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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102588
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】レンジフード
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20240724BHJP
   F24F 7/08 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
F24F7/06 101B
F24F7/06 101Z
F24F7/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006584
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000237374
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅野 弘基
(72)【発明者】
【氏名】山岸 智和
(72)【発明者】
【氏名】一條 杏名
【テーマコード(参考)】
3L058
【Fターム(参考)】
3L058BH02
3L058BJ03
3L058BJ05
(57)【要約】
【課題】レンジフードの組み立て簡易化。
【解決手段】
本発明は、給気幕板とアダプタを備え、前記給気幕板は、給気口を有する幕板本体と開口部を有する塞ぎ板を備え、前記幕板本体は、少なくとも前記給気幕板の前面と左右側面を構成し、前記塞ぎ板は、前記給気幕板の後面の少なくとも一部を構成し、前記開口部は、前記アダプタと連通するものであり、前記アダプタは、外気を取り入れる給気部に直接または間接的に接続されることを特徴としたレンジフードとすることで課題を解決した。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給気幕板とアダプタを備え、
前記給気幕板は、給気口を有する幕板本体と開口部を有する塞ぎ板を備え、
前記幕板本体は、少なくとも前記給気幕板の前面と左右側面を構成し、
前記塞ぎ板は、前記給気幕板の後面の少なくとも一部を構成し、
前記開口部は、前記アダプタと連通するものであり、
前記アダプタは、外気を取り入れる給気部に直接または間接的に接続されることを特徴としたレンジフード。
【請求項2】
前記給気幕板は、補強部を有することを特徴とした請求項1に記載のレンジフード。
【請求項3】
前記補強部は、前記塞ぎ板を補強するもので少なくとも2つあり、
前記開口部を挟んで、対向する位置に設けられ、
前記給気口側の前記補強部は、前記開口部から前記給気口へと繋がる空気の流路となる通気孔が設けられていること
を特徴とした請求項2記載のレンジフード。
【請求項4】
前記通気孔は複数の孔によって構成されること
を特徴とした請求項3に記載のレンジフード。
【請求項5】
さらに、クッション部材を有し、
前記クッション部材は、前記開口部から前記給気口へと繋がる空間に設けられていることを特徴とした請求項1に記載のレンジフード。
【請求項6】
前記補強部は、
前記幕板本体または前記塞ぎ板に取り付けられるものであって、
少なくとも前記補強部の一部は、前記幕板本体内面と隙間を空けて取り付けられていることを特徴とした請求項2に記載のレンジフード。
【請求項7】
さらに、クッション部材を有し、
前記隙間は、前記クッション部材が設けられる領域の一部となっていることを特徴とした請求項6記載のレンジフード。
【請求項8】
前記アダプタは、
パッキンを介して前記塞ぎ板と固定手段不要に連結され、前記開口部と連通することを特徴とした請求項1記載のレンジフード。
【請求項9】
前記塞ぎ板は、
前記幕板本体に直接または間接的に取り付けられ、
幕板本体内面の一部は、前記塞ぎ板で覆われていない開放部となっていることを特徴とする請求項1に記載のレンジフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンジフードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給気ボックスを設けたレンジフードが特許文献1のように知られている。給気ボックスの構造は複雑であり、設置にも手間を要していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-74514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、レンジフードの構造の簡易化を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、給気幕板とアダプタを備え、前記給気幕板は、給気口を有する幕板本体と開口部を有する塞ぎ板を備え、前記幕板本体は、少なくとも前記給気幕板の前面と左右側面を構成し、前記塞ぎ板は、前記給気幕板の後面の少なくとも一部を構成し、前記開口部は、前記アダプタと連通するものであり、前記アダプタは、外気を取り入れる給気部に直接または間接的に接続されることを特徴としたレンジフードとすることで課題を解決した。
