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特開2024-102463フッ素樹脂組成物、塗料組成物、塗装物品およびシート状組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102463
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】フッ素樹脂組成物、塗料組成物、塗装物品およびシート状組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 127/18 20060101AFI20240724BHJP
【FI】
C09D127/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006353
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】弁理士法人タス・マイスター
(72)【発明者】
【氏名】坂田 一郎
(72)【発明者】
【氏名】古月 文志
(72)【発明者】
【氏名】上田 有希
(72)【発明者】
【氏名】奥野 晋吾
(72)【発明者】
【氏名】神谷 美晴
(72)【発明者】
【氏名】小松 信之
(72)【発明者】
【氏名】山内 昭佳
(72)【発明者】
【氏名】岸川 洋介
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038CD101
4J038CD102
4J038CD112
4J038CD122
4J038CD132
4J038GA07
4J038GA15
4J038HA446
4J038JC34
4J038KA06
4J038KA08
4J038KA09
4J038MA08
4J038MA10
4J038MA13
4J038MA14
4J038NA13
4J038NA21
4J038PA01
4J038PB09
4J038PC02
4J038PC03
4J038PC08
(57)【要約】
【課題】低線膨張係数であるような樹脂組成物を提供する。
【解決手段】基材フィラーに対して30質量%以上のシランカップリング剤によって表面処理する工程によって得られたフィラー(A)及びポリテトラフルオロエチレン樹脂(B)を含むフッ素樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィラーに対して30質量%以上のシランカップリング剤によって表面処理する工程によって得られたフィラー(A)及びポリテトラフルオロエチレン樹脂(B)を含むことを特徴とするフッ素樹脂組成物。
【請求項2】
基材フィラーは、少なくとも一部が溶融シリカ粒子である請求項1記載のフッ素樹脂組成物。
【請求項3】
基材フィラーは、平均粒径が0.1~10μmである請求項1又は2記載のフッ素樹脂組成物
【請求項4】
更に、溶融成形可能なフッ素樹脂を含む請求項1又は2記載のフッ素樹脂組成物。
【請求項5】
ポリテトラフルオロエチレン樹脂(B)は、標準比重が2.0~2.3である請求項1又は2記載のフッ素樹脂組成物
【請求項6】
線膨張係数が100ppm/K以下である請求項1又は2記載のフッ素樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1又は2記載のフッ素樹脂組成物を用いることを特徴とするプリント基板、基板用誘電材料又は積層回路基板。
【請求項8】
請求項1又は2記載のフッ素樹脂組成物を含むことを特徴とする塗料。
【請求項9】
基材上に請求項7に記載の塗料を塗装することによって形成された皮膜層を有することを特徴とする塗装物品。
【請求項10】
上位基材が銅箔であることを特徴とする請求項8に記載の塗装物品。
【請求項11】
請求項8記載の塗装物品を用いることを特徴とするプリント基板、基板用誘電材料又は積層回路基板。
【請求項12】
基材フィラーに対して30質量%以上のシランカップリング剤によって表面処理を行うことが特徴の請求項1に記載のフッ素樹脂組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フッ素樹脂組成物、塗料組成物、塗装物品およびシート状組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板等に使用される樹脂シートは、高い寸法安定性が求められる。すなわち、熱収縮が低いものであることが求められ、このため、フィラーが配合されることが多い。
特許文献1~3には、含フッ素重合体にシリカを配合した樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-183005
【特許文献2】国際公開2018/016644
【特許文献3】国際公開2019/031071
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、低線膨張係数であるような樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、
基材フィラーに対して30質量%以上のシランカップリング剤によって表面処理する工程によって得られたフィラー(A)及びポリテトラフルオロエチレン樹脂(B)を含むことを特徴とするフッ素樹脂組成物である。
【0006】
上記基材フィラーは、少なくとも一部が溶融シリカ粒子であることが好ましい。
上記基材フィラーは、平均粒径が0.1~10μmであることが好ましい。
上記フッ素樹脂組成物は、更に、溶融成形可能なフッ素樹脂を含むことが好ましい。
上記ポリテトラフルオロエチレン樹脂(B)は、標準比重が2.0~2.3であることが好ましい。
【0007】
上記フッ素樹脂組成物は、線膨張係数が100ppm/K以下であることが好ましい。
本開示は、上記フッ素樹脂組成物を用いることを特徴とするプリント基板、基板用誘電材料又は積層回路基板でもある。
【0008】
本開示は、上述したフッ素樹脂組成物を含むことを特徴とする塗料でもある。
本開示は、基材上に上記塗料を塗装することによって形成された皮膜層を有することを特徴とする塗装物品でもある。
上位基材は、銅箔であることが好ましい。
【0009】
本開示は、上記塗装物品を用いることが特徴のプリント基板、基板用誘電材料又は積層回路基板でもある。
本開示は、基材フィラーに対して30質量%以上のシランカップリング剤によって表面処理を行うことを特徴とする上記フッ素樹脂組成物の製造方法でもある。
【発明の効果】
【0010】
本開示のフッ素樹脂組成物は、低線膨張係数に優れるものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示を詳細に説明する。
本開示の樹脂組成物は、基材フィラーに対して30wt%以上のシランカップリング剤によって表面処理する工程によって得られたフィラー(A)及びポリテトラフルオロエチレン樹脂(B)を必須とするものである。
【0012】
基材フィラーに対して30wt%以上のシランカップリング剤によって表面処理する工程によって得られたフィラー(A)は、シランカップリング剤を多量に使用して表面処理を行ったものである。このため、未反応のシランカップリグング剤が残存するような状態となる。塗装時やシート成形時において、この未反応のシランカップリング剤が反応することで、フィラー間やフィラーと樹脂との間の密着性が向上し、これによって、低線膨張係数を得ることができる。
