(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102488
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】印刷装置および印刷方法
(51)【国際特許分類】
B05C 5/00 20060101AFI20240724BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240724BHJP
B05D 1/26 20060101ALI20240724BHJP
B05D 1/02 20060101ALI20240724BHJP
B05B 12/00 20180101ALI20240724BHJP
B05B 13/04 20060101ALI20240724BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B41J2/01 201
B41J2/01 109
B41J2/01 303
B41J2/01 451
B05D1/26 Z
B05D1/02 B
B05B12/00 A
B05B13/04
B05C11/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006393
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 将道
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 光平
(72)【発明者】
【氏名】中島 吉紀
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 勝
(72)【発明者】
【氏名】石井 裕樹
【テーマコード(参考)】
2C056
4D075
4F035
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EB29
2C056EC07
2C056EC11
2C056EC33
2C056FA09
2C056FB09
4D075AA37
4D075AA85
4D075AC06
4D075AC08
4D075AC09
4D075AC93
4D075CA48
4D075DA23
4D075EA05
4F035AA03
4F035BB06
4F035BB32
4F035BC02
4F035CA01
4F035CA05
4F035CD06
4F035CD18
4F035CD19
4F041AA01
4F041AB01
4F041BA01
4F041BA10
4F041BA13
4F041BA22
4F041BA38
4F042AA01
4F042AB00
4F042BA08
4F042BA10
(57)【要約】
【課題】印刷画質を向上させる。
【解決手段】印刷装置は、液体を吐出する複数のノズルが設けられたノズル面を有するヘッドと、互いに異なる回動軸まわりに回動可能な複数の関節を含み、ワークに対するヘッドの相対的な位置を変化させるロボットと、を備え、ロボットがワークに対するヘッドの相対的な位置を変化させつつ、ヘッドが液体を吐出することにより、ワーク上の第1バンド領域に印刷を行う第1印刷動作を実行し、第1印刷動作を開始するタイミングを第1タイミングとし、第1印刷動作を終了するタイミングを第2タイミングとし、第1タイミングと第2タイミングとの間のタイミングを第3タイミングとし、ノズル面の法線方向に沿う複数のノズルとワークとの間の距離を吐出距離としたとき、第1タイミングおよび第2タイミングのうちの一方または両方における吐出距離は、第3タイミングにおける吐出距離よりも大きい。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する複数のノズルが設けられたノズル面を有するヘッドと、
互いに異なる回動軸まわりに回動可能な複数の関節を含み、ワークに対する前記ヘッドの相対的な位置を変化させるロボットと、を備え、
前記ロボットが前記ワークに対する前記ヘッドの相対的な位置を変化させつつ、前記ヘッドが液体を吐出することにより、前記ワーク上の第1バンド領域に印刷を行う第1印刷動作を実行し、
前記第1印刷動作を開始するタイミングを第1タイミングとし、
前記第1印刷動作を終了するタイミングを第2タイミングとし、
前記第1タイミングと前記第2タイミングとの間のタイミングを第3タイミングとし、
前記ノズル面の法線方向に沿う前記複数のノズルと前記ワークとの間の距離を吐出距離としたとき、
前記第1タイミングおよび前記第2タイミングのうちの一方または両方における前記吐出距離は、前記第3タイミングにおける前記吐出距離よりも大きい、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記第1タイミングにおける前記吐出距離は、前記第3タイミングにおける前記吐出距離よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記第1タイミングと前記第3タイミングとの間のタイミングを第4タイミングとしたとき、
前記第4タイミングにおける前記吐出距離は、前記第3タイミングにおける前記吐出距離よりも大きく、かつ、前記第1タイミングにおける前記吐出距離よりも小さい、
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記第2タイミングにおける前記吐出距離は、前記第3タイミングにおける前記吐出距離よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記第2タイミングと前記第3タイミングとの間のタイミングを第5タイミングとしたとき、
前記第5タイミングにおける前記吐出距離は、前記第3タイミングにおける前記吐出距離よりも大きく、かつ、前記第2タイミングにおける前記吐出距離よりも小さい、
ことを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記第3タイミングを含み、かつ、前記第1タイミングおよび前記第2タイミングを含まない期間の少なくとも一部にわたり、前記吐出距離が一定である、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記第1印刷動作の実行中において前記ワークと前記ヘッドとの相対的な姿勢が変化する、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記ワークは、第1面と、前記第1面とは異なる方向を向く第2面と、を有し、
前記第1面と前記第2面との間には、前記第1面および前記第2面による凸状の角が形成され、
前記第1バンド領域は、前記第1面内の領域であり、
前記第1タイミングにおいて、前記ヘッドから液体が付与される前記第1面の位置を第1位置とし、
前記第3タイミングにおいて、前記ヘッドから液体が付与される前記第1面の位置を第3位置としたとき、
前記第1位置は、前記第3位置よりも前記角および前記第2面に近い、
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記第1位置は、前記第1面の前記角を形成する端に位置する、
ことを特徴とする請求項8に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記第1印刷動作の実行直前において、前記ロボットが前記ワークと前記ヘッドとの相対的な位置を変化させつつ、前記ヘッドから液体を吐出させない第1非印刷動作を実行し、
前記第1非印刷動作の実行中の任意のタイミングを第6タイミングとしたとき、
前記第6タイミングにおける前記吐出距離は、前記第1タイミングにおける前記吐出距離よりも大きい、
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記ロボットの動作を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記第1印刷動作および前記第1非印刷動作のそれぞれにおける前記ワークと前記ヘッドとの相対的な位置を仮想空間において規定する複数の教示点の集合に関する経路情報を取得し、
前記複数の教示点は、
前記第1タイミングにおける前記ワークと前記ヘッドとの相対的な位置を示す教示点である第1教示点と、
前記第3タイミングにおける前記ワークと前記ヘッドとの相対的な位置を示す教示点である第3教示点と、
前記第6タイミングにおける前記ワークと前記ヘッドとの相対的な位置を示す教示点である第6教示点と、を含み、
前記仮想空間において、前記第1教示点に基づく前記吐出距離は、前記第3教示点に基づく前記吐出距離よりも大きく、かつ、前記第6教示点に基づく前記吐出距離よりも小さい、
ことを特徴とする請求項10に記載の印刷装置。
【請求項12】
前記第1印刷動作の実行直後において、前記ロボットが前記ワークと前記ヘッドとの相対的な位置を変化させつつ、前記ヘッドから液体を吐出させない第2非印刷動作を実行し、
前記第2非印刷動作の実行中の任意のタイミングを第7タイミングとしたとき、
前記第7タイミングにおける前記吐出距離は、前記第2タイミングにおける前記吐出距離よりも大きい、
ことを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項13】
前記ロボットの動作を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記第1印刷動作および前記第2非印刷動作のそれぞれにおける前記ワークと前記ヘッドとの相対的な位置を仮想空間において規定する複数の教示点の集合に関する経路情報を取得し、
前記複数の教示点は、
前記第2タイミングにおける前記ワークと前記ヘッドとの相対的な位置を示す教示点である第2教示点と、
前記第3タイミングにおける前記ワークと前記ヘッドとの相対的な位置を示す教示点である第3教示点と、
前記第7タイミングにおける前記ワークと前記ヘッドとの相対的な位置を示す教示点である第7教示点と、を含み、
前記仮想空間において、前記第2教示点に基づく前記吐出距離は、前記第3教示点に基づく前記吐出距離よりも大きく、かつ、前記第7教示点に基づく前記吐出距離よりも小さい、
ことを特徴とする請求項12に記載の印刷装置。
【請求項14】
前記ロボットが前記ワークと前記ヘッドとの相対的な位置を変化させつつ、前記ヘッドから液体を吐出することにより、前記ワーク上の前記第1バンド領域に隣接する第2バンド領域に印刷を行う第2印刷動作を実行し、
前記第2印刷動作を開始するタイミングを第8タイミングとし、
前記第2印刷動作を終了するタイミングを第9タイミングとしたとき、
前記第1タイミングにおける前記吐出距離と前記第8タイミングにおける前記吐出距離とが互いに異なることと、前記第2タイミングにおける前記吐出距離と前記第9タイミングにおける前記吐出距離とが互いに異なることと、のうち一方または両方を満足する、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項15】
液体を吐出する複数のノズルが設けられたノズル面を有するヘッドと、
互いに異なる回動軸まわりに回動可能な複数の関節を含み、ワークに対する前記ヘッドの相対的な位置を変化させるロボットと、を備え、
前記ロボットが前記ワークに対する前記ヘッドの相対的な位置を変化させつつ、前記ヘッドが液体を吐出することにより、前記ワーク上の第1バンド領域に印刷を行う第1印刷動作を実行し、
前記第1印刷動作を開始するタイミングを第1タイミングとし、
前記第1印刷動作を終了するタイミングを第2タイミングとし、
前記第1タイミングと前記第2タイミングとの間のタイミングを第3タイミングとし、
前記複数のノズルから前記ノズル面の法線方向に延びる仮想直線と前記ワークの表面との交点における前記仮想直線と前記ワークの表面とのなす角度を着弾角度としたとき、
前記第1タイミングおよび前記第2タイミングのうちの一方または両方における前記着弾角度は、前記第3タイミングにおける前記着弾角度よりも小さい、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項16】
前記複数のノズルから前記ノズル面の法線方向に延びる仮想直線と前記ワークの表面との交点における前記仮想直線と前記ワークの表面とのなす角度を着弾角度としたとき、
前記第1タイミングにおける前記着弾角度は、前記第3タイミングにおける前記着弾角度よりも小さい、
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項17】
