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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102467
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】印刷装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/195 20060101AFI20240724BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20240724BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
B41J2/195
B41J2/165 207
B41J2/01 451
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006359
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】刑部 文裕
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA14
2C056EA20
2C056EB03
2C056EB08
2C056EB29
2C056EB40
2C056EC21
2C056EC26
2C056EC46
2C056EE18
2C056FA15
2C056FB09
2C056HA58
2C056JC23
(57)【要約】
【課題】インクの状態に応じた報知内容を提供する。
【解決手段】印刷装置は、インクタンクのインクを吐出する印刷ヘッド(印刷部)と、印刷ヘッドにパージを行わせる制御部と、パージにより発生する音の音量を測定する音量測定部と、を備える。制御部は、印刷ヘッドにパージを行わせるとともに(ステップS3,S13)、音量測定部にパージにより発生する音の音量を測定させる(ステップS4,S14)。制御部は、パージ時に測定された音量に基づいて、ユーザに報知する内容を決定する(ステップS7,S9,S11,S20)。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクタンクのインクを吐出する印刷部と、
前記印刷部にパージを行わせる制御部と、
前記パージにより発生する音の音量を測定する音量測定部と、
を備え、
前記制御部は、前記音量測定部により測定された音量に基づいて、ユーザに報知する内容を決定する、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記印刷部による1回目のパージ時に前記音量測定部により測定された音量が第1の所定値未満である場合に、前記インクタンクの撹拌又は交換を促す報知を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記印刷部による1回目のパージ時に前記音量測定部により測定された音量が第2の所定値以上である場合に、前記印刷部に2回目以降のパージを行わせることなく、前記印刷部が印刷可能状態である旨の報知を行う、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記印刷部による1回目のパージ時に前記音量測定部により測定された音量から、前記印刷部による2回目のパージ時に前記音量測定部により測定された音量への変化量が第3の所定値未満である場合に、前記インクタンクの撹拌又は交換を促す報知を行う、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記印刷部による複数回のパージ時に前記音量測定部によりそれぞれ測定された音量に基づいて、前記複数回のパージに対応する音量が次第に大きくなっている場合に、待機を促す報知を行う、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記印刷部による1回目のパージ時に前記音量測定部により測定された音量から、前記印刷部による2回目のパージ時に前記音量測定部により測定された音量への変化量に基づいて、前記印刷部が印刷可能状態となるために必要なパージの回数を推定し、当該推定されたパージの回数を報知する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項7】
インクタンクのインクを吐出する印刷部と、音量測定部と、を備える印刷装置における制御方法であって、
前記印刷部にパージを行わせる工程と、
前記音量測定部により、前記パージにより発生する音の音量を測定する工程と、
前記測定された音量に基づいて、ユーザに報知する内容を決定する工程と、
を含む、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項8】
インクタンクのインクを吐出する印刷部と、音量測定部と、を備える印刷装置のコンピュータに、
前記印刷部にパージを行わせる機能、
前記音量測定部に、前記パージにより発生する音の音量を測定させる機能、
前記測定された音量に基づいて、ユーザに報知する内容を決定する機能、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット方式の印刷装置では、インクが十分に撹拌されていない場合、インク材料の沈降によるノズル詰まりが発生し、正常な印刷ができないことが多々ある。特に、白インクは、材料に酸化チタンを用いているため、インクのノズル詰まりが発生しやすい。ノズル詰まりを解消するために、印刷前の準備動作として、ノズル内のインクを強制的に吐出させるパージ処理が行われる。
【0003】
また、インクジェット方式のプリンタの周囲の音量を計測し、計測された周囲の音量に応じて、プリンタの状態を使用者に報知する報知手段の報知態様を変更する技術が提案されている(特許文献1参照)。具体的には、特許文献1に記載の技術では、プリンタの周囲の騒音レベルに基づいて、スピーカーのボリュームや音の種類を決定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-103940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ノズルの詰まり具合は、インクの未使用時間(静置時間)等によって異なる。
しかしながら、ユーザには、インクカートリッジ内部のインクの実際の詰まり具合は、全く分からない。また、プリンタに使用されているインクタンク(カートリッジ)が、十分に撹拌されているか否かを、ユーザに判断させるのは困難である。このため、ユーザが、印刷装置内のインクの状態を把握することは困難であった。
【0006】
また、特許文献1に記載の技術においても、インクの詰まり具合等のプリンタの状態を判断することはできなかった。
【0007】
本発明は、上記の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、インクの状態に応じた報知内容を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の印刷装置は、
インクタンクのインクを吐出する印刷部と、
前記印刷部にパージを行わせる制御部と、
前記パージにより発生する音の音量を測定する音量測定部と、
を備え、
