(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102495
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】点検支援システム
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20240724BHJP
【FI】
G08B17/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006406
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】榎元 将大
【テーマコード(参考)】
5G405
【Fターム(参考)】
5G405AA04
5G405BA01
5G405CA13
5G405CA46
5G405CA47
5G405CA53
(57)【要約】
【課題】感知器の点検を円滑に行うことができる点検支援システムを得る。
【解決手段】点検支援システムは、火災受信機(1)と、火災の発生を感知すると発報する1以上の感知器(4)と、点検作業者(10)によって携帯される携帯端末(3)と、を備え、携帯端末(3)は、1以上の感知器(4)のそれぞれの設置場所を示すアイコンである感知器アイコンが配置されている、施設の配置図を表示し、点検作業者(10)によって点検作業の対象となる第1感知器に対応する第1感知器アイコンが選択されると、当該第1感知器アイコンに対応付けている第1感知器の識別情報を送信し、火災受信機(1)は、識別情報を受信すると、当該識別情報に対応した第1感知器に対し、発報実行信号を送信し、第1感知器は、発報実行信号を受信すると、点検作業が正常に完了したことを示す点灯パターンによる発報を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災受信機と、
前記火災受信機に接続されており、火災の発生を感知すると発報する1以上の感知器と、
点検作業者によって携帯される携帯端末と、
を備え、
前記携帯端末は、
前記1以上の感知器のそれぞれの設置場所を示すアイコンである感知器アイコンが配置されている、施設の配置図を表示し、
前記点検作業者によって点検作業の対象となる第1感知器に対応する第1感知器アイコンが選択されると、当該第1感知器アイコンに対応付けて記憶されている前記第1感知器の識別情報を送信し、
前記火災受信機は、前記第1感知器の識別情報を受信すると、当該識別情報に対応した前記第1感知器に対し、発報動作を行わせるための発報実行信号を送信し、
前記第1感知器は、前記発報実行信号を受信すると、前記点検作業が正常に完了したことを示す点灯パターンによる発報を行う、
点検支援システム。
【請求項2】
前記第1感知器は、前記発報実行信号を受信すると、前記火災受信機に、擬似火災を感知したことを示す擬似火災信号を送信し、
前記火災受信機は、前記擬似火災信号を受信すると、当該擬似火災信号を送信した前記第1感知器の識別情報を含めて、前記擬似火災信号を受信したことを示すメッセージを送信し、
前記携帯端末は、前記メッセージを受信すると、前記配置図上に配置されている、前記点検作業が正常に完了した前記第1感知器に対応する前記第1感知器アイコンを、点検未実施の感知器に対応する感知器アイコンと区別することができるように識別表示する、請求項1に記載の点検支援システム。
【請求項3】
前記携帯端末と前記火災受信機との間のデータ通信を中継する中継端末をさらに備え、
前記中継端末は、近距離無線通信を介して前記火災受信機と通信する、請求項1または2に記載の点検支援システム。
【請求項4】
前記中継端末には、前記配置図の描画用データである配置図データが記憶されており、
前記携帯端末は、前記中継端末に記憶されている前記配置図データをダウンロードすることにより、前記配置図を表示する、請求項3に記載の点検支援システム。
【請求項5】
前記中継端末には、前記配置図を表示し、当該配置図の中から点検作業の対象となる感知器アイコンが選択されると、当該感知器アイコンに対応付けられた感知器の識別情報を送信するソフトウェアが記憶されており、
前記携帯端末は、前記中継端末に記憶されている、前記ソフトウェアをダウンロードして実行する、請求項3に記載の点検支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、感知器の点検作業を行う際の点検支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、防災システムにおける感知器に関して、少なくとも二人の作業点検者によって点検作業が行われる。具体的には、一方の点検作業者が、施設内に据え置かれている火災受信機を操作し、点検対象の感知器に対して擬似的な火災を発生させる。また、他方の点検作業者が、点検対象の感知器付近で待機し、当該感知器が正しく発報動作を行うかを確認する。
