(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102512
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】水素供給部制御装置
(51)【国際特許分類】
F02M 21/02 20060101AFI20240724BHJP
H01M 8/04537 20160101ALI20240724BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20240724BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20240724BHJP
F02D 19/02 20060101ALI20240724BHJP
B60R 16/02 20060101ALN20240724BHJP
B60L 1/00 20060101ALN20240724BHJP
B60L 50/70 20190101ALN20240724BHJP
B60L 58/30 20190101ALN20240724BHJP
【FI】
F02M21/02 301Z
H01M8/04537
H01M8/04746
H01M8/04 Z
F02D19/02 B
B60R16/02 645C
B60L1/00 L
B60L50/70
B60L58/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006443
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】中島 潤哉
【テーマコード(参考)】
3G092
5H125
5H127
【Fターム(参考)】
3G092AB09
3G092BB06
5H125AA01
5H125AC07
5H125AC12
5H125BC25
5H125BD12
5H125BD14
5H125EE47
5H125EE48
5H127AB04
5H127AB29
5H127BA02
5H127BA22
5H127BA59
5H127DB99
5H127DC02
5H127FF01
(57)【要約】
【課題】水素供給先へ安定した水素供給を行う。
【解決手段】入力端子KEYSTLを有し、イグニッションスイッチIGSWがオン状態であると認識しているとき、水素供給先へ水素を供給する水素供給部HSの動作を制御する制御部Cntと、蓄電装置Bに接続されるイグニッションスイッチIGSWがオフ状態であるとき、入力端子KEYSTLに入力される電圧を第1状態にさせ、イグニッションスイッチIGSWがオン状態であるとき、入力端子KEYSTLに入力される電圧を第2状態にさせるコンタクタCとを備えて水素供給部制御装置HCを構成し、制御部Cntは、蓄電装置Bからの電力が入力端子KEYSTLに供給され、入力端子KEYSTLに入力される電圧に基づいて、イグニッションスイッチIGSWの状態を認識する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子を有し、イグニッションスイッチがオン状態であると認識しているとき、水素供給先へ水素を供給する水素供給部の動作を制御する制御部と、
蓄電装置に接続される前記イグニッションスイッチがオフ状態であるとき、前記入力端子に入力される電圧を第1状態にさせ、前記イグニッションスイッチがオン状態であるとき、前記入力端子に入力される電圧を第2状態にさせる電圧入力部と、
を備え、
前記制御部は、前記蓄電装置からの電力が前記入力端子に供給され、前記入力端子に入力される電圧に基づいて、前記イグニッションスイッチがオン状態であると認識する
ことを特徴とする水素供給部制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の水素供給部制御装置であって、
前記制御部は、前記入力端子として、前記蓄電装置の電圧が常時入力される第1入力端子と、前記第1入力端子に前記電圧入力部を介して接続される第2入力端子とを有し、
前記電圧入力部は、前記イグニッションスイッチがオフ状態であるとき、前記第2入力端子に入力される電圧をゼロにさせ、前記イグニッションスイッチがオン状態であるとき、前記第1入力端子に入力される電圧を前記第2入力端子に入力させ、
前記制御部は、前記第2入力端子に入力される電圧が前記第1入力端子に入力される電圧と一致しているとき、前記イグニッションスイッチがオン状態であると認識する
ことを特徴とする水素供給部制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される水素エンジンや燃料電池などの水素供給先に水素を供給する水素供給部の動作を制御する水素供給部制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水素供給部制御装置として、イグニッションスイッチにかかる電圧が、イグニッションスイッチを介してスタータモータや補機に電力を供給する蓄電装置の電圧と一致しているとき、イグニッションスイッチがオン状態であると認識し、水素供給部の動作を制御するものがある。関連する技術として、例えば、特許文献1がある。
