(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102511
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】歯ブラシ、歯ブラシセット
(51)【国際特許分類】
A46B 5/00 20060101AFI20240724BHJP
【FI】
A46B5/00 Z
A46B5/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006439
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】515279946
【氏名又は名称】株式会社ジーシー
(74)【代理人】
【識別番号】100129838
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典輝
(72)【発明者】
【氏名】岸本 大輝
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA06
3B202CA02
3B202CA05
3B202DB01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】患者が歯牙の色を手軽に確認することができる歯ブラシを提供する。
【解決手段】ヘッド、頸部、及び、把柄部のうち少なくとも1つの少なくとも一部に所定の色が付されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刷毛、ヘッド、頸部、及び、把柄部を有する歯ブラシであって、
前記ヘッド、前記頸部、及び、前記把柄部のうち少なくとも1つの少なくとも一部に色が付されており、
前記色は、歯科用シェードガイドの色である、
歯ブラシ。
【請求項2】
前記歯科用シェードガイドが、ビタ クラシカルシェードガイド(商品名)である請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項3】
前記ビタ クラシカルシェードガイドに含まれる色は、A1、A2、A3、A3.5、A4、B1、B2、B3、B4、C1、C2、C3、C4、D2、D3、及び、D4から選ばれる1つである、請求項2に記載の歯ブラシ。
【請求項4】
刷毛、ヘッド、頸部、及び、把柄部を有する歯ブラシであって、
前記ヘッド、前記頸部、及び、前記把柄部のうち少なくとも1つの少なくとも一部に色が付されており、
前記色は、
第1色である、77.81<L*≦81.34、-2.38≦a*≦-0.85、及び、11.21≦b*≦14.89を満たす色、
第2色である、75.70<L*≦77.81、-0.85<a*≦0.64、及び、14.89<b*≦18.17を満たす色、
第3色である、73.84<L*≦75.70、0.64<a*≦1.42、及び、18.17<b*≦20.31を満たす色、
第4色である、70.44<L*≦73.84、1.42<a*≦1.53、及び、21.41<b*≦22.22を満たす色、
第5色である、66.69≦L*≦70.44、1.53<a*≦1.63、及び、20.31<b*≦21.41を満たす色、
第6色である、77.78<L*≦80.02、-1.83≦a*≦-1.69、及び、10.19≦b*≦14.48を満たす色、
第7色である、75.40<L*≦77.78、-1.69<a*≦-0.58、及び、14.48<b*≦19.39を満たす色、
第8色である、72.97<L*≦75.40、-0.58<a*≦0.49、及び、22.25<b*≦22.44を満たす色、
第9色である、70.65≦L*≦72.97、0.49<a*≦0.52、及び、19.39<b*≦22.25を満たす色、
第10色である、72.62<L*≦75.96、-1.78≦a*≦-0.74、及び、10.50≦b*≦14.62を満たす色、
第11色である、69.89<L*≦72.62、-0.74<a*≦-0.12、及び、16.70<b*≦17.69を満たす色
第12色である、66.81<L*≦69.89、-0.12<a*≦0.79、及び、14.62<b*≦16.70を満たす色、
第13色である、62.76≦L*≦66.81、0.79<a*≦2.39、及び、17.69<b*≦19.63を満たす色、
第14色である、73.91<L*≦76.63、-0.79<a*≦0.04、及び、12.14≦b*≦14.81を満たす色、
第15色である、72.21<L*≦73.91、0.04<a*≦1.20、及び、14.81<b*≦16.96を満たす色、
第16色である、71.52≦L*≦72.21、-1.28≦a*≦-0.79、及び、16.96<b*≦18.59を満たす色、
から選ばれるのいずれかの色である、
