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  • 特開-燃焼装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102469
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23C 99/00 20060101AFI20240724BHJP
   F23C 6/04 20060101ALI20240724BHJP
   F23D 1/00 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
F23C99/00 308
F23C6/04 306
F23D1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006364
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】512112242
【氏名又は名称】西山 清
(72)【発明者】
【氏名】西山 清
【テーマコード(参考)】
3K065
3K091
【Fターム(参考)】
3K065TA12
3K065TC03
3K065TD01
3K065TD05
3K065TD06
3K065TF04
3K091BB05
3K091CC06
3K091CC12
3K091CC23
3K091FB16
3K091FB34
(57)【要約】
【課題】微細形状の有機物を長時間に亘って少しずつ燃焼させることを可能とする。
【解決手段】微細有機物101を燃焼可能に構成され、微細有機物101と木材102とを混合した混合物100を収容可能でかつ収容された混合物100を微細有機物101で覆った状態を維持可能に構成された本体部11と、本体部11に収容された混合物100に水素ガスを供給する水素ガス供給部12とを備え、水素ガス雰囲気下において混合物100を燃焼させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細形状の有機物を燃焼させる燃焼装置であって、
前記微細形状の有機物と木材とを混合した混合物を収容可能でかつ収容された当該混合物を前記微細形状の有機物で覆った状態を維持可能に構成された本体部と、当該本体部に収容された前記混合物に水素ガスを供給する水素ガス供給部とを備え、水素ガス雰囲気下において前記混合物を燃焼させる燃焼装置。
【請求項2】
前記水素ガス供給部は、前記本体部内に配置される電気分解用の電極と、当該電極に電力を供給する電源部と、前記電極の周囲に水を供給する水供給装置とを備えて水素ガスを供給可能に構成されている請求項1記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記水素ガス供給部は、前記本体部の外部に配設された水素ガスを発生させる水素ガス発生装置と、当該水素ガス発生装置から発生した水素ガスを前記本体部内に供給するための供給管とを備えて構成されている請求項1記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記水素ガス供給部は、前記水素ガス発生装置から発生した水素ガスの流量を制御する制御部を備えている請求項3記載の燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細形状の有機物を燃焼させる燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の燃焼装置として、下記特許文献1に開示された燃焼装置が知られている。この燃焼装置は、燃料を混入した燃焼用空気を燃焼室に吹き込んでサイクロン燃焼させる燃焼部等を備え、もみ殻等の微細形状の有機物を効率良く燃焼させることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-185631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上述した従来の燃焼装置を使用した燃焼方法には、解決すべき以下の課題がある。具体的には、従来の燃焼装置は、微細形状の有機物を効率良く燃焼させることができるものの、少量の有機物を長時間に亘って少しずつ燃焼させるのが困難である。また、従来の燃焼装置は、構成が複雑で小型化が困難である。このため、従来の燃焼装置には、家庭用の暖房器具としての用途には不向きであるという課題が存在し、微細形状の有機物を長時間に亘って少しずつ燃焼させる機能を有した燃焼装置の開発が望まれている。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、簡易な構成でありながら、微細形状の有機物を長時間に亘って少しずつ燃焼させることが可能な燃焼装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく請求項1記載の燃焼装置は、微細形状の有機物を燃焼させる燃焼装置であって、前記微細形状の有機物と木材とを混合した混合物を収容可能でかつ収容された当該混合物を前記微細形状の有機物で覆った状態を維持可能に構成された本体部と、当該本体部に収容された前記混合物に水素ガスを供給する水素ガス供給部とを備え、水素ガス雰囲気下において前記混合物を燃焼させる。