【0003】
ところで、蓄電装置からスタータモータまたは補機に電力が供給されているとき、蓄電装置の内部抵抗により蓄電装置の電圧が低下するとともに、イグニッションスイッチの抵抗によりイグニッションスイッチにかかる電圧が低下するため、イグニッションスイッチにかかる電圧が蓄電装置の電圧と一致しないおそれがある。
【0004】
そのため、上記水素供給部制御装置では、イグニッションスイッチがオン状態であるにもかかわらず、イグニッションスイッチにかかる電圧が蓄電装置の電圧と一致しないことでイグニッションスイッチがオフ状態であると誤認識し、水素供給部の動作が制御されないおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一側面に係る目的は、水素供給先への安定した水素供給を行うことが可能な水素供給部制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る一つの形態である水素供給部制御装置は、入力端子を有し、イグニッションスイッチがオン状態であると認識しているとき、水素供給先へ水素を供給する水素供給部の動作を制御する制御部と、蓄電装置に接続される前記イグニッションスイッチがオフ状態であるとき、前記入力端子に入力される電圧を第1状態にさせ、前記イグニッションスイッチがオン状態であるとき、前記入力端子に入力される電圧を第2状態にさせる電圧入力部とを備える。
【0008】
前記制御部は、前記蓄電装置からの電力が前記入力端子に供給され、前記入力端子に入力される電圧に基づいて、前記イグニッションスイッチの状態を認識する。
【0009】
このように、蓄電装置の電圧のみを用いてイグニッションスイッチの状態を認識する構成であるため、蓄電装置の電圧だけでなくイグニッションスイッチにかかる電圧を用いてイグニッションスイッチの状態を確認する場合に比べて、イグニッションスイッチの状態の誤認識を抑制することができ、水素供給部への安定した水素供給を行うことができる。
【0010】
また、前記制御部は、前記入力端子として、前記蓄電装置の電圧が常時入力される第1入力端子と、前記第1入力端子に前記電圧入力部を介して接続される第2入力端子とを有し、前記電圧入力部は、前記イグニッションスイッチがオフ状態であるとき、前記第2入力端子に入力される電圧をゼロにさせ、前記イグニッションスイッチがオン状態であるとき、前記第1入力端子に入力される電圧を前記第2入力端子に入力させ、前記制御部は、前記第2入力端子に入力される電圧が前記第1入力端子に入力される電圧と一致しているとき、前記イグニッションスイッチがオン状態であると認識するように構成してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、水素供給先へ安定した水素供給を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態の水素供給部制御装置を備える車両の一例を示す図である。
【
図2】イグニッションスイッチ及び水素供給部制御装置の一例を示す図である。
【
図3】水素供給部制御装置の比較例を示す図である。
【
図4】イグニッションスイッチ及び水素供給部制御装置の変形例1を示す図である。
【
図5】イグニッションスイッチ及び水素供給部制御装置の変形例2を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下図面に基づいて実施形態について詳細を説明する。
【0014】
図1は、実施形態の水素供給部制御装置を備える車両の一例を示す図である。
【0015】
図1に示す車両Veは、例えば、フォークリフトやトーイングトラクターなどの産業車両や自動車であり、蓄電装置Bと、スタータモータSMと、補機Auと、車両側制御装置VCと、イグニッションスイッチIGSWと、水素供給部HSと、水素エンジンHEと、水素供給部制御装置HCとを備える。
【0016】
蓄電装置Bは、例えば、鉛電池であり、スタータモータSM、補機Au、車両側制御装置VC、及び水素供給部制御装置HCに駆動用の電力を供給する。
【0017】
スタータモータSMは、蓄電装置Bから電力が供給されているとき、水素エンジンHEのクランクシャフトを所定回転数になるまで回転させる(クランキング)。
【0018】
補機Auは、例えば、フォークリフトの荷役装置やライトなどの負荷である。
【0019】
車両側制御装置VCは、例えば、マイクロコンピュータなどにより構成され、ユーザからの指示に応じて、補機Au及び水素エンジンHEの動作を制御する。
