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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102617
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】冷却貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 21/14 20060101AFI20240724BHJP
   F25D 21/08 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
F25D21/14 E
F25D21/08 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006627
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】越 洋
(72)【発明者】
【氏名】植田 毅
(72)【発明者】
【氏名】川上 憂将
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貴芳
【テーマコード(参考)】
3L046
3L048
【Fターム(参考)】
3L046AA05
3L046BA04
3L046CA06
3L046MA04
3L048AA06
3L048BA01
3L048BB03
3L048CA02
3L048CB02
3L048CD02
3L048GA02
(57)【要約】
【課題】冷却器から落下した除霜水や氷がドレンパンで受け止められない事態を抑制する。
【解決手段】冷却貯蔵庫10は、貯蔵室12と、貯蔵室12から吸い込まれた空気が流入され、内部を通過する空気を冷却する冷却器35と、冷却器35の着霜を融解する除霜用ヒータ70と、冷却器35の下方に設けられ、冷却器35からの除霜水を受け止めるドレンパン60と、を備え、ドレンパン60は、その底部61Bから冷却器35に向かって突出し、第1配列方向に並んで配置される複数の突出壁部63を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室と、
前記貯蔵室から吸い込まれた空気が流入され、内部を通過する空気を冷却する冷却器と、
前記冷却器の着霜を融解する除霜用ヒータと、
前記冷却器の下方に設けられ、前記冷却器からの除霜水を受け止めるドレンパンと、を備え、
前記ドレンパンは、その底部から前記冷却器に向かって突出し、第1配列方向に並んで配置される複数の突出壁部を有する冷却貯蔵庫。
【請求項2】
前記冷却器は、第1配列方向に第1配列間隔で並んで配置される複数のフィンを有し、
前記複数の突出壁部は、前記第1配列方向に第2配列間隔で並んで配置され、
前記第2配列間隔は、前記第1配列間隔より小さい請求項1に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項3】
前記冷却器は、第1配列方向に第1配列間隔で並んで配置される複数のフィンを有し、
前記複数の突出壁部は、前記第1配列方向と交わる第2配列方向に並んで配置される請求項1に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項4】
前記ドレンパンは、前記除霜水の排水口を有し、
前記ドレンパンの前記底部は、前記複数の突出壁部が設けられない非配設部を含み、
前記底部の前記非配設部は、前記排水口と連通する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項5】
前記複数の突出壁部は、前記底部に着脱可能に設けられる請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項6】
貯蔵室と、
前記貯蔵室から吸い込まれた空気が流入され、内部を通過する空気を冷却する冷却器と、
前記冷却器の着霜を融解する除霜用ヒータと、
前記冷却器の下方に設けられ、前記冷却器からの除霜水を受け止めるドレンパンと、を備え、
前記ドレンパンは、その前記冷却器の空気流入側の側部に沿って設けられ、上方に向かうに従って前記冷却器から離れる方向に傾斜する張り出し部を有する冷却貯蔵庫。
【請求項7】
前記冷却器は、第1配列方向に並んで配置される複数のフィンを有し、
前記張り出し部の前記第1配列方向の長さは、全ての前記フィンの前記第1配列方向の長さ以上である請求項6に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項8】