【0003】
各点検作業者は、全ての点検対象の感知器に対し、相互に連絡を取り合いながら上記の作業を繰り返し行う。
【0004】
また、感知器の点検作業を、携帯端末を用いて支援するシステムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に係る点検支援システムにおいて、点検作業者は、所持している携帯端末に対し、当該感知器のアドレスを入力する。
【0005】
点検作業者によってアドレスが入力された携帯端末は、当該アドレスを、外部のサーバ装置、及び施設内の通信端末を介して、火災受信機まで送信する。火災受信機は、受信したアドレスに対応する感知器に対して、点検用のコマンドを発行する。
【0006】
特許文献1に係る点検支援システムにおいては、火災受信機に対する操作及び火災感知器の動作確認を、点検作業者の居場所に関わらず携帯端末を利用して行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の点検支援システムにおいて、点検作業者は、携帯端末に表示されたキーボードを用いて、点検対象の感知器のアドレスの番号を手入力する。携帯端末は、手入力されたアドレス、またはアドレスに対応する感知器の種別若しくはメッセージを、サーバ装置に送信する。
【0009】
このように、特許文献1の点検支援システムにおいて、点検作業者は、点検対象の感知器のアドレスの番号を、キーボードを用いて手入力する必要がある。このため、点検作業者は、施設内の各所に配置されている感知器ごとに、対応するアドレスを把握しておく必要があり、操作性の改善が望まれる。
【0010】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、感知器の設置現場における簡便な操作により円滑な点検作業を行うことができる点検支援システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示に係る点検支援システムは、火災受信機と、火災受信機に接続されており、火災の発生を感知すると発報する1以上の感知器と、点検作業者によって携帯される携帯端末と、を備え、携帯端末は、1以上の感知器のそれぞれの設置場所を示すアイコンである感知器アイコンが配置されている、施設の配置図を表示し、点検作業者によって点検作業の対象となる第1感知器に対応する第1感知器アイコンが選択されると、当該第1感知器アイコンに対応付けて記憶されている第1感知器の識別情報を送信し、火災受信機は、第1感知器の識別情報を受信すると、当該識別情報に対応した第1感知器に対し、発報動作を行わせるための発報実行信号を送信し、第1感知器は、発報実行信号を受信すると、点検作業が正常に完了したことを示す点灯パターンによる発報を行う。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、感知器の設置現場における簡便な操作により円滑な点検作業を行うことができる点検支援システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の実施の形態1における防災システムの構成を示した図である。
【
図2】
図1に示す中継端末及び携帯端末の構成例を示したブロック図である。
【
図3】
図2に示す携帯端末の表示操作部によって表示される配置図データの一例を示す図である。
【
図4】
図1に示す防災システムの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の点検支援システムの好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。
本開示に係る点検支援システムは、点検作業者が携帯する携帯端末に、施設内の配置図を表示させるとともに、当該配置図内に、各感知器の配置場所を示すアイコンを表示させる。そして、携帯端末は、アイコンが選択されると、アイコンに対応付けて記憶されている感知器IDに基づいて点検を行うべき感知器を特定し、当該感知器に報知動作を行わせるため、感知器IDを火災受信機に対し送信することを技術的特徴としている。
【0015】
実施の形態1.
図1は、本開示の実施の形態1における防災システムの構成を示した図である。
図1に示す防災システム100には、以降に説明するとおり、点検支援システムとしての機能が組み込まれている。
【0016】
防災システム100は、火災受信機1、中継端末2、携帯端末3、及び感知器4を備えて構成されている。
【0017】
火災受信機1は、防災システム100における集中管理装置である。火災受信機1は、感知器4からの火災信号を監視し、火災信号を受信すると、非常放送設備、地区音響装置、スプリンクラーなどの図示しない防火設備を作動させる。また、火災受信機1は、感知器4の点検の際、点検対象の感知器4に対し、火災を擬似的に感知させる機能を備えている。
