられた周辺の領域には、第3ユニット取付用孔33を囲うようにして、複数の凹部または凸部が形成されている。
【0040】
具体的には、上辺71の上方には、後方に向かって突出するこぶ状の第1凸部91が形成されている。左辺73の左方近傍には、後方に向かって突出する第2凸部92が形成されている。同様に、右辺74の右方近傍には、後方に向かって突出する第3凸部93が形成されている。背面壁6は概ね肉厚一定に形成されており、各凸部91~93は、それぞれ後方に向かって突出する中空の略凸半球形状となっている。
【0041】
凸部91~93が、第3ユニット取付用孔33を中心として、第3ユニット取付用孔33を取り囲むように円環状に形成されており、ランプボディ2の第3ユニット取付用孔33の周辺の領域は、凸部91~93を花弁とした略ペタロイド形状となっている。
【0042】
図8は、図5に示すJ-J線に沿った水平端面図である。J-J線は、第3凸部93、第3ユニット取付用孔33、および第2凸部92を通過する。
【0043】
図8に示すように、凸部91~93は曲面で構成され、その境界部も稜線を介して滑らかに接続されており、背面壁6に屈曲部なく連続して形成されている。
【0044】
第3凸部93、第3ユニット取付用孔33、および第2凸部92により、第3ユニット取付用孔33を通過する背面壁6の水平断面形状は、凹凸が連続する波状に形成される。このように、ランプボディ2の少なくとも一部領域に、断面形状が、凹凸が連続する箇所を設けることで、断面二次モーメントを向上させて、曲げ応力に強い構造とすることができる。これにより、ランプボディ2の剛性が向上する。本構成により、ランプボディ2の第3ユニット取付用孔33の周辺領域においては、補強リブを設けることなく、薄肉化しても従来と同程度の剛性を持つことができる。
【0045】
ペタロイド形状の花弁を構成する凸部は、その数は指定されず、本構成からさらに数を増加させてもよい。また、本実施形態においてはペタロイドの花弁形状は凸形状であったが、凹形状でもよく、凸形状と凹形状の混合であってもよい。背面壁6にペタロイド構造が設けられるため、背面視すれば、凸部は凹部に、凹部は凸部になることから、花弁形状が、凹部または凸部のいずれであっても背面壁6に設けられる湾曲面となり、背面壁6の断面二次モーメントを向上させる。
【0046】
第3ユニット取付用孔33は開口部、すなわち貫通孔であることから、ランプボディ2においては、切欠き部となり、他部位よりも剛性が弱い。第3ユニット取付用孔33は、灯具部品が挿嵌する取付用孔であるため、より高い剛性が要求される。このため、第3ユニット取付用孔33を中心としてペタロイド形状を形成することにより、背面壁6において剛性が弱い開口部周辺領域の剛性を高めている。このように、ペタロイド形状の中心に開口部、さらには灯具部品の取付用孔が設けられていると、剛性の弱い孔を中心に、ランプボディ2の剛性を向上させることができ好ましい。本実施形態においては、第3ユニット取付用孔は、ランプドライバモジュールの取付用孔であり、第3ユニット取付用孔は、ランプドライバモジュールのコネクタ孔であるが、これに限られず、ソケットバルブ、バックカバー、アクチュエータなどの部品の取付用孔や嵌合孔、ケーブルやアースの挿通孔、部品の着脱のための作業孔や、空気や水分の通過する窓なども、開口部に含まれる。
【0047】
ペタロイド形状の中心の開口部形状は略矩形に限定されず、丸形状や多角形状であってもよい。
【0048】
ペタロイド形状の中心は開口部に限られず、凸部や凹部でもよく、また何も形成されていない箇所であっても問題ない。ペタロイド形状の花弁となる凹凸の形成により、ペタロイド形状が設けられた領域の断面二次モーメントが増加して、ランプボディ2の剛性が向上する。またペタロイド形状が形成される領域は、背面壁6に限られず、底面8、天井面7や左右の側面9,9に設けてもよい。
【0049】
ペタロイド形状の花弁を構成する凸部または凹部は、ペタロイド形状の中心となる孔や凹凸部に対して周方向に均等に設けられると好ましく、またそれぞれが対となるように対向して設けられると負荷を分散させるバランスが良くより好ましい。
【0050】
また、図5に示すように、第3ユニット取付用孔33の下辺72の下方には、第1凹部99が形成されている。第1凹部99は、一部が底面8に係り設けられており、下辺72に向かった窪みが、前後方向にも延伸して底面8も窪ませるように形成されており、上下方向に凹み、前後方向に延びる溝状凹部となっている。第1凹部99は、第3ユニット取付用孔33を中心としたペタロイド形状の花弁の一つを構成する。
【0051】
第1凹部99により、背面壁6の第3ユニット取付用孔33を中心とした周辺領域には、複雑で三次元的な凹凸が形成されている。いずれの凸部91~93および凹部99も、それぞれが滑らかに連続しており、略一定の肉厚で屈曲部なく接続し、断面形状が波状に構成される。
