(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102616
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】冷却貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 21/14 20060101AFI20240724BHJP
F25D 21/08 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
F25D21/14 E
F25D21/08 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006626
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】越 洋
(72)【発明者】
【氏名】福田 和也
(72)【発明者】
【氏名】植田 毅
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貴芳
(72)【発明者】
【氏名】林 祐治
(72)【発明者】
【氏名】山本 洋介
【テーマコード(参考)】
3L046
3L048
【Fターム(参考)】
3L046AA04
3L046BA04
3L046CA06
3L046MA04
3L048AA05
3L048BA01
3L048BB03
3L048CA02
3L048CB02
3L048CD02
3L048GA02
(57)【要約】
【課題】冷却器に付着する氷の落下を抑制する。
【解決手段】冷却貯蔵庫10は、貯蔵室12と、貯蔵室12から吸い込まれた空気が流入され、内部を通過する空気を冷却する冷却器35と、冷却器35の着霜を融解する第1除霜用ヒータ70と、前記冷却器35の空気流入側の少なくとも一部を覆ように設けられ、熱伝導性を有し、第1除霜用ヒータ70に接触するメッシュシート75と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室と、
前記貯蔵室から吸い込まれた空気が流入され、内部を通過する空気を冷却する冷却器と、
前記冷却器の着霜を融解するための第1除霜用ヒータと、
前記冷却器の空気流入側の少なくとも一部を覆うように設けられ、熱伝導性を有し、前記第1除霜用ヒータに接触するメッシュシートと、を備える冷却貯蔵庫。
【請求項2】
前記冷却器は、内部を通過する空気が水平方向に沿って流れるように構成され、
前記メッシュシートは、前記冷却器の下端部の少なくとも一部をさらに覆い、前記下端部に接触する請求項1記載の冷却貯蔵庫。
【請求項3】
前記冷却器の下方に設けられ、前記冷却器からの除霜水を受け止めるドレンパンを備え、
前記冷却器は、内部を通過する空気が水平方向に沿って流れるように構成され、
前記メッシュシートは、前記冷却器の下端部の少なくとも一部をさらに覆い、前記ドレンパン内に延出する請求項1又は請求項2に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項4】
前記メッシュシートは、前記冷却器の前記下端部を覆う部分の開口率が、前記冷却器の前記空気流入側を覆う部分の開口率に比べて小さい請求項2に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項5】
前記第1除霜用ヒータの少なくとも一部は、前記冷却器の前記空気流入側に設けられる請求項1又は請求項2に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項6】
前記冷却器の下方に設けられ、前記冷却器からの除霜水を受け止めるドレンパンを備え、
前記第1除霜用ヒータの少なくとも一部は、前記冷却器の下端部と前記ドレンパンとの間に設けられる請求項1又は請求項2に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項7】
前記メッシュシートは、開口率が60%以上の金属製シートである請求項1又は請求項2に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項8】
