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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102503
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】供花装具
(51)【国際特許分類】
   E04H 13/00 20060101AFI20240724BHJP
   A47G 33/00 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
E04H13/00 H
A47G33/00 M
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006425
(22)【出願日】2023-01-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】512225209
【氏名又は名称】有限会社セキショウ
(74)【代理人】
【識別番号】100095267
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 高城郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124176
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 典子
(74)【代理人】
【識別番号】100224269
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 佑太
(72)【発明者】
【氏名】石坂 和也
(57)【要約】
【課題】本発明は、ケースに入れられる内容物が風雨、虫、粉塵等の影響を受けずに、かつ外部から観賞することが可能な供花装具を提供すること、供花に伴う手間を軽減することを目的とする。
【解決手段】供花装具であって、供花を収容したケースを挿入するために上面が開口した凹部と、側面から前記凹部へと貫通して形成された窓部と、を備える筒状の本体部と、前記本体部の上面を覆う蓋部と、を有する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供花装具であって、
供花を収容したケースを挿入するために上面が開口した凹部と、側面から前記凹部へと貫通して形成された窓部と、を備える筒状の本体部と、
前記本体部の上面を覆う蓋部と、を有し、
前記窓部を通して前記ケースに入れられた供花を観賞可能であることを特徴とする供花装具。
【請求項2】
供花を収容するための透明な前記ケースをさらに有する請求項1に記載の供花装具。
【請求項3】
前記ケースの上面を覆う着脱可能な蓋を有することを特徴とする請求項2に記載の供花装具。
【請求項4】
前記ケース内に収容されたプリザーブドフラワー及び/又は造花をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の供花装具。
【請求項5】
前記凹部に前記ケースが挿入された状態で、前記窓部と隣接しない前記ケースの外周面が、前記凹部の側面と接触することを特徴とする請求項2に記載の供花装具。
【請求項6】
前記ケースの水平方向の移動を制限するために、前記凹部の側面と前記ケースの少なくとも一部とが接触することを特徴とする請求項2に記載の供花装具。
【請求項7】
前記供花装具が、設置のためにその底面から突出する凸部をさらに有することを特徴とする請求項1又は2に記載の供花装具。
【請求項8】
供花装具が、設置のためにその底面から突出したねじ山付きの凸部をさらに有することを特徴とする請求項1又は2に記載の供花装具。
【請求項9】
前記供花装具が、前記本体部の側面から前記凹部へと貫通して形成された、採光のための別の窓部をさらに有することを特徴とする請求項1又は2に記載の供花装具。
【請求項10】
前記本体部及び蓋部が、石材、コンクリート、モルタル、セメント、レンガ、ステンレス、真鍮、鉄、木材、ガラス、プラスチック、又はそれらの組み合わせを用いて作製されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の供花装具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供花用の花入に関する。
【背景技術】
【0002】
墓などの石碑には、一般的に生花が供えられる。花立に差し入れることで生花が供えられる。
生花は手入れや枯れ落ちた生花の掃除などに手間がかかる。墓に頻繁に通うことができない場合には、この手間は負担となる。生花は、風によって飛ばされること、鳥獣によって散乱されること、虫が付着又は卵を産み付けること、土、砂、埃などの粉塵の飛散によって汚れていくことがあるため、それらに対応する手間も負担となる。