前記複数のノズルから前記ノズル面の法線方向に延びる仮想直線と前記ワークの表面との交点における前記仮想直線と前記ワークの表面とのなす角度を着弾角度としたとき、
前記第2タイミングにおける前記着弾角度は、前記第3タイミングにおける前記着弾角度よりも小さい、
ことを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項18】
液体を吐出する複数のノズルが設けられたノズル面を有するヘッドと、
互いに異なる回動軸まわりに回動可能な複数の関節を含み、ワークに対する前記ヘッドの相対的な位置を変化させるロボットと、を用いた印刷方法であって、
前記ロボットが前記ワークに対する前記ヘッドの相対的な位置を変化させつつ、前記ヘッドが液体を吐出することにより、前記ワーク上の第1バンド領域に印刷を行う第1印刷動作を実行する場合、
前記第1印刷動作の実行前に、前記ワークと前記ヘッドとの相対的な位置を仮想空間において規定する複数の教示点の集合に関する経路情報を取得するステップと、
前記経路情報を用いて前記第1印刷動作を実行するステップと、を含み、
前記第1印刷動作を開始するタイミングを第1タイミングとし、
前記第1印刷動作を終了するタイミングを第2タイミングとし、
前記第1タイミングと前記第2タイミングとの間のタイミングを第3タイミングとし、
前記ノズル面の法線方向に沿う前記複数のノズルと前記ワークとの間の距離を吐出距離としたとき、
前記複数の教示点は、
前記第1タイミングにおける前記ワークと前記ヘッドとの相対的な位置を示す教示点である第1教示点と、
前記第2タイミングにおける前記ワークと前記ヘッドとの相対的な位置を示す教示点である第2教示点と、
前記第3タイミングにおける前記ワークと前記ヘッドとの相対的な位置を示す教示点である第3教示点と、を含み、
前記仮想空間において、前記第1教示点および前記第2教示点のうちの一方または両方に基づく前記吐出距離は、前記第3教示点に基づく前記吐出距離よりも大きい、
ことを特徴とする印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷装置および印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボットを用いて立体的なワークの表面にインクジェット方式により印刷を行う印刷装置が知られている。例えば、特許文献1には、ロボットが液体吐出ヘッドを移動経路に沿って移動させつつ、液体吐出ヘッドがワークに向けてインクを吐出する印刷動作が記載される。この印刷動作では、ヘッドの移動経路の全域にわたり、ワークの面と液体吐出ヘッドとの間の距離が一定に維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、印刷動作の実行中におけるロボットの動作によって生じる振動が印刷画質に悪影響を与える場合がある。このような状況のもと、ロボットの動作による振動を考慮しつつ、印刷画質を向上させることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本開示の印刷装置の一態様は、液体を吐出する複数のノズルが設けられたノズル面を有するヘッドと、互いに異なる回動軸まわりに回動可能な複数の関節を含み、ワークに対する前記ヘッドの相対的な位置を変化させるロボットと、を備え、前記ロボットが前記ワークに対する前記ヘッドの相対的な位置を変化させつつ、前記ヘッドが液体を吐出することにより、前記ワーク上の第1バンド領域に印刷を行う第1印刷動作を実行し、前記第1印刷動作を開始するタイミングを第1タイミングとし、前記第1印刷動作を終了するタイミングを第2タイミングとし、前記第1タイミングと前記第2タイミングとの間のタイミングを第3タイミングとし、前記ノズル面の法線方向に沿う前記複数のノズルと前記ワークとの間の距離を吐出距離としたとき、前記第1タイミングおよび前記第2タイミングのうちの一方または両方における前記吐出距離は、前記第3タイミングにおける前記吐出距離よりも大きい。
【0006】
本開示の印刷装置の他の一態様は、液体を吐出する複数のノズルが設けられたノズル面を有するヘッドと、互いに異なる回動軸まわりに回動可能な複数の関節を含み、ワークに対する前記ヘッドの相対的な位置を変化させるロボットと、を備え、前記ロボットが前記ワークに対する前記ヘッドの相対的な位置を変化させつつ、前記ヘッドが液体を吐出することにより、前記ワーク上の第1バンド領域に印刷を行う第1印刷動作を実行し、前記第1印刷動作を開始するタイミングを第1タイミングとし、前記第1印刷動作を終了するタイミングを第2タイミングとし、前記第1タイミングと前記第2タイミングとの間のタイミングを第3タイミングとし、前記複数のノズルから前記ノズル面の法線方向に延びる仮想直線と前記ワークの表面との交点における前記仮想直線と前記ワークの表面とのなす角度を着弾角度としたとき、前記第1タイミングおよび前記第2タイミングのうちの一方または両方における前記着弾角度は、前記第3タイミングにおける前記着弾角度よりも小さい。
【0007】
本開示の印刷方法の一態様は、液体を吐出する複数のノズルが設けられたノズル面を有するヘッドと、互いに異なる回動軸まわりに回動可能な複数の関節を含み、ワークに対する前記ヘッドの相対的な位置を変化させるロボットと、を用いた印刷方法であって、前記ロボットが前記ワークに対する前記ヘッドの相対的な位置を変化させつつ、前記ヘッドが液体を吐出することにより、前記ワーク上の第1バンド領域に印刷を行う第1印刷動作を実行する場合、前記第1印刷動作の実行前に、前記ワークと前記ヘッドとの相対的な位置を仮想空間において規定する複数の教示点の集合に関する経路情報を取得するステップと、前記経路情報を用いて前記第1印刷動作を実行するステップと、を含み、前記第1印刷動作を開始するタイミングを第1タイミングとし、前記第1印刷動作を終了するタイミングを第2タイミングとし、前記第1タイミングと前記第2タイミングとの間のタイミングを第3タイミングとし、前記ノズル面の法線方向に沿う前記複数のノズルと前記ワークとの間の距離を吐出距離としたとき、前記複数の教示点は、前記第1タイミングにおける前記ワークと前記ヘッドとの相対的な位置を示す教示点である第1教示点と、前記第2タイミングにおける前記ワークと前記ヘッドとの相対的な位置を示す教示点である第2教示点と、前記第3タイミングにおける前記ワークと前記ヘッドとの相対的な位置を示す教示点である第3教示点と、を含み、前記仮想空間において、前記第1教示点および前記第2教示点のうちの一方または両方に基づく前記吐出距離は、前記第3教示点に基づく前記吐出距離よりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る印刷装置の概略を示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る印刷装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図3】ヘッドユニットの概略構成を示す斜視図である。
【
図4】第1実施形態に係る印刷方法の流れを示す図である。
【
図5】第1実施形態における第1バンド領域を説明するための図である。
【
図6】参考例における印刷動作の実行時のヘッドの軌跡を説明するための斜視図である。
【
図7】参考例における印刷動作の実行時のヘッドの移動経路を説明するための図である。
【
図8】吐出距離および着弾角度を説明するための図である。
【
図9】第1実施形態における第1印刷動作の実行時のヘッドの軌跡を説明するための斜視図である。
【
図10】第1実施形態における第1印刷動作の実行時のヘッドの移動経路を説明するための図である。
【
図11】第2実施形態に係る印刷方法の流れを示す図である。
【
図12】第2実施形態における第1バンド領域および第2バンド領域を説明するための図である。
【
図13】第2実施形態における第1印刷動作および第2印刷動作の実行時のヘッドの軌跡を説明するための斜視図である。
【
図14】第2実施形態における第1印刷動作の実行時のヘッドの移動経路を説明するための図である。
【
図15】第2実施形態における第2印刷動作の実行時のヘッドの移動経路を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本開示に係る好適な実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法および縮尺は実際と適宜に異なり、理解を容易にするために模式的に示している部分もある。また、本開示の範囲は、以下の説明において特に本開示を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られない。
【0010】
以下では、説明の便宜上、互いに交差するX軸、Y軸およびZ軸を適宜に用いて説明を行う。また、以下では、X軸に沿う一方向がX1方向であり、X1方向と反対の方向がX2方向である。同様に、Y軸に沿って互いに反対の方向がY1方向およびY2方向である。また、Z軸に沿って互いに反対の方向がZ1方向およびZ2方向である。
【0011】
ここで、X軸、Y軸およびZ軸は、後述のロボット2が設置される空間に設定されるワールド座標系の座標軸に相当する。典型的には、Z軸が鉛直な軸であり、Z2方向が鉛直方向での下方向に相当する。当該ワールド座標系には、ロボット2の後述の基部210の位置を基準とするベース座標系がキャリブレーションにより対応付けられる。以下では、便宜上、ワールド座標系をロボット座標系として用いてロボット2の動作を制御する場合が例示される。
【0012】
なお、Z軸は、鉛直な軸でなくともよい。また、X軸、Y軸およびZ軸は、典型的には互いに直交するが、これに限定されず、直交しない場合もある。例えば、X軸、Y軸およびZ軸が80°以上100°以下の範囲内の角度で互いに交差すればよい。
【0013】
1-1.印刷装置の概略
図1は、第1実施形態に係る印刷装置1の概略を示す斜視図である。印刷装置1は、立体的なワークWの表面にインクジェット方式により印刷を行う装置である。
【0014】
ワークWは、印刷対象となる面WFを有する。
図1に示す例では、面WFがY軸に平行となるようにZ1方向に向けて突出する凸湾曲面である。面WFの曲率は、X軸に沿う方向での位置に応じて異なってもよいし、X軸に沿う方向での全域にわたり一定でもよい。なお、印刷対象は、ワークWが有する複数の面のうち面WF以外の面でもよい。また、ワークWの大きさ、形状または設置姿勢は、
図1に示す例に限定されず、任意である。例えば、面WFは、球面に沿う形状であってもよい。
【0015】
図1に示すように、印刷装置1は、ロボット2とヘッドユニット3とコントローラー5と配管部10とを有する。以下、まず、
図1に基づいて、これらを順に簡単に説明する。
【0016】
ロボット2は、ワールド座標系でのヘッドユニット3の位置および姿勢を変化させるロボットである。
図1に示す例では、ロボット2は、いわゆる6軸の垂直多関節ロボットである。
【0017】
図1に示すように、ロボット2は、基部210と腕部220とを有する。
【0018】
基部210は、腕部220を支持する台である。
図1に示す例では、基部210は、Z1方向を向く床面または基台等の設置面にネジ止め等により固定される。なお、基部210が固定される設置面は、いかなる方向を向く面でもよく、
図1に示す例に限定されず、例えば、壁、天井、移動可能な台車等が有する面でもよい。
【0019】
腕部220は、基部210に取り付けられる基端と、当該基端に対して3次元的に位置および姿勢を変化させる先端と、を有する6軸のロボットアームである。具体的には、腕部220は、リンクとも称されるアーム221、222、223、224、225および226を有し、これらがこの順に連結される。
【0020】
アーム221は、基部210に対して回動軸O1まわりに回動可能に関節230_1を介して連結される。アーム222は、アーム221に対して回動軸O2まわりに回動可能に関節230_2を介して連結される。アーム223は、アーム222に対して回動軸O3まわりに回動可能に関節230_3を介して連結される。アーム224は、アーム223に対して回動軸O4まわりに回動可能に関節230_4を介して連結される。アーム225は、アーム224に対して回動軸O5まわりに回動可能に関節230_5を介して連結される。アーム226は、アーム225に対して回動軸O6まわりに回動可能に関節230_6を介して連結される。
【0021】
関節230_1~230_6のそれぞれは、基部210およびアーム221~226のうち互いに隣り合う2つの部材の一方を他方に対して回動可能に連結する機構である。なお、以下では、関節230_1~230_6のそれぞれを「関節230」という場合がある。
