(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102550
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】ワーク二枚取り防止装置及びワーク供給システム
(51)【国際特許分類】
B65H 3/48 20060101AFI20240724BHJP
【FI】
B65H3/48 310A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006516
(22)【出願日】2023-01-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】居駒 周
(72)【発明者】
【氏名】塔鼻 理恵
(72)【発明者】
【氏名】小泉 典久
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FC01
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD04
3F343JD28
3F343KB05
3F343LD07
3F343MA26
3F343MB03
3F343MB14
3F343MC13
(57)【要約】
【課題】ワークのサイズに関わらずワークの二枚取りを防止できるワーク二枚取り防止装置及びワーク供給システム。
【解決手段】ワーク載置台上に積載されたワーク群の最上位のワークと残りの前記ワーク群との間に圧縮空気を吹き付けるエアセパレータと、前記エアセパレータを制御する制御部とを備え、前記エアセパレータは、連続的に前記圧縮空気を吹き出す連続ブローと、断続的に前記圧縮空気を吹き出すパルスブローとを実行可能に構成されており、前記制御部は、前記ワークのサイズに応じて前記エアセパレータの前記連続ブロー及び前記パルスブローを制御するよう構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク載置台上に積載されたワーク群の最上位のワークと残りの前記ワーク群との間に圧縮空気を吹き付けるエアセパレータと、
前記エアセパレータを制御する制御部と
を備え、
前記エアセパレータは、連続的に前記圧縮空気を吹き出す連続ブローと、断続的に前記圧縮空気を吹き出すパルスブローとを実行可能に構成されており、
前記制御部は、ワークのサイズに応じて前記エアセパレータの前記連続ブロー及び前記パルスブローを制御するよう構成されている
ワーク二枚取り防止装置。
【請求項2】
前記エアセパレータは、前記連続ブローと前記パルスブローを切り替え可能に構成されている
請求項1に記載のワーク二枚取り防止装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記圧縮空気の吹き出し方向に沿う前記ワークの長さが所定の長さ以上と判定した場合には、前記パルスブローを所定の時間実行した後、前記連続ブローを実行するよう前記エアセパレータを制御する
請求項1又は2に記載のワーク二枚取り防止装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記パルスブローを実行する時間を前記ワークの表面積、密度及び板厚の少なくともいずれか1つ以上に基づいて算出する
請求項3に記載のワーク二枚取り防止装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記最上位のワークに下位の前記ワークが張り付いていると判定した場合には、前記パルスブローを所定の時間実行した後、前記連続ブローを実行するよう前記エアセパレータを制御する
請求項3に記載のワーク二枚取り防止装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のワーク二枚取り防止装置と、
前記ワーク群から前記最上位のワークを搬送するワーク供給ロボットと
を備える
ワーク供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク二枚取り防止装置及びワーク供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、積載エリアに積載した複数の板材のうちの最上部の板材をエアの圧力によって分離するエアセパレータがある(特許文献1等)。従来のエアセパレータは、例えば、積載エリアに隣接する位置に立設された支持部材と、支持部材の一方側に設けられ、上下方向へ延びたガイド長穴を有したカム部材と、カム部材のガイド長穴に案内される従動子を有したスライダと、スライダに設けられ、最上部の板材の表面を上方向から当接する当接部材と、スライダに設けられ、最上部の板材の端面側に向かってエアを噴射するノズルとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のエアセパレータは、ワークに対してノズルから連続的に圧縮空気を噴射するため、ワークのサイズや種類によっては、ワークの二枚取りを防ぐことができないという問題がある。
【0005】
本発明の一態様は、ワークのサイズに関わらずワークの二枚取りを防止できるワーク二枚取り防止装置及びワーク供給システムである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るワーク二枚取り防止装置は、ワーク載置台上に積載されたワーク群の最上位のワークと残りの前記ワーク群との間に圧縮空気を吹き付けるエアセパレータと、前記エアセパレータを制御する制御部とを備え、前記エアセパレータは、連続的に前記圧縮空気を吹き出す連続ブローと、断続的に前記圧縮空気を吹き出すパルスブローとを実行可能に構成されており、前記制御部は、ワークのサイズに応じて前記エアセパレータの前記連続ブロー及び前記パルスブローを制御するよう構成されている。
【0007】
本発明の一態様に係るワーク供給システムは、上述したワーク二枚取り防止装置と、前記ワーク群から前記最上位のワークを搬送するワーク供給ロボットとを備える。
【0008】
本発明の一態様に係るワーク二枚取り防止装置及びワーク供給システムによれば、ワークのサイズに応じてエアセパレータの圧縮空気の噴射方法を制御するため、ワークのサイズに関わらずワークの二枚取りを防止できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様に係るワーク二枚取り防止装置及びワーク供給システムによれば、ワークのサイズに関わらずワークの二枚取りを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るワーク供給システムを示す概略図である。
【
図2】
図2は、本実施形態のワーク供給システムの一部を示す正面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態のワーク供給ロボットのロボットハンドを示す概略図である。
【
図4】
図4は、本実施形態のエアセパレータを示す概略図である。
【
図5】
図5は、本実施形態のエアセパレータを示す概略図である。
【
図6】
図6は、本実施形態のエアセパレータの凹凸部の作用を示す概略図である。
【
図7】
図7は、本実施形態のエアセパレータの凹凸部の作用を示す概略図である。
【
図8】
図8は、本実施形態のエアセパレータの動作を示す概略図である。
【
図9】
図9は、本実施形態のエアセパレータの動作を示す概略図である。
【
図10】
図10は、本実施形態のエアセパレータの一部を示す機能ブロック図である。
【
図11】
図11は、本実施形態の連続ブローを示す概略図である。
【
図12】
図12は、本実施形態のパルスブローを示す概略図である。
【
図13】
図13は、本実施形態の制御装置を示す機能ブロック図である。
【
図14】
図14は、本実施形態のワーク供給ロボットのロボットハンドの移動方向の一例を示す概略図である。
【
図15】
図15は、本実施形態の圧縮空気吹き出し方向の一例を示す概略図である。
【
図16】
図16は、本実施形態のワーク供給方法の一例を示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、本実施形態のワーク供給方法の一例を示すフローチャートである。
【
図18】
図18は、本実施形態のエアセパレータの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0012】
[本実施形態に係るワーク供給システムの全体構成]
