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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102481
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】撮像ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20240724BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20240724BHJP
   H04N 23/57 20230101ALI20240724BHJP
   G03B 5/06 20210101ALI20240724BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20240724BHJP
【FI】
G03B5/00 L
H04N23/50
H04N23/57
G03B5/00 J
G03B5/06
G03B30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006386
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】ニデックプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【弁理士】
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】高橋 繁実
【テーマコード(参考)】
2K005
5C122
【Fターム(参考)】
2K005CA02
2K005CA04
2K005CA23
2K005CA43
2K005CA53
5C122EA41
5C122GE01
5C122GE05
5C122GE11
5C122GE19
5C122HA75
5C122HA82
(57)【要約】      (修正有)
【課題】被写体を撮像する際の手振れを補正するだけではなく、被写体を撮像した位置から撮像光学系を移動することも可能な撮像ユニットを提供する。
【解決手段】撮像ユニットは、レンズ11と撮像素子とを含む撮像光学系を収容した可動部と、可動部を収容するハウジング20と、可動部とハウジング20との間を接続する接続フレーム30と、可動部がハウジング20に対して第1の回転軸A1周りに回転するように接続フレーム30とハウジング20とを接続する第1のシャフト61及び第1の軸受部71と、第1のシャフト61に第1の回転軸A1に沿った方向の力を作用させて可動部を基準位置から第1の回転軸A1に沿った方向に移動させる第1の駆動部81とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1枚のレンズと撮像素子とを含む撮像光学系を収容した可動部と、
前記可動部を収容するハウジングと、
前記可動部と前記ハウジングとの間を接続する接続フレームと、
前記可動部が前記ハウジングに対して前記撮像光学系の光軸と交差する第1の回転軸周りに回転するように前記接続フレームと前記可動部及び前記ハウジングの一方とを接続する第1の接続部と、
前記第1の接続部に前記第1の回転軸に沿った方向の力を作用させて前記可動部を基準位置から前記ハウジングに対して前記第1の回転軸に沿った方向に移動させる第1の駆動部とを備える、撮像ユニット。
【請求項2】
前記第1の回転軸は、前記光軸と直交する、請求項1に記載の撮像ユニット。
【請求項3】
前記第1の接続部は、
前記接続フレームに設けられた磁性体からなる第1のシャフトと、
前記可動部及び前記ハウジングの前記一方に設けられ、前記第1のシャフトを受ける第1の軸受部と
を有し、
前記第1の駆動部は、前記第1のシャフトに電磁力を生じさせるコイルを含む、
請求項1又は2に記載の撮像ユニット。
【請求項4】
前記第1の回転軸に沿った方向において前記可動部を前記基準位置に保持するように前記第1の駆動部を駆動する制御部をさらに備える、請求項1又は2に記載の撮像ユニット。
【請求項5】
前記可動部が前記ハウジングに対して前記光軸及び前記第1の回転軸の双方と交差する第2の回転軸周りに回転するように前記接続フレームと前記可動部及び前記ハウジングの他方とを接続する第2の接続部と、
前記第2の接続部に前記第2の回転軸に沿った方向の力を作用させて前記可動部を前記基準位置から前記ハウジングに対して前記第2の回転軸に沿った方向に移動させる第2の駆動部と
をさらに備える、請求項1に記載の撮像ユニット。
【請求項6】
前記第2の回転軸は、前記光軸及び前記第1の回転軸の双方と直交する、請求項5に記載の撮像ユニット。
【請求項7】
前記第2の接続部は、
前記接続フレームに設けられた磁性体からなる第2のシャフトと、
