(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102582
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】電子キー操作装置
(51)【国際特許分類】
E05B 19/00 20060101AFI20240724BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
E05B19/00 E
E05B49/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006575
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006758
【氏名又は名称】株式会社ヨコオ
(74)【代理人】
【識別番号】110001667
【氏名又は名称】弁理士法人プロウィン
(72)【発明者】
【氏名】山本 次男
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250CC30
2E250HH01
2E250JJ03
2E250JJ12
2E250LL01
(57)【要約】
【課題】 本発明は、多様な電子キーの形態に対して、最小限の設計変更によって使用可能な電子キー操作装置を提供する。
【解決手段】 本発明の電子キー操作装置は、電子キーを収容する収容部と、前記収容部に収容された前記電子キーのボタンを押す押圧部材と、前記押圧部材に前記ボタンを押すための動力を与えるアクチュエータと、前記アクチュエータと前記押圧部材との相対的な位置を設定し、かつ前記ボタンの位置に対応するように前記押圧部材の位置を設定するための位置設定部とを備える。ここで、位置設定部は、第1方向及び前記第1方向と交差する第2方向にわたって、前記押圧部材の位置を設定できる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子キーを収容する収容部と、
前記収容部に収容された前記電子キーのボタンを押す押圧部材と、
前記押圧部材に前記ボタンを押すための動力を与えるアクチュエータと、
前記アクチュエータと前記押圧部材との相対的な位置を設定するための位置設定部と、を備え、
前記位置設定部は、第1方向及び前記第1方向と交差する第2方向にわたって、前記ボタンの位置に対応するように前記押圧部材の位置が設定可能である、
電子キー操作装置。
【請求項2】
前記位置設定部が、前記押圧部材を収容するための複数の受け部を有する、請求項1に記載の電子キー操作装置。
【請求項3】
前記押圧部材が、前記位置設定部の受け部内で摺動可能であり、前記押圧部材の一端で前記ボタンを押すことができ、他端で前記ボタンを押すための動力が加えられる、請求項2に記載の電子キー操作装置。
【請求項4】
前記押圧部材が、少なくとも2つ存在しており、
前記位置設定部が、前記押圧部材のそれぞれの位置を設定するための、第1の部分及び第2の部分を少なくとも有している、請求項1に記載の電子キー操作装置。
【請求項5】
前記位置設定部の前記第1の部分と前記第2の部分とが、前記第1方向及び前記第2方向の両方向で隣接している、請求項4に記載の電子キー操作装置。
【請求項6】
前記アクチュエータからの動力を前記押圧部材に伝えるための中間部材をさらに有する、請求項1に記載の電子キー操作装置。
【請求項7】
前記中間部材が回転軸を有しており、前記アクチュエータからの動力が前記中間部材の周方向の移動によって前記押圧部材に伝達される、請求項6に記載の電子キー操作装置。
【請求項8】
前記アクチュエータからの動力を前記押圧部材に伝えるための中間部材をさらに有し、前記中間部材が、前記位置設定部の前記第1の部分及び前記第2の部分に対応して第1の中間部材及び第2の中間部材に分かれている、請求項4に記載の電子キー操作装置。
【請求項9】
前記第1の中間部材及び前記第2の中間部材が、前記第1方向及び前記第2方向の両方向で隣接している、請求項8に記載の電子キー操作装置。
【請求項10】
前記位置設定部が、前記中間部材とは別個の部材である、請求項6に記載の電子キー操作装置。
【請求項11】
前記電子キーは、電子キー収容ケースによって固定された状態で、前記収容部に収容される、請求項1~10のいずれか一項に記載の電子キー操作装置。
【請求項12】
電子キーを収容する収容部と、
前記収容部に収容された前記電子キーのボタンを押す押圧部材と、
前記押圧部材に前記ボタンを押すための動力を与えるアクチュエータと、
前記アクチュエータと前記押圧部材との相対的な位置を設定するための位置設定部と、
前記アクチュエータからの動力を前記押圧部材に伝えるための中間部材と、を備え、
前記中間部材は、第1の中間部材と、第2の中間部材と、を有し、
前記位置設定部は、第1方向及び前記第1方向と交差する第2方向のいずれかの方向に沿って、複数の前記押圧部材の位置を設定し、
前記第1の中間部材は、前記複数の押圧部材のうちの一方に対して前記動力を伝えることが可能であり、
前記第2の中間部材は、前記複数の押圧部材のうちの他方に対して前記動力を伝えることが可能である、
電子キー操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子キー操作装置に関し、特に、収容した電子キーを外部から操作するための電子キー操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車の利用形態として、複数人で1台又は複数台の車両をシェアする形態がある。カーシェアリング及びレンタカーがそれに該当する。以降こうした利用形態を総括して「シェアリング」と呼ぶ。
【0003】
シェアリングにおいては、シェアリング対象の車両を使用するための鍵の扱いが重要となる。例えば、特許文献1は、シェアリングにおいて無人で電子キーを受け渡すための電子キーの収納ケースが開示されている。特許文献1の発明では、車外からスマートフォン等で、電子キーが収納された車内の収納ケースと通信を行う。そして、車内にある電子キーのボタンを車外から操作することによって、自動車のドアロックを解錠し、車内にある電子キーを受け取ることができる。
【0004】
特許文献2~3も、カーシェアリング用の電子キーの受け渡しシステムを開示している。また、特許文献4は、電子キーを車内に収納する盗難防止用の電子キー収納ケースを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2021/054404号
【特許文献2】欧州特許出願公開3912869号明細書
【特許文献3】特表2019-512630号
【特許文献4】特開2021-167151号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の電子キーの収納ケースは、電子キーのボタン及び外形に応じて、ボタンを押す押圧部及びアクチュエータの配置及び電子キーの収納空間の形状を変更する必要がある。そのため、世の中に存在する多様な電子キーの形態に応じて、収納ケースをそれぞれ設計して製造する必要があり、かつ/又は収納ケースの筐体部を大きくしておく必要がある。
