(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102514
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】車両走行制御システム、車両走行制御装置、車両走行制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20240724BHJP
【FI】
G08G1/09 V
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006447
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人東海国立大学機構
(71)【出願人】
【識別番号】591139633
【氏名又は名称】東急株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591071230
【氏名又は名称】株式会社ソリトンシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】赤木 康宏
(72)【発明者】
【氏名】長束 晃一
(72)【発明者】
【氏名】和泉 亘
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB17
5H181BB18
5H181BB20
5H181CC04
5H181CC11
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL01
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】無人運転車両を継続的に走行させる。
【解決手段】無人運転車両100を自動で走行させる制御を行う自動運転制御装置200と、無人運転車両100の走行を、外部からの操作に基づいて遠隔で制御する遠隔運転制御装置300と、自動運転制御装置200と遠隔運転制御装置300とのいずれか一方の装置からの無人運転車両100の制御を有効にする車両走行制御装置400とを有し、車両走行制御装置400は、無人運転車両100の制御が有効になっている装置に障害が発生した場合、その装置からの無人運転車両100の制御を無効にし、他方の装置からの無人運転車両100の制御を有効にする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人運転車両と、
前記無人運転車両を自動で走行させる制御を行う自動運転制御装置と、
前記無人運転車両の走行を、外部からの操作に基づいて遠隔で制御する遠隔運転制御装置と、
前記自動運転制御装置と前記遠隔運転制御装置とのいずれか一方の装置からの前記無人運転車両の制御を有効にする車両走行制御装置とを有し、
前記車両走行制御装置は、前記無人運転車両の制御が有効になっている装置に障害が発生した場合、該装置からの前記無人運転車両の制御を無効にし、他方の装置からの前記無人運転車両の制御を有効にする車両走行制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両走行制御システムにおいて、
前記車両走行制御装置は、前記障害が発生した後に、該障害が解消された場合、該障害が発生していた装置からの前記無人運転車両の制御を有効にし、他方の装置からの前記無人運転車両の制御を無効にする車両走行制御システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車両走行制御システムにおいて、
前記車両走行制御装置は、前記無人運転車両が走行する領域に基づいて、前記自動運転制御装置と前記遠隔運転制御装置との双方に障害が発生していない場合に前記無人運転車両の制御を有効にする前記装置を決定する車両走行制御システム。
【請求項4】
請求項3に記載の車両走行制御システムにおいて、
前記領域と、前記無人運転車両が走行する時間帯とをあらかじめ対応付けて記憶するデータベースを有し、
前記車両走行制御装置は、前記無人運転車両が走行している時間帯に基づいて、前記領域を前記データベースから取得し、該取得した領域に基づいて、前記自動運転制御装置と前記遠隔運転制御装置との双方に障害が発生していない場合に前記無人運転車両の制御を有効にする前記装置を決定する車両走行制御システム。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の車両走行制御システムにおいて、
前記車両走行制御装置は、外部からの操作に基づいて、前記自動運転制御装置と前記遠隔運転制御装置との双方に障害が発生していない場合に前記無人運転車両の制御を有効にする前記装置を決定する車両走行制御システム。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の車両走行制御システムにおいて、
前記自動運転制御装置は、当該自動運転制御装置の障害の発生を検知し、該障害の発生を検知および解消されたことを前記車両走行制御装置へ通知し、
前記遠隔運転制御装置は、当該遠隔運転制御装置の障害の発生を検知し、該障害の発生を検知および解消されたことを前記車両走行制御装置へ通知する車両走行制御システム。
【請求項7】
無人運転車両を自動で走行させる制御を行う自動運転制御装置と、前記無人運転車両の走行を外部からの操作に基づいて遠隔で制御する遠隔運転制御装置とのいずれか一方の装置からの前記無人運転車両の制御を有効にする有効装置決定部と、
前記自動運転制御装置から該自動運転制御装置において障害が検知された旨を示す第1の障害検知信号と、前記遠隔運転制御装置から該遠隔運転制御装置において障害が検知された旨を示す第2の障害検知信号とを受信する検知信号受信部とを有し、
前記有効装置決定部は、前記無人運転車両の制御が有効になっている装置から前記第1の障害検知信号または前記第2の障害検知信号を前記検知信号受信部が受信した場合、該装置からの前記無人運転車両の制御を無効にし、他方の装置からの前記無人運転車両の制御を有効にする車両走行制御装置。
【請求項8】
請求項7に記載の車両走行制御装置において、
前記有効装置決定部は、前記制御が有効になっている装置から前記第1の障害検知信号または前記第2の障害検知信号を前記検知信号受信部が受信した後に、前記障害が発生していた装置から該障害が解消された旨を示す障害解消信号を受信した場合、該障害が発生していた装置からの前記無人運転車両の制御を有効にし、他方の装置からの前記無人運転車両の制御を無効にする車両走行制御装置。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の車両走行制御装置において、
前記無人運転車両が走行する領域を判定する領域判定部を有し、
前記有効装置決定部は、前記領域判定部が判定した領域に基づいて、前記自動運転制御装置と前記遠隔運転制御装置との双方に障害が発生していない場合に前記無人運転車両の制御を有効にする前記装置を決定する車両走行制御装置。
【請求項10】
請求項9に記載の車両走行制御装置において、
前記領域と、前記無人運転車両が走行する時間帯とをあらかじめ対応付けて記憶するデータベースを有し、
前記領域判定部は、前記無人運転車両が走行している時間帯に基づいて、前記領域を前記データベースから取得することで判定する車両走行制御装置。
【請求項11】
請求項7または請求項8に記載の車両走行制御装置において、
外部からの情報を受け付ける情報受付部を有し、