【0006】
なお、本明細書は、矛盾がない限り請求項の引用にかかわらず、引用されていない請求項と適宜組み合わせたものも開示している。さらに、上記課題を解決するための手段に、以下の態様を1つまたは複数、組み合わせたものも開示している。実施例で開示した態様や数々の変形例は、矛盾がない限り適宜組み合わせることができる。
態様1
前記給気幕板は、補強部を有することを特徴としたレンジフード。
態様2
前記補強部は、前記塞ぎ板を補強するもので少なくとも2つあり、前記開口部を挟んで、対向する位置に設けられ、前記給気口側の前記補強部は、前記開口部から前記給気口へと繋がる空気の流路となる通気孔が設けられているレンジフード。
態様3
前記通気孔は複数の孔によって構成されるレンジフード。
態様4
さらに、クッション部材を有し、前記クッション部材は、前記開口部から前記給気口へと繋がる空間に設けられているレンジフード。
態様5
前記補強部は、前記幕板本体または前記塞ぎ板に取り付けられるものであって、少なくとも前記補強部の一部は、前記幕板本体内面と隙間を空けて取り付けられているレンジフード。
態様6
さらに、クッション部材を有し、前記隙間は、クッション部材が設けられる領域の一部となっていることを特徴としたレンジフード。
態様7
前記アダプタは、パッキンを介して前記塞ぎ板と固定手段不要に連結され、前記開口部と連通するレンジフード。
態様8
前記塞ぎ板は、前記幕板本体に直接または間接的に取り付けられ、幕板本体内面の一部は、前記塞ぎ板で覆われていない開放部となっているレンジフード。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、簡単な構造の給気ボックスができた。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1はレンジフードの斜視図である。図1(A)は側面幕板と給気幕板を取り付けた状態の斜視図。図1(B)はこれらの幕板を取り外した状態の斜視図である。
図2図2は、給気幕板の取付け説明図である。図2(A)は全体図、図2(B)は図2(A)のA領域拡大図、図2(C)は図2(A)のB領域拡大図である。
図3図3は、給気幕板の内部構造の説明図である。図3(A)は幕板本体の背面側からの斜視図であり、図3(B)は幕板本体にクッション部材を取り付けた斜視図である。
図4図4は補強部の説明図であり、図4(A)は本体幕板に補強部を取り付けた状態の背面側からの斜視図であり、図4(B)は補強部に塞ぎ板を取り付けた状態の斜視図である。
図5図5は、塞ぎ板を取り付けた給気幕板の説明図であり、図5(A)は、組み立て完成状態の斜視図である。図5(B)は、図5(A)に示したA-A間の断面図である。
図6図6はアダプタの説明図である。図6(A)はアダプタの斜視図であり、図6(B)はアダプタの正面図である。
図7図7はアダプタと給気幕板の組み立て手順である。アダプタと給気幕板は図7(A)~図7(D)の順に組み立てられる。
図8図8は給気幕板取付完了時の説明図である。レンジフードの正面図に付したA-A間の断面図と、A-A間の断面図に付したC領域拡大図が図示されている
図9図9はアダプタの変形例の説明図である。
【実施例0009】
以下、出願人は、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
また、右左、前後は、レンジフード1を使用する使用者から見た方向を正面とし、その正面から見た方向を意味する。したがって、背面側から見た図面などは、右左、前後の方向が逆になる。
【0010】
(実施例)
図1はレンジフード1の斜視図である。図1(A)は側面幕板15と給気幕板2を取り付けた状態の斜視図、図1(B)はこれらの幕板(15・2)を取り外した状態の斜視図である。
右と左の側面幕板15及び給気幕板2は、フード部18の上部を隠す役割を果たしている。
