(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102528
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】封口体及び二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/15 20210101AFI20240724BHJP
H01M 50/176 20210101ALI20240724BHJP
H01M 50/584 20210101ALI20240724BHJP
H01M 50/586 20210101ALI20240724BHJP
H01M 50/557 20210101ALI20240724BHJP
H01M 50/516 20210101ALI20240724BHJP
H01M 50/517 20210101ALI20240724BHJP
【FI】
H01M50/15
H01M50/176
H01M50/584
H01M50/586
H01M50/557
H01M50/516
H01M50/517
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006478
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】水野 裕輝
(72)【発明者】
【氏名】小倉 正也
【テーマコード(参考)】
5H011
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA09
5H011CC06
5H011EE04
5H011KK01
5H043AA13
5H043AA19
5H043BA19
5H043CA04
5H043DA09
5H043EA32
5H043EA35
5H043FA04
5H043GA22
5H043GA24
5H043HA16F
5H043HA17F
5H043JA01
5H043JA09
5H043JA26F
5H043KA45
5H043LA02
(57)【要約】
【課題】絶縁部材が回転した際の蓋体と絶縁部材との接触箇所にかかる負荷を低減し、当該負荷に起因する問題の発生を抑制できる封口体を提供する。
【解決手段】回転防止機構PPを備えており、回転防止機構PPは、蓋体13及び絶縁部材40の相互に対向する面のうちの一方の面に設けられた凹部16と、他方の面に設けられた凸部43とで構成され、凹部16と凸部43との係合関係によって絶縁部材40の回転を防止するように構成されており、凹部16及び凸部43は、絶縁部材40が回転した際に面接触する凹部側接触面16a,16b及び凸部側接触面43a,43bを有しており、凹部側接触面16a,16b及び凸部側接触面43a,43bは、非接触の状態において、絶縁部材40の回転中心からの距離が離れるほど凹部側接触面16a,16bと凸部側接触面43a,43bとの間隔が広くなっている。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉型二次電池に用いられる封口体であって、
表裏面に貫通する貫通孔が形成された板状の蓋体と、
前記蓋体の一方の面の側に配設される外部端子、及び前記蓋体の他方の面の側に配設される集電端子からなり、前記外部端子及び前記集電端子が前記蓋体の貫通孔に挿通する軸部を介して電気的に接続された端子組立体と、
前記端子組立体の前記軸部が挿通する貫通孔が形成され、前記蓋体の他方の面と前記集電端子との間に配設される絶縁部材と、
前記絶縁部材が前記端子組立体の軸部を中心に回転するのを防止する回転防止機構と、を備えており、
前記回転防止機構は、前記蓋体及び前記絶縁部材の相互に対向する面のうちの一方の面に設けられた凹部と、他方の面に設けられた凸部とで構成され、前記凹部と前記凸部との係合関係によって前記絶縁部材の回転を防止するように構成されており、
前記凹部及び前記凸部は、前記絶縁部材が回転した際に面接触する凹部側接触面及び凸部側接触面を有しており、
前記凹部側接触面及び前記凸部側接触面は、非接触の状態において、前記絶縁部材の回転中心からの距離が離れるほど前記凹部側接触面と前記凸部側接触面との間隔が広くなっている封口体。
【請求項2】
前記凹部及び前記凸部は、前記絶縁部材が軸部を中心に右回転した際に接触する第1凹部側接触面及び第1凸部側接触面と、前記絶縁部材が軸部を中心に左回転した際に接触する第2凹部側接触面及び第2凸部側接触面とを有し、
前記絶縁部材の回転中心からの距離が離れるほど前記第1凹部側接触面と前記第2凹部側接触面との間隔が広くなる、或いは、前記絶縁部材の回転中心からの距離が離れるほど前記第1凸部側接触面と前記第2凸部側接触面との間隔が狭くなる請求項1に記載の封口体。
【請求項3】
前記蓋体に前記凹部が形成されており、
前記絶縁部材に前記凸部が形成されている請求項1又は2に記載の封口体。
【請求項4】
開口を有する筐体と、
前記筐体内に収容される電極体と、
前記筐体の開口を封止する蓋体を有する封口体と、を備えており、
前記封口体は、
前記蓋体の一方の面の側に配設される外部端子、及び前記蓋体の他方の面の側に配設され、前記電極体に電気的に接続された集電端子からなり、前記外部端子及び前記集電端子が前記蓋体の貫通孔に挿通する軸部を介して電気的に接続された端子組立体と、