前記制御部は、前記音量測定部により測定された音量に基づいて、ユーザに報知する内容を決定する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、インクの状態に応じた報知内容を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態における印刷装置の要部外観構成を示す斜視図である。
図2】印刷装置の概略の制御構成を示す要部ブロック図である。
図3】(a)は、印刷装置の内部要部構成を示す平面図である。(b)は、Y方向と直交する切断面における印刷装置の概略断面図である。
図4】(a)は、印刷ヘッドがメンテナンス領域にある状態の、X方向と直交する切断面における印刷ヘッド及び廃インクタンク周辺を模式的に示した側断面図である。(b)は、印刷ヘッドがメンテナンス領域にある状態の印刷ヘッド及び廃インクタンク周辺を模式的に示した正面図である。
図5】第1の実施形態の印刷装置において実行される第1の印刷前メンテナンス処理を示すフローチャートである。
図6】(a)は、初期画面の例である。(b)は、撹拌指示画面の例である。(c)は、印刷準備完了画面の例である。(d)は、状態確認中画面の例である。(e)は、撹拌指示画面の例である。
図7】複数のインク状態におけるパージ時の音量変化の具体例を説明するための図である。
図8】撹拌動作のイメージ図である。
図9】第2の実施形態の印刷装置において実行される第2の印刷前メンテナンス処理を示すフローチャートである。
図10】第2の実施形態の印刷装置において実行される第2の印刷前メンテナンス処理を示すフローチャートである。
図11】追加のパージ回数の算出方法を説明するための図である。
図12】残パージ回数表示画面の例である。
図13】変形例における印刷装置の概略構成を示す模式図である。
図14】(a)は、撹拌指示画面の例である。(b)は、撹拌指示画面の例である。(c)は、撹拌終了画面の例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る印刷装置、制御方法及びプログラムの実施形態について説明する。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0012】
インクジェット方式の印刷装置では、印刷前に、パージ(少量のインクの排出)を行うのが一般的である。サーマル方式のインクジェットプリンタにおいては、インクを吐出する際に、吐出音が発生する。そのため、パージの際、インクを大量に吐出すれば、吐出音は大きくなる。
しかし、ノズルが詰まった状態では、インクが吐出されずに吐出音が発生しなかったり、吐出音がとても小さかったり、吐出音が途中から聞こえるようになったりする。
よって、パージの際の音を検出することにより、インクの沈降又はノズルの詰まり状態を予測できる。すなわち、インクの状態が印刷に適した状態なのか、印刷に不向きな状態(インクが詰まってインクを吐出しにくい状態)なのかを判断することが可能である。
本発明は、このパージ時の吐出音を利用したものである。
【0013】
[第1の実施形態]
まず、本発明に係る印刷装置の第1の実施形態について説明する。
【0014】
<印刷装置の構成>
図1は、第1の実施形態における印刷装置1の要部外観構成を示す斜視図である。以下の実施形態において、上下、左右及び前後は、図1に示した向きをいうものとする。また、X方向、Y方向、Z方向は、図1に示した方向をいうものとする。
図2は、印刷装置1の概略の制御構成を示す要部ブロック図である。
図3(a)は、印刷装置1の内部要部構成を示す平面図であり、図3(b)は、Y方向と直交する切断面における印刷装置1の概略断面図である。
【0015】
ここでは、印刷装置1が手の指Uの爪T(図3(a)及び(b)参照)を印刷対象として、これに印刷するネイルプリンタである場合を例に説明するが、印刷装置1の印刷対象は手の指Uの爪Tに限るものではなく、例えば、足の指の爪等を印刷対象としてもよい。また、ネイルチップや各種アクセサリの表面等、爪以外のものを印刷対象としてもよい。
印刷装置1は、ネイルサロンや美容サロン等の店舗に設置されたものでもよいし、ユーザの自宅等で使用されるものであってもよい。
【0016】
図1に示すように、印刷装置1は、略箱形に形成された筐体2を有している。
印刷装置1の筐体2の前面側(Y方向の手前側)であって装置の左右方向(X方向)の略中央部には、開口部21が形成されている。開口部21は、印刷対象となる爪Tに対応する指Uを装置内に挿入する指挿入口であり、指Uを出し入れ可能な程度の幅及び高さを有している。
また、筐体2の内部であって開口部21の内側に、印刷対象となる爪Tに対応する指Uを配置する指配置部3が設けられている。
【0017】
図3(a)及び(b)に示すように、指配置部3の下側面は、開口部21から挿入された指Uの腹部分を受ける指受け部31となっている。なお、指受け部31には、例えば樹脂等の柔軟性を有する材料で形成されたクッション部材が設けられていてもよい。
指配置部3の上方(少なくとも図1におけるY方向の奥側の上方)は開放されており、指配置部3内に挿入された指Uの爪Tの表面が露出するようになっている。
指配置部3の手前側(図1におけるY方向の手前側)には、指Uの上方を囲うような枠状部32が設けられている。指配置部3に配置された指Uの上側は、この枠状部32の天面に突き当てられるように構成されている。これにより、枠状部32の天面が指Uの上方向の位置を規制する指押えとして機能し、指Uが上方向に押し上げられすぎるのを防ぎ、指Uの高さ方向を位置決めすることができる。
【0018】
筐体2の上面(天板)には、操作部22が設置されている。
操作部22は、ユーザからの各種入力を受け付ける受付手段である。
操作部22は、例えば、印刷装置1の電源をON/OFFする電源スイッチ釦、動作を停止させる停止スイッチ釦、印刷開始を指示する印刷開始釦等、各種の入力を行うための操作釦で構成されている。
また、操作部22は、表示部23の表面に一体的に設けられたタッチパネルによって構成され、ユーザの指先やスタイラスペン等によるタッチ操作に応じて、各種の入力・設定等を行うことができるようになっている。
操作部22が操作されると、操作に応じた操作信号が制御装置10の制御部11(図2参照)に出力され、制御部11が操作信号に従った制御を行い、印刷装置1の各部を動作させる。
【0019】
筐体2の上面には、表示部23が配置されている。
表示部23は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、その他のディスプレイを含んでいる。表示部23は、制御部11から入力される表示信号に基づいて、ディスプレイに各種画像や情報を表示する。
【0020】
また、図2に示すように、印刷装置1は、前述の操作部22、表示部23を備える他、印刷機構4、撮影部5、音量測定部6、通信部25及び制御装置10等を備えている。
【0021】
印刷機構4は、印刷部としての印刷ヘッド41と、印刷ヘッド41を移動させるX方向移動モータ45、Y方向移動モータ47とを備え、印刷ヘッド41を用いて印刷を行う。
印刷ヘッド41は、インクを微細な液滴として吐出させ、印刷対象面に印刷を施すインクジェット方式のインク吐出機構(図示せず)を備えている。
【0022】
印刷ヘッド41における印刷対象面(爪Tの表面)に対向する面には、インク吐出面411(図4(a)及び(b)参照)が一体に形成されている。インク吐出面411には、それぞれの色のインクを噴射する複数のノズルからなるノズルアレイの吐出口(ノズル口、インク吐出口、図示せず)が列状に形成されている。
