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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102523
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】外界認識装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/931 20200101AFI20240724BHJP
   G01S 17/89 20200101ALI20240724BHJP
【FI】
G01S17/931
G01S17/89
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006463
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】小西 俊介
(72)【発明者】
【氏名】奥津 良太
(72)【発明者】
【氏名】内海 秀俊
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA01
5J084AA05
5J084AA10
5J084AA15
5J084AB01
5J084AB07
5J084AB17
5J084AC02
5J084AD01
5J084BA03
5J084BA50
5J084CA03
5J084CA31
5J084CA32
5J084EA05
5J084EA07
5J084EA22
(57)【要約】
【課題】車両周囲の外界状況を認識する処理の負荷を軽減すること。
【解決手段】外界認識装置50は、第1方向および第1方向と交差する第2方向に電磁波を走査照射して自車両の周囲の外界状況を検出する車載検出器5と、車載検出器5の検出データに基づいて自車両が走行する道路の路面情報を取得する路面情報取得部11と、を備える。車載検出器5は、マトリクス状の複数の検出点毎の距離情報を含む3次元点群データを1フレームずつ取得し、路面情報取得部11は、3次元点群データに基づいて、フレーム毎の道路の路面および路上の立体物を路面情報として認識する認識部111と、認識対象としてあらかじめ定めた所定の立体物の大きさおよび自車両から所定の立体物までの距離に基づいて、認識部111で認識に用いる次フレームの3次元点群データの検出点の間隔を、電磁波の走査角度分解能として決定する決定部113と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向および前記第1方向と交差する第2方向に電磁波を走査照射して自車両の周囲の外界状況を検出する車載検出器と、前記車載検出器の検出データに基づいて前記自車両が走行する道路の路面情報を取得する路面情報取得部と、を備える外界認識装置であって、
前記車載検出器は、マトリクス状の複数の検出点毎の距離情報を含む3次元点群データを1フレームずつ取得し、
前記路面情報取得部は、
前記3次元点群データに基づいて、フレーム毎の前記道路の路面および路上の立体物を前記路面情報として認識する認識部と、
認識対象としてあらかじめ定めた所定の立体物の大きさおよび前記自車両から前記所定の立体物までの距離に基づいて、前記認識部で認識に用いる次フレームの前記3次元点群データの検出点の間隔を、前記電磁波の走査角度分解能として決定する決定部と、
を含むことを特徴とする外界認識装置。
【請求項2】
請求項1に記載の外界認識装置において、
前記車載検出器は、前記第1方向としての水平方向および前記第2方向としての鉛直方向に電磁波を走査照射して前記水平方向および前記鉛直方向に並ぶ複数の検出点毎の距離情報を含む前記3次元点群データを1フレームずつ取得し、
前記決定部は、前記認識部で認識に用いる次フレームの前記3次元点群データの前記鉛直方向の検出点の間隔に対応する前記電磁波の前記鉛直方向の走査角度分解能を、前記所定の立体物の前記鉛直方向の長さおよび前記自車両から前記所定の立体物までの距離に基づいて決定することを特徴とする外界認識装置。
【請求項3】
請求項2に記載の外界認識装置において、
前記決定部はさらに、前記自車両の車速に基づく必要距離における前記道路の路面および路上の前記所定の立体物に対応する次フレームの前記3次元点群データの前記鉛直方向の検出点の間隔を、前記電磁波の前記鉛直方向の第1の走査角度分解能として決定するとともに、前記自車両からの距離が前記必要距離よりも短い位置における前記道路の路面および路上の前記所定の立体物に対応する次フレームの前記3次元点群データの前記鉛直方向の検出点の間隔を、前記第1の走査角度分解能よりも粗い第2の走査角度分解能として決定することを特徴とする外界認識装置。
【請求項4】
請求項3に記載の外界認識装置において、
前記決定部はさらに、前記必要距離における前記道路の路面よりも上側に対応する次フレームの前記3次元点群データの前記鉛直方向の検出点の間隔を、前記第1の走査角度分解能よりも粗い第3の走査角度分解能として決定することを特徴とする外界認識装置。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか一項に記載の外界認識装置において、
前記決定部は、前記認識部で認識に用いる次フレームの前記3次元点群データの前記鉛直方向の検出点の間隔が前記水平方向に並ぶ複数の検出点の間で一致するように、前記鉛直方向の前記第1の走査角度分解能、前記第2の走査角度分解能、または前記第3の走査角度分解能を決定することを特徴とする外界認識装置。
【請求項6】
請求項2に記載の外界認識装置において、
前記決定部は、前記認識部で認識に用いる次フレームの前記3次元点群データの前記水平方向の検出点の間隔に対応する前記電磁波の前記水平方向の走査角度分解能を、前記所定の立体物の前記水平方向の長さおよび前記自車両から前記所定の立体物までの距離に基づいて決定することを特徴とする外界認識装置。
【請求項7】
請求項1に記載の外界認識装置において、
前記路面情報取得部はさらに、前記認識部で認識された前記自車両の進行方向の路面の最遠距離が、前記自車両の車速に基づく必要距離よりも短い場合に、前記最遠距離から前記必要距離までの道路の勾配を予測する予測部と、
前記予測部で勾配が予測された道路の前記自車両から前記必要距離離れた路面および路上の前記所定の立体物に前記電磁波が走査照射されるように、前記電磁波の前記鉛直方向の照射角を設定する設定部と、
を含むことを特徴とする外界認識装置。
【請求項8】
請求項7に記載の外界認識装置において、
前記決定部はさらに、前記予測部で勾配が予測された道路の前記最遠距離から前記必要距離までの路面および路上の前記所定の立体物に対応する次フレームの前記3次元点群データの検出点の間隔を、前記所定の立体物の大きさおよび前記自車両から前記所定の立体物までの距離に基づいて、前記電磁波の走査角度分解能として決定することを特徴とする外界認識装置。
【請求項9】
請求項1から3および6から8のいずれか一項に記載の外界認識装置において、