【0020】
イグニッションスイッチIGSWは、ユーザの操作によりオフ状態からオン状態に切り替わると、蓄電装置BとスタータモータSMとを互いに接続し蓄電装置Bから供給される電力によりスタータモータSMを駆動させる。または、イグニッションスイッチIGSWは、ユーザの操作によりオフ状態からオン状態に切り替わると、蓄電装置Bと補機Auとを接続して蓄電装置Bから供給される電力により補機Auを駆動させる。
【0021】
水素供給部HSは、水素を貯蔵する水素タンクや水素タンクから水素エンジンHEへ供給する水素の量を調整するバルブなどにより構成される。なお、車両Veにおいて、水素エンジンHE及びスタータモータSMを、水素と酸素との電気化学反応により電気を発生させる燃料電池に置き換える場合、水素供給部HSは、水素を貯蔵する水素タンクや水素タンクから燃料電池へ供給する水素の量を調整するバルブなどにより構成される。
【0022】
水素エンジンHEは、水素供給部HSから供給される水素を燃料としてクランクシャフトを回転させることで車両Veを走行させる。
【0023】
水素供給部制御装置HCは、イグニッションスイッチIGSWがオン状態であると認識しているとき、水素供給部HSの動作を制御する。例えば、水素供給部制御装置HCは、イグニッションスイッチIGSWがオン状態であると認識しているとき、水素供給部HSのバルブの開口度などを制御することで水素エンジンHEに供給される水素の量を調整する。
【0024】
図2(a)は、イグニッションスイッチIGSW及び水素供給部制御装置HCの一例を示す図である。
【0025】
図2(a)に示すイグニッションスイッチIGSWは、端子INと、端子OFFと、端子STARTと、端子IGとを備える。端子INは蓄電装置Bに接続され、端子STARTはスタータモータSMに接続され、端子IGは補機Auに接続されている。なお、車両Veにおいて、水素エンジンHE及びスタータモータSMを燃料電池に置き換える場合、端子STARTは省略される。
【0026】
ユーザによりイグニッションスイッチIGSWが操作されることで、端子INが端子STARTに接続されているとき、蓄電装置BとスタータモータSMとが互いに接続されて蓄電装置BからスタータモータSMに電力が供給される。
【0027】
また、ユーザによりイグニッションスイッチIGSWが操作されることで、端子INが端子IGに接続されているとき、蓄電装置Bと補機Auとが互いに接続されて蓄電装置Bから補機Auに電力が供給される。
【0028】
なお、端子INが端子OFFに接続されているときのイグニッションスイッチIGSWの状態をオフ状態とし、端子INが端子STARTまたは端子IGに接続されているときのイグニッションスイッチIGSWの状態をオン状態とする。
【0029】
また、
図2(a)に示す水素供給部制御装置HCは、ヒューズFUと、コンタクタC(電圧入力部)と、ダイオードD1、D2と、制御部Cntとを備える。なお、車両Veにおいて、水素エンジンHE及びスタータモータSMを燃料電池に置き換える場合、ダイオードD1は省略される。
【0030】
コンタクタCは、インダクタLと、スイッチSWとを備える。インダクタLの一方端子がダイオードD1、D2のそれぞれのカソード端子に接続され、インダクタLの他方端子がグランドGNDに接続されている。また、ダイオードD1のアノード端子が端子STARTとスタータモータSMとの間の配線L1に接続され、ダイオードD2のアノード端子が端子IGと補機Auとの間の配線L2に接続されている。
【0031】
端子INが端子STARTに接続されることで、蓄電装置Bから端子IN、端子START、配線L1、及びダイオードD1を介してインダクタLに電流が流れると、または、端子INが端子IGに接続されることで、蓄電装置Bから端子IN、端子IG、配線L2、及びダイオードD2を介してインダクタLに電流が流れると、インダクタLが磁化することで生じる磁力によりスイッチSWが遮断状態から導通状態に切り替わる。
【0032】
なお、インダクタLに電流が流れていないとき、スイッチSWは遮断状態である。
【0033】
また、蓄電装置BからスタータモータSMに電力が供給されることで配線L1にかかる電圧が蓄電装置Bの電圧Vbより低下しても、または、蓄電装置Bから補機Auに電力が供給されることで配線L2にかかる電圧が蓄電装置Bの電圧Vbより低下しても、スイッチSWの導通状態を保つことが可能な電流がインダクタLに流れるものとする。
【0034】
制御部Cntは、例えば、マイクロコンピュータなどにより構成され、入力端子BATTと、入力端子KEYSTU(第1入力端子)と、入力端子KEYSTL(第2入力端子)とを備える。
【0035】
入力端子BATTは、蓄電装置Bから供給される電力がヒューズFUを介して入力される。制御部Cntは、入力端子BATTに入力される電力により駆動する。
【0036】