レンジフード本体部13の上部には、外気を取り入れる給気ダクト11(給気部)と排気ダクト12が取り付けられている。排気ダクト12は、送風機ボックス17内に設けられたファン(図示せず)により吸い込まれた油煙を屋外に排気するものである。排気ダクト12は、屋外へ通じるさらなるダクトに繋げて設置されるが、説明のため屋外へ通じるダクトは図示していない。
【0011】
(給気路)
排気ダクト12から室内の空気が油煙ともに排気されると室内が負圧になる。給気ダクト11(給気部)は室内に向けて新鮮な空気を取り込むためのダクトであり、屋外へ通じる図示していない別のダクトに連結されて設置される。
給気ダクト11(給気部)とレンジフード本体部13との接続は、接続ボックス111を介して行われる。接続ボックス111は、給気された空気を給気幕板2のある方向に向ける役割を果たす。空気は、給気ダクト11(給気部)の上に付した矢印した方向に送られ、接続ボックス111を通ってアダプタ7から矢印の方向へ噴き出す。詳しくは後述するが、アダプタ7は、接続ボックス111と給気幕板2との間を繋ぐ通気路となるものであり、特段の固定手段を用いることなく給気幕板2に接続することができる。
ここでいう、「固定手段を用いることなく」という態様の中には、アダプタ7と塞ぎ板4が間接的にフード部18に固定されていることで、アダプタ7と塞ぎ板4が直接固定されていないものも含まれる。
前述したように給気路を通る外気は、ファンによる油煙の排気で負圧になった室内へ流れるものである。実施例の態様は、給気路中に給気のための動力部材を設けてない。
なお、変形例として、本発明は、給気路中に室内へ空気を送る動力部材を設ける態様も含まれる。
【0012】
(給気幕板の外側からの外観)
給気幕板2は、大きく分けて幕板本体21(レンジフード使用者から見て前面)と塞ぎ板4(図1で図示せず。レンジフード使用者から見て背面。)で構成されている。実施例の幕板本体21は、前側を向く平板状の板部と、側面を覆う側面部22で構成されている。
なお、幕板本体21は、機能に影響しない部分の設計は自由であることは言うまでもない。たとえば、幕板本体21はプレス機などで側面部22と前側を向く平板状の板部が一体成形されていてもよいし、それぞれが別部材として組み立てられてもよい。また、機能上影響しない部分の構造は省かれてもよい。例えば、通気路となる領域においては、機能上の観点から側面部22が必要となるが、機能上影響を与えない側面部22の一部領域が省かれても良いことは言うまでもいない。
また、幕板本体内面25は、幕板本体21の内側全体という。幕板本体内面25は、平板状の板部の裏面(内側)だけではなく、側面部22の裏面(内側)を意味する。
【0013】
給気幕板2の前面となる幕板本体21の上部には、給気口212が設けられており、給気口212は、外気を外側(室内側)に向けて送り出す。
実施例の幕板本体21は側面部22を折り曲げて成形した部材であり、幕板本体21と側面部22を繋ぐ部分は曲げられているだけで一体になっている。幕板本体21に対して、何らかの手段で別体の側面部22を取付ける構成とすると、幕板本体21と側面部22を繋ぐ部分が目立ち意匠的な美観を損ねるが、実施例の幕板本体21はそのようなことが無い。
【0014】
(給気幕板)
図2は、給気幕板2の取付け説明図である。図2(A)は全体図、図2(B)は図2(A)のA領域拡大図、図2(C)は図2(A)のB領域拡大図である。
ここで、幕板本体21(前面)の方向について説明する。幕板本体21は、レンジフード1の使用者から見える前面部である。裏側に、塞ぎ板4(背面)が取り付けられて給気幕板2となることは、これまで説明したとおりである。幕板本体内面25は、レンジフード1の使用者からみて、幕板本体21の裏面になる。図2(A)で図示されているように、幕板本体21は、後側から塞ぎ板4(背面)で覆われる。塞ぎ板4は、上下方向の寸法が幕板本体21より短尺であり、幕板本体内面25で覆われていない領域が、下方にあり、幕板本体内面25が露出している。レンジフード1の使用者からは見えない幕板本体21の裏面が幕板本体内面25である。
前述したように、幕板本体内面25は、平板状の板部の裏面(内側)だけではなく、側面部22の裏面(内側)を意味する。
【0015】
前述したように塞ぎ板4は、幕板本体21の後側の一部を塞いでいる。塞ぎ板4は、幕板本体内面25の全体を覆っておらず、開口部41の直下付近までしか覆っていない。塞ぎ板4で覆われていない幕板本体21の下側は、開放部24となっており、幕板本体内面25が露出している。塞ぎ板4で覆われていない開放部24と塞ぎ板4は前後方向に位置がずれており、段となっている。幕板本体21と塞ぎ板4は工場で組み立てられて給気幕板2となって出荷されており、作業者は、この段に手をかけ、設置場所まで搬送することもできる。