前記車載検出器は、ライダであることを特徴とする外界認識装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の外界状況を認識する外界認識装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、ライダから照射するレーザ光の照射角度を、高さ方向と平行する第1軸および水平方向と平行する第2軸を中心にそれぞれ変化させてスキャンを行い、各検出点の位置情報に基づいて車両の外界を検出する装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-149079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記装置では、スキャンにより取得される検出点が多く、各検出点に基づいた位置情報を取得するための処理の負担が大きい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様である外界認識装置は、第1方向および第1方向と交差する第2方向に電磁波を走査照射して自車両の周囲の外界状況を検出する車載検出器と、車載検出器の検出データに基づいて自車両が走行する道路の路面情報を取得する路面情報取得部と、を備える外界認識装置であって、車載検出器は、マトリクス状の複数の検出点毎の距離情報を含む3次元点群データを1フレームずつ取得し、路面情報取得部は、3次元点群データに基づいて、フレーム毎の道路の路面および路上の立体物を路面情報として認識する認識部と、認識対象としてあらかじめ定めた所定の立体物の大きさおよび自車両から所定の立体物までの距離に基づいて、認識部で認識に用いる次フレームの3次元点群データの検出点の間隔を、電磁波の走査角度分解能として決定する決定部と、を含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、車両周囲の外界状況を認識する処理の負荷を軽減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】車両が道路を走行する様子を示す図。
図1B】ライダによる検出データの一例を示す模式図。
図2】車両制御装置の要部構成を概略的に示すブロック図。
図3A】3次元座標系を用いて3次元空間の点群データの位置を表す図。
図3B】3次元空間から2次元のX-Z空間への点群データの写像を説明する図。
図3C】グリッド別に分けられた点群データを示す模式図。
図3D】奥行距離方向の路面勾配を示す模式図。
図4A】投光角度と奥行距離を示す模式図。
図4B】ライダで計測される距離を示す模式図。
図5A】奥行距離と鉛直方向の投光角度との関係の一例を示す模式図。
図5B】奥行距離と鉛直方向の角度分解能との関係の一例を示す模式図。
図6A】ライダの照射光がラスタ走査方式で照射される場合の照射点の一例を示す模式図。
図6B】ライダの照射光が検出領域内に格子状に配列した所定の格子点にのみ照射される場合の照射点の一例を示す模式図。
図7図6Bに例示した照射点へ照射光を照射する場合の照射順の一例を示す図。
図8】路面勾配の予測結果の一例を示す図。
図9図2のコントローラのCPUで実行される処理の一例を示すフローチャート。
図10図9のS20の処理を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、図面を参照して発明の実施の形態について説明する。
発明の実施の形態に係る外界認識装置は、自動運転機能を有する車両、すなわち自動運転車両に適用することができる。なお、本実施の形態に係る外界認識装置が適用される車両を、他車両と区別して自車両と呼ぶことがある。自車両は、内燃機関(エンジン)を走行駆動源として有するエンジン車両、走行モータを走行駆動源として有する電気自動車、エンジンと走行モータとを走行駆動源として有するハイブリッド車両のいずれであってもよい。自車両は、ドライバによる運転操作が不要な自動運転モードでの走行だけでなく、ドライバの運転操作による手動運転モードでの走行も可能である。
【0009】
自動運転車両は、自動運転モードでの走行(以下、自動走行または自律走行と呼ぶ)時に、カメラやライダ(LiDAR:Light Detection and Ranging)等の車載検出器の検出データに基づき自車両の周囲の外界状況を認識する。自動運転車両は、その認識結果に基づいて、現時点から所定時間より先の走行軌道(目標軌道)を生成し、目標軌道に沿って自車両が走行するように走行用アクチュエータを制御する。
【0010】
図1Aは、自動運転車両である自車両101が道路RDを走行する様子を示す図である。図1Bは、自車両101に搭載され、自車両101の進行方向に向けられたライダにより得られた検出データの一例を示す模式図である。ライダによる計測点(検出点と呼んでもよい)は、照射したレーザが物体の表面のある1点で反射して戻ってくる点情報である。点情報は、レーザ源からその点までの距離と、反射して戻ってきたレーザの強度と、レーザ源とその点との相対速度とを含む。また、図1Bに示すような複数の検出点で構成されるデータを、点群データと呼ぶ。図1Bには、図1Aの物体のうち、ライダの視野(Field of view;以下FOVと呼ぶ)に含まれる物体の表面の検出点に基づく点群データが示されている。FOVは、例えば、自車両101の水平方向(道路幅方向と呼んでもよい)に120 deg、鉛直方向(上下方向と呼んでもよい)に40 degとしてもよい。FOVの値は、外界認識装置の仕様に基づいて適宜変更して構わない。自車両101は、図1Bに示すような点群データに基づいて車両周囲の外界状況、より具体的には車両周囲の道路構造および物体等を認識し、その認識結果に基づいて目標軌道を生成する。
【0011】
ところで、車両周囲の外界状況を十分に認識する方法として、ライダ等の車載検出器から照射する電磁波の照射点の数を増やす(換言すると、電磁波の照射点密度を高めて点群データを構成する検出点の数を増やす)ことが考えられる。一方で、電磁波の照射点の数を増やす(検出点の数を増やす)と、車載検出器を制御するための処理負荷が増えたり、車載検出器により得られる検出データ(点群データ)の容量が増大して点群データに対する処理負荷が増えたりするおそれがある。特に、道路上や道路脇に多くの物体が存在する状況では、点群データの容量がさらに増大する。
そのため、上記の点を考慮して、実施の形態では以下のような外界認識装置を構成する。
【0012】
<概要>
実施の形態に係る外界認識装置は、道路RDを走行する自車両101のライダから自車両101の進行方向に電磁波の一例としての照射光を間欠的に照射し、道路RD上の異なる位置で離散的に点群データを取得する。ライダから照射する照射光の照射範囲は、前回の照射によりライダで取得された前フレームの点群データと、今回の照射によりライダで取得される次フレームの点群データとで、道路RDの進行方向にデータの空白区間が生じないように設定する。
照射範囲内の検出点密度は、例えば自車両101から遠い路面に対して高く、自車両101に近い路面に対して低く設定することにより、照射範囲内の全ての路面に対して高い検出点密度を設定する場合と比べて、認識処理に用いる検出点の総数を抑制する。これにより、点群データに基づいて認識する物体等の位置(自車両101からの距離)や大きさの認識精度を低下させることなく、認識処理に用いる検出点の数を低減することが可能になる。
このような外界認識装置について、さらに詳細に説明する。
【0013】
<車両制御装置の構成>
図2は、外界認識装置を含む車両制御装置100の要部構成を示すブロック図である。この車両制御装置100は、コントローラ10と、通信ユニット1と、測位ユニット2と、内部センサ群3と、カメラ4と、ライダ5と、走行用のアクチュエータACとを有する。また、車両制御装置100は、車両制御装置100の一部を構成する外界認識装置50を有する。外界認識装置50は、カメラ4やライダ5等の車載検出器の検出データに基づいて、車両周囲の外界状況を認識する。
【0014】
