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  • 特開-免疫活性化剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102499
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】免疫活性化剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/747 20150101AFI20240724BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240724BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20240724BHJP
   A61K 31/145 20060101ALI20240724BHJP
   A61K 38/06 20060101ALI20240724BHJP
   A61K 31/385 20060101ALI20240724BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240724BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20240724BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20240724BHJP
   A23L 33/175 20160101ALI20240724BHJP
   A23L 29/231 20160101ALI20240724BHJP
   A23G 3/36 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
A61K35/747
A61P37/04
A61K31/198
A61K31/145
A61K38/06
A61K31/385
A61P43/00 121
A23L33/135
A23L33/10
A23L33/175
A23L29/231
A23G3/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006421
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000102496
【氏名又は名称】エスエス製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 直人
(72)【発明者】
【氏名】森実 主税
(72)【発明者】
【氏名】吉村 理
【テーマコード(参考)】
4B014
4B018
4B041
4C084
4C086
4C087
4C206
【Fターム(参考)】
4B014GB07
4B014GE06
4B014GG18
4B014GL04
4B014GL10
4B014GL11
4B018LB01
4B018LE01
4B018LE02
4B018MD03
4B018MD05
4B018MD09
4B018MD10
4B018MD19
4B018MD29
4B018MD30
4B018MD32
4B018MD35
4B018MD39
4B018MD86
4B018ME14
4B041LC10
4B041LD02
4B041LE01
4B041LH05
4B041LK07
4B041LK11
4B041LK12
4B041LK42
4C084AA01
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA15
4C084DC31
4C084MA02
4C084MA52
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB09
4C084ZC75
4C086AA01
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4C086BB04
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB09
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC56
4C087MA02
4C087MA52
4C087NA05
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4C087ZB09
4C087ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206JA08
4C206JA27
4C206JA58
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA72
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZB09