【0007】
そこで、本発明の目的の一例は、多様な電子キーの形態に対して、最小限の設計変更によって使用可能で、かつ小型化が可能な電子キー操作装置を提供することにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様では、電子キー操作装置は、電子キーを収容する収容部と、前記収容部に収容された前記電子キーのボタンを押す押圧部材と、前記押圧部材に前記ボタンを押すための動力を与えるアクチュエータと、前記アクチュエータと前記押圧部材との相対的な位置を設定し、かつ前記ボタンの位置に対応するように前記押圧部材の位置を設定するための位置設定部とを備える。ここで、位置設定部は、第1方向及び前記第1方向と交差する第2方向にわたって、前記押圧部材の位置を設定できるようになっていてもよい。
【0009】
このような本発明の電子キー操作装置は、アクチュエータの位置を固定していながらも押圧部材の位置を位置設定部で設定することができるため、押圧部材の位置と電子キーのボタンの位置とを簡単に合致させることができる。また、位置設定部では、押圧部材の配置を第1方向と第2方向とで二次元的に変更することができるようになっていてもよい。それにより、多様な電子キーの形態に対して、最小限の設計変更によって電子キー操作装置が利用可能となる。また、電子キーのボタンの位置に応じてアクチュエータの位置を変更しなくてもよいため、電子キー操作装置の筐体部の形状も変更する必要がなく、アクチュエータの位置変更のための空間を内部に確保する必要がなくなるため小型化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、シェアリングシステムのシステム構成の例を示している。
【
図2】
図2は、電子キー操作装置の1つの実施形態の動作を概念的に示している。
【
図3】
図3は、電子キー操作装置の1つの実施形態の構造のX軸断面を概念的に示している。
【
図4】
図4は、電子キー操作装置の1つの実施形態の構造のY軸断面を概念的に示している。
【
図5A】
図5Aは、電子キー操作装置のうち、アクチュエータ、中間部材、及び筐体部の一部のみを斜視図で示している。
【
図5B】
図5Bは、電子キー操作装置のうち、中間部材及び回転軸のみを斜視図で示している。
【
図6A】
図6Aは、押圧部材及び位置設定部の分解図を示している。
【
図6B】
図6Bは、押圧部材及び位置設定部の組立図を示している。
【
図7】
図7は、電子キー操作装置の内部構造の1つの実施形態のZ軸に垂直な平面への投影図を概念的に示している。
【
図8】
図8は、電子キー操作装置の最終組立工程を概略的に示している。
【
図9】
図9は、電子キーの長軸に沿って、解錠ボタン及び施錠ボタンが並んでいる場合の、位置設定部における第1及び第2の押圧部材の設定位置を示している。
【
図10】
図10は、解錠ボタン及び施錠ボタンが電子キーの長軸に対して斜めに位置して並んでいる場合の、位置設定部における第1及び第2の押圧部材の設定位置を示している。
【
図11】
図11は、解錠ボタン及び施錠ボタンが電子キーの長軸に対して垂直方向に隣り合って並んでいる場合の電子キーを概念的に示している。
【
図12】
図12は、
図11の電子キーの解錠ボタン及び施錠ボタンを押すことができる電子キー操作装置の内部構造の1つの実施形態について、Z軸に垂直な平面への投影図を概念的に示している。
【
図13】
図13は、
図11の電子キーの解錠ボタン及び施錠ボタンを押す場合の、
図12の実施形態の位置設定部における第1及び第2の押圧部材の設定位置を示している。
【
図14】
図14は、
図13とは異なる電子キーの解錠ボタン及び施錠ボタンを押す場合の、
図12の実施形態の位置設定部における第1及び第2の押圧部材の設定位置を示している。
【
図15】
図15は、
図13とは異なる電子キーの解錠ボタン及び施錠ボタンを押す場合の、
図12の実施形態の位置設定部における第1及び第2の押圧部材の設定位置を示している。
【
図16】
図16は、電子キー操作装置の位置設定部の他の実施形態を示しており、
図16に記載の実施形態では
図3等に記載の実施形態における中間部材に位置設定部が設けられている。
【
図18】
図18は、他の実施形態において電子キー操作装置の動作を概念的に示している。
【
図19】
図19は、電子キー操作装置の電子キー収容部に、電子キー収容ケースに入れられた電子キーを収容する1つの実施形態を示している。
【
図20】
図20は、
図19の実施形態で用いられる電子キー収容ケースの詳細を、電子キーを入れた状態で概略的に示している。
【
図21A】
図21Aは、電子キー操作装置の電子キー収容部に電子キー収容ケースを用いずに電子キーを収容する1つの実施形態において、電子キー収容部が閉じた状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を以下の実施形態を例として具体的に説明をするが、本発明はこれによって限定されるものではない。本明細書における各装置、機構、手段等について特に詳細な言及がない場合には、これらについては当業者であれば周知の機械的装置、機構、手段等を用いることができる。各実施形態は、当業者が通常の知識に基づいて組み合わせることが可能であり、各実施形態について特記していない構成については、他の実施形態と同じ構成又はその実施形態に適した構成を有することができる。断面図において、他の部材と識別しやすくするために各部材の断面を様々な斜線で表しているが、これらの斜線の差異は、その部材の材質、形状等の差異を表すものではない。また、斜視図においても、他の部材と識別しやすくするために各部材を色又はドットで表しているが、これらの差異も、その部材の材質、形状等の差異を表すものではない。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、本発明に係る電子キー操作装置を用いたシェアリングシステムのシステム構成例を示す模式図である。
【0013】
シェアリングシステム3は、シェアリング対象である車両5と、車両5に付属する純正の電子キー200を収容した車載器である電子キー操作装置100と、ネットワーク9を介して電子キー操作装置100と通信接続するサーバシステム1100と、ネットワーク9を介して電子キー操作装置100と通信接続するシェアリング対象のユーザが使用するユーザ端末1500と、を有する。車両5には1つの電子キー操作装置100が搭載される。実際のシェアリングシステム3の運用にあたっては、車両5及び電子キー操作装置100のセットが1つ又は複数用意され、複数のユーザ端末1500が用いられることとなる。
【0014】
電子キー200は、シェアリング対象の車両5が備える施錠機構を解錠/施錠する押下釦である解錠ボタン及び施錠ボタンを有する。電子キー200は、解錠ボタンが押されると所定の解錠信号を発信し、施錠ボタンが押されると所定の施錠信号を発信する。ネットワーク9は、データ通信が可能な通信路を意味する。通信方法については有線/無線を問わない。
