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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102446
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】シート状媒体の処理装置
(51)【国際特許分類】
   D06Q 1/00 20060101AFI20240724BHJP
【FI】
D06Q1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006330
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】523309255
【氏名又は名称】シルエットジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121669
【弁理士】
【氏名又は名称】本山 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 和宏
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 寛太
【テーマコード(参考)】
4L049
【Fターム(参考)】
4L049AA16
4L049AB00
4L049CA17
4L049DA00
4L049EA06
4L049FA01
(57)【要約】
【課題】ラインストーンの移載を短い時間で行うことが可能なラインストーン付着装置を実現する。
【解決手段】転写シートが載せられる作業ステージと、水平方向に移動する作業ヘッドと、作業ヘッドに設けられた装置本体とを備える。装置本体は、ラインストーン付着装置である。ラインストーン付着装置は、ラインストーンを意匠面が上方を指向する姿勢で落下口55に落とす取出しユニットを備える。落下口55の下からラインストーン5が転動し、ラインストーン5の姿勢を裏面5eが上方を指向する姿勢に変える転動路66を備える。転動路66の出口部65bの下でラインストーン5を裏面5eが上方を指向する姿勢で選択的に保持するラインストーン保持部67を備える。保持部材75によるラインストーン5の保持状態を解除させてラインストーン5を上方から転写シートに付着させる付着ユニットを備えている。
【選択図】 図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の媒体が載置される作業ステージと、
前記作業ステージの上方で水平方向に移動する作業ヘッドと、
前記作業ヘッドに設けられた装置本体とを備えるシート状媒体の処理装置であって、
前記装置本体は、ラインストーンを前記媒体に付着させるラインストーン付着装置であり、
前記ラインストーン付着装置は、
水平に対して傾斜した状態で回転する円板が底を構成する貯留部を有し、前記円板によって1個のラインストーンを意匠面である表面が上方を指向する姿勢で前記貯留部から移動させ、前記ラインストーンより大きい穴である落下口に落とす取出しユニットと、
前記落下口の下に位置する入口部から出口部まで前記ラインストーンが転がるように斜め下方に傾斜して延び、転動する前記ラインストーンの姿勢を裏面が上方を指向する姿勢に変える転動路と、
前記転動路の前記出口部の下であって前記作業ステージの上方近傍に配置され、前記ラインストーンを裏面が上方を指向する姿勢で選択的に保持する保持部材と、
前記保持部材による前記ラインストーンの保持状態を解除させて前記ラインストーンを上方から前記媒体に付着させる付着ユニットとを備えていることを特徴とするシート状媒体の処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載したシート状媒体の処理装置において、
前記保持部材は、上方から見て放射状に配置された複数の弾性材からなる突片を有し、
前記突片は、落下する前記ラインストーンを受け止め、前記付着ユニットによって前記ラインストーンが上方から押されることにより撓んで前記ラインストーンの通過を許容する構成が採られていることを特徴とするシート状媒体の処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載したシート状媒体の処理装置において、
前記転動路は、前記ラインストーンが通過したことを検出するセンサを有し、
前記作業ヘッドは、前記センサの検出結果に基づいて所定の方向に微細な移動距離で往復することにより前記転動路を振動させることを特徴とするシート状媒体の処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載したシート状媒体の処理装置において、
前記取出しユニットは、前記作業ヘッドの移動に連動して間欠的に動作し、前記円板を1/4回転ずつ回転させることを特徴とするシート状媒体の処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載したシート状媒体の処理装置において、
前記作業ヘッドは、複数の前記装置本体をそれぞれ着脱可能に構成され、
前記装置本体には、前記ラインストーン付着装置の他に、前記媒体を切断するカッティングペンと、前記媒体にエンボス加工を施すエンボス加工用ペンと、前記媒体に線画を描画する描画用ペンとの何れか一つが選択的に取付けられることを特徴とするシート状媒体の処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写シートにラインストーンを付着させるシート状媒体の処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣服や装飾物に貼り付ける装飾品の一つとしてラインストーンが知られている。この種のラインストーンは、意匠面とは反対側の裏面に熱溶融式の接着剤が設けられており、裏面を衣服等に重ねて例えばアイロンによって加熱することにより衣服等に貼り付けられる構成が採られている。
多数のラインストーンを衣服等に貼り付けるためには、転写シートが使用される。すなわち、個々のラインストーンの意匠面からなる表面を転写シートに重ねて付着させ、転写シートを裏返して全てのラインストーンの裏面を衣服等に重ねる。この状態でアイロンをかけることにより、全てのラインストーンが位置ずれを起こすことなく衣服等に貼り付けられる。