前記張り出し部の上端部は、前記冷却器に流入する空気の風圧を受けて前記冷却器側に変位可能である請求項6又は請求項7に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項9】
前記張り出し部は、柔軟性を有し、上端部が先細となる形状をなす請求項8に記載の冷却貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、冷却貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の冷却貯蔵庫として、例えば特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1に記載の冷却貯蔵庫(農産物保冷庫)は、貯蔵庫本体(保冷庫本体)と、貯蔵庫本体の天井面に設置される冷却装置(冷蔵ユニット)と、を備える。冷却装置を構成する冷却器の下側には、断熱壁(下側断熱部)が設けられており、当該断熱壁には冷却器の冷気を貯蔵庫本体内に吸排気するための吸排気口が設けられている。また、当該断熱壁のうち冷却器の直下には、冷却器の着霜が融解されることで生じる除霜水や氷片を受けるドレンパン(露受皿)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-95493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の冷却貯蔵庫によれば、冷却器から落下した除霜水や氷がドレンパンで受け止めきれない場合、吸排気口を通過して貯蔵庫本体内に落下してしまう懸念がある。
【0005】
本技術は上記のような実情に基づいて完成されたものであって、冷却器から落下した除霜水や氷がドレンパンで受け止められない事態を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本技術に関わる冷却貯蔵庫は、貯蔵室と、前記貯蔵室から吸い込まれた空気が流入され、内部を通過する空気を冷却する冷却器と、前記冷却器の着霜を融解する除霜用ヒータと、前記冷却器の下方に設けられ、前記冷却器からの除霜水を受け止めるドレンパンと、を備え、前記ドレンパンは、その底部から前記冷却器に向かって突出し、第1配列方向に並んで配置される複数の突出壁部を有する。
【0007】
除霜用ヒータによって霜が融解されると、除霜水及び氷片は冷却器の下方に設けられたドレンパンで受け止められる。ドレンパンには、第1配列方向に並ぶ複数の突出壁部が設けれており、突出壁部間には溝が形成される。ドレンパン内に落下する除霜水及び氷は、冷却器に向かって突出する複数の突出壁部に当たり、除霜水、及び溝(突出壁部間)以下の大きさの氷は溝内に入り込む。一方、溝より大きい氷は突出壁部上に残留する。すなわち、ドレンパンに落下した除霜水及び氷は、突出壁部、及び突出壁部間の溝によって分離される。これにより、ドレンパン内の除霜水や氷が再凍結した場合であっても、大きな氷(氷塊)に成長しにくいものとなり、ドレンパン内に残留する氷を抑制できる。その結果、ドレンパン内に残留した氷によって、次の除霜運転時に生じる除霜水や氷片がドレンパン内から溢れ出てしまい、ドレンパンで受け止められない事態を抑制できる。
【0008】
また、前記冷却器は、第1配列方向に第1配列間隔で並んで配置される複数のフィンを有し、前記複数の突出壁部は、前記第1配列方向に第2配列間隔で並んで配置され、前記第2配列間隔は、前記第1配列間隔より小さくてもよい。ドレンパンの突出壁部の配列方向が、冷却器のフィンの配列方向と同じ第1配列方向である場合、溝(突出壁部間)の幅である第2配列間隔をフィンの第1配列間隔より小さくすることで、フィン間から落下した氷が溝に入り込まず、突出壁部上に残留しやすくできる。突出壁部上に残留する氷は、冷却器との距離が小さく、除霜用ヒータによって加熱される冷却器からの熱を受けて融解されやすい。その結果、ドレンパン内に残留する氷を抑制しやすくなる。
【0009】
また、前記冷却器は、第1配列方向に第1配列間隔で並んで配置される複数のフィンを有し、前記複数の突出壁部は、前記第1配列方向と交わる第2配列方向に並んで配置されてもよい。ドレンパンの突出壁部の配列方向を、冷却器のフィンの配列方向と交わる第2配列方向とすることで、フィン間から落下した氷が溝に入り込まず、突出壁部上に残留しやすくなる。突出壁部上に残留する氷は、冷却器との距離が小さく、除霜用ヒータによって加熱される冷却器からの熱を受けて融解されやすい。その結果、ドレンパン内に残留する氷を抑制しやすくなる。
【0010】
また、前記ドレンパンは、前記除霜水の排水口を有し、前記ドレンパンの前記底部は、前記複数の突出壁部が設けられない非配設部を含み、前記底部の前記非配設部は、前記排水口と連通してもよい。このようにすれば、突出壁部を設けた場合であっても、除霜水は非配設部を通って排水口に効率よく流出できるようになる。
