(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102574
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】業務支援装置、業務支援方法、及び、業務支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20240724BHJP
【FI】
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006560
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 真一
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC04
5L050CC04
(57)【要約】
【課題】製品を製造する際に用いられた、法的に報告義務のある原材料の正確な使用量等の報告書の作成業務を支援する。
【解決手段】製品の製造に用いた、法的に報告義務のある原材料の、所定の製品単位に対する使用量であり、製品の製造期間毎に設定された使用量、製品の製造期間を特定するための製造期間特定データ、及び、製品の製造数が記憶された記憶部を取得部が参照し、法的に報告義務のある原材料の報告の対象期間に属する一つ又は複数の製造期間の製品の製造数及び使用量を取得する。算出部は、対象期間に属する製造期間が複数であった場合、各製造期間に対応する使用量に、各製造期間に対応する製品の製造数をそれぞれ乗算処理し、各乗算処理結果を加算処理した使用量を、対象期間における法的に報告義務のある原材料の使用量として算出する。データ生成部は、算出された使用量を含む報告書データを生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品の製造に用いた、法的に報告義務のある原材料の、所定の製品単位に対する使用量であり、前記製品の製造期間毎に設定された使用量、前記製品の製造期間を特定するための製造期間特定データ、及び、前記製品の製造数が記憶された記憶部を参照し、法的に報告義務のある前記原材料の報告の対象とする対象期間に属する一つ又は複数の製造期間の前記製品の前記製造数、及び、一つ又は複数の前記製造期間の前記使用量を取得する取得部と、
前記対象期間に属する前記製造期間が一つであった場合、取得された前記製造期間に対応する前記使用量に、前記製造期間に製造された製品の製造数を乗算処理することで、前記対象期間における法的に報告義務のある前記原材料の使用量を算出し、前記対象期間に属する前記製造期間が複数であった場合、各前記製造期間に対応する前記使用量に、各前記製造期間に対応する前記製品の製造数をそれぞれ乗算処理し、各乗算処理結果を加算処理した使用量を、前記対象期間における法的に報告義務のある前記原材料の使用量として算出する算出部と、
法的に報告義務のある原材料の、算出された前記使用量を含む報告書データを生成するデータ生成部と、
を有する業務支援装置。
【請求項2】
前記記憶部には、物理的な格納場所の移動が行われた前記製品の移動日、及び、移動数がさらに記憶されており、
前記取得部は、
法的に報告義務のある前記原材料の報告の対象とする対象期間に前記移動日が属する前記製品の前記製造期間特定データ、前記製造期間特定データで示される前記製品の製造日に対応する、法的に報告義務のある前記原材料の前記使用量、及び、前記移動数を前記記憶部から取得し、又は、
前記製品の移動日、前記移動日に対応する、法的に報告義務のある前記原材料の前記使用量、及び、前記移動数を前記記憶部から取得し、
前記算出部は、
前記製品の製造日に対応する、法的に報告義務のある前記原材料の前記使用量に前記移動数を乗算処理した算出量を、前記対象期間に移動した前記製品の、法的に報告義務のある前記原材料の移動量として算出し、又は、
前記移動日に対応する、法的に報告義務のある前記原材料の前記使用量に前記移動数を乗算処理した算出量を、前記対象期間に移動した前記製品の、法的に報告義務のある前記原材料の移動量として算出すること、
を特徴とする請求項1に記載の業務支援装置。
【請求項3】
前記記憶部には、廃棄された前記製品の廃棄日、及び、廃棄数がさらに記憶されており、
前記取得部は、
法的に報告義務のある前記原材料の報告の対象とする対象期間に前記廃棄日が属する前記製品の前記製造期間特定データ、前記製造期間特定データで示される前記製品の製造日に対応する、法的に報告義務のある前記原材料の前記使用量、及び、前記廃棄数を前記記憶部から取得し、又は、
前記製品の廃棄日、前記廃棄日に対応する、法的に報告義務のある前記原材料の前記使用量、及び、前記廃棄数を前記記憶部から取得し、
前記算出部は、
前記製品の製造日に対応する、法的に報告義務のある前記原材料の前記使用量に前記廃棄数を乗算処理した算出量を、前記対象期間に廃棄した前記製品の、法的に報告義務のある前記原材料の廃棄量として算出し、又は、
前記廃棄日に対応する、法的に報告義務のある前記原材料の前記使用量に前記廃棄数を乗算処理した算出量を、前記対象期間に廃棄した前記製品の、法的に報告義務のある前記原材料の廃棄量として算出すること、
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の業務支援装置。
【請求項4】
製品の製造に用いた、法的に報告義務のある原材料の、所定の製品単位に対する使用量であり、前記製品の製造期間毎に設定された使用量、前記製品の製造期間を特定するための製造期間特定データ、及び、前記製品の製造数が記憶された記憶部を取得部が参照し、法的に報告義務のある前記原材料の報告の対象とする対象期間に属する一つ又は複数の製造期間の前記製品の前記製造数、及び、一つ又は複数の前記製造期間の前記使用量を取得する取得ステップと、
前記対象期間に属する前記製造期間が一つであった場合、算出部が、取得された前記製造期間に対応する前記使用量に、前記製造期間に製造された製品の製造数を乗算処理することで、前記対象期間における法的に報告義務のある前記原材料の使用量を算出し、前記対象期間に属する前記製造期間が複数であった場合、前記算出部が、各前記製造期間に対応する前記使用量に、各前記製造期間に対応する前記製品の製造数をそれぞれ乗算処理し、各乗算処理結果を加算処理した使用量を、前記対象期間における法的に報告義務のある前記原材料の使用量として算出する算出ステップと、
データ生成部が、法的に報告義務のある原材料の、算出された前記使用量を含む報告書データを生成するデータ生成ステップと、
を有する業務支援方法。
【請求項5】
コンピュータを、
製品の製造に用いた、法的に報告義務のある原材料の、所定の製品単位に対する使用量であり、前記製品の製造期間毎に設定された使用量、前記製品の製造期間を特定するための製造期間特定データ、及び、前記製品の製造数が記憶された記憶部を参照し、法的に報告義務のある前記原材料の報告の対象とする対象期間に属する一つ又は複数の製造期間の前記製品の前記製造数、及び、一つ又は複数の前記製造期間の前記使用量を取得する取得部と、