【0013】
フィラー(A)はシランカップリング剤を多量に使用して表面処理を行ったものである。よって、基材フィラーがシリカである場合、基材フィラーと比較してシランカップリング剤由来のSiOH基量が2倍以上に増加したフィラーであることが好ましい。
【0014】
(基材フィラーに対して30wt%以上のシランカップリング剤によって表面処理する工程によって得られたフィラー(A))
基材フィラーに対して30wt%以上のシランカップリング剤によって表面処理する工程によって得られたフィラー(A)は、シランカップリング剤を多量に使用して表面処理を行ったものである。すなわち、フィラー中に存在するSiOH基が塗装時やシート成形時において、この未反応のシランカップリング剤が反応することで、フィラー間やフィラーと樹脂との間の密着性が向上し、これによって、低線膨張係数の樹脂組成物を得ることができる。
【0015】
本開示においては、シランカップリング剤処理によって、このようなSiOH基を増加させることで、上述した効果をより向上させ、優れた低線膨張係数を有する樹脂組成物を得るものである。
【0016】
上記表面処理は、35質量%以上のシランカップリング剤で行うことがより好ましく、60質量%以上であることが更に好ましい。
【0017】
上記「基材フィラーと比較してシランカップリング剤由来のSiOH基量が2倍以上に増加した」とのパラメータは、IR測定で3747cm-1のピークを観測し、表面処理前のフィラー(A)と比較して増加した値である。
【0018】
本開示のフィラー(A)において、基材フィラーとして使用されるフィラーは特に限定されず、アラミド繊維、ポリフェニルエステル、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、モディファイドポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレン、ポリアミド、全芳香族ポリエステル樹脂から選ばれる一種以上である有機充填材、セラミックス、タルク、マイカ、酸化アルミ、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、チタン酸カリウム、ガラス繊維、ガラス片、ガラスビード、炭化ケイ素、弗化カルシウム、窒化ホウ素、硫酸バリウム、二硫化モリブデン及び炭酸カリウムウイスカから選ばれる一種以上である無機充填材などを挙げることができる。これらの2種以上を併用するものであってもよい。
【0019】
これらのなかでも、シリカを使用することが特に好ましく、溶融シリカ粒子を使用することが最も好ましい。
【0020】
本開示において、フィラーの表面積(m/g)は、特に限定されるものではないが、1~10であることが好ましい。上記範囲内とすることで、フッ素樹脂シートの低損失と低線膨張のバランスが良いという点で好ましい。上記下限は、1.2であることがより好ましく、1.5であることが更に好ましい。上記上限は、9であることがより好ましく、7であることが更に好ましい。
【0021】
本開示において、フィラーの表面積(m/g)は、BET法に基づく値であり、比表面積測定機としては、「Macsorb HM model-1208」(MACSORB社製)を用いて測定することができる。なお、本開示のフッ素樹脂シートが、2種以上のフィラーを含有する場合は、配合したフィラー全体に対して測定した表面積が上述した範囲内となるものである。
【0022】
本開示においてフィラーは、平均粒径が0.5~250μmであることが好ましい。なお、ここでの平均粒径は、レーザー解析式粒度分布計によって測定したD50の値である。平均粒径が0.5μm未満であると、フィラーの凝集が生じることで、充分な効果が得られない点で好ましくないものである。
【0023】
上記フィラーは、その形状を特に限定されるものではないが、球状であることが特に好ましい。球状であると、穴あけ加工時に均一に加工しやすい、比表面積が少なく伝送損失が低いという点で好ましいものである。
【0024】
上記溶融シリカ粒子は、その粒子形状が真球に近いものであることが好ましい。具体的には、球形度が0.80以上であることが好ましく、0.85以上であることがより好ましく、0.90以上がさらに好ましく、0.95以上が最も好ましい。球形度はSEMで写真を撮り、その観察される粒子の面積と周囲長から、(球形度)={4π×(面積)÷(周囲長)2}で算出される値として算出する。1に近づくほど真球に近い。具体的には画像処理装置(スペクトリス株式会社:FPIA-3000)を用いて100個の粒子について測定した平均値を採用する。
【0025】
本開示で使用する溶融シリカ粒子は、粒径が小さい方から体積を積算したときにD90/D10が2以上(望ましくは2.3以上、2.5以上)、D50が10μm以下であることが好ましい。更に、D90/D50が1.5以上であることが好ましい(更に望ましくは1.6以上)。D50/D10が1.5以上であることが好ましい(更に望ましくは1.6以上)。更に、D50が5μm以下であることがより好ましい。粒径が大きな溶融シリカ粒子の間隙に粒径が小さな溶融シリカ粒子が入ることが可能になるため、充填性に優れ、且つ、流動性を高くすることができる。特に粒度分布としてはガウス曲線と比較して粒径が小さい側の頻度が大きいことが好ましい。粒径はレーザー回折散乱方式粒度分布測定装置により測定可能である。また、粗粒がシートの薄膜化を困難にするため、所定以上の粒径をもつ粗粒をフィルタなどで除去したものであることが好ましい。
【0026】
上記溶融シリカ粒子は、吸水性が1.0%以下であることが好ましく、0.5%以下であることが更に好ましい。吸水性は乾燥時のシリカ粒子の質量を基準とする。吸水性の測定は乾燥状態にある試料を40℃ 80%RHに1時間放置し、カールフィッシャー水分測定装置で200℃加熱により生成する水分を測定し、算出する。
【0027】
また上記溶融シリカ粒子は、フッ素樹脂シートを600℃で30分間、大気雰囲気下で加熱することでフッ素樹脂を焼き飛ばし、溶融シリカ粒子を取り出したのち、上述の方法を用いて上記各パラメータを測定することもできる。
【0028】
上記フィラーは、シランカップリング剤による表面処理が施されたものである。
【0029】
上記シランカップリング剤としては特に限定されるものではなく、公知の任意のものを使用することができる。具体的には例えば、反応性官能基を有するエポキシシラン、アミノシラン、イソシアネートシラン、ビニルシラン、アクリルシラン、疎水性のアルキルシラン、フェニルシラン、フッ素化アルキルシランなどのシランカップリング剤による処理を挙げることができる。
【0030】
上記シランカップリング剤として、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等のイソシアネートシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン、アクリロキシトリメトキシシラン等のアクリルシラン等が例示される。
【0031】
上記シランカップリング剤は、エポキシ基を有するものであることが組成物の粘度が上昇しにくいという観点から、特に好ましい。
【0032】