4C206ZC75
(57)【要約】
【課題】免疫活性化作用に優れる免疫活性化剤を提供すること。
【解決手段】以下の成分(A)及び(B)を有効成分とする、免疫活性化剤。
(A)抗酸化物質
(B)ラクトバチルス(Lactobacillus)属に属する乳酸菌
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分(A)及び(B)を有効成分とする、免疫活性化剤。
(A)抗酸化物質
(B)ラクトバチルス(Lactobacillus)属に属する乳酸菌
【請求項2】
自然免疫活性化剤である、請求項1に記載の免疫活性化剤。
【請求項3】
成分(A)が、硫黄原子を分子内に有する抗酸化物質である、請求項1に記載の免疫活性化剤。
【請求項4】
成分(A)が、システイン、メチオニン、タウリン、グルタチオン、シスチン、N-アセチルシステイン、α-リポ酸、α-リポ酸アミド及びα-リポ酸塩から選ばれる1種又は2種以上の抗酸化物質である、請求項1に記載の免疫活性化剤。
【請求項5】
成分(A)が、シスチン及びα-リポ酸から選ばれる1種又は2種以上の抗酸化物質である、請求項1に記載の免疫活性化剤。
【請求項6】
成分(A)が、α-リポ酸である、請求項1に記載の免疫活性化剤。
【請求項7】
抗酸化物質の免疫活性化作用を増強するための免疫活性化作用増強剤であって、ラクトバチルス(Lactobacillus)属に属する乳酸菌を有効成分とする、免疫活性化作用増強剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫活性化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの免疫には、自然免疫と獲得免疫という2種類の免疫があり、この2種類の免疫の作用により感染源からの防御を行っている。自然免疫は、あらゆる生き物に備わっている基本的な生体防御反応のうち、病原体等の外敵が体に侵入した際にいち早く捕らえて、抗体産生を含むその後の免疫反応を引き起こす機構である。この自然免疫を活性化させた場合には、マクロファージ、樹状細胞等の免疫担当細胞によるサイトカイン分泌が促進され、侵入した病原体の排除や、のちに抗体を産生する他の免疫担当細胞への情報伝達が行われる。そのため、自然免疫を活性化させる技術の開発が特に求められている。例えば、ロイコノストック(Leuconostoc)属に属する特定の乳酸菌が自然免疫を活性化させるという報告がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO18/034203
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ロイコノストック(Leuconostoc)属に属する乳酸菌(Leuconostoc mesenteroides)が示す免疫活性化作用について本発明者らが検討を行ったところ、この乳酸菌は免疫活性化作用が不充分であることがわかった。
本発明の課題は、免疫活性化作用に優れる免疫活性化剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは鋭意検討した結果、ラクトバチルス(Lactobacillus)属に属する乳酸菌を、抗酸化物質と組み合わせた場合に、免疫活性化作用が大幅に増強されることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、以下の<1>~<7>を提供するものである。
<1> 以下の成分(A)及び(B)を有効成分とする、免疫活性化剤(以下、「本発明の免疫活性化剤」とも称する)。
(A)抗酸化物質
(B)ラクトバチルス(Lactobacillus)属に属する乳酸菌
<2> 自然免疫活性化剤である、<1>に記載の免疫活性化剤。
<3> 成分(A)が、硫黄原子を分子内に有する抗酸化物質である、<1>又は<2>に記載の免疫活性化剤。
<4> 成分(A)が、システイン、メチオニン、タウリン、グルタチオン、シスチン、N-アセチルシステイン、α-リポ酸、α-リポ酸アミド及びα-リポ酸塩から選ばれる1種又は2種以上の抗酸化物質である、<1>又は<2>に記載の免疫活性化剤。
【0007】
<5> 成分(A)が、シスチン及びα-リポ酸から選ばれる1種又は2種以上の抗酸化物質である、<1>又は<2>に記載の免疫活性化剤。
<6> 成分(A)が、α-リポ酸である、<1>又は<2>に記載の免疫活性化剤。
<7> 抗酸化物質の免疫活性化作用を増強するための免疫活性化作用増強剤であって、ラクトバチルス(Lactobacillus)属に属する乳酸菌を有効成分とする、免疫活性化作用増強剤(以下、「本発明の免疫活性化作用増強剤」とも称する)。
【発明の効果】
【0008】
本発明の免疫活性化剤は、免疫活性化作用に優れる。
