(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010260
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
B62J 11/00 20200101AFI20240117BHJP
【FI】
B62J11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111479
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】兼村 祐気
(72)【発明者】
【氏名】栗城 大亮
(57)【要約】 (修正有)
【課題】鞍乗型車両において、燃料タンクを保護することができ、物品を容易に保持させることができるアタッチメントを提供する。
【解決手段】鞍乗型車両10は、燃料タンク46と、物品を燃料タンク46に保持させるために設けられる複数のベルト穴66を有し、燃料タンク46に取り付けられるアタッチメント50と、を備え、アタッチメント50は、少なくとも燃料タンク46の側方の一部を覆う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンク(46)と、
物品を前記燃料タンク(46)に保持させるために設けられる複数の穴(66、72)を有し、前記燃料タンク(46)に取り付けられるアタッチメント(50)と、
を備え、
前記アタッチメント(50)は、少なくとも前記燃料タンク(46)の側方の一部を覆う、鞍乗型車両(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の鞍乗型車両(10)において、
複数の前記穴(66)は、前記物品を保持するベルトが通されるベルト穴(66)である、鞍乗型車両(10)。
【請求項3】
請求項1に記載の鞍乗型車両(10)において、
前記物品は、荷物が搭載される荷台(68)であって、
複数の前記穴(72)は、前記荷台(68)が取り付けられる取付穴(72)である、鞍乗型車両(10)。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の鞍乗型車両(10)において、
前記燃料タンク(46)は、複数の部材がシーム溶接されて形成され、
複数の前記穴(66、72)は、前記燃料タンク(46)がシーム溶接される箇所であるシームライン(54)に沿って設けられる、鞍乗型車両(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、オートバイにアクセサリ部品を取り付ける装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された技術では、ガソリンタンクの上部にフレーム(アタッチメント)が固定される。このフレームには、アクセサリ部品のベースプレートが取り付けられる。フレームはロック用開口部を有し、ベースプレートはロック用突起を有する。フレームのロック用開口部に、ベースプレートのロック用突起がはめ込まれる。これにより、アクセサリ部品がオートバイに取り付けられる。しかし、より良好なアタッチメントが求められる。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、鞍乗型車両(10)に関する。
【0007】
この場合、第1の構成として、鞍乗型車両(10)は、燃料タンク(46)と、物品を前記燃料タンク(46)に保持させるために設けられる複数の穴(66、72)を有し、前記燃料タンク(46)に取り付けられるアタッチメント(50)と、を備え、前記アタッチメント(50)は、少なくとも前記燃料タンク(46)の側方の一部を覆う。
【0008】
第2の構成として、複数の前記穴(66)は、前記物品を保持するベルトが通されるベルト穴(66)である。
【0009】
第3の構成として、前記物品は、荷物が搭載される荷台(68)であって、複数の前記穴(72)は、前記荷台が取り付けられる取付穴(72)である。
【0010】
第4の構成として、前記燃料タンク(46)は、複数の部材がシーム溶接されて形成され、複数の前記穴は、前記燃料タンク(46)がシーム溶接される箇所であるシームライン(54)に沿って設けられる。
【発明の効果】
【0011】
第1の構成によれば、鞍乗型車両は、アタッチメントにより、物品を燃料タンクに保持させることができるとともに、燃料タンクを保護できる。
【0012】
第2の構成によれば、鞍乗型車両は、物品を燃料タンクに保持させることができる。
【0013】
第3の構成によれば、鞍乗型車両は、荷台を燃料タンクに保持させることができるとともに、荷台によっても、燃料タンクを保護できる。
【0014】
第4の構成によれば、鞍乗型車両は、外観を良好にできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3】
図3は、燃料タンク及びアタッチメントの分解斜視図である。
【
図6】
図6は、燃料タンクにアタッチメント及び荷台が取り付けられた状態を示す図である。
【
図7】
図7は、燃料タンク、アタッチメント及び荷台の分解斜視図である。
【
図9】
図9は、アタッチメントに対する荷台の取り付け部分の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔第1実施形態〕
[車体の構成]
図1は、鞍乗型車両10の側面図である。以下の説明において、
