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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102472
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】家具保持部材及び家具保持方法
(51)【国際特許分類】
   A47B 96/06 20060101AFI20240724BHJP
   A47B 55/00 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
A47B96/06 C
A47B96/06 L
A47B55/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006369
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】391034488
【氏名又は名称】イビケン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(72)【発明者】
【氏名】片渕 健輔
(72)【発明者】
【氏名】濱野 強
【テーマコード(参考)】
3B067
【Fターム(参考)】
3B067AA07
3B067BA01
3B067CA04
3B067DA03
(57)【要約】
【課題】柱を露出させることなく壁に家具を保持するとともに家具の配置自由度を高める。
【解決手段】壁10に家具11を保持するための家具保持部材1である。この家具保持部材1は、第一方向D1に延在して柱13に固定される第一固定部21と、第一固定部21の先端に接続されて第一方向D1と交差する第二方向D2に延在する第二固定部22と、を有する固定金具2と、第二固定部22に固定されて家具11が引っ掛けられる桟木3と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁に家具を保持するための家具保持部材であって、
第一方向に延在して柱に固定される第一固定部と、前記第一固定部の先端に接続されて前記第一方向と交差する第二方向に延在する第二固定部と、を有する固定金具と、
前記第二固定部に固定されて前記家具が引っ掛けられる桟木と、を備える、
家具保持部材。
【請求項2】
前記第二固定部は、前記第二方向における前記第一固定部の両側に延びている、
請求項1に記載の家具保持部材。
【請求項3】
前記固定金具は、平板状の部材により形成されており、
前記第二固定部は、前記第一固定部に対して屈曲されている、
請求項1又は2に記載の家具保持部材。
【請求項4】
前記第一方向及び第二方向に直交する方向を第三方向とした場合、
前記第一固定部は、前記第一方向及び前記第二方向に沿う平板状に形成されており、
前記第二固定部は、前記第二方向及び前記第三方向に沿う平板状に形成されている、
請求項1又は2に記載の家具保持部材。
【請求項5】
前記桟木の取り付け位置が表示された前記家具の型紙を更に備える、
請求項1又は2に記載の家具保持部材。
【請求項6】
壁材に前記家具を固定するために前記壁材に取り付けられるボードアンカーを更に備え、
前記型紙に前記ボードアンカーの取り付け位置も表示されている、
請求項5に記載の家具保持部材。
【請求項7】
壁に家具を保持する家具保持方法であって、
第一方向に延在する第一固定部と前記第一固定部の先端から前記第一方向と交差する第二方向に延在する第二固定部とを有する固定金具の前記第一固定部を壁材の上から柱に固定する金具固定ステップと、
前記固定金具の前記第二固定部に桟木を固定する桟木固定ステップと、
前記金具固定ステップ及び前記桟木固定ステップの後に、前記桟木に前記家具を引っ掛ける家具掛止ステップと、を備える、
家具保持方法。
【請求項8】
前記桟木固定ステップでは、前記桟木を前記柱に固定する、
請求項7に記載の家具保持方法。
【請求項9】
前記金具固定ステップ及び前記桟木固定ステップの前に、前記桟木の取り付け位置が表示された前記家具の型紙を前記壁に取り付ける型紙取り付けステップを更に備える、
請求項7又は8に記載の家具保持方法。
【請求項10】
前記家具掛止ステップの前に、前記壁材に前記家具を固定するために前記壁材に取り付けられるボードアンカーを前記壁材に取り付けるボードアンカー取付ステップを更に備え、