前記端子組立体の前記軸部が挿通する貫通孔が形成され、前記蓋体の他方の面と前記集電端子との間に配設される絶縁部材と、
前記絶縁部材が前記端子組立体の軸部を中心に回転するのを防止する回転防止機構と、を備えており、
前記回転防止機構は、前記蓋体及び前記絶縁部材の相互に対向する面のうちの一方の面に設けられた凹部と、他方の面に設けられた凸部とで構成され、前記凹部と前記凸部との係合関係によって前記絶縁部材の回転を防止するように構成されており、
前記凹部及び前記凸部は、前記絶縁部材が回転した際に面接触する凹部側接触面及び凸部側接触面を有しており、
前記凹部側接触面及び前記凸部側接触面は、非接触の状態において、前記絶縁部材の回転中心からの距離が離れるほど前記凹部側接触面と前記凸部側接触面との間隔が広くなっている二次電池。
【請求項5】
前記外部端子は、レーザ溶接又は超音波溶接によりバスバが接続されるバスバ溶接部を有している請求項4に記載の二次電池。
【請求項6】
前記封口体は、前記端子組立体の軸部と平行な方向に沿って配置されたバスバ接続用ボルトを有している請求項4に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉型二次電池に用いられる封口体及び当該封口体を備えた二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車やハイブリッド自動車などのモータを駆動源とする電動車両では、ニッケル水素蓄電池やリチウムイオン蓄電池などの二次電池が電源として用いられている。この種の二次電池として、例えば、特許文献1に開示されたリチウム二次電池が提案されている。
【0003】
特許文献1に開示されたリチウム二次電池は、2つの極板及びセパレータからなる電極組立体や、電極組立体及び電解液が受容される缶、缶の上段開口部に結合して缶を封入するキャップ組立体などで構成されている。当該リチウム二次電池において、キャップ組立体は、キャッププレート、絶縁プレート、ターミナルプレート及び電極端子で構成されており、キャッププレートには平面視矩形状の回転防止溝が形成され、絶縁プレートには回転防止溝に結合する同じく平面視矩形状の突出部が形成されている。
【0004】
上記リチウム二次電池によれば、組付け時において、キャッププレートに形成された回転防止溝に絶縁プレートに形成された突出部が結合した状態になることで絶縁プレートの回転が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1記載のリチウム二次電池では、キャッププレートの回転防止溝及び絶縁プレートの突出部が共に平面視矩形状になっており、組付け性の観点から、回転防止溝は突出部よりも縦幅及び横幅が若干大きくなっている。そのため、上記従来のリチウム二次電池では、回転防止溝に突出部が結合した状態において、回転防止溝と突出部との間に隙間がある。
【0007】
したがって、上記従来のリチウム二次電池においては、組付け時に絶縁プレートが上記隙間分だけ回転する場合があり、絶縁プレートが隙間分だけ回転すると、突出部の角が回転防止溝の内壁面に接触し、突出部に過剰な負荷がかかって変形したり、突出部が破損するという問題が発生する。
【0008】
すなわち、上記従来のリチウム二次電池には、絶縁プレートが回転した際のキャッププレートと絶縁プレートとの接触箇所に過剰な負荷がかかり、当該負荷に起因する問題が発生し得る。
【0009】
本発明は以上の実情に鑑みなされたものであり、絶縁部材が回転した際の蓋体と絶縁部材との接触箇所にかかる負荷を低減し、当該負荷に起因する問題の発生を抑制できる封口体及び当該封口体を備えた二次電池の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る封口体の特徴構成は、
密閉型二次電池に用いられる封口体であって、
表裏面に貫通する貫通孔が形成された板状の蓋体と、
前記蓋体の一方の面の側に配設される外部端子、及び前記蓋体の他方の面の側に配設される集電端子からなり、前記外部端子及び前記集電端子が前記蓋体の貫通孔に挿通する軸部を介して電気的に接続された端子組立体と、
前記端子組立体の前記軸部が挿通する貫通孔が形成され、前記蓋体の他方の面と前記集電端子との間に配設される絶縁部材と、
前記絶縁部材が前記端子組立体の軸部を中心に回転するのを防止する回転防止機構と、を備えており、
前記回転防止機構は、前記蓋体及び前記絶縁部材の相互に対向する面のうちの一方の面に設けられた凹部と、他方の面に設けられた凸部とで構成され、前記凹部と前記凸部との係合関係によって前記絶縁部材の回転を防止するように構成されており、
前記凹部及び前記凸部は、前記絶縁部材が回転した際に面接触する凹部側接触面及び凸部側接触面を有しており、
前記凹部側接触面及び前記凸部側接触面は、非接触の状態において、前記絶縁部材の回転中心からの距離が離れるほど前記凹部側接触面と前記凸部側接触面との間隔が広くなっている点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、絶縁部材が端子組立体の軸部を中心に回転した際に、凹部側接触面と凸部側接触面とが面接触する。つまり、絶縁部材が回転した際に、蓋体と絶縁部材との接触が面接触になるため、蓋体と絶縁部材との接触箇所にかかる負荷を低減できる。したがって、上記特徴構成を備えた封口体では、絶縁部材が回転した際に凸部に掛かる負荷を低減でき、凸部の形状を小さくしても回転防止に必要な強度要件を満たすことができる。また、蓋体と絶縁部材とが点接触である場合と比較して、負荷の集中による絶縁部材の破損も抑えられる。