【0011】
また、前記複数の突出壁部は、前記底部に着脱可能に設けられてもよい。このようにすれば、突出壁部を設けた場合であっても、ドレンパンの清掃を容易にできる。
【0012】
また、上記課題を解決するために、本技術に関わる冷却貯蔵庫は、貯蔵室と、前記貯蔵室から吸い込まれた空気が流入され、内部を通過する空気を冷却する冷却器と、前記冷却器の着霜を融解する除霜用ヒータと、前記冷却器の下方に設けられ、前記冷却器からの除霜水を受け止めるドレンパンと、を備え、前記ドレンパンは、その前記冷却器の空気流入側の側部に沿って設けられ、上方に向かうに従って前記冷却器から離れる方向に傾斜する張り出し部を有してもよい。このようにすれば、着霜が生じやすい冷却器の空気流入側から落下した氷を張り出し部で受け止め、傾斜に沿ってドレンパン内に誘導できるようになり、ドレンパンで受け止められない事態を抑制できる。
【0013】
また、前記冷却器は、第1配列方向に並んで配される複数のフィンを有し、前記張り出し部の前記第1配列方向の長さは、全ての前記フィンの前記第1配列方向の長さ以上であってもよい。このようにすれば、張り出し部によって冷却器の空気流入側から落下した氷を確実に受け止め、ドレンパン内に誘導できるようになる。
【0014】
また、前記張り出し部の上端部は、前記冷却器に流入する空気の風圧を受けて前記冷却器側に変位してもよい。このようにすれば、冷却運転時に冷却器に流入する空気が増大すると、張り出し部がその風圧によって冷却器側に動くようになる。その結果、張り出し部によって冷却運転時に冷却器に流入する空気の流れが乱れてしまう事態を抑制できる。
【0015】
また、前記張り出し部は、柔軟性を有し、上端部が先細となる形状をなしてもよい。このようにすれば、張り出し部が冷却器に流入する空気の風圧によって容易に冷却器側に変位可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本技術によれば、冷却器から落下した除霜水や氷がドレンパンで受け止められない事態を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態1に係る冷却貯蔵庫の斜視図
図2図1のI-I線断面斜視図
図3図2の冷却器付近を拡大した断面斜視図
図4】冷却器、ドレンパン、及びその周辺部材の斜視図
図5】ドレンパンの斜視図
図6】実施形態2に係るドレンパンの斜視図
図7】ドレンパンの分解斜視図
図8】実施形態3に係るドレンパンを示す斜視図
図9】冷却器付近の断面図
図10図9のドレンパンの張り出し部が変位した状態を示す断面図
図11】他の実施形態におけるドレンパンの平面図
図12】他の実施形態におけるドレンパンの平面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
実施形態1に係る冷却貯蔵庫10を図1から図5を参照して説明する。冷却貯蔵庫10は、図1から図3に示すように、貯蔵庫本体11と、貯蔵庫本体11の前面開口を開閉する扉14と、貯蔵庫本体11の上方に配置される機械室15と、冷却装置30と、をおおまかに備える。扉14は、観音開き式に左右に対をなす2つずつが上下に2組設けられているが、その数や開閉方式は限定されない。
【0019】
貯蔵庫本体11は、図2に示すように、ステンレス等の金属板が箱状に組み立てられた外箱11Aと内箱11Bとの間に、発泡樹脂材料製の断熱材11Cが充填された構造を有する。貯蔵庫本体11内(以下、単に庫内と呼ぶことがある)は、貯蔵室12であり、貯蔵室12には被貯蔵物(食品等)を載置する網棚を支持する棚受部材12Aが設けられている。貯蔵庫本体11は、天井壁部41と、底壁部42と、左側壁部43と、右側壁部44と、後壁部45と、を含む断熱壁から構成されている。天井壁部41には、後壁部45寄りの位置に、天井壁部41を貫通する第1吸込口41A、及び第1吹出口41Bが形成されている。第1吸込口41A、及び第1吹出口41Bは、前後方向に所定の間隔を空けて並んで設けられており、第1吹出口41Bが吸込口41Aより後方に位置する。第1吸込口41A、及び第1吹出口41Bは、平面に視て左右方向に延在する横長の矩形状をなし、ほぼ同一の大きさを有する。
【0020】
機械室15において、天井壁部41の第1吸込口41A、及び第1吹出口41Bの上方には、冷却器ボックス80が配置されている。冷却器ボックス80は、左右方向に横長の直方体状の断熱箱体であり、第1吸込口41A、及び第1吹出口41Bを上方から覆うように、天井壁部41上に載置されている。冷却器ボックス80の内部空間が冷却器室20であり、冷却器室20には冷却器35、循環用ファン24、及びドレンパン60が収容されている。冷却器ボックス80の底部82には、第1吸込口41Aと平面視で重なる位置に第2吸込口82Aが、第1吹出口41Bと平面視で重なる位置に第2吹出口82Bがそれぞれ形成されている。第1吸込口41A及び第2吸込口82Aは、貯蔵室12内の空気を冷却器室20内に吸い込むための吸込口20Aを構成している。第1吹出口41B及び第2吹出口82Bは、冷却器室20内から貯蔵室12内へ空気を吹き出すための吹出口20Bを構成している。