【0015】
サーバシステム1100は、シェアリングシステム3のユーザ登録と、予約管理と、ユーザ端末1500や電子キー操作装置100への予約情報の提供と、を行う。具体的には、サーバシステム1100は、管理プログラム501を記憶し、これを実行することによって、(1)ユーザ登録機能、(2)車両5別の予約設定機能、(3)予約情報700(例えば、固有の予約ID、予約車両ID、予約期間、パスワードなどを含む。)の生成機能、(4)予約情報700の写し(予約情報700t)をユーザ端末1500へ提供する機能、(5)予約情報700の写し(予約情報700c)を電子キー操作装置100へ提供する機能、を実装する。
【0016】
ユーザ端末1500は、ユーザが使用するネットワーク9に接続可能なコンピュータシステムであって、例えばスマートフォン、タブレット型コンピュータ、ノートパソコン、ウェアラブルコンピュータ等により実現される。
【0017】
ユーザ端末1500は、アプリケーションプログラムを記憶し、実行することができる。アプリケーションプログラムとしては、端末プログラム502を記憶している。端末プログラム502は、(1)サーバシステム1100にアクセスするための機能と、(2)ユーザによる解錠操作に応じて電子キー操作装置100へ所定の解錠要求を行い、予約情報700tを提供して電子キー操作装置100に解錠させる機能と、(3)ユーザによる施錠操作に応じて電子キー操作装置100と通信接続して所定の施錠要求を行い、予約情報700tを提供して電子キー操作装置100に施錠させる機能と、を実現させる。
【0018】
なお、第1方向X、第2方向Y又は第3方向Zを示す矢印は、当該矢印の基端から先端に向かう方向が当該矢印によって示す方向の正方向であり、当該矢印の先端から基端に向かう方向が当該矢印によって示す方向の負方向であることを示している。第1方向Xは、電子キー収容ケース300の電子キー操作装置100に対しての挿抜方向に平行な方向となっている。第1方向Xの正方向は、電子キー収容ケース300の挿入方向となっている。第1方向Xの負方向は、電子キー収容ケース300の抜去方向となっている。第2方向Yは、第1方向Xに直交し、電子キー操作装置100の厚み方向に平行な方向となっている。第2方向Yの正方向は、電子キー操作装置100の下方から上方に向かう方向となっている。第2方向Yの負方向は、電子キー操作装置100の上方から下方に向かう方向となっている。第3方向Zは、第1方向X及び第2方向Yの双方に直交している。第3方向Zは、電子キー操作装置100の奥行方向に平行な方向となっている。第3方向Zの正方向は、電子キー操作装置100の電子キー収容ケース300が装着される側から当該装着される側とは反対側に向かう方向となっている。第3方向Zの負方向は、電子キー操作装置100の電子キー収容ケース300が装着される側とは反対側から当該装着される側に向かう方向となっている。図面中の第1方向X、第2方向Y及び第3方向Zを、それぞれX方向、Y方向及びZ方向ともいう。
【0019】
図2は、電子キー操作装置100の第1実施形態の動作を概念的に示している。
図3及び
図4は、電子キー操作装置100の第1実施形態の構造を概念的に示している。
図5Aは、第1実施形態の電子キー操作装置100のうち、アクチュエータ40(以下、 第1及び第2のアクチュエータ41,42を区別せずに説明するときは、アクチュエータ40と表記する)、中間部材50(以下、 第1及び第2の中間部材51,52を区別せずに説明するときは、中間部材50と表記する)、及び筐体部10の一部の構造のみを斜視図で示しており、
図5Bは、中間部材50及び回転軸53の構造のみを斜視図で示している。また、
図6Aは、第1実施形態についての押圧部材60(以下、第1及び第2の押圧部材61,62を区別せずに説明するときは、押圧部材60と表記する)及び位置設定部70の分解図を示しており、
図6Bは、その組立図を示している。
【0020】
まず、
図2を参照して、第1実施形態に係る電子キー操作装置100の動作を説明する。この電子キー操作装置100は、アクチュエータ40と、回転軸53を有する中間部材50と、押圧部材60と、押圧部材60を保持する位置設定部70と、を具備する。
【0021】
アクチュエータ40から動力を伝えられた中間部材50は、回転軸53を中心として運動し、アクチュエータ40からの動力を押圧部材60に間接的に伝えることができる。中間部材50から力を伝えられた押圧部材60は、位置設定部70内で摺動し、電子キー200のボタン210(以下、解錠ボタン211と施錠ボタン212を区別せずに説明するときは、ボタン210と表記する)を押すことができる。
【0022】
なお、押圧部材60が電子キー200のボタン210を押し、そしてアクチュエータ40の動力が止まった後に、押圧部材60は、復帰機構によって元の位置に戻り、中間部材50は押圧部材60に押されて元の位置に戻る。アクチュエータ40の可動部は、中間部材50に押されてかつ/又は他の復帰機構によって元の位置に戻すことができる。
【0023】
次に、
図3~
図8に基づいて、第1実施形態の各構成の構造及び機能について詳細に説明する。
【0024】
図3に示すように、電子キー操作装置100は、電子キー収容部110及び操作機構部120を有する。
【0025】
電子キー収容部110は、電子キー200を収容する部分である。電子キー収容部110は、電子キー200のボタン210を操作機構部120にある押圧部材60の側に向けた状態で、電子キー200を収容する。第1実施形態においては、電子キー200は、電子キー収容ケース300に格納された状態で、電子キー収容部110に収容されている。
【0026】
操作機構部120は、電子キー200のボタン210を押すための機械構造部分であり、筐体部10中に、制御部30、制御部30から信号を受けるアクチュエータ40、アクチュエータ40から動力を受ける中間部材50、中間部材50から動力を受ける押圧部材60を有している。
【0027】
制御部30は、CPU、ICメモリ、通信モジュール、電力制御回路、インターフェースIC、車載ネットワーク通信IC等の電子部品及び/又は各種回路を備え、電子キー操作装置100の動作を統合的に制御することができる。また、制御部30の通信モジュールによって、電子キー操作装置100は、ネットワーク9に接続することができる。
【0028】
制御部30は、
図3及び
図4において、アクチュエータ40のY方向に隣接して、X方向及びZ方向に延在しているが、制御部30の位置及び方向は、制御部30がその機能を発揮することができれば、特にこの実施形態に限られるものではない。
【0029】
アクチュエータ40は、制御部30から制御されて、直接的に又は中間部材50を介して間接的に、押圧部材60に動力を与える駆動部となる。具体的には、ネットワーク9を介して電子キー200の解錠又は施錠の指示が、制御部30の通信モジュールに与えられると、アクチュエータ40は、制御部30から制御されて可動部43を押し出す。