【0012】
更に、凸部や絶縁部材の破損に起因した部品の位置ずれも起き難く、組立不良が発生し難い。そのため、本発明に係る封口体を用いた二次電池においては、例えば、外部端子の位置ずれによってバスバ接続不良が発生するという問題や、集電端子の位置ずれによって、集電端子と電極体との接合部が破損するという問題も生じ難い。
【0013】
すなわち、上記特徴構成を備えた封口体によれば、絶縁部材が回転した際の蓋体と絶縁部材との接触箇所にかかる負荷を低減し、当該負荷に起因する問題の発生を抑制できる。
【0014】
また、本発明に係る封口体の更なる特徴構成は、
前記凹部及び前記凸部は、前記絶縁部材が軸部を中心に右回転した際に接触する第1凹部側接触面及び第1凸部側接触面と、前記絶縁部材が軸部を中心に左回転した際に接触する第2凹部側接触面及び第2凸部側接触面とを有し、
前記絶縁部材の回転中心からの距離が離れるほど前記第1凹部側接触面と前記第2凹部側接触面との間隔が広くなる、或いは、前記絶縁部材の回転中心からの距離が離れるほど前記第1凸部側接触面と前記第2凸部側接触面との間隔が狭くなる点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、絶縁部材が右方向に回転した際には第1凹部側接触面と第1凸部側接触面とが面接触し、左方向に回転した際には第2凹部側接触面と第2凸部側接触面とが面接触する。つまり、絶縁部材がどちらの方向に回転しても、蓋体と絶縁部材との接触が面接触となるため、蓋体と絶縁部材との接触箇所にかかる負荷を低減でき、当該負荷に起因する問題の発生をより抑制できる。
【0016】
また、本発明に係る封口体の更なる特徴構成は、
前記蓋体に前記凹部が形成されており、
前記絶縁部材に前記凸部が形成されている点にある。
【0017】
通常、絶縁部材は絶縁性を有する樹脂等により構成されるのに対し、蓋体はアルミニウムなどの金属により構成される。したがって、蓋体に凹部が形成され、絶縁部材に凸部が形成されていれば、材料コストの面で有利である。
【0018】
上記目的を達成するための本発明に係る二次電池の特徴構成は、
開口を有する筐体と、
前記筐体内に収容される電極体と、
前記筐体の開口を封止する蓋体を有する封口体と、を備えており、
前記封口体は、
前記蓋体の一方の面の側に配設される外部端子、及び前記蓋体の他方の面の側に配設され、前記電極体に電気的に接続された集電端子からなり、前記外部端子及び前記集電端子が前記蓋体の貫通孔に挿通する軸部を介して電気的に接続された端子組立体と、
前記端子組立体の前記軸部が挿通する貫通孔が形成され、前記蓋体の他方の面と前記集電端子との間に配設される絶縁部材と、
前記絶縁部材が前記端子組立体の軸部を中心に回転するのを防止する回転防止機構と、を備えており、
前記回転防止機構は、前記蓋体及び前記絶縁部材の相互に対向する面のうちの一方の面に設けられた凹部と、他方の面に設けられた凸部とで構成され、前記凹部と前記凸部との係合関係によって前記絶縁部材の回転を防止するように構成されており、
前記凹部及び前記凸部は、前記絶縁部材が回転した際に面接触する凹部側接触面及び凸部側接触面を有しており、
前記凹部側接触面及び前記凸部側接触面は、非接触の状態において、前記絶縁部材の回転中心からの距離が離れるほど前記凹部側接触面と前記凸部側接触面との間隔が広くなっている点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、絶縁部材が端子組立体の軸部を中心に回転した際に、凹部側接触面と凸部側接触面とが面接触する。つまり、絶縁部材が回転した際に、蓋体と絶縁部材との接触が面接触になるため、蓋体と絶縁部材との接触箇所にかかる負荷を低減できる。したがって、上記特徴構成を備えた二次電池では、絶縁部材が回転した際に凸部に掛かる負荷を低減でき、凸部の形状を小さくしても回転防止に必要な強度要件を満たすことができる。また、蓋体と絶縁部材とが点接触である場合と比較して、負荷の集中による絶縁部材の破損も抑えられる。
【0020】
更に、凸部や絶縁部材の破損に起因した部品の位置ずれも起き難く、組立不良が発生し難い。そのため、例えば、外部端子の位置ずれによってバスバ接続不良が発生するという問題や、集電端子の位置ずれによって集電端子と電極体との接合部が破損するという問題も生じ難い。
【0021】
すなわち、上記特徴構成を備えた二次電池によれば、絶縁部材が回転した際の蓋体と絶縁部材との接触箇所にかかる負荷を低減し、当該負荷に起因する問題の発生を抑制できる。
【0022】
また、本発明に係る二次電池の更なる特徴構成は、
前記外部端子は、レーザ溶接又は超音波溶接によりバスバが接続されるバスバ溶接部を有している点にある。
【0023】
外部端子がレーザ溶接又は超音波溶接によりバスバが溶接されるバスバ溶接部を有している場合、凸部や絶縁部材の破損に起因して外部端子の位置ずれが起きると溶接不良が発生する。しかしながら、本発明に係る二次電池では、蓋体と絶縁部材との接触箇所にかかる負荷を低減でき、凸部や絶縁部材の破損に起因した外部端子の位置ずれが起き難い。そのため、レーザ溶接又は超音波溶接によりバスバを溶接する際の不良が発生し難い。