前記有効装置決定部は、前記情報受付部が受け付けた情報に基づいて、前記自動運転制御装置と前記遠隔運転制御装置との双方に障害が発生していない場合に前記無人運転車両の制御を有効にする前記装置を決定する車両走行制御装置。
【請求項12】
無人運転車両を自動で走行させる制御を行う自動運転制御装置と、前記無人運転車両の走行を外部からの操作に基づいて遠隔で制御する遠隔運転制御装置とのいずれか一方の装置からの前記無人運転車両の制御を有効にする処理と、
前記自動運転制御装置から該自動運転制御装置において障害が検知された旨を示す第1の障害検知信号と、前記遠隔運転制御装置から該遠隔運転制御装置において障害が検知された旨を示す第2の障害検知信号とを受信する処理と、
前記無人運転車両の制御が有効になっている装置から前記第1の障害検知信号または前記第2の障害検知信号を受信した場合、該装置からの前記無人運転車両の制御を無効にし、他方の装置からの前記無人運転車両の制御を有効にする処理とを行う車両走行制御方法。
【請求項13】
請求項12に記載の車両走行制御方法において、
前記制御が有効になっている装置から前記第1の障害検知信号または前記第2の障害検知信号を受信した後に、前記障害が発生していた装置から該障害が解消された旨を示す障害解消信号を受信した場合、該障害が発生していた装置からの前記無人運転車両の制御を有効にし、他方の装置からの前記無人運転車両の制御を無効にする処理を行う車両走行制御方法。
【請求項14】
コンピュータに、
無人運転車両を自動で走行させる制御を行う自動運転制御装置と、前記無人運転車両の走行を外部からの操作に基づいて遠隔で制御する遠隔運転制御装置とのいずれか一方の装置からの前記無人運転車両の制御を有効にする手順と、
前記自動運転制御装置から該自動運転制御装置において障害が検知された旨を示す第1の障害検知信号と、前記遠隔運転制御装置から該遠隔運転制御装置において障害が検知された旨を示す第2の障害検知信号とを受信する手順と、
前記無人運転車両の制御が有効になっている装置から前記第1の障害検知信号または前記第2の障害検知信号を受信した場合、該装置からの前記無人運転車両の制御を無効にし、他方の装置からの前記無人運転車両の制御を有効にする手順とを実行させるためのプログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のプログラムにおいて、
前記制御が有効になっている装置から前記第1の障害検知信号または前記第2の障害検知信号を受信した後に、前記障害が発生していた装置から該障害が解消された旨を示す障害解消信号を受信した場合、該障害が発生していた装置からの前記無人運転車両の制御を有効にし、他方の装置からの前記無人運転車両の制御を無効にする手順と実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両走行制御システム、車両走行制御装置、車両走行制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動運転車両の走行実験が様々なところで行われている。自動運転車両(無人運転車両)には、運転者は乗車せず、自律による自動走行が行われている。このような無人運転車両において、異常事象の発生により自動走行が停止された時、当該車両の位置と車両を遠隔操作する位置とに応じて、自動走行状態への復帰が可能な遠隔操作の権限を遠隔操作機器に与える技術が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたような技術における遠隔操作は、自動走行状態への復帰を操作するものである。そのため、自動運転走行に障害が発生し、自動運転走行が困難な状態になった場合、当該車両を走行させることができない。このように、走行を制御するシステムに何らかの不具合が生じた場合、当該車両が走行できなくなってしまうという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、無人運転車両を継続的に走行させることができる車両走行制御システム、車両走行制御装置、車両走行制御方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両走行制御システムは、
無人運転車両と、
前記無人運転車両を自動で走行させる制御を行う自動運転制御装置と、
前記無人運転車両の走行を、外部からの操作に基づいて遠隔で制御する遠隔運転制御装置と、
前記自動運転制御装置と前記遠隔運転制御装置とのいずれか一方の装置からの前記無人運転車両の制御を有効にする車両走行制御装置とを有し、
前記車両走行制御装置は、前記無人運転車両の制御が有効になっている装置に障害が発生した場合、該装置からの前記無人運転車両の制御を無効にし、他方の装置からの前記無人運転車両の制御を有効にする。
【0007】
また、本発明の車両走行制御装置は、
無人運転車両を自動で走行させる制御を行う自動運転制御装置と、前記無人運転車両の走行を外部からの操作に基づいて遠隔で制御する遠隔運転制御装置とのいずれか一方の装置からの前記無人運転車両の制御を有効にする有効装置決定部と、
前記自動運転制御装置から該自動運転制御装置において障害が検知された旨を示す第1の障害検知信号と、前記遠隔運転制御装置から該遠隔運転制御装置において障害が検知された旨を示す第2の障害検知信号とを受信する検知信号受信部とを有し、
前記有効装置決定部は、前記無人運転車両の制御が有効になっている装置から前記第1の障害検知信号または前記第2の障害検知信号を前記検知信号受信部が受信した場合、該装置からの前記無人運転車両の制御を無効にし、他方の装置からの前記無人運転車両の制御を有効にする。
【0008】
また、本発明の車両走行制御方法は、
無人運転車両を自動で走行させる制御を行う自動運転制御装置と、前記無人運転車両の走行を外部からの操作に基づいて遠隔で制御する遠隔運転制御装置とのいずれか一方の装置からの前記無人運転車両の制御を有効にする処理と、
前記自動運転制御装置から該自動運転制御装置において障害が検知された旨を示す第1の障害検知信号と、前記遠隔運転制御装置から該遠隔運転制御装置において障害が検知された旨を示す第2の障害検知信号とを受信する処理と、
前記無人運転車両の制御が有効になっている装置から前記第1の障害検知信号または前記第2の障害検知信号を受信した場合、該装置からの前記無人運転車両の制御を無効にし、他方の装置からの前記無人運転車両の制御を有効にする処理とを行う。
【0009】
また、本発明のプログラムは、
コンピュータに実行させるためのプログラムであって、
コンピュータに、
無人運転車両を自動で走行させる制御を行う自動運転制御装置と、前記無人運転車両の走行を外部からの操作に基づいて遠隔で制御する遠隔運転制御装置とのいずれか一方の装置からの前記無人運転車両の制御を有効にする手順と、
前記自動運転制御装置から該自動運転制御装置において障害が検知された旨を示す第1の障害検知信号と、前記遠隔運転制御装置から該遠隔運転制御装置において障害が検知された旨を示す第2の障害検知信号とを受信する手順と、
前記無人運転車両の制御が有効になっている装置から前記第1の障害検知信号または前記第2の障害検知信号を受信した場合、該装置からの前記無人運転車両の制御を無効にし、他方の装置からの前記無人運転車両の制御を有効にする手順とを実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、無人運転車両を継続的に走行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の車両走行制御システムの第1の実施の形態を示す図である。