【0030】
アクチュエータ40は、例えば電磁ソレノイドであってもよく、具体的にはプッシュ式のリニアソレノイドで実現され、駆動電流の通電に伴って電磁力でロッド状の可動部43を押し出すことができる。
【0031】
図4に示すように、アクチュエータ40は、第1及び第2のアクチュエータ41,42からなり、これらはそれぞれ第1及び第2の押圧部材61,62に動力を与えることによって、解錠ボタン211及び施錠ボタン212をそれぞれ押すことができる。なお、操作したい電子キー200のボタンが3つ以上ある場合には、アクチュエータ40、随意の中間部材50、及び押圧部材60は、それぞれ3つ以上あってもよい。
【0032】
例えば、電子キー操作装置によって遠隔操作で車のトランクを開けて、配達された荷物を一時保管したいという場合があるため、電子キー200のトランク解錠ボタンのために3つめのアクチュエータ40、中間部材50、及び押圧部材60があってもよい。
【0033】
第1及び第2のアクチュエータ41,42は、X方向に互いに隣接して配置されており、共に、Z方向の負方向に可動部43を押し出して、第1及び第2の中間部材51,52に対して動力を伝えることができる。
【0034】
図5等に示すように、中間部材50は、アクチュエータ40からの動力を押圧部材60に伝えるための部材である。中間部材50は、そのための適切な剛性及び構造を有している。例えば、中間部材50は、Y方向に長尺な長方形の板状部材である。中間部材50を用いることによって、アクチュエータ40、押圧部材60及び位置設定部70の配置を自由に設定しやすくなり、それにより、電子キー操作装置100の小型化が容易になる。また、アクチュエータ40から押圧部材60への動力を適切に伝えやすくなり、また押圧部材60を電子キー200のボタン210の面に対して垂直に動作させやすくなる。
【0035】
中間部材50は、アクチュエータ40からの動力を押圧部材60に伝えることができ、押圧部材60に動力を伝えた後に、初期位置に復帰できるようになっていれば特に限定されない。例えば、中間部材50は、回転軸53を中心に前後に動くように構成されていてもよく、中間部材50が筐体部10内で摺動可能に構成されていてもよい。
【0036】
例えば、
図2に示すように、中間部材50は、回転軸53を有する板状のレバー形状を有することができる。ここで、中間部材50は、アクチュエータ40から力を受けて、Z方向の負方向に倒れるように動くことができる。すなわち中間部材50は、Y方向及びZ方向のYZ平面において、回転軸53を中心として周方向に動くことができる。それにより、中間部材50は、アクチュエータ40から受けた動力を押圧部材60に伝え、押圧部材60がZ方向の負方向に動作することができる。
【0037】
第1実施形態のように、中間部材50が回転軸53を中心に動く場合、アクチュエータ40から押圧部材60に伝わる動力には、てこの原理を働かせることができる。この場合、アクチュエータ40の可動部43からの動力を力点とすることができ、回転軸53を支点とすることができ、押圧部材60を作用点とすることができる。てこの原理が働くことで、押圧部材60を押すためのアクチュエータ40の可動部43の移動距離は大きくなるものの、可動部43に必要な押出力は小さくすることができる。その結果、アクチュエータ40として、出力の小さな小型のアクチュエータを採用することができ、その結果、電子キー操作装置100自体も小型化することができる。
【0038】
ただし、中間部材50は、アクチュエータ40から押圧部材60に直接的に動力を伝えられるのであれば特に存在する必要はない。また、中間部材50が存在するとしても、図示された実施形態に限定される必要はなく、アクチュエータ40の可動部43又は押圧部材60と実質的に一体となって動作する部材であってもよい。
【0039】
第1実施形態において、中間部材50は、第1及び第2の中間部材51,52からなり、これらはそれぞれ第1及び第2の押圧部材61,62に動力を与えることによって、解錠ボタン211及び施錠ボタン212をそれぞれ押すことができる。
【0040】
第1及び第2の中間部材51,52は、それぞれ第1及び第2のアクチュエータ41,42の可動部43が動作するZ方向に隣接して配置されており、第1及び第2の中間部材51,52自体は、X方向に隣接して配置されている。
【0041】
図5A及び
図5Bに示すように、第1及び第2の中間部材51,52は、Y方向下部に、X方向に延在する棒状のピンを有しており、このピンが、第1及び第2の中間部材51,52の共通した回転軸53となる。回転軸53となるピンは、高い剛性を有している必要があり、好ましくは金属製の棒状ピンである。
【0042】
図6等に示すように、押圧部材60は、電子キー200のボタン210を押すための部材であり、そのための適切な形状及び剛性を有している。押圧部材60は、位置設定部70によって、その位置が設定できるようになっている。押圧部材60は、アクチュエータ40の可動部43とは異なる部材であり、可動部43の可動方向と平行に動くことができるが、位置設定部70によって、アクチュエータ40との相対的な位置が設定される結果、通常は可動部43の可動方向と同一直線上に動かない。押圧部材60は、位置設定部70によって、その位置が変更可能なように保持されていてもよく、又はその位置が一度設定された後には、位置変更ができないように保持されていてもよい。
【0043】
第1実施形態において、押圧部材60は、第1及び第2の押圧部材61,62からなる。第1及び第2の押圧部材61,62は、第1及び第2の中間部材51,52から動力を受けて、Z方向の負方向に押し出されることによって、電子キー200のボタン210を押すことができる。この実施形態において、第1及び第2の押圧部材61,62は、Z方向を長手方向とした円柱状のピン構造を有している。また、この実施形態において、第1及び第2の押圧部材61,62は、X方向に隣接しているが、電子キー200が保持される態様及びボタンの配置態様に応じて、Y方向に隣接していてもよい。
【0044】
第1及び第2の押圧部材61,62は、位置設定部70において位置が設定可能になっている。それにより、多様な電子キーのボタンの位置に対応させて、第1及び第2の押圧部材61,62の位置を設定することができる。
【0045】
具体的には、第1及び第2の押圧部材61,62は、位置設定部70の複数の受け部73のいずれかにそれぞれ収容される。第1実施形態では、第1及び第2の押圧部材61,62は、円柱状のピンとなっており、位置設定部70の受け部73がそのピンを差し込むことができる円形状の孔となっている。
【0046】
ただし、第1及び第2の押圧部材61,62の形状は、第1実施形態に限定されるものではなく、楕円柱状や多角柱状などの形状であってもよい。また、第1の押圧部材61と第2の押圧部材62とが異なる形状であってもよい。受け部73の形状は、第1及び第2の押圧部材61,62に合わせて適宜変更可能である。