【0021】
機械室15は、図1に示すように、貯蔵庫本体11の天井壁部41の直上に設けられている。機械室15は、前方、左方、及び右方がパネルによって覆われる一方、上方及び後方のほぼ全体が開放されているが、上方及び後方もパネルによって覆われていても構わない。機械室15において、後側には冷却器ボックス80が配置され、前側には、冷却装置30のうち圧縮機31、凝縮器33、及び凝縮器ファン37が収容されている。
【0022】
冷却装置30は、貯蔵庫本体11の内部(貯蔵室12)を冷却するための装置である。冷却装置30は、圧縮機31と、凝縮器33と、膨張弁(キャビラリーチューブ)と、冷却器(蒸発器)35と、凝縮器ファン37と、アキュムレータ39と、を備える。圧縮機31、凝縮器33、冷却器35は、冷媒管38によって連結され、既知の冷凍サイクル(冷凍回路)を形成している。
【0023】
冷却器35及びドレンパン60は、図2及び図3に示すように、冷却器室20内において吸込口20Aと吹出口20Bとの間に配置されている。冷却器35の後方には、図4に示すように、循環用ファン24が左右方向に並んで2つ設けられている。循環用ファン24は、冷却器35の後方(空気流出側)に配置されるブラケット26(取付部材の一例)に取り付けられている。ブラケット26は、傾斜する平板状部材であり、循環用ファン24が取り付けられる開口を有する。循環用ファン24が作動すると、貯蔵室12内の空気は吸込口20Aから冷却器室20内に吸い込まれ、冷却器35を通過することで冷却される。冷却された空気は吹出口20Bから貯蔵室12に吹き出されて循環する。
【0024】
冷却器35は、貯蔵室12から吸い込まれて内部を通過する空気を熱交換によって冷却する。冷却器35は、左右方向に横長の略直方体状をなし、多数のフィン35Aと、エンドプレート35Bと、蒸発管35Cと、を備える。各フィン35Aは、上下方向に長い矩形の板状をなす金属プレートであり、第1配列方向(本実施形態では左右方向)に所定の第1配列間隔L1で並べられている。第1配列間隔L1は、隣り合うフィン35間の間隔(隙間の幅)とする。本実施形態に係る冷却器35は、多数のフィン35Aの前端部35A2によって構成される前面(空気流入側の面)が鉛直方向に沿っており、冷却器35に流入した空気は、フィン35A間に形成される隙間を水平方向に沿って前から後に通過する。
【0025】
エンドプレート35Bは、多数のフィン35Aに対して第1配列方向(左右方向)の両側に設けられる金属プレートである。エンドプレート35Bは、フィン35Aより板厚が大きく、強固に形成されている。蒸発管35Cは、各フィン35Aを貫通しつつ折り返した形状をなす。蒸発管35Cは、冷凍回路の冷媒管38と連結されており、内部を冷媒が通過する。蒸発管35C内に流入された液冷媒が蒸発して冷媒ガスに気化する際に、蒸発管35Cの近傍の空気から熱を奪うことで、冷却器35を通過する空気が冷却される。なお、蒸発管35Cの冷媒流通方向の出口側には、冷却器35で気化されなかった液冷媒が圧縮機31に流入することを防止するために、アキュムレータ39が設けられている。
【0026】
除霜用ヒータ70は、冷却器35の空気流入側の下部(前側の下部)に設けられる。除霜用ヒータ70は、冷却器35のエンドプレート35Bに取り付けられている。除霜用ヒータ70は、冷却器35の前側下部全体を加熱するようにU字状に細長く延びているが、形状は限定されない。除霜用ヒータ70は、冷却器35のフィン35Aの前端部35A2に接触するが、加熱効果を奏する程度に近接していれば、接触していなくても構わない。
【0027】
ドレンパン60は、図3に示すように、冷却器ボックス80の底部82のうち第2吸込口82Aと第2吹出口82Bとの間の部分の直上に配置されている。ドレンパン60は、図4及び図5に示すように、本体部61と、排水部66と、を有し、例えば樹脂材料によって一体形成される。本体部61は、冷却器35の直下に配置され、冷却器35の着霜が融解された際に生じる除霜水を受け止める。本体部61は、左右方向に延在する横長の浅いトレー状をなし、その平面サイズは冷却器35の下面より大きい。本体部61のうち前側の側部61Cには、排水口61Aが形成され、本体部61の底部61Bは排水口61Aに向かって水が流下するように傾斜している。排水部66は、本体部61で受け止められた除霜水が排水される流路である。排水部66は、排水口61Aから前方に延出する中空筒部であり、排水部66には、前方からドレンホース68が接続される。ドレンパン60の本体部61で受け止められた除霜水は、排水部66、及びドレンホース68を通って蒸発皿69内に貯留され、蒸発される。蒸発皿69は、機械室15において冷却器ボックス80の外部に設けられている。