通信ユニット1は、インターネット網や携帯電話網等に代表される無線通信網を含むネットワークを介して図示しない各種サーバと通信し、地図情報、走行履歴情報および交通情報等を定期的に、あるいは任意のタイミングでサーバから取得する。ネットワークには、公衆無線通信網だけでなく、所定の管理地域毎に設けられた閉鎖的な通信網、例えば無線LAN、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等も含まれる。取得した地図情報は、記憶部12に出力され、地図情報が更新される。測位ユニット(GNSSユニット)2は、測位衛星から送信された測位用の信号を受信する測位センサを有する。測位衛星は、GPS衛星や準天頂衛星等の人工衛星である。測位ユニット2は、測位センサが受信した測位情報を利用して、自車両101の現在位置(緯度、経度、高度)を測定する。
【0015】
内部センサ群3は、自車両101の走行状態を検出する複数のセンサ(内部センサ)の総称である。例えば内部センサ群3には、自車両101の車速(走行速度)を検出する車速センサ、自車両101の前後方向の加速度および左右方向の加速度(横加速度)をそれぞれ検出する加速度センサ、走行駆動源の回転数を検出する回転数センサ、自車両101の重心の鉛直軸回りの回転角速度を検出するヨーレートセンサ等が含まれる。手動運転モードでのドライバの運転操作、例えばアクセルペダルの操作、ブレーキペダルの操作、ステアリングホイールの操作等を検出するセンサも内部センサ群3に含まれる。
【0016】
カメラ4は、CCDやCMOS等の撮像素子を有して自車両101の周辺(前方、後方および側方)を撮像する。ライダ5は、照射光に対する散乱光を受信して自車両101から周辺の物体までの距離、物体の位置、形状等を測定する。
【0017】
アクチュエータACは、自車両101の走行を制御するための走行用アクチュエータである。走行駆動源がエンジンである場合、アクチュエータACには、エンジンのスロットルバルブの開度(スロットル開度)を調整するスロットル用アクチュエータが含まれる。走行駆動源が走行モータである場合、走行モータがアクチュエータACに含まれる。自車両101の制動装置を作動するブレーキ用アクチュエータと転舵装置を駆動する転舵用アクチュエータもアクチュエータACに含まれる。
【0018】
コントローラ10は、電子制御ユニット(ECU)により構成される。より具体的には、コントローラ10は、CPU(マイクロプロセッサ)等の演算部11と、ROM、RAM等の記憶部12と、I/Oインターフェース等の図示しないその他の周辺回路とを有するコンピュータを含んで構成される。なお、エンジン制御用ECU、走行モータ制御用ECU、制動装置用ECU等、機能の異なる複数のECUを別々に設けることができるが、図2では、便宜上、これらECUの集合としてコントローラ10が示される。
【0019】
記憶部12は、高精度の詳細な地図情報(高精度地図情報と呼ぶ)を記憶することが可能である。高精度地図情報には、道路の位置情報、道路形状(曲率等)の情報、道路の勾配の情報、交差点や分岐点の位置情報、車線(走行レーン)数の情報、車線の幅員および車線毎の位置情報(車線の中央位置や車線位置の境界線の情報)、地図上の目印としてのランドマーク(信号機、標識、建物等)の位置情報、路面の凹凸等の路面プロファイルの情報が含まれる。また、記憶部12は、後述する2次元マップ情報の他、各種制御のプログラム、プログラムで用いられる閾値等の情報、ライダ5等の車載検出器に対する設定情報(後述する照射点情報等)を記憶することも可能である。
なお、実施の形態では高精度の詳細な地図情報を必ずしも必要としないため、詳細な地図情報については記憶部12に記憶しなくてもよい。
【0020】
演算部11は、機能的構成として、認識部111と、設定部112と、決定部113と、予測部114と、走行制御部115とを有する。なお、図2に示すように、認識部111、設定部112、決定部113および予測部114は外界認識装置50に含まれる。外界認識装置50は、上述したように、カメラ4やライダ5等の車載検出器の検出データに基づいて車両周囲の外界状況を認識する。外界認識装置50に含まれる認識部111、設定部112、決定部113および予測部114の詳細については後述する。
【0021】
走行制御部115は、自動運転モードにおいて、外界認識装置50で認識された車両周囲の外界状況に基づいて目標軌道を生成し、その目標軌道に沿って自車両101が走行するようにアクチュエータACを制御する。なお、手動運転モードでは、走行制御部115は、内部センサ群3により取得されたドライバからの走行指令(ステアリング操作等)に応じてアクチュエータACを制御する。
【0022】
ライダ5について、さらに説明する。
<検出領域>
ライダ5は、走行時に注視すべき領域をFOVに含むように、自車両101の前方に向けて取付けられている。ライダ5は、照射光を照射した立体物等で散乱された光を受信するので、ライダ5のFOVが照射光の照射範囲および検出領域に対応する。つまり、照射範囲内の照射点が検出領域内の検出点に対応する。
実施の形態では、路面の凹凸、段差、うねり等を含む路面形状と、道路RD上に位置する立体物(道路RDに関連する設備等(信号機、標識、溝、壁、柵、ガードレール等))と、道路RD上の物体(他車両および路面の障害物を含む)と、路面に設けられた区画線と、を含めて立体物等と呼ぶ。区画線は、白線(黄色等の色違いの線を含む)、縁石線、道路鋲等を含むものとし、レーンマーク(Lane mark)と呼んでもよい。また、立体物等のうちあらかじめ検出対象として設定されたものを検出対象と呼ぶ。
【0023】
<座標系の例示>
図3Aは、3次元座標系を用いて3次元空間の点群データの位置を表す図である。図3Aにおいて、x軸プラス方向が自車両101の進行方向に、y軸プラス方向が自車両101の水平方向左方に、z軸プラス方向が鉛直方向上方に、それぞれ対応する。
また、データPの位置のx軸成分を奥行距離Xと呼び、データPの位置のy軸成分を水平距離Yと呼び、データPの位置のz軸成分を高さZと呼ぶ。
ライダ5で計測される距離、換言すると、ライダ5から検出対象としての物体上の点までの距離をDとすると、データPの位置を示す座標(X,Y,Z)は以下の式で算出される。
X=D×cosθ×cosφ (1)
Y=D×sinθ×cosφ (2)
Z=D×sinφ (3)
なお、角度θを水平投光角度と呼び、角度φを鉛直投光角度と呼ぶ。水平投光角度θおよび鉛直投光角度φは、設定部112によってライダ5に設定される。
【0024】
図3Bは、3次元空間から2次元のX-Z空間への点群データの写像を説明する図である。実施の形態では、道路RDの路面勾配を算出するため、点群データを構成するデータ毎に3次元空間のデータPからX-Z空間のデータP´へ写像する。この写像により、3次元の点群データがX-Z空間の2次元の点群データへ変換される。X-Z空間では水平距離Yを示す情報が省かれ、奥行距離Xおよび高さZの情報が残る。
次に、X-Z空間を所定のサイズ(例えば50cm四方)のグリッドで区切り、各グリッドに含まれているデータP´の数をカウントする。図3Cは、グリッド別に分けられた点群データを示す模式図である。なお、実際のデータP´に基づくグリッド数は、図示した数よりもはるかに多い。
図3Cにより、グリッド毎の位置データ(奥行距離X)と、グリッド毎の高さZと、各グリッドに入っているデータP´の数が示される。実施の形態では、事前に立体物のデータを分離、除外しているため、主に路面のデータに対してのXとZのグリッドデータとなる。そのため、グリッド内のデータP´の数が最大になるグリッドを奥行距離X方向に順次抽出することにより、図3Dに示すような路面の高さZを示すグリッドの列、すなわち奥行距離X方向の路面勾配が得られる。