【0018】
中継端末2は、一例として、タブレット型のコンピュータで構成され、火災受信機1と近距離無線通信によるデータの送受信を行う。本実施の形態1における近距離無線通信は、例えばBluetooth(登録商標)の規格に準拠した通信である。
【0019】
また、中継端末2は、携帯端末3との間で無線LAN(Local Area Network)によるデータの送受信を行うことができる。このため、中継端末2は、火災受信機1と携帯端末3との間でのデータの中継を行うことができる。
【0020】
中継端末2の背面には、磁石が設けられており、磁力によって火災受信機1の筐体に取り付けられることが可能な構成となっている。このため、火災受信機1との間で行われる近距離無線通信の通信範囲内に、中継端末2を容易に配置することができる。
【0021】
携帯端末3は、一例として、タブレット型のコンピュータで構成され、点検作業の際に、点検作業者10によって携帯される。携帯端末3は、中継端末2との間で無線LANによるデータの送受信を行う。
【0022】
感知器4は、火災受信機1に接続されており、火災を感知すると、火災受信機1に火災信号を出力する。また、感知器4は、火災を感知すると、点灯パターンによる発報動作を行う。
【0023】
本実施の形態1においては、施設内の各所に、感知器4(1)、4(2)、・・・、4(N)のN台の感知器4が配置されているものとする。
【0024】
図2は、
図1に示す中継端末2及び携帯端末3の構成例を示したブロック図である。
【0025】
図2において、携帯端末3は、近距離無線通信部31、無線LAN通信部32、表示操作部33、演算処理部34、及び記憶部35を備えている。
【0026】
近距離無線通信部31は、後述する中継端末2における近距離無線通信部21と同じ機能を備えており、外部機器との間で近距離無線通信を可能にする。
【0027】
無線LAN通信部32は、図示しないアクセスポイントを介して、インフラストラクチャモードにより中継端末2と接続し、無線LANによる通信を行う。なお、無線LAN通信部32は、アクセスポイントを介さないアドホックモードにより、中継端末2と直接的に通信を行ってもよい。
【0028】
表示操作部33は、タッチパネルディスプレイを含んでおり、液晶画面上にタッチパネルを配置させた構成を有している。表示操作部33は、液晶画面に文字、記号、図形、静止画像、動画などのコンテンツを表示する。また、表示操作部33は、タッチパネルを介して人の指先などの接触を検知した場合、その位置を特定し、位置情報として演算処理部34に出力する。そして、表示操作部33は、位置情報に応じた表示指令を演算処理部34から取得し、当該表示指令に基づいて、表示内容を変化させる。
【0029】
演算処理部34は、中央演算処理装置、及び主記憶装置を含んでおり、記憶部35に記憶されているソフトウェアを演算実行する。これにより、演算処理部34は、携帯端末3の内部のハードウェアに対して統括的な制御を行う。
【0030】
記憶部35は、補助記憶装置を含んでおり、演算処理部34によって演算実行されるソフトウェアを記憶する。
【0031】
中継端末2は、近距離無線通信部21、無線LAN通信部22、表示操作部23、演算処理部24、及び記憶部25を備えている。
【0032】
近距離無線通信部21は、火災受信機1との間で近距離無線通信によるデータの送受信を行う。
【0033】
近距離無線通信部21は、火災受信機1と一意のセキュア情報を共有することにより、ペアリングを確立する。そして、近距離無線通信部21は、当該セキュア情報を用いて、ペアリングの相手先である火災受信機1と近距離無線通信を行う。
【0034】
無線LAN通信部22は、インフラストラクチャモードまたはアドホックモードにより、携帯端末3との間で、無線LANによる通信を行う。
【0035】
表示操作部23、演算処理部24、及び記憶部25は、携帯端末3に備えられている表示操作部33、演算処理部34、及び記憶部35と同じ機能を備えている。
【0036】
なお、上記の構成において、中継端末2には、少なくとも近距離無線通信部21、無線LAN通信部22、及びこれらを制御するための演算処理部24が備えられていればよい。また、携帯端末3には、近距離無線通信部31が構成上無くても構わない。
【0037】
また、上記の構成において、携帯端末3に備えられている記憶部35には、配置図データL1、L2、L3、・・・が記憶されている。配置図データL1、L2、L3、・・・は、表示操作部33が表示するための描画用データであり、例えば、感知器4が配置されている施設のフロアを、平面地図状に記したものである。以下、配置図データL1、L2、L3、・・・を総称する場合、配置図データLと称する。
【0038】
図3は、
図2に示す携帯端末3の表示操作部33によって表示される配置図の一例を示す図である。
【0039】