【
図2】
図1に示した自動運転制御装置に具備された構成要素の一例を示す図である。
【
図3】
図1に示した遠隔運転制御装置に具備された構成要素の一例を示す図である。
【
図4】
図1に示した車両走行制御装置に具備された構成要素の一例を示す図である。
【
図5】
図1に示した自動運転制御装置からの制御が有効になっている状態で、自動運転制御装置が障害を検知した場合の処理の一例を説明するためのシーケンス図である。
【
図6】
図1に示した遠隔運転制御装置からの制御が有効になっている状態で、遠隔運転制御装置が障害を検知した場合の処理の一例を説明するためのシーケンス図である。
【
図7】本発明の車両走行制御システムの第2の実施の形態を示す図である。
【
図8】
図7に示した車両走行制御装置に具備された構成要素の一例を示す図である。
【
図9】
図7に示した自動運転制御装置からの制御が優先的に有効になっている状態で、自動運転制御装置が障害を検知した場合の処理の一例を説明するためのシーケンス図である。
【
図10】
図7に示した自動運転制御装置から通知されていた障害発生が解除された場合の処理の一例を説明するためのシーケンス図である。
【
図11】本発明の車両走行制御システムの第3の実施の形態を示す図である。
【
図12】
図11に示した車両走行制御装置に具備された構成要素の一例を示す図である。
【
図13】
図12に示したデータベースが記憶する対応付けの一例を示す図である。
【
図14】
図11に示した車両走行制御装置における優先装置の決定処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図15】本発明の車両走行制御システムの第4の実施の形態を示す図である。
【
図16】
図15に示した車両走行制御装置に具備された構成要素の一例を示す図である。
【
図17】
図16に示したデータベースが記憶する対応付けの一例を示す図である。
【
図18】
図15に示した車両走行制御装置における優先装置の決定処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
【0013】
図1は、本発明の車両走行制御システムの第1の実施の形態を示す図である。本形態における車両走行制御システムは
図1に示すように、無人運転車両100と、自動運転制御装置200と、遠隔運転制御装置300と、車両走行制御装置400とを有する。無人運転車両100と車両走行制御装置400とが、互いに通信可能に接続されている。無人運転車両100と車両走行制御装置400とは、互いに通信ネットワークを介して接続されていても良いし、直接接続されていても良い。自動運転制御装置200および遠隔運転制御装置300それぞれと、車両走行制御装置400とが、互いに通信可能に接続されている。自動運転制御装置200および遠隔運転制御装置300それぞれと車両走行制御装置400とは、互いに通信ネットワークを介して接続されていても良いし、直接接続されていても良い。また、これらの接続は、無線を介した接続でも良いし、有線を介した接続でも良い。また、無人運転車両100は1台に限らず、複数であっても良い。
【0014】
無人運転車両100は、運転者が乗車せずに、自動または遠隔操作に基づいて走行する車両である。無人運転車両100は、人物や荷物等を運搬できる車室を具備するものでも良い。無人運転車両100は、走行を妨げる障害を検知する機能を具備するものでも良い。この障害は、無人運転車両100の車輪を駆動させる駆動部や、車輪を制動させる制動部等の走行を制御する機能に発生した障害や、無人運転車両100の周囲に出現する物体であって、無人運転車両100がそのまま走行すると無人運転車両100と衝突してしまうような障害である。無人運転車両100はカメラ等の撮像装置を具備していても良い。この撮像装置は、無人運転車両100の周囲を撮像し、撮像した画像データをリアルタイムで遠隔運転制御装置300へ送信する。また、無人運転車両100は、無人運転車両100の位置を示す位置情報取得装置を具備していても良い。位置情報取得装置は、GPS(Global Positioning System)機能等を用いて無人運転車両100の位置情報を取得し、取得した位置情報を遠隔運転制御装置300へ送信する。
【0015】
自動運転制御装置200は、無人運転車両100を自動で走行させる制御を行う。この制御は、車両走行制御装置400を介して行っても良い。自動運転制御装置200は、無人運転車両100に搭載されていても良い。
【0016】
図2は、
図1に示した自動運転制御装置200に具備された構成要素の一例を示す図である。
図1に示した自動運転制御装置200は
図2に示すように、センサ210と、データベース220と、学習モデル230と、制御部240と、障害検知部250とを有する。なお、
図2には、
図1に示した自動運転制御装置200が具備する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。
【0017】
センサ210は、自動運転制御装置200が無人運転車両100に搭載されている場合、無人運転車両100の周辺の障害を検知する。例えば、センサ210は、カメラでも良い。センサ210がカメラである場合、センサ210は無人運転車両100の周囲を撮像する。カメラであるセンサ210は、撮像した画像を制御部240へ出力する。センサ210は、超音波等を用いて無人運転車両100の周囲の物体を検知するものでも良い。
【0018】
データベース220は、無人運転車両100の走行用のプログラムが記憶されている。このプログラムには、走行日時に応じた走行ルート等の走行スケジュールが含まれる。
【0019】
学習モデル230は、あらかじめ生成された教師データを用いて、画像データに応じた障害情報を出力する。教師データは、複数の画像データとその複数の画像データそれぞれが無人運転車両100の走行の障害となるかどうかを示す複数の障害情報とに基づいて、複数の画像データと複数の障害情報とを対応付けたものとして生成される。学習モデル230は、生成された教師データを用いて機械学習を行って生成される。学習モデル230は、例えば、複数のニューロンが相互に結合したニューラルネットワークの構造を有していても良い。ニューロンは、複数の入力に対して所定の演算を行い、演算結果として1つの値を出力する素子である。学習モデル230は、記憶部(不図示)に記憶されている。学習モデル230における学習方法は、学習モデルを生成する一般的な方法を用いるもので良い。学習モデル230は、画像データが入力されると、その画像データに含まれる物体が障害物であるかどうかを示す障害情報を出力する。
【0020】
障害検知部250は、無人運転車両100の障害を検知する。障害検知部250は、無人運転車両100の走行状態に基づいて、無人運転車両100の障害を検知しても良いし、動作箇所から通知される障害信号に基づいて、無人運転車両100の障害を検知しても良い。障害検知部250が無人運転車両100の走行状態に基づいて無人運転車両100の障害を検知する場合、無人運転車両100がデータベース220に記憶されているプログラム(スケジュール)に従って走行していないことを検知したり、走行速度が設定されている速度よりも極端に速かったり遅かったりしたりすることを検知したり、急発進や急制動が行われたことを検知したりした場合に、障害検知部250は、無人運転車両100の障害を検知したと判定する。障害検知部250は、無人運転車両100の障害を検知した場合、その旨を制御部240へ通知する。障害検知部250は、検知していた障害が解消されたことを検知した場合、その旨を制御部240へ通知する。