【0024】
また、本発明に係る二次電池の更なる特徴構成は、
前記封口体は、前記端子組立体の軸部と平行な方向に沿って配置されたバスバ接続用ボルトを有している点にある。
【0025】
封口体がバスバ接続用ボルトを有している場合、バスバ接続時にボルトを締結するためのトルクが発生し、当該トルクによって絶縁部材が回転する場合がある。上記特徴構成によれば、ボルト締結時のトルクで絶縁部材が回転したとしても蓋体と絶縁部材との接触が面接触となり、蓋体と絶縁部材との接触箇所にかかる負荷を低減でき、当該負荷に起因する問題の発生を抑制できる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明に係る封口体及び当該封口体を備えた二次電池によれば、絶縁部材が回転した際の蓋体と絶縁部材との接触箇所にかかる負荷を低減し、当該負荷に起因する問題の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】一実施形態に係る二次電池の分解斜視図である。
【
図2】一実施形態に係る二次電池の概略構成を示す断面図である。
【
図7】本実施形態の正極側の構造を示す分解斜視図である。
【
図10】従来の回転防止機構で生じ得る問題を説明するための模式図である。
【
図11】本実施形態の回転防止機構の構成及び作用効果を説明するための模式図である。
【
図12】別実施形態の回転防止機構の構成及び作用効果を説明するための模式図である。
【
図13】隣接する二次電池の外部端子の間をバスバで電気的に接続する態様を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る封口体及び当該封口体を備えた二次電池について説明する。なお、以下においては、封口体をリチウムイオン二次電池に用いる態様を例にとって説明する。また、以下では、説明を明確にするために、各記載や各図面を適宜簡略化している。
【0029】
〔二次電池1の概要〕
図1及び
図2を参照して、本実施形態の封口体12を備えた二次電池1の概要について説明する。
図1は、本実施形態に係る二次電池1の分解斜視図である。また、
図2は、本実施形態に係る二次電池1の概略構成を示す断面図である。なお、以下の説明において、二次電池1の高さ方向と平行な方向をZ軸方向とし、後述する電極体20の長手方向と平行な方向をX軸方向、電極体20の厚さ方向と平行な方向をY軸方向とする。Z軸方向は上下方向と平行な方向であり、X軸方向とY軸方向とは互いに直交し、水平方向と平行な方向である。
【0030】
図1及び
図2に示すように、本実施形態の二次電池1は、ケース本体11や電極体20、封口体12などを備えている。本実施形態の二次電池1は、開口を有したケース本体11及び封口体12を構成する封口板13で電池ケース10が構成されており、ケース本体11の内部に電極体20や集電端子27,28などを収容して開口を封口板13で封止した上で、ケース本体11の内部に電解液を注入した密閉型の二次電池である。
【0031】
〔電池ケース10の構成〕
図1及び
図2に示すように、本実施形態の電池ケース10は、上部が開口した略直方体形状のケース本体11と、ケース本体11の開口を封止する封口板13とから構成されている。本実施形態において、ケース本体11及び封口板13はいずれもアルミニウム製であるが、これに限られるものではなく、ケース本体11及び封口板13の材料には、各種金属や合金を用いることができる。本実施形態において、ケース本体11が「筐体」に相当する。
【0032】
詳細については後述するが、本実施形態の封口板13は、封口体12の一部を構成し、ケース本体11の開口の形状に応じた形状を有しており、ケース本体11の開口を封止可能に構成されている。
【0033】
〔電極体20の構成〕
本実施形態において、電極体20は、長尺な帯状の正極材及び負極材を同じく帯状のセパレータを介して積層した状態で捲回して扁平形状に圧縮した捲回体で構成される。
図1及び
図2に示すように、本実施形態の電極体20は、厚み方向視(Y軸方向視)において略矩形状であり、厚み方向視における長手方向(X軸方向)の一方端側には、正極材が集箔された正極端子接合部21が形成され、他方端側には、負極材が集箔された負極端子接合部22が形成されている。なお、電極体20の構造は特に限定されるものではなく、一般的な密閉型二次電池に用いられる種々の構造を採用できる。また、正極材及び負極材に用いる材料は、特に限定されるものではないが、本実施形態において、正極材にはアルミニウム、負極材には銅を用いている。
【0034】
本実施形態において、電極体20は、絶縁性を有するフィルムに覆われた状態で、厚み方向及び長手方向が水平方向と平行になる姿勢でケース本体11の内部に収容されている。また、電極体20とケース本体11とは、絶縁性フィルム(図示せず)によって絶縁されている。
【0035】
〔封口体12の構成〕
封口体12は、封口板13と、外部端子25,26及び集電端子27,28からなる端子組立体PS,NSと、絶縁部材40,50と、回転防止機構PP,NPとを備えている。
図1及び