各グリッドに注目すると、そのグリッドの路面点(上述した照射点に対応)に対する鉛直方向の投光角度α、その路面点の奥行距離Xおよび路面の高さZの間には次式(4)が成立する。また、ライダ5からその路面点までの距離DL、その路面点の奥行距離Xおよび路面の高さZの間には次式(5)が成立する。
tanα=Z/X (4)
DL=(X2+Z21/2 (5)
【0025】
<投光角度と奥行距離>
図4Aは、ライダ5の鉛直方向の投光角度α(水平方向に対する照射光の角度)と奥行距離Xを示す模式図である。外界認識装置50は、投光角度αを変化させることにより、照射光の照射方向を上下に変化させて、照射点の位置を鉛直方向に移動させる。
図4Aにおいて、例えば奥行距離X2が10mの地点の道路RD上に照射光が照射される場合は、入射角α2で路面が照射される。また、例えば奥行距離X1が40mの地点の道路RD上に照射光が照射される場合は、入射角α1で路面が照射される。さらに、例えば奥行距離X0が100mの地点の道路RD上に照射光が照射される場合は、入射角α0で路面が照射される。
一般に、路面に対する入射角が大きくなるほど路面からライダ5へ戻る散乱光が小さくなる。そのため、多くの場合は奥行距離X0の地点への照射光に対する散乱光の受信レベルが一番低くなる。
【0026】
図4Bは、ライダ5で計測される距離DLを示す模式図である。図3A~3Dを参照して上述したように、外界認識装置50は、ライダ5に設定した投光角度α、ライダ5で計測された距離DL(照射光の光路長)および上式(4)、(5)を用いて、照射光を照射した路面点までの奥行距離Xと、その路面点の高さZとを算出する。
【0027】
外界認識装置50は、奥行距離を現在の値よりも長くしたい場合に投光角度αを小さくし、奥行距離を現在の値よりも短くしたい場合に投光角度αを大きくする。例えば、奥行距離が70mの地点に照射光が照射されている状態から奥行距離を100mに変更する場合、外界認識装置50は、投光角度αを現在の値よりも小さくして奥行距離が100mの地点に照射光が照射されるようにする。また、例えば道路RDが下り勾配等の場合で照射光が道路RD上に照射されていない場合には、外界認識装置50は、投光角度αを現在よりも大きくして照射光が道路RD上に照射されるようにする。
【0028】
図5Aは、奥行距離Xと鉛直方向の投光角度αとの関係の一例を示す模式図である。横軸は奥行距離X(単位m)を示し、縦軸は鉛直方向の投光角度α(単位deg)を示す。投光角度αを鉛直方向角度と呼んでもよい。外界認識装置50は、図5Aに例示したように、奥行距離Xを短くしたい場合は投光角度αをマイナス側に大きくし、奥行距離Xを長くしたい場合は投光角度αを小さくする。符号Nについては後述する。
【0029】
<FOVと奥行距離>
実施の形態では、ライダ5のFOV下端に対応する奥行距離(例えば図4AのX2)から、FOV上端に対応する奥行距離(例えば図4AのX0)までの路面状況を検出する。FOV下端に対応する奥行距離を第1の所定距離と呼び、FOV上端に対応する奥行距離を第2の所定距離と呼ぶことにする。
一般に、カメラ4は近距離においてライダ5よりも分解能の点において優れており、ライダ5はカメラ4に比べて距離計測精度、相対速度計測精度の点において優れている。そのため、外界認識装置50は、ライダ5のFOVよりもカメラ4の画角が鉛直方向に広角である場合は、ライダ5のFOV下端よりも下側(換言すると、第1の所定距離よりも自車両101に近い路面)についてはカメラ4に路面状況を検出する役割を担わせてもよい。
【0030】
<照射光の照射点数>
外界認識装置50は、ライダ5のFOV内に、ライダ5の照射光を照射する照射点の位置を算出する。より具体的には、外界認識装置50は、あらかじめ指定された検出対象の最小サイズ(例えば鉛直方向、水平方向ともに15cm)と、必要奥行距離(例えば100m)と、に基づいて算出される角度分解能に応じて照射点を算出する。必要奥行距離は、車速により変化する自車両101の制動距離に対応する。実施の形態では、走行中の自車両101が進行方向の道路の路面状況を少なくとも制動距離より先まで検出すべきという考え方に基づき、制動距離に所定の余裕を加えた値を必要奥行距離と呼ぶ。自車両101の車速は、内部センサ群3の車速センサにより検出される。車速と必要奥行距離との関係は、あらかじめ記憶部12に記憶されている。図5Aにおける符号Nは、車速が例えば100km/hの場合における必要奥行距離を示す。
必要奥行距離として100m先の15cmの検出対象を検出する場合の角度分解能を例示すると、図5Bを参照して後述するように、鉛直方向および水平方向にそれぞれ0.05 degが必要である。なお、15cmよりも小さなサイズの検出対象を検出する場合、および、100mよりも長い奥行距離Xにおいて15cmの検出対象を検出する場合には、角度分解能を上げることによってFOV内の照射点数をさらに増やす必要がある。
【0031】
外界認識装置50は、例えば、FOV内に格子状に配列するように照射点の位置を算出し、格子点の鉛直方向および水平方向の間隔を、それぞれ鉛直方向および水平方向の角度分解能に対応させる。鉛直方向の角度分解能を上げる場合は、FOVを角度分解能に基づく数で鉛直方向に分割し、鉛直方向の格子間隔を狭くして照射点の数を増やす。換言すると、照射点の間隔を密にする。反対に、鉛直方向の角度分解能を下げる場合は、FOVを角度分解能に基づく数で鉛直方向に分割し、鉛直方向の格子間隔を広くして照射点の数を減らす。換言すると、照射点の間隔を粗くする。水平方向についても同様とする。
外界認識装置50は、角度分解能に応じて算出した照射点の位置を示す情報(以下、照射点情報と呼ぶ)を生成し、自車両101の現在の走行位置を示す位置情報に対応付けて記憶部12に記憶する。
【0032】
<角度分解能と奥行距離>
図5Bは、奥行距離Xと鉛直方向の角度分解能との関係の一例を示す模式図であり、上述したサイズ(縦横ともに15cm)の検出対象を認識するために必要な角度分解能(必要角度分解能と呼んでもよい)を示す。横軸は奥行距離X(単位m)を示し、縦軸は鉛直方向の角度分解能(単位deg)を示す。一般に、奥行距離Xが短い(換言すると、検出対象が自車両101に近い)ほど、検出対象に対する視角が大きくなるので、角度分解能が低くても検出対象を検出することが可能となる。反対に、奥行距離Xが長い(換言すると、検出対象が自車両101から遠い)ほど、検出対象に対する視角が小さくなるので、検出対象の検出には高い角度分解能が必要となる。そのため、外界認識装置50は、図5Bに例示したように、奥行距離Xが短いほど角度分解能を下げ(数値を大きくする)、奥行距離Xが長いほど角度分解能を上げる(数値を小さくする)。
なお、図示を省略するが、奥行距離Xと水平方向の角度分解能との関係についても同様である。
図5Bにおける符号Nは、車速が例えば100km/hの場合における必要奥行距離を示す。
【0033】
外界認識装置50は、自車両101が自動運転モードで走行しているとき、FOV内に所定の照射点(検出点)を設定するとともに照射光を照射するようにライダ5を制御する。これにより、ライダ5からの照射光は、設定された照射点(検出点)に向けて照射される。
【0034】
なお、ライダ5の照射光は、FOV内に格子状に配列した全ての照射点(検出点)にラスタ走査方式で照射されてもよいし、所定の照射点(検出点)にのみ照射光が照射されるように断続的に照射光が照射されてもよいし、その他の態様で照射されてもよいものとする。
【0035】