前記対象期間に属する前記製造期間が一つであった場合、取得された前記製造期間に対応する前記使用量に、前記製造期間に製造された製品の製造数を乗算処理することで、前記対象期間における法的に報告義務のある前記原材料の使用量を算出し、前記対象期間に属する前記製造期間が複数であった場合、各前記製造期間に対応する前記使用量に、各前記製造期間に対応する前記製品の製造数をそれぞれ乗算処理し、各乗算処理結果を加算処理した使用量を、前記対象期間における法的に報告義務のある前記原材料の使用量として算出する算出部と、
法的に報告義務のある原材料の、算出された前記使用量を含む報告書データを生成するデータ生成部として機能させること、
を特徴とする業務支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務支援装置、業務支援方法、及び、業務支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日において、製品の製造に用いた原材料のうち、用いた数量の報告が法律で義務付けられている原材料が存在する。例えば、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化学物質排出把握管理促進法)では、ベンゼン、トルエン、ダイオキシン類、CFC(クロロフルオロカーボン)、石綿等の対象化学物質を製品の製造に用いた場合、用いた数量の報告が義務付けられている。また、対象化学物質を用いて製造した製品を移動又は廃棄した場合には、その対象化学物質の移動量又は廃棄量の報告が義務付けられている。
【0003】
特許文献1(特開2006-244032号公報)には、不確実性が高く、また、個人への影響のあいまいな環境リスク情報を、情報受信者が身近なものと捉え、かつ、理解することができる環境リスク情報を提供可能とした環境リスク情報提供システムが開示されている。
【0004】
この環境リスク情報提供システムは、身の回りの情報提供部が、情報受信者の身の回りの物および地域の名称を手がかり情報とし、この手がかり情報に関連する環境リスク情報を身の回りの情報として提供する。また、量的評価情報提供部は、環境リスクに関わる定量的な情報である量的評価情報を提供する。情報参照部は、身の回りの情報提供部から提供される身の回りの情報と、量的評価情報提供部から提供される量的評価情報とを関連付け、同一の環境リスクや要因に関わる情報間を関連づけることで、それぞれの情報同士を参照して関連した情報を情報受信者の端末に提供する。これにより、不確実性が高く、また、個人への影響のあいまいな環境リスク情報を、情報受信者が身近なものと捉え、かつ、理解することができる環境リスク情報を提供可能とすることができる。
【0005】
ここで、法的に報告義務のある上述の原材料を用いて製造される製品は、例えば季節に応じて法的に報告義務のある原材料の配合率が変更される場合がある。また、法的に報告義務のある原材料を用いて製造された製品を他事業所等へ移動又は廃棄した場合も、移動又は廃棄される状況に応じて、移動量又は廃棄量が異なるものとなる。このため、従来は、製品の構成情報(レシピ)で示される原材料の使用料の理論値を用いて、製品の製造に用いた使用量、移動量及び廃棄量を算出して報告を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、理論値を用いて算出される使用量、移動量及び廃棄量は、近しい量となる場合もあるが、不正確な量となることが多く、このような不正確な量が報告されることは好ましいことではない。
【0008】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、製品を製造する際に用いられた、法的に報告義務のある原材料の正確な使用量等の報告書の作成業務を支援可能とした業務支援装置、業務支援方法、及び、業務支援プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る業務支援装置は、製品の製造に用いた、法的に報告義務のある原材料の、所定の製品単位に対する使用量であり、製品の製造期間毎に設定された使用量、製品の製造期間を特定するための製造期間特定データ、及び、製品の製造数が記憶された記憶部を参照し、法的に報告義務のある原材料の報告の対象とする対象期間に属する一つ又は複数の製造期間の製品の製造数、及び、一つ又は複数の製造期間の使用量を取得する取得部と、対象期間に属する製造期間が一つであった場合、取得された製造期間に対応する使用量に、製造期間に製造された製品の製造数を乗算処理することで、対象期間における法的に報告義務のある原材料の使用量を算出し、対象期間に属する製造期間が複数であった場合、各製造期間に対応する使用量に、各製造期間に対応する製品の製造数をそれぞれ乗算処理し、各乗算処理結果を加算処理した使用量を、対象期間における法的に報告義務のある原材料の使用量として算出する算出部と、法的に報告義務のある原材料の、算出された使用量を含む報告書データを生成するデータ生成部と、を有する。
【0010】
また、上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る業務支援方法は、製品の製造に用いた、法的に報告義務のある原材料の、所定の製品単位に対する使用量であり、製品の製造期間毎に設定された使用量、製品の製造期間を特定するための製造期間特定データ、及び、製品の製造数が記憶された記憶部を取得部が参照し、法的に報告義務のある原材料の報告の対象とする対象期間に属する一つ又は複数の製造期間の製品の製造数、及び、一つ又は複数の製造期間の使用量を取得する取得ステップと、対象期間に属する製造期間が一つであった場合、算出部が、取得された製造期間に対応する使用量に、製造期間に製造された製品の製造数を乗算処理することで、対象期間における法的に報告義務のある原材料の使用量を算出し、対象期間に属する製造期間が複数であった場合、算出部が、各製造期間に対応する使用量に、各製造期間に対応する製品の製造数をそれぞれ乗算処理し、各乗算処理結果を加算処理した使用量を、対象期間における法的に報告義務のある原材料の使用量として算出する算出ステップと、データ生成部が、法的に報告義務のある原材料の、算出された使用量を含む報告書データを生成するデータ生成ステップと、を有する。
【0011】