図2に示すように、本実施形態において、封口体12は、端子組立体として正極外部端子25及び正極集電端子27が軸部PAを介して電気的に接続された正極端子組立体PSと、負極外部端子26及び負極集電端子28が軸部NAを介して電気的に接続された負極端子組立体NSとを備えている。封口体12は、絶縁部材として正極絶縁部材40と負極絶縁部材50とを備えるとともに、回転防止機構として正極回転防止機構PPと負極回転防止機構NPとを備えている。また、本実施形態の封口体12は、ガスケットとして正極ガスケット31と負極ガスケット32とを備えている。
【0036】
図3は、封口板13を示す底面図であり、
図4は、
図3のIV-IV部分の断面図である。
図3及び
図4に示すように、封口板13は、ケース本体11の開口を封止する板状の部材であり、表裏面(上下面)に貫通する貫通孔14,15が形成されている。具体的に、本実施形態の封口板13は、平面視略矩形状の平板部材であり、長手方向(X軸方向)における一方端側に正極端子組立体PSの軸部PAが挿通する貫通孔14が形成され、他方端側に負極端子組立体NSの軸部NAが挿通する貫通孔15が形成されている。封口板13の下面(裏面)には、正極回転防止機構PP及び負極回転防止機構NPの一部を構成する凹部16,17が形成されている。なお、本実施形態では、封口板13が「蓋体」に相当する。
【0037】
図1及び
図2に示すように、本実施形態の封口体12は、正極側の構成として、封口板13の長手方向における一方端側に配設された正極端子組立体PS(正極外部端子25及び正極集電端子27)、正極ガスケット31及び正極絶縁部材40を備えている。また、封口体12は、負極側の構成として、封口板13の長手方向における他方端側に配設された負極端子組立体NS、負極ガスケット32及び負極絶縁部材50を備えている。本実施形態の封口体12においては、正極側と負極側とで外部端子25,26及び集電端子27,28を構成する材料が異なる点を除き、両者は同様の構成を有している。したがって、以下においては、正極側を例にとって、その構成について、
図5~
図9を参照しつつ説明する。
図5は、
図2のV-V部分の拡大断面図である。
図6は、
図5のVI-VI部分の断面図である。
図7は、正極側の構造を示す分解斜視図である。
図8は、正極絶縁部材40を示す平面図である。
図9は、
図8のIX-IX部分の断面図である。
【0038】
図5~
図7に示すように、正極外部端子25は、それぞれ平面視略矩形状(換言すれば、板状部25aの表面に直交する方向視略矩形状)の板状部25aと、当該板状部25aの裏面から下方に向けて延設された円柱形状の軸部25bとを有している。本実施形態では、板状部25aの表面(上面)が、レーザ溶接又は超音波溶接によりバスバが接続されるバスバ溶接部Baになっている。また、軸部25bは、その下端側に加締め部25cが形成されている。本実施形態において、正極外部端子25はアルミニウム製であるが、当該正極外部端子25の材料は特に限定されるものではなく、導電性の良好な各種金属や合金を用いることができる。
【0039】
正極ガスケット31は、絶縁性を有する材料からなる部材である。本実施形態において、正極ガスケット31は、PFA樹脂製である。
【0040】
正極ガスケット31は、平面視略矩形状の板状の部位である基部31aを有しており、また、基部31aの表面の外縁部から上方に向けて延設された平面視略矩形状の枠状の部位である側壁部31bを有している。更に、正極ガスケット31は、基部31aの裏面から下方に向けて延設された円筒形状の部位である筒部31cを有している。なお、基部31aには、平面視中央部に上下面(表裏面)に貫通した貫通孔31dが形成され、当該貫通孔31dと筒部31cの筒内とが連通しており、当該筒内に正極外部端子25の軸部25bが挿通される。
【0041】
正極集電端子27は、電極体20から電力を出入力するための端子であり、封口板13の下面側、換言すれば、ケース本体11の内部に配設されている。本実施形態において、正極集電端子27はアルミニウム製であるが、正極集電端子27の材料は特に限定されるものではなく、導電性の良好な各種金属や合金を用いることができる。
【0042】
また、正極集電端子27は、二次電池1の高さ方向(Z軸方向)に沿って延びる長尺な板状の部材である。
図7に示すように、本実施形態の正極集電端子27は、その下端側に電極体20の正極端子接合部21に接合される電極接続部27aを有している。また、
図5及び
図6に示すように、正極集電端子27は、その上端側に、上下面が水平方向と平行な板状の端子接続部27bを有しており、端子接続部27bには、正極外部端子25の軸部25bを挿通するための貫通孔27cが上下面を貫通して形成されている。
【0043】
正極絶縁部材40は、絶縁性を有する材料からなる部材であり、
図7~
図9に示すように、本実施形態においては、平面視矩形状の板状に成形したPFA樹脂からなる部材である。本実施形態の正極絶縁部材40は、平面視における中央部に、正極外部端子25の軸部25bを挿通するための貫通孔41が上下面を貫通して形成されている。
【0044】
また、正極絶縁部材40の下面(裏面)の側には、正極集電端子27の端子接続部27bが嵌合可能な凹形状の端子嵌合部42が形成されている。なお、詳細については後述するが、正極絶縁部材40の上面(表面)には、正極回転防止機構PPの一部を構成する凸部43が形成されている。