【0022】
図1では図示しないが、関節230_1~230_6のそれぞれには、対応する当該互いに隣り合う2つの部材の一方を他方に対して回動させる駆動機構が設けられる。当該駆動機構は、例えば、当該回動のための駆動力を発生させるモーターと、当該駆動力を減速して出力する減速機と、当該回動の角度等の動作量を検出するロータリーエンコーダー等のエンコーダーと、を有する。なお、関節230_1~230_6の当該駆動機構の集合体は、後述の
図2に示すアーム駆動機構2aに相当する。
【0023】
回動軸O1は、基部210が固定される図示しない設置面に対して垂直な軸である。回動軸O2は、回動軸O1に対して垂直な軸である。回動軸O3は、回動軸O2に対して平行な軸である。回動軸O4は、回動軸O3に対して垂直な軸である。回動軸O5は、回動軸O4に対して垂直な軸である。回動軸O6は、回動軸O5に対して垂直な軸である。
【0024】
このように、ロボット2は、互いに異なる回動軸O1、O2、O3、O4、O5、O6まわりに回動可能な複数の関節230を含む。なお、これらの回動軸について、「垂直」とは、2つの回動軸のなす角度が厳密に90°である場合のほか、2つの回動軸のなす角度が90°から±5°程度の範囲内でずれる場合も含む。同様に、「平行」とは、2つの回動軸が厳密に平行である場合のほかに、2つの回動軸の一方が他方に対して±5°程度の範囲内で傾斜する場合も含む。
【0025】
以上のロボット2のアーム221~226のうち最も先端に位置するアーム226には、エンドエフェクターとしてヘッドユニット3が装着される。ここで、ヘッドユニット3は、ネジ止め等によりアーム226に固定される。
【0026】
ヘッドユニット3は、「液体」の一例であるインクをワークWに向けて吐出するヘッド3aを有するアセンブリーである。本実施形態では、ヘッドユニット3は、ヘッド3aのほか、圧力調整弁3bとエネルギー出射部3cとを有する。なお、ヘッドユニット3の詳細については、後に
図3に基づいて説明する。
【0027】
当該インクとしては、特に限定されず、例えば、水系溶媒に染料または顔料等の色材を溶解させた水系インク、紫外線硬化型等の硬化性樹脂を用いた硬化性インク、および、有機溶剤に染料または顔料等の色材を溶解させた溶剤系インク等が挙げられる。中でも、硬化性インクが好適に用いられる。硬化性インクは、特に限定されず、例えば、熱硬化型、光硬化型、放直線硬化型および電子線硬化型等のいずれでもよいが、紫外線硬化型等の光硬化型が好適である。なお、当該インクは、溶液に限定されず、分散媒に色材等を分散質として分散させたインクでもよい。また、当該インクは、色材を含むインクに限定されず、例えば、配線等を形成するための金属粒子等の導電性粒子を分散質として含むインクでもよいし、クリアインクでもよいし、ワークWの表面処理のための処理液でもよい。
【0028】
ヘッドユニット3には、配管部10と図示しない配線部とのそれぞれが接続される。配管部10は、図示しないインクタンクからのインクをヘッドユニット3に供給する配管または配管群である。当該配線部は、ヘッド3aを駆動する電気信号を供給する配線または配線群である。なお、当該配線部の引き回しは、配管部10の引き回しと同じであっても異なってもよい。
【0029】
コントローラー5は、ロボット2の駆動を制御するロボットコントローラーである。コンピューター7は、プログラムをインストールしたデスクトップ型またはノート型等のコンピューターであり、ヘッドユニット3の駆動を制御する。以下、
図2に基づいて、印刷装置1の電気的な構成について、コントローラー5およびコンピューター7の詳細な説明を含めて説明する。
【0030】
1-2.印刷装置の電気的な構成
図2は、第1実施形態に係る印刷装置1の電気的な構成を示すブロック図である。
図2では、印刷装置1の構成要素のうち、電気的な構成要素が示される。
図2に示すように、印刷装置1は、前述の
図1に示す構成要素のほか、コントローラー5に通信可能に接続される制御モジュール6と、コントローラー5および制御モジュール6に通信可能に接続されるコンピューター7と、を有する。ここで、コントローラー5、制御モジュール6およびコンピューター7は、制御部8を構成する。制御部8は、ロボット2およびヘッドユニット3のそれぞれの動作を制御する。以下、
図2に基づいて、制御部8の各部を順に説明する。
【0031】
なお、
図2に示す電気的な各構成要素は、適宜に分割されてもよいし、一部が他の構成要素に含まれてもよいし、他の構成要素と一体で構成されてもよい。例えば、コントローラー5または制御モジュール6の機能の一部または全部は、コンピューター7により実現されてもよいし、LAN(Local Area Network)またはインターネット等のネットワークを介してコントローラー5に接続されるPC(personal computer)等の他の外部装置により実現されてもよい。
【0032】
コントローラー5は、ロボット2の駆動を制御する機能と、ヘッドユニット3でのインクの吐出動作をロボット2の動作に同期させるための信号D3を生成する機能と、を有する。
【0033】
コントローラー5は、記憶回路5aと処理回路5bとを有する。
【0034】
記憶回路5aは、処理回路5bが実行する各種プログラムと、処理回路5bが処理する各種データと、を記憶する。記憶回路5aは、例えば、RAM(Random Access Memory)等の揮発性のメモリーとROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)またはPROM(Programmable ROM)等の不揮発性メモリーとの一方または両方の半導体メモリーを含む。なお、記憶回路5aの一部または全部は、処理回路5bに含まれてもよい。
【0035】
記憶回路5aには、経路情報Daが記録される。
【0036】
経路情報Daは、ロボット2の動作の制御に用いられ、印刷動作の実行時にヘッド3aの移動すべき経路におけるヘッド3aの位置および姿勢を示す情報である。本実施形態の経路情報Daは、後述の第1印刷動作、第1非印刷動作および第2非印刷動作のそれぞれにおけるワークWとヘッド3aとの相対的な位置を仮想空間において規定する複数の教示点の集合に関する情報である。当該複数の教示点のそれぞれは、当該仮想空間に設定される座標系の座標値として表される。当該座標系は、特に限定されないが、例えば、ワーク座標系、ベース座標系またはワールド座標系である。経路情報Daは、処理回路7bにより生成され、処理回路7bから記憶回路5aに入力される。なお、経路情報Daは、ワーク座標系の座標値を用いて表される場合、ワーク座標系の座標値からベース座標系またはワールド座標系の座標値に変換した後にロボット2の動作の制御に用いられる。
【0037】
処理回路5bは、経路情報Daに基づいてロボット2のアーム駆動機構2aの動作を制御するとともに、信号D3を生成する。処理回路5bは、例えば、1個以上のCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーを含む。なお、処理回路5bは、CPUに代えて、または、CPUに加えて、FPGA(field-programmable gate array)等のプログラマブルロジックデバイスを含んでもよい。
【0038】
ここで、アーム駆動機構2aは、前述の関節230_1~230_6の駆動機構の集合体であり、関節230ごとに、ロボット2の関節を駆動するためのモーターと、ロボット2の関節の回転角度を検出するエンコーダーと、を有する。
【0039】
処理回路5bは、経路情報Daをロボット2の各関節230の回転角度および回転速度等の動作量に変換する演算である逆運動学計算を行う。そして、処理回路5bは、各関節230の実際の回転角度および回転速度等の動作量が経路情報Daに基づく前述の演算結果となるように、アーム駆動機構2aの各エンコーダーからの出力D1に基づいて、制御信号Sk1を出力する。制御信号Sk1は、アーム駆動機構2aのモーターの駆動を制御するための信号である。ここで、制御信号Sk1は、必要に応じて、図示しない距離センサーからの出力に基づいて処理回路5bにより補正される。
【0040】
また、処理回路5bは、アーム駆動機構2aの有する複数のエンコーダーのうちの少なくとも1つからの出力D1に基づいて、信号D3を生成する。例えば、処理回路5bは、当該複数のエンコーダーのうちの1つからの出力D1が所定値となるタイミングのパルスを含むトリガー信号を信号D3として生成する。
【0041】
制御モジュール6は、コントローラー5から出力される信号D3とコンピューター7からの印刷データImgとに基づいて、ヘッドユニット3でのインクの吐出動作を制御する回路である。制御モジュール6は、タイミング信号生成回路6aと電源回路6bと制御回路6cと駆動信号生成回路6dとを有する。
【0042】
タイミング信号生成回路6aは、信号D3に基づいてタイミング信号PTSを生成する。タイミング信号生成回路6aは、例えば、信号D3の検出を契機としてタイミング信号PTSの生成を開始するタイマーで構成される。
【0043】
電源回路6bは、図示しない商用電源から電力の供給を受け、所定の各種電位を生成する。生成した各種電位は、制御モジュール6およびヘッドユニット3の各部に適宜に供給される。例えば、電源回路6bは、電源電位VHVとオフセット電位VBSとを生成する。オフセット電位VBSは、ヘッドユニット3に供給される。また、電源電位VHVは、駆動信号生成回路6dに供給される。
【0044】
制御回路6cは、タイミング信号PTSに基づいて、制御信号SIと波形指定信号dComとラッチ信号LATとクロック信号CLKとチェンジ信号CNGとを生成する。これらの信号は、タイミング信号PTSに同期する。これらの信号のうち、波形指定信号dComは、駆動信号生成回路6dに入力され、それ以外の信号は、ヘッドユニット3のスイッチ回路3eに入力される。
【0045】
制御信号SIは、ヘッドユニット3のヘッド3aが有する駆動素子の動作状態を指定するためのデジタルの信号である。具体的には、制御信号SIは、印刷データImgに基づいて、当該駆動素子に対して後述の駆動信号Comを供給するか否かを指定するための信号である。この指定により、例えば、当該駆動素子に対応するノズルからインクを吐出するか否かを指定したり、当該ノズルから吐出されるインクの量を指定したりする。波形指定信号dComは、駆動信号Comの波形を規定するためのデジタル信号である。ラッチ信号LATおよびチェンジ信号CNGは、制御信号SIと併用され、当該駆動素子の駆動タイミングを規定することにより、当該ノズルからのインクの吐出タイミングを規定するための信号である。クロック信号CLKは、タイミング信号PTSに同期した基準となるクロック信号である。
【0046】
以上の制御回路6cは、例えば、1個以上のCPU等のプロセッサーを含む。なお、制御回路6cは、CPUに代えて、または、CPUに加えて、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを含んでもよい。
【0047】
駆動信号生成回路6dは、ヘッドユニット3のヘッド3aの有する各駆動素子を駆動するための駆動信号Comを生成する回路である。具体的には、駆動信号生成回路6dは、例えば、DA変換回路と増幅回路とを有する。駆動信号生成回路6dでは、当該DA変換回路が制御回路6cからの波形指定信号dComをデジタル信号からアナログ信号に変換し、当該増幅回路が電源回路6bからの電源電位VHVを用いて当該アナログ信号を増幅することで駆動信号Comを生成する。ここで、駆動信号Comに含まれる波形のうち、当該駆動素子に実際に供給される波形の信号が駆動パルスPDである。駆動パルスPDは、ヘッドユニット3のスイッチ回路3eを介して、駆動信号生成回路6dから当該駆動素子に供給される。
【0048】
ここで、スイッチ回路3eは、制御信号SIに基づいて、駆動信号Comに含まれる波形のうちの少なくとも一部を駆動パルスPDとして供給するか否かを切り替えるスイッチング素子を含む回路である。
【0049】
コンピューター7は、経路情報Daを生成する機能と、コントローラー5に経路情報Da等の情報を供給する機能と、制御モジュール6に印刷データImg等の情報を供給する機能と、を有する。本実施形態のコンピューター7は、これらの機能のほか、エネルギー出射部3cの駆動を制御する機能を有する。
【0050】
コンピューター7は、記憶回路7aと処理回路7bとを有する。そのほか、図示しないが、コンピューター7は、ユーザーからの操作を受け付けるキーボートまたはマウス等の入力装置を有する。なお、コンピューター7は、経路情報Daの生成に必要な情報を表示する液晶パネル等の表示装置を有してもよい。