歯ブラシ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の歯ブラシを複数具備する歯ブラシセットであって、
複数の前記歯ブラシでは、1の前記歯ブラシと他の前記歯ブラシとで付されている前記色が異なる、
歯ブラシセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は歯ブラシ、複数の歯ブラシを有する歯ブラシセットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、歯牙のホワイトニング及びその評価について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
歯牙のホワイトニングとしては、歯科医院等で行う医療行為として歯牙そのものの色を変えるホワイトニングや、歯科医院以外の機関や自身で行う歯牙の表面の着色を落とすセルフホワイトニングがある。歯牙の色は例えば特許文献1に記載のようにビタ社のシェードガイドと対比する等して評価することができるが、いずれのホワイトニングにおいても患者はこのようなガイドを有していることは少なく、患者はその効果の程度を普段から手軽に確認することは難しい。
【0005】
本開示は、患者が歯牙の色を手軽に確認することができる歯ブラシを提供することを目的とする。また、これらの歯ブラシを複数有する歯ブラシセットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、刷毛、ヘッド、頸部、及び、把柄部を有する歯ブラシであって、ヘッド、頸部、及び、把柄部のうち少なくとも1つの少なくとも一部に色が付されており、色は、歯科用シェードガイドの色である、歯ブラシを開示する。
この歯科用シェードガイドはビタ社のシェードガイドであってもよい。
また、ビタ社のシェードガイドに含まれる色は、A1、A2、A3、A3.5、A4、B1、B2、B3、B4、C1、C2、C3、C4、D2、D3、及び、D4から選ばれる1つであってもよい。
【0007】
本願は、刷毛、ヘッド、頸部、及び、把柄部を有する歯ブラシであって、ヘッド、頸部、及び、把柄部のうち少なくとも1つの少なくとも一部に色が付されており、色は、後述する第1色~第16色から選ばれるいずれかの色である、歯ブラシを開示する。
【0008】
また、本願は上記の歯ブラシを複数具備する歯ブラシセットであって、複数の歯ブラシでは、1の歯ブラシと他の歯ブラシとで付されている色が異なる、歯ブラシセットを開示する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、歯ブラシの色を歯牙の色と目視で対比することができ、患者は歯磨きのとき等に手軽に歯牙の色を確認することができる。ホワイトニングの患者であればその効果を日々手軽に確認することが可能となる。これによりホワイトニングの効果を経時的に実感したり、ホワイトニングに対するモチベーションを高めたりすることも期待される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は歯ブラシセット10を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1には1つ形態にかかる歯ブラシセット10を説明する図を示した。本形態にかかる歯ブラシセット10は5つの歯ブラシ11~歯ブラシ15を具備している。ただし、本開示の歯ブラシはこれら歯ブラシのいずれか1つであればよく、本開示の歯ブラシセットは、2つ以上の歯ブラシを含むように構成されていればよい。
【0012】
1.歯ブラシの形状
歯ブラシセット10に具備される各歯ブラシ11~歯ブラシ15の形状は特に限定されることはなく公知の形状を適用することができる。典型的には歯ブラシ11~歯ブラシ15はそれぞれ、刷毛11a~刷毛15a、ヘッド11b~ヘッド15b、頸部11c~頸部15c、及び、把柄部11d~把柄部15dを備えている。
【0013】
刷毛11a~刷毛15aは、いわゆるブラシの部分であり、例えばナイロン等の毛束により形成されている。
ヘッド11b~ヘッド15bは、刷毛11a~刷毛15aが植毛された部位であり、植毛部と呼ばれることがある。ヘッド11b~ヘッド15bは公知の通り、樹脂材料により形成することができる。
頸部11c~頸部15cは、ヘッド11b~ヘッド15bから連続して延びる部分であり、ヘッド11b~ヘッド15bと把柄部11d~把柄部15dとを連結する棒状である。従って頸部11c~頸部15cはヘッド11b~ヘッド15bと同じ材料により形成することができる。
把柄部11d~把柄部15dは、頸部11c~頸部15cからヘッド11b~ヘッド15bとは反対側に延びる棒状で、手で握る部分である。グリップやハンドルと呼ばれることもある。従って把柄部11d~把柄部15dは頸部11c~頸部15cと同じ材料により形成することができる。電動歯ブラシの場合に把柄部は、振動を発生する機器に取り付ける部位として機能する。