前記メッシュシートは、
前記冷却器の前記空気流入側を覆い、前記第1除霜用ヒータに対して前記冷却器と反対側に設けられる第1シート部と、
前記冷却器の前記空気流入側を覆い、前記第1除霜用ヒータと前記冷却器との間において、前記冷却器と接触するように設けられる第2シート部と、を有する請求項1又は請求項2に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項9】
前記第2シート部の開口率は、前記第1シート部の開口率に比べて小さい請求項8に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項10】
前記冷却器の下方に設けられ、前記冷却器からの除霜水を受け止めるドレンパンを備え、
前記冷却器の前記空気流入側の面は、鉛直方向に対して傾斜する請求項1又は請求項2に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項11】
前記貯蔵室から空気を吸い込んで前記冷却器の内部を通過させ、前記冷却器によって冷却された空気を前記貯蔵室に戻すように、前記貯蔵室内の空気を循環させる循環用ファンを備え、
前記循環用ファンは、前記冷却器から空気が流出する空気流出側に設けられるブラケットに取り付けられ、
前記ブラケットは、前記冷却器の下方に延びる延出部を有し、
前記延出部には、第2除霜用ヒータが設けられる請求項1又は請求項2に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項12】
前記冷却器の空気流入側の下方には、前記貯蔵室からの空気の吸込口が設けられる請求項1又は請求項2に記載の冷却貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、冷却貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の冷却貯蔵庫として、例えば特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1に記載の冷却貯蔵庫(農産物保冷庫)は、貯蔵庫本体(保冷庫本体)と、貯蔵庫本体の天井面に設置される冷却装置(冷蔵ユニット)と、を備える。冷却装置を構成する冷却器の下側には、断熱壁(下側断熱部)が設けられており、当該断熱壁には冷却器の冷気を貯蔵庫本体内に吸排気するための吸排気口が設けられている。また、当該断熱壁のうち冷却器の直下には、冷却器の着霜が融解されることで生じる除霜水を受けるドレンパン(露受皿)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の冷却貯蔵庫によれば、冷却器の除霜水がドレンパンで受け止めきれない場合、除霜水が吸排気口を通過して貯蔵庫本体内に落下してしまう懸念がある。例えば、融解された除霜水の一部が冷却器に残留した状態で冷却運転が再開されると、除霜水が再凍結して氷塊に成長するが、この氷塊が次の除霜運転時に剥がれて落下した場合、ドレンパンで受け止めきれないことがある。そこでドレンパンを大きくすると、冷気の流れがドレンパンによって阻害され冷却能力が低下してしまう。一方、除霜運転の時間を長くして除霜水が冷却器に残留しないようにすると、貯蔵庫本体内の過度な温度上昇を招いてしまう。
【0005】
本技術は上記のような実情に基づいて完成されたものであって、冷却器に付着する氷の落下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本技術に関わる冷却貯蔵庫は、貯蔵室と、前記貯蔵室から吸い込まれた空気が流入され、内部を通過する空気を冷却する冷却器と、前記冷却器の着霜を融解する第1除霜用ヒータと、前記冷却器の空気流入側の少なくとも一部を覆うように設けられ、熱伝導性を有し、前記第1除霜用ヒータに接触するメッシュシートと、を備える。
【0007】
冷却器の着霜は、温かい空気が流入する冷却器の空気流入側に生じやすい。そこで冷却器の空気流入側の少なくとも一部を覆うようにメッシュシートを設けることで、冷却器に付着した氷が除霜運転時に冷却器から剥がれた場合、メッシュシートに引っ掛かることで落下する事態を抑制できる。また、熱伝導率を有するメッシュシートを第1除霜用ヒータに接触させることで、メッシュシートに引っ掛かった氷を容易に融解できる。
