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  • 特開-転てつ機用コネクタの気密検査装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102454
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】転てつ機用コネクタの気密検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/26 20060101AFI20240724BHJP
   E01B 7/00 20060101ALI20240724BHJP
   G01M 3/02 20060101ALI20240724BHJP
   B61L 5/00 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
G01M3/26 M
E01B7/00
G01M3/02 C
B61L5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006342
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】399039719
【氏名又は名称】東日本電気エンジニアリング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000145183
【氏名又は名称】株式会社七星科学研究所
(72)【発明者】
【氏名】市倉 庸宏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 徹
【テーマコード(参考)】
2D056
2G067
【Fターム(参考)】
2D056AB00
2G067AA22
2G067BB02
2G067BB03
2G067DD02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】転てつ機コネクタプラグの耐水性能を確認する気密検査を、容易に行うことができる気密検査装置を提供する。
【解決手段】本発明における転てつ機コネクタプラグの気密検査装置は、気密治具本体11にカプラ15が組み込まれているニップル16が取り付けてあり、検査空間12を備えている。気密検査装置10を転てつ機コネクタプラグ20と嵌合し、転てつ機コネクタプラグのシール22をしっかりと押圧し空気の逃げ道を塞ぐ。そしてカプラ15に試験ゲージを差し込みそこからポンプによって空気を送り、検査空間12で空気が密閉された状態をつくる。その後一定時間で基準値の圧力が下がらないことを確認する。これらを行うとき、転てつ機コネクタプラグ20はケーブル25が結線された状態で容易に気密検査できる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
転てつ機コネクタプラグの耐水性能を検査するための気密検査装置であって、転てつ機コネクタプラグと嵌合するためのねじ穴を備え、空気圧をかけて内部圧力を確保できる試験空間を備え、気密試験ゲージを差し込むためのカプラを備えていることを特徴とする気密検査装置。
【請求項2】
転てつ機コネクタプラグの耐水性能を検査するための持ち運びが可能な気密検査装置であって、転てつ機と転てつ機コネクタプラグの嵌合に使用するねじと同じ位置で、4つのねじ穴を備え、空気圧をかけられる検査空間のためのくぼみと、転てつ機コネクタプラグのシール部を押圧するためのシール面が形成されており、中心に穴を形成し、その穴の外側に気密試験ゲージを差し込めるカプラを備え、転てつ機コネクタプラグから着脱可能である気密検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転てつ機に使用するコネクタプラグの耐水性能を確認する気密検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両が走行する進路を切り替えるため、線路が交差する分岐点には転てつ機が設けられている。このような鉄道車両を所望する進路へ案内するための転てつ機は、過去において係員が鉄道車両の行き先を確認して手動でポイントの切替え操作を行ってきた時代があった。なお、今日では人員によるポイントの誤操作の防止や合理化の観点から、転てつ機の切替えは遠隔操作によって自動的に動作されることが一般化されている。このような自動化された転てつ機が正常に稼働できるか判断する際に、耐水性能を確認している。
【0003】
転てつ機の耐水性能を確認するために、以下のような気密検査を行っている。
まず、気密試験ゲージ、空気ポンプ、ガス漏れ検知スプレーを用意する。
手順としては、転てつ機にカプラ、気密試験ゲージの順番で差し込み、空気ポンプで気密試験ゲージを通じて空気を転てつ機に送り込む。その後気密試験ゲージの内部圧力の目盛りが一定の基準を下回らないか確認し、下回らなければ耐水性能に問題がないと判断される。下回った場合、ガス漏れ検知スプレーを転てつ機のシール部分に吹きかけて気密漏れ箇所を特定し該当箇所の部品を交換する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭53-21587
【特許文献2】特開平8-17542
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した気密検査のやり方では転てつ機そのものの耐水性能は確認できるものの、転てつ機に装着するコネクタプラグについては耐水性能を確認できない。そうなると、いくら転てつ機の耐水性能を確かめても、コネクタプラグの不良による浸水または漏気があった場合、前述の気密検査は意味をなさなくなってしまう。そのため、転てつ機の耐水性能を確保するならば転てつ機だけでなく、コネクタプラグの耐水性能も確認する必要がある。
【0006】
しかし、転てつ機コネクタプラグにおける気密検査は確立していない。
コネクタにおいてよく行われている気密検査の方法として、特許文献1のような水没式の気密検査の方法がある。しかし、すでにケーブルが結線された転てつ機コネクタプラグにおいて上記検査は行うことができない。なぜなら、転てつ機コネクタプラグに結線されるケーブルは数十~数百メートルに及ぶことが通常であり、検査するためにはケーブルを切断するか、もしくはケーブルを結線した状態で水没式気密検査装置のある施設に持ち運ぶ必要があるからである。どちらにしても費用と労力がかかってしまう。