【0051】
記憶回路7aは、処理回路7bが実行する各種プログラムと、処理回路7bが処理する各種データと、を記憶する。記憶回路7aは、例えば、RAM等の揮発性のメモリーとROM、EEPROMまたはPROM等の不揮発性メモリーとの一方または両方の半導体メモリーを含む。なお、記憶回路7aの一部または全部は、処理回路7bに含まれてもよい。
【0052】
記憶回路7aには、経路情報Daとワーク情報Dcと印刷データImgとプログラムPRとが記録される。
【0053】
ワーク情報Dcは、ワークWの少なくとも一部の形状を表すデータである。具体的には、ワーク情報Dcは、例えば、ワークWの形状を複数のポリゴンによって表すSTL(Standard Triangulated Language)形式等の3次元データである。ワーク情報Dcは、ポリゴンの各頂点の座標に関する情報である座標情報と、ポリゴン面の表裏を示す法線ベクトルに関する情報であるベクトル情報と、を含む。ワーク情報Dcは、ワークWの3次元形状を示すCAD(computer-aided design)データを必要に応じて変換処理することにより得られる。なお、ワーク情報Dcは、ワーク座標系の座標値を用いて表されてもよいし、ベース座標系またはワールド座標系の座標値を用いた点群データによって表されてもよい。また、ワーク情報Dcは、数式等によって表されてもよく、ワーク情報Dcの形式は必要に応じて適宜変換され得る。
【0054】
印刷データImgは、経路情報Daの示す印刷経路の経路(パス)ごとにワークW上に印刷すべき画像を示す情報である。
【0055】
プログラムPRは、経路情報Daの取得と経路情報Daに基づく印刷とを実行するためのプログラムである。
【0056】
処理回路7bは、プログラムPR等のプログラムの実行により前述の各機能を実現する。処理回路7bは、例えば、1個以上のCPU等のプロセッサーを含む。なお、処理回路7bは、CPUに代えて、または、CPUに加えて、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを含んでもよい。
【0057】
処理回路7bは、プログラムPRの実行により、経路情報Daの取得等を含む後述の印刷方法のための各種機能を実現する。当該印刷方法の詳細については、後に
図4から
図10に基づいて説明する。
【0058】
以上のように、経路情報Daに基づいてロボット2の駆動が制御されるとともに、印刷データImgおよび信号D3に基づいてヘッド3aの駆動が制御されることにより、印刷動作が行われる。印刷動作では、ロボット2が経路情報Daに基づいてヘッド3aの位置および姿勢を変化させつつ、ヘッド3aが印刷データImgおよび信号D3に基づく適宜のタイミングでヘッド3aからワークWに向けてインクを吐出させる。これにより、ワークW上に印刷データImgに基づく画像が形成される。
【0059】
本実施形態の印刷動作は、第1非印刷動作と第1印刷動作と第2非印刷動作とをこの順で含む。後に詳述するが、第1印刷動作は、ロボット2がワークWに対するヘッド3aの相対的な位置を変化させつつ、ヘッド3aがインクを吐出する。これに対し、第1非印刷動作および第2非印刷動作のそれぞれでは、ロボット2がワークWとヘッド3aとの相対的な位置を変化させつつ、ヘッド3aからインクを吐出させない。
【0060】
1-3.ヘッドユニットの構成
図3は、ヘッドユニット3の概略構成を示す斜視図である。以下の説明は、便宜上、互いに交差するa軸、b軸およびc軸を適宜に用いて行う。また、以下の説明では、a軸に沿う一方向がa1方向であり、a1方向と反対の方向がa2方向である。同様に、b軸に沿って互いに反対の方向がb1方向およびb2方向である。また、c軸に沿って互いに反対の方向がc1方向およびc2方向である。
【0061】
ここで、a軸、b軸およびc軸は、ヘッドユニット3に設定されるツール座標系の座標軸に相当し、前述のロボット2の動作により前述のワールド座標系またはロボット座標系との相対的な位置および姿勢の関係が変化する。
図3に示す例では、c軸が前述の回動軸O6に平行な軸である。なお、a軸、b軸およびc軸は、典型的には互いに直交するが、これに限定されず、例えば、80°以上100°以下の範囲内の角度で交差すればよい。なお、ツール座標系とベース座標系またはロボット座標系とは、キャリブレーションにより対応付けされる。
【0062】
ツール座標系は、ツールセンターポイントTCPを基準として設定される。したがって、ヘッド3aの位置および姿勢は、ツールセンターポイントTCPを基準として規定される。
図3に示す例では、ツールセンターポイントTCPは、ノズル面FNの中心に配置される。なお、ツールセンターポイントTCPの位置は、
図3に示す例に限定されず、例えば、ヘッド3aからインクの吐出方向DEに間隔を隔てた位置でもよい。この場合、後述の移動経路RUがワークWの表面に設定される。
【0063】
ヘッドユニット3は、前述のように、ヘッド3aと圧力調整弁3bとエネルギー出射部3cとを有する。これらは、
図3中の二点鎖線で示される支持体3fに支持される。なお、
図3に示す例では、ヘッドユニット3が有するヘッド3aおよび圧力調整弁3bのそれぞれの数が1個であるが、当該数は、
図3に示す例に限定されず、2個以上でもよい。また、圧力調整弁3bの設置位置は、アーム226に限定されず、例えば、他のアーム等でもよいし、基部210に対して固定の位置でもよい。
【0064】
支持体3fは、例えば、金属材料等で構成されており、実質的な剛体である。
図3に示す例では、支持体3fが扁平な箱状をなす。なお、支持体3fの形状は、
図3に示す例に限定されず、任意である。
【0065】
以上の支持体3fは、前述のアーム226に装着される。したがって、ヘッド3a、圧力調整弁3bおよびエネルギー出射部3cが支持体3fにより一括してアーム226に支持される。このため、アーム226に対するヘッド3a、圧力調整弁3bおよびエネルギー出射部3cのそれぞれの相対的な位置が固定される。
図3に示す例では、ヘッド3aに対してc1方向の位置には、圧力調整弁3bが配置される。ヘッド3aに対してa2方向の位置には、エネルギー出射部3cが配置される。
【0066】
ヘッド3aは、ノズル面FNと、ノズル面FNに開口する複数のノズルNと、を有する。ノズル面FNは、ノズルNが開口するノズル面であり、例えば、シリコン(Si)または金属等の材料で構成されるか、または、その板面を延長した平面上に他の部材がヘッドユニット3の構成要素として配置される場合、ノズルプレートの板面と当該他の部材の面とで構成される面である。ここで、ノズルプレートとは、シリコンまたは金属等で構成される板状部材に複数のノズルNを形成した部材である。当該他の部材としては、例えば、固定板およびカバーヘッド等が挙げられる。固定板とは、当該ノズルプレートの固定または保護等の目的でノズルプレートの周囲に設けられる部材である。カバーヘッドとは、ヘッド3aの保護等の目的で設けられる部材であり、ノズルプレートの周囲に配置される部分を有する。なお、固定板およびカバーヘッドは、ヘッド3aの構成によっては設けらない場合もある。また、固定板およびカバーヘッドの面は、ノズルプレートの板面とは、c軸に沿う方向における位置が最大で0.8mm程度異なる場合がある。
図3に示す例では、ノズル面FNは、1つのノズルプレートの板面のみで構成されるが、複数のノズルプレートを有していてもよく、その場合は、ノズル面FNは複数のノズルプレートを包含する面として規定される。また、
図3に示す例では、ノズル面FNの法線方向、すなわちノズルNからのインクの吐出方向DEがc2方向である。なお、厳密には、ロボット2の動作による慣性または気流等の影響により、吐出方向DEとc2方向とが平行でない場合もあるが、本実施形態においては、そうした誤差は考慮しない。
【0067】
当該複数のノズルNは、a軸に沿う方向に互いに間隔をあけて並ぶ第1ノズル列NL1と第2ノズル列NL2とに区分される。第1ノズル列NL1および第2ノズル列NL2のそれぞれは、b軸に沿う方向であるノズル列方向DNに直線状に配列される複数のノズルNの集合である。ここで、ヘッド3aにおける第1ノズル列NL1の各ノズルNに関連する要素と第2ノズル列NL2の各ノズルNに関連する要素とがa軸に沿う方向で互いに略対称な構成である。
【0068】
ただし、第1ノズル列NL1における複数のノズルNと第2ノズル列NL2における複数のノズルNとのb軸に沿う方向での位置が互いに一致してもよいし異なってもよい。また、第1ノズル列NL1および第2ノズル列NL2のうちの一方の各ノズルNに関連する要素が省略されてもよい。以下では、第1ノズル列NL1における複数のノズルNと第2ノズル列NL2における複数のノズルNとのb軸に沿う方向での位置が互いに一致する構成が例示される。
【0069】
なお、以下では、第1ノズル列NL1および第2ノズル列NL2の全体をノズル列NLという場合がある。ノズル列NLは、第1ノズル列NL1および第2ノズル列NL2を含む。
【0070】
図示しないが、ヘッド3aは、ノズルNごとに、駆動素子である圧電素子と、インクを収容するキャビティと、有する。ここで、当該圧電素子は、当該圧電素子に対応するキャビティの圧力を変化させることにより、当該キャビティに対応するノズルからインクを吐出方向DEに吐出させる。このようなヘッド3aは、例えば、エッチング等により適宜に加工したシリコン基板等の複数の基板を接着剤等により貼り合わせることにより得られる。なお、ノズルからインクを吐出させるための駆動素子として、当該圧電素子に代えて、キャビティ内のインクを加熱するヒーターを用いてもよい。
【0071】
以上のヘッド3aには、配管部10を介して図示しないインクタンクからインクが供給される。ここで、配管部10は、圧力調整弁3bを介してヘッド3aに接続される。
【0072】
圧力調整弁3bは、ヘッド3a内のインクの圧力に応じて開閉する弁機構である。この開閉により、ヘッド3aと前述の図示しないインクタンクとの位置関係が変化しても、ヘッド3a内のインクの圧力が所定範囲内の負圧に維持される。このため、ヘッド3aのノズルNに形成されるインクのメニスカスの安定化が図られる。この結果、ノズルN内に気泡が入り込んだり、ノズルNからインクが溢れ出したりすることが防止される。また、圧力調整弁3bからのインクは、図示しない分岐流路を介してヘッド3aの複数箇所に適宜に分配される。ここで、図示しないインクタンクからのインクは、ポンプ等により所定の圧力で圧力調整弁3bに供給される。
【0073】
エネルギー出射部3cは、ワークW上のインクを硬化または固化させるための光、熱、電子線または放直線等のエネルギーを出射する。例えば、インクが紫外線硬化性を有する場合、エネルギー出射部3cは、紫外線を出射するLED(light emitting diode)等の発光素子等で構成される。また、エネルギー出射部3cは、エネルギーの出射方向または出射範囲等を調整するためのレンズ等の光学部品等を適宜に有してもよい。
【0074】
1-4.印刷方法
図4は、第1実施形態に係る印刷方法の流れを示す図である。当該印刷方法は、前述のヘッド3aおよびロボット2を用いて実行され、
図4に示すように、経路情報Daを取得するステップS10と、経路情報Daを用いて印刷動作を実行するステップS20と、をこの順で含む。
【0075】
ステップS10は、ワークWとヘッド3aとの相対的な位置を仮想空間において規定する複数の教示点を設定することにより、当該複数の教示点の集合に関する経路情報Daを取得する。この取得は、例えば、オンラインティーチングまたはオフラインティーチングにより行われる。
【0076】
ステップS20は、ステップS10で取得した経路情報Daを用いてワークWに印刷を行う。本実施形態では、ステップS20は、第1非印刷動作を実行するステップS21と、第1印刷動作を実行するステップS22と、第2非印刷動作を実行するステップS23と、をこの順で含む。
【0077】
ステップS21の第1非印刷動作は、第1印刷動作の実行直前において、ロボット2がワークWとヘッド3aとの相対的な位置を変化させつつ、ヘッド3aからインクを吐出させない動作である。このような第1非印刷動作は、例えば、第1印刷動作の直前にヘッド3aを助走させる助走動作として用いられる。このため、第1印刷動作を開始するタイミングでヘッド3aを所望の移動速度で移動させることができる。一方、ステップS23の第2非印刷動作は、第1印刷動作の実行直後において、ロボット2がワークWとヘッド3aとの相対的な位置を変化させつつ、ヘッド3aからインクを吐出させない動作である。このような第2非印刷動作は、例えば、第1印刷動作の直後にヘッド3aを惰走させる惰走動作として用いられる。このため、第1印刷動作を終了するタイミングでヘッド3aを所望の移動速度で移動させることができる。