また、上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る業務支援プログラムは、コンピュータを、製品の製造に用いた、法的に報告義務のある原材料の、所定の製品単位に対する使用量であり、製品の製造期間毎に設定された使用量、製品の製造期間を特定するための製造期間特定データ、及び、製品の製造数が記憶された記憶部を参照し、法的に報告義務のある原材料の報告の対象とする対象期間に属する一つ又は複数の製造期間の製品の製造数、及び、一つ又は複数の製造期間の使用量を取得する取得部と、対象期間に属する製造期間が一つであった場合、取得された製造期間に対応する使用量に、製造期間に製造された製品の製造数を乗算処理することで、対象期間における法的に報告義務のある原材料の使用量を算出し、対象期間に属する製造期間が複数であった場合、各製造期間に対応する使用量に、各製造期間に対応する製品の製造数をそれぞれ乗算処理し、各乗算処理結果を加算処理した使用量を、対象期間における法的に報告義務のある原材料の使用量として算出する算出部と、法的に報告義務のある原材料の、算出された使用量を含む報告書データを生成するデータ生成部として機能させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、製品を製造する際に用いられた、法的に報告義務のある原材料の正確な使用量等の報告書の作成業務を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施の形態の業務支援装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、プロジェクトの種類、及び、プロジェクトとジョブの関係を説明するための図である。
【
図4】
図4は、構成データテーブルに記憶された各製品の構成データの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、製造実績データテーブルに記憶された各製品の製造実績データの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、製造実績データの入力例を説明するための図である。
【
図7】
図7は、移動廃棄データテーブルに記憶された移動廃棄データの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、移動廃棄データの入力例を説明するための図である。
【
図9】
図9は、製品の構成情報(レシピ)で示される原材料の使用料の理論値を用いて、製品の製造に用いた使用量、移動量及び廃棄量を算出することで、報告書に記載される使用量、移動量及び廃棄量が、それぞれ不正確な量となることを示す図である。
【
図10】
図10は、特定化学物質報告書入力画面の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、製品の製造に用いられた、法的に報告義務のある原材料の使用量を、製造ロット数に基づいて算出した例を示す図である。
【
図12】
図12は、製品の製造に用いられた、法的に報告義務のある原材料の使用量を、製造時期に応じて変更される使用量及び製造ロット数に基づいて算出した例を示す図である。
【
図13】
図13は、製造日が明らかな場合、及び、製造日が不明の場合における、法的に報告義務のある原材料を用いて製造された製品の移動量の算出例を示す図である。
【
図14】
図14は、製造日が明らかな場合における、法的に報告義務のある原材料を用いて製造された製品の廃棄量の算出例を示す図である。
【
図15】
図15は、製造日が不明の場合における、法的に報告義務のある原材料を用いて製造された製品の廃棄量の算出例を示す図である。
【
図16】
図16は、実施の形態の業務支援装置で作成された特定化学物質原料の排出報告書の報告書データを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用した実施の形態となる業務支援装置を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下、実施の形態の業務支援装置は、一例として特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化学物質排出把握管理促進法)で義務付けられている原材料の使用量等を報告するための報告書の作成業務を支援するものとして説明を行う。しかし、本発明は、このような実施の形態に限定されるものではなく、他の法律で報告が義務付けられている物質等の報告書の作成装置等にも適用可能である。
【0015】
(ハードウェア構成)
図1に示すように、実施の形態の業務支援装置1は、記憶部2、制御部3、通信インターフェース部4及び入出力インターフェース部5を備えている。入出力インターフェース部5には、入力装置6及び出力装置7が接続されている。出力装置7としては、モニタ装置(家庭用テレビを含む)等の表示部、印刷装置、又は、スピーカ装置等が相当する。入力装置6としては、キーボード装置、マウス装置及びマイクロホン装置等の他、マウス装置と協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタ装置等を用いることができる。
【0016】
通信インターフェース部4は、例えばインターネット等の広域網又はLAN(Local Area Network)等のプライベート網等のネットワーク50に接続される。ネットワーク50には、環境管理事務所の端末装置51が接続されている。実施の形態の業務支援装置1は、製品の製造に用いた、法的に報告義務のある原材料の使用量、移動量及び廃棄量の報告書を、この環境管理事務所の端末装置51に対して電子申請する。
【0017】
記憶部2としては、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置を用いることができる。記憶部2には、法的に報告義務のある原材料の使用量、移動量及び廃棄量の報告書の作成業務を支援する業務支援プログラムが記憶されている。また、この記憶部2には、商品マスタ11、事業所マスタ12、構成データテーブル13、製造実績データテーブル14、及び、移動廃棄データテーブル15が記憶されている。また、記憶部2には、法的に報告義務のある原材料の使用量、移動量及び廃棄量の報告書の報告書データが記憶される。
【0018】
商品マスタ11は、
図2に示すように商品コード(商品CD)、商品名、資産分類、特定化学物質区分、ロット管理情報を含んで構成される。この
図2の例は、製品A~製品Cの商品コードは、「A」~「C」であり、製品A及び製品Bに対しては所定のまとまった数を商取引の一単位として取り扱うロット管理が行われることを示している(ロット管理「有」)。また、製品Cに対するロット管理は行われないことを示している(ロット管理「無」)。
【0019】
また、この
図2の例は、製品A~製品Cは、原材料(原料)X、Y、Z及び資材S、Uのうち、一部又は全部が用いられて製造されることを示している。なお、この例では、原料Xは、化学物質排出把握管理促進法で使用量等の報告が義務付けられている原料であることとする。これに示すように、商品マスタ11の、原料Xに対する特定化学物質区分は「1」となっている。一例として、化学物質排出把握管理促進法では、例えばベンゼン、トルエン、ダイオキシン類、CFC(クロロフルオロカーボン)、石綿等の対象化学物質の使用量等の報告が義務付けられている。
【0020】
事業所マスタ12には、
図3に示すように製造された商品を取り扱う事業所として事業所コードが「T」の東京事業所と、事業所コードが「O」の大阪事業所が登録(記憶)されている。この実施の形態の例では、この東京事業所及び大阪事業所の間で、商品の移動が行われることとする。
【0021】
