(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102487
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】液体アンモニア供給システム
(51)【国際特許分類】
A01G 7/00 20060101AFI20240724BHJP
A01G 7/02 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
A01G7/00 601Z
A01G7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006392
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓太
(72)【発明者】
【氏名】大坪 尚充
(72)【発明者】
【氏名】武関 尚人
(72)【発明者】
【氏名】中尾 洋一
(72)【発明者】
【氏名】大谷 元希
(72)【発明者】
【氏名】藤村 修
(72)【発明者】
【氏名】近藤 雅敦
【テーマコード(参考)】
2B022
【Fターム(参考)】
2B022DA15
2B022DA19
(57)【要約】
【課題】用途に応じた濃度の液体アンモニアを供給することができる技術を提供する。
【解決手段】液体アンモニア供給システムは、液体アンモニアを貯留する第1タンクと、水を貯留する第2タンクと、第1タンクから所定の供給先へ液体アンモニアを供給する第1供給通路と、第1供給通路の下流端に取り付けられたノズルと、第2タンクから第1供給通路へ水を供給する第2供給通路と、第2供給通路を通じて第1供給通路へ供給する水の量を調整する第1調整装置と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体アンモニアを貯留する第1タンクと、
水を貯留する第2タンクと、
前記第1タンクから所定の供給先へ液体アンモニアを供給する第1供給通路と、
前記第1供給通路の下流端に取り付けられたノズルと、
前記第2タンクから前記第1供給通路へ水を供給する第2供給通路と、
前記第2供給通路を通じて前記第1供給通路へ供給する水の量を調整する第1調整装置と、を備える液体アンモニア供給システム。
【請求項2】
請求項1に記載の液体アンモニア供給システムであって、
二酸化炭素を貯留する第3タンクと、
前記第3タンクから前記供給先へ二酸化炭素を供給する第3供給通路と、
前記第3供給通路を通じて前記供給先へ供給する二酸化炭素の量を調整する第2調整装置と、を更に備える液体アンモニア供給システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の液体アンモニア供給システムであって、
液体アンモニアを前記供給先へ供給することを指示する情報を含む指示情報を受信するサーバを更に備え、
前記サーバは、前記指示情報を受信する場合に、液体アンモニアが前記供給先へ供給されるように前記ノズルを制御する、液体アンモニア供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、液体アンモニア供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、煙突から排出される排気ガス(主に熱と二酸化炭素とアンモニア成分)を溶かし込んだ石灰溶液を反応させて肥料成分を含んだ液体肥料を製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術は、アンモニアを肥料に加工する方法であるが、アンモニアそのものを肥料として用いるものではない。近年では、アンモニアの様々な用途が検討されている。本明細書は、用途に応じた濃度の液体アンモニアを供給することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本技術の第1の態様は、液体アンモニア供給システムが、液体アンモニアを貯留する第1タンクと、水を貯留する第2タンクと、前記第1タンクから所定の供給先へ液体アンモニアを供給する第1供給通路と、前記第1供給通路の下流端に取り付けられたノズルと、前記第2タンクから前記第1供給通路へ水を供給する第2供給通路と、前記第2供給通路を通じて前記第1供給通路へ供給する水の量を調整する第1調整装置と、を備えている。