【0007】
また、請求項2記載の燃焼装置は、請求項1記載の燃焼装置において、前記水素ガス供給部は、前記本体部内に配置される電気分解用の電極と、当該電極に電力を供給する電源部と、前記電極の周囲に水を供給する水供給装置とを備えて水素ガスを供給可能に構成されている。
【0008】
また、請求項3記載の燃焼装置は、請求項1記載の燃焼装置において、前記水素ガス供給部は、前記本体部の外部に配設された水素ガスを発生させる水素ガス発生装置と、当該水素ガス発生装置から発生した水素ガスを前記本体部内に供給するための供給管とを備えて構成されている。
【0009】
また、請求項4記載の燃焼装置は、請求項3記載の燃焼装置において、前記水素ガス供給部は、前記水素ガス発生装置から発生した水素ガスの流量を制御する制御部を備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る燃焼装置によれば、本体部と水素ガス発生装置とを備えたことにより、微細形状の有機物と木材とを混合した混合物を本体部に収容してその混合物を微細形状の有機物で覆って混合物に着火した状態で混合物に水素ガスを少量ずつ供給して水素ガス雰囲気下において混合物を燃焼させることで、混合物を覆う微細形状の有機物によって強燃焼が妨げられた状態を長時間継続させることができる。このため、この燃焼装置によれば、微細形状の有機物を長時間に亘って少しずつ燃焼させることができる。
【0011】
また、本発明に係る燃焼装置によれば、本体部内に配置される電気分解用の電極と電極に電力を供給する電源部と電極の周囲に水を供給する水供給装置とを備えて水素ガス供給部を構成したことにより、簡易な構成で水素ガスを発生させて供給することができるため、燃焼装置を十分に小型化することができる。
【0012】
また、本発明に係る燃焼装置によれば、水素ガス発生装置と水素ガスを供給する供給管とを備えて水素ガス供給部を構成したことにより、本体部に収容した混合物に水素ガスを効率的に供給することができるため、燃焼を安定的に継続させることができる。
【0013】
また、本発明に係る燃焼装置によれば、水素ガス発生装置から発生した水素の流量を制御する制御部を備えたことにより、混合物への水素の供給量を制御することができるため、燃焼時間を容易に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】燃焼装置1の構成を示す構成図である。
図2】燃焼装置1の使用手順を説明する第1の説明図である。
図3】燃焼装置1の使用手順を説明する第2の説明図である。
図4】燃焼装置1の他の構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る燃焼装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0016】
最初に、図1に示す燃焼装置1の構成について説明する。燃焼装置1は本発明に係る燃焼装置の一例であって、例えばもみ殻等の微細形状の有機物(以下、「微細有機物101」ともいう)を水素ガス雰囲気中で燃焼させることで微細有機物101を長時間に亘って徐々に燃焼させること(漸進的な燃焼)が可能に構成されている。具体的には、燃焼装置1は、同図に示すように、本体部11および水素ガス供給部12を備えて構成されている。
【0017】
本体部11は、図1に示すように、耐火性材料で形成された収容部21、鍔部22および脚部23を備えて構成されている。この場合、耐火性材料としては、鉄、ステンレス等の金属、自然石、コンクリート、レンガ等を用いることができる。また、2種以上の材料を用いることもできる。例えば、樹脂の内側に金属を張り付けた複合材料等を用いることもできる。
【0018】
収容部21は、図1示すように、微細有機物101と木材102とを混合した混合物100を収容可能に構成されている。鍔部22は、同図に示すように、収容部21の縁部に設けられており、収容部21に収容された混合物100を微細有機物101で覆った状態を維持可能に構成されている。
【0019】
水素ガス供給部12は、電極31a,31b、電源部32および水供給装置33を備えて構成されている。電極31a,31bは、例えば炭素で平板状に形成されて、本体部11の収容部21内に配置される。電源部32は、電極31a,31bに電力を供給する。水供給装置33は、水を圧送するポンプ33aと、収容部21内に配置されてポンプから圧送された水を電極31a,31bの周囲に供給する有孔管33bで構成されている。