【0008】
また、前記冷却器は、内部を通過する空気が水平方向に沿って流れるように構成され、前記メッシュシートは、前記冷却器の下端部の少なくとも一部をさらに覆い、前記下端部に接触してもよい。このようにすれば、メッシュシートを介して冷却器の下端部に第1除霜用ヒータの熱を伝導できるため、冷却器に付着した氷を融解しやすくなる。ここで空気は冷却器内を水平方向に沿って通過しており、メッシュシートによって冷却器の下端部を覆うことで、冷却器内を通過する空気流量が大幅に低下することはない。
【0009】
また、前記冷却器の下方に設けられ、前記冷却器からの除霜水を受け止めるドレンパンを備え、前記冷却器は、内部を通過する空気が水平方向に沿って流れるように構成され、前記メッシュシートは、前記冷却器の下端部の少なくとも一部をさらに覆い、前記ドレンパン内に延出してもよい。このようにすれば、ドレンパンに貯留された除霜水が再凍結して氷に成長した場合、ドレンパン内に延出するメッシュシートが氷に接触して、氷を融解できる。ここで空気は冷却器内を水平方向に沿って通過しており、メッシュシートによって冷却器の下端部を覆うことで、冷却器内を通過する空気流量が大幅に低下することはない。
【0010】
また、前記メッシュシートは、前記冷却器の前記下端部を覆う部分の開口率が、前記冷却器の前記空気流入側を覆う部分の開口率に比べて小さくてもよい。このようにすれば、冷却器の下端部を覆う部分に、第1除霜用ヒータの熱を伝導しやすくなる。空気は冷却器内を水平方向に沿って通過しており、メッシュシートのうち冷却器の下端部を覆う部分の開口率を小さくした場合であっても、冷却器内を通過する空気流量が大幅に低下することはない。
【0011】
また、前記第1除霜用ヒータの少なくとも一部は、前記冷却器の前記空気流入側に設けられてもよい。このようにすれば、着霜が生じやすい冷却器の空気流入側に第1除霜用ヒータの熱を伝導しやすくなる。
【0012】
また、前記冷却器の下方に設けられ、前記冷却器からの除霜水を受け止めるドレンパンを備え、前記第1除霜用ヒータの少なくとも一部は、前記冷却器の下端部と前記ドレンパンとの間に設けられてもよい。このようにすれば、冷却器の下方に設けられるドレンパン内に成長する氷を第1除霜用ヒータによって融解しやすくなる。
【0013】
また、前記メッシュシートは、開口率が60%以上の金属製シートであってもよい。メッシュシートを金属製にすることで、高熱伝導率を実現でき、氷を融解しやすくなる。また、メッシュシートの開口率を60%以上とすることで、メッシュシートを設けることに伴う冷却器への空気流入量の大幅な低下を抑制できる。
【0014】
また、前記メッシュシートは、前記冷却器の前記空気流入側を覆い、前記第1除霜用ヒータに対して前記冷却器と反対側に設けられる第1シート部と、前記冷却器の前記空気流入側を覆い、前記第1除霜用ヒータと前記冷却器との間において、前記冷却器と接触するように設けられる第2シート部と、を有してもよい。このようにすれば、空気流入側を覆う部分が第1シート部と第2シート部の2重構成となり、冷却器から剥がれた氷が、メッシュシートにより確実に引っ掛かるようになる。また冷却器に接触する第2シート部によって氷を融解しやすくなる。
【0015】
また、前記第2シート部の開口率は、前記第1シート部の開口率に比べて小さくてもよい。このようにすれば、冷却器と第2シート部との接触面積が相対的に大きくなり、第1除霜用ヒータの熱を冷却器により伝導やすくなる。
【0016】
また、前記冷却器の下方に設けられ、前記冷却器からの除霜水を受け止めるドレンパンを備え、前記冷却器の前記空気流入側の面は、鉛直方向に対して傾斜してもよい。このようにすれば、冷却器から剥がれた氷が空気流入側の面に沿って滑り落ち、ドレンパン内に落下して受け止められやすくなる。
【0017】