【0014】
2.色
本開示では各歯ブラシ11~歯ブラシ15において、ヘッド11b~ヘッド15b、頸部11c~頸部15c、及び、把柄部11d~把柄部15dは、その少なくとも1つの少なくとも一部において次のような色を有している。当該色が付される範囲、及び、その大きさは特に限定されることはないが、少なくともヘッド11b~ヘッド15bに当該色が付されていることが好ましい。ヘッドは歯ブラシの構造上、口腔及び歯牙に近い位置に配置しやすく歯牙との色の比較が容易となる。
【0015】
歯ブラシは次のいずれかの色を有している。
また、歯ブラシセットではここに含まれる複数の歯ブラシの少なくとも1つにおいて次のいずれかの色を有していればよい。なお、歯ブラシセットにおいては複数の歯ブラシでは1の歯ブラシと他の歯ブラシで異なる色を有していることが好ましい。
【0016】
2.1.歯科用シェードガイドに基づいた色(第1の形態)
第1の形態では、歯ブラシに歯科用シェードガイドのいずれかの色に一致する色が付される。歯科用シェードガイドは歯牙におけるいわゆる色見本であり公知の通りである。歯科用シェードガイドの種類は特に限定されることはなく、ビタ社の各種シェードガイド、R-20 Bleaching シェードガイド(S2,S4,S6,S8,S10,S12,S14,S16,S18,S20,S22,S24,S26,S28,S30,S32,S34,S36,S38,S40の20種の色)、及び、Bioform(登録商標)シェードガイド(B51,B52,B53,B54,B55,B56,B59,B62,B63,B65,B66,B67,B69,B77,B81,B83,B84,B85,B91,B92,B93,B94,B95,B96の24種の色)等を挙げることができる。その中でもビタ社のシェードガイドのうちビタ クラシカルシェードガイド(商品名)に含まれるいずれかの色が歯ブラシに付されていることが好ましい。
【0017】
ビタ クラシカルシェードガイドでは色味の違いによりA、B、C、Dの4のタイプに分けられ、各色味のタイプに対して明るい順に数字が付されている。Aは赤茶色、Bは赤黄色、Cは灰色、Dは赤灰色がベースとなっており、小さい数字の方が明るいことを表している。より具体的には、A1、A2、A3、A3.5、A4、B1、B2、B3、B4、C1、C2、C3、C4、D2、D3、D4の16種類である。
本形態では、歯ブラシにはこれら16種類のうちいずれかの色が付されており、歯ブラシセットでは複数の歯ブラシにおいて1の歯ブラシと他の歯ブラシとでこれら16種類のうち異なる色が付されている。
そのなかでも、ホワイトニングの観点からは通常のホワイトニングの目標とする色味であることからAタイプのいずれかであること好ましい。
【0018】
歯ブラシの上記色がシェードガイドの対応する色となっているかの判定は、10人程度の複数人による目視判定による多数(例えば7割)を得ることで行うことができる。
【0019】
2.2.L*a*b*に基づいた色(第2形態)
第2形態では、以下に示す第1色~第16色のいずれかの色が歯ブラシに付される。
【0020】
2.2.1.第1色
第1色はCIE色空間において、次の範囲を満たす。
77.81<L*≦81.34
-2.38≦a*≦-0.85
11.21≦b*≦14.89
これはビタ クラシカルシェードガイドのA1を含む又は近似する色の範囲である。
【0021】
2.2.2.第2色
第2色はCIE色空間において、次の範囲を満たす。
75.70<L*≦77.81
-0.85<a*≦0.64
14.89<b*≦18.17
これはビタ クラシカルシェードガイドのA2を含む又は近似する色の範囲である。
【0022】
2.2.3.第3色
第3色はCIE色空間において、次の範囲を満たす。
73.84<L*≦75.70
0.64<a*≦1.42
18.17<b*≦20.31
これはビタ クラシカルシェードガイドのA3を含む又は近似する色の範囲である。
【0023】
2.2.4.第4色
第4色はCIE色空間において、次の範囲を満たす。
70.44<L*≦73.84
1.42<a*≦1.53
21.41<b*≦22.22
これはビタ クラシカルシェードガイドのA3.5を含む又は近似する色の範囲である。
【0024】
2.2.5.第5色
第5色はCIE色空間において、次の範囲を満たす。
66.69≦L*≦70.44
1.53<a*≦1.63
20.31<b*≦21.41
これはビタ クラシカルシェードガイドのA4を含む又は近似する色の範囲である。
【0025】
2.2.6.第6色
第6色はCIE色空間において、次の範囲を満たす。
77.78<L*≦80.02
-1.83≦a*≦-1.69
10.19≦b*≦14.48