塞ぎ板4は、アダプタ7と接続される開口部41が設けられている。給気幕板2の背面となる塞ぎ板4は、給気幕板2の前面となる幕板本体21の前面側と離間して設けられており、塞ぎ板4と幕板本体21の間の空間が、開口部41から給気口212へと繋がる空気の流路となる。塞ぎ板4は、空気の流路として機能しない領域部分まで幕板本体21を覆う必要はなく、不要な領域、即ち、開放部24を覆わないようにすることでコストダウンを図っている。
【0016】
曲折部26は、幕板本体21の側面部22を更に幕板本体21の内側に曲げた領域である。
【0017】
給気幕板2の構造は自由度が高い。給気幕板2は、幕板本体21と塞ぎ板4を組み合わせることで、全体形状が箱状に構成されている場合、組立効率が高まると共に強い構造体にできる。また、給気幕板2の前面側が湾曲していてもよい。さらに、幕板本体21の裏側(塞ぎ板4側)は、レンジフード1の使用者から見えないため、さらに構造上の自由度が高い。開口部41から給気口212へ繋がる空気の流路は、幕板本体21と塞ぎ板4に、適宜な部材を加えることで自由な形状、構造とすることが可能である。
【0018】
(給気幕板の取り付け)
図2(B)~図2(C)に図示されているように、給気幕板2は、右上と左上の隅に、後側に向けて取付フック23が突出するように設けられている。この取付フック23は、図2(C)に図示されているように、側面幕板15の側壁152に設けられたフック係合孔151と係合する。
給気幕板2の取り付け工程を説明する。
まず、左右にある側面幕板15は、フード部18の上に固定される。その後、給気幕板2の取付フック23が側面幕板15のフック係合孔151に挿入され係合する。この時点では、取付フック23は、フック係合孔151に挿入されて掛かりあっているが、給気幕板2の下端は固定されていない。給気幕板2(幕板本体21)の下端にある締結固定部27は、側面幕板15と締結するための部位であり、締結固定部27に締結材が挿入され締結されることで給気幕板2の取り付けが完了する。
給気幕板2の取り付け工程は、このようにきわめて簡単であり、後述するアダプタ7を開口部41に取り付ける工程の作業効率向上に寄与する。
【0019】
なお、側面幕板15の側壁152は、上部の幅W1が下部の幅W2より大きい。
【0020】
(給気幕板の内部構造)
図3図5は、後述する第1補強部51の通気孔513を見やすくするため、給気幕板2を横に向けた図となっている。
図3は、給気幕板2の内部構造の説明図である。図3(A)は幕板本体21の背面側からの斜視図であり、図3(B)は幕板本体21にクッション部材6を取り付けた斜視図である。図3(A)で示されているように幕板本体21は、側面部22を備えている。幕板本体内面25には、当初何も設けられていない。クッション部材6は、空気の流れにより、給気幕板2が振動することを防ぐ部材である。クッション部材6は、給気口212に繋がる空気の流路となる領域(実施例では、塞ぎ板4で塞がれる領域)に取り付けられる。クッション部材6の取り付けは、実施例では幕板本体内面25に貼り付けているが、取り付け方は適宜である。
【0021】
(補強部)
図4は補強部5の説明図であり、図4(A)は幕板本体21に補強部5を取り付けた状態の背面側からの斜視図であり、図4(B)は補強部5に塞ぎ板4を取り付けた状態の斜視図である。
補強部5は第1補強部51と第2補強部52で構成されている。第1補強部51と第2補強部52は、左右両端部に設けられた締結部(515・525)があり、幕板本体21の曲折部26に締結固定されている。
開口部41を挟んで、対向する位置に第1補強部51と第2補強部52が取付けられる。実施例の第1補強部51と第2補強部52は、開口部41を挟んで上下に対向する位置に設けられている。
または、第1補強部51と第2補強部52は、開口部41を挟んで左右に対向する位置に設けられていてもよいが、長辺側に補強部5を設けた方が補強の強度が増すためより好ましい。
このように、補強部5は、開口部41を補強するのに機能する。後に言及するが、給気幕板2を取り付ける工程で、給気幕板2の開口部41とアダプタ7を接続されることになる。その工程で、給気幕板2を押圧してアダプタ7を取り付ける態様がある。開口部41が補強部5で補強されていることで、アダプタ7に向けて給気幕板2が強く押圧されても変形することが無い。
開口部41の形状は適宜であり、円形や三角形、多角形など実施例で示した矩形の開口部41は一例にすぎない。矩形以外の場合も開口部41を挟んで対向する位置に補強部5を設ければよい。