図1は、本発明の実施形態に係るワーク供給システムを示す概略図である。
まず、
図1を参照して、本発明の実施形態に係るワーク供給システム1を概説する。本実施形態に係るワーク供給システム1は、概略的には、
図1に示すように、ワーク載置台10上に積載されたワークW群から最上位のワークWtを搬送するワーク供給ロボット100と、ワーク載置台10上に載置され、最上位のワークWtと残りのワークW群との間に圧縮空気を吹き付けるエアセパレータ200と、ワーク供給ロボット100及びエアセパレータ200を制御する制御装置300とを備える。エアセパレータ200と制御装置300の後述する制御部330は、ワーク二枚取り防止装置を構成する。
【0013】
本実施形態において、「圧縮空気を吹き付ける」とは、少なくともワークWの端部に圧縮空気が当たるようにエアセパレータ200が圧縮空気を吐出することを意味する。また、本実施形態において、「圧縮空気を吹き出す」とは、ワークWの端部に圧縮空気が当たるか否かに関わらず、エアセパレータ200が後述する吐出口250から圧縮空気を吐出することを意味する。すなわち、「圧縮空気を吹き出す」には、「圧縮空気を吹き付ける」も含まれる。
【0014】
また、ワーク供給システム1は、複数のワークWが積み重なったワークW群を載置可能なワーク載置台10を備える。さらに、ワーク供給システム1は、ワーク載置台10を撮影可能なカメラ50を備えてもよい。またさらに、ワーク供給システム1は、曲げ加工機等の加工機を更に備えていてもよく、加工機と共にワークWの自動加工システムを構成してもよい。
【0015】
[ワーク載置台の構成]
図2は、本実施形態のワーク供給システムの一部を示す正面図である。
ワーク載置台10は、
図1及び
図2に示すように、ワークWを載置可能な載置面12と、載置面12の少なくとも一端部に設けられる突き当て部14とを備える。また、ワーク載置台10は、マグネットフロータ(図示せず)を更に備えてもよい。
【0016】
本実施形態において、載置面12は、鉄板等の磁性を有する板状部材で構成されており、エアセパレータ200の後述する着脱部270を磁力により着脱可能である。また、載置面12は、着脱部270を磁力により着脱可能であれば、鉄板等の上に樹脂製の平板や、保護シート等が設けられていてもよい。
【0017】
さらに、載置面12は、樹脂等の非磁性体の板状部材の表面に磁性体の粉末が塗布されていてもよいし、非磁性体を主材として磁性体の粉末が混ぜ込まれた板状部材でもよい。また、載置面12は、ワークW群を安定して積載可能な面を形成可能であれば、単一の板状部材で構成されず、複数の板状部材で構成されてもよいし、非磁性の板状部材の表面に所定の間隔で磁性体の部材が配置されていてもよいし、非磁性の板状部材の表面に所定の間隔で磁性体の部材が埋め込まれていてもよい。
【0018】
なお、載置面12は、上述した構成に限定されず、着脱部270を繰り返し着脱可能な構成であれば、着脱部270に応じて種々の任意の構成を採用可能である。
【0019】
突き当て部14は、載置面12の端部の一部又は全部に沿って設けられており、載置面12と交差する方向(ワークW群の積載方向)に延出している。突き当て部14は、載置面12側の面がワークW群を突き当て可能な突き当て面14aになっている。
【0020】
突き当て面14aは、表面が平滑であってもよいし、表面に凹凸を有してもよい。また、突き当て面14aは、平滑な表面に凹凸部材が設けられていてもよい。突き当て面14aは、表面が凹凸を有する場合、若しくは表面に凹凸部材が設けられている場合、突き当て面14aに突き当てられているワークW群の最上位のワークWtをワーク供給ロボット100が搬送する際に、凹凸によって、ワークWの二枚取りを防止しやすくなるという利点を有している。
【0021】
[カメラの構成]
カメラ50は、レンズ及びイメージセンサが1つずつ配されており、
図1に示すように、少なくともワーク載置台10の全体又は一部を撮影範囲として撮影可能となるように、ワーク載置台10の上部にカメラスタンド51等の支持部材を介して配置されている。本実施形態において、カメラ50は、
図1に示すように、ワーク供給ロボット100と干渉しない位置に配置されており、ワーク載置台10の載置面12に載置されているワークW群及びエアセパレータ200を上方から撮影するように構成されている。
【0022】
カメラ50は、撮影した撮影画像データを制御装置300の後述する制御部330の後述する画像処理部335に供給するよう構成されている。なお、本実施形態に係るカメラ50は、カメラ50からデジタル信号(撮影画像データ)を直接画像処理部335に出力する構成であってもよいし、カメラ50から出力されたアナログ信号(撮影画像信号)をA/Dコンバータ(図示せず)等でデジタル信号(撮影画像データ)に変換して画像処理部335に出力する構成であってもよい。
【0023】
また、ワーク供給システム1は、カメラ50を備える場合、ワーク載置台10の載置面12に載置されているワークW群及びエアセパレータ200を撮影する際にそのワークW群及びエアセパレータ200に照明光が照射されるよう、照明設備(図示せず)を更に備えてもよい。ワーク供給システム1が照明設備を備える場合、カメラ50は、その照明設備と連動可能に構成され得る。このような構成によれば、ワークW群及びエアセパレータ200のエッジが明確化され、ワークW群及びエアセパレータ200の外形及び位置を特定する際に、ワークW群及びエアセパレータ200のエッジが特定しやすくなるという利点がある。
【0024】
[ワーク供給ロボットの構成]
ワーク供給ロボット100は、ワーク載置台10とワークWの搬送先(例えば、加工機等)との間に配置されており、ワーク載置台10の載置面12上に積載されたワークW群の最上位のワークWtを保持し、最上位のワークWtを加工機等の搬送先に向けて搬送するように構成されている。
【0025】
具体的には、ワーク供給ロボット100は、
図1に示すように、最上位のワークWtを保持するロボットハンド(robotic hand)120と、ロボットハンド120をワークWに対して接近又は離間させるアーム部140とを含んでいる。また、ワーク供給ロボット100は、ワーク供給ロボット100を移動させるための移動機構160を更に含んでもよい。
【0026】
図3は、本実施形態のワーク供給ロボットのロボットハンドを示す概略図である。
ロボットハンド120は、
図3に示すように、アーム部140の先端部に着脱可能に装着されるハンド本体122と、ハンド本体122に取り付けられ、ワークWを保持可能に構成された複数の吸着部124とを有している。ハンド本体122は、アーム部140の先端部に着脱可能に装着される装着部122aと、装着部122aに結合された第1支持バー122bと、第1支持バー122bにその長手方向に間隔を置いて設けられた複数の第2支持バー122cとを有している。なお、ハンド本体122の形状は、図示の例に限定されず、ワークWの形状等に応じて任意に変更することが可能である。
【0027】
吸着部124は、各第2支持バー122cの両末端部にそれぞれ取り付けられており、それぞれ、圧縮空気を吸引する圧縮空気吸引源(図示せず)に配管を介して接続されている。各吸着部124は、その下端部にワークWの表面に吸着可能(接触可能)な平型の吸着パッドを有しており、圧縮空気吸引源による圧縮空気の吸引力によって、ワーク載置台10に積載されたワークW群の最上位のワークWtの表面に吸着するよう構成されている。
【0028】
なお、ロボットハンド120は、種々の公知の構成を採用可能であるため、その詳細な説明を省略する。また、ロボットハンド120は、上述した吸着方式に限定されず、種々の公知の構成を任意に採用することが可能である。
【0029】
アーム部140は、一端部が移動機構160のベース台160bに連結されると共に、他端部がロボットハンド120に連結されており、制御装置300の制御部330の後述するロボット制御部331からの制御信号に基づいて、ロボットハンド120をワークWに対して接近又は離間させるよう構成されている。本実施形態において、アーム部140は、6軸の制御軸を有する多関節アームであり、ワーク載置台10からのワークWの搬送だけではなく、加工機等へのワークWの供給(挿入)、ワークWの加工(曲げ加工)の補助、及び、加工機等からの製品(曲げ加工品)の搬送(搬出)等を実行可能に構成されている。
【0030】
なお、アーム部140は、種々の公知の構成を採用可能であるため、その詳細な説明を省略する。また、アーム部140は、上述した6軸の制御軸を有する多関節アームの構成に限定されず、種々の公知の構成を任意に採用することが可能である。