前記型紙取り付けステップでは、前記ボードアンカーの取り付け位置も表示された前記型紙を前記壁に取り付ける、
請求項9に記載の家具保持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁に家具を保持するための家具保持部材及び壁に家具を保持する家具保持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、棚板やキャビネット等の家具が壁面に取り付けられた壁面収納システムが記載されている。特許文献1に記載された壁面収納システムは、室内に露出した2本の間柱の側面に取付支持具を取り付け、この取付支持具に棚板やキャビネット等の家具を係合させることで、家具を壁面に取り付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-008119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された壁面収納システムでは、2本の間柱の側面に取付支持具を取り付けるため、壁材を剥がして2本の間柱を露出させる必要がある。しかも、2本の間柱に取り付けられた取付支持具に、家具の両側面後端部に設けられた係合溝を係合させるため、間柱に対する家具の配置が固定される。
【0005】
そこで、本発明は、柱を露出させることなく壁に家具を保持することができるとともに家具の配置自由度を高めることができる家具保持部材及び家具保持方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1] 本発明に係る家具保持部材は、壁に家具を保持するための家具保持部材であって、第一方向に延在して柱に固定される第一固定部と、第一固定部の先端に接続されて第一方向と交差する第二方向に延在する第二固定部と、を有する固定金具と、第二固定部に固定されて家具が引っ掛けられる桟木と、を備える。
【0007】
この家具保持部材では、第一固定部が柱に固定されるとともに桟木が第二固定部に固定されることで、桟木が、固定金具を介して柱に固定されるとともに第二方向に延在した状態に保持される。そして、家具が桟木に引っ掛けられることで、壁に家具が保持される。しかも、第二固定部に対する桟木の固定位置を変えることで、固定金具を柱に固定しつつ、柱に対する桟木の水平方向における位置関係を変えることができる。更に、固定金具は、柱の側面に固定する必要が無いため、壁材の上から柱に固定することができる。これにより、柱を露出させることなく壁に家具を保持することができるとともに家具の配置自由度を高めることができる。
【0008】
[2] [1]に記載の家具保持部材において、第二固定部は、第二方向における第一固定部の両側に延びていてもよい。この家具保持部材では、第二固定部が、第二方向における第一固定部の両側に延びているため、桟木を第二方向に延在した状態に保持しやすくなる。
【0009】
[3] [1]又は[2]に記載の家具保持部材において、固定金具は、平板状の部材により形成されており、第二固定部は、第一固定部に対して屈曲されていてもよい。この家具保持部材では、固定金具が平板状の部材により形成されており、第二固定部が第一固定部に対して屈曲されている。これにより、柱に第一固定部を固定して第二固定部に桟木を載せることができるため、桟木を介して家具の荷重を固定金具で受け止めやすくなる。しかも、第二固定部と家具との間に十分なスペースを確保することができるため、例えば、家具が有穴パネルである場合に、有穴パネルの穴にフックやネジ等を容易に挿入することができる。
【0010】
[4] [1]~[3]の何れか一つに記載の家具保持部材において、第一方向及び第二方向に直交する方向を第三方向とした場合、第一固定部は、第一方向及び第二方向に沿う平板状に形成されており、第二固定部は、第二方向及び第三方向に沿う平板状に形成されていてもよい。この家具保持部材では、第一固定部が第一方向及び第二方向に沿う平板状に形成されており、第二固定部が第二方向及び第三方向に沿う平板状に形成されている。これにより、柱に第一固定部を固定して第二固定部に桟木を載せることができるため、桟木を介して家具の荷重を固定金具で受け止めやすくなる。しかも、第二固定部と家具との間に十分なスペースを確保することができるため、例えば、家具が有穴パネルである場合に、有穴パネルの穴にフックやネジ等を容易に挿入することができる。
