(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102548
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】疑似餌および疑似餌の製造方法
(51)【国際特許分類】
A01K 85/01 20060101AFI20240724BHJP
A01K 85/16 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
A01K85/01 A
A01K85/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006513
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000230630
【氏名又は名称】株式会社ルミカ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】大屋 晃洋
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307BA30
2B307BA42
2B307BA46
2B307BA61
2B307BA70
(57)【要約】
【課題】他の物体にぶつかり、また、他の物体と擦れ合う等しても、発光材が損傷することを防止できる疑似餌を提供する。
【解決手段】外面9に凹部11が設けられた疑似餌本体部3と、蓄光材料、蛍光材料の少なくともいずれかを含んで構成されており、凹部11内に設けられている発光材5とを有する疑似餌1である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面に凹部が設けられた疑似餌本体部と、
蓄光材料、蛍光材料の少なくともいずれかを含んで構成されており、前記凹部内に設けられている発光材と、
を有する疑似餌。
【請求項2】
前記凹部は、複数本の溝で形成されており、
前記疑似餌本体部の外面の、前記複数本の溝が形成されておらず前記複数本の溝の間に位置している面が、互いが離れ、複数形成されている請求項1に記載の疑似餌。
【請求項3】
前記発光材は、前記疑似餌本体部の外面の、前記複数本の溝が形成されておらず前記複数本の溝の間に位置している面にも設けられており、
前記疑似餌本体部の外面の前記複数本の溝が形成されておらず前記複数本の溝の間に位置している面に設けられている発光材は、光を通さない遮光材で覆われている請求項2に記載の疑似餌。
【請求項4】
外面に凹部が設けられた疑似餌本体部の前記凹部と、前記疑似餌本体部の外面の、前記凹部が形成されておらず前記凹部を形成する複数本の溝によって囲まれている面とに、蓄光材料、蛍光材料の少なくともいずれかを含んで構成されている発光材を設置する発光材設置工程と、
前記発光材設置工程で発光材が設置された後に、前記疑似餌本体部の外面の、前記凹部が形成されておらず前記凹部を形成する複数本の溝によって囲まれている面の発光材に遮光材を設置する遮光材設置工程と、
を有する疑似餌の製造方法。
【請求項5】
前記遮光材設置工程は、前記疑似餌本体部の外面の、前記凹部が形成されておらず前記凹部を形成する複数本の溝によって囲まれている面に対して斜めに交差する方向から、未硬化の前記遮光材を吹き付けて、前記遮光材を設置する工程である請求項4に記載の疑似餌の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疑似餌および疑似餌の製造方法に係り、特に、魚、イカ、タコ等に対して使用されるものに関する。
【背景技術】
【0002】