これはビタ クラシカルシェードガイドのB1を含む又は近似する色の範囲である。
【0026】
2.2.7.第7色
第7色はCIE色空間において、次の範囲を満たす。
75.40<L*≦77.78
-1.69<a*≦-0.58
14.48<b*≦19.39
これはビタ クラシカルシェードガイドのB2を含む又は近似する色の範囲である。
【0027】
2.2.8.第8色
第8色はCIE色空間において、次の範囲を満たす。
72.97<L*≦75.40
-0.58<a*≦0.49
22.25<b*≦22.44
これはビタ クラシカルシェードガイドのB3を含む又は近似する色の範囲である。
【0028】
2.2.9.第9色
第9色はCIE色空間において、次の範囲を満たす。
70.65≦L*≦72.97
0.49<a*≦0.52
19.39<b*≦22.25
これはビタ クラシカルシェードガイドのB4を含む又は近似する色の範囲である。
【0029】
2.2.10.第10色
第10色はCIE色空間において、次の範囲を満たす。
72.62<L*≦75.96
-1.78≦a*≦-0.74
10.50≦b*≦14.62
これはビタ クラシカルシェードガイドのC1を含む又は近似する色の範囲である。
【0030】
2.2.11.第11色
第11色はCIE色空間において、次の範囲を満たす。
69.89<L*≦72.62
-0.74<a*≦-0.12
16.70<b*≦17.69
これはビタ クラシカルシェードガイドのC2を含む又は近似する色の範囲である。
【0031】
2.2.12.第12色
第12色はCIE色空間において、次の範囲を満たす。
66.81<L*≦69.89
-0.12<a*≦0.79
14.62<b*≦16.70
これはビタ クラシカルシェードガイドのC3を含む又は近似する色の範囲である。
【0032】
2.2.13.第13色
第13色はCIE色空間において、次の範囲を満たす。
62.76≦L*≦66.81
0.79<a*≦2.39
17.69<b*≦19.63
これはビタ クラシカルシェードガイドのC4を含む又は近似する色の範囲である。
【0033】
2.2.14.第14色
第14色はCIE色空間において、次の範囲を満たす。
73.91<L*≦76.63
-0.79<a*≦0.04
12.14≦b*≦14.81
これはビタ クラシカルシェードガイドのD2を含む又は近似する色の範囲である。
【0034】
2.2.15.第15色
第15色はCIE色空間において、次の範囲を満たす。
72.21<L*≦73.91
0.04<a*≦1.20
14.81<b*≦16.96
これはビタ クラシカルシェードガイドのD3を含む又は近似する色の範囲である。
【0035】
2.2.16.第16色
第16色はCIE色空間において、次の範囲を満たす。
71.52≦L*≦72.21
-1.28≦a*≦-0.79
16.96<b*≦18.59
これはビタ クラシカルシェードガイドのD4を含む又は近似する色の範囲である。
【0036】
2.2.17.測色方法
歯ブラシに付される上記した色のL*a*b*は例えば次のように得ることができる。
歯ブラシのうち上記した色が付された部位を1mm厚で切り出し、測定する部位の表面を♯1000の研磨紙で研磨を行って乾燥させることで測色用試験片を作製する。
この測色用試験片について、分光光度計(Beckman Instruments,Inc.製、「ACTA Clll」、標準光源C 色温度6774K(平均昼光相当))を用いて背景色を白とし、L*値、a*値及び、b*値を得た。
【0037】
3.効果等
本形態の歯ブラシ又は歯ブラシセットによれば、その少なくとも一部に歯牙の色の判定基準となる色が付されているので、患者は歯磨きの際等に歯ブラシの色と自身の歯牙の色とを手軽に対比することができる。
【0038】
例えばホワイトニングを行っている患者は自分の目標とする歯牙の色の歯ブラシを所持したり、色の異なる複数の歯ブラシを所持したりすることでホワイトニングの効果や経過を実感することができ、モチベーションを高めることも期待できる。
【0039】
上記したシェードガイドの色又は第1色~第16色が付された歯ブラシ又は歯ブラシセットによれば広く基準となる各色と歯牙との対比ができ、自分に合った色の対比が可能となる。
そのなかでも、ビタ社のビタ クラシカルシェードガイドのAタイプ、又は、第1色~第5色は、典型的にホワイトニングにおいて目標とする色であり、患者がホワイトニングに期待する色でもあることから、歯ブラシの少なくとも一部にこのようなAタイプや第1色~第5色を付すことで、これとは異なる他の色を付したものより上記効果がより顕著である。
【符号の説明】
【0040】
10…歯ブラシセット、11~15…歯ブラシ、11a~15a…刷毛、11b~15b…ヘッド、11c~15c…頸部、11d~15d…把柄部