【0011】
[5] [1]~[4]の何れか一つに記載の家具保持部材において、桟木の取り付け位置が表示された家具の型紙を更に備えてもよい。この家具保持部材では、桟木の取り付け位置が表示された家具の型紙を備えるため、この型紙に沿って固定金具、桟木、及び家具を配置することで、家具保持部材により保持された家具の位置精度を高めることができる。
【0012】
[6] [5]に記載の家具保持部材において、壁材に家具を固定するために壁材に取り付けられるボードアンカーを更に備え、型紙にボードアンカーの取り付け位置も表示されていてもよい。この家具保持部材では、壁材に家具を固定するためのボードアンカーを備えるため、壁材にボードアンカーを取り付け、壁材に取り付けたボードアンカーにより家具を壁材に固定することで、壁に対する家具の固定強度を高めることができる。しかも、型紙にボードアンカーの取り付け位置も表示されているため、型紙に表示されたボードアンカーの取り付け位置においてボードアンカーを壁材に取り付けることで、ボードアンカーの位置精度を高めることができる。
【0013】
[7] 本発明に係る家具保持方法は、壁に家具を保持する家具保持方法であって、第一方向に延在する第一固定部と第一固定部の先端から第一方向と交差する第二方向に延在する第二固定部とを有する固定金具の第一固定部を壁材の上から柱に固定する金具固定ステップと、固定金具の第二固定部に桟木を固定する桟木固定ステップと、金具固定ステップ及び桟木固定ステップの後に、桟木に家具を引っ掛ける家具掛止ステップと、を備える。
【0014】
この家具保持方法では、第一固定部を壁材の上から柱に固定するとともに第二固定部に桟木を固定することで、桟木が、固定金具を介して柱に固定されるとともに第二方向に延在した状態に保持される。その後、家具を桟木に引っ掛けることで、壁に家具を保持することができる。しかも、第二固定部に対する桟木の固定位置を変えることで、固定金具を柱に固定しつつ、柱に対する桟木の水平方向における位置関係を変えることができる。これにより、柱を露出させることなく壁に家具を保持することができるとともに家具の配置自由度を高めることができる。
【0015】
[8] [7]に記載の家具保持方法において、桟木固定ステップでは、桟木を柱に固定してもよい。この家具保持方法では、桟木を柱に固定することで、柱に対する桟木の固定強度を更に高めることができる。
【0016】
[9] [7]又は[8]に記載の家具保持方法において、金具固定ステップ及び桟木固定ステップの前に、桟木の取り付け位置が表示された家具の型紙を壁に取り付ける型紙取り付けステップを更に備えてもよい。この家具保持方法では、桟木の取り付け位置が表示された家具の型紙を壁に取り付けるため、この型紙に沿って第一固定部、桟木、及び家具を配置することで、家具の位置精度を高めることができる。
【0017】
[10] [9]に記載の家具保持方法において、家具掛止ステップの前に、壁材に家具を固定するために壁材に取り付けられるボードアンカーを壁材に取り付けるボードアンカー取付ステップを更に備え、型紙取り付けステップでは、ボードアンカーの取り付け位置も表示された型紙を壁に取り付けてもよい。この家具保持方法では、壁材に家具を固定するためのボードアンカーを壁材に取り付けるため、壁材に取り付けたボードアンカーにより家具を壁材に固定することで、壁に対する家具の固定強度を高めることができる。しかも、ボードアンカーの取り付け位置も表示された型紙を壁に取り付けるため、型紙に表示されたボードアンカーの取り付け位置においてボードアンカーを壁材に取り付けることで、ボードアンカーの位置精度を高めることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、柱を露出させることなく壁に家具を保持することができるとともに家具の配置自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態に係る家具保持部材により家具が保持された状態を示す正面図である。
図2図1に示すII-II線における断面図である。
図3】家具の一例を示す斜視図である。
図4】壁に家具保持部材を固定した状態を示す正面図である。
図5】固定金具を示す斜視図である。
図6】型紙の一例を示す正面図である。