【0047】
第1及び第2の押圧部材61,62は、受け部73に収容された状態で摺動可能であり、その一端で電子キー200のボタン210を押し、他端でボタン210を押すための動力が、第1及び第2の中間部材51,52から与えられる。
【0048】
第1及び第2の押圧部材61,62が、位置設定部70内で摺動することによって、押圧部材61,62の移動は、電子キー200のボタン210に対して実質的に垂直にすることができ、それによりボタン210を確実に押すことができる。
【0049】
図6Aに示すように、第1及び第2の押圧部材61,62は、位置設定部70の前部71及び後部72にそれぞれ挟まれて保持される。この挟まれた空間内で、第1及び第2の押圧部材61,62がフランジ63をそれぞれ有することで、位置設定部70から抜け出ることを防止している。
【0050】
図6Aに示すように、第1及び第2の押圧部材61,62は、例えばリターンスプリングからなる復帰機構64を有する。復帰機構64は、アクチュエータ40の動力により電子キー200のボタン210を押した後の第1及び第2の押圧部材61,62を、元の位置に戻す機構である。第1実施形態において、復帰機構64は、位置設定部70内の空間、特にフランジ63と位置設定部70の前部71とに挟まれている。
【0051】
ただし、フランジ63及び復帰機構64の位置は、第1実施形態に限定されない。例えば、位置設定部70の後部72よりもZ方向正方向側に配置されてもよく、位置設定部70の前部71よりもZ方向負方向側に配置されてもよい。復帰機構64の一端がフランジ63によって位置決めされていることが好ましい。
【0052】
第1実施形態においては、位置設定部70は、押圧部材60の位置を設定するための受け部73を、第1及び第2の押圧部材61,62に対応してそれぞれ6つずつ存在している。ただし、受け部73の数は、これに限定されるものではなく、多様な電子キーのボタンの位置に対応できるようになっていればよい。
【0053】
位置設定部70は、上述したようにボタン210の位置に対応するように押圧部材60の位置を設定するだけではなく、アクチュエータ40と押圧部材60との相対的な位置を設定する。「相対的な位置を設定する」とは、アクチュエータ40と押圧部材60との位置関係が互いに変更可能になっていることを意味しており、例えば位置設定部70は、アクチュエータ40の位置が固定されていても、押圧部材60の位置を変更することができる。
【0054】
このように、位置設定部70は、押圧部材60の位置を不連続的に変更できる。不連続的に変更できることで、この装置のユーザは、車両ごとの電子キー200のボタン210位置と、押圧部材60の位置設定部70の設定箇所との対応表を参照することによって、位置設定部70に設定すべき押圧部材60の位置を簡単に選択することができる。
【0055】
位置設定部70は、第1方向X及び第2方向Yにわたって、押圧部材60の位置を設定するための不連続的な複数の位置設定箇所を有することができる。第1実施形態においては、押圧部材60の位置を設定するための位置設定箇所(受け部73)が、第1方向Xに4箇所、及び第2方向Yに3箇所存在している。ただし、位置設定箇所は、第1実施形態に限定されず、例えば、第1方向X及び第2方向Yにそれぞれ2~10箇所又は3~6箇所程度存在していてもよい。
【0056】
図6Bに示すように、第1実施形態における位置設定部70は、第1及び第2の押圧部材61,62のそれぞれに位置を設定するための第1の部分74及び第2の部分75を有している。第1の部分74に第1の押圧部材61の位置が設定され、かつ第2の部分75に第2の押圧部材62の位置が設定されて、第1及び第2の押圧部材61,62は、電子キー200のそれぞれのボタン211,212を押すことができる。
【0057】
図7は、電子キー操作装置の1つの実施形態の構造のZ軸に垂直な平面への投影図を概念的に示している。なお、中間部材51,52のみを実線としているが、これは後述する他の実施形態との差異を明確化するためである。第1のアクチュエータ41は可動部43を通じて第1の中間部材51に力を加えることができる。力が加わった第1の中間部材51は、回転軸53周りで周方向に移動することで、位置設定部70の第1の部分74に位置している第1の押圧部材61を押すことができる。同様に第2の押圧部材62も、第2のアクチュエータ42及び第2の中間部材52を通じて押すことができる。
【0058】
位置設定部70は、第1実施形態のように、独立した別個の部品となっていることが好ましい。位置設定部70が独立した部品である場合、押圧部材60の位置が設定されている状態の位置設定部70のみを電子キー操作装置100に組み込むことで、多様な電子キーに対応した電子キー操作装置100を製造することができる。ただし、位置設定部70は、筐体部10等の他の構成部材の一部であってもよい。
【0059】
例えば、
図8に示すように、予め位置設定部70及び筐体部10の上部11以外の部分を組み立てておく。ここに、特定の電子キー200に対応して、押圧部材60の位置を設定した位置設定部70及び上部筐体部11を組み付ければ、電子キー操作装置100を完成させることができる。このような最終組立て工程は非常に容易であるため、ユーザが行うこともできる。
【0060】
筐体部10の構成は、組立工程が容易であり、かつ各要素を収納しやすいように構成されていれば、特に限定されない。また、例えば、第1実施形態における筐体部10と上部筐体部11とは、ネジによって固定されるが、スナップ留めや接着剤など、任意の固定方法を用いることができる。
【0061】
図8に示すように、電子キー操作装置100は、電子キー収容部110に電子キー200及び/又は電子キー収容ケース300が収容されていることを検出するための収容検出部13を有することができる。収容検出部13は、電子キー収容部110に、電子キー200及び/又は電子キー収容ケース300が収容されていることを検出し、検出信号を制御部30へ出力する。収容検出部13は、例えば、操作機構部120のZ方向負方向側の側面に設けられたプッシュスイッチ、光学式のセンサー等であってもよい。
【0062】
電子キー操作装置100に必要な電力は、例えば、車両の電装ラインに接続して車両側から供給してもよく、又は筐体部10内に配置した内蔵バッテリーから供給してもよい。
【0063】
図9は、電子キー200の長軸に沿って、解錠ボタン211及び施錠ボタン212が並んでいる場合の、位置設定部70における第1及び第2の押圧部材61,62の設定位置を示している。第1の押圧部材61は、解錠ボタン211の位置に対応して、位置設定部70において位置設定されており、第2の押圧部材62は、施錠ボタン212の位置に対応して、位置設定部70において位置設定されている。
図9に示す例では、解錠ボタン211及び施錠ボタン212が電子キー200の長軸に沿って並んでいるため、第1及び第2の押圧部材61,62も、それに対応して電子キー200の長軸と平行の関係で位置設定されている。
【0064】
図9に対して