図6Aは、ライダ5の照射光がラスタ走査方式で照射される場合の照射点の一例を示す模式図である。外界認識装置50は、ライダ5から照射光を照射する際、FOV内の全域に対し、必要奥行距離Nにおいて必要とされる角度分解能を設定して照射光の照射方向を制御する。
例えば、道路RD上の必要奥行距離Nの地点に存在する検出対象を認識するための必要角度分解能が縦(鉛直方向)、横(水平方向)ともに0.05 degである場合、外界認識装置50は、FOV内の全域で照射光の照射方向を縦横それぞれ0.05 deg間隔でずらすように制御する。つまり、図6Aでは格子点の各黒丸が照射点(検出点)に対応しており、縦および横の照射点(検出点)の間隔はそれぞれ0.05 degの角度分解能に対応する。
FOV内における実際の照射点の数は、図6Aに図示した黒丸の数よりもはるかに多い。具体例として、ライダ5のFOVが水平方向に120 degの場合、照射点(検出点)に対応する黒丸は、水平方向に0.05 deg間隔で2400個並ぶ。同様に、FOVが鉛直方向に40 degの場合、照射点(検出点)に対応する黒丸は、鉛直方向に0.05 deg間隔で800個並ぶ。
【0036】
外界認識装置50は、FOVに対して1フレーム分の照射光の走査を行う毎に図6Aの照射点に対応する検出点の検出データを取得し、これらの検出データの中から、検出対象の認識に必要な角度分解能に基づく検出点のデータを抽出する。より具体的には、FOVのうちの奥行距離Xが必要奥行距離Nよりも短い領域であって、必要角度分解能が0.05 degではなく0.1 degで足りる領域については、縦および横のデータの間隔を0.05 deg間隔よりも広くするようにデータを抽出する。また、FOVのうちの空に対応する領域についても、道路RDが存在しないことから縦および横のデータの間隔を広くするようにデータを抽出する。このように抽出した検出点の間隔は、後述する図6Bに黒丸で示される検出点の間隔と同様である。
外界認識装置50が検出点のデータを抽出することにより、認識処理に用いる検出データの総数を抑制することが可能になる。
【0037】
図6Bは、ライダ5の照射光がFOV内に格子状に配列した所定の照射点(検出点)にのみ照射される場合の照射点の一例を示す模式図である。外界認識装置50は、ライダ5から照射光を照射する際、FOV内の照射点(検出点)の間隔を、必要とされる角度分解能に応じた間隔に設定して、照射光の照射方向を制御する。
例えば、道路RD上の必要奥行距離Nの地点に存在する検出対象を認識するための必要角度分解能が縦(鉛直方向)、横(水平方向)ともに0.05 degである場合、外界認識装置50は、必要奥行距離Nに対応する領域(左右方向に長い帯状領域)において照射光の照射方向を縦横それぞれ0.05 deg間隔でずらすように制御する。
また、FOVのうちの奥行距離Xが必要奥行距離Nよりも短い領域であって、必要角度分解能が0.1 degで足りる領域については、縦および横の検出点の間隔を広くするように照射光の照射方向を制御する。さらに、FOVのうちの空に対応する領域についても、道路RDが存在しないことから縦および横の検出点の間隔を広くするように照射光の照射方向を制御する。
外界認識装置50が検出点の間隔を制御したことにより、認識処理に用いる検出データの総数を抑制することが可能になる。
なお、FOV内における実際の照射点の数は、図6Bに図示した黒丸の数よりもはるかに多い。
【0038】
図7は、図6Bに例示した照射点へ照射光を照射する場合の照射順の一例を示す図である。図7において、FOVの左上から右下の照射点に向かって、それぞれ矢印の向きに照射光の照射方向が制御される。また、縦方向の矢印に併記したP1~P3の文字は照射点(検出点)の間隔の大小を示す、P1は、例えば角度分解能が0.05 degに対応する照射点(検出点)の間隔を示す。P2は、例えば角度分解能が0.1 degに対応する照射点(検出点)の間隔を示す。P3は、例えば角度分解能が0.2 degに対応する照射点(検出点)の間隔を示す。
図7では、角度分解能を3段階に切り替える例を図示したが、3段階に限らず、2段階以上の角度分解能を適宜切り替えるように構成して構わない。
【0039】
<外界認識装置の構成>
外界認識装置50の詳細について説明する。
上述したように、外界認識装置50は、認識部111、設定部112、決定部113および予測部114と、ライダ5を含む。
<認識部>
認識部111は、ライダ5のFOVにおいて検出される時系列の検出データを用いて3次元の点群データを生成する。
また、認識部111は、ライダ5で測定された検出データに基づいて、自車両101が走行する道路RDの進行方向の道路構造と、進行方向の道路RD上の検出対象とを認識する。道路構造は、例えば直線路、カーブ路、分岐路、トンネルの出入口等をいう。
さらに、認識部111は、例えば平坦な路面を示すデータに対して輝度フィルタリング処理等を施すことによって区画線を検知する。この場合において、認識部111は、輝度が所定の閾値を超えている路面の高さが、超えていない路面の高さと略同じである場合に、区画線であると判定してもよい。
【0040】
<道路構造の認識>
認識部111による道路構造の認識の一例について説明する。認識部111は、生成した点群データに含まれる、進行方向である前方の道路RDの縁石、壁、溝、ガードレールまたは区画線を道路RDの境界線RL、RB(図1A)として認識し、境界線RL、RBで示される進行方向の道路構造を認識する。上述したように、区画線は白線(色違いの線を含む)、縁石線、道路鋲等を含み、これら区画線による標示によって道路RDの走行レーンが規定される。実施の形態では、上記標示によって規定される道路RDの境界線RL、RBを、区画線と呼ぶ。
【0041】
認識部111は、境界線RL、RBで挟まれた領域について、道路RDに対応する領域として認識する。なお、道路RDに対する認識方法はこれに限らず、他の方法により認識してもよい。
また、認識部111は、生成した点群データを、平坦な路面を示す点群データと、立体物等を示す点群データとに分離する。例えば、点群データに含まれる、進行方向の路上の立体物等のうち、サイズが15cmを超える凹凸、段差、うねり等の路面形状と、縦横15cmを超える物体とを検出対象として認識する。15cmは、検出対象のサイズの一例であり、適宜変更して構わない。
【0042】
<設定部>
設定部112は、照射光の鉛直投光角度φをライダ5に設定する。ライダ5のFOVが鉛直方向に40 degの場合、鉛直投光角度φは0~40 degの範囲で0.05 deg間隔で設定される。同様に、設定部112は、照射光の水平投光角度θをライダ5に設定する。ライダ5のFOVが水平方向に120 degの場合、水平投光角度θは0~120 degの範囲で0.05 deg間隔で設定される。
設定部112は、後述するように決定部113で決定された角度分解能に基づいて、FOV内の照射点数(図6Aおよび図6Bの黒丸の数に対応し、照射点密度を示す)をライダ5に設定する。上述したように、FOV内に格子状に配列する照射点(検出点)の鉛直方向および水平方向の間隔を、それぞれ鉛直方向および水平方向の角度分解能に対応させる。
【0043】
<決定部>
決定部113は、設定部112が設定する走査角度分解能を決定する。先ず、決定部113は、各奥行距離Xにおける鉛直方向の投光角度αと、各奥行距離Xにおける路面点までの距離DLとをそれぞれ算出する。具体的には、図3Dを参照して説明したように、ライダ5で計測された路面点までの距離DLと、計測時にライダ5に設定した投光角度αとに基づいて奥行距離Xを算出する。決定部113は、算出した奥行距離Xと、鉛直方向角度との関係を算出する(図5A)。また、決定部113は、奥行距離Xと、距離DLとの関係を算出する。さらにまた、決定部113は、図5Bに例示したように、検出対象のサイズと奥行距離Xとに基づいて、奥行距離Xと、鉛直方向角度分解能との関係を算出する。このように、検出対象のサイズと距離DLとに基づいて鉛直方向角度分解能を算出し、距離DLと奥行距離Xとに基づいて、奥行距離Xと鉛直方向角度分解能との関係を算出する。