配置図データLには、店舗、事務室など、エリアごとの用途をあらわすデータが含まれている。また、配置図データLには、階段、エレベータを示す図形データが含まれている。また、配置図データLには、手洗い場、非常口、発信機、及びAED(Automated External Defibrillator)を示すアイコンのデータが含まれている。
【0040】
また、配置図データLには、感知器4の設置場所をあらわす感知器アイコン40A~40Gのデータが含まれている。感知器アイコン40A~40Gは、例えばボタン形式など、点検作業者10によって選択可能なアイコン画像データとなっている。
【0041】
携帯端末3の表示操作部33は、配置図データLを記憶部35から取得することにより、検査対象となる施設の配置図を表示する。配置図内の感知器アイコン40A~40Gは、感知器アイコン40A~40Gの描画領域内に指先などが接触することにより、選択される。
【0042】
また、記憶部35には、各感知器アイコン40A~40Gと感知器4の識別情報とが対応付けられたテーブルが記憶されている。この感知器4の識別情報を、感知器IDと称する。
【0043】
次に、本実施の形態1における防災システム100を用いた点検方法について説明する。
【0044】
図4は、
図1に示す防災システム100の動作を示すシーケンス図である。なお、以下では、点検作業者10によって選択される点検作業の対象となる感知器4のことを「第1感知器」と称し、
図4では、感知器4(1)が点検作業の対象となる第1感知器として選択された場合を例に、一連の流れを説明する。
【0045】
点検作業者10は、携帯端末3を操作して、記憶部35に記憶されている点検支援ソフトウェアを起動する。そして、点検作業者10は、ステップS101において、点検支援ソフトウェアの起動直後に表示される、図示しない選択画面を用いて、点検対象となる施設の名称及びフロアを選択する。
【0046】
携帯端末3は、ステップS102において、点検作業者10によって選択された施設の名称及びフロアに対応する点検対象の配置図データを、記憶部35に記憶されている配置図データLの中から抽出する。そして、携帯端末3は、ステップS103において、対象となる配置図データを表示する。
【0047】
ここでは、
図3に示されている配置図が表示されるものとし、感知器アイコン40A、40B、・・・、40Gに対応する各感知器4(1)、4(2)、・・・に対して、点検作業が行われるものとする。
【0048】
点検作業者10は、携帯端末3に表示されている配置図を参照することにより、例えば、感知器アイコン40Aの地点を目指して移動することができる。これにより、現場に不慣れな点検作業者10であっても、点検対象の感知器4の付近までたどり着くことができる。
【0049】
点検作業者10は、移動の後、ステップS111において、感知器アイコン40Aを押下することにより、点検対象の感知器4を選択する。
【0050】
ここでは、感知器アイコン40Aと
図2に示す感知器4(1)とが対応しているものとする。すなわち、点検作業者10によって選択される第1感知器アイコンとして、感知器アイコン40Aが押下される。また、この押下により、点検作業の対象となる第1感知器として、感知器4(1)が選択される。
【0051】
感知器アイコン40Aの押下を受け付けた携帯端末3は、ステップS112において、当該感知器アイコン40Aに対応付けられて記憶されている感知器4(1)の感知器IDを、記憶部35から取得する。
【0052】
携帯端末3は、ステップS113において、無線LANによる通信により、感知器4(1)に対応する感知器IDを、中継端末2まで送信する。
【0053】
中継端末2は、ステップS114において、受信した感知器IDに対し、短距離無線で通信するためのデータ変換処理を行う。そして、中継端末2は、ステップS115において、変換後の感知器IDを、短距離無線通信を介して火災受信機1まで中継する。
【0054】
火災受信機1は、ステップS116において、受信した感知器IDに対応する感知器4のアドレスを取得する。火災受信機1には、各感知器4を一意に管理するためのアドレスが予め設定されており、感知器IDとアドレスとを対応付けたテーブルが予め保持されている。火災受信機1は、このテーブルを参照することにより、受信した感知器IDに対応するアドレスを取得する。ここでは、感知器4(1)のアドレスが取得される。
【0055】
火災受信機1は、ステップS117において、取得したアドレスに紐づけられている感知器4(1)に対し、発報動作を行わせるための発報実行信号を送信する。
【0056】
本実施の形態1において、この発報実行信号は、擬似火災を感知させるための制御信号である。この制御信号により、感知器4(1)は、ステップS118において、許容範囲を超える高温を感知した、許容範囲を超える煙を感知したなど、周囲で火災が発生したことを擬似的に感知する。