【0045】
本実施形態の正極側においては、封口板13の長手方向一端側の上面に、筒部31cが封口板13の貫通孔14を挿通した状態で正極ガスケット31が配設されている。また、正極ガスケット31の側壁部31bに囲まれた空間内に、軸部25bが正極ガスケット31の筒部31cの筒内に挿通した状態で正極外部端子25が配設されている。一方、封口板13の長手方向一端側の下面には、凸部43が封口板13の凹部16内に位置した状態で正極絶縁部材40が配設されている。また、正極絶縁部材40の下方には、端子接続部27bが端子嵌合部42に嵌合した状態で正極集電端子27が配設されており、正極絶縁部材40に対する正極集電端子27の回転及び直線移動が規制されている。
【0046】
本実施形態において、正極絶縁部材40の貫通孔41及び正極集電端子27の貫通孔27cには、正極外部端子25の軸部25bが挿通しており、端子接続部27bから下方に突出した加締め部25cが加締め加工されることで、正極外部端子25と正極集電端子27とが接合されている。すなわち、正極外部端子25と正極集電端子27とは、正極外部端子25の軸部25bを介して電気的に接続されており、正極外部端子25の軸部25bは、正極端子組立体PSの軸部PAに相当する。また、本実施形態において、正極集電端子27の電極接続部27aが電極体20の正極端子接合部21に接合されており、正極集電端子27と電極体20とが電気的に接続されている。
【0047】
本実施形態では、正極外部端子25と封口板13とが正極ガスケット31によって絶縁され、正極集電端子27と封口板13とが正極絶縁部材40によって絶縁されている。また、本実施形態では、正極ガスケット31(具体的には筒部31c)によって、封口板13の貫通孔15と正極外部端子25の軸部25bとの気密が維持されている。
【0048】
本実施形態において、負極側は正極側と同様の構成を有している。詳細な説明については省略するが、本実施形態では、封口板13の長手方向他端側の上面の側に、負極ガスケット32及び負極外部端子26が配設されている。一方、封口板13の長手方向他端側の下面の側に、負極絶縁部材50及び負極集電端子28が配設されており、負極集電端子28の電極接続部28aが電極体20の負極端子接合部22に接合され、負極集電端子28と電極体20とが電気的に接続されている。負極側においても、負極外部端子26と負極集電端子28とは負極外部端子26の軸部(図示せず)を介して電気的に接続されており、負極外部端子26の軸部は、負極端子組立体NSの軸部NAに相当する。また、負極絶縁部材50の上面(表面)にも正極絶縁部材40と同様に、負極回転防止機構NPの一部を構成する凸部が形成されており、当該凸部が封口板13の凹部16内に位置した状態になっている。
【0049】
〔回転防止機構の構成〕
次に、回転防止機構の構成について説明する。回転防止機構は、絶縁部材が端子組立体の軸部を中心に回転するのを防止するための機構である。本実施形態において、封口体12は、回転防止機構として、正極絶縁部材40が正極端子組立体PSの軸部PAを中心に回転するのを防止するための正極回転防止機構PPと、負極絶縁部材50が負極端子組立体NSの軸部NAを中心に回転するのを防止するための負極回転防止機構NPとを備えている(
図2参照)。本実施形態の封口体12においては、正極回転防止機構PPと負極回転防止機構NPは同様の構成を有している。したがって、以下においては、正極回転防止機構PPを例にとって、その構成について、
図3、
図4、
図6及び
図8~
図11を参照しつつ説明する。なお、
図10は、従来の回転防止機構で生じ得る問題を説明するための模式図である。
図11は、正極回転防止機構PPの構成及び作用効果を説明するための模式図である。
【0050】
図6及び
図11に示すように、本実施形態の正極回転防止機構PPは、封口板13の下面に形成された凹部16と、当該封口板13の下面に対向する正極絶縁部材40の上面に形成された凸部43とで構成されており、凸部43が凹部16内に位置した状態で正極絶縁部材40が軸部PAを中心に回転しそうになった際に、凸部43と凹部16とが接触することで、当該正極絶縁部材40の回転が防止される。つまり、正極回転防止機構PPは、封口板13及び正極絶縁部材40の相互に対向する面のうちの一方の面に設けられた凹部16と、他方の面に設けられた凸部43とで構成されており、凹部16と凸部43との係合関係によって正極絶縁部材40の回転を防止するように構成されている。
【0051】
具体的に、本実施形態における封口板13の凹部16は、
図3及び
図4に示すように、封口板13の長手方向(X軸方向)における貫通孔14と一方端部との間且つ短手方向(Y軸方向)における中央部に、封口板13の下面の一部が上面側に向けて凹むように形成されている。一方、正極絶縁部材40の凸部43は、正極絶縁部材40の長手方向(X軸方向)における一方端側且つ短手方向中央部に、正極絶縁部材40の上面から突出するように形成されている。本実施形態においては、組付け性の観点から、正極絶縁部材40の凸部43の平面視におけるサイズは、封口板13の凹部16の底面視におけるサイズよりも小さくなっており、正常な状態(正極絶縁部材40が正常な位置から回転していない状態)において、凹部16と凸部43との間に平面視において隙間Sが形成される(
図11の上図参照)。
