(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102636
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】排ガス浄化触媒
(51)【国際特許分類】
B01J 23/89 20060101AFI20240724BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
B01J23/89 A ZAB
B01D53/94 222
B01D53/94 245
B01D53/94 280
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006657
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001047
【氏名又は名称】弁理士法人セントクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片桐 円
(72)【発明者】
【氏名】畑中 美穂
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 直樹
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 正興
【テーマコード(参考)】
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
4D148AA06
4D148AA13
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4G169DA06
4G169EB18Y
4G169EE09
(57)【要約】
【課題】触媒入りガス温度が低温の段階から、一酸化炭素(CO)を酸化し、その反応熱を利用して炭化水素(HC)及び窒素酸化物(NOx)の浄化が可能となる排ガス浄化触媒を提供すること。
【解決手段】Cu酸化物がZr系酸化物粒子に担持されているCO酸化触媒と、PdがZr系酸化物粒子に担持されている三元触媒との混合物であり、
Cu原子とPd原子の質量比がCu/Pd=3~30である
ことを特徴とする排ガス浄化触媒。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Cu酸化物がZr系酸化物粒子に担持されているCO酸化触媒と、PdがZr系酸化物粒子に担持されている三元触媒との混合物であり、
Cu原子とPd原子の質量比がCu/Pd=3~30である
ことを特徴とする排ガス浄化触媒。
【請求項2】
前記CO酸化触媒と前記三元触媒との重心間距離が10~500μmであることを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化触媒。
【請求項3】
前記CO酸化触媒中のZr系酸化物粒子がTiを含むものであることを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化触媒。
【請求項4】
前記CO酸化触媒のCuの担持量が、前記CO酸化触媒中の前記Zr系酸化物粒子100質量部に対して1.5~25質量部であることを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化触媒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三元触媒を含有する排ガス浄化触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車エンジン等の内燃機関から排出されるガス中の一酸化炭素(CO)及び炭化水素(HC)を酸化すると同時に、窒素酸化物(NOx)を還元できる排ガス浄化触媒として、金属酸化物からなる触媒担体に貴金属を担持した、いわゆる三元触媒が知られている。しかしながら、この三元触媒は、低温での排ガス浄化活性が低いため、エンジンの始動時のように触媒入りガス温度が低い場合には、排ガスが十分に浄化されずに排出されるという問題があった。
【0003】
そこで、特開2014-79749号公報(特許文献1)には、耐熱性酸化物に、パラジウム及び銅、及び/又は、それらの合金が担持されており、銅の含有量がパラジウムの含有量よりも多く、かつ、パラジウムの含有割合が、耐熱性酸化物、パラジウム及び銅の総量に対して、0.2質量%以下である排ガス浄化用触媒が記載されている。しかしながら、この排ガス浄化用触媒においては、同一の耐熱性酸化物にパラジウムと銅が担持されており、かつ、銅の含有量がパラジウムの含有量よりも多いため、銅がパラジウムを被覆し、パラジウムの排ガス浄化活性が低下するという問題があった。
【0004】
さらに、特開2021-16854号公報(特許文献2)には、コバルト酸化物を含有するCO酸化触媒と、三元触媒とを含有する排ガス浄化触媒が記載されている。この排ガス浄化触媒を用いると、触媒入りガス温度が低温の段階から、CO、HC及びNOxの浄化が可能となるものの、触媒入りガス温度が更に低温の段階から、CO、HC及びNOxの浄化が可能となる排ガス浄化触媒が求められてきた。