本開示のフィラーのシランカップ剤によって表面処理を行う際、シランカップリング剤に加えて、アルキルシリケート化合物を併用して処理を行うものであってもよい。この場合、使用することができるアルキルシリケート化合物は、
【化1】
【0033】
(R101,R102は、それぞれ独立して、炭素数10以下の炭化水素鎖である。
nは、0~3の整数を表す)
で表される化合物を挙げることができる。このような化合物の縮合物も使用することができる。このような化合物としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、これらの縮合物等を特に好適に使用することができる。
【0034】
なお、上記アルキルシリケート化合物をシランカップリング剤と併用して使用する場合、フィラー処理の際のシランカップリング剤の使用量は、アルキルシリケート化合物も含む量である。
【0035】
シランカップリング剤とアルキルシリケート化合物とを併用して使用する場合、その使用割合は、50:50~90:10(質量比)であることが好ましい。
【0036】
本開示のフィラーは、基材フィラーに対して30質量%以上のシランカップリング剤によって表面処理したものである。
このような表面処理は特に限定されるものではなく、公知の任意の方法によって行うことができる。具体的には、例えば、溶媒にシランカップリング剤を溶解した溶液状態、無溶媒状態等で基材フィラーをシランカップリング剤で処理することによって行うことができる。
【0037】
本開示においては、上記シランカップリング剤による表面処理を行ったものを分離・精製することなく、そのままフッ素樹脂と混合するものである。これによって低線膨張整数の樹脂組成物とすることができる。
【0038】
(ポリテトラフルオロエチレン樹脂)
ポリテトラフルオロエチレン樹脂(以下PTFEと記す)は、変性ポリテトラフルオロエチレン(以下、変性PTFEという)であってもよいし、ホモポリテトラフルオロエチレン(以下、ホモPTFEという)であってもよいし、変性PTFEとホモPTFEの混合物であってもよい。なお、高分子PTFEにおける変性PTFEの含有割合は、ポリテトラフルオロエチレンの成形性を良好に維持させる観点から、10重量%以上98重量%以下であることが好ましく、50重量%以上95重量%以下であることがより好ましい。ホモPTFEは、特に限定されず、特開昭53-60979号公報、特開昭57-135号公報、特開昭61-16907号公報、特開昭62-104816号公報、特開昭62-190206号公報、特開昭63-137906号公報、特開2000-143727号公報、特開2002-201217号公報、国際公開第2007/046345号パンフレット、国際公開第2007/119829号パンフレット、国際公開第2009/001894号パンフレット、国際公開第2010/113950号パンフレット、国際公開第2013/027850号パンフレット等で開示されているホモPTFEを好適に使用できる。中でも、高い延伸特性を有する特開昭57-135号公報、特開昭63-137906号公報、特開2000-143727号公報、特開2002-201217号公報、国際公開第2007/046345号パンフレット、国際公開第2007/119829号パンフレット、国際公開第2010/113950号パンフレット等で開示されているホモPTFEが好ましい。
【0039】
変性PTFEは、TFEと、TFE以外のモノマー(以下、変性モノマーという)とからなる。変性PTFEには、変性モノマーにより均一に変性されたもの、重合反応の初期に変性されたもの、重合反応の終期に変性されたものなどが挙げられるが、特にこれらに限定されない。変性PTFEは、TFE単独重合体の性質を大きく損なわない範囲内で、TFEとともに微量のTFE以外の単量体をも重合に供することにより得られるTFE共重合体であることが好ましい。変性PTFEは、例えば、特開昭60-42446号公報、特開昭61-16907号公報、特開昭62-104816号公報、特開昭62-190206号公報、特開昭64-1711号公報、特開平2-261810号公報、特開平11-240917、特開平11-240918、国際公開第2003/033555号パンフレット、国際公開第2005/061567号パンフレット、国際公開第2007/005361号パンフレット、国際公開第2011/055824号パンフレット、国際公開第2013/027850号パンフレット等で開示されているものを好適に使用できる。中でも、高い延伸特性を有する特開昭61-16907号公報、特開昭62-104816号公報、特開昭64-1711号公報、特開平11-240917、国際公開第2003/033555号パンフレット、国際公開第2005/061567号パンフレット、国際公開第2007/005361号パンフレット、国際公開第2011/055824号パンフレット等で開示されている変性PTFEが好ましい。
【0040】
変性PTFEは、TFEに基づくTFE単位と、変性モノマーに基づく変性モノマー単位とを含む。変性モノマー単位は、変性PTFEの分子構造の一部分であって変性モノマーに由来する部分である。変性PTFEは、変性モノマー単位が全単量体単位の0.001~0.500重量%含まれることが好ましく、好ましくは、0.01~0.30重量%含まれる。全単量体単位は、変性PTFEの分子構造における全ての単量体に由来する部分である。
【0041】
変性モノマーは、TFEとの共重合が可能なものであれば特に限定されず、例えば、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)等のパーフルオロオレフィン;クロロトリフルオロエチレン(CTFE)等のクロロフルオロオレフィン;トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン(VDF)等の水素含有フルオロオレフィン;パーフルオロビニルエーテル;パーフルオロアルキルエチレン(PFAE)、エチレン等が挙げられる。用いられる変性モノマーは1種であってもよいし、複数種であってもよい。
【0042】
パーフルオロビニルエーテルは、特に限定されず、例えば、下記一般式(1)で表されるパーフルオロ不飽和化合物等が挙げられる。
CF=CF-ORf・・・(1)
(式中、Rfは、パーフルオロ有機基を表す。)
【0043】
本明細書において、パーフルオロ有機基は、炭素原子に結合する水素原子が全てフッ素原子に置換されてなる有機基である。上記パーフルオロ有機基は、エーテル酸素を有していてもよい。
【0044】
パーフルオロビニルエーテルとしては、例えば、上記一般式(1)において、Rfが炭素数1~10のパーフルオロアルキル基であるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)が挙げられる。パーフルオロアルキル基の炭素数は、好ましくは1~5である。PAVEにおけるパーフルオロアルキル基としては、例えば、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基等が挙げられる。PAVEとしては、パーフルオロプロピルビニルエーテル(PPVE)、パーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)が好ましい。
【0045】