前記可動部及び前記ハウジングの前記他方に設けられ、前記第2のシャフトを受ける第2の軸受部と
を有し、
前記第2の駆動部は、前記第2のシャフトに電磁力を生じさせるコイルを含む、
請求項5又は6に記載の撮像ユニット。
【請求項8】
前記第1の回転軸に沿った方向及び前記第2の回転軸に沿った方向において前記可動部を前記基準位置に保持するように前記第1の駆動部及び前記第2の駆動部を駆動する制御部をさらに備える、請求項5又は6に記載の撮像ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からフレーム内に収容された撮像光学系を光軸に対して垂直な回転軸周りに回転させて撮像時の手振れを補正する機構を備えた撮像ユニットが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような手振れ補正機構は、撮像光学系を回転軸周りに回転させることで撮像時の手振れを補正することはできるが、光軸に垂直な平面内で被写体に対する撮像光学系の位置を移動することはできない。近年では、光軸に垂直な平面内で被写体を撮像した位置から撮像光学系をわずかに移動させて複数の補助画像を取得し、取得した複数の補助画像を用いて撮像画像の品質を高める技術が発展してきており、上述した手振れ補正機構を備えた撮像ユニットにおいても、光軸に垂直な平面内で被写体の撮像位置から撮像光学系を移動できる機能が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許出願公開第111474804号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、被写体を撮像する際の手振れを補正するだけではなく、被写体を撮像した位置から撮像光学系を移動することも可能な撮像ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、被写体を撮像する際の手振れを補正するだけではなく、被写体を撮像した位置から撮像光学系を移動することも可能な撮像ユニットが提供される。この撮像ユニットは、少なくとも1枚のレンズと撮像素子とを含む撮像光学系を収容した可動部と、上記可動部を収容するハウジングと、上記可動部と上記ハウジングとの間を接続する接続フレームと、上記可動部が上記ハウジングに対して上記撮像光学系の光軸と交差する第1の回転軸周りに回転するように上記接続フレームと上記可動部及び上記ハウジングの一方とを接続する第1の接続部と、上記第1の接続部に上記第1の回転軸に沿った方向の力を作用させて上記可動部を基準位置から上記ハウジングに対して上記第1の回転軸に沿った方向に移動させる第1の駆動部とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本発明の一実施形態における撮像ユニットを示す斜視図である。
図2A図2Aは、図1に示す撮像ユニットにおける可動部及び接続フレームの分解斜視図である。
図2B図2Bは、図1に示す撮像ユニットにおけるハウジングの分解斜視図である。
図3図3は、図1に示す撮像ユニットにおけるジンバルフレーム、ハウジング、及び可動部の関係を模式的に示す平面図である。
図4図4は、図1に示す撮像ユニットを用いて取得可能な画像を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明に係る撮像ユニットの実施形態について図1から図4を参照して詳細に説明する。図1から図4において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、図1から図4においては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や一部の構成要素が省略されている場合がある。以下の説明では、特に言及がない場合には、「第1」や「第2」などの用語は、構成要素を互いに区別するために使用されているだけであり、特定の順位や順番を表すものではない。
【0008】
図1は、本発明の一実施形態における撮像ユニット1の主要部を模式的に示す斜視図である。本実施形態における撮像ユニット1は、例えばカメラ、スマートフォンやタブレット型コンピュータに搭載されるカメラ装置の一部を構成するものであるが、本発明に係る撮像ユニットは、このようなカメラ装置に限らず、撮像光学系で撮像する際に振れを補正する必要がある任意の光学装置に適用することができる。図1に示すように、撮像ユニット1は、少なくとも1枚のレンズ11と撮像素子(図示せず)とを含む撮像光学系を収容した可動部10と、可動部10を内部で移動可能に収容するハウジング20と、可動部10とハウジング20とを接続する接続フレーム30と、図示しない制御部に接続される2つのフレキシブルプリント基板51,52とを有している。なお、本実施形態では、便宜的に、図1における+Z方向を「上」又は「上方」といい、-Z方向を「下」又は「下方」ということとする。