造花を供花する場合でも、それらの手間は共通する。
【0003】
特許文献1では、生花を外から視認できるようにしつつ鳥獣の被害から防御するため、カゴ状物を花立に設置する。鳥獣被害を防ぐことは可能であっても風、虫、粉塵からの影響は変わらず、手入れに伴う手間を軽減させるものではない。
特許文献2では不使用時に造花を筒状の収容覆体に収納するための構造を備える。使用時は、収容覆体外に造花を出現させるため、特許文献1同様に、風、虫、粉塵からの影響は変わらず、手入れに伴う手間を軽減させるものではない。虫や粉塵等の付着を掃除しない場合には、造花と共に収容覆体に収容することになり、収容覆体内での虫の繁殖もあり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-061138号公報
【特許文献2】特開2004-298393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、供花が風雨、虫、粉塵等の影響を受けずに、かつ外部から観賞することが可能な供花装具を提供すること、供花に伴う手間を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1)本発明の態様として、
供花装具であって、
供花を収容したケースを挿入するために上面が開口した凹部と、側面から前記凹部へと貫通して形成された窓部と、を備える筒状の本体部と、
前記本体部の上面を覆う蓋部と、を有し、
前記窓部を通して前記ケースに入れられた供花を観賞可能であることを特徴とする。
2)上記態様において、
供花を収容するための透明な前記ケースをさらに有する。
3)上記態様において、
前記ケースの上面を覆う着脱可能な蓋を有することを特徴とする。
4)上記態様において、
前記ケース内に収容されたプリザーブドフラワー及び/又は造花をさらに有することを特徴とする。
5)上記態様において、
前記凹部に前記ケースが挿入された状態で、前記窓部と隣接しない前記ケースの外周面が、前記凹部の側面と接触することを特徴とする。
6)上記態様において、
前記ケースの水平方向の移動を制限するために、前記凹部の側面と前記ケースの少なくとも一部とが接触することを特徴とする。
7)上記態様において、
前記供花装具が、設置のためにその底面から突出する凸部をさらに有することを特徴とする。
8)上記態様において、
供花装具が、設置のためにその底面から突出したねじ山付きの凸部をさらに有することを特徴とする。
9)上記態様において、
前記供花装具が、前記本体部の側面から前記凹部へと貫通して形成された、採光のための別の窓部をさらに有することを特徴とする。
10)上記態様において、
前記本体部及び蓋部が、石材、コンクリート、モルタル、セメント、レンガ、ステンレス、真鍮、鉄、木材、ガラス、プラスチック、又はそれらの組み合わせを用いて作製されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る供花装具を屋外に置き続ける場合にも、ケースに入れられる造花やプリザーブドフラワー等の内容物は風雨、虫、粉塵等の影響を受けずに済む。
本発明の供花装具は、窓部を備えるため、この窓部から内部に挿入されたケースを目視することができ、ケースに入れられた造花やプリザーブドフラワー等の内容物を観賞することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明に係る供花装具の一般的な墓への設置例を示す図である。
図2図2(a)は、本発明に係る供花装具の全体構造を図示する。(b)は供花装具の蓋部を持ち上げた状態を図示する。(c)はそこに収納されるケース及び蓋を図示する。(d)はケースに蓋を取り付けた状態を示す
図3図3は、本発明の例示的実施形態における図1のラインI-I’の視点からみた供花装具の概略端面図である。(a)は供花装具の本体部とケースと供花装具の蓋部が離れた状態の概略端面図である。(b)はケースを供花装具に収納し蓋部を本体部に載置した状態の概略端面図である。(c)は供花装具の蓋部と本体部とを嵌合させる別の方法を例示的に示す。(d)は供花装具の蓋部と本体部とを嵌合させるさらに別の方法を例示的に示す。
図4図4は、本発明に係る供花装具の墓への設置例を示す概略端面図である。
図5図5は、本発明に係る供花装具に、ケースを収納する一連の様子を例示的に示した概略的斜視図である。(a)はケースの蓋を開けそこに花を入れる様子を示す。(b)は花を入れケースの蓋を閉めた様子を示す。(c)はそのケースを供花装具の蓋部を開けて供花装具に収納する直前の様子を示す。
図6図6は、本発明の供花装具の変形例に係る概略端面図である。(a)は供花装具の本体部とケースと供花装具の蓋部が離れた状態の概略端面図である。(b)はケースを供花装具に収納し蓋部を本体部に載置する前の状態の概略端面図である。(c)はケースを供花装具に収納し蓋部を本体部に載置した状態の概略端面図である。