図7】家具保持方法における型紙取り付けステップを説明するための正面図である。
図8】家具保持方法における金具固定ステップを説明するための正面図である。
図9】家具保持方法における桟木固定ステップを説明するための正面図である。
図10】家具保持方法におけるボードアンカー取付ステップを説明するための正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、実施形態の家具保持部材及び家具保持方法について詳細に説明する。なお、全図中、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0021】
[家具保持部材]
図1は、本実施形態に係る家具保持部材により家具が保持された状態を示す正面図である。図2は、図1に示すII-II線における断面図である。図1及び図2に示すように、本実施形態に係る家具保持部材1は、壁10に家具11を保持するための部材である。壁10は、居室空間に面する壁材12と、壁材12の裏に配置されている複数の柱13と、を有する。壁材12は、石膏ボード等である。柱13は、主柱、間柱(スタッド)等である。柱13は、垂直方向Vに延びており、複数の柱13は、水平方向Hに配列されている。なお、図面では、複数の柱13のうちの一本の柱13のみを示している。
【0022】
図3は、家具の一例を示す斜視図である。図1図3に示すように、本実施形態では、一例として、家具11が有穴パネルであるものとして説明する。但し、家具11は、有穴パネルに限定されるものではなく、下駄箱、吊戸収納等の収納家具などであってもよい。有穴パネルである家具11は、矩形平板状のパネル面部14と、パネル面部14に対して屈曲されてなる嵩上部15と、を有する。パネル面部14には、規則的に配列された複数の穴16と、四隅に形成された複数の固定穴17と、形成されている。嵩上部15は、壁10に対してパネル面部14を嵩上げするための部位である。嵩上部15は、パネル面部14に対して略直角に屈曲されて、パネル面部14の裏面側に延びている。
【0023】
家具11は、嵩上部15において、家具保持部材1に保持される。また、家具11は、複数の固定穴17において、壁材12に固定される。壁材12対する家具11の固定は、壁材12に取り付けられたボードアンカー18により行われる。ボードアンカー18は、壁材12に家具11を固定するために壁材12に取り付けられる部材である。ボードアンカー18は、壁材12に貫通されて壁材12の表裏面から壁材12を挟み込むアンカー(不図示)と、アンカーにねじ込まれるアンカーネジ(不図示)と、を有する。ボードアンカー18としては、市販品等の様々なものを用いることができる。
【0024】
図4は、壁に家具保持部材を固定した状態を示す正面図である。図1図2、及び図4に示すように、家具保持部材1は、固定金具2と、桟木3と、を備える。
【0025】
図5は、固定金具を示す斜視図である。図1図2図4、及び図5に示すように、固定金具2は、柱13に固定されるとともに桟木3を固定するための部材である。固定金具2は、第一方向D1に延在する第一固定部21と、第一固定部21の先端に接続されて第一方向D1と交差する第二方向D2に延在する第二固定部22と、を有する。本実施形態では、第二方向D2は、第一方向D1と直交する方向である。但し、第二方向D2は、第一方向D1と直交する方向に限定されるものではない。
【0026】
固定金具2は、薄い平板状の部材により形成されており、第二固定部22は、第一固定部21に対して屈曲されている。これにより、第一固定部21は、第一方向D1及び第二方向D2に沿う平板状に形成されている。また、第一方向D1及び第二方向D2に直交する方向を第三方向D3とした場合、第二固定部22は、第二方向D2及び第三方向D3に沿う平板状に形成されている。
【0027】
第一固定部21は、柱13に固定される部位である。第一固定部21は、第一方向D1に直線状に延びている。第一固定部21には、複数の第一穴23が形成されている。第一穴23の数は、例えば二つである。複数の第一穴23のそれぞれは、柱13に第一固定部21を固定する第一ネジ24を挿入するための穴であり、第三方向D3に第一固定部21を貫通している。複数の第一穴23は、第一固定部21の延在方向である第一方向D1に配列されている。そして、第一固定部21は、複数の第一穴23のそれぞれを通した第一ネジ24が、壁材12の上から柱13にねじ込まれることで、柱13に固定される。