【0021】
制御部240は、データベース220に記憶されているプログラムに基づいて、無人運転車両100の走行を制御する。自動運転制御装置200が無人運転車両100に搭載されている場合、制御部240は、無人運転車両100の車輪の駆動や制動、操舵を行う。制御部240は、無人運転車両100の走行を制御するための制御信号を車両走行制御装置400または無人運転車両100へ送信する。制御部240は、障害検知部250から障害を検知した旨が通知された場合、または、センサ210が障害を検知した場合、自動運転制御装置200にて障害を検知した旨を示す障害検知信号(第1の障害検知信号)を車両走行制御装置400へ送信する。また、制御部240は、センサ210から出力されてきた画像データを学習モデル230に入力し、学習モデル230から当該画像データに含まれる物体が障害物であることを示す障害情報が出力された場合、第1の障害検知信号を車両走行制御装置400へ送信する。制御部240は、センサ210が検知していた無人運転車両100の走行の妨げとなる周囲の物体が検知されなくなった場合、または、障害検知部250から障害が解消されたことを検知した旨が通知された場合、または、学習モデル230から画像データに含まれる物体が障害物であることを示す障害情報が出力されなくなった場合、自動運転制御装置200にて障害が解消された旨を示す障害解消信号(第1の障害解消信号)を車両走行制御装置400へ送信する。第1の障害検知信号および第1の障害解消信号は、制御部240から車両走行制御装置400へ送信される所定の信号(データ)の1ビットで通知されるものでも良い。
【0022】
遠隔運転制御装置300は、無人運転車両100の走行を、外部からの操作に基づいて遠隔で制御する。この制御は、車両走行制御装置400を介して行っても良い。遠隔運転制御装置300は、例えば、本システム全体を管理・制御するコントロールセンター等の施設に設置される装置である。また、遠隔運転制御装置300は、本システムを管理・監視する管理者や運用する運用者が操作する装置である。
【0023】
図3は、
図1に示した遠隔運転制御装置300に具備された構成要素の一例を示す図である。
図1に示した遠隔運転制御装置300は
図3に示すように、操作受付部310と、表示部320と、障害検知部330と、制御部340とを有する。なお、
図3には、
図1に示した遠隔運転制御装置300が具備する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。
【0024】
操作受付部310は、外部からの操作を受け付ける。操作受付部310に対して操作を行うのは、上述した管理者や運用者である。操作受付部310は、例えば、操作パネルや、操作ボタン、タッチパネル、キーボード、マウス等の情報を入力可能な手段である。操作受付部310は、無人運転車両100の走行を操作するためのものである。操作受付部310は、例えば、無人運転車両100の加速、減速、停車、直進、右左折、後進、走行維持等のための操作を受け付ける。操作受付部310は、一般的な走行車両を運転する運転者が操作するハンドルやアクセルペダル、ブレーキペダル、各種レバー等が含まれていても良い。また、操作受付部310は、ウインカーやワイパーの作動、ヘッドライトの点灯等を行うための操作を受け付けても良い。操作受付部310は、受け付けた操作を示す操作情報を制御部340へ出力する。
【0025】
表示部320は、無人運転車両100から送信されてきた画像データや、位置情報を用いた地図情報を表示するディスプレイである。表示部320は無人運転車両100から送信されてきた位置情報を表示する場合、無人運転車両100の走行位置を、所定の地図上に表示しても良い。表示部320は、操作受付部310が受け付けた操作の内容や、障害検知部330が検知した障害の内容を表示する。上述した管理者や運用者は、表示部320に表示された情報(画像)を閲覧しながら、操作受付部310を操作する。
【0026】
障害検知部330は、遠隔運転制御装置300に発生した障害を検知する。障害検知部330は、障害を検知した場合、その旨を制御部340へ通知する。障害検知部330は、検知していた障害が解消されたことを検知した場合、その旨を制御部340へ通知する。
【0027】
制御部340は、操作受付部310から出力されてきた操作情報を制御信号として、車両走行制御装置400へ送信する。制御部340は、障害検知部330から障害を検知した旨が通知されると、障害を検知した旨を示す障害検知信号(第2の障害検知信号)を車両走行制御装置400へ送信する。制御部340は、障害検知部330から障害が解消されたことを検知した旨が通知された場合、遠隔運転制御装置300にて障害が解消された旨を示す障害解消信号(第2の障害解消信号)を車両走行制御装置400へ送信する。第2の障害検知信号および第2の障害解消信号は、制御部340から車両走行制御装置400へ送信される所定の信号(データ)の1ビットで通知されるものでも良い。制御部340は、無人運転車両100(車両走行制御装置400を介しても良い)から送信されてきた画像データや位置情報を表示部320へ出力する。
【0028】
車両走行制御装置400は、自動運転制御装置200と遠隔運転制御装置300とのいずれか一方の装置からの無人運転車両100の制御を有効にする。車両走行制御装置400は、制御が有効になっている装置に障害が発生した場合、その障害が発生した装置からの制御を無効にし、他方の装置からの制御を有効にする。
【0029】
図4は、
図1に示した車両走行制御装置400に具備された構成要素の一例を示す図である。
図1に示した車両走行制御装置400は
図4に示すように、有効装置決定部410と、検知信号受信部420とを有する。なお、
図4には、
図1に示した車両走行制御装置400が具備する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。
【0030】
検知信号受信部420は、上述した第1の障害検知信号、第1の障害解消信号、第2の障害検知信号および第2の障害解消信号を受信する。検知信号受信部420は、自動運転制御装置200および遠隔運転制御装置300から障害検知信号または障害解消信号を受信した場合、その旨を有効装置決定部410へ通知する。
【0031】
有効装置決定部410は、自動運転制御装置200と遠隔運転制御装置300とのいずれか一方の装置からの無人運転車両100の制御を有効にする。有効装置決定部410は、制御が有効になっている装置から障害検知信号を検知信号受信部420が受信した場合、その装置からの制御を無効にし、他方の装置からの制御を有効にする。有効装置決定部410は、有効とした装置からの制御信号を無人運転車両100へ送信する。なお、自動運転制御装置200が無人運転車両100に搭載されているケースでは、有効装置決定部410は、自動運転制御装置200の制御を無効とする場合、自動運転制御装置200に対して無人運転車両100の制御を禁止するように通知する。また、有効装置決定部410は、自動運転制御装置200から障害通知信号が送信されてきた場合、その旨を遠隔運転制御装置300へ通知しても良い。これは、遠隔運転制御装置300に対して、障害が検知された自動運転制御装置200からの制御が不可能となり、遠隔運転制御装置300からの制御を行うための制御信号の送信を遠隔運転制御装置300へ要求するためのものである。この要求には、所定の要求信号を用いても良い。