また、前記貯蔵室から空気を吸い込んで前記冷却器の内部を通過させ、前記冷却器によって冷却された空気を前記貯蔵室に戻すように、前記貯蔵室内の空気を循環させる循環用ファンを備え、前記循環用ファンは、前記冷却器から空気が流出する空気流出側に設けられるブラケットに取り付けられ、前記ブラケットは、前記冷却器の下方に延びる延出部を有し、前記延出部には、第2除霜用ヒータが設けられてもよい。このようにすれば、循環用ファンが取り付けられるブラケットを用いて第2除霜用ヒータを容易に設けることがでる。また、第2除霜用ヒータによって氷を融解しやすくなる。
【0018】
また、前記冷却器の空気流入側の下方には、前記貯蔵室からの空気の吸込口が設けられてもよい。このように吸込口が設けられている場合、冷却器から剥がれて落ちた氷は吸込口を通って貯蔵室に落下する懸念があるが、上記した構成によれば、そのような事態を抑制できる。
【発明の効果】
【0019】
本技術によれば、冷却器に付着した氷の落下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図5】実施形態2に係るメッシュシートを示す断面斜視図
【
図6】実施形態3に係るメッシュシートを示す断面斜視図
【
図7】実施形態4に係るメッシュシートを示す断面斜視図
【
図8】実施形態5に係る除霜用ヒータを示す断面斜視図
【
図9】実施形態6に係る冷却器、及びその周辺部材の断面図
【
図10】実施形態7に係る循環用ファンのブラケットを示す断面図
【
図11】循環用ファン、及び循環用ファンのブラケットの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0021】
<実施形態1>
実施形態1に係る冷却貯蔵庫10を
図1から
図4を参照して説明する。冷却貯蔵庫10は、
図1から
図3に示すように、貯蔵庫本体11と、貯蔵庫本体11の前面開口を開閉する扉14と、貯蔵庫本体11の上方に配置される機械室15と、冷却装置30と、をおおまかに備える。扉14は、観音開き式に左右に対をなす2つずつが上下に2組設けられているが、その数や開閉方式は限定されない。
【0022】
貯蔵庫本体11は、
図2に示すように、ステンレス等の金属板が箱状に組み立てられた外箱11Aと内箱11Bとの間に、発泡樹脂製の断熱材11Cが充填された構造を有する。貯蔵庫本体11内(以下、単に庫内と呼ぶことがある)は、貯蔵室12であり、貯蔵室12には被貯蔵物(食品等)を載置する網棚を支持する棚受部材12Aが設けられている。貯蔵庫本体11は、天井壁部41と、底壁部42と、左側壁部43と、右側壁部44と、後壁部45と、を含む断熱壁から構成されている。天井壁部41には、後壁部45寄りの位置に、天井壁部41を貫通する第1吸込口41A、及び第1吹出口41Bが形成されている。第1吸込口41A、及び第1吹出口41Bは、前後方向に所定の間隔を空けて並んで設けられており、第1吹出口41Bが吸込口41Aより後方に位置する。第1吸込口41A、及び第1吹出口41Bは、平面に視て左右方向に延在する横長の矩形状をなし、ほぼ同一の大きさを有する。
【0023】
機械室15は、貯蔵庫本体11の天井壁部41の直上に設けられている。機械室15において、天井壁部41の第1吸込口41A、及び第1吹出口41Bの上方には、冷却器ボックス80が配置されている。冷却器ボックス80は、左右方向に横長の直方体状の断熱箱体であり、第1吸込口41A、及び第1吹出口41Bを上方から覆うように、天井壁部41上に載置されている。冷却器ボックス80の内部空間が冷却器室20であり、冷却器室20には冷却器35、循環用ファン24、及びドレンパン60が収容されている。冷却器ボックス80の底部82には、第1吸込口41Aと平面視で重なる位置に第2吸込口82Aが、第1吹出口41Bと平面視で重なる位置に第2吹出口82Bがそれぞれ形成されている。第1吸込口41A及び第2吸込口82Aは、貯蔵室12内の空気を冷却器室20内に吸い込むための吸込口20Aを構成している。第1吹出口41B及び第2吹出口82Bは、冷却器室20内から貯蔵室12内へ空気を吹き出すための吹出口20Bを構成している。
【0024】
機械室15は、
図1に示すように、前方、左方、及び右方がパネルによって覆われる一方、上方及び後方のほぼ全体が開放されている。機械室15において、後側には冷却器ボックス80が配置され、前側には、冷却装置30のうち圧縮機31、凝縮器33、及び凝縮器ファン37が収容されている。なお、機械室15の上方及び後方もパネルによって覆われていても構わない。