【0028】
ドレンパン60の本体部61は、図3から図5に示すように、底部61Bから冷却器35が配置された上方に向かって突出する多数の突出壁部63を有する。多数の突出壁部63は、冷却器35のフィン35Aと同じ第1配列方向に沿って、所定の第2配列間隔L2で並んでいる。突出壁部63は、細長の平板状をなし、隣り合う突出壁部63間は溝64となる。第2配列間隔L2は、溝64の幅(突出壁部63間の間隔)と一致する。突出壁部63は、その突出端部63Aがフィン35Aの下端部35A1と近接するように、突出長が本体部61の深さとほぼ同一に形成されている。本実施形態に係る突出壁部63は、ドレンパン60の前側の側部61Cと後側の側部61Dとの間に、前後方向に沿って細長く延在する。
【0029】
次に、上記した構成の冷却貯蔵庫10の作用効果について説明する。冷却貯蔵庫10では、所定の冷却運転時間毎等に除霜用ヒータ70が作動され、冷却器35の着霜を融解する除霜運転が行われる。除霜運転によって霜が融解されると、除霜水及び氷は冷却器35の直下に設けられたドレンパン60で受け止められる。この際、冷却器35のフィン35A間に付着した霜は、除霜水及び氷片(薄氷)となって落下し、ドレンパン60の複数の突出壁部63に当たる。除霜水、及び溝64の幅(第2配列間隔L2)以下の大きさの氷片は、溝64内に落ちる。一方、溝64より大きい氷は突出壁部63上に残留する。すなわち、ドレンパン60で受け止められた除霜水及び氷片は、突出壁部63によって分離される。その結果、ドレンパン60内の除霜水や氷片が再凍結した場合であっても、大きな氷(氷塊を含む)に成長しにくいものとなる。
【0030】
また溝64より大きい氷は、突出壁部63上に残留することで、突出壁部63が設けられない場合(氷が本体部61の底部61B上に残留する場合)に比べて、冷却器35の下端部35A1との距離が小さくなる。冷却器35は除霜用ヒータ70によって加熱されており、突出壁部63上に残留する氷は、冷却器35からの熱を受けて融解されやすくなる。その結果、ドレンパン60内に残留する氷を抑制しやすくなる。
【0031】
またドレンパン60の突出壁部63の第2配列間隔L2(溝64の幅)は、冷却器35のフィン35Aの第1配列間隔L1より小さいことが好ましい。これにより、フィン35A間から落下した氷片が、溝64に入り込まず、突出壁部63上に残留しやすくなる。その結果、冷却器35からの熱を受けて融解される氷片の割合を増大でき、ドレンパン60内に残留する氷をより一層抑制できる。
【0032】
<実施形態2>
実施形態2に係るドレンパン160について、図6及び図7を参照して説明する。実施形態2では、ドレンパン160の本体部161が実施形態1と異なる。実施形態2において、実施形態1と同様の構成、及び作用効果について重複する説明は省略する。
【0033】
ドレンパン160の本体部161の突出壁部163は、図6に示すように、フィン35Aの第1配列方向(左右方向)と交わる第2配列方向(前後方向)に並んでいる。これにより、フィン35A間から落下した氷片が溝164(突出壁部163間)内に落ちずに、突出壁部163上に残留しやすくなる。例えば突出壁部163の第2配列間隔L2が、フィン35Aの第1配列間隔L1より大きい場合であっても、氷片が溝164(突出壁部163間)内に入り込みにくくなる。
【0034】
突出壁部163は、実施形態1と異なり、本体部161の底部161Bの全体に亘って設けられていない。底部161Bは、突出壁部163が設けられない非配設部161B1を有する。本実施形態に係る非配設部161B1は、排水部66の延長上に形成され、突出壁部163は、非配設部161B1を挟んで左右対称に形成されている。非配設部161B1は、底部161Bにおける左右方向の略中央位置に、前後方向に細長く延びている。非配設部161B1は、排水口61Aと連通しており、溝164(突出壁部163間)に流下した除霜水は、非配設部161B1を通って排水口61Aに流出されるようになっている。その結果、突出壁部163を設けた場合であっても、除霜水が容易に排水可能となる。
【0035】
また突出壁部163は、図7に示すように、底部161Bに着脱可能に設けられていてもよい。これにより、突出壁部163を設けた場合であっても、ドレンパン160の清掃を容易にできる。
【0036】
<実施形態3>