【0005】
また、特開2006-187675号公報(特許文献3)には、ハニカム状担体に触媒層が形成されてなり、該触媒層には、Pdが担持されたアルミナ系酸化物と、Cuが担持され且つCeを含有する酸素吸蔵性酸化物とが混合されて含まれており、上記Pdに対する上記Cuの質量比が0.5以上10以下である排気ガス浄化用触媒が記載されている。この排気ガス浄化用触媒においては、アルミナ系酸化物に担持されたPd上でHCが酸化分解され、酸素吸蔵性酸化物に担持されたCu上でCOが酸化される。COがCu上で酸化されることによって、PdへのCOの吸着が抑制されるため、HCが効率よく酸化される。また、Cu上でのCOの酸化は、酸素吸蔵性酸化物から放出される高活性の酸素を利用するため、効率よく進行する。その結果、低温でのCOやHCの浄化が可能となる。しかしながら、このような酸素吸蔵性酸化物の酸素吸放出能を利用せずに、低温でのCOやHCの浄化が可能な排ガス浄化触媒も求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-79749号公報
【特許文献2】特開2021-16854号公報
【特許文献3】特開2006-187675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、Ceを含有する金属酸化物の酸素吸放出能を利用せずに、触媒入りガス温度が低温の段階から、一酸化炭素(CO)を酸化し、その反応熱を利用して炭化水素(HC)及び窒素酸化物(NOx)の浄化が可能となる排ガス浄化触媒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、PdがZr系酸化物粒子に担持されている三元触媒に、Cu酸化物がZr系酸化物粒子に担持されているCO酸化触媒を、Cu原子とPd原子の質量比が特定の割合となるように配合することによって、触媒入りガス温度が低温の段階から、一酸化炭素(CO)を酸化し、その反応熱を利用して炭化水素(HC)及び窒素酸化物(NOx)の浄化が可能となる排ガス浄化触媒が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下の態様を提供する。
【0010】
[1]Cu酸化物がZr系酸化物粒子に担持されているCO酸化触媒と、PdがZr系酸化物粒子に担持されている三元触媒との混合物であり、Cu原子とPd原子の質量比がCu/Pd=3~30である、排ガス浄化触媒。
【0011】
[2]前記CO酸化触媒と前記三元触媒との重心間距離が10~500μmである、[1]に記載の排ガス浄化触媒。
【0012】
[3]前記CO酸化触媒中のZr系酸化物粒子がTiを含むものである、[1]又は[2]に記載の排ガス浄化触媒。
【0013】
[4]前記CO酸化触媒のCuの担持量が、前記CO酸化触媒中の前記Zr系酸化物粒子100質量部に対して1.5~25質量部である、[1]~[3]のうちのいずれか1項に記載の排ガス浄化触媒。
【0014】
なお、本発明において、前記CO酸化触媒と前記三元触媒との重心間距離は、
図1~
図2に示すように、二次粒子を圧粉後、破砕し、整粒した前記CO酸化触媒の重心と二次粒子を圧粉後、破砕し、整粒した前記三元触媒の重心との距離である。なお、
図1中の小さい円は粒度25μmに整粒した粒子を表し、大きい円は粒度75μmに整粒した粒子を表す。また、
図2中の円は粒度500μmに整粒した粒子を表す。
【0015】
また、本発明の排ガス浄化触媒を用いることによって、触媒入りガス温度が低温の段階から、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)及び窒素酸化物(NOx)の浄化が可能となる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明の排ガス浄化触媒は、Cu酸化物がZr系酸化物粒子に担持されているCO酸化触媒と、PdがZr系酸化物粒子に担持されている三元触媒とを、Cu原子とPd原子の質量比が特定の割合となるような量で含有するものである。Cu酸化物がZr系酸化物粒子に担持されているCO酸化触媒は、PdがZr系酸化物粒子に担持されている三元触媒に比べて、低温でも高いCO酸化触媒活性を示すため、三元触媒より触媒入りガス温度が低温の段階からCOを酸化する。この時発生した反応熱が三元触媒に伝播して三元触媒及びPd活性点の温度を上昇させるため、触媒入りガス温度が低温の段階から、前記三元触媒が活性化され、HC及びNOxの浄化が可能となると推察される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、Ceを含有する金属酸化物の酸素吸放出能を利用せずに、触媒入りガス温度が低温の段階から、一酸化炭素(CO)を酸化し、その反応熱を利用して、炭化水素(HC)及び窒素酸化物(NOx)の浄化が可能となる排ガス浄化触媒を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】粒度が25μm~75μmの粒子群からなるCO酸化触媒と、粒度が25μm~75μmの粒子群からなる三元触媒との重心間距離(25μm~75μm)を示す模式図である。