図7図7は、石碑に安定的に設置するための構造を備えた本発明に係る供花装具の概略端面図である。(a)は凸部を有する供花装具を石碑凹部に嵌合させる形態を示す概略端面図である。(b)は凸部を有する供花装具を石碑凹部に係合させる別の形態を示す概略端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
なお、供花装具の基本構成が全実施形態で共通するため、以下では共通する符号を用いる。
【0010】
(1)第1の実施形態
図1図6を用いて第1の実施形態を説明する。
本発明の主目的の1つは、墓等の石碑への供花に伴う手間を本発明に係る供花装具によって軽減することにある。そのため、本発明の供花装具を設置する対象は主に墓を想定し、図1では特に墓Cに本発明に係る供花装具1を設置した例を示す。
図2(a)は、本発明に係る供花装具1の全体構造を図示する。本発明に係る供花装具1は、主に、蓋部11、本体部10を有する。図2(a)で示す本実施形態のように、供花装具1は安定的な設置のための土台12を有していてもよい。土台12の形状又は土台12がない場合の本体部10の底面の形状は、供花装具1の設置場所、設置方法によって変えてもよい。
本実施形態の供花装具1が、図2(b)及び(c)に示すケース2をさらに有していてもよい。
また、本実施形態の供花装具1が、ケース2に加え、図2(b)及び(c)に示すようにケース2の蓋3をさらに有していてもよい。
【0011】
通常、墓の中心に位置する竿石の両側に花が供えられる。図1のようにその通常供花される位置に供花装具1を設置することができる。しかしこれに限らず、別の場所であってもよい。例えば図1に示すように何らかの墓Cの構成用具Dに替えて供花装具1を設置してもよい。墓Cの床面は、石材のみならず砂利や土などである場合もあるが、そこに供花装具1を直接置くこともできる。図2(a)、(b)、図3(c)に示すように、供花装具1の底面となる土台12の底面が、凹凸形状5となるように加工し、それを土や砂利に抑え込むように設置することで、より安定的に供花装具1を墓Cに設けることもできる。
【0012】
また、一般的な墓Cにおける石材の花立部材には、陶器又はステンレスの花筒を入れるために、直径5cm~9cm程度の穴が開いている。この穴の底面に凹凸形状6の加工が施されていることがある。その場合図4で示すように、その穴の凹凸形状6の加工された底面と、供花装具1の土台の12の凹凸形状5に加工された底面とを係合させて、供花装具1を墓Cに差し込む。
供花装具1が設置される墓Cが決まっている場合には、その穴の形状や底面の形状に合わせて、穴に差し込まれる部分の供花装具1の形状や底部の形状が決まる。
本発明に係る供花装具1は石材により作成されることが好ましい。
供花装具1の設置位置や設置個数に特に限定はないが、風雨にさらして屋外に設置し続けることやその重量を考慮して、安定的な位置に設置することになる。
【0013】
図2(a)に示すように、本体部10及び凹部15が円柱形となっていてもよい。なお本体部10、凹部15が別の形状であってもよく、それぞれが例えば円錐台、円錐、四角柱等の形状をとることができる。本体部10が石材である場合には、石材が加工可能であり、供花装具1としての機能が発揮でき、供花装具1としての実用性があれば、多様な形状をとることができる。
【0014】
図2(b)に示すように、本体部10は、供花を収容したケース2を挿入するために上面が開口した凹部15と、側面から凹部15へと貫通して形成された窓部13を備える。
図2(b)に示すように、本体部10の上面が開口しており、その開口14が凹部15の上面となっている。
窓部13は、本体部10の側面から凹部15へと貫通することで形成される孔である。
【0015】
図3は、本実施形態における供花装具1の概略端面図である。図3(a)は供花装具1の本体部10とケース2と供花装具1の蓋部11が離れた状態の概略端面図である。図3(b)はケース2を供花装具1に収納し蓋部11を本体部10に載置した状態の概略端面図である。
凹部15は本体部10の内部で形成されるため、図3(a)で示すように、凹部15の幅OWは、本体部10の幅HWよりも小さくなる。
また窓部13の幅WWは、凹部15の幅OWよりも小さくなるようにする。本実施形態のように、本体部10が円柱形状であって筒状である場合には、窓部13との境界面となる凹部15の幅が、凹部15の最大の幅OWよりも小さくする。
そのため、窓部13を介して供花装具1に収納されたケース全体を見ることはできない。窓部13を介して見ることのできるケース2の範囲は、窓部13の大きさに依存する。
【0016】
本実施形態における本体部10の上面を覆うための蓋部11は、供花装具1の上面縁部と嵌合する脚部16を備える。嵌合することで蓋部11の本体部10に対する水平方向の動きを制限することができる。脚部16の長さは、凹部15に挿入されるケース2と干渉しないように設定される。