【0025】
冷却装置30は、貯蔵庫本体11の内部(貯蔵室12)を冷却するための装置である。冷却装置30は、圧縮機31と、凝縮器33と、膨張弁(キャビラリーチューブ)と、冷却器(蒸発器)35と、凝縮器ファン37と、アキュムレータ39と、を備える。圧縮機31、凝縮器33、冷却器35は、冷媒管38によって連結され、既知の冷凍サイクル(冷凍回路)を形成している。
【0026】
冷却器35及びドレンパン60は、
図2及び
図3に示すように、冷却器室20内において吸込口20Aと吹出口20Bとの間に配置されている。冷却器35の後方には、
図4に示すように、循環用ファン24が左右方向に並んで2つ設けられている。循環用ファン24は、冷却器35の後方(空気流出側)に配置されるブラケット26(取付部材の一例)に取り付けられている。ブラケット26は、傾斜する平板状部材であり、循環用ファン24が取り付けられる開口を有する。循環用ファン24が作動すると、貯蔵室12内の空気は吸込口20Aから冷却器室20内に吸い込まれ、冷却器35を通過することで冷却される。冷却された空気は吹出口20Bから貯蔵室12に吹き出されて循環する。
【0027】
ドレンパン60は、冷却器ボックス80の底部82のうち第2吸込口82Aと第2吹出口82Bとの間の部分の直上に配置されている。ドレンパン60は、本体部61と、排水部66と、を有する。本体部61は、冷却器35の直下に配置され、冷却器35の着霜が融解された際に生じる除霜水を受け止める。本体部61は、左右方向に延在する横長の浅いトレー状をなしており、その平面サイズは冷却器35の下面より大きい。本体部61のうち前側の側面には、排水口61Aが形成されており、本体部61の底面は排水口61Aに向かって水が流下するように傾斜している。排水部66は、本体部61で受け止められた除霜水が排水される流路である。排水部66は、排水口61Aから前方に延出する中空筒部であり、排水部66には、前方からドレンホース68が接続されている。ドレンパン60の本体部61で受け止められた除霜水は、排水部66、及びドレンホース68を通って蒸発皿69内に貯留され、蒸発される。蒸発皿69は、機械室15において冷却器ボックス80の外部に設けられている。
【0028】
続いて、冷却器35、第1除霜用ヒータ70、及びメッシュシート75について詳しく説明する。冷却器35は、貯蔵室12から吸い込まれて内部を通過する空気を熱交換によって冷却する。冷却器35は、左右方向に横長の略直方体状をなし、多数のフィン35Aと、エンドプレート35Bと、蒸発管35Cと、を備える。各フィン35Aは、上下方向に長い矩形の板状をなす金属プレートであり、左右方向に所定の間隔で並べられている。本実施形態に係る冷却器35は、多数のフィン35Aの前端部35A2によって構成される前面(空気流入側の面)が鉛直方向に沿っており、冷却器35に流入した空気は、フィン35A間に形成される隙間を水平方向に沿って前から後に通過する。
【0029】
エンドプレート35Bは、多数のフィン35Aに対して配列方向(左右方向)の両側に設けられる金属プレートである。エンドプレート35Bは、フィン35Aより板厚が大きく、強固に形成されている。本実施形態に係るエンドプレート35Bには、第1除霜用ヒータ70、及びメッシュシート75が取り付けられている。蒸発管35Cは、各フィン35Aを貫通しつつ折り返した形状をなす。蒸発管35Cは、冷凍回路の冷媒管38と連結されており、内部を冷媒が通過する。蒸発管35C内に流入された液冷媒が蒸発して冷媒ガスに気化する際に、蒸発管35Cの近傍の空気から熱を奪うことで、冷却器35を通過する空気が冷却される。なお、蒸発管35Cの冷媒流通方向の出口側には、冷却器35で気化されなかった液冷媒が圧縮機31に流入することを防止するために、アキュムレータ39が設けられている。
【0030】
第1除霜用ヒータ70は、冷却器35の空気流入側の下部(前側の下部)に設けられる。第1除霜用ヒータ70は、冷却器35の前側下部全体を加熱するようにU字状に細長く延びているが、形状は限定されない。第1除霜用ヒータ70は、冷却器35のフィン35Aの前端部35A2に接触するが、加熱効果を奏する程度に近接していれば、接触していなくても構わない。