印刷ヘッド41は、制御部11がインク吐出機構を制御することで、適宜所定のインクをノズル口から吐出させ、印刷を行うようになっている。
なお、印刷ヘッド41がインクを吐出させる構成等、印刷を行うための具体的な構成は、特に限定されない。
【0023】
印刷ヘッド41は、例えば、シアン(C;CYAN)、マゼンタ(M;MAGENTA)、イエロー(Y;YELLOW)等の各色のインクを吐出可能となっている。また、印刷ヘッド41として、印刷対象となる爪Tにネイルの下地を印刷する下地用ヘッドと、印刷対象となる爪Tにネイルデザインを印刷するデザイン用ヘッドと、が設けられていてもよい。下地用のインクとしては、デザインを印刷するときにインクの発色が良くなるように、白色等(白色若しくはこれに近いピンクやブルー等)であることが好ましい。白インク(下地用のインク)は、酸化チタン等を含んでおり、インク内の材料の沈降及びノズル詰まりが発生しやすい。
【0024】
印刷ヘッド41は、装置の左右方向(X方向)及び前後方向(Y方向)に移動可能となっている。X方向移動モータ45は、印刷ヘッド41をX方向に移動させるX方向移動機構450(図3(a)及び(b)参照)を構成し、Y方向移動モータ47は、印刷ヘッド41をY方向に移動させるY方向移動機構470(図3(a)参照)を構成する。X方向移動モータ45、Y方向移動モータ47は、例えば、ステッピングモータである。
また、印刷機構4は、図示しない位置検出センサ(原点センサやエンコーダセンサ等)を有しており、制御部11は、センサからの出力情報に基づいて印刷ヘッド41の位置を正確に把握しつつ、印刷ヘッド41を適宜X方向、Y方向に移動させる制御を行う。
【0025】
図3(a)に示すように、印刷装置1のY方向における奥側、かつ、X方向における左側には、メンテナンス領域MAが設けられている。
メンテナンス領域MAには、メンテナンス時に印刷ヘッド41から吐出されるインクを受ける廃インクタンク7が設けられている。
【0026】
図4(a)は、印刷ヘッド41がメンテナンス領域MAにある状態の、X方向と直交する切断面における印刷ヘッド41及び廃インクタンク7周辺を模式的に示した側断面図である。図4(b)は、印刷ヘッド41がメンテナンス領域MAにある状態の印刷ヘッド41及び廃インクタンク7周辺を模式的に示した正面図である。
【0027】
印刷ヘッド41は、ヘッド収納部43に対して着脱可能となっており、印刷時には、ヘッド収納部43に収納された状態で使用される。印刷ヘッド41は、ヘッド収納部43に収納された状態で、X方向及びY方向に移動する。
印刷ヘッド41は、インクを貯留するインクタンク42を有する。印刷ヘッド41は、インクタンク42のインクをノズルに供給し、ノズルからインクを吐出する。印刷装置1では、印刷ヘッド41がインクカートリッジの役割を兼ねており、印刷ヘッド41をヘッド収納部43から取り外すことで、インクタンク42を交換可能となっている。
【0028】
廃インクタンク7は、印刷ヘッド41がメンテナンス領域MAにある状態で、印刷ヘッド41のインク吐出面411と対向する位置に開口部を有する。この開口部には、廃インク吸収体71が露出しており、廃インク吸収体71は、印刷ヘッド41が吐出したインクを吸収する。
【0029】
制御部11は、印刷ヘッド41がメンテナンス領域MAにある状態で、印刷ヘッド41のインク吐出面411に形成されているノズルの吐出口(図示せず)からインクを強制的に吐出させる(パージ処理)。これにより、ノズル内等のインク流路内のエアや不純物、粘度の上がったインク等が外部に排出される。廃インクタンク7は、パージ処理の際に、インク吐出面411から強制的に吐出されるインクを受ける。パージ処理により、印刷ヘッド41のノズル内に生じた目詰まり等が解消され、良好な吐出状態に回復させることができる。
【0030】
撮影部5は、カメラ51と、光源52とを備えている(図2図3(b)参照)。
カメラ51は、印刷対象である爪Tや爪Tを含む指Uを撮影して爪画像のデータを生成する。
光源52は、例えば、白色LED等の照明灯である。
【0031】
音量測定部6は、マイク等により構成され、音の音量を測定する。図4(b)に示すように、音量測定部6は、ヘッド収納部43に搭載されている。音量測定部6は、印刷ヘッド41の近傍に設けられているため、印刷ヘッド41によりパージが行われる時には、このパージにより発生する音の音量を測定することになる。
【0032】
通信部25は、ネットワークインターフェース等により構成され、通信ネットワークを介して接続された外部装置との間でデータ通信を行う。
【0033】
印刷装置1に搭載される制御装置10は、図示しないCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを有する制御部11と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等(いずれも図示せず)を有する記憶部12とを備えるコンピュータである。
記憶部12には、制御部11が各種処理を行うための各種プログラムを記憶するプログラム記憶領域121が設けられている。また、記憶部12には、処理を行うのに必要な各種情報が記憶されている。
制御部11が、プログラム記憶領域121に格納された各種プログラムをRAMの作業領域に展開して実行することによって、印刷装置1の各部の動作を統合的に制御する。すなわち、制御部11は、プログラムとの協働により、印刷装置1が印刷処理等を行うための各種機能を実現する。
【0034】
制御部11は、印刷機構4の各部の動作を制御する。具体的には、制御部11は、位置検出センサからの出力に応じて印刷ヘッド41の位置を把握し、X方向移動モータ45、Y方向移動モータ47を動作させて適宜印刷ヘッド41をXY方向に移動させる。また、制御部11は、印刷データに従って印刷ヘッド41を制御し、印刷対象である爪Tに適宜インクを吐出させる。
【0035】
制御部11は、印刷ヘッド41(印刷部)にパージを行わせる。具体的には、制御部11は、X方向移動モータ45、Y方向移動モータ47を動作させて、印刷ヘッド41をメンテナンス領域MAに移動させる。そして、制御部11は、印刷ヘッド41のノズルの吐出口からインクを強制的に吐出させる。
パージを行う時間間隔としては、例えば、1回目のパージと2回目のパージとの間が約1.5秒であり、それ以降の間隔は約2秒程度である。
【0036】
制御部11は、音量測定部6に、パージにより発生する音の音量を測定させる。制御部11は、パージ時に音量測定部6により測定された音量を取得する。印刷ヘッド41には、インクを吐出するノズルが複数あるため、インク吐出音が鳴るノズルと鳴らないノズルがあることで、音の大きさに違いが生じる。
【0037】
制御部11は、あるパージ時に音量測定部6により測定された音量に基づいて、あるパージ以降の印刷ヘッド41によるパージを制御する。「あるパージ以降」とは、「音量測定部6により測定された音量に基づいて」の音量に対応するパージ(複数のパージの音量に基づく場合には、複数のパージの中で最後のパージ)より後の意味である。
【0038】
制御部11は、パージ時に音量測定部6により測定された音量に基づいて、ユーザに報知する内容を決定する。
【0039】