【0031】
移動機構160は、床面上に敷設されたレール部160aと、レール部160a上に沿って移動可能なベース台160bと、ベース台160bを駆動させるベース台駆動手段(図示せず)とを有する所謂直動機構であり、制御装置300の制御部330のロボット制御部331からの制御信号に基づいて、床面上においてワーク供給ロボット100を移動させるよう構成されている。
【0032】
なお、移動機構160は、種々の公知の構成を採用可能であるため、その詳細な説明を省略する。
【0033】
図4は、本実施形態のエアセパレータを示す概略図である。
エアセパレータ200は、
図2及び
図4に示すように、ワーク載置台10の載置面12上に載置される筐体210と、最上位のワークWtの表面に当接する当接部材220と、当接部材220をワークW群の積載方向に移動させるためのスライダ230とを備える。また、エアセパレータ200は、スライダ230を移動させるためのガイドレール240と、圧縮空気を吐出するための吐出口250とを備える。
【0034】
図5は、本実施形態のエアセパレータを示す概略図である。
さらに、エアセパレータ200は、
図5に示すように、圧縮空気を断続的に吐出口250に供給するためのパルスブローユニット260と、筐体210を載置面12に取り付けるための着脱部270とを備える。
【0035】
筐体210は、例えば、
図4に示すように、チャンネル材のような断面略コの字状の長尺形状に構成される。また、筐体210は、長手方向をワークW群の積載方向としてワーク載置台10の載置面12に載置される。本実施形態における筐体210は、このような構成を備えることで、パルスブローユニット260や後述する配管を筐体内に収められるため、エアセパレータ200を小型化することができ、ワーク載置台10の載置面12上により自在に載置することができるという利点を有している。
【0036】
また、筐体210は、エアセパレータ200を軽量化する観点から樹脂材料等の軽量な部材で構成されることが好ましい。
【0037】
筐体210の外周面の少なくとも一面には、筐体210の長手方向に沿ってガイドレール240が敷設されており、スライダ230がガイドレール240上を移動可能に取り付けられている。本実施形態において、ガイドレール240は、
図5に示すように、断面略コの字状の互いに対向する面(側面)の一方に設けられているが、これに限定されない。ガイドレール240は、断面略コの字状の底面(本実施形態における後述するワーク突き当て面212)に設けられてもよい。
【0038】
また、筐体210の外周面のガイドレール240が設けられている面とは異なる面(本実施形態において、断面略コの字状の底面)は、ワークW群を突き当て可能なワーク突き当て面212となっている。このような構成を備えることにより、例えば、ワーク載置台10の突き当て部14の突き当て面14aと交差する向きに筐体210のワーク突き当て面212が向くようにエアセパレータ200を配置することで、ワークW群をワーク載置台10の載置面12上にワークWの端部を揃えて積載しやすくなるという利点を有している。
【0039】
ワーク突き当て面212は、そのワーク突き当て面212の少なくとも一部に凹凸部280が設けられている。凹凸部280は、例えば、メッシュサイズが数十メッシュ(例えば、5~100メッシュ)のメッシュ部材で構成されており、ワーク突き当て面212の一部に取り付けられている。
【0040】
図6及び
図7は、本実施形態のエアセパレータの凹凸部の作用を示す概略図である。
このような構成を備えることにより、
図6に示すように、ワーク供給ロボット100のロボットハンド120が最上位のワークWtを保持して上昇する際に、ワークWのワーク突き当て面212側の端部と凹凸部280の凹凸とが接触し、最上位のワークWtと最上位のワークWtに張り付いた下位のワークWとの間に間隙が生じる。そして、
図7に示すように、この間隙に圧縮空気が入り込むことで、高い剥離効果を得ることができる。
【0041】
なお、凹凸部280は、上述したように別部材としてワーク突き当て面212に設けられている構成に限定されず、ワーク突き当て面212の表面が凹凸を有する形状に形成されており、凹凸部280を構成してもよい。
【0042】
ガイドレール240は、筐体210の外周面に沿って筐体210の一端部から他端部にかけて筐体210の長手方向に延在している。本実施形態において、ガイドレール240は、2本の軌条で構成されているが、これに限定されない。ガイドレール240は、1本の軌条で構成されてもよいし、3本以上の軌条で構成されてもよい。また、ガイドレール240は、スライダ230が筐体210の長手方向に移動可能な構成であれば、スライダ230がガイドレール240の軌条の上を移動する構成に限定されない。例えば、ガイドレール240は、筐体210の長手方向に延びた長穴を有し、長穴にスライダ230が移動自在に取り付けられてもよい。
【0043】
スライダ230は、ガイドレール240の2本の軌条の間に挟まれるようにして移動自在に配置されると共に、軌条と当接する複数のガイドローラ(図示せず)を備えている。また、スライダ230は、
図4に示すように、筐体210のワーク突き当て面212側に、最上位のワークWtに上方向から当接する当接部材220が取り付けられている。
【0044】
図8及び
図9は、本実施形態のエアセパレータの動作を示す概略図である。
スライダ230は、
図8に示すように、最上位のワークWtを保持したワーク供給ロボット100のロボットハンド120が上方向に上昇する際に、最上位のワークWtの表面に当接部材220が当接したままガイドレール240上を上昇移動する。その後、ロボットハンド120が水平方向に移動することで、当接部材220は、最上位のワークWtの表面に当接しなくなる。そして、スライダ230は、
図9に示すように、スライダ230の自重等により、ガイドレール240上を下降移動する。スライダ230の下降後、当接部材220は、ワークW群の次の最上位のワークWtの表面に当接する。
【0045】
スライダ230は、エアセパレータ200を軽量化する観点から樹脂材料等の軽量な部材で構成されることが好ましい。スライダ230を軽量化することで、ワーク供給ロボット100のロボットハンド120が最上位のワークWtを吸着した後、スライダ230の重みにより、ロボットハンド120から最上位のワークWtが剥がれてしまうことを防止できるという利点を有している。
【0046】
また、スライダ230は、
図4に示すように、当接部材220と対応する位置に、ワークWに向かって圧縮空気を噴射する吐出口250が設けられている。スライダ230に対する吐出口250の高さ位置は、スライダ230に対する当接部材220の当接面の高さ位置よりも僅かに低いか又はほぼ同じになっている。さらに、スライダ230は、
図5に示すように、スライダ230の適宜位置に、吐出口250に圧縮空気を供給するためのエア供給口SPを備えている。エア供給口SPは、エア供給源SSとしての供給ポンプ(図示せず)に配管(図示せず)を介して接続可能になっている。
【0047】
図10は、本実施形態のエアセパレータの一部を示す機能ブロック図である。
配管は、例えば、断面略コの字状の筐体210の内側(コの字の凹部)に配されている。本実施形態におけるエアセパレータ200は、
図10に示すように、後述する連続ブローのための連続ブロー用配管CPと、後述するパルスブローのためのパルスブロー用配管PPがそれぞれ設けられている。配管は、エア供給源SSから連続ブロー用配管CP及びパルスブロー用配管PPの2系統の配管に途中で分岐し、分岐した配管がエア供給口SPの手前で集合している。これにより、単一のエア供給口SPひいては、吐出口250から連続ブローとパルスブローが可能になっている。
【0048】
パルスブローユニット260は、
図5に示すように、配管と同様に筐体210の内側に設けられており、パルスブロー用配管PPの途中に繋がれている(
図10参照)。パルスブローユニット260は、内部にバルブ(図示せず)を含み、
図10に示すように、エア供給源SSから連続的に一次側のポートに供給される圧縮空気を断続的に二次側のポートからエア供給口SP、ひいては吐出口250に供給するよう構成されている。具体的には、パルスブローユニット260は、所定の範囲の周波数(例えば、0.3~15Hz)で圧縮空気をエア供給口SPに供給する。
【0049】