上記パーフルオロアルキルエチレン(PFAE)は、特に限定されず、例えば、パーフルオロブチルエチレン(PFBE)、パーフルオロヘキシルエチレン(PFHE)等が挙げられる。
【0046】
変性PTFEにおける変性モノマーとしては、HFP、CTFE、VDF、PAVE、PFAE及びエチレンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0047】
上記PTFEは、標準比重が2.0~2.3であることが好ましい。このようなPTFEを使用すると、高い強度(凝集力及び単位厚さあたりの突き刺し強度)を有するPTFE膜を得やすい。大きい分子量を有するPTFEは長い分子鎖を有するため、分子鎖が規則的に配列した構造を形成しにくい。この場合、非晶質部の長さが増加し、分子同士の絡み合いの度合いが増加する。分子同士の絡み合いの度合いが高い場合、PTFE膜は、加えられた負荷に対して変形しにくく、優れた機械的強度を示すと考えられる。また、大きい分子量を有するPTFEを使用すると、小さい平均孔径を有するPTFE膜を得やすい。
【0048】
上記SSGの下限は、2.05であることがより好ましく、2.1であることが更に好ましい。上記SSGの上限は、2.25であることがより好ましく、2.2であることが更に好ましい。
【0049】
標準比重〔SSG〕はASTM D-4895-89に準拠して試料を作製し、得られた試料の比重を水置換法によって測定したものである。
【0050】
本実施形態において、PTFE粉末を構成するPTFEの分子量(数平均分子量)は、例えば、200~1200万の範囲にある。PTFEの分子量の下限値は、300万であってもよく、400万であってもよい。PTFEの分子量の上限値は、1000万であってもよい。
【0051】
PTFEの数平均分子量の測定方法としては、標準比重(Standard Specific Gravity)から求める方法、及び、溶融時の動的粘弾性による測定法がある。標準比重から求める方法は、ASTM D-4895 98に準拠して成形されたサンプルを用い、ASTM D-792に準拠した水置換法によって実施することができる。動的粘弾性による測定法は、例えば、S.Wuによって、Polymer Engineering & Science, 1988, Vol.28, 538、及び、同文献1989, Vol.29, 273に説明されている。
【0052】
上記PTFEは、屈折率が1.2~1.6の範囲内のものであることが好ましい。このような屈折率を有するものとすることで、低誘電であるという点で好ましい。屈折率を上記範囲内のものとすることは、分極率や主鎖の柔軟性を調整する方法等によって行うことができる。上記屈折率の下限は、1.25であることがより好ましく、1.30であることがより好ましく、1.32であることが最も好ましい。上記屈折率の上限は、1.55であることがより好ましく、1.50であることがより好ましく、1.45であることが最も好ましい。
【0053】
上記屈折率は、屈折計(Abbemat 300)を用いて測定した値である。
【0054】
また、上記PTFEは、最大吸熱ピーク温度(結晶融点)は340±7℃であることが好ましい。
【0055】
PTFEは示差走査熱量計で測定した結晶融解曲線上の吸熱カーブの最大ピーク温度が338℃以下の低融点PTFEと、示差走査熱量計で測定した結晶融解曲線上の吸熱カーブの最大ピーク温度が342℃以上の高融点PTFEであっても良い。
【0056】
PTFEの重合方法としては特に制限されず、塊状重合、懸濁重合、溶液重合、乳化重合等が挙げられる。上記重合において、温度、圧力等の各条件、重合開始剤やその他の添加剤は、所望のフッ素樹脂の組成や量に応じて適宜設定することができる。
上記PTFE樹脂は、粒子の状態で組成物中に存在していることが好ましい。この場合、上記粒子の平均粒子径は、0.3μm未満であることが好ましい。ここで、上記平均粒子径は、塗料組成物に含まれるフッ素樹脂粒子から無作為に選択した粒子から計測し、算出した値である。
【0057】
具体的には、塗料組成物を水で1000倍に希釈し、希釈した液をアルミ箔上に1滴置いて自然乾燥させたものをSEM(走査型電子顕微鏡)写真を撮影し、SEM用画像解析ソフトウェアを用いて、無作為に選択した粒子50個の画像データより粒径を計測し、平均を算出した値である。
上記平均粒子径は、下限が0.05μmであることが好ましく、0.07μmであることがより好ましく、0.1μmであることが更に好ましい。
【0058】
(溶融成形可能なフッ素樹脂)
フッ素樹脂は、更に溶融成形可能なフッ素樹脂を含むことがより好ましく、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)単位を有する共重合体(CTFE共重合体)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、及びポリビニルフルオライド(PVF)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・ビニリデンフロライド共重合体(THV)、テトラフルオロエチレン・ビニリデンフルオライド共重合体等が挙げられる。
これら溶融成形可能なフッ素樹脂の中でも、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)が好ましい。
【0059】
上記溶融成形可能なフッ素樹脂を使用することで、基材との接着性を向上することができる。
【0060】
上記溶融成形可能なフッ素樹脂は、ガラス転移温度が、40℃以上であることが好ましい。40℃以上であれば、たとえばロールフィルムを室温で保管する場合、環境温度での変形が起こりにくいという点で好ましく、60℃以上であることがより好ましく、80℃以上であることが更に好ましい。上記上限は、特に限定されないが、接着性の観点で、200℃以下であることが好ましく、160℃であることがより好ましく、120℃以下であることが更に好ましい。
【0061】
上記PFAは、融点が180~340℃であることが好ましく、230~330℃であることがより好ましく、280~320℃であることが更に好ましい。上記融点は、示差走査熱量計〔DSC〕を用いて10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度である。
【0062】
上記PFAとしては、特に限定されないが、TFE単位とPAVE単位とのモル比(TFE単位/PAVE単位)が70/30以上99.5/0.5未満である共重合体が好ましい。より好ましいモル比は、70/30以上98.9/1.1以下であり、更に好ましいモル比は、80/20以上98.5/1.5以下である。TFE単位が少なすぎると機械物性が低下する傾向があり、多すぎると融点が高くなりすぎ成形性が低下する傾向がある。上記PFAは、TFE及びPAVEのみからなる共重合体であってもよいし、TFE及びPAVEと共重合可能な単量体に由来する単量体単位が0.1~10モル%であり、TFE単位及びPAVE単位が合計で90~99.9モル%である共重合体であることも好ましい。TFE及びPAVEと共重合可能な単量体としては、HFP、CZ=C5(CF(式中、Z、Z及びZは、同一若しくは異なって、水素原子又はフッ素原子を表し、Zは、水素原子、フッ素原子又は塩素原子を表し、nは2~10の整数を表す。)で表されるビニル単量体、及び、CF=CF-OCH-Rf(式中、Rfは炭素数1~5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるアルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体等が挙げられる。その他の共重合可能な単量体としては、たとえば酸無水物基を有する環状炭化水素単量体などであり、酸無水物系単量体としては、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、無水マレイン酸などが挙げられる。酸無水物系単量体は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0063】