【0044】
次に、決定部113は、上記サイズの検出対象を認識するために必要な、鉛直方向の角度分解能を決定する。例えば、図5Bにおいて鉛直方向の角度分解能が0.1 deg未満となる奥行距離Xでは、0.1 degより小さな0.05 degを必要角度分解能として決定する。また、鉛直方向の角度分解能が0.1 deg以上で0.2 deg未満となる奥行距離Xでは、0.2 degより小さな0.1 degを必要角度分解能として決定する。以下同様に、鉛直方向の角度分解能が0.2 deg以上で0.3 deg未満となる奥行距離X、および、鉛直方向の角度分解能が0.3 deg以上で0.4 deg未満となる奥行距離Xに対しても、それぞれにおいてより小さな0.2 degおよび0.3 degを、必要角度分解能として決定する。
【0045】
決定した鉛直方向の必要角度分解能は、次フレームの3次元点群データを取得する際の検出点の鉛直方向の間隔として反映させることができる。
また、決定部113は、検出対象のサイズおよび奥行距離Xに応じて、検出対象を認識するための水平方向の必要角度分解能を決定してもよい。水平方向の必要角度分解能も、次フレームの3次元点群データを取得する際の検出点の水平方向の間隔として反映させることができる。
なお、水平方向の必要角度分解能については、先に決定した鉛直方向の必要角度分解能と一致させてもよい。換言すると、鉛直方向の必要角度分解能を0.05 degと決定した検出点と同じ水平ライン上では、水平方向の必要角度分解能を0.05 degと決定する。同様に、鉛直方向の必要角度分解能を0.1 degと決定した検出点と同じ水平ライン上では、水平方向の必要角度分解能を0.1 degと決定する。さらに、他の必要角度分解能についても、鉛直方向の必要角度分解能を決定した検出点と同じ水平ライン上では、水平方向の必要角度分解能を鉛直方向の必要角度分解能と同じ値に決定する。
【0046】
<予測部>
自車両101が走行する道路RDの進行方向が下り坂となり路面からの反射角度が小さい場合、または車速が速く必要奥行距離Nが大きくなってしまう状況において、ライダ5が必要奥行距離Nまでの散乱光を受信できない場合がある。この場合にライダ5で検出可能な最遠の奥行距離Xを最大奥行距離Lと呼ぶ。最大奥行距離を最大路面検出距離と呼んでもよい。
【0047】
予測部114は、自車両101の車速から計算される必要奥行距離Nが、最大奥行距離Lを超えてしまう場合(例えば必要奥行距離Nが108mのところ、最大奥行距離L=92mである場合)に、FOV下端(第1の所定距離)から最大奥行距離Lまでのライダ5で実際に取得された計測データを用いて、最大奥行距離Lから必要奥行距離Nまでの路面の高さZ(勾配)を予測する。勾配の予測には、例えば時系列予測手法であるARモデルまたはARIMAモデル等を用いることができる。
図8に、ARIMAモデルを用いて予測した結果の一例を示す。横軸は奥行距離X(単位m)を示し、縦軸は路面の高さZ(単位m)を示す。予測結果として、予測した高さZの平均値、予測した高さZの上下限値(例えば、信頼度99%を設定)等が得られる。実施の形態では、鉛直方向の角度分解能の領域がより広がる方向になる、信頼度99%上限値のカーブに対応する予測値を「予測高さの上限値」として採用する。このように構成することにより、FOVにおける道路RDが上り坂であった場合、鉛直方向上側の領域に鉛直方向の角度分解能を高く設定することで、次フレームの3次元点群データを取得する際にデータを取りこぼす可能性を低減できる。一方、道路RDが下り坂であった場合は、そもそもライダ5からの照射光が路面に照射されないことから鉛直方向下側に領域が広がることはあり得ない。そのため、無駄な処理を避けるために、信頼度99%下限値のカーブに対応する予測値については採用しない。
【0048】
以上説明したように、予測部114は、最大奥行距離Lから必要奥行距離Nまでの路面勾配のデータをARIMAモデル等による「予測高さの上限値」を用いて予測する。
なお、実施の形態では最大奥行距離Lよりも自車両101側の路面勾配のデータについて、ライダ5で実際に取得した計測データを用いるが、ライダ5による計測データに代えて、ARIMAモデル等を用いて予測した高さZの平均値を用いてもよい。高さZの平均値を用いる場合は、平坦化処理の効果が得られる。
【0049】
<位置データの生成>
外界認識装置50は、ライダ5でリアルタイムに測定された時系列の点群データに基づいて検出した検出対象の位置を示すデータを、例えばX-Yの2次元マップ上にマッピングして一続きとなる位置データを生成することができる。X-Y空間では高さZを示す情報が省かれ、奥行距離Xおよび水平距離Yの情報が残る。
認識部111は、記憶部12に記憶されている2次元マップ上の立体物等の位置情報を取得し、自車両101の移動速度と移動方向(例えば方位角)から上記立体物等の相対位置を自車両101の位置を中心に座標変換して算出する。認識部111は、測定により点群データがライダ5で取得される毎に、取得された点群データに基づく立体物等の相対位置を自車両101の位置を中心に座標変換して2次元マップ上に記録する。
【0050】
<フローチャートの説明>
図9は、あらかじめ定められたプログラムに従い図2のコントローラ10の演算部11が実行する処理の一例を示すフローチャートである。図9のフローチャートに示す処理は、例えば、自車両101が自動運転モードで走行中に所定周期毎に繰り返される。
【0051】
まず、ステップS10において、演算部11は、ライダ5に3次元の点群データを取得させてステップS20へ進む。
ステップS20において、演算部11は、ライダ5で取得される点群データに基づいて道路RDの進行方向の路面勾配および最大奥行距離Lを算出し、ステップS30へ進む。ステップS20の処理の詳細については図10を参照して後述する。
【0052】
ステップS30において、演算部11の予測部114は、最大奥行距離Lが必要奥行距離Nよりも短いか否かを判定する。演算部11は、最大奥行距離Lが必要奥行距離Nよりも短い場合にステップS30を肯定判定してステップS40へ進み、最大奥行距離Lが必要奥行距離Nよりも長い場合はステップS30を否定判定してステップS50へ進む。
【0053】
ステップS40において、演算部11の予測部114は、最大奥行距離Lから必要奥行距離Nまでの路面勾配を予測してステップS50へ進む。路面勾配の予測結果の一例は、図8に例示した通りである。
【0054】
ステップS50において、演算部11は、各奥行距離Xにおける、鉛直方向の投光角度αと路面点までの距離DLとをそれぞれ算出してステップS60へ進む。鉛直方向角度と奥行距離Xの関係は、図5Aに例示した通りである。また、奥行距離X、路面の高さZおよび路面までの距離DLの関係は、図4Bに例示した通りである。
【0055】
ステップS60において、演算部11は、各奥行距離Xにおける必要角度分解能を算出してステップS70へ進む。必要角度分解能は、あらかじめ指定されたサイズの検出対象を検出するために必要な角度分解能である。奥行距離Xと角度分解能との関係は、図5Bに例示した通りである。
【0056】