【0020】
次に、燃焼装置1の使用方法について、図面を参照して説明する。
【0021】
まず、図2に示すように、燃焼装置1における本体部11の収容部21に電極31a,31bを配置する。次いで、収容部21に微細有機物101(例えば、もみ殻)および木材102を混合しつつ投入(収容)する。
【0022】
続いて、収容部21に収用した微細有機物101と木材102との混合物100にマッチ、ライター、トーチ当を用いて着火する。着火が確認できたら、次いで、図3に示すように、収容部21に収用した混合物100を覆うように、収容部21の上方から鍔部22に微細有機物101を載置する。
【0023】
次いで、水素ガス供給部12の電源部32および水供給装置33を作動させる。この際に、水供給装置33のポンプ33aによって圧送された水が有孔管33bよって電極31a,31bの周囲に供給されて電極31a,31bの周囲の混合物100に浸透する。また、電源部32によって電極31a,31bに電力が供給されることにより、電極31a,31bの周囲の水が電気分解されて水素ガスが発生し混合物100に供給される。
【0024】
ここで、収容部21内の混合物100を覆っている微細有機物101によって混合物100に対する空気の流入が制限されるため、着火当初の状態では混合物100の燃焼が緩やかに進行している。
【0025】
一方、水素ガス供給部12からの水素ガスの供給にとって混合物100内では次のような反応が進行すると考えられる。まず、燃焼により混合物100を構成する炭素(C)と空気中の酸素(O)とによって一酸化炭素(CO)および二酸化炭素(CO)が生成される。また、生成された一酸化炭素(CO)、水素(H)および酸素(O)によって二酸化炭素(CO)および水(HO)が生成される。また、一酸化炭素(CO)および水素(H)によってメタン(CH)およびメタノール(CHOH)が生成される。さらに、これらと酸素(O)とによって二酸化炭素(CO)および水(HO)が生成される。そして、これらの反応は一部が吸熱反応で他が発熱反応であり全体としては発熱反応となる。
【0026】
この場合、この燃焼装置1を用いた燃焼では、収容部21に収用した混合物100が微細有機物101で覆われているため、着火した混合物100への空気の供給が不十分となり、強燃焼が妨げられた状態が維持される。一方、この燃焼装置1では、水素ガスを供給することで、単なる燃焼とは異なり上記したような各種の反応が起こり、この結果、空気の供給が不十分な環境下においても燃焼が停止(消火)することなく、弱燃焼状態が長時間継続される。このため、この燃焼装置1では、混合物100すなわち微細有機物101を長時間に亘って少しずつ燃焼させることが可能となっている。
【0027】
なお、上述した燃焼装置1は、本発明に係る燃焼装置の一例であって、適宜変更した構成および方法を採用することができる。例えば、上記した水素ガス供給部12に代えて、図4に示すように、水素ガス発生装置41、供給管42および制御部43を備えて構成された水素ガス供給部112を採用することもできる。この場合、水素ガス発生装置41は、水の電気分解によって水素ガスを発生させる。供給管42は、水素ガス発生装置41から発生した水素を本体部11の収容部21に収容された混合物100に供給するための管であって、ステンレス等の金属で形成された円筒の周面に微細な孔が多数形成されて構成されている。制御部43は、水素の流量を制御可能に構成されている。
【0028】
この燃焼装置1によれば、水素ガス発生装置41および供給管42を備えて水素ガス供給部12を構成したことにより、本体部11に収容した混合物100に水素ガスを効率的に供給することができるため、燃焼を安定的に継続させることができる。また、この燃焼装置1によれば、水素ガス発生装置41から発生した水素の流量を制御する制御部43を備えたことにより、混合物100への水素の供給量を制御することができるため、燃焼時間を容易に制御することができる。
【0029】
また、地面に形成した穴を収容部21として用いる構成を採用することもできる。また、微細有機物101としてもみ殻を用いる例について上記したが、おが屑や、おが屑を主原料とするキノコ栽培用の培地の使用済みの廃培地を微細有機物101として用いることもできる。制御部43を備えていない構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0030】
1 燃焼装置
11 本体部
12 水素ガス発生装置
13 供給管
14 制御部
21 収容部
22 鍔部
100 混合物
101 微細有機物
102 木材
図1
図2
図3
図4