【
図2】粒度が500μmのCO酸化触媒と、粒度が500μmの三元触媒との重心間距離(500μm)を示す模式図である。
【
図3】原子の質量比(Cu/Pd)と50%浄化温度との関係を示すグラフである。
【
図4】CO酸化触媒の種類と50%浄化温度との関係を示すグラフである。
【
図5】三元触媒中の担体の種類と50%浄化温度との関係を示すグラフである。
【
図6】CO酸化触媒中のZr系酸化物粒子に担持されている金属酸化物の種類と50%浄化温度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0019】
本発明の排ガス浄化触媒は、Cu酸化物がZr系酸化物粒子に担持されているCO酸化触媒と、PdがZr系酸化物粒子に担持されている三元触媒との混合物であり、この混合物において、Cu原子とPd原子の質量比はCu/Pd=3~30である。
【0020】
(CO酸化触媒)
本発明に用いられるCO酸化触媒は、Cu酸化物がZr系酸化物粒子に担持されたものである。このCO酸化触媒は低温でのCO酸化活性に優れており、例えば、エンジン始動時等の触媒入りガス温度が低い段階であってもCOを十分に浄化(酸化)することができる。また、このとき発生する反応熱が後述する三元触媒及びPd活性点に伝播し、三元触媒の活性を早期に発現させることができる。
【0021】
前記Cu酸化物としては、例えば、酸化銅(II)(CuO)、酸化銅(I)Cu2Oが挙げられる。これらのCu酸化物は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0022】
前記CO酸化触媒に用いられるZr系酸化物粒子としては、Zrを含む金属酸化物粒子であれば特に制限はないが、本発明においては、酸素吸放出能を利用しないため、Ceを含んでいる必要はなく、Zrを含み、Ceを含まない金属酸化物が好ましい。このようなZr系酸化物粒子としては、例えば、ZrO2粒子、ZrO2-Y2O3-La2O3複合酸化物(ZYL)粒子、ZrO2-TiO2(ZT)粒子のような固溶体粒子、Al2O3-ZrO2複合酸化物(AZ)粒子、Al2O3-ZrO2-TiO2複合酸化物(AZT)粒子のような混合酸化物粒子等が挙げられる。これらのZr系酸化物粒子は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。また、これらのZr系酸化物粒子のうち、触媒入りガス温度が更に低温の段階から、COの浄化(酸化)が可能となるという観点から、Tiを含むものが好ましく、ZT粒子、AZT粒子がより好ましく、AZT粒子が特に好ましい。
【0023】
このようなZr系酸化物粒子の調製方法としては特に制限はなく、公知の方法を採用することができる。例えば、Zrの塩を含有する水溶液と、必要に応じて他の金属(Al、Ti、Y、La等)の塩を含有する水溶液とを混合し、得られた水溶液を中和して沈殿物を生成させ、この沈殿物を焼成することによって、Zr系酸化物粒子を得ることができる。
【0024】
前記CO酸化触媒のCuの担持量としては、前記CO酸化触媒の活性が高くなり、触媒入りガス温度が低温の段階から、COの浄化(酸化)が可能となるという観点から、前記CO酸化触媒中の前記Zr系酸化物粒子100質量部に対して、1.5~25質量部が好ましく、2~20質量部がより好ましく、3~15質量部が特に好ましい。前記Cuの担持量が前記下限未満になると、前記CO酸化触媒の活性が低くなる傾向にある。また、前記CO酸化触媒のCuの担持量が不足すると、COの浄化(酸化)が十分に進行しないため、反応熱が十分に発生しない。このため、三元触媒の温度が上昇せず、触媒入りガス温度が低い段階でのHCやNOxの浄化も十分に進行しない傾向にある。その結果、HC及びNOxの50%浄化温度が十分に低下しない傾向にある。他方、前記Cuの担持量が前記上限を超えると、前記Cu酸化物が凝集しやすくなるため、前記CO酸化触媒の活性が飽和する傾向にある。
【0025】
このようなCO酸化触媒の調製方法としては特に制限はなく、公知の含浸法を採用することができる。例えば、Cuの塩を含有する水溶液に、前記Zr系酸化物粒子を浸漬し、得られた水溶液から蒸発乾固法等により溶媒(水)を除去し、生成した固体成分を大気中で焼成することによって、Cu酸化物が前記Zr系酸化物粒子に担持されているCO酸化触媒を得ることができ、必要に応じて、得られたCO酸化触媒を粉砕、篩分けして、粒度が所定の範囲内となるように整粒してもよい。
【0026】
(三元触媒)
本発明に用いられる三元触媒は、PdがZr系酸化物粒子に担持されたものである。前記三元触媒に用いられるZr系酸化物粒子としては、Zrを含む金属酸化物粒子であれば特に制限はないが、本発明においては、酸素吸放出能を利用しないため、Ceを含んでいる必要はなく、Zrを含み、Ceを含まない金属酸化物が好ましい。このようなZr系酸化物粒子としては、例えば、ZrO2粒子、ZrO2-Y2O3-La2O3複合酸化物(ZYL)粒子、ZrO2-TiO2(ZT)粒子のような固溶体粒子や、Al2O3-ZrO2複合酸化物(AZ)粒子、Al2O3-ZrO2-TiO2複合酸化物(AZT)粒子のような混合酸化物粒子等が挙げられる。これらのZr系酸化物粒子は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0027】