入力端子KEYSTUは、制御部Cntの内部において、入力端子BATTと接続されている。なお、入力端子KEYSTUに入力される電圧は、蓄電装置Bの電圧Vbと同じまたは略同じ大きさの電圧とする。
【0037】
入力端子KEYSTLは、制御部Cntの外部において、コンタクタCのスイッチSWの一方端子に接続されている。また、スイッチSWの他方端子は入力端子KEYSTUに接続されている。スイッチSWが遮断しているとき、入力端子KEYSTUに入力される電圧はゼロになる。また、スイッチSWが導通しているとき、入力端子KEYSTLがスイッチSWを介して入力端子KEYSTUに接続されるため、入力端子KEYSTLに入力される電圧は蓄電装置Bの電圧Vbと同じまたは略同じ大きさの電圧になる。
【0038】
図2(b)は、
図2(a)に示す入力端子KEYSTU及び入力端子KEYSTLに入力される電圧の一例を示す図である。なお、
図2(b)に示す2次元座標の横軸は時間を示し、縦軸は電圧を示している。また、
図2(b)に示す実線は入力端子KEYSTUに入力される電圧を示し、
図2(b)に示す破線は入力端子KEYSTLに入力される電圧を示している。また、時刻t0から時刻t1までの期間において、端子INが端子OFFに接続され、時刻t1から時刻t2までの期間において、端子INが端子IGに接続され、時刻t2から時刻t3までの期間において、端子INが端子STARTに接続され、時刻t3以降において、端子INが端子IGに接続されるものとする。
【0039】
時刻t1以降では、スイッチSWが導通し、入力端子KEYSTLがスイッチSWを介して入力端子KEYSTUに接続されるため、入力端子KEYSTLに入力される電圧が蓄電装置Bの電圧Vbと同じまたは略同じ大きさの電圧になる。すなわち、ユーザの操作によりイグニッションスイッチIGSWがオフ状態からオン状態に切り替わると、入力端子KEYSTLに入力される電圧が入力端子KEYSTUに入力される電圧と一致する。
【0040】
そして、制御部Cntは、入力端子KEYSTLに入力される電圧が入力端子KEYSTUに入力される電圧と一致しているとき、端子INが端子STARTまたは端子IGに接続されていると認識する。すなわち、制御部Cntは、入力端子KEYSTLに入力される電圧が入力端子KEYSTUに入力される電圧と一致しているとき、イグニッションスイッチIGSWがオン状態であると認識する。
【0041】
例えば、制御部Cntは、入力端子KEYSTLに入力される電圧が入力端子KEYSTUに入力される電圧との差の絶対値が閾値Vth1以下である場合、入力端子KEYSTLに入力される電圧が入力端子KEYSTUに入力される電圧と一致していると判断する。なお、閾値Vth1は、実験やシミュレーションにより予め求められる値であって、スイッチSWが導通しているときに入力端子KEYSTLに入力される電圧に含まれるノイズに基づいて求められてもよい。
【0042】
また、
図2(a)に示す制御部Cntは、入力端子KEYSTLに入力される電圧が「ゼロ」から「入力端子KEYSTLに入力される電圧」に切り替わると、水素供給部HSの動作制御の準備を開始する。
【0043】
また、
図2(a)に示す制御部Cntは、入力端子KEYSTLに入力される電圧が入力端子KEYSTUに入力される電圧と一致しているとき、水素供給部HSの動作制御を継続する。
【0044】
また、
図2(a)に示す制御部Cntは、入力端子KEYSTLに入力される電圧が「入力端子KEYSTLに入力される電圧」から「ゼロ」に切り替わると、水素供給部HSの動作制御を終了する。
【0045】
ここで、
図3(a)は、水素供給部制御装置HCの比較例としての水素供給部制御装置HC´を示す図である。
【0046】
図3(a)に示す水素供給部制御装置HC´では、コンタクタCを備えておらず、入力端子KEYSTLがダイオードD1を介して配線L1に接続されているとともにダイオードD2を介して配線L2に接続されている。
【0047】
図3(b)は、
図3(a)に示す入力端子KEYSTU及び入力端子KEYSTLに入力される電圧の一例を示す図である。なお、
図3(b)に示す2次元座標の横軸は時間を示し、縦軸は電圧を示している。また、
図3(b)に示す実線は
図3(a)に示す入力端子KEYSTUに入力される電圧を示し、
図3(b)に示す破線は
図3(a)に示す入力端子KEYSTLに入力される電圧を示している。また、時刻t0から時刻t1までの期間において、端子INが端子OFFに接続され、時刻t1から時刻t2までの期間において、端子INが端子IGに接続され、時刻t2から時刻t3までの期間において、端子INが端子STARTに接続され、時刻t3以降において、端子INが端子IGに接続されているものとする。
【0048】
時刻t1から時刻t2までの期間及び時刻t3以降において、蓄電装置Bから補機Auに電力が供給されているときの蓄電装置Bの電圧Vbは、蓄電装置Bの内部抵抗に応じて、蓄電装置Bから補機Auに電力が供給されていないときの蓄電装置Bの電圧Vbより低下する。