【0017】
供花装具1上面の縁部と嵌合するための脚部16の一例として、図3(b)のように脚部の外周面と凹部15の側面が嵌合するような形状をとることができる。凹部15が円柱であれば脚部16の外周は円形となる。
図3(b)のように、蓋部11を本体部10に載置した状態で、脚部16がケース2に当たることで脚部16が凹部に入りきらないことがないように、すなわち脚部16とケース2が干渉しないような長さで脚部16が蓋部11に設けられる。
【0018】
図6は、本発明に係る供花装具1の変形例に係る概略端面図である。この変形例では構成部材として蓋部11、ケース2、本体部10、土台12を備える。この変形例におけるケース2は、凹部15の形状と異なり、上面よりも底面の面積の小さい円錐台の形状を有する。図3で示す本実施形態で用いられるケース2と相違する。
図6(c)はケース2を供花装具1に収納し蓋部11を本体部10に載置した状態の概略端面図である。
脚部16とケース2が干渉しないように、脚部16が蓋部11に設けられる点で本実施形態と共通し、また干渉しなければよいため、図6(c)に示すように、凹部15にケース2を入れ、蓋部11を本体部10に載置した状態で、脚部16の底部とケース2の上面との間に間隙19が生じることも可能である。この間隙19があってもよいことは第1の実施形態と共通する。
なお、ケース2が蓋3を備えない場合に、間隙19をなくすることで、虫や粉塵等のケース2内への侵入を防ぐことができる。
【0019】
脚部16のさらに別のとり得る形状の例として、図3(c)に示すように、脚部16が中空の円筒形状であって、円筒形状の内周面が本体部10の外周面とが嵌合するように、設けられていてもよい。
脚部16の別のとり得る形状の例として、図4(d)に示すように、脚部16が中空の円筒形状であって、円筒形状の外周面が凹部15の側面と嵌合するように設けられていてもよい。
【0020】
ケース2は、そこに入れられる内容物が外部から観賞できるように、透明な素材である。例えばプラスチックやガラスなどである。
ケース2が蓋3を備えず、ケース2上面が開口したまま供花装具1に収納することもできる。例えば透明なコップをケース2として用いることもできる。しかしケース2に入れられる内容物が、虫、粉塵等の影響を受けないように、ケース2には蓋3があることが好ましい。
蓋3は、ケース2の供花装具1への収納が可能な限り、形状に限定はない。単にケース2上面に載置する乗せ蓋であって、ケース2の開口を塞ぐだけのものでもよいが、ケース2に蓋3を取り付けた状態で蓋3が水平方向に移動しないことが好ましい。そのために例えば円柱形状のケース2に対して蓋3が円柱形状のねじ込み式のキャップのような形状をとってもよいし、ねじの無いキャップ状の蓋3の内径とケース2の外径が、又はねじの無いキャップ状の蓋3の外径とケース2内径が、嵌合してもよい。
【0021】
ケース2のとり得る形状及び大きさは、凹部15、蓋部11、及び窓部13の形状及び大きさとの関係で設計される。供花装具1に収納するケース2が決まっているのであれば、逆にケース2の形状及び大きさとの関係で凹部、蓋部11、及び窓部13の形状及び大きさが設計される。
ケース2は、凹部15内へケース2の全体が挿入可能な形状及び大きさでなければならない。そのため、ケース2が蓋3を備える場合に、ケース2の上面に対する蓋3の水平方向の広がりが略ないことが望まれる。
また、ケース2は、凹部へ挿入された状態で水平方向の移動ができる限り生じない形状及び大きさであること好ましい。供花装具1の移動時にケース2が揺れることにより凹部15内でケース2が割れるなど損傷することを防ぐためである。
【0022】
ケース2全体が凹部15内へ挿入された状態で、蓋部11の脚部16が本体部10と嵌合しつつ蓋部11を本体部10に載置できるように、供花装具1に用いることのできるケース2の高さが決まる。ケース2の高さは、蓋部11の脚部16と干渉しないように決まり、干渉しないような十分に低い高さを有していてもよい。しかし、図3(b)で示すようにケース2が凹部15に挿入された状態で、図中鎖線で示す窓部13の上側よりもケース2の上側が上になることが好ましい。これは特にケース2が蓋3を備えない場合に、ケース2内に雨水が入ることを防ぐためである。
【0023】
ケース2が凹部15へ挿入された状態において、ケース2が窓部13を介して凹部15から供花装具1外部へと外れてしまうことがないように、ケース2の形状及び大きさを構成する。
【0024】
上記のことは、ケース2の形状及び大きさが所与の場合には、逆に凹部15や窓部13の形状及び大きさに関する設計に影響を与えることを意味する。
さらに、凹部15の形状及び大きさが、窓部13の形状及び大きさに制約を与える。