釣りや漁で使用される疑似餌として、従来より、様々なものが知られている(特許文献1参照)。疑似餌には、この機能を高めるための工夫がされている。たとえば、釣りや漁において魚、イカ、タコ等の獲物の食いつきを良くするために、疑似餌の表面に蛍光体等を塗り付けて疑似餌の表面を発光させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、表面が発光する従来の疑似餌では、疑似餌が他の物体にぶつかり、また、他の物体と擦れ合う等することで、発光材が損傷してしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、他の物体にぶつかり、また、他の物体と擦れ合う等しても、発光材が損傷することを防止できる疑似餌を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る疑似餌は、外面に凹部が設けられた疑似餌本体部と、蓄光材料、蛍光材料の少なくともいずれかを含んで構成されており、前記凹部内に設けられている発光材とを有する疑似餌である。
【0007】
また、本発明の態様に係る疑似餌では、前記凹部が、複数本の溝で形成されており、前記疑似餌本体部の外面の、前記複数本の溝が形成されておらず前記複数本の溝の間に位置している面が、互いが離れ、複数形成されている。
【0008】
また、本発明の態様に係る疑似餌では、前記発光材が、前記疑似餌本体部の外面の、前記複数本の溝が形成されておらず前記複数本の溝の間に位置している面にも設けられており、前記疑似餌本体部の外面の前記複数本の溝が形成されておらず前記複数本の溝の間に位置している面に設けられている発光材は、光を通さない遮光材で覆われている。
【0009】
本発明の態様に係る疑似餌の製造方法は、外面に凹部が設けられた疑似餌本体部の前記凹部と、前記疑似餌本体部の外面の、前記凹部が形成されておらず前記凹部を形成する複数本の溝によって囲まれている面とに、蓄光材料、蛍光材料の少なくともいずれかを含んで構成されている発光材を設置する発光材設置工程と、前記発光材設置工程で発光材が設置された後に、前記疑似餌本体部の外面の、前記凹部が形成されておらず前記凹部を形成する複数本の溝によって囲まれている面の発光材に遮光材を設置する遮光材設置工程とを有する。
【0010】
また、本発明の態様に係る疑似餌の製造方法では、前記遮光材設置工程が、前記疑似餌本体部の外面の、前記凹部が形成されておらず前記凹部を形成する複数本の溝によって囲まれている面に対して斜めに交差する方向から、未硬化の前記遮光材を吹き付けて、前記遮光材を設置する工程となっている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、他の物体にぶつかり、また、他の物体と擦れ合う等しても、発光材が損傷することを防止できる疑似餌を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の1つ目の実施形態に係る疑似餌(エギ)を示す図である。
【
図2】本発明の2つ目の実施形態に係る疑似餌(プラスチックルアー)を示す図である。
【
図3】本発明の3つ目の実施形態に係る疑似餌(スッテ)を示す図である。
【
図4】本発明の4つ目の実施形態に係る疑似餌(メタルジグ)を示す図である。
【
図5】(a)は
図1におけるVA部の拡大図であり、(b)は(a)におけるVB-VB断面を示す図であり、(c)は(b)に相当する図であって、発光材の設置形態の変形例を示す図である。
【
図6】
図5(a)に相当する図であって、凹部の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態に係る疑似餌1は、釣りや漁で使用されるものであり、
図1、
図5で示すように、疑似餌本体部3と発光材5とを備えて構成されている。
【0014】
ここで、説明の便宜のために、疑似餌1における所定の一方向を前後方向とし、前後方向に対して直交する所定の一方向を横方向とし、前後方向と横方向に対して直交する方向を上下方向とする。
【0015】
疑似餌本体部3の外面(肉部7の表面)9には、凹部11が設けられている。疑似餌本体部3は、たとえば、凹部11とともに、合成樹脂等の材料で一体的に形成されている。凹部11は、疑似餌本体部3の外面から疑似餌本体部3の中心側に凹んでいる。
【0016】
発光材5は、蓄光材料、蛍光材料(蛍光体)の少なくともいずれかを含んで構成されており、凹部11内に設けられている。疑似餌1として、エギ、プラスチックルアー、スッテ、メタルジグ等を掲げることができる。エギ、プラスチックルアー、スッテ、メタルジグ等の詳細については後述する。