上記PFAは、メルトフローレート(MFR)が0.1~100g/10分であることが好ましく、0.5~90g/10分であることがより好ましく、1.0~85g/10分であることが更に好ましい。なお、本明細書においてMFRは、ASTM D3307に準拠して、温度372℃、荷重5.0kgの条件下で測定し得られる値である。
【0064】
上記FEPとしては、特に限定されないが、TFE単位とHFP単位とのモル比(TFE単位/HFP単位)が70/30以上99/1未満である共重合体が好ましい。より好ましいモル比は、70/30以上98.9/1.1以下であり、更に好ましいモル比は、80/20以上97/3以下である。TFE単位が少なすぎると機械物性が低下する傾向があり、多すぎると融点が高くなりすぎ成形性が低下する傾向がある。FEPは、TFE及びHFPと共重合可能な単量体に由来する単量体単位が0.1~10モル%であり、TFE単位及びHFP単位が合計で90~99.9モル%である共重合体であることも好ましい。TFE及びHFPと共重合可能な単量体としては、アルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体等が挙げられる。その他の共重合可能な単量体としては、たとえば酸無水物基を有する環状炭化水素単量体などであり、酸無水物系単量体としては、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、無水マレイン酸などが挙げられる。酸無水物系単量体は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0065】
上記FEPは、融点が150~320℃であることが好ましく、200~300℃であることがより好ましく、240~280℃であることが更に好ましい。上記融点は、示差走査熱量計〔DSC〕を用いて10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度である。
上記FEPは、MFRが0.01~100g/10分であることが好ましく、0.1~80g/10分であることがより好ましく、1~60g/10分であることが更に好ましく、1~50g/10分であることが特に好ましい。
【0066】
溶融フッ素樹脂はフッ素樹脂を製造する際に用いた連鎖移動剤や重合開始剤によって、フッ素樹脂末端に導入されたものであることが好ましい。このような構造としたほうが、より接着性が良好なものとなる点で好ましい。
上記官能基は、フッ素樹脂を製造する際に用いた連鎖移動剤や重合開始剤によって、フッ素樹脂末端に導入されたものに対して、更に反応を行うことで、その他の構造の変換するものであってもよい。また、フッ素樹脂のパウダーにコロナ処理を施し、主鎖末端に官能基を生成させる方法がある。
上記官能基数は、下限50個がより好ましく、100個が更に好ましい。また、上記官能基数の上限は、700個がより好ましく、500が更に好ましい。
上記官能基の種類の同定および官能基数の測定には、赤外分光分析法を用いることができる。
上記官能基数は、フッ素樹脂単独の水性分散液から分析を実施することもできるが、目的とするフッ素樹脂を塗料中から単離して分析を実施することもできる。
【0067】
不安定末端基としては、具体的に-COF、-COOH free(遊離のCOOH)、-COOH bonded(会合している-COOH)、水酸基(-CHOHなど)、-CONH、-COOR(R=CHなど)、-CFH、-OCOO-R(ノルマルプロピルカーボネートなど)等の官能基を挙げることができる。
【0068】
不安定末端基数は、具体的には、以下の方法で測定する。まず。上記フッ素樹脂を溶融させて、圧縮成形することで、厚さ0.25~0.3mmのフィルムを作製する。このフィルムをフーリエ変換赤外分光分析により分析して、上記フッ素樹脂の赤外吸収スペクトルを得、完全にフッ素化されて官能基が存在しないベーススペクトルとの差スペクトルを得る。この差スペクトルに現れる特定の官能基の吸収ピークから、下記式(A)に従って、上記フッ素樹脂における炭素原子1×10個あたりの不安定末端基数を算出する。
N=I×K/t (A)
I:吸光度
K:補正係数
t:フィルムの厚さ(mm)
【0069】
参考までに、本明細書における不安定末端基について、吸収周波数、モル吸光係数及び補正係数を表1に示す。また、モル吸光係数は低分子モデル化合物のFT-IR測定データから決定したものである。
【0070】
【表1】
【0071】
溶融フッ素樹脂は、例えば、その構成単位となるモノマーや、重合開始剤等の添加剤を適宜混合して、乳化重合、懸濁重合を行う等の従来公知の方法により製造することができる。なかでも、乳化重合によって得られたものであることがより好ましい。
【0072】
本明細書において、フッ素樹脂を構成する各単量体単位の含有量は、NMR、FT-IR、元素分析、蛍光X線分析を単量体の種類によって適宜組み合わせることで算出できる。
【0073】
(配合割合)
本開示のフッ素樹脂組成物は、フィラー(A)とポリテトラフルオロエチレン樹脂(B)との合計量に対して、フィラー(A)を20~70質量%の割合で含有することが好ましい。このような範囲内とすることで、塗膜およびシートのクラックが少なく、線膨張係数が低下するという点で好ましい。上記下限は、30質量%であることがより好ましく、35質量%であることが更に好ましい。上記下限は、65質量%であることがより好ましく、60質量%であることが更に好ましい。
【0074】
上記PTFEに加えてさらに溶融成形可能なフッ素樹脂を含有する場合、フッ素樹脂全量に対して、PTFEは10~90質量%であることが好ましい。
【0075】
(その他の成分)
本開示のフッ素樹脂組成物は、その他の成分を必要に応じて含有するものであってもよい。このような成分としては、特に限定されず、アラミド繊維、ポリフェニルエステル、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、モディファイドポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレン、ポリアミド、全芳香族ポリエステル樹脂から選ばれる一種以上である有機充填材、セラミックス、タルク、マイカ、酸化アルミ、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、チタン酸カリウム、ガラス繊維、ガラス片、ガラスビード、炭化ケイ素、弗化カルシウム、窒化ホウ素、硫酸バリウム、二硫化モリブデン及び炭酸カリウムウイスカから選ばれる一種以上である無機充填材などを挙げることができる。これらの2種以上を併用するものであってもよい。