【0009】
図2Aは、可動部10及び接続フレーム30の分解斜視図である。図2Aに示すように、可動部10は、上述したレンズ11及び撮像素子を含む筒状の撮像部12と、撮像部12を保持する基部14とを有している。撮像部12の内部に配置されている撮像素子は、フレキシブルプリント基板51(図1参照)を介して外部の制御部(図示せず)に接続される。
【0010】
図2Aに示すように、可動部10の基部14の-Y方向側の側面14Aには第1の磁石15が取り付けられ、基部14の-X方向側の側面14Bには第2の磁石16が取り付けられている。これらの磁石15,16のそれぞれはZ方向に異なる磁極を有している。これらの磁石15,16は、撮像部12の姿勢(ピッチ及びヨー)を検出及び補正するために用いられる。
【0011】
図2Bは、ハウジング20の分解斜視図である。図2Bに示すように、ハウジング20は、矩形枠状の筐体21と、筐体21の+X方向側に接続される収容部22と、筐体21の上方に取り付けられるカバーフレーム23と、筐体21及び収容部22の下方に取り付けられる底板24とを有している。撮像部12の撮像素子に接続されたフレキシブルプリント基板51(図1参照)は、収容部22の内部で複数回折曲され、収容部22から外部に延びている。
【0012】
図1に示すように、フレキシブルプリント基板52は、筐体21の三方を取り囲んで収容部22の側方まで延びている。このフレキシブルプリント基板52は、筐体21の-Y方向側の側壁21A上に位置する第1のコイル駆動部52Aと、筐体21の-X方向側の側壁21B上に位置する第2のコイル駆動部52Bとを含んでいる。これらのコイル駆動部52A,52Bはフレキシブルプリント基板52を介して制御部90に接続されている。
【0013】
図2Bに示すように、筐体21の側壁21Aには第1のコイル25が埋め込まれており、この第1のコイル25は上述したフレキシブルプリント基板52の第1のコイル駆動部52Aに接続されている。この第1のコイル25は、可動部10の第1の磁石15(図2A参照)に対向する位置に配置されている。制御部90がフレキシブルプリント基板52の第1のコイル駆動部52Aを介して第1のコイル25に通電すると、第1のコイル25により生じる磁界によって第1の磁石15にZ方向に沿った電磁力が作用し、可動部10の姿勢が変化する。
【0014】
また、筐体21の側壁21Bにも第2のコイル26が埋め込まれており、この第2のコイル26は上述したフレキシブルプリント基板52の第2のコイル駆動部52Bに接続されている。この第2のコイル26は、可動部10の第2の磁石16(図2A参照)に対向する位置に配置されている。制御部90がフレキシブルプリント基板52の第2のコイル駆動部52Bを介して第2のコイル26に通電すると、第2のコイル26により生じる磁界によって第2の磁石16に電磁力が作用し、可動部10の姿勢が変化する。
【0015】
図2Aに戻って、接続フレーム30は、例えば非磁性体からなる板材を折り曲げて弾性(バネ性)を有するように形成されるもので、中央に開口31が形成された矩形枠状の基部32と、基部32の中心を挟んで対向する位置から-Z方向に延びる1対の第1アーム33と、基部32の中心を挟んで対向し、基部32の中心周りに第1アーム33に対して90度ずれた位置から-Z方向に延びる1対の第2アーム34とを含んでいる。図1に示すように、接続フレーム30の基部32の開口31からは、可動部10の撮像部12が突出するようになっている。
【0016】
第1アーム33は、可動部10がハウジング20の筐体21に対して第1の回転軸A1周りに回転できるように、後述する第1の接続部を介してハウジング20の筐体21に接続されるものである。また、第2アーム34は、可動部10がハウジング20の筐体21に対して第2の回転軸A2周りに回転できるように、後述する第2の接続部を介して可動部10の基部14に接続されるものである。本実施形態では、第1の回転軸A1及び第2の回転軸A2は、いずれも撮像部12のレンズ11を含む光学系の光軸Lと直交しており、第1の回転軸A1及び第2の回転軸A2は互いに直交している。このような第1アーム33及び第2アーム34を有する接続フレーム30はジンバルフレームと呼ばれることがある。
【0017】
図3は、接続フレーム30、ハウジング20、及び可動部10の関係を模式的に示す平面図である。図3では、理解を容易にするために一部の構成要素を断面で示している。図2A及び図3に示すように、接続フレーム30は、第1アーム33から第1の回転軸A1に沿って外側に延びる第1のシャフト61を有しており、これに対応して、ハウジング20の筐体21には、接続フレーム30の第1のシャフト61を受ける第1の軸受部71が形成されている。本実施形態では、第1のシャフト61は、例えば金属などの磁性体から形成されており、非磁性体からなる接続フレーム30の第1アーム33と別体に形成される。このように、接続フレーム30に設けられた第1のシャフト61とハウジング20の筐体21に形成された第1の軸受部71とによって、可動部10が第1の回転軸A1周りに回転できるように接続フレーム30とハウジング20の筐体21とを接続する第1の接続部が構成されている。