【0017】
疑似餌本体部3は、イカ、タコ、魚等(漁や釣りの獲物等)の餌を模した形状(疑似餌1を捕食する魚等が餌と間違える形状)になっている。たとえば、イカ、タコ、魚の疑似餌1として、小エビの形状のもの、紡錘型の小魚の形状のもの掲げることができる。
【0018】
疑似餌1も疑似餌本体部3と同様に魚等の餌を模した形状になっている。すなわち、疑似餌本体部3が紡錘型の魚に形状になっているのであれば、疑似餌1も紡錘型の魚の形状になっている。
【0019】
発光材5は、疑似餌1としての機能(魚の食いつきを良くする機能)を高めるために設けられている。発光材5は、たとえば、蓄光材料もしくは蛍光材料とウレタン樹脂等の合成樹脂等した混合したものであり、塗布することで疑似餌本体部3に設けられている。
【0020】
発光材5は、疑似餌1(疑似餌本体部3)の外面から凹んでいる凹部11内に設けられている。また、発光材5は、
図5(b)で示すように、膜状になって、凹部11(凹部11の底面13、凹部11の側面15)を覆っている。なお、疑似餌1の姿勢にかかわらず、疑似餌1の外側から発光材5もしくは発光材5が発する光(可視光)が見えるようになっている。
【0021】
また、疑似餌1(疑似餌本体部3)を、仮に物体(図示せず)の平面に当接させても、疑似餌本体部3の外面から凹んでいる凹部11の底面13、凹部11の側面15が、上記平面に接することない。凹部11内に設けられている発光材5も、上記平面に接することがない。
【0022】
蓄光材料は、紫外線や可視光等の光エネルギーを外部から吸収しエネルギーを蓄え(励起し)、蓄えたエネルギーを可視光線に変換して(励起光として)発光するようになっている。蓄光材料は、光源が断たれた後も一定時間発光し続け、特に、暗所ではっきりと視認することができるようになっている。
【0023】
蛍光材料は、紫外線や可視光など、外部からの光エネルギーを吸収し、光に変換して発光するようになっている。蛍光材料は、光源が断たれるとすぐに発光を停止する。
【0024】
凹部11は、所定の幅の複数本の溝17で形成されている。疑似餌本体部3の外面9の、複数本の溝17が形成されておらず複数本の溝17の間に位置している面(たとえば、複数本の17溝によって囲まれている複数の面)19を横方向で見ると、前後方向および上下方向で互いが離れている。また、複数の面19を横方向で見ると、前後方向および上下方向でならんでいる。
【0025】
また、複数本の溝17のそれぞれは、お互い互いが離れ、また、お互いが交差するようにして、疑似餌本体部3の外面9に沿って延びている。なお、複数本の溝17のそれぞれが、お互いが離れ、お互いがほぼ平行になって、疑似餌本体部3の外面9に沿って延びていてもよい。また、
図1で示す溝17は、円弧状等の曲がった態様で延びているが、
図2等で示すように、溝17が直線状の態様で延びていてもよい。
【0026】
疑似餌本体部3の外面9の、複数本の溝17が形成されておらず複数本の溝17の間に位置している面19は、溝17の底面13を基準面とすれば、溝17の底面13よりも突出している凸面部(凸面)19であると言える。なお、凸面部19は、概ね合同な形状、お互いが概ね相似な形状になっている。また、凸面部19は、外面9の一部になっている。
【0027】
疑似餌1(疑似餌本体部3)を横方向で見ると、凸面部19の面積の値が、複数本の溝17の面積の値よりも大きくなっている。なお、疑似餌1を横方向で見て、凸面部19の面積の値が、複数本の溝17の面積の値よりも小さくなっていてもよい。
【0028】
図5(b)で示すように、発光材5は、凹部11内だけでなく、凸面部19にも設けられている。すなわち、発光材5は膜状になって、凹部11の底面13、側面15だけでなく、凸面部19をも覆っている。
【0029】
また、疑似餌1には、遮光材(発光材5が発する可視光を通さない遮光材)21が設けられている。遮光材21は、凸面部19に設けられている。遮光材21は、塗布することで、膜状になって、凸面部19を覆っている発光材5に設けられている。