【0076】
上記「その他のフィラー」を配合する場合、フッ素樹脂組成物全量に対して0.5~20質量%の割合で含有することが好ましい。このような範囲で含有することで、線膨張係数を悪化させることなく、機能が付与できる
【0077】
(塗料組成物)
本開示は、上述した各成分を含有する塗料組成物でもある。塗料組成物としては、液体媒体中に上述した各成分が分散又は溶解したものを挙げることができる。より好ましくは、水を液体媒体として、使用した塗料組成物を好適に使用することができる。
塗料組成物は、さらに、界面活性剤を含有するものである。上記界面活性剤としては特に限定されず、公知の界面活性剤を使用することができるが、非フッ素系界面活性剤であることが好ましい。非フッ素系界面活性剤は、フッ素系界面活性剤よりもコスト面で好ましいものである。また、フッ素系界面活性剤を配合すると、上記フッ素樹脂の焼成を行った際に、フッ酸が発生する。このフッ酸がシリカ粒子の劣化を促進するため、含有しないことが好ましい。
【0078】
上記非フッ素系界面活性剤としては、フッ素樹脂を組成物中に安定に分散させ得るものであれば特に限定されず、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれも使用できる。例えば、ナトリウムアルキルサルフェート、ナトリウムアルキルエーテルサルフェート、トリエタノールアミンアルキルサルフェート、トリエタノールアミンアルキルエーテルサルフェート、アンモニウムアルキルサルフェート、アンモニウムアルキルエーテルサルフェート、アルキルエーテルリン酸ナトリウム、フルオロアルキルカルボン酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤;アルキルアンモニウム塩、アルキルベンジルアンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、プロピレングリコール-プロピレンオキシド共重合体、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、2-エチルヘキサノールエチレンオキシド付加物、等の非イオン性界面活性剤;アルキルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミド酢酸ベタイン、イミダゾリウムベタイン等の両性界面活性剤等が挙げられる。なかでも、アニオン性及び非イオン性界面活性剤が好ましい。特に好ましい界面活性剤は、熱分解残量の少ないオキシエチレン鎖を有する非イオン性界面活性剤である。
【0079】
上記非イオン性界面活性剤の市販品としては、例えば、Genapol X080(製品名、クラリアント社製)、ノイゲンTDS-80(商品名)及びノイゲンTDS-100(商品名)を例とするノイゲンTDSシリーズ(第一工業製薬社製)、レオコールTD-90(商品名)を例とするレオコールTDシリーズ(ライオン社製)、ライオノール(登録商標)TDシリーズ(ライオン社製)、T-Det A138(商品名)を例とするT-Det Aシリーズ(Harcros Chemicals社製)、タージトール(登録商標)15Sシリーズ(ダウ社製)、ディスパノールTOC(商品名、日本油脂社製)等が挙げられる。
上記非フッ素系界面活性剤としては、また、炭化水素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、アセチレングリコール等のアセチレン系界面活性剤等を使用することができる。また、これらの非フッ素系界面活性剤のうち、一種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、ノニルフェノール系界面活性剤は、使用しないことが好ましい。
【0080】
上記非フッ素系界面活性剤の配合量は、上記フッ素樹脂の合計量100質量%に対して、好ましくは0.01~50質量%、より好ましくは0.1~30質量%、さらに好ましくは0.2~20質量%である。界面活性剤の添加量が少なすぎるとフッ素樹脂の分散が均一にならず、一部浮上することがある。一方、界面活性剤の添加量が多すぎると焼成による界面活性剤の分解残渣が多くなり着色が生ずるほか、被覆膜の耐熱性,非粘着性等が低下する。
【0081】
必要に応じて増粘剤を加えても良い。塗料を増粘させ、塗膜性状に影響を与えないものであれば特に限定されないが、高級脂肪酸のノニオンエマルジョンがフッ素樹脂粒子と三次元網目構造を作り、見かけ粘度が向上し、塗膜のクラックも防止するため好ましい。オレイン酸エマルジョン、オクタン酸エマルジョンが特に好ましい。
【0082】
本開示の塗料組成物は、さらに液状媒体を含有するものである。上記液状媒体としては特に限定されないが、水を含むことが好ましい。
さらに、本開示の塗料組成物は、水と併用して水溶性溶媒を含有することが好ましい。上記水溶性溶媒は、上記フッ素樹脂を濡らす働きを有し、更に高沸点のものは、塗装後の乾燥時に樹脂同士をつなぎ、クラックの発生を防止する乾燥遅延剤として作用する。高沸点溶媒でも、フッ素樹脂の焼成温度では蒸発するので、被覆膜に悪影響を及ぼすことはない。
【0083】
上記水溶性溶媒の具体例としては、沸点が100℃までの低沸点有機溶媒としてメタノール、エタノール、イソプロパノール、sec-ブタノール、t-ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン等;沸点が100~150℃の中沸点有機溶媒として、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等;沸点が150℃以上の高沸点有機溶媒としてN-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジメチルカルビトール、ブチルカルビトール、ブチルジカルビトール、ブチルセロソルブ、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。また、これらの水溶性溶剤は、1種または2種以上のものを混合して用いても良い。上記水溶性溶媒としては、高沸点有機溶媒が好ましく、なかでも、グリコール系溶媒が、分散安定性、安全性の点でより好ましい。
上記グリコール系溶媒としては、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、グリセリン及びブチルカルビトールからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0084】
上記水溶性溶媒の配合量は、好ましくは全水量の0.5~50質量%、より好ましくは1~30質量%である。低沸点有機溶媒の場合、配合量が、少なすぎると泡の抱込みなどが起こりやすくなり、多すぎると組成物全体が引火性となって水性分散組成物の利点が損なわれる。中沸点有機溶媒の場合、配合量が多すぎると焼成後も被覆膜中に残留して悪影響を及ぼすことがあり、少なすぎると塗布後の乾燥時にフッ素樹脂が粉末に戻ってしまい焼成できない。高沸点有機溶媒の場合、配合量が多すぎると焼成後も被覆膜中に残留して悪影響を及ぼすことがある。上記水溶性溶媒は、揮発しやすい性質のものを選択したり、配合量を調整する等して、上記フッ素樹脂の焼成後にも被覆膜中に残留しないことが好ましい。なお、グリコール系溶媒がフッ素樹脂の焼成後に残留していないことは、焼成後の塗膜を削り取り、TG/DTA測定でグリコール系溶媒の沸点付近での重量減少が無いことによって確認できる。