【0028】
第二固定部22は、桟木3が固定される部位である。第二固定部22は、第二方向D2に直線状に延びている。第二固定部22は、正面視において固定金具2がT字状となるように、第二方向D2における第一固定部21の両側に延びている。第二固定部22には、複数の第二穴25が形成されている。第二穴25の数は、例えば二つである。複数の第二穴25のそれぞれは、第二固定部22に桟木3を固定する第二ネジ26を挿入するための穴であり、第一方向D1に第二固定部22を貫通している。複数の第二穴25は、第二固定部22の延在方向である第二方向D2に配列されている。第二固定部22の第二方向D2における第一固定部21の両側に、少なくとも一つの第二穴25が形成されている。
【0029】
図1図2、及び図4に示すように、桟木3は、第二固定部22に固定されるとともに家具11を引っ掛けるための部材である。桟木3は、細長い矩形板状、角柱状等に形成されて、直線状に延びている。そして、桟木3は、第二固定部22の複数の第二穴25のそれぞれを通した第二ネジ26が桟木3にねじ込まれることで、第二固定部22に固定される。
【0030】
図6は、型紙の一例を示す正面図である。図6に示すように、家具保持部材1は、更に家具11の型紙4を備える。型紙4は、固定金具2、桟木3等の位置決めを補助する部材である。型紙4は、家具11の壁10に当接される部分の外形を成している。本実施形態では、型紙4は、正面視における家具11の嵩上部15の外形を成している。型紙4には、桟木3の取り付け位置を示す桟木マーク41と、複数のボードアンカー18の取り付け位置を示す複数のボードアンカーマーク42と、が表示されている。桟木マーク41は、例えば、桟木3の外形線である。ボードアンカーマーク42は、例えば、ボードアンカー18(アンカー)の外形線又はボードアンカー18(アンカー)の中央を示す点である。桟木マーク41及びボードアンカーマーク42は、例えば、型紙4に印刷されることで、型紙4に表示されている。
【0031】
[家具保持方法]
次に、壁10に家具11を保持する家具保持方法について説明する。家具保持方法では、上述した家具保持部材1を用いて、壁10に家具11を保持する。
【0032】
家具保持方法では、まず、型紙取り付けステップを行う。図7は、家具保持方法における型紙取り付けステップを説明するための正面図である。図7に示すように、型紙取り付けステップでは、型紙4に表示された桟木マーク41が柱13の上に配置されるように、壁10上で型紙4を位置決めする。このとき、桟木マーク41が柱13の上に配置されていれば、垂直方向V及び水平方向Hにおける型紙4の位置は特に限定されない。そして、この状態で壁10に型紙4を取り付ける。壁10に対する型紙4の取り付けは、例えば、壁材12に型紙4を接着剤等で貼り付けたりタッカー等で留めたりすることにより行うことができる。
【0033】
次に、金具固定ステップを行う。図8は、家具保持方法における金具固定ステップを説明するための正面図である。図8及び図2に示すように、金具固定ステップでは、固定金具2の第一固定部21が柱13の上に配置され、かつ、固定金具2の第二固定部22の上面と型紙4に表示された桟木マーク41の下辺とが合わさるように、型紙4上で固定金具2を位置決めする。そして、この状態で固定金具2の第一固定部21を壁材12の上から柱13に固定する。柱13に対する第一固定部21の固定は、複数の第一ネジ24を複数の第一穴23に通して壁材12の上から柱13にねじ込むことにより行うことができる。これにより、固定金具2は、柱13に固定され、第一固定部21は、垂直方向Vに延在した状態に保持され、第二固定部22は、水平方向Hに延在した状態に保持される。
【0034】
次に、桟木固定ステップを行う。図9は、家具保持方法における桟木固定ステップを説明するための正面図である。図9に示すように、桟木固定ステップでは、桟木3と型紙4に表示された桟木マーク41とが合わさるように、型紙4上で桟木3を位置決めする。そして、この状態で固定金具2の第二固定部22に桟木3を固定する。第二固定部22に対する桟木3の固定は、複数の第二ネジ26を複数の第二穴25に通して桟木3にねじ込むことにより行うことができる。これにより、桟木3は、固定金具2を介して柱13に固定されて、水平方向Hに延在した状態が保持される。