【0030】
1つ目の実施形態に係る疑似餌1について、
図1、
図5を参照しつつさらに詳しく説明する。
図1で示す疑似餌1(1a)は、たとえば、イカ釣り用に使用されるエギである。エギ1aは、紡錘型の小魚の形状のものに見えるが、小エビの形状のものにも見える。
【0031】
疑似餌本体部3は、合成樹脂もしくは木材で形成されている。疑似餌本体部3の外径の値(前後方向に対して直交する平面による断面の面積の値)は、前後方向で次第に変化している。すなわち、外径の値が前端で小さく、後側に向かうにしたがって次第に大きくなり、前後方向の中央部で最大になっている。また、疑似餌本体部3の外径の値は、前後方向の中央部から後側に向かうにしたがって次第に小さくなっている。疑似餌本体部3の前端における外径の値と、後端における外径の値とは互いがほぼ等しくなっている。
【0032】
また、疑似餌本体部3は、疑似餌本体部3の前端の中心から疑似餌本体部3の後端の中心まで延びる中心軸が若干曲がっている。この曲がりにより、疑似餌本体部3(疑似餌1)が小エビのように見える。
【0033】
疑似餌本体部3の前側の部位は頭部23になっており、疑似餌本体部3の後側の部位は胴体部25になっている。前後方向での頭部23の寸法の値は、前後方向での胴体部25の寸法の値よりも小さくなっている。たとえば、前後方向での胴体部25の寸法の値は、前後方向での頭部23の寸法の値の3倍程度になっている。凹部11(溝17)と凸面部19とは、胴体部25に設けられている。さらに説明すると、凹部11と凸面部19とは、胴体部25のほぼ全体に設けられている。
【0034】
頭部23の前端からは、ラインアイ27が前側に僅かに突出している。胴体部25の後端からは複数(たとえば2つの)のリヤフック(カンナ)29が後側に突出している。2つのリヤフック29は、直列につながっている。
【0035】
溝17は、所定の幅で複数の半円弧状の溝(横方向で見て半円弧状に見える溝)17が前後方向および上下方向にならんでつながっていることで形成されている。これにより、横方向で見て、凸面部19は中心角が90°程度の扇形状になっており、また、複数の凸面部19が縦方向および上下方向にならんでいる。なお、溝17が半円弧状に形成されていることで、凸面部19の扇形状では、2本の半径が直線ではなく円弧状になっている。また、凸面部19の扇形状では、扇形の中心角の相当する箇所が前側に位置し、扇形の円弧に相当する箇所が後側に位置している。なお、扇形の中心角の相当する箇所が後側に位置し、扇形の円弧に相当する箇所が前側に位置していてもよい。
【0036】
図5(b)では、溝17の断面形状(溝17の延伸方向に対して直交する平面による断面の形状)が、長方形状になっているが、溝17の断面の形状が、半円形状、弓形状、三角形状、台形状等の他の形状になっていてもよい。
【0037】
発光材5は、薄い膜状になっており、
図5(b)で示すように、溝17の底面13、溝17の側面15、および、凸面部19の表面の全面を覆うようにして、疑似餌本体部3に一体的に設けられている。
【0038】
遮光材21は、薄い膜状になっており、凸面部19に設けられている発光材5の表面の全面を覆うようにして疑似餌本体部3に一体的に設けられているが、溝17の底面13および溝17の側面15に設けられている発光材5には、設けられていない。
【0039】
ここで、発光材5が設けられている疑似餌本体部3に遮光材21を設ける場合の、遮光材21の噴霧方向について説明する。まず、
図5(a)に矢印A1で示すように、斜めの方向(たとえば、疑似餌本体部3の上方であって斜めな方向)から、疑似餌本体部3に向けて1回目の遮光材21の噴霧をする。1回目の噴霧をして疑似餌本体部3に設置された遮光材21が硬化した後、
図5(a)に矢印A2で示すように、斜めの方向(たとえば、疑似餌本体部3の下方であって斜めな方向)から、疑似餌本体部3に向けて2回目の遮光材21の噴霧をする。
【0040】