また、パルスブローユニット260は、周波数調整ネジ(図示せず)を備えている。ユーザは、周波数調整ネジを回すことで、所定の範囲内でパルスブローの間隔を任意の周波数に設定できる。
【0050】
なお、パルスブローユニット260の周波数の調整は、上述した手動操作による調整に限定されず、パルスブローユニット260に電気信号を送ることにより、遠隔操作でパルスブローユニット260の周波数を調整してもよい。
【0051】
着脱部270は、筐体210の底部(筐体210のワーク載置台10の載置面12側の端部)に設けられており、載置面12に着脱可能に構成されている。本実施形態において、着脱部270は、磁力により載置面12に着脱可能であるが、これに限定されない。また、本実施形態における着脱部270は、ON/OFFレバー式のマグネットを備えており、簡単に載置面12に着脱できるようになっているが、これに限定されない。
【0052】
着脱部270は、筐体210を載置面12に繰り返し着脱可能な構成であれば、種々の任意の構成を採用可能である。例えば、着脱部270は、吸盤のように圧力差により載置面12に着脱可能に構成されてもよい。
【0053】
このような構成を備えることにより、エアセパレータ200は、ワークW群の載置位置に合わせてワーク載置台10上の任意の位置に載置可能に構成されている。また、本実施形態におけるエアセパレータ200は、着脱部270を備えることにより、ワーク載置台10上に独立して立設することができる。
【0054】
図11は、本実施形態の連続ブローを示す概略図である。
以上の構成を備えるエアセパレータ200は、連続的に圧縮空気を吹き出す連続ブローと、断続的に圧縮空気を吹き出すパルスブローとを実行可能に構成されている。また、本実施形態において、エアセパレータ200は、連続ブローとパルスブローを切り替え可能に構成されている。エアセパレータ200は、連続ブローの場合、エア供給源SSから圧縮空気が連続ブロー用配管CPを通って吐出口250に送られることで、
図11に示すように、連続的に圧縮空気を吹き出すことが可能である。連続ブローの場合、圧縮空気の吐出時の圧力は、例えば、0.2~0.5MPaである。
【0055】
図12は、本実施形態のパルスブローを示す概略図である。
また、エアセパレータ200は、パルスブローの場合、エア供給源SSから圧縮空気がパルスブロー用配管PPを通って連続的に供給され、パルスブロー用配管PPの途中に設けられたパルスブローユニット260により、圧縮空気が断続的に吐出口250に送られることで、
図12に示すように、一定の周期で断続的に圧縮空気を吹き出すことが可能である。パルスブローの場合、圧縮空気の吐出時の圧力は、例えば、0.2~0.5MPaである。
【0056】
パルスブローは、断続的に圧縮空気を吹き付けることにより、ワークWに対して振動の作用を与えるため、ワークW同士の間に間隙が生じ易くなり、より高い剥離効果が得られる。一方で、パルスブローでは、例えば、ワークWのサイズが大きい場合、吐出口250から近い箇所のみが振動し、ワークWの奥(吐出口250から遠い箇所)まで圧縮空気が行き渡りにくい。このようなワークWに対しては、連続的に圧縮空気を吹き付ける方がワークWの奥まで圧縮空気が行き渡るため、連続ブローが有効である。
【0057】
本実施形態におけるエアセパレータ200は、連続ブローとパルスブローをワークWのサイズによって適宜使い分けることにより、ワークWのサイズに関わらず高い剥離効果が得られる。また、本実施形態におけるエアセパレータ200は、連続ブローとパルスブローを組み合わせて使用することもできる。例えば、所定の時間パルスブローにより断続的に圧縮空気をワークW同士の間に吹き付けることで、振動の作用でワークWが剥離するきっかけを作り、パルスブローによってワークWの吐出口250に近い箇所にできた間隙に連続ブローで圧縮空気を吹き付けることで、ワークWの奥まで圧縮空気が行き渡り、ワークW同士をより確実に剥離することができる。
【0058】
また、以上の構成を備えるエアセパレータ200は、可搬性を有し、ユーザが任意の位置にエアセパレータ200を移動させることができる。このような構成を備えることにより、エアセパレータ200を最適な位置に配置することができるという利点を有している。
【0059】
なお、エアセパレータ200の移動は、ユーザが行わず、ワーク供給ロボット100等のロボットが行ってもよい。
【0060】
図13は、本実施形態の制御装置を示す機能ブロック図である。
制御装置300は、ワーク供給ロボット100及びエアセパレータ200を制御する制御装置の一例である。制御装置300は、デスクトップパソコン(desktop personal computer)や、ノートパソコン(laptop computer)、タブレット(tablet)端末、CNC(コンピュータ数値制御:Computerized Numerical Control)装置等の電子計算機であり、
図13に示すように、入力部310と、表示部320と、制御部330と、記憶部340とを含む。
【0061】
また、制御装置300は、CAD(コンピュータ支援設計:computer-aided design)/CAM(コンピュータ支援製造:computer-aided manufacturing)ソフトを有する。さらに、制御装置300は、種々の公知の構成によりワーク供給ロボット100及びエアセパレータ200と接続している。
【0062】
入力部310は、例えば、キーボード(Keyboard)、マウス(Mouse)、タッチパッド(Touchpad)、ジョイスティック(Joystick)等の入力機器により構成されており、入力部310を操作することにより、制御装置300において通常必要とされる情報入力の機能に加え、例えば、ワーク供給ロボット100で使用するNC(Numerical Control)制御プログラムの選択等の操作をすることができる。
【0063】
また、ロボット制御部331が特定した後述する載置位置の候補とは異なる位置にエアセパレータ200を配置した場合、ユーザは、入力部310を介してCAMソフト上でエアセパレータ200の配置を変更可能である。例えば、ユーザは、CAMソフトの画面上に表示されるエアセパレータ200の2D/3Dモデルを移動させたり、エアセパレータ200の座標データを入力したりすることにより、エアセパレータ200の実際の配置に合わせてエアセパレータ200の位置情報を入力できる。
【0064】
表示部320は、表示装置としてのディスプレイ(Display)を有しており、制御装置300において通常必要とされる画面表示の機能に加え、例えば、NC制御プログラムの選択画面やCAD/CAMソフトの画面等を表示する。また、表示部320は、入力部310の機能を有するタッチパネル(Touch screen)で構成され得る。表示部320がタッチパネルで構成された場合は、ユーザは、例えば表示部320を操作することにより、NC制御プログラムの選択等の各種の情報を制御装置300に対して入力可能となる。
【0065】
なお、入力部310及び表示部320の構成は、上述した構成に限定されず、これら入力部310及び表示部320に代わり、同等の機能を有する構成であれば(例えば、遠隔から利用可能な表示手段や入力手段等)、これに限定されるものではない。
【0066】
制御部330は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)を有する統合型演算処理装置により構成される。制御部330は、ワーク供給ロボット100の動作を制御するロボット制御部331と、エアセパレータ200の動作を制御するエアセパレータ制御部333とを含む。また、ワーク供給システム1がカメラ50を備える場合、制御部330は、画像処理部335を更に含む。
【0067】
ロボット制御部331は、ロボット制御処理の準備段階として、CAMソフト上でワークW群の載置位置に基づいてエアセパレータ200の載置位置の候補を特定可能に構成されている。具体的には、ロボット制御部331は、ワーク載置台10の載置面12上のワークW群の載置位置に合わせてワーク供給ロボット100の動作を算出する。また、ロボット制御部331は、ワークW群の載置位置と、ワーク供給ロボット100の移動経路から載置面12上のエアセパレータ200の載置配置の候補を特定する。
【0068】