構成データテーブル13には、各製品の商品の商品コード(親商品コード)、各製品の商品名、各製品の製造に用いられた原料及び資材を示す子商品コード及び子商品名が記憶される。また、構成データテーブル13には、製品を製造する際に用いる各原料及び各資材の使用量(所要分子)、その原料及び資材の使用量で製造される製品の数(所要分子)、及び、製品を製造する際に用いる各原料及び各資材の使用量の改定日が記憶される。
【0022】
この
図4の例は、製品Aの「1個」の製造に、報告義務のある特定化学物資の原料Xが「2g」、原料Yが「3g」、及び、原料Zが「5g」、資材Sが「1個」用いられることを示している。そして、これらの原料及び資材の使用量は、2022年1月1日付(=改定日)で設定されたことを示している。
【0023】
また、この
図4の例は、製品Bの場合、「1箱」の製造に、報告義務のある特定化学物資の原料X、原料Y及び資材「U」が用いられるのであるが、原料X及び原料Yの使用量が製造期間に応じて異なっていることを示している。具体的には、「1箱」の製品Bの製造に、2022年6月1日(改定日)~11月30日の製造期間は、原料Xを「8g」及び原料Yを「5g」使用し、2022年12月1日(改定日)~翌年5月31日の製造期間は、原料Xを「5g」及び原料Yを「3g」使用することを示している。
【0024】
次に、製造実績データテーブル14は、
図5に示すように製造実績番号、製造日、製造された製品の製品名(完成品名)、製造場所(完成場所)、製造数(完成数)、ロット番号、製造に使用された原料名(使用原料)、及び、製造数分(完成数分)の製品の製造に使用された原料及び資材の使用量を含む製造実績データが製品の製造日順に記憶される。
【0025】
図6は、このように製造日順に生成される製造実績データの一例を示している。このうち、
図6(a)は、11月20日に東京事業所で10個の製品Aが、原料Xを「20g」、原料Yを「30g」、原料Zを「50g」、資材Uを「10箱」用いて製造され、これらの製品Aに対して「LOT001」のロット番号が付されたことを示す製造実績データである。
【0026】
また、
図6(b)は、11月20日に東京事業所で5箱の製品Bが、原料Xを「40g」、原料Yを「27g」、資材Uを「5箱」用いて製造され、これらの製品Bに対して「LOT002」のロット番号が付されたことを示す製造実績データである。なお、11月20日の製造日の場合、
図4に示すように1箱の製品Bの製造に「8g」の原料Xの使用が設定されている(改定日=2022年6月1日)。このため、11月20日の製造日における製品Bの製造には、「8g×5箱=40g」の原料Xが使用される。
【0027】
これに対して、
図6(c)は、12月3日に東京事業所で5箱の製品Bが、原料Xを「25g」、原料Yを「16g」、資材Uを「5箱」用いて製造され、これらの製品Bに対して「LOT003」のロット番号が付されたことを示す製造実績データである。なお、12月3日の製造日の場合、
図4に示すように1箱の製品Bの製造に「5g」の原料Xの使用が設定されている(改定日=2022年12月1日)。このため、12月3日の製造日における製品Bの製造には、「5g×5箱=25g」の原料Xが使用される。
【0028】
このような製造日毎の製造実績データが
図5に示す製造実績データテーブル14に登録(記憶)される。
【0029】
次に、
図7に、製品の移動データ及び廃棄データが登録される移動廃棄データテーブル15の一例を示す。この
図7に示すように、移動廃棄データテーブル15は、移動番号、移動日、移動区分、出庫事業所、入庫事業所、製品名(商品名)、移動数、及び、ロット番号を含む移動データ又は廃棄データが登録(記憶)される。なお、この
図7では、「移動」は「廃棄」を含む概念として考え、移動データ及び廃棄データの各項目に、「移動番号」、「移動日」、「移動区分」及び「移動数」等の「移動」の文字を用いている。
【0030】
この
図7に示す「I0001」の移動番号のレコードは、11月20日に、それぞれ「LOT001」のロット番号が付されている3個の製品Aが、東京事業所から大阪事業所へ移動(移動区分=「移動」)となったことを示す移動データを示している。
【0031】
また、
図7に示す「I0002」の移動番号のレコードは、12月2日に、それぞれ「LOT002」のロット番号が付されている2箱の製品Bが、東京事業所から廃棄(移動区分=「廃棄」)となったことを示す廃棄データを示している。また、
図7に示す「I0005」の移動番号のレコードは、12月10日に、それぞれ「LOT003」のロット番号が付されている5箱の製品Bが、東京事業所から廃棄(移動区分=「廃棄」)となったことを示す廃棄データを示している。
【0032】
また、
図7に示す「I0003」の移動番号のレコードは、7月10日に、ロット管理されていない(ロット番号が無し)4箱の製品Cが、東京事業所から大阪事業所に移動(移動区分=「移動」)となったことを示す移動データを示している。また、
図7に示す「I0004」の移動番号のレコードは、8月2日に、ロット管理されていない(ロット番号が無し)6箱の製品Cが、東京事業所から廃棄(移動区分=「廃棄」)となったことを示す廃棄データを示している。
【0033】
図8は、このような移動廃棄データテーブル15に登録される移動データ及び廃棄データの一例を示している。このうち、
図8(a)は、「LOT001」のロット番号が付されている3個の製品Aが、11月20日に東京事業所から大阪事業所へ移動となったことを示す移動データである。また、
図8(b)は、ロット管理されていない4箱の製品Cが、7月10日に東京事業所から大阪事業所へ移動となったことを示す移動データである。
【0034】
また、
図8(c)は、「LOT002」のロット番号が付されている2箱の製品Bが、12月2日に東京事業所から廃棄となったことを示す廃棄データである。また、
図8(d)は、「LOT003」のロット番号が付されている5箱の製品Bが、12月10日に東京事業所から廃棄となったことを示す廃棄データである。また、
図8(e)は、ロット管理されていない6箱の製品Cが、8月2日に東京事業所から廃棄となったことを示す移動データである。
【0035】
このような移動日毎の移動データ及び廃棄データが、
図7に示す移動廃棄データテーブル15に登録(記憶)される。
【0036】
(業務支援装置の機能構成)
次に、制御部3は、記憶部2に記憶されている業務支援プログラムを実行することで、
図1に示すように、取得部21、算出部22、データ生成部23、表示制御部24、記憶制御部25及び通信制御部26として機能する。
【0037】
取得部21は、製品の製造に用いた、法的に報告義務のある原材料(この例の場合、原料X)の、所定の製品単位(ロット、個、箱等)に対する使用量であり、前記製品の製造期間毎に設定された使用量、製品の製造期間を特定するための製造期間特定データ(製造日又はロット番号)、及び、前記製品の製造数が記憶された記憶部(構成データテーブル13、製造実績データテーブル14)を参照する。そして、取得部21は、法的に報告義務のある原材料(この例の場合、原料X)の報告の対象とする対象期間に属する一つ又は複数の製造期間の製品の製造数、及び、一つ又は複数の製造期間の使用量を取得する。
【0038】
「法的に報告義務のある原材料の報告の対象とする対象期間」は、