なお、上記説明では、遮光材21の噴霧方向を斜めにして、遮光材21を設けている。これとは異なり、溝17の底面13、溝17の側面15、および、凸面部19の表面に発光材5を設けた後、凹部11にマスキングをして、遮光材21を設けてもよいし、刷毛等を用い、凹部11を避けて凸面部19の発光材5に遮光材21を設けてもよい。
【0041】
また、
図5(c)で示すように、刷毛等を用い、もしくは、マスキングにより、凸面部19に発光材5を設けることなく、溝17の底面13および溝17の側面15に発光材5を設けてもよい。この場合、遮光材21が不要になる。なお、
図5(c)で示す態様において、溝17の底面13、溝17の側面15の少なくともいずれかに発光材5を設けてもよい。
【0042】
図1で示すエギ1aには、目に相当する部位31とシンカー33とが設けられている。なお、エギ1aにおいて、シンカー33を設けることに代えてもしくは加えて、錘(図示せず)を疑似餌本体部3の内部に設けてもよい。
【0043】
エギ1aの目に相当する部位31は、たとえば、LEDによって発光するようになっている。また、
図1に参照符号35で示すものは、羽毛等(図示せず)を設置する部位である。部位35は、たとえば円柱状の凹部もしくは円柱状の凸部で形成されている。部位35に設けられた羽毛等は、エギ1aの外部に位置するようになっている。羽毛等を設けることで、エギ1aの機能を一層高めることができる。
【0044】
疑似餌1は、外面9に凹部11が設けられた疑似餌本体部3と凹部11内に設けられている発光材5とを備えて構成されている。そして、発光材5が疑似餌1の外面9から突出ることなく凹部11内に収まっている。これにより、疑似餌1が、他の物体にぶつかり、また、他の物体と擦れ合う等しても、凹部11内の発光材5が、他の物体に接することが無くなる。そして、疑似餌1が、他の物体にぶつかり、また、他の物体と擦れ合う等したときの、発光材5の損傷を防止することができる。
【0045】
また、疑似餌1では、疑似餌本体部3に凹部11が設けられており、発光材5が凹部11内に設けられているので、発光材5が発光することで、疑似餌1に立体感が生まれ、これによって、魚等の食いつきを良くする等の機能をさらに向上させることができる。
【0046】
また、疑似餌1では、凹部11が複数本の溝17で形成されている。これにより、疑似餌1での発光箇所を長く帯状に複数本設けることができ、疑似餌1の発光の明るさを確保しやすくなる。また、疑似餌1では、複数の凸面部19が互いに離れて形成されているので、これによっても立体感を創出することができる。
【0047】
また、疑似餌1では、複数本の溝17のそれぞれが、お互い互いが離れ、また、お互いが交差するようにして、疑似餌本体部3の外面9に沿って延びている。これにより、前後方向および上下方向で所定の間隔をあけてならんでいる凸面部19が形成されている。これらの凸面部19は鱗のように見える。そして、疑似餌1としての機能を一層高めることができる。
【0048】
また、疑似餌1では、発光材5が、疑似餌本体部3の外面9の凸面部19にも設けられており、凸面部19に設けられている発光材5が、光を通さない遮光材21で覆われている。これにより、凹んでいることで発光材5の設置が面倒である凹部11のみをわざわざ選択して発光材5を設ける必要が無くなり、疑似餌1の製造が容易になる。
【0049】
さらに説明すると、疑似餌本体部3の凹部11と凸面部19との両方に同時に発光材5を設け、発光材5が硬化した後に、凸面部19を覆っている発光材5に遮光材21を設ければよいので、遮光材21を容易に設けることができる。
【0050】
ここで、疑似餌1の製造方法について説明する。疑似餌1の製造方法は、発光材設置工程と遮光材設置工程とを有している。
【0051】
発光材設置工程では、外面9に凹部11が設けられた疑似餌本体部3の凹部11と、凸面部19とに、蓄光材料、蛍光材料の少なくともいずれかを含んで構成されている発光材5を、たとえば、吹付け等により塗布して設置する。凸面部19とは、上述したように、疑似餌本体部3の外面9の、凹部11が形成されておらず凹部11の複数本の溝17によって囲まれている面である。
【0052】