【0052】
ここで、
図10に示すように、封口板13の凹部16及び正極絶縁部材40の凸部43の平面視における形状が共に矩形状である場合、組付け時等に正極絶縁部材40が軸部PAを中心に上記隙間Sの分だけ回転する場合がある。そして、正極絶縁部材40が隙間Sの分だけ回転すると、凸部43の角が凹部16に点接触、或いは極めて狭い範囲で面接触する。そのため、凸部43に過剰な負荷がかかって変形したり、凸部43が破損するという問題が発生し得る。
【0053】
そこで、本実施形態においては、凹部16と凸部43との接触箇所に掛かる負荷を低減するための措置を講じている。以下、詳細に説明する。
【0054】
図3、
図4及び
図11に示すように、本実施形態における封口板13の凹部16は、封口板13の長手方向と交差する方向に沿って延び、相互に対向する第1凹部側接触面16a及び第2凹部側接触面16bを備えた形状を有している。第1凹部側接触面16aと第2凹部側接触面16bとの間隔は、正極端子組立体PSの軸部PAが挿通する貫通孔14からの距離(換言すれば、正極絶縁部材40の回転中心からの距離)が離れるほど広くなっている。具体的に、本実施形態の凹部16は、その底面視における形状が、高さ方向(X軸方向)が封口板13の長手方向と平行且つ貫通孔14からの距離が離れるほど幅広になる台形状である。なお、第1凹部側接触面16a及び第2凹部側接触面16bと封口板13の長手方向とがなす角度θ1は、凹部16と凸部43との間の隙間の大きさ等を考慮して、正極絶縁部材40が軸部PAを中心に回転した際に、第1凹部側接触面16a及び第2凹部側接触面16bと後述する第1凸部側接触面43a及び第2凸部側接触面43bとが面接触するように適宜設定すればよい。
【0055】
一方、
図8、
図9及び
図11に示すように、本実施形態における正極絶縁部材40の凸部43は、正極絶縁部材40の長手方向と平行な方向に沿って延び、相互に対向する第1凸部側接触面43a及び第2凸部側接触面43bを備えた形状を有している。具体的に、本実施形態の凸部43は、その平面視における形状が、長手方向が正極絶縁部材40の長手方向と平行な矩形状である。
【0056】
そして、
図11に示すように、本実施形態においては、正常な状態(正極絶縁部材40が正常な位置から回転していない状態、換言すれば非接触の状態)において、相互に対向する第1凹部側接触面16aと第1凸部側接触面43aとの間隔及び第2凹部側接触面16bと第2凸部側接触面43bとの間隔がそれぞれ正極端子組立体PSの軸部PAからの距離が離れるほど広くなっている。換言すれば、
図11に示すように、軸部PAに最も近い位置での第1凹部側接触面16aと第1凸部側接触面43aとの間隔をH1、軸部PAから最も遠い位置での第1凹部側接触面16aと第1凸部側接触面43aとの間隔をH2とした場合、H1<H2となるように、第1凹部側接触面16aと第1凸部側接触面43aとの間隔が軸部PAからの距離が離れるにつれて連続的に小さくなる。図示は省略したが、第2凹部側接触面16bと第2凸部側接触面43bとの間隔も同様である。これにより、正極絶縁部材40が正常な位置から軸部PAを中心に右回転した際には第1凸部側接触面43aの全体が第1凹部側接触面16aの全体に対して面接触し、左回転した際には第2凸部側接触面43bの全体が第2凹部側接触面16bの全体に対して面接触する。
【0057】
したがって、本実施形態においては、正極絶縁部材40が軸部PAを中心に右回転した場合も左回転した場合のいずれの場合においても、封口板13と正極絶縁部材40とが広い範囲で接触することになり、接触箇所に掛かる負荷を低減できる。よって、凸部43の形状を小さくしても正極絶縁部材40の回転防止に必要な強度要件を満たすことができ、封口板13と正極絶縁部材40とが点接触或いは極めて狭い範囲で面接触する場合と比較して、接触箇所への負荷の集中に起因する正極絶縁部材40の破損も抑えられる。
【0058】
また、本実施形態のように、金属製(具体的にはアルミニウム製)の封口板13に凹部16が形成され、樹脂製の正極絶縁部材40に凸部43が形成されている場合、金属製の封口板13により材料が必要となる凸部を形成する場合と比較して、材料コストの面で有利である。なお、封口板13に凹部16を形成する場合には、封口板13と比較して破損し易い樹脂製の正極絶縁部材40に凸部43が形成されることになるが、本実施形態では、上記のように、封口板13と正極絶縁部材40との接触箇所に掛かる負荷が低減される。そのため、凸部43が破損して正極絶縁部材40の回転を防止できなくなるという事態も生じ難い。
【0059】
更に、本実施形態の二次電池1では、上記のように、正極絶縁部材40の回転防止に要求される凸部の強度要件を緩くでき、且つ、正極絶縁部材40の破損も抑えられる。そのため、凸部の破損や正極絶縁部材40の破損に起因した部位(正極絶縁部材40や正極外部端子25、正極集電端子27等)の位置ずれによる組立時や使用時における不良が発生し難い。具体的に、本実施形態の二次電池1では、正極集電端子27の正極絶縁部材40に対する回転及び直線移動が規制されているため、使用時に正極集電端子27の回転による位置ずれが発生し難く、正極集電端子27と電極体20との接合箇所(電極接続部27aと正極端子接合部21との接合箇所)に過度な負荷が掛かって、当該接合箇所が破損するという問題も生じ難い。また、正極絶縁部材40に対する回転及び直線移動が規制された正極集電端子27に正極外部端子25が軸部PAを介して接続されているため、レーザ溶接や超音波溶接によりバスバ溶接部Baにバスバを溶接する際に、正極外部端子25の回転による位置ずれが発生し難く、溶接不良が発生し難い。