【0085】
上述した塗料組成物は、これを利用して塗装物品を得たり、圧延成形によってシート状組成物を得たりすることができる。上記塗料組成物によって、塗装物品やシート状組成物を得るための方法は特に限定されず、公知の任意の方法を使用することができる。これらについては、以下詳述する。
【0086】
(塗装物品)
本開示は、上述した塗料組成物を基材上に塗装することによって形成された皮膜層を有することを特徴とする塗装物品でもある。このような塗装物品の基材としては特に限定されず、金属箔、樹脂フィルム、ガラス繊維からなる布帛等を挙げることができる。
【0087】
上記塗料組成物は、通常の塗料で用いられる塗装方法により塗装することができ、上記塗装方法としては、スプレー塗装、ロール塗装、ドクターブレードによる塗装、ディップ(浸漬)塗装、含浸塗装、スピンフロー塗装、カーテンフロー塗装、バーコーターによる塗工、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、ダイ塗工等が挙げられる。
【0088】
上記塗装の後、乾燥・焼成することにより、本開示の塗装物品とすることができる。上記乾燥としては、液状媒体を除去することができる方法であれば特に限定されず、例えば、必要に応じて加熱し、室温~130℃で、5~30分間行う方法等が挙げられる。上記焼成は、フッ素樹脂の溶融温度以上で行うものであり、通常、200~400℃の範囲で10~60分間行うことが好ましい。塗工した金属箔の酸化を防ぐために真空下または不活性ガス下での乾燥・焼成が好ましい。
【0089】
(金属箔)
金属箔としては特に限定されず、例えば、銅、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、ルテニウム、真鍮等を挙げることができる。なかでも、銅箔であることが特に好ましい。
【0090】
上記銅箔は、Rz1.6μm以下であることが好ましい。すなわち、本開示のフッ素樹脂組成物は、Rz1.6μm以下という平滑性の高い銅箔への接着性も優れたものである。更に、銅箔は、少なくとも上述したフッ素樹脂フィルムと接着する面が1.6μm以下であればよく、他方の面は、Rz値を特に限定するものではない。
上記Rzは、もっとも高い部分(最大山高さ:Rp)ともっとも深い部分(最大谷深さ:Rv)の和の値である。上記表面粗さはJIS-B0601に規定される十点平均粗さである。本明細書において、上記Rzは、測定長を4mmとして、表面粗さ計(商品名:サーフコム470A、東京精機社製)を用いて測定した値である。
【0091】
上記銅箔は、厚みは特に限定されないが、1~100μmの範囲であることが好ましく、5~50μmの範囲内であることがより好ましく、9~35μmがさらに好ましい。
【0092】
上記銅箔は特に限定されるものではなく、具体的には例えば、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられる。
【0093】
Rz1.6μm以下の銅箔としては特に限定されず、市販のものを使用することができる。市販のRz1.6μm以下の銅箔としては、例えば、電解銅箔CF-T9DA-SV-18(厚み18μm/Rz0.85μm)(福田金属箔粉工業株式会社製)等を挙げることができる。
【0094】
上記銅箔は、本開示のフッ素樹脂組成物との接着強度を高めるために、表面処理を施したものであってもよい。
【0095】
上記表面処理は特に限定されないが、シランカップリング処理、プラズマ処理、コロナ処理、UV処理、電子線処理などであり、シランカップリング剤の反応性官能基としては、特に限定されないが、樹脂基材に対する接着性の観点から、アミノ基、(メタ)アクリル基、メルカプト基、及びエポキシ基から選択される少なくとも1種を末端に有することが好ましい。また、加水分解性基としては、特に限定されないが、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基などが挙げられる。本開示で使用する銅箔は、防錆層(クロメート等の酸化物皮膜等)、耐熱層等が形成されたものであってもよい。
【0096】
上記シラン化合物による表面処理層を銅箔表面上に有する表面処理銅箔は、シラン化合物を含む溶液を調製した後、この溶液を用いて銅箔を表面処理することによって製造することができる。
【0097】
上記銅箔は、表面に、樹脂基材との接着性を高めるなどの観点から、粗化処理層を有するものであってもよい。
なお、粗化処理が本開示において要求される性能を低下させるおそれがある場合は、必要に応じて銅箔表面に電着させる粗化粒子を少なくしたり、粗化処理を行わない態様としたりすることもできる。
【0098】
銅箔と表面処理層との間には、各種特性を向上させる観点から、耐熱処理層、防錆処理層及びクロメート処理層からなる群から選択される1種以上の層を設けてもよい。これらの層は、単層であっても、複数層であってもよい。
【0099】
(樹脂フィルム)
上記基材として用いる樹脂フィルムとしては、耐熱性樹脂フィルム、熱硬化性樹脂フィルムが好ましい。耐熱性樹脂フィルムとしては、ポリイミド、モディファイドポリイミド、液晶ポリマー、ポリフェニレンスルファイドなどが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ビスマレイミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブタジエンなどを含むものが挙げられる。
耐熱性樹脂フィルムおよび熱硬化性樹脂フィルムは強化繊維を含んでいても良い。強化繊維としては特に限定されないが、例えばガラスクロス、とくに低誘電タイプのものが好ましい。
【0100】
耐熱性樹脂フィルムおよび熱硬化性樹脂フィルムの誘電特性、線膨張係数、吸水率などの特性は特に限定されないが、たとえば、20GHzにおける誘電率は3.8以下が好ましく、3.4以下がより好ましく、3.0以下が更に好ましい。20GHzにおける誘電正接は、0.0030以下が好ましく、0.0025以下がより好ましく、0.0020以下が更に好ましい。線膨張係数は100ppm/℃以下が好ましく、70ppm/℃以下がより好ましく、40ppm/℃以下が更に好ましい。吸水率は1.0%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましく、0.1%以下が更に好ましい。
【0101】
(ガラス繊維からなる布帛層)
基材としてしようすることができる上記ガラス繊維からなる布帛層は、ガラスクロス、ガラス不織布等を挙げることができる。
ガラスクロスとしては市販のものが使用でき、フッ素樹脂との親和性を高めるためにシランカップリング剤処理を施されたものが好ましい。ガラスクロスの材質としてはEガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、低誘電率ガラスなどが挙げられるが、入手が容易である点からEガラス、Sガラス、NEガラスが好ましい。繊維の織り方としては平織でも綾織でも構わない。ガラスクロスの厚さは通常5~90μmであり、好ましくは10~75μmであるが、使用するフッ素樹脂フィルムよりは薄いものを用いることが好ましい。