発光材設置工程で発光材5が設置された後の状態では、凹部11内に設けられた発光材5は、凹部11内に収まっており、凸面部19よりも突出していることはない。すなわち、発光材5は、薄い膜状になって疑似餌本体部3の溝17の表面(底面13、側面15)を覆っている。これにより、凹部11の深さ寸法の値と凹部11の幅寸法の値とは、発光材5が設けられていない疑似餌本体部3のものに比べて僅かに小さい状態になっている。
【0053】
遮光材設置工程では、発光材設置工程で発光材5が設置され発光材5が硬化した後に、凸面部19の発光材5に(凸面部19を覆っている発光材5を覆うように)遮光材21を、たとえば吹付け等により塗布して設置する。
【0054】
また、遮光材設置工程では、
図5(b)に矢印A1、A2で示すように、凸面部19に対して斜めに交差する方向(凹部の深さ方向に対して斜めに交差する方向)から、未硬化の遮光材21を吹き付けて、遮光材21を設置する。
【0055】
凸面部19に対して斜めに交差する方向からの未硬化の遮光材21を吹き付けは、未硬化の遮光材21を凸面部19に塗布し、未硬化の遮光材21を凹部11に極力塗布しないようにするためになされる。
【0056】
なお、凸面部19に対して斜めに交差する方向からの未硬化の遮光材21の吹き付けをしても僅かな遮光材21が凹部11に入り込み、凹部11の表面(底面13、側面15)を覆っている発光材5に僅かに付着してしまう。しかし、遮光材21が凹部11の表面を覆っている発光材5に僅かに付着しても、凹部11の表面を覆っている発光材5が発する可視光が、凹部11の発光材5に僅かに付着している遮光材21で遮られることはほとんどない。したがって、凹部11の発光材5の発光が、疑似餌1の外部から見えるようになっている。
【0057】
そして、暗闇で凹部11に設けられている発光材5が光り、また、凸面部19に設けられている発光材5が発する可視光が遮光材21で遮られ、凸面部19のところが暗闇で光らないようになっている。
【0058】
凸面部19の遮光材(凸面部19に設けられている発光材5を覆っている遮光材)21の表面は、可視光を反射するようになっている。すなわち、凸面部19の遮光材21は、反射材としての機能を備えている。なお、凸面部19の遮光材21の表面が、可視光をほぼ反射しないようになっていてもよい。
【0059】
また、複数の凸面部19に設けられている遮光材21の反射率が、互いに異なっていてもよい。たとえば、遮光材21の反射率が前側で高く、後側に向かうにしたがって、次第に低くなっていてもよいし、この逆の形態であってもよい。また、遮光材21の反射率が上側で高く、下側に向かうにしたがって、低くなっていてもよいし、この逆の形態であってもよい。さらに、遮光材21の反射率が、前後方向と上下方向との両方向で変化する形態になっていてもよい。
【0060】
また、凹部11内に設けられている発光材5の輝度が、遮光材21の反射率と同様に変化する態様であってもよいし、凹部11内に設けられている発光材5の色が、遮光材21の反射率と同様に変化する態様であってもよい。
【0061】
また、遮光材設置工程では、未硬化の遮光材21を、交差角度を変えて(吹き付け方向を変えて)複数回吹き付け、遮光材21を設置するようになっている。
【0062】
疑似餌1の製造方法では、発光材設置工程で発光材5が塗布された後に、遮光材設置工程で凸面部19の発光材5に遮光材21を設置するようになっている。これにより、疑似餌1の製造が容易になる。
【0063】
また、疑似餌1の製造方法では、遮光材設置工程で、凸面部19に対して斜めに交差する方向から未硬化の遮光材21を吹き付けて凸面部19に遮光材を設置するようになっている。これにより、凹部11にマスキングをしなくても、凹部11内に遮光材21が入ることを防ぎつつ、遮光材21を凸面部19の発光材5に設けることができ、疑似餌1の製造が容易になる。
【0064】
また、疑似餌1の製造方法では、遮光材設置工程で、未硬化の遮光材21を、交差角度を変えて複数回吹き付け、遮光材21を設置するようになっている。これにより、凹部11にマスキングをしなくても、凹部11内に遮光材21が入ることを一層確実に防ぎつつ、遮光材21を凸面部19の発光材5に設けることができる。