【0049】
また、時刻t1から時刻t2までの期間及び時刻t3以降において、蓄電装置Bから補機Auに電力が供給されているときに端子IGにかかる電圧は、端子IN及び端子IGの抵抗に応じて、蓄電装置Bから補機Auに電力が供給されていないときに端子IGにかかる電圧より低下する。
【0050】
また、時刻t2から時刻t3までの期間において、蓄電装置BからスタータモータSMに電力が供給されているときの蓄電装置Bの電圧Vbは、蓄電装置Bの内部抵抗に応じて、蓄電装置BからスタータモータSMに電力が供給されていないときの蓄電装置Bの電圧Vbより低下する。
【0051】
また、時刻t2から時刻t3までの期間において、蓄電装置BからスタータモータSMに電力が供給されているときに端子STARTにかかる電圧は、端子IN及び端子STARTの抵抗に応じて、蓄電装置BからスタータモータSMに電力が供給されていないときに端子STARTにかかる電圧より低下する。
【0052】
そのため、時刻t1以降において、蓄電装置Bから補機AuまたはスタータモータSMに電力が供給されているとき、入力端子KEYSTLに入力される電圧は、入力端子KEYSTUに入力される電圧より低くなる。
【0053】
従って、時刻t1以降において、端子INが端子IGまたは端子STARTと接続されているにもかかわらず、制御部Cntにより、入力端子KEYSTLに入力される電圧が入力端子KEYSTUに入力される電圧と一致していないと判断され、イグニッションスイッチIGSWがオフ状態であると誤認識されてしまう。
【0054】
そこで、
図2(a)に示す実施形態の水素供給部制御装置HCでは、コンタクタCにより、イグニッションスイッチIGSWがオン状態であるとき、入力端子KEYSTUに入力される蓄電装置Bの電圧Vbを入力端子KEYSTLに入力させ、入力端子KEYSTLに入力される電圧が入力端子KEYSTUに入力される電圧と一致しているとき、イグニッションスイッチIGSWがオン状態であると認識する。
【0055】
このように、
図2(a)に示す実施形態の水素供給部制御装置HCでは、蓄電装置Bの電圧Vbのみを用いてイグニッションスイッチIGSWの状態を認識する構成であるため、蓄電装置Bの電圧VbだけでなくイグニッションスイッチIGSWにかかる電圧を用いてイグニッションスイッチIGSWの状態を確認する場合に比べて、イグニッションスイッチIGSWの状態の誤認識を抑制することができ、水素供給部HSへの安定した水素供給を行うことができる。
【0056】
なお、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
【0057】
<変形例1>
図4は、イグニッションスイッチIGSW及び水素供給部制御装置の変形例1を示す図である。なお、
図4に示す水素供給部制御装置HCにおいて、
図2(a)に示す水素供給部制御装置HCと同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0058】
図4に示す水素供給部制御装置HCにおいて、
図2(a)に示す水素供給部制御装置HCと異なる点は、コンタクタCの代わりにフォトリレーP(電圧入力部)を備えている点である。
【0059】
フォトリレーPは、フォトダイオードLEDと、光トランジスタTとを備える。なお、光トランジスタTは、光MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)とする。
【0060】
フォトダイオードLEDのアノード端子がダイオードD1を介して配線L1に接続されているとともにダイオードD2を介して配線L2に接続され、フォトダイオードLEDのカソード端子がグランドGNDに接続されている。イグニッションスイッチIGSWの端子INが端子STARTに接続され、蓄電装置Bから端子IN、端子START、配線L1、及びダイオードD1を介してフォトダイオードLEDに電流が流れると、または、イグニッションスイッチIGSWの端子INが端子IGに接続され、蓄電装置Bから端子IN、端子IG、配線L2、及びダイオードD2を介してフォトダイオードLEDに電流が流れると、フォトダイオードLEDが発光する。
【0061】
光トランジスタTのドレイン端子が入力端子KEYSTUに接続され、光トランジスタTのソース端子が入力端子KEYSTLに接続されている。フォトダイオードLEDが発光していないとき、光トランジスタTがオフし、フォトダイオードLEDが発光しているとき、光トランジスタTがオンする。光トランジスタTがオフしているとき、入力端子KEYSTLにゼロの電圧が入力され、光トランジスタTがオンしているとき、入力端子KEYSTLが入力端子KEYSTUに接続され、入力端子KEYSTLに入力される電圧は蓄電装置Bの電圧Vbと同じまたは略同じ大きさの電圧になる。