【0032】
以下に、
図1に示した車両走行制御システムにおける車両走行制御方法について説明する。まずは、
図1に示した自動運転制御装置200からの制御が有効になっている状態で、自動運転制御装置200が障害を検知した場合の処理について説明する。
図5は、
図1に示した自動運転制御装置200からの制御が有効になっている状態で、自動運転制御装置200が障害を検知した場合の処理の一例を説明するためのシーケンス図である。
【0033】
まず、自動運転制御装置200の制御部240がデータベース220に記憶されているプログラムに基づいて、無人運転車両100の走行を制御するための制御信号を車両走行制御装置400へ送信する(ステップS1)。すると、車両走行制御装置400の有効装置決定部410は、自動運転制御装置200からの制御信号を無人運転車両100へ送信する(ステップS2)。
【0034】
その後、自動運転制御装置200のセンサ210または障害検知部250が障害を検知すると(ステップS3)、制御部240が障害検知信号を車両走行制御装置400へ送信する(ステップS4)。自動運転制御装置200から送信されてきた障害検知信号を検知信号受信部420が受信すると、車両走行制御装置400の有効装置決定部410は、制御信号を要求するための要求信号を遠隔運転制御装置300へ送信する(ステップS5)。遠隔運転制御装置300が制御信号の送信を要求されると、要求信号に基づいた表示が表示部320に表示され、管理者や運用者が操作受付部310に対して所定の操作を行い、操作受付部310が受け付けた操作に基づいた制御信号を制御部340が車両走行制御装置400へ送信する(ステップS6)。
【0035】
すると、有効装置決定部410は、遠隔運転制御装置300から送信されてきた制御信号を無人運転車両100へ送信する(ステップS7)。つまり、有効装置決定部410は、無人運転車両100へ送信する制御信号を、自動運転制御装置200から送信されてきた制御信号から遠隔運転制御装置300から送信されてきた制御信号へ切り替える。このようにして、有効装置決定部410は、自動運転制御装置200から送信されてきた制御信号を無効とし、遠隔運転制御装置300から送信されてきた制御信号を有効とする。
【0036】
以下に、
図1に示した遠隔運転制御装置300からの制御が有効になっている状態で、遠隔運転制御装置300が障害を検知した場合の処理について説明する。
図6は、
図1に示した遠隔運転制御装置300からの制御が有効になっている状態で、遠隔運転制御装置300が障害を検知した場合の処理の一例を説明するためのシーケンス図である。
【0037】
まず、自動運転制御装置200の制御部240がデータベース220に記憶されているプログラムに基づいて、無人運転車両100の走行を制御するための制御信号を車両走行制御装置400へ送信している(ステップS11)。この自動運転制御装置200からの無人運転車両100の走行を制御するための制御信号の送信は、自動運転制御装置200の動作中は常時行われている。また、遠隔運転制御装置300の管理者や運用者が操作受付部310に対して所定の操作を行い、操作受付部310が受け付けた操作に基づいた制御信号を制御部340が車両走行制御装置400へ送信する(ステップS12)。有効装置決定部410は、遠隔運転制御装置300から送信されてきた制御信号を無人運転車両100へ送信する(ステップS13)。
【0038】
その後、遠隔運転制御装置300の障害検知部330が遠隔運転制御装置300の障害を検知すると(ステップS14)、制御部340が障害検知信号を車両走行制御装置400へ送信する(ステップS15)。遠隔運転制御装置300から送信されてきた障害検知信号を検知信号受信部420が受信すると、車両走行制御装置400の有効装置決定部410は、自動運転制御装置200から送信されてきた制御信号を無人運転車両100へ送信する(ステップS16)。つまり、有効装置決定部410は、無人運転車両100へ送信する制御信号を、遠隔運転制御装置300から送信されてきた制御信号から自動運転制御装置200から送信されてきた制御信号へ切り替える。このようにして、有効装置決定部410は、遠隔運転制御装置300から送信されてきた制御信号を無効とし、自動運転制御装置200から送信されてきた制御信号を有効とする。
【0039】
このように本形態においては、無人運転車両100に対して、自動運転制御装置200からの制御信号と、遠隔運転制御装置300からの制御信号とのいずれか一方を有効として、無人運転車両100の走行を制御し、制御信号が有効になっている装置にて障害が検知された場合、当該装置からの制御信号を無効にして、他方の装置からの制御信号を有効にする。そのため、制御装置に障害が発生した場合であっても、無人運転車両100を継続的に走行させることができる。
(第2の実施の形態)
【0040】
本形態では、外部からの操作を用いて、優先する装置を指定することができるケースについて説明する。
図7は、本発明の車両走行制御システムの第2の実施の形態を示す図である。本形態における車両走行制御システムは
図7に示すように、無人運転車両100と、自動運転制御装置200と、遠隔運転制御装置300と、車両走行制御装置401とを有する。無人運転車両100と車両走行制御装置401とが、互いに通信可能に接続されている。無人運転車両100と車両走行制御装置401とは、互いに通信ネットワークを介して接続されていても良いし、直接接続されていても良い。自動運転制御装置200および遠隔運転制御装置300それぞれと、車両走行制御装置401とが、互いに通信可能に接続されている。自動運転制御装置200および遠隔運転制御装置300それぞれと車両走行制御装置401とは、互いに通信ネットワークを介して接続されていても良いし、直接接続されていても良い。また、これらの接続は、無線を介した接続でも良いし、有線を介した接続でも良い。また、無人運転車両100は1台に限らず、複数であっても良い。無人運転車両100、自動運転制御装置200および遠隔運転制御装置300のそれぞれは、第1の実施の形態におけるものとそれぞれ同じものである。
【0041】
車両走行制御装置401は、外部からの指定に基づいて、自動運転制御装置200と遠隔運転制御装置300とのいずれか一方の装置からの無人運転車両100の制御を優先的に有効にする。車両走行制御装置401は、制御が優先的に有効になっている装置に障害が発生した場合、その障害が発生した装置からの制御を無効にし、他方の装置からの制御を有効にする。その後、車両走行制御装置401は、発生していた障害が解消された場合、その障害が発生していた装置からの制御を有効にし、他方の装置からの制御を無効にする。
【0042】
図8は、
図7に示した車両走行制御装置401に具備された構成要素の一例を示す図である。
図7に示した車両走行制御装置401は
図8に示すように、有効装置決定部411と、検知信号受信部420と、情報受付部431とを有する。検知信号受信部420は、第1の実施の形態におけるものと同じものである。なお、
図8には、
図7に示した車両走行制御装置401が具備する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。
【0043】