また、本発明の免疫活性化作用増強剤によれば、抗酸化物質の免疫活性化作用を大幅に増強できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】L.パラカゼイと各種抗酸化物質との組み合わせによる免疫活性化作用を示す図。
図2】α-リポ酸と各種ラクトバチルス属乳酸菌との組み合わせによる免疫活性化作用を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔免疫活性化剤〕
本発明の免疫活性化剤は、以下の成分(A)及び(B)を有効成分とするものである。
(A)抗酸化物質
(B)ラクトバチルス(Lactobacillus)属に属する乳酸菌
【0011】
(成分(A))
「抗酸化物質」とは、生体内において活性酸素の発生やその働きを抑制することにより、その有害な反応を減弱又は除去する物質をいう。
抗酸化物質としては、免疫活性化作用の観点から、硫黄原子を分子内に有する抗酸化物質が好ましく、システイン、メチオニン、タウリン、グルタチオン、シスチン、N-アセチルシステイン、α-リポ酸、α-リポ酸アミド及びα-リポ酸塩から選ばれる1種又は2種以上の抗酸化物質がより好ましく、シスチン、N-アセチルシステイン、及びα-リポ酸から選ばれる1種又は2種以上の抗酸化物質が更に好ましく、シスチン及びα-リポ酸から選ばれる1種又は2種以上の抗酸化物質が更に好ましく、α-リポ酸が特に好ましい。シスチン及びα-リポ酸から選ばれる1種又は2種以上の抗酸化物質は、ラクトバチルス(Lactobacillus)属に属する乳酸菌によって免疫活性化作用が特に増強されやすい。
なお、α-リポ酸塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等の第2族元素の金属との塩;アルミニウム塩等の第13族元素の金属との塩;アンモニウム塩;フェネチルアミン塩等の有機アミン塩等が挙げられる。
抗酸化物質は、市販品を用いても常法に従い製造したものを用いてもよい。
【0012】
本発明の免疫活性化剤中、成分(A)の含有量としては、免疫活性化作用の観点から、0.001~99.999質量%が好ましく、0.01~99質量%がより好ましく、0.1~98質量%が更に好ましく、1~95質量%が特に好ましい。
【0013】
(成分(B))
ラクトバチルス(Lactobacillus)属に属する乳酸菌としては、L.アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)、L.ブレビス(Lactobacillus brevis)、L.ジェンセニイ(Lactobacillus jensenii)、L.パラカゼイ(Lactobacillus paracasei subsp. paracasei)、L.プランタルム(Lactobacillus plantarum)、L.ガセリー(Lactobacillus gasseri)、L.ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp.bulgaricus)、L.ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、L.カゼイ(Lactobacillus casei subsp. casei)、L.ラモナウサス(Lactobacillus rhamnosus)、L.デルブリッキィ(Lactobacillus delbrueckii subsp. delbrueckii)等が挙げられる。これらの中でも、免疫活性化作用の観点から、L.ブレビス(Lactobacillus brevis)、L.パラカゼイ(Lactobacillus paracasei subsp. paracasei)、L.プランタルム(Lactobacillus plantarum)が好ましく、L.ブレビス(Lactobacillus brevis)、L.パラカゼイ(Lactobacillus paracasei subsp. paracasei)がより好ましく、L.パラカゼイ(Lactobacillus paracasei subsp. paracasei)が特に好ましい。
ラクトバチルス(Lactobacillus)属に属する乳酸菌は、生菌体であっても死菌体であってもよい。また、湿潤菌体、乾燥菌体のいずれでもよい。
【0014】
L.アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)の具体的な菌株としては、例えば、CL-92株(受託番号:FERM BP-4981)、CL-0062株(受託番号:FERM BP-4980)、NBRC 13951株等が挙げられる。
L.ブレビス(Lactobacillus brevis)の具体的な菌株としては、例えば、SBC8803株(受託番号:FERM BP-10632)、SBC8027株(受託番号:FERM BP-10630)、SBC8044株(受託番号:FERM BP-10631)、NBRC 107147株等が挙げられる。
【0015】