【0003】
多数のラインストーンを転写シートの所望の位置に付着させる作業は、人手で行われることが多い。大量のラインストーンを貼り付ける場合には多大な労力が必要になる。このため、この貼り付け作業を自動で実施する装置が要請されている。
ラインストーンの移載を行う従来の装置としては、例えば特許文献1に記載されているものがある。特許文献1に示すラインストーン付着装置は、多数のラインストーンの中から1個のラインストーンを取り出す供給部と、このラインストーンを1個ずつ供給部から被装飾体に移すハンドリング機構とを備えている。
【0004】
ハンドリング機構は、揺動式のアームと、このアームの揺動端部に伸縮式のシリンダを介して設けられた吸着部とを備えている。このハンドリング機構によれば、アームが揺動することにより吸着部が供給部または被装飾体と対向する位置に移動する。吸着部が供給部と対向している状態でシリンダが伸びることにより、吸着部が供給部に接近し、ラインストーンの表面(意匠面)が吸着部に吸着される。このようにラインストーンが吸着部に吸着されることにより、ラインストーンが供給部からハンドリング機構に移る。そして、アームが揺動して吸着部が被装飾体と対向する位置している状態でシリンダが伸びることにより、ラインストーンの裏面が被装飾体に押し付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-168712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示すラインストーン付着装置では、ラインストーンを転写シートに正しい姿勢で付着させることはできない。この理由は、ラインストーンの裏面が転写シートに付着するからである。転写シートには、ラインストーンの表面が付着されている必要がある。特許文献1に示すラインストーン付着装置を使用してラインストーンの裏面を転写シートに付着させるためには、ラインストーンを搬送する途中でラインストーンの持ち替え動作が必要になる。すなわち、ラインストーンがハンドリング機構に移った後、例えば移載ステージにラインストーンを一旦載せて放し、その後、ラインストーンの裏面に吸着部を吸着させる。このような持ち替え動作を実施すると、ラインストーンの移載に要する時間が長くなり、能率が低くなる。
【0007】
本発明の目的は、ラインストーンを取り出してラインストーンの意匠面を転写シートに貼り付ける作業を短い時間で行うことが可能なラインストーン付着装置を備えたシート状媒体の処理装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明に係るシート状媒体の処理装置は、シート状の媒体が載置される作業ステージと、前記作業ステージの上方で水平方向に移動する作業ヘッドと、前記作業ヘッドに設けられた装置本体とを備えるシート状媒体の処理装置であって、前記装置本体は、ラインストーンを前記媒体に付着させるラインストーン付着装置であり、前記ラインストーン付着装置は、水平に対して傾斜した状態で回転する円板が底を構成する貯留部を有し、前記円板によって1個のラインストーンを意匠面である表面が上方を指向する姿勢で前記貯留部から移動させ、前記ラインストーンより大きい穴である落下口に落とす取出しユニットと、前記落下口の下に位置する入口部から出口部までラインストーンが転がるように斜め下方に傾斜して延び、転動する前記ラインストーンの姿勢を裏面が上方を指向する姿勢に変える転動路と、前記転動路の前記出口部の下であって前記作業ステージの上方近傍に配置され、前記ラインストーンを裏面が上方を指向する姿勢で選択的に保持する保持部材と、前記保持部材による前記ラインストーンの保持状態を解除させて前記ラインストーンを上方から前記媒体に付着させる付着ユニットとを備えているものである。
【0009】
本発明は、前記シート状媒体の処理装置において、前記保持部材は、上方から見て放射状に配置された複数の弾性材からなる突片を有し、前記突片は、落下する前記ラインストーンを受け止め、前記付着ユニットによって前記ラインストーンが上方から押されることにより撓んで前記ラインストーンの通過を許容する構成が採られていてもよい。
【0010】
本発明は、前記シート状媒体の処理装置において、前記転動路は、前記ラインストーンが通過したことを検出するセンサを有し、前記作業ヘッドは、前記センサの検出結果に基づいて所定の方向に微細な移動距離で往復することにより前記転動路を振動させてもよい。
【0011】
本発明は、前記シート状媒体の処理装置において、前記取出しユニットは、前記作業ヘッドの移動に連動して間欠的に動作し、前記円板を1/4回転ずつ回転させてもよい。
【0012】
本発明は、前記シート状媒体の処理装置において、前記作業ヘッドは、複数の前記装置本体をそれぞれ着脱可能に構成され、前記装置本体には、前記ラインストーン付着装置の他に、前記媒体を切断するカッティングペンと、前記媒体にエンボス加工を施すエンボス加工用ペンと、前記媒体に線画を描画する描画用ペンとの何れか一つが選択的に取付けられてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ラインストーンが転動路を転がった後にラインストーンを付着ユニットによって上方から押すだけでラインストーンの移載が完了するから、ラインストーンの移載を短い時間で行うことが可能なラインストーン付着装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明に係るラインストーン付着装置を装備したシート状媒体の処理装置の斜視図である。
図2図2は、ラインストーン供給装置が外された処理装置の一部の分解斜視図である。
図3図3は、ラインストーンを示す図である。
図4図4は、カバーが外されたラインストーン供給装置の斜視図である。
図5図5は、カバーが外されたラインストーン供給装置の平面図である。
図6図6は、ラインストーン供給装置の分解斜視図である。
図7図7は、回転駆動装置の斜視図である。
図8図8は、ラインストーン供給装置のカバーを外した状態における斜視断面図である。