【0006】
この構成によれば、第1調整装置により第1供給通路へ供給する水の量を調整することにより、液体アンモニアの濃度を調整することができ、供給先の用途に応じた濃度の液体アンモニアを供給することができる。
【0007】
第2の態様では、上記第1の態様において、液体アンモニア供給システムが、二酸化炭素を貯留する第3タンクと、前記第3タンクから前記供給先へ二酸化炭素を供給する第3供給通路と、前記第3供給通路を通じて前記供給先へ供給する二酸化炭素の量を調整する第2調整装置と、を更に備えていてもよい。
【0008】
この構成によれば、第2調整装置により供給先へ供給する二酸化炭素の量を調整することにより、供給先の用途に応じて、二酸化炭素の供給量を調整することができる。例えば、供給先の用途が植物の育成である場合に、液体アンモニアと二酸化炭素の混合比率を植物の育成に応じた混合比率に調整することができる。
【0009】
第3の態様では、上記第1又は第2の態様において、液体アンモニア供給システムが、液体アンモニアを前記供給先へ供給することを指示する情報を含む指示情報を受信するサーバを更に備えていてもよい。前記サーバは、前記指示情報を受信する場合に、液体アンモニアが前記供給先へ供給されるように前記ノズルを制御してもよい。
【0010】
この構成によれば、サーバを備えることにより、液体アンモニアを供給先に供給する依頼(指示情報)を受け付けることができる。そのため、液体アンモニアを供給先に供給するサービスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例の液体アンモニア供給システムの概略構成を示す図。
【
図2】実施例のサーバが実行する処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施例の液体アンモニア供給システム2について図面を参照して説明する。
図1に示すように、液体アンモニア供給システム2は、第1タンク10と、第2タンク30と、第3タンク40と、第1供給通路12と、第2供給通路32と、第3供給通路42とを備えている。また、液体アンモニア供給システム2は、サーバ60とユーザ端末70を備えている。
【0013】
液体アンモニア供給システム2は、所定の供給先Pに液体アンモニアを供給する装置である。所定の供給先Pは、例えば、畑、花壇、ビニルハウス、実験場、研究施設等である。液体アンモニア供給システム2は、例えば、植物育成促進装置として使用されてもよい。この場合、液体アンモニアが液体肥料として使用される。また、液体アンモニア供給システム2は、例えば、液体アンモニアを中和剤として供給先Pに供給する中和剤供給装置として使用されてもよい。
【0014】
第1タンク10は、供給先Pへ供給するための液体アンモニア(NH3)を貯留している。第1タンク10には第1供給通路12の上流端が接続されている。第1供給通路12は、第1タンク10から供給先Pまで延びており、第1タンク10から供給先Pへ液体アンモニアを供給する。第1供給通路12の下流端にはインジェクタ18が取り付けられている。インジェクタ18は、第1供給通路12を通じて供給される液体アンモニアを供給先Pに向けて噴射する。インジェクタ18は、例えば、通電制御により開閉する電磁式のインジェクタである。
【0015】
第1タンク10とインジェクタ18の間の第1供給通路12にはポンプ14とエゼクタ16が設けられている。ポンプ14は、第1供給通路12を流れる液体アンモニアを上流側から下流側へ圧送する。エゼクタ16は、ポンプ14より下流側に設けられている。エゼクタ16は、第1供給通路12を流れる液体アンモニアの作用により生じる負圧を利用して後述する第3供給通路42を流れる二酸化炭素を吸引し、液体アンモニアと二酸化炭素を混合させた状態で下流側へ吐出する装置である。
【0016】
第2タンク30は、液体アンモニアを希釈するための水(H2O)を貯留している。第2タンク30には第2供給通路32の上流端が接続されている。第2供給通路32の下流端は、第1タンク10とポンプ14の間の第1供給通路12に接続されている。第2供給通路32は、第2タンク30から第1供給通路12まで延びており、第2タンク30から第1供給通路12へ水を供給する。
【0017】