このようなZr系酸化物粒子の調製方法としては特に制限はなく、公知の方法を採用することができる。例えば、Zrの塩を含有する水溶液と、必要に応じて他の金属(Al、Ti、Y、La等)の塩を含有する水溶液とを混合し、得られた水溶液を中和して沈殿物を生成させ、この沈殿物を焼成することによって、Zr系酸化物粒子を得ることができる。
【0028】
三元触媒の調製方法としては特に制限はなく、公知の含浸法を採用することができる。例えば、Pdの塩を含有する水溶液に、前記Zr系酸化物粒子を浸漬し、得られた水溶液から蒸発乾固法等により溶媒(水)を除去し、生成した固体成分を大気中で焼成することによって、Pdが前記Zr系酸化物粒子に担持されている三元触媒を得ることができ、必要に応じて、得られた三元触媒を粉砕、篩分けして、粒度が所定の範囲内となるように整粒してもよい。
【0029】
〔排ガス浄化触媒〕
本発明の排ガス浄化触媒は、前記CO酸化触媒と前記三元触媒との混合物であり、前記CO酸化触媒と前記三元触媒とが適度な重心間距離を持って隣接していることが好ましい。このような排ガス浄化触媒の調製方法としては特に制限はなく、例えば、前記CO酸化触媒と前記三元触媒をそれぞれ加圧成形し、得られた成形体を破砕し、粒度が所定の範囲内となるように整粒して、適度な重心間距離とすることが好ましい。
【0030】
本発明の排ガス浄化触媒において、Cu原子とPd原子の質量比はCu/Pd=3~30である。Cu/Pdが前記範囲内にある排ガス浄化触媒は、触媒入りガス温度が低温の段階から、良好なCO、HC及びNOxの浄化性能を示す。一方、Cu/Pdが前記下限未満になると、前記CO酸化触媒の活性が低くなる。他方、Cu/Pdが前記上限を超えると、前記Cu酸化物が凝集しやすくなるため、前記CO酸化触媒の活性が低くなる。前記CO酸化触媒の活性が低くなると、触媒入りガス温度が低い段階ではCOの浄化(酸化)が十分に進行しない。また、浄化による反応熱が十分に発生しないため、三元触媒の温度が上昇せず、触媒入りガス温度が低い段階でのHC及びNOxの浄化も十分に進行しない。その結果、CO、HC及びNOxの50%浄化温度が十分に低下しない。Cu/Pdとしては、触媒入りガス温度が更に低温の段階から、CO、HC及びNOxの浄化が可能となるという観点から、Cu/Pd=4~25が好ましく、Cu/Pd=5~20がより好ましく、Cu/Pd=5~10が更に好ましい。なお、前記CO酸化触媒と前記三元触媒との質量比としては、Cu/Pdが前記範囲内となるような質量比であれば特に制限はない。
【0031】
また、前記排ガス浄化触媒中のPdの含有量としては、前記排ガス浄化触媒の総量(前記CO酸化触媒と前記三元触媒との合計量)100質量部に対して、0.2~6.7質量部が好ましく、0.2~5質量部がより好ましく、0.2~3質量部が特に好ましい。前記Pdの含有量が前記下限未満になると、Pd活性点の数が不足し、HC及びNOxの浄化が十分に進行しない傾向にあり、他方、Pdの担持量が前記上限を超えると、Pdの担持量を増加させてもHC及びNOxの浄化性能が飽和する傾向にある。
【0032】
また、本発明の排ガス浄化触媒においては、前記CO酸化触媒で発生した反応熱が三元触媒に伝播するという観点から、前記CO酸化触媒と前記三元触媒との重心間距離が10~500μmであることが好ましく、20~80μmであることがより好ましい。前記CO酸化触媒と前記三元触媒との重心間距離が前記上限を超えると、CO酸化触媒の反応熱が三元触媒に伝播せず、三元触媒を効率よく暖機できない傾向にある。
【実施例0033】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で使用した担体は以下の方法により調製した。
【0034】
(調製例1)
〔Al2O3-ZrO2-TiO2複合酸化物(AZT)担体の調製〕
硝酸アルミニウム(III)九水和物441.2gと18質量%ZrO2のオキシジルコニル硝酸溶液233.3gと16.5質量%Tiの四塩化チタン65.4gとをイオン交換水2000mlに添加して攪拌し、さらに、30質量%の過酸化水素水154gを添加した。得られた水溶液を25質量%のアンモニア水456gで中和して沈殿物を得た。得られた沈殿物を溶媒と共に2気圧下、120℃で2時間保持した。次いで、沈殿物を遠心分離によって回収し、150℃で7時間仮焼した後、大気中、400℃で5時間焼成し、さらに、800℃で5時間焼成して、50質量%Al2O3-35質量%ZrO2-15質量%TiO2複合酸化物(AZT)担体120gを得た。
【0035】
(調製例2)
〔ZrO2-Y2O3-La2O3複合酸化物(ZYL)担体の調製〕