図9図9は、取出しユニットの一部を拡大して示す断面図である。
図10図10は、転動路を示す分解斜視図である。
図11図11は、ラインストーン供給装置の一部の斜視断面図である。
図12図12は、転動路を側方から見た斜視断面図である。
図13図13は、ガイド部材の斜視図である。
図14図14は、転動路の斜視断面図である。
図15図15は、転動路の斜視断面図である。
図16図16は、転動路の斜視断面図である。
図17図17は、ラインストーン保持部の分解斜視図である。
図18図18は、ラインストーン保持部の斜視断面図である。
図19図19は、ラインストーン保持部の斜視断面図である。
図20図20は、制御系の構成を示すブロック図である。
図21図21は、処理装置の動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るシート状媒体の処理装置の一実施の形態を図1図21を参照して詳細に説明する。
(処理装置全体の説明)
図1に示す処理装置1は、図1の中央部に位置する作業ステージ2を有し、作業ステージ2の上に載置されたシート状媒体3に対して所定の処理を施すものである。所定の処理とは、ラインストーンの付着、カッティング、エンボス加工、描画などである。ラインストーンの付着は、シート状媒体3としての転写シート4にラインストーン5(図3参照)を付着させる処理である。
【0016】
カッティングは、シート状媒体3としての紙やカッティングシートを所定の形状に切断する処理である。エンボス加工は、シート状媒体3としての厚紙にエンボス加工を施す処理である。描画は、シート状媒体3としての画用紙に線画を描画する処理である。
この実施の形態においては、この処理装置1でラインストーン5を転写シート4に付着させる処理を行う場合の一例について説明する。
【0017】
この実施の形態による処理装置1の作業ステージ2は、上方から見て処理装置1の幅方向に長い長方形状に形成されている。以下においては、作業ステージ2を形成する長方形の長手方向をX方向といい、短手方向(処理装置1の前後方向)をY方向という。なお、作業ステージ2の形状は、この実施の形態に示すような長方形に限定されることはなく、正方形でもよい。
図1に示す処理装置1は、作業ステージ2によって上面の一部が構成された基台11と、この基台11の上面に沿ってY方向に移動する移動ユニット12とを備えている。
【0018】
基台11は、水平方向(X方向とY方向)とに延びる箱状に形成されている。この基台11の内部であってX方向の両端部には、それぞれY方向レール13が設けられている。Y方向レール13は、後述する移動ユニット12を支持するもので、Y方向に延びる形状に形成されて基台11に固定されている。
【0019】
(移動ユニットの説明)
移動ユニット12は、Y方向レール13にY方向スライダ14を介してY方向に移動自在に支持されている。Y方向スライダ14は、Y方向レール13毎に設けられてY方向レール13に移動自在に支持されており、基台11の上面に形成された二つのスリット15を通って基台11から上方に突出している。スリット15は、基台11のY方向の一端部から他端部まで延びている。移動ユニット12の構成部品は、Y方向スライダ14の上端部に組み付けられている。また、Y方向スライダ14には、基台11の内部に収容されたY方向駆動装置16(図20参照)が接続されている。Y方向駆動装置16は、例えば、Y方向に延びるベルトを用いてY方向スライダ14をY方向に移動させる構成を採ることができる。
【0020】
Y方向スライダ14の上端部には、X方向に延びるX方向レール17が設けられている。2つのY方向スライダ14は、X方向レール17を介して互いに接続されている。X方向レール17は、X方向スライダ18をX方向に移動自在に支持している。X方向スライダ18は、作業ヘッド19を支持しており、X方向駆動装置20(図20参照)によって駆動されることによりX方向に移動する。このX方向駆動装置20は、基台11の内部に収容されてX方向に延びるベルト(図示せず)を用いてX方向スライダ18をX方向に移動させる構成が採られている。Y方向駆動装置16がY方向スライダ14を駆動し、X方向駆動装置20がX方向スライダ18を駆動することにより、作業ヘッド19が作業ステージ2の上方でX方向とY方向(水平方向)に移動する。Y方向駆動装置16の動作とX方向駆動装置20の動作は、基台11内に収容された制御装置21(図20参照)によって制御される。
【0021】
(作業ヘッドの説明)
作業ヘッド19は、この処理装置1による処理を実施する装置本体22を備えている。この実施の形態による装置本体22は、図2に示すように、作業ヘッド19に設けられている第1、第2の昇降装置23,24および部品取付座25と、これらに選択的に取り付けられるアタッチメント26とによって構成されている。第1および第2の昇降装置23,24は、アタッチメント26が着脱可能に取り付けられるホルダー27,28を有し、このホルダー27,28を上下方向に移動させる構成が採られている。第1および第2の昇降装置23,24の動作は、制御装置21によって制御される。
【0022】
部品取付座25は、アタッチメント26の一部が重ねられる平坦面からなる座面25aと、複数のねじ孔25bと、電装品接続用の雌コネクタ25cなどを備えている。
アタッチメント26とは、カッティングを行うためのカッティングペン29、エンボス加工を行うためのエンボス加工用ペン30、描画用ペン31、ラインストーン5の付着を行うためのラインストーン付着装置32などである。カッティングペン29、エンボス加工用ペン30および描画用ペン31は、第1の昇降装置23または第2の昇降装置24に取付けられる。
【0023】
(ラインストーン付着装置の説明)
ラインストーン付着装置32は、第2の昇降装置24のホルダー28に取り付けられる押圧用ペン33と、部品取付座25に取り付けられるラインストーン供給装置34とによって構成されている。
押圧用ペン33の下端部には、下方に向けて突出する円柱状のプッシュロッド35が設けられている。この実施の形態においては、押圧用ペン33と、この押圧用ペン33を上下方向に移動させる第2の昇降装置24とが本発明でいう「付着ユニット」に相当する。
【0024】