第1補強部51と第2補強部52は、図4(B)に太線で強調しているように、J字形の部材である。J字の長い辺が、第1補強部51の塞ぎ板当接部514と第2補強部52の塞ぎ板当接部524になっている。塞ぎ板4は、両塞ぎ板当接部(514・524)に当接し、ビスで固定される。
補強部5は、塞ぎ板4の変形を抑制する、または、補強するなどの機能を有している。
【0022】
第1補強部51の塞ぎ板当接部514に対向する辺は、クッション部材当接部511になっており、クッション部材6と当接することで防振効果を高めている。
第1補強部51のクッション部材当接部511をクッション部材6と当接させてしまうと、第1補強部51により、給気口212へと向かう流路が閉鎖されてしまい、空気が流れなくなる。そのため、通気面部512に通気孔513が多数穿設されている。これにより、給気口212に向かう流路が確保される。
通気孔513の形状や大きさは適宜であるが、一つの大きな通気孔513を作るより、通気孔513を複数設けた方が強度の面から有利である。
以上のように、クッション部材6を有し、第1補強部51または第2補強部52は、一方側を塞ぎ板4に当接し、他方側をクッション部材6に当接するようにしてもよい。
また、変形例として、クッション部材6は、第1補強部51または第2補強部52の塞ぎ板4側に取り付けられ、塞ぎ板4と第1補強部51または第2補強部52との間に挟まれて設けられてもよい。
なお、実施例は、第1補強部51と第2補強部52を幕板本体21や塞ぎ板4と別部材としている。変形例として、幕板本体21や塞ぎ板4を曲折させたり厚さを増やすなど、補強部5は、幕板本体21や塞ぎ板4と一体となっていてもよい。
【0023】
図5は、塞ぎ板4を取り付けた給気幕板2の説明図であり、図5(A)は、組み立て完成状態の斜視図である。図5(B)は、図5(A)に示したA-A間の断面図である。塞ぎ板4は、第1補強部51と第2補強部52のJ字形の構造が看て取れる。塞ぎ板4(背面)は、第2補強部52までしか覆っておらず、その下は、幕板本体内面25が露出する開放部24になっている。
【0024】
第1補強部51と第2補強部52は、クッション部材6があるため、幕板本体内面25に直接当接していない。
クッション部材6は、必要不可欠な部材ではなく、クッション部材6を取り付けない変形例がある。クッション部材6が無いため、幕板本体内面25と第1補強部51のクッション部材当接部511の間に通気部となる隙間ができる。この場合、第1補強部51は、通気面部512設けた通気孔513は不要になる。また、隙間をさらに大きくして、クッション部材6を取り付けても、第1補強部51と当接しないようにすることで、クッション部材6と第1補強部51の間にできた隙間を通気部とすることも可能である。
【0025】
第1補強部51と幕板本体21の間に隙間を設けた場合、次のような利点がある。レンジフード設置作業中などに、第1補強部51が力を受けて一時的に撓むなどの変形するようなことが起き得る。第1補強部51が変形しても隙間があるため、幕板本体21が変形することが無い。隙間にクッション部材6がある場合も同様であり、隙間があることで幕板本体21の変形防止が期待できる。
【0026】
第2補強部52は、給気口212に通じる空気の流路の最下端になっている。第2補強部52のクッション部材当接部521がクッション部材6と当接することで空気が、開放部24に向かって外に漏れることを防いでいる。クッション部材当接部521と塞ぎ板当接部524の間の辺は、空気を漏らさない閉鎖面部522として機能する。
クッション部材6を取り付けない態様の場合、空気が第2補強部52のクッション部材当接部521が機能しないため、幕板本体内面25とクッション部材当接部521の間に隙間ができてしまう。当該態様は、クッション部材当接部521を幕板本体内面25と当接できるよう閉鎖面部522を長くする態様である。
【0027】
(クッション部材の変形例)
以上、クッション部材6の取付例や変形例を様々説明してきた。クッション部材6は、その目的や期待する機能に応じて取り付ける部材や取り付け方が変わり得る。
どのような目的やどのような機能を期待しようが、クッション部材6が開口部41から給気口212へと繋がる空間に設けられていることは変わりない。
たとえば、防音や防振を目的とする変形例なら、できる限り広い面積で厚さのあるクッション部材6が求められ、クッション部材6は空気の流路となる領域を除き、開口部41から給気口212へと繋がる空間全体に設けられてもよい。この変形例では、クッション部材6を取り付ける部材は、塞ぎ板4又は幕板本体内面25(側面部22の内面も含む)が好ましい。