ステップS70において、演算部11は、決定部113により、鉛直方向の角度分解能を必要角度分解能に決定してステップS80へ進む。実施の形態では、鉛直方向の角度分解能を水平方向の角度分解能よりも先に決定する。
【0057】
ステップS80において、演算部11の決定部113は、水平方向の角度分解能を必要角度分解能に決定してステップS90へ進む。水平方向の角度分解能を鉛直方向の角度分解能よりも後に決定することで、水平方向の角度分解能を鉛直方向の角度分解能と一致させることが容易となる。
【0058】
ステップS90において、演算部11は、検出点の座標を確定する。より具体的には、図6Bにおいて黒丸で例示したような検出点の位置を示す座標を決定する。認識部111は、ステップS90で確定した検出点の位置で検出された検出データに基づいて、自車両101が走行する道路RDの進行方向の立体物等を認識する。
【0059】
なお、演算部11は、ステップS10で点群データが取得される毎に、点群データに基づく立体物等の相対位置をX-Yの2次元マップ上にマッピングすることにより、2次元状に一続きとなる位置データを生成する。そして、点群データに基づく立体物等の相対位置を自車両101の位置を中心に座標変換して2次元マップ上に記録しておくことができる。
【0060】
ステップS100において、演算部11は、処理を終了するか否かを判定する。演算部11は、自車両101が自動運転モードでの走行を継続中の場合は、ステップS100を否定判定してステップS10へ戻り、上述した処理を繰り返す。ステップS10へ戻ることにより、自車両101の走行中に点群データに基づく立体物等の測定が周期的に繰り返し行われることとなる。一方、演算部11は、自車両101が自動運転モードでの走行を終了した場合は、ステップS100を肯定判定して図9による処理を終了する。
【0061】
図10は、演算部11が実行するステップS20(図9)の処理の詳細を説明するフローチャートである。演算部11は、決定部113で決定された検出点の点群データに対して図10による処理を行う。
ステップS210において、演算部11は、点群データに対する分離処理を行ってステップS220へ進む。より具体的には、点群データから道路RD上の立体物等のデータを検出して分離することにより、平坦な路面を示す点群データと、立体物等を示す点群データとを得る。立体物等には、路上の障害物、道路RDの左右端に設けられた、例えば縁石、壁、溝、ガードレール等の他、走行中の二輪車等の他車両が含まれている。
【0062】
分離処理の一例を説明する。演算部11は、点群データの相対位置を自車両101の位置を中心とする位置に座標変換し、道路RDを例えば上空から俯瞰したような、奥行方向および道路幅方向に対応するX-Yの2次元マップ上に表すとともに、2次元マップを所定サイズにグリッド化する。各グリッドにおいてグリッド内のデータの最大値と最小値との差があらかじめ定めた閾値よりも小さい場合に、演算部11は、そのグリッドのデータが平坦な路面を示すと判定する。一方、グリッド内のデータの最大値と最小値との差があらかじめ定めた閾値よりも大きい場合に、演算部11は、そのグリッドのデータが立体物等を示すと判定する。
なお、点群データが路面のデータに対応するか、立体物等に対応するかの判定手法は、他の手法を用いてもよい。
【0063】
ステップS220において、演算部11は、処理対象のデータが路面のデータか否かを判定する。演算部11は、データが路面のデータとして分離されたグリッドのデータである場合に、ステップS220を肯定判定してステップS230へ進む。一方、演算部11は、データが立体物等のデータとして分離されたグリッドのデータである場合に、ステップS220を否定判定してステップS250へ進む。
【0064】
ステップS250へ進む場合、演算部11の認識部111は、そのグリッドの点群データに基づく立体物等の相対位置を自車両101の位置を中心に座標変換して2次元マップ上に記録する。そして図10による処理を終了して図9のステップS30へ進む。
【0065】
ステップS230へ進む場合、演算部11の予測部114は、道路RDの路面勾配を算出する。路面勾配の算出処理の一例は、図3A図3Dを参照して説明したとおりである。
なお、路面勾配の算出手法は、他の手法を用いてもよい。
【0066】
ステップS240において、演算部11の予測部114は、最大奥行距離Lを取得し、図10による処理を終了して図9のステップS30へ進む。
上述したように、最大奥行距離Lはライダ5で検出可能な最遠の奥行距離である。演算部11の予測部114は、路面勾配の算出処理時に抽出したグリッドのうち自車両101の位置から最遠のグリッドのデータに対応する奥行距離を最大奥行距離Lとして取得する。
【0067】
以上説明した実施の形態によれば、以下のような作用効果を奏する。
(1)外界認識装置50は、第1方向としての水平方向および第1方向と交差する第2方向としての鉛直方向に電磁波としての照射光を走査照射して自車両101の周囲の外界状況を検出する車載検出器としてのライダ5と、ライダ5の検出データに基づいて自車両101が走行する道路RDの路面情報を取得する路面情報取得部としての演算部11と、を備える。ライダ5は、マトリクス状の複数の検出点毎の距離情報を含む3次元点群データを1フレームずつ取得し、演算部11は、3次元点群データに基づいて、フレーム毎の道路RDの路面および路上の立体物を路面情報として認識する認識部111と、認識対象としてあらかじめ定めた所定の立体物の大きさおよび自車両101から上記立体物までの距離に基づいて、認識部111で認識に用いる次フレームの3次元点群データの検出点の間隔を、照射光の走査角度分解能として決定する決定部113と、を含む。
一般に、奥行距離Xが短いほど、検出対象に対する視角が大きくなるので、角度分解能が低くても検出対象を検出することが可能となる。反対に、奥行距離Xが長いほど、検出対象に対する視角が小さくなるので、検出対象の検出には高い角度分解能が必要となる。実施の形態では、ライダ5により進行方向の道路RDの路面までの奥行距離Xを検出点毎に取得し、決定部113が、その奥行距離Xにおいて認識部111で上記立体物を認識するために必要な検出点の間隔に対応させた照射光の走査角度分解能を決定する。
このように構成したので、決定部113で決定した走査角度分解能により、認識部111で認識処理に用いる3次元点群データの検出点の間隔が適切に制御されることで、認識処理に用いる検出データの総数を抑制することが可能になる。すなわち、外界認識装置50の検出対象とする物体等の位置や大きさの認識精度を低下させることなく、演算部11の処理負荷を低減することができる。
また、実施の形態では、高精度地図情報に載っていない道路RD、高精度地図情報が備えられていない状態で初めて走行する道路RD、および工事等により高精度地図情報と異なる態様に変化している道路RDを自車両101で走行する場合にも、ライダ5を用いて進行方向の道路RDの路面までの奥行距離Xを検出点毎に取得しながら、各奥行距離Xにおいて認識部111で上記立体物を認識するために必要な検出点の間隔に対応させた照射光の走査角度分解能を決定することが可能である。
【0068】
(2)上記(1)の外界認識装置50において、ライダ5は、水平方向および鉛直方向に照射光を走査照射して水平方向および鉛直方向に並ぶ複数の検出点毎の距離情報を含む3次元点群データを1フレームずつ取得し、決定部113は、認識部111で認識に用いる次フレームの3次元点群データの鉛直方向の検出点の間隔に対応する照射光の鉛直方向の走査角度分解能を、上記立体物の鉛直方向の長さおよび自車両101から上記立体物までの距離に基づいて決定する。