【0031】
メッシュシート75は、冷却器35の空気流入側である前側のうち、ほぼ下半分を覆うように設けられる。メッシュシート75は、第1除霜用ヒータ70の前側(冷却器35と反対側)から、冷却器35の前側を覆っている。メッシュシート75は、熱伝導性を有し、第1除霜用ヒータ70と接触しており、第1除霜用ヒータ70の熱によって加熱される。なおメッシュシート75は、冷却器35の空気流入側(前側)の少なくとも一部に設けられていればよく、前側の全体に設けられていてもよい。本実施形態のように、冷却器35の前側の下部を覆うように設けると、氷をより受け止めやすくなる。
【0032】
次に、上記した構成の冷却貯蔵庫10の作用効果について説明する。冷却貯蔵庫10では、所定の冷却運転時間毎等に第1除霜用ヒータ70が作動され、冷却器35の着霜を融解する除霜運転が行われる。除霜運転によって霜が融解されると、除霜水は冷却器35の直下に配置されたドレンパン60に流下する。この際、除霜水の一部は冷却器35に付着したまま十分に乾燥(蒸発)されず、冷却器35にそのまま付着して残留してしまうことがある。この状態で冷却運転が再開されると、冷却器35に残留した除霜水が再凍結し、さらなる着霜によって氷(氷塊を含む)に成長することがある。そして、次の除霜運転時に第1除霜用ヒータ70によって冷却器35が加熱されると、氷が冷却器35から剥がれて落下することがある。この氷は、ドレンパン60では受け止めきれないことがある。冷却貯蔵庫10は、貯蔵室12内の空気の吸込口20Aが冷却器35の前側の下方に位置しており、冷却器35から剥がれ落ちた氷がドレンパン60で受け止めきれない場合、吸込口20Aを通って貯蔵室12に落下してしまう。
【0033】
着霜は一般に、冷却器35の空気流入側(本実施形態では前側)に生じやすく、着霜の成長によって生じる氷も冷却器35の空気流入側に生じやすい。そこで本実施形態では、冷却器35の空気流入側をメッシュシート75で覆い、冷却器35から剥がれた氷がメッシュシート75に引っ掛かって落下しないようになっている。またメッシュシート75は、熱伝導性を有し、第1除霜用ヒータ70の熱が伝導されるため、メッシュシート75に引っ掛かった氷が、容易に融解されるようになっている。
【0034】
仮にメッシュシート75を設けず、冷却器35から剥がれ落ちる氷を受け止めるためにドレンパン60を大きくすると、吸込口20Aや吹出口20Bの一部が塞がれてしまう。その結果、空気の流通が阻害されて、冷却能力が低下してしまう。また仮に氷の成長を抑制するために除霜運転の時間を長くしたり、第1除霜用ヒータ70の発熱量を増大したりすると、貯蔵室12内の過度な温度上昇を招いてしまう。
【0035】
メッシュシート75は、網目の開口率(全面積に対する開口面積の割合)が60%以上の金属製シートであることが好ましい。メッシュシート75を金属製にすることで、高熱伝導率を実現でき、氷を融解しやすくなる。また、メッシュシート75の開口率を60%以上とすることで、メッシュシート75を設けることに伴う冷却器35への空気流入量の低下を抑制できる。
【0036】
なおメッシュシート75は、冷却器35の前側だけでなく、後側(空気流出側)に対しても設けられていてもよい。本実施形態では、冷却器35の後方にはブラケット26が設けられ、ブラケット26の下端部はドレンパン60の本体部61内に差し込まれている。これにより、冷却器35の後側から剥がれ落ちた氷は、ブラケット26で受け止められ、ブラケット26の傾斜に沿って本体部61内に滑り落ちるようになっている。その結果、本実施形態ではメッシュシート75を冷却器35の後側に設ける必要性は大きくないが、構成によっては設けても構わない。
【0037】
<実施形態2>
実施形態2に係るメッシュシート175について、
図5を参照して説明する。実施形態2では、メッシュシート175が実施形態1と異なる。実施形態2において、実施形態1と同様の構成、及び作用効果について重複する説明は省略する。
【0038】