なお、ロボット制御部331は、エアセパレータ200の載置配置の候補を一つだけ特定するものでもよいし、複数の載置位置の候補を特定してユーザに提示し、ユーザが複数の候補の中からエアセパレータ200の載置位置を指定するものでもよい。また、ユーザは、ロボット制御部331が特定した載置位置の候補以外の載置面12上の位置にエアセパレータ200を配置することも可能である。載置位置の候補以外の位置にエアセパレータ200を配置した場合、ユーザは、入力部310を介して、CAMソフト上でエアセパレータ200の位置情報を入力する。
【0069】
ロボット制御部331は、ワーク載置台10上のエアセパレータ200の位置情報を取得する位置情報取得処理を実行可能に構成されている。具体的には、位置情報取得処理において、ロボット制御部331は、ロボット制御部331が特定したエアセパレータ200の載置位置情報、若しくは、ユーザが入力したエアセパレータ200の載置位置情報を取得する。
【0070】
なお、ロボット制御部331は、ワーク供給システム1がカメラ50を備える場合、位置情報取得処理において、カメラ50で撮影した画像を基に、ワーク載置台10の載置面12上に載置されたエアセパレータ200の位置情報を取得してもよい。
【0071】
また、ロボット制御部331は、取得したエアセパレータ200の位置情報からエアセパレータ200の圧縮空気の吹き出し方向を特定し、最上位のワークWtを保持した後のワーク供給ロボット100の動作を算出する。具体的には、ロボット制御部331は、位置情報取得処理で取得したエアセパレータ200の位置情報に基づいて最上位のワークWtを保持したワーク供給ロボット100のロボットハンド120が移動する方向を決定する。
【0072】
本実施形態において、ロボット制御部331は、最上位のワークWtを保持したワーク供給ロボット100のロボットハンド120が圧縮空気の吹き出し方向(エアセパレータ200の吐出口250から吹き出される圧縮空気の風下方向)に移動するようにワーク供給ロボット100の動作を決定する。
【0073】
また、ロボット制御部331は、ワーク供給ロボット100のCNC制御が可能に構成されており、最上位のワークWtをワークW群から剥離し、搬送する一連のワーク供給ロボット100の動作を制御するロボット制御処理を実行可能に構成されている。具体的には、ロボット制御部331は、ユーザが選択したNC制御プログラムを記憶部340の制御プログラム格納部342から読み出し、読み出したNC制御プログラムに従ってワーク供給ロボット100を制御するよう構成されている。
【0074】
例えば、ロボット制御部331は、NC制御プログラムに基づいて、ワーク載置台10に積載されたワークW群から最上位のワークWtにロボットハンド120が到達するように移動機構160及びアーム部140を制御するよう構成されている。また、ロボット制御部331は、最上位のワークWtにロボットハンド120が到達した際に、ロボットハンド120により最上位のワークWtを保持するようにエア吸引源を制御すると共に、保持した最上位のワークWtを上方に持ち上げ、加工機等の搬送先に向けて搬送するように移動機構160及びアーム部140を制御するよう構成されている。
【0075】
なお、ワーク供給ロボット100のロボットハンド120が最上位のワークWtを保持するまでのワーク供給ロボット100の制御は、種々の公知の制御方法を採用可能であるため、その詳細な説明を省略する。
【0076】
図14は、本実施形態のワーク供給ロボットのロボットハンドの移動方向の一例を示す概略図である。
具体的には、ロボット制御部331は、
図8に示すように、最上位のワークWtを保持したワーク供給ロボット100のロボットハンド120がワークW群の上方向に移動するようにワーク供給ロボット100を制御する。その後、ロボット制御部331は、
図9及び
図14に示すように、最上位のワークWtを保持したロボットハンド120がエアセパレータ200の圧縮空気の吹き出し方向に移動するようにワーク供給ロボット100を制御する。
【0077】
さらに、ロボット制御部331は、ロボットハンド120が最上位のワークWtをワークW群の上方で保持した状態において、所定の待機時間(例えば、3~5秒間等)最上位のワークWtを保持したまま移動を停止するよう構成されている。待機時間は、上述した例に限定されず、ワークWのサイズ等によって種々の任意の時間を採用可能である。
【0078】
エアセパレータ制御部333は、エアセパレータ200の圧縮空気の吐出のON/OFFを制御するよう構成されている。また、エアセパレータ制御部333は、ワークWのサイズに応じて連続ブローとパルスブローを制御可能に構成されている。
【0079】
図15は、本実施形態の圧縮空気吹き出し方向の一例を示す概略図である。
本実施形態において、エアセパレータ制御部333は、
図15に示すように、圧縮空気の吹き出し方向に沿うワークWの長さLに応じて、連続ブローとパルスブローを切り替えるよう構成されている。具体的には、まず、エアセパレータ制御部333は、ロボット制御部331が取得したワーク載置台10の載置面12上のエアセパレータ200の位置情報からエアセパレータ200の圧縮空気の吹き出し方向を特定する。
【0080】
そして、エアセパレータ制御部333は、圧縮空気の吹き出し方向に沿うワークWの長さLをワークWのCADデータの寸法から取得し、圧縮空気の吹き出し方向に沿うワークWの長さLが所定の長さ以上か否かを判定する。本実施形態において、ワークWの所定の長さは、例えば、300mmである。
【0081】
エアセパレータ制御部333は、圧縮空気の吹き出し方向に沿うワークWの長さLが所定の長さよりも短いと判定した場合、パルスブローにより圧縮空気を最上位のワークWtと残りのワークW群の間に吹き付けるようエアセパレータ200を制御する。一方で、圧縮空気の吹き出し方向に沿うワークWの長さLが所定の長さ以上と判定した場合には、パルスブローを所定の時間実行した後、連続ブローを実行するようエアセパレータ200を制御する。
【0082】
パルスブローを実行する所定の時間は、ワークWのサイズや材料等に関わらず常に一定の時間(例えば、10秒間)でもよいし、ワークWに応じてエアセパレータ制御部333が算出してもよい。ワークWに応じて算出する場合、エアセパレータ制御部333は、パルスブローを実行する時間をワークWの表面積、密度及び板厚の少なくともいずれか1つ以上に基づいて算出する。
【0083】
具体的には、エアセパレータ制御部333は、ワークWの表面積が大きいほどパルスブローを実行する所定の時間を長くする。また、エアセパレータ制御部333は、ワークWを構成する材料の密度が小さいほどパルスブローを実行する所定の時間を長くする。さらに、エアセパレータ制御部333は、ワークWの板厚が薄いほどパルスブローを実行する所定の時間を長くする。
【0084】
また、エアセパレータ制御部333は、エアセパレータ200がパルスブローを実行している間に、最上位のワークWtに張り付いた下位のワークWが最上位のワークWtから剥離したと判定した場合には、連続ブローを実行するようエアセパレータ200を制御せずにパルスブローを終了してもよい。すなわち、エアセパレータ制御部333は、最上位のワークWtに下位のワークWが張り付いていると判定した場合には、パルスブローを所定の時間実行した後、連続ブローを実行するようエアセパレータ200を制御してもよい。
【0085】
エアセパレータ制御部333は、例えば、ワークWを保持する際にワーク供給ロボット100にかかるトルクを検出し、最上位のワークWtに下位のワークWが張り付いているか否かを判定する。また、ワーク供給システム1がワークWの二枚取りを検出する二枚取りセンサを更に備え、エアセパレータ制御部333は、二枚取りセンサの検出結果から最上位のワークWtに下位のワークWが張り付いているか否かを判定してもよい。さらに、エアセパレータ制御部333は、ワーク供給システム1がカメラ50を備える場合、カメラ50が撮影した画像データから最上位のワークWtに下位のワークWが張り付いているか否かを判定してもよい。
【0086】
本実施形態において、エアセパレータ制御部333は、ワーク供給ロボット100のロボットハンド120がワークW群の上方向に上昇するのに合わせてパルスブローを実行し、ロボットハンド120が最上位のワークWtを保持したまま移動を停止する際に、連続ブローに切り替え、ロボットハンド120が上昇を停止するまで連続ブローを実行し続けるようエアセパレータ200を制御するが、これに限定されない。
【0087】
なお、エアセパレータ制御部333は、連続ブローのみを実行するようエアセパレータ200を制御することも可能である。
【0088】