図10は、解錠ボタン211及び施錠ボタン212が電子キー200の長軸に対して斜めに位置して並んでいる場合の、位置設定部70における第1及び第2の押圧部材61,62の設定位置を示している。
図10に示す例では、第1及び第2の押圧部材61,62も、解錠ボタン211及び施錠ボタン212の位置に対応して電子キー200の長軸と斜めの関係で位置設定されている。
【0065】
上述のように、電子キー操作装置100は、電子キー200の解錠ボタン211及び施錠ボタン212が多様な位置関係となっていても、押圧部材60の位置を設定するだけで容易に特定の電子キー200に対応させることができる。
【0066】
(第2実施形態)
第1実施形態では、
図9及び
図10のような、解錠ボタン211及び施錠ボタン212が電子キー200の長軸に沿って配置、または斜めに配置されていれば問題なく対応できる。しかし、
図11に記載のような、解錠ボタン211及び施錠ボタン212が電子キー200の短軸方向に並んでいる場合には、対応させることが難しい。
【0067】
近年は、電子キー200に対して様々な機能を持たせる傾向にあり、例えば、
図11の電子キー200は、解錠ボタン211及び施錠ボタン212以外の、他のボタンを有している。具体的には、トランクの開閉ボタン213及び左右のスライドドアの開閉ボタン214,215を有している。電子キー200に配置されるボタンの数が増えると、
図11のように、解錠ボタン211と施錠ボタン212とが、電子キー200の短軸方向に並ぶことがある。
【0068】
仮に
図11の電子キー200を第1実施形態で対応させる場合、例えば、電子キー200の長軸をY方向と平行にした状態(解錠ボタン211と施錠ボタン212とがX方向に並ぶ状態)で、電子キー収容部110に挿入すれば、第1実施形態でも対応可能である。しかし、この場合には、装置全体の、特にY方向の大きさが大きくなってしまう。電子キー操作装置100は、通常は、ダッシュボード等の空間が制限された場所に入れられて使われるため、装置全体の大きさを小さくすることは非常に重要である。
【0069】
以下に記載する第2実施形態は、上述の第1実施形態の課題を解決可能である。なお、第2実施形態は、以下に記載する点を除いて、第1実施形態に係る構成と同様である。
【0070】
図12は、Z軸に垂直な平面への第2実施形態の投影図を概念的に示している。
図12に示すように、第2実施形態では、位置設定部70の第1及び第2の部分74,75が、第1方向X及び第2方向Yの両方向で隣接している。また、それに対応して、第1及び第2の中間部材51,52も、第1方向X及び第2方向Yの両方向で互いに隣接していることが好ましい。このような第2実施形態であれば、
図11に示すような電子キー200のボタン配置であったとしても対応可能である。近年は、電子キーのボタンの数が増える傾向にあることから、このような第2実施形態は、非常に好適である。
【0071】
具体的には、第2実施形態では、第1の中間部材51と第2の中間部材52とが、第1方向Xに隣り合うだけではなく、第2方向Yにも隣り合っているため、第1の押圧部材61と第2の押圧部材62とを、位置設定部70の第2方向Yに隣り合う位置に設定することができる。それにより、第1の中間部材51に力を掛ければ第1の押圧部材61が押圧されて、
図11に示すような電子キー200の解錠ボタン211を押すことができ、第2の中間部材52に力を掛ければ第2の押圧部材62が押圧されて、施錠ボタン212を押すことができる。よって、
図11のような、解錠ボタン211と施錠ボタン212とが、電子キー200の短軸方向に並ぶ場合でも対応可能である。
【0072】
第2実施形態では、第1の中間部材51及び第2の中間部材52が、第1方向Xと第2方向Yの両方向で隣接しているが、中間部材50が存在しない実施形態の場合には、位置設定部70の第1及び第2の部分74,75が隣接しており、第1及び第2の部分74,75にそれぞれ第1の押圧部材61と第2の押圧部材62とが位置設定できるようになっていればよい。この場合の第1及び第2の部分74,75の形状については、上記の第1及び第2の中間部材51,52と同様になっていればよい。そして、第1及び第2のアクチュエータ41,42から第1及び第2の押圧部材61,62に直接的に動力を伝えられるようにすればよい。
【0073】
第2実施形態において、第1及び第2の中間部材51,52並びに/又は位置設定部70の第1及び第2の部分74,75の隣接している部分を隔てる境界54,76は、第1方向X及び第2方向Yの両方向でこれらを互いに隣接させ、かつ電子キー200の短軸方向に並んでいる解錠ボタン211及び施錠ボタン212が押せるようになっていれば、その形状、幅等については特に限定されない。隣接している部分は、その境界54,76によって区切られており、境界54,76は、電子キー200の短軸方向に並んでいる解錠ボタン211及び施錠ボタン212の間を通るように設定することができる。また、境界54,76は、位置設定部70の二次元的に不連続で並んでいる押圧部材60の位置設定箇所(受け部73)において、一次元的な直線状となるのではなく、二次元的な形状、例えばジグザグ形状、S字形状、Z字形状等となることができる。
【0074】
図12に示すように、第1及び第2の中間部材51,52は、境界54を挟んで、組み合わさる形状を有しており、位置設定部70の位置設定箇所付近では、境界の大きさは小さくなっている。好ましくは、第1及び第2の中間部材51,52は、
図12に示すような、2つの略L字形状又は階段形状であることができる。
【0075】
図13は、電子キー200の短軸に沿って、解錠ボタン211及び施錠ボタン212が並んでいる場合の、第2実施形態の位置設定部70における第1及び第2の押圧部材61,62の設定位置を示している。第1の押圧部材61は、解錠ボタン211の位置に対応して、位置設定部70において位置設定されており、第1の押圧部材61にY軸上に隣接して設定された第2の押圧部材62は、施錠ボタン212の位置に設定されている。
【0076】
図14は、解錠ボタン211及び施錠ボタン212が電子キー200の長軸に沿って並んでいる場合の、第2実施形態の位置設定部70における第1及び第2の押圧部材61,62の設定位置を示している。
図9に示すように、このような電子キー200は、第1実施形態の電子キー操作装置でも対応可能であるが、第2実施形態の電子キー操作装置でも対応可能である。
【0077】
図15は、解錠ボタン211及び施錠ボタン212が電子キー200の長軸に対して斜めに位置して並んでいる場合の、第2実施形態の位置設定部70における第1及び第2の押圧部材61,62の設定位置を示している。
図10に示すように、このような電子キー200は、第1実施形態の電子キー操作装置でも対応可能であるが、第2実施形態の電子キー操作装置でも対応可能である。
【0078】