制御部11は、印刷ヘッド41による1回又は複数回のパージ時に音量測定部6により測定された音量(複数回の場合は音量変化を含む。)に基づいて、ノズル又はインクの状態を判断する。例えば、制御部11は、1回又は複数回のパージ時に測定された音量に基づいて、パージを継続することでノズル又はインクの状態が印刷可能な状態まで回復すると判断する。また、制御部11は、1回又は複数回のパージ時に測定された音量に基づいて、パージを継続してもノズル又はインクの状態が回復する見込みはないため、インクタンク42の撹拌又は交換が必要であると判断する。また、制御部11は、1回又は複数回のパージ時に測定された音量に基づいて、ノズル又はインクの状態が印刷可能な状態であると判断する。
【0040】
制御部11は、印刷ヘッド41による1回目のパージ時に音量測定部6により測定された音量が第1の所定値としての所定値A未満である場合に、印刷ヘッド41に2回目以降のパージを行わせない。一方、制御部11は、印刷ヘッド41による1回目のパージ時に音量測定部6により測定された音量が所定値A以上である場合に、印刷ヘッド41に2回目のパージを行わせる。
所定値Aは、1回目のパージ時の音量に基づいて、更なるパージによりノズル又はインクの状態が回復し得るか否かを判断するための閾値である。
【0041】
制御部11は、印刷ヘッド41による1回目のパージ時に音量測定部6により測定された音量が所定値A未満である場合に、インクタンク42の撹拌又は交換を促す報知を行う。
【0042】
制御部11は、印刷ヘッド41による1回目のパージ時に音量測定部6により測定された音量が第2の所定値としての所定値B以上である場合に、印刷ヘッド41に2回目以降のパージを行わせることなく、印刷ヘッド41が印刷可能状態であると判断する。
所定値Bは、パージ時の音量に基づいて、印刷ヘッド41が印刷可能な状態であるか否かを判断するための閾値である。
【0043】
制御部11は、印刷ヘッド41による1回目のパージ時に音量測定部6により測定された音量が所定値B以上である場合に、印刷ヘッド41に2回目以降のパージを行わせることなく、印刷ヘッド41が印刷可能状態である旨の報知を行う。
【0044】
制御部11は、印刷ヘッド41による1回目のパージ時に音量測定部6により測定された音量から、印刷ヘッド41による2回目のパージ時に音量測定部6により測定された音量への変化量が第3の所定値としての所定値C未満である場合に、印刷ヘッド41に3回目以降のパージを行わせない。
所定値Cは、1回目のパージ時の音量から2回目のパージ時の音量への変化量に基づいて、更なるパージによりノズル又はインクの状態が回復し得るか否かを判断するための閾値である。
【0045】
制御部11は、印刷ヘッド41による1回目のパージ時に音量測定部6により測定された音量から、印刷ヘッド41による2回目のパージ時に音量測定部6により測定された音量への変化量が所定値C未満である場合に、インクタンク42の撹拌又は交換を促す報知を行う。
【0046】
1回目のパージは、初期状態のインクの吐出音を検出することを目的とし、2回目以降のパージは、吐出音の変化(回復の度合い)を検出することを目的としている。
【0047】
制御部11は、印刷ヘッド41による1回目のパージにおけるインクの吐出量と、印刷ヘッド41による2回目以降のパージにおけるインクの吐出量と、が異なるように制御する。具体的には、制御部11は、1回目のパージにおけるインクの吐出量よりも、2回目以降のパージにおけるインクの吐出量を多くする。
【0048】
ノズルにインクが詰まった状態で大きい吐出エネルギー(インクの吐出に使われるエネルギー)をかけてパージを試みても、インクは吐出されないため、ノズル近傍が高温状態となる。この高温状態を避けるために、1回目のパージは、2回目以降のパージよりも小さい吐出エネルギーで行う。1回目のパージにおける吐出エネルギー(インク吐出量)を抑えることで、印刷ヘッド41や発熱体が破壊されることを回避している。これに対し、2回目以降のパージは、印刷可能な状態にするためのものであるから、1回目のパージよりも吐出エネルギーを大きくする。なお、2回目以降のパージにおける吐出エネルギーは、一定とする。
【0049】
制御部11は、印刷ヘッド41による複数回のパージ時に音量測定部6によりそれぞれ測定された音量に基づいて、複数回のパージに対応する音量が次第に大きくなっている場合に、待機を促す報知を行う。
【0050】
制御部11は、表示部23の動作を制御する。具体的には、制御部11は、表示部23のディスプレイに表示させる表示データを生成し、表示部23に出力する。例えば、制御部11は、撮影部5により取得された爪画像を表示させるための画像データや、デザイン(ネイルデザイン)等を表示部23に表示させるための表示データ、各種メッセージ画面、案内画面、エラー画面等を表示部23のディスプレイに表示させる表示データ等を生成する。
【0051】
制御部11は、撮影部5のカメラ51及び光源52の動作を制御して、光源52によって爪Tやその周辺を照明させ、カメラ51によって爪画像等を取得させる。
具体的には、印刷処理に先立ち、制御部11は、撮影部5を制御して、ユーザの指Uを撮影させ、撮影により得られた画像データに対して画像処理を行うことにより、爪領域を検出する。制御部11は、印刷データを爪領域の形状及び大きさに合わせておく。そして、制御部11は、印刷機構4を制御して、指配置部3に置かれた指Uの爪領域に相当する領域に対して、印刷ヘッド41でデザインを印刷させる。
【0052】
なお、スマートフォン、タブレット端末等の端末装置を、印刷装置1の操作部22及び表示部23として使用することとしてもよい。この場合、端末装置は、端末装置の通信部を介して印刷装置1との間でデータの送受信を行うことで、印刷装置1から提供された操作画面を端末装置の表示部に表示するとともに、端末装置の操作部から入力された操作指示を印刷装置1に送信する。
【0053】
<印刷装置の動作>
次に、第1の実施形態における動作について説明する。
図5は、印刷装置1において実行される第1の印刷前メンテナンス処理を示すフローチャートである。第1の印刷前メンテナンス処理は、印刷装置1の操作部22において電源スイッチ釦が押下された場合や、印刷装置1が所定時間以上使用されなかった場合等に、行われる。
【0054】
まず、制御部11は、初期画面を表示部23に表示させる(ステップS1)。
図6(a)に、表示部23に表示される初期画面231の例を示す。初期画面231には、印刷準備中であること、及び、待機を促すメッセージが含まれる。
【0055】
ここで、iの初期値を1に設定する(ステップS2)。
制御部11は、印刷ヘッド41にi回目のパージを行わせる(ステップS3)。具体的は、制御部11は、X方向移動モータ45、Y方向移動モータ47を動作させて、印刷ヘッド41をメンテナンス領域MAに移動させる。そして、制御部11は、印刷ヘッド41のインク吐出面411に形成されているノズルの吐出口からインクを吐出させる。
また、制御部11は、音量測定部6にi回目のパージにより発生する音の音量を測定させ、i回目のパージ時に測定された音量を音量測定部6から取得する(ステップS4)。制御部11は、取得した音量を記憶部12に記憶させる。
【0056】
次に、制御部11は、i回目のパージ時の音量が所定値A未満であるか否かを判断する(ステップS5)。
i回目のパージ時の音量が所定値A未満である場合には(ステップS5;YES)、制御部11は、パージ動作を終了する(ステップS6)。すなわち、制御部11は、印刷ヘッド41にそれ以降のパージを行わせない。ここで、制御部11は、パージを継続してもノズル又はインクの状態が回復する見込みはないと判断している。