画像処理部335は、カメラ50から供給された撮影画像データに基づいてワーク載置台10の載置面12上に載置されたワークW群及びエアセパレータ200の外形をエッジ検出し、エッジ検出結果からワークW群及びエアセパレータ200の位置(x,y)情報を算出し、算出した位置情報をロボット制御部331に供給するよう構成されている。すなわち、画像処理部335は、最上位のワークWtの位置を高精度に特定するワーク特定装置として機能すると共に、エアセパレータ200の位置を高精度に特定するエアセパレータ特定装置として機能することが可能に構成されている。
【0089】
記憶部340は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を有すると共に、様々なデータを読み書き可能に記憶する。また、記憶部340は、制御プログラム格納部342と図面データ格納部344とを含む。さらに、記憶部340は、ワーク供給プログラム346と、CAD/CAMソフトと、制御装置300の各部の制御に必要なプログラムとを格納する。
【0090】
制御プログラム格納部342は、ワーク供給ロボット100のNC制御プログラムを格納する。本実施形態におけるNC制御プログラムは、ワーク供給ロボット100の制御プログラムとして機能するのに加え、エアセパレータ200の制御プログラムとしても機能する。図面データ格納部344は、ワークW、エアセパレータ200等の種々のCADデータを格納する。
【0091】
ワーク供給プログラム346は、ワーク載置台10上のエアセパレータ200の位置情報を取得する位置情報取得処理と、エアセパレータ200の位置情報に基づいて最上位のワークWtを保持したワーク供給ロボット100が移動する方向を決定する移動方向決定処理とを制御装置300に実行させる。
【0092】
[本実施形態に係るワーク供給方法]
次に、本実施形態に係るワーク供給システム1によるワーク供給方法について説明する。本実施形態に係るワーク供給方法は、概略的には、制御装置300を用いて、ワーク載置台10上のエアセパレータ200の位置情報を取得する位置情報取得工程と、エアセパレータ200の位置情報に基づいて最上位のワークWtを保持したワーク供給ロボット100が移動する方向を決定する移動方向決定工程とを備える。
【0093】
図16は、本実施形態のワーク供給方法の一例を示すフローチャートである。
まず、本実施形態に係るワーク供給方法の準備段階について
図16を参照して詳述する。はじめに、ユーザは、制御装置300の入力部310を操作し、CAMソフトを開く。制御装置300は、記憶部340のCAMソフトを読み出して立ち上げると共に、制御装置300は表示部320にCAMソフトの画面を表示する。
【0094】
続いて、ユーザは、CAMソフト上でワーク載置台10の載置面12上に載置されるワークW群を構成するワークWの種類及び数量を選択する(
図16のS1)。また、ユーザは、ワークW群の位置情報を入力する。制御装置300は、選択されたワークWのCADデータを記憶部340の制御プログラム格納部342から読み出し、CAMソフト上で開く(
図16のS10)。
【0095】
なお、ワーク供給システム1がカメラ50を備える場合、ワークW群を構成するワークWの種類及びワークW群の位置情報は、ユーザが指定せずに、カメラ50の撮影画像データを基に、制御装置300の制御部330の画像処理部335が特定してもよい。
【0096】
その後、制御装置300の制御部330のロボット制御部331は、ワークW群の位置情報に合わせてワーク供給ロボット100の動作及び移動経路を算出する(
図16のS11)。ここで、ロボット制御部331が算出するワーク供給ロボット100の動作は、最上位のワークWtを保持し、ワークW群の上方向に移動するまでの動作だけでもよいし、それらの動作に加えて、その後の水平方向の移動及び加工機等への搬送までの動作を暫定的に含んでもよい。
【0097】
また、ロボット制御部331は、ワークW群のワーク載置台10の載置面12上の載置位置と、ワーク供給ロボット100の移動経路に合わせてエアセパレータ200の載置面12上の載置位置の候補を特定する(
図16のS12)。
【0098】
なお、ロボット制御部331は、エアセパレータ200の載置位置の候補を一つだけ特定するものでもよいし、複数の載置位置の候補を特定して制御装置300の表示部320のCAMソフトの画面上でユーザに提示し、ユーザが制御装置300の入力部310を介してエアセパレータ200の配置を載置位置の候補の中から指定するものでもよい。また、ユーザは、ロボット制御部331が特定した載置位置の候補以外の場所にエアセパレータ200の配置をしてもよい。
【0099】
ユーザは、ロボット制御部331が特定した載置位置の候補をCAMソフトの画面上で確認する。また、必要に応じて、エアセパレータ200を実際にワーク載置台10の載置面12上に配置し、問題がないか確認する。エアセパレータ200は、着脱部270によりワーク載置台10の載置面12上に取り付けられる。
【0100】
ユーザは、例えば、ロボット制御部331が特定した載置位置の候補以外にエアセパレータ200を配置したい場合や、実際には、特定した載置位置の候補にエアセパレータ200を配置できない場合等(
図16のS2にてNO)は、ロボット制御部331の載置位置の候補とは異なる位置を指定する(
図16のS3)。
【0101】
実際に確認して問題があり、CAMソフト上の載置位置の候補と異なる位置にエアセパレータ200を載置する場合、ユーザは、ワーク載置台10の載置面12上のエアセパレータ200の位置を測定し、CAMソフト上で実際の位置に合わせてエアセパレータ200の位置を指定する。また、ワーク供給システム1がカメラ50を備える場合、カメラ50でエアセパレータ200を撮影し、撮影画像データを基にエアセパレータ200の載置位置を指定してもよい。
【0102】
その後、制御装置300の制御部330のロボット制御部331は、ロボット制御部331が特定したエアセパレータ200の載置位置情報、若しくは、ユーザが入力したエアセパレータ200の載置位置情報を取得する(
図16のS13:位置情報取得工程)。本実施形態において、ロボット制御部331は、実際にワーク載置台10の載置面12上にエアセパレータ200を載置する前にエアセパレータ200の位置情報をCAMソフト上での位置情報から取得するが、これに限定されない。
【0103】
制御装置300の制御部330のロボット制御部331は、実際にワーク載置台10の載置面12上にエアセパレータ200を載置した後にエアセパレータ200の位置情報を取得することも可能である。また、ワーク供給システム1がカメラ50を備える場合、ロボット制御部331は、制御部330の画像処理部335がカメラ50の撮影画像データから特定したエアセパレータ200位置情報を取得してもよい。
【0104】
その後、制御装置300の制御部330のロボット制御部331は、取得した位置情報からエアセパレータ200の圧縮空気の吹き出し方向を特定し、最上位のワークWtを保持したワーク供給ロボット100のロボットハンド120が移動する方向を決定する(
図16のS14:移動方向決定工程)。具体的には、ロボット制御部331は、圧縮空気の吹き出し方向をロボットハンド120の水平方向の移動方向とする。併せて、ロボット制御部331は、最上位のワークWtを保持した後のワーク供給ロボット100の動作及び移動経路を算出する。
【0105】
また、制御装置300の制御部330のエアセパレータ制御部333は、制御部330のロボット制御部331が特定したエアセパレータ200の圧縮空気の吹き出し方向に基づいて、エアセパレータ200の圧縮空気の吹き出し方向に沿うワークWの長さLを取得する(
図16のS15)。そして、エアセパレータ制御部333は、取得したワークWの長さLが、所定の長さ以上か判定し、エアセパレータ200のエアセパレータ200の動作を決定する(
図16のS16)。
【0106】
具体的には、エアセパレータ200の圧縮空気の吹き出し方向に沿うワークWの長さLが所定の長さよりも短いと判定した場合、制御装置300の制御部330のエアセパレータ制御部333は、エアセパレータ200の動作をパルスブローとする。一方で、圧縮空気の吹き出し方向に沿うワークWの長さLが所定の長さ以上と判定した場合、エアセパレータ制御部333は、エアセパレータ200の動作をパルスブローと連続ブローの組み合わせとする。
【0107】