情報受付部431は、外部からの情報を受け付ける。情報受付部431は、車両走行制御装置401と接続された装置から送信されてきた情報を受信して受け付けても良いし、車両走行制御装置401の外部からの操作(第1の実施の形態における操作受付部310の受け付け態様と同様の操作)を受け付けても良い。情報受付部431が受け付ける情報は、自動運転制御装置200と遠隔運転制御装置300とのどちらを優先するかを示す情報である。情報受付部431は、受け付けた情報を有効装置決定部411へ出力する。
【0044】
有効装置決定部411は、自動運転制御装置200と遠隔運転制御装置300とのいずれか一方の装置からの無人運転車両100の制御を有効にする。このとき、有効装置決定部411は、情報受付部431から出力されてきた情報に基づいて、自動運転制御装置200と遠隔運転制御装置300との双方に障害が発生していない場合に制御を有効にする装置を自動運転制御装置200と遠隔運転制御装置300とのいずれかに決定する。有効装置決定部411は、制御が有効になっている装置から障害検知信号を検知信号受信部420が受信した場合、その装置からの制御を無効にし、他方の装置からの制御を有効にする。有効装置決定部411は、有効とした装置からの制御信号を無人運転車両100へ送信する。なお、自動運転制御装置200が無人運転車両100に搭載されているケースでは、有効装置決定部411は、自動運転制御装置200の制御を無効とする場合、自動運転制御装置200に対して無人運転車両100の制御を禁止するように通知する。また、有効装置決定部411は、自動運転制御装置200から障害検知信号が送信されてきた場合、その旨を遠隔運転制御装置300へ通知しても良い。これは、遠隔運転制御装置300に対して、障害が検知された自動運転制御装置200からの制御が不可能となり、遠隔運転制御装置300からの制御を行うための制御信号の送信を遠隔運転制御装置300からへ要求するためのものである。この要求には、所定の要求信号を用いても良い。さらに、有効装置決定部411は、制御が優先的に有効になっている装置から障害検知信号を検知信号受信部420が受信した後に、障害検知信号を送信してきた障害が発生していた装置からその障害が解消された旨を示す障害解消信号を受信した場合、その障害が発生していた装置からの制御を有効にし、他方の装置からの制御を無効にする。
【0045】
以下に、
図7に示した車両走行制御システムにおける車両走行制御方法について説明する。ここでは、情報受付部431が受け付けた情報が、自動運転制御装置200を優先する旨を示す情報である場合を例に挙げて説明する。まずは、
図7に示した自動運転制御装置200からの制御が優先的に有効になっている状態で、自動運転制御装置200が障害を検知した場合の処理について説明する。
図9は、
図7に示した自動運転制御装置200からの制御が優先的に有効になっている状態で、自動運転制御装置200が障害を検知した場合の処理の一例を説明するためのシーケンス図である。
【0046】
まず、情報受付部431が、自動運転制御装置200を優先する旨を示す情報を受け付ける(ステップS21)。この状態で、自動運転制御装置200の制御部240がデータベース220に記憶されているプログラムに基づいて、無人運転車両100の走行を制御するための制御信号を車両走行制御装置401へ送信する(ステップS22)。車両走行制御装置401の有効装置決定部411は、情報受付部431が受け付けた情報が、自動運転制御装置200を優先する旨を示す情報であることを確認すると(ステップS23)、自動運転制御装置200からの制御信号を無人運転車両100へ送信する(ステップS24)。
【0047】
その後、自動運転制御装置200のセンサ210または障害検知部250が障害を検知すると(ステップS25)、制御部240が障害検知信号を車両走行制御装置401へ送信する(ステップS26)。自動運転制御装置200から送信されてきた障害検知信号を検知信号受信部420が受信すると、車両走行制御装置401の有効装置決定部411は、制御信号を要求するための要求信号を遠隔運転制御装置300へ送信する(ステップS27)。遠隔運転制御装置300が制御信号の送信を要求されると、要求信号に基づいた表示が表示部320に表示され、管理者や運用者が操作受付部310に対して所定の操作を行い、操作受付部310が受け付けた操作に基づいた制御信号を制御部340が車両走行制御装置401へ送信する(ステップS28)。
【0048】
すると、有効装置決定部411は、遠隔運転制御装置300から送信されてきた制御信号を無人運転車両100へ送信する(ステップS29)。つまり、有効装置決定部411は、無人運転車両100へ送信する制御信号を、自動運転制御装置200から送信されてきた制御信号から遠隔運転制御装置300から送信されてきた制御信号へ切り替える。このようにして、有効装置決定部411は、自動運転制御装置200から送信されてきた制御信号を無効とし、遠隔運転制御装置300から送信されてきた制御信号を有効とする。
【0049】
以下に、
図7に示した自動運転制御装置200から通知されていた障害発生が解除された場合の処理について説明する。ここでは、情報受付部431が受け付けた情報が、自動運転制御装置200を優先する旨を示す情報である場合を例に挙げて説明する。
図10は、
図7に示した自動運転制御装置200から通知されていた障害発生が解除された場合の処理の一例を説明するためのシーケンス図である。
【0050】
自動運転制御装置200のセンサ210または障害検知部250が発生していた障害が解消されたことを検知すると(ステップS31)、制御部240が障害解消信号を車両走行制御装置401へ送信する(ステップS32)。その後、自動運転制御装置200の制御部240がデータベース220に記憶されているプログラムに基づいて、無人運転車両100の走行を制御するための制御信号を車両走行制御装置400へ送信すると(ステップS33)、有効装置決定部411は、自動運転制御装置200からの制御信号を無人運転車両100へ送信する(ステップS34)。つまり、有効装置決定部411は、無人運転車両100へ送信する制御信号を、それまで送信していた、遠隔運転制御装置300からの制御信号から自動運転制御装置200からの制御信号へ切り替える。このようにして、有効装置決定部411は、自動運転制御装置200において検知されていた障害が解消された場合、遠隔運転制御装置300から送信されてきた制御信号を無効とし、優先装置として指定されている自動運転制御装置200から送信されてきた制御信号を有効とする。
【0051】
このように本形態においては、無人運転車両100に対して、自動運転制御装置200からの制御信号と、遠隔運転制御装置300からの制御信号とのいずれか一方を有効として、無人運転車両100の走行を制御し、制御信号が有効になっている装置にて障害が検知された場合、当該装置からの制御信号を無効にして、他方の装置からの制御信号を有効にする。そのため、制御装置に障害が発生した場合であっても、無人運転車両100を継続的に走行させることができる。さらに、優先装置を外部から設定可能とし、優先装置にて検知されていた障害が解消された場合、有効とする制御信号を優先装置から送信されてきたものへ戻す。これにより、システムにて所望の装置からの制御を優先させることができる。
(第3の実施の形態)
【0052】
本形態は、無人運転車両が走行する領域に基づいて、制御が優先される装置が決定される形態である。
図11は、本発明の車両走行制御システムの第3の実施の形態を示す図である。本形態における車両走行制御システムは