図10を用いて説明する特定化学物質報告書入力画面に対して、操作者により入力された期間である。また、「一つ又は複数の製造期間」は、
図4に示す製品Bの原料Xのように使用量が変更されて製造が行われた期間を示している。すなわち、
図4に示す製品Bの場合、2022年6月1日~11月30日の製造期間が、1箱の製造に原料Xを「8g」使用して製造する製造期間であり、2022年12月1日からの製造期間が、1箱の製造に原料Xを「15g」使用して製造する製造期間となっている。操作者により指定される報告書の対象とする対象期間に、このような製造期間が一つ含まれる場合、及び、複数含まれる場合がある。「一つ又は複数の製造期間」は、これを意味している。
【0039】
算出部22は、対象期間に属する製造期間が一つであった場合、取得された製造期間に対応する使用量(原料Xの使用量)に、製造期間に製造された製品の製造数を乗算処理する。これにより、対象期間における法的に報告義務のある原材料(原料X)の使用量を算出する。
【0040】
また、算出部22は、対象期間に属する製造期間が複数であった場合、各製造期間に対応する使用量に、各製造期間に対応する製品の製造数をそれぞれ乗算処理し、各乗算処理結果を加算処理した使用量を、対象期間における法的に報告義務のある原材料(原料X)の使用量として算出する。
【0041】
データ生成部23は、法的に報告義務のある原材料(原料X)の、算出された使用量を含む報告書データを生成する(
図16参照)。
【0042】
また、記憶部(移動廃棄データテーブル15)には、物理的な格納場所の移動が行われた製品の移動日、及び、移動数がさらに記憶されている。取得部21は、法的に報告義務のある原材料(原料X)の報告の対象とする対象期間に移動日が属する製品の製造期間特定データ(製造日又はロット番号)、製造期間特定データで示される製品の製造日に対応する、法的に報告義務のある原材料(原料X)の使用量、及び、移動数を記憶部(構成データテーブル13、移動廃棄データテーブル15)から取得する。
【0043】
または、取得部21は、製品の移動日、移動日に対応する、法的に報告義務のある原材料(原料X)の使用量、及び、移動数を記憶部(構成データテーブル13、移動廃棄データテーブル15)から取得する。
【0044】
算出部22は、取得部21により製造日が取得された場合(移動された製品の製造日が認識できる場合)、製品の製造日に対応する、法的に報告義務のある原材料(原料X)の使用量に移動数を乗算処理した算出量を、対象期間に移動した製品の、法的に報告義務のある原材料(原料X)の移動量として算出する。
【0045】
または、算出部22は、取得部21により製造日が取得されなかった場合(移動された製品の製造日が認識できない場合)、製造日の代わりに移動日を基準日とする。そして、算出部22は、この移動日に対応する、法的に報告義務のある原材料(原料X)の使用量に移動数を乗算処理した算出量を、対象期間に移動した製品の、法的に報告義務のある原材料(材料X)の移動量として算出する。
【0046】
また、記憶部(移動廃棄データテーブル15)には、廃棄された製品の廃棄日、及び、廃棄数がさらに記憶されている。取得部21は、法的に報告義務のある原材料(材料X)の報告の対象とする対象期間に廃棄日が属する製品の製造期間特定データ(製造日又はロット番号)、製造期間特定データで示される製品の製造日に対応する、法的に報告義務のある原材料(材料X)の使用量、及び、廃棄数を記憶部(構成データテーブル13、移動廃棄データテーブル15)から取得する。
【0047】
または、取得部21は、製品の廃棄日、廃棄日に対応する、法的に報告義務のある原材料の使用量、及び、廃棄数を記憶部(構成データテーブル13、移動廃棄データテーブル15)から取得する。
【0048】
算出部22は、取得部21により製造日が取得された場合(移動された製品の製造日が特定できる場合)、製品の製造日に対応する、法的に報告義務のある原材料(原料X)の使用量に廃棄数を乗算処理した算出量を、対象期間に廃棄した製品の、法的に報告義務のある原材料の廃棄量として算出する。
【0049】
または、算出部22は、取得部21により製造日が取得されなかった場合(移動された製品の製造日が特定困難な場合)、製造日の代わりに廃棄日を基準日とする。そして、算出部22は、廃棄日に対応する、法的に報告義務のある原材料(原料X)の使用量に廃棄数を乗算処理した算出量を、対象期間に廃棄した製品の、法的に報告義務のある原材料(原料X)の廃棄量として算出する。
【0050】
(比較例における法的に報告義務のある原材料の計算の仕方)
ここで、比較例となる装置における、法的に報告義務のある原料Xの使用量、移動量及び廃棄量の計算の仕方を説明する。比較例となる装置の場合、報告書の作成時に設定されている原料Xの製造時の使用量を理論値として用いて、製品に対する原料Xの使用量、移動量及び廃棄量を算出する。すなわち、例えば2022年12月31日に2022年6月1日~2022年12月31日までの対象期間における原料Xの使用量(製品に対する使用量)、移動量及び廃棄量を算出するとする。
【0051】
図5の例の場合、対象期間内の11月20日に、製品Aが10個製造されている。また、
図4に示すように、製品Aを1個製造する際に使用される原料Xは「2g」である。このため、比較例となる装置は、「2g×10個=20g」との演算を行い、12月31日の時点における製品Aの製造に使用された原料Xの使用量を「20g」とする。
【0052】
また、
図5の例の場合、対象期間内の11月20日に製品Bが5箱製造され、さらに12月3日に製品Bが5箱製造されている。このため、比較例となる装置は、対象期間内において、「5箱+5箱=10箱」の製品Bが製造されたものとして計算を行う。
【0053】
また、
図4に示すように、製品Bに対する原料Xの使用量は、6月1日付で「8g」となり、さらに12月1日付で「5g」に変更されている。このため、報告書を作成する12月31日の時点では、製品Bに対する原料Xの使用量は「5g」であるため、比較例となる装置は、「5g×10箱=50g」との演算を行い、12月31日の時点における製品Bの製造に使用された原料Xの使用量を「50g」とする。
【0054】
そして、比較例となる装置は、対象期間における原料Xの使用量として、製品Aの製造に使用された原料Xの使用量である「20g」と、製品Bの製造に使用された原料Xの使用量である「50g」を加算処理した計「70g」を、
図9に示すように、原料Xの使用量(製造使用数)として入力した報告書データを生成する。
【0055】
次に、上述の対象期間において、
図7に示すように11月20日付で3個の製品Aが東京事業所から大阪事業所に移動となり、また、7月10日付で4箱の製品Cが東京事業所から大阪事業所に移動となっている。
【0056】
図4に示すように、製品Aを1個製造する際に使用される原料Xは「2g」である。このため、比較例となる装置は、「2g×3個=6g」との演算を行い、12月31日の時点における製品Aの移動による原料Xの移動量を「6g」とする。また、