【0057】
そして、制御部11は、インクを吐出できないこと、及び、インクタンク42の撹拌を促す指示を表示部23に表示させる(ステップS7)。
図6(b)に、表示部23に表示される撹拌指示画面232の例を示す。撹拌指示画面232には、インクを吐出できない状態であること、及び、カートリッジ(印刷ヘッド41)を24時間以上撹拌することを促すメッセージが含まれる。
【0058】
ステップS5において、i回目のパージ時の音量が所定値A以上である場合には(ステップS5;NO)、制御部11は、i回目のパージ時の音量が所定値B以上であるか否かを判断する(ステップS8)。
i回目のパージ時の音量が所定値B以上である場合には(ステップS8;YES)、制御部11は、印刷準備が完了し、印刷ヘッド41が印刷可能状態であることを表示部23に表示させる(ステップS9)。ここで、制御部11は、ノズル又はインクの状態(印刷ヘッド41)が印刷可能な状態であると判断している。
図6(c)に、表示部23に表示される印刷準備完了画面233の例を示す。印刷準備完了画面233には、印刷準備が完了し、印刷可能であることを報知するメッセージが含まれる。
【0059】
その後、制御部11は、印刷動作へと移行する(ステップS10)。制御部11は、X方向移動モータ45、Y方向移動モータ47を動作させて、印刷ヘッド41をメンテナンス領域MAから印刷待機位置に移動させる。
【0060】
ステップS8において、i回目のパージ時の音量が所定値B未満である場合には(ステップS8;NO)、制御部11は、状態確認中であることを表示部23に表示させる(ステップS11)。ここで、制御部11は、ノズル又はインクの状態を確認又は改善するためには、更なるパージが必要であると判断している。
図6(d)に、表示部23に表示される状態確認中画面234の例を示す。状態確認中画面234には、インクの状態を確認中であること、及び、待機を促すメッセージが含まれる。
【0061】
次に、制御部11は、iの値に1を加える(ステップS12)。
次に、制御部11は、ステップS3における1回目のパージ時より大きい吐出エネルギーで、印刷ヘッド41にi回目のパージを行わせる(ステップS13)。2回目以降のパージにおいては、印刷ヘッド41が既にメンテナンス領域MAにあるため、印刷ヘッド41の移動はない。制御部11は、印刷ヘッド41のインク吐出面411に形成されているノズルの吐出口からインクを吐出させる。
また、制御部11は、音量測定部6にi回目のパージにより発生する音の音量を測定させ、i回目のパージ時に測定された音量を音量測定部6から取得する(ステップS14)。制御部11は、取得した音量を記憶部12に記憶させる。
【0062】
次に、制御部11は、i回目のパージ時の音量が所定値B以上であるか否かを判断する(ステップS15)。
i回目のパージ時の音量が所定値B以上である場合には(ステップS15;YES)、ステップS9に移行する。
【0063】
ステップS15において、i回目のパージ時の音量が所定値B未満である場合には(ステップS15;NO)、制御部11は、iがパージ回数の上限値(例えば、4回等)であるか否かを判断する(ステップS16)。パージ回数の上限値は、予め定められており、記憶部12に記憶されている。
【0064】
iがパージ回数の上限値でない場合には(ステップS16;NO)、制御部11は、(i-1)回目のパージ時の音量と、i回目のパージ時の音量と、に基づいて、前回の音量から今回の音量への変化量を算出する(ステップS17)。
次に、制御部11は、前回の音量から今回の音量への変化量が所定値C以上であるか否かを判断する(ステップS18)。
【0065】
前回の音量から今回の音量への変化量が所定値C以上である場合には(ステップS18;YES)、処理はステップS11に戻り、制御部11は、ステップS11以降の処理を繰り返し実行する。
ステップS11では、図6(d)に示す状態確認中画面234のように、インクの状態を確認中であること、及び、待機を促すメッセージが表示される。つまり、前回の音量から今回の音量への変化量が所定値C以上であり続ける間は、待機を促す内容の状態確認中画面234が表示されることになる。
【0066】
ステップS18において、前回の音量から今回の音量への変化量が所定値C未満である場合には(ステップS18;NO)、制御部11は、パージ動作を終了する(ステップS19)。すなわち、制御部11は、印刷ヘッド41にそれ以降のパージを行わせない。ここで、制御部11は、パージを継続してもノズル又はインクの状態が回復する見込みはないと判断している。
【0067】
そして、制御部11は、インクの吐出が困難であること、及び、インクタンク42の撹拌を促す指示を表示部23に表示させる(ステップS20)。
図6(e)に、表示部23に表示される撹拌指示画面235の例を示す。撹拌指示画面235には、インクを吐出しにくい状態であること、及び、カートリッジを8時間以上撹拌することを促すメッセージが含まれる。撹拌指示画面235では、図6(b)の撹拌指示画面232と比較して、撹拌時間が短くなっている。つまり、撹拌指示画面235が表示される状態は、撹拌指示画面232が表示される状態より、インクの状態が良い(回復しやすい)と考えられる。
【0068】
ステップS16において、iがパージ回数の上限値である場合には(ステップS16;YES)、ステップS19に移行する。つまり、上限値の回数までパージを繰り返しても、パージ時の音量が所定値B以上にならない場合には、制御部11は、ノズル又はインクの状態が回復する見込みはなく、印刷に適していないと判断する。
ステップS7、ステップS10又はステップS20の後、第1の印刷前メンテナンス処理が終了する。
【0069】
なお、ステップS7又はステップS20の処理に代えて、インクタンク42(印刷ヘッド41)の交換を促す指示や、印刷に支障が出る状態である旨の警告を表示部23に表示させることとしてもよい。
【0070】
ここで、図7を参照して、複数のインク状態におけるパージ時の音量変化の具体例について説明する。図7は、各インク状態について、パージ回数に対して、各パージ時に測定された音量を示した図である。なお、図7では、パージ時における吐出エネルギーの大きさを、矢印の太さで示している。具体的には、2回目以降のパージに対応する矢印(吐出エネルギー)が、1回目のパージに対応する矢印よりも太く描かれている。
【0071】
状態例ST1は、1回目のパージ時のインク吐出音が略ゼロ(又はとても小さい音)である場合の例である。状態例ST1は、インクが詰まりすぎて、インクを吐出できない状態である。この状態では、これ以上パージを繰り返しても、インクを吐出できる状態になることはない(回復不可能状態)。よって、インクタンク42の撹拌が必要であり、ユーザに撹拌を実施するように促す必要がある。
状態例ST1では、1回目のパージ時に測定された音量V11が所定値A未満であるため、制御部11は、2回目以降のパージは行わせず、ユーザにインクタンク42の撹拌を実施するように促す。
【0072】
図8に、撹拌動作のイメージを示す。
ユーザは、印刷装置1から印刷ヘッド41(カートリッジ)を取り外し、この印刷ヘッド41を印刷装置1とは別体の撹拌装置8にセットし、印刷ヘッド41の撹拌を指示する。撹拌装置8は、印刷ヘッド41を回転させることで、印刷ヘッド41の内部のインクタンク42を撹拌する。