電子キー操作装置100の全体の大きさを小さくするために、電子キー収容部110内での電子キー200の位置変更の自由度は、電子キー200の長軸方向に対しては比較的大きくできるのに対して、その短軸方向に対しては小さくなることが多い。このような事情のもとでは、第2実施形態のような位置設定部70及び/又は中間部材50を有することが、非常に多様な電子キー200に対応するために有利である。本発明者らが検討した範囲では、第2実施形態の電子キー操作装置100によって全ての市販車の電子キー200が対応可能であった。
【0079】
(第3実施形態)
第3実施形態は、位置設定部70が中間部材50に存在している場合の態様に関する。第3実施形態は、第1実施形態において中間部材50が存在していない場合であるともいえる。
【0080】
図16は、第3実施形態を具体的に示している。第3実施形態においては、第1及び第2の中間部材51,52のそれぞれに、第1及び第2の押圧部材61,62のための複数の受け部73が存在しており、第1及び第2の中間部材51,52が位置設定部70を有する。このような実施形態では、
図8に示すような最終組立工程が多少複雑化するものの、部品点数を少なくできる利点があるため、有用である。
【0081】
第3実施形態では、第1及び第2の押圧部材61,62は、位置設定部70で固定されており、位置設定部70を有する第1及び第2の中間部材51,52が動作することによって、第1及び第2の押圧部材61,62も一緒になって動くことになる。
【0082】
ただし、第3実施形態では、押圧部材60が片側のみで支持されている。このため、
図17に示すように、アクチュエータ40から動力を伝えられて押圧部材60が電子キー200のボタン210を押そうとしたときに、ボタン210に対して垂直に力が掛からなくなる場合がある。これは、電子キー操作装置100が各種のスイッチ類、センサー類を具備する場合には、アクチュエータ40から電子キー200までの距離が長くなる結果、押圧部材60でボタン210を垂直に押すことが特に困難となる。
【0083】
一方で、第1実施形態では、押圧部材60は電子キー200のボタン210を常に実質的に垂直に押すことができるため、そのような観点からは、第1実施形態が好ましいともいえる。
【0084】
(第4実施形態)
第4実施形態は、位置設定部70がアクチュエータ40に存在している場合の態様に関する。
【0085】
図18は、第4実施形態を具体的に示している。第4実施形態の場合、アクチュエータ40の一部分として、もしくはアクチュエータ40に配置される独立した部品として、位置設定部70が存在する。位置設定部70が独立した部品として可動部43に押されて、位置設定部70に保持された状態で押圧部材60が位置設定部70と一緒に移動してもよく、可動部43から押圧部材60に力を加えるための中間部材50が存在していてもよい。また、アクチュエータ40の可動部43が押圧部材60の機能を果たしてもよい。位置設定部70で位置設定された可動部43が、電子キー200のボタン210を直接押圧する。
【0086】
第4実施形態では、部品点数を少なくすることができ、第3実施形態と比べ、ボタン210に対して垂直に力が掛けやすい点で好ましい。ただし、位置設定70と、押圧部材60の機能を果たすアクチュエータ40の可動部43と、電子キー200のボタン210と、の位置関係の調整が複雑になるため、設計容易性や汎用性等の観点からは、第1実施形態が好ましいといえる。
【0087】
(第5実施形態)
第5実施形態は、電子キー操作装置100の電子キー収容部110に電子キー200を収容する態様に関する。
【0088】
図19及び
図20は、第5実施形態を具体的に示している。第5実施形態では、電子キー200は、電子キー収容ケース300に格納された状態で、電子キー収容部110に挿入される。
【0089】
図20に示すように、電子キー収容ケース300は、一部に開口を有し、電子キー200を格納する格納部310と、キーフィッター320と、格納部310の開口を開閉する蓋部330と、を有し、電子キー200を取り出し可能に格納する。電子キー収容ケース300は、電子キー200の解錠ボタン211及び施錠ボタン212を露出した状態で電子キー200を格納し、電子キー収容部110に電子キー収容ケース300を収容した時に、押圧部材60が解錠ボタン211及び施錠ボタン212を押せるようにする。
【0090】
キーフィッター320は、電子キー200の外形形状に対応した形状を有することができる。例えばキーフィッター320は、外形形状に沿って電子キー200の収容範囲がくり抜かれた、硬質スポンジ等で形成された部材であってもよい。キーフィッター320は、電子キー200の解錠ボタン211及び施錠ボタン212が格納部310の所定の位置となるように電子キー200の位置決めする。キーフィッター320は、電子キー操作装置100を取り付ける車両の電子キー200の種類に応じたタイプが選択されて用いられる。
【0091】
(第6実施形態)
第6実施形態は、電子キー操作装置100の電子キー収容部110に電子キー200を直接的に収容する態様に関する。
【0092】
図21は、第6実施形態を具体的に示している。第6実施形態では、電子キー200は、開閉式の電子キー収容部110に直接格納されている。
【0093】
第6実施形態において、電子キー収容部110は、操作機構部120に対して揺動して開閉することができる。上部筐体部11に設けられた開閉操作部12を操作すると上部筐体部11と電子キー収容部110との連結が解除され、電子キー収容部110は開閉可能となり、
図21Aで示す閉状態から、
図21Bで示す開状態となる。開状態において、電子キー収容部110は、収容した電子キー200を上に向けて露出する姿勢まで開く。
【0094】
電子キー収容部110の中には、収容凹部111が形成されている。収容凹部111は、解錠ボタン211や施錠ボタン212がある側を上にして、電子キー200を収容する。
【0095】
このような実施形態においても、電子キー操作装置100は、電子キー収容部110に電子キー200が収容されていることを検出するための収容検出部13を有することができる。第6実施形態において、収容検出部13は、閉状態の電子キー収容部110に、電子キー200が収容されていることを検出し、検出信号を制御部30へ出力することができる。
【0096】
電子キー操作装置100は、開閉式の電子キー収容部110の開閉検出部14を有することができる。開閉検出部14は、電子キー収容部110の開状態/閉状態を検出して、検出信号を制御部30へ出力する。開閉検出部14は、例えば操作機構部120のZ方向負方向側の側面に設けられたプッシュスイッチであってもよい。
【0097】
(第7実施形態)
第7実施形態において、この電子キー操作装置100は、車両の電子キー以外の電子キー、例えば住居用のスマートロックを操作するための装置である。電子キーの受渡しがセキュリティ上で問題となる用途全般において、この電子キー操作装置100は有用である。
【0098】
本明細書によれば、以下の態様の電子キー操作装置が提供される。
【0099】
(態様1)