【0065】
2つ目の実施形態に係る疑似餌1について
図2を参照しつつ詳しく説明する。
図2で示す疑似餌1(1b)は、プラスチックルアーであり、たとえば、魚釣用に使用されるものである。プラスチックルアー1bは、紡錘型の小魚の形状に見える。
【0066】
プラスチックルアー1bは、疑似餌本体部3中心軸が直線状になっており、凹部11を形成する溝17が横方向で見て直線状になっており、凸面部19がひし形になっている等の点が、
図1で示すエギ1aと異なり、その他の点は、エギ1aと同様に構成されている。
【0067】
プラスチックルアー1bで、リヤフック(1つのリヤフック)29の他にフック37が設けられている。フック37は、前後方向でプラスチックルアー1bの中央よりもやや前側、上下方向でプラスチックルアー1bの下側に設けられている。
【0068】
凹部11を形成する溝17は、所定の幅で複数の直線状の溝(横方向で見て直線状に見える溝)17が前後方向や上下方向に対して斜めに延伸している。そして、凸面部19がひし形状に形成されている。
【0069】
また、プラスチックルアー1bでは、羽毛等を(図示せず)を設置する部位35が設けられていないが、プラスチックルアー1bに部位35を設けてもよい。
【0070】
3つ目の実施形態に係る疑似餌1について
図3を参照しつつ詳しく説明する。
図3で示す疑似餌1(1c)は、スッテ(金属製もしくはプラスチック製のスッテ)であり、たとえば、魚釣用に使用されるものである。スッテ1cは、紡錘型の小魚の形状に見える。
【0071】
スッテ1cは、シンカー33が設けられておらず、疑似餌本体部3中心軸が直線状になっている等の点が、
図1で示すエギ1aと異なり、その他の点は、エギ1aと同様に構成されている。また、スッテ1cは、リヤフック(1つのリヤフック)29が設けられている。
【0072】
なお、スッテ1cにおいて、シンカー33を設けてもよい。さらに、スッテ1c(疑似餌本体部3)がプラスチックで形成されている場合、シンカー33を設けることに代えてもしくは加えて、錘(図示せず)を疑似餌本体部3の内部に設けてもよい。また、スッテ1cにおいて、羽毛等を(図示せず)を設置する部位35を設けてもよい。
【0073】
4つ目の実施形態に係る疑似餌1について
図4を参照しつつ詳しく説明する。
図4で示す疑似餌1(1d)は、メタルジグ(金属製ルアー)であり、たとえば、魚釣用に使用されるものである。メタルジグ1dは、紡錘型の小魚の形状に見える。
【0074】
メタルジグ1dは、疑似餌本体部3中心軸が直線状になっており、凹部11を形成する溝17がプラスチックルアー1bと同様に横方向で見て直線状になっており、凸面部19がひし形になっている等の点が、
図1で示すエギ1aと異なっている。また、メタルジグ1dのその他の点は、エギ1aと同様に構成されている。なお、メタルジグ1dでも、羽毛等を(図示せず)を設置する部位35が設けられていないが、メタルジグ1dに部位35を設けてもよい。
【0075】
ところで、上記説明では、凹部11が溝17で形成されているが、凹部11を溝17以外の形態で設けてもよい。たとえば、
図6で示すように、円形状等の所定形状の複数のへこみ39で、凹部11を形成してもよい。さらに、
図6で示すへこみ39の箇所を凸部(凸面部19として突出させ、へこみ39以外の箇所をへこませて凹部11としてもよい。
【0076】
また、疑似餌1を、魚、イカ、タコ等の軟体動物の頭足類の他、カニ、エビ等の節足動物の甲殻類に使用してもよい。また、疑似餌1(疑似餌本体部3)として、小エビ、子魚以外の形状のものを採用してもよい。たとえば、魚やイカ・イカ等の切り身の形状、アサリ等の貝類の形状、エビやカニやオキアミ等の形状、哺乳類や鳥類の肉や皮や内臓の形状、昆虫類の形状、もしくは、ゴカイ類の形状のものを採用してもよい。
【0077】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 疑似餌
3 疑似餌本体部
5 発光材
9 外面
11 凹部
17 溝
19 面(凸面部)
21 遮光材