【0073】
状態例ST2は、1回目のパージ時のインク吐出音が十分大きい場合の例である。状態例ST2では、1回目のパージ時から印刷可能な状態となっているため、これ以上パージを実施する必要はない。したがって、一律に所定回数のパージを行っていた従来のメンテナンスよりも少ないインク消費量で、印刷動作に進むことができる。
状態例ST2では、1回目のパージ時に測定された音量V21が所定値B以上であるため、制御部11は、ここでパージを終了させ、印刷を実施する。
【0074】
次に、状態例ST3,ST4,ST5として、1回目のパージ時に測定された音量が所定値A以上、かつ、所定値B未満である場合について説明する。この場合、制御部11は、2回目のパージでは、1回目のパージ時より吐出エネルギー(インク吐出量)を大きくする。その結果、2回目のパージにおけるインクの吐出量は、1回目のパージにおけるインクの吐出量より多くなる。そして、制御部11は、パージにより発生する音の音量が所定値Bに達するまで(印刷可能な状態になるまで)、2回目のパージ時と同じ吐出エネルギーでパージを繰り返す。
【0075】
状態例ST3は、1回目のパージ時のインク吐出音が極端に小さい場合(ただし、所定値A以上)の例である。状態例ST3は、インクがかなり詰まっている状態であり、正常な印刷ができる状態ではない。
状態例ST3では、1回目のパージ時に測定された音量V31が所定値A以上であるため、制御部11は、2回目のパージを行わせ、2回目のパージ時に測定された音量V32を取得する。ここで、1回目のパージ時の音量V31から2回目のパージ時の音量V32への変化量、すなわち、(V32-V31)が所定値C未満であることとする。この場合、これ以上パージを繰り返しても、インクを吐出できる状態になる見込みはない。よって、制御部11は、3回目以降のパージは行わせず、ユーザにインクタンク42の撹拌を実施するように促す。
【0076】
状態例ST4では、1回目のパージ時に測定された音量V41が所定値A以上であるため、制御部11は、2回目のパージを行わせ、2回目のパージ時に測定された音量V42を取得する。ここで、1回目のパージ時の音量V41から2回目のパージ時の音量V42への変化量、すなわち、(V42-V41)が所定値C以上であることとする。
1回目のパージ時の吐出音と2回目のパージ時の吐出音との間である程度の変化がある場合(音量の変化量が所定値C以上)には、インクがやや詰まっている状態であるが、パージを繰り返すことで印刷が可能となると推測できる。
【0077】
(V42-V41)が所定値C以上であるため、制御部11は、3回目のパージを行わせ、3回目のパージ時に測定された音量V43を取得する。ここで、2回目のパージ時の音量V42から3回目のパージ時の音量V43への変化量、すなわち、(V43-V42)が所定値C以上であることとする。
【0078】
(V43-V42)が所定値C以上であるため、制御部11は、4回目のパージを行わせ、4回目のパージ時に測定された音量V44を取得する。4回目のパージ時に測定された音量V44が所定値B以上であるため、制御部11は、ここでパージを終了させ、印刷を実施する。
【0079】
状態例ST5では、状態例ST4とは、パージ時に測定された音量やその変化量が異なるが、3回目のパージ及び音量測定までの制御については、状態例ST4と同様である。
状態例ST5では、3回目のパージ時に測定された音量V53が所定値B以上であるため、制御部11は、ここでパージを終了させ、印刷を実施する。
【0080】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、印刷装置1の制御部11は、パージ時に音量測定部6により測定された音量に基づいて、ユーザに報知する内容を決定するので、インクの状態に応じた報知内容を提供することができる。
例えば、パージ時の音量から判断されるノズル又はインクの状態に応じて、報知内容を変えるので、現在の状態やパージ動作の進み具合等をユーザに報知することができる。
【0081】
例えば、制御部11は、1回目のパージ時に測定された音量が所定値A未満である場合、すなわち、パージを継続してもインクの状態が回復する見込みがない場合には、インクタンク42の撹拌又は交換を促す報知を行うことができる。これにより、正常な印刷動作を行うことが難しい状態であることをユーザに伝え、解決方法を提示することができる。
【0082】
また、制御部11は、1回目のパージ時に測定された音量が所定値B以上である場合、すなわち、既に良好なインクの状態となっている場合には、印刷ヘッド41に2回目以降のパージを行わせることなく、印刷ヘッド41が印刷可能状態である旨の報知を行うことができる。
【0083】
また、制御部11は、1回目のパージ時に測定された音量から2回目のパージ時に測定された音量への変化量が所定値C未満である場合、すなわち、パージを継続してもインクの状態が回復する見込みがない場合には、インクタンク42の撹拌又は交換を促す報知を行うことができる。これにより、正常な印刷動作を行うことが難しい状態であることをユーザに伝え、解決方法を提示することができる。
【0084】
また、制御部11は、複数回のパージ時にそれぞれ測定された音量に基づいて、複数回のパージに対応する音量が次第に大きくなっている場合に、待機を促す報知を行うことができる。これにより、順調にインクの状態が回復しつつある場合に、ユーザを待機させることができる。
なお、第1の印刷前メンテナンス処理では、「前回の音量から今回の音量への変化量が所定値C以上である場合」を、「複数回のパージに対応する音量が次第に大きくなっている場合」の一例としたが、複数回のパージに対応する音量が次第に大きくなっているか否かの判断は、所定値Cを用いる場合に限定されない。例えば、今回の音量が前回の音量より大きい状況が続いている場合に、音量が次第に大きくなっていると判断してもよい。
【0085】
[第2の実施形態]
次に、本発明を適用した第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態における印刷装置は、第1の実施形態に示した印刷装置1と同様の構成であるため、図1図4を援用し、説明を省略する。以下、第2の実施形態に特徴的な構成及び処理について説明する。
【0086】
印刷装置1の制御部11は、印刷ヘッド41による1回目のパージ時に音量測定部6により測定された音量から、印刷ヘッド41による2回目のパージ時に音量測定部6により測定された音量への変化量に基づいて、印刷ヘッド41が印刷可能状態となるために必要なパージの回数を推定し、当該推定されたパージの回数を報知する。
【0087】
次に、第2の実施形態における動作について説明する。
図9及び図10は、印刷装置1において実行される第2の印刷前メンテナンス処理を示すフローチャートである。第2の印刷前メンテナンス処理は、印刷装置1の操作部22において電源スイッチ釦が押下された場合や、印刷装置1が所定時間以上使用されなかった場合等に、行われる。
【0088】
まず、制御部11は、初期画面を表示部23に表示させる(ステップS21)。例えば、制御部11は、図6(a)に示した初期画面231を表示させる。
【0089】
次に、制御部11は、印刷ヘッド41に1回目のパージを行わせる(ステップS22)。
また、制御部11は、音量測定部6に1回目のパージにより発生する音の音量を測定させ、1回目のパージ時に測定された音量を音量測定部6から取得する(ステップS23)。制御部11は、取得した音量を記憶部12に記憶させる。