【0018】
また、接続フレーム30は、第2アーム34から第2の回転軸A2に沿って外側に延びる第2のシャフト62を有しており、これに対応して、可動部10の基部14には、には、接続フレーム30の第2のシャフト62を受ける第2の軸受部72が形成されている。本実施形態では、第2のシャフト62は、例えば金属などの磁性体から形成されており、非磁性体からなる接続フレーム30の第2アーム34と別体に形成される。このように、接続フレーム30に設けられた第2のシャフト62と可動部10の基部14に形成された第2の軸受部72とによって、可動部10が第2の回転軸A2周りに回転できるように接続フレーム30と可動部10の基部14とを接続する第2の接続部が構成されている。
【0019】
図3に示すように、ハウジング20の筐体21の第1の軸受部71には、接続フレーム30の第1のシャフト61を駆動する第1の駆動部81が埋設されている。例えば、第1の駆動部81はコイルにより構成され、接続フレーム30の第1のシャフト61とコイルとによりソレノイドアクチュエータが構成される。第1の駆動部81は、例えば筐体21の周囲に延びるフレキシブルプリント基板52を介して制御部90(図1参照)に接続されており、この制御部90からの指示により第1の駆動部81のコイルに通電されるようになっている。第1の駆動部81のコイルに通電されると、接続フレーム30の第1のシャフト61に第1の回転軸A1に沿った電磁力が作用し、第1のシャフト61が第1の回転軸A1に沿って移動するようになっている。
【0020】
また、可動部10の基部14の第2の軸受部72には、接続フレーム30の第2のシャフト62を駆動する第2の駆動部82が埋設されている。例えば、第2の駆動部82はコイルにより構成され、接続フレーム30の第2のシャフト62とコイルとによりソレノイドアクチュエータが構成される。第2の駆動部82は、例えば可動部10に接続されているフレキシブルプリント基板51を介して制御部90(図1参照)に接続されており、この制御部90からの指示により第2の駆動部82のコイルに通電されるようになっている。第2の駆動部82のコイルに通電されると、接続フレーム30の第2のシャフト62に第2の回転軸A2に沿った電磁力が作用し、第2のシャフト62が第2の回転軸A2に沿って移動するようになっている。
【0021】
上述したように、制御部90がコイル駆動部52A,52Bを介してコイル25,26を駆動すると、コイル25,26により生じる磁界によってZ方向に沿った電磁力が磁石15,16に作用し、ジンバルフレームである接続フレーム30によって可動部10が第1の回転軸A1及び第2の回転軸A2周りに回転する。これにより、撮像時に手振れが生じたときにコイル駆動部52A,52Bを制御することで、手振れを補正するように可動部10を第1の回転軸A1及び第2の回転軸A2周りに回転(チルト)させることができる。
【0022】
また、本実施形態では、上述したように、制御部90が第1の駆動部81を駆動すると接続フレーム30の第1のシャフト61が第1の回転軸A1に沿って移動するため、第1の回転軸A1上に位置する2つの第1のシャフト61が同一方向に移動するように第1の駆動部81を制御することで、接続フレーム30及びこれに接続される可動部10を第1の回転軸A1に沿って移動させることができる。同様に、制御部90が第2の駆動部82を駆動すると接続フレーム30の第2のシャフト62が第2の回転軸A2に沿って移動するため、第2の回転軸A2上に位置する2つの第2のシャフト62が同一方向に移動するように第2の駆動部82を制御することで、接続フレーム30及びこれに接続される可動部10を第2の回転軸A2に沿って移動させることができる。
【0023】
ここで、制御部90は、可動部10内の撮像素子による撮影時に、可動部10を所定の基準位置(中心位置)に保持するように第1の駆動部81及び第2の駆動部82を駆動してもよい。例えば、制御部90は、可動部10を図4に示す基準位置Pに保持するように第1の駆動部81及び第2の駆動部82を駆動し、基準位置Pで可動部10内の撮像素子により画像を取得してもよい。この場合には、撮像ユニット1内に可動部10の位置を検出するセンサ(図示せず)を設け、このセンサの検出信号を制御部90にフィードバックすることで、可動部10を基準位置Pに保持するように第1の駆動部81及び第2の駆動部82を駆動することができる。あるいは、第1の回転軸A1に沿った方向における第1のシャフト61と第1の軸受部71との間及び第2の回転軸A2に沿った方向における第2のシャフト62と第2の軸受部72との間にそれぞれ圧縮バネやダンパを挿入することで、可動部10を中心位置(基準位置P)に保持してもよい。