このように構成したので、決定部113で決定した鉛直方向の走査角度分解能により、認識部111で認識処理に用いる3次元点群データの検出点の鉛直方向の間隔が適切に制御されることで、認識処理に用いる検出データの総数を抑制することが可能になる。すなわち、外界認識装置50の検出対象とする物体等の鉛直方向の位置や大きさの認識精度を低下させることなく、演算部11の処理負荷を低減することができる。
【0069】
(3)上記(2)の外界認識装置50において、決定部113はさらに、自車両101の車速に基づく必要奥行距離Nにおける道路RDの路面および路上の上記立体物に対応する次フレームの3次元点群データの鉛直方向の検出点の間隔を、照射光の鉛直方向の第1の走査角度分解能(例えば0.05 degに対応する間隔)として決定するとともに、自車両101からの奥行距離Xが必要奥行距離Nよりも短い位置における道路RDの路面および路上の上記立体物に対応する次フレームの3次元点群データの鉛直方向の検出点の間隔を、第1の走査角度分解能よりも粗い第2の走査角度分解能(例えば0.1 degに対応する間隔)として決定する。
このように構成したので、例えば、自車両101から遠い領域ではより高い認識精度を確保しつつ、自車両101に近い領域では遠い領域と比べて認識精度を下げて、認識部111で認識処理に用いる検出データの総数を抑制することが可能になる。
【0070】
(4)上記(3)の外界認識装置50において、決定部113はさらに、必要奥行距離Nにおける道路RDの路面よりも上側に対応する次フレームの3次元点群データの鉛直方向の検出点の間隔を、第1の走査角度分解能(例えば0.05 degに対応する間隔)よりも粗い第3の走査角度分解能(例えば0.1 degに対応する間隔)として決定する。
このように構成したので、例えば、必要奥行距離Nに対応する領域ではより高い認識精度を確保しつつ、それよりも上方の空の領域では認識精度を下げて、認識部111で認識処理に用いる検出データの総数を抑制することが可能になる。
【0071】
(5)上記(2)から(4)の外界認識装置50において、決定部113は、認識部111で認識に用いる次フレームの3次元点群データの鉛直方向の検出点の間隔が水平方向に並ぶ複数の検出点の間で一致するように、鉛直方向の第1の走査角度分解能、第2の走査角度分解能、または第3の走査角度分解能を決定する。
このように構成したので、例えば、FOV内に格子状に配列される検出点の位置について、鉛直方向および水平方向の間隔をそれぞれ鉛直方向および水平方向の角度分解能に対応させることが可能になる。
【0072】
(6)上記(2)の外界認識装置50において、決定部113は、認識部111で認識に用いる次フレームの3次元点群データの水平方向の検出点の間隔に対応する照射光の水平方向の走査角度分解能を、上記立体物の水平方向の長さおよび自車両101から上記立体物までの奥行距離Xに基づいて決定する。
このように構成したので、決定部113で決定した水平方向の走査角度分解能により、認識部111で認識処理に用いる3次元点群データの検出点の水平方向の間隔が適切に制御されることで、認識処理に用いる検出データの総数を抑制することが可能になる。すなわち、外界認識装置50の検出対象とする物体等の水平方向の位置や大きさの認識精度を低下させることなく、演算部11の処理負荷を低減することができる。
【0073】
(7)上記(1)の外界認識装置50において、演算部11はさらに、認識部111で認識された自車両101の進行方向の路面の最遠距離としての最大奥行距離Lが、自車両101の車速に基づく必要奥行距離Nよりも短い場合に、最大奥行距離Lから必要奥行距離Nまでの道路RDの勾配を予測する予測部114と、予測部114で勾配が予測された道路RDの自車両101から必要奥行距離N離れた路面および路上の上記立体物に照射光が走査照射されるように、照射光の鉛直方向の照射角を設定する設定部112と、を含む。
このように構成したので、道路RDの勾配を検出可能な最大奥行距離Lよりも遠方の必要奥行距離Nまでの路上の物体等を検出する必要がある場合においても、ライダ5で実際に取得された最大奥行距離Lまでの計測データを用いて、最大奥行距離Lよりも先の道路RDの勾配を統計的に予測することができる。そのため、必要奥行距離Nまでの全域に亘って鉛直方向の投光角度と角度分解能を計算し、物体等の検出を可能にすることができる。
【0074】
(8)上記(7)の外界認識装置50において、決定部113はさらに、予測部114で勾配が予測された道路RDの最大奥行距離Lから必要奥行距離Nまでの路面および路上の上記立体物に対応する次フレームの3次元点群データの検出点の間隔を、上記立体物の大きさおよび自車両101から上記立体物までの距離に基づいて、照射光の走査角度分解能として決定する。
このように構成したので、予測部114で勾配が予測された道路RDについても、決定部113で決定した走査角度分解能により、認識部111で認識処理に用いる3次元点群データの検出点の間隔が適切に制御されることで、認識処理に用いる検出データの総数を抑制することが可能になる。すなわち、外界認識装置50の検出対象とする物体等の位置や大きさの認識精度を低下させることなく、演算部11の処理負荷を低減することができる。
【0075】
上記実施の形態は、種々の形態に変形することができる。以下、変形例について説明する。
(変形例1)
自車両101から離れた遠方の路面においてライダ5による照射光の反射強度が弱く、十分な強さの反射光を検出できない場合がある。このような、路面による反射強度が検出可能なぎりぎりのレベルまで低下したときの奥行距離Xも、最大奥行距離Lに該当する。
【0076】
変形例1において、自車両101の車速から計算される必要奥行距離Nが、最大奥行距離Lを超えてしまう場合(例えば必要奥行距離Nが150mのところ、最大奥行距離L=110mである場合)は、上述した予測部114により、FOV下端(第1の所定距離)から最大奥行距離Lまでのライダ5で実際に取得された計測データを用いて、最大奥行距離Lから必要奥行距離Nまでの路面の高さZ(勾配)を予測してもよい。勾配の予測には、上述したARIMAモデル等を用いることができる。
変形例1によれば、路面の状態により路面そのものの検出が困難な状況でも、反射光のレベルが路面の反射光よりも高い路面の凹凸、立体物等を、次フレームの3次元点群データを取得する際に適切に検出することが可能になる。
【0077】
(変形例2)
上述した実施の形態では、外界認識装置50が、自車両101の進行方向の路面状況をライダ5に検出させる例を説明した。この代わりに、例えば自車両101の周囲を360 deg検出可能なFOVを有するライダ5を備え、自車両101の全周囲の路面状況をライダ5に検出させる構成にしてもよい。
【0078】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施の形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施の形態と変形例の一つあるいは複数を任意に組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 通信ユニット、2 測位ユニット、3 内部センサ群、4 カメラ、5 ライダ、10 コントローラ、11 演算部、12 記憶部、50 外界認識装置、100 車両制御装置、101 自車両、111 認識部、112 設定部、113 決定部、114 予測部、115 走行制御部、AC アクチュエータ
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10