凹部15の形状及び大きさが決まると、少なくとも一定のケース2が凹部15に挿入された状態で、窓部13を介して凹部15から供花装具1外部へとケース2が抜け出ないように、窓部の形状及び大きさを設計する。
図3(a)は、本発明に係る供花装具の概略端面図であるが、同図において凹部15が形成された部分の面積、すなわち凹部15の側面、凹部底面30及び開口14で囲まれる部分の面積に対して、鎖線で示す窓部13の面積は小さくなっている。
この大きさの差に当たる部分は、供花装具1の外部から窓部13を介してケース2を目視することができない部分となっている。この部分にケース2が接触することで、凹部15に挿入されたケース2が窓部13を介して供花装具1の外部へと脱落しないように、ケース2の形状や大きさを設計することが好ましい。
【0025】
図3(a)に示すように、側面視における窓部13の大きさが凹部15の大きさよりも全体的に一回り小さい大きさ及び形状となることが好ましい。その場合、図2(c)及び図3(a)で示すように、窓部縁31は、ケース2の底面と接触する凹部の底面30から高さHの位置となる。
【0026】
供花装具1が窓部13を有することで、それを通してケース2に入れられたプリザーブドフラワーFを観賞可能になる。
また図2(a)や図5(c)で示すように、本体部10の側面から凹部15へと貫通して形成された、採光のための別の窓部33が設けられていてもよい。
採光のための窓部33が設けられることで、窓部13からのケース2に入れられたプリザーブドフラワーFに光が当たり、観賞しやすくなる。採光の目的が達せられる限り、採光用の窓部の大きさは観賞用の窓部13の大きさよりも小さくてもよい。観賞用の窓部、採光用の窓部33の設置個数に制限はないが、実用性を考えると、全ての窓部の合計が、2つ又は3つとなることが好ましい。
【0027】
ケース2を凹部15に挿入した状態で、ケース2の外周面全体が、ケース2と凹部15の窓部13、33として貫通した孔を除く外周面と接触する場合には、接触部分においてケース2と凹部15の側面との間に隙間を生じさせずに、供花装具1にケース2を収納することができる。
例えば、図3(c)のように、凹部15が円柱形であって、ケース2もそれと嵌合する円柱形である場合には、ケース2と凹部15の窓部13、33として貫通した孔を除く外周面との間に隙間を生じさせずに、ケース2を供花装具1に収納することができる。
隙間が生じないことで、雨水、虫、粉塵等の侵入を抑えることができる。
なお、凹部15の側面又は底面30から、本体部10の外側へと貫通して形成された孔である水抜き孔を設けることもできる。
【0028】
図5では、供花装具1に、ケース2を挿入して収納する一連の様子を例示的に示す。図5(a)のようにケース2にプリザーブドフラワーF等の内容物を入れ、蓋3を閉め、図5(b)に示す状態にする。その内容物が入れられたケース2を供花装具1の凹部15へと挿入する。ケース2を凹部15へと挿入し、蓋部11を本体部10に載置すると、図1で示す供花装具1の状態となる。
【0029】
供花装具1からケース2を取り出す、又は花をケースから取り出す場合には、これと逆の手順を含むことになる。
【0030】
全ての実施形態において、供花装具1に収納するケース2に入れる内容物は、主にプリザーブドフラワーFが好ましい。しかし造花やドライフラワー、押し花、保存加工していない生花、又はそれらの組合せをケースに入れることも可能である。
プリザーブドフラワーFは、プリザーブド加工のような保存加工をしていない生花に比較して圧倒的に長期保存でき、生花を長期間楽しめるようにプリザーブド加工したものであるから、造花ではなくあくまで生花であり、墓Cへの供花に生花のみを使用したいという要望にも応えることができる。外観上押し花と異なり立体的で、ドライフラワーよりも見た目は、生花に近く生花では表現できないカラーを出すことも可能である。
【0031】
石材以外の材料を用いて、本体部10、蓋部11、土台12を作製してもよい。そのような材料の例は、コンクリート、モルタル、セメント、レンガ、ステンレス、真鍮、鉄、防腐加工された木材、ガラス、プラスチック、又はそれらの組み合わせである。
設置される墓C等の石碑と同種の材料を用いることで外観上、容易に調和させることができる。
石材を用いた供花装具には、石材自体の有効性が備わる。例えば耐火性、無垢材であることで修復可能であること、耐久性、などがある。
例えば、安山岩は1000度を超えてもその強度に変化を生じない。御影石や安山岩の耐用年数は数百年とされる。
【0032】
変形形態として、図6で示すようにケース2が上面よりも底面の面積が小さい円錐台の形状であってもよい。そして凹部15が図6のように円柱となっている場合には、ケース2の外周面と凹部15の外周面との間に隙間が生じ、凹部15とケース2との間の隙間17はケース2の下方に行くほど大きくなる。図6ではケース2と窓部13との間に隙間18が生じており、その隙間18と窓部13が空間として連続している。