【0024】
また、制御部90は、撮影後に第1の駆動部81及び第2の駆動部82を駆動することで可動部10を基準位置Pから第1の回転軸A1に沿った方向及び第2の回転軸A2に沿った方向にそれぞれ移動させることができる。例えば、可動部10が図4に示す基準位置Pにあるときに可動部10内の撮像素子により画像を取得したとすると、その撮像画像の取得後に駆動部81,82を制御して可動部10を移動させることで基準位置Pを中心とする複数の位置Q1~Q8に可動部10を移動させてこれらの位置Q1~Q8で補助画像を取得することができる。したがって、基準位置Pで撮像した画像をこれらの補助画像を用いて補正することで、より高品質な画像を生成することができる。
【0025】
例えば、図4において基準位置Pでの撮像後に、第1の駆動部81により第1のシャフト61を第1の回転軸A1の正の方向に単位距離(例えば1ピクセル)だけ移動させて可動部10を位置Q1に移動させ、この位置Q1で補助画像G1を取得する。さらに第2の駆動部82により第2のシャフト62を第2の回転軸A2の正の方向に単位距離だけ移動させて可動部10を位置Q2に移動させ、この位置Q2で補助画像G2を取得する。次に、第1の駆動部81を停止して第1のシャフト61を初期位置に戻して可動部10を位置Q3に移動させ、この位置Q3で補助画像G3を取得する。そして、第1の駆動部81により第1のシャフト61を第1の回転軸A1の負の方向に単位距離だけ移動させて可動部10を位置Q4に移動させ、この位置Q4で補助画像G4を取得する。次に、第2の駆動部82を停止して第2のシャフト62を初期位置に戻して可動部10を位置Q5に移動させ、この位置Q5で補助画像G5を取得する。そして、第2の駆動部82により第2のシャフト62を第2の回転軸A2の負の方向に単位距離だけ移動させて可動部10を位置Q6に移動させ、この位置Q6で補助画像G6を取得する。次に、第1の駆動部81を停止して第1のシャフト61を初期位置に戻して可動部10を位置Q7に移動させ、この位置Q7で補助画像G7を取得する。さらに、第1の駆動部81により第1のシャフト61を第1の回転軸A1の正の方向に単位距離だけ移動させて可動部10を位置Q8に移動させ、この位置Q8で補助画像G8を取得する。
【0026】
このように、本実施形態では、撮像した基準位置Pを中心とする複数の位置Q1~Q8で補助画像G1~G8を取得することができ、基準位置Pで撮像した画像をこれらの補助画像G1~G8を用いて補正することで、より高品質な画像を生成することができる。
【0027】
このように、本実施形態によれば、撮像時に手振れが生じたときに第1の接続部を介して可動部10を第1の回転軸A1周りに回転させることにより、手振れを補正するように可動部の姿勢を変化させることができる。また、第1の接続部を介して可動部10を第1の回転軸A1周りに回転させるだけではなく、第2の接続部を介して可動部10を第2の回転軸A2周りに回転させることができるので、手振れを補正するように可動部の姿勢をより柔軟に変化させることができる。さらに、第1の駆動部81によって第1の接続部に第1の回転軸A1に沿った方向の力を作用させて可動部10をハウジング20に対して第1の回転軸A1に沿った方向に移動させて補助画像を取得することができる。また、第1の駆動部81によって可動部10を第1の回転軸A1に沿った方向に移動させるだけではなく、第2の駆動部82によって可動部10を第2の回転軸A2に沿った方向にも移動させることができるので、より多くの補助画像を取得することができる。したがって、より多くの補助画像を用いて撮像画像の品質をさらに高めることができる。
【0028】
図4に示す例では、基準位置Pに対してX方向及びY方向に隣接する位置(白抜きで示されている位置)には可動部10が移動しないように示されているが、第1のシャフト61を第1の回転軸A1に沿った方向に単位距離の半分の距離だけ移動させ、第2のシャフト62を第2の回転軸A2に沿った方向に単位距離の半分の距離だけ移動させることで可動部10をこれらの位置に移動させることができる。
【0029】
上述した実施形態では、第1の駆動部81及び第2の駆動部82にコイルを用いてソレノイドアクチュエータを構成した例を説明したが、第1の駆動部81及び第2の駆動部82にボイスコイルモータや圧電素子を用いて接続フレーム30を移動してもよく、また、第1の駆動部81及び第2の駆動部82として糸状の形状記憶合金からなる糸部材を用い、糸部材に電圧を印加させることで糸部材を伸縮させることで接続フレーム30を移動してもよい。また、第1の駆動部81及び第2の駆動部82としてプランジャを用いることもできる。例えば、接続フレーム30に設けたシャフトにプランジャを取り付け、コイルとプランジャとの間で磁気回路を形成することにより第1の駆動部81及び第2の駆動部82を構成してもよい。