【0078】
図4に示す例では、ステップS22の第1印刷動作は、第1印刷動作_1および第1印刷動作_2のうちの一方を選択して実行する。第1印刷動作_1は、後述の第1バンド領域RP1_1に印刷を行う第1印刷動作である。第1印刷動作_2は、後述の第1バンド領域RP1_2に印刷を行う第1印刷動作である。
【0079】
図5は、第1実施形態における第1バンド領域RP1_1、RP1_2を説明するための図であって、ロボット2およびワークWをZ2方向に沿って見た場合の平面図である。なお、
図5においては、ロボット2の腕部220やヘッドユニット3の図示を省略している。前述の
図4に示すステップS22の第1印刷動作は、ロボット2がワークWに対するヘッド3aの相対的な位置を変化させつつ、ヘッド3aがインクを吐出することにより、ワークW上の第1バンド領域RP1_1または第1バンド領域RP1_2に印刷を行う。以下では、第1バンド領域RP1_1および第1バンド領域RP1_2のそれぞれを第1バンド領域RP1という場合がある。
【0080】
第1バンド領域RP1は、ヘッド3aをワークWに対して走査方向に沿って相対的に移動させつつ、ヘッド3aからインクを吐出させたときに、ヘッド3aのノズル列NLの長さにより規定される幅で、当該走査方向に延びる帯状の印刷可能な面WFの領域である。なお、当該幅を規定するノズル列NLの長さは、ノズル列NLを構成する複数のノズルNのうち、インクを吐出可能な複数のノズルNの群の長さであり、走査ごとまたは走査方向での位置に応じて可変であってもよい。
【0081】
図5に示す例では、ワークWがロボット2の基部210に対してX2方向の位置にあり、第1バンド領域RP1_1および第1バンド領域RP1_2のそれぞれがX軸に沿う方向に延びる。ここで、第1印刷動作の実行時には、ロボット2がヘッド3aをZ軸に沿う方向にみてX1方向またはX2方向である主走査方向DSに移動させる。このため、第1バンド領域RP1のX2方向での端を印刷する際には、ロボット2の腕部220を広げた状態となる。一方、第1バンド領域RP1のX1方向での端を印刷する際には、ロボット2の腕部220を縮めた状態となる。
【0082】
このように、第1バンド領域RP1のX1方向またはX2方向での端を印刷する際には、ロボット2の腕部220が動作限界に近い状態となる場合がある。このようなロボット2の腕部220の動作限界に近い状態でロボット2の各関節230の回動量をさらに増加させてしまうと、ロボット2の動作による振動に起因する印刷画質の低下を招きやすいという課題がある。なお、ロボット2の腕部220の動作限界とは、例えば、腕部220が構造上それ以上伸ばしたり縮めたりすることができないことをいう。
【0083】
そのうえ、
図5に示す例では、Z軸に沿う方向にみて、回動軸O1を通る仮想直線に対して、第1バンド領域RP1_1がY1方向に位置するのに対し、第1バンド領域RP1_2がY2方向に位置する。このように、Z軸に沿う方向にみて第1バンド領域RP1の中心線が回動軸O1を通る仮想直線に一致しない。
【0084】
このような第1バンド領域RP1に印刷を行う場合、Z軸に沿う方向にみて第1バンド領域RP1の中心線が回動軸O1を通る仮想直線に一致する態様に比べて、ロボット2の動作すべき関節230の数が多い。具体的には、Z軸に沿う方向にみて第1バンド領域RP1の中心線が回動軸O1を通る仮想直線に一致する態様では、印刷時に回動軸O1に直交する回動軸O2、O3、O5の3つの関節230、すなわち、関節230_2、230_3、230_5だけを動作させれば済む。これに対し、Z軸に沿う方向にみて第1バンド領域RP1の中心線が回動軸O1を通る仮想直線に一致しない態様では、印刷時にロボット2のすべての関節230を動作させる必要がある。
【0085】
したがって、第1バンド領域RP1に印刷を行う場合、Z軸に沿う方向にみて第1バンド領域RP1の中心線が回動軸O1を通る仮想直線に一致する態様に比べて、ロボット2の関節230の動作による振動が印刷画質に影響を与えやすい。
【0086】
そこで、第1印刷動作では、後に詳述するように、第1バンド領域RP1のX1方向およびX2方向の一方または両方での端を印刷する際にロボット2の各関節230の回動量を低減するように、ヘッド3aの移動経路が設定される。
【0087】
図6は、参考例における印刷動作の実行時のヘッド3aの軌跡TR_1、TR_2を説明するための斜視図である。なお、
図6においては、ロボット2の腕部220およびヘッドユニット3の図示を省略している。軌跡TR_1は、第1バンド領域RP1_1への印刷時のヘッド3aのノズル列NLの軌跡であって、
図6に網掛けによって視認可能に示す。軌跡TR_2は、第1バンド領域RP1_2への印刷時のヘッド3aのノズル列NLの軌跡であって、
図6に網掛けによって視認可能に示す。ここで、軌跡TR_1、TR_2とワークWとの間の距離が一定である。本実施形態では、ツールセンターポイントTCPがノズル面FN上に設定されるため、軌跡TR_1およびTR_2のそれぞれは、ノズル面FNの軌跡であるともいえる。
【0088】
図7は、参考例における印刷動作の実行時のヘッド3aの移動経路RUを説明するための図であって、ワークWをY1方向に沿って見た場合の側面図である。移動経路RUは、前述の
図6に示す軌跡TR_1またはTR_2の中心線であり、後に詳述するように、経路情報Daの示す教示点で規定される。なお、
図7では、便宜上、ヘッド3aの移動経路RUを規定するための仮想空間にワールド座標系が設定される。
【0089】
図7に示すように、移動経路RUとワークWの面WFとの間の距離が一定である。ここで、印刷動作の実行時において、このような移動経路RUに沿ってヘッド3aを移動させる場合、ヘッド3aから面WFへのインクの吐出距離PGおよび着弾角度θの両方が一定である。
図7に示す例では、吐出距離PGが吐出距離PG_cで一定であるとともに、着弾角度θが着弾角度θ_cで一定である。
【0090】
従来では、このように吐出距離PGおよび着弾角度θの両方を一定とすることが半ば常識とされていた。しかし、吐出距離PGおよび着弾角度θの両方を一定とすると、移動経路RUの始端および終端付近において前述のようにロボット2の腕部220の動作限界に近い状態でロボット2の各関節230の回動量をさらに増加させてしまう場合があるので、前述のような問題が生じる。
【0091】
図8は、吐出距離PGおよび着弾角度θを説明するための図であって、印刷動作の実行時においてノズル列方向DNに沿って見た場合の断面図である。
図8に示すように、吐出距離PGは、ノズル面FNの法線方向に沿う複数のノズルNとワークWとの間の距離である。着弾角度θは、複数のノズルNからノズル面FNの法線方向に延びる仮想直線LNHとワークWの表面との交点Piにおいて仮想直線LNHとワークWの表面とのなす角度である。すなわち、着弾角度θは、ノズル列方向DNにみてワークWの表面の交点Piでの面WFの接線LTWと仮想直線LNHとのなす角度である。さらに言い換えると、着弾角度θは、交点Piにおいて仮想直線LNHとワークWの表面の法線LNWとのなす角度θaを90°から差し引いた値の絶対値である。したがって、着弾角度θは、0°越え90°以下の範囲にあり、印刷画質を確保する観点から、好ましくは、45°以上90°以下の範囲内にあり、さらに好ましくは、60°以上90°以下の範囲内にある。なお、交点Piは、ヘッド3aから吐出されたインクのワーク上の着弾位置に相当し、着弾角度θは、ノズル列方向DNに沿って見た場合の角度である。
【0092】
図9は、第1実施形態における第1印刷動作の実行時のヘッド3aの軌跡TR1_1、TR1_2を説明するための斜視図である。なお、
図9においては、ロボット2の腕部220およびヘッドユニット3の図示を省略している。軌跡TR1_1は、第1バンド領域RP1_1への印刷時のヘッド3aのノズル列NLの軌跡であって、
図6に網掛けによって視認可能に示す。軌跡TR1_2は、第1バンド領域RP1_2への印刷時のヘッド3aのノズル列NLの軌跡であって、
図6に網掛けによって視認可能に示す。ここで、軌跡TR1_1、TR1_2のX軸に沿う方向での両端のそれぞれとワークWとの間の距離は、軌跡TR1_1、TR1_2のX軸に沿う方向での中央とワークWとの間の距離よりも大きい。本実施形態では、ツールセンターポイントTCPがノズル面FN上に設定されるため、軌跡TR_1およびTR_2のそれぞれは、ノズル面FNの軌跡であるともいえる。
【0093】
図10は、第1実施形態における第1印刷動作の実行時のヘッド3aの移動経路RU1を説明するための図である。
図10では、第1印刷動作の実行時におけるヘッド3aの移動方向がZ軸に沿う方向にみてX1方向である場合が示される。
【0094】
移動経路RU1は、前述の
図9に示す軌跡TR1_1またはTR1_2の中心線であり、教示点PT_1~PT7で規定される。教示点PT_1~PT7のそれぞれは、前述の経路情報Daの示す教示点であって、ワークWとヘッド3aとの相対的な位置を仮想空間において規定する。前述のようにヘッド3aの位置および姿勢がツールセンターポイントTCPの位置および姿勢で規定されることから、教示点PT_1~PT7のそれぞれは、ワークWとツールセンターポイントTCPとの相対的な位置を仮想空間において規定するともいえる。以下では、教示点PT_1~PT_7のそれぞれを教示点PTという場合がある。なお、
図10では、便宜上、当該仮想空間にワールド座標系が設定される。
【0095】
教示点PT_1は、「第1教示点」の一例であって、タイミングt1におけるワークWとヘッド3aとの相対的な位置を示す教示点PTである。タイミングt1は、「第1タイミング」の一例であって、第1印刷動作を開始するタイミングである。タイミングt1においてヘッド3aから吐出されるインクは、「第1位置」の一例である位置P1で面WFに付与される。
【0096】
図10に示す例では、ワークWが、「第1面」の一例である面WFと、「第2面」の一例である面WFSと、を有する。面WFSは、X2方向を向いており、面WFとは異なる方向を向く面である。面WFと面WFSとの間には、面WFおよび面WFSによる凸状の角WCが形成される。ここで、フチなし印刷を行うため、位置P1は、面WFの角WCを形成する端に位置しており、位置P1と角WCとの間の距離が実質的にゼロである。したがって、位置P1は、位置P3よりも角WCおよび面WFSに近い。
【0097】
教示点PT_2は、「第2教示点」の一例であって、タイミングt2におけるワークWとヘッド3aとの相対的な位置を示す教示点PTである。タイミングt2は、「第2タイミング」の一例であって、第1印刷動作を終了するタイミングである。タイミングt2においてヘッド3aから吐出されるインクは、位置P2で面WFに付与される。
【0098】
教示点PT_3は、「第3教示点」の一例であって、タイミングt3におけるワークWとヘッド3aとの相対的な位置を示す教示点PTである。タイミングt3は、「第3タイミング」の一例であって、タイミングt1とタイミングt2との間のタイミングである。タイミングt3においてヘッド3aから吐出されるインクは、位置P3で面WFに付与される。
【0099】
教示点PT_4は、タイミングt4におけるワークWとヘッド3aとの相対的な位置を示す教示点PTである。タイミングt4は、「第4タイミング」の一例であって、タイミングt1とタイミングt3との間のタイミングである。タイミングt4においてヘッド3aから吐出されるインクは、位置P4で面WFに付与される。
【0100】
教示点PT_5は、タイミングt5におけるワークWとヘッド3aとの相対的な位置を示す教示点PTである。タイミングt5は、「第5タイミング」の一例であって、タイミングt2とタイミングt3との間のタイミングである。タイミングt5においてヘッド3aから吐出されるインクは、位置P5で面WFに付与される。
【0101】
教示点PT_6は、タイミングt6におけるワークWとヘッド3aとの相対的な位置を示す教示点PTである。タイミングt6は、「第6タイミング」の一例であって、第1非印刷動作の実行中の任意のタイミングである。タイミングt6においてヘッド3aから吐出されるインクは、ワークW上の図示しない位置に付与される。
【0102】
教示点PT_7は、タイミングt7におけるワークWとヘッド3aとの相対的な位置を示す教示点PTである。タイミングt7は、「第7タイミング」の一例であって、第2非印刷動作の実行中の任意のタイミングである。タイミングt7においてヘッド3aから吐出されるインクは、ワーク上の図示しない位置に付与される。