L.ジェンセニイ(Lactobacillus jensenii)の具体的な菌株としては、例えば、TL2937株等が挙げられる。
L.パラカゼイ(Lactobacillus paracasei subsp. paracasei)の具体的な菌株としては、例えば、MCC1849株(受託番号:NITE BP-01633)、MCC1375株(受託番号:FERM BP-11313)、KW3110株(受託番号:FERM BP-08634)、WON0604株(受託番号:FERM BP-11468)、NBRC 15889株等が挙げられる。
【0016】
L.プランタルム(Lactobacillus plantarum)の具体的な菌株としては、例えば、SN35N株(受託番号:NITE BP-6)、SN13T株(受託番号:NITE BP-7)、SN26T株(受託番号:NITE BP-8)、OLL2712株(受託番号:FERM BP-11262)、NBRC 106468株等が挙げられる。
L.ガセリー(Lactobacillus gasseri)の具体的な菌株としては、例えば、OLL2716株(受託番号:FERM BP-6999)、OLL2809株(受託番号:NITE BP-72)、OLL2959株(受託番号:NITE BP-224)、ATCC 19992株等が挙げられる。
【0017】
L.ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp.bulgaricus)の具体的な菌株としては、例えば、OLL1073 R-1株(受託番号:FERM BP-10741)、OLL1181株(受託番号:FERM BP-11269)、OLL1255株(受託番号:NITE BP-76)、NBRC 13953株等が挙げられる。
L.ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)の具体的な菌株としては、例えば、CM4株(受託番号:FERM BP-6060)、NBRC 15019株等が挙げられる。
【0018】
L.カゼイ(Lactobacillus casei subsp. casei)の具体的な菌株としては、例えば、YIT 9029株(受託番号:FERM BP-1366)、NBRC 15883株等が挙げられる。
L.ラモナウサス(Lactobacillus rhamnosus)の具体的な菌株としては、例えば、NBRC 3425株等が挙げられる。
【0019】
L.デルブリッキィ(Lactobacillus delbrueckii subsp. delbrueckii)の具体的な菌株としては、例えば、NBRC 13953株等が挙げられる。
【0020】
ラクトバチルス(Lactobacillus)属に属する乳酸菌は、1種を単独で用いてもよく、共棲可能な2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
成分(B)の含有量としては、免疫活性化作用の観点から、本発明の免疫活性化剤100gあたりに、1万~1000兆個が好ましく、10万~100兆個がより好ましく、100万~10兆個が更に好ましく、1000万~1兆個が特に好ましい。
【0022】
本発明の免疫活性化剤中の成分(A)の含有量に対する成分(B)の含有量は、免疫活性化作用の観点から、成分(A)1mMあたりに、1万~10億個が好ましく、50万~5億個がより好ましく、100万~2.5億個が更に好ましく、250万~1億個が更に好ましく、300万~7500万個が更に好ましく、500万~5000万個が特に好ましい。
【0023】
本発明の免疫活性化剤中の成分(A)の含有量に対する成分(B)の含有量は、免疫活性化作用の観点から、成分(A)100gあたりには、10万~10京個が好ましく、100万~1京個がより好ましく、1000万~1000兆個が更に好ましく、1億~100兆個が特に好ましい。
【0024】
そして、後記実施例に示すように、抗酸化物質とラクトバチルス(Lactobacillus)属に属する乳酸菌との組み合わせは、免疫活性化作用に優れる。
ここで、本明細書において、「免疫活性化」とは、体内に侵入した細菌やウイルス等の異物を、自己を守るために攻撃する役割を担う免疫細胞の働きを向上させる作用をいう。また、免疫としては、自然免疫、獲得免疫が挙げられるが、本発明は自然免疫の活性化に特に適する。自然免疫活性化剤の場合には、体内の免疫バランスを正常化し、自然治癒力等を促進させる効果を期待できる。
また、本明細書において、「自然免疫」とは、マクロファージや樹状細胞等の免疫細胞が、自己とは異なる異物をいち早く認識して攻撃する機構をいい、「獲得免疫」とは、マクロファージや樹状細胞等が異物を認識し、分泌するサイトカインで活性化したヘルパーT細胞が、キラーT細胞やB細胞等に指令を出し、効率的に異物を攻撃する機構をいう。