【0030】
また、上述した実施形態においては、第1の接続部が接続フレーム30の第1のシャフト61とハウジング20の筐体21の第1の軸受部71とにより構成され、第2の接続部が接続フレーム30の第2のシャフト62と可動部10の基部14の第2の軸受部72とにより構成されるものとして説明したが、接続フレーム30と可動部10とが第1の接続部により接続され、接続フレーム30とハウジング20とが第2の接続部により接続されるように構成してもよい。その場合には、接続フレーム30のシャフト62が上述した第1のシャフトとなり、接続フレーム30のシャフト61が上述した第2のシャフトとなり、可動部10の軸受部72が上述した第1の軸受部となり、ハウジング20の軸受部71が上述した第2の軸受部となり、可動部10の駆動部82が上述した第1の駆動部となり、ハウジング20の駆動部81が上述した第2の駆動部となる。
【0031】
以上述べたように、本発明の一態様によれば、被写体を撮像する際の手振れを補正するだけではなく、被写体を撮像した位置から撮像光学系を移動することも可能な撮像ユニットが提供される。具体的には、本発明に係る撮像ユニットは、以下のような構成を採用することができる。
【0032】
(構成1)
撮像ユニットは、少なくとも1枚のレンズと撮像素子とを含む撮像光学系を収容した可動部と、上記可動部を収容するハウジングと、上記可動部と上記ハウジングとの間を接続する接続フレームと、上記可動部が上記ハウジングに対して上記撮像光学系の光軸と交差する第1の回転軸周りに回転するように上記接続フレームと上記可動部及び上記ハウジングの一方とを接続する第1の接続部と、上記第1の接続部に上記第1の回転軸に沿った方向の力を作用させて上記可動部を基準位置から上記ハウジングに対して上記第1の回転軸に沿った方向に移動させる第1の駆動部とを備える。
【0033】
(構成2)
上記構成1の撮像ユニットにおいて、上記第1の回転軸は、上記光軸と直交することが好ましい。
【0034】
(構成3)
上記構成1又は2の撮像ユニットにおいて、上記第1の接続部は、上記接続フレームに設けられた磁性体からなる第1のシャフトと、上記可動部及び上記ハウジングの上記一方に設けられ、上記第1のシャフトを受ける第1の軸受部とを有していてもよい。上記第1の駆動部は、上記第1のシャフトに電磁力を生じさせるコイルを含んでいてもよい。
【0035】
(構成4)
上記構成1から4のいずれかの撮像ユニットは、上記第1の回転軸に沿った方向において上記可動部を上記基準位置に保持するように上記第1の駆動部を駆動する制御部をさらに備えていてもよい。
【0036】
(構成5)
上記構成1から4のいずれかの撮像ユニットは、上記可動部が上記ハウジングに対して上記光軸及び上記第1の回転軸の双方と交差する第2の回転軸周りに回転するように上記接続フレームと上記可動部及び上記ハウジングの他方とを接続する第2の接続部と、上記第2の接続部に上記第2の回転軸に沿った方向の力を作用させて上記可動部を上記基準位置から上記ハウジングに対して上記第2の回転軸に沿った方向に移動させる第2の駆動部とをさらに備えていてもよい。
【0037】
(構成6)
上記構成5の撮像ユニットにおいて、上記第2の回転軸は、上記光軸及び上記第1の回転軸の双方と直交することが好ましい。
【0038】
(構成7)
上記構成5又は6の撮像ユニットにおいて、上記第2の接続部は、上記接続フレームに設けられた磁性体からなる第2のシャフトと、上記可動部及び上記ハウジングの上記他方に設けられ、上記第2のシャフトを受ける第2の軸受部とを有していてもよい。上記第2の駆動部は、上記第2のシャフトに電磁力を生じさせるコイルを含んでいてもよい。
【0039】
(構成8)
上記構成5から7のいずれかの撮像ユニットは、上記第2の回転軸に沿った方向及び上記第2の回転軸に沿った方向において上記可動部を上記基準位置に保持するように上記第1の駆動部及び第2の駆動部を駆動する制御部をさらに備えていてもよい。
【0040】
これまで本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0041】
1 撮像ユニット
10 可動部
11 レンズ
12 撮像部
14 基部
15,16 磁石
20 ハウジング
21 筐体
22 収容部
23 カバーフレーム
24 底板
25,26 コイル
30 接続フレーム
33 第1アーム
34 第2アーム
51,52 フレキシブルプリント基板
52A,52B 第1のコイル駆動部
61 第1のシャフト
62 第2のシャフト
71 第1の軸受部
72 第2の軸受部
81 第1の駆動部
82 第2の駆動部
A1 第1の回転軸
A2 第2の回転軸
L 光軸
P 基準位置
図1
図2A
図2B
図3
図4