図4に示すように、12月31日の時点で製品Cを1箱製造する際に使用される原料Xは「15g」に設定されている。このため、比較例となる装置は、「15g×4箱=60g」との演算を行い、12月31日の時点における製品Cの移動による原料Xの移動量を「60g」とする。
【0057】
そして、比較例となる装置は、対象期間における原料Xの移動量として、製品Aの移動による原料Xの移動量である「6g」と、製品Cの移動による原料Xの移動量である「60g」を加算処理した計「66g」を、
図9に示すように、原料Xの移動量(移動数量)として入力した報告書データを生成する。
【0058】
次に、上述の対象期間において、
図7に示すように12月2日付で2箱の製品Bが東京事業所から廃棄され、12月10日付でさらに5箱の製品Bが東京事業所から廃棄されている。また、8月2日付で6箱の製品Cが東京事業所から廃棄されている。
【0059】
図4に示すように、製品Bに対する原料Xの使用量は、6月1日付で「8g」となり、さらに12月1日付で「5g」に変更されている。このため、報告書を作成する12月31日の時点では、製品Bに対する原料Xの使用量は「5g」であるため、比較例となる装置は、「5g×(2箱+5箱)=35g」との演算を行い、12月31日の時点における製品Bの廃棄による原料Xの廃棄量を「35g」とする。
【0060】
また、
図4に示すように、12月31日の時点で製品Cを1箱製造する際に使用される原料Xは「15g」に設定されている。このため、比較例となる装置は、「15g×6箱=90g」との演算を行い、12月31日の時点における製品Cの廃棄による原料Xの廃棄量を「90g」とする。
【0061】
そして、比較例となる装置は、対象期間における原料Xの廃棄量として、製品Bの廃棄による原料Xの廃棄量である「35g」と、製品Cの廃棄による原料Xの廃棄量である「90g」を加算処理した計「125g」を、
図9に示すように、原料Xの移動量(移動数量)として入力した報告書データを生成する。
【0062】
排出される状態、製造時の配合率の違い(季節配合等)の状況によって、非常に煩雑な計算が必要となることから、比較例となる装置は、報告書の作成時を基準日とし、構成情報(レシピ:
図4参照)の理論値を使用して、製品の製造に使用された原料Xの使用料等を算出している。
【0063】
このため、比較例となる装置は、原料Xの代替品を使用した場合、又は、季節配合で構成情報が取得時期と異なる場合等の様々な要因で、実際の使用量とは異なる使用量を報告する不都合を生じている。
【0064】
(報告書の作成業務の支援動作)
これに対して、実施の形態の業務支援装置1は、報告書の作成時を基準日とするのではなく、製品の製造日(又は、製造日に相当するロット番号)、移動日又は廃棄日を基準日として、原料Xの使用量、移動量又は廃棄量を算出することで、正確な使用量等の報告を可能としている。この実施の形態の業務支援装置1における原料Xの使用量、移動量又は廃棄量は下記の手順で算出される。
【0065】
1.製品に対する特定化学物質原料である原料Xの使用量は、製造日又はロット番号で特定される製造日に基づいて、その製品の製造時に使用された原料Xの使用量を検出して算出する。
【0066】
2.移動された製品の製造日又はロット番号が認識できる場合は、その製造日又はロット番号で特定される製造日に製造された製品に使用されている原料Xの使用量及び移動数に基づいて、製品の移動に伴う原料Xの移動量を算出する。
【0067】
3.移動された製品の製造日又はロット番号が認識できない場合は、移動日を基準日とし、この移動日に製造された製品に使用されている原料Xの使用量及び移動数に基づいて、製品の移動に伴う原料Xの移動量を算出する。
【0068】
4.廃棄された製品の製造日又はロット番号が認識できる場合は、その製造日又はロット番号で特定される製造日に製造された製品に使用されている原料Xの使用量及び廃棄数に基づいて、製品の廃棄に伴う原料Xの廃棄量を算出する。
【0069】
5.廃棄された製品の製造日又はロット番号が認識できない場合は、廃棄日を基準日とし、この廃棄日に製造された製品に使用されている原料Xの使用量及び廃棄数に基づいて、製品の廃棄に伴う原料Xの廃棄量を算出する。
【0070】
(原料Xの使用量の算出)
具体的には、業務オペレータは、報告書を作成する際に、入力装置6を介して、特定化学物質報告書入力画面の表示を指定操作する。これにより、制御部3は記憶部2に記憶されている業務支援プログラムに基づいて、表示制御部24として機能して、出力装置7を介して
図10に例示する特定化学物質報告書入力画面を表示する。
【0071】
この特定化学物質報告書入力画面は、事業所の入力欄、報告書の作成対象とする対象期間の入力欄、及び、特定化学物質区分の選択欄等が設けられている。業務オペレータは、報告書の作成対象となる事業所及び対象期間を入力すると共に、報告の対象とする特定化学物質区分を選択する。この
図10の例は、東京事業所における2022年6月1日~2022年12月31日の対象期間内に特定化学物質区分が「1」の特定化学物質を含む製品の製造、移動及び廃棄の報告書を作成することを意味している。なお、特定化学物質区分が「1」の特定化学物質は、
図2に示すように「原料X」である。
【0072】
このように対象期間等が指定されると、制御部3は、業務支援プログラムに基づいて取得部21として機能し、
図5に示した製造実績データテーブル14を参照する。そして、
図11に示すように、2022年6月1日~2022年12月31日の対象期間に、原料Xを用いて11月20日に製造された製品Aの製造実績データを取得する。また、取得部21は、
図4に示す構成データテーブル13を参照し、11月20日が属する期間に設定されている原料Xの使用量を取得する。
図4の例の場合、製品Aの製造に用いられる原料Xの使用量は「2g」で変更は無い。このため、取得部21は、原料Xの使用量として「2g」を取得する。
【0073】
このように各種データが取得されると、制御部3は業務支援プログラムに基づいて算出部22として機能し、製品Aが10個製造されているため、「10個×2g=20g」の演算を行い、11月20日に10個の製品Aを製造した際の原料Xの使用量として「20g」を算出する。
【0074】
また、取得部21は、
図5に示した製造実績データテーブル14を参照し、
図12(a)及び
図12(b)に示すように、2022年6月1日~2022年12月31日の対象期間に、原料Xを用いて11月20日及び12月3日に製造された製品Bの製造実績データを取得する。また、取得部21は、
図4に示す構成データテーブル13を参照し、11月20日が属する期間に設定されている原料Xの使用量、及び、12月3日が属する期間に設定されている原料Xの使用量を取得する。
図4の例の場合、11月20日が属する期間は、製品Bの製造に「8g」の原料Xが使用され、12月3日が属する期間は、製品Bの製造に「5g」の原料Xが使用されている。このため、取得部21は、各期間の原料Xの使用量として「8g」及び「5g」を取得する。
【0075】
このように各種データが取得されると、算出部22は、