ラインストーン供給装置34は、図4および図5に示すように、Y方向と上下方向とに延びる箱状のハウジング41と、ハウジング41のX方向の一側部であってY方向の一端部に設けられた取出しユニット42と、ハウジング41のX方向の一側部であってY方向の他端部に設けられた転動部43とを有している。
ハウジング41のY方向の一端部には、作業ヘッド19の部品取付座25に取付けられる取付部44が設けられている。取付部44は、部品取付座25の座面25aに重ねられる取付面44aと、部品取付座25のねじ孔25bに螺着される取付用ねじ44bと、部品取付座25の雌コネクタ25cに着脱自在に接続される雄コネクタ44cなどを有している。取付面44aが座面25aに重なるとともに雄コネクタ44cが雌コネクタ25cに接続された状態で取付用ねじ44bがねじ孔25bに螺着されることによって、ラインストーン供給装置34が作業ヘッド19に固定される。
【0025】
(取出しユニットの説明)
取出しユニット42は、図4に示すように、多数のラインストーン5が溜められる貯留部45を有している。この実施の形態によるラインストーン付着装置32で使用するラインストーン5は、図3(A)~(D)に示すように、略円錐台となる形状に形成されており、複数の傾斜面5aを有している。図3(A)は平面図、図3(B)は底面図、図3(C)は側面図、図3(D)は斜視図である。ラインストーン5の複数の傾斜面5aを有する表面がラインストーン5の意匠面46である。
【0026】
ラインストーン5には、外径が一定の円板状に形成された底部5bと、底部5bから外径が次第に小さくなるように突出するテーパー部5cと、テーパー部5cの頂部に形成された平坦面からなる頂面5dとが形成されている。テーパー部5cには、平坦面からなる複数の傾斜面5aが周方向に並ぶように形成されている。このラインストーン5の裏面5eは、平坦に形成されており、熱溶融式の接着剤47が塗布されている。この接着剤47は、裏面5eの全面に塗布されている。図3(B)においては、裏面5eに塗布されている接着剤47をハッチングによって表現している。
このラインストーン5においては、テーパー部5cの傾斜面5aと頂面5dとが意匠面46となり、底部5bが例えば衣服などに接着剤47によって接着されて使用される。
【0027】
貯留部45は、図6に示すように、水平に対して傾斜した有底円筒状のカップ部材51と、カップ部材51の底壁51aの上に配置された円板52と、カップ部材51の上側の開口部の上半部を覆うカバー53などによって形成されている。カップ部材51は、ハウジング41の傾斜した取出しユニット取付面41aに円板状の取付板54を介して取付けられている。
カップ部材51の底壁51aの外周部には、ラインストーン5より大きい穴からなる落下口55が形成されている。落下口55は、カップ部材51のY方向の一端部であって、後述する転動部43に近接する部分に形成されている。取付板54における落下口55の直下に位置する部分には、落下口55より開口幅が広い切り欠き56が形成されている。
【0028】
円板52は、カップ部材51の内周部に遊嵌状態で嵌まる円板状に形成されている。この円板52が貯留部45の底を構成している。円板52の外周部には、4つの切り欠き57が形成されている。これらの切り欠き57は、円板52を周方向に4等分する位置にそれぞれ形成されている。これらの切り欠き57の開口幅は、ラインストーン5の外径より僅かに大きい。円板52の下面であって軸心部には、図7に示すように回転駆動装置58が接続されている。回転駆動装置58は、円板52を水平に対して傾斜した状態で回転させるものである。
【0029】
この実施の形態による回転駆動装置58は、円板52と同一軸線上に位置付けられて円板52と一体に回転する第1の歯車58aと、第1の歯車58aに噛合する第1のピニオン58bが軸心部に設けられた第2の歯車58cと、第2の歯車58cに噛合する第2のピニオン58dが軸心部に設けられたウォームホイール58eと、ウォームホイール58eに噛合うウォーム58fを回転させる円板駆動用モータ59とによって構成されている。円板駆動用モータ59の動作は、制御装置21によって制御される。この実施の形態による取出しユニット42は、上述した作業ヘッド19の移動に連動して間欠的に動作し、円板52を1/4回転ずつ回転させる。円板52の回転方向は、図5中に矢印Rで示すように、上方から見て反時計方向である。
【0030】
カバー53は、板状に形成されてカップ部材51の上端部に取付けられている。カップ部材51の上端部にカバー53が取り付けられることにより、カップ部材51の上端部の一部が開口する。ラインストーン5は、この開口部分からカップ部材51の中に投入される。
カバー53の裏面には、図8に示すように複数のブラシ61が取り付けられている。これらのブラシ61は、カバー53に取付けられる基部61aと、基部61aに植設された多数の毛61bとからなり、円板52が回転するときの切り欠き57の移動軌跡となる部分に毛61bの先端部が接触するように配置されている。これらのブラシ61は、図4および図5中にカバー53から仮に外して示すように、円板52の径方向の一方と他方とに振り分けられるような位置に配置されている。詳述すると、一方のブラシ61は、円板52の径方向において落下口55とは反対側に配置されている。他方のブラシ61は、円板52の回転方向において落下口55より上流側であって、円板52の最も高くなる最高位置A(図5参照)より回転方向の下流側に配置されている。
【0031】
これらのブラシ61は、円板52の切り欠き57に入っているラインストーン5を選別するためのものである。円板52が回転して切り欠き57がカップ部材51の最も低い底部B(図5参照)を通過すると、底部Bに溜められている多数のラインストーン5の中の1個が切り欠き57に入る。このとき、ラインストーン5は、切り欠き57とカップ部材51の底壁51aとによって形成された空間に収容される。ラインストーン5が切り欠き57に入った状態で円板52が回転することにより、ラインストーン5は円板52の回転に伴って移動する。
【0032】