【0057】
感知器4(1)は、ステップS119において、擬似火災を感知したことを示す擬似火災信号を、火災受信機1に出力する。また、感知器4(1)は、ステップS120において、擬似火災を感知させるための制御信号を受信したことを示す点灯パターンによる発報動作を行う。
【0058】
なお、擬似火災を感知させるための制御信号を受信したことを示すための「点灯パターン」とは、あらかじめ決められた点灯時間、点灯周期によって点滅するパターンも含むものである。
【0059】
感知器4(1)の近くにいる点検作業者10は、当該感知器4(1)が発報しているか否かを確認することにより、当該感知器4(1)が正常に機能しているかを点検することができ、当該感知器4(1)の点検作業が正常に完了したことを確認することができる。
【0060】
一方、擬似火災信号を受信した火災受信機1は、ステップS121において、感知器4(1)が擬似的な火災を感知したことを画面上に表示させる。
【0061】
点検作業者10は、感知器4(1)の点検を終えた後、携帯端末3に表示されている配置図を参照して、次の感知器アイコン40Bの地点まで移動することができる。以降、ステップS111~ステップS121の各処理が、残りの各感知器4に対して順次行われることにより、点検作業者10は、一人で円滑にフロア内の感知器4の点検を行うことができる。
【0062】
なお、上記においては、点検作業者10が携帯端末3に表示されている配置図を参照して、点検対象の感知器4の近くまで移動するものとして説明した。これ以外にも、点検作業者10の現在地に近い感知器4を、点検作業者10が選択することにより、点検作業を行うことも可能である。すなわち、配置図データLを点検対象となる感知器4の選択にのみ活用することも可能である。
【0063】
また、本実施の形態1においては、配置図データLを事前に記憶部35に記憶させる構成について説明した。これ以外にも、例えばWebベースにより中継端末2から携帯端末3に配置図データLを提供する方法を採用してもよい。
【0064】
この場合、中継端末2の記憶部25に、配置図データLを記憶させ、且つ、中継端末2をWebサーバとして稼働させる。そして、携帯端末3は、Webブラウザを介して中継端末2にアクセスし、配置図データLを中継端末2からダウンロードして表示する。以降の処理は、ステップS111~ステップS121と同様である。
【0065】
また、中継端末2は、配置図データの中のアイコンを選択するだけで、点検を行いたい感知器4を特定し、選択されたアイコンに対応付けられた感知器IDを送信できるソフトウェアを携帯端末3にダウンロードさせて、使用させる構成であってもよい。この場合、中継端末2の記憶部25に、該当するソフトウェアを記憶させておき、携帯端末3からの要求に応じて、携帯端末3にダウンロードさせる。
【0066】
また、本実施の形態1において、中継端末2と携帯端末3とは、無線LANによりデータの送受信を行っているが、広域通信網及び外部のクラウドサーバを介在させてデータの送受信を行ってもよい。この場合、クラウドサーバに配置図データLを記憶させ、例えばWebベースにより、携帯端末3に配置図データLを提供する構成としてもよい。
【0067】
また、本実施の形態1においては、複数の感知器4を備える構成について説明したが、1つの感知器4のみを備える構成であってもよい。すなわち、1以上の感知器4を構成するシステムであればよい。
【0068】
また、本実施の形態1においては、携帯端末3が感知器IDを送信し、火災受信機1が感知器IDをアドレスに変換するものとしている。これに対し、中継端末2が感知器IDをアドレスに変換してもよい。または、携帯端末3が、感知器4の識別情報としてアドレスを直接送信してもよい。
【0069】
また、火災受信機1は、擬似火災信号を感知器4から受けた場合、携帯端末3にこの旨のメッセージを通知するようにしてもよい。この場合、送信されるメッセージには、擬似火災信号を送信した感知器4の感知器IDが含まれるものとする。また、中継端末2がこのメッセージを中継し、携帯端末3に送信する。
【0070】
携帯端末3は、このようにして、点検対象として選択した感知器4の点検動作が正常に完了したことを確認できた場合には、配置図データ上で、点検作業が正常に完了した感知器4を、点検が未実施の感知器と区別するために識別表示することができる。
【0071】
この結果、点検作業者10は、携帯端末3に表示された配置図データを視認することで、点検を実施して正常動作が確認できた感知器と、点検を未実施の感知器とを容易に区別することができ、円滑な点検作業の一助となる。
【0072】
また、携帯端末3と火災受信機1とが近距離無線通信可能な位置関係にある場合、携帯端末3が中継端末2を介さずに火災受信機1と近距離無線通信を行ってもよい。もしくは、中継端末2の無線LAN通信部22の機能を、火災受信機1に付加することにより、火災受信機1と携帯端末3とが直接無線LAN通信を行ってもよい。これらのいずれかを行う場合、中継端末2は、構成上不要になる。