図11に示すように、無人運転車両100と、自動運転制御装置200と、遠隔運転制御装置300と、車両走行制御装置402とを有する。無人運転車両100と車両走行制御装置402とが、互いに通信可能に接続されている。無人運転車両100と車両走行制御装置402とは、互いに通信ネットワークを介して接続されていても良いし、直接接続されていても良い。自動運転制御装置200および遠隔運転制御装置300それぞれと、車両走行制御装置402とが、互いに通信可能に接続されている。自動運転制御装置200および遠隔運転制御装置300それぞれと車両走行制御装置402とは、互いに通信ネットワークを介して接続されていても良いし、直接接続されていても良い。また、これらの接続は、無線を介した接続でも良いし、有線を介した接続でも良い。また、無人運転車両100は1台に限らず、複数であっても良い。無人運転車両100、自動運転制御装置200および遠隔運転制御装置300のそれぞれは、第1の実施の形態におけるものとそれぞれ同じものである。
【0053】
車両走行制御装置402は、無人運転車両100が走行する領域に基づいて、自動運転制御装置200と遠隔運転制御装置300との双方に障害が発生していない場合に無人運転車両100の制御を優先的に有効にする装置を、自動運転制御装置200と遠隔運転制御装置300とのいずれかに決定する。自動運転制御装置200または遠隔運転制御装置300に障害が発生した時の車両走行制御装置402の動作は、第2の実施の形態における車両走行制御装置401の動作と同じである。
【0054】
図12は、
図11に示した車両走行制御装置402に具備された構成要素の一例を示す図である。
図11に示した車両走行制御装置402は
図12に示すように、有効装置決定部412と、検知信号受信部420と、領域判定部442と、位置情報取得部452と、データベース462とを有する。検知信号受信部420は、第1の実施の形態におけるものと同じものである。なお、
図12には、
図11に示した車両走行制御装置402が具備する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。
【0055】
位置情報取得部452は、無人運転車両100の現在の位置を示す位置情報を取得する。位置情報取得部452は、位置情報を無人運転車両100から取得しても良く、その取得方法は限定しない。位置情報取得部452は、取得した位置情報を領域判定部442へ出力する。
【0056】
領域判定部442は、位置情報取得部452から出力されてきた位置情報に基づいて、無人運転車両100が現在走行している領域を判定する。この領域は、あらかじめ設定されたエリアであって、例えば、市や町等の行政的な区画であっても良いし、繁華街や国道、私道等の交通量に応じて設定されたエリアであっても良いし、道幅に応じて設定されたエリアであっても良い。領域判定部442は、判定した領域を示す領域情報を有効装置決定部412へ出力する。
【0057】
データベース462は、領域情報と優先装置とをあらかじめ対応付けて記憶する。
図13は、
図12に示したデータベース462が記憶する対応付けの一例を示す図である。
図12に示したデータベース462には
図13に示すように、領域情報と優先装置とが対応付けられて記憶されている。領域情報は、無人運転車両100が走行する位置が含まれる領域を示す情報である。優先装置は、自動運転制御装置200と遠隔運転制御装置300との双方に障害が発生していない場合に制御を優先的に有効にする装置を示す優先装置情報である。
【0058】
有効装置決定部412は、自動運転制御装置200と遠隔運転制御装置300とのいずれか一方の装置からの無人運転車両100の制御を有効にする。このとき、有効装置決定部412は、領域判定部442が判定した領域を領域情報として、当該領域情報と対応付けられている優先装置をデータベース462から読み出す。例えば、
図13に示した対応付けがデータベース462に記憶されている場合、領域判定部442から出力されてきた領域情報が「A市」である場合、有効装置決定部412は、「A市」と対応付けられてデータベース462に記憶されている優先装置である自動運転制御装置200を優先装置に決定する。また、領域判定部442から出力されてきた領域情報が「B市」である場合、有効装置決定部412は、「B市」と対応付けられてデータベース462に記憶されている優先装置である遠隔運転制御装置300を優先装置に決定する。また、領域判定部442から出力されてきた領域情報が「C町」である場合、有効装置決定部412は、「C町」と対応付けられてデータベース462に記憶されている優先装置である自動運転制御装置200を優先装置に決定する。優先装置の決定方法以外の有効装置決定部412の動作は、第2の実施の形態における有効装置決定部411の動作と同じである。
【0059】
以下に、
図11に示した車両走行制御装置402における優先装置の決定処理について説明する。
図14は、
図11に示した車両走行制御装置402における優先装置の決定処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【0060】
まず、位置情報取得部452が、無人運転車両100の現在の位置を示す位置情報を取得する(ステップS41)。すると、領域判定部442が、位置情報取得部452が取得した無人運転車両100の現在の位置を示す位置情報が含まれる領域を判定する(ステップS42)。続いて、有効装置決定部412が、領域判定部442が判定した領域を示す領域情報を検索キーとして、当該領域情報と対応付けられている優先装置示す優先装置情報をデータベース462から読み出し(ステップS43)、読み出した優先装置情報が示す装置を優先装置として決定する(ステップS44)。
【0061】
このように本形態においては、車両走行制御装置402が、無人運転車両100の現在の位置を含む領域を判定し、判定した領域に応じて、自動運転制御装置200と遠隔運転制御装置300との双方に障害が発生していない場合に制御を優先的に有効にする優先装置を決定する。これにより、無人運転車両100の走行位置に応じた優先装置を決定することができる。
(第4の実施の形態)
【0062】
本形態は、無人運転車両が走行する時間帯に基づいて、制御が優先される装置が決定される形態である。
図15は、本発明の車両走行制御システムの第4の実施の形態を示す図である。本形態における車両走行制御システムは
図15に示すように、無人運転車両100と、自動運転制御装置200と、遠隔運転制御装置300と、車両走行制御装置403とを有する。無人運転車両100と車両走行制御装置403とが、互いに通信可能に接続されている。無人運転車両100と車両走行制御装置403とは、互いに通信ネットワークを介して接続されていても良いし、直接接続されていても良い。自動運転制御装置200および遠隔運転制御装置300それぞれと、車両走行制御装置403とが、互いに通信可能に接続されている。自動運転制御装置200および遠隔運転制御装置300それぞれと車両走行制御装置403とは、互いに通信ネットワークを介して接続されていても良いし、直接接続されていても良い。また、これらの接続は、無線を介した接続でも良いし、有線を介した接続でも良い。また、無人運転車両100は1台に限らず、複数であっても良い。無人運転車両100、自動運転制御装置200および遠隔運転制御装置300のそれぞれは、第1の実施の形態におけるものとそれぞれ同じものである。
【0063】