また、補強部5と幕板本体21の間の気密性を目的とする変形例なら、クッション部材6は、補強部5と幕板本体21の間を埋める程度の大きさでよい。そして、クッション部材6の取り付け部材は、補強部5でもよいし、幕板本体21でもよい。
【0028】
(塞ぎ板)
塞ぎ板4は、給気幕板2の組み立ての最後に取り付けられる。塞ぎ板4は、第1補強部51と第2補強部52の塞ぎ板当接部(514・524)に締結され取り付けが完了する。
塞ぎ板4の上下寸法は、幕板本体21の上下寸法より短く、塞ぎ板4は、幕板本体21の第2補強部52より上側だけを覆っており、第2補強部52より下は、塞ぎ板4で覆われていない開放部24となって残る。
【0029】
補強部5は、必須の部材ではないが、実施例の給気幕板2は、補強部5を備えている。第1補強部51と第2補強部52は、塞ぎ板4の開口部41の上下を挟むように配置されている。
詳しくは後述するが、給気幕板2が、アダプタ7に向かって強く押し付けられるため、アダプタ7と開口部41は位置合わせされている。押し付けることにより、アダプタ7と開口部41との間に隙間ができず、給気ダクト11(給気部)から送られる空気が漏れることが無くなる。
塞ぎ板4は、補強部5により空気が漏れるような変形を起こすことが無くなる。また、給気幕板2も、補強部5により歪むようなことが無くなる。
塞ぎ板4は、給気幕板2の後面の少なくとも一部を構成するものであり、開口部41を備えていればよく、開放部24を設けなくともよい。塞ぎ板4の取り付け方は多様であり、補強部5に取り付ける態様の他、幕板本体21に取り付けるなど様々である。
【0030】
(空気の流路と補強部の変形例)
補強部5の目的により取り付け方は様々である。塞ぎ板4の変形を抑えるという目的であるなら、補強部5は、塞ぎ板4の前側面と後側面のいずれに取り付けてもよい。また、塞ぎ板4にビード部などを設けてそれを補強部5としてもよい。
また、補強部5が幕板本体21の前面の変形を抑えるという目的であるなら、幕板本体内面25である平板状の板部に当接させてもよい。また、補強部5が幕板本体内面25である側面部22の内側と当接させても、補強部5が梁のような役割を果たし、幕板本体21の前面の変形を抑える。
補強部5が幕板本体21の捻じれ変形を抑えるという目的なら、補強部5を幕板本体内面25である側面部22の内側や曲折部26に取り付けてもよい。
実施例の第1補強部51は、断面がJ字形をしており、通気面部512に通気孔513を設けて給気口212への流路とした。しかし、第1補強部51が、塞ぎ板4の前側面に取付けられる平板であれば、第1補強部51と幕板本体内面25の間に大きな隙間ができ、クッション部材6を幕板本体内面25に取り付けても空気の通る十分な通気路(隙間)を確保できる。補強部5の形状は、補強という役割を果たすのであれば適宜である。
また、第1補強部51は、一部のみがJ字形で、両端部を平板とすることもできる。第1補強部51の両端部は、幕板本体内面25である側面部22の内側との間に大きな隙間が生じるので、この隙間を給気口212へ通じる流路とすることも可能である。この態様の場合、通気面部512に通気孔513は、設けずともよい。
【0031】
(クッション部材)
クッション部材6の役割は様々である。まず、クッション部材6は、防振機能を有する。給気幕板2内部を通る空気により振動が起きることがある。クッション部材6は、幕板本体内面25に取り付けてあるため、幕板本体21(前面)が振動することを抑制する。また、クッション部材6は、防音材としても機能する。
さらに、クッション部材6は、幕板本体21の変形を抑える役目を果たす。幕板本体21は、金属製の薄板であり変形しやすいが、クッション部材6が幕板本体内面25に裏打ちされているため、変形しにくくなっている。また、クッション部材6は、幕板本体21と補強部5の間に取り付けられ、空気が漏れないようなパッキンの役割も果たす。クッション部材6は、これらの機能の一部だけを有していてもよいし、すべての機能を有していてもよい。
さらに、クッション部材6は、アダプタ7を取り付ける際に重要な役割を果たすが、後述の(アダプタと給気幕板の組み立て手順)で説明する。
【0032】
(アダプタ)
図6はアダプタ7の説明図である。図6(A)はアダプタ7の斜視図であり、図6(B)はアダプタ7の正面図である。
アダプタ7は、給気幕板2と接続ボックス111を繋ぐものである。より具体的には、アダプタ7は、給気幕板2の塞ぎ板4にある開口部41と接続ボックス111に設けられた接続ボックス開口112を繋ぐものである。アダプタ7は、給気ダクト11(給気部)から取り入れられた外気を給気幕板2へと送る中継部材である。