したがって、抗酸化物質とラクトバチルス(Lactobacillus)属に属する乳酸菌との組み合わせは、体内の免疫を活性化させることができ、健康維持や疲労回復、かぜ症候群の予防や治療、細菌、真菌、ウイルス等に感染した際の治療や回復等に有用である。また、後記実施例に記載のとおり本発明においては自然免疫が活性化されるが、抗酸化物質をクトバチルス(Lactobacillus)属に属する乳酸菌と組み合わせたことによってラクトバチルス(Lactobacillus)属に属する乳酸菌が異物として免疫細胞に取り込まれやすくなるためと本発明者らは推察する。そのため、乳酸菌単独服用に比べて、乳酸菌自体が有する不眠、アレルギー症状、生活習慣病等の予防や治療効果の増幅が期待できる。
また、抗酸化物質とラクトバチルス(Lactobacillus)属に属する乳酸菌との組み合わせは、免疫活性化剤となり得、免疫活性化のために使用することができ、また免疫活性化剤を製造するために使用できる。免疫活性化剤は、免疫活性化に有効な医薬品、医薬部外品若しくは食品として、又は医薬品、医薬部外品若しくは食品に配合する素材として使用可能である。なお、食品は、免疫活性化をコンセプトとし、必要に応じてその旨を表示した保健機能食品(例えば機能性表示食品、特定保健用食品、栄養機能食品等)とすることが可能である。本発明の免疫活性化剤は、好ましくは経口用である。
【0025】
ここで、上記「使用」は、ヒト若しくは非ヒト動物への投与又は摂取であり得、また治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。なお、「非治療的」とは、医療行為を含まない概念、すなわち人間を手術、治療又は診断する方法を含まない概念、より具体的には、医師又は医師の指示を受けた者が人間に対して手術、治療又は診断を実施する方法を含まない概念である。
【0026】
医薬品、医薬部外品とする場合、その剤形としては、例えば、顆粒剤、細粒剤、散剤、錠剤(素錠、OD錠、チュアブル錠、分散錠、溶解錠、トローチ剤、舌下錠、バッカル錠、付着錠、発泡錠、ガム剤等)、丸剤、カプセル剤(軟カプセル剤、硬カプセル剤等)、ドライシロップ剤、ゼリー剤等の経口固形製剤;懸濁剤、シロップ剤等の経口液剤が挙げられる。
また、これらの医薬品、医薬部外品は、上記の有効成分に、必要に応じて他の有効成分や添加物(賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、流動化剤、溶解補助剤、緩衝剤、保存剤、香料、色素、矯味剤等)等を加えて常法に従い調製することができる。
【0027】
上記食品の形態としては、例えば、顆粒剤、細粒剤、散剤、錠剤(素錠、OD錠、チュアブル錠、分散錠、溶解錠、トローチ剤、舌下錠、バッカル錠、付着錠、発泡錠、ガム剤等)、丸剤、カプセル剤(軟カプセル剤、硬カプセル剤等)、ドライシロップ剤、ゼリー剤等の経口固形製剤;懸濁剤、シロップ剤等の経口液剤等の形態の保健機能食品やサプリメントの他、チョコレート、キャンディー、ウエハース、ビスケット、ガム、パン、清涼飲料水、乳飲料、ゼリー、アイス、ラムネ、グミ、スープ等の各種食品が挙げられる。なお、調味料のようにして液体や粉末の形態でサプリメントや食品に添加することもできる。
また、これらの食品は、上記の有効成分に、必要に応じて他の有効成分や食品材料、食品添加物等を加えて常法に従い調製することができる。
【0028】
本発明の免疫活性化剤を経口固形製剤とする場合に使用できる添加物としては、例えば、乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、還元麦芽糖水飴等の賦形剤;カルメロースナトリウム、クロスポピドン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(ヒドロキシプロピル基含有量が好ましくは5~16質量%のもの)、結晶セルロース、炭酸カルシウム等の崩壊剤;ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース等の結合剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク等の滑沢剤;軽質無水ケイ酸、微粒二酸化ケイ素等の流動化剤等が挙げられる。これらのうち1種を単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに必要に応じて溶解補助剤、緩衝剤、保存剤、香料、色素、矯味剤等を使用することができる。
【0029】
上記賦形剤の含有量は、本発明の免疫活性化剤中、好ましくは20~98質量%、より好ましくは30~95質量%である。
上記崩壊剤の含有量は、本発明の免疫活性化剤中、好ましくは0.5~20質量%、より好ましくは0.5~10質量%である。
上記滑沢剤の含有量は、本発明の免疫活性化剤中、好ましくは0.01~2質量%、より好ましくは0.05~1質量%である。
上記流動化剤の含有量は、本発明の免疫活性化剤中、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは0.5~5質量%である。