メッシュシート175は、全体として断面L字状をなし、冷却器35の前側の下半分だけでなく、冷却器35の下面の前側をさらに覆う。メッシュシート175のうち、冷却器35の下端部35A1を覆う部分175Bは、下端部35A1と隙間を空けて配置され、ドレンパン60の内部空間に延出する。これにより、第1除霜用ヒータ70の熱がメッシュシート175を介してドレンパン60内の氷99に伝わり、ドレンパン60内の氷99を融解できる。ドレンパン60内の氷は、例えばドレンパン60で受け止められた霜や除霜水が再凍結して成長することで生じる。
【0039】
メッシュシート175は、冷却器35の下面(多数のフィン35の下端部35A1)を覆う部分175Bの開口率が、冷却器35の前側を覆う部分175Aの開口率に比べて小さくてもよい。例えば、冷却器35の下端部35A1を覆う部分175Bは、冷却器35の前側を覆う部分175Aと同じシート材を複数枚重ね合わせた構成とすれば、開口率を容易に小さくできる。
【0040】
このようにすれば、冷却器35の下端部35A1を覆う部分175Bに対して、第1除霜用ヒータ70の熱をより伝導しやすくなり、霜や氷をより融解しやすくなる。空気は冷却器35内を前から後ろに水平方向に沿って通過しており、当該部分175Aの開口率を小さくした場合であっても、冷却器35内を通過する空気流量の大幅な低下、ひいては冷却効率の低下を抑制できる。
【0041】
<実施形態3>
実施形態3に係るメッシュシート275について、
図6を参照して説明する。実施形態3では、メッシュシート275が実施形態1と異なる。実施形態3において、実施形態1から2と同様の構成、及び作用効果について重複する説明は省略する。
【0042】
メッシュシート275は、全体として断面L字状をなし、冷却器35の前側の下半分だけでなく、冷却器35の下端部35A1の前側をさらに覆う。メッシュシート275のうち、冷却器35の下端部35A1を覆う部分275Bは、下端部35A1に接触する。当該部分275Bは、重力によって冷却器35の下端部35A1と離間しやすいが、ネジ止めしたり、板状部材で挟み込むことで、確実に接触するようにできる。これにより、冷却器35の下端部35A1に第1除霜用ヒータ70の熱が伝導されやすくなり、冷却器35に付着した霜や氷を融解しやすくなる。
【0043】
<実施形態4>
実施形態4に係るメッシュシート375について、
図7を参照して説明する。実施形態4では、メッシュシート375が実施形態1と異なる。実施形態4において、実施形態1から3と同様の構成、及び作用効果について重複する説明は省略する。
【0044】
メッシュシート375は、第1除霜用ヒータ70の前側(冷却器35と反対側)に設けられる第1シート部375Aと、第1除霜用ヒータ70の後側(第1除霜用ヒータ70と冷却器35との間)に設けられる第2シート部375Bと、を有する。すなわちメッシュシート375は、第1除霜用ヒータ70を挟んで前後両側に設けられている。また、第2シート部375Bは、冷却器35の前面(多数のフィン35Aの前端部35A2)に接触する。
【0045】
このようにすれば、冷却器35の前面に第1除霜用ヒータ70の熱が伝導されやすくなり、冷却器35に付着した霜や氷を融解しやすくなる。また、冷却器35の前側に2枚のシート材(第1シート部375A及び第2シート部375B)が設けられるため、冷却器35から?がれ落ちる氷がメッシュシート375により引っ掛かりやすくなる。
【0046】
第2シート部375Bの開口率は、第1シート部375Aの開口率に比べて小さくてもよい。第1シート部375A、第2シート部375Bに、開口率が異なる別々のシート材を用いることで、第2シート部375Bの開口率を容易に小さくできる。
【0047】
このようにすれば、第2シート部375Bに接触する冷却器35の前端部35A2に対して、第1除霜用ヒータ70の熱をより伝導しやすくなり、霜や氷をより融解しやすくなる。一方、第1シート部375Aは、冷却器35には接触せず、熱伝導への寄与は小さい。このため第1シート部375Aの開口率を相対的に大きくすることで、冷却器35内を通過する空気流量の大幅な低下、ひいては冷却効率の低下を抑えることができる。
【0048】
<実施形態5>
実施形態5に係る第1除霜用ヒータ170について、