【0090】
次に、制御部11は、1回目のパージ時の音量が所定値A未満であるか否かを判断する(ステップS24)。
1回目のパージ時の音量が所定値A未満である場合には(ステップS24;YES)、制御部11は、パージ動作を終了する(ステップS25)。すなわち、制御部11は、印刷ヘッド41にそれ以降のパージを行わせない。
そして、制御部11は、インクを吐出できないこと、及び、インクタンク42の撹拌を促す指示を表示部23に表示させる(ステップS26)。例えば、制御部11は、図6(b)に示した撹拌指示画面232を表示させる。
【0091】
ステップS24において、1回目のパージ時の音量が所定値A以上である場合には(ステップS24;NO)、制御部11は、1回目のパージ時の音量が所定値B以上であるか否かを判断する(ステップS27)。
1回目のパージ時の音量が所定値B以上である場合には(ステップS27;YES)、制御部11は、印刷準備が完了し、印刷ヘッド41が印刷可能状態であることを表示部23に表示させる(ステップS28)。例えば、制御部11は、図6(c)に示した印刷準備完了画面233を表示させる。
その後、制御部11は、印刷動作へと移行する(ステップS29)。
【0092】
ステップS27において、1回目のパージ時の音量が所定値B未満である場合には(ステップS27;NO)、制御部11は、状態確認中であることを表示部23に表示させる(ステップS30)。例えば、制御部11は、図6(d)に示した状態確認中画面234を表示させる。
【0093】
次に、制御部11は、1回目のパージ時より大きい吐出エネルギーで、印刷ヘッド41に2回目のパージを行わせる(ステップS31)。
また、制御部11は、音量測定部6に2回目のパージにより発生する音の音量を測定させ、2回目のパージ時に測定された音量を音量測定部6から取得する(ステップS32)。制御部11は、取得した音量を記憶部12に記憶させる。
【0094】
次に、制御部11は、2回目のパージ時の音量が所定値B以上であるか否かを判断する(ステップS33)。
2回目のパージ時の音量が所定値B以上である場合には(ステップS33;YES)、ステップS28に移行する。
【0095】
ステップS33において、2回目のパージ時の音量が所定値B未満である場合には(ステップS33;NO)、制御部11は、1回目のパージ時の音量と、2回目のパージ時の音量と、に基づいて、1回目のパージ時の音量から2回目のパージ時の音量への変化量を算出する(ステップS34)。
次に、制御部11は、1回目のパージ時の音量から2回目のパージ時の音量への変化量が所定値C以上であるか否かを判断する(ステップS35)。
【0096】
1回目のパージ時の音量から2回目のパージ時の音量への変化量が所定値C未満である場合には(ステップS35;NO)、制御部11は、パージ動作を終了する(ステップS36)。すなわち、制御部11は、印刷ヘッド41にそれ以降のパージを行わせない。
そして、制御部11は、インクの吐出が困難であること、及び、インクタンク42の撹拌を促す指示を表示部23に表示させる(ステップS37)。例えば、制御部11は、図6(e)に示した撹拌指示画面235を表示させる。
【0097】
ステップS35において、1回目のパージ時の音量から2回目のパージ時の音量への変化量が所定値C以上である場合には(ステップS35;YES)、図10に移る。
制御部11は、1回目のパージ時の音量から2回目のパージ時の音量への変化量に基づいて、追加のパージ回数jを算出する(ステップS38)。
【0098】
ここで、図11を参照して、追加のパージ回数の算出方法(推定方法)について説明する。
1回目のパージ時に測定された音量V61が所定値A以上、かつ、所定値B未満であったため、制御部11は、1回目のパージ時よりも大きい吐出エネルギーで2回目のパージを行わせ、2回目のパージ時に測定された音量V62を取得した。
【0099】
制御部11は、1回目のパージ時の音量V61から2回目のパージ時の音量V62への変化量ΔV、すなわち、(V62-V61)の値に基づいて、パージ時の音量が所定値B以上となるために必要なパージの回数を算出する。
【0100】
制御部11は、3回目のパージにおいても、1回目から2回目と同様の変化量ΔVでパージ時の音量が増加すると仮定して、3回目のパージ時の音量V63を予測する。
V63=V62+ΔV
音量V63が所定値B以上となる場合には、制御部11は、追加のパージ回数は「1回」と推定する。
【0101】
音量V63が所定値B未満である場合には、制御部11は、4回目のパージにおいても、1回目から2回目と同様の変化量ΔVでパージ時の音量が増加すると仮定して、4回目のパージ時の音量V64を予測する。
V64=V63+ΔV
音量V64が所定値B以上となる場合には、制御部11は、追加のパージ回数は「2回」と推定する。
制御部11は、以下、同様の処理を繰り返すことで、追加のパージ回数を算出する。
【0102】
ステップS38の後、制御部11は、残りのパージ回数jを表示部23に表示させる(ステップS39)。
図12に、表示部23に表示される残パージ回数表示画面236の例を示す。残パージ回数表示画面236には、パージが終了するまでの残りのパージ回数(図12の例では2回)、及び、待機を促すメッセージが含まれる。ここでは、残りのパージ回数jを表示させているが、残りのパージ回数jを時間に換算した残り時間を表示させてもよい。
【0103】
次に、制御部11は、2回目のパージ時と同じ吐出エネルギーで、印刷ヘッド41にパージを行わせる(ステップS40)。
ここで、制御部11は、jの値から1を引く(ステップS41)。
【0104】
次に、制御部11は、jの値が0であるか否かを判断する(ステップS42)。すなわち、制御部11は、ステップS38で算出された追加のパージ回数分、パージが終了したか否かを判断する。
jの値が0でない場合には(ステップS42;NO)、処理はステップS39に戻り、制御部11は、ステップS39以降の処理を繰り返し実行する。ステップS39では、処理が繰り返される度に、表示される残りのパージ回数の数値が減っていく。
【0105】
ステップS42において、jの値が0である場合には(ステップS42;YES)、図9のステップS28に移行する。
ステップS26、ステップS29又はステップS37の後、第2の印刷前メンテナンス処理が終了する。
【0106】
なお、ステップS26又はステップS37の処理に代えて、インクタンク42(印刷ヘッド41)の交換を促す指示や、印刷に支障が出る状態である旨の警告を表示部23に表示させることとしてもよい。
【0107】
以上説明したように、第2の実施形態によれば、印刷装置1の制御部11は、パージ時に音量測定部6により測定された音量に基づいて、ユーザに報知する内容を決定するので、インクの状態に応じた報知内容を提供することができる。
【0108】
例えば、制御部11は、1回目のパージ時に測定された音量が所定値A未満である場合、すなわち、パージを継続してもインクの状態が回復する見込みがない場合には、インクタンク42の撹拌又は交換を促す報知を行うことができる。これにより、正常な印刷動作を行うことが難しい状態であることをユーザに伝え、解決方法を提示することができる。
【0109】
また、制御部11は、1回目のパージ時に測定された音量が所定値B以上である場合、すなわち、既に良好なインクの状態となっている場合には、印刷ヘッド41に2回目以降のパージを行わせることなく、印刷ヘッド41が印刷可能状態である旨の報知を行うことができる。