【0103】
以上から理解される通り、タイミングt1~t7は、タイミングt6、t1、t4、t3、t5、t2、t7の順で経時的に並ぶ。ここで、ヘッド3aの移動方向がZ軸に沿う方向にみてX1方向であることから、教示点PT_1~PT_7は、教示点PT_6、PT_1、PT_4、PT_3、PT_5、PT_2、PT_7の順でX1方向に並ぶ。また、位置P1~P5は、位置P1、P4、P3、P5、P2の順でX1方向に並ぶ。
【0104】
このような教示点PT_1~PT_6で規定される移動経路RU1において、ロボット2の動作限界に近い状態での複数の関節230の動作量を低減する観点から、教示点PT_1に基づく吐出距離PG_1、すなわちタイミングt1における吐出距離PGは、教示点PT_3に基づく吐出距離PG_3、すなわちタイミングt3における吐出距離PGよりも大きい。同様に、教示点PT_2に基づく吐出距離PG_2、すなわちタイミングt2における吐出距離PGは、吐出距離PG_3よりも大きい。
【0105】
また、移動経路RU1において吐出距離PGの急激な変化を低減する観点から、教示点PT_4に基づく吐出距離PG_4、すなわちタイミングt4における吐出距離PGは、吐出距離PG_3よりも大きく、かつ、吐出距離PG_1よりも小さい。同様に、教示点PT_5に基づく吐出距離PG_5、すなわちタイミングt5における吐出距離PGは、吐出距離PG_3よりも大きく、かつ、吐出距離PG_2よりも小さい。
【0106】
さらに、移動経路RU1において吐出距離PGの急激な変化を低減しつつ、印刷画質を向上させる観点から、タイミングt3を含み、かつ、タイミングt1およびタイミングt2を含まない期間の少なくとも一部にわたり、吐出距離PGが一定であることが好ましい。ここで、印刷動作の実行中において、当該期間以外の期間、すなわち吐出距離PGが変化する期間においては、印刷画質の低下を抑制する観点から、吐出距離PGが徐々に連続的に変化することが好ましい。また、
図10における図示は省略したが、移動経路RU1において、吐出距離PGを一定としてヘッド3aが走査される距離が、吐出距離PGを変化させながらヘッド3aが走査される距離よりも長くすることが好ましく、例えば、吐出距離PG_3と、吐出距離PG_4と、吐出距離PG_5と、を互いに同じ距離としてもよい。
【0107】
また、他動作から第1印刷動作への移行を円滑にする観点から、教示点PT_6に基づく吐出距離PG_6、すなわちタイミングt6における吐出距離PGは、吐出距離PG_1よりも大きい。
【0108】
さらに、第1印刷動作から他動作への移行を円滑にする観点から、教示点PT_7に基づく吐出距離PG_7、すなわちタイミングt7における吐出距離PGは、タイミングt2における吐出距離PGよりも大きい。
【0109】
また、印刷動作の実行中において、着弾角度θを所望範囲内に位置するため、ワークWとヘッド3aとの相対的な姿勢が変化する。
【0110】
ここで、ロボット2の動作限界に近い状態での複数の関節230の動作量を低減する観点から、教示点PT_1に基づく着弾角度θ_1、すなわちタイミングt1における着弾角度θは、教示点PT_3に基づく着弾角度θ_3、すなわちタイミングt3における着弾角度θよりも小さい。言い換えると、着弾角度θ_3は、着弾角度θ_1よりも90°に近い。同様に、教示点PT_2に基づく着弾角度θ_2、すなわちタイミングt2における着弾角度θは、着弾角度θ_3よりも小さい。言い換えると、着弾角度θ_3は、着弾角度θ_2よりも90°に近い。
【0111】
また、移動経路RU1において着弾角度θの急激な変化を低減する観点から、教示点PT_4に基づく着弾角度θ_4、すなわちタイミングt4における着弾角度θは、着弾角度θ_3よりも小さく、かつ、着弾角度θ_1よりも大きい。同様に、教示点PT_5に基づく着弾角度θ_5、すなわちタイミングt5における着弾角度θは、着弾角度θ_3よりも小さく、かつ、着弾角度θ_2よりも大きい。
【0112】
さらに、移動経路RU1において着弾角度θの急激な変化を低減しつつ、印刷画質を向上させる観点から、タイミングt3を含み、かつ、タイミングt1およびタイミングt2を含まない期間の少なくとも一部にわたり、着弾角度θが一定であることが好ましい。ここで、印刷動作の実行中において、当該期間以外の期間、すなわち着弾角度θが変化する期間においては、印刷画質の低下を抑制する観点から、着弾角度θが徐々に連続的に変化することが好ましい。また、
図10における図示は省略したが、移動経路RU1において、着弾角度θを一定としてヘッド3aが走査される距離が、着弾角度θを変化させながらヘッド3aが走査される距離よりも長くすることが好ましく、例えば、着弾角度θ_3と、着弾角度θ_4と、着弾角度θ_5と、を互いに同じ距離としてもよい。
【0113】
また、他動作から第1印刷動作への移行を円滑にする観点から、教示点PT_6に基づく着弾角度θ_6、すなわちタイミングt6における着弾角度θは、着弾角度θ_1よりも小さい。
【0114】
さらに、第1印刷動作から他動作への移行を円滑にする観点から、教示点PT_7に基づく着弾角度θ_7、すなわちタイミングt7における着弾角度θは、タイミングt2における着弾角度θよりも小さい。
【0115】
以上のように、印刷装置1は、ヘッド3aとロボット2とを備える。ヘッド3aは、「液体」の一例であるインクを吐出する複数のノズルNが設けられたノズル面FNを有する。ロボット2は、互いに異なる回動軸まわりに回動可能な複数の関節230を含み、ワークWに対するヘッド3aの相対的な位置を変化させる。
【0116】
そのうえで、印刷装置1は、第1印刷動作を実行する。第1印刷動作は、ロボット2がワークWに対するヘッド3aの相対的な位置を変化させつつ、ヘッド3aがインクを吐出することにより、ワークW上の第1バンド領域RP1に印刷を行う。
【0117】
しかも、第1印刷動作を開始するタイミングを「第1タイミング」の一例であるタイミングt1とし、第1印刷動作を終了するタイミングを「第2タイミング」の一例であるタイミングt2とし、タイミングt1とタイミングt2との間のタイミングを「第3タイミング」の一例であるタイミングt3とし、ノズル面FNの法線方向に沿う複数のノズルNとワークWとの間の距離を吐出距離PGとしたとき、タイミングt1およびタイミングt2のうちの一方または両方における吐出距離PGは、タイミングt3における吐出距離PGよりも大きい。
【0118】
以上の印刷装置1では、タイミングt1およびタイミングt2のうちの一方または両方における吐出距離PGがタイミングt3における吐出距離PGよりも大きいので、タイミングt1およびタイミングt2のそれぞれにおける吐出距離PGがタイミングt3における吐出距離PGに等しい態様に比べて、タイミングt1およびタイミングt2のうちの一方または両方におけるロボット2の各関節230の回動量を小さくすることができる。このため、タイミングt1およびタイミングt2のうちの一方または両方におけるロボット2の動作による振動に起因する印刷画質の低下を抑制することができる。よって、ロボット2の動作による振動を低減しつつ、印刷画質を向上させることができる。
【0119】
より具体的に説明すると、タイミングt1において第1バンド領域RP1の印刷開始位置である位置P1への印刷が行われる一方、タイミングt2において第1バンド領域RP1の印刷終了位置である位置P2への印刷が行われる。ここで、タイミングt1およびタイミングt2のロボット2の腕部220の状態は、第1バンド領域RP1の途中位置の印刷を行うタイミングt3に比べて、ロボット2の腕部220を広げた状態または縮めた状態であり、動作限界に近い状態である。特に、ワークWの面WFが凸湾曲面である場合、腕部220の動作限界に近い状態となりやすい。このようなロボット2の腕部220の動作限界に近い状態で吐出距離PGを小さくすると、ロボット2の各関節の回動量をさらに増加させてしまう場合があるので、ロボット2の動作による振動に起因する印刷画質の低下を招きやすい。
【0120】
そこで、印刷装置1は、タイミングt1およびタイミングt2のうちの一方または両方における吐出距離PGをタイミングt3における吐出距離PGよりも大きくすることにより、タイミングt1およびタイミングt2のうちの一方または両方におけるロボット2の各関節230の回動量を小さくする。これにより、ロボット2の動作による振動に伴うヘッド3aの振動が低減されるので、ロボット2の動作による振動に起因する印刷画質の低下が抑制される。以下、このようなタイミングt1およびタイミングt2のうちの一方または両方における吐出距離PGを大きくすることにより画質を向上させる作用を「振動抑制による画質向上作用」という。なお、吐出距離PGと各関節230の回動量との関係は必ずしも単純な比例関係にないため、数mm程度の吐出距離PGの増加であっても各関節の回動量が大幅に抑制され得る。
【0121】
ここで、一般に、吐出距離PGが大きくなるほど、ヘッド3aから吐出されたインク滴がワークWに着弾するまでの間に気流の影響を受けやすくなるので、ワークWに対するインク滴の着弾位置のバラツキによる画質の低下が生じやすい。以下、このような画質の低下の作用を「吐出距離PGの増加による画質低下作用」という。
【0122】
しかし、ヘッド3aから吐出されるインク滴のサイズを大きくしたり、ヘッド3aから吐出される複数のインク滴をワークWへの着弾前に合体させたりすることにより、ワークWへの着弾前のインク滴が気流の影響を受け難くすれば、吐出距離PG増加による画質低下作用を低減することができる。このため、前述の振動抑制による画質向上作用を吐出距離PGの増加による画質低下作用よりも大きくすることが可能である。したがって、第1バンド領域RP1の印刷開始位置および印刷終了位置の一方または両方において吐出距離PGを大きくしてワークWに対するヘッド3aの移動経路の追従性を敢えて低下させることにより、印刷画質を向上させることができる。
【0123】
本実施形態では、前述のように、タイミングt1における吐出距離PGがタイミングt3における吐出距離PGよりも大きいので、第1バンド領域RP1の印刷開始位置の画質を向上させることができる。
【0124】
また、前述のように、タイミングt1とタイミングt3との間のタイミングを「第4タイミング」の一例であるタイミングt4としたとき、タイミングt4における吐出距離PGは、タイミングt3における吐出距離PGよりも大きく、かつ、タイミングt1における吐出距離PGよりも小さい。このため、タイミングt1とタイミングt3との間における吐出距離PGの急激な変化による第1バンド領域RP1の画質低下を抑制することができる。
【0125】
さらに、前述のように、タイミングt2における吐出距離PGがタイミングt3における吐出距離PGよりも大きいので、第1バンド領域RP1の印刷終了位置の画質を向上させることができる。
【0126】
また、前述のように、タイミングt2とタイミングt3との間のタイミングを「第5タイミング」の一例であるタイミングt5としたとき、タイミングt5における吐出距離PGは、タイミングt3における吐出距離PGよりも大きく、かつ、タイミングt2における吐出距離PGよりも小さい。このため、タイミングt2とタイミングt3との間における吐出距離PGの急激な変化による第1バンド領域RP1の画質低下を抑制することができる。
【0127】
さらに、前述のように、タイミングt3を含み、かつ、タイミングt1およびタイミングt2を含まない期間の少なくとも一部にわたり、吐出距離PGが一定である。このため、ロボット2の腕部220の状態が動作限界に近くない状態において、吐出距離PGを一定にすることにより、吐出距離PGの増加による画質低下作用を抑制することができる。この結果、比較的簡単な制御で画質を向上させることができる。
【0128】
また、前述のように、第1印刷動作の実行中においてワークWとヘッド3aとの相対的な姿勢が変化する。このため、ワークWの印刷対象となる面WFが曲面であっても、画質を向上させることができる。
【0129】
さらに、前述のように、ワークWは、「第1面」の一例である面WFと、「第2面」の一例である面WFSと、を有する。面WFSは、面WFとは異なる方向を向いており、面WFと面WFSとの間には、面WFおよび面WFSによる凸状の角WCが形成される。第1バンド領域RP1は、面WFに設けられる。そのうえで、タイミングt1においてヘッド3aからインクが付与される面WFの位置を「第1位置」の一例である位置P1とし、タイミングt3においてヘッド3aからインクが付与される面WFの位置を「第3位置」の一例である位置P3としたとき、位置P1は、位置P3よりも角WCおよび面WFSに近い。このため、面WFの広範囲に印刷を行うことができる。また、このように面WFの広範囲に印刷を行っても、タイミングt1における吐出距離PGがタイミングt3における吐出距離PGよりも大きいので、ヘッド3aの側面とワークWの側面または角WCとの衝突を抑制し、万一衝突した場合であっても、ヘッド3aまたはワークWの損傷の程度を小さくすることができる。