図1に矢印で示す方向に基づいて、車体11の前後方向、及び、車体11の上下方向を記載する。また、乗員が、鞍乗型車両10の前方を向いて鞍乗型車両10に乗車する場合に、乗員の左手側を左とし、乗員の右手側を右として、車体11の左右方向を記載する。以下、
図1を用いて、車体11の構成を説明する。
【0017】
鞍乗型車両10は、車体フレーム12を有する。車体フレーム12は、ヘッドパイプ14及びダウンフレーム16を有する。車体フレーム12は、その他の不図示のメインフレーム、シートレール、ピボットフレーム及びシートレールを有する。
【0018】
鞍乗型車両10は、操舵系18を有する。操舵系18は、ステアリングステム(不図示)、操舵ハンドル20及び一対のフロントフォーク22を有する。
【0019】
ステアリングステムは、ヘッドパイプ14に回動可能に支持される。ステアリングステムの上端にトップブリッジ24が取り付けられる。ステアリングステムの下端にボトムブリッジ26が取り付けられる。
【0020】
トップブリッジ24には、操舵ハンドル20が取り付けられる。トップブリッジ24及びボトムブリッジ26は、左右一対のフロントフォーク22を連結する。各フロントフォーク22は、前下方に延びる。一対のフロントフォーク22の下端に、前輪28が取り付けられる。前輪28は、フロントフォーク22に回転可能に支持される。前輪28は、フロントフェンダ30により前輪28の上方から後方にかけて覆われる。
【0021】
鞍乗型車両10は、一対のスイングアーム32を有する。スイングアーム32は、左右の各ピボットフレームに、ピボットシャフト(不図示)を介して取り付けられる。スイングアーム32は、ピボットフレームにより、ピボットシャフトを中心にして揺動可能に支持される。
【0022】
スイングアーム32は、ピボットフレームから左右に二股に分かれて後方に延びる。スイングアーム32の後端において、二股に分かれたスイングアーム32の間に後輪34が取り付けられる。後輪34は、スイングアーム32に回転可能に支持される。後輪34は、後輪34の上方から後方にかけて、リアフェンダ36により覆われる。
【0023】
鞍乗型車両10は、左右一対のリアクッション38を有する。各リアクッション38は、左右の各シートレールと左右の各のスイングアーム32との間に設けられる。
【0024】
鞍乗型車両10は、パワーユニット40を有する。パワーユニット40は、ダウンフレーム16及びピボットフレームに支持される。パワーユニット40は、エンジン42及び変速機44を有する。
【0025】
鞍乗型車両10は、燃料タンク46を有する。燃料タンク46は、メインフレームに取り付けられる。燃料タンク46の後方にはシート48が設けられる。シート48は、シートレールに取り付けられる。シート48の後方にはタンデムシート49が設けられる。タンデムシート49は、シートレールに取り付けられる。
【0026】
[燃料タンク及びアタッチメントの構成]
図2は、燃料タンク46の側面図である。
図2は、燃料タンク46にアタッチメント50が取り付けられた状態を示す。
図3は、燃料タンク46及びアタッチメント50の分解斜視図である。
【0027】
燃料タンク46は、2枚の鋼板により形成される。各々の鋼板は、フランジ状の溶接代52を有する。2枚の鋼板の溶接代52が重ね合わされた状態で、溶接代52はシーム溶接される。シーム溶接では、溶接跡が線状に形成される。本実施形態では、この線状の溶接跡をシームライン54と記載する。燃料タンク46の側面には、ねじ穴56が形成される。
【0028】
アタッチメント50は、燃料タンク46の右側面及び左側面の各々に取り付けられる。アタッチメント50は、本体部58及び2つの係止部60を有する。
【0029】
本体部58において、燃料タンク46の2つのねじ穴56の各々に対応する位置に、貫通孔62が形成される。貫通孔62にねじ64が挿入され、ねじ64は燃料タンク46のねじ穴56と螺合される。これにより、アタッチメント50は燃料タンク46に取り付けられる。本体部58は、燃料タンク46の側面の一部を覆う。本体部58は、特に、燃料タンク46の側面のうち下部を覆う。
【0030】
各係止部60は、本体部58から下方に延びて形成される。各係止部60は、ベルト穴66を有する。ベルト穴66は、シームライン54に沿って設けられる。各ベルト穴66には、ベルト(不図示)が通される。ベルトは、タンクバッグ等の物品に設けられる。ベルトは、物品とは別体であってもよい。ベルトにより、物品が車体11に保持される。タンクバッグ等の物品が燃料タンク46の上面に置かれた状態で、ベルトをベルト穴66に通し、ベルトをバックル等で止めることにより、タンクバッグ等の物品を燃料タンク46の上に保持させる。物品は、タンクバッグのように燃料タンク46の上に保持されるものでなくてもよい。例えば、ベルト穴66にサイドバッグが取り付けられてもよい。また、ベルト穴66には、例えば、スプリングフック等が掛けられてもよい。ベルト穴66は、本発明の穴に相当する。
【0031】
[作用効果]
本実施形態の鞍乗型車両10では、アタッチメント50がベルト穴66を有する。これにより、鞍乗型車両10は、物品を容易に燃料タンク46に保持させることができる。
【0032】
また、本実施形態の鞍乗型車両10では、アタッチメント50の本体部58は、燃料タンク46の側面の一部を覆う。これにより、鞍乗型車両10は、アタッチメント50により燃料タンク46を保護できる。
【0033】