ラインストーン5が切り欠き57の中に入るときには、図9(A)に示すように、意匠面46が上に位置する姿勢となったり、図9(B)に示すように、裏面5eが上に位置する姿勢となる。図9(A)に示すように意匠面46が上に位置する姿勢でラインストーン5がブラシ61の下方に運ばれると、ブラシ61がテーパー部5cに沿って撓み、ラインストーン5が切り欠き57の中に入った状態でブラシ61の下方を通過する。また、図9(B)に示すように裏面5eが上に位置する姿勢で切り欠き57に入っているラインストーン5は、底部5bが上に位置していて載置が不安定であるために、ブラシ61の下方を通過するときにブラシ61によって掃かれるようにして切り欠き57の外に出される。このため、円板52の回転に伴ってラインストーン5が2つのブラシ61の下方を通過することにより、意匠面46が上方を指向する姿勢のラインストーン5が残り、このラインストーン5が落下口55に送られる。
【0033】
(転動部の説明)
ラインストーン供給装置34の転動部43は、図6に示すように、ハウジング41のY方向の端部に下方からベース部材62を組付けて形成されている。ベース部材62は、図10に示すように、上方に向けて延びるガイド片63を有している。ガイド片63は、ハウジング41の取出しユニット取付面41aに形成された穴64(図6参照)に下方から挿入される。このガイド片63は、上方から見て溝状に形成されている。溝が開放される方向は、Y方向において、取出しユニット42とは反対方向である。ガイド片63の上端部は、図8に示すように、取付板54の切り欠き56にも挿入されてカップ部材51の落下口55の下方近傍まで延びている。ガイド片63の内部は、図11に示すように、落下口55に落ちたラインストーン5が自然に下方へ落下するように形成されている。図11の破断位置は、図5中にXI-XI線によって示す位置である。図11には、ラインストーン5の移動経路が分かり易いように、複数のラインストーン5が描いてある。しかし、ラインストーン5は、実際には1個ずつ送られる。
【0034】
ラインストーン5は、円板52の回転に伴って落下口55の上に移動することにより落下口55を通って下方に落ちる。このとき、ラインストーン5は、図11に示すように底部5bがガイド片63の一方の溝壁63aに沿う姿勢で落下する。この実施の形態において、ガイド片63を構成する溝の溝幅(X方向の幅)は、ラインストーン5の頂面5dと底部5bとの間に所定の隙間が形成される幅である。隙間は、ラインストーン5がY方向の軸線を中心にして回転することができない寸法である。このため、ラインストーン5は、頂面5dと裏面5eとがX方向を指向するような姿勢で溝内を落下する。
【0035】
(転動路の説明))
ガイド片63の下端部は、図10に示すように、ベース部材62にY方向に延びるように形成されたガイド溝65に接続されている。
ガイド溝65は、図12に示すように、ラインストーン5が転がる転動路66の一部を構成する溝である。図12には、ラインストーン5の転動時の姿勢を説明するために、複数のラインストーン5が描いてある。しかし、ラインストーン5は、実際には1個ずつガイド溝65内を通過する。このガイド溝65は、上方に向けて開放する溝状に形成されており、落下口55の下方に位置する入口部65aから、Y方向において取出しユニット42とは反対方向であって、斜め下方に向けて傾斜して延びている。落下口55からガイド片63の中を落下したラインストーン5は、入口部65aに当たり、斜め下方に向けて傾斜しているガイド溝65内を転がるようになる。
【0036】
ガイド溝65の入口部65aとは反対側の端部には、後述するラインストーン保持部67に開口する出口部65bが形成されている。このガイド溝65は、ベース部材62をハウジング41に組み付けることによりハウジング41の蓋部41b(図6参照)によって上方から覆われる。蓋部41bには、ガイド溝65の中を視認できるように、ガイド溝65に沿って延びる蓋体68が設けられている。蓋体68は、図17に示すように、ガイド溝65の入り口側となる一端部に軸68aを有している。軸68aは、X方向に延びる円柱状に形成されており、詳細には図示してはいないが、ハウジング41とベース部材62とに挟まれて回動自在に支持されている。
【0037】
ガイド溝65には図10に示すように上方からガイド部材71が取付けられている。ガイド部材71は、ベース部材62のガイド溝65と協働して転動路66を構成するものである。この実施の形態によるガイド部材71は、透明なプラスチック材料によって形成されており、図13に示すように、上方に向けて開放される溝状に形成された溝部71aと、溝部71aの一端に接続された傾斜壁部71bとを有している。
図14に示すように、溝部71aは、ガイド溝65に上方から嵌合する形状に形成されている。図14は、ベース部材62とガイド部材71の断面図である。図14の破断位置は、図5中にXIV-XIV線によって示す位置である。溝部71aを構成する溝の溝幅は、上述したガイド片63の溝幅と同等の幅で、ガイド部材71内にラインストーン5が立てられた状態で入るように設定されている。ここでいう立てられた状態とは、ラインストーン5の頂面5dおよび裏面5eがX方向を指向し、底部5bの外周面がガイド部材71の溝底に接するような状態である。ガイド部材71は、ガイド溝65と同様に斜め下方に向けて傾斜しており、溝部71a内に入ったラインストーン5は、ガイド部材71の溝部71a内を転がるようになる。
【0038】
ガイド部材71の長手方向の中間部分は、図15に示すようにラインストーン検出用センサ72の中に挿入されている。図15は、ベース部材62とガイド部材71の断面図である。図15の破断位置は、図5中にXV-XV線によって示す位置である。ラインストーン検出用センサ72は、ラインストーン5が通過したことを検出するためのもので、X方向(図15においては左右方向)に所定の間隔をおいて並ぶ発光部72aと受光部72bとを有している。発光部72aから受光部72bに向けて照射された光は、透明材からなるガイド部材71を透過して受光部72bに入射する。このラインストーン検出用センサ72は、発光部72aと受光部72bとの間の光路72cが遮られたか否かを検出する構成が採られており、図10に示すように、ベース部材62にガイド溝65の一部となるように組み込まれている。光路72cは、ガイド部材71内を転がるラインストーン5が横切ることによって遮られる。なお、ガイド部材71を透明ではない材料によって形成する場合は、図13中に二点鎖線で示すように、光路72cを形成するためにガイド部材71に貫通孔71cが形成される。