図12(a)に示すように11月20日に製品Bが5個製造されているため、「5箱×8g=40g」の演算を行い、11月20日に5箱の製品Bを製造した際の原料Xの使用量として「40g」を算出する。また、算出部22は、
図12(b)に示すように12月3日に製品Bが5個製造されているため、「5箱×5g=25g」の演算を行い、12月3日に5箱の製品Bを製造した際の原料Xの使用量として「25g」を算出する。
【0076】
次に、算出部22は、11月20日に10個の製品Aを製造した際の原料Xの使用量である「20g」、11月20日に5箱の製品Bを製造した際の原料Xの使用量である「40g」、及び、12月3日に5箱の製品Bを製造した際の原料Xの使用量である「25g」をそれぞれ加算処理する。これにより、業務オペレータにより指定された対象期間に製造された製品に用いられた原料Xの使用量として「85g」を算出する。
【0077】
このように製造期間毎に、使用されている原料Xの使用量と製造数に基づいて、原料Xの総使用量を算出することで、報告書の対象期間に対応する正確な原料Xの使用量を算出することができる。
【0078】
(原料Xの移動量の算出)
次に、取得部21は、
図7に示した移動廃棄データテーブル15を参照し、業務オペレータにより指定された対象期間に移動が行われた製品の移動データを取得する。
図7の例の場合、取得部21は、11月20日に3個の製品Aが東京事業所から大阪事業所へ移動されたことを示す移動データ、及び、7月10日に4箱の製品Cが東京事業所から大阪事業所へ移動されたことを示す移動データを取得する。
【0079】
また、取得部21は、移動された製品の製造日を特定可能な場合は、特定した製造日に基づいて
図4に示す構成データテーブル13を参照し、移動された製品に用いられている原料Xの使用量を取得する。これに対して、移動された製品の製造日の特定が困難な場合、取得部21は、その製品の移動日に基づいて
図4に示す構成データテーブル13を参照し、移動された製品に用いられている原料Xの使用量を取得する。
【0080】
すなわち、
図7において、11月20日に3個が移動された製品Aはロット管理されており、そのロット番号は「LOT001」となっている。このため、取得部21は、この「LOT001」のロット番号に基づいて、
図13(a)に示す製造実績データを参照し、11月20日に移動された3個の製品Aは、「11月20日」が製造日であることを認識する。これにより、取得部21は、製造日の「11月20日」に基づいて
図4に示す構成データテーブル13を参照し、「11月20日」に移動された製品Aに対する原料Xの使用量として「2g」を取得する。
【0081】
算出部22は、「11月20日」に3個の製品Aが移動されているため、「2g×3個=6g」の演算を行い、3個の製品Aの移動による原料Xの移動量として「6g」を算出する。
【0082】
これに対して、
図7に示す「7月10日」に4箱が移動された製品Cは、ロット管理がされていないため、ロット番号が付加されておらず、製造日の特定が困難である。この場合、取得部21は、「7月10日」の移動日に基づいて
図4に示す構成データテーブル13を参照し、「7月10日」が属する期間に製品Cの製造に用いられていた原料Xの使用量を取得する。この場合、取得部21は、
図13(b)に示すように、「7月10日」が属する期間に製品Cの製造に用いられていた原料Xの使用量として「10g」を取得する。
【0083】
算出部22は、「7月10日」に4個の製品Cが移動されているため、「10g×4箱=40g」の演算を行い、4箱の製品Cの移動による原料Xの移動量として「40g」を算出する。
【0084】
次に、算出部22は、11月20日における3個の製品Aの移動に伴う原料Xの移動量である「6g」、及び、7月10日における4箱の製品Cの移動に伴う原料Xの移動量である「40g」をそれぞれ加算処理する。これにより、業務オペレータにより指定された対象期間における製品の移動に伴う原料Xの移動量として「46g」を算出する。
【0085】
このように移動された製品の製造日又は移動日に使用されていた原料Xの使用量と移動数に基づいて、原料Xの総移動量を算出することで、報告書の対象期間に対応する正確な原料Xの移動量を算出することができる。
【0086】
(原料Xの廃棄量の算出)
次に、取得部21は、
図7に示した移動廃棄データテーブル15を参照し、業務オペレータにより指定された対象期間に廃棄が行われた製品の廃棄データを取得する。
図7の例の場合、取得部21は、東京事業所において、12月2日に2箱の製品Bが廃棄されたことを示す廃棄データ、12月10日に5箱の製品Bが廃棄されたことを示す廃棄データ、及び、8月2日に6箱の製品Cが廃棄されたことを示す廃棄データを取得する。
【0087】
また、取得部21は、廃棄された製品の製造日を特定可能な場合は、特定した製造日に基づいて
図4に示す構成データテーブル13を参照し、廃棄された製品に用いられている原料Xの使用量を取得する。これに対して、廃棄された製品の製造日の特定が困難な場合、取得部21は、その製品の廃棄日に基づいて
図4に示す構成データテーブル13を参照し、廃棄された製品に用いられている原料Xの使用量を取得する。
【0088】
すなわち、
図7において、12月2日に2箱が廃棄された製品B及び12月10日に5箱が廃棄された製品Bは、それぞれロット管理されており、そのロット番号は「LOT002」、「LOT003」となっている。このため、取得部21は、この「LOT002」のロット番号に基づいて製造実績データを参照し、12月2日に廃棄された2箱の製品Bは、
図14(a)に示すように「11月20日」が製造日であることを認識する。同様に、取得部21は、「LOT003」のロット番号に基づいて製造実績データを参照し、12月10日に廃棄された5箱の製品Bは、
図14(b)に示すように「12月3日」が製造日であることを認識する。
【0089】
このように製造日が特定されると、取得部21は、製造日の「11月20日」に基づいて
図4に示す構成データテーブル13を参照し、「12月2日」に廃棄された製品Bに対する原料Xの使用量として「8g」を取得する。また、取得部21は、製造日の「12月2日」に基づいて
図4に示す構成データテーブル13を参照し、「12月2日」に廃棄された製品Bに対する原料Xの使用量として「5g」を取得する。
【0090】
算出部22は、「12月2日」に2箱の製品Bが廃棄されているため、「8g×2箱=16g」の演算を行い、2箱の製品Bの廃棄による原料Xの廃棄量として「16g」を算出する。同様に、算出部22は、「12月10日」に5箱の製品Bが廃棄されているため、「5g×5箱=25g」の演算を行い、5箱の製品Bの廃棄による原料Xの廃棄量として「25g」を算出する。
【0091】
これに対して、
図7に示す「8月2日」に6箱が廃棄された製品Cは、ロット管理がされていないため、ロット番号が付加されておらず、製造日の特定が困難である。この場合、取得部21は、「8月2日」の廃棄日に基づいて
図4に示す構成データテーブル13を参照し、「8月2日」が属する期間に製品Cの製造に用いられていた原料Xの使用量を取得する。この場合、取得部21は、
図15に示すように、「8月2日」が属する期間に製品Cの製造に用いられていた原料Xの使用量として「10g」を取得する。