車両走行制御装置403は、無人運転車両100が走行する時間帯に基づいて、自動運転制御装置200と遠隔運転制御装置300との双方に障害が発生していない場合に無人運転車両100の制御を優先的に有効にする装置を、自動運転制御装置200と遠隔運転制御装置300とのいずれかに決定する。自動運転制御装置200または遠隔運転制御装置300に障害が発生した時の車両走行制御装置403の動作は、第2の実施の形態における車両走行制御装置401の動作と同じである。
【0064】
図16は、
図15に示した車両走行制御装置403に具備された構成要素の一例を示す図である。
図15に示した車両走行制御装置403は
図16に示すように、有効装置決定部412と、検知信号受信部420と、領域判定部443と、データベース462,483と、時刻情報取得部473とを有する。検知信号受信部420は、第1の実施の形態におけるものと同じものである。有効装置決定部412およびデータベース462のそれぞれは、第3の実施の形態におけるものとそれぞれ同じものである。なお、
図16には、
図15に示した車両走行制御装置403が具備する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。
【0065】
時刻情報取得部473は、現在の時刻を示す時刻情報を取得する。時刻情報の取得方法は、時計から取得しても良く、特に限定しない。時刻情報取得部473は、取得した時刻情報を領域判定部443へ出力する。
【0066】
データベース483は、時間帯情報と領域情報とをあらかじめ対応付けて記憶する。
図17は、
図16に示したデータベース483が記憶する対応付けの一例を示す図である。
図16に示したデータベース483には
図17に示すように、時間帯情報と領域情報とが対応付けられて記憶されている。時間帯情報は、無人運転車両100が走行する時間帯を示す情報である。時間帯情報は、時刻が時間帯だけではなく、日にちや曜日、月や時期(季節)を示すものでも良い。領域情報は、第3の実施の形態におけるデータベース462が記憶しているものと同じであり、無人運転車両100が走行する位置が含まれる領域を示す情報である。
【0067】
領域判定部443は、時刻情報取得部473から出力されてきた時刻情報に基づいて、無人運転車両100が現在走行している領域を判定する。具体的には、領域判定部443は、時刻情報取得部473から出力されてきた時刻情報が示す時刻が含まれる時間帯を示す時間帯情報をデータベース483から検索し、検索した時間帯情報と対応付けられている領域情報をデータベース483から読み出す(取得する)。例えば、
図17に示した対応付けがデータベース483に記憶されている場合、時刻情報取得部473から出力されてきた時刻情報が「10:30」である場合、領域判定部443は、時刻情報「10:30」が含まれる時間帯情報を検索し、検索した時間帯情報「10:00~11:00、15:00~16:00」と対応付けられてデータベース483に記憶されている領域情報「A市」を読み出す。また、時刻情報取得部473から出力されてきた時刻情報が「14:30」である場合、領域判定部443は、時刻情報「14:30」が含まれる時間帯情報を検索し、検索した時間帯情報「11:00~12:00、14:00~15:00」と対応付けられてデータベース483に記憶されている領域情報「B市」を読み出す。また、時刻情報取得部473から出力されてきた時刻情報が「13:00」である場合、領域判定部443は、時刻情報「13:00」が含まれる時間帯情報を検索し、検索した時間帯情報「12:00~14:00」と対応付けられてデータベース483に記憶されている領域情報「C町」を読み出す。領域判定部443は、判定した領域を示す領域情報を有効装置決定部412へ出力する。
【0068】
以下に、
図15に示した車両走行制御装置402における優先装置の決定処理について説明する。
図18は、
図15に示した車両走行制御装置403における優先装置の決定処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【0069】
まず、時刻情報取得部473が、現在の時刻を示す時刻情報を取得する(ステップS51)。すると、領域判定部443が、時刻情報取得部473が取得した時刻情報が示す時刻が含まれる時間帯を、データベース483に記憶されている時間帯情報から検索して特定する(ステップS52)。続いて、領域判定部443が、特定した時間帯を示す時間帯情報と対応付けられている領域情報をデータベース483から読み出す(ステップS53)。続いて、有効装置決定部412が、領域判定部443がデータベース483から読み出した領域を示す領域情報を検索キーとして、当該領域情報と対応付けられている優先装置示す優先装置情報をデータベース462から読み出し(ステップS54)、読み出した優先装置情報が示す装置を優先装置として決定する(ステップS55)。
【0070】
このように本形態においては、車両走行制御装置403が、現在の時刻を取得し、取得した時刻が含まれる時間帯に基づいて無人運転車両100の現在の位置を含む領域を判定し、判定した領域に応じて、自動運転制御装置200と遠隔運転制御装置300との双方に障害が発生していない場合に制御を優先的に有効にする優先装置を決定する。これにより、現在の位置に応じた優先装置を決定することができる。
【0071】
以上、各構成要素に各機能(処理)それぞれを分担させて説明したが、この割り当ては上述したものに限定しない。また、構成要素の構成についても、上述した形態はあくまでも例であって、これに限定しない。また、各実施の形態を組み合わせたものであっても良い。
【0072】
上述した各構成要素が行う処理は、目的に応じてそれぞれ作製された論理回路で行うようにしても良い。また、処理内容を手順として記述したコンピュータプログラム(以下、プログラムと称する)を、各構成要素を具備した車両走行制御装置400~403それぞれにて読取可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを車両走行制御装置400~403それぞれに読み込ませ、実行するものであっても良い。車両走行制御装置400~403それぞれにて読取可能な記録媒体とは、フロッピー(登録商標)ディスク、光磁気ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、CD(Compact Disc)、Blu-ray(登録商標) Disc、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SDメモリカードなどの移設可能な記録媒体の他、車両走行制御装置400~403それぞれに内蔵されたROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリやHDD(Hard Disc Drive)等を指す。この記録媒体に記録されたプログラムは、車両走行制御装置400~403それぞれに設けられたCPUにて読み込まれ、CPUの制御によって、上述したものと同様の処理が行われる。ここで、CPUは、プログラムが記録された記録媒体から読み込まれたプログラムを実行するコンピュータとして動作するものである。
【符号の説明】
【0073】
100 無人運転車両
200 自動運転制御装置
210 センサ
220,462,483 データベース
230 学習モデル
240,340 制御部
250,330 障害検知部
300 遠隔運転制御装置
310 操作受付部
320 表示部
400~403 車両走行制御装置
410~412 有効装置決定部
420 検知信号受信部
431 情報受付部
442,443 領域判定部
452 位置情報取得部
473 時刻情報取得部