【0102】
上記積層体は、ガラス不織布をガラス繊維からなる布帛層として使用するものであってもよい。ガラス不織布とは、ガラスの短繊維を少量のバインダー化合物(樹脂あるいは無機物)で固着したもの、あるいはバインダー化合物を使用せずにガラス短繊維を絡ませることによってその形状を維持しているものであり、市販のものが使用できる。ガラス短繊維の直径は好ましくは0.5~30μmであり、繊維長は好ましくは5~30mmである。バインダー化合物の具体例としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、セルロース、ポリビニルアルコール、フッ素樹脂等の樹脂や、シリカ化合物等の無機物が挙げられる。バインダー化合物の使用量はガラス短繊維に対して通常3~15質量%である。ガラス短繊維の材質としてはEガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、低誘電率ガラスなどが挙げられる。ガラス不織布の厚さは通常50μm乃至1000μmであり、100~900μmであることが好ましい。尚、本願におけるガラス不織布の厚さは、JIS P8118:1998に準じ、(株)小野測器製のデジタルゲージDG-925(荷重110グラム、面径10mm)を用いて測定した値を意味する。フッ素樹脂との親和性を高めるために、ガラス不織布にシランカップリング剤処理を施してもよい。
【0103】
ガラス不織布の多くは空隙率が80%以上と非常に高いので、フッ素樹脂からなるシートより厚いものを使用し、圧力によって圧縮して用いることが好ましい。
【0104】
上記ガラス繊維からなる布帛層は、ガラスクロスとガラス不織布とを積層した層であってもよい。これによって、相互の性質が組み合わせられて、好適な性質を得ることができる。上記ガラス繊維からなる布帛層は、樹脂を含浸させたプリプレグの状態であってもよい。
【0105】
上記塗装物品は、ガラス繊維からなる布帛層とフッ素樹脂フィルムが界面で接着していてもよく、ガラス繊維からなる布帛層にフッ素樹脂フィルムの一部もしくはすべてが含侵されていてもよい。
【0106】
(プリント基板、基板用誘電材料又は積層回路基板)
上述した塗装物品は、プリント基板、基板用誘電材料又は積層回路基板において好適に使用することができる。プリント基板とは半導体やコンデンサチップなどの電子部品を電気的に接続すると同時に、限られた空間内に配置し固定するための板状部品である。本開示の塗装物品又はシート状組成物から形成されるプリント基板の構成は特に制限はない。プリント基板は、リジッド基板、フレキシブル基板、リジッドフレキシブル基板のいずれであってもよい。プリント基板は、片面、基板、両面基板、多層基板(ブルドアップ基板等)のいずれであってもよい。特に、フレキシブル基板、リジット基板用に好適に使用することができる。特に10GHz以上の高周波用プリント基板として好適に使用することができる。
【0107】
回路用基板としては特に限定されず、上述した塗装物品を使用して、一般的な方法によって製造することができる。
【0108】
本開示の塗装物品におけるフッ素樹脂皮膜における誘電特性、線膨張係数、吸水率などの特性は特に限定されないが、たとえば、20GHzにおける誘電率は3.8以下が好ましく、3.4以下がより好ましく、3.2以下が更に好ましい。20GHzにおける誘電正接は、0.010以下が好ましく、0.008以下がより好ましく、0.0050以下が更に好ましい。線膨張係数は100ppm/℃以下が好ましく、80ppm/℃以下がより好ましく、70ppm/℃以下が更に好ましい。
【実施例0109】
以下、本開示を実施例に基づいて具体的に説明する。以下の実施例においては特に言及しない場合は、「部」「%」はそれぞれ「質量部」「質量%」を表す。
【0110】
(FEPの調製)
特許4306072号の実施例1に記載の方法でFEPの水分散体を得た。
(PTFEディスパージョンの調製)
公知の含フッ素界面活性剤を用いて、公知の乳化重合方法、公知のイオン交換処理方法、および公知の相分離濃縮方法によってポリテトラフルオロエチレン水性分散液1を得た。得られたポリテトラフルオロエチレン水性分散液1はポリマー固形分濃度が64質量%、非イオン界面活性剤濃度がポリテトラフルオロエチレン固形分に対して2.7質量%、平均一次粒子径312nm、標準比重が1.57であった。
【0111】
(シリカ粒子分散液)
シリカ粒子と水とを70:30の比で混合し、スギノマシン製スターバーストを使用し、水中に一次粒子の大きさでシリカ粒子を分散させる。
分散液がpH4以下になるように5%酢酸を加え、撹拌を行った。シランカップリング剤を分散液に滴下し、一晩撹拌してシランカップリング剤処理を行った。
本開示の実施例におけるフィラーとしてのシリカは、アドマテックス社製SC2500-SQ (D50: 0.5μm)を使用した。
【0112】
(塗料化)
得られたFEP水性分散液とPTFE水性分散液をFEP:PTFEの固形分比が35:65になるように混合し、FEPとPTFEの固形分に対して界面活性剤(ノイゲンTDS-80C)14質量部、シランカップリング剤処理後のシリカ粒子分散液を固形分の比が表1に指定した比になるように加え、イオン交換水20質量部を加え塗料化した。
【0113】
(塗布)
以下の方法にしたがって、樹脂被覆層を得た。
銅箔(福田金属箔粉工業製 CF-V9S-SV-18、表面粗さ0.8μm(Rz))上にバーコーター(No.30)を用いて塗料を塗工した。塗工後の銅箔を130℃で15分間乾燥させた。さらに窒素ガス雰囲気下350℃15分間焼成し膜厚10μmの塗膜を作製した。
皮膜層と基材とからなる塗装物品を皮膜層が銅箔に密着するよう重ね、真空下加熱温度:320℃、圧力:3MPaで5分間プレスすることにより皮膜層と基剤からなる塗装物品及び銅箔が積層された接合体得た後エッチングにて基材を取り除き、塗膜を得て線膨張率を測定した。
【0114】
[線膨張率]
TMA―7100(株式会社日立ハイテクサイエンス社製)を用いたTMA測定を引張モードで行い、サンプル片として、長さ20mm、幅5mmに切出したシートを用いて、チャック間を10mmに設定し、49mNの荷重をかけながら昇温速度2℃/分で0~150℃でのサンプルの変位量から線膨張率を求めた。
【0115】
[表面SiOH量]
表面SiOHの分析には拡散反射赤外分光法を使用し、FT-IRにて赤外分光を測定した。測定用のサンプルはシランカップリング剤処理後のシリカ粒子分散液を150℃で一晩乾燥させ、粉末を取り出した後、粉末をKBr粉末で希釈し、測定に使用した。SiOのピークである1128cm-1を基準としたときに、シランカップリング剤処理前のシリカ粒子の3747cm-1のピークと比較して、シランカップリング剤処理後のシリカ粒子の3747cm-1のピークが何倍に増加したかを確認した。
【0116】
【表2】
【0117】
上記表2の結果より、本開示のフッ素樹脂組成物は、低膨張性を有する優れた性能のものであることが明らかである。なお、比較例については、塗膜にクラックが発生し、自立膜が得られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本開示のフッ素樹脂組成物は、プリント基板、基板用誘電材料又は積層回路基板等において好適に使用することができる。