アダプタ7は、通気開口75が後壁部に設けられている。アダプタ7は、接続ボックス111に固定するため、接続ボックス開口112に位置合わせされる。固定部74は、アダプタ7の後壁部にあり、接続ボックス111に締結固定する部分である。また、アダプタ7の前面は、筒状の側壁が曲折された幅のある端部72となっている。端部72は、図6(A)から分かるように、アダプタ7の前面の周囲に拡がっており、パッキン73が取付けられる面である。
【0033】
(アダプタと給気幕板の組み立て手順)
図7はアダプタ7と給気幕板2の組み立て手順である。アダプタ7と給気幕板2は図7(A)~図7(D)の順に組み立てられる。
図7(A)から図7(B)にかけて、アダプタ7は、接続ボックス111に固定するため接続ボックス開口112に位置合わせされ、上述した(アダプタ)の項で説明(図6参照)したように接続ボックス111と固定部74により固定される。図7(C)において、パッキン73がアダプタ7の幅広に設けられた端部72に取り付けられる。パッキン73は、アダプタ7に事前に取り付けられていてもよく、取り付けは接着や溝に嵌め込むなど適宜である。
給気幕板2を取り付ける前に、左右に側面幕板15がフード部18の上に立設される。
【0034】
(給気幕板の取り付け)の項で説明したように(図2参照)、給気幕板2は、給気幕板2の上端の左右に取り付けられた取付フック23を側面幕板15に設けられたフック係合孔151に係合するだけで、仮固定状態となる。
この仮固定状態のとき、給気幕板2は、上端部のみが取付フック23とフック係合孔151により掛け合っている状態となっており、完全に固定されておらず、下端部がゆらゆら動く状態となっている。
【0035】
塞ぎ板4に設けられた開口部41の周囲の位置と、アダプタ7のパッキン73の位置は、同じ位置に来るように設計されている。作業者は、アダプタ7と開口部41の位置を特段意識せずに、給気幕板2を図7(D)に図示した矢印の方向に向かって押圧する。このとき、パッキン73が押圧され、気密が保たれるようになる。
給気幕板2は、下端に締結固定部27(図2参照)を備えており、側面幕板15と締結することで、給気幕板2の取り付けが完了する。
【0036】
図8は、給気幕板2取付完了時の説明図である。レンジフード1の正面図に付したA-A間の断面図と、A-A間の断面図に付したC領域拡大図が図示されている。C領域拡大図から分かるように、アダプタ7が給気幕板2の塞ぎ板4と接続ボックス111に挟まれている。アダプタ7の前面側は、パッキン73を介して塞ぎ板4に押圧されているだけであり、給気幕板2の塞ぎ板4と固定手段不要に連結されている。
固定手段を不要にすることで構造の簡易化を図り、併せて、レンジフード1の取り付け作業が効率化される。
【0037】
(給気幕板の給気口の変形例)
実施例の給気幕板2に設けられた給気口212の位置は、給気幕板2の上側にあった。給気口212は、給気を果たすという機能において、特定の位置にないと機能が果たされないという部材ではない。給気幕板2における給気口212の位置は適宜である。給気口212は、給気幕板2の上側、中間部、下側のいずれの位置でもよい。また、給気口212は上下方向に設けられてもよい。
これら給気口212の位置に応じて、給気口212に空気を送る流路の一部となる塞ぎ板4の位置や、補強部5の位置が適宜変更される。
【0038】
実施例では、塞ぎ板4と幕板本体21で空気の流路を形成したが、給気幕板2の内部構造は自由であり、塞ぎ板4の開口部41から給気口212まで空気を送る流路となる部材を別に設けてもよい。
【0039】
さらに、様々な位置に給気口212を設けた給気幕板2のバリエーションを用意しておき、レンジフード1の購入者がバリエーションの中から好きな給気幕板2を選ぶような態様もあり得る。
【0040】
(塞ぎ板の変形例)
塞ぎ板4は、開口部41を有し、給気幕板2の後面の少なくとも一部を構成すればよい部材である。塞ぎ板4は、アダプタ7と開口部41の連通を行うのに適した形状や構造をしていればよく、設計上の自由度の高い部材である。なぜならば、塞ぎ板4はレンジフード1の使用者から見えない位置にあり、意匠性を考慮する必要性が少ない。補強部5を用いれば、塞ぎ板4は、幕板本体内面25のわずかな領域だけを覆うようにも設計できる。
【0041】
実施例は、アダプタ7と塞ぎ板4の開口部41との間を密着させるために、パッキン73を押圧する態様であった。塞ぎ板4の強度を向上させる手段は様々あり、たとえば肉厚部を作るなど材料を多く使う、ビード部を設ける、脚部を作り脚部を幕板本体内面25で支えるなど様々である。これらの手段も本発明の補強部5に含まれる。このように、実施例と異なる手法で補強することも可能である。