【0073】
このような防災システム100に組み込まれた点検支援システムの特徴を整理すると、以下のような構成を有し、効果を実現できることとなる。
【0074】
点検支援システムは、火災受信機1と、火災受信機1に接続されており、火災の発生を感知すると発報する1以上の感知器4と、点検作業者10によって携帯される携帯端末3と、を備える。携帯端末3は、1以上の感知器4のそれぞれの設置場所を示すアイコンである感知器アイコン40A、40B、・・・、40Gが配置されている、施設の配置図を表示する。
【0075】
さらに、携帯端末3は、点検作業者10によって点検作業の対象となる第1感知器に対応する第1感知器アイコンが選択されると、当該第1感知器アイコンに対応付けて記憶されている第1感知器の識別情報を送信する。火災受信機1は、第1感知器の識別情報を受信すると、当該識別情報に対応した第1感知器に対し、発報動作を行わせるための発報実行信号を送信する。第1感知器は、発報実行信号を受信すると、点検作業が正常に完了したことを示す点灯パターンによる発報を行う。
【0076】
このような構成を有する点検支援システムを採用することにより、火災受信機1の操作が不要となることで、点検作業者10は、感知器4の点検を一人で行うことができる。また、点検作業者10は、感知器4のアドレス等を意識せずに、表示された配置図内のアイコンを選択するだけで、点検対象の感知器4の特定、及び識別情報の送信を行うことができる。
【0077】
従って、感知器4の設置現場における簡便な操作により円滑な点検作業を行うことができる点検支援システムを得ることができる。
【0078】
また、第1感知器は、発報実行信号を受信すると、火災受信機1に、擬似火災を感知したことを示す擬似火災信号を送信し、火災受信機1は、擬似火災信号を受信すると、当該擬似火災信号を送信した第1感知器の識別情報を含めて、擬似火災信号を受信したことを示すメッセージを送信する構成を採用することができる。
【0079】
さらに、携帯端末3は、メッセージを受信すると、配置図上に配置されている、点検作業が正常に完了した第1感知器に対応する第1感知器アイコンを、点検未実施の感知器に対応する感知器アイコンと区別することができるように識別表示する構成を採用することができる。
【0080】
このため、点検作業者10は、点検作業が正常に完了したことが確認できた感知器と、点検未実施の感知器とを容易に区別することができる。また、点検作業の進捗を視覚的に確認することができる。
【0081】
また、点検支援システムは、携帯端末3と火災受信機1との間のデータ通信を中継する中継端末2をさらに備え、中継端末2は、近距離無線通信を介して火災受信機1と通信する構成を採用することができる。
【0082】
火災受信機の機種によっては、外部との通信に際し、近距離無線通信のみを許容しているものが存在する。中継端末2を備えた点検支援システムによって、このような機種の火災受信機に対しても、上記の態様を適用させることができる。
【0083】
また、中継端末2には、配置図の描画用データである配置図データLが記憶されており、携帯端末3は、中継端末2に記憶されている配置図データLをダウンロードすることにより、配置図を表示する構成を採用することができる。この構成により、仮に、施設内の感知器4の配置が変更になった場合、中継端末2側のデータの更新のみを行なえばよくなる。すなわち、複数の携帯端末3が用いられている現場の場合においては、携帯端末3ごとのデータの更新作業が不要になる。
【0084】
また、中継端末2には、配置図を表示し、当該配置図の中から点検作業の対象となる感知器アイコンが選択されると、当該感知器アイコンに対応付けられた感知器の識別情報を送信するソフトウェアが記憶されており、携帯端末3は、中継端末2に記憶されている、ソフトウェアをダウンロードして実行する構成を採用することができる。この構成においても、施設内の感知器4の配置が変更になった場合、中継端末2側のデータの更新のみを行なえばよくなる。
【0085】
以上のように、実施の形態1によれば、感知器の設置現場において、携帯端末を用いた簡便な操作により、所望の感知器の点検を一人作業として実行することができ、円滑な点検作業を行うことができる点検支援システムを実現することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 火災受信機、2 中継端末、3 携帯端末、4 感知器、10 点検作業者、21 近距離無線通信部、22 無線LAN通信部、23 表示操作部、24 演算処理部、25 記憶部、31 近距離無線通信部、32 無線LAN通信部、33 表示操作部、34 演算処理部、35 記憶部、40A~40G アイコン、100 防災システム(点検支援システム)、L、L1~L3 配置図データ。