【0092】
算出部22は、「8月2日」に6箱の製品Cが廃棄されているため、「10g×6箱=60g」の演算を行い、6箱の製品Cの移動による原料Xの移動量として「60g」を算出する。
【0093】
次に、算出部22は、12月2日における2箱の製品Bの廃棄に伴う原料Xの廃棄量である「16g」、及び、12月10日における5箱の製品Bの廃棄に伴う原料Xの廃棄量である「25g」、及び、8月2日における6箱の製品Cの廃棄に伴う原料Xの廃棄量である「60g」をそれぞれ加算処理する。これにより、業務オペレータにより指定された対象期間における製品の廃棄に伴う原料Xの廃棄量として「101g」を算出する。
【0094】
このように廃棄された製品の製造日又は廃棄日に使用されていた原料Xの使用量と廃棄数に基づいて、原料Xの総廃棄量を算出することで、報告書の対象期間に対応する正確な原料Xの廃棄量を算出することができる。
【0095】
(報告書データの生成)
次に、データ生成部23は、算出された原料Xの使用量(製造使用数)、移動量(移動数量)、及び、廃棄量(廃棄数量)を含む、
図16に例示する特定化学物質原料の排出報告用の報告書データを生成する。記憶制御部25は、生成された報告書データを記憶部2に記憶する。この報告書データは、業務オペレータにより指定されたタイミングで、制御部3により印刷データに変換され、出力装置7の一例である印刷装置に供給されて印刷される。
【0096】
また、制御部3は業務支援プログラムに基づいて通信制御部26として機能し、業務オペレータにより指定されたタイミングで、記憶部2に記憶された報告書データを、通信インターフェース部4及びネットワーク50を介して環境管理事務所の端末装置51に送信する。これにより、法的に報告義務のある原料Xの使用量、移動量及び廃棄量の申請が行われる。
【0097】
(実施の形態の効果)
以上の説明から明らかなように、実施の形態の業務支援装置1は、製品のロット管理等の、製品の製造日を特定可能な情報を用いて、製品の製造時の実績値を取得しているため、より詳細な使用量、移動量及び廃棄量の算出を行うことができ、法的に報告義務のある原材料の精緻な報告を可能とすることができる。
【0098】
また、ロット管理困難な連続生産製品の場合は、移動日又は廃棄日を基準日として取り扱い、構成情報の改定日を取得して数量展開しているため、より詳細な使用量、移動量及び廃棄量の算出を行うことができ、法的に報告義務のある原材料の精緻な報告を可能とすることができる。
【0099】
[国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び目標9に貢献することが可能となる。
【0100】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、目標13及び目標15に貢献することが可能となる。
【0101】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0102】
[他の実施の形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0103】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、或いは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0104】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0105】
また、業務支援装置1に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも図示の如く物理的に構成されていることを要しない。
【0106】
例えば、業務支援装置1が備える処理機能、特に制御部3及び制御部3にて行われる各処理機能については、その全部又は任意の一部を、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。なお、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて業務支援装置1に機械的に読み取られる。すなわち、ROM又はHDD等の記憶部等には、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部3を構成する。
【0107】
また、この業務支援装置1の業務支援プログラムは、業務支援装置1に対して任意のネットワークを介して接続された他のサーバ装置に記憶されていてもよく、必要に応じてその全部又は一部をダウンロードすることも可能である。
【0108】
また、本実施形態で説明した処理を実行するための業務支援プログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、及び、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0109】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコード又はバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施の形態に示した業務支援装置1において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0110】
記憶部2は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0111】
また、業務支援装置1は、既知のパーソナルコンピュータ装置又はワークステーション等の情報処理装置で構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された情報処理装置で構成してもよい。また、情報処理装置は、本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラム又はデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0112】
さらに、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部又は一部を、各種の付加等に応じて又は機能負荷に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明は、例えば化学中間品メーカー等の、法的に報告義務のある原材料を用いて製品の製造を行う企業等の報告書の作成業務に用いて好適である。
【符号の説明】
【0114】
1 業務支援装置
2 記憶部
3 制御部
4 通信インターフェース部
5 入出力インターフェース部
6 入力装置
7 出力装置
11 商品マスタ
12 事業所マスタ
13 構成データテーブル
14 製造実績データテーブル
15 移動廃棄データテーブル
21 取得部
22 算出部
23 データ生成部
24 表示制御部
25 記憶制御部
26 通信制御部
50 ネットワーク
51 環境管理事務所の端末装置