【0030】
本発明の免疫活性化剤の投与量又は摂取量としては、成人一日あたりに成分(A)が1~2000mg投与又は摂取できる量が好ましく、成人一日あたりに成分(B)が1000万~100兆個投与又は摂取できる量が好ましい。また、これらの量を1回で投与又は摂取するのが好ましい。
また、本発明の免疫活性化剤は、食前、食後、食間、就寝前のいずれに服用してよい。
【0031】
〔免疫活性化作用増強剤〕
本発明の免疫活性化作用増強剤は、抗酸化物質の免疫活性化作用を増強するための免疫活性化作用増強剤であって、ラクトバチルス(Lactobacillus)属に属する乳酸菌を有効成分とするものである。
本発明の免疫活性化作用増強剤における各種文言の意義、各成分の含有量及びその比率等は、本発明の免疫活性化剤について説明した各種文言の意義、各成分の含有量及びその比率等と同様である。
【実施例0032】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0033】
〔試験例1〕
[1]抗酸化物質
試験例1で使用した抗酸化物質は以下のとおりである。
シスチン:富士フイルム和光純薬製
N-アセチル-L-システイン:ナカライテスク株式会社製
α-リポ酸:東京化成工業株式会社製
[2]乳酸菌加熱殺菌菌体
試験例1で使用した乳酸菌加熱殺菌菌体は以下のとおりである。
Lactobacillus paracasei MCC1849株(受託番号:NITE BP-01633)を加熱殺菌した菌体:森永乳業株式会社製、商品名「シールド乳酸菌」
【0034】
[3]ラテックスビーズを用いた樹状細胞の貪食能評価試験
上記[1]の抗酸化物質と、上記[2]の乳酸菌加熱殺菌菌体との併用による、THP-1由来樹状細胞(TDDC)貪食能を強化する効果を、蛍光ラテックスビーズ法により測定した。被検物質溶液の調製方法と貪食能測定手順は以下のとおりである。
(1)被検物質含有培地の調製
10質量%濃度の牛胎児血清、100U/mLのペニシリン及び100μg/mLのストレプトマイシンを含有するRPMI培地を準備した。この培地に、培養液中の含有量が表1に記載のものとなるよう、上記[1]の抗酸化物質、上記[2]の乳酸菌加熱殺菌菌体又はこれらの両方を含有せしめた。
【0035】
(2)貪食能測定手順(蛍光ラテックスビーズ法)
96ウェルプレートに、RPMI培地を1ウェルあたり200μL加え、PMA(Phorbol Myristate Acetate(最終濃度:20ng/mL))とIL-4(最終濃度:20ng/mL)を、樹状細胞分化のために添加した。この培地に、THP-1細胞を1ウェルあたり1.5×104cellsとなるように播種した。その後、37℃、5体積%CO2雰囲気のインキュベータ内で4日間培養した。この操作にて分化したTDDCを、被験物質を加えていないRPMI培地200μL(陰性対照群)又は上記(1)で調製した被検物質含有培地200μL(被験群)で置換した。
次いで、上記陰性対照群、被験群の各々を、37℃、5体積%CO2雰囲気のインキュベータ内で24時間前培養した。前培養終了後、96ウェルプレートの各ウェルにラテックスビーズ含有液(粒径:0.5μm、分散媒:RPMI培地、ビーズ含有割合:1μg/mL、Sigma製)を1ウェルあたり20μLずつ添加し、24時間培養した。培養終了後、PBSで細胞を2回洗浄し、Calcein-AM溶液(希釈溶媒:PBS、濃度:1μg/mL、同仁化学研究所製)を1ウェルあたり100μLずつ添加し、37℃で20分間インキュベートした。インキュベート終了後、PBSで細胞を1回洗浄し、蛍光顕微鏡で全生細胞数とビーズを取り込んだ生細胞数を計測した。
このようにして、全生細胞中のビーズを取り込んだ生細胞の割合を計測し、この割合によって貪食能を評価した。結果を表1及び図1に示した。
【0036】
【表1】
【0037】
表1及び図1に示すとおり、抗酸化物質(シスチン、N-アセチル-L-システイン又はα-リポ酸)とLactobacillus paracasei MCC1849株を組み合わせて用いた場合においては、陰性対照群(control)より有意にビーズを取り込んだ細胞数が増えていた。
また、Lactobacillus paracasei MCC1849株のみ、シスチンのみ、α-リポ酸のみの場合は有意差なしであるところ、シスチン又はα-リポ酸とLactobacillus paracasei MCC1849株を組み合わせた場合に有意差がみられたことは特に驚くべき相乗効果であった。中でも、α-リポ酸とLactobacillus paracasei MCC1849株との組み合わせは、p<0.005という特に優れた免疫活性化作用が確認された。
【0038】
〔試験例2〕
[1]抗酸化物質
試験例2で使用した抗酸化物質は以下のとおりである。
α-リポ酸:東京化成工業株式会社製
[2]乳酸菌加熱殺菌菌体
試験例2で使用した乳酸菌加熱殺菌菌体は以下のとおりである。