【0052】
本実施形態においては、図5図8に示すように、第3ユニット取付用孔33の周辺領域の背面壁6は、第3ユニット取付用孔33に向かって窪んでおり、第3ユニット取付用孔33を底部とし、第3ユニット取付用孔33および嵌合部80を中心とした環状凹部85が形成さている。換言すれば、第3ユニット取付用孔33を中心に、第3ユニット取付用孔33の周辺領域の背面壁6は、緩やかに前方に突出しており、突出中心部に第3ユニット取付用孔33が形成されている。
【0053】
相対的に環状凹部85の半径方向外側には、環状凹部85を囲むように、ドーナツ状に膨らんで、第3ユニット取付用孔33を中心として環状に後方に突出する環状凸部86が形成されている。
【0054】
環状凸部86に、前述の第1凸部91、第2凸部92、第3凸部93、および第1凹部99が形成されており、これらは、環状凸部86に対して、一段高い凸部、および一段低い凹部となっている。離間して形成される凸部91~93の間には、それぞれ相対的に凹部が形成されることとなり、第3ユニット取付用孔33の回りに、第3ユニット取付用孔33を中心として凹凸を繰り返した環状凹凸部が形成される。本実施形態においては、第3ユニット取付用孔33は、背面壁6の下部に設けられており、第1凹部99が底面8に係り設けられていることから、環状の凹凸部の一部が底面8にも亘って設けられている。
【0055】
このような凸部および凹部により、背面壁6の第3ユニット取付用孔33を中心とした周辺領域には、複雑で三次元的な凹凸が形成されている。いずれの凸部91~93および凹部99も、それぞれが稜線を介して滑らかに連続しており、略一定の肉厚で屈曲部なく接続し、断面形状が波状に構成される。背面壁6の第3ユニット取付用孔33を中心とした領域においては、前後方向および上下方向の2方向に断面二次モーメントが増加し、第3ユニット取付用孔33を中心とした領域のランプボディ2の剛性が高められる。
【0056】
環状凸部86および環状凹部85により凹凸形状は複雑となるが、環状凸部86および環状凹部85を設けず、第3ユニット取付用孔33を中心として凸部91~凸部93のみが形成されても問題ない。
【0057】
図5図7に示すように、左辺73の左方に設けられた第2凸部92のさらに左方には、第4凸部94が形成されている。第4凸部94は、第2凸部92から離間して形成されており、相対的に、第2凸部92と第4凸部94の間には相対的な凹部が形成される。
【0058】
同様に、右辺74の右方に設けられた第3凸部93のさらに右方には、第5凸部95が形成されている。第5凸部95は、第3凸部93から離間して形成されており、相対的に、第3凸部93と第5凸部95の間には相対的な凹部が形成される。
【0059】
第4凸部94および第5凸部95は、凸部91~93と同等の構成を有し、後方に向かってこぶ状に形成される中空の凸半球形状となっている。
【0060】
第5凸部95、第3凸部93、第2凸部92、第4凸部94は、水平方向に連続して形成されている。いずれの凸部も段差や屈曲部なく形成され、図8に示すように、これら凸部91,92,94,95により、第3ユニット取付用孔33周辺の水平断面図は、さらに連続する波状に形成に構成される。このように、ペタロイド形状の花弁を構成する凸部または凹部(第1花弁)に、ペタロイド形状の中心からみて半径方向外側にもう一つの凸部または凹部(第2花弁)が形成されると、第3ユニット取付用孔33周辺領域で湾曲面の数が増加して、ランプボディ2の剛性がより向上するため好ましい。第5凸部95と第3凸部93、第2凸部92と第4凸部94のように、第3ユニット取付用孔33からある半径方向に複数の凸部または凹部が直線的に配置されると、より好ましい。
【0061】
これに限られず、さらに別の凸部または凹部が、例えば第1凸部91と第2凸部92の周方向の間で、第1凸部91および第2凸部92よりも第3ユニット取付用孔33からさらに半径方向に離れたところに形成されてもよい。
【0062】
以上、本発明の好ましい実施の形態について述べたが、上記の実施の形態は本発明の一例であり、これらを当業者の知識に基づいて組合わせることが可能であり、そのような形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
1 :車両用灯具
2 :ランプボディ
2´ :前面開口部
3 :シール溝
4 :前面カバー
6 :背面壁
33 :第3ユニット取付用孔(開口部)
91~95 :凸部(花弁)
99 :凹部(花弁)
S :灯室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8