【0062】
そして、
図4に示す水素供給部制御装置HCでは、
図2(a)に示す実施形態の水素供給部制御装置HCと同様に、入力端子KEYSTLに入力される電圧が入力端子KEYSTUに入力される電圧と一致しているとき、イグニッションスイッチIGSWがオン状態であると認識する。
【0063】
このように、
図4に示す実施形態の水素供給部制御装置HCにおいても、蓄電装置Bの電圧Vbのみを用いてイグニッションスイッチIGSWの状態を認識する構成であるため、蓄電装置Bの電圧VbだけでなくイグニッションスイッチIGSWにかかる電圧を用いてイグニッションスイッチIGSWの状態を確認する場合に比べて、イグニッションスイッチIGSWの状態の誤認識を抑制することができ、水素供給部HSへの安定した水素供給を行うことができる。
【0064】
なお、蓄電装置BからイグニッションスイッチIGSWに流れる電流を用いて入力端子KEYSTUに入力される電圧と同じまたは略同じ電圧を入力端子KEYSTLに入力させることが可能なデバイスであれば、電圧入力部としてコンタクタCやフォトリレーP以外のデバイスを採用してもよい。
【0065】
<変形例2>
図5は、イグニッションスイッチIGSW及び水素供給部制御装置HCの変形例2を示す図である。なお、
図5に示す水素供給部制御装置HCにおいて、
図2(a)に示す水素供給部制御装置HCと同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0066】
図5に示す水素供給部制御装置HCにおいて、
図2(a)に示す水素供給部制御装置HCと異なる点は、コンタクタCのスイッチSWの他方端子が入力端子KEYSTUではなく蓄電装置Bに接続されている点である。なお、スイッチSWの一方端子は入力端子KEYSTLに接続されている。また、入力端子KEYSTUが省略されている。
【0067】
イグニッションスイッチIGSWの端子INが端子OFFに接続されスイッチSWが遮断しているとき、入力端子KEYSTLに入力される電圧はゼロである。
【0068】
また、イグニッションスイッチIGSWの端子INが端子STARTまたは端子IGに接続されスイッチSWが導通しているとき、入力端子KEYSTLには蓄電装置Bの電圧Vbが入力される。
【0069】
そして、
図5に示す水素供給部制御装置HCにおいて、制御部Cntは、入力端子KEYSTLに入力される電圧が閾値Vth2以上になると、イグニッションスイッチIGSWがオフ状態からオン状態に切り替わったと認識する。なお、閾値Vth2は、実験やシミュレーションにより予め求められる値であって、例えば、ゼロより大きく、蓄電装置Bの電圧Vbより小さい値とする。また、閾値Vth2は、蓄電装置Bの容量低下に伴って徐々に小さくしてもよい。
【0070】
このように、
図5に示す実施形態の水素供給部制御装置HCにおいても、蓄電装置Bの電圧Vbのみを用いてイグニッションスイッチIGSWの状態を認識する構成であるため、蓄電装置Bの電圧VbだけでなくイグニッションスイッチIGSWにかかる電圧を用いてイグニッションスイッチIGSWの状態を確認する場合に比べて、イグニッションスイッチIGSWの状態の誤認識を抑制することができ、水素供給部HSへの安定した水素供給を行うことができる。
【0071】
また、
図5に示す水素供給部制御装置HCでは、入力端子KEYSTUを省略することができるため、制御部Cntの簡易化を図ることができる。
【0072】
なお、イグニッションスイッチIGSWがオフ状態であるときと、イグニッションスイッチIGSWがオン状態であるときとで、入力端子KEYSTLに入力される電圧が異なっていれば、イグニッションスイッチIGSWがオフ状態であるときに入力端子KEYSTLに入力される電圧はゼロでなくてもよく、イグニッションスイッチIGSWがオン状態であるときに入力端子KEYSTLに入力される電圧は蓄電装置Bの電圧Vbと同じまたは略同じ大きさの電圧でなくてもよい。すなわち、電圧入力部は、イグニッションスイッチIGSWがオフ状態であるとき、入力端子KEYSTLに入力される電圧を第1状態にさせ、イグニッションスイッチIGSWがオン状態であるとき、入力端子KEYSTLに入力される電圧を第2状態にさせるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0073】
HC 水素供給部制御装置
FU ヒューズ
C コンタクタ
L インダクタ
SW スイッチ
P フォトリレー
LED フォトダイオード
T 光トランジスタ
BATT 入力端子
KEYSTU 入力端子
KEYSTL 入力端子
Ve 車両
VC 車両側制御装置
Au 補機
IGSW イグニッションスイッチ
IN、OFF、START、IG 端子
B 蓄電装置
SM スタータモータ
HS 水素供給部
HE 水素エンジン
L1~L5 配線