態様1の電子キー操作装置は、電子キーを収容する収容部と、前記収容部に収容された前記電子キーのボタンを押す押圧部材と、 前記押圧部材に前記ボタンを押すための動力を与えるアクチュエータと、前記アクチュエータと前記押圧部材との相対的な位置を設定するための位置設定部と、を備え、前記位置設定部は、第1方向及び前記第1方向と交差する第2方向にわたってかつ前記ボタンの位置に対応するように前記押圧部材の位置が設定可能である。
【0100】
上述の態様によれば、電子キー操作装置は、アクチュエータの位置を固定していながらも押圧部材の位置を位置設定部で設定することができるため、押圧部材の位置と電子キーのボタンの位置とを簡単に合致させることができる。それにより、多様な電子キーの形態に対して、最小限の設計変更によって電子キー操作装置が利用可能となる。また、電子キーのボタンの位置に応じてアクチュエータの位置を変更しなくてもよいため、電子キー操作装置の筐体部の形状も変更する必要がなく、アクチュエータの位置変更のための空間を内部に確保する必要がなくなるため小型化が可能になる。
【0101】
(態様2)
態様2の電子キー操作装置は、前記位置設定部が、前記押圧部材を収容するための複数の受け部を有する。
【0102】
上述の態様によれば、押圧部材の位置を微調整する必要がなく、位置設定部の複数の位置のいずれかに押圧部材の位置を設定すれば済む。したがって、特定の車種の電子キーのために位置設定部のどの位置に押圧部材を設定すればよいかを事前に把握しておけば、押圧部材の位置の設定を非常に容易に行うことができる。
【0103】
(態様3)
態様3の電子キー操作装置は、前記押圧部材が、前記位置設定部の受け部内で摺動可能であり、前記押圧部材の一端で前記ボタンを押すことができ、他端で前記ボタンを押すための動力が加えられる。
【0104】
上述の態様によれば、電子キーのボタンに対して押圧部材を実質的に垂直にすることができ、それによりボタンを確実に押すことができる。
【0105】
(態様4)
態様4の電子キー操作装置は、前記押圧部材が、少なくとも2つ存在しており、前記位置設定部が、前記押圧部材のそれぞれの位置を設定するための、第1の部分及び第2の部分を少なくとも有している。
【0106】
上述の態様によれば、電子キーの2つ以上のボタンを押すことができる。
【0107】
(態様5)
態様5の電子キー操作装置は、前記位置設定部の前記第1の部分と前記第2の部分とが、前記第1方向及び前記第2方向の両方向で隣接している。
【0108】
上述の態様によれば、非常に多様な電子キーについて対応が可能となる。
【0109】
(態様6)
態様6の電子キー操作装置は、前記アクチュエータからの動力を前記押圧部材に伝えるための中間部材をさらに有する。
【0110】
上述の態様によれば、アクチュエータ、押圧部材及び位置設定部の配置を自由に設定しやすくなり、それにより、電子キー操作装置の小型化が容易になる。
【0111】
(態様7)
態様7の電子キー操作装置は、前記中間部材が回転軸を有しており、前記アクチュエータからの動力が前記中間部材の周方向の移動によって前記押圧部材に伝達される。
【0112】
上述の態様によれば、アクチュエータから押圧部材に伝わる動力には、てこの原理を働かせることができる。てこの原理が働くことで、可動部に必要な押出力は小さくすることができる。その結果、アクチュエータとして、出力の小さな小型のアクチュエータを採用することができ、その結果、電子キー操作装置自体も小型化することができる。
【0113】
(態様8)
態様8の電子キー操作装置は、前記アクチュエータからの動力を前記押圧部材に伝えるための中間部材をさらに有し、前記中間部材が、前記位置設定部の前記第1の部分及び前記第2の部分に対応して第1の中間部材及び第2の中間部材に分かれている。
【0114】
上述の態様によれば、電子キーの2つ以上のボタンを押すことができるだけではなく、アクチュエータ、押圧部材及び位置設定部の配置を自由に設定しやすくなり、それにより、電子キー操作装置の小型化が容易になる。
【0115】
(態様9)
態様9の電子キー操作装置は、前記第1の中間部材及び前記第2の中間部材が、前記第1方向及び前記第2方向の両方向で隣接している。
【0116】
上述の態様によれば、非常に多様な電子キーについて対応が可能となるだけではなく、アクチュエータ、押圧部材及び位置設定部の配置を自由に設定しやすくなり、それにより、電子キー操作装置の小型化が容易になる。
【0117】
(態様10)
態様10の電子キー操作装置は、前記位置設定部が、前記中間部材とは別個の部材である。
【0118】
上述の態様によれば、押圧部材の位置が設定されている状態の位置設定部のみを電子キー操作装置に組み込むことで、電子キー操作装置を容易に製造することができる。
【0119】
(態様11)
態様11の電子キー操作装置は、前記電子キーは、電子キー収容ケースによって固定された状態で、前記収容部に収容される。
【0120】
上述の態様によれば、電子キーの形状に合わせて電子キー収容ケースの設計のみを変更すれば、電子キー操作装置の設計変更をする必要がないため有用である。
【0121】
(態様12)
態様12の電子キー操作装置は、電子キーを収容する収容部と、前記収容部に収容された前記電子キーのボタンを押す押圧部材と、前記押圧部材に前記ボタンを押すための動力を与えるアクチュエータと、前記アクチュエータと前記押圧部材との相対的な位置を設定するための位置設定部と、前記アクチュエータからの動力を前記押圧部材に伝えるための中間部材と、を備え、前記中間部材は、第1の中間部材と、第2の中間部材と、を有し、前記位置設定部は、第1方向及び前記第1方向と交差する第2方向のいずれかの方向に沿って、複数の前記押圧部材の位置を設定し、前記第1の中間部材は、前記複数の押圧部材のうちの一方に対して前記動力を伝えることが可能であり、前記第2の中間部材は、前記複数の押圧部材のうちの他方に対して前記動力を伝えることが可能である。
【0122】
上述の態様によれば、アクチュエータの位置を固定していながらも位置設定部で複数の押圧部材を一列に配列することができるため、複数の押圧部材の位置と電子キーの複数のボタンの位置とを簡単に合致させることができる。それにより、多様な電子キーの形態に対して、最小限の設計変更によって電子キー操作装置が利用可能となる。
【符号の説明】
【0123】
3…シェアリングシステム
5…車両
10…筐体部
11…上部筐体部
12…開閉操作部
13…収容検出部
14…開閉検出部
30…制御部
40,41,42…アクチュエータ
43…可動部
50,51,52…中間部材
53…回転軸
54…第1及び第2の中間部材の境界
60,61,62…押圧部材
63…フランジ
64…復帰機構
70…位置設定部
71…前部
72…後部
73…受け部
74…第1の部分
75…第2の部分
76…第1及び第2の部分の境界
100…電子キー操作装置
110…電子キー収容部
120…操作機構部
200…電子キー
210…ボタン
211…解錠ボタン
212…施錠ボタン
213,214,215…その他のボタン
300…電子キー収容ケース
310…格納部
320…キーフィッター
330…蓋部