【0110】
また、制御部11は、1回目のパージ時に測定された音量から2回目のパージ時に測定された音量への変化量が所定値C未満である場合、すなわち、パージを継続してもインクの状態が回復する見込みがない場合には、インクタンク42の撹拌又は交換を促す報知を行うことができる。これにより、正常な印刷動作を行うことが難しい状態であることをユーザに伝え、解決方法を提示することができる。
【0111】
また、制御部11は、1回目のパージ時に測定された音量と、2回目のパージ時に測定された音量と、に基づいて、印刷ヘッド41が印刷可能状態となるために必要なパージの回数を推定し、当該推定されたパージの回数を報知することができる。また、制御部11は、印刷ヘッド41に、推定された回数分のパージを行わせつつ、残りのパージの回数を報知することができる。
【0112】
[変形例]
変形例では、印刷装置が、装置内部に撹拌機構を有している場合について説明する。なお、上記各実施形態と異なる部分を中心に説明する。
図13は、変形例における印刷装置1Aの概略構成を示す模式図である。
印刷装置1Aは、印刷領域1Bと、撹拌領域1Cと、を備える。
印刷装置1Aの撹拌領域1Cを除く部分は、第1の実施形態に示した印刷装置1と同様の構成あるため、図1図4を援用し、説明を省略する。
撹拌領域1Cは、印刷ヘッド41(カートリッジ)を撹拌する撹拌機構(図示せず)を備える。
【0113】
印刷装置1Aにおいても、第1の印刷前メンテナンス処理(図5参照)、第2の印刷前メンテナンス処理(図9及び図10参照)と同様の処理が行われる。
ここでは、第1の印刷前メンテナンス処理を実施する場合を例にして説明する。
【0114】
図14(a)に、第1の印刷前メンテナンス処理のステップS7において、表示部23に表示される撹拌指示画面237の例を示す。撹拌指示画面237は、1回目のパージ時の音量が所定値A未満である場合に、表示される画面である。撹拌指示画面237には、インクを吐出できない状態であること、及び、カートリッジ(印刷ヘッド41)を撹拌領域1Cのホルダーにセットすることを促すメッセージが含まれる。
【0115】
図14(b)に、第1の印刷前メンテナンス処理のステップS20において、表示部23に表示される撹拌指示画面238の例を示す。撹拌指示画面238は、前回の音量から今回の音量への変化量が所定値C未満である場合、又は、パージ回数の上限値に達した場合に、表示される画面である。撹拌指示画面238には、インクを吐出しにくい状態であること、及び、カートリッジを撹拌領域1Cのホルダーにセットすることを促すメッセージが含まれる。
【0116】
ユーザは、撹拌指示画面237又は撹拌指示画面238を見ることで、印刷ヘッド41に撹拌が必要であることを認識する。ユーザは、印刷領域1Bのヘッド収納部43から印刷ヘッド41(カートリッジ)を取り外し、この印刷ヘッド41を撹拌領域1Cのホルダーにセットする。印刷装置1Aの制御部11は、撹拌領域1Cの撹拌機構を制御して、印刷ヘッド41を回転させることで、印刷ヘッド41の内部のインクタンク42を撹拌する。
なお、第1の印刷前メンテナンス処理のステップS1、ステップS9、ステップS11において表示される画面は、第1の実施形態と同様である。
【0117】
印刷装置1Aの制御部11は、撹拌領域1Cにおける所定時間の撹拌動作が終了すると、撹拌が終了したことを表示部23に表示させる。
図14(c)に、表示部23に表示される撹拌終了画面239の例を示す。撹拌終了画面239には、撹拌が終了し、印刷可能な状態となったこと、及び、カートリッジを印刷領域1Bのヘッド収納部43にセットすることを促すメッセージが含まれる。
【0118】
ユーザは、撹拌終了画面239を見ることで、印刷ヘッド41が印刷可能な状態となったことを認識する。ユーザは、撹拌領域1Cのホルダーから印刷ヘッド41(カートリッジ)を取り外し、この印刷ヘッド41を印刷領域1Bのヘッド収納部43に取り付ける。
【0119】
変形例では、印刷装置1A内に設けられた撹拌領域1Cにて、印刷ヘッド41(カートリッジ)の撹拌を行うことができる。また、変形例によれば、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様、インクの状態に応じた報知内容を提供することができる。
【0120】
なお、上記各実施形態及び変形例における記述は、本発明に係る印刷装置、制御方法及びプログラムの例であり、これに限定されるものではない。装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0121】
例えば、上記各実施形態及び変形例では、印刷装置1(印刷装置1A)として、ネイルプリンタを例にして説明したが、これに限定されない。印刷対象は、用紙、布帛、樹脂フィルム等であってもよい。
【0122】
また、上記各実施形態及び変形例では、音量測定部6がヘッド収納部43に搭載されていることとしたが、音量測定部6は、パージにより発生する音の音量を測定できればよいため、パージが行われる時に、印刷ヘッド41の近傍となる位置にあればよい。例えば、音量測定部6がメンテナンス領域MAの近傍に固定されていてもよい。
【0123】
また、上記各実施形態及び変形例では、2回目以降のパージにおける吐出エネルギーが一定である場合について説明したが、印刷装置1(印刷装置1A)の制御部11は、3回目のパージを2回目のパージよりも大きい吐出エネルギーで行い、4回目のパージを3回目のパージよりも大きい吐出エネルギーで行う等、徐々に吐出エネルギーを増加させてもよい。パージ時のインク吐出量を徐々に増加させることで、ノズル詰まりの解消が見込める。
【0124】
また、上記各実施形態及び変形例では、印刷ヘッド41の内部にインクタンク42が備えられていることとしたが、インクタンク42が印刷ヘッド41の外部に設けられ、インクタンク42から流路を介して印刷ヘッド41にインクが供給される構成でもよい。この場合、インクタンク42が、印刷装置内の所定の取付領域に対して着脱可能となっている。パージ時に測定された音量から、インクの状態が悪化したと判断される場合には、インクタンク42を取り外して撹拌すればよい。
【0125】
また、上記各実施形態及び変形例では、ユーザに報知する内容を、表示部23に表示する場合について説明したが、ユーザへの報知方法は、画面表示に限定されない。例えば、LED等の点灯、音声出力、ブザー音等により、インクタンク42の撹拌を促す報知、印刷可能状態である旨の報知等を行ってもよい。また、変形例においては、LED等の点灯、音声出力、ブザー音等により、撹拌領域1Cにおけるインクタンク42の撹拌が終了した旨の報知を行ってもよい。
【符号の説明】
【0126】
1 印刷装置
1A 印刷装置
4 印刷機構
6 音量測定部
7 廃インクタンク
10 制御装置
11 制御部
12 記憶部
22 操作部
23 表示部
41 印刷ヘッド
42 インクタンク
43 ヘッド収納部
231 初期画面
232 撹拌指示画面
233 印刷準備完了画面
234 状態確認中画面
235 撹拌指示画面
236 残パージ回数表示画面
237 撹拌指示画面
238 撹拌指示画面
239 撹拌終了画面
411 インク吐出面
MA メンテナンス領域
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