18質量%ZrO2のオキシジルコニル硝酸溶液466.7gと硝酸イットリウム(III)六水和物33.9gと硝酸ランタン(III)六水和物15.9gとをイオン交換水2000mlに添加して攪拌した後、25質量%のアンモニア水142.2gで中和して沈殿物を得た。得られた沈殿物を遠心分離によって回収し、150℃で7時間仮焼した後、大気中、400℃で5時間焼成し、さらに、800℃で5時間焼成して、84質量%ZrO2-10質量%Y2O3-6質量%La2O3複合酸化物(ZYL)担体100gを得た。
【0036】
(調製例3)
〔Al2O3-La2O3複合酸化物(AL)担体の調製〕
硝酸アルミニウム(III)九水和物364.2gと硝酸ランタン(III)六水和物1.3gとをイオン交換水3000mlに添加して攪拌した後、25質量%のアンモニア水238.9gで中和して沈殿物を得た。沈殿物を遠心分離によって回収し、150℃で7時間仮焼した後、大気中、400℃で0時間焼成し、さらに、800℃で5時間焼成して、99質量%Al2O3-1質量%La2O3複合酸化物(AL)担体50gを得た。
【0037】
(調製例4)
〔CeO2-ZrO2-Pr6O11-La2O3複合酸化物(CZ)担体の調製〕
硝酸セリウム(III)六水和物75.7gと18質量%ZrO2のオキシジルコニル硝酸溶液83.3gと硝酸プラセオジム(III)六水和物8.9gと硝酸ランタン(III)六水和物4gとをイオン交換水1000mlに添加して攪拌した後、25質量%のアンモニア水69.9gで中和して沈殿物を得た。沈殿物を遠心分離によって回収し、150℃で7時間仮焼した後、大気中、400℃で5時間焼成し、さらに、800℃で5時間焼成して、60質量%CeO2-30質量%ZrO2-7質量%Pr6O11-3質量%La2O3複合酸化物(CZ)担体50gを得た。
【0038】
(調製例5)
〔ZrO2-Al2O3-CeO2-Y2O3-La2O3-Nd2O3複合酸化物(ZAC)担体の調製〕
18質量%ZrO2のオキシジルコニル硝酸溶液122.2gと硝酸アルミニウム(III)九水和物110.4gと硝酸セリウム(III)六水和物25.2gと硝酸イットリウム(III)六水和物3.4gと硝酸ランタン(III)六水和物2.7gと硝酸ネオジム(III)六水和物2.6gをイオン交換水2000mlに添加して攪拌した後、25質量%のアンモニア水119.7gで中和して沈殿物を得た。得られた沈殿物を溶媒と共に2気圧下、120℃で2時間保持した。次いで、沈殿物を遠心分離によって回収し、150℃で7時間仮焼した後、大気中、400℃で5時間焼成し、さらに、800℃で5時間焼成して、44質量%ZrO2-30質量%Al2O3-20質量%CeO2-2質量%Y2O3-2質量%La2O3-2質量%Nd2O3複合酸化物(ZAC)担体50gを得た。
【0039】
(実施例1)
〔CO酸化触媒の調製〕
硝酸銅三水和物(assay=99.0%~104.0%)1.87gをイオン交換水50mlに溶解し、そこへ調製例1で得られたAZT担体10gを投入して、攪拌しながら蒸発乾固法によりAZT担体にCuを担持させた後、大気中、400℃で5時間焼成した。得られた焼成物を粉砕した後、JIS標準ふるい75μmを用いて分級し、さらに、JIS標準ふるい25μmを用いて分級して、CuOがAZT担体にCu:AZT=5:100の質量比で担持された、粒度25μm~75μmの粒子群からなるCO酸化触媒を得た。
【0040】
〔三元触媒の調製〕
8.2質量%Pdの硝酸パラジウム溶液0.61gをイオン交換水50mlで希釈し、そこへ調製例2で得られたZYL担体10gを投入して、攪拌しながら蒸発乾固法によりZYL担体にPdを担持させた後、大気中、400℃で5時間焼成した。得られた焼成物を粉砕した後、JIS標準ふるい75μmを用いて分級し、さらに、JIS標準ふるい25μmで分級して、PdがZYL担体にPd:ZYL=0.5:100の質量比で担持された、粒度25μm~75μmの粒子群からなる三元触媒を得た。
【0041】
〔排ガス浄化触媒の調製〕
粒度25μm~75μmの粒子群からなる前記CO酸化触媒0.75gと粒度25μm~75μmの粒子群からなる前記三元触媒0.75gとを混合し、得られた混合物を1000kg/cm
2の圧力で加圧成形した後、得られた成形体を粉砕、篩分けし、前記CO酸化触媒と前記三元触媒とが混合した、粒度0.5~1.0mmの粒子群からなる排ガス浄化触媒を得た。この排ガス浄化触媒において、前記CO酸化触媒と前記三元触媒との重心間距離は、
図1(
図1中、小さい円は粒度25μmの整粒粒子を表し、大きい円は粒度75μmの整粒粒子を表す。)に示すように、25μm~75μmであり、Cu原子とPd原子の質量比はCu/Pd=9.5であり、前記CO酸化触媒と前記三元触媒の総量に対して、Pdの含有量は0.25質量%であり、Cuの含有量は2.35質量%であった。
【0042】
(実施例2)