図8を参照して説明する。実施形態5では、第1除霜用ヒータ170が実施形態1と異なる。実施形態5において、実施形態1から4と同様の構成、及び作用効果について重複する説明は省略する。
【0049】
第1除霜用ヒータ170は、冷却器35の前端部35A2だけでなく、冷却器35の下端部35A1と接触する。ただし、第1除霜用ヒータ170は、冷却器35の下端部35A1を加熱可能に近接していれば、接触していなくても構わない。なお、
図8では、第1除霜用ヒータ170を明示するため、メッシュシート75の図示は省略されている。
【0050】
このようにすれば、冷却器35の下端部35A1に第1除霜用ヒータ170の熱が伝導されやすくなり、冷却器35に付着した霜や氷を融解しやすくなる。また、氷がドレンパン60内で成長した場合、第1除霜用ヒータ170に接触することで融解可能となる。
【0051】
<実施形態6>
実施形態6に係る冷却器135について、
図9を参照して説明する。実施形態6では、冷却器135の配置が実施形態1と異なる。実施形態6において、実施形態1から5と同様の構成、及び作用効果について重複する説明は省略する。
【0052】
冷却器135は、冷却器35の前端部35A2が鉛直方向に対して僅かに傾斜するように配置される。鉛直方向に対する傾斜角度θ1は例えば10度である。このようにすれば、冷却器35から剥がれた氷塊が、傾斜する前端部35A2に沿って滑り落ち、ドレンパン60内に落下して受け止められやすくなる。その結果、メッシュシート75の大きさ(冷却器35の前側を覆う面積)を小さくしたり、使用環境等によって着霜量が少ない場合にはメッシュシート75を設けずに済むようになる。
【0053】
<実施形態7>
実施形態7に係る循環用ファン24のブラケット126について、
図10及び
図11を参照して説明する。実施形態7では、ブラケット126が実施形態1と異なる。実施形態6において、実施形態1から6と同様の構成、及び作用効果について重複する説明は省略する。
【0054】
ブラケット126は、循環用ファン24の取付部(実施形態1のブラケットと同じ)26と、取付部26から冷却器35の下方に延びる延出部(フランジ)126Aと、を有する。延出部126Aの下面には、第2除霜用ヒータ72が設けられる。
【0055】
このようにすれば、循環用ファン24のブラケット126を用いて、第2除霜用ヒータ72を容易に設けられる。第2除霜用ヒータ72によって、霜や氷をより融解しやすくなり、循環用ファン24の着霜も融解できる。
【0056】
また、延出部126Aは、取付部26から冷却器35の下方に向かって、下方に傾斜するように延びている。これにより、冷却器35から落下した除霜水がドレンパン60に向かって流れやすくなる。また、冷却器35を取り付けた状態で、ブラケット126を冷却器35の空気流出側から抜き差しし、容易に着脱できるようになる。
【0057】
<他の実施形態>
本技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本技術の技術的範囲に含まれる。
【0058】
(1)メッシュシート75、175、275は、複数枚に分割されたシート材から構成されていても構わない。またメッシュシート375の第1シート部375Aと第2シート部375Bは、一枚のシート材から構成され、第2シート部375Bとなる部分を折り曲げて重ね合わせることで形成しても構わない。
【0059】
(2)各実施形態に係る構成は、適宜組み合わせることができ、併用可能である。
【0060】
(3)本技術は、冷却貯蔵庫10以外の冷却貯蔵庫(例えばロッカー式冷蔵庫)、さらには冷却貯蔵庫以外の冷却器を備える機器(例えば製氷機)に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0061】
10:冷却貯蔵庫、12:貯蔵室、24:循環用ファン、26、126:ブラケット(取付部材)、126A:延出部、35、135:冷却器、35A1:下端部(下面)、35A2:前端部(前面、空気流入側の面)、60:ドレンパン、70、170:第1除霜用ヒータ、72:第2除霜用ヒータ、75、175、275、375:メッシュシート、375A:第1シート部、375B:第2シート部