本実施形態において、エアセパレータ200の圧縮空気の吐出圧力及び吐出時間は、ワークWのサイズに関わらず所定の吐出圧力及び所定の吐出時間に設定されるが、これに限定されない。制御装置300の制御部330のエアセパレータ制御部333は、ワークWのサイズをワークWのCADデータから取得し、エアセパレータ200の圧縮空気の吐出圧力及び吐出時間を決定してもよい。また、エアセパレータ200の圧縮空気の吐出圧力及び吐出時間は、ユーザが制御装置300の入力部310を介してCAMソフト上で指定してもよい。
【0108】
その後、制御装置300の制御部330は、ワーク供給ロボット100及びエアセパレータ200の一連の動作をNC制御プログラムとして制御装置300の記憶部340の制御プログラム格納部342に書き出す。
【0109】
図17は、本実施形態のワーク供給方法の一例を示すフローチャートである。
次に、本実施形態に係るワーク供給方法のワーク供給段階について
図17を参照して詳述する。
【0110】
まず、ユーザは、制御装置300の制御部330が書き出したNC制御プログラムを選択する(
図17のS100)。制御部330は、ユーザが選択したNC制御プログラムを制御装置300の記憶部340の制御プログラム格納部342から読み出す(
図17のS110)。そして、制御装置300のロボット制御部331は、読み出したNC制御プログラムに従ってワーク供給ロボット100を制御する(
図17のS111)。
【0111】
ワーク供給ロボット100は、ワーク載置台10の載置面12上に積載されたワークW群の最上位のワークWtにロボットハンド120を接近させる(
図17のS120)。具体的には、ワーク供給ロボット100は、アーム部140及び移動機構160が動作することでロボットハンド120が最上位のワークWtの保持位置に移動する。その後、ロボットハンド120は、吸着部124の吸着パッドがエア吸引源による吸引力によって最上位のワークWtの表面に吸着することで最上位のワークWtを保持する(
図17のS121)。
【0112】
ワーク供給ロボット100のロボットハンド120が最上位のワークWtを保持するのと同時に、又は保持後、制御装置300の制御部330のエアセパレータ制御部333は、NC制御プログラムに従ってエアセパレータ200を制御する(
図17のS112)。エアセパレータ200は、吐出口250から圧縮空気を吐出し、圧縮空気を上位のワークWtと残りのワークW群の間に吹き付ける(
図17のS130)。
【0113】
図18は、本実施形態のエアセパレータの動作の一例を示すフローチャートである。具体的には、まず、エアセパレータ200は、パルスブローを開始し(
図18のS131)、圧縮空気を最上位のワークWtと残りのワークW群の間に断続的に吹き付ける。
【0114】
一方で、ロボットハンド120で最上位のワークWtを保持したワーク供給ロボット100は、ワーク載置台10に対してほぼ水平になるように最上位のワークWtを保持し、最上位のワークWtをワークW群から剥離させる。そして、ワーク供給ロボット100は、最上位のワークWtをワーク載置台10に対してほぼ水平に保ったまま、ロボットハンド120を上昇させる(
図17のS122)。
【0115】
エアセパレータ200は、ワーク供給ロボット100のロボットハンド120が最上位のワークWtを保持し、上昇する間もパルスブローを実行し、圧縮空気を吹き出し続ける。その後、ワーク供給ロボット100は、上昇を一時的に中断し、所定の待機時間の間、ロボットハンド120が最上位のワークWtをワークW群の上方で保持した状態で移動を停止する(
図17のS123)。
【0116】
エアセパレータ200の圧縮空気の吹き出し方向に沿うワークWの長さLが所定の長さ以上であり(
図18のS132にてYES)、制御装置300の制御部330のエアセパレータ制御部333が最上位のワークWtに下位のワークWが張り付いていると判定した場合(
図18のS133にてYES)、エアセパレータ200は、ワーク供給ロボット100が移動を停止している間にパルスブローを終了する(
図18のS134)。
【0117】
そしてエアセパレータ200は、連続ブローを開始する(
図18のS135)。その後、エアセパレータ200は、連続ブローを実行して圧縮空気を連続的に吹き出し、所定の時間が経過した後、連続ブローを終了する(
図18のS136)。また、エアセパレータ200の圧縮空気の吹き出し方向に沿うワークWの長さLが所定の長さ以上であり(
図18のS132にてYES)、制御装置300の制御部330のエアセパレータ制御部333が最上位のワークWtに下位のワークWが張り付いていないと判定した場合(
図18のS133にてNO)、エアセパレータ200は、パルスブローを終了する(
図18のS138)。
【0118】
一方で、エアセパレータ200の圧縮空気の吹き出し方向に沿うワークWの長さLが所定の長さよりも短い場合(
図18のS132にてNO)、エアセパレータ200は、パルスブローを所定の時間継続し(
図18のS137)、その後、パルスブローを終了する(
図18のS138)。
【0119】
待機時間の経過後、ワーク供給ロボット100は、最上位のワークWtを保持したロボットハンド120を再び上昇させる(
図17のS124)。所定の高さまで上昇した後、ワーク供給ロボット100は、ロボットハンド120を圧縮空気の吹き出し方向に水平移動させる(
図17のS125)。
【0120】
この時、最上位のワークWtに当接していたエアセパレータ200の当接部材220は、エアセパレータ200のスライダ230と共に落下し、ワークW群の次の最上位のワークWtに当接する。
【0121】
その後、ワーク供給ロボット100は、加工機等の搬送先に向けて最上位のワークWtを搬送する(
図17のS126)。以上の工程により、本実施形態に係るワーク供給システム1による一連のワーク供給方法が実行される。
【0122】
なお、エアセパレータ200がパルスブローから連続ブローに切り替えるタイミングは、上述したワーク供給ロボット100の待機時間に限定されず、エアセパレータ200は、ワーク供給ロボット100の上昇中にパルスブローから連続ブローに切り替えてもよい。
【0123】
[本実施形態に係るワーク二枚取り防止装置及びワーク供給システムの利点]
以上説明したように、本実施形態に係るワーク二枚取り防止装置は、ワーク載置台10上に積載されたワークW群の最上位のワークWtと残りのワークW群との間に圧縮空気を吹き付けるエアセパレータ200と、エアセパレータ200を制御する制御部330とを備え、エアセパレータ200は、連続的に圧縮空気を吹き出す連続ブローと、断続的に圧縮空気を吹き出すパルスブローとを実行可能に構成されており、制御部330は、ワークWのサイズに応じてエアセパレータ200の連続ブロー及びパルスブローを制御するよう構成されている。
【0124】
そして、本実施形態に係るワーク二枚取り防止装置は、このような構成を備えることにより、エアセパレータ200が連続ブローとパルスブローの両方を実行可能であり、制御部330がワークWのサイズに応じてエアセパレータ200の圧縮空気の噴射方法を制御するため、ワークWのサイズに関わらずワークWの二枚取りを防止できるという利点を有している。
【0125】
また、本実施形態に係るワーク二枚取り防止装置において、エアセパレータ200は、連続ブローとパルスブローを切り替え可能に構成されている。このような構成を備えることにより、連続ブローとパルスブローで異なるエア供給源SS、エア供給口SP及び吐出口250を備える必要がないため、エアセパレータ200を小型化することが可能であるという利点を有している。
【0126】
さらに、本実施形態に係るワーク二枚取り防止装置において、制御部330は、圧縮空気の吹き出し方向に沿うワークWの長さLが所定の長さ以上と判定した場合には、パルスブローを所定の時間実行した後、連続ブローを実行するようエアセパレータ200を制御する。このような構成を備えることにより、パルスブローによってワークW同士が剥離するきっかけを作った後に、パルスブローによって生じた間隙から連続ブローによってワークWの奥まで圧縮空気を届かせることができるため、高い剥離効果を実現できるという利点を有している。
【0127】
また、本実施形態に係るワーク二枚取り防止装置において、制御部330は、パルスブローを実行する時間をワークWの表面積、密度及び板厚の少なくともいずれか1つ以上に基づいて算出する。このような構成を備えることにより、ワークWの自重によりワークW同士が剥離する時間を考慮することができ、的確なタイミングで連続ブローを実行し始めることができるという利点を有している。
【0128】