【0130】
また、前述のように、位置P1は、面WFの角WCを形成する端に位置する。すなわち、位置P1と角WCとの間の距離が実質的にゼロとなる。このため、フチなし印刷を実行することができる。
【0131】
さらに、前述のように、印刷装置1は、第1印刷動作の実行直前において、ロボット2がワークWとヘッド3aとの相対的な位置を変化させつつ、ヘッド3aからインクを吐出させない第1非印刷動作を実行する。そのうえで、第1非印刷動作の実行中の任意のタイミングを「第6タイミング」の一例であるタイミングt6としたとき、タイミングt6における吐出距離PGは、タイミングt1における吐出距離PGよりも大きい。このため、タイミングt6においてロボット2の状態が動作限界を超え難くすることができる。また、ヘッド3aをキャッピングする位置等の位置から効率的に第1印刷動作に移行することができる。さらに、タイミングt6におけるロボット2の各関節230の回動量を少なくすることにより、タイミングt6におけるロボット2の振動がタイミングt1における画質に悪影響を与えることを低減することができる。なお、当該キャッピングする位置は、例えば、印刷動作の実行時のロボット2と接触せず、かつ、ワークWから離れた位置であって、ノズルNのインクが乾燥することを抑制する観点からノズル面FNの少なくとも一部を被覆可能なキャップ部材が設けられた位置である。
【0132】
ここで、前述のように、印刷装置1は、ロボット2の動作を制御する制御部8をさらに備える。制御部8は、経路情報Daを取得する。経路情報Daは、第1印刷動作および第1非印刷動作のそれぞれにおけるワークWとヘッド3aとの相対的な位置を仮想空間において規定する複数の教示点PTの集合に関する情報である。複数の教示点PTは、「第1教示点」の一例である教示点PT_1と、「第3教示点」の一例である教示点PT_3と、「第6教示点」の一例である教示点PT_6と、を含む。教示点PT_1は、タイミングt1におけるワークWとヘッド3aとの相対的な位置を示す教示点PTである。教示点PT_3は、タイミングt3におけるワークWとヘッド3aとの相対的な位置を示す教示点PTである。教示点PT_6は、タイミングt6におけるワークWとヘッド3aとの相対的な位置を示す教示点PTである。そのうえで、当該仮想空間において、教示点PT_1に基づく吐出距離PGは、教示点PT_3に基づく吐出距離PGよりも大きく、かつ、教示点PT_6に基づく吐出距離PGよりも小さい。このため、タイミングt1における吐出距離PGを、タイミングt3における吐出距離PGよりも大きく、かつ、タイミングt6における吐出距離PGよりも小さくすることができる。
【0133】
さらに、前述のように、印刷装置1は、第1印刷動作の実行直後において、第2非印刷動作を実行する。第2非印刷動作は、ロボット2がワークWとヘッド3aとの相対的な位置を変化させつつ、ヘッド3aからインクを吐出させない。そのうえで、第2非印刷動作の実行中の任意のタイミングを「第7タイミング」の一例であるタイミングt7としたとき、タイミングt7における吐出距離PGは、タイミングt2における吐出距離PGよりも大きい。このため、タイミングt7においてロボット2の状態が動作限界を超え難くすることができる。また、第1印刷動作の後にヘッド3aをキャッピングする位置等の位置へ効率的に移動させることができる。
【0134】
ここで、前述のように、経路情報Daは、第1印刷動作および第2非印刷動作のそれぞれにおけるワークWとヘッド3aとの相対的な位置を仮想空間において規定する複数の教示点PTの集合に関する情報である。複数の教示点PTは、「第2教示点」の一例である教示点PT_2と、「第3教示点」の一例である教示点PT_3と、「第7教示点」の一例である教示点PT_7と、を含む。教示点PT_2は、タイミングt2におけるワークWとヘッド3aとの相対的な位置を示す教示点PTである。教示点PT_3は、タイミングt3におけるワークWとヘッド3aとの相対的な位置を示す教示点PTである。教示点PT_7は、タイミングt7におけるワークWとヘッド3aとの相対的な位置を示す教示点PTである。そのうえで、当該仮想空間において、教示点PT_2に基づく吐出距離PGは、教示点PT_3に基づく吐出距離PGよりも大きく、かつ、教示点PT_7に基づく吐出距離PGよりも小さい。このため、タイミングt2における吐出距離PGを、タイミングt3における吐出距離PGよりも大きく、かつ、タイミングt7における吐出距離PGよりも小さくすることができる。
【0135】
また、前述のように、複数のノズルNからノズル面FNの法線方向に延びる仮想直線LNHとワークWの表面との交点において仮想直線LNHとワークWの表面とのなす角度を着弾角度θとしたとき、タイミングt1およびタイミングt2のうちの一方または両方における着弾角度θは、タイミングt3における着弾角度θよりも小さい。このため、タイミングt1およびタイミングt2のそれぞれにおける着弾角度θがタイミングt3における着弾角度θに等しい態様に比べて、タイミングt1およびタイミングt2のうちの一方または両方におけるロボット2の各関節の回動量を小さくすることができる。この結果、タイミングt1およびタイミングt2のうちの一方または両方におけるロボット2の動作による振動に起因する印刷画質の低下を抑制することができる。よって、ロボット2の動作による振動を低減しつつ、印刷画質を向上させることができる。
【0136】
ここで、前述のように、タイミングt1における着弾角度θをタイミングt3における着弾角度θよりも小さくすることにより、第1バンド領域RP1の印刷開始位置の画質を向上させることができる。
【0137】
また、前述のように、タイミングt2における着弾角度θをタイミングt3における着弾角度θよりも小さくすることにより、第1バンド領域RP1の印刷終了位置の画質を向上させることができる。
【0138】
以上のような印刷装置1のヘッド3aおよびロボット2を用いた印刷方法は、第1印刷動作を実行する場合、第1印刷動作の実行前に経路情報Daを取得するステップS10と、経路情報Daを用いて第1印刷動作を実行するステップS22と、を含む。以上の印刷方法では、ロボット2の動作による振動を低減しつつ、印刷画質を向上させることができる。
【0139】
2.第2実施形態
以下、本開示の第2実施形態について説明する。以下に例示する形態において作用および機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0140】
図11は、第2実施形態に係る印刷方法の流れを示す図である。当該印刷方法は、
図11に示すように、経路情報Daを取得するステップS30と、経路情報Daを用いて印刷動作を実行するステップS40と、をこの順で含む。
【0141】
ステップS30は、ワークWとヘッド3aとの相対的な位置を仮想空間において規定する複数の教示点を設定することにより、当該複数の教示点の集合に関する経路情報Daを取得する。この取得は、例えば、オンラインティーチングまたはオフラインティーチングにより行われる。
【0142】
ステップS40は、ステップS30で取得した経路情報Daを用いてワークWに印刷を行う。本実施形態では、ステップS40は、第1印刷動作_1を実行するステップS41と、第2印刷動作を実行するステップS42と、第1印刷動作_2を実行するステップS43と、をこの順で含む。ここで、第1印刷動作_1と第2印刷動作と第1印刷動作_2とは、互いに異なるパスの印刷動作である。また、互いに隣り合う領域に対して印刷を行う2つの印刷動作の間には、ロボット2がヘッド3aを主走査方向DSに交差する方向に移動させる改行動作を実行する。
【0143】
なお、ステップS41およびステップS43のうちの一方または両方の第1印刷動作の直前には、第1実施形態のステップS21と同様の第1非印刷動作が行われてもよい。また、ステップS41およびステップS43のうちの一方または両方の第1印刷動作の直後には、第1実施形態のステップS23と同様の第2非印刷動作が行われてもよい。
【0144】
図12は、第2実施形態における第1バンド領域RP1_1、RP1_2および第2バンド領域RP2を説明するための図である。前述の
図11に示すステップS41の第1印刷動作は、第1実施形態の第1印刷動作と同様、ロボット2がワークWに対するヘッド3aの相対的な位置を変化させつつ、ヘッド3aがインクを吐出することにより、ワークW上の第1バンド領域RP1_1に印刷を行う。同様に、前述の
図11に示すステップS44の第1印刷動作は、第1実施形態の第1印刷動作と同様、ロボット2がワークWに対するヘッド3aの相対的な位置を変化させつつ、ヘッド3aがインクを吐出することにより、ワークW上の第1バンド領域RP1_2に印刷を行う。
【0145】
本実施形態においても、第1バンド領域RP1_1、RP1_2のそれぞれは、第1実施形態と同様、Z軸に沿う方向にみて第1バンド領域RP1の中心線が回動軸O1を通る仮想直線に一致しない。ただし、本実施形態では、第1バンド領域RP1_1と第1バンド領域RP1_2との間には、第2バンド領域RP2が介在する。
【0146】
第2バンド領域RP2には、前述の
図11に示すステップS42の第2印刷動作による印刷が行われる。すなわち、当該第2印刷動作は、ロボット2がワークWに対するヘッド3aの相対的な位置を変化させつつ、ヘッド3aがインクを吐出することにより、ワークW上の第2バンド領域RP2に印刷を行う。
【0147】
第2バンド領域RP2は、ヘッド3aをワークWに対して走査方向に沿って相対的に移動させつつ、ヘッド3aからインクを吐出させたときに、ヘッド3aのノズル列NLの長さにより規定される幅で、当該走査方向に延びる帯状の印刷可能な面WFの領域である。なお、当該幅を規定するノズル列NLの長さは、ノズル列NLを構成する複数のノズルNのうち、インクを吐出可能な複数のノズルNの群の長さであり、走査ごとまたは走査方向での位置に応じて可変であってもよい。また、第2バンド領域RP2の幅は、第1バンド領域RP1の幅と同じであってもよいし異なってもよい。
【0148】
図11に示す例では、第2バンド領域RP2がX軸に沿う方向に延びる。ここで、第2印刷動作の実行時には、ロボット2がヘッド3aをZ軸に沿う方向にみてX1方向またはX2方向に移動させる。このため、第1印刷動作と同様、第2バンド領域RP2のX2方向での端を印刷する際には、ロボット2の腕部220を広げた状態となる。一方、第2バンド領域RP2のX1方向での端を印刷する際には、ロボット2の腕部220を縮めた状態となる。
【0149】
ただし、Z軸に沿う方向にみて第2バンド領域RP2の中心線が回動軸O1を通る仮想直線に一致する。このため、第2印刷動作の実行時には、回動軸O1に直交する回動軸O2、O3、O5の3つの関節230、すなわち、関節230_2、230_3、230_5だけを動作させれば済む。したがって、第2バンド領域RP2に印刷を行う場合、第1バンド領域RP1に印刷を行う場合に比べて、ロボット2の関節230の動作による振動が印刷画質に影響を与え難い。
【0150】
そこで、第2印刷動作の実行時には、第1印刷動作の実行時に比べて、吐出距離PGおよび着弾角度θの変化が少ない。
【0151】
図13は、第2実施形態における第1印刷動作および第2印刷動作の実行時のヘッド3aの軌跡TR1_1、TR2、TR1_2を説明するための斜視図である。軌跡TR1_1、TR1_2は、第1実施形態と同様、第1バンド領域RP1_1、RP1_2への印刷時のヘッド3aのノズル列NLの軌跡であって、
図6に網掛けによって視認可能に示す。軌跡TR2は、第2バンド領域RP2への印刷時のヘッド3aのノズル列NLの軌跡であって、
図6に網掛けによって視認可能に示す。本実施形態では、ツールセンターポイントTCPがノズル面FN上に設定されるため、軌跡TR_1およびTR_2のそれぞれは、ノズル面FNの軌跡であるともいえる。
【0152】
図14は、第2実施形態における第1印刷動作の実行時のヘッド3aの移動経路RU1を説明するための図である。
図14は、第2実施形態における第2印刷動作の実行時のヘッド3aの移動経路RU2を説明するための図である。
図14および