【0035】
桟木固定ステップでは、更に、固定金具2の第二固定部22に固定された桟木3を柱13に固定する。柱13に対する桟木3の固定は、第三ネジ27を桟木3にねじ込み、桟木3にねじ込んだ第三ネジ27を壁材12の上から柱13にねじ込むことにより行うことができる。
【0036】
次に、ボードアンカー取付ステップを行う。図10は、家具保持方法におけるボードアンカー取付ステップを説明するための正面図である。図10に示すように、ボードアンカー取付ステップでは、型紙4に表示されたボードアンカーマーク42において壁材12にボードアンカー18を取り付ける。壁材12に対するボードアンカー18の取り付けは、型紙4に表示されたボードアンカーマーク42から壁材12に穴をあけ、この壁材12の穴にボードアンカー18のアンカーを挿入し、このアンカーで壁材12の表裏面から壁材12を挟み込むことにより行うことができる。ボードアンカー18を壁材12に取り付けると、アンカーからアンカーネジを取り外しておく。
【0037】
次に、家具掛止ステップを行う。図1及び図2に示すように、家具掛止ステップでは、固定金具2を介して柱13に固定された桟木3に家具11を引っ掛ける。桟木3に対する家具11の引っ掛けは、嵩上部15を桟木3に引っ掛けて、嵩上部15を壁10に当接させることにより行うことができる。そして、家具11の嵩上部15が型紙4の外形に沿うように、家具11を位置決めする。これにより、壁10に家具11が保持される。なお、壁10に家具11を保持した後は、型紙4を除去してもよく、型紙4を残置してもよい。その後、アンカーから取り外したアンカーネジ又は固定穴17を通るネジを複数の固定穴17に通してアンカーにねじ込むことで、家具11を壁材12に固定する。
【0038】
以上説明したように、本実施形態に係る家具保持部材1では、第一固定部21が柱13に固定されるとともに桟木3が第二固定部22に固定されることで、桟木3が、固定金具2を介して柱13に固定されるとともに第二方向D2に延在した状態に保持される。そして、家具11が桟木3に引っ掛けられることで、壁10に家具11が保持される。しかも、第二固定部22に対する桟木3の固定位置を変えることで、固定金具2を柱13に固定しつつ、柱13に対する桟木3の水平方向Hにおける位置関係を変えることができる。更に、固定金具2は、柱13の側面に固定する必要が無いため、壁材12の上から柱13に固定することができる。これにより、柱13を露出させることなく壁10に家具11を保持することができるとともに家具11の配置自由度を高めることができる。
【0039】
また、この家具保持部材1では、第二固定部22が、第二方向D2における第一固定部21の両側に延びているため、桟木3を第二方向D2に延在した状態に保持しやすくなる。
【0040】
また、この家具保持部材1では、固定金具2が平板状の部材により形成されており、第二固定部22が第一固定部21に対して屈曲されている。これにより、柱13に第一固定部21を固定して第二固定部22に桟木3を載せることができるため、桟木3を介して家具11の荷重を固定金具2で受け止めやすくなる。しかも、第二固定部22と家具11との間に十分なスペースを確保することができるため、有穴パネルである家具11の穴16にフックやネジ等を容易に挿入することができる。
【0041】
また、この家具保持部材1では、第一固定部21が第一方向D1及び第二方向D2に沿う平板状に形成されており、第二固定部22が第二方向D2及び第三方向D3に沿う平板状に形成されている。これにより、柱13に第一固定部21を固定して第二固定部22に桟木3を載せることができるため、桟木3を介して家具11の荷重を固定金具2で受け止めやすくなる。しかも、第二固定部22と家具11との間に十分なスペースを確保することができるため、有穴パネルである家具11の穴16にフックやネジ等を容易に挿入することができる。
【0042】
また、この家具保持部材1では、桟木3の取り付け位置が表示された家具11の型紙4を備えるため、この型紙4に沿って固定金具2、桟木3、及び家具11を配置することで、家具保持部材1により保持された家具11の位置精度を高めることができる。
【0043】