【0060】
詳細な説明については省略するが、上記のように本実施形態の封口体12においては、正極回転防止機構PPと負極回転防止機構NPは同様の構成を有している。したがって、負極回転防止機構NPも正極回転防止機構PPと同様の作用効果を奏する。
【0061】
〔別実施形態〕
〔1〕上記実施形態では、封口板13の下面に形成された凹部16,17と、当該封口板13の下面に対向する正極絶縁部材40及び負極絶縁部材50の各々の上面に形成された凸部43とで回転防止機構(正極回転防止機構PP及び負極回転防止機構NP)が構成されている態様について説明したが、このような態様に限られるものではない。封口板13の下面に凸部を形成し、当該凸部が係合する凹部を正極絶縁部材40及び負極絶縁部材50の各々の上面に形成し、これら凸部と凹部とで回転防止機構が構成される態様であってもよい。
【0062】
〔2〕上記実施形態では、封口板13の凹部16,17の底面視における形状が台形であり、第1凹部側接触面16aと第2凹部側接触面16bとの間隔が、正極絶縁部材40の回転中心からの距離が離れるほど広くなる態様について説明したが、これに限られるものではない。例えば、
図12に示すように、正極絶縁部材40の凸部43の平面視における形状を台形状、封口板13の凹部16,17の底面視における形状を矩形状とし、凸部43の第1凸部側接触面43aと第2凸部側接触面43bとの間隔を正極絶縁部材40の回転中心からの距離が離れるほど狭くして、第1凹部側接触面16aと第1凸部側接触面43aとの間隔及び第2凹部側接触面16bと第2凸部側接触面43bとの間隔がそれぞれ正極端子組立体PSの軸部PA(正極外部端子25の軸部25b)からの距離が離れるほど広くなる態様であってもよい。換言すれば、軸部PAに最も近い位置での第1凹部側接触面16aと第1凸部側接触面43aとの間隔をH3、軸部PAから最も遠い位置での第1凹部側接触面16aと第1凸部側接触面43aとの間隔をH4とした場合、H3<H4となるように、第1凹部側接触面16aと第1凸部側接触面43aとの間隔が軸部PAからの距離が離れるにつれて連続的に広くなる態様であってもよい。この場合でも、上記と同様に、正極絶縁部材40が正常な位置から軸部PAを中心に隙間Sの分だけ右回転した際には第1凸部側接触面43aの全体が第1凹部側接触面16aの全体に対して面接触し、左回転した際には第2凸部側接触面43bの全体が第2凹部側接触面16bの全体に対して面接触する。したがって、封口板13と正極絶縁部材40とが広い範囲で接触することになり、接触箇所に掛かる負荷を低減できる。
【0063】
〔3〕上記実施形態では、各外部端子25,26の板状部25aの表面がバスバ溶接部Baである態様について説明したが、これに限られるものではない。二次電池の封口体が端子組立体の軸部と平行な方向に沿って配置されたバスバ接続用ボルトを有していてもよい。例えば、
図13に示すように、二次電池60の封口体61が、端子組立体62a,62bを構成する正極外部端子63a及び負極外部端子63bと電気的に接続されたバスバ接続用ボルト65a,65bを有し、バスバ接続用ボルト65a,65bが端子組立体62a,62bの軸部64a,64bと平行な方向に沿って延びている態様であってもよい。この場合、
図13に示すように、一の二次電池60の正極外部端子63aと電気的に接続されたバスバ接続用ボルト65aと、隣接する二次電池60の負極外部端子63bと電気的に接続されたバスバ接続用ボルト65bとをバスバBによって接続するために、各バスバ接続用ボルト65a,65bとナット66a,66bとによってバスバBを締結するが、その際に発生するトルクによって絶縁部材が回転する場合がある。しかしながら、絶縁部材が回転したとしても、封口板と絶縁部材との接触が面接触となり、封口板と絶縁部材との接触箇所に掛かる負荷を低減でき、当該負荷に起因する問題の発生を抑制できる。
なお、
図13には、端子組立体62a,62bの軸部64a,64bとバスバ接続用ボルト65a,65bとが同軸でない場合の二次電池60を示したが、バスバ接続用ボルト65a,65bは端子組立体62a,62bの軸部64a,64bと同軸上に配置されていてもよい。
【0064】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 :二次電池
11 :ケース本体(筐体)
12 :封口体
13 :封口板(蓋体)
14a,14b:貫通孔
16,17:凹部
16a :第1凹部側接触面
16b :第2凹部側接触面
20 :電極体
25 :正極外部端子(外部端子)
25b :軸部
26 :負極外部端子(外部端子)
27 :正極集電端子(集電端子)
28 :負極集電端子(集電端子)
40 :正極絶縁部材(絶縁部材)
41 :貫通孔
43 :凸部
PS :正極端子組立体(端子組立体)
PA :軸部
NS :負極端子組立体(端子組立体)
NA :軸部
PP :正極回転防止機構(回転防止機構)
NP :負極回転防止機構(回転防止機構)
Ba :バスバ溶接部