第2供給通路32には、第2供給通路32を開閉する第1バルブ34が設けられている。第1バルブ34が開弁すると第1供給通路12に水が供給される。これにより、液体アンモニアの水溶液が生成される。第1バルブ34の開度及び開弁時間は調整可能である。第1バルブ34の開度及び開弁時間を調整することにより、第2供給通路32を通じて第1供給通路12に供給される水の量を調整することができる。
【0018】
第3タンク40は、液体アンモニアと混合するための二酸化炭素(CO2)を貯留している。第3タンク40には第3供給通路42の上流端が接続されている。第3供給通路42の下流端は、第1供給通路12に設けられているエゼクタ16に接続されている。第3供給通路42は、第3タンク40からエゼクタ16まで延びており、第3タンク40からエゼクタ16へ二酸化炭素を供給する。
【0019】
第3供給通路42には、第3供給通路42を開閉する第2バルブ44が設けられている。第2バルブ44が開弁するとエゼクタ16に二酸化炭素が供給され、エゼクタ16を介して第1供給通路12に二酸化炭素が供給される。第2バルブ44の開度及び開弁時間は調整可能である。第2バルブ44の開度及び開弁時間を調整することにより、第3供給通路42を通じて第1供給通路12に供給される二酸化炭素の量を調整することができる。
【0020】
次に、サーバ60とユーザ端末70について説明する。サーバ60は、例えば、CPU、ROM、RAM等を備えており、所定のプログラムに基づいて様々な制御や処理を実行可能である。サーバ60は、液体アンモニア供給システム2の各構成要素(例えば、ポンプ14、インジェクタ18、第1バルブ34、第2バルブ44)を制御可能である。サーバ60による制御内容については後述する。また、サーバ60は、ネットワーク(例えば、インターネット)を介してユーザ端末70と通信可能である。
【0021】
ユーザ端末70は、例えば、スマートフォン、タブレット、ノートPC、デスクトップPC等である。ユーザ端末70は、例えば、CPU、ROM、RAM等を備えており、所定のプログラムに基づいて様々な制御や処理を実行可能である。ユーザ端末70は、ユーザによる入力操作を受け付ける入力部72(例えば、タッチパネル、キーボード等)を備えている。
【0022】
入力部72は、ユーザによる入力操作により、所定の指示情報を入力可能である。指示情報は、液体アンモニアを供給先Pへ供給することを指示する情報を含んでいる。また、指示情報は、例えば、供給先Pへ供給する液体アンモニアの量を示す供給量情報を含んでいる。また、指示情報は、例えば、供給先Pへ供給する液体アンモニアの流量を示す流量情報を含んでいる。また、指示情報は、例えば、第2タンク30から第2供給通路32を通じて第1供給通路12へ供給する水の量を示す水量情報を含んでいる。また、指示情報は、例えば、第3タンク40から第3供給通路42を通じてエゼクタ16へ供給する二酸化炭素の量を示す二酸化炭素量情報を含んでいる。ユーザ端末70は、入力部72で入力される指示情報を、ネットワークを介してサーバ60へ送信可能である。ユーザ端末70は、入力部72で送信指示が入力される場合に、指示情報をサーバ60へ送信する。
【0023】
図2は、実施例のサーバ60が実行する処理のフローチャートである。
図2の処理は、例えば、サーバ60の電源がオンになると開始される。
図2の処理のS2では、サーバ60は、ユーザ端末70から指示情報を受信するか否かを監視する。サーバ60がユーザ端末70から指示情報を受信する場合(S2でYES)、処理はS4に進む。一方、サーバ60がユーザ端末70から指示情報を受信しない場合(S2でNO)、S2の監視が続行される。
【0024】
S2でYESの後のS4では、サーバ60は、ユーザ端末70から受信する指示情報に基づいて、液体アンモニア供給システム2の各構成要素(例えば、ポンプ14、インジェクタ18、第1バルブ34、第2バルブ44)を制御する。例えば、サーバ60は、液体アンモニアが供給先Pへ供給されるようにインジェクタ18を制御する。サーバ60は、インジェクタ18を通電制御により開状態にする。また、サーバ60は、例えば、指示情報に含まれる供給量情報に基づいて、インジェクタ18の開時間を制御することにより、供給先Pへ供給される液体アンモニアの量を調整してもよい。また、サーバ60は、例えば、指示情報に含まれる流量情報に基づいて、ポンプ14の出力を制御することにより、供給先Pへ供給される液体アンモニアの流量を調整してもよい。また、サーバ60は、例えば、指示情報に含まれる水量情報に基づいて、第1バルブ34の開度を制御することにより、第2タンク30から第2供給通路32を通じて第1供給通路12へ供給される水の量を調整してもよい。また、サーバ60は、例えば、指示情報に含まれる二酸化炭素量情報に基づいて、第2バルブ44の開度を制御することにより、第3タンク40から第3供給通路42を通じて第1供給通路12へ供給される二酸化炭素量の量を調整してもよい。