実施形態3に係るドレンパン260について、図8から図10を参照して説明する。実施形態3では、ドレンパン260が張り出し部67を有する点が実施形態1と異なる。実施形態3において、実施形態1から2と同様の構成、及び作用効果について重複する説明は省略する。
【0037】
ドレンパン260は、図8及び図9に示すように、本体部61の前側の側部61Cに沿って設けられる薄い板状の張り出し部67を有する。張り出し部67は、多数のフィン35Aの前端部35A2の下部を前方から覆うように、左右方向(第1配列方向)に細長く延在する。張り出し部67は、循環用ファン24が停止され風圧を受けない状態において、上方に向かうに従って冷却器35から離れる方向に傾斜する形で張り出している。
【0038】
一般に冷却器35の着霜は、温かく湿った空気が接触する空気流入側(前側)に発生しやすい。張り出し部67によれば、除霜運転によって冷却器35の前側から剥がれ落下する氷を受け止めることができる。また張り出し部67は傾斜しており、受け止められた氷を傾斜に沿って本体部61内に滑り落ちるように誘導できる。これにより、当該氷がドレンパン60で受け止められず、吸込口20Aから貯蔵室12に落下してしまう事態を抑制できる。張り出し部67の左右方向の長さL3は、全てのフィン35Aの左右方向の長さL4以上であることが好ましい。このようにすれば、全てのフィン35Aから落下した氷を受け止めやすくなる。
【0039】
張り出し部67の上端部67Aは、冷却器に流入する空気の風圧を受けて冷却器35側に変位するように形成されている。より詳しくは、張り出し部67は、柔軟性を有し、上端部が先細となる形状(いわゆるヒレ形状)をなす。張り出し部67は、例えば軟質樹脂材料(シリコン等)とされ、ドレンパン260に一体形成されていてもよい。このようにすれば、図10に示すように、冷却運転時に循環用ファン24が作動し、冷却器35への空気流入量が増大すると、その風圧を受けて張り出し部67の上端部67Aが冷却器35側に動くようになる。その結果、張り出し部67を設けた場合であっても、冷却運転時に冷却器35に流入する空気の流れが乱れてしまう事態を抑制できる。
【0040】
なお、本実施形態においてドレンパン260の突出壁部63は必須とされない。また張り出し部67は、本体部61の後側の側部61Dに対しても設けられていてもよい。本実施形態では、冷却器35の後方にはブラケット26が設けられ、ブラケット26の下端部はドレンパン60の本体部61内に差し込まれている。これにより、冷却器35の後側から剥がれ落ちた氷は、ブラケット26で受け止められ、ブラケット26の傾斜に沿って本体部61内に滑り落ちるようになっている。その結果、本実施形態では張り出し部67を冷却器35の後側に設ける必要性は大きくないが、構成によっては設けても構わない。
【0041】
<他の実施形態>
本技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本技術の技術的範囲に含まれる。
【0042】
(1)図示における突出壁部63、163の形状、配列間隔、配列方向等は一例に過ぎず、これら以外であっても構わない。また、突出壁部63、163は、異なる配列方向に並ぶ複数ずつの突出壁部から構成されていてもよい。例えば、図11に示すドレンパン360のように、突出壁部263は、左右方向を配列方向とする第1突出壁部264と、前後方向を配列方向とする第2突出壁部265と、から構成されていてもよい。また例えば図12に示すドレンパン460のように、突出壁部363は、除霜水を排水口61Aに向かって誘導するように傾斜し、互いに配列方向が異なる第1突出壁部364、及び第2突出壁部365から構成されていてもよい。
【0043】
(2)図示における突出壁部163の非配設部161B1の形状、大きさ等は一例に過ぎず、例えば図11に示すように、非配設部261B1は略V字状であってもよい。
【0044】
(3)各実施形態に係る構成は、適宜組み合わせることができ、併用可能である。
【0045】
(4)本技術は、冷却貯蔵庫10以外の冷却貯蔵庫(例えばロッカー式冷蔵庫)、さらには冷却貯蔵庫以外の冷却器を備える機器(例えば製氷機)に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0046】
10:冷却貯蔵庫、12:貯蔵室、35:冷却器、35A1:下端部(下面)、35A2:前端部(前面、空気流入側の面)、60,160,260,360,460:ドレンパン、61A:排出口、61B,161B:底部、61C:空気流入側の側部、63,163,263,363:突出壁部、67:張り出し部、67A:上端部、70:除霜用ヒータ、161B1、261B1:非配設部、L1:第1配列間隔、L2:第2配列間隔
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