硝酸銅三水和物の量を3.75gに変更した以外は実施例1と同様にして、CuOがAZT担体にCu:AZT=10:100の質量比で担持された、粒度25μm~75μmの粒子群からなるCO酸化触媒を調製し、さらに、このCO酸化触媒を用いた以外は実施例1と同様にして、前記CO酸化触媒と前記三元触媒とが混合した、粒度0.5~1.0mmの粒子群からなる排ガス浄化触媒を得た。この排ガス浄化触媒において、前記CO酸化触媒と前記三元触媒との重心間距離は25μm~75μmであり、Cu原子とPd原子の質量比はCu/Pd=17.9であり、前記CO酸化触媒と前記三元触媒の総量に対して、Pdの含有量は0.25質量%であり、Cuの含有量は4.44質量%であった。
【0043】
(実施例3)
AZT担体の代わりに調製例2で得られたZYL担体10gを用い、硝酸銅三水和物の量を3.75gに変更した以外は実施例1と同様にして、CuOがZYL担体にCu:ZYL=10:100の質量比で担持された、粒度25μm~75μmの粒子群からなるCO酸化触媒を調製し、さらに、このCO酸化触媒を用いた以外は実施例1と同様にして、前記CO酸化触媒と前記三元触媒とが混合した、粒度0.5~1.0mmの粒子群からなる排ガス浄化触媒を得た。この排ガス浄化触媒において、前記CO酸化触媒と前記三元触媒との重心間距離は25μm~75μmであり、Cu原子とPd原子の質量比はCu/Pd=17.9であり、前記CO酸化触媒と前記三元触媒の総量に対して、Pdの含有量は0.25質量%であり、Cuの含有量は4.44質量%であった。
【0044】
(実施例4)
〔CO酸化触媒の調製〕
AZT担体の代わりに調製例2で得られたZYL担体10gを用い、硝酸銅三水和物の量を3.75gに変更した以外は実施例1と同様にして、焼成物を調製し、この焼成物を粉砕した後、1000kg/cm2の圧力で加圧成形し、得られた成形体を破砕した後、JIS標準ふるい1000μmを用いて分級し、さらに、JIS標準ふるい500μmを用いて分級して、CuOがZYL担体にCu:ZYL=10:100の質量比で担持された、粒度500μm~1000μmの粒子群からなるCO酸化触媒を得た。
【0045】
〔三元触媒の調製〕
実施例1と同様にして、焼成物を調製し、この焼成物を粉砕した後、1000kg/cm2の圧力で加圧成形し、得られた成形体を破砕した後、JIS標準ふるい1000μmを用いて分級し、さらに、JIS標準ふるい500μmを用いて分級して、PdがZYL担体にPd:ZYL=0.5:100の質量比で担持された、粒度500μm~1000μmの粒子群からなる三元触媒を得た。
【0046】
〔排ガス浄化触媒の調製〕
粒度500μm~1000μmの粒子群からなる前記CO酸化触媒0.5gと粒度500μm~1000μmの粒子群からなる前記三元触媒0.5gとを混合して、粒度0.5~1.0mmの粒子群からなる排ガス浄化触媒を得た。この排ガス浄化触媒において、前記CO酸化触媒と前記三元触媒との重心間距離は、
図2(
図2中の円は粒径500μmの粒子を表す。)に示すように、500μm~1000μmであり、Cu原子とPd原子の質量比はCu/Pd=17.9であり、前記CO酸化触媒と前記三元触媒の総量に対して、Pdの含有量は0.25質量%であり、Cuの含有量は4.44質量%であった。
【0047】
(比較例1)
調製例1で得られたAZT担体を、JIS標準ふるい75μmを用いて分級し、さらに、JIS標準ふるい25μmを用いて分級して、粒度25μm~75μmの粒子群からなるAZT担体を得た。CO酸化触媒の代わりに粒度25μm~75μmの粒子群からなる前記AZT担体を用いた以外は実施例1と同様にして、AZT担体と三元触媒とが混合した、Cuを含有しない、粒度0.5~1.0mmの粒子群からなる排ガス浄化触媒を得た。この排ガス浄化触媒において、Pdの含有量は前記AZT担体と前記三元触媒の総量に対して0.25質量%であった。なお、この排ガス浄化触媒の熱容量は実施例1~2で得られた排ガス浄化触媒とほぼ同等である。
【0048】
(比較例2)
硝酸銅三水和物の量を0.375gに変更した以外は実施例1と同様にして、CuOがAZT担体にCu:AZT=1:100の質量比で担持された、粒度25μm~75μmの粒子群からなるCO酸化触媒を調製し、さらに、このCO酸化触媒を用いた以外は実施例1と同様にして、前記CO酸化触媒と前記三元触媒とが混合した、粒度0.5~1.0mmの粒子群からなる排ガス浄化触媒を得た。この排ガス浄化触媒において、前記CO酸化触媒と前記三元触媒との重心間距離は25μm~75μmであり、Cu原子とPd原子の質量比はCu/Pd=2.0であり、前記CO酸化触媒と前記三元触媒の総量に対して、Pdの含有量は0.25質量%であり、Cuの含有量は0.494質量%であった。
【0049】
(比較例3)
硝酸銅三水和物の量を11.2gに変更した以外は実施例1と同様にして、CuOがAZT担体にCu:AZT=30:100の質量比で担持された、粒度25μm~75μmの粒子群からなるCO酸化触媒を調製し、さらに、このCO酸化触媒を用いた以外は実施例1と同様にして、前記CO酸化触媒と前記三元触媒とが混合した、粒度0.5~1.0mmの粒子群からなる排ガス浄化触媒を得た。この排ガス浄化触媒において、前記CO酸化触媒と前記三元触媒との重心間距離は25μm~75μmであり、Cu原子とPd原子の質量比はCu/Pd=43.8であり、前記CO酸化触媒と前記三元触媒の総量に対して、Pdの含有量は0.25質量%であり、Cuの含有量は10.9質量%であった。