さらに、本実施形態に係るワーク二枚取り防止装置において、制御部330は、最上位のワークWtに下位のワークWが張り付いていると判定した場合には、パルスブローを所定の時間実行した後、連続ブローを実行するようエアセパレータ200を制御する。このような構成を備えることにより、ワークWを二枚取りしていない場合に連続ブローを実行する無駄を解消することができるという利点を有している。
【0129】
[変形例]
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に記載の範囲には限定されない。上述した実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
【0130】
例えば、上述した実施形態において、エアセパレータ200は、連続ブローとパルスブローを切り替え可能に構成されているものとして説明したが、これに限定されない。エアセパレータ200は、連続ブロー及びパルスブローを実行可能な構成であれば、連続ブローとパルスブローを切り替えられなくてもよい。例えば、エアセパレータ200は、吐出口を二つ備え、吐出口250から連続ブローを実行したまま別の吐出口250からパルスブローを実行してもよい。
【0131】
上述した実施形態において、制御部330は、圧縮空気の吹き出し方向に沿うワークWの長さLが所定の長さ以上と判定した場合には、パルスブローを所定の時間実行した後、連続ブローを実行するようエアセパレータ200を制御するものとして説明したが、これに限定されない。制御部330は、圧縮空気の吹き出し方向に沿うワークWの長さLが所定の長さ以上と判定した場合に、パルスブローを所定の時間実行した後、連続ブローを実行するようエアセパレータ200を制御しなくてもよい。また、ワーク供給システム1は、エアセパレータ200を制御する制御装置300とは別にワーク供給ロボット100を制御する制御装置を備えてもよい。
【0132】
上述した実施形態において、制御部330は、パルスブローを実行する時間をワークWの表面積、密度及び板厚の少なくともいずれか1つ以上に基づいて算出するものとして説明したが、これに限定されない。制御部330は、パルスブローを実行する時間を算出しなくてもよい。また、制御部330がワークWの表面積、密度及び板厚以外のパラメータに基づいてパルスブローを実行する時間を算出してもよい。
【0133】
上述した実施形態において、制御部330は、最上位のワークWtに下位のワークWが張り付いていると判定した場合には、パルスブローを所定の時間実行した後、連続ブローを実行するようエアセパレータ200を制御するものとして説明したが、これに限定されない。制御部330は、最上位のワークWtに下位のワークWが張り付いていると判定した場合に、パルスブローを所定の時間実行した後、連続ブローを実行するようエアセパレータ200を制御しなくてもよい。
【0134】
上述した実施形態において、エアセパレータ200は、ワークW群の載置位置に合わせてワーク載置台10上の任意の位置に載置可能に構成されているものとして説明したが、これに限定されない。エアセパレータ200は、圧縮空気をワークWの適切な位置に吹き付けることが可能であれば、ワークW群の載置位置に合わせてワーク載置台10上の任意の位置に載置されなくてもよい。例えば、エアセパレータ200を先にワーク載置台10上に載置し、その後、ワークW群をワーク載置台10上に積載してもよい。
【0135】
上述した実施形態において、制御装置300は、エアセパレータ200の圧縮空気の吹き出し方向を特定し、最上位のワークWtを保持したワーク供給ロボット100が吹き出し方向に移動するようにワーク供給ロボット100を制御するものとして説明したが、これに限定されない。制御装置300は、ワーク供給ロボット100及びワーク供給ロボット100が保持した最上位のワークWtがエアセパレータ200と干渉しない方向であれば、種々の任意の方向に移動するようにワーク供給ロボット100を制御可能である。
【0136】
上述した実施形態において、制御装置300は、ワークW群の載置位置に基づいてエアセパレータ200の載置位置の候補を特定可能に構成されているものとして説明したが、これに限定されない。制御装置300は、エアセパレータ200の載置位置の候補を特定できなくてもよい。
【0137】
本実施形態において、エアセパレータ200は、ワークW群を突き当て可能なワーク突き当て面212を含み、ワーク突き当て面212の少なくとも一部に凹凸部280が設けられているものとして説明したが、これに限定されない。エアセパレータ200は、圧縮空気をワークWの適切な位置に吹き付けることが可能であれば、ワークW群を突き当てられなくてもよい。また、エアセパレータ200は、ワーク突き当て面212の少なくとも一部に凹凸部280が設けられていなくてもよい。
【0138】
本実施形態において、エアセパレータ200は、ワーク載置台10上に載置される筐体210を含み、筐体210は、樹脂材料で形成されているものとして説明したが、これに限定されない。筐体210は、エアセパレータ200をワーク載置台10上に載置可能な構成であれば、種々の任意の構成を採用可能である。筐体210は、例えば、金属材料で形成されてもよい。
【0139】
エアセパレータ200は、最上位のワークWtの表面に当接する当接部材220と、当接部材220をワークW群の積載方向に移動させるためのスライダ230とを含み、スライダ230は、樹脂材料で形成されているものとして説明したが、これに限定されない。エアセパレータ200は、圧縮空気をワークWの適切な位置に吹き付けることが可能であれば、当接部材220及びスライダ230を備えなくてもよい。また、スライダ230は、樹脂材料で形成されていなくてもよい。
【0140】
上述した実施形態において、ワーク供給ロボット100は、所謂ロボットアームであることを前提として説明したが、これに限定されない。ワーク供給ロボット100は、加工機等にワークWを搬送可能な構成であれば、ガントリー式のワーク供給ロボット等の種々の任意の構成を採用可能である。
【0141】
上述した実施形態において、エアセパレータ200は、一のワークW群に対して圧縮空気を吹き付けることを前提として説明したが、これに限定されず、エアセパレータ200は、複数のワークW群に対し、圧縮空気を吹き付けられるように構成されてもよい。例えば、エアセパレータ200は、筐体210の外周面のガイドレール240が敷設された面及びワーク突き当て面212以外の第3の面にガイドレール240が更に敷設されており、第3の面のガイドレール上に当接部材220及び吐出口250を含むスライダ230が更に取り付けられていてもよい。
【0142】
上述した実施形態において、エアセパレータ200は、エア供給源SSとしての一の供給ポンプに繋がっており、一のエア供給口SPひいては、一の吐出口250から連続ブロー及びパルスブローを切り替えて圧縮空気を吐出可能なものとして説明したがこれに限定されない。エアセパレータ200は、連続ブロー用のエア供給源SS、エア供給口SP及び吐出口250と、パルスブロー用のエア供給源SS、エア供給口SP及び吐出口250とをそれぞれ別々に備えてもよい。
【0143】
上述した実施形態において、エアセパレータ200は、ワーク載置台10上に載置されるものとして説明したが、これに限定されず、エアセパレータ200は、ワーク載置台10上に載置されなくてもよい。例えば、エアセパレータ200は、ワーク載置台10の周囲に載置されてもよい。
【符号の説明】
【0144】
1 ワーク供給システム
10 ワーク載置台
12 載置面
14 突き当て部
14a 突き当て面
50 カメラ
51 カメラスタンド
100 ワーク供給ロボット
120 ロボットハンド
122 ハンド本体
122a 装着部
122b 第1支持バー
122c 第2支持バー
124 吸着部
140 アーム部
160 移動機構
160a レール部
160b ベース部
200 エアセパレータ
210 筐体
212 ワーク突き当て面
220 当接部材
230 スライダ
240 ガイドレール
250 吐出口
260 パルスブローユニット
270 着脱部
280 凹凸部
300 制御装置
310 入力部
320 表示部
330 制御部
331 ロボット制御部
333 エアセパレータ制御部
335 画像処理部
340 記憶部
342 制御プログラム格納部
344 図面データ格納部
346 ワーク供給プログラム
CP 連続ブロー用配管
PP パルスブロー用配管
SP エア供給口
SS エア供給源
W ワーク
Wt 最上位のワーク