また、本実施形態の鞍乗型車両10では、アタッチメント50の本体部58は、燃料タンク46の側面のうち下部を覆う。これにより、鞍乗型車両10は、アタッチメント50により、燃料タンク46の側面のうち、外部からの力が作用し易い部分を保護できる。
【0034】
また、本実施形態の鞍乗型車両10では、アタッチメント50の係止部60はベルト穴66を有する。このベルト穴66に、物品を保持するベルトが通される。これにより、鞍乗型車両10は、物品を燃料タンク46に保持させることができる。
【0035】
また、本実施形態の鞍乗型車両10では、ベルト穴66がシームライン54に沿って設けられる。これにより、ベルト穴66とシームライン54とが一体的に見えるため、鞍乗型車両10は、外観を良好にできる。
【0036】
〔第2実施形態〕
図4は、鞍乗型車両10の側面図である。第1実施形態と同じ構成については、以下では説明を省略する。燃料タンク46には、アタッチメント50を介して、荷台68が保持される。
【0037】
[燃料タンク及びアタッチメントの構成]
図5は、燃料タンク46の側面図である。
図5は、燃料タンク46にアタッチメント50が取り付けられた状態を示す。
図6は、燃料タンク46の側面図である。
図6は、燃料タンク46にアタッチメント50及び荷台68が取り付けられた状態を示す図である。
図7は、燃料タンク46、アタッチメント50及び荷台68の分解斜視図である。
図8は、荷台68の斜視図である。
図9は、アタッチメント50に対する荷台68の取り付け部分の拡大斜視図である。
【0038】
アタッチメント50は、燃料タンク46の右側面及び左側面の各々に取り付けられる。
図5及び
図9に示すように、アタッチメント50は、2つのボス70を有する。各ボス70には、ねじ穴72が形成される。ねじ穴72は、シームライン54に沿って設けられる。ねじ穴72は、本発明の穴、又は、取付穴に相当する。
【0039】
アタッチメント50は、燃料タンク46の2つのねじ穴56の各々に対応する位置に、貫通孔62が形成される。貫通孔62にねじ64が挿入され、ねじ64は燃料タンク46のねじ穴56と螺合する。これにより、アタッチメント50が燃料タンク46に取り付けられる。アタッチメント50の本体部58は燃料タンク46の側面の一部を覆う。本体部58は、特に、燃料タンク46の側面のうち下部を覆う。
【0040】
荷台68は、環状部74と2つの締結部76とを有する。環状部74は、パイプ状の部材により略四角形に形成される。各締結部76は、板状の部材であって、環状部74の内周に溶接により固定される。
図7、
図8及び
図9に示すように、各締結部76は、ボス78を有する。各ボス78には、貫通孔80が形成される。各ボス78は、アタッチメント50の2つのボス70と対応する位置に形成される。貫通孔80にねじ82が挿入され、ねじ82はアタッチメント50のねじ穴72と螺合される。これにより、荷台68は、アタッチメント50に取り付けられる。
【0041】
荷台68には、サイドバッグ等が取り付けられてもよい。タンクバッグが燃料タンク46の上面に置かれた状態で、タンクバッグのベルトを荷台68に留めてもよい。これにより、タンクバッグは燃料タンク46に保持される。また、荷台68は、燃料タンク46の側面を保護する。
【0042】
[作用効果]
本実施形態の鞍乗型車両10では、アタッチメント50がねじ穴72を有する。これにより、鞍乗型車両10は、物品を容易に燃料タンク46に保持させることができる。
【0043】
また、本実施形態の鞍乗型車両10では、アタッチメント50のねじ穴72に荷台68が取り付けられる。これにより、鞍乗型車両10は、荷台68を燃料タンク46に保持させることができる。また、鞍乗型車両10は、荷台68により燃料タンク46を保護できる。
【0044】
〔実施形態から得られる発明〕
上記実施形態から把握しうる発明について、以下に記載する。
【0045】
鞍乗型車両(10)は、燃料タンク(46)と、物品を前記燃料タンク(46)に保持させるために設けられる複数の穴(66、72)を有し、前記燃料タンク(46)に取り付けられるアタッチメント(50)と、を備え、前記アタッチメント(50)は、少なくとも前記燃料タンク(46)の側方の一部を覆う。これにより、鞍乗型車両は、アタッチメントにより、物品を燃料タンクに保持させることができるとともに、燃料タンクを保護できる。
【0046】
上記の鞍乗型車両(10)において、複数の前記穴(66)は、前記物品を保持するベルトが通されるベルト穴(66)であってもよい。これにより、鞍乗型車両は、物品を燃料タンクに保持させることができる。
【0047】
上記の鞍乗型車両(10)において、前記物品は、荷物が搭載される荷台(68)であって、複数の前記穴(72)は、前記荷台(68)が取り付けられる取付穴(72)であってもよい。これにより、鞍乗型車両は、荷台を燃料タンクに保持させることができるとともに、荷台によっても、燃料タンクを保護できる。
【0048】
上記の鞍乗型車両(10)において、前記燃料タンク(46)は、複数の部材がシーム溶接されて形成され、複数の前記穴(66、72)は、前記燃料タンク(46)がシーム溶接される箇所であるシームライン(54)に沿って設けられてもよい。これにより、鞍乗型車両は、外観を良好にできる。
【0049】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0050】
10…鞍乗型車両 46…燃料タンク
50…アタッチメント 54…シームライン
66…ベルト穴(穴) 68…荷台
72…ねじ穴(穴、取付穴)