【0025】
(効果)
以上、実施例の液体アンモニア供給システム2について説明した。以上の説明から明らかなように、液体アンモニア供給システム2は、液体アンモニアを貯留する第1タンク10と、水を貯留する第2タンク30と、第1タンク10から供給先Pへ液体アンモニアを供給する第1供給通路12と、第1供給通路12の下流端に取り付けられたインジェクタ18(ノズルの一例)と、第2タンク30から第1供給通路12へ水を供給する第2供給通路32と、第2供給通路32を通じて第1供給通路12へ供給する水の量を調整する第1バルブ34(第1調整装置の一例)とを備えている。
【0026】
この構成によれば、第1バルブ34により第1供給通路12へ供給する水の量を調整することにより、液体アンモニアの濃度を調整することができ、供給先Pの用途に応じた濃度の液体アンモニアを供給することができる。
【0027】
また、液体アンモニア供給システム2は、二酸化炭素を貯留する第3タンク40と、第3タンク40から第1供給通路12へ二酸化炭素を供給する第3供給通路42と、第3供給通路42を通じて第1供給通路12へ供給する二酸化炭素の量を調整する第2バルブ44(第2調整装置の一例)とを備えている。
【0028】
この構成によれば、第2バルブ44により第1供給通路12へ供給する二酸化炭素の量を調整することにより、供給先Pの用途に応じて、二酸化炭素の供給量を調整することができる。例えば、供給先Pの用途が植物の育成である場合に、液体アンモニアと二酸化炭素の混合比率を植物の育成に応じた混合比率に調整することができる。
【0029】
また、液体アンモニア供給システム2は、液体アンモニアを供給先Pへ供給することを指示する情報を含む指示情報を受信するサーバ60を備えている。サーバ60は、指示情報を受信する場合に、液体アンモニアが供給先Pへ供給されるようにインジェクタ18を制御する。
【0030】
この構成によれば、サーバ60を備えることにより、液体アンモニアを供給先Pに供給する依頼(指示情報)を受け付けることができる。そのため、液体アンモニアを供給先Pに供給するサービスを提供することができる。
【0031】
(変形例)
上記の実施例では、ノズルの一例としてインジェクタ18について説明したが、この構成に限定されない。変形例では、液体アンモニアを複数の供給先に分配するノズルが第1供給通路12の下流端に取り付けられていてもよい。
【0032】
上記の実施例では、サーバ60がユーザ端末70から指示情報を受信する構成であったが、この構成に限定されず、変形例では、サーバ60がユーザ端末70以外の装置(例えば、他の外部サーバ等)から指示情報を受信する構成であってもよい。
【0033】
上記の実施例では、第3タンク40から第3供給通路42を通じて第1供給通路12へ二酸化炭素を供給し、第1供給通路12を通じて供給先Pへ二酸化炭素を供給する構成であったが、この構成に限定されない。変形例では、第3タンク40から第3供給通路42を通じて供給先Pへ直接的に二酸化炭素を供給する構成であってもよい。変形例では、二酸化炭素と液体アンモニアを第1供給通路12で混合しなくてもよい。この場合、第3供給通路42は、第3タンク40から供給先Pまで延びており、第3タンク40から供給先Pへ直接的に二酸化炭素を供給する。二酸化炭素と液体アンモニアを別々で供給先Pに供給する。
【0034】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0035】
2:液体アンモニア供給システム、10:第1タンク、12:第1供給通路、14:ポンプ、16:エゼクタ、18:インジェクタ、30:第2タンク、32:第2供給通路、34:第1バルブ、40:第3タンク、42:第3供給通路、44:第2バルブ、60:サーバ、70:ユーザ端末、72:入力部、P:供給先