【0050】
(比較例4)
AZT担体の代わりに調製例3で得られたAL担体10gを用い、硝酸銅三水和物の量を3.75gに変更した以外は実施例1と同様にして、CuOがAL担体にCu:AL=10:100の質量比で担持された、粒度25μm~75μmの粒子群からなるCO酸化触媒を調製し、さらに、このCO酸化触媒を用いた以外は実施例1と同様にして、前記CO酸化触媒と前記三元触媒とが混合した、粒度0.5~1.0mmの粒子群からなる排ガス浄化触媒を得た。この排ガス浄化触媒において、前記CO酸化触媒と前記三元触媒との重心間距離は25μm~75μmであり、Cu原子とPd原子の質量比はCu/Pd=17.9であり、前記CO酸化触媒と前記三元触媒の総量に対して、Pdの含有量は0.25質量%であり、Cuの含有量は4.44質量%であった。
【0051】
(比較例5)
調製例2で得られたZYL担体を、JIS標準ふるい75μmを用いて分級し、粒度75μm以下の粒子群からなるZYL担体を得た。実施例1と同様に調製した三元触媒を、JIS標準ふるい75μmを用いて分級し、粒度75μm以下の粒子群からなる三元触媒を得た。これらを混合して1000kg/cm2の圧力で加圧成形し、得られた成形体を破砕した後、JIS標準ふるい1000μmを用いて分級し、さらに、JIS標準ふるい500μmを用いて分級して、ZYL担体と三元触媒とが混合した、Cuを含有しない、粒度0.5~1.0mmの粒子群からなる排ガス浄化触媒を得た。この排ガス浄化触媒において、Pdの含有量は前記ZYL担体と前記三元触媒の総量に対して0.25質量%であった。なお、この排ガス浄化触媒の熱容量は実施例3~4で得られた排ガス浄化触媒とほぼ同等である。
【0052】
(比較例6)
調製例2で得られたZYL担体を、JIS標準ふるい75μmを用いて分級し、さらに、JIS標準ふるい25μmを用いて分級して、粒度25μm~75μmの粒子群からなるZYL担体を得た。AZT担体の代わりに粒度25μm~75μmの粒子群からなる前記ZYL担体を用いた以外は比較例1と同様にして、ZYL担体と三元触媒とが混合した、Cuを含有しない、粒度0.5~1.0mmの粒子群からなる排ガス浄化触媒を得た。この排ガス浄化触媒において、Pdの含有量は前記ZYL担体と前記三元触媒の総量に対して0.25質量%であった。なお、この排ガス浄化触媒の熱容量は実施例3~4で得られた排ガス浄化触媒とほぼ同等である。
【0053】
(比較例7)
ZYL担体の代わりに調製例3で得られたAL担体10gを用いた以外は実施例1と同様にして、PdがAL担体にPd:AL=0.5:100の質量比で担持された、粒度25μm~75μmの粒子群からなる三元触媒を調製し、さらに、この三元触媒を用いた以外は実施例2と同様にして、前記CO酸化触媒と前記三元触媒とが混合した、粒度0.5~1.0mmの粒子群からなる排ガス浄化触媒を得た。
【0054】
この排ガス浄化触媒において、前記CO酸化触媒と前記三元触媒との重心間距離は25μm~75μmであり、Cu原子とPd原子の質量比はCu/Pd=17.9であり、前記CO酸化触媒と前記三元触媒の総量に対して、Pdの含有量は0.25質量%であり、Cuの含有量は4.44質量%であった。
【0055】
(比較例8)
比較例4と同様にして調製したCO酸化触媒と、比較例7と同様にして調製した三元触媒とを用いた以外は実施例1と同様にして、前記CO酸化触媒と前記三元触媒とが混合した、粒度0.5~1.0mmの粒子群からなる排ガス浄化触媒を得た。この排ガス浄化触媒において、前記CO酸化触媒と前記三元触媒との重心間距離は25μm~75μmであり、Cu原子とPd原子の質量比はCu/Pd=17.9であり、前記CO酸化触媒と前記三元触媒の総量に対して、Pdの含有量は0.25質量%であり、Cuの含有量は4.44質量%であった。
【0056】
(比較例9)
〔CO酸化触媒の調製〕
硝酸銅三水和物の代わりに硝酸コバルト(II)六水和物(assay=99.5%)3.66gを用いた以外は実施例3と同様にして、Co2O3がZYL担体にCo:ZYL=10:100の質量比で担持された、粒度25μm~75μmの粒子群からなるCO酸化触媒を調製し、さらに、このCO酸化触媒を用いた以外は実施例1と同様にして、前記CO酸化触媒と前記三元触媒とが混合した、粒度0.5~1.0mmの粒子群からなる排ガス浄化触媒を得た。この排ガス浄化触媒において、前記CO酸化触媒と前記三元触媒との重心間距離は25μm~75μmであり、Co原子とPd原子の質量比はCo/Pd=17.7であり、前記CO酸化触媒と前記三元触媒の総量に対して、Pdの含有量は0.25質量%であり、Coの含有量は4.40質量%であった。
【0057】
(参考例1)