図15では、第1印刷動作および第2印刷動作の実行時におけるヘッド3aの移動方向がZ軸に沿う方向にみてX1方向である場合が示される。
【0153】
図14に示すように、移動経路RU1は、ステップS41、S43の第1印刷動作の実行時のヘッド3aの移動経路であり、Y軸に沿う方向にみて第1実施形態の移動経路RU1と同様である。一方、
図15に示すように、移動経路RU2は、ステップS42の第2印刷動作の実行時のヘッド3aの移動経路であり、Y軸に沿う方向にみて移動経路RU1に比べて前述の参考例の移動経路RUに近い経路である。なお、移動経路RU2は、Y軸に沿う方向にみて参考例の移動経路RUと同じであってもよい。
【0154】
移動経路RU2は、教示点PT_8、PT_9、PT_10を含む複数の教示点で規定される。
【0155】
教示点PT_8は、タイミングt8におけるワークWとヘッド3aとの相対的な位置を示す教示点PTである。タイミングt8は、「第8タイミング」の一例であって、第2印刷動作を開始するタイミングである。タイミングt8においてヘッド3aから吐出されるインクは、位置P8で面WFに付与される。
図14に示す例では、位置P8は、面WFの角WCを形成する端に位置する。
【0156】
教示点PT_9は、タイミングt9におけるワークWとヘッド3aとの相対的な位置を示す教示点PTである。タイミングt9は、「第9タイミング」の一例であって、第2印刷動作を終了するタイミングである。タイミングt9においてヘッド3aから吐出されるインクは、位置P9で面WFに付与される。
【0157】
教示点PT_10は、タイミングt10におけるワークWとヘッド3aとの相対的な位置を示す教示点PTである。タイミングt10は、タイミングt8とタイミングt9との間のタイミングである。タイミングt10においてヘッド3aから吐出されるインクは、位置P10で面WFに付与される。
【0158】
このような教示点PT_8、PT_9、PT_10を含む複数の教示点で規定される移動経路RU2において、生産性と画質との両立を図る観点から、教示点PT_8に基づく吐出距離PG_8、すなわちタイミングt8における吐出距離PGは、移動経路RU1の教示点PT_1に基づく吐出距離PG_1、すなわちタイミングt1における吐出距離PGよりも小さい。同様に、教示点PT_9に基づく吐出距離PG_9、すなわちタイミングt9における吐出距離PGは、移動経路RU1の教示点PT_2に基づく吐出距離PG_2、すなわちタイミングt2における吐出距離PGよりも小さい。教示点PT_10に基づく吐出距離PG_10、すなわちタイミングt10における吐出距離PGは、移動経路RU1の教示点PT_3に基づく吐出距離PG_3、すなわちタイミングt3における吐出距離PGと等しいことが好ましい。
【0159】
このような教示点PT_8、PT_9、PT_10を用いることにより、教示点PT_8に基づく吐出距離PG_8と教示点PT_9に基づく吐出距離PG_9と教示点PT_10に基づく吐出距離PG_10とを互いに等しくすることができる。なお、教示点PT_8に基づく着弾角度θ_8と教示点PT_9に基づく着弾角度θ_9と教示点PT_10に基づく着弾角度θ_10とは、互いに異なってもよいが、画質を高める観点から互いに等しいことが好ましい。しかしながら、例えば、第1バンド領域RP1と第2バンド領域RP2との間で画質差が顕著となってしまう場合や、第2印刷動作におけるロボット2の振動に起因して第2バンド領域RP2の画質が低下する場合等においては、吐出距離PG_8は、吐出距離PG_10または吐出距離PG_3よりも大きく、かつ、吐出距離PG_1よりも小さくしてもよく、同様に、吐出距離PG_9は、吐出距離PG10または吐出距離PG_3よりも大きく、かつ、吐出距離PG_2よりも小さくしてもよい。また、着弾角度θ_8は、着弾角度θ_10または着弾角度θ_3と、着弾角度θ_1との間の角度としてもよく、同様に、着弾角度θ_9は、着弾角度θ_10または着弾角度θ_3と、着弾角度θ_2との間の角度としてもよい。
【0160】
なお、ワークWの配置等によっては、吐出距離PG_8が吐出距離PG_1よりも大きくてもよいし、吐出距離PG_9が吐出距離PG_2よりも大きくてもよい。また、吐出距離PG_8が吐出距離PG_1と異なっていれば、吐出距離PG_9が吐出距離PG_2と等しくてもよい。同様、吐出距離PG_9が吐出距離PG_2と異なっていれば、吐出距離PG_8が吐出距離PG_1と等しくてもよい。
【0161】
以上の第2実施形態によっても、ロボット2の動作による振動を低減しつつ、印刷画質を向上させることができる。本実施形態の印刷装置1Aは、前述のように、第2印刷動作を実行する。第2印刷動作は、ロボット2が前記ワークWと前記ヘッド3aとの相対的な位置を変化させつつ、ヘッド3aからインクを吐出することにより、ワークW上の第1バンド領域RP1に隣接する第2バンド領域RP2に印刷を行う。そのうえで、第2印刷動作を開始するタイミングを「第8タイミング」の一例であるタイミングt8とし、第2印刷動作を終了するタイミングを「第9タイミング」の一例であるタイミングt9としたとき、タイミングt1における吐出距離PGとタイミングt8における吐出距離PGとが互いに異なることと、タイミングt2における吐出距離PGとタイミングt8における吐出距離PGとが互いに異なることと、のうち一方または両方を満足する。このため、生産性と画質との両立を図りつつ、第1バンド領域RP1および第2バンド領域RP2に印刷を行うことができる。
【0162】
3.変形例
以上の例示における各形態は多様に変形され得る。前述の各形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。なお、以下の例示から任意に選択される2以上の態様は、互いに矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
【0163】
3-1.変形例1
前述の各形態では、第1バンド領域への印刷時における吐出距離および着弾角度のうちの両方が第1タイミングまたは第2タイミングと第3タイミングとの間で異なる態様が例示されるが、第1バンド領域への印刷時における吐出距離および着弾角度の片方のみが第1タイミングまたは第2タイミングと第3タイミングとの間で異なってもよい。
【0164】
また、吐出距離または着弾角度が第1タイミングおよび第2タイミングのうちの一方と第3タイミングとの間で異なればよく、吐出距離または着弾角度が第1タイミングおよび第2タイミングのうちの他方と第3タイミングとの間で同じであってもよい。
【0165】
3-2.変形例2
前述の形態では、フチなし印刷を行う態様が例示されるが、この態様に限定されず、位置P1が角WCから離れた位置であってもよい。
【0166】
3-3.変形例3
前述の形態では、Z軸に沿う方向にみて第1印刷動作および第2印刷動作の実行時におけるヘッド3aの移動方向がX1方向である場合が例示されるが、これに限定されない。例えば、Z軸に沿う方向にみて、第1印刷動作および第2印刷動作の実行時におけるヘッド3aの移動方向がX2方向であってもよいし、Z軸に沿う方向にみて、第1印刷動作および第2印刷動作の実行時におけるヘッド3aの移動方向がX軸に直交する方向であってもよいし、Z軸に沿う方向にみて、第1印刷動作および第2印刷動作の実行時におけるヘッド3aの移動方向がX軸およびY軸の両方に傾斜する方向であってもよい。
【0167】
3-4.変形例4
前述の形態では、ロボットとして6軸の垂直多軸ロボットを用いる構成が例示されるが、当該構成に限定されない。ロボットは、例えば、6軸以外の垂直多軸ロボットでもよいし、水平多軸ロボットでもよい。また、ロボットの腕部は、回動機構で構成される関節に加えて、伸縮機構または直動機構等を有してもよい。ただし、印刷動作での印刷品質と非印刷動作でのロボットの動作の自由度とのバランスの観点から、ロボットは、6軸以上の多軸ロボットであることが好ましい。
【0168】
3-5.変形例5
前述の形態では、ロボットに対するヘッドの固定方法としてネジ止め等を用いる構成が例示されるが、当該構成に限定されない。例えば、ロボットのエンドエフェクターとして装着されるハンド等の把持機構によりヘッドを把持することにより、ロボットに対してヘッドを固定してもよい。
【0169】
3-6.変形例6
また、前述の形態では、ヘッドを移動させる構成のロボットが例示されるが、当該構成に限定されず、例えば、液体吐出ヘッドの位置が固定されており、ロボットがワークを移動させ、ヘッドに対してワークの位置および姿勢を3次元的に変化させる構成でもよい。この場合、例えば、ロボットアームの先端に装着されるハンド等の把持機構によりワークが把持される。
【0170】
3-7.変形例7
前述の形態では、1種類のインクを用いて印刷を行う構成が例示されるが、当該構成に限定されず、2種以上のインクを用いて印刷を行う構成にも本開示を適用することができる。
【0171】
3-8.変形例8
本開示の印刷装置の用途は画像の印刷に限定されない。例えば、色材の溶液を吐出する印刷装置は、液晶表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、導電材料の溶液を吐出する印刷装置は、配線基板の配線や電極を形成する製造装置として利用される。また、印刷装置は、接着剤等の液体を媒体に塗布するジェットディスペンサーとしても利用できる。
【符号の説明】
【0172】
1…印刷装置、1A…印刷装置、2…ロボット、2a…アーム駆動機構、3…ヘッドユニット、3a…ヘッド、3b…圧力調整弁、3c…エネルギー出射部、3e…スイッチ回路、3f…支持体、5…コントローラー、5a…記憶回路、5b…処理回路、6…制御モジュール、6a…タイミング信号生成回路、6b…電源回路、6c…制御回路、6d…駆動信号生成回路、7…コンピューター、7a…記憶回路、7b…処理回路、8…制御部、10…配管部、210…基部、220…腕部、221…アーム、222…アーム、223…アーム、224…アーム、225…アーム、226…アーム、230…関節、230_1…関節、230_2…関節、230_3…関節、230_4…関節、230_5…関節、230_6…関節、CLK…クロック信号、CNG…チェンジ信号、Com…駆動信号、D1…出力、D3…信号、DE…吐出方向、DN…ノズル列方向、Da…経路情報、Dc…ワーク情報、FN…ノズル面、Img…印刷データ、LAT…ラッチ信号、LNH…仮想直線、LNW…法線、LTW…接線、N…ノズル、NL…ノズル列、NL1…第1ノズル列、NL2…第2ノズル列、O1…回動軸、O2…回動軸、O3…回動軸、O4…回動軸、O5…回動軸、O6…回動軸、P1…位置(第1位置)、P2…位置(第2位置)、P3…位置(第3位置)、P4…位置(第4位置)、P5…位置(第5位置)、P8…位置(第8位置)、P9…位置(第9位置)、PD…駆動パルス、PG…吐出距離、PG_1…吐出距離、PG_2…吐出距離、PG_3…吐出距離、PG_4…吐出距離、PG_5…吐出距離、PG_6…吐出距離、PG_7…吐出距離、PG_8…吐出距離、PG_9…吐出距離、PR…プログラム、PT…教示点、PTS…タイミング信号、PT_1…教示点(第1教示点)、PT_2…教示点(第2教示点)、PT_3…教示点(第3教示点)、PT_4…教示点(第4教示点)、PT_5…教示点(第5教示点)、PT_6…教示点(第6教示点)、PT_7…教示点(第7教示点)、PT_8…教示点(第8教示点)、PT_9…教示点(第9教示点)、Pi…交点、RP1…第1バンド領域、RP1_1…第1バンド領域、RP1_2…第1バンド領域、RP2…第2バンド領域、RU…移動経路、RU1…移動経路、RU2…移動経路、S10…ステップ、S20…ステップ、S21…ステップ、S22…ステップ、S23…ステップ、S30…ステップ、S40…ステップ、S41…ステップ、S42…ステップ、S43…ステップ、S44…ステップ、SI…制御信号、Sk1…制御信号、TCP…ツールセンターポイント、TR1_1…軌跡、TR1_2…軌跡、TR2…軌跡、TR_1…軌跡、TR_2…軌跡、VBS…オフセット電位、VHV…電源電位、W…ワーク、WC…角、WF…面、WFS…面、dCom…波形指定信号、t1…タイミング(第1タイミング)、t2…タイミング(第2タイミング)、t3…タイミング(第3タイミング)、t4…タイミング(第4タイミング)、t5…タイミング(第5タイミング)、t6…タイミング(第6タイミング)、t7…タイミング(第7タイミング)、t8…タイミング(第8タイミング)、t9…タイミング(第9タイミング)、θ…着弾角度、θ_1…着弾角度、θ_2…着弾角度、θ_3…着弾角度、θ_4…着弾角度、θ_5…着弾角度、θ_6…着弾角度、θ_7…着弾角度、θa…角度。