【0039】
ラインストーン検出用センサ72は、図20に示すように制御装置21に接続されており、光路72cがラインストーン5によって遮られたときに検出信号を制御装置21に送る。制御装置21は、ラインストーン検出用センサ72の検出信号を受信したときから予め定めた時間T1(図21参照)が経過した時に次の動作を実施する。時間T1は、ラインストーン5が光路72cを横切ってから後述するラインストーン保持部67に保持されるまでの経過時間である。ここでいう次の動作とは、ラインストーン5を転写シート4に付着させる動作である。すなわち、制御装置21は、ラインストーン検出用センサ72の検出信号を受信したときから時間T1が経過した後に、押圧用ペン33が下降するように第2の昇降装置24の動作を制御する。
【0040】
この実施の形態によるラインストーン供給装置34は、転動路66がラインストーン5によって詰まることを防いでラインストーン5がラインストーン保持部67に確実に送られるように、ラインストーン5を転がす構成が採られている。ラインストーン5が途中で止まって転動路66がラインストーン5によって詰まることを更に防止するためには、ラインストーン5が自重で転動路66を滑って下るように、転動路66を振動させてもよい。転動路66を振動させるためには、Y方向駆動装置16とX方向駆動装置20とを動作させて作業ヘッド19を所定の方向に微細な移動距離で突発的に複数回にわたって往復させることにより実施可能である。
【0041】
このように転動路66を振動させる場合は、ラインストーン5が光路72cを横切ったときから予め定めた時間T2(図21参照)が経過したときに、制御装置21が上述したようにY方向駆動装置16とX方向駆動装置20を動作させる。作業ヘッド19が瞬間的に微細な往復運動をすることにより、転動路66を含めてラインストーン供給装置34が振動する。上述した予め定めた時間T2とは、ラインストーン5が光路72cを横切ってからガイド溝65の出口部65bの近傍に到達するような時間である。
【0042】
ガイド部材71の傾斜壁部71bは、溝部71aの一方の溝壁73を延長したような形状に形成されている。一方の溝壁73とは、ガイド部材71内を転がるラインストーン5の裏面5eと対向する溝壁である。この溝壁73は、溝部71aにおいてはガイド部材71の長手方向(Y方向)と上下方向とに延びる板状に形成されており、傾斜壁部71bにおいては、内壁面(ラインストーン5の裏面5eと対向する面)が傾斜して単純な板状ではない形状に形成されている。
【0043】
この内壁面が傾斜する方向は、図16に示すように、上端が溝内に入る方向である。図16は、ベース部材62をハウジング41に組み付けた状態における、ハウジング41、ベース部材62、ガイド部材71等の断面図である。図16の破断位置は、図5中にXVI-XVI線によって示す位置である。溝部71aと傾斜壁部71bとの境界部分73a(図13参照)においては、溝部71aから傾斜壁部71bに向かうにしたがって傾斜角度が次第に大きくなるように変化している。
図16に示すように、転動路66における、傾斜壁部71bと対向する部分には、蓋体68の先端部に設けられた縦壁68bが配置されている。このため、転動路66の下流側端部は、ガイド溝65の溝底と、傾斜壁部71bと、縦壁68bとによって形成されている。
【0044】
このように溝壁73が形成されていることにより、ガイド部材71内を転がるラインストーン5の姿勢は図12に示すように変化する。図12に示すように、ラインストーン5は、溝部71a内を立てられた姿勢で転がり、溝部71aから傾斜壁部71bに入ることにより、裏面5eが徐々に上方を指向するように傾きながら転がるようになる。そして、ラインストーン5がガイド溝65の出口部65bに達したときには、その裏面5eが上方を指向する姿勢となる。
このように、ガイド溝65とガイド部材71とからなる転動路66は、立てられた状態で転動するラインストーン5の姿勢を裏面5eが上方を指向する姿勢に変える。
【0045】
(ラインストーン保持部の説明)
ガイド溝65の出口部65bが開口するラインストーン保持部67は、図17に示すように、ベース部材62の先端部に一体に形成された板状の支持体81と、支持体81の上面に取付けられた規制部材82および上部プレート83と、支持体81の下面に取付けられた保持部材84および下部プレート85などによって構成されている。
支持体81の中央部には第1の貫通穴86が形成され、支持体81のX方向の両端部には二つの第2の貫通穴87が形成されている。第1の貫通穴86と第2の貫通穴87は、それぞれ支持体81を上下方向に貫通している。第1の貫通穴86の孔壁にはガイド溝65の出口部65bが開口している。ガイド部材71内を転動したラインストーン5は、裏面5eが上方を指向する姿勢で出口部65bから第1の貫通穴86の中に落される。
【0046】
支持体81の上面には、一対の上部位置決め用突起88が凸設されている。支持体81の下面には、一対の下部位置決め用突起89が凸設されている。
規制部材82は、ゴム材料を含む弾性材によって形成されており、支持体81の上面に重ねられる板状部82aと、板状部82aから下方に向けて突出する規制片82bとによって形成されている。板状部82aには、上部位置決め用突起88が嵌合する第3の貫通穴91と、支持体81の第2の貫通穴87と上下方向に重なる第4の貫通穴92とが形成されている。規制片82bは、下方に向かうにしたがって次第に径が小さくなる円筒状に形成されている。
【0047】
規制片82bの下部は、図18に示すように、上下方向に延びるスリット82cによって周方向に4分割されている。図18の破断位置は、図5中にXVIII-XVIII線によって示す位置である。また、規制片82bは、図19(A)に示すように、規制部材82が支持体81に取付けられた状態においては、第1の貫通穴86に上方から挿入され、ガイド溝65の出口部65bと隣り合うように構成されている。このため、ラインストーン5が出口部65bから第1の貫通穴86に入るときに規制片82bに接触し、移動速度が減速されるとともに、上方へ飛び出すような動作が規制される。この結果、ラインストーン5は、その裏面5eが上方を指向する姿勢で第1の貫通穴86内を落下するようになる。