【0042】
後述するパッキン73を不要とする態様では、塞ぎ板4はパッキン73を押圧する必要が無くなるため、強度が弱い薄板でもよい。
【0043】
(アダプタの取り付けの変形例)
実施例では、アダプタ7は接続ボックス111を介して間接的に給気ダクト11(給気部)に連通させたものであった。接続ボックス111は必須の部材ではなく、給気ダクト11(給気部)とアダプタ7を直接連通させてもよい。
また、実施例では、アダプタ7と接続ボックス111は固定部74で締結により固定する方式を採用した。
アダプタ7は、接続ボックス111と取り外し自在の連結具や単なるフックで掛止されていてもよい。アダプタ7と接続ボックス111が緩く連結されていても、給気幕板2を取り付ける工程で強くアダプタ7が押圧されることになる。アダプタ7と接続ボックス111の連結が緩くても、給気幕板2の塞ぎ板4と接続ボックス111の間に挟まれ押圧されたアダプタ7は、動かぬようになる。この態様も、アダプタ7は、塞ぎ板4と固定手段不要に連結された態様である。
塞ぎ板4の開口部41の位置とずれが起きないような取り付け手段で、接続ボックス111と連結されていればよく、強固に連結されている必要はない。
【0044】
(アダプタの変形例)
図9はアダプタ7の変形例の説明図である。変形例のアダプタ7は、実施例に存在した幅のある端部72がなく、代わりに幅のない前端部77になっている。
実施例の端部72はパッキン73を取り付ける幅のある部位であったが、変形例では幅のない前端部77になっているため、代わりにパッキン73を取り付けるための縁部76がアダプタ7の周囲を巡って設けられている。アダプタ7は、塞ぎ板4の開口部41に差し込まれ、アダプタ7の縁部76が塞ぎ板4に当接して止まるように構成されている。このとき、縁部76に設けられたパッキン73が開口部41の周囲にある塞ぎ板4と当接し圧縮されることで、空気が漏れないように構成されている。アダプタ7を通る空気は、アダプタ7の上部に設けられた切り欠き部78を通って、給気口212に送られる。この態様も、アダプタ7が、塞ぎ板4と固定手段不要に連結された態様である。
作業者は、アダプタ7が開口部41に挿入される感覚を感じることで、適正な位置に取り付けられたことを知ることができる。
なお、実施例は、アダプタ7の給気幕板2側を固定手段不要にした例であったが、変形例として、アダプタ7は給気幕板2と締結固定されてもよい。また、アダプタ7は、塞ぎ板4に設けたフックなどで掛止めすることで取り付けられてもよい。
【0045】
実施例はアダプタ7の端部72にパッキン73を取り付けたものであった。パッキン73の取り付け位置の変形例として、端部72にパッキン73を設けない態様がある。
代わりに、幅のあるパッキン73が、塞ぎ板4の開口部41の周囲に取り付けられている。他方、アダプタ7の端部72は、幅寸法の短い端部72になっている。幅寸法が短いアダプタ7の端部72は、塞ぎ板4側にあるパッキン73に食い込むように押し当てることができる。アダプタ7と開口部41の位置に多少のズレがあっても、パッキン73に幅があるため確実に両者を接続できる。また、作業者は、押し当てる感覚を受けることで、接続ができていることを確認できる。
【0046】
以上、本発明に係る実施例や変形例を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
また、前述の実施例や変形例は、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 レンジフード
11 給気ダクト(給気部)
111 接続ボックス
112 接続ボックス開口
12 排気ダクト
13 レンジフード本体部
15 側面幕板
151 フック係合孔
152 側壁
17 送風機ボックス
18 フード部
2 給気幕板
21 幕板本体(前面)
212 給気口
22 側面部
23 取付フック
24 開放部
25 幕板本体内面
26 曲折部
27 締結固定部
4 塞ぎ板(背面)
41 開口部
5 補強部
51 第1補強部
511 クッション部材当接部
512 通気面部
513 通気孔
514 塞ぎ板当接部
515 締結部
52 第2補強部
521 クッション部材当接部
522 閉鎖面部
524 塞ぎ板当接部
525 締結部
6 クッション部材
7 アダプタ
72 端部
73 パッキン
74 固定部
75 通気開口
76 縁部
78 切り欠き部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9