Lactobacillus paracasei MCC1849株(受託番号:NITE BP-01633)を加熱殺菌した菌体:森永乳業株式会社製、商品名「シールド乳酸菌」
Lactobacillus brevis SBC8803株(受託番号:FERM BP-10632)を加熱殺菌した菌体:サッポロビール株式会社製、商品名「SBL88乳酸菌」
【0039】
Enterococcus avium G15株を加熱殺菌した菌体:DM三井製糖株式会社製、商品名「乳酸発酵みかん果汁G-15粉末」
Pediococcus pentosaceus LP28株を加熱殺菌した菌体:DM三井製糖株式会社製、商品名「発酵パイナップル果汁LP28」
Lactococcus lactis subsp. cremoris H61株を加熱殺菌した菌体:株式会社エヌ・シー・コーポレーション製、商品名「シンデレラ乳酸菌」
Streptococcus thermophilus TCI 633株を加熱殺菌した菌体:蝶理株式会社製、商品名「ヒアルロン酸産生乳酸菌」
Leuconostoc mesenteroides HARA-1607R株を加熱殺菌した菌体:株式会社ユニアル製、商品名「クマイザサ由来乳酸菌」
【0040】
[3]蛍光化乳酸菌を用いた樹状細胞の貪食能評価試験
上記[1]の抗酸化物質と、上記[2]の乳酸菌加熱殺菌菌体との併用による、THP-1由来樹状細胞(TDDC)貪食能を強化する効果を、蛍光化乳酸菌法により測定した。被検物質溶液の調製方法と、貪食能測定手順は以下のとおりである。
(1)被検物質含有培地の調製
α-リポ酸、乳酸菌加熱殺菌菌体の培養液中の含有量を表2に記載のものとした以外は、試験例1と同様の手順で調製した。
【0041】
(2)貪食能測定手順(蛍光化乳酸菌法)
(a)THP-1細胞の分化及び前培養を、試験例1と同様にして行った。
(b)また別途、各乳酸菌加熱殺菌菌体を、蛍光標識試薬FITC溶液(溶媒:pH9.0炭酸水素ナトリウム緩衝液、濃度:0.1mg/mL、富士フイルム和光純薬製)に加えて25℃で60分間インキュベートした。
(c)前培養終了後、96ウェルプレートの各ウェルに、被検物質含有培地中の乳酸菌殺菌菌体数と同程度の数になるように、上記(b)で蛍光化させた各乳酸菌菌体を添加し、24時間培養した。培養終了後、PBSで細胞を2回洗浄した後、CytoRed溶液(希釈溶媒:PBS、濃度:1μg/mL、同仁化学研究所製)を添加し、37℃で20分間インキュベートした。インキュベート終了後、PBSで細胞を2回洗浄し、蛍光顕微鏡で全生細胞数と蛍光化させた各乳酸菌を取り込んだ生細胞数を計測した。
このようにして、全生細胞中の蛍光化乳酸菌を取り込んだ生細胞の割合を計測し、この割合によって貪食能を評価した。結果を表2及び図2に示した。
【0042】
【表2】
【0043】
表2及び図2に示すとおり、蛍光化乳酸菌添加法においても、α-リポ酸とLactobacillus paracasei MCC1849株とを組み合わせることによる貪食能亢進が確認できた。また、Lactobacillus brevis SBC8803株についても、α-リポ酸と組み合わせた場合に貪食能亢進が確認できた。
Enterococcus avium G15株、Pediococcus pentosaceus LP28株、Lactococcus lactis subsp. cremoris H61株、Streptococcus thermophilus TCI 633株、Leuconostoc mesenteroides HARA-1607R株については、α-リポ酸を組み合わせた場合においても貪食能が不充分だった。
【0044】
(製剤例1)ハードカプセル剤
下記成分及び分量をとり、日局製剤総則「カプセル剤」の項に準じてカプセルを製造する。
成分 3カプセル中(日局3号カプセル)
Lactobacillus paracasei MCC1849株 商品名「シールド乳酸菌」 100mg
α-リポ酸 200mg
軽質無水ケイ酸 20mg
ステアリン酸マグネシウム 0.3mg
乳糖 150mg
【0045】
(製剤例2)錠剤
下記成分及び分量をとり、日局製剤総則「錠剤」の項に準じて錠剤を製造する。なお、被覆を施すこともできる。
成分 2錠中
Lactobacillus brevis SBC8803株 商品名「SBL88乳酸菌」 100mg
α-リポ酸 100mg
軽質無水ケイ酸 20mg
ヒドロキシプロピルセルロース 30mg
ステアリン酸マグネシウム 0.3mg
結晶セルロース 150mg
【0046】
(製剤例3)グミ製剤
下記成分及び分量をとり、適量の水を加えて加熱溶解、成形、乾燥することでグミ製剤を製造する。なお、被覆を施すこともできる。
成分 4粒中
Lactobacillus paracasei MCC1849株 商品名「シールド乳酸菌」 100mg
α-リポ酸 100mg
ペクチン 20mg
白糖 720mg
還元麦芽糖水飴 420mg
マンニトール 300mg
ソルビトール 100mg
図1
図2