【0048】
上部プレート83は、硬質のプラスチック材料によって形成されている。上部プレート83の中央部には、第5の貫通穴93が形成されている。上部プレート83のX方向の両端部には、それぞれ第6の貫通穴94が形成されている。第5の貫通穴93の穴径は、支持体81の第1の貫通穴86の穴径より大きい。第6の貫通穴94には、支持体81の上部位置決め用突起88が嵌合する。また、上部プレート83の下面には、下方に向けて突出する一対の係止片95が設けられている。
保持部材84は、ゴム材料を含む弾性材によって形成されており、支持体81の下面に重ねられる板状部84aと、この板状部84aの中央部から下方に向けて突出する複数の突片84bとによって形成されている。X方向における板状部84aの両端部には、第7の貫通穴96と、第8の貫通穴97とが形成されている。第7の貫通穴96には支持体81の下部位置決め用突起89が嵌合する。
【0049】
複数の突片84bは、その上端部において板状部84aに支持され、下方に向けて凸になる漏斗が形成されるように並べられている。また、複数の突片84bは、上方から見ると放射状に形成されている。
下部プレート85は、硬質のプラスチック材料によって板状に形成されている。下部プレート85の中央部には、第9の貫通穴101が形成されている。下部プレート85のX方向の両端部には、第10の貫通穴102と環状の突起103とが形成されている。第10の貫通穴102には支持体81の下部位置決め用突起89が嵌合する。環状の突起103の中空部は、下部プレート85を上下方向に貫通している。
【0050】
この実施の形態によるラインストーン保持部67は、図18に示すように、支持体81の上面に規制部材82を重ねるとともに下面に保持部材84を重ね、これらの部材を上部プレート83と下部プレート85によって上下方向から挟むことによって組み立てられる。この組立時において、上部プレート83の係止片95は、規制片82の第4の貫通穴92と、支持体81の第2の貫通穴87と、保持部材84の第8の貫通穴97と、下部プレート85の環状の突起103の中空部とに通され、下部プレート85に係止される。
【0051】
ラインストーン保持部67に設けられた保持部材84は、支持体81の第1の貫通穴86に落ちたラインストーン5を図19(A)に示すように裏面5eが上方を指向する姿勢で複数の突片84bによって保持する。このとき、複数の突片84bは、第1の貫通穴86内を落下するラインストーン5を自らの弾性で受け止める。複数の突片84bは、ラインストーン供給装置34が作業ヘッド19に取付けられた状態で作業ステージ2の上方近傍に配置される。
【0052】
また、ラインストーン供給装置34が作業ヘッド19に取付けられた状態においては、図19(A)に示すように、押圧用ペン33のプッシュロッド35がラインストーン保持部67の第1の貫通穴86の上方に位置付けられる。この実施の形態によるプッシュロッド35の下端には、下方に向けて開口する凹部35aが形成されている。凹部35aの開口形状は円形である。この凹部35aは、図19(B)に示すように、ラインストーン5の底部5bが嵌まる形状に形成されている。
【0053】
押圧用ペン33が取付けられた第2の昇降装置24は、ラインストーン5が複数の突片84bの上に載せられている状態で押圧用ペン33を下降させる。押圧用ペン33が下降する時期は、図21に示すように、ラインストーン検出用センサ72がラインストーン5の通過を検出した時点から予め定めた時間T1が経過したときである。押圧用ペン33が下降することにより、プッシュロッド35がラインストーン保持部67に向けて下降する。下降するプッシュロッド35は、規制部材82の規制片82bを押し広げながら下に進む。そして、図19(B)に示すように、プッシュロッド35は、凹部35bにラインストーン5の底部5bが挿入された状態でラインストーン5を上方から押し、複数の突片84bを撓ませる。このとき、突片84bは、プッシュロッド35によってラインストーン5が上方から押されることにより撓み、ラインストーン5の通過を許容する。このことは、保持部材84がラインストーン5を選択的に保持することを意味する。
【0054】
突片84bが撓むことにより、ラインストーン5は、複数の突片84bを通過して落下し、その頂面5dが転写シート4に重なる状態で転写シート4の上に載せられる。そして、転写シート4上のラインストーン5をプッシュロッド35が下方に押すことにより、頂面5dが転写シート4に貼り付けられた状態でラインストーン5が転写シート4に付着する。すなわち、押圧用ペン33と第2の昇降装置24とからなる付着ユニットは、保持部材84によるラインストーン5の保持状態を解除させてラインストーン5を上方から転写シート4に付着させる。
【0055】
(制御装置の説明)
ラインストーン付着装置32を含む処理装置1の動作を制御する制御装置21は、図20に示すように、スタートスイッチ111、処理位置入力手段112およびラインストーン検出用センサ72などが入力側に接続され、出力側に各種のアクチュエータ(Y方向駆動装置16、X方向駆動装置20、第1の昇降装置23、第2の昇降装置24および円板駆動用モータ59)が接続されている。
スタートスイッチ111は、例えば処理装置1に処理動作を開始させるときに人為的に操作するスイッチである。
【0056】
処理位置入力手段112は、作業ステージ2上の転写シート4や紙(図示せず)などのシート状媒体3に対してラインストーン5を付着させる位置やカッティング位置などの処理位置を制御装置21に入力するためのものである。
ラインストーン5を転写シート4に付着させる場合、制御装置21は、各種のアクチュエータを図21のタイムチャートに示すように制御する。制御装置21は、処理位置入力手段112による処理位置の入力が終了した後にスタートスイッチ111がオン操作されると、先ず、Y方向駆動装置16とX方向駆動装置20とを動作させて作業ヘッド19を処理位置に移動させる。
【0057】