AZT担体の代わりに調製例4で得られたCZ担体10gを用いた以外は実施例2と同様にして、CuOがCZ担体にCu:CZ=10:100の質量比で担持された、粒度25μm~75μmの粒子群からなるCO酸化触媒を調製し、さらに、このCO酸化触媒を用いた以外は実施例1と同様にして、前記CO酸化触媒と前記三元触媒とが混合した、粒度0.5~1.0mmの粒子群からなる排ガス浄化触媒を得た。この排ガス浄化触媒において、前記CO酸化触媒と前記三元触媒との重心間距離は25μm~75μmであり、Cu原子とPd原子の質量比はCu/Pd=17.9であり、前記CO酸化触媒と前記三元触媒の総量に対して、Pdの含有量は0.25質量%であり、Cuの含有量は4.44質量%であった。
【0058】
(参考例2)
AZT担体の代わりに調製例5で得られたZAC担体10gを用いた以外は実施例2と同様にして、CuOがZAC担体にCu:ZAC=10:100の質量比で担持された、粒度25μm~75μmの粒子群からなるCO酸化触媒を調製し、さらに、このCO酸化触媒を用いた以外は実施例1と同様にして、前記CO酸化触媒と前記三元触媒とが混合した、粒度0.5~1.0mmの粒子群からなる排ガス浄化触媒を得た。この排ガス浄化触媒において、前記CO酸化触媒と前記三元触媒との重心間距離は25μm~75μmであり、Cu原子とPd原子の質量比はCu/Pd=17.9であり、前記CO酸化触媒と前記三元触媒の総量に対して、Pdの含有量は0.25質量%であり、Cuの含有量は4.44質量%であった。
【0059】
<排ガス浄化触媒の性能評価試験>
得られた排ガス浄化触媒1gを充填した触媒層を固定床流通反応装置(モデルガス発生装置:ベスト測器株式会社製「CATA-5000-SP」、ガス分析計:ベスト測器株式会社製「BEX5900C-SP」)にセットした。この触媒層にモデルガス(CO:1.00%、C
3H
6:400ppm、NO:1200ppm、O
2:6200ppm、CO
2:10.0%、H
2O:5.0%、N
2:残部)を10L/minで流通させ、触媒入りガス温度を100℃から450℃まで25℃/minの昇温速度で上昇させながら、触媒出ガス中のCO濃度、C
3H
6濃度及びNO濃度を測定し、各触媒入りガス温度におけるCO、C
3H
6、NOの浄化率を算出し、触媒入りガス温度とCO、C
3H
6及びNOの浄化率との関係を示すグラフを作成した。このグラフに基づいて、CO、C
3H
6及びNOの浄化率が50%となる温度(50%浄化温度)を求めた。その結果を表1及び
図3~
図6に示す。なお、
図3~
図6中の棒グラフは、左側から、CO、C
3H
6及びNOの50%浄化温度を示す。
【0060】
【0061】
図3は、原子の質量比(Cu/Pd)と50%浄化温度との関係を示すグラフである。このグラフから明らかなように、Cu/Pdが所定の範囲内にある排ガス浄化触媒(実施例1~2)においては、Cuを含有しない排ガス浄化触媒(比較例1)、Cu/Pdが所定の範囲より小さい排ガス浄化触媒(比較例2)及びCu/Pdが所定の範囲より大きい排ガス浄化触媒(比較例3)に比べて、COの50%浄化温度が低くなり、また、Cuを含有しない排ガス浄化触媒(比較例1)及びCu/Pdが所定の範囲より大きい排ガス浄化触媒(比較例3)に比べて、HC及びNOの50%浄化温度が低くなることがわかった。
【0062】
図4は、CO酸化触媒の種類と50%浄化温度との関係を示すグラフである。このグラフから明らかなように、CO酸化触媒としてCu酸化物がZr系酸化物粒子に担持されているCO酸化触媒を用いた場合(実施例1~4)には、Cu酸化物がZrを含まない酸化物粒子に担持されているCO酸化触媒を用いた場合(比較例4)、CO酸化触媒を用いなかった場合(比較例5~6)に比べて、CO、C
3H
6及びNOの50%浄化温度が低くなることがわかった。また、実施例3と実施例4とを比較すると明らかなように、CO酸化触媒と三元触媒との重心間距離が短いほど、CO、C
3H
6及びNOの50%浄化温度が低くなることがわかった。
【0063】
図5は、三元触媒中の担体の種類と50%浄化温度との関係を示すグラフである。このグラフから明らかなように、三元触媒中の担体としてZr系酸化物粒子を用いた場合(実施例2~3)には、Zrを含まない酸化物粒子を用いた場合(比較例7~8)に比べて、CO、C
3H
6及びNOの50%浄化温度が低くなることがわかった。
【0064】
図6は、CO酸化触媒中のZr系酸化物粒子に担持されている金属酸化物の種類と50%浄化温度との関係を示すグラフである。このグラフから明らかなように、CO酸化触媒中のZr系酸化物粒子にCu酸化物が担持されている場合(実施例1~3)には、Co酸化物が担持されている場合(比較例9)に比べて、CO、C
3H
6及びNOの50%浄化温度が低くなることがわかった。
以上説明したように、本発明によれば、Ceを含有する金属酸化物の酸素吸放出能を利用せずに、触媒入りガス温度が低温の段階から、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)及び窒素酸化物(NOx)の浄化が可能となる。
したがって、本発明の排ガス浄化触媒は、自動車エンジン等の内燃機関から排出される、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)及び窒素酸化物(NOx)を含有する排ガスを浄化するための触媒等として有用である。