【0007】
そこで、本発明は費用と労力をあまりかけず、転てつ機コネクタプラグの耐水性能を確認する気密検査を行うことができるようにする気密検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、まず気密検査方法を水没式以外で考える必要がある。前述のとおり、転てつ機コネクタプラグに水没式気密検査が向いているとは言えないからである。そこで、本発明は転てつ機コネクタプラグを移動させず、設置場所である現場で気密検査できるよう持ち運びが可能である特徴をもたせた。そして現場でできる気密検査方法はすでに転てつ機で行っているため、この検査方法を参考にする。つまり気密試験ゲージを被検査品に差し込み、空気を送り込むという方法である。
【0009】
上記の方法を行うために、転てつ機コネクタプラグの絶縁体の内部圧力を確保できる検査空間を作る必要がある。このような検査空間が存在しなければ、気密試験ゲージを使って内部圧力を確認する場所がそもそも存在しないことになる。そこで検査空間として本発明品は凹みを形成している。そしてその凹みはシール面に影響を及ぼさない。
【0010】
また、上記の方法が費用をかけずに行えるよう、本発明は転てつ機で行っている気密検査で使われている試験器具を使用する。そのために同じカプラを差し込めるねじ穴を形成している。
【0011】
本発明が転てつ機コネクタプラグに別途ボルトを追加せず、転てつ機コネクタプラグのボルトが使用でき、転てつ機コネクタプラグのボルトの配置と同じ位置でねじ穴が形成されている。そのため、転てつ機コネクタプラグに対して簡単かつ確実に固定することができる。
【発明の効果】
【0012】
本転てつ機コネクタプラグの気密検査装置の発明によれば、いままで確立されていなかった転てつ機コネクタプラグの気密検査が可能となった。よって、これまで以上に転てつ機
の気密性の検査がより一層向上することとなる。そして、ひいては転てつ機の関連設備の故障に伴う輸送障害を未然に防止することが可能となる。
【0013】
コネクタの気密検査は水没式の検査で行うことが多いため、水没式検査装置のある施設にコネクタを持っていかなければならないが、本転てつ機コネクタプラグの気密検査装置の発明によれば、転てつ機コネクタプラグが取り付けてある線路脇の現場で行うことができる。よって、検査のためのコネクタの運搬費や労力が軽減される。
【0014】
本転てつ機コネクタプラグの気密検査装置の発明は、従来より行われている転てつ機の検査方法を参考にしており、カプラや試験ゲージは同様のものを使用する仕組みとなっている。よって、検査員は検査の際に新しく覚えることが少なく新しい器具もほとんど使用しないため、検査員の負担も軽く設備投資を抑えることができる。
【0015】
さらに、本転てつ機コネクタプラグの気密検査装置の発明は、転てつ機コネクタと嵌合するものであり、転てつ機コネクタプラグと同じ外寸であるため比較的小型である。そのため転てつ機まで容易に歩いて持ち運ぶことができる。
【0016】
他にも、通常転てつ機の検査は電車が動いていない夜間に行われているため手元が見えにくくなっており検査がしづらい。そこで本転てつ機コネクタの気密検査装置の発明によれば、転てつ機コネクタプラグと同じ外寸で、同じ位置にねじがあるので取り付けが比較的容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施の形態に係る気密検査装置の正面図
図2】気密検査装置の断面図
図3】気密検査装置のニップルを取り外した背面図
図4】ケーブル付き転てつ機コネクタプラグの側面図
図5】気密検査装置と転てつ機コネクタプラグの嵌合前
図6】気密検査装置と転てつ機コネクタプラグの嵌合
【発明を実施するための形態】
【0018】
本実施の形態に係る転てつ機コネクタプラグの気密検査装置について、図1図6を参照して説明する。
【0019】
本実施の形態に係る気密検査装置10は、転てつ機コネクタプラグ20の耐水性能を検査するための装置である。
【0020】
まずカプラ15が組み込まれているニップル16を気密治具本体11のニップル取り付けねじ17に取り付け、気密検査装置10として組む。組み方は図2のようになる。次に気密検査装置10をケーブル25が結線されている転てつ機コネクタプラグ20と嵌合する。そのために気密検査装置10のねじ穴14に転てつ機コネクタプラグのボルト24を4点締めつける。このとき、気密治具本体11は転てつ機コネクタプラグのハウジング21と同じ外寸なのでぴったりとはまり、容易に嵌合することができる。また、気密検査装置10を転てつ機コネクタプラグ20と嵌合するときに、しっかりと転てつ機コネクタプラグのシール22を押圧しているため、シールが正常であれば空気口13以外に検査空間12内における空気の逃げ道がなくなる。
【0021】
次に、カプラ15に気密試験ゲージを差し込む。そして気密試験ゲージに空気ポンプの口金を差し込む。
【0022】
空気ポンプを口金に差し込んだら、空気ポンプを圧縮して空気口13に向けて空気を送り込み、検査空間12の内部圧力を基準値にする。
【0023】
その後空気ポンプを口金から外し、一定時間内にゲージの目盛りが基準を下回らなければ、転てつ機コネクタプラグ20の耐水性能があるといえる。
【0024】
上記でゲージの目盛りが一定の基準を下回った場合は、気密検査装置10と転てつ機コネクタプラグ20を嵌合した状態で、転てつ機コネクタプラグのシール22にガス漏れ検知スプレーを吹きかけ気密漏れ箇所を特定する。
【0025】
最後に気密試験ゲージを抜き、空気を抜く。その後に気密検査装置10を外し終了する。
【0026】
本実施の形態によれば、転てつ機コネクタプラグ20をわざわざ持ち運ぶようなことはせず、現場で気密検査を行うことができるため、事実上不可能であった転てつ機コネクタプラグ20の耐水性能を確認できるようになる。また費用と労力をあまりかけず、容易に耐水性能を確認できる。
【符号の説明】
【0027】
10 … 気密検査装置 11 … 気密治具本体
12 … 検査空間 13 … 空気口
14 … ねじ穴 15 … カプラ
16 … ニップル 17 … ニップル取り付けねじ
20 … 転てつ機コネクタプラグ
21 … 転てつ機コネクタプラグのハウジング
22 … 転てつ機コネクタプラグのシール
24 … 転てつ機コネクタプラグのボルト
25 … ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6