次に、制御装置21は、円板駆動用モータ59を動作させて円板52を1/4回転させる。スタートスイッチ111がオン操作された後の初回の回転時には、円板52の4つの切り欠き57の全てにラインストーン5が装填されるように、円板52を複数回にわたって1/4回転ずつ間欠的に回転させることができる。円板52が1/4回転ずつ間欠的に回転することにより、カップ部材51内のラインストーン5が円板52の4つの切り欠き57に順次入り、円板52の回転に伴って送られるようになる。そして、切り欠き57が落下口55の上に達したときに1個のラインストーン5が落下口55から落下して転動路66に入り、転動路66を転がりながらラインストーン検出用センサ72の光路72cを横切る。このときラインストーン検出用センサ72が検出信号を制御装置21に送る。制御装置21は、ラインストーン検出用センサ72の検出信号を受信したときに上述した初回の回転を停止する。このように初回の回転が終了した後、制御装置21は、ラインストーン5の付着動作を行う毎に円板52を1/4回転ずつ回転させる。
【0058】
ラインストーン検出用センサ72の光路72cを横切ったラインストーン5は、転動路66内を転動して姿勢を変えながらガイド溝65の出口部65bに達し、出口部65bから第1の貫通穴86に落下する。
転動路66内でラインストーン5が停止することを防ぐ場合、制御装置21は、ラインストーン検出用センサ72から検出信号を受信した時点から予め定めた時間T2が経過した後にY方向駆動装置16とX方向駆動装置20とを突発的に動作させて作業ヘッド19を振動させる。このとき、転動路66が振動してガイド溝65の出口部65bの近傍を進むラインストーン5が加振されるから、ラインストーン5の頂面5dがガイド溝65の溝底に重なる姿勢となって転がり難い場合であっても、ラインストーン5がガイド溝65上を滑って出口部65bに達し、出口部65bから第1の貫通穴86に落下する。
【0059】
この実施の形態においては、第1の貫通穴86の中であって出口部65bと隣り合う位置に規制片82bが配置されている。このため、出口部65bから第1の貫通穴86に入るときに、ラインストーン5が規制片82bに接触し、ラインストーン5の不必要な動きが規制片82bによって規制される。この結果、ラインストーン5の底部5bがより一層上に位置し易くなるから、確実に裏面5eが上方を指向するようになり、ラインストーン5が正しい姿勢で第1の貫通穴86内を落下する。
【0060】
ラインストーン5がラインストーン検出用センサ72の光路72cを横切ってから予め定めた時間T1が経過した後、制御装置21は、第2の昇降装置24を動作させて押圧用ペン33を下降させる。押圧用ペン33が下降することにより、図19(B)に示すようにラインストーン5が転写シート4に付着する。その後、制御装置21は、第2の昇降装置24を動作させて押圧用ペン33を上昇させ、上述した動作を繰り返して次の処理位置にラインストーン5を付着させる。このため、取出しユニット42は、作業ヘッド19の移動に連動して間欠的に動作し、円板52を1/4回転ずつ回転させることになる。
【0061】
(実施の形態による効果の説明)
上述したように、この実施の形態によるシート状媒体3の処理装置1によれば、ラインストーン5が転がった後にラインストーン5を付着ユニットによって上方から押すだけでラインストーン5の転写シート4への移載が完了する。したがって、この実施の形態に寄れば、ラインストーンの移載を短い時間で行うことが可能なラインストーン付着装置を提供することができる。
【0062】
この実施の形態による保持部材84は、上方から見て放射状に配置された複数の弾性材からなる突片84bを有している。突片84bは、落下するラインストーン5を受け止め、付着ユニット(プッシュロッド35)によってラインストーン5が上方から押されることにより撓んでラインストーン5の通過を許容する構成が採られている。このため、簡単な構造でラインストーン5を選択的に保持できるから、ラインストーン供給装置34をコンパクトに形成することができる。
【0063】
この実施の形態による転動路66は、ラインストーン5が通過したことを検出するセンサ72を有している。作業ヘッド19は、ラインストーン検出用センサ72の検出結果に基づいて所定の方向に微細な移動距離で往復することにより転動路66を振動させることができる。転動路66が振動することにより、ラインストーン5が裏面5eを上に向けた姿勢で転動路66の途中で止まることを防ぐことができるから、動作の信頼性を向上させることができる。
【0064】
この実施の形態による取出しユニット42は、作業ヘッド19の移動に連動して間欠的に動作し、円板52を1/4回転ずつ回転させる。このため、ラインストーン5を1個ずつ供給することができるから、複数のラインストーン5が転写シート4の同一位置に載せられるようなことを防ぐことができる。
【0065】
この実施の形態による作業ヘッド19は、複数の装置本体22をそれぞれ着脱可能に構成されている。装置本体22は、ラインストーン付着装置32の他に、媒体を切断するカッティングペン29と、媒体にエンボス加工を施すエンボス加工用ペン30と、媒体に線画を描画する描画用ペン31との何れか一つが選択的に取付けられる。このため、複数種類の処理を実施可能な処理装置1を利用してラインストーン5を転写シート4に付着させることができるから、専らラインストーンを転写シートに付着させる装置と較べて、ラインストーンを付着させる機能を安価に実現することができる。
【符号の説明】
【0066】
1…処理装置、2…作業ステージ、3…シート状媒体、4…転写シート、5…ラインストーン、16…Y方向駆動装置、19…作業ヘッド、20…X方向駆動装置、24…第2の昇降装置(付着ユニット)、29…カッティングペン、30…エンボス加工用ペン、31…描画用ペン、32…ラインストーン付着装置(装置本体)、33…押圧用ペン、42…取出しユニット、45…貯留部、46…意匠面(表面)、52…円板、55…落下口、65…ガイド溝、65a…入口部、65b…出口部、66…転動路、71…ガイド部材、72…ラインストーン検出用センサ、75…保持部材、84b…突片。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21