また、この家具保持部材1では、壁材12に家具11を固定するためのボードアンカー18を備えるため、壁材12にボードアンカー18を取り付け、壁材12に取り付けたボードアンカー18により家具11を壁材12に固定することで、壁10に対する家具11の固定強度を高めることができる。しかも、型紙4にボードアンカー18の取り付け位置も表示されているため、型紙4に表示されたボードアンカー18の取り付け位置においてボードアンカー18を壁材12に取り付けることで、ボードアンカー18の位置精度を高めることができる。
【0044】
本実施形態に係る家具保持方法では、第一固定部21を壁材12の上から柱13に固定するとともに第二固定部22に桟木3を固定することで、桟木3が、固定金具2を介して柱13に固定されるとともに第二方向D2に延在した状態に保持される。その後、家具11を桟木3に引っ掛けることで、壁10に家具11を保持することができる。しかも、第二固定部22に対する桟木3の固定位置を変えることで、固定金具を柱に固定しつつ、柱に対する桟木の水平方向Hにおける位置関係を変えることができる。これにより、柱13を露出させることなく壁10に家具11を保持することができるとともに家具11の配置自由度を高めることができる。
【0045】
また、この家具保持方法では、桟木3を柱13に固定することで、柱13に対する桟木3の固定強度を更に高めることができる。
【0046】
また、この家具保持方法では、桟木3の取り付け位置が表示された家具11の型紙4を壁10に取り付けるため、この型紙4に沿って第一固定部21、桟木3、及び家具11を配置することで、家具11の位置精度を高めることができる。
【0047】
また、この家具保持方法では、壁材12に家具11を固定するためのボードアンカー18を壁材12に取り付けるため、壁材12に取り付けたボードアンカー18により家具11を壁材12に固定することで、壁10に対する家具11の固定強度を高めることができる。しかも、ボードアンカー18の取り付け位置も表示された型紙4を壁10に取り付けるため、型紙4に表示されたボードアンカー18の取り付け位置においてボードアンカー18を壁材12に取り付けることで、ボードアンカー18の位置精度を高めることができる。
【0048】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0049】
例えば、上記実施形態では、第二固定部22が第二方向D2における第一固定部21の両側に延びているものとして説明したが、第二固定部は、正面視において固定金具がL字状となるように、第二方向における第一固定部の片側にのみ延びていているものとしてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、型紙を備えるものとして説明したが、型紙を備えないものとしてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、型紙に桟木3の取り付け位置及びボードアンカー18の取り付け位置が表示されているものとして説明したが、型紙には、ボードアンカー18の取り付け位置が表示されていないものとしてもよく、更に他の部材の取り付け位置が表示されているものとしてもよい。例えば、型紙には、固定金具の取り付け位置が表示されていてもよい。この場合、固定金具の取り付け位置は、固定金具を配置することが可能な全領域を示すものであってもよく、固定金具の配置することが可能な限界位置(両端位置)を示すものであってもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、金具固定ステップを行った後に桟木固定ステップを行うものとして説明したが、桟木固定ステップを行った後に金具固定ステップを行ってもよい。この場合、固定金具の第二固定部に桟木を固定し、その後、桟木が固定された固定金具の第一固定部を壁材の上から柱に固定する。
【符号の説明】
【0053】
1…家具保持部材、2…固定金具、3…桟木、4…型紙、10…壁、11…家具、12…壁材、13…柱、14…パネル面部、15…嵩上部、16…穴、17…固定穴、18…ボードアンカー、21…第一固定部、22…第二固定部、23…第一穴、24…第一ネジ、25…第二穴、26…第二ネジ、27…第三ネジ、41…桟木マーク、42…ボードアンカーマーク、D1…第一方向、D2…第二方向、D3…第三方向、H…水平方向、V…垂直方向。
図1
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図10