図6で示すように、本変形形態においては、底面30に近い凹部15の側面から、本体部10の外側へと貫通して形成された孔である水抜き孔を設けている。ここから雨水を排出することができる。
水抜き孔は、凹部30底面から本体部の外側へと貫通して形成することもできる。
【0033】
ケース2と窓部13との間に隙間18があると、そこに指を入れ、ケース2の下方を把持し持ち上げることでケース2を凹部15から取り出すことができる。
【0034】
ケース2と凹部15の間に隙間17がある程、凹部15内でケース2が移動する可能性が高まり、ケース2の水平方向の移動はケース2の損傷につながる。そのため、凹部15の側面とケース2の少なくとも一部との接触により、ケース2の水平方向の移動が制限されることが好ましい。その一部の接触とは、例えば、ある横断面におけるケース2の外周全体と、窓部13がある部分を除いた凹部15との接触である。図6(c)ではケース2の上面の縁全体が凹部15の側面と窓部13のある部分を除いて接触している。
水平方向への移動が制限され、さらに例えばケース2の底面と、凹部底面30が接していると、凹部内でのケース2の回転も妨げられ、移動や回転によって窓部13からケース2が供花装具1外部に脱落することもない。
【0035】
観賞用の窓部13及び採光用の窓部33は、ケース2を供花装具1の外部から把持するために用いることもできる。ケース2を把持する観点からも、ケース2と凹部15の間の隙間にかかわらず、窓部13、33が複数あることが好ましい。例えば窓部13、33が2つあると、両窓から挟むようにケース2を持つことで、凹部15からケース2を取り出すことができる。
各窓部13、33の数や大きさは、各窓部13、33が果たす機能から実用性を考えて設計することが好ましい。
【0036】
全ての実施形態においてケース2とそれを収納する供花装具1によって、ケース2に入れるプリザーブドフラワーF等の内容物が風雨、虫、粉塵等の影響を受けにくくなるため、それらの影響によって、花を取り替えたり、飛散した花を元の位置に戻したり、等の手間を無くす又は軽減することができる。
【0037】
(2)第2の実施形態
本実施形態は、図7(a)に示すように、第1の実施形態と異なり、供花装具1が、その底面から突出しかつ墓C等の石碑に空いた石碑凹部21と嵌合する凸部20をさらに有する。その他の構成においては共通するため、説明は省略する。
一般的な墓Cにおける石材の花立部材には、陶器又はステンレスの花筒を入れるために、直径5cm~9cm程度の穴が開いている。その穴を含む墓などの石碑に設けられた凹部を石碑凹部21として、図7(a)で示す。同図で示すように、石碑凹部21に凸部20を差し込むことで、供花装具1を安定的に既存の墓などに設置できる。そのため凸部20は既存の墓に設置する場合には、そこに設けられた石碑凹部21の形状に合わせて凸部20を作製する必要がある。
供花装具1が石材で作成される場合でも凸部20を金属などの別の素材で作成することができる。
【0038】
別の変形形態では、図7(b)が示すように、供花装具1が、その底面から突出したねじ山付きの凸部22をさらに有し、凸部22の外周面にねじ山25が形成されている。また外周面に螺旋溝26を備えた石碑凹部23が石碑に空いており、凸部22と石碑凹部23とが係合する。
図7(b)の矢印で示すように、凸部22のねじ山25を石碑凹部23の螺旋溝26にかみ合わせながら、凸部22を石碑凹部23にねじ込むことで、供花装具1を安定的に既存の墓C等に設置することができる。
供花装具1が石材で作製される場合でも凸部22を金属などの別の素材で作成することができる。石碑に形成される石碑凹部23の表面に金属が埋め込まれている場合もあり、その場合には凸部22も金属で作成する方が、凸部22を石碑凹部23にねじ込むにあたって、かみ合わせがよい。
【0039】
本発明に係る供花装具は、上述した実施形態及び変形例に係る構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載の主旨に沿う範囲において、周知・慣用技術との組合せ、又は変形例の組合せなど、様々な変形形態をとることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 供花装具
2 ケース
3 蓋
5 凹凸形状
6 凹凸形状
10 本体部
11 蓋部
12 土台
13 窓部
14 開口
15 凹部
16 脚部
17 隙間
18 隙間
19 間隙
20 凸部
21 石碑凹部
22 凸部
23 石碑凹部
25 ねじ山
26 螺旋溝
30 凹部底面
31 窓部縁
33 窓部
35 水抜き孔

C 墓
D 構成用具
F プリザーブドフラワー
H 高さ
WW 幅
OW 幅
HW 幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7